(1)本発明の撮像装置は、入力される光学情報から電気的な画像を生成する画像生成手段と、ユーザーによる撮影準備動作または撮影動作の指示を受け付ける操作手段と、前記画像生成手段で生成された画像および/または被写体に関する情報に基づき撮影シーンを判別するシーン判別手段と、を備え、前記シーン判別手段は、前記操作手段がユーザーによって操作される前と後とで、撮像シーンの判別方法を変えるものである。
本発明の撮像装置は、上記構成を基本として、以下のような様々な態様をとることができる。
(2)本発明の撮像装置において、画像生成手段は、入射する光学的画像を電気的画像に変換する撮像手段と、前記光学的画像を前記撮像手段の撮像面に合焦可能なフォーカスレンズを駆動制御するフォーカス制御手段と、入射光量を調節するための絞りの開度を制御する絞り制御手段と、シャッター速度を制御するシャッター制御手段とを備え、ストロボ光を出射するストロボ発光手段をさらに備えた構成とすることができる。
(3)本発明の撮像装置において、画像生成手段は、入射する光学的画像を電気的画像に変換する撮像手段と、前記光学的画像を前記撮像手段の撮像面に合焦可能なフォーカスレンズを駆動制御するフォーカス制御手段と、入射光量を調節するための絞りの開度を制御する絞り制御手段と、シャッター速度を制御するシャッター制御手段とを備え、ストロボ光を出射するストロボ発光手段と、前記フォーカス制御手段における合焦制御時に補助光を出射可能な補助光発光手段とをさらに備えた構成とすることができる。
(4)本発明の撮像装置において、前記シーン判別手段は、前記画像生成手段で生成された画像の中に人物が含まれている場合は、人物画像であると判断する構成とすることができる。このような構成によれば、装置側において人物画像の判別を行うことができるので、ユーザーにおけるモード選択が不要になるため、使い勝手を向上させることができる。
(5)本発明の撮像装置において、前記シーン判別手段は、前記フォーカス制御手段において合焦している被写体の距離と、被写体の明るさの情報とに基づき、風景画像を判別する構成とすることができる。このような構成によれば、装置側において風景画像の判別を行うことができるので、ユーザーにおけるモード選択が不要になるため、使い勝手を向上させることができる。
(6)本発明の撮像装置において、前記シーン判別手段は、前記フォーカス制御手段において合焦している被写体の距離と、被写体の明るさの情報と、前記補助光発光手段から出射した補助光のうちの被写体から反射した光の光量とに基づき、夜景画像を判別する構成とすることができる。このような構成によれば、装置側において夜景画像の判別を行うことができるので、ユーザーにおけるモード選択が不要になるため、使い勝手を向上させることができる。
(7)本発明の撮像装置において、前記シーン判別手段は、被写体の明るさの情報と、前記補助光発光手段から出射した補助光のうちの被写体から反射した光の光量とに基づき、夜景画像を判別する構成とすることができる。このような構成によれば、装置側において夜景画像の判別を行うことができるので、ユーザーにおけるモード選択が不要になるため、使い勝手を向上させることができる。
(8)本発明の撮像装置において、前記シーン判別手段は、前記画像生成手段で生成された画像の中に人物が含まれているか否かの情報と、被写体の明るさの情報と、前記ストロボ発光手段から出射し被写体から反射した光の光量とに基づき、夜景を含む人物画像を判別する構成とすることができる。このような構成によれば、装置側において夜景を含む人物画像の判別を行うことができるので、ユーザーにおけるモード選択が不要になるため、使い勝手を向上させることができる。
(9)本発明の撮像装置において、前記シーン判別手段は、前記フォーカス制御手段において合焦している被写体の距離が所定距離よりも短い場合は、マクロ画像であると判断する構成とすることができる。このような構成によれば、装置側においてマクロ画像の判別を行うことができるので、ユーザーにおけるモード選択が不要になるため、使い勝手を向上させることができる。
(10)本発明の撮像装置は、本装置の振動を検出する振動検出手段をさらに備え、前記シーン判別手段は、前記振動検出手段の検出結果に基づき、本装置が固定状態であるか否かを判別する構成とすることができる。このような構成によれば、撮像装置が三脚などの固定手段に固定されているか否かを判別し、その判別結果に基づきシャッタースピードなどを制御することで、撮影状況に応じた設定を自動的に行うことができ、使い勝手を向上させることができる。
(11)本発明の撮像装置は、前記画像生成手段で生成された画像、または、前記画質調整手段で調整された画像を表示可能な表示手段をさらに備え、前記表示手段は、前記シーン判別手段の判別結果の情報を表示可能な構成とすることができる。このような構成によれば、シーンの判別結果を目視的に認識することができる。
(12)本発明の撮像装置において、前記表示手段は、前記シーン判別手段において撮影シーンが判別された際、前記判別結果の情報の表示形態を一時的に変化させる構成とすることができる。このような構成によれば、シーンの判別結果が変更になったことを目視的に認識することができる。
(13)本発明の撮像装置において、前記シーン判別手段は、前記画像生成手段で生成された画像の中に人物が含まれ、前記ストロボ発光手段が発光可能な設定となっている場合は、夜景を含む人物画像であると判断し、前記画像生成手段で生成された画像の中に人物が含まれ、前記ストロボ発光手段が発光不可能な設定となっている場合は、人物画像であると判断する構成とすることができる。このような構成によれば、装置側において人物画像あるいは夜景を含む人物画像の判別を行うことができるので、ユーザーにおけるモード選択が不要になるため、使い勝手を向上させることができる。
(14)本発明の撮像装置は、シーン判別手段は、夜景を含む人物画像の判別後、前記操作手段が撮影指示を受け付けた際、前記ストロボ発光手段を本発光させる前に調光発光させ、前記調光発光の前後における背景画像の輝度差を算出し、前記輝度差が所定値以上であれば、人物画像であると判断し、前記輝度差が所定値未満であれば、夜景を含む人物画像であると判断する構成とすることができる。このような構成によれば、装置側において人物画像あるいは夜景を含む人物画像の判別を行うことができるので、ユーザーにおけるモード選択が不要になるため、使い勝手を向上させることができる。
(15)本発明の撮像装置において、前記シーン判別手段は、前記画像生成手段で生成された画像の中に人物が含まれていないという情報と、前記フォーカス制御手段において合焦している被写体の距離と、被写体の明るさの情報とに基づき、風景画像を判別する構成とすることができる。このような構成によれば、装置側において風景画像の判別を行うことができるので、ユーザーにおけるモード選択が不要になるため、使い勝手を向上させることができる。
(16)本発明の撮像装置において、前記シーン判別手段は、前記フォーカス制御手段において合焦している被写体の距離と、前記画像生成手段で生成された画像の中に人物が含まれていないという情報と、前記被写体の明るさの情報と、前記補助光発光手段から出射した補助光のうちの被写体から反射した光の光量とに基づき、夜景画像を判別する構成とすることができる。このような構成によれば、装置側において夜景画像の判別を行うことができるので、ユーザーにおけるモード選択が不要になるため、使い勝手を向上させることができる。
(17)本発明の撮像装置において、前記シーン判別手段は、前記画像生成手段で生成された画像の中に人物が含まれていないという情報と、前記被写体の明るさの情報と、前記補助光発光手段から出射した補助光のうちの被写体から反射した光の光量とに基づき、夜景画像を判別する構成とすることができる。このような構成によれば、装置側において夜景画像の判別を行うことができるので、ユーザーにおけるモード選択が不要になるため、使い勝手を向上させることができる。
(18)本発明の撮像装置において、前記シーン判別手段は、前記画像生成手段で生成された画像の中に人物が含まれていないという情報と、前記フォーカス制御手段において合焦している被写体の距離が所定距離よりも短いという情報とに基づき、近接撮影画像を判別する構成とすることができる。このような構成によれば、装置側においてマクロ画像の判別を行うことができるので、ユーザーにおけるモード選択が不要になるため、使い勝手を向上させることができる。
(19)本発明の撮像装置において、前記シーン判別手段は、前記フォーカス制御手段において合焦している被写体の距離と、前記画像生成手段で生成された画像の中に人物が含まれていないという情報と、前記被写体の明るさの情報と、前記補助光発光手段から出射した補助光のうちの被写体から反射した光の光量と、前記ストロボ発光手段が非発光に設定されているという情報とに基づき、夜景画像を判別し、前記ストロボ発光手段が発光可能な設定になっている場合は、前記ストロボ発光手段を赤目軽減スローシンクロの設定で発光可能な状態とする構成とすることができる。このような構成によれば、夜景を背景に人物を撮影する場合(人物判定、または夜景を含む人物判定ができなかった場合)、背景である夜景とともに人物を高画質に撮影することができる。
(20)本発明の撮像装置において、前記シーン判別手段は、前記ズーム制御手段及び前記フォーカス制御手段からの情報に基づき、複数の被写体距離を判別し、前記被写体距離の判定閾値は、前記ズーム制御手段からのズーム倍率情報によって可変とした構成とすることができる。このような構成よれば、ズーム倍率にかかわらず、一定の画角であれば、同じ被写体距離(たとえば、マクロ画像の被写体の距離を示すマクロ距離)を得ることができ、同じのシーン判定(たとえばマクロ画像の判定)を得ることが可能となる。
(21)本発明の撮像装置は、入力される光学情報から電気的な画像を生成する画像生成手段と、前記画像生成手段で生成された画像における任意の領域を選択可能な領域選択手段と、前記領域選択手段で選択された領域における画像および/または被写体に関する情報に基づき、撮影シーンを判別するシーン判別手段とを備えるものである。このような構成とすることで、ユーザーは、表示手段に表示されている任意の領域を選択することができるので、シーン判別を行いたい画像等を容易かつ迅速に選択することができる。
(22)本発明の撮像装置において、前記領域選択手段は、操作面に接触物が接触した位置を検出可能なタッチパネルで構成することができる。このような構成とすることで、ユーザーは、表示手段に表示されている任意の領域を選択することができるので、シーン判別を行いたい画像等を容易かつ迅速に選択することができる。
(23)本発明の撮像装置において、前記シーン判別手段は、前記領域選択手段で選択された領域の画像の動きに追尾させ、追尾させた領域における画像および/または被写体に関する情報に基づき、撮影シーンを判別する構成とすることができる。
(実施の形態1)
〔1.撮像装置の構成及び基本動作〕
図1は、本実施の形態における撮像装置の一例であるデジタルカメラの正面図を示す。図2は、撮像装置の側面図であり、撮像装置において表示部が搭載されている面(以下、背面と記す)を示している。図3は、撮像装置の平面図であり、撮像装置においてレリーズボタンなどが配されている面(以下、上面と記す)を示している。
図1〜図3に示すように、撮像装置1は、レリーズボタン2、ズームスイッチ3、電源スイッチ4、撮像部5、ストロボ6、補助光発光部7、表示部8、モードダイヤル9を備えている。撮像部5、ストロボ6、および補助光発光部7は、撮像装置1の前面(撮影時に被写体側を向く面)に配されている。また、レリーズボタン2、ズームスイッチ3、および電源スイッチ4は、上面に配されている。また、表示部8及びモードダイヤル9は、背面に配されている。なお、図1〜図3に示す各手段の配置や形状などは一例である。
レリーズボタン2は、撮影者によって押圧操作されることで、撮像素子で撮像されている電気信号を映像信号として取り込むことができる。また、レリーズボタン2は、全ストローク量の約半分までストロークさせた際に内部のスイッチが押圧操作される半押し操作と、全ストローク量に相当する量をストロークさせた際に内部のスイッチが押圧操作される全押し操作とを操作可能である。例えば、半押し操作した際はAF動作が行われ、全押し操作した際は撮影動作が行われる。
ズームスイッチ3は、レリーズボタン2の外周縁に沿った位置に配され、レリーズボタン2の周方向に回転自在に配されている。ズームスイッチ3を所定の回転角度分回転操作することで、撮像部5内のズームレンズを光軸方向へ移動させ、撮像素子に結像される光学画像の拡大または縮小を行うことができる。なお、ズーム動作は、ズームレンズを移動させる光学ズームに限らず、映像信号を信号処理で拡大または縮小する電子ズームも含む。
電源スイッチ4は、スライドスイッチで構成され、一方向へスライドさせると電源ON、他方向へスライドさせると電源OFFになるように操作することができる。
撮像部5は、フォーカスレンズやズームレンズなどから構成されるレンズ部や、レンズ部を通して入射される光学画像を撮像し電気信号(映像信号)を出力する撮像素子などが内蔵されている。
ストロボ6は、レリーズボタン2の動作と同時に閃光を発光することができる。ストロボ6の発光は、撮像装置1内における任意の設定によって、発光可能モードと非発光モードとを切り換えることができる。なお、本実施の形態では、撮像装置1の周囲の明るさを検知して自動的に発光/非発光を切り換える自動発光モード(AUTOモード)と、強制的に非発光とする強制非発光モード(強制OFFモード)とを備えている。
補助光発光部7は、オートフォーカス(以下AFと称する)を行うために必要な光量を確保できない時にAF補助光を出射し、被写体から反射した光を検知して、AF制御を行うためのものである。補助光発光部7は、例えば赤色光を発光する発光ダイオードで構成されている。
表示部8は、撮像中の画像(所謂スルー画像)、メニュー画面、撮影シーン情報や電池残量情報などの各種情報を表示することができる。本実施の形態では、表示部8は、液晶パネルで構成したが、有機EL素子やその他の表示素子で構成してもよい。
モードダイヤル9は、回転操作可能に配され、撮像装置1のモードを設定することができる。設定できるモードは、静止画を撮影可能な通常撮影モード、動きが速い被写体の撮影に適した高速撮影モード、被写体を近接撮影するのに適したマクロ撮影モード、情報媒体に記録されている画像を表示部7に表示可能な再生モードなどである。本実施の形態では、前述のモードに加えて、シーン自動選択モードを選択可能とした。なお、シーン自動選択モードの選択は、モードダイヤル9に限らず、専用ボタンやメニューから選択可能な構成とすることもできる。シーン自動選択モードの動作等については後述する。
カーソルキー10は、上下左右方向に指示操作が可能であり、上下左右の各操作部分には、所定の機能が割り当ててある。割り当てられている機能は、例えば、ストロボ6の発光/非発光の切り替え、セルフタイマー機能のON/OFF切り替え、ブラケット撮影の設定などである。また、表示部8にメニュー画面を表示させた時に、メニュー内に表示されているカーソルを所望の方向へ移動させるよう操作することもできる。
ボタン11は、カーソルキー10の中央に配置され、操作することで主に「決定」操作を行うことができる。
図4は、撮像装置の内部構成を示す。
ズームレンズ21は、光軸L上に移動可能に配されており、ズームモータ31によって動作制御される。ズームレンズ21を光軸L方向に移動させることで、CCD25の撮像面に結像される光学画像を拡大または縮小することができる。
絞り22は、光軸L上に配され、モータ32によって動作制御される。絞り22は、外部から入射する光を遮断可能な複数枚の羽根で構成され、その複数枚の羽根は光軸に対して略直交する方向に移動可能に配されている。その複数枚の羽根を光軸中心に近づけたり遠ざけたりすることで、外部から入射しCCD25の撮像面に到達する光の量を調節することができる。なお、絞り22の段数は、2段式であっても多段式であってもよい。
フォーカスレンズ23は、光軸L上に移動可能に配されており、フォーカスモータ33によって動作制御される。フォーカスレンズ23を光軸方向に移動させることによって、CCD25の撮像面に結像される光学画像のフォーカスを調整することができる。
シャッター24は、シャッター制御部34によって所定のタイミングで動作し、CCD25に入射する光を通過または遮断させるものである。
CCD(Charge Coupled Device)25は、ズームレンズ21、絞り22、フォーカスレンズ23、およびシャッター24を介して入射する光学的画像を電気的画像に変換して出力するものである。なお、本実施の形態では、CCDイメージセンサーで構成したが、CMOSイメージセンサーなど少なくとも光学的画像を電気的画像に変換する素子であればよい。
AFE(Analog Front End)26は、アナログ信号であるCCD25の出力画像信号をデジタル信号である画像データに変換する。また、AFE26は、画像信号のノイズ成分を除去するCDS(Correlated Double Sampling)回路、画像信号の大きさを調整するAGC(Automatic Gain Control)アンプ、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ(いずれも図示せず)などを含むLSIである。
信号処理部27は、AFE26から出力される画像データを記録媒体28に記録可能な形式に変換する処理、表示部29に表示可能な形式に変換する処理、ホワイトバランス制御などにより画像データの画質を調整する処理などを実行するものである。
記録媒体28は、信号処理部27の制御により画像データやそれに付随する各種情報を記録する媒体である。なお、本実施の形態では、記録媒体28は半導体メモリを内蔵したメモリカードで構成したが、ディスク状媒体など他の形態の媒体であってもよい。
表示部29は、信号処理部27から出力される画像データに基づいて画像を表示させることができる。具体的には、入力される画像データを、表示可能な信号に変換(例えばアナログ画像信号への変換)する表示制御回路や、実際に画像を表示するディスプレイなどで構成される。ディスプレイは、例えば1〜3インチ程度の液晶ディスプレイで構成されるが、EL(Electro-Luminescence)素子など、少なくとも画像を表示させることができるディスプレイであればよい。
操作部30は、撮像装置1の各種操作を行うことができるものであり、図1〜図3に示す各種操作手段のうち、レリーズボタン2、ズームスイッチ3、モードダイヤル9を除く操作手段が含まれる。
シャッター制御部34は、カメラ制御部38からの制御により、シャッター24を動作制御するものである。具体的には、カメラ制御部38で算出されたシャッタースピードに基づいて、シャッター24の開閉タイミングを制御する。
ズーム制御部35は、カメラ制御部38からの制御により、ズームレンズ21を駆動するモータ31を動作制御するものである。具体的には、ズーム制御部35は、操作部30に含まれるズームスイッチ3(図1等参照)が望遠側または広角側に操作された際に、カメラ制御部38からの制御によりモータ31を正転または反転させるよう制御する。
絞り制御部36は、カメラ制御部38からの制御により、絞り22を駆動するモータ32を動作制御するものである。具体的には、絞り制御部36は、カメラ制御部38において算出された絞り量に基づき、絞り22を開閉動作させるようモータ32の動作を制御する。
フォーカス制御部37は、カメラ制御部38からの制御により、フォーカスレンズ23を駆動するモータ33を動作制御するものである。具体的には、フォーカス制御部37は、レリーズボタン2が半押し操作された際に、カメラ制御部38からの制御によりモータ33を正転または反転させるよう制御する。
カメラ制御部38は、システム制御部40からの命令により、シャッター制御部34、ズーム制御部35、絞り制御部36、フォーカス制御部37などの撮像系の動作を制御する。具体的な制御内容については後述する。
ジャイロセンサ39は、撮像装置1の揺れや振動を検出するセンサである。ジャイロセンサ39による検出結果は、通常は撮像装置1に搭載されている手振れ補正機能を動作させる際に利用されるが、本実施の形態では、撮像装置1がユーザーの手に把持されている状態なのか、三脚などの固定手段に固定されている状態なのかを判別するのにも利用されている。
システム制御部40は、撮像装置1内の各部を制御するものである。具体的な制御内容については後述する。また、システム制御部40は、撮像された画像の中に人物(顔)が存在するか否かを判断する人物判断制御部40aを備えている。
なお、ズームレンズ21、絞り22、フォーカスレンズ23、シャッター24、およびCCD25は、撮像手段の一例である。また、撮像手段、AFE26、および信号処理部27は、画像生成手段の一例である。また、システム制御部40は、シーン判別手段の一例である。
また、シーン判別手段は、画像生成手段で生成された画像および/または被写体に関する情報に基づき、撮影シーンを判別することができる。被写体に関する情報とは、画像生成手段で生成された画像から得られる情報以外の情報であって、例えば、フォーカス情報などがある。なお、撮影シーンの判別は、画像生成手段で生成された画像および被写体の情報の両方を用いて行う構成としてもよいし、いずれか一方のみを用いて行う構成としてもよい。
以下、撮像装置の撮影時の基本動作について説明する。
電源スイッチ4(図1参照)が操作されて撮像装置1の電源が投入されると、システム制御部40は装置内の各部を起動制御する。次に、外部から入射する光学的画像は、対物レンズ(不図示)、ズームレンズ21、絞り22、フォーカスレンズ23、シャッター24を介してCCD25に入射する。CCD25は、入射する光学的画像を電気的画像に変換してAFE26へ出力する。AFE26は、CCD25から出力される電気的画像に対してノイズ除去やデジタル変換処理などの信号処理を行い、信号処理部27へ出力する。信号処理部27は、AFE26から出力される画像データに対してホワイトバランス制御などの画像処理を行い、表示部29に表示可能な画像信号に変換し、表示部29に出力する。表示部29は、信号処理部27から出力される画像信号に基づく画像(スルー画像)を表示する。
次に、表示部29にスルー画像が表示されている状態で、ズームスイッチ3が望遠側あるいは広角側に操作されると、カメラ制御部38は、ズーム制御部35に対してズーム動作を行うように命令する。ズーム制御部35は、カメラ制御部38からの命令に基づき、モータ31を動作させてズームレンズ21を光軸方向へ所定量移動させる。これにより、CCD25の撮像面に結像される光学的画像の拡大または縮小を行うことができる。
また、表示部29にスルー画像が表示されている状態で、レリーズボタン2が半押し操作されると、システム制御部40はカメラ制御部38に制御命令を送り、カメラ制御部38はフォーカス制御部37に対して合焦動作を行うように命令する。フォーカス制御部27は、カメラ制御部38からの命令に基づき、モータ33を動作させてフォーカスレンズ23を光軸方向へ所定量移動させる。これにより、CCD35の撮像面に結像される光学的画像の焦点を合わせることができる。
次に、レリーズボタン2が全押し操作されると、カメラ制御部38は、シャッター制御部34に対してシャッター動作を行うように命令する。具体的には、電子シャッターを動作させて、CCD25に入射する不要な光学的画像を捨てたのち、所定時間に渡ってCCD25に光学的画像を入射させたあと、シャッター24を閉じて、CCD25に入射する不要な光学的画像を遮断してCCD25から信号処理部27に転送させる。CCD25は、入射する光学的画像を電気的画像に変換してAFE26へ出力する。AFE26は、CCD25から出力される電気的画像に対してノイズ除去やデジタル変換処理などの信号処理を行い、信号処理部27へ出力する。信号処理部27は、AFE26から出力される画像データに対してホワイトバランス制御などの各種信号処理を行った後、表示部29に表示可能な画像信号に変換して表示部29に出力する。表示部29は、信号処理部27から出力される画像信号に基づく画像(モニタ画像)を表示する。また、信号処理部27は、AFE26から出力される画像データを、記録媒体28に記録可能な形式(例えばJPEG形式)に変換処理し、変換した画像データを記録媒体28に記録する。
本実施の形態の撮像装置では、上記モードに加えて、撮像中の画像に基づき撮影シーンを自動的に認識し、その認識結果に基づいて撮像装置1内の各種設定を制御する「シーン自動選択モード」を選択することができる。
〔2.シーン自動選択モードの動作〕
次に、モードダイヤル9で、シーン自動選択モードが選択された場合の動作について説明する。シーン自動選択モードにおいて自動認識可能なシーンは、「人物」、「風景」、「夜景」、「夜景&人物」、「マクロ」である。また、いずれのシーンにも認識されなかった場合は、インテリジェントオートモード(以下、iAモードと称する)となる。シーン自動選択モードにおいては、撮像中の画像やフォーカス情報などに基づいて、上記5個のシーンのうちの一つ、またはiAモードが選択される。以下、各シーンを認識した時における、撮像装置1の設定内容について説明する。
まず、システム制御部40は、撮像中の画像において人間の顔が存在することを自動認識(人物認識)すると、ポートレート専用プログラム線図に基づく処理、色再現設定で彩度を上げる処理、ポートレート設定のガンマ補正処理、ポートレート設定の肌色補正処理、輪郭強調補正ゲインを通常より弱めに設定する処理、三脚判定によるISO感度及びシャッタースピード制御の処理などを行う。また、絞りは開放優先に設定し、人物の背景を暈けさせる処理を行う。このように処理することで、被写体となっている人物を引き立てて撮影することができる。なお、本実施の形態では、シーン自動選択モードにおいて、人物認識によって設定されたモードを「インテリジェント人物モード(以下、i人物モード)」と称する。
また、システム制御部40は、撮像中の画像が風景であることを認識すると、ガンマ補正を硬調に設定し、輪郭強調補正ゲインを高く設定し、風景用のオートホワイトバランス制御などの処理を行う。このように処理することで、画像全体のシャープ感を上げ、広がりのある風景を撮影することができる。なお、風景認識において肌色補正を強めに設定する処理も行うことができる、これは、被写体として人物が撮影されているにもかかわらず、人物認識されなかった場合を考慮するためである。人物の認識は、顔の有無で判断されるので、例えば、被写体となっている人物が撮像装置1に対して正面を向いていない場合、被写体の位置が撮像装置1に対して遠くて顔が小さい場合、顔面にマスクを装着している場合などは、人物として認識されない場合がある。このような場合、ガンマ補正硬調処理及び輪郭強調補正ゲイン上昇処理によって、人物の肌色部分の画質が低下してしまう可能性があるが、肌色補正処理を行うことで人物の肌色部分の画質の低下を防いでいる。なお、本実施の形態では、シーン自動選択モードにおいて、風景認識によって設定されたモードを「インテリジェント風景モード(以下、i風景モード)」と称する。
また、システム制御部40は、撮像中の画像が夜景であることを認識すると、シャッター24を制御してシャッタースピードを長めにする処理、夜景専用プログラム線図に基づく処理、夜景用のオートホワイトバランス処理、ガンマ補正を硬調に設定する処理、三脚判定によるISO感度及びシャッタースピード制御などの処理を行う。このように処理することで、鮮やかな夜景を撮影することができる。なお、本実施の形態では、シーン自動選択モードにおいて、夜景認識によって設定されたモードを「インテリジェント夜景モード(以下、i夜景モード)」と称する。
また、システム制御部40は、撮像中の画像に夜景及び人物を含むことを認識すると、色再現設定で彩度を上げる処理、ポートレート設定のガンマ補正処理、ポートレート設定の肌色補正処理、輪郭強調補正ゲインを通常より弱めに設定する処理、ストロボを赤目補正スローシンクロモードにする処理、三脚判定によるISO感度及びシャッタースピードを制御する処理を行う。このように処理することで、夜景を含む人物の画像を撮影する場合(例えば夜景を背景にして人物を撮影する場合)、人物を明るく撮影できるとともに、夜景である背景も明るく撮影することができる。なお、本実施の形態では、シーン自動選択モードにおいて、夜景&人物認識によって設定されたモードを「インテリジェント夜景&人物モード(以下、i夜景&人物モード)」と称する。
また、撮像装置1がマクロ撮影を行っていることを認識すると、色が飽和していると判断した場合に色再現設定で彩度を下げる処理、輪郭強調補正ゲインを弱めに設定する処理、三脚判定によるISO感度及びシャッタースピード制御の処理などを行う。このように処理することで、近接した被写体を高画質に撮影することができる。なお、本実施の形態では、シーン自動選択モードにおいて、マクロ認識によって設定されたモードを「インテリジェントマクロモード(以下、iマクロモード)」と称する。
また、いずれのシーンにも認識されなかった場合は、iAモードが選択される。iAモードとは、例えば、撮像装置1が被写体の明るさに応じて、絞りとシャッタースピードの組み合わせを自動的に決め、適切な露出値を得る、いわゆる「プログラム自動露出モード」であってもよいし、被写体が動いているか止まっているかを撮像装置1が自動的に判別して、それに合わせて感度を上げたり下げたりするようにしてもよい。
以下、撮像装置1の各状態におけるシーン自動選択動作について説明する。
〔2−1.モニタ状態における動作〕
撮影装置1がモニタ状態の時におけるシーン自動選択動作について説明する。なお、モニタ状態とは、CCD25で撮像された画像に基づき表示部29にスルー画像が表示されている状態のことである。また、モニタ状態において、モードダイヤル9によりシーン自動選択モードが選択されると、シーンの認識による判定結果は「i人物モード」「i風景モード」「iマクロモード」「iAモード」のいずれかとなる。
図5は、モニタ状態におけるシーン自動選択動作の流れを示す。まず、モードダイヤル9が操作されてシーン自動選択モードが選択されると、システム制御部40はカメラ制御部38を制御して、フォーカス、絞り、ホワイトバランスなどの設定を初期値に設定する。ここでいう初期値とは、シーンの自動認識を行っていない時の各部の設定値のことである。
システム制御部40は、シーン自動選択モードに移行すると、信号処理部27から画像データを読み出して、人物判断制御部40aにおいて画像中に人物の顔が存在するか否かを判断する(S11)。システム制御部40は、人物判断制御部40aが画像中に人物の顔が存在すると判断すると、i人物モードに設定する(S18)。この時、システム制御部40は、人物認識を行うのみで、i人物モードに対応した各種設定変更や画像処理はまだ行わない。
また、システム制御部40は、人物判断制御部40aが処理S11において人物の顔を認識しなかった場合は、次にズームレンズ21及びフォーカスレンズ23の位置関係に基づき、被写体距離を判定する(S12)。この時、システム制御部40において判定される被写体距離としては、最も距離が短い「マクロ距離」、最も距離が長い「風景距離」、マクロ距離と風景距離との中間の「通常距離」、被写体距離の計測が不可能な「不明」である。なお、本実施の形態において判定可能な被写体距離は、上記以外を含むものとする。
また、本実施の形態では、ズーム倍率によって、「マクロ距離」「風景距離」「通常距離」の判定閾値を可変としている。判定閾値を可変としている理由は、撮影した画像中の主要被写体の大きさ(画角に占める割合)は、例えば「広角端で被写体の距離10cm=望遠端で被写体の距離1.5m」で同じぐらいになる。マクロ距離であると判断すべき被写体の距離(実際の距離)は、広角端と望遠端とで全く異なるが、画角が同様であれば同じ被写体距離(マクロ距離など)が得られる。したがって、ズーム倍率によって被写体距離の判定閾値を可変とすることで、ズーム倍率によって、マクロ距離であると判定される画角を同じにすることができる。
システム制御部40は、被写体距離がマクロ距離であると判断すると、iマクロモードに設定する(S15)。この時、システム制御部40は、マクロ認識を行うのみで、iマクロモードに対応した各種設定変更や画像処理はまだ行わない。
また、システム制御部40は、被写体距離が風景距離であると判断した場合(S13におけるYES判定)は、撮影環境における照度に基づき、屋外撮影を行っているか否かの判定を行う(S14)。具体的には、明るさ情報であるEV値を算出し、そのEV値の大きさから「低照度」、「通常照度」、「屋外照度」であるかを判定する。なお、本実施の形態において判定可能な照度は、上記以外を含むものとする。
システム制御部40は、処理S14において屋外照度(屋外撮影)であると判断すれば、i風景モードに設定する(S17)。この時、システム制御部40は、風景認識を行うのみで、i風景モードに対応した各種設定変更や画像処理はまだ行わない。
また、システム制御部40は、処理S14において屋外照度ではないと判断すれば、iAモードに設定する(S16)。
以降、処理S11〜S18を、一定時間間隔毎に行う。
次に、システム制御部40は、処理S15〜S18のうちのいずれか1つのモードに判断された結果が、一定期間(例えば10VD。1VD=1/30秒)以上同じ結果が続くか否かの判断を行う(S19)。
システム制御部40は、処理S19における判断の結果、1つのモードが一定期間(例えば10VD)以上続けば、カメラ制御部38に保持されているISS判定結果(ISS:Intelligent scene selector)の情報を更新する(S20)。カメラ制御部38は、更新されたISS判定結果に基づき、撮像系の設定や画像処理を行うように制御する。
次に、カメラ制御部38は、ISS判定結果の情報が更新されたことをシステム制御部40へ通知する(S21)。
次に、システム制御部40は、表示部29に表示される画像に重畳表示(OSD:On Screen Display)させるマークの画像データを生成する。信号処理部27は、システム制御部40で生成された重畳表示用の画像データと、AFE26から出力される画像データとを重畳し、表示部29に出力する。表示部29は、信号処理部27から出力される画像データに基づく画像を表示する。
図8Aは、i人物モードに設定された時の画像の表示例を示す。図示のように、被写体画像81に重畳して、i人物モードであることを表すマーク82を表示する。また、図8Bは、i風景モードに設定された時の画像の表示例を示す。同様に、被写体画像81に重畳して、i風景モードであることを表すマーク83を表示する。また、図8Eは、iマクロモードに設定された時の画像の表示例を示す。同様に、被写体画像81に重畳して、iマクロモードであることを表すマーク86を表示する。なお、モードが変更された際に一時的にマークの色や大きさを変更する構成としてもよい。例えば、通常はマークを赤色で小さく表示しておき、モードが変更された時に一時的にマークを青色で大きく表示する方法がある。このように構成することで、モードが変更されたことを、ユーザーに対して視覚的に通知することができる。
以上のように撮像装置1がモニタ状態の時にシーン自動選択モードに移行されると、ズームレンズ21などの光学系の状態やEV値などから、i人物モード、i風景モード、iマクロモード、iAモードのいずれかを判断し、その判断結果に基づき撮像装置1内の撮像系などの設定を自動的に変更する。このように構成することで、ユーザーにおいて撮影シーンに適した撮影モードの選択を行う必要がなくなるため、使い勝手を向上させることができる。
〔2−2.レリーズボタン操作時の動作〕
撮影装置1がシーン自動選択モードの時に、レリーズボタン2が操作された時の動作について説明する。レリーズボタン2の操作には、全ストロークの約半分まで押圧操作する「半押し操作」と、全ストローク分押圧操作する「全押し操作」とがある。一般的な操作法としては、レリーズボタン2を半押し操作することで撮像装置のAF動作が行われ、半押し操作の状態から全押し操作することで撮影を行うことができるように構成されている。本実施の形態では、レリーズボタン2が半押し操作または全押し操作された後、光学系の状態やEV値などに加えて、AF補助光の要否とAF補助光出射前後の輝度差も考慮して、撮影シーンに適した撮影モードを自動的に選択する。以下の説明では、レリーズボタン2を半押し操作する時の動作を一例として挙げて説明する。
図6A及び図6Bは、シーン自動選択モードにおいてレリーズボタン2が操作された時の流れを示す。なお、図6Aと図6Bとは、互いにA部、B部、およびC部で結合している。
まず、撮像装置1がモニタ状態(図5に示すフローが完了した状態)の時に、レリーズボタン2が半押し操作されると、カメラ制御部38はフォーカス制御部37を制御して、AF動作を実行させる。
次に、システム制御部40は、信号処理部27から画像データを読み出して、人物判断制御部40aにおいて画像中に人物の顔が存在するか否かを判断する(S32)。システム制御部40は、人物判断制御部40aが画像中に人物の顔が存在すると判断すると、i人物モードに設定する(S39)。この時、システム制御部40は、人物認識を行うのみで、i人物モードに対応した各種設定変更や画像処理はまだ行わない。
また、システム制御部40は、人物判断制御部40aが処理S32において人物の顔を認識しなかった場合は、次にズームレンズ21及びフォーカスレンズ23の位置関係に基づき、被写体距離を判定する(S33)。この時、判定される被写体距離としては、最も距離が短い「マクロ距離」、最も距離が長い「風景距離」、マクロ距離と風景距離との中間の「通常距離」、被写体距離の計測が不可能な「不明」のいずれかである。システム制御部40は、被写体距離がマクロ距離であると判断すると、iマクロモードに設定する(S36)。この時、システム制御部40は、マクロ認識を行うのみで、iマクロモードに対応した各種設定変更や画像処理はまだ行わない。
また、システム制御部40は、被写体距離が風景距離であると判断した場合(処理S34におけるYES判定)は、撮影環境における照度に基づき、屋外撮影を行っているか否かの判定を行う(S35)。具体的には、システム制御部40は、明るさ情報であるEV値を算出し、そのEV値の大きさから「低照度」、「通常照度」、「屋外照度」のいずれであるかを判定する。
システム制御部40は、処理S35の判断の結果、屋外照度(屋外撮影)であると判断すれば、i風景モードに設定する(S38)。この時、システム制御部40は、風景認識を行うのみで、i風景モードに対応した各種設定変更や画像処理はまだ行わない。
また、システム制御部40は、処理S35の判断の結果、屋外照度ではないと判断すれば、iAモードに設定する(S37)。
上記処理S32〜S39に示すシーン判定処理は、レリーズボタン2が半押し操作された際に1回のみ実行される。
システム制御部40は、シーン判定処理の結果、iマクロモード(S36)またはi風景モード(S38)と判定した場合は、モニタ状態における判定結果に対して変更された判定結果か否かを判定する(S40)。もし、判定結果が変わった場合は、本フローにおける判定結果に基づいてカメラ制御部38におけるISS判定結果の情報を更新する(S52)。また、判定結果が変わっていない場合は、図6A及び図6Bに示すフローを終了する。すなわち、モニタ状態におけるシーンの判定結果を継承する。
また、システム制御部40は、シーン判定処理の結果、i人物モードと判定した場合(S39)は、カメラ制御部38で算出されるEV値に基づき、補助光発光部7においてAF補助光を出射させる程度の照度か否かについて判断する(S47)。なお、AF補助光は、撮影環境における光量が十分でなく、AF動作を行うために必要な画像を得ることが困難である場合に発光させ、被写体から反射した光を検出してAF制御を行うためのものである。AF補助光を出射させるか否かは、撮像された画像の明るさに基づいて判断される。画像の明るさは、照度計を備えて計測する構成であってもよい。
システム制御部40は、処理S47において、AF補助光を出射させる程度の暗さではないと判断した場合は、i人物モードであると判断する(S51)。システム制御部40は、処理S47において、AF補助光を出射させる程度の暗さであると判断した場合は、ストロボ6の発光設定を確認する(S48)。システム制御部40は、ストロボ6の発光設定が「AUTO」(撮影環境の光量に応じて発光/非発光を自動判断するモード)に設定されている場合は、i夜景&人物モードであると判断する(S49)。また、システム制御部40は、ストロボ6の発光設定が「強制OFF」に設定されている場合は、表示部29に「ストロボを開けてください」などのメッセージを重畳表示させ(S50)、i人物モードであると判断する(S51)。すなわち、システム制御部40は、処理S39において一度、i人物モードであると判断した後、撮影環境の照度やストロボ6の発光設定に基づいて再度i人物モードであるかi夜景&人物モードであるかを判断している。
なお、処理S50におけるメッセージ表示は、撮像装置1本体に対して収納式のストロボ(例えば特開2004−151684号公報参照)の場合に有効なものであり、ストロボが収納式ではない場合は、「ストロボ発光可否の設定をONにしてください」などのメッセージを表示させたり、何等メッセージを表示させないようにしてもよい。メッセージを表示させない場合は、自動的にストロボ発光の設定がONまたはOFFに設定される。
また、システム制御部40は、シーン判定処理の結果、iAモードであると判定した場合(S37)は、カメラ制御部38で算出されるEV値に基づき、補助光発光部7においてAF補助光が出射されるか否かについて判断する(S41)。すなわち、システム制御部40は、撮影環境の照度が低くてAF動作が困難な場合は、AF補助光を出射させるように設定し、撮影環境の照度がAF動作可能な照度である場合は、AF補助光を出射させないように設定する。
システム制御部40は、処理S41において、AF補助光を出射させない場合は、iAモードであると判定する(S45)。また、システム制御部40は、処理S41において、AF補助光を出射させる場合は、被写体から反射するAF補助光の有無に基づいて被写体の有無を判定する(S42)。具体的には、システム制御部40は、AF補助光を出射させる前の撮像画像の輝度と、AF補助光を出射させた時の撮像画像の輝度とを比較し、その輝度差に基づいて被写体が存在するか否かを判断する。被写体が存在する場合はAF補助光が被写体で反射するので、前記輝度差が大きくなり、被写体が存在しない場合はAF補助光が反射しないので、前記輝度差が小さくなる。
システム制御部40は、処理S42において、被写体があると判断した場合は、iAモードであると判定する(S45)。また、システム制御部40は、処理S42において、被写体が無いと判断した場合は、処理S44を実行する。また、システム制御部40は、処理S42において、被写体の存在判定が困難(被写体から反射するAF補助光の光量が少ない場合等)な場合は、被写体距離が風景距離か否かについて判断する(S43)。被写体距離の判断方法は、前述の処理S33における判断方法と同様である。
システム制御部40は、処理S43において、被写体距離が風景距離ではないと判断した場合は、iAモードであると判定する(S45)。また、システム制御部40は、処理S43において、被写体距離が風景距離であると判断した場合は、ストロボ6の発光設定を確認する(S44)。
システム制御部40は、処理S44において、ストロボ6の発光設定が「AUTO」に設定されている場合は、iAモードであると判定する(S45)。また、システム制御部40は、処理S44において、ストロボ6の発光設定が「強制OFF」に設定されている場合は、i夜景モードであると判定する(S46)。なお、ストロボ6の発光設定が「AUTO」に設定されていたとしても、i夜景モードであると判定する構成とすることもできる。
以上の処理により、i人物モード(S51)、i夜景モード(S46)、またはi夜景&人物モード(S49)のうちのいずれか1つに判定された場合は、カメラ制御部38のISS判定結果の情報を更新する(S52)。具体的には、AE(Auto Exposure)の設定値、ホワイトバランスの設定値、および画質設定が、判定されたモードに合わせて変更される。
次に、システム制御部40は、表示部29に表示される画像に重畳表示させるマークの画像データを生成する。信号処理部27は、システム制御部40で生成されたマークの画像データと、AFE26から出力される画像データとを重畳し、表示部29に出力する。表示部29は、信号処理部27から出力される画像データに基づく画像を表示する(S53)。図8A〜図8Eは、表示部29に表示される画像の一例を示す。この時、ストロボ6の発光設定が強制OFFに設定されている場合は、その情報も重畳表示させる。
以上のように撮像装置1がシーン自動選択モードの時にレリーズボタン2を操作(半押し操作または全押し操作)に移行されると、ズームレンズ21などの光学系の状態などから、i人物モード、i風景モード、i夜景モード、i夜景&人物モード、iマクロモード、iAモードのいずれかを判断し、その判断結果に基づき撮像装置1内の撮像系などの設定を自動的に変更する。このように構成することで、ユーザーにおいて撮影シーンに適した撮影モードの選択を行う必要がなくなるため、使い勝手を向上させることができる。
なお、上記説明では、レリーズボタン2が半押し操作された時の処理の流れについて説明したが、レリーズボタン2を全押し操作しても同様に処理される。上記のようにレリーズボタン2を半押し操作した時は、図8A〜図8Eに示すように表示部29に表示されるマークは、シーンの認識が確定した時(S53)に表示されるが、レリーズボタン2をモニタ状態から全押し操作した時は、処理S53のタイミングでマークを表示させても、マークが瞬間的に表示されるのでユーザーにおいてマークの内容を認識するのは困難である。そこで、本実施の形態では、モニタ状態からレリーズボタン2を全押し操作した時は、オートレビュー時にマークを表示させることで、ユーザーにおいてマークを視認することができる。なお、オートレビューとは、レリーズボタン2を全押し操作し、シャッター24が動作して1枚の画像が取り込まれ、取り込まれた画像を表示部29に表示させる機能である。
また、システム制御部40は、処理S44においてストロボ6の発光設定が「AUTO」であると判断し、実際に撮影環境の光量が少なくストロボ6が自動発光される状態になった時は、ストロボ6の発光設定を「赤目軽減スローシンクロモード」にする。赤目軽減スローシンクロモードとは、ストロボ6の発光とともにシャッタースピードを遅くして、背景の夜景などを明るく撮影することができるとともに、人物における赤目現象を軽減させるモードである。このモードは、夜景を背景に人物を撮影する場合に適している。
また、システム制御部40は、i夜景モードあるいはi夜景&人物モードであると判定した場合は、撮像装置1がユーザーの手に把持されているか三脚などの固定手段に固定されているか否かを判断し、その判断結果に基づいてシャッタースピードを変える構成としてもよい。例えば、撮像装置1がユーザーの手に把持されている場合は、シャッタースピードを高速(例えば1/8秒以下)に設定して画像のブレを極力抑え、撮像装置1が固定手段に固定されている場合は、シャッタースピードを低速(1〜8秒程度)に設定して明るい画像を撮影する。
〔2−3.記録時の動作〕
本実施の形態では、レリーズボタン2が全押し操作された後、ストロボ発光の設定とストロボの調光発光前後の輝度差も考慮して、撮影シーンに適した撮影モードを自動的に選択する。
図7は、シーン自動選択モードにおいて、レリーズボタン2が全押し操作された後の処理の流れを示す。図7に示す処理は、ストロボ6を調光発光(プリ発光)させた後に1回のみ実行される。したがって、図7に示す処理は、ストロボ6の発光設定が「AUTO」に設定されている時のみに実行される。
レリーズボタン2が全押し操作されると、まず現在の撮像装置1のモードがi夜景&人物モードであるか否かについて判断する(S61)。これは、図6A及び図6Bに示すシーン判定の結果に依存する。
システム制御部40は、処理S61において、i夜景&人物モード以外のモードであると判断すれば、処理を終了する。また、システム制御部40は、処理S61において、i夜景&人物モードであると判断すれば、背景の有無を判断する(S62)。具体的には、システム制御部40は、ストロボ6の調光発光前に取り込んだ画像における背景部分(被写体以外の部分)の輝度値と、ストロボ6の調光発光後に取り込んだ画像における背景部分の輝度値との差分値を求め、その差分値が所定値以上であれば、背景があると判断する。また、システム制御部40は、前記差分値が所定値未満であれば、背景が無いと判断する。つまり、背景が存在すれば、調光発光時に背景から反射光が得られるため、調光発光前の画像に比べて輝度が高くなる。一方、背景が存在しなければ、調光発光を行っても背景から反射光が得られないため、調光発光前の画像に対して輝度は大きく変わらない。このように、調光発光前後の輝度値の差分値に基づいて、背景の有無を判断することができる。
システム制御部40は、処理S62において、背景があると判断すれば、i人物モードであると判定する(S63)。また、システム制御部40は、処理S62において、背景が無いと判断すれば、i夜景&人物モードを維持し、ストロボ6の発光量も図6Bの処理S49で設定された発光量を維持する。
システム制御部40は、i人物モードであると判断した場合(S63)は、カメラ制御部38におけるISS判定結果の情報を更新する(S64)。具体的には、システム制御部40は、ISS判定結果の情報を、i人物モードに合わせて設定されたAEの設定値、ストロボ6の発光量、ホワイトバランスの設定値、画質設定の情報に更新する。ここで、ストロボ6を調光発光させた時のISO感度の設定値は、i夜景&人物モード(ユーザーが撮像装置1を手で把持している場合)の時で、手振れによる画質低下を抑えるためにシャッター速度を長くすることができず、その分の明るさを補うために、通常より高い値(たとえば400)に設定される。これに対し、i人物モードは、背景を明るく撮影するモードではないため、通常の設定、またはi夜景&人物モード(ユーザーが撮像装置1を手で把持している場合)に比べて低い値(たとえば100)に設定される。調光発光の後でi人物モードと判定した場合、調光発光に基づき発光量を計算した時はISO感度が400に設定されるのに対して、本発光ではISO感度が100に設定されるので、調光発光時に計算した発光で本発光させると画像が暗くなってしまう。そこで、調光発光時に計算した発光量を係数倍し、それでも明るさが不足している場合はISO感度を上げる。したがって、レリーズボタン2を半押し操作した時にi夜景&人物モードに設定され(図6BのS49)、調光発光後にi人物モードに変更されると(S63)画像が暗くなるため、処理S64においては、ISS判定結果を、画像が暗くなる分を考慮した値に更新する。カメラ制御部38は、更新されたISS判定結果を基に、暗くなる分を考慮して撮像系の制御を行う。
なお、ISO感度の設定値は、i夜景&人物モード(ユーザーが撮像装置1を手で把持している場合)の時でも100に設定して調光する構成とすることもできる。この場合、ISO感度100でストロボ6を調光発光させて、判定結果がi夜景&人物モードのままの時は、そのままの発光量でストロボ6を本発光させると明るくなりすぎる(つまり、撮像装置1をユーザーが手で把持しているため、手振れによる画質低下を抑えるためにシャッター速度を長くすることができず、その分の明るさを補うためにISO感度が400に設定されるから)。そこで、算出される発光量を所定の係数で除算することで発光量を抑え、適切な明るさの画像を撮影することができるようにする。
次に、システム制御部40は、表示部29に表示される画像に重畳表示させるマークの画像データを生成する。信号処理部27は、システム制御部40で生成された重畳表示用の画像データと、AFE26から出力される画像データとを重畳し、表示部29に出力する。表示部29は、信号処理部27から出力される画像データに基づく画像を表示する(S65)。図8A〜図8Eは、表示部29に表示される画像の一例を示す。
ここで、シーン判別とその判別結果に基づく設定内容をまとめたものを(表1)に示す。
(表1)は、前述したシーン自動判定モードにおいてシーンの判定に使用される情報と、シーン判定のタイミングと、シーン判定後の画像処理の設定内容及び効果を示している。(表1)に示すように、システム制御部40は、顔情報、フォーカス情報、EV情報、AF補助光を発光させた際の反射光の情報、ストロボ6を調光発光させた際の反射光の情報、およびストロボ6の発光設定の情報に基づき、i人物モード、i風景モード、i夜景モード、i夜景&人物モード、iマクロモードのいずれであるかを判別する。例えば、システム制御部40は、人物判定を行う際は顔情報のみを用い、風景判定を行う際はフォーカス情報とEV情報とを用い、夜景判定を行う際はフォーカス情報とEV情報とAF補助光の反射情報とストロボ6の設定情報とを用い、夜景&人物判定を行う際は顔情報とEV情報と調光発光の反射情報とストロボ6の設定情報を用い、マクロ判定を行う際はフォーカス情報を用いる。なお、夜景判定を行う際にフォーカス情報を用いるのは必須ではない。
〔3.実施の形態の効果、他〕
本実施の形態によれば、シーン自動選択モードを備えたことにより、その時のシーンに適した撮影モードの選択を自動的に行うことができ、ユーザーにおける撮影モードの設定が不要になるため、使い勝手を向上させることができる。また、本実施の形態によれば、シーンの自動選別に際して、カメラの状態、つまりレリーズボタンが操作された状況に応じて、シーンの判定に使用される情報を変えることにより、シーン判別結果の信頼性を高める。
また、シーン自動選択モードにおいて、被写体が人物であることを自動認識しそれに適した各種設定を行う構成としたことにより、肌色部分の補正処理など人物撮影に適した設定を自動的に行うため、使い勝手を向上させることができる。
また、シーン自動選択モードにおいて、被写体が風景であることを自動認識しそれに適した各種設定を行う構成としたことにより、ガンマ補正を硬調設定にするなど、風景の撮影に適した設定を自動的に行うため、使い勝手を向上させることができる。
また、シーン自動選択モードにおいて、被写体が夜景であることを自動認識しそれに適した各種設定を行う構成としたことにより、シャッタースピードの低速化やホワイトバランス制御など、夜景の撮影に適した設定を自動的に行うため、使い勝手を向上させることができる。
また、シーン自動選択モードにおいて、夜景を背景とした人物を自動認識しそれに適した各種設定を行う構成としたことにより、彩度設定の上昇処理、肌色部分の補正処理など、夜景及び人物の撮影に適した設定を自動的に行うため、使い勝手を向上させることができる。
また、シーン自動選択モードにおいて、被写体が近接位置にあることを自動認識しそれに適した各種設定を行う構成としたことにより、彩度設定を下げるなどマクロ撮影に適した設定を自動的に行うため、使い勝手を向上させることができる。
なお、シーン自動判別モードにおいて、判別可能なシーンの種類は一例であり、他のシーンを判別可能な構成としてもよい。例えば、被写体の速い動きを検出することで「スポーツモード」と判定し、シャッタースピードの高速化や手振れ補正機能の最適化などの設定を自動的に行う構成が考えられる。
また、シーン自動判別モードにおいて、シーン判定時に図8A〜図8Eに示すようなマークを表示部29に表示させる構成としたが、判定時に一時的にマークの色や大きさを変更する構成としてもよい。例えば、シーン判定時に一時的にマークの色を青色とし大きさを大きくし、その後マークの色を赤色とし大きさを小さくして表示する方法がある。このように構成することで、シーンの判定が行われたことを、ユーザーに対して視覚的に通知することができる。
また、シーン判定時にビープ音を発生させるように構成してもよく、このように構成することで、シーンの判定が行われたことをユーザーに対して音声で通知することができる。
また、本実施の形態では、シーン自動判定モードへの移行はモードダイヤル9で行う構成としたが、カーソルキー10などの他の操作手段によって移行可能な構成としてもよい。
また、本実施の形態では、モニタ状態においてi夜景モードやi夜景&人物モードの判定を行っていないが、モニタ状態においてもi夜景モードやi夜景&人物モードの判定を行う構成とすることもできる。例えば、モニタ状態においてi夜景モードを判定する場合は、フォーカス情報、EV情報、およびストロボ6の発光設定(つまり、AF補助光の反射情報以外の情報)に基づき判定する構成にすればよい。また、モニタ状態においてi夜景&人物モードを判定する場合は、顔情報、およびEV情報(つまり、ストロボ6に関する情報以外の情報)に基づき判定する構成にすればよい。
また、本実施の形態において、一眼レフカメラなどのようにレンズ交換型の撮像装置の場合は、ズームレンズ21、絞り22、フォーカスレンズ23、モータ31〜33はレンズユニットに備え、その他の構成はカメラユニットに備える構成とすることができる。なお、制御部の一部をレンズユニットに備える構成も考えられるが、本発明は、撮像装置のシステム構成を限定するものではない。
(実施の形態2)
〔1.撮像装置の構成及び基本動作〕
図9は、本実施の形態における撮像装置の内部構成を示す。なお、図9において、図4に示す構成と異なるのは、表示部29に代えて表示部50を備えた点である。他の構成については、図4に示す構成と同等であるため、詳しい説明は省略する。
表示部50は、表示制御部51、表示パネル52、タッチパネル53、および操作検出部54を備えている。表示部50は、いわゆるタッチパネルディスプレイである。
表示制御部51は、信号処理部27から出力される画像データを、表示パネル52に表示可能な信号に変換(例えばアナログ画像信号への変換)することができる。
表示パネル52は、表示制御部51から送られる信号に基づき、画像を表示することができる。表示パネル52は、例えば1〜3インチ程度の液晶ディスプレイで構成されるが、EL(Electro-Luminescence)素子など、少なくとも画像を表示させることができるディスプレイであればよい。
タッチパネル53は、表示パネル52の表示面上に配され、表示パネル52の表示面に対向する面の裏面(以下、操作面と称する)を指などで押圧操作することで、任意の操作を行うことができるように構成されている。具体的には、タッチパネル53は、操作面側に格子状のマトリクススイッチを備え、操作面における任意の位置を指やペンなどで押圧することで、その位置のマトリクススイッチがオンになるように構成されている。オンになったマトリクススイッチの位置情報を取り出すことで、タッチパネル53における任意の位置が押圧操作されたことを検出することができる。なお、タッチパネル53としては、抵抗膜方式、静電容量方式、表面弾性波方式などがあるが、いずれを搭載してもよい。また、タッチパネル53は、表示パネル52に表示される画像を外部(タッチパネル53の操作面側)から目視可能なように、少なくとも表示パネル52の有効表示エリアを覆う部分は透明に構成されている。
操作検出部54は、タッチパネル53におけるマトリクススイッチのオン/オフ状態に基づき、押圧操作された位置の情報(X,Yの二次元の位置情報)を生成する。また、操作検出部54は、生成した位置情報をシステム制御部40に送る。なお、タッチパネル53及び操作検出部54は、本発明の領域選択手段の一例である。
システム制御部40は、実施の形態1において説明した撮像装置1の様々な機能について制御することができるとともに、操作検出部54から送られる位置情報に基づき、様々な機能を制御することができる。システム制御部40の制御内容については後述する。
本実施の形態の撮像装置は、モニタ状態において、ユーザーによって表示パネル52に表示されている画像の所望の位置のタッチパネル53が押圧操作されることで、押圧操作された被写体画像についてシーン自動判別動作やAF動作などを実行することができるように構成されている。以下、本実施の形態の撮像装置の動作について説明する。
〔2.シーン自動選択モードの動作〕
次に、モードダイヤル9で、シーン自動選択モードが選択された場合の動作について説明する。シーン自動選択モードにおいて、システム制御部40が自動認識可能なシーンは、「人物」、「風景」、「夜景」、「夜景&人物」、「マクロ」である。また、いずれのシーンにも認識されなかった場合は、iAモードに設定される。シーン自動選択モードにおいては、撮像中の画像やフォーカス情報などに基づいて、上記5個のシーンのうちの一つ、またはiAモードが選択される。各シーンを認識した時における、撮像装置1の設定内容については、前述の実施の形態1において説明したので、本項での説明は省略する。
〔2−1.モニタ状態における動作〕
図10は、モニタ状態におけるシーン自動選択動作の流れを示す。図11A及び図11Bは、表示パネル52に表示される画像(スルー画像)の一例を示す。図11Aは、人物と風景とを含む画像である。図11Bは、被写体を接写している時に表示パネル52に表示される画像である。
まず、モードダイヤル9が操作されてシーン自動選択モードが選択されると、システム制御部40はカメラ制御部38を制御して、フォーカス、絞り、ホワイトバランスなどの設定を初期値に設定する。ここでいう初期値とは、シーンの自動認識を行っていない時の各部の設定値のことである。
なお、シーン自動選択モードは、モードダイヤル9を操作して選択可能な構成に限らず、例えば撮像装置1にモードボタンを備え、モードボタンが操作された際に表示パネル52に選択可能なモードの一覧を表示し、表示されたモード一覧の中から所望のモードをユーザーが選択することができる構成としてもよい。モード一覧の中から所望のモードを選択する操作は、ユーザーがカーソルキー10を操作して選択することができるようにしてもよいし、ユーザーがタッチパネル53を押圧操作して選択することができるようにしてもよい。
次に、システム制御部40は、タッチモードであるか否かを判断し、タッチモードであれば処理S2を実行する。また、システム制御部40は、タッチモードでなければ処理S11を実行し、以降、実施の形態1において説明したシーン自動判別動作を開始する(S1)。
なお、タッチモードとは、ユーザーにおいてタッチパネル53を押圧操作することで、所定の処理(AF動作など)を実行させることができるモードのことである。本実施の形態では、タッチパネル53で所定の処理(AF動作など)を実行させることができない通常モードと、タッチモードとを、ユーザーが任意に選択することができるように構成されている。また、タッチモードへ移行するためには、例えば表示パネル52に所定のマークを表示し、ユーザーがそのマーク上のタッチパネル53を押圧操作することでタッチモードへ移行できるように構成したり、モードダイヤル9でシーン自動判別モードを選択した時にタッチモードへ移行するように構成することができる。
次に、システム制御部40は、操作検出部54から出力される信号に基づき、タッチパネル53が押圧操作されたか否かを監視する(S2)。
タッチパネル53が押圧操作された場合、操作検出部54はタッチパネル53上における押圧操作された位置の情報をシステム制御部40に送る。システム制御部40は、操作検出部54から送られる信号に基づき、表示パネル52に表示されている画像における任意の被写体画像上のタッチパネル53が押圧操作されたことを検出すると、カメラ制御部38に対してその被写体画像に対してAF動作を実行するよう命令する。カメラ制御部38は、システム制御部40からの命令に基づき、フォーカス制御部37に対してAF動作を実行する命令を送る。フォーカス制御部37は、カメラ制御部38からの命令に基づき、フォーカスモータ33を動作させてフォーカスレンズ23を光軸方向へ移動させ、指定された被写体の光像がCCD25の撮像面上で合焦するようにAF動作を行う(S3)。
例えば、図11Aに示す表示画像において、人物87の顔87aを含む画像の領域81a上のタッチパネル53が押圧操作された際は、顔87aの光像がCCD25の撮像面上で合焦するようにAF動作を行う。同様に、領域81b上のタッチパネル53が押圧操作された際は、風景の一部である建造物の光像がCCD25の撮像面上で合焦するようにAF動作を行う。同様に、図11Bに示す表示画像において、領域81c上のタッチパネル53が押圧操作された際は、被写体87bの光像がCCD25の撮像面上で合焦するようにAF動作を行う。このように、システム制御部40は、ユーザーによって表示パネル52に表示されている画像上のタッチパネル53の任意の位置が押圧操作されることで、押圧操作された領域に対応した被写体画像に対してAF動作を実行するよう制御する。
一方、システム制御部40は、処理S2においてタッチパネル53の押圧操作を検出していない時は、iAモードであると判定する(S2A)。次に、システム制御部40は、カメラ制御部38に保持されているISS判定結果の情報を更新する(S2B)。カメラ制御部38は、更新されたISS判定結果に基づき、撮像系の設定や画像処理を行うように制御する。次に、カメラ制御部38は、ISS判定結果の情報が更新されたことをシステム制御部40へ通知する(S2C)。すなわち、システム制御部40は、ユーザーによりタッチパネル53が押圧操作されていない間は常にiAモードに設定し、タッチパネル53が押圧操作された際にAF動作とシーン自動判別動作とを行うように制御する。なお、iAモードに固定されず、押圧操作以前にもシーン判断処理を行う構成としてもよい。
また、本実施の形態において、タッチモードへ移行した後、システム制御部40は、タッチパネル53が押圧操作されていない間は常にiAモードに設定するとしたが、例えば実施の形態1に記載したように撮影シーンの判別を行ってもよい。
また、本実施の形態において、タッチパネル53が押圧操作された際、AF動作をするとしたが、AF動作をしなくてもよい。
次に、システム制御部40は、信号処理部27から出力されるスルー画像の画像データと、操作検出部54から送られるタッチパネル53上の位置情報とに基づき、スルー画像における、タッチパネル53上で押圧操作された領域を特定する。すなわち、処理S3においてAF動作の対象となった被写体画像の領域を特定する。次に、システム制御部40は、押圧操作された領域における被写体画像を認識し、被写体画像内に人間の顔が含まれているか否かを判断する(S7)。
システム制御部40は、処理S7において、押圧操作された領域における被写体画像内に顔が含まれていると判断した場合(領域81a上のタッチパネル53が押圧操作された場合)は、i人物モードに設定する(S18)。この時、システム制御部40は、顔認識を行うのみで、i人物モードに対応した各種設定変更や画像処理はまだ行わない。
また、システム制御部40は、処理S7において、押圧操作された領域に顔が存在しないと判断した場合は、次にズームレンズ21及びフォーカスレンズ23の位置関係に基づき、被写体距離を判定する(S12)。この時、判定される被写体距離としては、最も距離が短い「マクロ距離」、最も距離が長い「風景距離」、マクロ距離と風景距離との中間の「通常距離」、被写体距離の計測が不可能な「不明」である。なお、本実施の形態において判定可能な被写体距離は、上記以外を含むものとする。
また、本実施の形態では、ズーム倍率によって、「マクロ距離」「風景距離」「通常距離」の判定閾値を可変としている。判定閾値を可変としている理由は、撮影した画像中の主要被写体の大きさ(画角に占める割合)は、例えば「広角端で被写体の距離10cm=望遠端で被写体の距離1.5m」で同じぐらいになる。マクロ距離であると判断すべき被写体の距離(実際の距離)は、広角端と望遠端とで全く異なるが、画角が同様であれば同じ被写体距離(マクロ距離など)が得られる。したがって、ズーム倍率によって被写体距離の判定閾値を可変とすることで、ズーム倍率によって、マクロ距離であると判定される画角を同じにすることができる。
システム制御部40は、被写体距離がマクロ距離であると判断すると(S12におけるYES判定)、iマクロモードに設定する(S15)。この時、システム制御部40は、マクロ認識を行うのみで、iマクロモードに対応した各種設定変更や画像処理はまだ行わない。
また、システム制御部40は、被写体距離が風景距離であると判断した場合(S13におけるYES判定)は、撮影環境における照度に基づき、屋外撮影を行っているか否かの判定を行う(S14)。具体的には、明るさ情報であるEV値を算出し、そのEV値の大きさから「低照度」、「通常照度」、「屋外照度」であるかを判定する。なお、本実施の形態において判定可能な照度は、上記以外を含むものとする。
システム制御部40は、処理S14において屋外照度(屋外撮影)であると判断すれば、i風景モードに設定する(S17)。この時、システム制御部40は、風景認識を行うのみで、i風景モードに対応した各種設定変更や画像処理はまだ行わない。
また、システム制御部40は、処理S14において屋外照度ではないと判断すれば、iAモードに設定する(S16)。
システム制御部40は、処理S7〜S18に示す処理を、一定時間間隔毎に行う。
次に、システム制御部40は、判断結果S15〜S18のうちのいずれか1つの判断結果が、一定期間(例えば10VD。1VD=1/30秒)以上同じ結果が続くか否かの判断を行う(S19)。なお、本実施の形態において、上記一定期間を、判断結果がi人物モードである場合(S18)には、判断結果がi人物モード以外のモードである場合よりも長く設定してもよい。例えば、2〜3秒(60〜90VD)に設定する。このように期間設定を行うことで、画角内に人物が存在するが顔を認識できない期間(例えば顔が撮像装置1に対して横方向を向いた時など)が僅かに発生したとしても、判断結果を維持することができる。
システム制御部40は、処理S19における判断の結果、1つのモードが一定期間(例えば10VD)以上続けば、カメラ制御部38に保持されているISS判定結果(ISS:Intelligent scene selector)の情報を更新する(S20)。カメラ制御部38は、更新されたISS判定結果に基づき、撮像系の設定や画像処理を行うように制御する。
次に、カメラ制御部38は、ISS判定結果の情報が更新されたことをシステム制御部40へ通知する(S21)。
次に、システム制御部40は、表示部29に表示される画像に重畳表示(OSD:On Screen Display)させるマークの画像データを生成する。信号処理部27は、システム制御部40で生成された重畳表示用の画像データと、AFE26から出力される画像データとを重畳し、表示部29に出力する。表示部29は、信号処理部27から出力される画像データに基づく画像を表示する。
以上のように、撮像装置1がモニタ状態の時にタッチモードに移行し、表示パネル52に表示されている画像中の任意の領域のタッチパネル53を押圧操作することで、押圧操作された領域における画像に対してAF動作を行うとともに、ズームレンズ21などの光学系の状態やEV値などから、i人物モード、i風景モード、iマクロモード、iAモードのいずれかを判断し、その判断結果に基づき撮像装置1内の撮像系などの設定を自動的に変更する。このように構成することで、ユーザーにおいて撮影シーンに適した撮影モードの選択を行う必要がなくなるため、使い勝手を向上させることができる。
また、表示部50にタッチパネル53を備え、表示パネル52に表示されている画像における任意の領域を容易に指定することができるので、操作性を向上させることができる。例えば、表示パネル52に表示されている画像における、合焦させたい被写体画像をタッチパネル53を操作して選択することができるので、従来のように合焦させたい被写体を表示画像の中央に位置するように画角を変える必要がなく、迅速かつ容易にAF動作を行うことができる。
〔2−2.レリーズボタン操作時の動作〕
撮影装置1がシーン自動選択モードの時に、レリーズボタン2が操作された時の動作について説明する。レリーズボタン2の操作には、全ストロークの約半分まで押圧操作する「半押し操作」と、全ストローク分押圧操作する「全押し操作」とがある。一般的な操作法としては、レリーズボタン2を半押し操作することで撮像装置のAF動作が行われ、半押し操作の状態から全押し操作することで撮影を行うことができるように構成されている。以下の説明では、レリーズボタン2を半押し操作する時の動作を一例として挙げて説明する。
図12A及び図12Bは、シーン自動選択モードにおいてレリーズボタン2が操作された時の流れを示す。なお、図12Aと図12Bとは、互いにA部、B部、およびC部で結合している。
まず、撮像装置1がモニタ状態(図10に示すフローが完了した状態)の時に、レリーズボタン2が半押し操作されると(S28)、システム制御部40は、信号処理部27から画像データを読み出す。次に、人物判断制御部40aは、図10の処理S2においてユーザーによって特定された画像の領域中に、人物の顔が存在するか否かを判断する(S29)。システム制御部40は、人物判断制御部40aが画像中に人物の顔が存在すると判断すると、i人物モードに設定する(S39)。この時、システム制御部40は、人物認識を行うのみで、i人物モードに対応した各種設定変更や画像処理はまだ行わない。
また、システム制御部40は、人物判断制御部40aにおいて人物の顔を認識しなかった場合(S29のNO判定)は、次にズームレンズ21及びフォーカスレンズ23の位置関係に基づき、被写体距離を判定する(S33)。この時、判定される被写体距離としては、最も距離が短い「マクロ距離」、最も距離が長い「風景距離」、マクロ距離と風景距離との中間の「通常距離」、被写体距離の計測が不可能な「不明」のいずれかである。システム制御部40は、被写体距離がマクロ距離であると判断すると、iマクロモードに設定する(S36)。この時、システム制御部40は、マクロ認識を行うのみで、iマクロモードに対応した各種設定変更や画像処理はまだ行わない。
また、システム制御部40は、被写体距離が風景距離であると判断した場合(S34におけるYES判定)は、撮影環境における照度に基づき、屋外撮影を行っているか否かの判定を行う(S35)。具体的には、明るさ情報であるEV値を算出し、そのEV値の大きさから「低照度」、「通常照度」、「屋外照度」のいずれであるかを判定する。
また、システム制御部40は、処理S35において屋外照度(屋外撮影)であると判断すれば、i風景モードに設定する(S38)。この時、システム制御部40は、風景認識を行うのみで、i風景モードに対応した各種設定変更や画像処理はまだ行わない。
また、システム制御部40は、処理S35において屋外照度ではないと判断すれば、iAモードに設定する(S37)。
上記S29〜S39に示すシーン判定処理は、レリーズボタン2が半押し操作された際に1回のみ実行される。
なお、以降の処理S40〜S53における処理内容は、前述の実施の形態1において説明した処理内容と同等であるため、本項での説明は省略する。
以上のように、撮像装置1がシーン自動選択モードの時にレリーズボタン2を操作(半押し操作または全押し操作)されると、ズームレンズ21などの光学系の状態などから、i人物モード、i風景モード、i夜景モード、i夜景&人物モード、iマクロモード、iAモードのいずれかを判断し、その判断結果に基づき撮像装置1内の撮像系などの設定を自動的に変更する。このように構成することで、ユーザーにおいて撮影シーンに適した撮影モードの選択を行う必要がなくなるため、使い勝手を向上させることができる。
なお、上記説明では、レリーズボタン2が半押し操作された時の処理の流れについて説明したが、レリーズボタン2を全押し操作しても同様に処理される。
〔3.実施の形態の効果、他〕
本実施の形態によれば、タッチパネル53を備えた表示部50を搭載し、ユーザーは表示パネル52に表示されている画像の中の任意の領域に対応したタッチパネル53を押圧操作することで、押圧操作された領域の画像に対してAF動作を実行するとともに、押圧操作された領域の画像を自動認識して、i人物モード、i風景モード、iマクロモード、iAモードのいずれかを判断し、その判断結果に基づき撮像装置1内の撮像系などの設定を自動的に変更する。このように構成することで、ユーザーにおいて撮影シーンに適した撮影モードの選択を行う必要がなくなるため、使い勝手を向上させることができる。
また、タッチパネル53を操作してAF動作及びシーン自動選択の対象となる被写体画像を選択することができるので、AF動作及びシーン自動選択の対象としたい被写体画像が画像中の如何なる位置にあっても、ユーザーは容易かつ迅速に被写体画像を選択することができ、操作性を向上させることができる。
なお、本実施の形態では、表示部50にタッチパネル53を備え、表示パネル52に表示されている任意の被写体画像をタッチパネル53を押圧操作して選択することができる構成としたが、任意の被写体画像を選択する操作は必ずしもタッチパネル53を押圧操作する構成に限らない。例えば、表示パネル52に表示されている画像にカーソルを重畳表示させ、カーソルキー10を操作してカーソルを任意の被写体画像に重なる位置に移動させ、ボタン11を操作することで被写体画像を選択するように構成してもよい。
また、本実施の形態における記録時の動作は、実施の形態1における〔2−3.記録時の動作〕欄に記載の内容と実質的に同じであるため、説明は省略する。
(実施の形態3)
〔1.撮像装置の構成及び基本動作〕
本実施の形態における撮像装置の内部構成は、図9に示す構成と同等であるため説明は省略する。また、シーン自動選択モードにおける動作については、実施の形態1等における〔2.シーン自動選択モードの動作〕欄に記載の内容と実質的に同等であるため、説明は省略する。
本実施の形態の撮像装置は、タッチパネル53を含む表示部50を備え、撮影時に表示パネル52に表示されている被写体における任意の位置をユーザーが押圧操作することで、押圧操作された位置に表示されている被写体画像についてシーン自動判別動作やAF動作などを実行することができ、さらにユーザーによってタッチパネル53が押圧操作されることにより選択された被写体画像を追尾する機能を備えている。以下、本実施の形態の撮像装置の動作について説明する。
〔2.シーン自動選択モードの動作〕
〔2−1.モニタ状態における動作〕
図13A及び図13Bは、モニタ状態におけるシーン自動選択動作の流れを示す。なお、図13Aと図13Bとは、互いにA部及びB部で結合している。図14A及び図14Bは、表示パネル52に表示される画像(スルー画像)の一例を示し、いずれも人物を撮影している時の画像を示す。
まず、モードダイヤル9が操作されてシーン自動選択モードが選択されると、システム制御部40はカメラ制御部38を制御して、フォーカス、絞り、ホワイトバランスなどの設定を初期値に設定する。ここでいう初期値とは、シーンの自動認識を行っていない時の各部の設定値のことである。
次に、システム制御部40は、タッチモードであるか否かを判断し、タッチモードであれば処理S2を実行する。また、システム制御部40は、タッチモードでなければ処理S11を実行し、以降、実施の形態1において説明したシーン自動判別動作を開始する(S1)。
次に、システム制御部40は、操作検出部54から送られる信号に基づき、タッチパネル53が押圧操作されたか否かを監視する(S2)。
ユーザーによりタッチパネル53が押圧操作された場合、操作検出部54はタッチパネル53上における押圧操作された位置の情報をシステム制御部40に送る。システム制御部40は、操作検出部54から送られる信号に基づき、表示パネル52に表示されている画像における任意の被写体画像上のタッチパネル53が押圧操作されたことを検出すると、カメラ制御部38にその被写体画像に対してAF動作を実行するよう命令する。カメラ制御部38は、システム制御部40からの命令に基づき、フォーカス制御部37に対してAF動作を実行する命令を送る。フォーカス制御部37は、カメラ制御部38からの命令に基づき、フォーカスモータ33を動作させてフォーカスレンズ23を光軸方向へ移動させ、指定された被写体の光像がCCD25の撮像面上で合焦するようにAF動作を行う(S3)。
一方、システム制御部40は、処理S2においてタッチパネル53の押圧操作を検出していない時は、iAモードであると判定する(S2A)。次に、システム制御部40は、カメラ制御部38に保持されているISS判定結果の情報を更新する(S2B)。カメラ制御部38は、更新されたISS判定結果に基づき、撮像系の設定や画像処理を行うように制御する。次に、カメラ制御部38は、ISS判定結果の情報が更新されたことをシステム制御部40へ通知する(S2C)。すなわち、システム制御部40は、ユーザーによりタッチパネル53が押圧操作されていない間は常にiAモードに設定し、タッチパネル53が押圧操作された際にAF動作とシーン自動判別動作とを行うように制御する。なお、iAモードに固定されず、押圧操作以前にもシーン判別処理を行う構成としてもよい。
また、本実施の形態において、タッチモードへ移行した後、システム制御部40は、タッチパネル53が押圧操作されていない間は常にiAモードに設定する構成としたが、例えば実施の形態1に記載したように通常の撮影シーン判別をする構成としてもよい。
また、本実施の形態において、タッチパネル53が押圧操作された際、AF動作をする構成としたが、AF動作をしなくてもよい。
次に、システム制御部40は、信号処理部27から画像データを取得し、その画像データの高周波成分のレベルに基づき合焦状態を判定する。合焦状態に至っていなければ処理S2に戻る。一方、合焦状態であると判定すれば、処理S5を実行する(S4)。
次に、システム制御部40は、信号処理部27から取得した画像データの色情報に基づき、追尾制御が可能な否かの判定を行う(S5)。例えば、被写体がほとんど白色のみで構成されている場合などのように色情報が少ない場合は、追尾制御が困難であると判断し、処理S2に戻る。一方、被写体が十分な色情報を含んでいる場合は、追尾制御が可能であると判断し、追尾制御を開始する(S6)。また、本実施の形態において、色情報に基づき、追尾制御をするとしたが、被写体の形状や輝度、コントラストなどの特徴情報を追尾制御に用いてもよい。
ここで、追尾制御とは、表示パネル52に表示されている任意の被写体画像を選択した後に、選択された被写体画像に対して連続的または断続的にAF動作及びシーン判別動作を行う制御である。例えば、ユーザーによって、図14Aに示すように表示パネル52の略中央に位置している人物87の顔87a上のタッチパネル53が押圧操作された際、顔87aに対してAF動作及びシーン判別動作を行うとともに、顔87aの近傍に追尾制御の対象であることを示す枠線88を表示する。以降、顔87aの位置を連続的または断続的に監視し、例えば図14Bに示すように人物87が画角内の右方向へ移動したとしても、移動後の顔87aの位置に枠線88を移動させる。
次に、システム制御部40は、追尾制御が継続して実行されているか否かを判断し(S6A)、追尾制御が実行されていれば連続的または断続的なAF動作を実行する(S6B)。
次に、システム制御部40は、信号処理部27から出力されるスルー画像の画像データと、操作検出部54から出力されるタッチパネル53上の位置情報とに基づき、画像データに基づく画像における、タッチパネル53上で押圧操作された領域を特定し、押圧操作された領域における画像を認識し、領域内に人間の顔が存在するか否かを判断する(S7)。
システム制御部40は、処理S7において、押圧操作された領域に顔が存在すると判断した場合は、処理S8を実行する。一方、システム制御部40は、処理S7において、押圧操作された領域に顔が存在しないと判断した場合は、処理S12を実行する。
システム制御部40は、押圧操作された領域に顔が存在すると判断した場合、画像中の追尾制御を行っている領域(図14A等における枠線88で囲まれた領域)に人間の顔が存在するか否かを判断する(S8)。システム制御部40は、追尾制御を行っている領域に顔が存在すると判断した場合は、i人物モードに設定する(S18)。この時、システム制御部40は、顔認識を行うのみで、i人物モードに対応した各種設定変更や画像処理はまだ行わない。一方、システム制御部40は、追尾制御を行っている領域に顔が存在しないと判断した場合は、iAモードに設定する(S16)。また、本実施の形態において、追尾制御を行っている領域に人間の顔が存在するか否かを判断しなくてもよい。この場合、処理S8において、スルー画像のどこかに顔が存在すると判断した場合は、i人物モードに設定すればよい(S18)。
また、システム制御部40は、人物判断制御部40aにおける顔検出範囲と追尾制御の対象となっている領域(枠88)とが一致しない状態となり、かつその状態が一定時間(例えば3秒)以上続くと、iAモードに設定する。つまり、人物判断制御部40aにおいて顔を検出しなくなるか、顔を検出したとしても他の人物の顔であった場合に追尾制御を中止することで、ユーザーが最初に選択した顔のみを追尾することができ、追尾制御の対象が顔から風景等に変わるのを防ぐことができる。また、追尾していた顔が画角から外れないようにすることで、システム制御部40は、人物判断制御部40aにおける顔検出範囲と追尾制御の対象となっている領域とが一致すれば、再びi人物モードであると判定する。なお、顔検出範囲と追尾領域との一致判定を行わない構成としてもよい。その場合は、処理S8が不要となり、顔検出があればi人物モードと判定する。
また、システム制御部40は、処理S7において、押圧操作された領域に顔が存在しないと判断した場合は、次にズームレンズ21及びフォーカスレンズ23の位置関係に基づき、被写体距離を判定する(S12)。この時、判定される被写体距離としては、最も距離が短い「マクロ距離」、最も距離が長い「風景距離」、マクロ距離と風景距離との中間の「通常距離」、被写体距離の計測が不可能な「不明」である。なお、本実施の形態において判定可能な被写体距離は、上記以外を含むものとする。
また、本実施の形態では、ズーム倍率によって、「マクロ距離」「風景距離」「通常距離」の判定閾値を可変としている。判定閾値を可変としている理由は、撮影した画像中の主要被写体の大きさ(画角に占める割合)は、例えば「広角端で被写体の距離10cm=望遠端で被写体の距離1.5m」で同じぐらいになる。マクロ距離であると判断すべき被写体の距離(実際の距離)は、広角端と望遠端とで全く異なるが、画角が同様であれば同じ被写体距離(マクロ距離など)が得られる。したがって、ズーム倍率によって被写体距離の判定閾値を可変とすることで、ズーム倍率によって、マクロ距離であると判定される画角を同じにすることができる。
システム制御部40は、被写体距離がマクロ距離であると判断すると(S12におけるYES判定)、iマクロモードに設定する(S15)。この時、システム制御部40は、マクロ認識を行うのみで、iマクロモードに対応した各種設定変更や画像処理はまだ行わない。
また、システム制御部40は、被写体距離が風景距離であると判断した場合(S13におけるYES判定)は、撮影環境における照度に基づき、屋外撮影を行っているか否かの判定を行う(S14)。具体的には、明るさ情報であるEV値を算出し、そのEV値の大きさから「低照度」、「通常照度」、「屋外照度」であるかを判定する。なお、本実施の形態において判定可能な照度は、上記以外を含むものとする。
システム制御部40は、処理S14において屋外照度(屋外撮影)であると判断すれば、i風景モードに設定する(S17)。この時、システム制御部40は、風景認識を行うのみで、i風景モードに対応した各種設定変更や画像処理はまだ行わない。
また、システム制御部40は、処理S14において屋外照度ではないと判断すれば、iAモードに設定する(S16)。
なお、追尾制御の対象となっている顔87aが画角から外れたり、追尾制御の対象となっている被写体の動きが速くて追尾が不可能となってしまった場合(S6AにおけるNO判断)は、追尾制御を中止し、処理S2に戻る。本実施の形態では、システム制御部40は、再び顔87aが画角内に入ったとしても、ユーザーにより再度顔87aに対応するタッチパネル53上の領域を押圧操作されない限り、顔87aに対する追尾制御は再開しないように制御している。しかし、再び顔87aが画角内に入った場合に、人物判断制御部80aにおいて顔87aを検出し、追尾制御を再開する構成としてもよい。また、本実施の形態では、追尾制御が不可能な状態になった場合(S6AにおけるNO判断)は、追尾制御を中止し、iAモードに設定する(S2A)構成としたが、例えば実施の形態1に記載したように撮影シーンの判別を行ってもよい。
また、上記説明では、追尾制御の対象を人物の顔としているが、顔以外の被写体の時も追尾制御を行っている。つまり、処理S2においてユーザーによってスルー画像における風景領域が押圧操作された場合は、その風景に対してAF制御を行うとともに追尾制御を行う。また、追尾対象となっている被写体(例えば風景)がスルー画像の画角から外れてしまうなどして追尾制御ができない状態になった場合は、iAモードに設定する。すなわち、追尾対象が人物以外であったとしても、人物を追尾する時と同様に追尾制御を行う。
システム制御部40は、処理S7〜S18に示す処理を、一定時間間隔毎に行う。
また、システム制御部40は、タッチパネル53が押圧操作されたことを再度検出すると、処理S3に移行すればよい。
なお、システム制御部40は、処理S7において、ユーザーにより顔領域以外の領域を押圧操作されたことを検出すると、たとえ人物判断制御部40aにおける顔検出範囲と追尾制御の対象となっている領域とが一致しても、i人物モードには移行しないように制御している。また、顔検出範囲と追尾領域との一致判定を行わない構成としてもよい。
なお、以降の処理S19〜S21における処理内容は、前述の実施の形態1において説明した処理内容と同等であるため、本項での説明は省略する。
以上のように、撮像装置1がタッチモードに移行し、表示パネル52に表示されている画像中の任意の領域のタッチパネル53を押圧操作することで、押圧操作された領域における画像を追尾しながらAF動作を行うとともに、追尾している画像について、ズームレンズ21などの光学系の状態やEV値などから、i人物モード、i風景モード、iマクロモード、iAモードのいずれかを判断し、その判断結果に基づき撮像装置1内の撮像系などの設定を自動的に変更する。このように構成することで、ユーザーにおいて撮影シーンに適した撮影モードの選択を行う必要がなくなるため、使い勝手を向上させることができる。
また、表示部50にタッチパネル53を備え、表示パネル52に表示されている画像における任意の領域を容易に指定することができるので、操作性を向上させることができる。例えば、表示パネル52に表示されている画像における、AF動作及び追尾制御の対象となる被写体画像を、タッチパネル53を操作して選択することができるので、従来のように所望の被写体画像を表示画像の中央に位置するように画角を変える必要がなく、迅速かつ容易に被写体画像の特定を行うことができる。
〔2−2.レリーズボタン操作時の動作〕
撮影装置1がシーン自動選択モードの時に、レリーズボタン2が操作された時の動作について説明する。レリーズボタン2の操作には、全ストロークの約半分まで押圧操作する「半押し操作」と、全ストローク分押圧操作する「全押し操作」とがある。一般的な操作法としては、レリーズボタン2を半押し操作することで撮像装置のAF動作が行われ、半押し操作の状態から全押し操作することで撮影を行うことができるように構成されている。以下の説明では、レリーズボタン2を半押し操作する時の動作を一例として挙げて説明する。
図15A及び図15Bは、シーン自動選択モードにおいてレリーズボタン2が操作された時の流れを示す。なお、図15Aと図15Bとは、互いにA部、B部、およびC部で結合している。
まず、撮像装置1がモニタ状態(図13A及び図13Bに示すフローが完了した状態)の時に、レリーズボタン2が半押し操作されると(S28)、システム制御部40は、信号処理部27から画像データを読み出す。次に、人物判断制御部40aは、信号処理部27から読み出された画像データにおける、図13Aの処理S2においてユーザーによって特定された領域中に、人物の顔が存在するか否かを判断する(S29)。システム制御部40は、人物判断制御部40aが画像中に人物の顔が存在すると判断すると、処理S30を実行する。また、システム制御部40は、人物判断制御部40aが画像中に人物の顔が存在しないと判断すると、処理S33を実行する。
次に、システム制御部40は、人物判断制御部40aが画像中に人物の顔が存在すると判断すると、画像中の追尾制御を行っている領域(図14A等における枠線88で囲まれた領域)に人間の顔が存在するか否かを判断する。システム制御部40は、追尾制御を行っている領域に顔が存在すると判断した場合は、i人物モードに設定する(S39)。この時、システム制御部40は、顔認識を行うのみで、i人物モードに対応した各種設定変更や画像処理はまだ行わない。一方、システム制御部40は、追尾制御を行っている領域に顔が存在しないと判断した場合は、iAモードに設定する(S31)。
また、システム制御部40は、人物判断制御部40aにおいて人物の顔を認識しなかった場合(S29のNO判定)は、次にズームレンズ21及びフォーカスレンズ23の位置関係に基づき、被写体距離を判定する(S33)。この時、判定される被写体距離としては、最も距離が短い「マクロ距離」、最も距離が長い「風景距離」、マクロ距離と風景距離との中間の「通常距離」、被写体距離の計測が不可能な「不明」のいずれかである。システム制御部40は、被写体距離がマクロ距離であると判断すると、iマクロモードに設定する(S36)。この時、システム制御部40は、マクロ認識を行うのみで、iマクロモードに対応した各種設定変更や画像処理はまだ行わない。
また、システム制御部40は、被写体距離が風景距離であると判断した場合(S34におけるYES判定)は、撮影環境における照度に基づき、屋外撮影を行っているか否かの判定を行う(S35)。具体的には、明るさ情報であるEV値を算出し、そのEV値の大きさから「低照度」、「通常照度」、「屋外照度」のいずれであるかを判定する。
システム制御部40は、処理S35において屋外照度(屋外撮影)であると判断すれば、i風景モードに設定する(S38)。この時、システム制御部40は、風景認識を行うのみで、i風景モードに対応した各種設定変更や画像処理はまだ行わない。
また、システム制御部40は、処理S35において屋外照度ではないと判断すれば、iAモードに設定する(S37)。
システム制御部40は、処理S29〜S39に示すシーン判定処理を、レリーズボタン2が半押し操作された際に1回のみ実行する。
以降の動作は、前述の実施の形態2における動作と同様であるため、説明は省略する。
以上のように、ユーザーによって、表示パネル52に表示されている画像の中から任意の被写体画像に対応したタッチパネル53の領域が押圧操作されることで、押圧操作により選択された被写体画像に対してAF動作及び追尾制御を行う。システム制御部40は、追尾制御を行っている被写体画像についてズームレンズ21などの光学系の状態などから、i人物モード、i風景モード、i夜景モード、i夜景&人物モード、iマクロモード、iAモードのいずれかを判断し、その判断結果に基づき撮像装置1内の撮像系などの設定を自動的に変更する。このように構成することで、ユーザーにおいて撮影シーンに適した撮影モードの選択を行う必要がなくなるため、使い勝手を向上させることができる。
また、タッチパネル53を操作してAF動作及び追尾制御の対象となる被写体画像を選択することができるので、AF動作及び追尾制御の対象としたい被写体画像が画像中の如何なる位置にあっても、ユーザーは容易かつ迅速に被写体画像を選択することができ、操作性を向上させることができる。
〔3.実施の形態の効果、他〕
本実施の形態によれば、タッチパネル53を備えた表示部50を搭載し、ユーザーは表示パネル52に表示されている画像の中の任意の領域に対応したタッチパネル53を押圧操作することで、押圧操作された領域の画像に対してAF動作及び追尾制御を実行することができる。さらに、押圧操作された領域の画像(AF動作及び追尾制御している画像)を自動認識して、i人物モード、i風景モード、iマクロモード、iAモードのいずれかを判断し、その判断結果に基づき撮像装置1内の撮像系などの設定を自動的に変更する。このように構成することで、ユーザーにおいて撮影シーンに適した撮影モードの選択を行う必要がなくなるため、使い勝手を向上させることができる。
また、タッチパネル53を操作してAF動作及び追尾制御の対象となる被写体画像を選択することができるので、AF動作及び/または追尾制御の対象としたい被写体画像が画像中の如何なる位置にあっても、ユーザーは容易かつ迅速に被写体画像を選択することができ、操作性を向上させることができる。
なお、本実施の形態では、表示部50にタッチパネル53を備え、表示パネル52に表示されている任意の被写体画像をタッチパネル53を押圧操作して選択することができる構成としたが、任意の被写体画像を選択する操作は必ずしもタッチパネル53を押圧操作する構成に限らない。例えば、表示パネル52に表示されている画像にカーソルを重畳表示させ、カーソルキー10を操作してカーソルを任意の被写体画像に重なる位置に移動させ、ボタン11を操作することで被写体画像を選択するように構成してもよい。また、被写体画像を表示画像の略中央に位置させることで、任意の被写体画像を選択可能な構成としてもよい。
また、本実施の形態における記録時の動作は、実施の形態1における〔2−3.記録時の動作〕欄に記載の内容と実質的に同じであるため、説明は省略する。
また、実施の形態1〜3において、レリーズボタン2、ズームスイッチ3、モードダイヤル9、操作部30、タッチパネル53は、本発明の操作手段の一例である。
本発明の撮像装置は、入力される光学情報から電気的な画像を生成する画像生成手段と、前記画像生成手段で生成された画像および/または被写体に関する情報に基づき撮影シーンを判別するシーン判別手段と、前記シーン判別手段における判別結果に基づき前記画像生成手段で生成された画像の画質を調整する画質調整手段とを備えたものである。
本発明の撮像装置は、上記構成を基本として、以下のような様々な態様をとることができる。
すなわち、入射する光学的画像を電気的画像に変換する撮像手段と、前記光学的画像を前記撮像手段の撮像面に合焦可能なフォーカスレンズを駆動制御するフォーカス制御手段と、入射光量を調節するための絞りの開度を制御する絞り制御手段と、シャッター速度を制御するシャッター制御手段と、ストロボ光を出射するストロボ発光手段とをさらに備えた構成とすることができる。
また、入射する光学的画像を電気的画像に変換する撮像手段と、前記光学的画像を前記撮像手段の撮像面に合焦可能なフォーカスレンズを駆動制御するフォーカス制御手段と、入射光量を調節するための絞りの開度を制御する絞り制御手段と、シャッター速度を制御するシャッター制御手段と、ストロボ光を出射するストロボ発光手段と、前記フォーカス制御手段における合焦制御時に補助光を出射可能な補助光発光手段とをさらに備えた構成とすることができる。
また、前記シーン判別手段は、前記画像生成手段で生成された画像の中に人物が含まれている場合は、人物画像であると判断する構成とすることができる。このような構成によれば、装置側において人物画像の判別を行うことができるので、ユーザーにおけるモード選択が不要になるため、使い勝手を向上させることができる。
また、前記シーン判別手段は、前記フォーカス制御手段において合焦している被写体の距離と、被写体の明るさの情報とに基づき、風景画像を判別する構成とすることができる。このような構成によれば、装置側において風景画像の判別を行うことができるので、ユーザーにおけるモード選択が不要になるため、使い勝手を向上させることができる。
また、前記シーン判別手段は、前記フォーカス制御手段において合焦している被写体の距離と、被写体の明るさの情報と、前記補助光発光手段から出射した補助光のうちの被写体から反射した光の光量とに基づき、夜景画像を判別する構成とすることができる。このような構成によれば、装置側において夜景画像の判別を行うことができるので、ユーザーにおけるモード選択が不要になるため、使い勝手を向上させることができる。
また、前記シーン判別手段は、被写体の明るさの情報と、前記補助光発光手段から出射した補助光のうちの被写体から反射した光の光量とに基づき、夜景画像を判別する構成とすることができる。このような構成によれば、装置側において夜景画像の判別を行うことができるので、ユーザーにおけるモード選択が不要になるため、使い勝手を向上させることができる。
また、前記シーン判別手段は、前記画像生成手段で生成された画像の中に人物が含まれているか否かの情報と、被写体の明るさの情報と、前記ストロボ発光手段から出射し被写体から反射した光の光量とに基づき、夜景を含む人物画像を判別する構成とすることができる。このような構成によれば、装置側において夜景を含む人物画像の判別を行うことができるので、ユーザーにおけるモード選択が不要になるため、使い勝手を向上させることができる。
また、前記シーン判別手段は、前記フォーカス制御手段において合焦している被写体の距離が所定距離よりも短い場合は、マクロ画像であると判断する構成とすることができる。このような構成によれば、装置側においてマクロ画像の判別を行うことができるので、ユーザーにおけるモード選択が不要になるため、使い勝手を向上させることができる。
また、本装置の振動を検出する振動検出手段をさらに備え、前記シーン判別手段は、前記振動検出手段の検出結果に基づき、本装置が固定状態であるか否かを判別する構成とすることができる。このような構成によれば、撮像装置が三脚などの固定手段に固定されているか否かを判別し、その判別結果に基づきシャッタースピードなどを制御することで、撮影状況に応じた設定を自動的に行うことができ、使い勝手を向上させることができる。
また、前記画像生成手段で生成された画像、または、前記画質調整手段で調整された画像を表示可能な表示手段をさらに備え、前記表示手段は、前記シーン判別手段の判別結果の情報を表示可能な構成とすることができる。このような構成によれば、シーンの判別結果を目視的に認識することができる。
また、前記表示手段は、前記シーン判別手段において撮影シーンが判別された際、前記判別結果の情報の表示形態を一時的に変化させる構成とすることができる。このような構成によれば、シーンの判別結果が変更になったことを目視的に認識することができる。
また、前記シーン判別手段は、前記画像生成手段で生成された画像の中に人物が含まれ、前記ストロボ発光手段が発光可能な設定となっている場合は、夜景を含む人物画像であると判断し、前記画像生成手段で生成された画像の中に人物が含まれ、前記ストロボ発光手段が発光不可能な設定となっている場合は、人物画像であると判断する構成とすることができる。このような構成によれば、装置側において人物画像あるいは夜景を含む人物画像の判別を行うことができるので、ユーザーにおけるモード選択が不要になるため、使い勝手を向上させることができる。
また、使用者による撮影指示を受け付ける操作手段をさらに備え、夜景を含む人物画像の判別後、前記操作手段が撮影指示を受け付けた際、前記ストロボ発光手段を本発光させる前に調光発光させ、前記調光発光の前後における背景画像の輝度差を算出し、前記輝度差が所定値以上であれば、人物画像であると判断し、前記輝度差が所定値未満であれば、夜景を含む人物画像であると判断する構成とすることができる。このような構成によれば、装置側において人物画像あるいは夜景を含む人物画像の判別を行うことができるので、ユーザーにおけるモード選択が不要になるため、使い勝手を向上させることができる。
また、前記シーン判別手段は、前記画像生成手段で生成された画像の中に人物が含まれていないという情報と、前記フォーカス制御手段において合焦している被写体の距離と、被写体の明るさの情報とに基づき、風景画像を判別する構成とすることができる。このような構成によれば、装置側において風景画像の判別を行うことができるので、ユーザーにおけるモード選択が不要になるため、使い勝手を向上させることができる。
また、前記シーン判別手段は、前記フォーカス制御手段において合焦している被写体の距離と、前記画像生成手段で生成された画像の中に人物が含まれていないという情報と、前記被写体の明るさの情報と、前記補助光発光手段から出射した補助光のうちの被写体から反射した光の光量とに基づき、夜景画像を判別する構成とすることができる。このような構成によれば、装置側において夜景画像の判別を行うことができるので、ユーザーにおけるモード選択が不要になるため、使い勝手を向上させることができる。
また、前記シーン判別手段は、前記画像生成手段で生成された画像の中に人物が含まれていないという情報と、前記被写体の明るさの情報と、前記補助光発光手段から出射した補助光のうちの被写体から反射した光の光量とに基づき、夜景画像を判別する構成とすることができる。このような構成によれば、装置側において夜景画像の判別を行うことができるので、ユーザーにおけるモード選択が不要になるため、使い勝手を向上させることができる。
また、前記シーン判別手段は、前記画像生成手段で生成された画像の中に人物が含まれていないという情報と、前記フォーカス制御手段において合焦している被写体の距離が所定距離よりも短いという情報とに基づき、マクロ画像を判別する構成とすることができる。このような構成によれば、装置側においてマクロ画像の判別を行うことができるので、ユーザーにおけるモード選択が不要になるため、使い勝手を向上させることができる。
また、前記シーン判別手段は、前記フォーカス制御手段において合焦している被写体の距離と、前記画像生成手段で生成された画像の中に人物が含まれていないという情報と、前記被写体の明るさの情報と、前記補助光発光手段から出射した補助光のうちの被写体から反射した光の光量と、前記ストロボ発光手段が非発光に設定されているという情報とに基づき、夜景画像を判別し、前記ストロボ発光手段が発光可能な設定になっている場合は、前記ストロボ発光手段を赤目軽減スローシンクロの設定で発光可能な状態とする構成とすることができる。このような構成によれば、夜景を背景に人物を撮影する場合(人物判定、または夜景を含む人物判定ができなかった場合)、背景である夜景とともに人物を高画質に撮影することができる。
また、前記シーン判別手段は、前記ズーム制御手段及び前記フォーカス制御手段からの情報に基づき、複数の被写体距離を判別し、前記被写体距離の判定閾値は、前記ズーム制御手段からのズーム倍率情報によって可変とした構成とすることができる。このような構成よれば、ズーム倍率にかかわらず、一定の画角であれば、同じ被写体距離(たとえば、マクロ画像の被写体の距離を示すマクロ距離)を得ることができ、同じのシーン判定(たとえばマクロ画像の判定)を得ることが可能となる。
(実施の形態)
〔1.撮像装置の構成及び基本動作〕
図1は、実施の形態における撮像装置の一例であるデジタルカメラの正面図を示す。図2は、撮像装置の側面図であり、撮像装置において表示部が搭載されている面(以下、背面と記す)を示している。図3は、撮像装置の平面図であり、撮像装置においてレリーズボタンなどが配されている面(以下、上面と記す)を示している。
図1〜図3に示すように、撮像装置1は、レリーズボタン2、ズームスイッチ3、電源スイッチ4、撮像部5、ストロボ6、補助光発光部7、表示部8、モードダイヤル9を備えている。撮像部5、ストロボ6、および補助光発光部7は、撮像装置1の前面(撮影時に被写体側を向く面)に配されている。また、レリーズボタン2、ズームスイッチ3、および電源スイッチ4は、上面に配されている。また、表示部8及びモードダイヤル9は、背面に配されている。なお、図1〜図3に示す各手段の配置や形状などは一例である。
レリーズボタン2は、撮影者によって押圧操作されることで、撮像素子で撮像されている電気信号を映像信号として取り込むことができる。また、レリーズボタン2は、全ストローク量の約半分までストロークさせた際に内部のスイッチが押圧操作される半押し操作と、全ストローク量に相当する量をストロークさせた際に内部のスイッチが押圧操作される全押し操作とを操作可能である。例えば、半押し操作した際はAF動作が行われ、全押し操作した際は撮影動作が行われる。
ズームスイッチ3は、レリーズボタン2の外周縁に沿った位置に配され、レリーズボタン2の周方向に回転自在に配されている。ズームスイッチ3を所定の回転角度分回転操作することで、撮像部5内のズームレンズを光軸方向へ移動させ、撮像素子に結像される光学画像の拡大または縮小を行うことができる。なお、ズーム動作は、ズームレンズを移動させる光学ズームに限らず、映像信号を信号処理で拡大または縮小する電子ズームも含む。
電源スイッチ4は、スライドスイッチで構成され、一方向へスライドさせると電源ON、他方向へスライドさせると電源OFFになるように操作することができる。
撮像部5は、フォーカスレンズやズームレンズなどから構成されるレンズ部や、レンズ部を通して入射される光学画像を撮像し電気信号(映像信号)を出力する撮像素子などが内蔵されている。
ストロボ6は、レリーズボタン2の動作と同時に閃光を発光することができる。ストロボ6の発光は、撮像装置1内における任意の設定によって、発光可能モードと非発光モードとを切り換えることができる。なお、本実施の形態では、撮像装置1の周囲の明るさを検知して自動的に発光/非発光を切り換える自動発光モード(AUTOモード)と、強制的に非発光とする強制非発光モード(強制OFFモード)とを備えている。
補助光発光部7は、オートフォーカス(以下AFと称する)を行うために必要な光量を確保できない時にAF補助光を出射し、被写体から反射した光を検知して、AF制御を行うためのものである。補助光発光部7は、例えば赤色光を発光する発光ダイオードで構成されている。
表示部8は、撮像中の画像(所謂スルー画像)、メニュー画面、撮影シーン情報や電池残量情報などの各種情報を表示することができる。本実施の形態では、表示部8は、液晶パネルで構成したが、有機EL素子やその他の表示素子で構成してもよい。
モードダイヤル9は、回転操作可能に配され、撮像装置1のモードを設定することができる。設定できるモードは、静止画を撮影可能な通常撮影モード、動きが速い被写体の撮影に適した高速撮影モード、被写体を近接撮影するのに適したマクロ撮影モード、情報媒体に記録されている画像を表示部7に表示可能な再生モードなどである。本実施の形態では、前述のモードに加えて、シーン自動選択モードを選択可能とした。なお、シーン自動選択モードの選択は、モードダイヤル9に限らず、専用ボタンやメニューから選択可能な構成とすることもできる。シーン自動選択モードの動作等については後述する。
カーソルキー10は、上下左右方向に指示操作が可能であり、上下左右の各操作部分には、所定の機能が割り当ててある。割り当てられている機能は、例えば、ストロボ6の発光/非発光の切り替え、セルフタイマー機能のON/OFF切り替え、ブラケット撮影の設定などである。また、表示部8にメニュー画面を表示させた時に、メニュー内に表示されているカーソルを所望の方向へ移動させるよう操作することもできる。
ボタン11は、カーソルキー10の中央に配置され、操作することで主に「決定」操作を行うことができる。
図4は、撮像装置の内部構成を示す。
ズームレンズ21は、光軸L上に移動可能に配されており、ズームモータ31によって動作制御される。ズームレンズ21を光軸L方向に移動させることで、CCD25の撮像面に結像される光学画像を拡大または縮小することができる。
絞り22は、光軸L上に配され、モータ32によって動作制御される。絞り22は、外部から入射する光を遮断可能な複数枚の羽根で構成され、その複数枚の羽根は光軸に対して略直交する方向に移動可能に配されている。その複数枚の羽根を光軸中心に近づけたり遠ざけたりすることで、外部から入射しCCD25の撮像面に到達する光の量を調節することができる。なお、絞り22の段数は、2段式であっても多段式であってもよい。
フォーカスレンズ23は、光軸L上に移動可能に配されており、フォーカスモータ33によって動作制御される。フォーカスレンズ23を光軸方向に移動させることによって、CCD25の撮像面に結像される光学画像のフォーカスを調整することができる。
シャッター24は、シャッター制御部34によって所定のタイミングで動作し、CCD25に入射する光を通過または遮断させるものである。
CCD(Charge Coupled Device)25は、ズームレンズ21、絞り22、フォーカスレンズ23、およびシャッター24を介して入射する光学的画像を電気的画像に変換して出力するものである。なお、本実施の形態では、CCDイメージセンサーで構成したが、CMOSイメージセンサーなど少なくとも光学的画像を電気的画像に変換する素子であればよい。
AFE(Analog Front End)26は、アナログ信号であるCCD25の出力画像信号をデジタル信号である画像データに変換する。また、AFE26は、画像信号のノイズ成分を除去するCDS(Correlated Double Sampling)回路、画像信号の大きさを調整するAGC(Automatic Gain Control)アンプ、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ(いずれも図示せず)などを含むLSIである。
信号処理部27は、AFE26から出力される画像データを記録媒体28に記録可能な形式に変換する処理、表示部29に表示可能な形式に変換する処理、ホワイトバランス制御などにより画像データの画質を調整する処理などを実行するものである。
記録媒体28は、信号処理部27の制御により画像データやそれに付随する各種情報を記録する媒体である。なお、本実施の形態では、記録媒体28は半導体メモリを内蔵したメモリカードで構成したが、ディスク状媒体など他の形態の媒体であってもよい。
表示部29は、信号処理部27から出力される画像データに基づいて画像を表示させることができる。具体的には、入力される画像データを、表示可能な信号に変換(例えばアナログ画像信号への変換)する表示制御回路や、実際に画像を表示するディスプレイなどで構成される。ディスプレイは、例えば1〜3インチ程度の液晶ディスプレイで構成されるが、EL(Electro-Luminescence)素子など、少なくとも画像を表示させることができるディスプレイであればよい。
操作部30は、撮像装置1の各種操作を行うことができるものであり、図1〜図3に示す各種操作手段のうち、レリーズボタン2、ズームスイッチ3、モードダイヤル9を除く操作手段が含まれる。
シャッター制御部34は、カメラ制御部38からの制御により、シャッター24を動作制御するものである。具体的には、カメラ制御部38で算出されたシャッタースピードに基づいて、シャッター24の開閉タイミングを制御する。
ズーム制御部35は、カメラ制御部38からの制御により、ズームレンズ21を駆動するモータ31を動作制御するものである。具体的には、ズーム制御部35は、操作部30に含まれるズームスイッチ3(図1等参照)が望遠側または広角側に操作された際に、カメラ制御部38からの制御によりモータ31を正転または反転させるよう制御する。
絞り制御部36は、カメラ制御部38からの制御により、絞り22を駆動するモータ32を動作制御するものである。具体的には、絞り制御部36は、カメラ制御部38において算出された絞り量に基づき、絞り22を開閉動作させるようモータ32の動作を制御する。
フォーカス制御部37は、カメラ制御部38からの制御により、フォーカスレンズ23を駆動するモータ33を動作制御するものである。具体的には、フォーカス制御部37は、レリーズボタン2が半押し操作された際に、カメラ制御部38からの制御によりモータ33を正転または反転させるよう制御する。
カメラ制御部38は、システム制御部40からの命令により、シャッター制御部34、ズーム制御部35、絞り制御部36、フォーカス制御部37などの撮像系の動作を制御する。具体的な制御内容については後述する。
ジャイロセンサ39は、撮像装置1の揺れや振動を検出するセンサである。ジャイロセンサ39による検出結果は、通常は撮像装置1に搭載されている手振れ補正機能を動作させる際に利用されるが、本実施の形態では、撮像装置1がユーザーの手に把持されている状態なのか、三脚などの固定手段に固定されている状態なのかを判別するのにも利用されている。
システム制御部40は、撮像装置1内の各部を制御するものである。具体的な制御内容については後述する。また、システム制御部40は、撮像された画像の中に人物(顔)が存在するか否かを判断する人物判断制御部40aを備えている。
なお、ズームレンズ21、絞り22、フォーカスレンズ23、シャッター24、およびCCD25は、撮像手段の一例である。また、撮像手段、AFE26、および信号処理部27は、画像生成手段の一例である。また、システム制御部40は、シーン判別手段の一例である。
また、シーン判別手段は、画像生成手段で生成された画像および/または被写体に関する情報に基づき、撮影シーンを判別することができる。被写体に関する情報とは、画像生成手段で生成された画像から得られる情報以外の情報であって、例えば、フォーカス情報などがある。なお、撮影シーンの判別は、画像生成手段で生成された画像および被写体の情報の両方を用いて行う構成としてもよいし、いずれか一方のみを用いて行う構成としてもよい。
以下、撮像装置の撮影時の基本動作について説明する。
電源スイッチ4(図1参照)が操作されて撮像装置1の電源が投入されると、システム制御部40は装置内の各部を起動制御する。次に、外部から入射する光学的画像は、対物レンズ(不図示)、ズームレンズ21、絞り22、フォーカスレンズ23、シャッター24を介してCCD25に入射する。CCD25は、入射する光学的画像を電気的画像に変換してAFE26へ出力する。AFE26は、CCD25から出力される電気的画像に対してノイズ除去やデジタル変換処理などの信号処理を行い、信号処理部27へ出力する。信号処理部27は、AFE26から出力される画像データに対してホワイトバランス制御などの画像処理を行い、表示部29に表示可能な画像信号に変換し、表示部29に出力する。表示部29は、信号処理部27から出力される画像信号に基づく画像(スルー画像)を表示する。
次に、表示部29にスルー画像が表示されている状態で、ズームスイッチ3が望遠側あるいは広角側に操作されると、カメラ制御部38は、ズーム制御部35に対してズーム動作を行うように命令する。ズーム制御部35は、カメラ制御部38からの命令に基づき、モータ31を動作させてズームレンズ21を光軸方向へ所定量移動させる。これにより、CCD25の撮像面に結像される光学的画像の拡大または縮小を行うことができる。
また、表示部29にスルー画像が表示されている状態で、レリーズボタン2が半押し操作されると、システム制御部40はカメラ制御部38に制御命令を送り、カメラ制御部38はフォーカス制御部37に対して合焦動作を行うように命令する。フォーカス制御部27は、カメラ制御部38からの命令に基づき、モータ33を動作させてフォーカスレンズ23を光軸方向へ所定量移動させる。これにより、CCD35の撮像面に結像される光学的画像の焦点を合わせることができる。
次に、レリーズボタン2が全押し操作されると、カメラ制御部38は、シャッター制御部34に対してシャッター動作を行うように命令する。具体的には、電子シャッターを動作させて、CCD25に入射する不要な光学的画像を捨てたのち、所定時間に渡ってCCD25に光学的画像を入射させたあと、シャッター24を閉じて、CCD25に入射する不要な光学的画像を遮断してCCD25から信号処理部27に転送させる。CCD25は、入射する光学的画像を電気的画像に変換してAFE26へ出力する。AFE26は、CCD25から出力される電気的画像に対してノイズ除去やデジタル変換処理などの信号処理を行い、信号処理部27へ出力する。信号処理部27は、AFE26から出力される画像データに対してホワイトバランス制御などの各種信号処理を行った後、表示部29に表示可能な画像信号に変換して表示部29に出力する。表示部29は、信号処理部27から出力される画像信号に基づく画像(モニタ画像)を表示する。また、信号処理部27は、AFE26から出力される画像データを、記録媒体28に記録可能な形式(例えばJPEG形式)に変換処理し、変換した画像データを記録媒体28に記録する。
本実施の形態の撮像装置では、上記モードに加えて、撮像中の画像に基づき撮影シーンを自動的に認識し、その認識結果に基づいて撮像装置1内の各種設定を制御する「シーン自動選択モード」を選択することができる。
〔2.シーン自動選択モードの動作〕
次に、モードダイヤル9で、シーン自動選択モードが選択された場合の動作について説明する。シーン自動選択モードにおいて自動認識可能なシーンは、「人物」、「風景」、「夜景」、「夜景&人物」、「マクロ」である。また、いずれのシーンにも認識されなかった場合は、インテリジェントオートモード(以下、iAモードと称する)となる。シーン自動選択モードにおいては、撮像中の画像やフォーカス情報などに基づいて、上記5個のシーンのうちの一つ、またはiAモードが選択される。以下、各シーンを認識した時における、撮像装置1の設定内容について説明する。
まず、撮像中の画像において人間の顔が存在することを自動認識(人物認識)すると、ポートレート専用プログラム線図に基づく処理、色再現設定で彩度を上げる処理、ポートレート設定のガンマ補正処理、ポートレート設定の肌色補正処理、輪郭強調補正ゲインを通常より弱めに設定する処理、三脚判定によるISO感度及びシャッタースピード制御の処理などを行う。また、絞りは開放優先に設定し、人物の背景を暈けさせる処理を行う。このように処理することで、被写体となっている人物を引き立てて撮影することができる。なお、本実施の形態では、シーン自動選択モードにおいて、人物認識によって設定されたモードを「インテリジェント人物モード(以下、i人物モード)」と称する。
また、撮像中の画像が風景であることを認識すると、ガンマ補正を硬調に設定し、輪郭強調補正ゲインを高く設定し、風景用のオートホワイトバランス制御などの処理を行う。このように処理することで、画像全体のシャープ感を上げ、広がりのある風景を撮影することができる。なお、風景認識において肌色補正を強めに設定する処理も行うことができる、これは、被写体として人物が撮影されているにもかかわらず、人物認識されなかった場合を考慮するためである。人物の認識は、顔の有無で判断されるので、例えば、被写体となっている人物が撮像装置1に対して正面を向いていない場合、被写体の位置が撮像装置1に対して遠くて顔が小さい場合、顔面にマスクを装着している場合などは、人物として認識されない場合がある。このような場合、ガンマ補正硬調処理及び輪郭強調補正ゲイン上昇処理によって、人物の肌色部分の画質が低下してしまう可能性があるが、肌色補正処理を行うことで人物の肌色部分の画質の低下を防いでいる。なお、本実施の形態では、シーン自動選択モードにおいて、風景認識によって設定されたモードを「インテリジェント風景モード(以下、i風景モード)」と称する。
また、撮像中の画像が夜景であることを認識すると、シャッター24を制御してシャッタースピードを長めにする処理、夜景専用プログラム線図に基づく処理、夜景用のオートホワイトバランス処理、ガンマ補正を硬調に設定する処理、三脚判定によるISO感度及びシャッタースピード制御などの処理を行う。このように処理することで、鮮やかな夜景を撮影することができる。なお、本実施の形態では、シーン自動選択モードにおいて、夜景認識によって設定されたモードを「インテリジェント夜景モード(以下、i夜景モード)」と称する。
また、撮像中の画像が夜景及び人物であることを認識すると、色再現設定で彩度を上げる処理、ポートレート設定のガンマ補正処理、ポートレート設定の肌色補正処理、輪郭強調補正ゲインを通常より弱めに設定する処理、ストロボを赤目補正スローシンクロモードにする処理、三脚判定によるISO感度及びシャッタースピードを制御する処理を行う。このように処理することで、夜景を含む人物の画像を撮影する場合(例えば夜景を背景にして人物を撮影する場合)、人物を明るく撮影できるとともに、夜景である背景も明るく撮影することができる。なお、本実施の形態では、シーン自動選択モードにおいて、夜景&人物認識によって設定されたモードを「インテリジェント夜景&人物モード(以下、i夜景&人物モード)」と称する。
また、撮像装置1がマクロ撮影を行っていることを認識すると、色が飽和していると判断した場合に色再現設定で彩度を下げる処理、輪郭強調補正ゲインを弱めに設定する処理、三脚判定によるISO感度及びシャッタースピード制御の処理などを行う。このように処理することで、近接した被写体を高画質に撮影することができる。なお、本実施の形態では、シーン自動選択モードにおいて、マクロ認識によって設定されたモードを「インテリジェントマクロモード(以下、iマクロモード)」と称する。
以下、撮像装置1の各状態におけるシーン自動選択動作について説明する。
〔2−1.モニタ状態における動作〕
撮影装置1がモニタ状態の時におけるシーン自動選択動作について説明する。なお、モニタ状態とは、CCD25で撮像された画像に基づき表示部29にスルー画像が表示されている状態のことである。また、モニタ状態においてシーン自動選択モードが選択されると、シーンの認識による判定結果は「i人物モード」「i風景モード」「iマクロモード」「iAモード」のいずれかとなる。
図5は、モニタ状態におけるシーン自動選択動作の流れを示す。まず、モードダイヤル9が操作されてシーン自動選択モードが選択されると、システム制御部40はカメラ制御部38を制御して、フォーカス、絞り、ホワイトバランスなどの設定を初期値に設定する。ここでいう初期値とは、シーンの自動認識を行っていない時の各部の設定値のことである。
システム制御部40は、シーン自動選択モードに移行すると、信号処理部27から画像データを読み出して、人物判断制御部40aにおいて画像中に人物の顔が存在するか否かを判断する(S11)。システム制御部40は、人物判断制御部40aが画像中に人物の顔が存在すると判断すると、i人物モードに設定する(S18)。この時、システム制御部40は、人物認識を行うのみで、i人物モードに対応した各種設定変更や画像処理はまだ行わない。
また、S11において人物の顔を認識しなかった場合は、次にズームレンズ21及びフォーカスレンズ23の位置関係に基づき、被写体距離を判定する(S12)。この時、判定される被写体距離としては、最も距離が短い「マクロ距離」、最も距離が長い「風景距離」、マクロ距離と風景距離との中間の「通常距離」、被写体距離の計測が不可能な「不明」である。なお、本実施の形態において判定可能な被写体距離は、上記以外を含むものとする。
また、本実施の形態では、ズーム倍率によって、「マクロ距離」「風景距離」「通常距離」の判定閾値を可変としている。判定閾値を可変としている理由は、撮影した画像中の主要被写体の大きさ(画角に占める割合)は、例えば「広角端で被写体の距離10cm=望遠端で被写体の距離1.5m」で同じぐらいになる。マクロ距離であると判断すべき被写体の距離(実際の距離)は、広角端と望遠端とで全く異なるが、画角が同様であれば同じ被写体距離(マクロ距離など)が得られる。したがって、ズーム倍率によって被写体距離の判定閾値を可変とすることで、ズーム倍率によって、マクロ距離であると判定される画角を同じにすることができる。
システム制御部40は、被写体距離がマクロ距離であると判断すると、iマクロモードに設定する(S15)。この時、システム制御部40は、マクロ認識を行うのみで、iマクロモードに対応した各種設定変更や画像処理はまだ行わない。
また、システム制御部40は、被写体距離が風景距離であると判断した場合(S13におけるYES判定)は、撮影環境における照度に基づき、屋外撮影を行っているか否かの判定を行う(S14)。具体的には、明るさ情報であるEV値を算出し、そのEV値の大きさから「低照度」、「通常照度」、「屋外照度」であるかを判定する。なお、本実施の形態において判定可能な照度は、上記以外を含むものとする。
S14の判断の結果、屋外照度(屋外撮影)であると判断すれば、i風景モードに設定する(S17)。この時、システム制御部40は、風景認識を行うのみで、i風景モードに対応した各種設定変更や画像処理はまだ行わない。
また、S14の判断の結果、屋外照度ではないと判断すれば、iAモードに設定する(S16)。
上記S11〜S18までの処理を、一定間隔毎に行う。
次に、システム制御部40は、S15〜S18のうちのいずれか1つのモードに判断された結果が、一定期間(例えば10VD。1VD=1/30秒)以上同じ結果が続くか否かの判断を行う(S19)。
システム制御部40は、S19の判断の結果、1つのモードが一定期間(例えば10VD)以上続けば、カメラ制御部38に保持されているISS判定結果(ISS:Intelligent scene selector)の情報を更新する(S20)。カメラ制御部38は、更新されたISS判定結果に基づき、撮像系の設定や画像処理を行うように制御する。
次に、システム制御部40は、表示部29に表示される画像にOSD表示(On Screen Display)させるマークの画像データを生成する。信号処理部27は、システム制御部40で生成されたOSD表示用の画像データと、AFE26から出力される画像データとを重畳し、表示部29に出力する。表示部29は、信号処理部27から出力される画像データに基づく画像を表示する。
図8Aは、i人物モードに設定された時の表示例を示す。図示のように、被写体画像81に重畳して、i人物モードであることを表すマーク82を表示する。また、図8Bは、i風景モードに設定された時の表示例を示す。同様に、被写体画像81に重畳して、i風景モードであることを表すマーク83を表示する。また、図8Eは、iマクロモードに設定された時の表示例を示す。同様に、被写体画像81に重畳して、iマクロモードであることを表すマーク86を表示する。なお、モードが変更された際に一時的にマークの色や大きさを変更する構成としてもよい。例えば、通常はマークを赤色で小さく表示しておき、モードが変更された時に一時的にマークを青色で大きく表示する方法がある。このように構成することで、モードが変更されたことを、ユーザーに対して視覚的に通知することができる。
以上のように撮像装置1がモニタ状態の時にシーン自動選択モードに移行されると、ズームレンズ21などの光学系の状態やEV値などから、i人物モード、i風景モード、iマクロモード、iAモードのいずれかを判断し、その判断結果に基づき撮像装置1内の撮像系などの設定を自動的に変更する。このように構成することで、ユーザーにおいて撮影シーンに適した撮影モードの選択を行う必要がなくなるため、使い勝手を向上させることができる。
〔2−2.レリーズボタン操作時の動作〕
撮影装置1がシーン自動選択モードの時に、レリーズボタン2が操作された時の動作について説明する。レリーズボタン2の操作には、全ストロークの約半分まで押圧操作する「半押し操作」と、全ストローク分押圧操作する「全押し操作」とがある。一般的な操作法としては、レリーズボタン2を半押し操作することで撮像装置のAF動作が行われ、半押し操作の状態から全押し操作することで撮影を行うことができるように構成されている。以下の説明では、レリーズボタン2を半押し操作する時の動作を一例として挙げて説明する。
図6は、シーン自動選択モードにおいてレリーズボタン2が操作された時の流れを示す。まず、撮像装置1がモニタ状態(図5に示すフローが完了した状態)の時に、レリーズボタン2が半押し操作されると、カメラ制御部38はフォーカス制御部37を制御して、AF動作を実行させる。
次に、システム制御部40は、信号処理部27から画像データを読み出して、人物判断制御部40aにおいて画像中に人物の顔が存在するか否かを判断する(S32)。システム制御部40は、人物判断制御部40aが画像中に人物の顔が存在すると判断すると、i人物モードに設定する(S39)。この時、システム制御部40は、人物認識を行うのみで、i人物モードに対応した各種設定変更や画像処理はまだ行わない。
また、S32において人物の顔を認識しなかった場合は、次にズームレンズ21及びフォーカスレンズ23の位置関係に基づき、被写体距離を判定する(S33)。この時、判定される被写体距離としては、最も距離が短い「マクロ距離」、最も距離が長い「風景距離」、マクロ距離と風景距離との中間の「通常距離」、被写体距離の計測が不可能な「不明」のいずれかである。システム制御部40は、被写体距離がマクロ距離であると判断すると、iマクロモードに設定する(S36)。この時、システム制御部40は、マクロ認識を行うのみで、iマクロモードに対応した各種設定変更や画像処理はまだ行わない。
また、システム制御部40は、被写体距離が風景距離であると判断した場合(S34におけるYES判定)は、撮影環境における照度に基づき、屋外撮影を行っているか否かの判定を行う(S35)。具体的には、明るさ情報であるEV値を算出し、そのEV値の大きさから「低照度」、「通常照度」、「屋外照度」のいずれであるかを判定する。
S35の判断の結果、屋外照度(屋外撮影)であると判断すれば、i風景モードに設定する(S38)。この時、システム制御部40は、風景認識を行うのみで、i風景モードに対応した各種設定変更や画像処理はまだ行わない。
また、S35の判断の結果、屋外照度ではないと判断すれば、iAモードに設定する(S37)。
上記S32〜S39に示すシーン判定処理は、レリーズボタン2が半押し操作された際に1回のみ実行される。
シーン判定処理の結果、iマクロモード(S36)またはi風景モード(S38)と判定された場合は、モニタ状態における判定結果に対して変更された判定結果か否かを判定する(S40)。もし、判定結果が変わった場合は、本フローにおける判定結果に基づいてカメラ制御部38におけるISS判定結果の情報を更新する(S52)。また、判定結果が変わっていない場合は、図6に示すフローを終了する。すなわち、モニタ状態におけるシーンの判定結果を継承する。
また、シーン判定処理の結果、i人物モードと判定された場合(S39)は、カメラ制御部38で算出されるEV値に基づき、補助光発光部7においてAF補助光を出射させる程度の照度か否かについて判断する(S47)。なお、AF補助光は、撮影環境における光量が十分でなく、AF動作を行うために必要な画像を得ることが困難である場合に発光させ、被写体から反射した光を検出してAF制御を行うためのものである。AF補助光を出射させるか否かは、撮像された画像の明るさに基づいて判断される。画像の明るさは、照度計を備えて計測する構成であってもよい。
S47において、AF補助光を出射させる程度の暗さではないと判断した場合は、i人物モードであると判断する(S51)。S47において、AF補助光を出射させる程度の暗さであると判断した場合は、ストロボ6の発光設定を確認する(S48)。ストロボ6の発光設定が「AUTO」(撮影環境の光量に応じて発光/非発光を自動判断するモード)に設定されている場合は、i夜景&人物モードと判断する(S49)。また、ストロボ6の発光設定が「強制OFF」に設定されている場合は、表示部29に「ストロボを開けてください」などのメッセージをOSD表示させ(S50)、i人物モードと判断する(S51)。すなわち、S39において一度、i人物モードであると判断した後、撮影環境の照度やストロボ6の発光設定に基づいて再度i人物モードであるかi夜景&人物モードであるかを判断している。
なお、S50に示すようなメッセージ表示は、撮像装置1本体に対して収納式のストロボ(例えば特開2004−151684号公報参照)の場合に有効なものであり、ストロボが収納式ではない場合は、「ストロボ発光をONにしてください」などのメッセージを表示させたり、何等メッセージを表示させないようにしてもよい。メッセージを表示させない場合は、自動的にストロボ発光の設定がONまたはOFFに設定される。
また、シーン判定処理の結果、iAモードと判定された場合(S37)は、カメラ制御部38で算出されるEV値に基づき、補助光発光部7においてAF補助光が出射されるか否かについて判断する(S41)。すなわち、撮影環境の照度が低くてAF動作が困難な場合は、AF補助光を出射させるように自動設定され、撮影環境の照度がAF動作可能な照度である場合は、AF補助光を出射させないように自動設定される。
S41において、AF補助光を出射させない場合は、iAモードと判定される(S45)。また、S41において、AF補助光を出射させる場合は、被写体から反射するAF補助光の有無に基づいて被写体の有無を判定する(S42)。具体的には、AF補助光を出射させる前の撮像画像の輝度と、AF補助光を出射させた時の撮像画像の輝度とを比較し、その輝度差に基づいて被写体が存在するか否かを判断する。被写体が存在する場合はAF補助光が被写体で反射するので、前記輝度差が大きくなり、被写体が存在しない場合はAF補助光が反射しないので、前記輝度差が小さくなる。
S42において、被写体があると判断した場合は、iAモードと判定される(S45)。また、S42において、被写体が無いと判断した場合は、S44へ進む。また、S42において、被写体の存在判定が困難(被写体から反射するAF補助光の光量が少ない場合等)な場合は、被写体距離が風景距離か否かについて判断する(S43)。被写体距離の判断方法は、前述のS33における判断方法と同様である。
S43において、被写体距離が風景距離ではないと判断した場合は、iAモードと判定される(S45)。また、S43において、被写体距離が風景距離であると判断した場合は、ストロボ6の発光設定を確認する(S44)。
S44において、ストロボ6の発光設定が「AUTO」に設定されている場合は、iAモードと判定する(S45)。また、S44において、ストロボ6の発光設定が「強制OFF」に設定されている場合は、i夜景モードと判定する(S46)。なお、ストロボ6の発光設定が「AUTO」に設定されていたとしても、i夜景モードと判定する構成とすることもできる。
以上の処理により、i人物モード(S51)、i夜景モード(S46)、またはi夜景&人物モード(S49)のうちのいずれか1つに判定された場合は、カメラ制御部38のISS判定結果の情報を更新する(S52)。具体的には、AE(Auto Exposure)の設定値、ホワイトバランスの設定値、および画質設定が、判定されたモードに合わせて変更される。
次に、システム制御部40は、表示部29に表示される画像にOSD表示させるマークの画像データを生成する。信号処理部27は、システム制御部40で生成されたOSD表示用の画像データと、AFE26から出力される画像データとを重畳し、表示部29に出力する。表示部29は、信号処理部27から出力される画像データに基づく画像を表示する(S53)。図8A〜図8Eは、表示部29に表示される画像の一例を示す。この時、ストロボ6の発光設定が強制OFFに設定されている場合は、その情報もOSD表示させる。
以上のように撮像装置1がシーン自動選択モードの時にレリーズボタン2を操作(半押し操作または全押し装置)に移行されると、ズームレンズ21などの光学系の状態などから、i人物モード、i風景モード、i夜景モード、i夜景&人物モード、iマクロモード、iAモードのいずれかを判断し、その判断結果に基づき撮像装置1内の撮像系などの設定を自動的に変更する。このように構成することで、ユーザーにおいて撮影シーンに適した撮影モードの選択を行う必要がなくなるため、使い勝手を向上させることができる。
なお、上記説明では、レリーズボタン2が半押し操作された時の処理の流れについて説明したが、レリーズボタン2を全押し操作しても同様に処理される。上記のようにレリーズボタン2を半押し操作した時は、図8A〜図8Eに示すように表示部29に表示されるマークは、シーンの認識が確定した時(S53)に表示されるが、レリーズボタン2をモニタ状態から全押し操作した時は、S53のタイミングでマークを表示させても、マークが瞬間的に表示されるのでユーザーにおいてマークの内容を認識するのは困難である。そこで、本実施の形態では、モニタ状態からレリーズボタン2を全押し操作した時は、オートレビュー時にマークを表示させることで、ユーザーにおいてマークを視認することができる。なお、オートレビューとは、レリーズボタン2を全押し操作し、シャッター24が動作して1枚の画像が取り込まれ、取り込まれた画像を表示部29に表示させる機能である。
また、S44においてストロボ6の発光設定が「AUTO」であると判断され、実際に撮影環境の光量が少なくストロボ6が自動発光される状態になった時は、ストロボ6の発光設定は「赤目軽減スローシンクロモード」となる。赤目軽減スローシンクロモードとは、ストロボ6の発光とともにシャッタースピードを遅くして、背景の夜景などを明るく撮影することができるとともに、人物における赤目現象を軽減させるモードである。このモードは、夜景を背景に人物を撮影する場合に適している。
また、i夜景モードあるいはi夜景&人物モードと判定された場合は、撮像装置1がユーザーの手に把持されているか三脚などの固定手段に固定されているか否かを判断し、その判断結果に基づいてシャッタースピードを変える構成としてもよい。例えば、撮像装置1がユーザーの手に把持されている場合は、シャッタースピードを1/8秒以下に設定して画像のブレを極力抑え、撮像装置1が固定手段に固定されている場合は、シャッタースピードを1〜8秒程度に設定して明るい画像を撮影する。
〔2−3.記録時の動作〕
図7は、シーン自動選択モードにおいて、レリーズボタン2が全押し操作された後の処理の流れを示す。図7に示す処理は、ストロボ6を調光発光(プリ発光)させた後に1回のみ実行される。したがって、図7に示す処理は、ストロボ6の発光設定が「AUTO」に設定されている時のみに実行される。
レリーズボタン2が全押し操作されると、まず現在の撮像装置1のモードがi夜景&人物モードであるか否かについて判断する(S61)。これは、図6に示すシーン判定の結果に依存する。
S61において、i夜景&人物モード以外のモードであると判断されれば処理を終了する。また、S61において、i夜景&人物モードであると判断されれば、背景の有無を判断する(S62)。具体的には、ストロボ6の調光発光前に取り込んだ画像における背景部分(被写体以外の部分)の輝度値と、ストロボ6の調光発光後に取り込んだ画像における背景部分の輝度値との差分値が所定値以上であれば、背景があると判断する。また、前記差分値が所定値未満であれば、背景が無いと判断する。つまり、背景が存在すれば、調光発光時に背景から反射光が得られるため、調光発光前の画像に比べて輝度が高くなる。一方、背景が存在しなければ、調光発光を行っても背景から反射光が得られないため、調光発光前の画像に対して輝度は大きく変わらない。このように、調光発光前後の輝度値の差分値に基づいて、背景の有無を判断することができる。
S62において、背景があると判断されれば、i人物モードであると判定する(S63)。また、S62において、背景が無いと判断されれば、i夜景&人物モードのままである。ストロボ6の発光量も、図6のS49で設定された発光量のままである。
i人物モードであると判断された場合(S63)は、カメラ制御部38におけるISS判定結果の情報を更新する(S64)。具体的には、同モードに合わせて設定されたAEの設定値、ストロボ6の発光量、ホワイトバランスの設定値、画質設定の情報に更新する。ここで、ストロボ6を調光発光させた時のISO感度の設定値は、i夜景&人物モード(ユーザーが撮像装置1を手で把持している場合)の時で、手振れによる画質低下を抑えるためにシャッター速度を長くすることができず、その分の明るさを補うために、通常より高い設定、たとえば400に設定される。これに対し、i人物モードの時は、背景を明るく写すモードではないため、通常の設定、またはi夜景&人物モード(ユーザーが撮像装置1を手で把持している場合)に比べて低い設定、たとえば100に設定される。調光発光の後でi人物モードと判定した場合、調光発光に基づき発光量を計算した時はISO感度が400に設定されるのに対して、本発光ではISO感度が100に設定されるので、調光発光時に計算した発光で本発光させると画像が暗くなってしまう。そこで、調光発光時に計算した発光量を係数倍し、それでも明るさが不足している場合はISO感度を上げる。したがって、レリーズボタン2を半押し操作した時にi夜景&人物モードに設定され(図6のS49)、調光発光後にi人物モードに変更されると(S63)画像が暗くなるため、S64においては、画像が暗くなる分を考慮したISS判定結果に更新する。カメラ制御部38は、ISS判定結果を基に、暗くなる分を考慮して撮像系の制御を行う。
なお、ISO感度の設定値は、i夜景&人物モード(ユーザーが撮像装置1を手で把持している場合)の時でも100に設定して調光する構成とすることもできる。この場合、ISO感度100でストロボ6を調光発光させて、判定結果がi夜景&人物モードのままの時は、そのままの発光量でストロボ6を本発光させると明るくなりすぎる(つまり、撮像装置1をユーザーが手で把持しているため、手振れによる画質低下を抑えるためにシャッター速度を長くすることができず、その分の明るさを補うためにISO感度が400に設定されるから)。そこで、算出される発光量を所定の係数で除算することで発光量を抑え、適切な明るさの画像を撮影することができるようにする。
次に、システム制御部40は、表示部29に表示される画像にOSD表示させるマークの画像データを生成する。信号処理部27は、システム制御部40で生成されたOSD表示用の画像データと、AFE26から出力される画像データとを重畳し、表示部29に出力する。表示部29は、信号処理部27から出力される画像データに基づく画像を表示する(S65)。図8A〜図8Eは、表示部29に表示される画像の一例を示す。
ここで、シーン判別とその判別結果に基づく設定内容をまとめたものを(表1)に示す。
(表1)は、前述したシーン自動判定モードにおいてシーンの判定に使用される情報と、シーン判定のタイミングと、シーン判定後の画像処理の設定内容及び効果を示している。(表1)に示すように、システム制御部40は、顔情報、フォーカス情報、EV情報、AF補助光を発光させた際の反射光の情報、ストロボ6を調光発光させた際の反射光の情報、およびストロボ6の発光設定の情報に基づき、i人物モード、i風景モード、i夜景モード、i夜景&人物モード、iマクロモードのいずれであるかを判別する。例えば、人物判定を行う際は顔情報のみを用い、風景判定を行う際はフォーカス情報とev情報とを用い、夜景判定を行う際はフォーカス情報とEV情報とAF補助光の反射情報とストロボ6の設定情報とを用い、夜景&人物判定を行う際は顔情報とEV情報と調光発光の反射情報とストロボ6の設定情報を用い、マクロ判定を行う際はフォーカス情報を用いる。なお、夜景判定を行う際にフォーカス情報を用いるのは必須ではない。
〔3.実施の形態の効果、他〕
本実施の形態によれば、シーン自動選択モードを備えたことにより、その時のシーンに適した撮影モードの選択を自動的に行うことができ、ユーザーにおける撮影モードの設定が不要になるため、使い勝手を向上させることができる。
また、シーン自動選択モードにおいて、被写体が人物であることを自動認識しそれに適した各種設定を行う構成としたことにより、肌色部分の補正処理など人物撮影に適した設定を自動的に行うため、使い勝手を向上させることができる。
また、シーン自動選択モードにおいて、被写体が風景であることを自動認識しそれに適した各種設定を行う構成としたことにより、ガンマ補正を硬調設定にするなど、風景の撮影に適した設定を自動的に行うため、使い勝手を向上させることができる。
また、シーン自動選択モードにおいて、被写体が夜景であることを自動認識しそれに適した各種設定を行う構成としたことにより、シャッタースピードの低速化やホワイトバランス制御など、夜景の撮影に適した設定を自動的に行うため、使い勝手を向上させることができる。
また、シーン自動選択モードにおいて、夜景を背景とした人物を自動認識しそれに適した各種設定を行う構成としたことにより、彩度設定の上昇処理、肌色部分の補正処理など、夜景及び人物の撮影に適した設定を自動的に行うため、使い勝手を向上させることができる。
また、シーン自動選択モードにおいて、被写体が近接位置にあることを自動認識しそれに適した各種設定を行う構成としたことにより、彩度設定を下げるなどマクロ撮影に適した設定を自動的に行うため、使い勝手を向上させることができる。
なお、シーン自動判別モードにおいて、判別可能なシーンの種類は一例であり、他のシーンを判別可能な構成としてもよい。例えば、被写体の速い動きを検出することで「スポーツモード」と判定し、シャッタースピードの高速化や手振れ補正機能の最適化などの設定を自動的に行う構成が考えられる。
また、シーン自動判別モードにおいて、シーン判定時に図8A〜図8Eに示すようなマークを表示部29に表示させる構成としたが、判定時に一時的にマークの色や大きさを変更する構成としてもよい。例えば、シーン判定時に一時的にマークの色を青色とし大きさを大きくし、その後マークの色を赤色とし大きさを小さくして表示する方法がある。このように構成することで、シーンの判定が行われたことを、ユーザーに対して視覚的に通知することができる。
また、シーン判定時にビープ音を発生させるように構成してもよく、このように構成することで、シーンの判定が行われたことをユーザーに対して音声で通知することができる。
また、本実施の形態では、シーン自動判定モードへの移行はモードダイヤル9で行う構成としたが、カーソルキー10などの他の操作手段によって移行可能な構成としてもよい。
また、本実施の形態では、モニタ状態においてi夜景モードやi夜景&人物モードの判定を行っていないが、モニタ状態においてもi夜景モードやi夜景&人物モードの判定を行う構成とすることもできる。例えば、モニタ状態においてi夜景モードを判定する場合は、フォーカス情報、EV情報、およびストロボ6の発光設定(つまり、AF補助光の反射情報以外の情報)に基づき判定する構成にすればよい。また、モニタ状態においてi夜景&人物モードを判定する場合は、顔情報、およびEV情報(つまり、ストロボ6に関する情報以外の情報)に基づき判定する構成にすればよい。
また、本実施の形態において、一眼レフカメラなどのようにレンズ交換型の撮像装置の場合は、ズームレンズ21、絞り22、フォーカスレンズ23、モータ31〜33はレンズユニットに備え、その他の構成はカメラユニットに備える構成とすることができる。なお、制御部の一部をレンズユニットに備える構成も考えられるが、本発明は、撮像装置のシステム構成を限定するものではない。