JPWO2008136076A1 - ミクロトーム用の替刃及びカール抑制板 - Google Patents
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Abstract
Description
ところが、特許文献1及び特許文献2の安全ガードは替刃ホルダの長手方向全長に亘って配置されるとともに、前記替刃ホルダに対して揺動自在に連結される構成となっている。このため、特許文献1及び特許文献2の安全ガードは安全ガード自体が大きくなる問題がある。
替刃10は、替刃部材20とカール抑制板30とから構成されている。替刃部材20は、図2(b)に示すように従来構成と同様に長方形状に形成され、その替刃部材20の前縁部には直線状に延びる刃先22が形成されている。替刃部材20の材質は、一般的にはステンレスであるが、セラミックス等の他の材質を排除するものではない。
本実施形態では、カール抑制板30は、金属プレートを所定の形状に打ち抜くことにより形成される。カール抑制板30の材質は、限定されるものではなく、ステンレス、ステンレス以外の鋼鉄、真鍮、アルミニウム、それ以外の非鉄金属や、或いは、プラスチック、ガラス等の非金属でもよい。
又、スリット36の前縁38は替刃部材20の刃先22を基準として前方へオフセット量L1を有するように離間して配置されている。この場合、オフセット量L1は、0.2〜0.5mm、さらには0.1〜0.5mmであることが望ましいが、この数値に限定されるものではなく、オフセット量L1を0としてもよく、或いは僅かに刃先より図4(a)の右方向であってもよい。しかし、オフセット量L1は長くても2mm以下が好ましい。このオフセットが2mm以下である理由は、刃先22と前縁38との間隙がこれよりも長いと、刃先22により削り出された薄片がカール抑制板部32に乗る前にカールしてしまうからである。なお、前縁38は、スリット36の切断方向側縁部に相当する。
替刃部材20の刃先22を基準としてスリット36の後縁37における後方へのオフセット量L2には制限はない。しかし、替刃部材20の刃先22に後縁37がより近接した方が刃先22のチャタリング防止、すなわち、刃先22のビビリ防止のためには望ましい。例えば、オフセット量L2を0.5mm以下とすることも一例である。
なお、カール抑制板部32の表面に対して、特に、上面に対して、潤滑材がコーティングされていてもよい。潤滑材のコーティングとしては、例えば、固体潤滑材のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)でのコーティングを挙げることができるが、この潤滑材に限定されるものではなく、薄片Hとの摩擦が軽減されるものであればよい。
替刃ホルダ50は図示しないミクロトームの刃物取付け台に着脱自在に設けられている。替刃ホルダ50は、本体60と押圧体70とから構成されている。本体60は、断面三角形をなすように形成され、その上面の前部及び後部には互いに平行に一対の直線状の溝61,62が形成されている。一対の溝61,62間には一対の図示しないネジ孔が所定の間隔をおいて設けられている。
図3に示すように替刃ホルダ50に取付けられた状態の替刃10は、ミクロトームの使用時には、図2(a)に示すように試料Sに対して相対的に移動される。すると、替刃部材20の刃先22は、図2(a)の左端部側から試料Sに斜めに切り込む。そして、試料Sが、スリット36の長手方向に沿って切断されていき、試料Sから薄片Hが図4(b)に示すように削り出される。このとき、削り出された薄片Hは、カールして、前縁38を上方に越えて前方に移動しカール抑制板部32に当接する。詳しくは、カール抑制板部32において、透孔39が設けられていない領域に薄片Hが当接することにより、薄片Hのカールが抑制され、さらに、替刃部材20と試料Sとが相対的に移動すると、薄片Hは徐々にカール抑制板部32にガイドされて2点鎖線で示すようにカールが抑制された状態で上方に移動する。
図4(c)は、比較例を示し、第1実施形態の替刃10の構成中、カール抑制板部32が省略されたものである。すなわち、ガード部33が枠状に形成された構成であって、ガード部33が連結部34を介して重合板部31に連結されたものであり、スリット36よりも開口面積が大きな窓部40が枠状のガード部33と後縁37とにより区画して形成されている。この比較例では、試料Sを替刃部材20の刃先22で切断すると、図4(c)に示すように、試料Sから削り出された薄片Hは、カール抑制板部32がないため、切断初期から切断終期までカールが継続される。
次に、本発明をカール抑制板30に具体化した第3実施形態を図6及び図7を参照して説明する。
図6に示すように打ち抜かれた金属プレートは、窓部41の周囲において重合板部31とガード部33とにより枠状に形成された支持枠32Bと、その支持枠32Bの両端において一対の連結部42を介して前記支持枠32Bに対して連結された板状のカール抑制部材32Aとを有する。
又、カール抑制部材32Aには、図6に示すように複数個の透孔39が長手方向に沿って併設されている。そして、連結部42とガード部33との間には、折曲部43が形成されている。この金属プレートは、折曲部43にてカール抑制部材32Aが180度反転されて折曲げられて支持枠32Bに対して重ね合わせるように折り畳まれるとともに、折曲部35にて、重合板部31とガード部33とが鈍角となるように折曲げられる。
このように形成されたカール抑制板30は、第1実施形態と同様にして、重合板部31の下面に替刃部材20が取付け固定されることにより、替刃10とすることができる。又、第2実施形態と同様に替刃ホルダ50上にて替刃部材20を重ねた状態にして使用することができる。
第4実施形態では、第3実施形態の構成中、連結部42、折曲部43が省略されている。その代わりに、打ち抜かれた金属プレートは、重合板部31とガード部33とにより枠状に形成された支持枠32Bと、長手方向に延出されたガード部33の中央部において単一の連結部44を介して前記支持枠32Bに対して連結された板状のカール抑制部材32Aとを有する。連結部44とガード部33との間には、折曲部45が形成されている。
この金属プレートは、折曲部45にてカール抑制部材32Aが180度反転されて折曲げられて支持枠32Bに対して重ね合わされるように折り畳まれるとともに、折曲部35にて、重合板部31とガード部33とが鈍角となるように折曲げられる。すると、図8(b)に示すように、カール抑制板30がカール抑制部材32Aと重合板部31とが鈍角をなすように配置されるともに、反転されたカール抑制部材32Aの一側縁部と窓部41の重合板部31側の縁部とによりスリット36が形成される。
カール抑制板30は、カール抑制部材32Aと、ガード部33により枠状に形成された支持枠32Bを備える重合板部31とにより構成されている。前記カール抑制部材32Aと、支持枠32Bを備える重合板部31は金属プレートをそれぞれプレスにより打ち抜くことにより形成されている。
上記のように構成されたカール抑制部材32Aは、図9(b)に示すように一対の把持片47とガード部33との間にその長手方向の両端部を把持片47の弾性に抗して差し込むことにより取付けられる。このとき、カール抑制部材32Aのストッパ48がガード部33の前縁に係止される。又、折曲部35にて、重合板部31とガード部33とが鈍角をなすように折曲げられる。
本実施形態によれば、カール抑制部材32Aが、支持枠32Bの把持片47に把持されることにより、支持枠32Bとは異なる材質のカール抑制部材32Aを使用することが可能となる。この結果、例えば、カール抑制部材32Aに低コストの材料を使用したり、逆に支持枠32B側、すなわち、重合板部31側に低コストの材料を使用したりすることができる。
本実施形態においても、第5実施形態と同様の作用効果を奏する。
このようにカール抑制板が構成されていることにより、試料から削り出された薄片のカールの抑制と手指等の損傷の防止とをカール抑制板部32にて行うことができるとともに、試料から削り出された薄片の状況を即座に視認することでき、さらに構成が簡単な替刃のカール抑制板を提供することができる。
特許文献2 特表2002−517715号公報
特許文献3 特開2003−130767号公報
特許文献4 米国特許出願公開第2006/0185490号明細書
特許文献5 特開昭51−134488号公報
特許文献6 実公昭63−4994号公報
特許文献7 特表平9−502516号公報
発明の開示
[0012]
この発明の目的は、試料から削り出された薄片のカールの抑制と切削作業時や替刃交換時の手指等の損傷の防止とを行うことができるとともに、試料から削り出された薄片の状況を即座に視認することでき、さらに構成が簡単なミクロトーム用の替刃部材のカール抑制板を提供することにある。
[0013]
又、この発明の他の目的は、試料から削り出された薄片のカールの抑制と手指等の損傷の防止とを行うことができるとともに、試料から削り出された薄片の状況を即座に視認することでき、さらに替刃交換を安全に行うことができ、構成が簡単なミクロトーム用の替刃を提供することにある。なお、替刃部材とは単に使い捨てに用いられる刃体のみならず、研ぎ直して使用される一本刀も含むものとする。
[0014]
[0015]
[0016]
この発明の第1の態様にかかる替刃部材のカール抑制板においては、ミクロトーム用の替刃部材に対して重ね合わされる重合板部と、前記重合板部に対して連結されて前記替刃部材の刃先よりも前方に配置されるガード部を有するカール抑制板部と
を備え、前記重合板部と前記カール抑制板部間には、前記重合板部に重ね合わされる替刃部材の刃先を露出するためのスリットが切断方向と交差するように前記重合板部の長手方向に沿って形成され、前記替刃部材の切断方向への移動によって試料から切削された薄片が前記スリットを介して前記カール抑制板部に乗り上げるように構成されている。
[0017]
このように第1の態様のミクロトーム用の替刃部材のカール抑制板が構成されていることによっても、試料から削り出された薄片のカールの抑制と切削作業時や替刃交換時の手指等の損傷の防止を行うことができるとともに、試料から削り出された薄片の状況を即座に視認することでき、さらに構成が簡単な替刃部材のカール抑制板にできる。
[0018]
第2の態様においては、前記カール抑制板部が前記重合板部に対して、鈍角をなすように斜状に配置されている。このようにカール抑制板部が前記重合板部に対して、鈍角をなすように斜状に配置されていると、試料から削り出された薄片は、カール抑制板部に対して当接された状態で、刃先前方に送られてカールの抑制がされる。又、試料から削り出された薄片は、刃先前方に送られるためその状況を作業者は即座に視認することできる。
[0019]
第3の態様においては、前記カール抑制板部には、複数の透孔が形成されている。カール抑制板部に複数の透孔が設けられていることにより、刃先前方より刃先側へ相対移動されてくる試料の切削される前の状況を作業者は透孔を介して視認することができる。又、透孔が形成されていることにより、薄片がカール抑制板部の表面に当接された際に、薄片が当接する表面が少なくなるとともに、薄片とカール抑制板部表面との間に透孔により空気を入れて、両者間の密着が防止されるため、薄片を滑り易くすることができる。
[0020]
第4の態様においては、前記カール抑制板部は、透明な部材にて形成されている。カール抑制板部は、透明な部材にて形成されていることにより、刃先前方より刃先側へ相対移動されてくる試料の切削きれる前の状況を作業者は透明なカール抑制板部を介して視認することができる。
[0021]
第5の態様においては、前記カール抑制板部の表面には、潤滑材がコーティングされている。カール抑制板部の表面には、潤滑材がコーティングされていることにより、薄片がカール抑制板部の表面に当接された際に滑り易くすることができる。
[0022]
第6の態様においては、前記カール抑制板部が、枠状をなすとともに前記重合板部に連結された支持枠と、前記支持枠に対して重ね合わせて取付けされたカール抑制部材とを含む。このように構成されていると、支持枠とカール抑制部材とが重ね合わされているため、カール抑制板部において支持枠と重ねた合わされた部位の剛性を結果として上げることができる。
[0023]
第7の態様においては、前記カール抑制部材が、前記支持枠に対して折り畳まれることにより、前記支持枠と重ね合わされている。このように、カール抑制部材が、前記支持枠に対して折り畳まれることにより、一枚の金属材にてカール抑制板部を形成することができる。
[0024]
第8の態様においては、前記支持枠には、前記カール抑制部材を把持する把持部が設けられ、前記カール抑制部材が同把持部にて把持されることにより、前記支持枠と重ね合わされている。このように、カール抑制部材が、前記支持枠の把持部に把持されることにより、支持枠とは異なる材質のカール抑制部材を使用することができ、例えば、カール抑制部材を低コストのものを使用したり、逆に支持枠側を低コストのものを使用したりすることができる。
[0025]
又、第9の態様にかかるミクロトーム用の替刃においては、上記した各態様のいずれか1つの記載のカール抑制板と、前記重合板部に対して重ね合わされて取付け固定された替刃部材とを含み、前記替刃部材の刃先が、前記スリットから露出するように配置されていることを特徴とする。
[0026]
このように第9の態様では、試料から削り出された薄片のカールの抑制と手指等の損傷の防止を行うことができるとともに、試料から削り出された薄片の状況を即座に視認することでき、さらに替刃交換を安全に行うことができ、構成が簡単なミクロトーム用の替刃とすることができる。
[0027]
又、第10の態様にかかるミクロトーム用の替刃においては、前記スリットの切断方向側縁部における前記替刃部材の刃先を基準としたオフセット量は、長手方向の一端部側の方が反対側の他端部側よりも長くなるようにされている。
[0028]
このように構成されていると、一般にミクロトーム用の替刃は、試料に対して斜めから切込される。そして、スリットの切断方向側縁部と刃先の間隔が狭いところから、試料
Claims (11)
- ミクロトーム用の替刃部材の刃先よりも前方に配置されるとともに、前記替刃部材により切削された薄片が当接することにより該薄片のカールを抑制し、かつ、作業者の手指の損傷を防止する部位を備えた替刃部材のカール抑制板。
- ミクロトーム用の替刃部材に対して重ね合わされる重合板部と、
前記重合板部に対して連結されて前記替刃部材の刃先よりも前方に配置されるガード部を有するカール抑制板部とを備え、
前記重合板部と前記カール抑制板部間には、前記重合板部に重ね合わされる替刃部材の刃先を露出するためのスリットが切断方向と交差するように前記重合板部の長手方向に沿って形成されていることを特徴とする替刃部材のカール抑制板。 - 前記カール抑制板部が前記重合板部に対して、鈍角をなすように斜状に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の替刃部材のカール抑制板。
- 前記カール抑制板部には、複数の透孔が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の替刃部材のカール抑制板。
- 前記カール抑制板部は、透明な部材にて形成されていることを特徴とする請求項3に記載の替刃部材のカール抑制板。
- 前記カール抑制板部の表面には、潤滑材がコーティングされていることを特徴とする請求項3に記載の替刃部材のカール抑制板。
- 前記カール抑制板部が、枠状をなすとともに前記重合板部に連結された支持枠と、前記支持枠に対して重ね合わせて取付けられたカール抑制部材とを含むことを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載の替刃部材のカール抑制板。
- 前記カール抑制部材が、前記支持枠に対して折り畳まれることにより、前記支持枠と重ね合わされていることを特徴とする請求項7に記載の替刃部材のカール抑制板。
- 前記支持枠には、前記カール抑制部材を把持する把持部が設けられ、前記カール抑制部材が同把持部にて把持されることにより、前記支持枠と重ね合わされていることを特徴とする請求項7に記載の替刃部材のカール抑制板。
- 請求項2乃至請求項9のいずれか1項に記載のカール抑制部材と、
前記重合板部に対して重ね合わされて取付け固定された替刃部材とを含み、
前記替刃部材の刃先が、前記スリットから露出するように配置されていることを特徴とするミクロトーム用の替刃。 - 前記スリットの切断方向側縁部における前記替刃部材の刃先を基準としたオフセット量は、長手方向の一端部側の方が反対側の他端部側よりも長くなるようにされていることを特徴とする請求項10に記載のミクロトーム用の替刃。
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