JPWO2008065883A1 - 圧力センサモジュール - Google Patents

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Abstract

本発明の圧力センサモジュール10は、圧力センサ11と、積層基板21とを有する。圧力センサ11のダイアフラム部14近傍には、電極17が形成される。積層基板21は、複数の基板21a,21bが積層されたものであり、圧力センサ11を内在させる。圧力センサ11を構成するダイアフラム部14の一面は空間部によって露呈される。本発明によれば、小型化、薄型化することが容易で、高密度に実装が可能な圧力センサモジュールを提供することができる。

Description

本発明は、半導体からなる基板を利用した圧力センサを備えた圧力センサモジュールに関する。
本願は、2006年11月29日に、日本に出願された特願2006−321896号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
小型で高精度な圧力センサとして、例えば、半導体基板の一部を薄板化したダイヤフラムを形成し、このダイヤフラムに加わる圧力を検出するピエゾ抵抗型圧力センサが知られている。
このような圧力センサは、単体での出力電圧が数mV〜数十mVと小さいため、用途によっては、こうした微弱な出力電圧を増幅する回路が必要となる。また、こうした圧力センサから出力される電圧は、温度環境によっても変動するため、正確な圧力の検出には温度による出力電圧の変動を補償する回路も必要となる。こうした出力電圧の増幅回路や温度補償回路などと、圧力センサとをプリント基板に実装した圧力センサモジュールも知られている(特許文献1参照)。
特許第3602238号公報
しかしながら、従来の圧力センサモジュールは、圧力センサと、出力電圧の増幅回路や温度補償回路などを備えた、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)チップなどをプリント配線基板に実装し、これら圧力センサとASICチップ、あるいは外部の接続端子とをワイヤボンディングで接続することによってモジュールを成していた。
こうした構造のため、従来の圧力センサモジュールは、小型化に限界があり、特に厚みを薄くすることが困難であるため、使用範囲が限定されていた。このため、薄型化された機器等にも組み込みが容易な、小型で高密度に実装が可能な圧力センサモジュールが望まれていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、小型化、薄型化することが容易で、高密度に実装が可能な圧力センサモジュールを提供することを目的とする。
本発明の圧力センサモジュールは、半導体基板の一部を薄板化したダイアフラム部と、該ダイアフラム部の近傍に配された電極とを有する圧力センサと、
該圧力センサを内在し、前記ダイアフラム部の少なくとも一面を露呈させる空間部と、前記電極と電気的に接続される配線部とを有する積層基板とを備える。
本発明の圧力センサモジュールにおいて、前記積層基板には、前記空間部と前記積層基板の外部とを連通させる圧力導入孔が更に配されることが望ましい。
本発明の圧力センサモジュールにおいて、前記半導体基板における前記ダイアフラム部を除いた外縁域に配された絶縁部と、該絶縁部上に配され、前記電極と前記配線部とを電気的に接続する導電体とを更に備えることが望ましい。
本発明の圧力センサモジュールにおいて、前記圧力導入孔は、少なくとも前記空間部との接続部分においては、前記ダイアフラム部の一面に沿った方向に延びていることが望ましい。
本発明の圧力センサモジュールにおいて、前記絶縁部は、複数の島状部に分割されてなることが望ましい。
本発明の圧力センサモジュールによれば、積層基板に圧力センサを内在させる空間部を形成することによって、基板の外側に圧力センサを実装していた従来の圧力センサモジュールと比べて、大幅な小型化、薄型化が達成され、高密度に実装が可能な圧力センサモジュールを提供できる。また、圧力センサモジュールの空間部は、ダイアフラム部の少なくとも一面を露呈させる形状であるので、圧力センサは積層基板に内在された状態でダイアフラム部に加わる圧力を確実に検出することができる。
さらに、積層基板に、圧力センサの電極と電気的に接続される配線部を形成することによって、圧力センサからの出力電流をワイヤボンディングなどの接続方法とることなく、積層基板に形成された、例えば出力電圧の増幅回路や温度補償回路などに直接接続できるので、圧力センサモジュールの大幅な小型化、薄型化が達成できるとともに、信頼性も向上させることができる。
本発明に係る圧力センサモジュールの一例を示す断面図である。 本発明に係る圧力センサモジュールを構成する圧力センサの断面図である。 本発明に係る圧力センサモジュールを構成する圧力センサの平面図である。 感圧素子(ゲージ抵抗)の電気的な配線図である。 本発明に係る圧力センサモジュールの他の一例を示す断面図である。 本発明に係る圧力センサモジュールの他の一例を示す平面図である。 本発明に係る圧力センサモジュールの他の一例を示す断面図である。 本発明に係る圧力センサモジュールの他の一例を示す断面図である。 本発明に係る圧力センサモジュールの他の一例を示す断面図である。 本発明に係る圧力センサモジュールの他の一例を示す断面図である。 本発明に係る圧力センサモジュールの他の一例を示す平面図である。 本発明に係る圧力センサモジュールの他の一例を示す断面図である。 本発明に係る圧力センサモジュールの他の一例を示す断面図である。 本発明に係る圧力センサの他の一例を示す断面図である。 本発明に係る圧力センサの他の一例を示す断面図である。 本発明に係る圧力センサの他の一例を示す断面図である。
符号の説明
10 圧力センサモジュール
11 圧力センサ
12 半導体基板
14 ダイアフラム部
16 絶縁部
17 電極
21 積層基板
22 空間部
23 配線部
82 導電体
105a〜105d 島状部。
以下、最良の形態に基づき、図面を参照して本発明に係る圧力センサモジュールを説明する。なお、後述する実施形態は、本発明の具体的な構成例であり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
(第一実施形態)
(1)圧力センサモジュール
図1は本発明の圧力センサモジュールの一例(以下、「第一実施形態」と呼ぶ)を示す断面図である。また、図2Aはこの圧力センサモジュールを構成する圧力センサの断面図であり、図2Bは圧力センサの平面図である。
図1に例示するように、本発明の圧力センサモジュール10は、半導体基板12の一部を薄板化したダイアフラム部14、該ダイアフラム部14の近傍(外縁域)に配された電極17とを有する圧力センサ11、該圧力センサ11を内在し、前記ダイアフラム部14の少なくとも一面を露呈させる空間部20、および前記電極17と電気的に接続される配線部23を有する積層基板21とを少なくとも備えている。また、前記電極17と配線部23との電気的接続は、例えば、導電ペーストPなどを用い行われる。
(2)各構成部分
(2−1)積層基板
図1の積層基板21は、2つの基板21a,21bを重ねてなる構成例である。なお、本発明における積層基板は、同一材料または異種材料からなる基板を少なくとも2つ以上重ねて設けたものであればよく、その重ねて設ける基板の数は特に限定されるものではない。すなわち、この第一実施形態では、2層の基板からなる積層基板を例示しているが、3層以上、複数の基板を重ねて配置した積層基板であってもよい。又、基板としては、フレキシブルプリント基板、又はリジット基板など公知の材料を使用することができる。
(2−2)空間部
空間部20は、圧力センサ11を構成するダイアフラム部14の外方に位置する少なくとも一面を露呈させる位置にある空間を指す。本発明における空間部は、ダイアフラム部の少なくとも一面を外部に対して露呈させる開放型の空間部であっても、また、ダイアフラム部の少なくとも一面を積層基板内部の空間に露呈させる空間部であっても、どちらでもよい。
(2−3)圧力センサ
圧力センサ11は、図2Aに示すように、その側断面が矩形を成しており、半導体基板12の内部に広がる空間(基準圧力室)13を備え、該空間13の上部に薄板化された領域をダイヤフラム部14としている。すなわち、ダイヤフラム部14を挟んで、外方に臨む領域を成す空間部20と、半導体基板12の内部に広がる空間13とが位置づけられる。この圧力センサ11は、積層基板21に内在している。本発明における圧力センサの内在とは、以下に述べる様々な形態がある(第一実施形態においては、下記Aの形態の一実施例である)。
A.圧力センサが、空間部に露呈されるダイアフラム部の外方に位置する一面以外は積層基板に収容されている形態。
B.圧力センサが、空間部に露呈されるダイアフラム部の外方に位置する一面およびそれに連なる側面の一部以外は積層基板に収容されている形態。
C.圧力センサが、重ねられた複数の基板に跨って収容されている形態。
D.圧力センサが、面方向に隣接して並べられた複数の基板によって収容されている形態。
(2−4)他の構成物
積層基板21には、圧力センサ11の電極17と電気的に接続される配線部23が配されている。配線部23は、導電ペーストPなどを介し、電極17から出力される圧力センサ11からの圧力信号を、積層基板21に形成された例えば増幅回路や温度補償回路などに接続する。
本発明の圧力センサモジュールは、以上のような構成を少なくとも備えている。
(3)第一実施形態の効果
第一実施形態に係る圧力センサモジュール10によれば、積層基板21に圧力センサ11を内在させ、ダイアフラム部14の少なくとも一面を空間部20に露呈させることによって、基板の外部に圧力センサを実装していた従来の圧力センサモジュールと比較して、大幅な小型化、薄型化を図ることが可能になる。空間部20により、ダイアフラム部14の少なくとも一面が外部に露呈させた形態となるので、圧力センサ11は積層基板21に内在された状態であっても、ダイアフラム部14に加わる圧力を的確に検出することができる。
また、積層基板21に、圧力センサ11の電極17と導電ペーストPなどを介し、電気的に接続される配線部23を形成することによって、圧力センサ11からの出力される信号をワイヤボンディングなどの接続方法を介さずに、積層基板21に形成された導電手段を介して、例えば出力電圧の増幅回路や温度補償回路などに直接接続することができる。ゆえに、従来のワイヤボンディング等において問題となっていた、外因による断線などの不具合の発生を抑制し、信頼性を向上させることができる。
(4)圧力センサの構成
図2Aは、積層基板21に内在される圧力センサの一例を示す模式的な断面図であり、図2Bは圧力センサの一例を示す模式的な平面図である。図2Aは図2Bに示すA−A線に沿った断面を表している。すなわち、図2Bはダイヤフラム部を設けた面である。
圧力センサ11は、半導体基板12の一面において、その中央域の内部に該一面と略平行して広がる空間(基準圧力室)13を備え、該空間13の上部に位置する薄板化された領域をダイアフラム部14とし、該ダイアフラム部14に感圧素子15を配してなる。感圧素子15は、例えば、ボロンなどの拡散により形成される。また、半導体基板12の一面において、ダイアフラム部14を除いた外縁域βに配され、感圧素子15ごとに電気的に接続された電極17を備えてなる。そして、感圧素子15と電極17とは、例えば、拡散により形成された配線18などにより電気的に接続されている。又、半導体基板12の一面には、酸化膜19が形成され、電極に17に対応する位置に開口が設けられている。そして、電極17の一部に、開口を有する酸化膜、又はチッ化膜などからなる絶縁膜16(パッシベ−ション膜)が形成される。
なお、ダイアフラム部14上の絶縁膜16は、なくても良い。ダイアフラム部14上の絶縁膜16を無くすことにより、絶縁膜による応力の影響を受け難くすることができる。
図2Aおよび図2Bに示す圧力センサは、感圧素子15として機能するゲージ抵抗(R1〜R4)が配された例であり、各ゲージ抵抗は、ホイートストーンブリッジ(図3)を構成するように電気的に接続されている。このような構成とした感圧素子15は、ダイアフラム部14の周縁部に配置するとよい。周縁部においては圧縮と引張の両応力が感圧素子15に加わりやすいので、感度のよい圧力センサが得られる。
その際、図2Aに示すように、圧力センサ11は、外縁域βにおける半導体基板12の厚さをD1、ダイアフラム部14の厚さをD2、空間13の高さをD3、半導体基板12の中央域αにおいて、前記D2と前記D3を除いた半導体基板12の残部の厚さをD4、と定義したとき、(D2+D3)≪D4、かつ、D1≒D4、とするよい。例えば、D1〜D4はそれぞれ、上記2式を満たすように適宜選択される。
D1〜D4が上記2式を満たすということは、圧力センサ11は、半導体基板12の一面からその厚さ方向に見たとき、その中央域αには、厚さD2が極めて薄いダイアフラム部14と高さD3が極めて低い空間13が存在し、その下方にはこれらに比べて十分な厚さD4を備えた残部をなす半導体基板12があり、この厚さD4は外縁域βにおける半導体基板12の厚さD1とほぼ等しい値に設計されていることを意味する。ここでは、中央域と外縁域に区別して呼称するが、両域は一体をなす一枚の半導体基板から構成されている。
以上のような構成の圧力センサとすることによって、圧力センサは側断面が矩形を成す極めて小型の圧力センサが得られる。これによって、圧力センサ11を容易に、かつ安定して積層基板21に内在させることができる。
(5)圧力センサの製造方法
本発明の圧力センサモジュール10を構成する圧力センサ11の製造方法としては、まず、半導体基板12の内部に空間(基準圧力室)13を形成する。空間(基準圧力室)13の形成方法としては、例えば S.Armbruster 等により開示された方法(S.Armbruster et.al., "A NOVEL MICROMACHINING PROCESS FOR THE FABRICATION OF MONOCRYSTALLINE SI-MEMBRANES USING POROUS SILICON", Digest of Technical Papers Transducers '03, 2003, pp. 246.) を用いればよい。これにより、半導体基板12の内部に空間(基準圧力室)13とダイアフラム部14が形成される。
その後、半導体基板の一面に、酸化膜19及び電極17が形成され、次に、圧力センサ11のダイアフラム部14以外の領域に、絶縁膜16を形成する。例えば、CVD装置などをを用いて、一旦、ダイアフラム部14を含む半導体基板12の一面全体に成膜した後、露光現像を行いダイアフラム部14上にある膜のみを除去し、外縁域の残部を絶縁膜16とする。このとき、電極17が形成されている領域の膜の一部も同時に除去することで、外部と電気的に接続するための開口を形成し、圧力センサ11を得ることができる。
得られた圧力センサ11は、積層基板21の形成時に、積層基板21に形成された空間部22に配され、積層基板に形成された配線部23と電極17とが導電性ペーストPなどで電気的に接続されればよい。これにより、圧力センサ11を積層基板21に内在させた、小型化、薄型化された圧力センサモジュール10を得ることができる。又、積層基板21としては、例えば、ポリイミド樹脂フィルムなどからなる絶縁層の片面に銅箔が設けられた片面銅貼板を使用することができる。又、積層基板間は、例えば、熱硬化性エポキシ樹脂を介し積層することができる。また、積層基板21自身を半硬化状態のプリプレグの基板なども使用することができる。このような基板を用いることにより、圧力センサ11と積層基板21との隙間を確実に埋めることが可能なため、導電性ペーストPなどによる配線の信頼性が向上する。
なお、本発明の圧力センサモジュール10に適用可能な圧力センサは、図2Aおよび図2Bに示した形態の圧力センサ以外にも、例えば、図11Aに示す従来型の圧力センサに一工夫加えた構成の圧力センサ(図11Bおよび図11C)が挙げられる。図11Aの圧力センサ130は半導体基板131に形成され、半導体基板の裏面側からエッチングすることにより形成した薄肉のダイアフラム部132と、半導体基板の表面側に形成された複数のゲージ抵抗(感圧素子)133を有している。複数のゲージ抵抗133は、例えばボロンなどの拡散により形成され、ダイアフラム部132の外縁域に設けられた電極137と電気的に接続される。また、ゲージ抵抗133と電極137とは拡散などで形成された配線134を介し、電気的に接続される。また、ダイアフラム上には、酸化膜135、チッカ膜136などのパッシベ−ション層が形成されている。そして、複数のゲージ抵抗133はホイットストーンブリッジを構成するように電気的に接続されており、ダイアフラム部132が圧力を受けて撓むと、各ゲージ抵抗133にダイアフラム部132の撓み量に応じた応力が発生し、この応力に応じてゲージ抵抗133の抵抗値が変化する。この抵抗値変化を電気信号として取り出すことにより、圧力センサ130は圧力の検出をする。
図11Aに示したような圧力センサを用いて、更に、図11Bに示すように、薄肉のダイアフラム部132を備えた半導体基板131の裏面側に別な基板141を接合し、空間(基準圧力室)142を形成することによって、絶対圧型の圧力センサ143を形成することができる。
さらに、図11Cに示すように、薄肉のダイアフラム部132を備えた半導体基板131の裏面側に別な基板145を接合するとともに、この基板145の裏面からダイアフラム部132に臨む空間146に向けて延びる圧力導入口147を備えた構成の圧力センサ148であってもよい。このような構成の圧力センサ148によれば、ダイアラム部132の一面132a側と他面132b側との圧力差を測定可能な、差圧型の圧力センサ148を形成することができる。
以下、本発明の圧力センサモジュールの別な実施形態をいくつか列挙するが、上述した実施形態と同様の構成(圧力センサの構成など)については、重複する説明は省略し同一の符号を付す。
(第二実施形態)
図4は、本発明の圧力センサモジュールの別な実施形態(以下、「第二実施形態」と呼ぶ)を示す断面図である。なお、本図においては、ダイアフラム面の酸化膜19、及び、拡散による配線18は省略する。第二実施形態の圧力センサモジュール30では、複数の基板32a,32bからなる積層基板32に圧力センサ11が内在されるとともに、圧力センサ11のダイアフラム部14の一面を露呈させる空間部33が形成される。また、積層基板32には、圧力センサ11を制御するための制御回路を備えたASIC34が内在される。そして、圧力センサ11の電極17とASIC34の電極34aは、積層基板32に形成された配線部36に電気的に接続される。なお、配線部36と、圧力センサの電極17、ASIC34の電極34aとは、例えば導電性ペーストPなどを用い、電気的に接続される。また、各々の配線部は他の配線回路(図示せず)を介し、電気的に接続されている。また、ASIC34の一面には、電極34aの一部に開口を有する絶縁膜34b(パッシベーション膜)が形成される。又、本実施形態において、積層基板は、第一実施形態と同様のものが使用される。
第二実施形態の圧力センサモジュール30によれば、圧力センサ11と、この圧力センサ11の制御回路(例えば、増幅回路や温度補償回路)を備えたASIC34とを積層基板32に内在させることによって、圧力センサ11を制御する制御回路などを外部に設ける必要がない。従って、圧力センサ11と、この圧力センサ11の制御回路とをワンパッケージで一体に備え、小型化、薄型化された圧力センサモジュール30を得ることができる。
(第三実施形態)
図5Aおよび図5Bに、本発明の圧力センサモジュールの別な実施形態(以下、「第三実施形態」と呼ぶ)を示す。このうち、図5Aは圧力センサモジュールを上から見た平面図であり、図5Bは、図5Aに示すA−A線に沿った断面図である。なお、本図においては、ダイアフラム面の酸化膜19、及び、拡散による配線18は省略する。第三実施形態の圧力センサモジュール40は、圧力センサ11と、3層の基板42a,42b,42cを重ねた積層基板42とを備え、中ほどの基板42bに圧力センサ11が内在している。そして、この圧力センサ11のダイアフラム部14を露呈させる空間部48が形成されている。また、この基板42bに重なる基板42aには、空間部48を積層基板42の外部に連通させる圧力導入孔49が形成されている。これにより、圧力センサ11を構成するダイアフラム部14の一面は、空間部48から圧力導入孔49を介して積層基板42の外方と繋がる。又、本実施形態において、積層基板は、第一実施形態と同様のものが使用される。
第三実施形態の圧力センサモジュール40によれば、圧力センサ11が積層基板42の中ほどに内在され、ダイアフラム部14の一面が積層基板42の外方に直接露呈されていなくても、ダイアフラム部14は積層基板42に形成された圧力導入孔49を介して積層基板42の外方と連通されるので、積層基板42の外方の圧力を検出することができる。そして、圧力センサ11を積層基板42の中ほどに内在させることによって、ダイアフラム部14など破損しやすい部分に対して、外部から機械的な応力がかかって破損することを防止できる。
(第四実施形態)
図6は、本発明の圧力センサモジュールの別な実施形態(以下、「第四実施形態」と呼ぶ)を示す断面図である。なお、本図においては、ダイアフラム面の酸化膜19、及び、拡散による配線18は省略する。第四実施形態の圧力センサモジュール50は、圧力センサ51と、3層の基板52a,52b,52cを重ねた積層基板52とからなり、中ほどの基板52bに圧力センサ51が内在される。この第四実施形態においては、圧力センサ51を構成するダイアフラム部54の一面54Aが空間部58aに露呈されるとともに、ダイアフラム部54の他面54Bが空間部(他面側空間部)58bに露呈される。すなわち、ダイアフラム部54を挟んで存在する2つの空間部58a,58bによって、ダイアフラム部54の両面が露呈される形態を成す。
更に、基板52aには空間部58aを積層基板52の外方に連通させる圧力導入孔59aが、また、基板52cには空間部58bを積層基板52の外方に連通させる圧力導入孔59bがそれぞれ形成されている。これによって、ダイアフラム部54の一面54A側は、圧力導入孔59aを介して積層基板52の一面52A側に連通し、また、ダイアフラム部54の他面54B側は、圧力導入孔59bを介して積層基板52の他面52B側に連通される。又、本実施形態において、積層基板は、第一実施形態と同様のものが使用される。
第四実施形態の圧力センサモジュール50によれば、ダイアフラム部54の一面54A側と他面54B側との差圧を測定するための、差圧型の圧力センサモジュールとして機能させることができる。
(第五実施形態)
図7は、本発明の圧力センサモジュールの別な実施形態(以下、「第五実施形態」と呼ぶ)を示す断面図である。なお、本図においては、ダイアフラム面の酸化膜19、及び、拡散による配線18は省略する。第五実施形態の圧力センサモジュール60は、圧力センサ11と、4層の基板62a,62b,62c,62dを重ねた積層基板62とからなり、中ほどの基板62bに圧力センサ11が内在されるとともに、この圧力センサ11を構成するダイアフラム部14の一面を露呈させる空間部68が形成される。そして、基板62bに重ねられる基板62aには、空間部68を積層基板62の外方に連通させる圧力導入孔69が形成される。
基板62b、基板62cには、デバイス64、デバイス65がそれぞれ内在される。デバイス64およびデバイス65は、例えば圧力センサ11の電圧増幅回路や温度補償回路など、圧力センサ11を制御するASIC等の他のデバイスであればよい。そして、圧力センサ11の電極17と、デバイス64の電極64aおよびデバイス65の電極65aとは、積層基板62に形成された配線部66と例えば導電性ペーストPなどによって電気的に接続される。又、各々の配線部は他の配線回路(図示せず)、若しくは貫通孔内に導電物が充填された貫通電極(B)などを介し、電気的に接続されている。なお、本実施形態において、積層基板は、第一実施形態と同様のものが使用される。
第五実施形態の圧力センサモジュール60によれば、圧力センサ11が積層基板62の中ほどに内在されていても、空間部68によって一面が露呈されたダイアフラム部15は、積層基板62に形成された圧力導入孔69を介して積層基板62の外方の圧力を検出することができる。そして、圧力センサ11と、この圧力センサ11の制御回路(例えば、増幅回路や温度補償回路)を備えた複数のデバイス64,65を積層基板62に内在させることによって、圧力センサ11を制御する制御回路などを外部に設ける必要が無く、複数のチップを一体に備えシステム化された圧力センサモジュール60を得ることができる。
(第六実施形態)
次に本発明の圧力センサモジュールの別な実施形態について説明する。なお、本実施形態において用いる圧力センサは、第一実施形態と類似するもので、共通する部分の説明は省略する。
図8は、本発明の圧力センサモジュールの別な実施形態(以下、「第六実施形態」と呼ぶ)を示す断面図である。第六実施形態の圧力センサモジュール70は、圧力センサ81と、3層の基板72a,72b,72cを重ねた積層基板72とからなり、中ほどの基板72bに圧力センサ81が内在されるとともに、圧力センサ81を構成するダイアフラム部85の一面85aが空間部78によって露呈されている。
積層基板72のうち、基板72bに重ねられる基板72aには、空間部78と積層基板72の外部とを連通させる圧力導入孔79が形成されている。これにより、圧力センサ81を構成するダイアフラム部85の一面85aは、圧力導入孔79を介して積層基板72の外方に連通される。
また、ダイアフラム部85の近傍には、感圧素子15に繋がる電極86が配される。そして圧力センサ81のダイアフラム部85を除いた外縁域Eには、ダイアフラム部85を取り囲むように、電極86を覆う例えばポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの絶縁部71が配される。さらに、この絶縁部71上には導電体82が形成される。この導電体82は、メッキなどにより形成され、基板72aの他面72A側に形成された配線部(第2配線部)83と、圧力センサ81の電極86とを、例えば導電性ペースト又はバンプなどを介し、電気的に接続する。また、絶縁部71に重ねて、例えばポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの導電体82を覆う第二の絶縁部84が形成されている。又、本実施形態において、積層基板は、第一実施形態と同様のものが使用される。
第六実施形態の圧力センサモジュール70によれば、圧力センサ81が積層基板72の中ほどに内在されていても、空間部78によって一面が露呈されたダイアフラム部85は、積層基板72に形成された圧力導入孔79を介して積層基板72の外方の圧力を検出することができる。そして、ダイアフラム部85と重ならない外縁域Eに絶縁部71を配する。これにより、仮に圧力センサ81に重ねて配される導電体82や配線部(第2配線部)83による凹凸が存在したとしても、その凹凸を埋めるように絶縁部71を設けるならば、基板72bの一面側が平坦化される。つまり、外縁域Eは均一に絶縁部71に覆われるので、圧力センサ81は、上下方向を基板72aと基板72cで挟まれ、かつ周囲を基板72bで囲まれ、積層基板72によって確実に固定された状態になる。よってダイアフラム部85への絶縁部71からの応力の影響を小さくすることができる。
(第七実施形態)
図9Aおよび図9Bは、図8に示した本発明の圧力センサモジュールの変形例(以下、「第七実施形態」と呼ぶ)であり、積層基板の材料、電極と配線部との接続などは、第六実施例と同様である。なお、本図においては、ダイアフラム面の酸化膜19、絶縁膜16(パッシベ−ション膜)、及び、拡散による配線18は省略する。図9Aは、積層基板を構成する基板のうち、最上層の基板を取り除いた状態で上から見た時の圧力センサモジュールの平面図である。また、図9Bは、圧力センサモジュールの側面断面図である。第七実施形態の圧力センサモジュール90は、圧力センサ91と、3層の基板92a,92b,92cを重ねた積層基板92とを備え、中ほどの基板92bに圧力センサ91を内在されている(段落「0016」におけるAの形態の一例である)。そして、圧力センサ91を構成するダイアフラム部95の一面95aは、空間部98によって露呈されている。
積層基板92のうち、基板92bとこれに重なる基板92aとの間には、圧力導入孔99が形成される。この圧力導入孔99は、圧力センサ91を構成するダイアフラム部95の一面95aに沿った方向に延び、空間部98と積層基板92の外部とを連通させる。この圧力導入孔99によって、積層基板92の中心に配された圧力センサ91のダイアフラム部95に、積層基板92の外方の圧力が導かれる。
ダイアフラム部95の近傍には、感圧素子15に繋がる電極96が配される。そしてダイアフラム部95の外側には、電極96を覆うように島状の絶縁部101が配される。さらに、この島状の絶縁部101の一面には導電体102が形成される。この導電体102は、基板92aに形成された配線部103と、圧力センサ91の電極96とを電気的に接続する。さらに、絶縁部101に重ねて、導電体102を覆う第二の絶縁部104が形成されている。このような、それぞれの電極96に対応する位置に形成された絶縁部101、配線部103および第二の絶縁部104によって、複数の島状部105a〜105dが形成される。
ダイアフラム部95の一面95aに沿った方向に延びる圧力導入孔99は、複数の島状部105a〜105dどうしの間を通って、ダイアフラム部95と積層基板92の外方とを結ぶ十字型の圧力導入路Rを形成する。この圧力導入路Rによって、ダイアフラム部95には積層基板92の外方の圧力が導かれる。
第七実施形態の圧力センサモジュール90は、圧力センサ91のそれぞれの電極96に対応する位置に形成される絶縁部101、配線部103および第二の絶縁部104によって複数の島状部105a〜105dを形成し、この島状部105a〜105dどうしの間を通って、ダイアフラム部95の一面95aに沿った方向に延びる圧力導入孔99を形成することによって、例えば、圧力媒体などを島状部105a〜105dどうしの間を通して、スムーズにダイアフラム部95に導くことも可能になる。
また、絶縁部101や第二の絶縁部104を島状に形成した複数の島状部105a〜105dに分割することによって、絶縁部101や第二の絶縁部104に加わる応力を分散させることが可能になる。これによって、ダイアフラム部95に不必要な応力が加わって湾曲したりすることを防止し、積層基板92の外方の圧力を正確に検出することができる。
更に、圧力導入孔99をダイアフラム部95の一面95aに沿って延びる方向に形成することによって、ダイアフラム部95に向けて外光が直接入射することを防止できる。一般的に、半導体は光によって導電率が変化することがあるが、第七実施形態のように、ダイアフラム部95の一面95aに沿って延びる方向に圧力導入孔99を形成し、ダイアフラム部95を積層基板92から外方に直接露呈させない構成にすることで、外光が直接ダイアフラム部85に入射することを防止できる。これにより、積層基板92に外光が当たっても、その影響を受けずに、高精度に圧力の検出を行うことができる。
(第八実施形態)
図10は、図9Aおよび図9Bに示した本発明の圧力センサモジュールの変形例(以下、「第八実施形態」と呼ぶ)であり、積層基板の材料、電極と配線部との接続、圧力センサの構成などは、第七実施例と同様である。なお、本図においては、ダイアフラム面の酸化膜19、絶縁膜16(パッシベ−ション膜)及び、拡散による配線18は省略する。第八実施形態の圧力センサモジュール110は、圧力センサ111と、3層の基板112a,112b,112cを重ねた積層基板112とからなり、中ほどの基板112bに圧力センサ111が内在されている。そして、圧力センサ111を構成するダイアフラム部115の一面115aは、空間部118によって露呈されている。
積層基板112のうち、基板112bとこれに重ねられる基板112aとの間には、空間部118に連なる圧力導入孔119が形成されている。この圧力導入孔119は、少なくとも空間部118との接続部分では、圧力センサモジュール110を構成するダイアフラム部115の一面115aに沿った方向に延びている。更に、この圧力導入孔119は、ダイアフラム部115の一面115aに対して垂直な方向に向けて基板112bおよび基板112cを貫通するように延び、基板112cにおいてこの圧力導入孔119の両端が積層基板112の外方に臨む。すなわち、圧力導入孔119は全体として略U字型に屈曲した形状を成し、その経路の中間部分に配された空間部118おいて、ダイアフラム部115の一面115aが露呈される。
また、ダイアフラム部115の近傍には、電極116が配される。そして、それぞれの電極116に対応して、絶縁部121、導電体122、第二の絶縁部123からなる複数の島状部125a〜125dが形成される。導電体122は、電極116と積層基板112に形成された配線部124とを電気的に接続する。圧力導入孔119は、この複数の島状部125a〜125dどうしの間を通って、ダイアフラム部115の一面が露呈された空間部118と積層基板112の外方とを連通させる、途中の流路が屈折した略U字型の圧力路Rを形成する。
圧力導入孔119は、空間部118との接続領域において、ダイアフラム部115の一面115aに沿った方向に延び、さらにここから屈折して積層基板112の厚み方向に延びる、途中の流路が屈折した略U字型の圧力路Rを形成することによって、積層基板112の外部からダイアフラム部115に外光が入射することを確実に防止することができる。圧力導入孔119の経路を屈折させて外光がダイアフラム部115に到達するのを防ぐことで、外光の入射によるダイアフラム部115の圧力検出精度の低下を防止し、高精度に圧力の検出を行うことができる。
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれら実施例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。
本発明の圧力センサモジュールによれば、積層基板に圧力センサを内在させる空間部を形成することによって、基板の外側に圧力センサを実装していた従来の圧力センサモジュールと比べて、大幅な小型化、薄型化が達成され、高密度に実装が可能な圧力センサモジュールを提供できる。また、圧力センサモジュールの空間部は、ダイアフラム部の少なくとも一面を露呈させる形状であるので、圧力センサは積層基板に内在された状態でダイアフラム部に加わる圧力を確実に検出することができる。
さらに、積層基板に、圧力センサの電極と電気的に接続される配線部を形成することによって、圧力センサからの出力電流をワイヤボンディングなどの接続方法とることなく、積層基板に形成された、例えば出力電圧の増幅回路や温度補償回路などに直接接続できるので、圧力センサモジュールの大幅な小型化、薄型化が達成できるとともに、信頼性も向上させることができる。

Claims (6)

  1. 半導体基板の一部を薄板化したダイアフラム部と、該ダイアフラム部の近傍に配された電極とを有する圧力センサと、
    該圧力センサを内在し、前記ダイアフラム部の少なくとも一面を露呈させる空間部と、
    前記電極と電気的に接続される配線部とを有する積層基板
    とを備える圧力センサモジュール。
  2. 前記積層基板には、前記空間部と前記積層基板の外部とを連通させる圧力導入孔が更に配される請求項1記載の圧力センサモジュール。
  3. 前記半導体基板における前記ダイアフラム部を除いた外縁域に配された絶縁部と、該絶縁部上に配され、前記電極と前記配線部とを電気的に接続する導電体とを更に備える請求項1に記載の圧力センサモジュール。
  4. 前記圧力導入孔は、少なくとも前記空間部との接続部分においては、前記ダイアフラム部の一面に沿った方向に延びている請求項1に記載の圧力センサモジュール。
  5. 前記圧力導入孔は、少なくとも前記空間部との接続部分においては、前記ダイアフラム部の一面に沿った方向に延びている請求項3に記載の圧力センサモジュール。
  6. 前記絶縁部は、複数の島状部に分割されてなる請求項3に記載の圧力センサモジュール。
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