しかしながら、上記特許文献1,2に開示されるセンサ装置では、センサチップやその配線部であるボンディング部分が測定媒体に直接曝されて腐食することを防止するために保護用樹脂やオイルで覆うように構成されるので、センサチップやボンディング部分を腐食から防止することはできるが、保護用樹脂やオイルを備えるための部品数や製造工程が増加し接続作業が困難になるという問題がある。
また、特許文献1に開示されるセンサ装置では、高温環境下で使用する場合に保護用樹脂とボンディング部分との熱膨張係数の違いによる熱応力がボンディング部分に負荷されることとなり、保護用樹脂の剥離やボンディング部分の断線を引き起こす可能性がある。同様に、特許文献2に開示されるセンサ装置では、メタルダイアフラム内をオイルで充填させるので、オイルの熱膨張に起因する熱応力によりメタルダイアフラムとセンサ保持体との接合部が劣化するだけでなく、検出精度が低下するという問題がある。
さらに、上記特許文献1,2に開示されるセンサ装置は、樹脂パッケージや基板もしくはセンサ保持体を介してセンサチップがハウジングに固定されており、これら各部材が複数の部品から構成されるため、部品数や製造工程の減少の要求に応えることができない。
また、上記特許文献1,2に開示されるセンサ装置は、測定媒体の圧力を測定する圧力センサとして機能するものであり、測定媒体の圧力が保護用樹脂やオイルを介してセンサチップに印加されることとなる。このため、測定媒体の圧力を検出する場合には、センサチップで直接圧力を検出する場合よりも圧力の検出精度が低下するという問題もある。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ハウジング内に配置されるセンサチップの配線部を測定媒体に曝すことなくハウジングの配線部に容易かつ確実に接続し得るセンサ装置の製造方法およびセンサ装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の発明では、ハウジングの中空部に設けられるハウジング側配線部と前記中空部内に配置されるセンサチップのセンサチップ側配線部とが電気的に接続されるセンサ装置の製造方法であって、前記中空部に内方へ突出する環状凸部が形成されるとともにこの環状凸部の第1の環状面に前記ハウジング側配線部が形成される前記ハウジングを用意する第1工程と、作用する物理量に応じた信号を出力するセンシング部を備えこのセンシング部からの信号を取り出すための前記センサチップ側配線部の一部が一側面のうち外縁を除く部位にて露出配線部として露出する前記センサチップを用意する第2工程と、前記センサチップにおける前記一側面の前記外縁を前記環状凸部の表面のうち前記第1の環状面に対向する第2の環状面に金属接合により直接接合して当該センサチップを前記中空部内に配置する第3工程と、前記第2の環状面に接合された前記センサチップの前記露出配線部および前記ハウジング側配線部を電気的に接続する配線部材を両配線部上に堆積する第4工程と、を備えることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載のセンサ装置の製造方法において、前記センシング部は、前記センサチップの表面のうち前記一側面に対向する他側面に対して作用する圧力媒体の圧力に応じて変位するダイアフラムとこのダイアフラムの変位に応じた信号を出力するゲージ抵抗とを備え、前記第2工程は、前記センシング部および前記センサチップ側配線部を前記他側面に形成するとともに、前記露出配線部を前記一側面のうち前記外縁を除く部位にて露出させるように当該一側面から前記他側面にかけて導通孔を形成し、前記第4工程は、前記配線部材を前記導通孔を介して両配線部上に堆積することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2に記載のセンサ装置の製造方法において、前記第4工程は、前記配線部材でもって前記導通孔内を完全に埋めることなく当該導通孔内に堆積して前記露出配線部および前記ハウジング側配線部を電気的に接続することを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項2または3に記載のセンサ装置の製造方法において、前記センサチップは、前記ゲージ抵抗および前記ダイアフラムとこのダイアフラムが底部になる凹部とが形成される第1の基板と、第2の基板とを備えており、前記センシング部は、前記凹部を閉塞するように前記第1の基板と前記第2の基板とを貼り合わせることで前記凹部および前記第2の基板により密閉されて形成される圧力基準室を備えるとともに、この圧力基準室の基準圧力と前記圧力媒体の圧力との圧力差に基づく前記ダイアフラムの変位に応じた信号が前記ゲージ抵抗から出力されるように構成されることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のセンサ装置の製造方法において、前記第1工程は、前記環状凸部の内方に前記露出配線部に対応する開口部が形成される補強部を設け、前記第3工程は、前記センサチップの前記一側面を、前記露出配線部が前記開口部を介して露出するように、前記第2の環状面および前記補強部の接合面に接合して当該センサチップを前記中空部内に配置することを特徴とする。
請求項6の発明は、中空部が形成されるハウジングと、前記中空部内に配置されて作用する物理量に応じた信号をセンサチップ側配線部を介して出力するセンシング部を有するセンサチップと、を備えるセンサ装置において、前記中空部には内方に突出する環状凸部が形成されるとともに、この環状凸部の第1の環状面には前記センシング部からの信号を取り出すためのハウジング側配線部が形成され、前記センサチップは、その一側面の外縁にて前記環状凸部の表面のうち前記第1の環状面に対向する第2の環状面に金属接合により直接接合され、前記センシング部は、前記センサチップの表面のうち前記一側面に対向する他側面に対して作用する圧力媒体の圧力に応じて変位するダイアフラムとこのダイアフラムの変位に応じた信号を出力するゲージ抵抗とを備え、前記センサチップ側配線部は、前記他側面に形成されて前記ゲージ抵抗に電気的に接続されるとともに、その一部が前記一側面から前記他側面にかけて形成される導通孔により前記一側面のうち前記外縁を除く部位にて露出配線部として露出し、前記露出配線部および前記ハウジング側配線部は、前記導通孔を介して両配線部上に堆積する配線部材により電気的に接続されることを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項6に記載のセンサ装置において、前記配線部材は、前記導通孔内を完全に埋めることなく当該導通孔内に堆積して前記露出配線部および前記ハウジング側配線部を電気的に接続することを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項6または7に記載のセンサ装置において、前記環状凸部の内方には、前記露出配線部を露出させるための開口部が形成される補強部が設けられており、前記センサチップは、前記露出配線部が前記開口部を介して露出するように、前記一側面にて前記第2の環状面および前記補強部の接合面に接合され、前記配線部材は、前記開口部および前記導通孔を介して前記露出配線部と前記ハウジング側配線部とを電気的に接続することを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項6〜8のいずれか一項に記載のセンサ装置において、前記センサチップは、前記ゲージ抵抗および前記ダイアフラムとこのダイアフラムが底部になる凹部とが形成される第1の基板と、第2の基板とを備えており、前記センシング部は、前記凹部を閉塞するように前記第1の基板と前記第2の基板とを貼り合わせることで前記凹部および前記第2の基板により密閉されて形成される圧力基準室を備えるとともに、この圧力基準室の基準圧力と前記圧力媒体の圧力との圧力差に基づく前記ダイアフラムの変位に応じた信号が前記ゲージ抵抗から出力されるように構成されることを特徴とする。
請求項1の発明では、中空部が形成されるハウジングに対して、この中空部内に環状凸部を形成するとともにこの環状凸部の第1の環状面にハウジング側配線部を形成する。そして、センサチップに対して、センサチップ側配線部の一部を一側面のうち外縁を除く部位にて露出配線部として露出するように形成する。そして、センサチップを、一側面の外縁にて第2の環状面に金属接合により直接接合してハウジングの中空部内に配置する。そして、第2の環状面に接合されたセンサチップの露出配線部およびハウジング側配線部を電気的に接続する配線部材を両配線部上に堆積させる。
これにより、センサチップ側配線部の一部である露出配線部およびハウジング側配線部の両配線部が同じ第1の環状面側に配置されるため、第1の環状面側から配線部材を構成するための材料を蒸着法やスパッタ法等で両配線部上に堆積させることにより、両配線部を容易に電気的に接続することができる。また、両配線部の接続作業では、ボンディングワイヤを介した超音波接合等と比較して、配線部材を介する上記両配線部の電気的接続が強固になり、センサチップ自体を高温状態にすることもなくセンサチップに振動が伝わることもない。特に、センサチップは、その一側面の外縁にて環状凸部の第2の環状面に金属接合により直接接合されるため、センサチップによりハウジングにおける第1の環状面側と第2の環状面側との間の気密性が確保される。このため、第1の環状面側に配置される配線部材等が、第2の環状面側に導入される測定媒体に曝されることもない。
したがって、ハウジング内に配置されるセンサチップの配線部を測定媒体に曝すことなくハウジングの配線部に容易かつ確実に接続することができる。
請求項2の発明では、センシング部は、他側面に対して作用する圧力媒体の圧力に応じて変位するダイアフラムとこのダイアフラムの変位に応じた信号を出力するゲージ抵抗とを備えている。そして、センサチップに対して、センシング部およびセンサチップ側配線部を他側面に形成するとともに、露出配線部を一側面のうち外縁を除く部位にて露出させるように当該一側面から他側面にかけて導通孔を形成する。そして、センサチップを、一側面の外縁にて第2の環状面に接合してハウジングの中空部内に配置する。そして、配線部材を導通孔を介して両配線部上に堆積させる。
これにより、センサ装置は、圧力センサとして機能し、第2の環状面側に導入される測定媒体の圧力、すなわち、圧力媒体の圧力を検出可能に構成される。このとき、センサチップの他側面に形成されるセンサチップ側配線部の一部である露出配線部は、導通孔を介して一側面に露出しているので、この導通孔を介して露出配線部およびハウジング側配線部の両配線部上に配線部材を堆積させることにより当該両配線部の電気的接続がより強固となる。さらに、他側面に形成されるセンシング部からの信号をセンサチップ側配線部を介して一側面に取り出すための貫通電極等を形成する工程が不要になるので、製造工程を簡略化することができる。
請求項3の発明では、配線部材でもって導通孔内を完全に埋めることなく当該導通孔内に堆積して露出配線部およびハウジング側配線部を電気的に接続する。これにより、導通孔内に堆積する配線部材には隙間が形成されるため、配線部材とセンサチップを構成する基板等との熱膨張係数の違いによって配線部材等が変形する場合でも上記隙間の容積が変化するだけなので、配線部材等の変形に起因する応力の発生を防止することができる。
請求項4の発明では、センシング部は、ダイアフラムが底部になる凹部を閉塞するように第1の基板と第2の基板とを貼り合わせることで凹部および第2の基板により密閉されて形成される圧力基準室を備えるとともに、この圧力基準室の基準圧力と圧力媒体の圧力との圧力差に基づくダイアフラムの変位に応じた信号がゲージ抵抗から出力されるように構成されている。
これにより、2枚の基板を貼り合わせることでセンシング部が形成されるセンサチップをセンサ装置に用いた場合でも、ハウジング内に配置されるセンサチップの配線部を圧力媒体に曝すことなくハウジングの配線部に容易かつ確実に接続することができる。
請求項5の発明では、環状凸部の内方に露出配線部に対応する開口部が形成される補強部が設けられる。そして、センサチップの一側面を、露出配線部が開口部を介して露出するように、第2の環状面および補強部の接合面に接合して当該センサチップを中空部内に配置する。
これにより、センサチップがその一側面にて環状凸部の第2の環状面だけでなく補強部の接合面にも接合された状態で上記両配線部上に配線部材が堆積するので、センサチップをハウジングに強固に接合することができる。
請求項6の発明では、ハウジングの中空部に形成される環状凸部の第1の環状面にはハウジング側配線部が形成され、環状凸部の第2の環状面にはセンサチップがその一側面の外縁にて金属接合により直接接合される。ゲージ抵抗に電気的に接続されるセンサチップ側配線部は、センサチップの他側面に形成されてその一部が一側面から他側面にかけて形成される導通孔により当該一側面のうち外縁を除く部位にて露出配線部として露出し、この露出配線部およびハウジング側配線部が、導通孔を介して両配線部上に堆積する配線部材により電気的に接続される。
これにより、センサチップ側配線部の一部である露出配線部とハウジング側配線部とが導通孔を介して両配線部上に堆積する配線部材により電気的に接続されるため、ボンディングワイヤを介した超音波接合等と比較して、配線部材を介する上記両配線部の電気的接続が強固になり、接続作業時にセンサチップ自体を高温状態にすることもなくセンサチップに振動が伝わることもない。特に、センサチップは、その一側面の外縁にて環状凸部の第2の環状面に金属接合により直接接合されるため、センサチップによりハウジングにおける第1の環状面側と第2の環状面側との間の気密性が確保される。このため、第1の環状面側に配置される配線部材等が、第2の環状面側に導入される測定媒体、すなわち、圧力媒体に曝されることもない。
したがって、ハウジング内に配置されるセンサチップの配線部を測定媒体に曝すことなくハウジングの配線部に確実に接続することができる。
請求項7の発明では、配線部材は、この導通孔内を完全に埋めることなく当該導通孔内に堆積して露出配線部およびハウジング側配線部を電気的に接続する。これにより、導通孔内に堆積する配線部材には隙間が形成されるため、配線部材とセンサチップを構成する基板等との熱膨張係数の違いによって配線部材等が変形する場合でも上記隙間の容積が変化するだけなので、配線部材等の変形に起因する応力の発生を防止することができる。
請求項8の発明では、環状凸部の内方には、露出配線部を露出させるための開口部が形成される補強部が設けられており、センサチップは、露出配線部が開口部を介して露出するように、その一側面にて第2の環状面および補強部の接合面に接合される。そして、配線部材は、開口部および導通孔を介して露出配線部とハウジング側配線部とを電気的に接続する。
これにより、センサチップがその一側面にて環状凸部の第2の環状面だけでなく補強部の接合面にも接合された状態で上記両配線部が配線部材により電気的に接続されるので、センサチップをハウジングに強固に接合することができる。
請求項9の発明では、センシング部は、ダイアフラムが底部になる凹部を閉塞するように第1の基板と第2の基板とを貼り合わせることで凹部および第2の基板により密閉されて形成される圧力基準室を備えるとともに、この圧力基準室の基準圧力と圧力媒体の圧力との圧力差に基づくダイアフラムの変位に応じた信号がゲージ抵抗から出力されるように構成されている。
これにより、2枚の基板を貼り合わせることでセンシング部が形成されるセンサチップをセンサ装置に用いた場合でも、ハウジング内に配置されるセンサチップの配線部を圧力媒体に曝すことなくハウジングの配線部に確実に接続することができる。
以下、本発明に係るセンサ装置を圧力センサ10に適用した各実施形態について図を参照して説明する。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。図1は、本第1実施形態に係る圧力センサ10の全体概略断面図である。図2は、図1のセンサチップ20を第1環状面15b側から見た平面図である。図3は、図1のセンサチップ20の詳細断面図である。なお、図1に示されるセンサチップ20の断面図は図2中のA−A矢視断面図に対応している。
圧力センサ10は、たとえば自動車のブレーキ圧や燃料圧を検出するものに適用される。図1〜図3に示すように、圧力センサ10は、主に、ステンレス鋼など金属製のハウジング11と、センシング部20aを有するセンサチップ20と、4つのターミナル12とを備えている。
ハウジング11は、中空部11aを有するように略円筒状に形成されており、この中空部11aの一端側は、測定媒体としての圧力媒体が導入される圧力導入孔13を構成する。また、ハウジング11のうち圧力導入孔13が形成される一端側の外周面には当該圧力センサ10を自動車の適所、例えば、自動車の燃料配管などの被検出体の適所に固定するためのねじ部14が形成されている。
中空部11aを構成する内壁面11aの長手方向中央には、内方へ突出する環状凸部15が形成されている。この環状凸部15の内周面15aおよび反圧力導入孔13側の面である第1環状面15bと内壁面11aとには、絶縁膜16が形成されている。そして、第1環状面15bおよび内壁面11aには、絶縁膜16を介して4つのハウジング側配線部17が配置されている。各ハウジング側配線部17には、対応するターミナル12がそれぞれ電気的に接続されている。
また、環状凸部15の表面のうち第1環状面15bに対向する第2環状面15cには、センサチップ20が一側面20bの外縁にて直接接合されている。具体的には、センサチップ20の一側面20bには絶縁膜となる酸化膜33が設けられており、この酸化膜33が第2環状面15cにSiO2−金属接合にて直接接合されている。なお、センサチップ20が一側面20bおよび第2環状面15cは、例えば、低融点ガラスやはんだ等の接着機能を有する部材を介して接合してもよい。
これにより、ハウジング11における第1環状面15b側と第2環状面15c側との間の気密性を確保して、圧力媒体を圧力導入孔13側に密閉する構造となっている。ここで、センサチップ20は、ハウジング11のうち環状凸部15以外の部分とは接触しないように内壁面11aからセンサチップ20の各端面が離間するように配置されている。なお、第1環状面15bおよび第2環状面15cは、特許請求の範囲に記載の「第1の環状面」および「第2の環状面」の一例に相当する。
図3に示すように、センサチップ20は、絶縁膜32を介してSOI基板21とSi基板31とを貼り合わせるように構成されている。なお、SOI基板21およびSi基板31は、特許請求の範囲に記載の「第1の基板」および「第2の基板」の一例に相当する。
SOI基板21は、支持基板21aと、この支持基板21aの表面に形成される酸化膜21bと、この酸化膜21bを挟んで支持基板21aの反対側に形成されるSOI層21cとを備えている。
支持基板21aには、圧力導入孔13側に位置する面と対向する面に凹部22が形成されている。この凹部22とSi基板31とを絶縁膜32を介して貼り合わせることにより、密閉された圧力基準室23が形成される。そして、凹部22の底部と酸化膜21bのうち凹部22の底部と対応する部分とからダイアフラム24が構成され、このダイアフラム24は、圧力基準室23の圧力と圧力媒体の圧力との圧力差に基づいて歪むように変位する。すなわち、ダイアフラム24は、センサチップ20の表面のうち一側面20bに対向する他側面(受圧面)20cに対して作用する圧力媒体の圧力に応じて変位する。
SOI層21cは、部分的にもしくは全域にP型不純物がドーピングされたP型半導体とされ、酸化膜21bまで達するトレンチ25が形成されることにより、4つのゲージ抵抗26、4つの配線27および外周部28に区画されている。そして、SOI層21cのうちこれらを構成しない部分は除去された構成とされている。
各ゲージ抵抗26は、ダイアフラム24の変位に応じた電気信号を出力するように当該ダイアフラム24の内側に設けられており、各ゲージ抵抗26を構成するSOI層21cの全域がP型半導体とされている。これにより、センシング部20aは、ダイアフラム24が受けた圧力を各ゲージ抵抗26によって電気信号に変換し、この電気信号をセンサ信号として出力する半導体ダイアフラム式のものとして構成される。
各配線27は、各ゲージ抵抗26同士を電気的に接続するものであり、それぞれが2つのゲージ抵抗26を接続することでブリッジ回路を構成している。
外周部28は、SOI層21cのうち各ゲージ抵抗26および各配線27を囲む部分であり、トレンチ25により各ゲージ抵抗26および各配線27と分離されている。なお、各ゲージ抵抗26、各配線27および外周部28をトレンチ25によらず分離する構成としてもよいが、トレンチ25によって区画することでハウジング11とセンサチップ20との接合部における応力を抑制することもできる。
絶縁膜32を挟んでSi基板31の反対側には上述した酸化膜33が形成されている。この酸化膜33からSOI層21cにかけて、すなわち、一側面20bから他側面20cにかけて、圧力基準室23を通過しないように円錐型の導通孔29が4つ形成されるとともに、各導通孔29には絶縁膜29aがそれぞれ形成されている。これら各導通孔29および各絶縁膜29aを介して各配線27の一部である露出配線部27aが一側面20bのうち外縁(第2環状面15cに接合される部位)を除く部位にて第1環状面15b側にそれぞれ露出することとなる。なお、配線27および露出配線部27aは、特許請求の範囲に記載の「センサチップ側配線部」および「露出配線部」の一例に相当する。
また、Si基板31には、各導通孔29とハウジング11における第2環状面15cに接合する部分との間に絶縁膜32まで達するトレンチ37が形成されており、このトレンチ37に絶縁層38が設けられている。
センサチップ20は、上述のように一側面20bの外縁にてハウジング11の第2環状面15cに直接接合された状態で、各露出配線部27a、各絶縁膜29a、酸化膜33、絶縁膜16および各ハウジング側配線部17上に電極材料として例えばアルミニウムをそれぞれ蒸着(堆積)させて形成される電極30により、各露出配線部27aおよび各ハウジング側配線部17(以下、両配線部27a,17ともいう)がそれぞれ電気的に接続されている。このため、他側面20cに形成されるセンシング部20aからの信号を各配線27を介して一側面20bに取り出すための配線部と、各配線27と各ハウジング側配線部17に電気的に接続するための配線部とを、電極30により一体に形成することができる。なお、電極材料としてはアルミニウムに限らず、金、白金、銅、ニッケル、チタンおよびチタン合金のいずれかを採用してもよい。
これにより、センサチップ20の各配線27とハウジング11の各ハウジング側配線部17とがそれぞれ電気的に接続されて、センシング部20aからの信号が各ターミナル12を介して外部に出力されることとなる。
次に、本第1実施形態に係る圧力センサ10の製造方法の工程を図4〜図8を用いて詳細に説明する。図4(A)〜(D)および図5(E)〜(G)は、第1実施形態におけるセンサチップ20の製造方法の工程を示す説明図である。図6(A),(B)および図7(C),(D)は、第1実施形態における圧力センサ10の製造方法の工程を示す説明図である。図8は、メタルマスク40の各開口部41と両配線部27a,17との位置関係を示す平面図である。なお、説明の便宜上、各開口部41を除くメタルマスク40の部位を斜線にて示している。
まず、図4(A)〜(D)および図5(E)〜(G)を用いてセンサチップ20の製造方法の工程を説明する。
図4(A)に示すように、支持基板21aの表面に酸化膜21bを介してSOI層21cが形成されるSOI基板21を用意する。このSOI基板21は、例えば、支持基板21aの表面から酸素イオンを注入して注入表面から結晶欠陥層と酸素注入層を形成し、その後高温アニールにより結晶欠陥層をSOI層21cとし、酸素注入層を酸化膜21bとすることで形成される。
次に、図4(B)に示すように、SOI層21cのうち少なくとも各ゲージ抵抗26を構成する部分と各配線27を構成する部分とに対して、SOI層21cの酸化膜21bと接合する面の対向面から例えばP型不純物のイオン注入を行なうことによりこれらの部分の全域をP型半導体にする。
そして、図4(C)に示すように、周知のフォトレジストやエッチングなどにより酸化膜21bまで達するトレンチ25を形成する。これにより、SOI層21cにトレンチ25によって区画された各ゲージ抵抗26と各配線27を形成するとともに、各ゲージ抵抗26と各配線27を取り囲むトレンチ25によりSOI層21cで構成される外周部28を形成する。その後、各ゲージ抵抗26を形成するSOI層21cをさらにエッチングなどにより薄くする。なお、各ゲージ抵抗26および各配線27は、本図とは別断面で電気的に接続されている。
次に、図4(D)に示すように、エッチングなどにより支持基板21aのSOI層21cが形成される面と対向する面から凹部22を形成して、支持基板21aにおける凹部22の底部と酸化膜21bのうち凹部22の底部と対応する部分とからなるダイアフラム24を形成する。なお、ダイアフラム24の厚さは適宜変更可能であり、例えば、凹部22を酸化膜21bが露出するまで形成して、ダイアフラム24を酸化膜21bで形成することもできる。
そして、図5(E)に示すように、Si基板31を用意し、例えば酸化やCVDなどにより、絶縁膜32をSOI基板21と接合させる面に形成する。次に、Si基板31のうち環状凸部15の第2環状面15cに接合される部分と導通孔29が形成される部分との間に対応する部分に絶縁膜32まで達するトレンチ37を形成して、このトレンチ37内に絶縁層38を形成する。そして、例えば酸化やCVDなどにより、酸化膜33をSi基板31の絶縁膜32が形成される面と対向する面に形成する。なお、ハウジング11とゲージ抵抗26との絶縁性が酸化膜33により十分確保できていれば、トレンチ37や絶縁層38を形成しなくてもよい。
そして、図5(F)に示すように、凹部22を閉塞するように絶縁膜32を介してSi基板31とSOI基板21とを貼り合わせることで凹部22およびSi基板31により圧力基準室23を密閉するように形成する。これにより、圧力基準室23の基準圧力と圧力媒体の圧力との圧力差に基づくダイアフラム24の変位に応じた信号が各ゲージ抵抗26から出力されるセンシング部20aが構成される。
そして、図5(G)に示すように、各配線27の一部である露出配線部27aを一側面20bのうち外縁(第2環状面15cに接合される部位)を除く部位にてそれぞれ露出させるように当該一側面20bから他側面20cにかけて4つの導通孔29を形成するとともに、各導通孔29に絶縁膜29aをそれぞれ形成する。
これにより、図3に示すセンサチップ20が完成する。
次に、上述のように形成されるセンサチップ20をハウジング11に組み付けて圧力センサ10を形成する工程を図6〜図8を用いて説明する。
まず、図6(A)に示すように、中空部11aに内方へ突出する環状凸部15が形成される略円筒状のハウジング11を用意し、ねじ部14を形成する。そして、環状凸部15の内周面15aおよび第1環状面15bと内壁面11aとの適所に絶縁膜16を形成する。そして、第1環状面15bおよび内壁面11aに、絶縁膜16を介して各ハウジング側配線部17を形成するとともに、各ハウジング側配線部17にターミナル12をそれぞれ電気的に接続する。
次に、図6(B)に示すように、センサチップ20を、一側面20bの外縁にてハウジング11の第2環状面15cにSiO2−金属接合により直接接合する。このため、センサチップ20によりハウジング11における第1環状面15b側と第2環状面15c側との間の気密性が確保される。また、各露出配線部27aおよび各ハウジング側配線部17の両配線部27a,17が同じ第1環状面15b側に配置されることとなる。
そして、図7(C)に示すように、各電極30を形成するためのメタルマスク40を用意する。このメタルマスク40は、図8に示すように、センサチップ20が接合されたハウジング11に対して所定の位置に配置されるとき、センサチップ20の各露出配線部27aとハウジングの各ハウジング側配線部17とに対応するように開口部41がそれぞれ形成されている。そして、このように形成されるメタルマスク40を所定の位置に配置した後、各電極30を形成するための蒸着材料を蒸発させ各開口部41を介して、第1環状面15b側から各露出配線部27a、各絶縁膜29a、酸化膜33、絶縁膜16およびハウジング側配線部17上にそれぞれ蒸着(堆積)させる。
これにより、センサチップ20の各配線27とハウジング11の対応するハウジング側配線部17とが対応する電極30を介してそれぞれ電気的に接続される。このように、両配線部27a,17が蒸着された電極30を介して電気的に接続されるので、ボンディングワイヤを介した超音波接合等と比較して、配線部材等を介する両配線部27a,17の電気的接続を強固にすることができる。
このようにして、図7(D)に示す圧力センサ10が完成する。
なお、図6(A)に示す工程は、特許請求の範囲に記載の「第1工程」の一例に相当し、図4(A)〜(D)および図5(F)〜(G)に示す工程は、特許請求の範囲に記載の「第2工程」の一例に相当し、図6(B)に示す工程は、特許請求の範囲に記載の「第3工程」の一例に相当し、図7(C)に示す工程は、特許請求の範囲に記載の「第4工程」の一例に相当する。
以上説明したように、本第1実施形態の圧力センサ10の製造方法では、中空部11aが形成される略円筒状のハウジング11に対して、この中空部11a内に環状凸部15を形成するとともにこの環状凸部15の第1環状面15bに絶縁膜16を介して各ハウジング側配線部17を形成する。そして、センサチップ20に対して、各配線27の一部である露出配線部27aを一側面20bのうち外縁を除く部位にて露出するように形成する。そして、センサチップ20を、一側面20bの外縁にて第2環状面15cに接合してハウジング11の中空部11a内に配置する。そして、各露出配線部27aおよび各ハウジング側配線部17を電気的に接続する電極30を両配線部27a,17上にそれぞれ蒸着(堆積)させる。
これにより、各露出配線部27aおよび各ハウジング側配線部17の両配線部27a,17が同じ第1環状面15b側に配置されるため、第1環状面15b側から電極30を構成するための電極材料を蒸着法により両配線部27a,17上に蒸着(堆積)させることにより、両配線部27a,17を容易に電気的に接続することができる。また、両配線部27a,17の接続作業では、ボンディングワイヤを介した超音波接合等と比較して、電極30を介する上記両配線部27a,17の電気的接続が強固になり、センサチップ20自体を高温状態にすることもなくセンサチップ20に振動が伝わることもない。特に、センサチップ20は、その一側面20bの外縁にて環状凸部15の第2環状面15cに接合されるため、センサチップ20によりハウジング11における第1環状面15b側と第2環状面15c側との間の気密性が確保される。このため、第1環状面15b側に配置される電極30等が、第2環状面15c側に導入される圧力媒体(測定媒体)に曝されることもない。
したがって、ハウジング11内に配置されるセンサチップ20に形成される各電極30等を圧力媒体(測定媒体)に曝すことなくハウジング11のハウジング側配線部17に容易かつ確実に接続することができる。
また、本第1実施形態の圧力センサ10の製造方法では、センシング部20aは、他側面20cに対して作用する圧力媒体の圧力に応じて変位するダイアフラム24とこのダイアフラム24の変位に応じた信号を出力する各ゲージ抵抗26とを備えている。そして、センサチップ20に対して、センシング部20aおよび各配線27を他側面20cに形成するとともに、露出配線部27aを一側面20bのうち外縁を除く部位にて露出させるように当該一側面20bから他側面20cにかけて導通孔29を形成する。そして、センサチップ20を、一側面20bの外縁にて第2環状面15cに接合してハウジング11の中空部11a内に配置する。そして、露出配線部27aおよびハウジング側配線部17を電気的に接続する電極30を導通孔29を介して両配線部27a,17上に蒸着(堆積)させる。
これにより、圧力センサ10は、第2環状面15c側に導入される測定媒体の圧力、すなわち、圧力媒体の圧力を検出可能に構成される。このとき、センサチップ20の他側面20cに形成される各配線27の一部である露出配線部27aは、各導通孔29および各絶縁膜29aを介して一側面20bに露出しているので、各導通孔29および各絶縁膜29aを介して両配線部27a,17上に電極30を蒸着(堆積)させることにより当該両配線部27a,17の電気的接続がより強固となる。さらに、他側面20cに形成されるセンシング部20aからの信号を各配線27を介して一側面20bに取り出すための貫通電極等を形成する工程が不要になるので、製造工程を簡略化することができる。
さらに、本第1実施形態の圧力センサ10の製造方法では、センシング部20aは、ダイアフラム24が底部になる凹部22を閉塞するようにSOI基板21とSi基板31とを貼り合わせることで凹部22およびSi基板31により密閉されて形成される圧力基準室23を備えるとともに、この圧力基準室23の基準圧力と圧力媒体の圧力との圧力差に基づくダイアフラム24の変位に応じた信号が各ゲージ抵抗26から出力されるように構成されている。
これにより、2枚の基板21,31を貼り合わせることでセンシング部20aが形成されるセンサチップ20を圧力センサ10に用いた場合でも、ハウジング11内に配置されるセンサチップ20の各電極30等を圧力媒体に曝すことなくハウジング11のハウジング側配線部17に容易かつ確実に接続することができる。
図9は、第1実施形態の第1の変形例における圧力センサ10を示す全体概略断面図である。
第1実施形態に係る第1の変形例として、図9に示すように、露出配線部27aおよびハウジング側配線部17を電気的に接続する各電極30aを、各導通孔29を完全に埋めることなく形成してもよい。
これにより、各導通孔29内に堆積する電極30aには隙間が形成されるため、各電極30aとセンサチップ20を構成する両基板21,31等との熱膨張係数の違いによって各電極30a等が変形する場合でも上記隙間の容積が変化するだけなので、各電極30a等の変形に起因する応力の発生を防止することができる。
図10は、第1実施形態の第2の変形例における圧力センサ10を示す全体概略断面図である。
第1実施形態に係る第2の変形例として、図10に示すように、圧力センサ10のセンサチップには、上述した2枚の基板を貼り合せて構成されるセンサチップ20に限らず、例えば、1枚の基板で構成されるセンサチップ20dを採用してもよい。
このセンサチップ20dは、一側面20b(第1環状面15b側の面)に各ゲージ抵抗26や各配線27等が形成され、他側面20c(第2環状面15c側の面)に凹部22が形成されることでダイアフラム24が形成されている。
このように構成されるセンサチップ20dは、一側面20bの外縁にて酸化膜33を介してハウジング11の第2環状面15cに直接接合されてハウジング11内に配置されている。そして、このように直接接合された状態で、各配線27の露出配線部27a、酸化膜33、絶縁膜16および各ハウジング側配線部17上に電極材料として例えばアルミニウムを蒸着(堆積)させることで、各露出配線部27aおよび各ハウジング側配線部17を電気的に接続するための電極30bがそれぞれ形成される。なお、電極材料としてはアルミニウムに限らず、金、白金、銅、ニッケル、チタンおよびチタン合金のいずれかを採用してもよい。
このようにしても、ハウジング11内に配置されるセンサチップ20に形成される各電極30b等を圧力媒体(測定媒体)に曝すことなくハウジング11のハウジング側配線部17に容易かつ確実に接続することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図11および図12を参照して説明する。図11は、本第2実施形態に係る圧力センサ10aの全体概略断面図である。図12は、図11の圧力センサ10aを第1環状面15b側から見た平面図である。
図11に示すように、本第2実施形態に係る圧力センサ10aでは、上述したハウジング11に代えてハウジング11bを採用する点が、上記第1実施形態にて述べた圧力センサ10と主に異なる。したがって、第1実施形態の圧力センサ10と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
ハウジング11bには、上記ハウジング11と異なり、環状凸部15の内方に当該環状凸部15と同一材料にて一体に形成される補強部18が新たに設けられている。この補強部18には、その接合面18aにて後述するようにセンサチップ20の一側面20bが接合されるとき、各露出配線部27aを第1環状面15b側に露出させるための開口部18bが4つ形成されている。これら各開口部18bと接合面18aに対向する面とには、第1環状面15bと同様に、絶縁膜16が形成されている。なお、環状凸部15および補強部18は、例えば、ハウジング11bの内壁面11aの長手方向中央にて圧力導入孔側と反圧力導入孔側との間の気密性を確保するための仕切板に各開口部18bが形成されるようにして構成されてもよい。
そして、上述した図6(B)に相当する工程において、センサチップ20を、各露出配線部27aが対応する開口部18bを介して露出するように、その一側面20bにてハウジング11bの第2環状面15cおよび接合面18aにSiO2−金属接合により直接接合する。
次に、上述した図7(C)に相当する工程において、メタルマスク40を所定の位置に配置した後、各電極30cを形成するための蒸着材料を蒸発させ各開口部41を介して、第1環状面15b側から各露出配線部27a、各絶縁膜29a、酸化膜33、絶縁膜16およびハウジング側配線部17上にそれぞれ蒸着(堆積)させる。
これにより、センサチップ20の各配線27とハウジング11の対応するハウジング側配線部17とが対応する電極30cを介してそれぞれ電気的に接続される。このようにして、図11に示す圧力センサ10aが完成する。
このように製造される本第2実施形態の圧力センサ10aでは、環状凸部15の第2環状面15cだけでなく補強部18の接合面18aにも接合された状態で上記両配線部27a,17上に電極30cを構成するための電極材料がそれぞれ蒸着(堆積)させることで、上記両配線部27a,17が各電極30cにより電気的に接続されるので、センサチップ20をハウジング11bに強固に接合することができる。
なお、上記電極材料を蒸着(堆積)させる際に各電極30cを一体に形成し、蒸着後に一部を機械的に取り除くことで各電極30c同士を絶縁してもよい。上記第1実施形態でも同様である。特に、補強部18上に蒸着(堆積)する電極30cは、平坦に形成されるため機械的除去が容易である。
[参考例]
次に、参考例を図13を参照して説明する。図13は、参考例に係る圧力センサ10bの全体概略断面図である。
図13に示すように、参考例に係る圧力センサ10bでは、上述したセンサチップ20に代えてセンサチップ20eを採用するとともに、センサチップ20eの各電極30dとハウジング11のハウジング側配線部17とをボンディングワイヤ50を介して電気的に接続する点が、上記第1実施形態にて述べた圧力センサ10と主に異なる。したがって、第1実施形態の圧力センサ10と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
センサチップ20eは、上記センサチップ20と異なり、絶縁膜29aを介して各導通孔29を埋めるように電極30dが予め形成されている。ここで、各電極30dは、例えば、錫等の材料をインクジェット法やスクリーン印刷法、ディスペンス法等により堆積(塗布)させて形成されている。
そして、金等の材料で形成されるボンディングワイヤ50を用意し、センサチップ20eが一側面20bにてハウジング11の第2環状面15cに直接接合された状態で、各電極30dと各ボンディングワイヤ50の一端とを共晶接合することで、各電極30dと各ボンディングワイヤ50とを電気的に接続する。なお、各ボンディングワイヤ50の他端は、対応するハウジング側配線部17に電気的に接続されている。
このように製造される参考例の圧力センサ10bでは、ボンディングワイヤ50を介して各電極30dおよび各ハウジング側配線部17を電気的に接続する接続作業時に、センサチップ20eに対する第2環状面15cから引き離す方向の力をなくすことができるので、ハウジング11における第1環状面15b側と第2環状面15c側との間の気密性を確保するとともに、各電極30dおよび各ハウジング側配線部17を確実に電気的に接続することができる。特に、ボンディングワイヤを介した超音波接合等と比較して、ボンディングワイヤ50と各電極30dとの電気的接続が強固になり、センサチップ20e自体を高温状態にすることもなくセンサチップ20eに振動が伝わることもない。
参考例に係る変形例として、各電極30dに一端が導電性を有する接合部材、例えば、導電性接着剤やはんだ、銀ペースト等により接合されるボンディングワイヤ50を介して各電極30dおよび各ハウジング側配線部17をそれぞれ電気的に接続してもよい。
このようにしても上記参考例と同様に、ボンディングワイヤ50を介して各電極30dおよび各ハウジング側配線部17を電気的に接続する接続作業時に、センサチップ20eに対する第2環状面15cから引き離す方向の力をなくすことができるので、ハウジング11における第1環状面15b側と第2環状面15c側との間の気密性を確保するとともに、各電極30dおよび各ハウジング側配線部17を確実に電気的に接続することができる。
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、上記各実施形態と同等の作用・効果が得られる。
(1)上記第1実施形態において、各電極30は、メタルマスク40を介した蒸着法により形成されることに限らず、例えば、スパッタ法やスクリーン印刷法、インクジェット法、ディスペンス法等により形成してもよい。上述した各電極30a,30b,30cにおいても同様である。
(2)上記第1実施形態において、センサチップ20をハウジング11に組み付ける前に当該センサチップ20の各導通孔29内に電極30の一部に相当する電極を予め形成してもよい。上述した各電極30a,30b,30cにおいても同様である。
(3)上記各実施形態に係るセンサ装置は、圧力センサ10に適用されることに限らず、例えば、加速度センサやジャイロセンサ等に適用してもよい。これにより、センサチップの配線部とこのセンサチップを収容するハウジングの配線部とが強固に接続されるため、可動物を有するセンサ装置であっても両配線部の電気的接続を確実にすることができる。