JP3602238B2 - 半導体圧力センサおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高度、気圧、水深等の圧力を計測できる腕時計(ダイバーズウオッチ)等の、小型圧力センサを必要とする機器類に利用可能な半導体圧力センサおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧力センサは、空圧機器などの産業用から大気圧モニター等の雰囲気測定用さらには家庭電化製品の圧力調節やモニター等その用途は極めて広い。しかも、現在では、腕時計等の携帯用の機器にまで搭載されており、登山用の高度計やダイバー用の水深計としての利用により快適なスポーツライフを提供する等、その用途はますます広がっている。
【0003】
前記携帯用の機器に圧力センサを搭載するときには、搭載する圧力センサにより、機器が大型化してしまっては、携帯用機器の意味をなさないため、当然、圧力センサの小型かつモジュール化が必要である。
【0004】
従来の小型圧力センサ(ボタン型)は、金属リードフレームでセンサチップとの導電回路を形成し、パッケージを樹脂モールドすることにより製造されていた。
【0005】
図10にこの種の小型圧力センサの外観構造を示す。図の圧力センサは上部を解放して(シリコーン系のゲルが充填されている場合もある)外周部がモールド樹脂体からなるパッケージaで覆われており、通常は機器への搭載側になる下面にリードフレームの電極端子bが露出している。この電極端子bはパッケージaに搭載されたセンサチップ(図示省略)にリードフレームを介して接続されており、センサチップの電気的な出力を外部機器に出力する。前記パッケージaの上部開放面にはセンサチップの受圧面があり、該開放面から測定圧力がセンサチップの受圧面に作用するようになっている。
【0006】
前記小型圧力センサの従来の製造工程を図11〜図13に示す。図11、図12はリードフレームおよびパッケージaの成形工程である。
まず、図11(a)に示すように、厚さの薄い(例えば0.25〜0.5mm)リードフレーム材(金属板例えば銅板、リン青銅等)を帯状にしたものcを、(b)に示すようにプレス加工により型抜きしてリードフレームdを形成する。
【0007】
そして、図11(c)および図12(a)に示すようにリードフレームdの所定箇所eを下方に向けて折り曲げて電極端子bを形成する。
さらに、図11(d)および図12(b)に示すように、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等のプラスチック樹脂を個々のリードフレームdに射出成形して上部の開放されたパッケージaを形成する。
その後、図12(c)に示すように、パッケ−ジaから下方に突出した電極端子bを折り曲げる。
【0008】
図13は、センサの組み立て工程である。前記リードフレームdに成形されたパッケ−ジaは、図13(a)に示すように、上部が開放されており、その上部開放部f内に台座gおよびセンサチップhを搭載してそれをシリコーン樹脂等で接着する。
そして、図13(b)に示すように、センサチップhをワイヤーボンドiによりリードフレームdに接続し、(c)に示すように、上部開放部f内にシリコーン系のゲルjを埋め込む。なお、シリコーン系ゲルは必要に応じて使用する。
【0009】
以上の工程までは型抜きされた複数のリードフレームd上に複数個のモールド樹脂からなるパッケージaを一次元的に付けたままで、全組み立て工程を流し、最終的にリードフレームd(例えばセンサ10個/1リードフレーム)を個々の圧力センサ毎に切り離して分離し(図13(c)参照)、これにより圧力センサが完成する。
【0010】
上記のリードフレームによる製造方法を採用するのは、金属板に一次元的に金属リードフレームを製造できかつそのリードフレームdに樹脂パッケージaを成形した状態で製造ライン上を流せるので、大量生産に向くからである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の工程で作成される小型圧力センサでは、次のような構造上および製造方法上の理由から小型化およびコスト低減に限界があり、さらなる小型化および低価格化のニーズに応えることができないという問題点がある。例えば、従来の小型圧力センサではボタン型で直径が約6mmで厚さが2.5mm程度が限界となっていた。しかし、従来技術ではこの設計限界を乗り越え、しかも製造コストを下げることができる技術はなかった。
【0012】
▲1▼射出成形樹脂からなるパッケージをリードフレームに一体成形する従来のやり方では、これ以上小型化するのは加工技術上の限界であった。つまり、小型化するにはフレームの厚さおよび幅を小さくする必要があり、センサチップへの接続端子部分等の箇所で部分的にリードフレームの幅を0.25mm程度の非常に狭いものに成形しなければならない。しかしながら、従来のパッケージは、リードフレームを複雑に折り曲げた構造をしているためにその加工精度を保つ寸法は、現在のプレス成形技術ではリードフレームの幅および金属板の厚さの限界があり、端子の幅をこの限界以下に狭くすると、その端子でリードフレームが非常に脆弱になってしまうので、フレーム自体のゆがみや折れが生じやすく、また、フレーム自体の剛性も低下してしまう。
さらに、圧力センサの小型化にともなって、パッケージも小型化するために、成形樹脂を射出する空間が小さくなってしまい、現在の射出成形技術の限界を超えてしまっていた。
したがって、上記の理由から、小型化圧力センサはボタン型で直径が約6mmで厚さが2.5mm程度が既に限界になっていた。
【0013】
▲2▼この種の射出成形のパッケージでは、加工費がコストの重要なるファクターとなるので、このような射出成形では、パッケージのコストダウンは非常に困難が伴うものであった。
【0014】
▲3▼センサの組み立て工数は、パッケージ工程に依存し、センサの大きさにはほとんど関係ない。
【0015】
なお、半導体圧力センサ素子の小型化が進むと、その圧力センサ素子を各機器に実装する場合に、圧力センサ素子の電極端子に機器の電極を半田(はんだ)で直接に接続することが困難になる。そこで、実装以前の圧力センサに予め電極端子としてフレキシブルプリントサーキット(FPC)等の引き出し電極を接続してそのFPCにより電極を外に取り出したものを、各機器に実装する場合が多くなった。
しかしながら、このようなFPCを接続する工程が必要になるに伴い、圧力センサの機器への実装コストは当然上昇する。この工程の改善によりコストダウンを図れるが、従来はそのような技術が無かった。
【0016】
本発明は、前記従来の問題点を解消するべくなされたものであって、半導体圧力センサを極めて小型化できかつ低コストで製造できると共に、製造後の実装の際に接続を容易にしかつ実装コストをも削減できる半導体圧力センサおよびその製造方法を提供することを課題とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するため次の構成を有する。
請求項1の発明は、半導体センサチップに圧力により歪む部分と歪みの検出部とを形成し該歪み検出部の出力信号を検出する半導体圧力センサにおいて、配線層が形成されかつ柔軟に曲がり可能なシート材と、シート材の裏面部に固定されかつ剛性の補強部材と、シート材の上に固定される前記センサチップと、シート材の上に、前記センサチップを覆って固定される函体とを備えて、前記センサチップ、および筺体は、シート材が前記補強部材によって曲がり難くなった部分の上に固定されており、前記配線層を介して前記検出部の歪み検出信号を出力するようにしたことを特徴とする半導体圧力センサである。
請求項2の発明は、前記補強部材は、函体の底面形状に対応する形状を呈した基板であることを特徴とする請求項1に記載の半導体圧力センサである。
請求項3の発明は、前記補強部材は、フェノール樹脂基板、エポキシ樹脂基板、またはガラスエポキシ樹脂基板からなるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体圧力センサである。
【0018】
請求項4の発明は、半導体センサチップに圧力により歪む部分と歪みの検出部とを形成し該歪み検出部の出力信号を検出する半導体圧力センサの製造方法において、柔軟に曲がり可能なシート材に、前記検出部からの信号を出力するための配線層形成工程と、剛性の補強部材をシート材の裏面部の1以上の位置に固着する補強部材固着工程と、シート材の上で補強部材に対応する1以上の位置に前記センサチップをマウントするセンサチップマウント工程と、前記センサチップを前記配線層に電気的に接続する接続工程と、前記センサチップを覆ってシート材の上に函体を固定する工程と、前記センサチップに対応して函体の周囲のシート材を所定の端子形状に切断することにより前記センサチップ毎のセンサ素子を分離するセンサ素子分離工程とを含むことを特徴とする半導体圧力センサの製造方法である。
【0019】
請求項1から請求項3の発明の半導体圧力センサおよび請求項4の発明の半導体圧力センサの製造方法においては、柔軟性を持つシート材に、前記検出部出力信号を伝達するための配線層を形成する。また、剛性の補強部材をシート材の裏面部に固着し、前記センサチップ、および筺体は、シート材が前記補強部材によって曲がり難くなった部分の上に固定する。または、シート材の上の補強部材に対応する位置にセンサチップをマウントする。そして、センサチップを前記配線層に電気的に接続して、さらに、センサチップを覆ってシート材の表面部に函体を固定する。
【0020】
したがって、センサチップと端子との電気的な接続を従来のような型抜きのリードフレーム材を用いづに行うことができる。このため、リードフレーム材を用いたときに比較して、はるかに容易に半導体圧力センサの小型化を図ることができる。また、リードフレーム材を不要にしてプリント配線を主にすると共に、パッケージは、射出成形によらずに函体等を被せるだけで良いため、材料費、加工費の面でコストダウンも確実に図れる。
【0021】
また、シート材が補強部材で剛性を有する部分にセンサチップおよび函体を固定し、半導体センサ素子をFPC上に形成する。よって、FPCが半導体圧力センサの引き出し電極付となり、圧力センサ製造後に引き出し電極を接続する工程は不用となる。
【0022】
請求項4の発明においては、シート材に裏面部の1以上の位置に補強部材を固定する。また、シート材上の補強部材に対応する1以上の位置にセンサチップをマウントし、かつ函体を固定してセンサ素子を形成する。そして、シート材の切断によりセンサチップに対応するセンサ素子毎に分離する。
【0023】
したがって、単一のシート材上に2次元的に配列してセンサ素子を製造できるため、より一層の大量生産が可能であり、圧力センサの低コスト化を図ることができる。
しかも、シート材の切断は、予めシート材にセンサ素子に対応した電極形状に切り込みを入れておけば、容易に切断・分離できるので、無駄がなくなる。
【0024】
なお、発明者はガラス(繊維)入りエポキシ基板に1以上のセンサチップを配列してセンサ素子を構成し、そして、そのガラス入りエポキシ基板を打ちぬいてセンサ素子を個々に分離する製造方法を考えた。しかるに、この製造方法によると、最終工程で打ち抜く(型抜き)ことが必要となり、打ち抜き型の刃が入るだけのスペースがセンサ素子の回りに必要になると共に打ち抜きが難しいという問題があった。
【0025】
これに対して、請求項4の発明では、前記のように予めシート材にセンサ素子に対応した電極形状に切り込みを入れておけば、容易に切断・分離できるので、無駄がなくなる。また、基板の型抜き時に該基板に加わるような衝撃が生じることがなく、その衝撃によるセンサ素子の不具合を確実に防止できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1〜図2本発明の実施形態に係る半導体圧力センサ素子(以下センサ素子という)を単体とした場合の説明図であって、図1(a)は平面図、(b)は縦断面図、図2は外観斜視図である。
【0027】
図に示すように、センサ素子10は、外形が概略椀形状であってかつ中央部に穴(受圧穴:圧力導入穴)1の明いたキャップ(函体に相当)2が半導体センサチップ(以下センサチップという)3上を覆ってFPCシート4に固定されているものである。
【0028】
このFPCシート4は、導電膜回路(配線層に相当)4aが形成されかつ柔軟に曲がり可能なものであり、FPCシート4の裏面部には剛性の補強基板(補強部材に相当)5が固定され、また、FPCシート4の上の補強部材に対応する位置にセンサチップ3が固定される。
【0029】
また、前記圧力センサにおいては、半導体センサチップ3に圧力により歪むダイヤフラム部3aと歪みを検出する歪み抵抗ゲージ3bとを形成し、該センサチップ3に前記圧力導入穴1を通る測定対象圧力が作用して該センサチップ3に生じる歪みを前記歪み抵抗ゲージ3bの出力信号から検出することにより、該測定対象圧力を測定する。
【0030】
前記FPCシート4は、導電膜回路4aが形成されて曲がり可能なものであって、長さ方向一端部に前記センサチップ3が台座8を介して直接ダイボンドで接着され、また、他端部に導電膜回路4aに電気的に接続される外部取り出し用の引き出し電極6が形成される。
前記導電膜回路4aには、前記センサチップ3の歪み抵抗ゲージ3bが前記導電膜回路4aに金線等のリード線(ワイヤーボンド)7で電気的に接続される。
【0031】
キャップ2は、椀を伏せた形状を呈しており、上底部中央には圧力をキャップ2内に導く穴1が貫通して形成されている。
また、キャップ2は、金属またはPPS等のプラスチック製のものであって、センサチップ3を覆ってFPCシート4の表面部に金属キャップであれば半田(はんだ)により、または、プラスチックであればエポキシ樹脂等により接着・固定(固着)される。
【0032】
また、前記キャップ2には、前記のように上部に圧力導入穴1が設けてあり、実施形態の圧力センサで水圧を測る場合には、この穴1からキャップ2内部にシリコーン系の防水ゲル(符号2aで示す)例えば黒色シリコーンゲル(カーボンブラック入り)を充填することが望ましい。
【0033】
また、前記補強基板5はキャップ2の底面形状に対応する円形形状を呈した剛体の絶縁体からなるものであり、基板材として、フェノール樹脂基板、エポキシ樹脂基板、ガラスエポキシ樹脂基板等を用いることができる。
【0034】
以上のセンサ素子10では、前記センサチップ3の歪み抵抗ゲージ3bの検出信号はリード線7、導電膜回路4a、および、前記引き出し電極6を介して出力するようになっている。
【0035】
また、前記のセンサ素子10は、図1に示すように、キャップ2の上面部から補強基板5の底面部にかけての高さはhは2.5〜3mm、キャップ2の外径Dは4mmの寸法を目標に形成できる。
【0036】
したがって、実施形態の圧力センサ(センサ素子10)によれば、リードフレームを用いることなく導電膜回路4aおよび引き出し電極6により接続構造を形成するため、従来のリードフレームのようなプレス成形時の曲がりや折れが生じないようにするための寸法制約等がないため、リードフレームに比較してはるかにセンサの小型化を図ることができる。
また、FPCシート4にプリント配線等により導電膜回路4aを形成すればよいため、材料費、加工費の面でコストダウンも確実に図れる。
【0037】
また、前記センサ素子10によれば、機器にセンサ素子10を組みつける場合に引き出し電極6によりセンサ素子10と他の機器との位置関係を厳密に調整することなく比較的自由に選択して接続することができるので、容易な接続を可能にし、センサ素子10の組付け性を向上させることができる。
【0038】
次に、前記圧力センサの製造工程を図3〜図8により説明する。
図3に示すように、切断後に個々の圧力センサ素子10の前記補強基板5になるいわば基板の素材である、剛性が高く曲がり難い絶縁体からなる基板素材11を用意する。また、個々のセンサ素子10接続用の回路が縦横のマトリックス状の配列でパターニングされていて、切り離した後にFPCシート4になるFPCシート素材12を用意する(配線層形成工程)。
なお、このFPCシート素材12には、各センサ素子10の個々に備えるFPCシート4の形状に合わせて厚さ方向に切り込みを入れることができ、これによりセンサ素子10をFPCシート素材12に多数形成した後に素子10毎に切り離し易くすることができる。
【0039】
そして、図3に示すように、この基板素材11をセンサ素子10の大きさに合わせて全面から多数を打ち抜き、補強基板5としての円盤状ペレットを作製する。
【0040】
次いで、図4((a)は裏面図、(b)は断面図)に示すように、補強基板5ペレットをFPCシート素材12の裏面部12bであって、1以上のセンサ素子10の形成位置に対応する回路部分にエポキシ系樹脂で接着・固定する(補強部材固着工程)。
【0041】
そして、図5に示すように、FPCシート素材12の上12aの補強基板5の対応する1以上の位置(つまりセンサ素子10の形成位置に対応する回路部分)にセンサチップ3を台座8を介して直接ダイボンドして固定(マウント)する(センサチップマウント工程)。
【0042】
次いで、図6に示すように、センサチップ3の抵抗ゲージ3bを各FPCシート4導電膜回路4aにリード線7で電気的に接続する(接続工程)。
【0043】
そして、図7に示すように、導電膜回路4aにセンサチップ3が電気的に接続された状態でそのセンサチップ3を個々にキャップ2で覆いかつFPCシート素材12の上にキャップ2を接着し固定する(函体固定工程)。
【0044】
なお、前記センサ素子10が水圧を検出するものであれば、図8に示すように、キャップ2をFPCシート素材12に固定した後に、シリコーン系の防水ゲル2aを穴1を通してキャップ2内に充填する。
【0045】
最後に、FPCシート素材12をセンサ素子10毎の型に沿ってプレスで打ち抜いて個々にFPCシート4を切り離して、センサチップ3毎のセンサ素子10を分離する(センサ素子分離工程)。
【0046】
なお、前記FPCシート素材12の裏面部12bの各所定箇所に補強基板5ペレットを接着する作業、該素材12の上12aの各所定箇所にセンサチップ3を固定する作業、あるいは、リード線7の接続作業等は、予め定められたプログラムにしたがって精度良くX−Y位置決めができ、かつ、このような種々の作業が実行可能な、産業用のロボットハンドを用いて行うことができる。
【0047】
上記の実施形態の製造工程では、大きなFPCシート素材12上に一次元的な広がりのみならず、二次元的な広がりを持ってセンサ素子10を形成できる。例えば、100×100以上のセンサ素子を配列できる。
したがって、FPCシート素材12上に多数のセンサ素子10を形成できる。しかも、そのセンサ素子10をFPCシート素材12の切り離しで個々のセンサ素子10にできるので、多数のセンサ素子を一括で製造できる。また、組み立ては上記のロボットハンドを用いる等自動機を使用するため、生産性が向上する。よって、量産性が極めて高い。
【0048】
また、前記実施の形態では、予めFPCシート材にセンサ素子10に対応した電極形状に切り込みを入れておけば、容易に切断・分離できるので、無駄がなくなる。また、FPCシートの型抜き時にガラス(繊維)入りエポキシ基板を打ち抜く際に加わるような衝撃が生じることがなく、その衝撃によるセンサ素子の不具合を確実に防止できる。
【0049】
次に、前記実施形態の圧力センサの変形例を図9に基づき説明する。
前記センサ素子は図1、図2、図8などに示すように椀を伏せた形状のキャップ2を用いていたが、センサ素子の使用用途により、函体は種々のものを用いることができる。キャップの形状を例えば図9に示すように、キャップ13をその上底部から延びるパイプ13aを付けたものにすれば、使用範囲が広がる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明した通り請求項1から請求項4の発明によれば、センサチップと端子との電気的な接続を従来のような型抜きのリードフレーム材を用いずに行うことができる。よって、リードフレーム材を用いたときに比較して、はるかに半導体圧力センサの小型化を図ることができる。また、リードフレーム材を不要にしてプリント配線を主にすると共に、パッケージは、射出成形によらずに函体等を被せるだけで良いため、材料費、加工費の面でコストダウンも確実に図れる。
【0051】
また、シート材が剛性の補強部材によって曲がり難くなった部分の上にセンサチップをマウントし、かつ函体を固定するので、半導体センサ素子をシート材上に形成できる。よって、シート材の配線層が半導体圧力センサの引き出し電極になり、圧力センサ製造後に引き出し電極を接続する工程を削減できるので、製造コストを低減できる。
【0052】
また、請求項4の発明は、単一のシート材上に2次元的に配列してセンサ素子を製造できるため、より一層の大量生産が可能であり、圧力センサの低コスト化を図ることができる。
しかも、シート材の切断は、予めシート材にセンサ素子に対応した電極形状に切り込みを入れておけば、容易に切断・分離できるので、無駄がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る半導体圧力センサの単体とした場合の説明図であって、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。
【図2】図1のセンサ素子の斜視図である。
【図3】センサ素子の製造工程の説明図であって、基板素材の平面図である。
【図4】センサ素子の製造工程の説明図であって、(a)はFPCシートに補強基板を配列固定した状態の平面図、(b)は同縦断面図である。
【図5】センサ素子の製造工程の説明図であって、センサチップをFPCシート上に固定した状態の縦断面図である。
【図6】センサ素子の製造工程の説明図であって、センサチップにリード線を接続した状態の縦断面図である。
【図7】センサ素子の製造工程の説明図であって、リード線を接続したセンサチップにキャップを被せてFPCシートに固定した状態の縦断面図である。
【図8】センサ素子の製造工程の説明図であって、FPCシートを切り離した後のセンサ素子の縦断面図である。
【図9】センサ素子の変形例を説明する縦断面図である。
【図10】従来の小型圧力センサの外観構造を示す説明図であって(a)は側面視図、(b)は底面視図である。
【図11】図10の小型圧力センサの従来の製造工程の説明図であって、(a)〜(d)はそれぞれリードフレームおよびパッケージの成形工程説明図である。
【図12】(a)〜(c)は、それぞれリードフレームおよびパッケージの成形工程説明図である。
【図13】(a)〜(c)は、それぞれパッケージ内のセンサチップの接続工程説明図である。
【符号の説明】
1 圧力導入穴
2 キャップ
3 センサチップ
4 FPCシート
4a 導電膜回路
5 補強基板
6 引き出し電極
7 リード線
10 圧力センサ素子
11 基板素材
12 FPCシート素材
Claims (4)
- 半導体センサチップに圧力により歪む部分と歪みの検出部とを形成し該歪み検出部の出力信号を検出する半導体圧力センサにおいて、
配線層が形成されかつ柔軟に曲がり可能なシート材と、
シート材の裏面部に固定されかつ剛性の補強部材と、
シート材の上に固定される前記センサチップと、
シート材の上に、前記センサチップを覆って固定される函体とを備えて、
前記センサチップ、および筺体は、シート材が前記補強部材によって曲がり難くなった部分の上に固定されており、前記配線層を介して前記検出部の歪み検出信号を出力するようにしたことを特徴とする半導体圧力センサ。 - 前記補強部材は、函体の底面形状に対応する形状を呈した基板であることを特徴とする請求項1に記載の半導体圧力センサ。
- 前記補強部材は、フェノール樹脂基板、エポキシ樹脂基板、またはガラスエポキシ樹脂基板からなるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体圧力センサ。
- 半導体センサチップに圧力により歪む部分と歪みの検出部とを形成し該歪み検出部の出力信号を検出する半導体圧力センサの製造方法において、
柔軟に曲がり可能なシート材に、前記検出部からの信号を出力するための配線層形成工程と、
剛性の補強部材をシート材の裏面部の1以上の位置に固着する補強部材固着工程と、
シート材の上で補強部材に対応する1以上の位置に前記センサチップをマウントするセンサチップマウント工程と、
前記センサチップを前記配線層に電気的に接続する接続工程と、
前記センサチップを覆ってシート材の上に函体を固定する工程と、
前記センサチップに対応して函体の周囲のシート材を所定の端子形状に切断することにより前記センサチップ毎のセンサ素子を分離するセンサ素子分離工程とを含むことを特徴とする半導体圧力センサの製造方法。
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