JPWO2007111298A1 - 可逆性感熱記録材料、可逆性感熱記録媒体及びその記録方法並びに表示方法 - Google Patents
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Abstract
可逆的に発光強度を制御することができ、かつ書き換え耐急性、発光寿命と消光寿命が長い可逆性感熱記録材料を提供することを目的とする。電子供与性呈色化合物と、長鎖脂肪族炭化水素基を有する電子受容性化合物とを含有し、前記電子供与性呈色化合物と前記電子受容性化合物との間の呈色反応を利用した可逆性感熱記録材料であって、前記電子供与性呈色化合物の呈色状態であるときに該電子供与性呈色化合物へのエネルギー移動を行うための発光性化合物をさらに含有することを特徴とする可逆性感熱記録材料である。
Description
本発明は、電子供与性呈色性化合物 と電子受容性化合物との間の呈色反応を利用した感熱記録材料に関するものである。また、本発明は、この感熱記録材料を用いた記録媒体に関するものである。さらに、本発明は、可逆性感熱記録媒体の記録方法及び表示方法に関するものである。
従来、電子供与性呈色性化合物(以下、呈色剤とも言う)と電子受容性化合物(以下、顕色剤とも言う)との間の呈色反応を利用した感熱記録材料は広く知られている。このような感熱記録材料の中でも呈色と消色とを繰り返し行うことができ、かつ、呈色状態や消色状態を室温で保持できる可逆性感熱記録材料としては、これまでに、電子受容性化合物として没食子酸とフロログルシノールを組み合わせたものを用いたもの(特許文献1)、電子受容性化合物にフェノールフタレインやチモールフタレインなどの化合物を用いたもの(特許文献2)、電子供与性呈色化合物と電子受容性化合物とカルボン酸エステルの均質相溶体を記録層に含有するもの(特許文献3〜5)、電子受容性化合物にアスコルビン酸誘電体を用いたもの(特許文献6)、電子受容性化合物にビス(ヒドロキシフェニル)酢酸または没食子酸と高級脂肪族アミンとの塩を用いたもの(特許文献7、8)などが開示されている。
また、(特許文献9)には、電子受容性化合物として長鎖脂肪族炭化水素基を有する有機リン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物、またはフェノール化合物を用い、これと、電子供与性呈色化合物であるロイコ染料と組み合わせることによって、呈色と消色を加熱冷却条件により容易に行わせることができ、しかもその呈色状態と消色状態を常温において安定に保持させることが可能であり、しかも呈色と消色を繰り返すことが可能な可逆性感熱発色性組成物およびこれを記録層に用いた可逆性感熱記録媒体が提案されている。
また、(特許文献10)には、長鎖脂肪族炭化水素基をもつフェノール化合物について特定の構造のものを使用することが提案されている。
さらに、(特許文献11〜15)には、種々の消色促進剤を添加することにより、高速消去特性を付与することが提案されている。
また、(特許文献10)には、長鎖脂肪族炭化水素基をもつフェノール化合物について特定の構造のものを使用することが提案されている。
さらに、(特許文献11〜15)には、種々の消色促進剤を添加することにより、高速消去特性を付与することが提案されている。
しかしながら、上述の可逆性感熱記録材料は、周囲の光を吸収して材料の色を表現する材料であり、周囲が明るい状況でのみ効能を発揮する材料であった。そのため、上述のような可逆性感熱記録材料は以下の問題点を有するものであった。例えば、表示材料などとして用いた場合には、周囲が暗い状況では呈色状態や消色状態を認識できず、補助白色光源を用いて視認することになる。しかし、この場合には白色光の散乱などの影響により、コントラストが低下する問題がある。また、記録材料として用いた場合にも、発光性の材料ではないために、記録を行う前後で励起光を照射した際の発光強度が弱く、高感度の読み出しには適さない材料であった。
また、(非特許文献1)〜(非特許文献19)には、発光性の感熱記録材料として、フォトクロミック化合物と発光性化合物を高分子媒体中に分散し、フォトクロミック化合物を光異性化したものが提案されている。この感熱記録材料は、励起光源を用いることで発光と非発光のON/OFFを行うものである。
しかしながら、上記のフォトクロミック化合物と発光性化合物を高分子媒体中に分散した感熱記録材料は、記録が励起光照射により破壊されてしまうために発光寿命と消光寿命が短いという問題点があった。さらに、周囲が明るい環境下では周囲光によって記録が破壊されてしまうという問題点があった。
そこで、本発明は、上記従来の状況に鑑み、可逆的に発光強度を制御することができ、かつ励起光を照射する過程で記録が破壊されず、さらには周囲が明るい環境下においても記録が破壊されない可逆性感熱記録材料、可逆性感熱記録媒体及びその記録方法並びに表示方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の可逆性感熱記録材料は、請求項1として、電子供与性呈色化合物と、長鎖脂肪族炭化水素基を有する電子受容性化合物とを含有し、前記電子供与性呈色化合物と前記電子受容性化合物との間の呈色反応を利用した可逆性感熱記録材料であって、前記電子供与性呈色化合物の呈色状態における紫外可視吸収スペクトルの一部に対して少なくとも一部が重なるような発光スペクトルを有する発光性化合物を含有することを特徴とする。
また、本発明の可逆性感熱記録材料は、請求項2として、電子供与性呈色化合物と、長鎖脂肪族炭化水素基を有する電子受容性化合物と、高分子マトリックスとを含有し、前記電子供与性呈色化合物と前記電子受容性化合物との間の呈色反応を利用した可逆性感熱記録材料であって、前記電子供与性呈色化合物の呈色状態であるときに該電子供与性呈色化合物へのエネルギー移動を行うための発光性化合物をさらに含有することを特徴とする。
また、請求項3として、請求項1又は2記載の可逆性感熱記録材料において、発光性化合物は、電子供与性呈色化合物の呈色状態における紫外可視吸収スペクトルの一部に対して少なくとも一部が重なるような発光スペクトルを有することを特徴とする。
また、請求項4として、請求項1〜3のいずれかに記載の可逆性感熱記録材料において、電子供与性呈色化合物の呈色状態における吸光度が極大吸光度の25%以上である吸収波長帯と、発光性化合物の発光強度が極大発光強度の25%以上である発光波長帯と、が一部重なるということを特徴とする。
また、請求項5として、請求項1〜4のいずれかに記載の可逆性感熱記録材料において、発光性化合物の極大発光波長が電子供与性呈色化合物の消色状態における吸光度が極大吸光度の25%以上、好ましくは10%以上である吸収波長帯と、発光性化合物の発光強度が極大発光強度の25%以上、好ましくは10%以上である発光波長帯と、が重ならないことを特徴とする。
上記構成によれば、適当な発光性化合物を用いることで、発光状態及び消光状態のコントラストが高く、かつ可逆的に発光強度を制御することができる可逆性の感熱記録材料が得られる。そして、電子供与性呈色化合物と電子受容性化合物との間の呈色反応を利用しており、明視野下においても長期に渡って安定性が保たれる。また、高分子マトリックスを含有することで、記録層のフレキシブル化、印刷による成膜に対応できる。
また請求項6として、請求項1〜5のいずれか記載の可逆性感熱記録材料において、記録媒体の光透過性を向上させるために、電子供与系呈色化合物の配合比を15重量%以上とすることを特徴とする。
また請求項7として、請求項1〜6のいずれか記載の可逆性感熱記録材料において、長鎖脂肪族炭化水素基を有する電子受容性化合物の電子受容部がフェノール骨格を有する化合物からなり、長鎖脂肪族炭化水素基部がカルボニール基もしくはアミノ基もしくはヒドロキシル基を3つ以上含まないことを特徴とする。
また請求項8として、請求項2〜7のいずれか記載の可逆性感熱記録材料において、高分子マトリックスは非晶性の高分子であることを特徴とする。
また請求項9として、請求項2〜8のいずれか記載の可逆性感熱記録材料において、長鎖アルキル顕色剤をさらに含有し、高分子マトリックスの配合比は長鎖アルキル顕色剤1重量部に対し、1重量部以上であることを特徴とする。
上記構成によれば、記録媒体下に表示体があってもその表示を阻害することないので、通常の白色光下では記録層がないように視認されるようにすることができる。一方で特定の波長の強い励起光で照射した場合にのみもともと存在する表示体の上に蛍光表示が浮かび上がる媒体を提供できる。
また請求項10として、請求項1〜9のいずれか記載の可逆性感熱記録材料において、発光性化合物は2光子吸収断面積が500GM以上の化合物であることを特徴とする。
上記構成によれば、発光色素の2光子吸収による発熱を高効率で起こすことができ、3次元的に記録層の内部情報の記録消去を行うことができる。また、低パワーにより2光子励起により3次元的な記録情報を蛍光情報として読み出すことができる。
また、請求項11として、請求項1〜10のいずれか記載の可逆性感熱記録材料において、発光性化合物が水溶性化合物からなることを特徴とする。
上記構成によれば、消光記録を行う際、発光材料と電子供与性呈色化合物の距離が近くなるので消光作用が強く働き、結果として発光状態及び消光状態のコントラストを高めることができる。
また、請求項12として、請求項1〜11のいずれか記載の可逆性感熱記録材料において、電子供与性呈色化合物と発光性化合物とが化学的に結合されたことを特徴とする。
上記構成によれば、消光記録を行う際、発光材料と電子供与性呈色化合物の距離が数nm程度に固定することができるので、消光作用が強く働き、結果として発光状態及び消光状態のコントラストを高めることができる。
また、請求項13として、請求項1〜12のいずれか記載の可逆性感熱記録材料において、電子供与性呈色化合物の呈色性・消色性を向上させるための消色・発光/発色・消光促進剤を含有することを特徴とする。
上記構成によれば、消色・発光/発色・消光促進剤を用いることで、電子供与性呈色化合物の呈色性・消色性を向上させることができるので、可逆性感熱記録材料としての発光時の発光強度の向上、あるいは消光時の発光強度の抑制を行うことができる。
また、請求項14として、請求項1〜13のいずれか記載の可逆性感熱記録材料において、発光性化合物の光吸収を促進するための光吸収補助剤を含有することを特徴とする。
上記構成によれば、光吸収補助剤を用いることで吸収した光エネルギーを増加させることができるので、発光性化合物の発光強度を増大させることが可能となる。
また、請求項15として、請求項14記載の可逆性感熱記録材料において、光吸収補助剤の発光スペクトルに対して少なくとも一部が重なるような吸収スペクトルを有するエネルギー移動促進剤を含有することを特徴とする。
上記構成によれば、光吸収補助剤により吸収した光エネルギーをエネルギー移動促進剤により発光性化合物に移動することができるので、様々な波長の励起光に対して可逆性感熱記録材料として用いることが可能となる。
また、請求項16として、請求項1〜15のいずれか記載の可逆性感熱記録材料において、発光性化合物の吸収スペクトルに対して少なくとも一部が重なるような発光スペクトルを有するエネルギー移動補助剤を含有することを特徴とする。
上記構成によれば、吸収した光エネルギーを発光性化合物に移動することができるので、様々な波長の励起光に対して可逆性感熱記録材料として用いることが可能となる。
また、本発明の可逆性感熱記録媒体は、請求項17として、請求項1〜16のいずれか記載の可逆性感熱記録材料を基材上に設けたことを特徴とする。
上記構成によれば、本発明の可逆性感熱記録材料を利用した可逆性感熱記録媒体が得られる。
また、本発明の可逆性感熱記録媒体の記録方法は、請求項18として、請求項17記載の可逆性感熱記録媒体の所定位置を電子受容性化合物の融点以上の温度まで加熱した後冷却することで電子供与性呈色化合物を呈色させる工程、及び前記所定位置とは異なる位置を電子受容性化合物の結晶か温度まで加熱した後冷却することで電子供与性呈色性化合物を消色させる工程と、を有することを特徴とする。
上記手段によれば、可逆性感熱記録媒体の位置に応じて加熱温度を変化させることで各々の位置を発光あるいは消光させることができるので、画像等の形成が可能となる。
また、本発明の可逆性感熱記録媒体の表示方法は、請求項19として、請求項17記載の可逆性感熱記録媒体に対して励起光を照射することで画像を表示する工程、を有することを特徴とする。
上記手段によれば、本発明の可逆性感熱記録媒体に励起光を照射するので、発光及び消光のコントラストが高い表示を行うことが可能となる。
また、本発明の可逆性感熱記録媒体の表示方法は、請求項20として、請求項17の可逆性感熱記録媒体に対して、加熱温度または加熱時間を変化することで発光コントラストを制御することを特徴とする。
上記手段によれば、本発明の可逆性感熱記録媒体に対して加熱温度または加熱時間を変化させるのみで、発光及び消光のコントラストを変化させることが可能となる。
本発明の可逆性感熱記録材料によれば、発光性化合物から電子供与性呈色化合物へのエネルギー移動が行われるような適当な発光性化合物を用いており発光状態及び消光状態のコントラストが高いため、視認性に優れる。また、電子供与性呈色化合物と電子受容性化合物との間の呈色反応を利用しており、発光状態と消光状態との間の可逆変化を安定的に行うことができるので書き換え耐久性がある。また、励起光を照射した際に、電子供与性呈色化合物と電子受容性化合物との間の関係が変化することがないので、励起光で記録が破壊されることがない。さらには、周囲が明るい環境下においても記録が破壊されることがない。
A 基底状態の発光性化合物
B 励起状態の発光性化合物
C 電子供与性呈色化合物
D 中性状態の電子受容性化合物
E アニオン状態の電子受容性化合物
P フォトクロミック化合物
P1,P2 フォトクロミック化合物の異性体
B 励起状態の発光性化合物
C 電子供与性呈色化合物
D 中性状態の電子受容性化合物
E アニオン状態の電子受容性化合物
P フォトクロミック化合物
P1,P2 フォトクロミック化合物の異性体
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明の可逆性感熱記録材料は、電子供与性呈色化合物と電子受容性化合物とを含有し、前記電子供与性呈色化合物と前記電子受容性化合物との間の呈色反応を利用した可逆性感熱記録材料であって、前記電子供与性呈色化合物の呈色状態における紫外可視吸収スペクトルの一部に対して少なくとも一部が重なるような発光スペクトルを有する発光性化合物を含有することを特徴とする。
本発明の可逆性感熱記録材料は、電子供与性呈色化合物と電子受容性化合物とを含有し、前記電子供与性呈色化合物と前記電子受容性化合物との間の呈色反応を利用した可逆性感熱記録材料であって、前記電子供与性呈色化合物の呈色状態における紫外可視吸収スペクトルの一部に対して少なくとも一部が重なるような発光スペクトルを有する発光性化合物を含有することを特徴とする。
まず、本発明の可逆性感熱記録材料の発光及び消光についてのメカニズムについて図1に基づいて説明する。電子受容性化合物の融点以上の温度T1に加熱した後に急冷して室温に戻した場合には、図1(a)に示すように,電子供与性呈色化合物と電子受容性化合物がある程度規則的に集合した状態が形成される。電子供与性呈色化合物と電子受容性化合物とがある程度規則亭に集合した状態においては、電子供与性呈色化合物と電子受容性化合物との間の距離は隣接しており、電子供与性呈色化合物から電子受容性化合物へのプロトン移動が生じ、電子供与性呈色化合物は発色状態となる。この際、消色状態の電子供与性呈色化合物における吸収波長帯と発光性化合物の発光波長帯との重なりが小さくなるように電子供与性呈色化合物と発光性化合物の組み合わせを選択することが好ましい。電子受容性化合物の融点以上の温度T2に加熱後急冷して室温に戻して得られた可逆性感熱記録材料は、図1(b)に示すように、励起光により基底状態にある発光性化合物を励起状態とすると、発光性化合物から電子供与性呈色化合物へエネルギー移動が生じて、消光する。
一方、本発明の可逆性感熱記録材料を電子受容性化合物の融点以下の結晶化温度に加熱した後に急冷して室温に戻した場合には、図1(c)に示すように、電子受容性化合物のみが結晶化し、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物が相分離した状態になる。相分離した状態においては、電子受容性化合物から電子供与性呈色化合物へのプロトンの移動が生じないため消色状態になる。そして、図1(d)に示すように、励起光により発光性化合物の励起状態を形成すると、発光性化合物から電子供与性呈色性化合物へエネルギー移動せず、発光する。この際、電子供与性呈色化合物の呈色状態における吸収波長帯が発光性化合物の発光波長帯に重なるように電子供与性呈色化合物と発光性化合物との組み合わせを選択することが好ましい。
そして、電子受容性化合物の融点以上に加熱した後に室温に急冷する記録工程と、電子受容性化合物の融点以下の結晶化温度に加熱した後に室温に急冷する記録工程とを繰り返し、各記録工程毎に励起光を照射することで発光のOn/Offが可能となる。各記録工程はサーマルヘッドや光を照射して媒体を加熱することで行うことができ、各記録工程により文字や静止画のパターン化が可能となる。
本発明の可逆性感熱記録材料に用いる発光性化合物としては、電子供与性呈色化合物の呈色状態における紫外可視吸収スペクトルの一部に対して少なくとも一部が重なるような発光スペクトルを有するものを用いることが好ましい。この場合、励起光により発光性化合物の励起状態を形成すると、発光性化合物から電子供与性呈色化合物へエネルギー移動し、消光することとなる。また、電子供与性呈色化合物の呈色状態における吸光度が極大吸光度の25%以上、さらに好ましくは50%以上である吸収波長帯と、発光性化合物の発光強度が極大発光強度の25%以上、さらに好ましくは50%以上である発光波長帯が一部重なることが特に好ましい。この場合、発光性化合物から電子供与性呈色化合物へエネルギー移動が大きく、消光状態における発光強度を低く抑えることが可能となる。そして、電子供与性呈色化合物の消色状態における吸光度が極大吸光度の25%以上、さらに好ましくは10%以上である吸収波長帯と、発光性化合物の極大発光強度の25%以上、さらに好ましくは10%以上である発光波長帯が重ならないことがさらに好ましい。この場合、励起光により発光性化合物の励起状態を形成した際、発光性化合物の発光強度が強く保たれる。また、発光性化合物としては、希薄状態での蛍光量子収率が大きく、かつ濃度消光しにくく、吸光係数の大きい化合物であることが望ましい。
また、具体的に発光性化合物として用いる化合物は、有機材料、無機材料のいずれも用いることが可能である。無機材料を用いた場合は、粒子の大きさが大きい場合、電子供与性呈色化合物へのエネルギー移動が起こりにくくなるので、粒子の大きさは小さい方が望ましい。例えば青色材料としてはBaMgAl10O17:Euなど、緑色材料としてはZn2SiO4:Mnなど、赤色材料としては(Y,Gd)BO3:Euなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、有機材料の場合は低分子材料と高分子材料のいずれも用いることが可能である。低分子材料の発光性化合物を用いる場合には、青色発光性化合物としては、例えば9,19−ジ(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)ベンゼン(412、449)、4,4’−(ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル(382、432)、トリス(8−ヒドロキシキノレート)ガリウム、クマリン誘導体、などが挙げられる。緑色発光性化合物としては、例えばクマリン誘導体、9,18−ジヒドロ−9,18−ジメチルベンゾ[h]ベンゾ[7,8]キノ[2,3−B]アクリジン−7,16−ジオン、7,16−ジヒドロ−7,16−ヂメチルベンゾ[a]ベンゾ[5,6]キノ[3,2−I]アクリジン−9,18−ジオン、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジノ−(9,9a,1−gh)クマリン(423、532)、トリス−(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウムなどが挙げられる。黄色発光性化合物としては、ジフェニルボラン−8−ヒドロキシキノレート、ビス(8−ヒドロキシキノレート)亜鉛、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノレート)亜鉛、やキナクリドン誘導体などが挙げられる。赤色発光性化合物としては、例えばローダミン誘導体などが挙げられる。これらの低分子系発光性化合物の配合量は、得られる可逆性感熱記録材料全体の0.01〜10wt%、さらに好ましくは0.1〜5wt%であることが望ましい。発光性化合物の配合量が0.01wt%未満であると発光に対して十分な効果を示さない。また、発光性化合物の配合量が10wt%より多い場合は、記録材料のガラス転移温度Tgや融点m.p.を大きく変化させてしまうだけでなく、発光のクエンチが激しいため好ましくない。高分子材料の発光性化合物を用いる場合には、青色発光性化合物としては、例えばポリフルオレン誘導体など、緑色発光性化合物としては、例えばポリパラフェニレンビニレン誘導体など、赤色発光性化合物としては、例えばポリパラフェニレンビニレン誘導体やポリアルキルチオフェン誘導体などが挙げられる。しかしこれらに限定させるものではない。また、発光性化合物においては、上記無機材料や有機低分子材料、有機高分子材料を1種類もしくは、2種類以上を組み合わせて用いることで、様々な波長を発光することが可能となる。
さらに、発光性化合物として用いる化合物としては、水溶性の化合物であることが好ましい。水溶性の発光性化合物の具体例としては、RhodamineB、Fluorescein等の有機化合物が挙げられる。
また、本発明の可逆性感熱記録材料には電子供与性呈色化合物を含有する。電子供与性呈色化合物としては従来公知の電子供与性呈色化合物を任意に用いることができ、特に好ましくは以下の化合物が単独もしくは混同して用いられる。
以下に本発明で用いられる電子供与性呈色化合物の例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ(n−ブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6(N−n−プロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−sec−ブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−iso−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−イソプロピルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−(2,4−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−6−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2,3−ジメチル−6−ジメチルアミノフルオラン、3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−ブロモ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−6−ジプロピルアミノフルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ブロモ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−クロロ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2,3−ジクロロアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−(m−トリフロロメチルアニリノ)フルオラン、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−N−n−アミル−N−メチルアミノフェニル)−4−アザフタリド−(3−1−メチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−ヘキシルオキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド。
本発明で用いる電子供与性呈色化合物は前記のフルオラン化合物、アザフタリド化合物の他にも、従来公知の電子供与性呈色化合物を単独または混合して使用することができる。具体的には、2−(p−アセチルアニリノ)−6−(N−n−アミル−N−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(ジ−p−メチルベンジルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジプロピルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジプロピルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−クロロアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−クロロアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−クロロアニリノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジブチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−トルイジノ)フルオラン、その他。
また、本発明において好ましく用いられる他の電子供与性呈色化合物の具体例を以下に示す。2−アニリノ−3−メチル−6−(N−2−エトキシプロピル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(p−クロロアニリノ)−6−(N−n−オクチルアミノ)フルオラン、2−(p−クロロアニリノ)−6−(N−n−パルミチルアミノ)フルオラン、2−(p−クロロアニリノ)−6−(ジ−n−オクチルアミノ)フルオラン、2−ベンゾイルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(o−メトキシベンゾイルアミノ)−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−メトキシ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(ジベンジルアミノ−4−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−4−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(p−トルイジノ)−3−(t−ブチル)−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(o−メトキシカルボニルアミノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アセチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、4−メトキシ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロロ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−クロロ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−4−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−ベンジル−p−トリフルオロメチルアニリノ)−4−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ピロリジノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ピロリジノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)フルオラン、2−メシジノ−4’,5’−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフルオロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ピロリジノフルオラン、2−(α−ナフチルアミノ)−3,4ベンゾ−4’−ブロモ−6−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、2−ピペリジノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−n−プロピル−p−トリフルオロメチルアニリノ)−6−モルフォリノフルオラン、2−(ジ−N−p−クロロフェニル−メチルアミノ)−6−ピロリジノフルオラン、2−(N−n−プロピル−m−トリフルオロメチルアニリノ)−6−モルフォリノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−n−オクチルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジアリルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エトキシエチル−N−エチルアミノ)フルオラン、ベンゾロイコメチレンブルー、2−[3,6−ビス(ジエチルアミノ)−7−(o−クロロアニリノ)キサンチル]安息香酸ラクタム、2−[3,6−(ジエチルアミノ)−9−(o−クロロアニリノ)キサンチル]安息香酸ラクタム、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス−(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス−(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロロフタリド、3,3−ビス−(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−ヒドロキシ−4,5−ジクロロフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−クロロフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジメトキシアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−クロロフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−ニトロフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−メチルフェニル)フタリド、3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−ヒドロキシ−4−クロロ−5−メトキシフェニル)フタリド、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、6’−クロロ−8’−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、6’−ブロモ−2’−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、その他。
また、本発明の可逆性感熱記録材料には電子受容性化合物を含有する。電子受容性化合物としては、画像コントラストを向上させる観点から下記(式5)で表わされるフェノール性化合物を用いることが好ましい。
本発明においては電子受容性化合物として、上述のフェノール性化合物とともに他の電子受容性化合物を併用することが可能である。併用される電子受容性化合物としては、長鎖炭化水素基をもつリン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物、フェノール化合物以外にも、分子内に発色剤を発色させることができる顕色能をもつ構造と、分子間の凝集力をコントロールする構造を併せ持つ化合物を併用することができる。
以下、本発明の電子受容性化合物としてフェノール性化合物とともに併用されるものとしては以下のような化合物が例示できる。有機リン酸系の電子受容性化合物としては以下のような化合物が例示できる。ドデシルホスホン酸、テトラデシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、エイコシルホスホン酸、ドコシルホスホン酸、テトラコシルホスホン酸、リン酸ジテトラデシルエステル、リン酸ジヘキサデシルエステル、リン酸ジオクタデシルエステル、リン酸ジエイコシルエステル、リン酸ジベヘニルエステルなど。
脂肪族カルボン化合物としては以下のような化合物が例示できる。2−ヒドロキシテトラデカン酸、2−ヒドロキシヘキサデカン酸、2−ヒドロキシオクタデカン酸、2−ヒドロキシエイコサン酸、2−ヒドロキシドコサン酸、2−ブロモヘキサデカン酸、2−ブロモオクタデカン酸、2−ブロモエイコサン酸、2−ブロモドコサン酸、3−ブロモオクタデカン酸、3−ブロモドコサン酸、2,3−ジブロモオクタデカン酸、2−フルオロドデカン酸、2−フルオロテトラデカン酸、2−フルオロヘキサデカン酸、2−フルオロオクタデカン酸、2−フルオロエイコサン酸、2−フルオロドコサン酸、2−ヨードヘキサデカン酸、2−ヨードオクタデカン酸、3−ヨードヘキサデカン酸、3−ヨードオクタデカン酸、パーフルオロオクタデカン酸など。
脂肪族ジカルボン酸およびトリカルボン酸化合物としては以下のような化合物が例示できる。2−ドデシルオキシこはく酸、2−テトラデシルオキシこはく酸、2−ヘキサデシルオキシこはく酸、2−オクタデシルオキシこはく酸、2−エイコシルオキシこはく酸、2−ドデシルオキシこはく酸、2−ドデシルチオこはく酸、2−テトラデシルチオこはく酸、2−ヘキサデシルチオこはく酸、2−オクタデシルチオこはく酸、2−エイコシルチオこはく酸、2−ドコシルチオこはく酸、2−テトラコシルチオこはく酸、2−ヘキサデシルジチオこはく酸、2−オクタデシルジチオこはく酸、2−エイコシルジチオこはく酸、ドデシルこはく酸、テトラデシルこはく酸、ペンタデシルこはく酸、ヘキサデシルこはく酸、オクタデシルこはく酸、エイコシルこはく酸、ドコシルこはく酸、2,3−ジヘキサデシルこはく酸、2,3−ジオクタデシルこはく酸、2−メチル−3−ヘキサデシルこはく酸、2−メチル−3−オクタデシルこはく酸、2−オクタデシル−3−ヘキサデシルこはく酸、ヘキサデシルマロン酸、オクタデシルマロン酸、エイコシルマロン酸、ドコシルマロン酸、ジヘキサデシルマロン酸、ジオクタデシルマロン酸、ジドコシルマロン酸、メチルオクタデシルマロン酸、2−ヘキサデシルグルタル酸、2−オクタデシルグルタル酸、2−エイコシルグルタル酸、ドコシルグルタル酸、2−ペンタデシルアジピン酸、2−オクタデシルアジピン酸、2−エイコシルアジピン酸、2−ドコシルアジピン酸、2−ヘキサデカノイルオキシプロパン−1,2,3−トリカルボン酸、2−オクタデカノイルオキシプロパン−1,2,3−トリカルボン酸など。
また、本発明の可逆性感熱記録材料においては、電子供与性呈色化合物と電子受容性化合物との配合比は、電子供与性呈色化合物1重量部に対し電子受容性化合物が0.1〜10重量部、さらには1〜2重量部に設定することが好ましい。電子受容性化合物が0.1重量部未満だと、記録または消去時に、電子供与性呈色化合物と電子受容性化合物との相互作用を十分に増大させることが困難である。逆に、電子受容性化合物が10重量部を超えると、記録または消去時に、電子供与性呈色化合物と電子受容性化合物との相互作用を十分に減少させることが困難となる。
また、上記では、電子供与性呈色化合物と発光性化合物とについてそれぞれ説明を行ったが、本発明の可逆性感熱記録材料においては、電子供与性呈色化合物と発光性化合物とが化学的に結合された化合物を用いることが好ましい。電子供与性呈色化合物と発光性化合物とが化学的に結合された化合物を用いた場合には、電子供与性呈色化合物と発光性化合物との間の距離が安定的に維持されるので、発光性化合物から電子供与性呈色化合物へのエネルギー移動が向上し、消光時における発光強度を抑制することが可能となる。
そして、本発明の可逆性感熱記録材料は、さらに発光性化合物の光吸収を促進するための光吸収補助剤を含有することが好ましい。光吸収補助剤としては、目的とする波長帯での吸収係数が大きい化合物を用いることが望ましい。そして、目的とする波長帯における発光性化合物の吸光係数が小さい場合には、特に好ましく用いられる。なお、紫外線を用いて発光性化合物を励起したい場合には、例えば公知の紫外線吸収剤を用いることができ、各種の染顔料中間体、医農薬やその中間体、あるいは電荷移動物質として知られる有機珪素化合物、C60等の炭素化合物(いわゆるバックミンスターフラーレン)等で350nm付近に吸収を示すもの等が挙げられる。また、紫外線吸収剤には、有機高分子類や有機化合物の塩類で近紫外線吸収能力の有るものなども挙げられる。好ましい有機系の紫外線吸収剤の具体例としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等が挙げられ、それぞれについて下記に例を示す。ただし、本発明に用いてもよい紫外線吸収剤は以下の具体例によって限定されるものではない。
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−n−ドデシル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール。
・ベンゾフェノン系紫外線吸収剤
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
・他の紫外線吸収剤
フェニルサリチレート、p−t−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤。2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、エチル2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤。
2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−n−ドデシル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール。
・ベンゾフェノン系紫外線吸収剤
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
・他の紫外線吸収剤
フェニルサリチレート、p−t−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤。2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、エチル2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤。
また、紫外線吸収剤としては近紫外線吸収性の無機化合物を用いることも可能である。無機の紫外線吸収剤の具体例としては、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化セリウム、二酸化チタンなどが挙げられる。二酸化チタンはルチル型とアナターゼ型と2通りが有るがいずれも好ましく用いられる。例えば、青色光で発光性化合物を励起したい場合には、LD473、クマリン478、クマリン480、クマリン481、クマリン485、クマリン487、LD489、クマリン490、クマリン6H、クマリン498、クマリン500、クマリン503、クマリン510、クマリン515、クマリン519、クマリン521、クマリン522、クマリン522B、クマリン523、クマリン525、クマリン535、クマリン540、クマリン540A、クマリン545、Fluorol7GAなどの色素を用いることが好ましい。また、緑色光で赤色発光性化合物を励起したい場合には、例えばキナクリドン誘導体などが挙げられる。これらの光吸収補助剤は、全体の0.01〜10wt%、さらに好ましくは0.1〜5wt%であることが望ましい。光吸収補助剤が0.01wt%未満の場合には光吸収に対して十分な効果を示さない。また、10wt%以上の場合は、系のガラス転移温度Tgや融点を大きく変化させてしまうため好ましくない。
さらに、本発明の可逆性感熱記録材料は、吸収した光エネルギーを効率よく発光性化合物に伝えるためのエネルギー移動補助剤を含有することが好ましい。特に光吸収補助剤を用いた場合には、光吸収補助剤から発光性化合物に効率よくエネルギー移動が行われない際に用いることが望ましく、具体的には、吸収補助剤の発光スペクトルに対して少なくとも一部が重なるような吸収スペクトルを有すること化合物が好適に用いられる。さらには、発光エネルギー移動補助剤の発光スペクトルの波長帯が発光性化合物の吸収スペクトルの波長帯に重なることが望ましい。これにより、吸収した光エネルギーを発光性化合物に効率よく移動することができるので、様々な波長の励起光に対して発光性化合物を励起させることが可能となる。また、一般的にエネルギー移動補助剤の吸光係数は大きいことが望ましい。エネルギー移動補助剤の配合量は、全体の0.1〜10wt%、さらに好ましくは0.5〜3wt%であることが望ましい。光吸収補助剤が0.1wt%未満であるとエネルギー移動に対して十分な効果を示さない場合がある。また、光吸収補助剤の配合量が10wt%より多い場合は、記録材料のTgや融点を大きく変化させてしまうことがある。
また、本発明の可逆性感熱記録材料は、発光時における発光強度の向上と、消光時における発光強度の抑制を促進させるための消光・発光促進剤を加えることが好ましい。用いられる消色・発光促進剤としては、例えば(化6)に示すような化合物が挙げられる。
また、本発明においては、(化6)で表わされる消色・発光促進剤とともに、発色・消光/消色・発光促進剤として、(化7)で表わされる化合物を用いることにより消光保存特性、高速発光復活特性に優れたものとなる。
さらに、本発明では、発色・消色制御剤を添加することが好ましい。発色・消色制御剤としては(化8)〜(化10)に示すような構造を有する化合物が好ましく用いられるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
上記のR21、R22、R23、X21、X22およびX23はそれぞれ前記と同様の基を表わす。また、kは0〜4の整数であり、kが2以上のときに繰り返されるR19、X16は同一であっても、異なっていてもよい。
また、本発明の可逆性感熱記録材料は、架橋状態にある樹脂を含有することにより、耐熱強度が向上して、繰り返し耐久性が向上させることができる。さらに、架橋状態にある樹脂を含有する可逆性感熱記録材料上に架橋状態にある樹脂を主成分とする保護層を設けることによって、さらに耐久性を高めることができる。
架橋状態にある樹脂としては、例えば架橋剤およびこの架橋剤と反応する活性基を有する樹脂の組み合わせであり、熱により架橋硬化できる樹脂である。ここで用いられる樹脂は、たとえばフェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなど、水酸基、カルボキシル基など架橋剤と反応する基を持つ樹脂、または水酸基、カルボキシル基などを持つモノマーとそれ以外のモノマーを共重合した樹脂がある。共重合樹脂には、例えば塩ビ系、アクリル系、スチレン系などの樹脂があり、具体的には塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等が例示できる。
また、本発明の可逆性感熱記録材料は、電子供与性呈色性化合物を高濃度含有し、カルボニール基もしくはアミノ基、もしくはヒドロキシル基などの分子間水素結合を形成するユニット(官能基)を3つ以上含まない脂肪族炭化水素基を有する長鎖アルキル顕色剤と非晶性高分子を含有することで、記録媒体に透明性を付与できる。脂肪族炭化水素基を有する長鎖アルキル顕色剤の脂肪族炭化水素基にカルボニール基もしくはアミノ基、もしくはヒドロキシル基などの分子間水素結合を形成するユニットを3つ以上含む場合、隣接分子間の鎖同士の凝集力が強くなり、結晶性の高いラメラ構造を形成する。この場合結晶性の高さが多結晶間の屈折率の境界を明確にし、光散乱しやすくなる。一方で脂肪族炭化水素基にカルボニール基もしくはアミノ基、もしくはヒドロキシル基などの分子間水素結合を形成するユニットを3つ以上含まない場合は、脂肪族炭化水素基同士の凝集が緩和されると同時に、混在する非晶性高分子マトリックスとの相溶性がよくなり、光散乱を生じにくくなる。一方でカルボニール基などの存在は、凝集した際に効率よくフェノール部と水素結合を形成して、系の酸性度を下げることができるので呈色化合物の無色状態の安定化、すなわち発光記録状態の安定化の点で好ましい。呈色化合物が無色化脂肪族炭化水素基を有する長鎖アルキル顕色剤の例としては、(化16)〜(化19)に示す構造物が挙げられるが、これに限定するものではない。なお、(化16)〜(化19)において、m及びnは0〜20の整数である。
また、非晶性高分子の例としては、例えば塩ビ系、アクリル系、スチレン系などの樹脂があり、具体的には塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等が例示できる。
次に本発明の可逆性感熱記録材料を用いた可逆性感熱記録媒体について説明する。本発明の可逆性感熱記録媒体は、例えば前述の可逆性感熱記録材料を基材上に設けたものや、前述の可逆性感熱記録材料を基材間に注入したものが挙げられる。用いられる基材としては、例えば紙、合成紙、プラスチックフィルム、ガラス基板、等である。また、可逆性感熱記録材料を基材上に設けたり、基材間に注入する場合には、必要に応じてバインダー樹脂などを用いて保持することができる。また、可逆性感熱記録材料を基材上に設けた場合には、保護層を設けてガスバリア性、耐薬品性、耐水性、耐摩擦性、耐光性等を付与することができる。保護層としては、水溶性高分子、疎水性化合物の水性エマルジョン、樹脂などにより形成された被膜が挙げられる。
続いて、実施例を示して、本発明を詳細に説明する。
(実施例1)
電子供与性呈色化合物としてクリスタルバイオレットラクトン(以下CVL)107重量部、電子受容性化合物としてN−(4−ハイドロキシ)ステアラミド227重量部、発光性化合物としてナイルレッド1.0重量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体666重量部、N,N−ジメチルホルムアミド(以下DMF)3333重量部を混ぜ、この溶液を150℃にして溶解させた。その後、得られた溶液を室温に冷却し、室温で化合物がDMFに溶解した状態として、記録材料を得た。そして、得られた記録材料を、パーコート法にてPET基材上に成膜した後、150℃で30秒加熱した後、室温に急冷することで記録媒体を作製した。
電子供与性呈色化合物としてクリスタルバイオレットラクトン(以下CVL)107重量部、電子受容性化合物としてN−(4−ハイドロキシ)ステアラミド227重量部、発光性化合物としてナイルレッド1.0重量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体666重量部、N,N−ジメチルホルムアミド(以下DMF)3333重量部を混ぜ、この溶液を150℃にして溶解させた。その後、得られた溶液を室温に冷却し、室温で化合物がDMFに溶解した状態として、記録材料を得た。そして、得られた記録材料を、パーコート法にてPET基材上に成膜した後、150℃で30秒加熱した後、室温に急冷することで記録媒体を作製した。
(実施例2)
発光性化合物としてCoumarin6を1.0重量部配合した以外は、(実施例1)と同様に記録媒体を作製した。
発光性化合物としてCoumarin6を1.0重量部配合した以外は、(実施例1)と同様に記録媒体を作製した。
(実施例3)
発光性化合物として1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン(以下TPB)1.0重量部を配合した以外は、(実施例1)と同様に記録媒体を作製した。
発光性化合物として1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン(以下TPB)1.0重量部を配合した以外は、(実施例1)と同様に記録媒体を作製した。
(実施例4)
電子供与性呈色性化合物として2−アニリノ−3−メチル−6−(N,N−ジブチルアミノ)フルオラン(以下BLACK)107重量部を配合した以外は、(実施例3)と同様に記録媒体を作製した。
電子供与性呈色性化合物として2−アニリノ−3−メチル−6−(N,N−ジブチルアミノ)フルオラン(以下BLACK)107重量部を配合した以外は、(実施例3)と同様に記録媒体を作製した。
(実施例5)
発光性化合物としてRhodamineBを1.0重量部配合した以外は、(実施例1)と同様に記録媒体を作製した。
発光性化合物としてRhodamineBを1.0重量部配合した以外は、(実施例1)と同様に記録媒体を作製した。
(実施例6)
発光性化合物としてFluoresceinを1.0重量部配合した以外は、(実施例1)と同様に記録媒体を作製した。
発光性化合物としてFluoresceinを1.0重量部配合した以外は、(実施例1)と同様に記録媒体を作製した。
(実施例7)
電子供与性呈色化合物と発光性化合物を兼ねる材料として、下記(化11)に示すような化合物(以下Fluorescein−BLACK)を1.0重量部配合した以外は、(実施例1)と同様に記録媒体を作製した。
電子供与性呈色化合物と発光性化合物を兼ねる材料として、下記(化11)に示すような化合物(以下Fluorescein−BLACK)を1.0重量部配合した以外は、(実施例1)と同様に記録媒体を作製した。
(実施例8)
電子供与性呈色化合物と発光性化合物を兼ねる材料としてFluorescein−BLACKを1.0重量部、電子供与性呈色化合物としてBLACKを106重量部配合した以外は、(実施例1)と同様に記録媒体を作製した。
電子供与性呈色化合物と発光性化合物を兼ねる材料としてFluorescein−BLACKを1.0重量部、電子供与性呈色化合物としてBLACKを106重量部配合した以外は、(実施例1)と同様に記録媒体を作製した。
(比較例1)
フォトクロミック化合物であるCMTEを1重量部、発光性化合物としてCoumarin6を1重量部、高分子バインダーとしてPVKを98重量部をクロロホルム5000重量部に溶解させた。この溶液をガラス基板上にスピンコート法にて200nmの厚みで薄膜を成膜することで記録媒体を作製した。なお、薄膜をガラス基板上に製膜する工程は450nm以下の光が遮断された環境下で行った。
フォトクロミック化合物であるCMTEを1重量部、発光性化合物としてCoumarin6を1重量部、高分子バインダーとしてPVKを98重量部をクロロホルム5000重量部に溶解させた。この溶液をガラス基板上にスピンコート法にて200nmの厚みで薄膜を成膜することで記録媒体を作製した。なお、薄膜をガラス基板上に製膜する工程は450nm以下の光が遮断された環境下で行った。
(得られた記録材料の発光強度及び発光波長)
以上により得られた記録媒体に対して0.05mW/cm2の365nmの紫外光を照射し、記録媒体が発する発光強度を色彩色差計(コニカミノルタ社製,CS100)により測定した。続いて、得られた記録媒体を90℃で60秒加熱し、その後室温まで急冷した。その後、0.05mW/cm2の365nmの紫外光を照射し、90℃加熱後における記録媒体の発光強度を色彩色差計により測定した。次に、記録媒体を150℃で30秒加熱し、その後室温まで急冷した。その後、0.05mW/cm2の365nmの紫外光を照射し、150℃加熱後における記録媒体の発光強度を色彩色差計により測定した。また、各記録媒体の発光スペクトルをポリクロメータにて測定した。
以上により得られた記録媒体に対して0.05mW/cm2の365nmの紫外光を照射し、記録媒体が発する発光強度を色彩色差計(コニカミノルタ社製,CS100)により測定した。続いて、得られた記録媒体を90℃で60秒加熱し、その後室温まで急冷した。その後、0.05mW/cm2の365nmの紫外光を照射し、90℃加熱後における記録媒体の発光強度を色彩色差計により測定した。次に、記録媒体を150℃で30秒加熱し、その後室温まで急冷した。その後、0.05mW/cm2の365nmの紫外光を照射し、150℃加熱後における記録媒体の発光強度を色彩色差計により測定した。また、各記録媒体の発光スペクトルをポリクロメータにて測定した。
表1に(実施例1〜8)及び(比較例1)の結果として、発光状態と消光状態のときの発光強度の変化を示す。表1のように、加熱温度を変えて記録することで、発光強度が数倍〜10倍程度変化することがわかる。
(発光性化合物の発光スペクトルと電子供与性呈色化合物の紫外可視吸収スペクトルとの関係)
また、(実施例1〜8)、及び(比較例1)で使用した発光性化合物、電子供与性呈色化合物、または光吸収補助剤の紫外可視吸収スペクトルを紫外可視光吸収測定装置(日本分光社製、V−560)を用いて測定した。さらに、(比較例1)で使用したフォトクロミック化合物の紫外可視吸収スペクトルを同様に測定した。図2には、(実施例1〜8)、(比較例1)で使用した発光性化合物(ナイルレッド、クマリン6、TPB)の発光スペクトルを示す。また、図3には、(実施例3)において使用した発光性化合物のTPBと、電子供与性呈色化合物のCVLの消色状態と呈色状態における紫外可視吸収スペクトルを示す。また、図4には、(実施例4)において使用した発光性化合物のTPBと、電子供与性呈色化合物の2−アニリノ−3−メチル−6−(N,N−ジブチルアミノ)フルオランの消色状態と呈色状態における紫外可視吸収スペクトルを示す。
また、(実施例1〜8)、及び(比較例1)で使用した発光性化合物、電子供与性呈色化合物、または光吸収補助剤の紫外可視吸収スペクトルを紫外可視光吸収測定装置(日本分光社製、V−560)を用いて測定した。さらに、(比較例1)で使用したフォトクロミック化合物の紫外可視吸収スペクトルを同様に測定した。図2には、(実施例1〜8)、(比較例1)で使用した発光性化合物(ナイルレッド、クマリン6、TPB)の発光スペクトルを示す。また、図3には、(実施例3)において使用した発光性化合物のTPBと、電子供与性呈色化合物のCVLの消色状態と呈色状態における紫外可視吸収スペクトルを示す。また、図4には、(実施例4)において使用した発光性化合物のTPBと、電子供与性呈色化合物の2−アニリノ−3−メチル−6−(N,N−ジブチルアミノ)フルオランの消色状態と呈色状態における紫外可視吸収スペクトルを示す。
(実施例3)で得られた記録媒体は表1に示すように消光の効率が比較的小さいことがわかる。このことは、図3に示すようにCVLの呈色状態時の吸収が、発光性化合物であるTPBの発光スペクトルである400nm〜500nmにおいて小さいためと考えられる。なお、このように発光強度の変化が小さい場合でも本実施例で得られた記録媒体は発光性を有するため、実際の使用には十分な視認性を有するものである。
さらに、表1に示すように、(実施例4)で得られた化合物はさらに発光を効率良く消光していることがわかる。このことは、図4に示すように、電子供与性呈色性化合物として用いた2−アニリノ−3−メチル−6−(N,N−ジブチルアミノ)フルオランが、消色状態では400nm〜500nmに吸収をもたず、呈色状態ではTPBの発光スペクトルと重なる400nm〜500nmにも大きな吸収を持つためと考えられる。
そして、これらのことから発光状態と消色状態のコントラストを向上させるためには、呈色時の電子供与性呈色化合物の紫外可視吸収スペクトルの波長帯は、発光媒体の発光スペクトルの波長帯に重なるように各化合物を選択することが好ましく、さらには、消色時の電子供与性呈色化合物の紫外可視吸収スペクトルの波長帯が、発光性化合物の発光スペクトルの波長帯に重ならないように各化合物を選択することが特に好ましいことがわかる。
また、(実施例5)及び(実施例6)で得られた記録媒体は、表1に示すように、消光状態における発光強度が低いことがわかる。このことは、発光性化合物としてRhodamineB、Fluoresceinのような水溶性の化合物を用いているので、消光時において電子供与性呈色化合物と電子受容性化合物である電子受容性化合物である長鎖アルキル顕色剤のヒドロキシ基と発光性化合物が一緒に凝集し、発光性化合物と電子供与性呈色化合物との距離が近くなるためと考えられる。すなわち、発光性化合物として水溶性の化合物を用いることで消光時の発光強度を抑制できることがわかる。一方、(実施例1〜4)では、(実施例5及び6)と比較して、電子供与性呈色化合物と電子受容性化合物のヒドロキシ基が一緒に凝集するが、発光性化合物は系に均一に分散されるため、電子供与性呈色化合物との距離が大きい発光性化合物が存在する。このため、発光性化合物と電子供与性呈色化合物との間のエネルギー移動が生じがたく、消光時の発光強度が比較的大きい。
さらに、(実施例7)及び(実施例8)で得られた記録媒体は、表1に示すように消光状態における発光強度が(実施例1〜4)と比較して、さらに小さいことがわかる。図5に、Fluorescein−BLACKの紫外可視吸収スペクトルと発光スペクトルを示す。このことは、発光性化合物と電子供与性呈色化合物とが化学的に結合されて、距離を一定に保たれたFluorescein−BLACKを用いているので、消光時において安定して発光性化合物と電子供与性呈色化合物との距離が近く保つことができるためと考えられる。また、中でも(実施例8)では、表1に示すように、消光状態における発光強度がより小さくなり、発光状態と消光状態とのコントラストがより向上することがわかる。
(得られた記録媒体の安定性)
(実施例2)で得られた記録媒体にクマリン6の励起波長である450nmの青色光を0.1mW/cm2のパワーで照射した際の発光強度の経時変化をポリクロメータにより測定した。続いて、記録媒体を90℃で60秒加熱し、その後室温まで急冷した。その後、0.1mW/cm2の450nmの青色光を照射し、90℃加熱後における記録媒体の発光強度の経時変化を色彩色度計により測定した。次に、記録媒体を150℃で30秒加熱し、その後室温まで急冷した。その後、0.1mW/cm2の450nmの紫外光を照射し、150℃加熱後における記録媒体の発光強度の経時変化を色彩色度計により測定した。
(実施例2)で得られた記録媒体にクマリン6の励起波長である450nmの青色光を0.1mW/cm2のパワーで照射した際の発光強度の経時変化をポリクロメータにより測定した。続いて、記録媒体を90℃で60秒加熱し、その後室温まで急冷した。その後、0.1mW/cm2の450nmの青色光を照射し、90℃加熱後における記録媒体の発光強度の経時変化を色彩色度計により測定した。次に、記録媒体を150℃で30秒加熱し、その後室温まで急冷した。その後、0.1mW/cm2の450nmの紫外光を照射し、150℃加熱後における記録媒体の発光強度の経時変化を色彩色度計により測定した。
(比較例1)で得られた記録媒体にクマリン6の励起波長である450nmの青色光を0.1mW/cm2のパワーで照射した際の発光強度の経時変化をポリクロメータにより測定した。次に、記録媒体に1mW/cm2の345nmの紫外光を10秒照射した。その後、0.1mW/cm2の450nmの青色光を照射した際の発光強度の経時変化をポリクロメータにより測定した。そして、記録媒体に1mW/cm2の565nmの黄色光を60秒照射した後、0.1mW/cm2の450nmの青色光を照射した際の発光強度の経時変化をポリクロメータにより測定した。
図6及び図7に(実施例2)及び(比較例1)で得られたそれぞれの記録媒体について安定試験を行った結果を示す。図6に示すように、(実施例2)で得られた記録媒体のように電子供与性呈色化合物、電子受容性化合物、及び発光性化合物を用いた場合においては、発光強度は時間と共に変化せず、非破壊な発光記録が達成されており安定性に優れていることがわかる。一方、図7から分かるように、(比較例1)すなわちフォトクロミック化合物と発光性化合物の組み合わせを化合物として用いた場合には、ごく初期においては消光状態となる。
図8に示したフォトクロミック化合物であるCMTEの消色状態と呈色状態における紫外可視吸収スペクトルからもわかるように、(比較例1)で得られた記録媒体ではフォトクロミック化合物の呈色状態がクマリン6の発光を消失するからである。しかしながら、図7に示すように(比較例1)で得られた記録媒体は、経過時間とともに消光状態の記録が破壊されていくことが明らかである。この原因としては、図7に示すように、クエンチする際にフォトクロミック化合物は励起子が形成され、消色状態へと光反応が進行してしまうためと考えられる。
(記録書き換え耐久試験)
安定試験と同様に、まず(実施例5)で得られた記録媒体にクマリン6の励起波長である450nmの青色光を0.1mW/cm2のパワーで照射した際の発光強度をポリクロメータにより測定した。続いて、記録媒体を90℃で60秒加熱し、その後室温まで急冷した。その後、0.1mW/cm2の450nmの青色光を照射し、90℃加熱後における記録媒体の発光強度を色彩色度計により測定した。次に、記録媒体を150℃で30秒加熱し、その後室温まで急冷した。その後、0.1mW/cm2の450nmの紫外光を照射し、150℃加熱後における記録媒体の発光強度を色彩色度計により測定した。そして、これらの操作を繰り返して行い、得られた記録媒体の発光強度を測定した。
安定試験と同様に、まず(実施例5)で得られた記録媒体にクマリン6の励起波長である450nmの青色光を0.1mW/cm2のパワーで照射した際の発光強度をポリクロメータにより測定した。続いて、記録媒体を90℃で60秒加熱し、その後室温まで急冷した。その後、0.1mW/cm2の450nmの青色光を照射し、90℃加熱後における記録媒体の発光強度を色彩色度計により測定した。次に、記録媒体を150℃で30秒加熱し、その後室温まで急冷した。その後、0.1mW/cm2の450nmの紫外光を照射し、150℃加熱後における記録媒体の発光強度を色彩色度計により測定した。そして、これらの操作を繰り返して行い、得られた記録媒体の発光強度を測定した。
図9に(実施例5)で得られた記録媒体の記録書き換え耐久試験を行った結果を示す。図9に示すように、記録書き換え耐久試験により20回の書き換えを行った後も記録は数10回書き換えが可能であることがわかる。
(消光時の記録温度の影響)
図10は、(実施例2)で得られた記録媒体の消光記録書き込み時における発光強度の加熱温度依存性と加熱時間依存性を示す。具体的には、(実施例2)で得られた記録媒体に対して、125℃、130℃、135℃、150℃にそれぞれ加熱しながら、0.1mW/cm2の450nmの紫外光を照射し、記録媒体が発する発光強度の時間変化をポリクロメータにより測定して行った。なお、図中の発光強度比は、初期の発光強度を1としたときの発光強度比を示したものである。図10より、加熱温度や加熱時間を制御することで、消光状態の発光強度を変化させ、発光コントラストを変えられることがわかる。
図10は、(実施例2)で得られた記録媒体の消光記録書き込み時における発光強度の加熱温度依存性と加熱時間依存性を示す。具体的には、(実施例2)で得られた記録媒体に対して、125℃、130℃、135℃、150℃にそれぞれ加熱しながら、0.1mW/cm2の450nmの紫外光を照射し、記録媒体が発する発光強度の時間変化をポリクロメータにより測定して行った。なお、図中の発光強度比は、初期の発光強度を1としたときの発光強度比を示したものである。図10より、加熱温度や加熱時間を制御することで、消光状態の発光強度を変化させ、発光コントラストを変えられることがわかる。
(発光時の記録温度の影響)
図11は、(実施例2)で得られた記録媒体の発光記録書き込み時における発光強度の加熱温度依存性と加熱時間依存性を示す。具体的には、(実施例2)で得られた記録媒体に対して、60℃、70℃、80℃、90℃にそれぞれ加熱しながら、0.1mW/cm2の450nmの紫外光を照射し、記録媒体が発する発光強度の時間変化をポリクロメータにより測定した。なお、図中の発光強度比は、初期の発光強度を1としたときの発光強度比を示したものである。図11より、加熱温度や加熱時間を制御することで、発光状態の発光強度を変化させ、発光コントラストを変えられることがわかる。
図11は、(実施例2)で得られた記録媒体の発光記録書き込み時における発光強度の加熱温度依存性と加熱時間依存性を示す。具体的には、(実施例2)で得られた記録媒体に対して、60℃、70℃、80℃、90℃にそれぞれ加熱しながら、0.1mW/cm2の450nmの紫外光を照射し、記録媒体が発する発光強度の時間変化をポリクロメータにより測定した。なお、図中の発光強度比は、初期の発光強度を1としたときの発光強度比を示したものである。図11より、加熱温度や加熱時間を制御することで、発光状態の発光強度を変化させ、発光コントラストを変えられることがわかる。
(透明度)
<ロイコ色素の添加量と透明性>
(実施例9)
電子供与性呈色化合物としてBLACK107重量部、電子受容性化合物としてN−(4−ハイドロキシ)ステアラミド227重量部、発光性化合物としてCoumarin 6 1.0重量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体666重量部、N,N−ジメチルホルムアミド(以下DMF)3333重量部を混ぜ、この溶液を150℃にして溶解させた。その後、得られた溶液を室温に冷却し、室温で化合物がDMFに溶解した状態として、記録材料を得た。そして、得られた記録材料を、パーコート法にてPET基材上に成膜した後、150℃で30秒加熱した後、室温に急冷することで記録媒体を作製した。
<ロイコ色素の添加量と透明性>
(実施例9)
電子供与性呈色化合物としてBLACK107重量部、電子受容性化合物としてN−(4−ハイドロキシ)ステアラミド227重量部、発光性化合物としてCoumarin 6 1.0重量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体666重量部、N,N−ジメチルホルムアミド(以下DMF)3333重量部を混ぜ、この溶液を150℃にして溶解させた。その後、得られた溶液を室温に冷却し、室温で化合物がDMFに溶解した状態として、記録材料を得た。そして、得られた記録材料を、パーコート法にてPET基材上に成膜した後、150℃で30秒加熱した後、室温に急冷することで記録媒体を作製した。
(実施例10)
BLACKの重量を214重量部配合した以外は、(実施例9)と同様に記録媒体を作製した。
BLACKの重量を214重量部配合した以外は、(実施例9)と同様に記録媒体を作製した。
(実施例11)
BLACKの重量を535重量部配合した以外は、(実施例9)と同様に記録媒体を作製した。
BLACKの重量を535重量部配合した以外は、(実施例9)と同様に記録媒体を作製した。
図15は、可逆発光前後における紫外可視吸収スペクトルの変化を示す図である。具体的には、作成直後に150℃で30秒間加熱した後に急冷した際と、その後90℃で60秒間加熱した後に急冷した際と、150℃で30秒間加熱した後に急冷した際の紫外可視吸収スペクトルを示したものである。ロイコ染料の添加量の少ない実施例9(図15(a))においては、色素由来の吸収がない場所において光散乱による吸収スペクトルのベースアップが観測される。これに対して、実施例10や実施例11(図15(b)および(c))では、ベースアップが全く観測されず、偏光顕微鏡下においても結晶由来の明ピークが全く観測されない。
(実施例12)
電子受容性化合物としてN−(4−ハイドロキシ)ステアラミド(PA17)の代わりに下記構造式で表される(化14)とした以外は、(実施例11)と同様に記録媒体を作製した。
電子受容性化合物としてN−(4−ハイドロキシ)ステアラミド(PA17)の代わりに下記構造式で表される(化14)とした以外は、(実施例11)と同様に記録媒体を作製した。
(実施例13)
電子受容性化合物としてN−(4−ハイドロキシ)ステアラミド(PU17)に代わりに下記構造式で表される(化15)とした以外は、(実施例11)と同様に記録媒体を作製した。
電子受容性化合物としてN−(4−ハイドロキシ)ステアラミド(PU17)に代わりに下記構造式で表される(化15)とした以外は、(実施例11)と同様に記録媒体を作製した。
図16は、実施例11と実施例12と13の際の偏光顕微鏡写真である。実施例11のようにカルボニール基もしくはアミノ基、もしくはヒドロキシル基などの分子間水素結合を形成するユニットを3つ以上用いない場合は、偏光顕微鏡下において光散乱に基づく明像は観測されない。これに対し実施例12や13のようにカルボニール基もしくはアミノ基、もしくはヒドロキシル基などの分子間水素結合を形成するユニットを3つ以上用いる場合は、明像が観測され光が散乱されていることがわかる。これは、水素結合を形成する部位が3つ以上形成されることにより、容易にラメラ結晶を形成しやすくなり、その強い凝集による結晶サイズが可視光サイズにおよび光を散乱するようになったと考えられる。
<高分子の種類と透明性>
(実施例14)
高分子マトリックスとして塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の代わりに酢酸ビニルを666重量部とした以外は、(実施例11)と同様に記録媒体を作製した。
(実施例14)
高分子マトリックスとして塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の代わりに酢酸ビニルを666重量部とした以外は、(実施例11)と同様に記録媒体を作製した。
(実施例15)
高分子マトリックスとして塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の代わりにポリエチレンを666重量部とした以外は、(実施例11)と同様に記録媒体を作製した。
高分子マトリックスとして塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の代わりにポリエチレンを666重量部とした以外は、(実施例11)と同様に記録媒体を作製した。
図17は、実施例14と15の際の高分子マトリックスの違いによる偏光顕微鏡写真である。非結晶性ポリマーである酢酸ビニルや塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を用いた際(図16(a)の場合)には、透明性が確保できている。一方でポリエチレンのような結晶性高分子を用いた際には、光散乱が激しい。
以上のように、ロイコ色素の量と適した長鎖アルキル顕色剤と非晶性高分子マトリックスにより、記録媒体に透明性を付与でき、記録層下の表示を阻害することを防ぐことができる。
(実施例16)
高分子マトリックスとして塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の量を227重量部とした以外は、(実施例11)と同様に記録媒体を作製した。
高分子マトリックスとして塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の量を227重量部とした以外は、(実施例11)と同様に記録媒体を作製した。
(実施例17)
高分子マトリックスとして塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の量を107重量部とした以外は、(実施例11)と同様に記録媒体を作製した。
高分子マトリックスとして塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の量を107重量部とした以外は、(実施例11)と同様に記録媒体を作製した。
図18は、実施例16及び実施例17の偏光顕微鏡写真である。実施例11の際の偏光顕微鏡写真の結果(図16(a))と比較すると、高分子マトリックスの量が長鎖アルキル顕色剤に対して同じ重量部までは透明性に優れていることがわかる。一方で高分子マトリックスの量が少なくなると、透明性が損なわれる。
図19は、実施例11および実施例16と実施例17を150℃30秒においた後、室温まで急冷した後に25℃から150℃まで5℃?/minで昇温した際の発光状態の温度変化を示した図である。消光記録した際の高分子マトリックスの相対量が少ない場合は、消光記録ができていないのに対して、高分子マトリックスの量が、長鎖アルキル顕色剤と同じ量程度になると消光記録ができた結果、90℃付近で発光が回復する現象が確認できる。
以上のように、高分子マトリックスは、透明性を確保するだけではなく、記録状態を保持するのにも重要な役割を担っている。
(2光子励起による蛍光信号の差)
(実施例18)
発光性化合物としてCoumarin6の代わりに4,4'-[[2,5-bis(dodecyloxy)-1,4-phenylene]bis(2,1-ethynediyl-4,1-phenylene-2,1-ethenediyl)]bis[N,N-diphenyl- Benzenamine (TP-EPS-2)とした以外は、(実施例9)と同様に記録媒体を作製した。
(実施例18)
発光性化合物としてCoumarin6の代わりに4,4'-[[2,5-bis(dodecyloxy)-1,4-phenylene]bis(2,1-ethynediyl-4,1-phenylene-2,1-ethenediyl)]bis[N,N-diphenyl- Benzenamine (TP-EPS-2)とした以外は、(実施例9)と同様に記録媒体を作製した。
(実施例19)
発光性化合物としてCoumarin6の代わりに3,3'-(9H-fluorene-2,7-diyldi-2,1-ethenediyl)bis[9-ethyl-9H-Carbazole (CZ1)とした以外は、(実施例9)と同様に記録媒体を作製した。
発光性化合物としてCoumarin6の代わりに3,3'-(9H-fluorene-2,7-diyldi-2,1-ethenediyl)bis[9-ethyl-9H-Carbazole (CZ1)とした以外は、(実施例9)と同様に記録媒体を作製した。
(実施例20)
発光性化合物としてCoumarin6の代わりに4,4'-(9H-fluorene-2,7-diyldi-2,1-ethenediyl)bis[N,N-diphenylbenzenamine (TP1)とした以外は、(実施例9)と同様に記録媒体を作製した。
発光性化合物としてCoumarin6の代わりに4,4'-(9H-fluorene-2,7-diyldi-2,1-ethenediyl)bis[N,N-diphenylbenzenamine (TP1)とした以外は、(実施例9)と同様に記録媒体を作製した。
(実施例21)
発光性化合物として、C0umarin6の代わりに、N,N'-Bis(4-diphenylamino)benzylidenediaminomaleonitrile (BAP)とした以外は、(実施例9)と同様に記録媒体を作製した。
発光性化合物として、C0umarin6の代わりに、N,N'-Bis(4-diphenylamino)benzylidenediaminomaleonitrile (BAP)とした以外は、(実施例9)と同様に記録媒体を作製した。
実施例11および実施例18〜21までの励起パワーに対する蛍光強度を表4に示す。蛍光強度はポリクロメーター発光スペクトルとして測定した。上記実施例18〜21に用いられる蛍光色素は2光子吸収断面積の最大値が500GM以上あることが下記文献A、Bに報告されており、表4のように赤外フェムト秒パルスレーザーを低パワーで照射した際にも、強い蛍光信号が観測される。一方で、実施例11のようなCoumarin 6は数10GM程度の2光子吸収断面積しか有しておらず、蛍光色素が光分解しない程度の低パワーで読み出す場合は蛍光信号が弱く読み出しにくく、明確なコントラストを区別するような信号強度レベルを読み出すことができない。微細なスポットの記録状態を読み出す際には、更に発光の信号が弱くなるので2光子吸収断面積が大きい蛍光色素の活用は重要である。
文献A:X. Wang, Y. Sakuratani, M. Sone, K. Tanaka, S. Miyata, H. Usui, J. Phys. D Appl. Phys. 2003, 36(15), 1789.
文献B:Y. Lu, F. Hasegawa, T. Goto, S. Ohkuma, S. Fukuhara, Y. Kawazu, K. Totani, T. Yamashita, T. Watanabe, J. Mater.Chem. 2004, 14, 75.
文献B:Y. Lu, F. Hasegawa, T. Goto, S. Ohkuma, S. Fukuhara, Y. Kawazu, K. Totani, T. Yamashita, T. Watanabe, J. Mater.Chem. 2004, 14, 75.
上記のように2光子吸収断面積が大きい色素を記録材料の発光性色素に用いることで、2光子励起により発光情報が記録された個所と記録されていない個所を3次元的に蛍光情報として読み出すことができる。
(実施例22)
上記(実施例1)において、さらに光吸収促進剤として、Coumarin450を1.0重量部添加した以外は同様に記録媒体を作製した。
上記(実施例1)において、さらに光吸収促進剤として、Coumarin450を1.0重量部添加した以外は同様に記録媒体を作製した。
(実施例23)
上記(実施例22)において、さらにエネルギー移動促進剤としてCoumarin6を1.0重量部添加した以外は同様に記録媒体を作製した。
上記(実施例22)において、さらにエネルギー移動促進剤としてCoumarin6を1.0重量部添加した以外は同様に記録媒体を作製した。
(実施例24)
エネルギー移動促進剤としてIr(PPy)2acacを1.0重量部配合した以外は、(実施例22)と同様に記録媒体を作製した。
エネルギー移動促進剤としてIr(PPy)2acacを1.0重量部配合した以外は、(実施例22)と同様に記録媒体を作製した。
(光吸収補助剤の添加)
表2に(実施例22〜24)の結果として、発光状態と消光状態の時の発光強度の変化を示す。表2に示すように(実施例22)で得られた記録媒体は(実施例1)で得られた記録媒体と比較すると、同じ膜厚において発光強度が増加していることがわかる。図14に、光吸収補助剤であるクマリン450の紫外可視吸収スペクトルと発光スペクトルを示す。図13に示すように、クマリン450は、紫外光として用いた365nm付近の吸光度が大きく光の吸収が増加するので、記録媒体としての発光強度が向上することがわかる。
表2に(実施例22〜24)の結果として、発光状態と消光状態の時の発光強度の変化を示す。表2に示すように(実施例22)で得られた記録媒体は(実施例1)で得られた記録媒体と比較すると、同じ膜厚において発光強度が増加していることがわかる。図14に、光吸収補助剤であるクマリン450の紫外可視吸収スペクトルと発光スペクトルを示す。図13に示すように、クマリン450は、紫外光として用いた365nm付近の吸光度が大きく光の吸収が増加するので、記録媒体としての発光強度が向上することがわかる。
(エネルギー移動促進剤の添加)
さらに、(実施例23)で得られた記録媒体は、(実施例1)で得られた記録媒体とを比較すると、発光強度が増加していることがわかる。この結果から、目的とする波長領域における吸光度が大きいエネルギー移動促進剤を添加することで、発光性化合物から電子受容性化合物へのエネルギー移動が促進されたことがわかる。また、(実施例24)で得られた記録媒体は、(実施例23)で得られた記録媒体と比較すると、目的とする波長領域において吸光度の小さい材料をエネルギー移動促進剤として用いた場合には、発光強度向上が小さいことがわかる。図14には、クマリン6及びIr(PPy)2acacの紫外可視吸収スペクトルと発光スペクトルを示す。図14に示すようにIr(PPy)2acacは、クマリン6と比較して目的とする波長領域において吸光度が小さいことがわかる。
さらに、(実施例23)で得られた記録媒体は、(実施例1)で得られた記録媒体とを比較すると、発光強度が増加していることがわかる。この結果から、目的とする波長領域における吸光度が大きいエネルギー移動促進剤を添加することで、発光性化合物から電子受容性化合物へのエネルギー移動が促進されたことがわかる。また、(実施例24)で得られた記録媒体は、(実施例23)で得られた記録媒体と比較すると、目的とする波長領域において吸光度の小さい材料をエネルギー移動促進剤として用いた場合には、発光強度向上が小さいことがわかる。図14には、クマリン6及びIr(PPy)2acacの紫外可視吸収スペクトルと発光スペクトルを示す。図14に示すようにIr(PPy)2acacは、クマリン6と比較して目的とする波長領域において吸光度が小さいことがわかる。
(実施例25)
上記(実施例2)において、さらに消色・発光/発色・消光促進剤として、(化12)に示すような化合物を750重量部添加した以外は、同様に記録媒体を作製した。
上記(実施例2)において、さらに消色・発光/発色・消光促進剤として、(化12)に示すような化合物を750重量部添加した以外は、同様に記録媒体を作製した。
(実施例26)
上記(実施例2)において、さらに消色・発光/発色・消光促進剤として、(化12)に示す化合物を250重量部、(化13)に示す化合物を750重量部加える以外は、同様に記録媒体を作製した。
上記(実施例2)において、さらに消色・発光/発色・消光促進剤として、(化12)に示す化合物を250重量部、(化13)に示す化合物を750重量部加える以外は、同様に記録媒体を作製した。
(実施例27)
上記(実施例8)において、さらに消色・発光/発色・消光促進剤として、(化12)に示す化合物を250重量部、(化13)に示す化合物を750重量部加える以外は、同様に記録媒体を作製した。
上記(実施例8)において、さらに消色・発光/発色・消光促進剤として、(化12)に示す化合物を250重量部、(化13)に示す化合物を750重量部加える以外は、同様に記録媒体を作製した。
表3に(実施例25〜27)の結果として、発光状態と消光状態の時の発光強度の変化を示す。(実施例25)で得られた記録媒体は、(実施例2)で得られた記録媒体と比較して、発光時の発光強度が向上し、消光時と発酵時の発光強度のコントラストが増加していることがわかる。この結果から、消色・発光/発色・消光促進剤を添加することで、電子供与性呈色化合物の消色反応が促進されていることがわかる。また、(実施例26)で得られた記録媒体は、発光時の発光強度が(実施例25)と比較して向上しており、消色・発光/発色・消光促進剤として直鎖の構造を有する化合物を選択することが好ましいことがわかる。
また、(実施例27)では、発光性化合物と電子供与性呈色化合物とが化学的に結合された化合物(Fluorescein−BLACK)を用いており、また、消色・発光/発色・消光促進剤として(化12)に示す化合物を250重量部、(化13)に示す化合物を750重量部加えており、発光強度及び発光コントラストがともに優れた記録媒体であることがわかる。
以上のように、本発明の記録材料は励起光照射による発光状態において高コントラスト、非破壊、フルカラー等の特性を兼ね備えており、可逆性感熱記録材料、書き換え用発光表示素子用材料、インテリア用材料、センシング用材料等さまざまな分野に活用できる可能性がある材料である。なかでも特に、本発明の記録材料は感熱式可逆記録発光表示体や、記録媒体、積層記録媒体などへの応用が期待できる。
Claims (20)
- 電子供与性呈色化合物と、長鎖脂肪族炭化水素基を有する電子受容性化合物とを含有し、前記電子供与性呈色化合物と前記電子受容性化合物との間の呈色反応を利用した可逆性感熱記録材料であって、前記電子供与性呈色化合物の呈色状態であるときに該電子供与性呈色化合物へのエネルギー移動を行うための発光性化合物をさらに含有することを特徴とする可逆性感熱記録材料。
- 電子供与性呈色化合物と、長鎖脂肪族炭化水素基を有する電子受容性化合物と、高分子マトリックスとを含有し、前記電子供与性呈色化合物と前記電子受容性化合物との間の呈色反応を利用した可逆性感熱記録材料であって、前記電子供与性呈色化合物の呈色状態であるときに該電子供与性呈色化合物へのエネルギー移動を行うための発光性化合物をさらに含有することを特徴とする可逆性感熱記録材料。
- 請求項1又は2記載の可逆性感熱記録材料において、発光性化合物は、電子供与性呈色化合物の呈色状態における紫外可視吸収スペクトルの一部に対して少なくとも一部が重なるような発光スペクトルを有することを特徴とする可逆性感熱記録材料。
- 請求項1〜3のいずれか記載の可逆性感熱記録材料において、電子供与性呈色化合物の呈色状態における吸光度が極大吸光度の25%以上である吸収波長帯と、発光性化合物の発光強度が極大発光強度の25%以上である発光波長帯と、が一部重なることを特徴とする可逆性感熱記録材料。
- 請求項1〜4のいずれか記載の可逆性感熱記録材料において、電子供与性呈色化合物の消色状態における吸光度が極大吸光度の25%以上である吸収波長帯と、発光性化合物の極大発光強度の25%以上である発光波長帯と、が重ならないことを特徴とする可逆性感熱記録材料。
- 請求項1〜5のいずれか記載の可逆性感熱記録材料において、電子供与系呈色化合物の配合比が15重量%以上であることを特徴とする可逆性感熱記録材料。
- 請求項1〜6のいずれか記載の可逆性感熱記録材料において、長鎖脂肪族炭化水素基を有する電子受容性化合物の電子受容部がフェノール骨格を有する化合物からなり、長鎖脂肪族炭化水素基部がカルボニール基もしくはアミノ基もしくはヒドロキシル基などの分子間水素結合を形成しうる官能基を3つ以上含まない脂肪族炭化水素基であることを特徴とする可逆性感熱記録材料。
- 請求項2〜7のいずれか記載の可逆性感熱記録材料において、高分子マトリックスは非晶性の高分子であることを特徴とする可逆性感熱記録材料。
- 請求項2〜8のいずれか記載の可逆性感熱記録材料において、長鎖アルキル顕色剤をさらに含有し、高分子マトリックスの配合比は長鎖アルキル顕色剤1重量部に対し、1重量部以上であることを特徴とする可逆性感熱記録材料。
- 請求項1〜9のいずれか記載の可逆性感熱記録材料において、発光性化合物は2光子吸収断面積が500GM以上の化合物であることを特徴とする可逆性感熱記録材料。
- 請求項1〜10のいずれか記載の可逆性感熱記録材料において、発光性化合物が水溶性化合物からなることを特徴とする可逆性感熱記録材料。
- 請求項1〜11のいずれか記載の可逆性感熱記録材料において、電子供与性呈色化合物と発光性化合物とが化学的に結合されたことを特徴とする可逆性感熱記録材料。
- 請求項1〜12のいずれか記載の可逆性感熱記録材料において、電子供与性呈色化合物の呈色性・消色性を向上させるための消色・発光/発色・消光促進剤を含有することを特徴とする可逆性感熱記録材料。
- 請求項1〜13のいずれか記載の可逆性感熱記録材料において、発光性化合物の光吸収を促進するための光吸収補助剤を含有することを特徴とする可逆性感熱記録材料。
- 請求項14記載の可逆性感熱記録材料において、光吸収補助剤の発光スペクトルに対して少なくとも一部が重なるような吸収スペクトルを有するエネルギー移動促進剤を含有することを特徴とする可逆性感熱記録材料。
- 請求項1〜15のいずれか記載の可逆性感熱記録材料において、発光性化合物の吸収スペクトルに対して少なくとも一部が重なるような発光スペクトルを有するエネルギー移動補助剤を含有することを特徴とする可逆性感熱記録材料。
- 請求項1〜16のいずれか記載の可逆性感熱記録材料を基材上に設けたことを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
- 請求項17記載の可逆性感熱記録媒体の所定位置を電子受容性化合物の融点以上の温度まで加熱した後冷却することで電子供与性呈色化合物を呈色させる工程、及び前記所定位置とは異なる位置を電子受容性化合物の結晶化温度まで加熱した後冷却することで電子供与性呈色性化合物を消色させる工程と、を有することを特徴とする可逆性感熱記録媒体の記録方法。
- 請求項17記載の可逆性感熱記録媒体に対して、励起光を照射することで画像を表示する工程、を有することを特徴とする可逆性感熱記録媒体の表示方法。
- 請求項17記載の可逆性感熱記録媒体に対して、加熱温度または加熱時間を変化することで発光コントラストを制御することを特徴とする可逆性感熱記録媒体の表示方法。
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