JPWO2007086558A1 - ガラス素子の成形用金型 - Google Patents

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Abstract

型開き動作開始初期において上側ダイプレート1とともに上側コア3が上方へ移動する間、上側キャビティダイ2を弾性部材10で下方へ付勢し、上側キャビティダイ2の下面を下側キャビティダイ6の上面に押し付けて接触状態を保持し、下側コア5の外径と上側コア3の外径の差を利用して、ガラス素子成形品4を下側コア5に残留させる。これにより、ガラス素子成形品4を確実に離型し、型開き時に下型に確実に残すことによって、円滑な成形品の取り出しおよび自動搬送を可能にする。

Description

本発明は、ガラス素子成形用金型に係り、特に、曲率の大きな光学ガラス素子の成形や、離型が困難な形状をもつガラス素子の成形に使用する金型の構造に関する。
ガラス素子の成形では、金型を加熱しプレス力を加え、金型の冷却を行う一連の工程を経てガラス素子が形成されるが、特に、曲率の大きな曲面をもつ光学素子を成形する場合や、離型の困難な形状のガラス素子を成形する場合には、冷却時に生じる金型の熱収縮によって、コアへの成形品の噛み込みが発生したり、割れたりすることがある。
図5、図6は、この種のガラス素子の成形に用いられる一般的な従来の金型構造を示し、図5は、金型の型締の状態、図6は型開きの状態に対応させてそれぞれ一対の成形金型を示している。
すなわち、図5、図6において、参照番号3、5は光学素子の成形面を有する一対の上側および下側コア若しくは図示しないガラス素子の成形面を有する一対のコアである。参照番号2、6は、前記一対の上側コア3、下側コア5と摺動可能に嵌合する一対の上側キャビティダイおよび下型キャビティダイ、参照番号1、7は前記一対の上側コア3、下側コア5並びに一対の上側キャビティダイ2、下側キャビティダイ6を支持する一対の上側ダイプレートおよび下側ダイプレート、参照番号4は、ガラス素子成形品を示している。
ガラス素子成形品4の材料には、屈伏点620℃の硝材を使用し、610℃のときに金型を閉じて15kNでプレスし、510℃まで徐冷を行った後、0.5mm型開きを行う。この場合、図4に示されるように、ガラス素子成形品4は凸面の上型コア3に張り付いたまま、型開きが行われてしまう問題がある。
また、成形型の有効成形面を傷つけることなく、成形部を均等に加熱または冷却しうる光学素子の成形装置が提案されている(特開平5−286732号公報)。この成形装置では、胴型の端面に1個以上の穴又は溝を設け、その中に上型を上方に付勢するスプリングを設置している。このスプリングは、上型の重量を支持している。光学素子材料は、上型、下型及び胴型の間でを加熱軟化され、シリンダーを下降させ、スプリングを締めながら圧力を加えて押圧成形することにより、光学素子が成形される。
上記の図5、図6においては、前述したように、特に曲率の大きな曲面をもつ光学ガラス素子を成形する場合や離型の困難な形状のガラス素子を成形する場合には、冷却時の熱収縮によって上側コア3、下側コア5への成形品の噛み込みが発生したり、割れたりすることがある。そして、割れが発生する場合、上側コア3、下側コア5を傷つける可能性がある上、成形品4が上側コア3に張り付いたまま型開きをすることになったり、下側コア5から成形品の取出ができなくなる等の問題がある。これらの問題点は、金型から成形品を取り出し、自動搬送するときの障害となり、連続成形する上での大きな問題点となっていた。
また、特開平5−286732号公報の成形装置では、同型の上部に、上型を上方に付勢するスプリングを設置して上型自体の荷重をバランスするようにして主として加圧時の上型の制御性を良好にすることについて提案されているが離型動作を改善することについての開示はない。
本発明者等は、上述した問題点を鋭意検討した結果、図3において、上側コア3に嵌合している上側キャビティダイ2を、上側コア3が上方へ移動する離型時に同コア33に張り付いたままいっしょに移動させないようにすることで前記問題点は基本的に解決できることを見いだした。
したがって、本発明の目的は、ガラス素子成形品の貼り付きを強制的に離型し、同成形品の割れ、上下のコア破損を防止し、また、同成形品を確実に離型し、型開き時に下型に残すことによって円滑な自動搬送を可能として、連続した成形を可能とするガラス素子の成形用金型を提供することにある。
前記の目的を達成するために、本発明は、上型および下型からなる一対の型間にガラス素子材料を配置して、前記一対の型および前記ガラス素子材料を加熱しプレスすることによりガラス素子を成形する成形装置におけるガラス素子の成形用金型において、前記ガラス素子の上側成形面を形成された上側コアと、前記ガラス素子の下側成形面を形成し、上側コアの外径より大きい外径を有する下側コアと、前記上側コアの外周側面と摺動可能に嵌合する上側キャビティダイと、前記下側コアの外周側面と摺動可能に嵌合する下側キャビティダイと、前記上側コアおよび上側キャビティダイをそれらの上方側にて支持する上側ダイプレートと、前記下側コアおよび下側キャビティダイをそれらの下方側にて支持する下側ダイプレートと、型開き動作開始初期において前記上側ダイプレートとともに上側コアが上方へ移動する間、前記上側キャビティダイを下方へ付勢し、該上側キャビティダイの下面を前記下側キャビティダイの上面に押し付けて接触状態を保持し、前記下側コアと上側コアの外径の差を利用してガラス素子を前記下側キャビティダイ側に残留させる残留強制手段と、を備えることを特徴とするものである。
本発明の好適な実施形態によれば、前記残留強制手段は、前記下側キャビティダイ上面と前記上側ダイプレートとの間に配置された弾性部材と、前記上側ダイプレートが前記上側コアとともに上方に移動し前記上側キャビティダイとの間隔が所定間隔に達したときに、前記上側ダイプレートと前記上側キャビティダイとが一体で上方に移動可能なように前記上側キャビティダイを係止させる係止部と、を備えている。
前記係止部は、前記上側キャビティダイの上面部に螺合し、前記上側ダイプレートの下面と上側キャビティダイの上面との間を所定の間隔に規制するストッパボルトと、前記ストッパボルトの頭部が係止する係止段部を有し前記上側ダイプレートに形成された段付き穴とからなる。
前記弾性部材は、セラミックスを含む耐熱弾性部材、好ましくは、インコ社製のインコネルを材質とする皿バネが用いられる。皿バネの替わりに耐熱性のコイルバネ、板バネであってもよい。
本発明によれば、型開きを行ったときに、ガラス素子成形品が上側コアに張り付くことなく、確実に上側コアから離型し、下側コアに確実に残留させることができ、これにより、ガラス素子成形品の割れ、コアの破損を防止し、確実に片開き時に成形品を残すことにより、円滑な成形品の取り出し、自動搬送を可能し、成形サイクルを確実に連続させることができる。
図1は、本発明の実施形態による成形用金型の型締状態を示す縦断面図である。 図2は、図1の成形金型の型開き状態を示す縦断面図である。 図3は、本発明の成形用金型の変形例を示す縦断面図。 図4は、本発明の成形用金型の他の変形例を示す縦断面図。 図5は、従来の成形用金型の型締め時の状態を示す縦断面図である。 図6は、図5の成形用金型の型開き時の状態を示す縦断面図である。
以下、本発明の実施形態に基づく1実施例について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図1、2における各参照番号のうち、図3、図4と同一の参照符号は同一構成部品を示しており、以下では主として図3、図4と相違する点を中心に説明する。
図1、図2において、参照番号3、5は光学ガラス素子の成形面を有する一対の上側コア、下側コアである。参照番号2、6は、一対の上側コア3、下側コア5と摺動可能に嵌合する一対の上側キャビティダイおよび下型キャビティダイである。参照番号1、7は前記一対の上側コア3、下側コア5並びに一対の上側キャビティダイ2、下側キャビティダイ6を支持する一対の上側ダイプレート、下側ダイプレートを示す。参照番号4は、上側コア3の成形面と下側コア5の成形面の間に成形されるガラス素子成形品を示している。
図1において、参照番号9は、上側コア3を上側ダイプレート1の下面に締結する固定用ボルトである。参照番号10は、上側キャビティダイ2の上面に開口した凹部10Aに収納されている耐熱性を有する弾性部材である。本実施形態では、弾性部材10としてインコネル718(インコ社(International Nickel Company)の商品名)(縦弾性係数198220N/mm2、0.2mmの撓みで200N、使用温度範囲:室温〜650℃)の皿バネを使用し、繰り返し2000回以上の耐久性を確認した。
図1に示す成形用金型の型締め時の状態では、弾性部材10の上端側は、上側ダイプレート1の下面に当接して圧縮されており、したがって、上側ダイプレート1の下面は、弾性部材10の弾発力を受けた状態となっている。また、同じ大きさの反力が上側キャビティダイ2に作用し、上側キャビティダイ2を下方に付勢している。
なお、上記弾性部材10には、本実施形態で使用したインコネル718の皿バネを用いる代わりに、窒化珪素Si3N4(使用温度範囲:室温〜1150℃)等のセラミック製品等耐熱材を材質とする耐熱性の皿バネ、コイルバネ、板バネ等の弾性部材でもよい。
図1において、参照符号D1は、上側コア3の外径を示し、D2は下側コア5の外径を示している。ガラス素子成形品4に凹面を形成する上側コア3の外径D1と較べると、下側コア5の外径はより大きな寸法になっている。また、参照符号Zは、ガラス素子成形品4の外周部分を示す。上記のように、この上側コア3の外径D1と、下側コア5の外径D2に差があることによって段差が形成され、ガラス素子成形品4の外周部分Zの上面は上側キャビティダイ2の下面と接している。
上側ダイプレート1と上側キャビティダイ2とは、ストッパボルト8で連結されている。上側ダイプレート1には、段付き穴11が形成されており、この段付き穴11にストッパボルト8が挿入されている。
この場合、ストッパボルト8のネジ部が上側キャビティダイ2の上面部に螺合している。段付き穴11には、途中に係止段部11aが形成されている。ストッパーボルト8の頭部下面と係止段部11aの着座面との間には、間隔Lが設けられている。ストッパーボルト8の頭部は、型開きしたときに、図2に示されるように、間隔Lだけ上側ダイプレート1が上昇されたとき前記着座面に係止されるようになっており、これにより、上側ダイプレート1の下面と上側キャビティダイ2の上面との間を間隔Lに規制することができる。
なお、本実施形態では、ストッパボルト8は、固定用ボルト9と同じボルトであり、本来、上側ダイプレート1に上側キャビティダイ2を固定するボルトである。段付き穴11にストッパボルト8を挿入して、上側キャビティダイ2にねじ込んでいくときに、完全に締結しないで間隔Lを設定すればよい。もちろん、間隔Lの調整も可能である。
本実施形態によるガラス素子成形用金型は、以上のように構成されるものであり、次に、その作用並びに効果について説明する。
プレス成形によりガラス素子成形品4を成形した後、図1の型締状態から型開き動作を行う。この型開き動作は図示していない上下動駆動装置に結合されている上側ダイプレート1が上方へ移動することにより行われる。
図1において、上側ダイプレート1が上方へ移動し始めると、上側ダイプレート1と共に上側コア3も上方へ移動することになる。この間、上側キャビティダイ2は、弾性部材10の弾発力により下方へ押し付けられているので、下側キャビティダイ6の上面と接触したままの状態が保たれるようになっている。したがって、ガラス素子成形品4の外周部分Zの上面は、上側キャビティダイ2の下面の段差によって規制されたまま、ガラス素子成形品4は位置を保持されている。これによって、凹面の曲率の大きなガラス素子成形品4であっても、割れや噛み込みが生じることなく、上側コア3の成形面から円滑に離型させることができる。
さらに、上側ダイプレート1および上側コア3が間隔Lだけ上方に移動すると、ストッパーボルト8の頭部下面が係止段部11aの着座面と接触するに至る。その後は上側キャビティダイ2に上側コア3がストッパーボルト8を介して連結され、両者は共に上方へ移動する。その際、図2に示すように、上側キャビティ2の下面はそれまで接していたガラス素子成形品4の外周部分Zの上面から離れる。こうしてガラス素子成形品4は、割れや噛み込みが生じることなく、下側コア5上に強制的に残留されたままとなる。
型開きが完了すると、下型コア5に残ったガラス素子成形品4は、図示しない製品取り出し装置によって取り出され、搬出場所に自動搬送されることになる。このように、型開きが行われると、ガラス素子成形品4を割れ、噛み込みなく必ず下側コア5上に残すことができるので、製品取り出し装置によるガラス素子成形品の取り出しを確実に行える。これにより、ガラス素子成形品が割れたり、上側コア3に張り付いたまま型開きがされるなどの事故がなくなり成形工程を中断することなく、連続したガラス素子成形品4の成形サイクルを連続して実施し、高効率で生産することができる。
以上、弾性部材10として、耐熱性材料からなるバネを用いた本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は、種々の変形例が可能である。
例えば、図3は、図1において弾性部材10の代わりに、上側キャビティダイ2に設けた通路18から凹部10Aに高圧エアーを供給して上側キャビティダイ2を下方に付勢するようにした例である。高圧エアは、上側キャビティダイ2の上面へ吹き付けるようにしてもよい。
また、図4は、高圧エアーを供給する代わりに上側ダイプレート1にエアシリンダ20を設け、そのロッド21の端部を上側キャビティダイ2の上面に押し当てるようにして上側キャビティダイ2を下方へ付勢した例である。
さらにまた、前記ロッド下端部に径太の頭部を設け、この頭部上面が上側キャビティダイ2に設けた着座部材により係止されるように構成して、図1のストロークストッパーボルト8の機能を兼ねるようにすることもできる。

Claims (8)

  1. 上型および下型からなる一対の型間にガラス素子材料を配置して、前記一対の型および前記ガラス素子材料を加熱しプレスすることによりガラス素子を成形する成形装置におけるガラス素子の成形用金型において、
    前記ガラス素子の上側成形面を形成された上側コアと、
    前記ガラス素子の下側成形面を形成し、上側コアの外径より大きい外径を有する下側コアと、
    前記上側コアの外周側面と摺動可能に嵌合する上側キャビティダイと、
    前記下側コアの外周側面と摺動可能に嵌合する下側キャビティダイと、
    前記上側コアおよび上側キャビティダイをそれらの上方側にて支持する上側ダイプレートと、
    前記下側コアおよび下側キャビティダイをそれらの下方側にて支持する下側ダイプレートと、
    型開き動作開始初期において前記上側ダイプレートとともに上側コアが上方へ移動する間、前記上側キャビティダイを下方へ付勢し、該上側キャビティダイの下面を前記下側キャビティダイの上面に押し付けて接触状態を保持し、前記下側コアと上側コアの外径の差を利用してガラス素子を前記下側キャビティダイ側に残留させる残留強制手段と、
    を備えることを特徴とするガラス素子の成形用金型。
  2. 前記残留強制手段は、
    前記下側キャビティダイ上面と前記上側ダイプレートとの間に配置された弾性部材と、
    前記上側ダイプレートが前記上側コアとともに上方に移動し前記上側キャビティダイとの間隔が所定間隔に達したときに、前記上側ダイプレートと前記上側キャビティダイとが一体で上方に移動可能なように前記上側キャビティダイを係止させる係止部と、
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載のガラス素子の成形用金型。
  3. 前記係止部は、前記上側キャビティダイの上面部に螺合し、前記上側ダイプレートの下面と上側キャビティダイの上面との間を所定の間隔に規制するストッパボルトと、前記ストッパボルトの頭部が係止する係止段部を有し前記上側ダイプレートに形成された段付き穴とからなることを特徴とする請求項1に記載のガラス素子の成形用金型。
  4. 前記ストッパボルトは、上側対プレートに上側コアを固定するボルトと同型の金型締結用のボルトからなることを特徴とする請求項3に記載のガラス素子の成形用金型。
  5. 前記弾性部材は、セラミックスを含む耐熱弾性部材からなることを特徴とする請求項2に記載のガラス素子の成形用金型。
  6. 前記耐熱弾性部材は、皿バネ、コイルバネ、板バネのいずれかを用いたことを特徴とする請求項5に記載のガラス素子の成形用金型。
  7. 前記残留強制手段は、前記弾性部材に替わる、前記上側キャビティダイ2の上面を受圧面とする高圧エア供給部からなることを特徴とする請求項2に記載のガラス素子の成形用金型。
  8. 前記残留強制手段は、前記弾性部材に替わる、エアシリンダからなることを特徴とする請求項2に記載のガラス素子の成形用金型。
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