JPWO2006123647A1 - 遺伝子の検出方法 - Google Patents

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    • C12Q1/6834Enzymatic or biochemical coupling of nucleic acids to a solid phase

Abstract

ホスホリルコリン基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を表面に有する不溶性担体にDNA伸長用のプライマーを固定化させて、鋳型DNA断片またはRNA断片とDNA伸長用プライマーをアニールさせ、DNAプライマーを伸長させ、伸長したDNA鎖に酵素が導入し、酵素の働きにより発色試薬を発色させ、発色の度合いによりDNA断片又はRNA断片の含有状況を判定する遺伝子の検出方法。

Description

本発明は、プライマーDNA鎖を所定の担体表面に固定化し、遺伝子のDNA断片又はRNA断片を鋳型としてDNA鎖を伸長させて遺伝子を検出する方法に関する。
遺伝子の発現状況や、菌やウィルスの同定等遺伝子を用いた検出や診断が生化学の分野では、日常に行なわれている。従来遺伝子の検出には、電気泳動による方法が行なわれてきたが、近年になってDNAマイクロアレイにより複数の遺伝子を同時にみる方法が行なわれている。 従来からの電気泳動による方法では、PCRによる反応や電気泳動時間等検出までに時間を要し、また電気泳動の操作に煩わしさがある。 また、マイクロアレイによる遺伝子検出においては、検出に高価な蛍光試薬を使用しなければならず、また検出にマイクロアレイ専用の高価な検出機を必要とし、臨床の検査分野や、食品検査等の分野ではなかなか使用されるまでに至っていない。
上記、問題を解決するために、可視による遺伝子の検出方法が、特許文献1に開示されている。本特許文献に記載されている方法は、LAMP法により遺伝子の増幅を行い、SYBR Green Iなどインターカレーターを用いて可視化を行うものであるが、本方法では、検出目的となる遺伝子の有無は判定できるが、検体中に存在する遺伝子を定量することはできない。
特開2004−154008号公報
本発明の目的は、操作が簡便で、可視領域における測定が可能な定量性のある、遺伝子の検出方法を提供することにある。 本発明者らは、表面に所定の高分子物質を有する担体上でDNAの伸長反応を行う方法を用いることで本発明の完成に至った。
本発明は、
(1)ホスホリルコリン基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を表面に有する不溶性担体を用いて

(a)前記担体表面にDNA伸長用のプライマーを固定化させてプライマー固定化担体を作製する工程

(b)前記プライマー固定化担体上に、必要に応じてDNA鎖の熱変性温度まで加温された、検出する遺伝子のDNA断片またはRNA断片、およびDNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼまたは逆転写酵素、およびヌクレオチドモノマー(dATP、dCTP、dGTP、dUTP)を添加する工程

(c)所定温度でアニール処理して前記DNA断片または前記RNA断片、及び前記DNA伸長用プライマーをハイブリタイズする工程

(d)前記DNA伸長用プライマーを伸長させてDNA鎖を形成する工程、および

(e)必要に応じて工程(b)〜(d)の液相を除去する工程

を含み、
前記伸長したDNA鎖に酵素が導入され、該酵素により発色試薬を発色させ、発色の度合により遺伝子のDNA断片またはRNA断片の含有状況を判定することを特徴とする遺伝子の検出方法、
(2)前記工程(b)において、DNA鎖の熱変性温度まで加温処理しない場合に、前記工程(c)の前に、前記工程(b)にて導入された各材料を含む反応系の温度を、DNA鎖の熱変性温度まで上昇させる工程を含む(1)記載の遺伝子の検出方法、
(3)前記工程(b)において、前記検出する遺伝子のDNA断片またはRNA断片を、DNA鎖の熱変性温度まで加温してから、前記プライマー固定化担体上に添加する(1)記載の遺伝子の検出方法、
(4)前記工程(b)において、前記検出する遺伝子のDNA断片またはRNA断片、およびDNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼまたは逆転写酵素、および前記ヌクレオチドモノマーを、DNA鎖の熱変性温度まで加温してから、前記プライマー固定化担体上に添加する(1)記載の遺伝子の検出方法、
(5)工程(b)において前記ヌクレオチドモノマーの何れかに発色試薬を発色させる酵素標識がなされていて、伸長したDNA鎖に酵素が導入されるものである(1)記載の遺伝子の検出方法、
(6)工程(b)において前記ヌクレオチドモノマーの何れかにビオチン標識がなされていて、工程(e)の後に発色試薬を発色させる酵素標識がなされているストレプトアビジンを含む溶液を添加することによって伸長したDNA鎖に酵素が導入されるものである(1)記載の遺伝子の検出方法、
(7)伸長したDNA鎖に標識される酵素が酸化酵素又は還元酵素である(1)〜(6)いずれか記載の遺伝子の検出方法、
(8)伸長したDNA鎖に標識される酵素がペルオキシダーゼ又はアルカリフォスファターゼである(1)〜(6)いずれか記載の遺伝子の検出方法、
(9)工程(d)において、アニール処理温度と熱変性処理温度との間の所定の温度に変化させて行われるものである(1)〜(8)いずれか記載の遺伝子の検出方法、
(10)工程(a)において前記プライマーが、前記担体表面のカルボン酸誘導基の部位と共有結合して、前記担体の表面に固定化されるものである(1)〜(9)いずれか記載の遺伝子の検出方法、
(11)前記高分子物質が更にブチルメタクリレート基を含む第三単位を有するものである(1)〜(10)いずれか記載の遺伝子の検出方法、
(12)前記担体は、前記高分子物質に加えて、ホスホリルコリン基を含む第一単位と、ブチルメタクリレート基を含む第三単位とを有する第二の高分子物質を含むものである(1)〜(11)いずれか記載の遺伝子の検出方法、
(13)前記担体がプラスチック材料からなるものである(1)〜(12)いずれか記載の遺伝子の検出方法、
(14)発色した色素が伸長したDNA鎖へ付着し、色素の付着の度合いを色の濃さとして測定することを特徴とする(1)〜(13)いずれか記載の遺伝子の検出方法、
(15)発色の度合いを吸光により測定することを特徴とする(1)〜(13)いずれか記載の遺伝子の検出方法、
である。
本発明によれば、簡便な操作かつ短時間で遺伝子の検出が可能であり、かつ可視領域での遺伝子の検出が可能となり、遺伝子の有無の判定のみならず、定量することも可能となる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係る遺伝子の検出方法は、ホスホリルコリン基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を表面に有する不溶性担体(以下単に「担体」ということもある)を用いて、
(a)前記担体表面にDNA伸長用のプライマーを固定化させてプライマー固定化担体を作製する工程
(b)前記プライマー固定化担体上に、必要に応じてDNA鎖の熱変性温度まで加温された、検出する遺伝子のDNA断片またはRNA断片、およびDNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼまたは逆転写酵素、およびヌクレオチドモノマー(dATP、dCTP、dGTP、dUTP)を添加する工程
(c)所定温度でアニール処理して前記DNA断片または前記RNA断片、及び前記DNA伸長用プライマーをハイブリタイズする工程
(d)前記DNA伸長用プライマーを伸長させてDNA鎖を形成する工程、および
(e)必要に応じて工程(b)〜(d)の液相を除去する工程
を含み、
前記伸長したDNA鎖に酵素が導入され、該酵素により発色試薬を発色させ、発色の度合により遺伝子のDNA断片またはRNA断片の含有状況を判定することを特徴としている。
すなわち、ホスホリルコリン基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合して活性化されたカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を表面に有する担体に、DNA伸長用のプライマーを固定化させ、サンプル中のDNA断片またはRNA断片を鋳型にして逆転写酵素および/またはポリメラーゼ活性のある酵素により、DNAを伸長させ、伸長の際に酸化または還元酵素を導入し、この酵素反応により発色基質を発色させ、可視領域によりサンプル中の検出対象となるDNAまたはRNA配列の有無の判定および定量を行うことを特徴とする。
工程(a)では、担体表面にDNA伸長用のプライマーを固定化させてプライマー固定化担体を作製する。
本発明で使用される担体の表面には、ホスホリルコリン基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質が存在するようになっている。
このホスホリルコリン基を含む第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を含む第二単位とを有する高分子物質は、DNA鎖およびRNA鎖の非特異的吸着を抑制する性質とDNA鎖を固定化する性質とを併せ持つポリマーである。特に、第一単位に含まれるホスホリルコリン基は鋳型RNA断片の非特異的吸着を抑制する役割を果たし、第二単位に含まれるカルボン酸誘導基はプライマーを化学的に固定化する役割を果たす。すなわち、プライマーは、前記このコーティング層の、第二単位に含まれるカルボン酸誘導基の部位で共有結合して、当該担体の表面に固定化される。
第一の単位は、たとえば、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン基、6−メタクリロイルオキシヘキシルホスホリルコリン基等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルホスホリルコリン基;
2−メタクリロイルオキシエトキシエチルホスホリルコリン基および10−メタクリロイルオキシエトキシノニルホスホリルコリン基等の(メタ)アクリロイルオキシアルコキシアルキルホスホリルコリン基;
アリルホスホリルコリン基、ブテニルホスホリルコリン基、ヘキセニルホスホリルコリン基、オクテニルホスホリルコリン基、およびデセニルホスホリルコリン基等のアルケニルホスホリルコリン基;
等の基を有し、ホスホリルコリン基がこれらの基中に含まれている構成とすることができる。
また、これらの基のうち、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンが好ましい。第一単位が2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを有する構成とすることにより、担体表面における鋳型RNA断片の非特異的吸着をより一層確実に抑制することができる。
カルボン酸誘導体は、カルボン酸のカルボキシル基が活性化されたものであり、C=Oを介して脱離基を有するカルボン酸である。カルボン酸誘導体は、具体的には、アルコキシル基よりも電子求引性の高い基がカルボニル基に結合して求核反応が活性化された化合物である。カルボン酸誘導基は、アミノ基、チオール基、水酸基等に対する反応性を有する化合物である。
活性化されたカルボン酸誘導体として、さらに具体的には、カルボン酸であるアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基が、酸無水物、酸ハロゲン化物、活性エステル、活性化アミドに変換された化合物が挙げられる。カルボン酸誘導基は、こうした化合物に由来する活性化された基であり、たとえば、p−ニトロフェニル基やN−ヒドロキシスクシンイミド基等の活性エステル基;
―Cl、−F等のハロゲン;
等の基を有することができる。
また、カルボン酸誘導基は、下記式(1)に示される基とすることができる。
(化1)
(ただし、上記式(1)において、Aは水酸基を除く脱離基である。)
上記式(1)に示される一価の基は、たとえば下記式(p)または式(q)から選択されるいずれかの基とすることができる。
(化2)
(ただし、上記式(p)および式(q)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、一価の有機基であり、直鎖状、分岐状、および環状のいずれであってもよい。また、上記式(p)において、R1はCとともに環を形成する二価の基であってもよい。また、上記式(q)において、R2はNとともに環を形成する二価の基であってもよい。)
上記式(p)に示される基として、たとえば下記式(r)、(s)、および(w)に示される基が挙げられる。また、上記式(q)に示される基として、たとえば下記式(u)に示される基が挙げられる。
上記式(1)に示される基は、たとえば下記式(r)、式(s)等に示される酸無水物由来の基;
下記式(t)に示される酸ハロゲン化物由来の基;
下記式(u)、式(w)に示される活性エステル由来の基;または
下記式(v)に示される活性化アミド由来の基とすることができる。
(化3)
カルボン酸誘導基のうち、活性エステル基は、穏やかな条件における反応性に優れるため、好ましく用いられる。穏やかな条件としては、たとえば中性またはアルカリ性の条件、具体的にはpH7.0以上10.0以下、さらに具体的にはpH7.6以上9.0以下、さらにまた具体的にはpH8.0とすることができる。
また、本明細書において規定するところの「活性エステル基」は、その定義について厳密な規定はなされていないが、慣用の技術表現としては、エステル基のアルコール側に酸性度の高い電子求引性基を有して求核反応を活性化するエステル群、すなわち反応活性の高いエステル基を意味するものとして、各種の化学合成、たとえば高分子化学、ペプチド合成等の分野で慣用されているものである。なお、ペプチド合成の分野においては、泉屋信夫、加藤哲夫、青柳東彦、脇道典著、「ペプチド合成の基礎と実験」、1985年発行、丸善、に記載されているように、活性エステル法はアミノ酸またはペプチドのC末端を活性化する方法の一つとして用いられている。
実際的には、エステル基のアルコール側に、電子求引性の基を有し、アルキルエステルよりも活性化されたエステル基である。活性エステル基は、アミノ基、チオール基、水酸基等の基に対する反応性を有する。さらに具体的には、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、シアノメチルエステル、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等がアルキルエステル等に比べてはるかに高い活性を有する活性エステル基として知られている。
ここでは、高分子物質中の活性化カルボン酸誘導体基が活性エステル基である場合を例に、説明する。活性エステル基としては、たとえばp−ニトロフェニル基、N−ヒドロキシスクシンイミド基、コハク酸イミド基、フタル酸イミド基、5−ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド基等が挙げられるが、たとえばp−ニトロフェニル基が好ましく用いられる。
表面にプライマーが固定化される担体の場合、第一単位と第二単位のさらに具体的な構成の組み合わせとして、たとえば、ホスホリルコリン基を含む第一単位が2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン基を有し、活性エステル基がp−ニトロフェニル基である構成とすることができる。
また、本実施形態の担体のコーティング層に使用される高分子物質は、ホスホリルコリン基およびカルボン酸誘導基以外に他の基を含んでもよい。また、高分子物質は共重合体とすることができる。具体的には、高分子物質がブチルメタクリレート基を含む共重合体であることが好ましい。こうすることにより、高分子物質を適度に疎水化し、この高分子物質の担体表面への吸着性をさらに好適に確保することができる。
具体的には、高分子物質を、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)基を有する第一単量体と、p−ニトロフェニルオキシカルボニルポリエチレングリコールメタクリレート(NPMA)基を有する第二単量体と、ブチルメタリレート(BMA)基を有する第三単量体との共重合体とすることができる。これらの共重合体であるpoly(MPC−co−BMA−co−NPMA)(PMBN)は、模式的に下記一般式(2)で示される。
(化4)
2−メタクリロイルオキシホスホリルコリンおよびn−ブチルメタクリレートおよびp−ニトロフェニルオキシカルボニルポリエチレングリコールメタクリレートよりなる重合体ポリマー
ただし、上記一般式(2)において、a、b、およびcは、それぞれ独立して、正の整数である。また、上記一般式(2)において、第一〜第三単量体がブロック共重合していてもよいし、これらの単量体がランダムに共重合していてもよい。
上記一般式(2)で示される共重合体は、高分子物質の適度な疎水化と、鋳型RNA断片の非特異吸着を抑制する性質と、プライマーを固定化する性質とのバランスとに、より一層優れた構成である。このため、このような共重合体を用いることにより、担体表面をより一層確実に高分子物質で被覆するとともに、高分子物質がコーティングされた担体上への鋳型RNA断片の非特異的吸着を抑制しつつ、プライマーをさらに確実に共有結合により固定化して担体上に導入することができる。
なお、上記一般式(2)で示される共重合体は、MPC、BMA、およびNPMAの各単量体を混合し、ラジカル重合等の公知の重合方法により得ることができる。上記一般式(2)で示される共重合体をラジカル重合により作製する場合、たとえば、Ar等の不活性ガス雰囲気にて、30℃以上90℃以下の温度条件で溶液重合を行うことができる。
溶液重合に使用される溶媒は適宜選択されるが、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコールや、ジエチルエーテル等のエーテル、クロロホルム等の有機溶媒を単独でまたは複数混合して用いることができる。具体的には、ジエチルエーテルとクロロホルムを体積比で8対2とした混合溶媒とすることができる。
また、ラジカル重合反応に使用されるラジカル重合開始剤としては、通常使用されるものを用いることができる。たとえば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスバレロニトリル等のアゾ系開始剤;
過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシピバレート等の油溶性の有機過酸化物;
などが用いられる。
さらに具体的には、ジエチルエーテルとクロロホルムを体積比で8対2とした混合溶媒およびAIBNを用い、Ar中、60℃にて2〜6時間程度重合を行うことができる。
なお、本実施形態では、高分子物質がブチルメタクリレート基を含む第三単位を有する例を説明したが、ホスホリルコリン基を含む第一単位とカルボン酸誘導基を含む第二単位とを有する高分子物質を第一の高分子物質とし、これに加えて、ホスホリルコリン基を含む第一単位とブチルメタクリレート基を含む第三単位とを有する第二の高分子物質を含んでいてもよい。
なお、上記第一の高分子物質の第一単位と上記第二の高分子物質の第一単位とは同一構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。また、上記第一の高分子物質がブチルメタクリレート基を含む第三単位を含むとき、この第一の高分子物質の第三単位と上記第二の高分子物質の第三単位とは同一構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。
このような第二の高分子物質は、鋳型DNA断片の非特異的吸着を抑制するポリマーとして用いられる。このようなポリマーとしては、たとえばホスホリルコリン基が30モル%、ブチルメタクリレート基が70モル%の割合で含まれているものであるMPCポリマー(日本油脂社製)を用いることができる。
なお、高分子物質が上記第一の高分子物質、第二の高分子物質からなる場合、これらの高分子物質が混合されている構成とすることができる。各々の高分子物質のポリマーは、たとえばエタノール溶液に溶解できるため、それぞれのポリマー溶液を混合することにより容易に混合ポリマーを得ることができる。
以上のような高分子物質からなるコーティング層を表面に含む担体は、所定の形状に加工された担体の表面に高分子物質を含む液体を塗布し、乾燥することにより得られる。また、高分子物質を含む液体中に担体を浸漬し、乾燥してもよい。
また、担体として、プラスチック材料を用いた場合には、形状やサイズの変更に対する柔軟性が確保される上に、ガラス基板のものに比べて安価で提供することができるという観点から好ましい。このようなプラスチック材料としては、表面処理の容易性および量産性の観点から、熱可塑性樹脂を用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、ある程度耐熱性があれば特に制限はない、耐熱性のある樹脂としてたとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の直鎖状ポリオレフィン;環状ポリオレフィン;含フッ素樹脂;
等を用いることができる。上記樹脂の中でも、飽和環状ポリオレフィンは、耐熱性、耐薬品性、低蛍光性、透明性および成形性に特に優れるため、光学的な分析に好適であり、担体の材料として好ましく用いられる。
以上のような高分子物質を表面に含むプラスチック材料からなる担体は、所定の形状に加工された担体の表面に高分子物質を含む液体を塗布し、乾燥することにより得られる。また、高分子物質を含む液体中に担体を浸漬し、乾燥してもよい。
なお、担体の材料をプラスチックとした場合、形状は板状には限られず、96穴や384穴に代表されるマイクロタイタープレートの形状、スライドグラスに代表される基板状のもの、またビーズ状のもの、あるいはシート状のもの等特が上げられる。
次に、担体の表面へのプライマーの固定化方法について説明する。
例えば、(i)担体上の高分子物質に含まれる複数の活性エステル基のうち、少なくとも一部の活性エステル基とプライマーとを反応させて共有結合を形成させることにより、担体表面でプライマーを固定化し、続いて(ii)プライマーを固定化した以外の担体表面の活性エステル基を不活性化する、すなわち残りの活性エステル基を不活性化することにより、プライマーを担体の表面に固定することができる。以下、それぞれの工程について説明する。
上記工程(i)において、担体形状が、基板状の場合は、鋳型RNA断片とアニールするプライマーを基板上に固定化する際には、プライマーを溶解または分散した液体を点着する方法が好ましい。高分子物質に含まれる活性エステル基の一部がプライマーと反応して、プライマーの間で共有結合が形成される。
このプライマーを溶解または分散した液体は、例えば中性からアルカリ性、例えばpHが7.6以上とすることができる。
また、点着後、担体表面に固定化されなかったプライマーを除去するため、純水や緩衝液で洗浄してもよい。
また、上記工程(ii)に示したように、洗浄後はプライマーを固定化した以外のプラスチック担体表面の活性エステルの不活性化処理をアルカリ化合物、あるいは一級アミノ基を有する化合物で行う。
アルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸ナトリウム、水酸化リチウム、リン酸カリウムなどを用いることができる。
一級アミノ基を有する化合物としては、グリシン、9−アミノアクアジン、アミノブタノール、4−アミノ酪酸、アミノカプリル酸、アミノエタノール、5−アミノ2,3−ジヒドロー1,4−ペンタノール、アミノエタンチオール塩酸塩、アミノエタンチオール硫酸、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、リン酸二水素2−アミノエチル、硫酸水素アミノエチル、4−(2−アミノエチル)モルホリン、5-アミノフルオレセイン、6−アミノヘキサン酸、アミノヘキシルセルロース、p−アミノ馬尿酸、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、5−アミノイソフタル酸、アミノメタン、アミノフェノール、2−アミノオクタン、2−アミノオクタン酸、1−アミノ2−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、3−アミノプロペン、3−アミノプロピオニトリル、アミノピリジン、11−アミノウンデカン酸、アミノサリチル酸、アミノキノリン、4−アミノフタロニトリル、3−アミノフタルイミド、p−アミノプロピオフェノン、アミノフェニル酢酸、アミノナフタレンなどを用いることができる。これらのうち、アミノエタノール、グリシンを用いることが好ましい。
また、担体に固定化するプライマーには、活性エステル基との反応性を高めるため、アミノ基を導入しておくことが好ましい。アミノ基は活性エステル基との反応性に優れるため、アミノ基が導入されたプライマーを用いることにより、効率よくかつ強固に担体の表面上にプライマーを固定化することができる。アミノ基の導入位置はプライマーの分子鎖末端あるいは側鎖であってもよいが、分子鎖末端に導入されていることが、相補的な鋳型RNA断片とのアニーリングをより一層効率よく行うことができるという観点からは、好ましい。
以上により、担体の表面上にプライマーが固定化されたアレイが得られる。
次に、工程(b)にて、プライマー固定化担体上に、必要に応じてDNA鎖の熱変性温度まで加温された検出する、遺伝子のDNA断片またはRNA断片、およびDNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼまたは逆転写酵素、およびヌクレオチドモノマー(dATP、dCTP、dGTP、dUTP)を添加する。添加するDNA断片またはRNA断片は、添加前に予め熱変性温度まで加温しておいてもよく、この場合伸長反応の鋳型となるDNA断片またはRNA断片の熱変性をより確実に行うことができ、後述するアニール処理もより確実に行うことができる。また、これらの材料の添加順序は、特に限定されることなく、全部を一度に添加してもよく、この場合はプライマー固定化担体を含む系とは別にサンプルとして準備し、必要に応じて予め熱処理温度まで加温してから、プライマー固定化担体上に添加してもよい。
このように、担体の表面に固定化されたプライマーにアニールさせるDNA増幅用の鋳型のDNA断片またはRNA断片を含むサンプルが導入され、更にヌクレオチドモノマーとしてdATP、dCTP、dGTP、及びdUTPを含む溶液が導入される。
この導入されたサンプルの反応系としては、逆転者酵素および/またはDNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼなどのポリメラーゼ活性をもつ酵素によるDNAあるいはRNAを鋳型にした伸長反応を行う。
本発明で使用される逆転写酵素および/またはポリメラーゼ活性を有する酵素は、モロニーマウス白血球ウィルス(M−MLV)逆転写酵素、ラウス肉腫ウィルス(RSV)逆転写酵素、トリ骨髄芽球症(AMV)逆転写酵素、ラウスアンシェーテッドウィルス(RAV)逆転写酵素、骨髄芽球症アンシエーテッドウィルス(MAV)逆転写酵素、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)逆転写酵素、レトロウィルス逆転写酵素、レトロトランスポゾン逆転写酵素、B型肝炎逆転写酵素、カリフラワーモザイク逆転写酵素、バクテリア逆転写酵素、Thermus thermophilus(Tth)DNAポリメラーゼ、Thermus aquaticus(Taq)DNAポリメラーゼ、Thermotoga neopolitana(Tne)DNAポリメラーゼ、Thermotoga maritime(Tma)DNAポリメラーゼ、Thermococcus litoralis(Tli、例えばVENT(登録商標)ブランド)DNAポリメラーゼ、Pyrococcus furiosus(Pfu)DNAポリメラーゼ、Pyrococus species GBD(例えば、DEEPVENTTMブランド)DNAポリメラーゼ、Pyrococcus woosii(Pwo)DNAポリメラーゼ、Bacillus sterothermophilus(Bst)DNAポリメラーゼ、Sulfolobus acidocaldarius(Sac)DNAポリメラーゼ、Thermoplasma acidophilum(Tac)DNAポリメラーゼ、Thermus flavus(Tfl/Tub)DNAポリメラーゼ、Thermus rubber(Tru)DNAポリメラーゼ、Thermus brockianus(例えば、DYNAZYME(登録商標)ブランド)DNAポリメラーゼ、Methanobacterium thermoautotrohicum(Mth)DNAポリメラーゼ、その変異体、変形体、派生体を含むがこれに限定されるものではない。DNAポリメラーゼのクレノー断片を用いることも出来る。また、RNAポリメラーゼを用いることもできる。
さらに、鋳型となる遺伝子がRNAの場合は、RNAの分解を抑える目的で、必要に応じて、RNaseインヒビターを添加したほうがよい。
続いて、工程(b)で各材料がプライマー固定化担体上に添加された反応系の温度を、DNA鎖の熱変性温度までの加温処理をしない場合に、DNA鎖の熱変性温度(melting temperature:Tm)以上、例えば90℃〜95℃まで上昇させる。この熱変性処理により、自己相補鎖などで見られる折れたたみ構造を有するDNA断片、RNA断片やプライマーが直鎖状の一本鎖になる。なお、工程(b)で、添加する材料を予め加温処理する場合には、この加温処理は不要になる。
工程(c)では、所定温度でアニール処理して前記DNA断片または前記RNA断片、及び前記DNA伸長用プライマーをハイブリタイズする。すなわち、反応系の温度をプライマーと鋳型DNA断片とがアニールする温度(アニール温度)、例えば4℃〜65℃、好ましくは45℃〜65℃まで下降させる。このアニール処理により、DNA断片の一部と相補的な配列を有するプライマーと、このDNA断片とがハイブリタイズして二本鎖になる。
工程(d)では、DNA伸長用プライマーを伸長させてDNA鎖を形成する。ここで行われるDNAの伸長反応においては、アニール処理を行った反応系の温度を、アニール処理温度から熱変性処理温度まで徐々に上昇させるよう制御する。あるいは、アニール処理温度と熱変性処理温度との間の所定の温度に変化させる。すなわち、当該反応系の温度を、前記アニール処理温度と前記熱変性処理温度との間の所定の温度、例えば65℃〜75℃に変化させるように制御する。このように反応系の温度を制御することにより、DNA鎖の伸長反応が起こる。
また、工程(d)でのDNA鎖伸長反応後に、必要に応じて、所定温度で熱変性処理してDNA断片またはRNA断片を伸長したDNA鎖から解離させてもよい。具体的には、例えば伸長反応後の反応系を、DNA鎖の熱変性温度、例えば90℃〜95℃で維持する。この熱変性処理により、担体表面では二本鎖DNAから鋳型のDNA断片またはRNA断片が脱離して、一本鎖の伸長したDNA断片が残された状態になる。
反応温度並びに時間は特に限定されるものでなく、DNAポリメラーゼ、制限酵素などの特性、鋳型DNAまたはRNAの安定性・品質・絶対量に依存し、適宜、反応条件を設定すればよい。
続いて、工程(e)では、必要に応じて工程(b)〜(d)の液相を除去し、具体的には、例えば伸長反応後に、例えば0.1wt%のSDS溶液を用いて洗浄して、cDNAの生成反応を終了する。
ここで本実施形態では、伸長したDNA鎖に酵素が導入され、該酵素により発色試薬を発色させ、発色の度合により遺伝子のDNA断片またはRNA断片の含有状況を判定することを特徴としている。この酵素導入の方法としては、工程(b)においてDNA伸長の際ヌクレオチドモノマー(dATP、dCTP、dGTP、dUTP)を加えるが、この工程(b)において前記ヌクレオチドモノマーの何れかに発色試薬を発色させる酵素標識がなされていて、このヌクレオチドモノマーを用いることで、伸長したDNA鎖に酵素を導入することができる。しかし、酵素は蛋白質であり分子が大きくDNAの伸長反応の妨げになる可能性がある場合は、工程(b)において前記ヌクレオチドモノマーの何れかにビオチン標識をがなされていて、工程(e)での液相の除去後に発色試薬を発色させる酵素標識がなされているストレプトアビジンを含む溶液を添加することによって伸長したDNA鎖に酵素が導入されるようにしてもよい。すなわち、ビオチンを標識したヌクレオチドモノマーを添加し、DNA鎖伸長により、DNA鎖にビオチンを導入し、後の工程で酵素標識をしたストレプトアビジン溶液を添加し、ビオチン−アビジン反応により酵素を導入する方法を用いても良い。
伸長したDNA鎖に標識される、発色試薬を発色させる酵素としては、発色試薬に何を用いるかによるが、発色試薬は酸化または還元反応により発色するものが多いことから、酸化酵素または還元酵素から選ばれることが好ましい。また、従来から発色試薬用酵素として使用されるペルオキシダーゼ又はアルカリフォスファターゼを、伸長したDNA鎖に標識される酵素として用いることもでき、これらを用いることは、発色試薬の入手のしやすさを考慮すると好適である。
発色試薬としては、ウェスタンブロットなどのメンブレンの発色によく用いられるNBT/BICP発色試薬やELISAの分野での発色によく用いられるTMBZ、OPDなどを用いることができる。
発色試薬による発色の度合いは、伸展したプライマーDNA鎖に導入された酵素量、すなわち伸展されたプライマーDNA鎖の量に応じたものとなる。そこで発色した色素が伸長したDNA鎖へ付着し、色素の付着の度合いを色の濃さとして測定することができる。例えば、NBT/BICP発色試薬は、伸長したDNAや固定化しておいたプライマーDNA鎖に付着し、プライマーを点着した部分が着色する。この着色像を目視で確認し、検出対象となる遺伝子の有無を確認できる。また、この着色像を画像スキャナーやCCDカメラにより取り込み、画像処理ソフト(例えばNIHイメージなど)で発色の度合いを数値化し、検出対象となる遺伝子量を比較することが出来る。
また、発色の度合いを吸光により測定してもよく、例えば担体としてELISAに用いる96穴のマイクロタイタープレートを用いることによって、ELISAと同様にマイクロプレートリーダーにより吸光度による測定も可能である。また、近年、1μl程度の試料溶液で吸光度の測定が可能な分光吸光光度計も市販されており、担体に微細流路や微細ウェルを有するものを用いて吸光度を測定し、検出対象となる遺伝子量を比較することができる。
(実施例)
(PMBNコート基板の作製)
飽和環状ポリオレフィン樹脂(5−メチル−2ノルボルネンの開環重合体の水素添加物、MFR(Melt flow rate):21g/10分、水素添加率:実質的に100%、熱変形温度123℃)を用い、射出成形によりスライドガラス形状の基板を得た。この基板を2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン−ブチルメタクリレート−p−ニトロフェニルオキシカルボニルポリエチレングリコールメタクリレート共重合体(poly(MPC−co−BMA−co−NPMA)(PMBN)、各基は、モル%で25:74:1)の0.5重量%エタノール溶液に浸漬することにより、基板表面にホスホリルコリン基と活性エステル基とを有する高分子物質を導入して、プラスチック基板(PMBNコート基板)を得た。
(アルデヒド基板の製造)
飽和環状ポリオレフィン樹脂(5−メチル−2ノルボルネンの開環重合体の水素添加物、MFR:21g/10分、水素添加率:実質的に100%、熱変形温度温度:123℃)を用い、射出成形によりスライドグラス状の基板を得た。この成形物に低温酸素プラズマ処理により表面に親水化処理を施した。次に、アミノアルキルシランとしてγ−アミノプロピルトリエトキシシランをメタノール中に5重量%の濃度で溶解させたものをアミノ基導入処理液として調製し、この溶液の中に2時間浸漬の後、基板を溶液から取り出し、超純水中に浸漬し放置後基板を取り出し乾燥した。グルタルアルデヒドをPBS(−)中に2重量%の濃度で溶解させてグルタルアルデヒド溶液を調製し、アミノアルキルシラン処理を行なった基板をグルタルアルデヒド溶液中に浸漬し、4時間放置した後、基板を取り出して超純水中に浸漬し、洗浄乾燥した。これにより、表面にアルデヒド基を有するアルデヒド基板が得られた。
(プライマーの固定)
5’末端がアミノ基で修飾された、配列ACTCCCGGATTGCGC(配列番号1)のDNAプライマー(15塩基)、配列AAACTCCCGGATTGCGCTCC(配列番号2)のDNAプライマー(20塩基)、配列TGTAAACTCCCGGATTGCGCTCCCT(配列番号3)のDNAプライマー(25塩基)を0.25M炭酸バッファ(pH9.0)を用いて溶解し、10μMのDNAプライマー溶液を調製した。この溶液をスポッタ(日立ソフトウェアーエンジニアリング製Marks-I)を用い、100μm径クロスカットピンでPMBNコート基板、およびアルデヒド基板の表面上に、それぞれスポットした。オリゴDNAをスポットした各基板を、200μlの0.25Mリン酸バッファ(pH8.5)で内部を湿らせた密閉容器(10cm×15cm×3cm)中で一昼夜浸して、プライマーを固定化させた。その後、各々の基板について、ブロッキング処理を施した。
(プライマーDNAの伸長反応)
鋳型DNA断片として、AAGGCGGGAGGGAGCGCAATCCGGGAGTTTACAAATGGACAAACTTCTAT(配列番号4)の50塩基の鋳型DNA断片の濃度が100pMとなるように溶液を調製した。Taqポリメラーゼ、ビオチン標識dUTP、dATP、dCTP、dGTPを上記鋳型DNA溶液に添加し、DNA伸長用反応溶液を調製した。この溶液を上記プライマーを固定化した各々の基板表面に供給し、DNAマイクロアレイ用ハイブリダイゼーション用チャンバーにより密閉状態とした。続いて95℃5分で熱変性処理し、更に、アニール処理、熱変性処理を50℃3分(アニール)−95℃1分(熱変性)としたヒートサイクルを15回行うことによりDNAプライマーの伸長反応をおこなった。
(発色反応)
上記伸長反応の後、DNA伸長用反応液の除去および洗浄を行い、ストレプトアビジンを標識したアルカリフォスファターゼ溶液を基板表面に供給し、37℃で30分放置後、アルカリフォスファターゼ溶液を除去後、基板の洗浄を行い、続いてNBT/BICP溶液を供給し、37℃で30分放置後、基板を洗浄した。アルデヒド基板ではプライマーの点着部分の着色は肉眼では殆ど観察できないが、PMBN基板では明確に点着部分への着色が観察できた。
基板のプライマー点着部分の着色像をCCDカメラにより取り込み、取り込んだデジタルデータを画像処理ソフト(NIHイメージ)により処理し、着色度合いを数値化した。結果を表1に示す。
(表1)
所定の高分子物質で表面処理したPMBN基板では、基板上でDNA鎖が伸長し検出された一方で、この高分子物質による表面処理がなされていないアルデヒド基板ではDNA鎖伸長は殆ど起こらず、検出できなかった。

Claims (15)

  1. ホスホリルコリン基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を表面に有する不溶性担体を用いて
    (a)前記担体表面にDNA伸長用のプライマーを固定化させてプライマー固定化担体を作製する工程
    (b)前記プライマー固定化担体上に、必要に応じてDNA鎖の熱変性温度まで加温された、検出する遺伝子のDNA断片またはRNA断片、およびDNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼまたは逆転写酵素、およびヌクレオチドモノマー(dATP、dCTP、dGTP、dUTP)を添加する工程
    (c)所定温度でアニール処理して前記DNA断片または前記RNA断片、及び前記DNA伸長用プライマーをハイブリタイズする工程
    (d)前記DNA伸長用プライマーを伸長させてDNA鎖を形成する工程、および
    (e)必要に応じて工程(b)〜(d)の液相を除去する工程
    を含み、
    前記伸長したDNA鎖に酵素が導入され、該酵素により発色試薬を発色させ、発色の度合により遺伝子のDNA断片またはRNA断片の含有状況を判定することを特徴とする遺伝子の検出方法。
  2. 前記工程(b)において、DNA鎖の熱変性温度まで加温処理しない場合に、前記工程(c)の前に、前記工程(b)にて導入された各材料を含む反応系の温度を、DNA鎖の熱変性温度まで上昇させる工程を含む請求項1記載の遺伝子の検出方法。
  3. 前記工程(b)において、前記検出する遺伝子のDNA断片またはRNA断片を、DNA鎖の熱変性温度まで加温してから、前記プライマー固定化担体上に添加する請求項1記載の遺伝子の検出方法。
  4. 前記工程(b)において、前記検出する遺伝子のDNA断片またはRNA断片、およびDNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼまたは逆転写酵素、および前記ヌクレオチドモノマーを、DNA鎖の熱変性温度まで加温してから、前記プライマー固定化担体上に添加する請求項1記載の遺伝子の検出方法。
  5. 工程(b)において前記ヌクレオチドモノマーの何れかに発色試薬を発色させる酵素標識がなされていて、伸長したDNA鎖に酵素が導入されるものである請求項1記載の遺伝子の検出方法。
  6. 工程(b)において前記ヌクレオチドモノマーの何れかにビオチン標識がなされていて、工程(e)の後に発色試薬を発色させる酵素標識がなされているストレプトアビジンを含む溶液を添加することによって伸長したDNA鎖に酵素が導入されるものである請求項1記載の遺伝子の検出方法。
  7. 伸長したDNA鎖に標識される酵素が酸化酵素又は還元酵素である請求項1〜6いずれか記載の遺伝子の検出方法。
  8. 伸長したDNA鎖に標識される酵素がペルオキシダーゼ又はアルカリフォスファターゼである請求項1〜6いずれか記載の遺伝子の検出方法。
  9. 工程(d)において、アニール処理温度と熱変性処理温度との間の所定の温度に変化させて行われるものである請求項1〜8いずれか記載の遺伝子の検出方法。
  10. 工程(a)において前記プライマーが、前記担体表面のカルボン酸誘導基の部位と共有結合して、前記担体の表面に固定化されるものである請求項1〜9いずれか記載の遺伝子の検出方法。
  11. 前記高分子物質が更にブチルメタクリレート基を含む第三単位を有するものである請求項1〜10いずれか記載の遺伝子の検出方法。
  12. 前記担体は、前記高分子物質に加えて、ホスホリルコリン基を含む第一単位と、ブチルメタクリレート基を含む第三単位とを有する第二の高分子物質を含むものである請求項1〜11いずれか記載の遺伝子の検出方法。
  13. 前記担体がプラスチック材料からなるものである請求項1〜12いずれか記載の遺伝子の検出方法。
  14. 発色した色素が伸長したDNA鎖へ付着し、色素の付着の度合いを色の濃さとして測定することを特徴とする請求項1〜13いずれか記載の遺伝子の検出方法。
  15. 発色の度合いを吸光により測定することを特徴とする請求項1〜13いずれか記載の遺伝子の検出方法。
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