JP2002191369A - Dnaを固定化した基体を用いてpcrのサーマルサイクルを行う方法 - Google Patents

Dnaを固定化した基体を用いてpcrのサーマルサイクルを行う方法

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JP2002191369A
JP2002191369A JP2000399573A JP2000399573A JP2002191369A JP 2002191369 A JP2002191369 A JP 2002191369A JP 2000399573 A JP2000399573 A JP 2000399573A JP 2000399573 A JP2000399573 A JP 2000399573A JP 2002191369 A JP2002191369 A JP 2002191369A
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substrate
pcr
thermal cycle
dna
immobilized
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JP2000399573A
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Inventor
Michifumi Nika
通文 丹花
Hiroshi Okamura
浩 岡村
Kojiro Takahashi
浩二郎 高橋
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Toyo Kohan Co Ltd
Original Assignee
Toyo Kohan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固定化されたDNAをそのままPCRの鋳型
として増幅することができる方法を提供すること。 【解決手段】DNAを固定化した基体を用いてPCRの
サーマルサイクルを行う。また、この方法において、P
CRのサーマルサイクルの初期においてDNAを固定化
した基体を取り出した後、引き続きPCRのサーマルサ
イクルを繰り返す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療分野、生化
学、分子生物学や遺伝子工学等の研究分野において有用
な、DNAを固定化した基体をそのまま用いてPCRを
行う方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】PCR(Polymerase chain reaction)
は、特定のDNAについて、プライマーとDNAポリメ
ラーゼとを用いて反応温度および時間を調節したサーマ
ルサイクルにより増幅する方法であり、医療分野、生化
学、分子生物学や遺伝子工学等の研究分野において多用
されている。ところで、DNAを長期間安定に保存すべ
く、DNAをダイヤモンド等の基体の基板表面に固定化
する技術が開発されている。この技術は、例えば、特定
の疾病の原因となるDNA基体等を対象とすれば、疾病
の検出に応用することが可能である。従来、このような
固定化されたDNAをPCRの鋳型として増幅しようと
する場合、基体からDNAをいったんはずす必要があ
り、操作が煩雑で迅速な処理ができなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の問題を解決し、固定化されたDNAをそのままP
CRの鋳型として増幅することができる方法を提供する
ことを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく検討した結果、通常のPCR反応液を用い
ても、DNAを固定化した基体を取り出せば、基体上の
DNAの消耗を防ぐことができること、取り出した固定
化DNA基体は、その後何度もPCRのサーマルサイク
ルに使用できることを見出した。また、基体上に固定さ
れている微量発現遺伝子の場合において、DNA固定化
基体を一度目のPCRサーマルサイクルの1〜5サイク
ル目で取り出した後のPCRで、目的の増幅産物が得ら
れなかった時でも、その増幅産物を用いて再度PCR
(ネスティッドPCR)を行うことにより、目的の増幅
産物が得られることもあることを見出した。本発明は、
このような知見により完成されたものである。
【0005】請求項1記載の本発明は、DNAを固定化
した基体を用いてPCRのサーマルサイクルを行う方法
を提供するものである。請求項2記載の本発明は、PC
Rのサーマルサイクルの初期においてDNAを固定化し
た基体を取り出した後、引き続きPCRのサーマルサイ
クルを繰り返すことを特徴とする、請求項1記載のPC
Rのサーマルサイクルを行う方法を提供するものであ
る。請求項3記載の本発明の方法は、一度目のPCRの
サーマルサイクルの初期において基体を取り出した後、
引き続きPCRのサーマルサイクルを繰り返し、さらに
一度目のPCRのサーマルサイクルで得られるPCR産
物を鋳型として、二度目のPCRのサーマルサイクルを
行うことを特徴とする、請求項1記載のPCRのサーマ
ルサイクルを行う方法を提供するものである。請求項4
記載の本発明の方法は、DNAを固定化した基体を取り
出すのが、一度目のPCRのサーマルサイクルの1〜5
サイクル目である、請求項2又は3に記載のPCRのサ
ーマルサイクル方法を行う提供するものである。請求項
5記載の本発明の方法は、基体表面に固定化したDNA
が、基体表面にリンカーとしてオリゴdTプライマーを
結合し、次いでmRNAを鋳型とする逆転写反応により
固定化されたcDNAである、請求項1〜4のいずれか
に記載のPCRのサーマルサイクルを行う方法を提供す
るものである。請求項6記載の本発明の方法は、基体表
面にリンカーとしてのオリゴdTプライマーを結合する
にあたり、基体表面のカルボキシル基を活性エステル化
後に該活性化エステル基とオリゴdTプライマーとをア
ミド結合させて得られる、請求項5記載のPCRのサー
マルサイクルを行う方法を提供するものである。請求項
7記載の本発明は、基体表面に固定化したDNAが、2
本鎖DNAである、請求項1〜4のいずれかに記載のP
CRのサーマルサイクルを行う方法を提供するものであ
る。請求項8記載の本発明は、基体表面に2本鎖DNA
を固定化するにあたり、基体表面のカルボキシル基を活
性エステル化後に該活性化エステル基と2本鎖DNAと
をアミド結合させて得られる、請求項7記載のPCRの
サーマルサイクルを行う方法を提供するものである。請
求項9記載の本発明は、基体表面に2本鎖DNAを固定
するにあたり、まず基体表面に、制限酵素切断部位を有
する2本鎖オリゴヌクレオチドを結合後、対応する制限
酵素切断部位を有する2本鎖DNAをライゲーションす
ることにより固定化された2本鎖DNAである、請求項
7に記載のPCRのサーマルサイクルを行う方法を提供
するものである。請求項10記載の本発明は、基体表面
に制限酵素切断部位を有する2本鎖DNAを結合するに
あたり、基体表面のカルボキシル基を活性エステル化後
に該活性化エステル基と制限酵素切断部位を有する2本
鎖DNAの該切断部位の反対側の末端とをアミド結合さ
せて得られる、請求項9記載のPCRのサーマルサイク
ルを行う方法を提供するものである。請求項11記載の
本発明は、基体表面に制限酵素切断部位を有する2本鎖
DNAを結合するにあたり、基体表面のカルボキシル基
を活性エステル化後に1本鎖オリゴヌクレオチドを固定
した後、固定したオリゴヌクレオチドと相補的なオリゴ
ヌクレオチドをハイブリダイズさせて制限酵素切断部位
を形成する、請求項9又は10記載のPCRのサーマル
サイクルを行う方法を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の方法は、DNAを固定化
した基体をそのまま、すなわち、基体に固定された状態
のDNAをそのままPCRに供するものである。基体と
しては、ダイヤモンド、シリコンの他に、金、銀、銅、
アルミニウム、タングステン、モリブデン等の金属;上
記金属とセラミックスとの積層体;ポリカーボネート、
フッ素樹脂等のプラスチック等が挙げられる。その他の
材料でも、化学的に安定な材料であれば使用でき、例え
ば、グラファイト、ダイヤモンドライクカーボンが挙げ
られる。また、プラスチックと上記金属、セラミック
ス、ダイヤモンド等との混合体でもよい。
【0007】これらのうち、熱伝導性の点からダイヤモ
ンドが好ましい。ダイヤモンドは熱伝導性に優れてお
り、急速な昇温・冷却が可能であるため、PCR等の加
熱冷却を繰り返すヒートサイクル時間を効果的に短縮で
きる。本発明の基体の熱伝導率は、0.1W/cm・K
以上、好ましくは0.5W/cm・K以上、特に好まし
くは1.0W/cm・K以上であることが好ましい。
1.0W/cm・K以上とすることにより、DNAを本
発明の基体の化学修飾部分に固定化させてPCR等を行
う場合、昇温・冷却の追随性に優れているからである。
【0008】ダイヤモンド基体の素材として、合成ダイ
ヤモンド、高圧形成ダイヤモンド、或いは天然のダイヤ
モンド等のいずれも使用できる。また、それらの構造が
単結晶体或いは多結晶体のいずれでも差し支えない。生
産性の観点よりマイクロ波プラズマCVD法などの気相
合成法を用いて製造されたダイヤモンドを用いることが
好ましい。
【0009】基体の形成方法は公知の方法で行うことが
できる。例えば、マイクロ波プラズマCVD法、ECR
CVD法、IPC法、直流スパッタリング法、ECRス
パッタリング法、イオンプレーティング法、アークイオ
ンプレーティング法、EB蒸着法、抵抗加熱蒸着法など
が挙げられる。また、金属粉末やセラミック粉末等に樹
脂をバインダーとして混合して結合形成したものが挙げ
られる。また、金属粉末やセラミック粉末等の原料をプ
レス成形機を用いて圧粉したものを高温で焼結したもの
もあげられる。
【0010】基体の表面は意図的に粗面化されているこ
とが望ましい。このような粗面化表面は基体の表面積が
増えて多量のDNA等を固定させることに好都合である
からである。基体の形状は平板状、糸状、球状、多角形
状、粉末状など特に問わない。また、その大きさも特に
問わない。さらに、このダイヤモンド基体は、ダイヤモ
ンドと他の物質との複合体(例えば、2相体)であって
もよい。
【0011】基体の表面は、化学修飾されていることが
望ましい。すなわち、DNAを結合可能とすべく、末端
に極性基、例えば、水酸基、カルボキシル基、エポキシ
基、アミノ基等を有する炭化水素基で固体支持体表面が
覆われている。中でも、カルボキシル基で表面が覆われ
ていることが望ましい(図1参照)。
【0012】続いて、上述の基体表面にDNAを固定化
する。固定の対象となるDNAは、2本鎖DNAに限定
されず、1本鎖でもよい。
【0013】[1.1本鎖DNAの場合]ここで、基体の
表面に固定化したいDNAが、cDNA等1本鎖のDN
Aの場合には、基体表面にリンカーとしてオリゴヌクレ
オチドプライマーを結合し(図2参照)、次いでmRNA
を鋳型とする逆転写反応により固定化することができる
(図3参照)。
【0014】まず、基体表面にオリゴヌクレオチドプラ
イマーを結合するには、基体表面のカルボキシル基を活
性エステル化後に該活性化エステル基とオリゴヌクレオ
チドプライマーとをアミド結合させることができる。す
なわち、基体表面を塩素化、アミノ化した状態(カルボ
キシル化しない)とし、形成された第1級アミノ基にカ
ルボジイミド、N−ヒドロキシスクシンイミド、p−ニ
トロフェノールといったエステル基を有する活性化ジエ
ステルの一方のエステル基を脱水縮合させることにより
形成することができる。そうして形成するカルボキシル
化基体を適宜洗浄後、ハイドロゲンシアナミドとN−ヒ
ドロキシスクシンイミドを溶解した1,4−ジオキサン
溶液に浸漬して反応後、洗浄することにより活性エステ
ル化された基体を得ることができる。
【0015】その他、固定前に、化学修飾の炭化水素基
末端をカルボジイミド、N−ヒドロキシスクシンイミ
ド、あるいは、p−ニトロフェノール等の脱水縮合剤で
活性化しておくと、固定が容易となるので望ましい。
【0016】オリゴヌクレオチドプライマーとしては、
通常の逆転写反応に使われるオリゴdTプライマー等を
用いることができる。具体的には、本発明の実施例で用
いるオリゴ(dA)(dT)17(配列表の配列番号
1参照)が挙げられる。
【0017】このようにして得られた活性エステル基
に、オリゴヌクレオチドプライマーをアミド結合する。
オリゴヌクレオチドのうち、5’末端のアデノシン
(A)かシチジン(C)の第1級アミノ基とアミド結合
することが好ましい。例えば、オリゴ(dA)(d
T)17水溶液に、活性エステル化処理を施した基体を
浸漬、撹拌し反応させた後、洗浄することによりアミド
結合によってオリゴ(dA)(dT)17(配列表の
配列番号1)を基体表面に固定化することができる。
【0018】次いで、mRNAを鋳型とする逆転写反応
を行う。逆転写反応の手順は、図3に示すようにして行
うことができる。基本的には常法に従って行い、市販の
キットを用いると簡便である。例えば、上述のオリゴヌ
クレオチドプライマーが固定された基体、PCR緩衝
液、MgCl、RNaseインヒビター、dNTP、
目的とするmRNAを含む全RNA、逆転写酵素を含む
反応液を用意し、所定の温度および時間を設定して行う
ことができる。こうして、固定化されたオリゴヌクレオ
チドプライマーの3’末端側にcDNAが形成される。
この逆転写反応では、オリゴヌクレオチドプライマーが
予め基体表面に固定されているので、得られるcDNA
は、該プライマーを解して基体表面に固定されることと
なる。この方法を採れば、所望のcDNAライブラリー
を得ると同時に、基体の表面にcDNAライブラリーが
簡便かつ迅速に固定可能である。
【0019】本発明の方法において、基体にcDNAラ
イブラリーを固定した場合には、以下のようにしてPC
Rのサーマルサイクルを行うことができる。ここで、本
発明においては、基体の長寿命化の観点から、PCRの
サーマルサイクル初期で基体を取り出すことが望まし
い。基体を長くPCR反応液に浸漬した状態としておく
と反応液中で析出してくるピロリン酸マグネシウムのた
め破損するためである。このように取り出しておけば、
基体を何度もPCRのサーマルサイクルに使用すること
ができる。ここで、PCRサーマルサイクル初期とは、
好ましくは1〜5サイクル終了時、より好ましくは2〜
4サイクル終了時とする。
【0020】基体を取り出した後、引き続きサーマルサ
イクルを繰り返してPCR産物を得る。すなわち、基体
を取り出す前に増幅したPCR産物を鋳型としてさらに
PCR産物を得ることになる(以下、第1回目のPCR
という。)。なお、PCRのサーマルサイクルの反応条
件については、市販キットを用いた常法に従って行うこ
とができる。
【0021】ここでもし、目的とする反応物がごく微量
で電気泳動後の蛍光色素での染色バンドが得られない場
合には、第1回目のPCRで得られたPCR産物を鋳型
として、再度のPCRのサーマルサイクル(ネスティッ
ドPCR)を行う。反応条件等については、第1回目の
PCRにおいて、基体を取り出した後の条件と同様とす
ることができる。目的の増幅産物が得られたか否かは、
電気泳動後の蛍光色素染色等により確認することができ
る(図4参照)。図4において、レーン1、5、9、1
1、15は分子量マーカー(500bp)を示し、レー
ン2はリボゾーマル18S(初期)、レーン3はチトク
ロムP450(初期)、レーン4はHGFレセブター
(初期)、レーン6はリボゾーマル18S(1回目終了
時)、レーン7はチトクロムP450(1回目終了
時)、レーン8はHGFレセプター(1回目終了時)、
レーン10はHGFレセブター(2回目終了時)、レー
ン12は18Sレセブター(PCRlO回目終了時)、
レーン13は18Sレセプター(PCR20回目終了
時)、レーン14はHGFレセプターのプライマー(P
CR20回目まで)及び18Sレセプター(PCR20
回目から)の増幅結果を示す。
【0022】[2.2本鎖DNAの場合]一方、本発明の
方法は、基体の表面に固定化したいDNAが2本鎖のD
NAであっても適用可能であり、以下のようにして行う
ことができる。この場合まず、基体表面に2本鎖DNA
を固定化するにあたり、基体表面のカルボキシル基を活
性エステル化後に該活性化エステル基と2本鎖オリゴヌ
クレオチドのうち片方の鎖とをアミド結合させる。活性
エステル化については、先述の1本鎖DNAの場合と同
様である。
【0023】このような基体表面に形成された活性エス
テル基に、2本鎖DNAを結合させ、固定する。ここ
で、基体表面に2本鎖DNAを固定するにあたり、直接
2本鎖DNAをアミド結合させることができるが、制限
酵素切断部位を利用して、すなわち制限酵素切断部位を
有する2本鎖オリゴヌクレオチドを結合後、対応する制
限酵素切断部位を有する2本鎖DNAをライゲーション
することにより固定化することができる。この方法によ
れば、まず、基体表面の活性化エステル基と制限酵素切
断部位を有する2本鎖DNAの該切断部位の反対側の末
端とをアミド結合させることになる。
【0024】基体表面に制限酵素切断部位を有する2本
鎖DNAを結合するには、基体表面のカルボキシル基を
活性エステル化後に1本鎖オリゴヌクレオチドを固定し
た後、固定したオリゴヌクレオチドと相補的なオリゴヌ
クレオチドをハイブリダイズさせて制限酵素切断部位を
形成することができる。なお、ここで制限酵素切断部位
とは、核酸の中で、制限酵素により特異的に切断を受け
た後の配列を意味する。
【0025】基体表面に制限酵素切断部位を形成する方
法の例を図5に示す。まず、基体表面を活性エステル化
した後に活性エステル基に、1本鎖のオリゴヌクレオチ
ド(図5中のA)をアミド結合させる。オリゴヌクレオ
チドの配列は任意であるが、固定される方(図5中の
A)の3’末端と、固定されないオリゴヌクレオチド
(図5ではB)の5’末端については、それらのハイブ
リダイズにより得られる二本鎖オリゴヌクレオチドが、
制限酵素切断部位を有するように設計する必要がある。
また、化学修飾した基体とのアミド結合の容易性と立体
構造とを考慮して、固定側にAかCの第1級アミンを有
するヌクレオチドを、固定側(5’末端)に1〜5塩基
持つことが望ましい。さらに、次のハイブリダイズにお
けるずれを抑制すべく、AかCに続く約10塩基がチミ
ジン(T)またはグアノシン(G)であることが好まし
い。この結合は、1本鎖DNAの場合と同様に、活性化
処理を施した基体と結合させたいオリゴヌクレオチドと
をエタノール等に浸漬し、攪拌、洗浄することにより行
うことができる。
【0026】その後、結合したオリゴヌクレオチドに、
これと相補的であり、かつ制限酵素切断部位を形成する
ようなオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせる。ハ
イブリダイゼーションは、常法によることができる。例
えば、基体に結合させたオリゴヌクレオチドと、ハイブ
リダイズさせたいオリゴヌクレオチドの水溶液を混合し
て室温あるいはそれ以下で行うことができる。こうし
て、制限酵素切断部位が形成される。
【0027】次に、目的とする2本鎖DNAを固定する
こととなるが、まず、該DNAに目的とする制限酵素切
断部位を設けることとなる。そのような制限酵素切断部
位を有するDNAは、対応する制限酵素により目的とす
るDNAを断片化し、電気泳動を行って分離精製でき
る。制限酵素による断片化は、用いる制限酵素類に応じ
た条件で行う。電気泳動後、100bp〜50kbp程
度のDNAを切り出して、遠心分離、エタノール沈殿等
の手段により精製する。また、末端にAやCといった第
1級アミンを持つ塩基を有するプライマーを用いて行っ
たPCRのサーマルサイクルで得たDNA断片を、活性
化した基板に直接固定化することもできる。なお、制限
酵素切断部位を有する2本鎖DNAが平滑末端の場合に
も、後から別の制限酵素切断部位を付加することにより
同様の効果を得ることもできる。
【0028】こうして精製した制限酵素切断部位を有す
る2本鎖DNAを、制限酵素切断部位を形成した基体に
ライゲーションによって固定化することとなる。ライゲ
ーションは、市販のライゲーションキットを用いて行う
と簡便である。条件は、キットを用いる場合、それに応
じた条件とすることができる。
【0029】本発明の方法は、基体表面に固定された2
本鎖DNAをそのまま用いてPCRのサーマルサイクル
を行う。PCRは、1本鎖DNAの場合と同様、市販の
キットを用いることができ、その条件に応じて反応液、
サーマルサイクルの温度、時間幅等を調節することがで
きる。また、基体の長寿命化の観点から、PCRのサー
マルサイクル初期で基体を取り出すことが望ましい。基
体を長くPCR反応液に浸漬した状態としておくと、反
応液中に析出するピロリン酸マグネシウムのため破損す
るためである。このように取り出しておけば、基体を何
度もPCRに使用することができる。ここで、PCRサ
ーマルサイクル初期とは、好ましくは1〜5サイクル終
了時、より好ましくは2〜4サイクル終了時とする。
【0030】基体を取り出した後、引き続きサーマルサ
イクルを繰り返してPCR産物を得る。すなわち、基体
を取り出す前に増幅したPCR産物を鋳型としてさらに
大量のPCR産物を得ることになる(以下、第1回目の
PCRという。)。なお、PCRの反応条件について
は、市販キットを用いた常法に従って行うことができ
る。
【0031】ここでもし、目的とする反応物がごく微量
で、電気泳動後の蛍光色素での染色バンドが得られない
場合には、第1回目のPCRで得られたPCR産物を鋳
型として、再度のPCR(ネスティッドPCR)を行う
(以下、第2回目のPCRという)。反応条件等につい
ては、第1回目のPCRにおいて、基体を取り出した後
の条件と同様とすることができる。目的の増幅産物が得
られたか否かは、電気泳動後の蛍光色素染色等により確
認することができる(図6参照)。
【0032】
【実施例】実施例1(ダイヤモンドに固定したcDNA
ライブラリーでのPCRのサーマルサイクルI) ラット肝臓より抽出精製した全RNA中のmRNAを鋳
型として合成されるcDNAを固定化し、この固定化c
DNAライブラリー中のβ−アクチンあるいはグリセル
アルデヒド−3リン酸脱水素酵素に対応するmRNAに
対するPCRのサーマルサイクルを行った。
【0033】1.ダイヤモンド表面へのオリゴヌクレオ
チドの固定化 (1)カルボキシル化されたダイヤモンド基体の洗浄 表面がカルボキシル基で覆われた3mm角のカルボキシ
ル化ダイヤモンド基体(図1参照)を、ピンセットで2
00mLエッペンドルフチューブに移し、エタノール1
00μLを注入して、室温で5分間超音波洗浄した。
【0034】(2)活性エステル化(図2の第1段目参
照) 1.5mL反応チューブに、ハイドロゲンシアナミド
2.5mgとN−ヒドロキシスクシンイミド1.5mg
を採り、1mLの1,4−ジオキサンで溶解する。この
溶液100μLをエッペンドルフチューブに採り、エタ
ノール洗浄ダイヤモンド基体を浸漬し、室温で5分間超
音波を照射した後、時折ボルテックスミキサーで攪拌を
加えつつ15分間放置した。
【0035】(3)洗浄 等量の滅菌水を徐々に加え、5分間攪拌し、その後滅菌
水により2回洗浄する。
【0036】(4)オリゴヌクレオチドのアミド結合に
よる固定化(図2の第2段目参照) 1nmol/mLのオリゴ(dA)(dT)17(配
列表の配列番号1参照)水溶液100μLをエッペンド
ルフチューブに採り、活性エステル化処理を施したダイ
ヤモンド基体を浸漬し、時折ボルテックスチューブで攪
拌を加えつつ、室温で60分間放置した。
【0037】(5)洗浄 エッペンドルフチューブ内でボルテックス攪拌しつつ、
100μLの滅菌水で2回洗浄した。
【0038】2.ダイヤモンド基体表面に固定化された
オリゴ(dA)(dT)17をプライマーとし、mR
NAを鋳型とする逆転写反応によるダイヤモンド表面へ
のcDNAライブラリーの固定化(図3参照)
【0039】(1)まず、以下の組成からなる逆転写反
応液を、200μLエッペンドルフチューブ内に調製し
た。
【0040】 ・逆転写反応液の組成 MgCl 10 μL 10×RNA PCR Buffer 5 μL RNase Free dH2O 20 μL dNTP Mixture 7.5 μL RNase inhibitor 1.25μL Rat Liver total RNA(1.364μg/μL) 2.5 μL 逆転写酵素 3.75μL オリゴdT固定化ダイヤモンド基体 − 合計 50 μL
【0041】(2)反応液をボルテックスミキサーで軽
く撹拌後、PCRシステムにセットし、以下のプログラ
ムで逆転写反応を行った。
【0042】・逆転写反応のプログラム(以下の1)〜
3)を1サイクル) 1)42℃×60min 2)99℃×5min 3) 5℃×5min
【0043】3.第1回目のPCR ダイヤモンド表面に固定化されたcDNAライブラリー
について、PCRのサーマルサイクルIを行った。
【0044】(1)まず、以下の組成からなるPCR反
応液を用意し、ボルテックスミキサーで軽く撹拌後、P
CRシステムにセットした。
【0045】 ・PCR反応液の組成 25mM MgCl Soln. 4 μL 10×PCR Buffer 5 μL 蒸留水 35.5 μL dGTP 1 μL dATP 1 μL dTTP 1 μL dCTP 1 μL 上流プライマー 0.5 μL 下流プライマー 0.5 μL AmpliTaq(商標)DNA Polymerase 0.5 μL 合計 50 μL
【0046】(2)初期PCRプログラムを以下のプロ
グラムで実行した。
【0047】・初期PCRのサーマルサイクル(以下の
2)〜4)につき4サイクル繰り返し) 1)94℃×120seq 2)94℃× 30seq 3)56℃× 30seq 4)68℃× 90seq 5)72℃× 420seq
【0048】(3)このプログラムを実行した時点で、
ダイヤモンド基体上のDNAの長寿命化のために、ダイ
ヤモンドDNA基体をピンセットで取り出し100μL
の70% エタノール水溶液を充填したエッペンドルフ
チューブに保管した。初期PCRプログラム終了時の増
幅産物の電気泳動図を図4の左から2番目のレーンに示
す。なお、図4の左から1,5,9,12,15番目の
レーンは、100bpラダーマーカーを示す。
【0049】(4)残りの反応液につき、引き続き以下
に示すPCRプログラムを実行した。
【0050】・PCRのサーマルサイクル(以下の2)
〜4)につき25サイクル繰り返し) 1)94℃×120seq 2)94℃× 30seq 3)56℃× 30seq 4)68℃× 90seq 5)72℃×420seq
【0051】(5)得られた反応液の一部(2〜5μ
L)につきアガロースゲル電気泳動を行い、エチジウム
ブロミドで染色し、反応物を蛍光色素(エチジウムブロ
マイド)で確認した。得られた増幅産物の電気泳動図を
図4の左から6番目のレーンに示す。また、10サイク
ル目、20サイクル目の結果をそれぞれ図4の左から1
0番目、11番目のレーンに示す。
【0052】実施例2(ダイヤモンドに固定したcDN
AライブラリーでのPCRのサーマルサイクルII) 実施例1におけるβ−アクチンをコードするmRNAの
代わりに、チトクロムP450(cyp450)をコー
ドするmRNAに対するプライマー(配列表の配列番号
2および3参照)を用いてPCRのサーマルサイクルを
行った。初期PCRプログラム終了時の増幅産物及び、
最終的なPCR終了時の増幅産物の電気泳動図を、それ
ぞれ、図4の左から3番目、7番目のレーンに示す。
【0053】実施例3(ダイヤモンドに固定したcDN
AライブラリーのPCRのサーマルサイクルIII) 実施例1におけるβ−アクチンのmRNAに対するプラ
イマーの代わりに、肝細胞増殖因子(HGF)をコード
するmRNAに対するプライマー(配列表の配列番号4
および5参照)を用いてPCRを行った。第1回目のP
CRにおける初期PCRプログラム終了時の増幅産物及
び、最終的なPCR終了時の増幅産物の電気泳動図を、
それぞれ、図4の左から4番目、8番目のレーンに示
す。
【0054】しかし、図からも明らかなとおり、第1回
目のPCRで目的とする反応物に対応した蛍光色素バン
ドが得られなかったので、第1回目のPCR反応液を鋳
型として第2回目のPCRを行った。まず、下記に示す
PCR反応液を、エッペンドルフチューブ内で調節し
た。
【0055】 ・PCR反応液の組成 25mM MgCl Soln. 4 μL 10×PCR Buffer 5 μL 蒸留水 33.25μL dGTP 0.5 μL dATP 0.5 μL dTTP 0.5 μL dCTP 0.5 μL 上流プライマー(配列表の配列番号6) 0.25μL 下流プライマー(配列表の配列番号7) 0.25μL AmpliTaq(商標)DNA Polymerase 0.25μL 第1回目PCR反応液 5 μL 合計 50 μL
【0056】この反応液について、第1回目のPCRサ
ーマルサイクルと同様のサイクルを25回繰り返して、
対応したPCR産物を得た。結果を図4の左から13番
目のレーンに示す。第1回目のPCRと第2回目のPC
Rとで結果を比較すると明らかなとおり、第1回目のP
CR産物を得られないような微量の場合でも、第1回目
の反応液を鋳型として第2回目のPCRを行うことによ
り、目的の産物を得られることが明らかである。
【0057】実施例4(2本鎖DNAの制限酵素切断部
位を用いた固定化とPCRのサーマルサイクルIV) λファージDNAを制限酵素EcoRIで切断して得ら
れる21kbpのDNAフラグメントをダイヤモンド基
体表面に固定化し、これを用いてPCRのサーマルサイ
クルを行った。概略を図5に示す。
【0058】1.ダイヤモンド基体の活性化およびEc
oRIサイトの形成 (1)カルボキシル化基体の洗浄 3mm角のカルボキシル化ダイヤモンド基体を、ピンセ
ットでエッペンドルフチューブに移し、エタノール10
0μLを注入し、室温で5分間超音波洗浄した。
【0059】(2)活性エステル化 1.5mL 反応チューブにハイドロゲンシアナミド
2.5mgとN−ヒドロキシスクシンイミド1.5mg
を採り、1mLの1,4−ジオキサンで溶解した。この
溶液100μLをエッペンドルフチューブに採り、エタ
ノール洗浄ダイヤモンド基体を浸漬し、室温で5分間超
音波洗浄をした後、時折ボルテックスミキサーで攪拌を
加えつつ15分間放置した。
【0060】(3)洗浄 等量の滅菌水を徐々に加え、5分間攪拌し、その後滅菌
水により2回洗浄した。
【0061】(4)オリゴヌクレオチドの固定化 1nmol/mLのオリゴヌクレオチドA(配列表の配
列番号8参照)の水溶液を、100μLエッペンドルフ
チューブに採り、活性化処理を施したダイヤモンド基体
を浸漬し、時折ボルテックスチューブで攪拌を加えつ
つ、室温で60分間放置した。
【0062】(5)洗浄 エッペンドルフチューブ内でボルテックス攪拌しつつ、
100μLの滅菌水により2回洗浄した。
【0063】(6)ハイブリダイゼーション 1nmol/mLのオリゴヌクレオチドB(配列表の配
列番号9参照)の水溶液を、100μLエッペンドルフ
チューブに採り、オリゴヌクレオチドAを固定化したダ
イヤモンド基体を浸漬した。時折ボルテックスチューブ
で攪拌を加えつつ、室温で60分間放置した。
【0064】(7)洗浄 エッペンドルフチューブ内でボルテックス攪拌しつつ、
100μLの滅菌水により2回洗浄した。こうして、E
coRIサイトが形成された。
【0065】2.21kbpのλDNAフラグメントの
精製 続いて、EcoRIによりλDNAを断片化した後、電
気泳動を行って21kbpフラグメントを分離精製し
た。
【0066】(1)21kbpのλDNAフラグメント
の精製のプロトコル まず、200μL エッペンドルフチューブに以下の組
成で溶液を調整し、37℃で1時間反応させた。
【0067】・EcoRI反応溶液 EcoRI 5μL 10×H Buffer 10μL λDNA 15μL 滅菌水 70μL 合計 100μL
【0068】(2)電気泳動 アガロースゲル(濃度0.6%)を作成し、1kbpラ
ダーマーカーとともにEcoRI反応産物の電気泳動を
行った。
【0069】(3)21kbpのλDNAフラグメント
の精製 電気泳動後、アガロースゲルの21kbpフラグメント
の部分をカッターナイフで切り出し、ゲルをSuper
ec−01に入れ、−20℃で1時間凍結した。その
後、37℃で5分間保持し、解凍した。次に、遠心分離
機を用いて、4℃、1000rpmで10分間遠心分離
した。遠心分離終了後、TE Bufferを20μL
加え、さらに4℃、1000rpmで10分間遠心分離
した。次にフィルターを用いてNaClおよびエタノー
ルを加えて室温で10分間放置した後、4℃、1500
0rpmで10分間遠心分離した。ピペットで上澄みを
捨て、70%エタノールを1mL加えた。チューブを軽
く混ぜ、4℃、15000rpmで10分間遠心分離し
た。上澄みを捨てを開けたまま、室温で乾燥した。
【0070】3.ライゲーションによる21kbpのλ
DNAフラグメントの固定 上記2で精製した21kbpのλDNAフラグメントの
溶液に、1で作成したEcoRIサイトを形成したダイ
ヤモンド基体を浸漬し、ライゲースを加えて、16℃で
30分間反応させ、21kbpのλDNAフラグメント
をダイヤモンド基体に固定化した。
【0071】4.PCR 固定化した21kbpのλDNAフラグメント内に含ま
れる500bp長の領域を鋳型としたPCRを行った。
まず、次の組成からなるPCR反応液を用意し、ボルテ
ックスミキサーで軽く撹拌後、PCRシステムにセット
した。
【0072】・PCR反応液の組成 滅菌水 39.75μL 10×PCR Buffer 5 μL dNTP Mixture 4 μL 上流プライマー 0.5 μL 下流プライマー 0.5 μL TAKARA Taq(商標) 0.25μL 合計 50 μL
【0073】以下の条件で、初期のPCRサーマルサイ
クルを実行した。なお、下記のサーマルサイクルが2回
終了した時点で一時停止して、ダイヤモンド基体をピン
セットで取り出し、100μLのエタノールを充填した
エッペンドルフチューブに保管した。
【0074】・PCRサーマルサイクル(1〜2を25
サイクル) 1)94℃×30seq 2)68℃×30seq 3)72℃×30seq
【0075】その結果得られる増幅産物につきアガロー
ス電気泳動を行い、エチジウムブロミドで染色し、反応
物を蛍光で確認した。電気泳動の結果を図6に示す。図
6中、最左側のレーンは100bpラダ−マーカーを、
左から2番目のレーンから右に向かって、それぞれPC
Rのサーマルサイクルの同一基体での1回目、10回
目、20回目、30回目、40回目、50回目及び60
回目の結果を示す。図6より、ダイヤモンド基体には2
1kbpのλDNAフラグメントが固定化しており、5
0回以上のPCR使用にも耐え得ることがわかる。
【0076】実施例5(2本鎖DNAの直接固定化とP
CRのサーマルサイクル) 実施例4において用いたのと同様の21kbpのλDN
Aフラグメントを、実施例3と同様にして活性エステル
化したダイヤモンド基体に、TAKARA Ligat
ion Kitを用いて、直接固定化した。固定後2回
洗浄して、実施例3と同様の条件でPCRを行った。蛍
光染色後のPCR増幅産物の電気泳動図を図7に示す。
図7中、最左側のレーンは100bpラダ−マーカー
を、左から2番目のレーンから右に向かって、それぞれ
PCRのサーマルサイクル1回目、10回目、20回
目、30回目、40回目、50回目及び60回目の結果
を示す。図7に示すように実施例4で得たのと同様、目
的の配列が増幅可能であることが判明した。
【0077】実施例6(2本鎖DNAの直接固定化とP
CR) 活性エステル化したダイヤモンド基体に、EcoRIサ
イトを予め設計しておいたプライマーを実施例4と同様
の方法で固定化後、21kbpのλDNAフラグメント
をTAKARA Ligation Kitを用いて固
定化した。固定後2回洗浄して、実施例4と同様の条件
でPCRを行った。蛍光染色後のPCR増幅産物の電気
泳動図を図8に示す。図8中、最左側のレーンは100
bpラダ−マーカーを、左から2番目のレーンから右に
向かって、それぞれPCRのサーマルサイクル1回目、
10回目、20回目、30回目、40回目、50回目及
び60回目の結果を示す。すなわち、図8において、レ
ーン1は100bpラダーマーカーを、レーン2はPC
R1サイクル終了時の結果を、レーン3はPCRlOサ
イクル終了時の結果を、レーン4はPCR20サイクル
終了時の結果を、レーン5はPCR30サイクル終了時
の結果を、レーン6はPCR40サイクル終了時の結果
を、レーン7はPCR50サイクル終了時の結果を示
す。図8に示すように実施例4で得たのと同様、目的の
配列が増幅可能であることが判明した。
【0078】
【発明の効果】本発明の方法によれば、通常のPCR反
応液を用いても、基体に固定化したDNAを取り出せ
ば、基体上のDNAの消耗を防ぐことができ、また、取
り出した固定DNAは、その後何度もPCRで再使用で
きる。また、基体を取り出した後のPCRで目的の増幅
産物が得られなかったような場合でも、微量発現してい
れば、その増幅産物を用いて再度PCR(ネスティッド
PCR)を行うことにより、目的の増幅産物が得られ
る。したがって、本発明の方法は、医療、生化学、分子
生物学、遺伝子工学等の分野において有用である。
【配列表】SEQUENCE LISTING <110> Toyo Kohan Co,. Ltd. <120> DNAを固定化した基体を用いてPCRのサー
マルサイクルを行う方法 <130> P1735 <160> 12 <210> 1 <211> 20 <212> DNA <213> artifical sequence <400> 1 aaattttttt tttttttttt 20 <210> 2 <211> 26 <212> DNA <213> artifical sequence <400> 2 gaactgagga aaacaaaagg ctcacc 26 <210> 3 <211> 24 <212> DNA <213> artifical sequence <400> 3 gccaatcaca cggtcaatct cttc 24 <210> 4 <211> 21 <212> DNA <213> artifical sequence <400> 4 gcccgaagtg taagccccaa c 21 <210> 5 <211> 22 <212> DNA <213> artifical sequence <400> 5 ggtggtgaac ttttgcgtct gc 22 <210> 6 <211> 21 <212> DNA <213> artifical sequence <400> 6 gactctctaa agccataaac t 21 <210> 7 <211> 20 <212> DNA <213> artifical sequence <400> 7 gcccaactac agagatggtc 20 <210> 8 <211> 24 <212> DNA <213> artifical sequence <400> 8 aaaggttttt tttttttttt tttg 24 <210> 9 <211> 24 <212> DNA <213> artifical sequence <400> 9 aattcaaaaa aaaaaaaaaa aaacctt 24 <210> 10 <211> 配列の長さ <212> DNA <213> artifical sequence <400> 13 gatgagttcg tgtccgtaca act 23 <210> 11 <211> 配列の長さ <212> DNA <213> artifical sequence <400> 11 ggttatcgaa atcagccaca gcgcc 25
【図面の簡単な説明】
【図1】 基体表面の性状の一例を示す図である。
【図2】 基体表面へのオリゴヌクレオチドの固定化の
プロセスを示す図である。
【図3】 基体表面へのcDNAの固定化のプロセスを
示す図である。
【図4】 cDNAを固定化した基体のPCR反応の増
幅産物の電気泳動図である。
【符号の説明】
レーン1、5、9、11、15は分子量マーカー(50
0bp)を示し、レーン2はリボゾーマル18S(初
期)、レーン3はチトクロムP450(初期)、レーン
4はHGFレセブター(初期)、レーン6はリボゾーマ
ル18S(1回目終了時)、レーン7はチトクロムP4
50(1回目終了時)、レーン8はHGFレセプター
(1回目終了時)、レーン10はHGFレセブター(2
回目終了時)、レーン12は18Sレセブター(PCR
lO回目終了時)、レーン13は18Sレセプター(P
CR20回目終了時)、レーン14はHGFレセプター
のプライマー(PCR20回目まで)及び18Sレセプ
ター(PCR20回目から)の増幅結果を示す。
【図5】 2本鎖DNAの基体へのEcoRIサイトを
利用した固定化のプロセスを示す図である。
【図6】 2本鎖DNAをEcoRIサイト形成により
固定した基体のPCR反応の増幅産物の電気泳動図であ
る。
【図7】 2本鎖DNAを直接固定した基体において、
PCRで500bpを増幅した試験の結果を示す泳動写
真である。
【図8】 2本鎖DNAをEcoRIサイトを有するプ
ライマーにより直接固定した基体において、PCRで5
00bpを増幅した試験の結果を示す泳動写真である。
【符号の説明】
レーン1は100bpラダーマーカーを、レーン2はP
CR1サイクル終了時の結果を、レーン3はPCRlO
サイクル終了時の結果を、レーン4はPCR20サイク
ル終了時の結果を、レーン5はPCR30サイクル終了
時の結果を、レーン6はPCR40サイクル終了時の結
果を、レーン7はPCR50サイクル終了時の結果を示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡村 浩 山口県下松市東豊井1296番地の1 東洋鋼 鈑株式会社技術研究所内 (72)発明者 高橋 浩二郎 広島県広島市南区宇品御幸1丁目9番26号 Fターム(参考) 4B024 AA11 AA19 AA20 CA01 CA09 CA10 HA11 4B063 QA01 QQ42 QR08 QR32 QR42 QR62 QR63 QR82 QS03 QS25 QS32 QX02

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 DNAを固定化した基体を用いてPCR
    のサーマルサイクルを行う方法。
  2. 【請求項2】 PCRのサーマルサイクルの初期におい
    てDNAを固定化した基体を取り出した後、引き続きP
    CRのサーマルサイクルを繰り返すことを特徴とする、
    請求項1記載のPCRのサーマルサイクルを行う方法。
  3. 【請求項3】 一度目のPCRのサーマルサイクルの初
    期において基体を取り出した後、引き続きPCRのサー
    マルサイクルを繰り返し、さらに一度目のPCRのサー
    マルサイクルで得られるPCR産物を鋳型として、二度
    目のPCRのサーマルサイクルを行うことを特徴とす
    る、請求項1記載のPCRのサーマルサイクルを行う方
    法。
  4. 【請求項4】 DNAを固定化した基体を取り出すの
    が、一度目のPCRのサーマルサイクルの1〜5サイク
    ル目である、請求項2又は3に記載のPCRのサーマル
    サイクルを行う方法。
  5. 【請求項5】 基体表面に固定化したDNAが、基体表
    面にリンカーとしてオリゴdTプライマーを結合し、次
    いでmRNAを鋳型とする逆転写反応により固定化され
    たcDNAである、請求項1〜4のいずれかに記載のP
    CRのサーマルサイクルを行う方法。
  6. 【請求項6】 基体表面にリンカーとしてのオリゴdT
    プライマーを結合するにあたり、基体表面のカルボキシ
    ル基を活性エステル化後に該活性化エステル基とオリゴ
    dTプライマーとをアミド結合させて得られる、請求項
    5記載のPCRのサーマルサイクルを行う方法。
  7. 【請求項7】 基体表面に固定化したDNAが、2本鎖
    DNAである、請求項1〜4のいずれかに記載のPCR
    のサーマルサイクルを行う方法。
  8. 【請求項8】 基体表面に2本鎖DNAを固定化するに
    あたり、基体表面のカルボキシル基を活性エステル化後
    に該活性化エステル基と2本鎖DNAとをアミド結合さ
    せて得られる、請求項7記載のPCRのサーマルサイク
    ルを行う方法。
  9. 【請求項9】 基体表面に2本鎖DNAを固定するにあ
    たり、まず基体表面に、制限酵素切断部位を有する2本
    鎖オリゴヌクレオチドを結合後、対応する制限酵素切断
    部位を有する2本鎖DNAをライゲーションすることに
    より固定化された2本鎖DNAである、請求項7に記載
    のPCRのサーマルサイクルを行う方法。
  10. 【請求項10】 基体表面に制限酵素切断部位を有する
    2本鎖DNAを結合するにあたり、基体表面のカルボキ
    シル基を活性エステル化後に該活性化エステル基と制限
    酵素切断部位を有する2本鎖DNAの該切断部位の反対
    側の末端とをアミド結合させて得られる、請求項9記載
    のPCRのサーマルサイクルを行う方法。
  11. 【請求項11】 基体表面に制限酵素切断部位を有する
    2本鎖DNAを結合するにあたり、基体表面のカルボキ
    シル基を活性エステル化後に1本鎖オリゴヌクレオチド
    を固定した後、固定したオリゴヌクレオチドと相補的な
    オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせて制限酵素切
    断部位を形成する、請求項9又は10記載のPCRのサ
    ーマルサイクルを行う方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006174788A (ja) * 2004-12-24 2006-07-06 Sumitomo Bakelite Co Ltd Dna鎖伸長方法、dna鎖増幅方法およびdna鎖伸長用マイクロアレイ
JP5003484B2 (ja) * 2005-05-17 2012-08-15 住友ベークライト株式会社 遺伝子の検出方法

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