JPWO2006106764A1 - 伝送線路 - Google Patents

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Abstract

誘電体又は半導体により形成された基板の一方の面に配置され、当該面内における第1の回転方向に湾曲するように形成された第1の信号導体と、上記第1の回転方向と逆方向である第2の回転方向に湾曲するように形成され、上記面において上記第1の信号導体と電気的に直列に接続して配置された第2の信号導体とを備え、少なくとも上記第1の信号導体の一部及び上記第2の信号導体の一部を含んで、伝送線路全体における信号の伝送方向に対して反転された方向に信号が伝送される伝送方向反転部が構成された一本の伝送線路を構成することにより、不要輻射強度の抑制効果を得ることができる。

Description

本発明は、マイクロ波帯、およびミリ波帯などのアナログ高周波信号、もしくはデジタル信号を伝送するシングルエンド伝送線路、さらにこのような伝送線路を含む高周波回路に関する。
このような従来の高周波回路において、伝送線路として用いられているマイクロストリップ線路の模式的な断面構成を図18Aに示す。図18Aに示すように、誘電体又は半導体からなる基板101の表面に信号導体103が形成されており、基板101の裏面には接地導体層105が形成されている。このマイクロストリップ線路に高周波電力が入力されると、信号導体103から接地導体層105の方向へ電界が生じ、電気力線に垂直に信号導体103を囲む方向に磁界が生じ、その結果、この電磁界が信号導体103の幅方向と直交する長さ方向へ高周波電力が伝播させる。なお、マイクロストリップ線路において、信号導体103や接地導体層105は必ずしも基板101の表面や裏面に形成される必要はなく、基板101を多層回路基板として実現すれば、信号導体103や接地導体層105を回路基板の内層導体面内に形成することも可能である。
高周波信号がマイクロストリップ線路を伝送する際には、当該伝送線路周辺に高周波磁界の分布を伴うため、遠方自由空間への電磁波の不要輻射が発生する。ストリップ線路のように、信号導体をはさんで両側に接地導体が配置され電磁気的に外界とシールドされている構造なら不要輻射をある程度抑制できるが、マイクロストリップ線路は基板の片側にしか接地導体を有しないため、原理的に自由空間への不要輻射を抑制することができない。
以上説明したのは、シングルエンドの信号を伝送する場合の伝送線路についてであるが、図18Bに線路構造の断面図を示すように、マイクロストリップ線路構造103a、103bを2本平行に配置し、それぞれに逆位相の信号を伝送させることにより、差動信号伝送線路として用いれば不要輻射を低減することが可能である。しかし、この場合、対の信号導体が必要となるため、回路占有面積が増大するという問題が生じる。また、回路内の能動素子にバイアスを供給するバイアス線路は、本来高周波信号が重畳しないはずであるが、回路内での処理が不十分な場合、高周波信号が漏洩し、不要輻射の原因となる。バイアス線路は、直流供給のための線路なので差動構成を採用できない。すなわち、バイアス線路はマイクロストリップ線路構造を採用せざるを得ないので、不要輻射を低減する構成が必要となる。
ここで、図19に示す典型的な伝送線路の模式斜視図を用いて、不要輻射の発生の原理を説明する。直線状の伝送線路291は、誘電体基板101の裏面に形成された接地導体105をその接地導体部分として、また、誘電体基板101の表面281において直線状に配置された1本の信号導体をその信号導体部分として構成されている。この伝送線路291の両端がそれぞれ図示されていない抵抗により終端されると、伝送線路291を、電流が流れる閉じた電流ループ293aに置換して考えることによって、1本の伝送線路291の持つ高周波回路特性、ここでは不要輻射の起源を理解することができる。図19に示すように、電流ループ293aに流れた高周波電流により、電流ループ293aを貫く高周波磁場855が誘起され、遠方の空間にはこの高周波磁場855に伴った放射が生じる。ここで、高周波磁場855の強度は、電流ループ293aのループ面積Aに比例するので、電流ループ293aのループ面積Aと放射電界強度Eの間には比例関係が成立する。また、高周波電流の周波数fの二乗と放射電界強度Eの間にも比例関係が成立し、更には流れる高周波電流の電流量Iと放射電界強度Eの間にもそれぞれ比例関係が成立する。すなわち、高周波回路において、伝送線路長が増大するほどループ面積Aが増加するので不要輻射も増加するし、高速の信号を伝送するほど、更には電流量が増加すると不要輻射は増加する傾向にある。
シグナル・インテグリティ入門(CQ出版社2002年)pp.79
しかしながら、従来のマイクロストリップ線路においては、以下に示す原理的な課題がある。
従来のマイクロストリップ線路構造は、電磁気的に完全なシールドを伴わないため不要輻射量が多いという欠点がある。電子機器から漏洩する不要輻射量については国際的に遵守すべき規格が設けられており、回路内の意図せぬ共振現象と結合して不要輻射源とならぬよう、不要輻射ができるだけ低減可能な回路構造の採用が必要である。しかしながら、扱う信号が高速化するほど伝送信号には高周波成分が含まれるため、不要輻射強度が増大するという問題がある。
ここで従来例の高周波回路として、誘電率3.8、厚さH=250μmでその裏面の全面を接地導体層105とした樹脂材料の誘電体基板101の表面に、配線幅W=100μmの1本の信号導体、すなわち伝送線路291を直線状に線路長1.5cmにて配置した構造の高周波回路を作製し、回路基板から発生する不要輻射強度を十分遠方で測定した。なお、信号導体は、導電率3×10S/m、厚さ20μmの銅配線とした。その測定結果として、縦軸を不要輻射利得(dB)、横軸を周波数(GHz)とした不要輻射強度の周波数依存性を示すグラフ形式の図を図20に示す。図20に示すように、入力電力に対する各周波数での不要輻射最大利得は、周波数1GHzでマイナス51.5dB、周波数2GHzでマイナス40.1dB、周波数5GHzでマイナス26.4dB、周波数10GHzでマイナス20.1dB、周波数20GHzでマイナス16.0dBと、周波数が上がるにつれ増大する傾向を示した。
このような従来例の高周波回路における測定結果からも明らかなように、従来のシングルエンド伝送線路の技術では、不要輻射の抑制が求められながら、高周波帯域にて不要輻射を抑制することが原理的に困難なため、その要求を満たすことが困難であるという問題がある。
従って、本発明の目的は、上記問題を解決することにあって、マイクロ波帯、およびミリ波帯などのアナログ高周波信号、もしくはデジタル信号を伝送し得る伝送線路において、不要輻射の抑制という効果を得ることができる伝送線路を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の第1態様によれば、誘電体又は半導体により形成された基板の一方の面に配置され、当該面内における第1の回転方向に湾曲するように形成された第1の信号導体と、
上記第1の回転方向と逆方向である第2の回転方向に湾曲するように形成され、上記面において上記第1の信号導体と電気的に直列に接続して配置された第2の信号導体とを備え、
少なくとも上記第1の信号導体の一部及び上記第2の信号導体の一部を含んで、伝送線路全体における信号の伝送方向に対して反転された方向に信号が伝送される伝送方向反転部が構成された一本の伝送線路を提供する。
すなわち、線状の上記第1の信号導体を上記第1の回転方向に湾曲させるように形成し、当該第1の信号導体における終端と、上記第2の信号導体の始端とを電気的に接続し、線状の当該第2の信号導体を上記第2の回転方向に湾曲させるように形成することにより、回転方向反転構造が構成されている。
ここで、「回転方向反転構造」とは、線状の信号導体により形成される電気的に一続きの線路であって、当該線路において伝送される信号の向き(方向)を、上記第1の回転方向から上記第2の回転方向へと反転させる構造を有する線路である。
さらに、伝送線路において、上記第1の信号導体、上記第2の信号導体、あるいは他の信号導体により、上記伝送線路全体における信号の伝送方向に対して反転された方向に信号を伝送する部位である「伝送方向反転部」が構成されている。
また、上記第1態様の伝送線路においては、回転方向反転構造内において信号導体を異なる向きに湾曲させて接続することにより、電流が流れた場合に発生する磁界の向きを局所的に変えることができる。この結果、不要輻射を増大させていた伝送線路の電流ループの長さ方向の連続性を局所的に分断することができ、遠方界への不要輻射を低い強度に抑圧することができる。
さらに、信号の伝送方向を反転させる伝送方向反転部が設けられていることにより、当該伝送方向反転部において逆向きの磁界を発生させて、伝送線路全体において発生される磁界同士を相殺させるようにし、不要輻射強度をより低減させることができる。
本発明の第2態様によれば、上記第1の信号導体と上記第2の信号導体における上記それぞれの湾曲の形状が円弧形状である第1態様に記載の伝送線路を提供する。
本発明の第3態様によれば、上記第1の信号導体と上記第2の信号導体との接続部の中心に対して、当該第1の信号導体と当該第2の信号導体とが点対称に配置される第1態様に記載の伝送線路を提供する。
本発明の第4態様によれば、上記第1の信号導体及び上記第2の信号導体のそれぞれは、180度以上の回転角度を有する上記湾曲形状を備える第1態様に記載の伝送線路を提供する。
本発明の第5態様によれば、上記伝送方向反転部は、上記伝送線路全体における信号の伝送方向に対して、90度を超える角度を有する方向をその信号の伝送方向とする第1態様に記載の伝送線路を提供する。
本発明の第6態様によれば、上記伝送方向反転部は、上記伝送線路全体における信号の伝送方向に対して、180度の角度を有する方向をその信号の伝送方向とする第5態様に記載の伝送線路を提供する。
本発明の第7態様によれば、上記第1の信号導体と上記第2の信号導体とを電気的に接続する第3の信号導体(導体間接続用信号導体)をさらに備え、上記第3の信号導体を含んで、上記伝送方向反転部が構成される第1態様に記載の伝送線路を提供する。
本発明の第8態様によれば、上記第1の信号導体と上記第2の信号導体とが誘電体を介して電気的に接続され、上記誘電体、上記第1の信号導体、及び上記第2の信号導体がキャパシタ構造を形成する第1態様に記載の伝送線路を提供する。
本発明の第9態様によれば、上記第1の信号導体及び上記第2の信号導体が、伝送信号の周波数において、それぞれ非共振な線路長に設定される第1態様に記載の伝送線路を提供する。
本発明の第10態様によれば、上記第3の信号導体が、伝送信号の周波数において、非共振な線路長に設定される第7態様に記載の伝送線路を提供する。
なお、上記伝送信号の周波数とは、例えば、伝送帯域の上限周波数のことである。
本発明の第11態様によれば、上記第1の信号導体と上記第2の信号導体とが電気的に接続されて構成された回転方向反転構造が、上記伝送線路全体における信号の伝送方向に対して、複数直列に接続される第1態様に記載の伝送線路を提供する。
本発明の第12態様によれば、隣接する上記回転方向反転構造が、第4の信号導体(構造間接続用信号導体)により接続される第11態様に記載の伝送線路を提供する。
本発明の第13態様によれば、上記第4の信号導体は、上記伝送線路全体における信号の伝送方向と異なる方向に配置される第12態様に記載の伝送線路を提供する。
上記第11態様のように、上記複数の回転方向反転構造を直列に接続して伝送線路を形成すれば、伝送信号に対して連続的に本発明の有利な効果を与えることができる。また、上記複数の回転方向反転構造は直接接続されるような場合であっても良いし、また、第13態様のように、第4の信号導体により接続されるような場合であっても良い。
本発明の第14態様によれば、伝送信号の周波数における実効波長の0.5倍以上の実効線路長に渡って、上記複数の回転方向反転構造が配置された第11態様に記載の伝送線路を提供する。
本発明の第15態様によれば、伝送信号の周波数における実効波長の1倍以上の実効線路長に渡って、上記複数の回転方向反転構造が配置された第11態様に記載の伝送線路を提供する。
上記第14態様や第15態様のように、伝送信号の周波数における実効波長の0.5倍以上、さらに好ましくは1倍以上の実効線路長にわたり上記回転方向反転構造を連続して配列すれば、本発明の伝送線路では不要輻射抑制効果をより強めることができる。
なお、本発明の伝送線路において、上記第1及第2の信号導体、さらに上記第3の信号導体、及び上記第4の信号導体は、それぞれ伝送する電磁波の波長に対して短い線路長に設定されることが伝送信号の共振を回避するためには好ましい。具体的には、各構造の実効線路長は伝送信号の周波数における電磁波の実効波長の1/4未満に設定されることが好ましい。
また、本発明の伝送線路の上記回転方向反転構造内においては、第1の信号導体と第2の信号導体の接続部、若しくは、第1の信号導体と第2の信号導体を接続する上記第3の信号導体の中心を回転軸として、第1の信号導体と第2の信号導体が回転対称の関係で配置されることが好ましい。また、何らかの理由で回転対称性の維持が困難な場合でも、第1の信号導体と第2の信号導体の回転回数Nrを等しくすることにより本発明の有利な効果を得ることができる。
また、本発明の伝送線路において不要輻射を抑制するためには、第1の信号導体、および第2の信号導体の回転回数Nrはそれぞれ0.5以上に設定することが好ましく、現実的な使用条件では0.75以上2以下の範囲内にて設定することがより好ましい。
本発明の伝送線路によれば、従来の伝送線路よりも極めて少ない強度にまで遠方空間への不要電磁波輻射を抑制することが可能となるものである。従って、極めて配線密度が高く、省面積で、高速動作時にも誤動作が少ない高周波回路の提供が可能となる。
本発明のこれらと他の目的と特徴は、添付された図面についての好ましい実施形態に関連した次の記述から明らかになる。この図面においては、図1は、本発明の一の実施形態にかかる伝送線路の模式斜視図であり、 図2Aは、図1の伝送線路の模式平面図であり、 図2Bは、図2Aの伝送線路におけるA1−A2線模式断面図であり、 図3は、上記実施形態の変形例にかかる伝送線路の模式平面図であって、複数の回転方向反転構造が直列に接続された構成を示す図であり、 図4は、上記実施形態の変形例にかかる伝送線路であって、回転方向反転構成の回転回数が0.75に設定された構成を示す模式平面図であり、 図5は、上記実施形態の変形例にかかる伝送線路であって、回転方向反転構成の回転回数が1.5に設定された構成を示す模式平面図であり、 図6は、上記実施形態の変形例にかかる伝送線路であって、第3の信号導体及び第4の信号導体を含む構成を示す模式平面図であり、 図7は、上記実施形態の変形例にかかる伝送線路であって、キャパシタ構造を有する構成を示す模式平面図であり、 図8は、上記実施形態の変形例にかかる伝送線路であって、隣接する回転方向反転構成における回転方向が逆向きに設定された構成を示す模式平面図であり、 図9は、図8の伝送線路の構成において、隣接する回転方向反転構成における回転方向を同じ向きに設定した構成を示す模式平面図であり、 図10Aは、上記実施形態の変形例にかかる伝送線路であって、誘電体基板が厚く設定された構成を示す模式平面図であり、 図10Bは、図10Aの伝送線路に比して、誘電体基板が薄く設定された構成を示す模式平面図であり、 図11は、上記実施形態の伝送線路内の回転方向反転構造内での局所的な磁場の方向を示す模式説明図であり、 図12は、図11の伝送線路とは異なる構成の伝送線路における局所的な磁場の方向を示す模式説明図であり、 図13は、さらに別の構成の伝送線路における局所的な磁場の方向を示す模式説明図であり、 図14は、本発明の一例の伝送線路と従来の伝送線路の不要輻射利得特性の周波数特性の比較を示すグラフ形式の模式図であり、 図15は、本発明の一例の伝送線路による不要輻射抑圧効果の実効線路長依存性を示すグラフ形式の模式図であり、 図16は、本発明の実施例2の伝送線路、比較例の伝送線路、及び従来例の伝送線路における輻射された不要輻射強度の周波数依存性を示す図であり、 図17は、本発明の実施例1及び2、並びに比較例の伝送線路での不要輻射抑圧量の実効線路長依存性を示す図であり、 図18Aは、従来の伝送線路の伝送線路断面構造を示す図であって、シングルエンド伝送の場合の図であり、 図18Bは、従来の伝送線路の伝送線路断面構造を示す図であって、差動信号伝送の場合の図であり、 図19は、従来の伝送線路における不要輻射の原因を説明するための模式説明図であり、 図20は、従来例の伝送線路よりの不要輻射強度の周波数依存性を示す図であり、 図21は、本発明の上記実施形態の伝送線路における伝送方向及び伝送方向反転部を説明するための模式平面図であり、 図22は、上記実施形態の伝送線路において、誘電体基板の表面に別の誘電体層が配置された構成を示す模式断面図であり、 図23は、上記実施形態の伝送線路において、誘電体基板が積層体である構成を示す模式断面図であり、 図24は、上記実施形態の伝送線路において、図22の伝送線路と図23の伝送線路の構成を組み合わせた構成を示す模式断面図である。
本発明の記述を続ける前に、添付図面において同じ部品については同じ参照符号を付している。
以下本発明の実施の形態について、不要輻射を抑制する原理について、図面を参照しながら説明する。
(実施形態)
本発明の一の実施形態にかかる伝送線路2の模式平面図を図1に示す。図1に示すように、伝送線路2は、誘電体基板1の表面に形成された1本の信号導体3と、誘電体基板1の裏面に形成された接地導体層5とを備えている。また、信号導体3は、後述する回転方向反転構造7という大略螺旋形状の回転構造を有する信号導体部分を備えている。まず、このような伝送線路2が有する回転方向反転構造7の詳細な構造の説明、並びに当該構造により得られる不要輻射抑制の原理について、具体的に説明する。
また、当該説明にあたって、図1に示す伝送線路2の模式平面図を図2Aに示し、また、図2Aの伝送線路2におけるA1−A2線断面図を図2Bに示す。
図2A及び図2Bに示すように、誘電体基板1の表面には信号導体3が、裏面には接地導体層5が形成されており、これらにより伝送線路2が構成されている。仮に、図2Aにおいて図示左側から右側へと信号を伝送する場合、本実施形態の伝送線路2の信号導体3は、少なくとも一部の領域において、基板1の表面内における第1の回転方向(図示時計方向)R1に高周波電流を1回転だけ螺旋形状に回転させる(すなわち、360度回転させる)第1の信号導体7aと、第1の回転方向R1とは逆方向の第2の回転方向(図示反時計方向)R2に高周波電流を1回転だけ螺旋形状に回転させる(すなわち反転させる)第2の信号導体7bが、接続部9において接続された構造となっている。本実施形態においては、このような構造が回転方向反転構造7となっている。なお、図2Aに示す信号導体3において、第1の信号導体7aと第2の信号導体7bとの範囲を明確に示すために、それぞれの信号導体7a及び7bには、互いに異なるハッチング模様を付している。
図2Aに示すように、回転方向反転構造7は、所定の線路幅wを有する信号導体により形成されており、第1の回転方向R1に向けて湾曲されて形成された滑らかな円弧による螺旋形状を有する第1の信号導体7aと、第2の回転方向R2に向けて湾曲されて形成された滑らかな円弧による螺旋形状を有する第2の信号導体7bと、第1の信号導体7aの一の端部と第2の信号導体7bの一の端部とを電気的に接続する接続部9とを備えている。さらに、図2Aに示すように、第1の信号導体7aと第2の信号導体7bは、接続部9の中心を基点として、回転対称(あるいは点対称)の配置関係にあり、接続部9の中心において誘電体基板101を垂直に貫通する軸(図示せず)が、上記回転対称の回転軸に相当する。
さらに、図2Aに示すように、回転方向反転構造7において、第1の信号導体7aは、その湾曲曲率が比較的小さな半円弧形状の信号導体と、その湾曲曲率が比較的大きな半円弧形状の信号導体とが接続されることにより、360度回転構造を有する螺旋形状の信号導体を形成しており、第2の信号導体についても同様である。そして、上記湾曲曲率が大きな2本の半円弧形状の信号導体が、接続部9において互いに電気的に接続されることにより、回転方向反転構造7が構成されている。なお、図2Aに示すように、回転方向反転構造7のそれぞれの端部、すなわち、第1の信号導体7aの外側端部及び第2に信号導体7bの外側端部は、略直線状の外部信号導体4に接続されている。
また、回転方向反転構造7において、仮に図示左側から右側への方向を伝送線路2全体における信号の伝送方向とした場合に、当該伝送方向が反転された方向に信号を伝送する伝送方向反転部8(図示点線で囲まれた部分)が構成されている。なお、この伝送方向反転部8は、第1の信号導体7aの一部と第2の信号導体7bの一部とにより構成されている。
ここで、伝送線路における信号の伝送方向について、図21に示す伝送線路の模式平面図を用いて以下に説明する。本明細書において、信号導体の形状が湾曲された形状を有している場合には、伝送方向とはその接線方向であり、信号導体の形状が直線形状を有しているような場合には、伝送方向とはその長手方向となる。具体的には、図21に示すように、直線形状を有する信号導体部分と、円弧形状を有する信号導体部分とを有する信号導体503により構成された伝送線路502を例とすると、直線形状の信号導体部分における局所的な位置P1及びP2においては、その伝送方向Tは、信号導体の長手方向である図示右向き方向となる。一方、円弧形状を有する信号導体部分における局所的な位置P2〜P5においては、当該局所的な位置P2〜P5における接線方向がそれぞれの伝送方向Tとなる。
また、図21の伝送線路502において、その伝送線路502全体における信号の伝送方向65を図示右向きとし、この方向をX軸方向、このX軸方向に同一平面において直交する方向をY軸方向とすると、位置P1〜P6におけるそれぞれの伝送方向Tは、X軸方向の成分であるTxと、Y軸方向の成分であるTyとに分解することができる。位置P1、P2、P5、及びP6においては、Txが+(プラス)X方向の成分となる一方、位置P3及びP4においては、Txが−(マイナス)X方向の成分となる。本明細書においては、このようにその伝送方向が−X方向の成分を含む部分が、「伝送方向反転部」となっている。具体的には、位置P3及びP4は、伝送方向反転部508内における位置であり、図21の信号導体において、ハッチングを付した部分が伝送方向反転部508となっている。本実施形態の伝送線路においては、必ずこのような伝送方向反転部が含まれて構成される。なお、このような伝送方向反転部が配置されることにより得られる効果等についての説明は後述する。
また、図3の本実施形態の変形例にかかる伝送線路12の模式平面図に示すように、回転方向反転構造7を複数回直列に接続して、伝送線路12を構成することが本発明の有利な効果を得るためには好ましい。図3では互いに隣接されるそれぞれの回転方向反転構造7は、他の信号導体を介することなく、直接的に接続された構成となっている。
また、図4の本実施形態の変形例にかかる伝送線路22の模式平面図に示すように、回転方向反転構造27内の第1の信号導体27a及び第2の信号導体27bの回転回数Nrの設定を、図2Aにおける回転方向反転構造7におけるNr=1回とは異なり、Nr=0.75回と設定するような場合であっても良い。また、図5の伝送線路32の模式平面図に示すように、回転方向反転構造37内の第1の信号導体37a及び第2の信号導体37bの回転回数Nrを1.5回に設定するような場合であっても良い。いずれの伝送線路22、32も、回転方向反転構造27、37及び伝送方向反転部28、38が含まれた構成が採用されている。なお、図4の伝送線路22及び図5の伝送線路32においては、図示点線で囲まれた部分が伝送方向反転部28、38であり、図5の伝送線路32の各回転方向反転構造37においては、伝送方向反転部38は2つの部分に分けて構成されている。また、図示はしていないが、これ以外の回転回数Nrを設定するような場合であっても良いが、上記それぞれの変形例の伝送線路のように、回転方向反転構造及び伝送方向反転部が含まれるように、回転回数Nrを設定する必要がある。
ただし、不要輻射抑制の目的では、回転方向反転構造内の回転回数Nrの設定は、大きい値となるほど有利な効果が得られるものの、第1の信号導体と第2の信号導体の電気長が伝送電磁波の実効波長に対して無視できない線路長に達すると、本発明の効果が失われることにもなる。また、回転回数Nrの増加は、総配線領域幅Wの増加も招き、回路の省面積化にとって好ましくない。また、総配線長の増加は、信号遅延の原因ともなると考えられる。また、伝送周波数帯域の上限においては電磁波の実効波長は短くなるので、回転数を高く設定すれば、第1の信号導体及び第2の信号導体の配線長が電磁波波長に近づき共振条件に近づくことにもなるため反射が生じやすくなり、本発明の伝送線路の使用帯域が制限されることになり、実用上好ましくない。このような信号の不要な反射は、伝送される信号の強度低下や不要な輻射につながるだけでなく、群遅延特性の劣化を招いてしまうためシステムとしては伝送エラーレートの低下につながり好ましくない。よって、第1の信号導体及び第2の信号導体における回転回数Nrの実用的な設定上限は、通常の用途では2回転以下とすることが好ましい。
なお、本実施形態の伝送線路2においては、信号導体3が誘電体基板1の最表面に形成されている場合にのみ限られるものではなく、内層導体面(例えば、多層構造基板における内層表面)に形成されているような場合であっても良い。同様に、接地導体層5も誘電体基板1の最裏面に形成されている場合にのみ限られるものではなく、内層導体面に形成されているような場合であっても良い。すなわち、本明細書において、基板の一方の面(あるいは表面)とは、単層構造の基板あるいは積層構造の基板における最表面若しくは最裏面、又は内層表面のことである。
具体的には、図22の伝送線路2Aの模式断面図に示すように、誘電体基板1の一方の面(図示上面)Sに信号導体3が配置され、他方の面(図示下面)に接地導体層5が配置された構造において、誘電体基板1の一方の面Sに別の誘電体層L1が配置され、接地導体層5の下面にさらに別の誘電体層L2が配置されるような場合であってもよい。さらに、図23の模式断面図に示す伝送線路2Bのように、誘電体基板1自体が複数の誘電体層1a、1b、1c、及び1dからなる積層体L3として構成され、この積層体L3の一方の面(図示上面)Sに信号導体3が配置され、他方の面(図示下面)に接地導体層5が配置されるような場合であってもよい。また、図22に示す構成と図23に示す構成とが組み合わされた構成を有する図24に示す伝送線路2Cのように、積層体L3の一方の面Sに別の誘電体層L1が配置され、接地導体層5の下面にさらに別の誘電体層L2が配置されるような場合であってもよい。図22から図24のいずれの構成の伝送線路2A、2B、及び2Cにおいても、符号Sにて示す表面が「基板の表面(一方の面)」となる。
また、図2Aに示す伝送線路2においては、第1の信号導体7aと第2の信号導体7bの間は接続部9において直接接続されているが、本実施形態にかかる伝送線路は、このような場合についてのみ限られるものではない。このような場合に代えて、例えば、図6の模式平面に示す伝送線路42のように、回転方向反転構造47において第1の信号導体47aと第2の信号導体47bとが、直線(若しくは非回転構造)の導体間接続用信号導体の一例である第3の信号導体47cを介して接続されるような場合であっても良い。この場合、第3の信号導体47cの中点を180度回転対称の回転軸と設定することができる。なお、図6に示す伝送線路42において、図示点線にて囲まれた部分である伝送方向反転部48は、第1の信号導体47aの一部と、第2の信号導体47bの一部と、第3の信号導体47cの全部とにより構成されている。
また、回転方向反転構造7の接続部9には、信号導体が配置されるような場合に限られるものではない。このような場合に代えて、例えば、図7に示すように、伝送線路52の回転方向反転構造57において、第1の信号導体57aと第2の信号導体57bと電気的に接続する接続部59に誘電体57cが配置され、通過する高周波信号にとって通過可能となるに十分な容量値を有するキャパシタで高周波的に両者が接続されるような場合であっても良い。このような場合にあっては、回転方向反転構造57がキャパシタ構造を有することとなる。なお、図7の伝送線路52において、図示点線にて囲まれた部分である伝送方向反転部58は、第1の信号導体57aの一部と、第2の信号導体57bの一部と、誘電体57cとにより構成されている。
また、図3に示す伝送線路12においては、隣接する回転方向反転構造7の間には、その他の導体を介させることなく、直接接続としたが、このように直接接続が行われるような場合についてのみ限られるものではない。このような場合に代えて、例えば、図6に示す伝送線路42のように、直線(若しくは非回転構造等)の構造間接続用信号導体の一例である第4の信号導体47dを介して、隣接する回転方向反転構造47同士を接続するような場合であっても良い。また、図示はしないが、このような構造間の電気的な接続は、動作帯域の下限周波数の電磁波に対しても良好な通過特性を提供しうる容量でキャパシタを構成するように行われるような場合であっても良い。
また、信号導体を所定の回転方向に湾曲させて形成する第1の信号導体7a及び第2の信号導体7bは、必ずしも螺旋円弧形状である必要はなく、多角形、矩形の配線の足し合わせによって構成されてもよいが、信号の不要な反射を回避するためには、なだらかな曲線を描いて実現されることが好ましい。信号伝送経路が曲げられると回路的にはシャントのキャパシタンスが発生するため、この効果を減じるため、第1の信号導体及び第2の信号導体は、第3の信号導体や第4の信号導体の線路幅と比べて細い線路幅wでその一部が実現されるような場合であっても良い。
また、一の回転方向反転構造において、第1の信号導体と第2の信号導体の回転回数Nrは、その設定が必ずしも同じである場合にのみ限られるものではないが、回転回数Nrを等しく設定されることが好ましい。また、このように回転回数Nrを一の回転方向反転構造において考えるような場合に代えて、一の回転方向反転構造における第1の信号導体と第2の信号導体の組み合わせと、上記一の回転方向反転構造に隣接配置される回転方向反転構造における第1の信号導体と第2の信号導体の組み合わせを考慮して、総回転回数Nrの和が0(ゼロ)に近い値になるよう設定するような場合であっても、本発明の有利な効果を得ることができる。
また、第1の信号導体7a、第2の信号導体7b、及び接続部9により構成され、伝送方向反転部8を含む回転方向反転構造7を少なくとも1個以上有していれば、本発明の効果を得ることができるが、特に回転方向反転構造7が複数配列されていることがより好ましい。
なお、本発明の伝送線路内において回転方向反転構造を複数回直列に接続する場合、例えば図5に示したように、一の回転方向反転構造37が有する第2の信号導体37bと、当該一の回転方向反転構造37に隣接する別の一の回転方向反転構造37が有する第1の信号導体37aとの互いの回転方向が逆向きに設定される配置すれば、良好な不要輻射抑制効果を得ることが可能である。
また、図8の模式平面図に示す伝送線路62のように、隣接する回転方向反転構造67、67間を、信号の伝送方向65に平行な第4の信号導体67dを用いて接続することにより、回転方向反転構造67(図示左端に配置)に含まれる第2の信号導体67bと、隣接する回転方向反転構造67(図示中央に配置)に含まれる第1の信号導体67aとを、同一の回転方向(すなわち第2の回転方向R2)に設定することも同様に可能である。
また、図9の伝送線路72のように、第4の信号導体77dを、信号の伝送方向65に対して平行に配置させず、傾斜された方向に配置させることも同様に可能である。なお、図9の伝送線路72のように、隣接する回転方向反転構造77同士を接続する第4の信号導体77dが、略直線状に形成されながら、信号伝送方向65に対して傾斜された方向に配置されるような構造においては、それぞれの回転方向反転構造77は同じ配置形状となる。
また、第4の信号導体を伝送する間に伝送信号の位相が極端に回転することは好ましくないので、第4の信号導体の線路長は伝送される信号の周波数における実効波長の4分の1未満の線路長に設定されることが好ましい。
また、本発明の伝送線路を用いる場合、群遅延特性に関しては、2種類の問題が存在することが考えられる。第1の問題は総遅延量の増大であり、第2の問題は高周波になるほど遅延量が増大する遅延分散の問題である。上記第1の問題である総遅延量の増大は、本発明の伝送線路を用いる際には、根本的には不可避の問題である。しかしながら、本発明の伝送線路における配線の引き伸ばしによる遅延量増加の度合いは、従来の伝送線路と比べて数%から数十%程度の遅延量増加に留まる範囲であり、この程度の遅延量の増加は実用上大きな問題にはならない。
また、上記第2の問題として挙げている伝送帯域の高周波側に向かうほど遅延量が増大して、伝送パルス形状の崩れの要因となる遅延分散については容易に回避可能である。これは、本発明の構造内の各部位が電磁波の実効波長に対して無視できない電気長に達することにより生じる問題である。一般に、平面高周波回路の伝送線路構造は線路幅と基板厚の比を保つことにより同じ等価インピーダンスの伝送線路を実現することができるので、基板厚を薄く設定するほど総線路幅は縮小される。よって、各部位の電気長も実効波長に対して無視できるようになり、本発明の有利な効果を減じることなく、上記第2の問題として挙げた遅延分散の問題を解決することができる。
ここで、例として、本発明の伝送線路の構造を基板厚H1が大きい誘電体基板に形成した場合の伝送線路82の模式平面図を図10Aに示し、これに対して、本発明の伝送線路を基板厚H2が小さい誘電体基板に形成した場合の伝送線路92の模式平面図を図10Bに示し、両者の構成を比較する。図10Aに示す伝送線路82においては、総線路幅W1が大きく設定されることになるので、回転方向反転構造87をはじめとする各部位が大きくなっているが、図10Bに示す伝送線路92においては、回路基板厚の低減に伴い総線路幅W2(すなわちW2<W1)が小さく設定されるので、回転方向反転構造97をはじめとする回路を構成する各部位の電気長は縮小されることがわかる。このことは、回路構造を薄く、配線幅をできる限り微細にしていく高密度配線化のトレンドが進行するほど、本発明の伝送線路構造の対応できる伝送帯域の上限周波数を向上させることが可能であることを示している。
次に、本実施形態の伝送線路の採用が、不要輻射抑制について、従来の伝送線路に対して有利な効果を有することを説明するとともに、そのために採用すべき条件について説明する。
図19に示した従来の伝送線路からの不要輻射の強度が増大するのは、伝送線路の長さ方向にわたって連続した長い電流ループ293aが形成されるので、形成された電流ループを鎖交する高周波磁場855の向きは連続して一方向に向けられるとともに、当該形成された電流ループのループ面積を小さな値に保つことができないことが要因と考えられる。ここで、図2A及び図2Bにおいて説明した本実施形態の伝送線路2の平面的な模式説明図を図11に示し、この伝送線路2に高周波電流を伝送させた場合に生じる高周波磁場について図11の模式説明図を用いて以下に説明する。
図11に示すように、伝送線路2においては、例えば、その回転回数Nrが1回転に設定された回転方向反転構成7が1つ形成されている。この伝送線路2において、伝送線路全体として図示矢印65の方向(信号伝送方向)、すなわち図示左側から図示右側へ向けて高周波電流305を進行させると、回転方向反転構造7における局所的な部位において、信号伝送方向65とは異なる向きに当該電流305が伝送されることとなる。すなわち、回転方向反転構造7は、第1の回転方向R1に湾曲された第1の信号導体7aと第2の回転方向R2に湾曲された第2の信号導体7bとにより構成されているため、その局所的な部位において、信号導体の配置方向が変化し、その結果、伝送される電流305の向きが微小な周期で変化されることとなる。このように伝送される高周波電流305の向きが変化されることにより、回転方向反転構造7における局所的な部位において様々な向き301a、301b、301c、301d、301e、301f、及び301gに高周波磁場が発生されることとなる。
このように高周波磁場の向き301a〜301gが様々な向きとされることにより、従来の伝送線路では線路長全長に渡って連続していた巨大な電流ループを局所的に分断させるように、回転方向反転構造7において、局所的に分断された小さなループ面積の電流ループの集合体が生じることとなる。図11に示すように、例えば、従来の伝送線路と同様な向き855に生じている高周波磁場301b、301fと逆向きに、すなわち180度反転させた向きに高周波磁場301d、301eを生じさせることができ、また、信号伝送方向65と同じ向きに生じている高周波磁場301cと逆向きに高周波磁場301a、301gを生じさせることができる。このように、回転方向反転構造7内において、様々な向きに高周波磁場を生じさせることができることにより、不要輻射の低減効果を得ることができる。
特に、図11の伝送線路2において、局所的に高周波電流305を信号伝送方向65とは逆の方向に流す部位(伝送方向反転部8)が設けられていることにより、伝送線路に生じる高周波磁場を互いに相殺するような成分を生じさせることができ、不要輻射の低減効果をより効果的に得ることができる。具体的には、図11の伝送線路2において、回転方向反転構造7の内側に配置されたその湾曲の曲率が大きな別の回転方向反転構造8を構成する信号導体において、信号伝送方向65とは逆の方向に高周波電流305が流れる、すなわち信号の伝送方向を信号伝送方向65に対して反転させる構成となっており、この部分が伝送方向反転部8となっている。なお、本明細書において、「信号の伝送方向を反転させる」とは、図11に示すように、信号伝送方向65をX軸方向、このX軸方向に直交する方向をY軸方向とした場合において、信号導体における伝送される信号の方向を表すベクトルに、少なくとも−x成分が生じるようにすることである。
このように、従来の伝送線路における磁場の向き855に対して90度を超える角度だけ反転された方向、より好ましくは完全に反転された方向(180度の方向)に局所的な高周波磁場を発生させる条件を成立させることが、本発明の伝送線路の好ましい条件である。回転方向反転構造の回転回数Nrが0.5より大きな値に設定されれば、信号伝送方向65とは90度以上異なる方向に信号を局所的に伝送する信号導体が必ず生じるため、上記条件を容易に成立させることができる。
また、回転回数Nrが0.5である場合においても、第3の信号導体や第4の信号導体の導入により、上記条件を成立させることもできる。例えば、回転回数Nr=0.5を有しながら、例えば第4の信号導体を追加して構成された伝送線路322、332において生じる高周波磁場の向きを図12、図13の模式説明図に示す。
図12及び図13の模式説明図にて明らかなように、回転回数Nr=0.5を有する伝送線路でも、局所的に生じる高周波磁場の向きをかなり変えることができることがわかる。具体的には、図12に示す伝送線路322においては、一の回転方向反転構造327における第2の信号導体327bと、隣接される回転方向反転構造327における第1の信号導体327aとの間への第4の信号導体327dの導入により、局所的な部位にて生じる高周波磁場321a〜321fの向きの中で、図示点線にて囲まれた部分である伝送方向反転部328における磁場321bは、従来の伝送線路での磁場方向855と逆方向の成分を有することになる。さらに、図13に示す伝送線路332においては、同様に、隣接する回転方向反転構造337間を接続する第4の信号導体337dの導入により、局所的な部位にて生じる高周波磁場331a〜331eの向きのうちの伝送方向反転部338の中央付近における磁場331cにおいて、従来の伝送線路における磁場方向855と逆方向の向きを確実に発生させることができる。いずれの伝送線路322及び332においても、伝送方向反転部328、338を含む構成が採用されているため、伝送線路反転部328、338において、従来の伝送線路における磁場方向855とは逆向きの成分を有する磁場を生じさせることが可能となり、本発明における不要輻射の減少効果をより効果的に提供することができる。すなわち、第1、第2、第3、第4の信号導体の中で少なくとも一箇所の部位が局所的に、信号伝送方向65とは90度を超えて異なる方向に信号を伝送するような構成、つまり伝送方向反転部を含む構成を採用することが、本発明における不要輻射強度抑制の効果を得るためには好ましいことになる。
また、このような不要輻射強度抑制の効果は、回転方向反転構造の回転回数Nrが大きな値に設定されることにより増強されるものの、Nrが2程度に達すると飽和する傾向がある。また、Nrを極端に大きく設定することは、伝送線路において総配線領域幅W、および回路占有面積の増大を招くため好ましくない。また、図11から図13の模式説明図を用いて説明した不要輻射強度抑制の効果については、図示した伝送線路の構造内で高周波電流の位相が極端に回転しない条件において得られるものである。すなわち、回転方向反転構造の線路長は、伝送される信号の周波数において共振を起こすような値に設定されることは伝送特性劣化と不要輻射の両方を招くので好ましくない。以上の条件から、回転回数Nrを極端に大きい値に設定することも好ましくなく、逆に、回転回数Nrを2以下の値に設定すれば使用される帯域上限値を制限することなく、本発明の不要輻射抑制効果を十分に得ることができる。よって通常の実用的な条件としては回転方向反転構造の回転回数Nrが0.75以上2以下の範囲で用いられることが不要輻射強度抑制の効果を得るという観点からは好ましい。
さらに、本発明の伝送線路において、回転方向反転構造を複数回直列に接続することは、不要輻射強度低減のために好ましい。特に、本発明の伝送線路では、従来の伝送線路にはない、実効線路長に依存した不要輻射抑制の効果増強現象が得られる。すなわち、従来の伝送線路においては、電流ループが線路長に渡って連続しているので、線路長の増加につれて不要輻射強度は単調に増加する傾向がある。例えば、ある線路長の伝送線路からの不要輻射強度を測定しても、実効線路長が実効波長の0.5倍や1倍に相当する周波数で強度が低減する現象は特に得られない。一方、本発明の伝送線路においては、不要輻射を低減したい周波数成分の実効波長の0.5倍以上に実効線路長Leffを設定することにより、不要輻射強度を効果的に抑制することが可能である。さらに線路長を延長して実効線路長Leffを、不要輻射強度を抑制したい周波数での実効波長と等しくすると、不要輻射強度抑制効果を最大限に得ることができる。
本発明の伝送線路では局所的に電流ループが切断されているので、任意の局所部位での磁場に起因して生じる不要輻射と、伝送線路に沿って実効波長の半分だけ位相が回転した局所部位での磁場に起因して生じる不要輻射は互いに打ち消しあうことができる。よって、実効線路長Leffが実効波長の0.5倍以上に達すると、不要輻射抑制の効果が増強して得られるものである。
さらに、実効線路長Leffが実効波長の1倍に達した条件では、実効波長の半分の線路長の領域で生じている無数の局所的な磁場群は、それぞれが実効波長の半分だけ位相が回転した部位で生じている局所的な磁場と向きが完全に逆になるため、両磁場に起因して生じる不要輻射は必ず打ち消され、最大限の不要輻射抑制効果を得ることができる。
さらに、線路長が延長されたとしても、実効波長の整数倍分の線路長から生じる不要輻射は少なくとも完全に打ち消しあったままなので、本発明の不要輻射抑制の効果は消失しない。上述の原理より、本発明の伝送線路は、実効線路長Leffが不要輻射を低減したい周波数成分の実効波長の0.5倍以上、特に好ましくは1倍以上に設定されれば、従来の伝送線路と比較すると不要輻射強度を格段に抑制することができる。
また、回転方向反転構造内の構造としては、以下の条件を満足することが好ましい。まず、第1の信号導体と第2の信号導体はその湾曲方向が、第1の回転方向R1と第2の回転方向R2というように逆向きに設定されているが、その他の条件、すなわち、形状、回転回数Nr、線路幅w等の条件をできる限り等価に設定することが好ましい。これは、伝送線路内の局所的な構造が非対称になることにより、遠方空間に不要な輻射を生じさせないためである。上述したように、回転方向反転構造内に設定された軸を回転軸(中心)として、第1の信号導体と第2の信号導体が180度回転対称関係(すなわち点対称)で配置されれば、上記条件を満足することができる。
ここで、図14に、本実施形態の伝送線路と従来の伝送線路との不要輻射特性比較をグラフ形式の模式図で示す。なお、図14においては、縦軸に入力電力に対する不要輻射利得(dB)を示し、横軸に周波数(対数表示)を示し、本実施形態の伝送線路を実線で、従来の伝送線路を点線で表している。なお、実施形態の伝送線路においては、回転方向反転構造内の回転回数Nrを1程度の値に設定して、線路長に渡って中断することなく、回転方向反転構造が設定された場合の典型的な特性を模式的に示す。また、比較している2本の伝送線路の基板条件、実効的な特性インピーダンスは従来例2の伝送線路と等しい条件に統一しており、また、それぞれの線路長は15mmである。また、比較した全ての線路の両端は、伝送線路の特性インピーダンスと同じインピーダンスで終端された設定で比較しており、不要輻射強度の比較は両伝送線路を共振器として利用している条件ではない。また、不要輻射利得として、最も強度が強かった方向で観測された利得をプロットしている。
図14に示すように、本実施形態の伝送線路は、周波数fが低い領域では、従来の伝送線路と比較的近い不要輻射強度を示し、不要輻射強度低減の効果は0.5dB程度である。一方、ある周波数f1を超えると不要輻射抑圧の効果が増強される。そして、不要輻射抑圧効果は周波数f2(f2>f1)で最大に達する。f>f2の周波数帯域では若干の変動はあるものの、改善効果は持続する。周波数f1において、本実施形態の伝送線路の両端間の通過位相量は180度に相当しており、また、周波数f2では、360度である。
次に、図15において、回転回数Nrが1程度の本実施形態の伝送線路を用いることによって、同じ線路長を有する従来の伝送線路と比較して不要輻射強度が抑圧される量を縦軸に、通過位相値から導出される本実施形態の伝送線路の実効線路長を各周波数での実効波長で規格化した値を横軸に設定し、図14の結果を模式的に再プロットしたものを示す。すなわち、図15において、横軸が0.5の状態は、実効線路長Leffが実効波長の半分である場合に相当し、横軸が1の場合は実効線路長Leffが実効波長の1倍である場合に相当する。なお、図14にはプロットしなかった回転回数Nr=0.5の場合の本実施形態の伝送線路の特性も、図15に追加してプロットしている。
図15に示すように、不要輻射強度抑圧効果が開始するのは、横軸が0.5に達した場合であり、0.5という値は回転回数Nrに依存しないことが判る。また、不要輻射抑圧効果が最大化するのは、横軸が1に達した場合であり、1という値も回転回数Nrに依存しない。一方、横軸が1以上になった場合は回転回数Nrの違いは大きく特性を左右する。回転回数Nr=1では、横軸が1より大きい値に延長されても不要輻射抑圧効果は消失せずに持続する。一方、回転回数Nr=0.5では、従来の伝送線路より不要輻射が増えることはないが、線路長の増加に伴い抑圧効果は収束に向かうため、広い条件で不要輻射抑圧効果を得ることは困難である。回転回数が0.5より大きな値をとることが、広い条件範囲で不要輻射抑圧効果を得るためには重要である。
なお、上記説明で回転回数Nrを本実施形態の伝送線路のパラメータとして挙げているが、上述においても説明したように、回転回数Nrは、伝送線路の電流ループがいかに分断されているかの程度を示すパラメータであり、第3、第4の信号導体を用いて局所的な信号導体の配向を信号伝送方向と90度以上傾けて設定すれば、回転回数Nrが小さい設定でも不要輻射の効果を増大せしめることが可能である。
次に、本実施形態の伝送線路についてのいくつかの実施例について以下に説明する。
実施例として、誘電率3.8、総厚250μmの誘電体基板の表面上に銅配線により厚さ20μm、線路幅75μmの信号導体を形成し、裏面全面にも同じく銅配線により厚さ20μmの接地導体層を形成して、マイクロストリップ線路構造を構成した。総配線領域幅Wは500μmとし、回転方向反転構造内で第1の信号導体及び第2の信号導体を回転回数Nrでもって湾曲させるように形成した。具体的には、信号導体の回転回数Nrが0.75回転の回転方向反転構造を有しかつ伝送方向反転部を有する伝送線路を本発明の実施例1とし、回転回数Nrが1回転の回転方向反転構造を有しかつ伝送方向反転部を有する伝送線路を実施例2として作製した。また、これらの実施例1及び2に対する比較例として、Nrが0.5回転の回転方向反転構造を有しているものの、伝送方向反転部を有していない伝送線路を作製した。なお、実施例1及び2並びに比較例の伝送線路において、総配線領域幅Wが500μmとなるように、比較例の伝送線路の線路幅は100μmに設定した。また、実施例1の伝送線路においては、回転方向反転構造を連続して24周期接続した構造を採用し、実施例2の伝送線路においては、連続して21周期接続した構造を採用し、比較例の伝送線路においては、連続して27周期接続した構造を採用し、さらにそれぞれの伝送線路の線路長を15mmとして作製した。
これらの実施例1及び2並びに比較例1の伝送線路に対して、不要輻射強度の測定を行った。その測定結果として図16に、比較例(回転回数Nr=0.5)、実施例2(回転回数Nr=1)からの不要輻射強度の周波数依存性を示す。なお、従来構成の直線状の伝送線路との比較のため、同一配線本数密度、同一線路長の従来例の伝送線路における特性も図16に加えた。なお、不要輻射強度は入力電圧に対するアンテナ利得として示しており、横軸は周波数の対数表示である。図16に示すように、比較例及び実施例2の伝送線路は共に、常に従来例の伝送線路よりも低い不要輻射利得を示したが、比較例(Nr=0.5)では6GHzから25GHzの周波数範囲でのみ従来例よりも僅かに強い不要輻射抑圧効果を得られたのに対して、実施例2(Nr=1)では3GHz以上の全ての周波数範囲で、特に強い不要輻射抑圧効果が得られることを確認した。
さらに、図17には、実施例1及び2並びに比較例の伝送線路における不要輻射特性の実効線路長Leff依存性を示す。図17において、縦軸は、デシベル表示での従来例を比較対象とした不要輻射利得の抑圧量であり、横軸は、実効線路長Leffを実効波長で規格化した無次元数Xである。横軸の値は伝送線路の通過信号の位相進行量から導出することが可能であり、X=0.5では、実効線路長Leffは伝送周波数の実効波長の半分に相当し、X=1では、実効線路長Leffは伝送周波数の実効波長の1倍に相当している。
図17に示すように、実効線路長が伝送周波数の実効波長の半分未満の場合、本発明の伝送線路からの不要輻射強度は、電磁波に対して相対的に線路長が短い場合には、従来の伝送線路より抑圧はされるものの、その抑圧量は0.5dB程度に留まっている。次に、実効線路長Leffが伝送周波数の実効波長の半分を超えると、線路長に依存した効果が働き始めて不要輻射強度は低下しはじめ、実効線路長Leffが伝送周波数の実効波長の1倍になると、改善量は最大値に達する。改善量の最大値は回転回数Nrにも依存し、実施例2(Nr=1)で12dB、実施例1(Nr=0.75)では約8dBにも達している。また、線路長が実効波長の1倍よりも長い距離に延長された場合でも、改善量は若干減少するものの、従来例の不要輻射量を上回る不要輻射は観測されなかった。特に、実施例2(Nr=1)では7.8dB、実施例1(Nr=0.75)では4dBの抑圧量が、測定した範囲の上限値においても継続して得られた。また、図17より明らかなように、回転回数Nr=0.5である比較例においては、改善が得られる横軸の範囲が1付近の値に限定されており、従来例の不要輻射量を上回る不要輻射は観測されないものの、実施例1及び2と比して不要輻射強度抑制の効果は低かった。
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
2005年3月30日に出願された日本国特許出願No.2005−97370号の明細書、図面、及び特許請求の範囲の開示内容は、全体として参照されて本明細書の中に取り入れられるものである。
本発明にかかるシングルエンドの伝送線路は、周辺空間への不要輻射強度の抑圧が可能であり、結果的に、密配線による回路面積縮小、従来では信号漏洩が原因で困難であった回路の高速動作、を両立させることが可能となる。また、フィルタ、アンテナ、移相器、スイッチ、又は発振器等の通信分野の用途にも広く応用でき、電力伝送やIDタグなどの無線技術を使用する各分野においても使用され得る。
本発明は、マイクロ波帯、およびミリ波帯などのアナログ高周波信号、もしくはデジタル信号を伝送するシングルエンド伝送線路、さらにこのような伝送線路を含む高周波回路に関する。
このような従来の高周波回路において、伝送線路として用いられているマイクロストリップ線路の模式的な断面構成を図18Aに示す。図18Aに示すように、誘電体又は半導体からなる基板101の表面に信号導体103が形成されており、基板101の裏面には接地導体層105が形成されている。このマイクロストリップ線路に高周波電力が入力されると、信号導体103から接地導体層105の方向へ電界が生じ、電気力線に垂直に信号導体103を囲む方向に磁界が生じ、その結果、この電磁界が信号導体103の幅方向と直交する長さ方向へ高周波電力が伝播させる。なお、マイクロストリップ線路において、信号導体103や接地導体層105は必ずしも基板101の表面や裏面に形成される必要はなく、基板101を多層回路基板として実現すれば、信号導体103や接地導体層105を回路基板の内層導体面内に形成することも可能である。
高周波信号がマイクロストリップ線路を伝送する際には、当該伝送線路周辺に高周波磁界の分布を伴うため、遠方自由空間への電磁波の不要輻射が発生する。ストリップ線路のように、信号導体をはさんで両側に接地導体が配置され電磁気的に外界とシールドされている構造なら不要輻射をある程度抑制できるが、マイクロストリップ線路は基板の片側にしか接地導体を有しないため、原理的に自由空間への不要輻射を抑制することができない。
以上説明したのは、シングルエンドの信号を伝送する場合の伝送線路についてであるが、図18Bに線路構造の断面図を示すように、マイクロストリップ線路構造103a、103bを2本平行に配置し、それぞれに逆位相の信号を伝送させることにより、差動信号伝送線路として用いれば不要輻射を低減することが可能である。しかし、この場合、対の信号導体が必要となるため、回路占有面積が増大するという問題が生じる。また、回路内の能動素子にバイアスを供給するバイアス線路は、本来高周波信号が重畳しないはずであるが、回路内での処理が不十分な場合、高周波信号が漏洩し、不要輻射の原因となる。バイアス線路は、直流供給のための線路なので差動構成を採用できない。すなわち、バイアス線路はマイクロストリップ線路構造を採用せざるを得ないので、不要輻射を低減する構成が必要となる。
ここで、図19に示す典型的な伝送線路の模式斜視図を用いて、不要輻射の発生の原理を説明する。直線状の伝送線路291は、誘電体基板101の裏面に形成された接地導体105をその接地導体部分として、また、誘電体基板101の表面281において直線状に配置された1本の信号導体をその信号導体部分として構成されている。この伝送線路291の両端がそれぞれ図示されていない抵抗により終端されると、伝送線路291を、電流が流れる閉じた電流ループ293aに置換して考えることによって、1本の伝送線路291の持つ高周波回路特性、ここでは不要輻射の起源を理解することができる。図19に示すように、電流ループ293aに流れた高周波電流により、電流ループ293aを貫く高周波磁場855が誘起され、遠方の空間にはこの高周波磁場855に伴った放射が生じる。ここで、高周波磁場855の強度は、電流ループ293aのループ面積Aに比例するので、電流ループ293aのループ面積Aと放射電界強度Eの間には比例関係が成立する。また、高周波電流の周波数fの二乗と放射電界強度Eの間にも比例関係が成立し、更には流れる高周波電流の電流量Iと放射電界強度Eの間にもそれぞれ比例関係が成立する。すなわち、高周波回路において、伝送線路長が増大するほどループ面積Aが増加するので不要輻射も増加するし、高速の信号を伝送するほど、更には電流量が増加すると不要輻射は増加する傾向にある。
シグナル・インテグリティ入門(CQ出版社2002年)pp.79
しかしながら、従来のマイクロストリップ線路においては、以下に示す原理的な課題がある。
従来のマイクロストリップ線路構造は、電磁気的に完全なシールドを伴わないため不要輻射量が多いという欠点がある。電子機器から漏洩する不要輻射量については国際的に遵守すべき規格が設けられており、回路内の意図せぬ共振現象と結合して不要輻射源とならぬよう、不要輻射ができるだけ低減可能な回路構造の採用が必要である。しかしながら、扱う信号が高速化するほど伝送信号には高周波成分が含まれるため、不要輻射強度が増大するという問題がある。
ここで従来例の高周波回路として、誘電率3.8、厚さH=250μmでその裏面の全面を接地導体層105とした樹脂材料の誘電体基板101の表面に、配線幅W=100μmの1本の信号導体、すなわち伝送線路291を直線状に線路長1.5cmにて配置した構造の高周波回路を作製し、回路基板から発生する不要輻射強度を十分遠方で測定した。なお、信号導体は、導電率3×10S/m、厚さ20μmの銅配線とした。その測定結果として、縦軸を不要輻射利得(dB)、横軸を周波数(GHz)とした不要輻射強度の周波数依存性を示すグラフ形式の図を図20に示す。図20に示すように、入力電力に対する各周波数での不要輻射最大利得は、周波数1GHzでマイナス51.5dB、周波数2GHzでマイナス40.1dB、周波数5GHzでマイナス26.4dB、周波数10GHzでマイナス20.1dB、周波数20GHzでマイナス16.0dBと、周波数が上がるにつれ増大する傾向を示した。
このような従来例の高周波回路における測定結果からも明らかなように、従来のシングルエンド伝送線路の技術では、不要輻射の抑制が求められながら、高周波帯域にて不要輻射を抑制することが原理的に困難なため、その要求を満たすことが困難であるという問題がある。
従って、本発明の目的は、上記問題を解決することにあって、マイクロ波帯、およびミリ波帯などのアナログ高周波信号、もしくはデジタル信号を伝送し得る伝送線路において、不要輻射の抑制という効果を得ることができる伝送線路を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の第1態様によれば、誘電体又は半導体により形成された基板の一方の面に配置され、当該面内における第1の回転方向に湾曲するように形成された第1の信号導体と、
上記第1の回転方向と逆方向である第2の回転方向に湾曲するように形成され、上記面において上記第1の信号導体と電気的に直列に接続して配置された第2の信号導体とを備え、
少なくとも上記第1の信号導体の一部及び上記第2の信号導体の一部を含んで、伝送線路全体における信号の伝送方向に対して反転された方向に信号が伝送される伝送方向反転部が構成された一本の伝送線路を提供する。
すなわち、線状の上記第1の信号導体を上記第1の回転方向に湾曲させるように形成し、当該第1の信号導体における終端と、上記第2の信号導体の始端とを電気的に接続し、線状の当該第2の信号導体を上記第2の回転方向に湾曲させるように形成することにより、回転方向反転構造が構成されている。
ここで、「回転方向反転構造」とは、線状の信号導体により形成される電気的に一続きの線路であって、当該線路において伝送される信号の向き(方向)を、上記第1の回転方向から上記第2の回転方向へと反転させる構造を有する線路である。
さらに、伝送線路において、上記第1の信号導体、上記第2の信号導体、あるいは他の信号導体により、上記伝送線路全体における信号の伝送方向に対して反転された方向に信号を伝送する部位である「伝送方向反転部」が構成されている。
また、上記第1態様の伝送線路においては、回転方向反転構造内において信号導体を異なる向きに湾曲させて接続することにより、電流が流れた場合に発生する磁界の向きを局所的に変えることができる。この結果、不要輻射を増大させていた伝送線路の電流ループの長さ方向の連続性を局所的に分断することができ、遠方界への不要輻射を低い強度に抑圧することができる。
さらに、信号の伝送方向を反転させる伝送方向反転部が設けられていることにより、当該伝送方向反転部において逆向きの磁界を発生させて、伝送線路全体において発生される磁界同士を相殺させるようにし、不要輻射強度をより低減させることができる。
本発明の第2態様によれば、上記第1の信号導体と上記第2の信号導体における上記それぞれの湾曲の形状が円弧形状である第1態様に記載の伝送線路を提供する。
本発明の第3態様によれば、上記第1の信号導体と上記第2の信号導体との接続部の中心に対して、当該第1の信号導体と当該第2の信号導体とが点対称に配置される第1態様に記載の伝送線路を提供する。
本発明の第4態様によれば、上記第1の信号導体及び上記第2の信号導体のそれぞれは、180度以上の回転角度を有する上記湾曲形状を備える第1態様に記載の伝送線路を提供する。
本発明の第5態様によれば、上記伝送方向反転部は、上記伝送線路全体における信号の伝送方向に対して、90度を超える角度を有する方向をその信号の伝送方向とする第1態様に記載の伝送線路を提供する。
本発明の第6態様によれば、上記伝送方向反転部は、上記伝送線路全体における信号の伝送方向に対して、180度の角度を有する方向をその信号の伝送方向とする第5態様に記載の伝送線路を提供する。
本発明の第7態様によれば、上記第1の信号導体と上記第2の信号導体とを電気的に接続する第3の信号導体(導体間接続用信号導体)をさらに備え、上記第3の信号導体を含んで、上記伝送方向反転部が構成される第1態様に記載の伝送線路を提供する。
本発明の第8態様によれば、上記第1の信号導体と上記第2の信号導体とが誘電体を介して電気的に接続され、上記誘電体、上記第1の信号導体、及び上記第2の信号導体がキャパシタ構造を形成する第1態様に記載の伝送線路を提供する。
本発明の第9態様によれば、上記第1の信号導体及び上記第2の信号導体が、伝送信号の周波数において、それぞれ非共振な線路長に設定される第1態様に記載の伝送線路を提供する。
本発明の第10態様によれば、上記第3の信号導体が、伝送信号の周波数において、非共振な線路長に設定される第7態様に記載の伝送線路を提供する。
なお、上記伝送信号の周波数とは、例えば、伝送帯域の上限周波数のことである。
本発明の第11態様によれば、上記第1の信号導体と上記第2の信号導体とが電気的に接続されて構成された回転方向反転構造が、上記伝送線路全体における信号の伝送方向に対して、複数直列に接続される第1態様に記載の伝送線路を提供する。
本発明の第12態様によれば、隣接する上記回転方向反転構造が、第4の信号導体(構造間接続用信号導体)により接続される第11態様に記載の伝送線路を提供する。
本発明の第13態様によれば、上記第4の信号導体は、上記伝送線路全体における信号の伝送方向と異なる方向に配置される第12態様に記載の伝送線路を提供する。
上記第11態様のように、上記複数の回転方向反転構造を直列に接続して伝送線路を形成すれば、伝送信号に対して連続的に本発明の有利な効果を与えることができる。また、上記複数の回転方向反転構造は直接接続されるような場合であっても良いし、また、第13態様のように、第4の信号導体により接続されるような場合であっても良い。
本発明の第14態様によれば、伝送信号の周波数における実効波長の0.5倍以上の実効線路長に渡って、上記複数の回転方向反転構造が配置された第11態様に記載の伝送線路を提供する。
本発明の第15態様によれば、伝送信号の周波数における実効波長の1倍以上の実効線路長に渡って、上記複数の回転方向反転構造が配置された第11態様に記載の伝送線路を提供する。
上記第14態様や第15態様のように、伝送信号の周波数における実効波長の0.5倍以上、さらに好ましくは1倍以上の実効線路長にわたり上記回転方向反転構造を連続して配列すれば、本発明の伝送線路では不要輻射抑制効果をより強めることができる。
なお、本発明の伝送線路において、上記第1及第2の信号導体、さらに上記第3の信号導体、及び上記第4の信号導体は、それぞれ伝送する電磁波の波長に対して短い線路長に設定されることが伝送信号の共振を回避するためには好ましい。具体的には、各構造の実効線路長は伝送信号の周波数における電磁波の実効波長の1/4未満に設定されることが好ましい。
また、本発明の伝送線路の上記回転方向反転構造内においては、第1の信号導体と第2の信号導体の接続部、若しくは、第1の信号導体と第2の信号導体を接続する上記第3の信号導体の中心を回転軸として、第1の信号導体と第2の信号導体が回転対称の関係で配置されることが好ましい。また、何らかの理由で回転対称性の維持が困難な場合でも、第1の信号導体と第2の信号導体の回転回数Nrを等しくすることにより本発明の有利な効果を得ることができる。
また、本発明の伝送線路において不要輻射を抑制するためには、第1の信号導体、および第2の信号導体の回転回数Nrはそれぞれ0.5以上に設定することが好ましく、現実的な使用条件では0.75以上2以下の範囲内にて設定することがより好ましい。
本発明の伝送線路によれば、従来の伝送線路よりも極めて少ない強度にまで遠方空間への不要電磁波輻射を抑制することが可能となるものである。従って、極めて配線密度が高く、省面積で、高速動作時にも誤動作が少ない高周波回路の提供が可能となる。
本発明の記述を続ける前に、添付図面において同じ部品については同じ参照符号を付している。
以下本発明の実施の形態について、不要輻射を抑制する原理について、図面を参照しながら説明する。
(実施形態)
本発明の一の実施形態にかかる伝送線路2の模式平面図を図1に示す。図1に示すように、伝送線路2は、誘電体基板1の表面に形成された1本の信号導体3と、誘電体基板1の裏面に形成された接地導体層5とを備えている。また、信号導体3は、後述する回転方向反転構造7という大略螺旋形状の回転構造を有する信号導体部分を備えている。まず、このような伝送線路2が有する回転方向反転構造7の詳細な構造の説明、並びに当該構造により得られる不要輻射抑制の原理について、具体的に説明する。
また、当該説明にあたって、図1に示す伝送線路2の模式平面図を図2Aに示し、また、図2Aの伝送線路2におけるA1−A2線断面図を図2Bに示す。
図2A及び図2Bに示すように、誘電体基板1の表面には信号導体3が、裏面には接地導体層5が形成されており、これらにより伝送線路2が構成されている。仮に、図2Aにおいて図示左側から右側へと信号を伝送する場合、本実施形態の伝送線路2の信号導体3は、少なくとも一部の領域において、基板1の表面内における第1の回転方向(図示時計方向)R1に高周波電流を1回転だけ螺旋形状に回転させる(すなわち、360度回転させる)第1の信号導体7aと、第1の回転方向R1とは逆方向の第2の回転方向(図示反時計方向)R2に高周波電流を1回転だけ螺旋形状に回転させる(すなわち反転させる)第2の信号導体7bが、接続部9において接続された構造となっている。本実施形態においては、このような構造が回転方向反転構造7となっている。なお、図2Aに示す信号導体3において、第1の信号導体7aと第2の信号導体7bとの範囲を明確に示すために、それぞれの信号導体7a及び7bには、互いに異なるハッチング模様を付している。
図2Aに示すように、回転方向反転構造7は、所定の線路幅wを有する信号導体により形成されており、第1の回転方向R1に向けて湾曲されて形成された滑らかな円弧による螺旋形状を有する第1の信号導体7aと、第2の回転方向R2に向けて湾曲されて形成された滑らかな円弧による螺旋形状を有する第2の信号導体7bと、第1の信号導体7aの一の端部と第2の信号導体7bの一の端部とを電気的に接続する接続部9とを備えている。さらに、図2Aに示すように、第1の信号導体7aと第2の信号導体7bは、接続部9の中心を基点として、回転対称(あるいは点対称)の配置関係にあり、接続部9の中心において誘電体基板101を垂直に貫通する軸(図示せず)が、上記回転対称の回転軸に相当する。
さらに、図2Aに示すように、回転方向反転構造7において、第1の信号導体7aは、その湾曲曲率が比較的小さな半円弧形状の信号導体と、その湾曲曲率が比較的大きな半円弧形状の信号導体とが接続されることにより、360度回転構造を有する螺旋形状の信号導体を形成しており、第2の信号導体についても同様である。そして、上記湾曲曲率が大きな2本の半円弧形状の信号導体が、接続部9において互いに電気的に接続されることにより、回転方向反転構造7が構成されている。なお、図2Aに示すように、回転方向反転構造7のそれぞれの端部、すなわち、第1の信号導体7aの外側端部及び第2に信号導体7bの外側端部は、略直線状の外部信号導体4に接続されている。
また、回転方向反転構造7において、仮に図示左側から右側への方向を伝送線路2全体における信号の伝送方向とした場合に、当該伝送方向が反転された方向に信号を伝送する伝送方向反転部8(図示点線で囲まれた部分)が構成されている。なお、この伝送方向反転部8は、第1の信号導体7aの一部と第2の信号導体7bの一部とにより構成されている。
ここで、伝送線路における信号の伝送方向について、図21に示す伝送線路の模式平面図を用いて以下に説明する。本明細書において、信号導体の形状が湾曲された形状を有している場合には、伝送方向とはその接線方向であり、信号導体の形状が直線形状を有しているような場合には、伝送方向とはその長手方向となる。具体的には、図21に示すように、直線形状を有する信号導体部分と、円弧形状を有する信号導体部分とを有する信号導体503により構成された伝送線路502を例とすると、直線形状の信号導体部分における局所的な位置P1及びP2においては、その伝送方向Tは、信号導体の長手方向である図示右向き方向となる。一方、円弧形状を有する信号導体部分における局所的な位置P2〜P5においては、当該局所的な位置P2〜P5における接線方向がそれぞれの伝送方向Tとなる。
また、図21の伝送線路502において、その伝送線路502全体における信号の伝送方向65を図示右向きとし、この方向をX軸方向、このX軸方向に同一平面において直交する方向をY軸方向とすると、位置P1〜P6におけるそれぞれの伝送方向Tは、X軸方向の成分であるTxと、Y軸方向の成分であるTyとに分解することができる。位置P1、P2、P5、及びP6においては、Txが+(プラス)X方向の成分となる一方、位置P3及びP4においては、Txが−(マイナス)X方向の成分となる。本明細書においては、このようにその伝送方向が−X方向の成分を含む部分が、「伝送方向反転部」となっている。具体的には、位置P3及びP4は、伝送方向反転部508内における位置であり、図21の信号導体において、ハッチングを付した部分が伝送方向反転部508となっている。本実施形態の伝送線路においては、必ずこのような伝送方向反転部が含まれて構成される。なお、このような伝送方向反転部が配置されることにより得られる効果等についての説明は後述する。
また、図3の本実施形態の変形例にかかる伝送線路12の模式平面図に示すように、回転方向反転構造7を複数回直列に接続して、伝送線路12を構成することが本発明の有利な効果を得るためには好ましい。図3では互いに隣接されるそれぞれの回転方向反転構造7は、他の信号導体を介することなく、直接的に接続された構成となっている。
また、図4の本実施形態の変形例にかかる伝送線路22の模式平面図に示すように、回転方向反転構造27内の第1の信号導体27a及び第2の信号導体27bの回転回数Nrの設定を、図2Aにおける回転方向反転構造7におけるNr=1回とは異なり、Nr=0.75回と設定するような場合であっても良い。また、図5の伝送線路32の模式平面図に示すように、回転方向反転構造37内の第1の信号導体37a及び第2の信号導体37bの回転回数Nrを1.5回に設定するような場合であっても良い。いずれの伝送線路22、32も、回転方向反転構造27、37及び伝送方向反転部28、38が含まれた構成が採用されている。なお、図4の伝送線路22及び図5の伝送線路32においては、図示点線で囲まれた部分が伝送方向反転部28、38であり、図5の伝送線路32の各回転方向反転構造37においては、伝送方向反転部38は2つの部分に分けて構成されている。また、図示はしていないが、これ以外の回転回数Nrを設定するような場合であっても良いが、上記それぞれの変形例の伝送線路のように、回転方向反転構造及び伝送方向反転部が含まれるように、回転回数Nrを設定する必要がある。
ただし、不要輻射抑制の目的では、回転方向反転構造内の回転回数Nrの設定は、大きい値となるほど有利な効果が得られるものの、第1の信号導体と第2の信号導体の電気長が伝送電磁波の実効波長に対して無視できない線路長に達すると、本発明の効果が失われることにもなる。また、回転回数Nrの増加は、総配線領域幅Wの増加も招き、回路の省面積化にとって好ましくない。また、総配線長の増加は、信号遅延の原因ともなると考えられる。また、伝送周波数帯域の上限においては電磁波の実効波長は短くなるので、回転数を高く設定すれば、第1の信号導体及び第2の信号導体の配線長が電磁波波長に近づき共振条件に近づくことにもなるため反射が生じやすくなり、本発明の伝送線路の使用帯域が制限されることになり、実用上好ましくない。このような信号の不要な反射は、伝送される信号の強度低下や不要な輻射につながるだけでなく、群遅延特性の劣化を招いてしまうためシステムとしては伝送エラーレートの低下につながり好ましくない。よって、第1の信号導体及び第2の信号導体における回転回数Nrの実用的な設定上限は、通常の用途では2回転以下とすることが好ましい。
なお、本実施形態の伝送線路2においては、信号導体3が誘電体基板1の最表面に形成されている場合にのみ限られるものではなく、内層導体面(例えば、多層構造基板における内層表面)に形成されているような場合であっても良い。同様に、接地導体層5も誘電体基板1の最裏面に形成されている場合にのみ限られるものではなく、内層導体面に形成されているような場合であっても良い。すなわち、本明細書において、基板の一方の面(あるいは表面)とは、単層構造の基板あるいは積層構造の基板における最表面若しくは最裏面、又は内層表面のことである。
具体的には、図22の伝送線路2Aの模式断面図に示すように、誘電体基板1の一方の面(図示上面)Sに信号導体3が配置され、他方の面(図示下面)に接地導体層5が配置された構造において、誘電体基板1の一方の面Sに別の誘電体層L1が配置され、接地導体層5の下面にさらに別の誘電体層L2が配置されるような場合であってもよい。さらに、図23の模式断面図に示す伝送線路2Bのように、誘電体基板1自体が複数の誘電体層1a、1b、1c、及び1dからなる積層体L3として構成され、この積層体L3の一方の面(図示上面)Sに信号導体3が配置され、他方の面(図示下面)に接地導体層5が配置されるような場合であってもよい。また、図22に示す構成と図23に示す構成とが組み合わされた構成を有する図24に示す伝送線路2Cのように、積層体L3の一方の面Sに別の誘電体層L1が配置され、接地導体層5の下面にさらに別の誘電体層L2が配置されるような場合であってもよい。図22から図24のいずれの構成の伝送線路2A、2B、及び2Cにおいても、符号Sにて示す表面が「基板の表面(一方の面)」となる。
また、図2Aに示す伝送線路2においては、第1の信号導体7aと第2の信号導体7bの間は接続部9において直接接続されているが、本実施形態にかかる伝送線路は、このような場合についてのみ限られるものではない。このような場合に代えて、例えば、図6の模式平面に示す伝送線路42のように、回転方向反転構造47において第1の信号導体47aと第2の信号導体47bとが、直線(若しくは非回転構造)の導体間接続用信号導体の一例である第3の信号導体47cを介して接続されるような場合であっても良い。この場合、第3の信号導体47cの中点を180度回転対称の回転軸と設定することができる。なお、図6に示す伝送線路42において、図示点線にて囲まれた部分である伝送方向反転部48は、第1の信号導体47aの一部と、第2の信号導体47bの一部と、第3の信号導体47cの全部とにより構成されている。
また、回転方向反転構造7の接続部9には、信号導体が配置されるような場合に限られるものではない。このような場合に代えて、例えば、図7に示すように、伝送線路52の回転方向反転構造57において、第1の信号導体57aと第2の信号導体57bと電気的に接続する接続部59に誘電体57cが配置され、通過する高周波信号にとって通過可能となるに十分な容量値を有するキャパシタで高周波的に両者が接続されるような場合であっても良い。このような場合にあっては、回転方向反転構造57がキャパシタ構造を有することとなる。なお、図7の伝送線路52において、図示点線にて囲まれた部分である伝送方向反転部58は、第1の信号導体57aの一部と、第2の信号導体57bの一部と、誘電体57cとにより構成されている。
また、図3に示す伝送線路12においては、隣接する回転方向反転構造7の間には、その他の導体を介させることなく、直接接続としたが、このように直接接続が行われるような場合についてのみ限られるものではない。このような場合に代えて、例えば、図6に示す伝送線路42のように、直線(若しくは非回転構造等)の構造間接続用信号導体の一例である第4の信号導体47dを介して、隣接する回転方向反転構造47同士を接続するような場合であっても良い。また、図示はしないが、このような構造間の電気的な接続は、動作帯域の下限周波数の電磁波に対しても良好な通過特性を提供しうる容量でキャパシタを構成するように行われるような場合であっても良い。
また、信号導体を所定の回転方向に湾曲させて形成する第1の信号導体7a及び第2の信号導体7bは、必ずしも螺旋円弧形状である必要はなく、多角形、矩形の配線の足し合わせによって構成されてもよいが、信号の不要な反射を回避するためには、なだらかな曲線を描いて実現されることが好ましい。信号伝送経路が曲げられると回路的にはシャントのキャパシタンスが発生するため、この効果を減じるため、第1の信号導体及び第2の信号導体は、第3の信号導体や第4の信号導体の線路幅と比べて細い線路幅wでその一部が実現されるような場合であっても良い。
また、一の回転方向反転構造において、第1の信号導体と第2の信号導体の回転回数Nrは、その設定が必ずしも同じである場合にのみ限られるものではないが、回転回数Nrを等しく設定されることが好ましい。また、このように回転回数Nrを一の回転方向反転構造において考えるような場合に代えて、一の回転方向反転構造における第1の信号導体と第2の信号導体の組み合わせと、上記一の回転方向反転構造に隣接配置される回転方向反転構造における第1の信号導体と第2の信号導体の組み合わせを考慮して、総回転回数Nrの和が0(ゼロ)に近い値になるよう設定するような場合であっても、本発明の有利な効果を得ることができる。
また、第1の信号導体7a、第2の信号導体7b、及び接続部9により構成され、伝送方向反転部8を含む回転方向反転構造7を少なくとも1個以上有していれば、本発明の効果を得ることができるが、特に回転方向反転構造7が複数配列されていることがより好ましい。
なお、本発明の伝送線路内において回転方向反転構造を複数回直列に接続する場合、例えば図5に示したように、一の回転方向反転構造37が有する第2の信号導体37bと、当該一の回転方向反転構造37に隣接する別の一の回転方向反転構造37が有する第1の信号導体37aとの互いの回転方向が逆向きに設定される配置すれば、良好な不要輻射抑制効果を得ることが可能である。
また、図8の模式平面図に示す伝送線路62のように、隣接する回転方向反転構造67、67間を、信号の伝送方向65に平行な第4の信号導体67dを用いて接続することにより、回転方向反転構造67(図示左端に配置)に含まれる第2の信号導体67bと、隣接する回転方向反転構造67(図示中央に配置)に含まれる第1の信号導体67aとを、同一の回転方向(すなわち第2の回転方向R2)に設定することも同様に可能である。
また、図9の伝送線路72のように、第4の信号導体77dを、信号の伝送方向65に対して平行に配置させず、傾斜された方向に配置させることも同様に可能である。なお、図9の伝送線路72のように、隣接する回転方向反転構造77同士を接続する第4の信号導体77dが、略直線状に形成されながら、信号伝送方向65に対して傾斜された方向に配置されるような構造においては、それぞれの回転方向反転構造77は同じ配置形状となる。
また、第4の信号導体を伝送する間に伝送信号の位相が極端に回転することは好ましくないので、第4の信号導体の線路長は伝送される信号の周波数における実効波長の4分の1未満の線路長に設定されることが好ましい。
また、本発明の伝送線路を用いる場合、群遅延特性に関しては、2種類の問題が存在することが考えられる。第1の問題は総遅延量の増大であり、第2の問題は高周波になるほど遅延量が増大する遅延分散の問題である。上記第1の問題である総遅延量の増大は、本発明の伝送線路を用いる際には、根本的には不可避の問題である。しかしながら、本発明の伝送線路における配線の引き伸ばしによる遅延量増加の度合いは、従来の伝送線路と比べて数%から数十%程度の遅延量増加に留まる範囲であり、この程度の遅延量の増加は実用上大きな問題にはならない。
また、上記第2の問題として挙げている伝送帯域の高周波側に向かうほど遅延量が増大して、伝送パルス形状の崩れの要因となる遅延分散については容易に回避可能である。これは、本発明の構造内の各部位が電磁波の実効波長に対して無視できない電気長に達することにより生じる問題である。一般に、平面高周波回路の伝送線路構造は線路幅と基板厚の比を保つことにより同じ等価インピーダンスの伝送線路を実現することができるので、基板厚を薄く設定するほど総線路幅は縮小される。よって、各部位の電気長も実効波長に対して無視できるようになり、本発明の有利な効果を減じることなく、上記第2の問題として挙げた遅延分散の問題を解決することができる。
ここで、例として、本発明の伝送線路の構造を基板厚H1が大きい誘電体基板に形成した場合の伝送線路82の模式平面図を図10Aに示し、これに対して、本発明の伝送線路を基板厚H2が小さい誘電体基板に形成した場合の伝送線路92の模式平面図を図10Bに示し、両者の構成を比較する。図10Aに示す伝送線路82においては、総線路幅W1が大きく設定されることになるので、回転方向反転構造87をはじめとする各部位が大きくなっているが、図10Bに示す伝送線路92においては、回路基板厚の低減に伴い総線路幅W2(すなわちW2<W1)が小さく設定されるので、回転方向反転構造97をはじめとする回路を構成する各部位の電気長は縮小されることがわかる。このことは、回路構造を薄く、配線幅をできる限り微細にしていく高密度配線化のトレンドが進行するほど、本発明の伝送線路構造の対応できる伝送帯域の上限周波数を向上させることが可能であることを示している。
次に、本実施形態の伝送線路の採用が、不要輻射抑制について、従来の伝送線路に対して有利な効果を有することを説明するとともに、そのために採用すべき条件について説明する。
図19に示した従来の伝送線路からの不要輻射の強度が増大するのは、伝送線路の長さ方向にわたって連続した長い電流ループ293aが形成されるので、形成された電流ループを鎖交する高周波磁場855の向きは連続して一方向に向けられるとともに、当該形成された電流ループのループ面積を小さな値に保つことができないことが要因と考えられる。ここで、図2A及び図2Bにおいて説明した本実施形態の伝送線路2の平面的な模式説明図を図11に示し、この伝送線路2に高周波電流を伝送させた場合に生じる高周波磁場について図11の模式説明図を用いて以下に説明する。
図11に示すように、伝送線路2においては、例えば、その回転回数Nrが1回転に設定された回転方向反転構成7が1つ形成されている。この伝送線路2において、伝送線路全体として図示矢印65の方向(信号伝送方向)、すなわち図示左側から図示右側へ向けて高周波電流305を進行させると、回転方向反転構造7における局所的な部位において、信号伝送方向65とは異なる向きに当該電流305が伝送されることとなる。すなわち、回転方向反転構造7は、第1の回転方向R1に湾曲された第1の信号導体7aと第2の回転方向R2に湾曲された第2の信号導体7bとにより構成されているため、その局所的な部位において、信号導体の配置方向が変化し、その結果、伝送される電流305の向きが微小な周期で変化されることとなる。このように伝送される高周波電流305の向きが変化されることにより、回転方向反転構造7における局所的な部位において様々な向き301a、301b、301c、301d、301e、301f、及び301gに高周波磁場が発生されることとなる。
このように高周波磁場の向き301a〜301gが様々な向きとされることにより、従来の伝送線路では線路長全長に渡って連続していた巨大な電流ループを局所的に分断させるように、回転方向反転構造7において、局所的に分断された小さなループ面積の電流ループの集合体が生じることとなる。図11に示すように、例えば、従来の伝送線路と同様な向き855に生じている高周波磁場301b、301fと逆向きに、すなわち180度反転させた向きに高周波磁場301d、301eを生じさせることができ、また、信号伝送方向65と同じ向きに生じている高周波磁場301cと逆向きに高周波磁場301a、301gを生じさせることができる。このように、回転方向反転構造7内において、様々な向きに高周波磁場を生じさせることができることにより、不要輻射の低減効果を得ることができる。
特に、図11の伝送線路2において、局所的に高周波電流305を信号伝送方向65とは逆の方向に流す部位(伝送方向反転部8)が設けられていることにより、伝送線路に生じる高周波磁場を互いに相殺するような成分を生じさせることができ、不要輻射の低減効果をより効果的に得ることができる。具体的には、図11の伝送線路2において、回転方向反転構造7の内側に配置されたその湾曲の曲率が大きな別の回転方向反転構造8を構成する信号導体において、信号伝送方向65とは逆の方向に高周波電流305が流れる、すなわち信号の伝送方向を信号伝送方向65に対して反転させる構成となっており、この部分が伝送方向反転部8となっている。なお、本明細書において、「信号の伝送方向を反転させる」とは、図11に示すように、信号伝送方向65をX軸方向、このX軸方向に直交する方向をY軸方向とした場合において、信号導体における伝送される信号の方向を表すベクトルに、少なくとも−x成分が生じるようにすることである。
このように、従来の伝送線路における磁場の向き855に対して90度を超える角度だけ反転された方向、より好ましくは完全に反転された方向(180度の方向)に局所的な高周波磁場を発生させる条件を成立させることが、本発明の伝送線路の好ましい条件である。回転方向反転構造の回転回数Nrが0.5より大きな値に設定されれば、信号伝送方向65とは90度以上異なる方向に信号を局所的に伝送する信号導体が必ず生じるため、上記条件を容易に成立させることができる。
また、回転回数Nrが0.5である場合においても、第3の信号導体や第4の信号導体の導入により、上記条件を成立させることもできる。例えば、回転回数Nr=0.5を有しながら、例えば第4の信号導体を追加して構成された伝送線路322、332において生じる高周波磁場の向きを図12、図13の模式説明図に示す。
図12及び図13の模式説明図にて明らかなように、回転回数Nr=0.5を有する伝送線路でも、局所的に生じる高周波磁場の向きをかなり変えることができることがわかる。具体的には、図12に示す伝送線路322においては、一の回転方向反転構造327における第2の信号導体327bと、隣接される回転方向反転構造327における第1の信号導体327aとの間への第4の信号導体327dの導入により、局所的な部位にて生じる高周波磁場321a〜321fの向きの中で、図示点線にて囲まれた部分である伝送方向反転部328における磁場321bは、従来の伝送線路での磁場方向855と逆方向の成分を有することになる。さらに、図13に示す伝送線路332においては、同様に、隣接する回転方向反転構造337間を接続する第4の信号導体337dの導入により、局所的な部位にて生じる高周波磁場331a〜331eの向きのうちの伝送方向反転部338の中央付近における磁場331cにおいて、従来の伝送線路における磁場方向855と逆方向の向きを確実に発生させることができる。いずれの伝送線路322及び332においても、伝送方向反転部328、338を含む構成が採用されているため、伝送線路反転部328、338において、従来の伝送線路における磁場方向855とは逆向きの成分を有する磁場を生じさせることが可能となり、本発明における不要輻射の減少効果をより効果的に提供することができる。すなわち、第1、第2、第3、第4の信号導体の中で少なくとも一箇所の部位が局所的に、信号伝送方向65とは90度を超えて異なる方向に信号を伝送するような構成、つまり伝送方向反転部を含む構成を採用することが、本発明における不要輻射強度抑制の効果を得るためには好ましいことになる。
また、このような不要輻射強度抑制の効果は、回転方向反転構造の回転回数Nrが大きな値に設定されることにより増強されるものの、Nrが2程度に達すると飽和する傾向がある。また、Nrを極端に大きく設定することは、伝送線路において総配線領域幅W、および回路占有面積の増大を招くため好ましくない。また、図11から図13の模式説明図を用いて説明した不要輻射強度抑制の効果については、図示した伝送線路の構造内で高周波電流の位相が極端に回転しない条件において得られるものである。すなわち、回転方向反転構造の線路長は、伝送される信号の周波数において共振を起こすような値に設定されることは伝送特性劣化と不要輻射の両方を招くので好ましくない。以上の条件から、回転回数Nrを極端に大きい値に設定することも好ましくなく、逆に、回転回数Nrを2以下の値に設定すれば使用される帯域上限値を制限することなく、本発明の不要輻射抑制効果を十分に得ることができる。よって通常の実用的な条件としては回転方向反転構造の回転回数Nrが0.75以上2以下の範囲で用いられることが不要輻射強度抑制の効果を得るという観点からは好ましい。
さらに、本発明の伝送線路において、回転方向反転構造を複数回直列に接続することは、不要輻射強度低減のために好ましい。特に、本発明の伝送線路では、従来の伝送線路にはない、実効線路長に依存した不要輻射抑制の効果増強現象が得られる。すなわち、従来の伝送線路においては、電流ループが線路長に渡って連続しているので、線路長の増加につれて不要輻射強度は単調に増加する傾向がある。例えば、ある線路長の伝送線路からの不要輻射強度を測定しても、実効線路長が実効波長の0.5倍や1倍に相当する周波数で強度が低減する現象は特に得られない。一方、本発明の伝送線路においては、不要輻射を低減したい周波数成分の実効波長の0.5倍以上に実効線路長Leffを設定することにより、不要輻射強度を効果的に抑制することが可能である。さらに線路長を延長して実効線路長Leffを、不要輻射強度を抑制したい周波数での実効波長と等しくすると、不要輻射強度抑制効果を最大限に得ることができる。
本発明の伝送線路では局所的に電流ループが切断されているので、任意の局所部位での磁場に起因して生じる不要輻射と、伝送線路に沿って実効波長の半分だけ位相が回転した局所部位での磁場に起因して生じる不要輻射は互いに打ち消しあうことができる。よって、実効線路長Leffが実効波長の0.5倍以上に達すると、不要輻射抑制の効果が増強して得られるものである。
さらに、実効線路長Leffが実効波長の1倍に達した条件では、実効波長の半分の線路長の領域で生じている無数の局所的な磁場群は、それぞれが実効波長の半分だけ位相が回転した部位で生じている局所的な磁場と向きが完全に逆になるため、両磁場に起因して生じる不要輻射は必ず打ち消され、最大限の不要輻射抑制効果を得ることができる。
さらに、線路長が延長されたとしても、実効波長の整数倍分の線路長から生じる不要輻射は少なくとも完全に打ち消しあったままなので、本発明の不要輻射抑制の効果は消失しない。上述の原理より、本発明の伝送線路は、実効線路長Leffが不要輻射を低減したい周波数成分の実効波長の0.5倍以上、特に好ましくは1倍以上に設定されれば、従来の伝送線路と比較すると不要輻射強度を格段に抑制することができる。
また、回転方向反転構造内の構造としては、以下の条件を満足することが好ましい。まず、第1の信号導体と第2の信号導体はその湾曲方向が、第1の回転方向R1と第2の回転方向R2というように逆向きに設定されているが、その他の条件、すなわち、形状、回転回数Nr、線路幅w等の条件をできる限り等価に設定することが好ましい。これは、伝送線路内の局所的な構造が非対称になることにより、遠方空間に不要な輻射を生じさせないためである。上述したように、回転方向反転構造内に設定された軸を回転軸(中心)として、第1の信号導体と第2の信号導体が180度回転対称関係(すなわち点対称)で配置されれば、上記条件を満足することができる。
ここで、図14に、本実施形態の伝送線路と従来の伝送線路との不要輻射特性比較をグラフ形式の模式図で示す。なお、図14においては、縦軸に入力電力に対する不要輻射利得(dB)を示し、横軸に周波数(対数表示)を示し、本実施形態の伝送線路を実線で、従来の伝送線路を点線で表している。なお、実施形態の伝送線路においては、回転方向反転構造内の回転回数Nrを1程度の値に設定して、線路長に渡って中断することなく、回転方向反転構造が設定された場合の典型的な特性を模式的に示す。また、比較している2本の伝送線路の基板条件、実効的な特性インピーダンスは従来例2の伝送線路と等しい条件に統一しており、また、それぞれの線路長は15mmである。また、比較した全ての線路の両端は、伝送線路の特性インピーダンスと同じインピーダンスで終端された設定で比較しており、不要輻射強度の比較は両伝送線路を共振器として利用している条件ではない。また、不要輻射利得として、最も強度が強かった方向で観測された利得をプロットしている。
図14に示すように、本実施形態の伝送線路は、周波数fが低い領域では、従来の伝送線路と比較的近い不要輻射強度を示し、不要輻射強度低減の効果は0.5dB程度である。一方、ある周波数f1を超えると不要輻射抑圧の効果が増強される。そして、不要輻射抑圧効果は周波数f2(f2>f1)で最大に達する。f>f2の周波数帯域では若干の変動はあるものの、改善効果は持続する。周波数f1において、本実施形態の伝送線路の両端間の通過位相量は180度に相当しており、また、周波数f2では、360度である。
次に、図15において、回転回数Nrが1程度の本実施形態の伝送線路を用いることによって、同じ線路長を有する従来の伝送線路と比較して不要輻射強度が抑圧される量を縦軸に、通過位相値から導出される本実施形態の伝送線路の実効線路長を各周波数での実効波長で規格化した値を横軸に設定し、図14の結果を模式的に再プロットしたものを示す。すなわち、図15において、横軸が0.5の状態は、実効線路長Leffが実効波長の半分である場合に相当し、横軸が1の場合は実効線路長Leffが実効波長の1倍である場合に相当する。なお、図14にはプロットしなかった回転回数Nr=0.5の場合の本実施形態の伝送線路の特性も、図15に追加してプロットしている。
図15に示すように、不要輻射強度抑圧効果が開始するのは、横軸が0.5に達した場合であり、0.5という値は回転回数Nrに依存しないことが判る。また、不要輻射抑圧効果が最大化するのは、横軸が1に達した場合であり、1という値も回転回数Nrに依存しない。一方、横軸が1以上になった場合は回転回数Nrの違いは大きく特性を左右する。回転回数Nr=1では、横軸が1より大きい値に延長されても不要輻射抑圧効果は消失せずに持続する。一方、回転回数Nr=0.5では、従来の伝送線路より不要輻射が増えることはないが、線路長の増加に伴い抑圧効果は収束に向かうため、広い条件で不要輻射抑圧効果を得ることは困難である。回転回数が0.5より大きな値をとることが、広い条件範囲で不要輻射抑圧効果を得るためには重要である。
なお、上記説明で回転回数Nrを本実施形態の伝送線路のパラメータとして挙げているが、上述においても説明したように、回転回数Nrは、伝送線路の電流ループがいかに分断されているかの程度を示すパラメータであり、第3、第4の信号導体を用いて局所的な信号導体の配向を信号伝送方向と90度以上傾けて設定すれば、回転回数Nrが小さい設定でも不要輻射の効果を増大せしめることが可能である。
(実施例)
次に、本実施形態の伝送線路についてのいくつかの実施例について以下に説明する。
実施例として、誘電率3.8、総厚250μmの誘電体基板の表面上に銅配線により厚さ20μm、線路幅75μmの信号導体を形成し、裏面全面にも同じく銅配線により厚さ20μmの接地導体層を形成して、マイクロストリップ線路構造を構成した。総配線領域幅Wは500μmとし、回転方向反転構造内で第1の信号導体及び第2の信号導体を回転回数Nrでもって湾曲させるように形成した。具体的には、信号導体の回転回数Nrが0.75回転の回転方向反転構造を有しかつ伝送方向反転部を有する伝送線路を本発明の実施例1とし、回転回数Nrが1回転の回転方向反転構造を有しかつ伝送方向反転部を有する伝送線路を実施例2として作製した。また、これらの実施例1及び2に対する比較例として、Nrが0.5回転の回転方向反転構造を有しているものの、伝送方向反転部を有していない伝送線路を作製した。なお、実施例1及び2並びに比較例の伝送線路において、総配線領域幅Wが500μmとなるように、比較例の伝送線路の線路幅は100μmに設定した。また、実施例1の伝送線路においては、回転方向反転構造を連続して24周期接続した構造を採用し、実施例2の伝送線路においては、連続して21周期接続した構造を採用し、比較例の伝送線路においては、連続して27周期接続した構造を採用し、さらにそれぞれの伝送線路の線路長を15mmとして作製した。
これらの実施例1及び2並びに比較例1の伝送線路に対して、不要輻射強度の測定を行った。その測定結果として図16に、比較例(回転回数Nr=0.5)、実施例2(回転回数Nr=1)からの不要輻射強度の周波数依存性を示す。なお、従来構成の直線状の伝送線路との比較のため、同一配線本数密度、同一線路長の従来例の伝送線路における特性も図16に加えた。なお、不要輻射強度は入力電圧に対するアンテナ利得として示しており、横軸は周波数の対数表示である。図16に示すように、比較例及び実施例2の伝送線路は共に、常に従来例の伝送線路よりも低い不要輻射利得を示したが、比較例(Nr=0.5)では6GHzから25GHzの周波数範囲でのみ従来例よりも僅かに強い不要輻射抑圧効果を得られたのに対して、実施例2(Nr=1)では3GHz以上の全ての周波数範囲で、特に強い不要輻射抑圧効果が得られることを確認した。
さらに、図17には、実施例1及び2並びに比較例の伝送線路における不要輻射特性の実効線路長Leff依存性を示す。図17において、縦軸は、デシベル表示での従来例を比較対象とした不要輻射利得の抑圧量であり、横軸は、実効線路長Leffを実効波長で規格化した無次元数Xである。横軸の値は伝送線路の通過信号の位相進行量から導出することが可能であり、X=0.5では、実効線路長Leffは伝送周波数の実効波長の半分に相当し、X=1では、実効線路長Leffは伝送周波数の実効波長の1倍に相当している。
図17に示すように、実効線路長が伝送周波数の実効波長の半分未満の場合、本発明の伝送線路からの不要輻射強度は、電磁波に対して相対的に線路長が短い場合には、従来の伝送線路より抑圧はされるものの、その抑圧量は0.5dB程度に留まっている。次に、実効線路長Leffが伝送周波数の実効波長の半分を超えると、線路長に依存した効果が働き始めて不要輻射強度は低下しはじめ、実効線路長Leffが伝送周波数の実効波長の1倍になると、改善量は最大値に達する。改善量の最大値は回転回数Nrにも依存し、実施例2(Nr=1)で12dB、実施例1(Nr=0.75)では約8dBにも達している。また、線路長が実効波長の1倍よりも長い距離に延長された場合でも、改善量は若干減少するものの、従来例の不要輻射量を上回る不要輻射は観測されなかった。特に、実施例2(Nr=1)では7.8dB、実施例1(Nr=0.75)では4dBの抑圧量が、測定した範囲の上限値においても継続して得られた。また、図17より明らかなように、回転回数Nr=0.5である比較例においては、改善が得られる横軸の範囲が1付近の値に限定されており、従来例の不要輻射量を上回る不要輻射は観測されないものの、実施例1及び2と比して不要輻射強度抑制の効果は低かった。
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
2005年3月30日に出願された日本国特許出願No.2005−97370号の明細書、図面、及び特許請求の範囲の開示内容は、全体として参照されて本明細書の中に取り入れられるものである。
本発明にかかるシングルエンドの伝送線路は、周辺空間への不要輻射強度の抑圧が可能であり、結果的に、密配線による回路面積縮小、従来では信号漏洩が原因で困難であった回路の高速動作、を両立させることが可能となる。また、フィルタ、アンテナ、移相器、スイッチ、又は発振器等の通信分野の用途にも広く応用でき、電力伝送やIDタグなどの無線技術を使用する各分野においても使用され得る。
本発明のこれらと他の目的と特徴は、添付された図面についての好ましい実施形態に関連した次の記述から明らかになる。
図1は、本発明の一の実施形態にかかる伝送線路の模式斜視図である。 図2Aは、図1の伝送線路の模式平面図である。 図2Bは、図2Aの伝送線路におけるA1−A2線模式断面図である。 図3は、上記実施形態の変形例にかかる伝送線路の模式平面図であって、複数の回転方向反転構造が直列に接続された構成を示す図である。 図4は、上記実施形態の変形例にかかる伝送線路であって、回転方向反転構成の回転回数が0.75に設定された構成を示す模式平面図である。 図5は、上記実施形態の変形例にかかる伝送線路であって、回転方向反転構成の回転回数が1.5に設定された構成を示す模式平面図である。 図6は、上記実施形態の変形例にかかる伝送線路であって、第3の信号導体及び第4の信号導体を含む構成を示す模式平面図である。 図7は、上記実施形態の変形例にかかる伝送線路であって、キャパシタ構造を有する構成を示す模式平面図である。 図8は、上記実施形態の変形例にかかる伝送線路であって、隣接する回転方向反転構成における回転方向が逆向きに設定された構成を示す模式平面図である。 図9は、図8の伝送線路の構成において、隣接する回転方向反転構成における回転方向を同じ向きに設定した構成を示す模式平面図である。 図10Aは、上記実施形態の変形例にかかる伝送線路であって、誘電体基板が厚く設定された構成を示す模式平面図である。 図10Bは、図10Aの伝送線路に比して、誘電体基板が薄く設定された構成を示す模式平面図である。 図11は、上記実施形態の伝送線路内の回転方向反転構造内での局所的な磁場の方向を示す模式説明図である。 図12は、図11の伝送線路とは異なる構成の伝送線路における局所的な磁場の方向を示す模式説明図である。 図13は、さらに別の構成の伝送線路における局所的な磁場の方向を示す模式説明図である。 図14は、本発明の一例の伝送線路と従来の伝送線路の不要輻射利得特性の周波数特性の比較を示すグラフ形式の模式図である。 図15は、本発明の一例の伝送線路による不要輻射抑圧効果の実効線路長依存性を示すグラフ形式の模式図である。 図16は、本発明の実施例2の伝送線路、比較例の伝送線路、及び従来例の伝送線路における輻射された不要輻射強度の周波数依存性を示す図である。 図17は、本発明の実施例1及び2、並びに比較例の伝送線路での不要輻射抑圧量の実効線路長依存性を示す図である。 図18Aは、従来の伝送線路の伝送線路断面構造を示す図であって、シングルエンド伝送の場合の図である。 図18Bは、従来の伝送線路の伝送線路断面構造を示す図であって、差動信号伝送の場合の図である。 図19は、従来の伝送線路における不要輻射の原因を説明するための模式説明図である。 図20は、従来例の伝送線路よりの不要輻射強度の周波数依存性を示す図である。 図21は、本発明の上記実施形態の伝送線路における伝送方向及び伝送方向反転部を説明するための模式平面図である。 図22は、上記実施形態の伝送線路において、誘電体基板の表面に別の誘電体層が配置された構成を示す模式断面図である。 図23は、上記実施形態の伝送線路において、誘電体基板が積層体である構成を示す模式断面図である。 図24は、上記実施形態の伝送線路において、図22の伝送線路と図23の伝送線路の構成を組み合わせた構成を示す模式断面図である。
本発明の第1態様によれば、誘電体又は半導体により形成された基板の一方の面に配置され、当該面内における第1の回転方向に湾曲するように形成された第1の信号導体と、
上記第1の回転方向と逆方向である第2の回転方向に湾曲するように形成され、上記面において上記第1の信号導体と電気的に直列に接続して配置された第2の信号導体とを備え、
少なくとも上記第1の信号導体の一部及び上記第2の信号導体の一部を含んで、伝送線路全体における信号の伝送方向に対して反転された方向に信号が伝送される伝送方向反転部を含んで構成された回転方向反転構造が、上記信号の伝送方向に対して複数直列に接続されて構成された一本の伝送線路を提供する。
本発明の第11態様によれば、隣接する上記回転方向反転構造が、第4の信号導体(構造間接続用信号導体)により接続される第1態様に記載の伝送線路を提供する。
本発明の第12態様によれば、上記第4の信号導体は、上記伝送線路全体における信号の伝送方向と異なる方向に配置される第11態様に記載の伝送線路を提供する。
上記第1態様のように、上記複数の回転方向反転構造を直列に接続して伝送線路を形成すれば、伝送信号に対して連続的に本発明の有利な効果を与えることができる。また、上記複数の回転方向反転構造は直接接続されるような場合であっても良いし、また、第12態様のように、第4の信号導体により接続されるような場合であっても良い。
本発明の第13態様によれば、伝送信号の周波数における実効波長の0.5倍以上の実効線路長に渡って、上記複数の回転方向反転構造が配置された第1態様に記載の伝送線路を提供する。
本発明の第14態様によれば、伝送信号の周波数における実効波長の1倍以上の実効線路長に渡って、上記複数の回転方向反転構造が配置された第10態様に記載の伝送線路を提供する。
上記第13態様第14態様のように、伝送信号の周波数における実効波長の0.5倍以上、さらに好ましくは1倍以上の実効線路長にわたり上記回転方向反転構造を連続して配列すれば、本発明の伝送線路では不要輻射抑制効果をより強めることができる。

Claims (15)

  1. 誘電体又は半導体により形成された基板の一方の面に配置され、当該面内における第1の回転方向に湾曲するように形成された第1の信号導体と、
    上記第1の回転方向と逆方向である第2の回転方向に湾曲するように形成され、上記面において上記第1の信号導体と電気的に直列に接続して配置された第2の信号導体とを備え、
    少なくとも上記第1の信号導体の一部及び上記第2の信号導体の一部を含んで、伝送線路全体における信号の伝送方向に対して反転された方向に信号が伝送される伝送方向反転部が構成された一本の伝送線路。
  2. 上記第1の信号導体と上記第2の信号導体における上記それぞれの湾曲の形状が円弧形状である請求項1に記載の伝送線路。
  3. 上記第1の信号導体と上記第2の信号導体との接続部の中心に対して、当該第1の信号導体と当該第2の信号導体とが点対称に配置される請求項1に記載の伝送線路。
  4. 上記第1の信号導体及び上記第2の信号導体のそれぞれは、180度以上の回転角度を有する上記湾曲形状を備える請求項1に記載の伝送線路。
  5. 上記伝送方向反転部は、上記伝送線路全体における信号の伝送方向に対して、90度を超える角度を有する方向をその信号の伝送方向とする請求項1に記載の伝送線路。
  6. 上記伝送方向反転部は、上記伝送線路全体における信号の伝送方向に対して、180度の角度を有する方向をその信号の伝送方向とする請求項5に記載の伝送線路。
  7. 上記第1の信号導体と上記第2の信号導体とを電気的に接続する第3の信号導体をさらに備え、上記第3の信号導体を含んで、上記伝送方向反転部が構成される請求項1に記載の伝送線路。
  8. 上記第1の信号導体と上記第2の信号導体とが誘電体を介して電気的に接続され、上記誘電体、上記第1の信号導体、及び上記第2の信号導体がキャパシタ構造を形成する請求項1に記載の伝送線路。
  9. 上記第1の信号導体及び上記第2の信号導体が、伝送信号の周波数において、それぞれ非共振な線路長に設定される請求項1に記載の伝送線路。
  10. 上記第3の信号導体が、伝送信号の周波数において、非共振な線路長に設定される請求項7に記載の伝送線路。
  11. 上記第1の信号導体と上記第2の信号導体とが電気的に接続されて構成された回転方向反転構造が、上記伝送線路全体における信号の伝送方向に対して、複数直列に接続される請求項1に記載の伝送線路。
  12. 隣接する上記回転方向反転構造が、第4の信号導体により接続される請求項11に記載の伝送線路。
  13. 上記第4の信号導体は、上記伝送線路全体における信号の伝送方向と異なる方向に配置される請求項12に記載の伝送線路。
  14. 伝送信号の周波数における実効波長の0.5倍以上の実効線路長に渡って、上記複数の回転方向反転構造が配置された請求項11に記載の伝送線路。
  15. 伝送信号の周波数における実効波長の1倍以上の実効線路長に渡って、上記複数の回転方向反転構造が配置された請求項11に記載の伝送線路。
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