JPWO2006077693A1 - 重合性活性光線硬化組成物、重合方法、活性光線硬化型インク及び画像形成方法、インクジェット記録装置並びにエポキシ化合物 - Google Patents

重合性活性光線硬化組成物、重合方法、活性光線硬化型インク及び画像形成方法、インクジェット記録装置並びにエポキシ化合物 Download PDF

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Abstract

本発明は、低粘度であり、環境湿度の影響がなく高感度で硬化し、さらには硬化皮膜の基材への密着性、皮膜の硬さ、柔軟性、及び皮膜の光に対する堅牢性(光照射による皮膜の着色が少ない、皮膜の機械強度の劣化が少ない)に優れた重合性活性光線硬化組成物、それを含有する活性光線硬化型インク(以後、単にインクともいう)、及び該インクを用いた画像形成方法を提供し、また、臭気が少なく、低刺激でありながら、保存性に優れ、高硬度で且つ長期間の保存前後にも十分な硬さと柔軟性を保持する硬化膜を形成可能な塗膜を、様々な環境下、特に湿度の高い雰囲気下においても安定な印字を形成することが出来る重合性活性光線硬化組成物とそれを用いた活性光線硬化型インク、画像形成方法、インクジェット記録装置及びエポキシ化合物を提供することを特徴とする。

Description

本発明は、重合性活性光線硬化組成物、活性光線硬化型インク及び画像形成方法に関するものであり、低粘度であり、環境湿度の影響がなく高感度で硬化し、さらには硬化皮膜の基材への密着性、皮膜の硬さ、柔軟性、及び皮膜の光に対する堅牢性(光照射による皮膜の着色が少ない、皮膜の機械強度の劣化が少ない)に優れた重合性活性光線硬化組成物、それを含有する活性光線硬化型インク、及び該インクを用いた画像形成方法に関する。
また、本発明は、重合性組成物、重合方法、重合性インク、それを用いた画像形成方法及びインクジェット記録装置に関するものであり、臭気が少なく、低刺激でありながら、低粘度で優れた硬化性を有し、更には形成された塗膜が、密着性及び硬さ、さらには長期間の保存前後にも十分な硬さと柔軟性を保つ硬化膜を形成可能な重合性活性光線硬化組成物、重合方法及びそれを用いた活性光線硬化型インク、画像形成方法及びインクジェット記録装置に関する。
従来、紫外線や電子線等の活性エネルギー線または熱により硬化する硬化組成物は、プラスチック、紙、木工及び無機質材等の塗料、接着剤、印刷インキ、印刷回路基板及び電気絶縁関係等の種々の用途に実用化されている。近年、その中でも印刷インキ、塗料、及び接着剤用途ではより一層の耐候性と基材への密着性の改善が望まれている。また、これらを含有する活性光線硬化型インクとしては、紫外線で硬化する紫外線硬化型インクがある。該インクを用いたインクジェット方式は、比較的低臭気であり、速乾性があり、かつインク吸収性のない記録媒体への記録ができる点で、近年注目されつつあり、紫外線硬化型インクジェットインクが開示されている(例えば、特許文献1、2参照。)。この分野においては、低粘度であることに加え、形成される膜がより強固であること及び柔軟であることが求められている。インクジェット用インクに可塑剤を添加することにより可塑性をもたせることができることが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、溶融型インクにおけるものであり、溶剤型のインクを用いた紫外線硬化型インクジェットインクについての記載はない。
また、これらのインクを用いた場合、記録材料の種類や作業環境によって、硬化感度が変動しやすいという問題がある。
ラジカル重合性化合物を用いたインクは、酸素阻害作用を受けるため、インク液滴量が少ない場合には硬化阻害が起こりやすい。また、カチオン重合性化合物を用いたインク(例えば、特許文献4〜7参照。)は、酸素阻害作用を受けることはないが、分子レベルの水分(湿度)の影響を受けやすいといった問題がある。また硬化皮膜の基材への密着性、皮膜の硬さ、柔軟性はいまだ不十分であり。特に皮膜形成後の光に対する堅牢性が低い欠点がある。
また従来のカチオン重合性紫外線硬化組成物では、低粘度と高硬化性の両立が不充分であり、比較的高粘度なカチオン重合性紫外線硬化組成物を用いたカチオン重合性紫外線硬化型インクジェットインクでは吐出されたインク滴の液柱が長くなることからサテライトが増加しやすく、このサテライトが原因でミストが発生し、得られる画質に影響を与えるという問題があった。
特開平6−200204号公報 (請求項、実施例) 特表2000−504778号公報 (請求項、実施例) 特開平8−3493号公報 (請求項、実施例) 特開2001−220526号公報 (請求項、実施例) 特開2002−188025号公報 (請求項、実施例) 特開2002−317139号公報 (請求項、実施例) 特開2003−55449号公報 (請求項、実施例)
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、低粘度であり、環境湿度の影響がなく高感度で硬化し、さらには硬化皮膜の基材への密着性、皮膜の硬さ、柔軟性、及び皮膜の光に対する堅牢性(光照射による皮膜の着色が少ない、皮膜の機械強度の劣化が少ない)に優れた活性光線硬化組成物、それを含有する活性光線硬化型インク(以後、単にインクともいう)、及び該インクを用いた画像形成方法を提供することにあり、また、更に第2の目的は、臭気が少なく、低刺激でありながら、保存性に優れ、高硬度で且つ長期間の保存前後にも十分な硬さと柔軟性を保持する硬化膜を形成可能な塗膜を、様々な環境下、特に湿度の高い雰囲気下においても安定な印字を形成することが出来る重合性組成物とそれを用いた重合性インク、画像形成方法、インクジェット記録装置及びエポキシ化合物を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
(1)下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物および活性光線の照射により酸を発生する化合物を含有することを特徴とする重合性活性光線硬化組成物。
(式中、Xは、酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO2−、−CBr2−、−C(CBr32−及び−C(CF32−からなる群から選択される2価の基を表す。R1〜R18は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、これらは、水素原子、ハロゲン原子、あるいは酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでもよい炭化水素基(炭素数1〜8)、又は置換基を有してもよいアルコキシ基(炭素数1〜8)を表す。)
(2)下記一般式(2)で表されるエポキシ化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とする前記(1)に記載の重合性活性光線硬化組成物。
(式中、R1及びR2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子またはアルキル基を表す。R3は水素原子、ハロゲン原子または置換基を表す。R4、R5及びR6は水素原子、ハロゲン原子、またはC*で表される炭素原子に炭素原子、窒素原子、または硫黄原子を介して結合する置換基を表す。ただし、R4、R5及びR6のうち少なくとも1つは水素原子である。)
(3)オキセタン化合物を含有することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の活性光線硬化組成物。
(4)前記活性光線の照射により酸を発生する化合物がオニウム塩化合物であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の重合性活性光線硬化組成物。
(5)前記活性光線の照射により酸を発生する化合物がスルホニウム塩化合物であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の重合性活性光線硬化組成物。
(6)前記活性光線の照射により酸を発生する化合物が下記一般式(I−1)で表されるスルホニウム塩化合物であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の重合性活性光線硬化組成物。
(式中、R11、R12、R13は置換基を表し、m、n、pは0〜2の整数を表す。X11 -は対イオンを表す。)
(7)前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の重合性活性光線硬化組成物を含有することを特徴とする活性光線硬化型インク。
(8)25℃における粘度が7〜40mPa・sであることを特徴とする前記(7)に記載の活性光線硬化型インク。
(9)顔料を含有することを特徴とする前記(7)又は(8)に記載の活性光線硬化型インク。
(10)インクジェット記録ヘッドより、前記(7)〜(9)のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクを記録材料上に画像様に噴射して、該記録材料上に印刷を行う画像形成方法であって、該活性光線硬化型インクが着弾した後、0.001〜1.0秒の間に活性光線を照射して該活性光線硬化型インクを硬化させることを特徴とする画像形成方法。
(11)インクジェット記録ヘッドより、前記(7)〜(9)のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクを記録材料上に画像様に噴射して、該記録材料上に印刷を行う画像形成方法であって、該インクジェット記録ヘッドの各ノズルより吐出する最小インク液滴量が2〜15plであることを特徴とする画像形成方法。
また、前記第2の目的については以下の手段により達成される。
(12)下記一般式(X)で表される化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする重合性活性光線硬化組成物。
(式中、Rx1、Rx2、Rx3、Rx4は水素原子またはアルキル基を表し、R1、R2は置換基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、−CR3(R4)−、−SO−,−SO2−、−CO−、−CS−およびこれらを任意に組み合わせた連結基を表し、R3、R4は水素原子または置換基を表し、jおよびkは0から3の整数を表す。ただし、Rx1とRx2が同時に水素原子になることは無く、かつ、Rx3とRx4が同時に水素原子になることは無い。)
(13)25℃における粘度が1〜500mPa・sであることを特徴とする前記(12)に記載の重合性活性光線硬化組成物。
(14)さらにオキセタン化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とする前記(12)または(13)に記載の重合性活性光線硬化組成物。
(15)オキセタン化合物がオキセタン環の2位に置換基を有さないオキセタン化合物であることを特徴とする前記(14)に記載の重合性活性光線硬化組成物。
(16)オキセタン環の2位に置換基を有さないオキセタン化合物が二つ以上のオキセタン環を有する多官能のオキセタン化合物であることを特徴とする前記(14)または(15)に記載の重合性活性光線硬化組成物。
(17)さらに下記一般式(A)で表されるエポキシ化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とする前記(12)〜(16)のいずれか1項に記載の重合性活性光線硬化組成物。
(式中、R101はカチオン重合性あるいはラジカル重合性の反応性の官能基を含まない置換基を表し、m10は1、2、3または4を表す。)
(18)さらに重合開始剤を含有することを特徴とする前記(12)〜(17)のいずれか1項に記載の重合性活性光線硬化組成物。
(19)重合開始剤が活性光線の照射により酸を発生する化合物であることを特徴とする前記(18)に記載の重合性活性光線硬化組成物。
(20)活性光線の照射により酸を発生する化合物がオニウム塩化合物であることを特徴とする前記(19)に記載の重合性活性光線硬化組成物。
(21)活性光線の照射により酸を発生する化合物がスルホニウム塩化合物であることを特徴とする前記(19)または(20)のいずれかに記載の重合性活性光線硬化組成物。
(22)前記(12)〜(21)のいずれか1項に記載の重合性活性光線硬化組成物を熱または活性光線により重合することを特徴とする重合方法。
(23)前記(12)〜(21)のいずれか一項に記載の重合性活性光線硬化組成物を含有することを特徴とする活性光線硬化型インク。
(24)25℃における粘度が7〜40mPa・sであることを特徴とする前記(23)に記載の活性光線硬化型インク。
(25)インクジェット記録ヘッドより、前記(23)または(24)に記載の活性光線硬化型インクを記録材料上に画像様に噴射し、該記録材料上に印刷を行う画像形成方法であって、該活性光線硬化型インクが着弾した後、0.001〜1.0秒の間に活性光線を照射して活性光線硬化型インクを硬化させることを特徴とする画像形成方法。
(26)インクジェット記録ヘッドより、前記(23)または(24)に記載の活性光線硬化型インクを記録材料上に画像様に噴射して該記録材料上に印刷を行う画像形成方法であって、該インクジェット記録ヘッドの各ノズルより吐出する最小インク液滴量が、2〜15plであることを特徴とする画像形成方法。
(27)前記(25)または(26)に記載の画像形成方法に用いられるインクジェット記録装置であって、活性光線硬化型インク及び記録ヘッドを35〜100℃に加熱した後、吐出することを特徴とするインクジェット記録装置。
(28)前記(25)または(26)に記載の画像形成方法に用いられるインクジェット記録装置が、吐出する際、記録媒体を35〜60℃に加温できることを特徴とするインクジェット記録装置。
(29)下記一般式(XX)で表されることを特徴とするエポキシ化合物。
(式中Rx、Rxx1、Rxx2はアルキル基を表し、Xxは酸素原子または−CRxx3(Rxx4)−を表し、Rxx3、Rxx4は水素原子またはアルキル基を表し、jxおよびkxは0から3の整数を表す。)
(30)下記一般式(XX−2)で表されることを特徴とするエポキシ化合物。
(式中Rxx21、Rxx22は水素原子または炭素数1から4のアルキル基を表し、Rxx23、Rxx24は水素原子またはアルキル基を表す。)
請求の範囲第1項〜11項の発明により、第1の目的である、低粘度であり、環境湿度の影響がなく高感度で硬化し、さらには硬化皮膜の基材への密着性、皮膜の硬さ、柔軟性、及び皮膜の光に対する堅牢性(光照射による皮膜の着色が少ない、皮膜の機械強度の劣化が少ない)に優れた重合性活性光線硬化組成物、それを含有する活性光線硬化型インク、及び該インクを用いた画像形成方法を提供することができる。
また、請求の範囲第12項〜30項の発明により、前記第2の目的である、臭気が少なく、低刺激でありながら、保存性に優れ、高硬度で且つ長期間の保存前後にも十分な硬さと柔軟性を保持する硬化膜を形成可能な塗膜を、様々な環境下、特に湿度の高い雰囲気下においても安定な印字を形成することが出来る重合性活性光線硬化組成物とそれを用いた活性光線硬化型インク、画像形成方法、インクジェット記録装置及びエポキシ化合物を提供することができた。
本発明に用いられるインクジェット記録装置の要部の構成を示す図である。 本発明に用いられる別のインクジェット記録装置の要部の構成を示す図である。
符号の説明
1 インクジェット記録装置
2 ヘッドキャリッジ
3 記録ヘッド
4 照射手段
5 プラテン部
6 ガイド部材
7 蛇腹構造
P 記録材料
本発明者は、上記第1の課題に鑑みて鋭意検討を行った結果、一般式(1)で表される脂環式エポキシ化合物を含有する活性光線硬化組成物を用いた場合に、低粘度であり、低照度の光源でも環境湿度に影響を受けずに高感度で硬化し、基材への密着性がよく、硬くかつ柔軟な硬化膜を形成することを見い出し、請求の範囲第1項〜11項に係わる発明に至った次第である。さらに請求の範囲第1項〜11項に係わる発明においては、一般式(1)または一般式(2)で表される脂環式エポキシ化合物を併用することで、さらに硬化感度が上昇し、硬化皮膜の光照射による機械的強度の劣化が少ないという利点を有することが分かった。これらの発明では請求の範囲第3項に記載するオキセタン化合物を併用することが環境湿度影響をさらに小さいものとし、高感度で硬化するという利点をもたらす。
請求の範囲第1項〜11項に係わる発明では活性光線により酸を発生する化合物を含有することが、硬化感度を高めるために好ましく、酸を発生する化合物がオニウム塩化合物、なかでも前記一般式(I−1)で表されるスルホニウム塩化合物であることが好ましい。スルホニウム塩化合物は硬化後の皮膜の光照射による着色を起こしにくいという優れた効果を有することも明らかになった。本発明における活性光線硬化組成物を含有するインクはさまざまな印刷用インク用途で優れた硬化活性を発現するが、該インク粘度が25℃において7〜40mPa・sのものはインクジェット用途においてヘッドからの小液滴での射出安定性を高める点で好ましい、更に好ましくは7〜20mPa・sである。
以下、請求の範囲第1項〜11項に係わる発明を詳細に説明する。まず、一般式(1)で表されるエポキシ化合物について詳述する。
一般式(1)において、Xは、酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO2−、−CBr2−、−C(CBr32−及び−C(CF32−からなる群から選択される2価の基である。
1〜R18は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。これらは、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでもよい炭化水素基、又は置換基を有してもよいアルコキシ基である。R1とR9は同時に水素原子とはならずに、一方が水素原子で他方がアルキル基(好ましくはメチル基)であることがエポキシ化合物及び活性光線硬化組成物の安全性及び安定性が高くなり好ましい。R10とR18についても同様に、同時に水素原子とはならずに、一方が水素原子で他方がアルキル基(好ましくはメチル基)であることが好ましい。これら化合物は以下の文献を参照して合成することができる。
特開2004−99467号公報
Neftekhimiya;vol.12,p353(1972)
第四版実験化学講座20有機合成II、213〜、平成4年;丸善KK出版
Ed.by Alfred Hasfner;The chemistry ofheterocyclic compounds,Small Ring
Heterocycles part3 Oxiranes;John & Wiley and Sons,An Interscience Publication,New York,1985
吉村、接着、29巻12号、32(1985)
吉村、接着、30巻5号、42(1986)
吉村、接着、30巻7号、42(1986)
以下に、一般式(1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
次に一般式(2)で表される化合物について詳述する。
1及びR2は水素原子またはアルキル基を表すが、アルキル基として具体的には、炭素数1〜20個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等)、炭素数3〜6個のシクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)が挙げられる。R1とR2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、好ましくはメチル基である。R3は水素原子、ハロゲン原子または置換基を表すが、ハロゲン原子として具体的には塩素原子、臭素原子またはフッ素原子が挙げられる。好ましくはフッ素原子、塩素原子である。R3として特に好ましくは水素原子である。
置換基として具体的には炭素数1〜20個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等)、炭素数3〜6個のシクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、炭素数1〜20個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等)、炭素数2〜20のアシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基等)、炭素数2〜20のアシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基等)、炭素数2〜20のアシルチオ基(例えばアセチルチオ基、プロピオニルチオ基、トリフルオロアセチルチオ基等)、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等)、炭素数2〜20のアルキルチオカルボニル基(メチルチオカルボニル基、エチルチオカルボニル基、tert−ブチルチオカルボニル基等)等が挙げられる。置換基として好ましいのは、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基である。
4、R5及びR6は水素原子、ハロゲン原子、またはC*で表される炭素原子に炭素原子、窒素原子または硫黄原子を介して結合する置換基を表すが、ハロゲン原子として具体的には塩素原子、臭素原子またはフッ素原子が挙げられる。好ましくは塩素原子、フッ素原子である。またC*で表される炭素原子に炭素原子、窒素原子または硫黄原子を介して結合する置換基として具体的にはアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、iso−ペンチル基、2−エチル−ヘキシル基、オクチル基、デシル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基、アントラニル基等)、複素環基(2−ピリジル基、1−ピロリル基、2−チアゾイル基、3−チエニル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等)、アルケニル基(例えば、エテニル−2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基等)、シクロアルケニル基(例えば、1−シクロアルケニル基、2−シクロアルケニル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、1−プロピニル基等)、チオ基(例えば、メチルチオ基、トリフルオロメチルチオ基、フェニルチオ基等)、カルボキシル基、カルボニルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、ウレイド基(例えば、メチルアミノカルボニルアミノ基等)、スルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基等)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、トルエンスルホニル基等)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−モルホリノカルボニル基等)、スルファモイル基(スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、モルフォリノスルファモイル基等)、ニトロ基、シアノ基、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等)、アミノ基(例えばアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、アニリノ基等)、スルホ基、ホスフォノ基、サルファイト基、スルフィノ基、スルホニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルホニルアミノカルボニル基、エタンスルホニルアミノカルボニル基、ベンゼンスルホニルアミノ基等)、カルボニルアミノスルホニル基(例えば、アセトアミドスルホニル基、メトキシアセトアミドスルホニル基、ベンズアミドスルホニル基等)、アミノカルボニル基(例えば、アセトアミドカルボニル基、メトキシアセトアミドカルボニル基、ベンズアミドカルボニル基等)、スルフィニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルフィニルアミノカルボニル基、エタンスルフィニルアミノカルボニル基、ベンゼンスルフィニルアミノカルボニル基等)、下記*で表される基が置換したアルキル基(メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、フェノキシエチル基、カルボキシメチル基、アミノメチル基、スルホンアミドメチル基等)、下記*で表される基が置換したアリール基(p−メトキシフェニル基、p−スルホンアミドフェニル基、2クロロ−6ピリジル基、m−ニトロフェニル基)等が挙げられる。R4、R5及びR6として好ましくはアルキル基、及び下記*で表される基が置換したアルキル基であり、より好ましくはアルキル基である。また、R4、R5及びR6の少なくとも1つは水素原子であるが、好ましくは2つが水素原子でありその他がアルキル基、または下記*で表される基が置換したアルキル基の場合である。
*で表される基としては、具体的にはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、カルボニルオキシ基、チオ基、カルボキシル基、カルボニルアミノ基、ウレイド基、スルホニルアミノ基、スルホニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、スルホンアミド基、アミノ基、スルホ基、ホスフォノ基、サルファイト基、スルフィノ基、スルホニルアミノカルボニル基、カルボニルアミノスルホニル基、アミノカルボニル基、スルフィニルアミノカルボニル基等が挙げられる。
以下に、好ましい、請求の範囲第1項〜11項に記載された発明に係るエポキシ化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
これらのエポキシ化合物の合成は、米国特許第2,745,847号、同第2,750,395号、同第2,853,498号、同第2,853,499号、同第2,863,881号明細書に記載の方法に準じて行うことができる。
また、請求の範囲第1項〜11項に係わる発明においては上記一般式(2)以外にも公知のエポキシ化合物を使うことができる。例えば、特開平8−277320号、特開平8−333438号、特開平9−151237号、特開平10−245430号公報等に記載のエポキシ化合物である。
次に、本発明に係るオキセタン化合物(本明細書中においては、オキセタン環含有化合物、オキセタン化合物ともいい、いずれも同義の化合物を表す)について説明する。オキセタン環とは環状4員環エーテル構造を表す。
請求の範囲第1項〜11項に係わる発明においては下記一般式(3)で表されるオキセタン化合物が好ましい。
一般式(3)において、RD1〜RD6は、各々水素原子または置換基を表す。ただし、RD1〜RD6は全てが同時に水素原子を表すことはない。
一般式(3)において、RD1〜RD6で表される置換基としては、例えば、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、アセチレニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、プロパルギル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、芳香族炭化水素基(例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等)、複素芳香族基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基、ピロリル基、2−キノリル基、1−イソキニリル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基、2−テトラヒドロフラニル基、2−テトラヒドロチエニル基、2−テトラヒドロピラニル基、3−テトラヒドロピラニル基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、が挙げられる。RD1とRD2、RD3とRD4、RD5とRD6が互いに結合して2価の基となり環を形成してもよい。RD1〜RD6で各々表される置換基として好ましいのは、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、芳香族炭化水素基、複素芳香族基、ハロゲン原子、フッ化炭化水素基である。特に好ましくはアルキル基、芳香族炭化水素基である。
これらのRD1〜RD6で各々表される基は、さらに置換基を有していてもよい。
D1〜RD6で表される置換基に置換可能な基の例としてはアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、アセチレニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等)、複素芳香族基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基、ピロリル基、2−キノリル基、1−イソキニリル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基、2−テトラヒドロフラニル基、2−テトラヒドロチエニル基、2−テトラヒドロピラニル基、3−テトラヒドロピラニル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基等が挙げられ、これらの置換基は、上述したRD1〜RD6で各々表される置換基に置換可能な基の例と同義の基によってさらに置換されていてもよく、また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
D1〜RD6で表される置換基に置換可能な基として好ましいのは、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、芳香族炭化水素基、複素芳香族基、水酸基、フッ化炭化水素基である。RD1〜RD6で表される置換基の少なくとも1つが、オキセタン環を置換基として有し、二官能以上の多官能オキセタン化合物となってもよい。
本発明に係るオキセタン化合物は、オキセタン環の2位または3位に置換基を有することが好ましい。
オキセタン環の2位に置換可能な置換基としては特に制限はないが、好ましくは、芳香族基であり、芳香族基としては、上述した、芳香族炭化水素基(例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等)、複素芳香族基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基、ピロリル基、2−キノリル基、1−イソキニリル基等)と同義の基を表す。これらの芳香族基はさらに置換基を有していてもよく、置換基の例としては、上述したハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基と同義の基である。2位の置換基が芳香族基の場合、さらに3位に置換基を有していてもよく、好ましい置換基の例としては、上述したアルキル基、アルコキシ基と同義の基である。
2位に置換基を有するオキセタン化合物は下記一般式(A)または下記一般式(B)で表されるオキセタン化合物がより好ましい。
一般式(A)中、QAは(mA+nA)価の芳香族基を表し、RA1〜RA4は各々水素原子または置換基を表し、RA5は置換基を表し、mAは1〜3の整数を表し、nAは0〜5の整数を表す。QAで表される芳香族基は、(mA+nA)価の上述した芳香族基と同義の基を表す。RA1〜RA4で表される置換基は上述したRD1〜RD6で表される置換基と同義の基を表し、好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基である。RA5で表される置換基は上述したRD1〜RD6で表される置換基と同義の基を表し、複数個のRA5は各々同一でも異なっていてもよく、互いに結合して2価の基となり環を形成してもよい。RA5は好ましくは、アルキル基、アルコキシ基であり、複数個のRA5のうち少なくとも一つはアルコキシ基であることがより好ましい。mAは好ましくは1〜2の整数であり、nAは好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは0〜2の整数であり、mA+nAは1〜6の整数であることが好ましく、より好ましくは1〜3の整数である。
一般式(B)中、QBは(nB+2)価の芳香族基を表し、RB1〜RB4は各々水素原子または置換基を表し、RB5は置換基を表し、LBはmB価の連結基を表し、mBは2〜4の整数を表し、nBは0〜4の整数を表す。
Bで表される芳香族基は、(nB+2)価の上述した芳香族基と同義の基を表す。RB1〜RB4で表される置換基は上述したR1〜R6で表される置換基と同義の基を表し、RB1〜RB4は各々好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基である。RB5で表される置換基は上述したR1〜R6で表される置換基と同義の基を表し、複数個のRB5は各々同一でも異なっていてもよく、互いに結合して2価の基となり環を形成してもよい。RB5はアルキル基、アルコキシ基であることがより好ましい。mBは好ましくは2または3の整数であり、nBは好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは0〜2の整数である。
Bは、主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでもよい炭素数0〜15のmB価の連結基あるいは単結合であることが好ましく、主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでもよい2価の連結基の例としては、以下の列挙する基及びこれらの基と−O−基、−S−基、−CO−基、−CS−基を複数組み合わせてできる基を挙げることができる。
メチレン基[−CH2−]、エチリデン基[>CHCH3]、イソプロピリデン[>C(CH32]、1,2−エチレン基[−CH2CH2−]、1,2−プロピレン基[−CH(CH3)CH2−]、1,3−プロパンジイル基[−CH2CH2CH2−]、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジイル基[−CH2C(CH32CH2−]、2,2−ジメトキシ−1,3−プロパンジイル基[−CH2C(OCH32CH2−]、2,2−ジメトキシメチル−1,3−プロパンジイル基[−CH2C(CH2OCH32CH2−]、1−メチル−1,3−プロパンジイル基[−CH(CH3)CH2CH2−]、1,4−ブタンジイル基[−CH2CH2CH2CH2−]、1,5−ペンタンジイル基[−CH2CH2CH2CH2CH2−]、オキシジエチレン基[−CH2CH2OCH2CH2−]、チオジエチレン基[−CH2CH2SCH2CH2−]、3−オキソチオジエチレン基[−CH2CH2SOCH2CH2−]、3,3−ジオキソチオジエチレン基[−CH2CH2SO2CH2CH2−]、1,4−ジメチル−3−オキサ−1,5−ペンタンジイル基[−CH(CH3)CH2OCH(CH3)CH2−]、3−オキソペンタンジイル基[−CH2CH2COCH2CH2−]、1,5−ジオキソ−3−オキサペンタンジイル基[−COCH2OCH2CO−]、4−オキサ−1,7−ヘプタンジイル基[−CH2CH2CH2OCH2CH2CH2−]、3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジイル基[−CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2−]、1,4,7−トリメチル−3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジイル基[−CH(CH3)CH2OCH(CH3)CH2OCH(CH3)CH2−]、5,5−ジメチル−3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル基[−CH2CH2OCH2C(CH32CH2OCH2CH2−]、5,5−ジメトキシ−3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル基[−CH2CH2OCH2C(OCH32CH2OCH2CH2−]、5,5−ジメトキシメチル−3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル基[−CH2CH2OCH2C(CH2OCH32CH2OCH2CH2−]、4,7−ジオキソ−3,8−ジオキサ−1,10−デカンジイル基[−CH2CH2O−COCH2CH2CO−OCH2CH2−]、3,8−ジオキソ−4,7−ジオキサ−1,10−デカンジイル基[−CH2CH2CO−OCH2CH2O−COCH2CH2−]、1,3−シクロペンタンジイル基[−1,3−C58−]、1,2−シクロヘキサンジイル基[−1,2−C610−]、1,3−シクロヘキサンジイル基[−1,3−C610−]、1,4−シクロヘキサンジイル基[−1,4−C610−]、2,5−テトラヒドロフランジイル基[2,5−C46O−]、p−フェニレン基[−p−C64−]、m−フェニレン基[−m−C64−]、α,α′−o−キシリレン基[−o−CH2−C64−CH2−]、α,α′−m−キシリレン基[−m−CH2−C64−CH2−]、α,α′−p−キシリレン基[−p−CH2−C64−CH2−]、フラン−2,5−ジイル−ビスメチレン基[2,5−CH2−C42O−CH2−]、チオフェン−2,5−ジイル−ビスメチレン基[2,5−CH2−C42S−CH2−]、イソプロピリデンビス−p−フェニレン基[−p−C64−C(CH32−p−C64−]
3価以上の連結基としては、上記で列挙した2価の連結基から任意の部位の水素原子を必要なだけ除いてできる基、及びそれらと−O−基、−S−基、−CO−基、−CS−基を複数組み合わせてできる基を挙げることができる。
上述したオキセタン化合物の製造方法は特に制限されず、従来知られた方法に従えばよく、以下の文献に記載の方法に準じて合成することができる。
(1)Hu Xianming,Richard M.Kellogg,Synthesis,533〜538,May(1995)
(2)A.O.Fitton,J.Hill,D.Ejane,R.Miller,Synth.,12,1140(1987)
(3):Toshiro Imai and Shinya Nishida,Can.J.Chem.Vol.59,2503〜2509(1981)
(4):Nobujiro Shimizu,Shintaro Yamaoka and Yuho Tsuno,Bull.Chem.Soc.Jpn.,56,3853〜3854(1983)
(5):Walter Fisher and Cyril A.Grob,Helv.Chim.Acta.,61,2336(1978)
(6):Chem.Ber.101,1850(1968)
(7):“Heterocyclic Compounds with Three−
and Four−membered Rings”,Part Two,Chapter IX,Interscience Publishers,John Wiley
& Sons,New York(1964)
(8):Bull.Chem.Soc.Jpn.,61,1653(1988)
(9):Pure Appl.Chem.,A29(10),915(1992)
(10)J:Pure Appl.Chem.,A30(2&3),189(1993)
(11):特開平6−16804号公報
(12):ドイツ特許第1,021,858号明細書
以下に一般式(3)、一般式(A)、一般式(B)で表されるオキセタン化合物の例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
オキセタン環の3位に置換可能な置換基としては特に制限はないが、好ましくは上述したアルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、芳香族炭化水素基、複素芳香族基、ハロゲン原子、フッ化炭化水素基と同義の基を挙げることができる。
3位に置換基を有するオキセタン化合物としては、2位が置換されていないオキセタン化合物がより好ましい。2位が置換されていないオキセタン化合物の1例としては、下記一般式(101)で示される化合物が挙げられる。
一般式(101)において、RA1は水素原子やメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基またはチエニル基である。RA2はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の炭素数2〜6個のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基、フェノキシエチル基等の芳香環を有する基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルキルカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルコキシカルボニル基、またはエチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基等の炭素数2〜6個のN−アルキルカルバモイル基等である。本発明で使用するオキセタン化合物としては、1個のオキセタン環を有する化合物を使用することが、得られる組成物が粘着性に優れ、低粘度で作業性に優れるため、特に好ましい。
2個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(102)で示される化合物等が挙げられる。
一般式(102)において、RA1は上記一般式(101)におけるそれと同様の基である。RA3は、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の線状または分枝状アルキレン基、ポリ(エチレンオキシ)基、ポリ(プロピレンオキシ)基等の線状または分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基、プロペニレン基、メチルプロペニレン基、ブテニレン基等の線状または分枝状不飽和炭化水素基、またはカルボニル基またはカルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基、カルバモイル基を含むアルキレン基等である。
また、RA3としては、下記一般式(103)、(104)及び(105)で示される基から選択される多価基も挙げることができる。
一般式(103)において、RA4は水素原子やメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のアルコキシ基、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシル基、カルボキシル基、またはカルバモイル基である。
一般式(104)において、RA5は酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO2、C(CF32、またはC(CH32を表す。
一般式(105)において、RA6はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。nは0〜2000の整数である。RA7はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。RA7としては、さらに下記一般式(106)で示される基から選択される基も挙げることができる。
一般式(106)において、RA8はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。mは0〜100の整数である。
2個のオキセタン環を有する化合物の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
例示化合物11は、前記一般式(102)において、RA1がエチル基、RA3がカルボキシル基である化合物である。また、例示化合物12は、前記一般式(102)において、RA1がエチル基、RA3が前記一般式(105)でRA6及びRA7がメチル基、nが1である化合物である。
2個のオキセタン環を有する化合物において、上記の化合物以外の好ましい例としては、下記一般式(107)で示される化合物がある。
一般式(107)において、RA1は前記一般式(101)のRA1と同義である。
また、3〜4個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(108)で示される化合物が挙げられる。
一般式(108)において、RA1は前記一般式(101)におけるRA1と同義である。RA9としては、例えば、下記A〜Cで示される基等の炭素数1〜12の分枝状アルキレン基、下記Dで示される基等の分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基または下記Eで示される基等の分枝状ポリシロキシ基等が挙げられる。jは3または4である。
上記Aにおいて、RA10はメチル基、エチル基またはプロピル基等の低級アルキル基である。また、上記Dにおいて、pは1〜10の整数である。
3〜4個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、例示化合物13が挙げられる。
さらに、上記説明した以外の1〜4個のオキセタン環を有する化合物の例としては、下記一般式(109)で示される化合物が挙げられる。
一般式(109)において、RA1は前記一般式(101)におけるRA1と同義であり、RA8は前記一般式(106)のRA8と同義である。RA11はメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基またはトリアルキルシリル基であり、rは1〜4である。
本発明で使用するオキセタン化合物の好ましい具体例としては、以下に示す化合物がある。
上述したオキセタン環を有する各化合物の製造方法は、特に限定されず、従来知られた方法に従えばよく、例えば、パティソン(D.B.Pattison,J.Am.Chem.Soc.,3455,79(1957))が開示している、ジオールからのオキセタン環合成法等がある。また、これら以外にも、分子量1000〜5000程度の高分子量を有する1〜4個のオキセタン環を有する化合物も挙げられる。これらの具体的化合物例としては、以下の化合物が挙げられる。
次に、前記エポキシ化合物、オキセタン化合物と共に重合性活性光線硬化組成物を構成する、本発明に係る活性光線の照射により酸を発生する化合物(以下光酸発生剤と称する)について詳述する。
本発明に係る光酸発生剤としては具体的には、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)が用いられる。本発明に好適な化合物の例を以下に挙げる。
第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウム等の芳香族オニウム化合物のB(C654 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -、p−CH364SO3 -塩、CF3SO3 -塩等のスルホン酸塩を挙げることができる。
対アニオンとしてボレート化合物を持つもの及びPF6 -塩が酸発生能力が高く好ましい。オニウム化合物の具体的な例を以下に示す。
第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができる。具体的な化合物を以下に例示する。
第3に、ハロゲン化水素を発生するハロゲン化物も用いることができる。以下に具体的な化合物を例示する。
第4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
本発明で用いられる光酸発生剤としては、アリールスルホニウム塩誘導体(例えば、ユニオン・カーバイド社製のサイラキュアUVI−6990、サイラキュアUVI−6974、旭電化工業社製のアデカオプトマーSP−150、アデカオプトマーSP−152、アデカオプトマーSP−172)、アリルヨードニウム塩誘導体(例えば、ローディア社製のRP−2074)、アレン−イオン錯体誘導体(例えば、チバガイギー社製のイルガキュア261)、ジアゾニウム塩誘導体、トリアジン系開始剤及びその他のハロゲン化物等の酸発生剤が挙げられる。光酸発生剤は、カチオン重合性を有する化合物100質量部に対して、0.2〜20質量部の比率で含有させることが好ましい。光酸発生剤の含有量が0.2質量部未満では、硬化物を得ることが困難であり、20質量部を越えて含有させても、さらなる硬化性向上効果はない。これら光酸発生剤は、1種または2種以上を選択して使用することができる。
より好ましいスルホニウム塩化合物の構造として、前記一般式(I−1)で表されるスルホニウム塩が挙げられる。
一般式(I−1)において、R11、R12、R13は置換基を表す。置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等)、炭素数3〜6個のシクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、炭素数1〜6個のアルケニル基(例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基等)、炭素数1〜6個のアルキニル基(例えば、アセチレニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等)、炭素数1〜6個のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、iso−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基等)、炭素数6〜14のアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等)、炭素数6〜10のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基等)、炭素数6〜10のアリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等)、炭素数4〜8のヘテロ原子含有芳香族環基(例えば、フリル基、チエニル基等)、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。
置換基として好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基である。これらの置換基のうち可能なものはさらに置換されていてもよい。m、n、pは0〜2の整数を表し、それぞれが1以上であることが好ましい。X11 -は対アニオンを表す。対アニオンとしては、BF4 -、B(C654 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -等の錯イオン、p−CH364SO3 -、CF3SO3 -等のスルホネートイオンを挙げることができる。対アニオンとしてはボレートイオン及びPF6 -が酸発生能力が高く好ましい。
また、光酸発生剤として、特開2004−143135号の請求の範囲第8項に記載されている一般式(I−2)、(I−3)で表されるスルホニウム塩も挙げることが出来る。一般式(I−2)、(I−3)で表されるスルホニウム塩についての詳しい説明は、同様に前記特開2004−143135号の段落番号(0161)〜(0172)に記載されている。
以下に、これらの本発明に係るスルホニウム塩の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、光重合促進剤としては、アントラセン、アントラセン誘導体(例えば、旭電化工業社製のアデカオプトマーSP−100)、フェノチアジン(10H−フェノチアジン)、フェノチアジン誘導体(例えば、10−メチルフェノチアジン、10−エチルフェノチアジン、10−デシルフェノチアジン、10−アセチルフェノチアジン10−デシルフェノチアジン−5−オキシド、10−デシルフェノチアジン−5,5−ジオキシド、10−アセチルフェノチアジン−5,5−ジオキシド等)が挙げられる。これらの光重合促進剤も1種または複数を組み合わせて使用することができる。
次に、請求の範囲第1項〜11項に係わる発明における重合性活性光線硬化組成物について詳述する。まず、本発明における活性光線としては特に波長領域に制限はないが、好ましくは200〜1500nmに発光スペクトルを有する光源から放射される光が挙げられる。特に好ましくはUV領域に発光スペクトルを有する光源から放射される光であり、光源波長としては感度の点で250〜370nmに発光波長のピークがある光源が好ましい。エネルギー密度は硬化組成物を硬化させるのに十分なものであれば、特に制限はないが、好ましくは1〜30W/cm2の範囲である。また電子線も本発明の活性光線として用いることができるが、この場合、通常は300eV以下のエネルギーを照射することが好ましい。
活性光線を照射する光源の例としては、水銀アークランプ、キセノンアークランプ、蛍光ランプ、炭素アークランプ、タングステン−ハロゲン複写ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極UVランプ、低圧水銀ランプ、UVレーザー、キセノンフラッシュランプ、捕虫灯、ブラックライト、殺菌灯、冷陰極管、LED等が挙げられる。本発明の活性光線硬化組成物とは上記の光源等からの光照射により、組成物に含有される本発明のエポキシ化合物、及び/またはオキセタン化合物等のモノマーが重合架橋し、硬化するものを表す。
請求の範囲第1項〜11項に係わる重合性活性光線硬化組成物の100質量部に対して、前記一般式(1)または(2)で表されるエポキシ化合物は5〜90質量部であることが好ましい。さらに好ましくは10〜40質量部である。さらに該エポキシ化合物は分子内にオキシラン環を唯1個有する化合物と複数子有する化合物との混合物であることがより好ましいが、前者と後者の比率は質量比で95:5〜30:70の範囲であることが好ましい。また、請求の範囲第1項〜11項に係わる発明にはオキセタン化合物を含有せしめることがさらに好ましいが、オキセタン化合物の含有量は本発明の活性光線硬化組成物の100質量部に対して10〜90質量部であることが好ましい。さらに好ましくは50〜70質量部である。また前記の、活性光線の照射により酸を発生させる化合物の好ましい添加量は、本発明の重合性活性光線硬化組成物の100質量部に対して、1〜20質量部の範囲である。
次いで、請求の範囲第12項〜30項に係わる発明における重合性活性光線硬化組成物について説明する。
本発明者は、前記第2の課題に鑑みて鋭意検討を行った結果、前記一般式(X)で表される化合物を含有する重合性活性光線硬化組成物を用いた場合に、低照度の光源でも環境湿度に影響を受けずに強固で、かつ長期間の保存前後でも十分な硬さと柔軟性を保持した硬化膜を形成し得る事を見出し、それを用いた重合性インクは高画質な画像が得られることを見いだし、請求の範囲第12項〜30項に係わる発明をなすに至った次第である。
請求の範囲第12項〜30項に係わる発明において、前記一般式(X)で表される化合物をオキセタン化合物と共に用いた場合、さらなる硬化性の向上が見られた上、強固で、かつ長期間の保存前後でも十分な硬さと柔軟性を保持した硬化膜を形成することが可能になった。
さらに特定のオキセタン化合物として2官能以上の多官能の化合物と共に用いた場合、より一層の硬化性の向上、重合性活性光線硬化組成物の保存安定性向上効果があり、生成する硬化膜の硬度を高め、高活性かつ経時保存後でも性能の低下の無い保存安定性に優れた重合性活性光線硬化組成物を得ることができる。
請求の範囲第12項〜30項に係わる発明の重合性活性光線硬化組成物においては、本発明の一般式(X)で表される化合物とオキセタン化合物と共に用いるカチオン重合性の化合物として、単官能の脂環式エポキシ化合物と併用することで、より好ましい反応性の向上、硬化膜柔軟性の付与が可能となる。そして本発明の重合性活性光線硬化組成物を活性光線硬化型インクに用いることで、上述した種々の性能を満足した高画質な画像を得ることができる。
請求の範囲第12項〜30項に係わる発明について更に詳しく説明する。
一般式(X)において、オキシラン環を構成する二つの炭素に結合するRx1、Rx2およびRx3、Rx4は各々水素原子またはアルキル基を表し、Rx1およびRx2が同時に水素原子になることは無く、Rx3およびRx4が同時に水素原子になることは無い。好ましくは、Rx1およびRx2のいずれか一方がアルキル基、残った一方が水素原子かつ、Rx3およびRx4のいずれか一方がアルキル基、残った一方が水素原子であり、アルキル基の例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基等が挙げられる。
これらのアルキル基はさらに置換基を有していても良く、置換基を有するアルキル基の置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、アセチレニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、プロパルギル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、アシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、等)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、等)、アルキルチオカルボニル基(メチルチオカルボニル基、エチルチオカルボニル基、tert−ブチルチオカルボニル基、等)、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシルアミノ基、アリールオキシアミノ基、アミノ基、ウレイド基、ウレタン基、シアノ基、ニトロ基、水酸基等およびこれら置換基を任意に組み合わせた置換基があげられる。
Rx1、Rx2のいずれか一方のアルキル基およびRx3、Rx4のいずれか一方のアルキル基としては、炭素数1から6のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基)が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基である事がより好ましく、さらに、Rx1、Rx2のいずれか一方のアルキル基およびRx3、Rx4のいずれか一方のアルキル基としてはメチル基であることが最も好ましい。
本発明においてはRx1およびRx2のいずれか一方が一般式(X)中のXと結合を形成しても良く、Rx3およびRx4のいずれか一方が一般式(X)中のXと結合を形成しても良く、Rx1およびRx2のいずれか一方と、Rx3およびRx4のいずれか一方が同時に一般式(X)中のXと結合を形成しても良い。XとRx1およびRx2のいずれか一方またはRx3およびRx4のいずれか一方と結合する場合の結合様式を具体的に図示すると以下の様になる(この一般式(X−a)、(X−b)、(X−c)は本発明における一般式(X)で表される化合物の例の一部分を補足的に図示するものであり、必ずしも一般式(X)で表される化合物の好ましい結合様式を表すとは限らない)。
上記一般式(X−a)、(X−b)、(X−c)中、Rx11、Rx31、Rx41、Rx12、Rx22、Rx42、Rx13、Rx43は各々一般式(X)中のRx1、Rx2、Rx3、Rx4と同義の基を表し、R11、R21、R12、R22、R13、R23は各々一般式(X)中のR1、R2と同義の基を表し、X1、X2、X3は各々一般式(X)中の−CR3(R4)−と同義の基を表し、j1、j2、j3、k1、k2、k3は各々一般式(X)中のj、kと同義である。
一般式(X)において、R1、R2は水素原子または置換基を表す。置換基の例としては、上述したRx1、Rx2およびRx3、Rx4で例示したアルキル基および置換アルキル基の置換基の例と同義の基が上げられ、置換基として好ましいのは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基であり、より好ましいのはアルキル基である。R1及びR2が置換基の場合、おのおの独立に更に置換基を有していても良く、該置換基の例としては、上述した置換基と同義の基を挙げる事ができる。R1、R2が複数ある場合、それぞれ同一でも異なっていてもよく、任意の位置で結合して環を形成しても良い。jおよびkは0から3の整数であり、好ましくは0もしくは1である。jおよびkが1の場合、R1、R2の置換位置として好ましいのは下記構造となる置換位置である。
一般式(X)において、Xは酸素原子または硫黄原子または−CR3(R4)−または−SO−、−SO2−、−CO−、−CS−またはこれらを任意に組み合わせてできる基を表す。
一般式(X)において、Xで表される、酸素原子、硫黄原子、−CR3(R4)−、−SO−,−SO2−、−CO−、−CS−を任意に組み合わせてできる基の例として代表的な構造は以下のようになる(構造式中*は脂環式エポキシ構造との結合位置を示し、R3′、R4′は各々後述するR3およびR4と同義の基を表す)。ここで挙げた構造をさらに任意に組み合わせても良い。
一般式(X)において、Xは酸素原子またはまたは酸素原子とを任意に組み合わせてできる基がより好ましく、酸素原子またはがもっとも好ましい。R3およびR4は各々、水素原子または置換基を表し、置換基の例としては、上述したRx1、Rx2およびRx3、Rx4で例示したアルキル基および置換アルキル基の置換基の例と同義の基が挙げられる。
3およびR4が置換基の場合、おのおの独立に更に置換基を有していても良く、該置換基の例としては、上述した置換基と同義の基を挙げる事ができる。R3およびR4は水素原子またはアルキル基が好ましく、より好ましいのは水素原子または炭素数1から10個のアルキル基であり、さらに好ましくは水素原子またはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基である。
また、R3もしくはR4またはR3′もしくはR4の置換基にさらに脂環式エポキシ構造が置換され、一般式(X)で表される化合物が3官能以上の多官能エポキシ化合物となっていても良い。
一般式(X)で表される化合物が3官能エポキシ化合物となる場合は一般式(X−1)で表される化合物が好ましく、4官能エポキシ化合物となる場合は下記一般式(X−2)で表される化合物が好ましい。
一般式(X−1) EPX−(Lx)n−EPY
一般式(X−2) EPX−Lx−EPX式中、EPXは
を表し、EPYは
を表す。
一般式(X−1)、および一般式(X−2)中のRx1、Rx2、Rx3、Rx4、R1、R2、R3、R4、j、kは一般式(X)中のRx1、Rx2、Rx3、Rx4、R1、R2、R3、R4、j、kと同義の基を表し、Lxは主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでも良い炭素数1〜15の2価の連結基または単結合を表す。*はEPXとLx、およびEPYとLxとの結合位置を示し、Ryは置換基を表し、nは0または1を表し、yは0から5の整数を表す。
Lxで表される、主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでも良い炭素数1〜15の2価の連結基の例としては以下の基およびこれらの基と−O−基、−S−基、−CO−基、−CS−基を複数組み合わせてできる基を挙げることができる。
メチレン基[−CH2−]
エチリデン基[>CHCH3
イソプロピリデン[>C(CH32
1,2−エチレン基[−CH2CH2−]
1,2−プロピレン基[−CH(CH3)CH2−]
1,3−プロパンジイル基[−CH2CH2CH2−]
2,2−ジメチル−1,3−プロパンジイル基[−CH2C(CH32CH2−]
2,2−ジメトキシ−1,3−プロパンジイル基[−CH2C(OCH32CH2−]
2,2−ジメトキシメチル−1,3−プロパンジイル基[−CH2C(CH2OCH32CH2−]
1−メチル−1,3−プロパンジイル基[−CH(CH3)CH2CH2−]
1,4−ブタンジイル基[−CH2CH2CH2CH2−]
1,5−ペンタンジイル基[−CH2CH2CH2CH2CH2−]
オキシジエチレン基[−CH2CH2OCH2CH2−]
チオジエチレン基[−CH2CH2SCH2CH2−]
3−オキソチオジエチレン基[−CH2CH2SOCH2CH2−]
3,3−ジオキソチオジエチレン基[−CH2CH2SO2CH2CH2−]
1,4−ジメチル−3−オキサ−1,5−ペンタンジイル基[−CH(CH3)CH2OCH(CH3)CH2−]
3−オキソペンタンジイル基[−CH2CH2COCH2CH2−]
1,5−ジオキソ−3−オキサペンタンジイル基[−COCH2OCH2CO−]
4−オキサ−1,7−ヘプタンジイル基[−CH2CH2CH2OCH2CH2CH2−]
3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジイル基[−CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2−]
1,4,7−トリメチル−3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジイル基[−CH(CH3)CH2OCH(CH3)CH2OCH(CH3)CH2−]
5,5−ジメチル−3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル基[−CH2CH2OCH2C(CH32CH2OCH2CH2−]
5,5−ジメトキシ−3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル基[−CH2CH2OCH2C(OCH32CH2OCH2CH2−]
5,5−ジメトキシメチル−3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル基[−CH2CH2OCH2C(CH2OCH32CH2OCH2CH2−]
4,7−ジオキソ−3,8−ジオキサ−1,10−デカンジイル基[−CH2CH2O−COCH2CH2CO−OCH2CH2−]
3,8−ジオキソ−4,7−ジオキサ−1,10−デカンジイル基[−CH2CH2CO−OCH2CH2O−COCH2CH2−]
1,3−シクロペンタンジイル基[−1,3−C58−]
1,2−シクロヘキサンジイル基[−1,2−C610−]
1,3−シクロヘキサンジイル基[−1,3−C610−]
1,4−シクロヘキサンジイル基[−1,4−C610−]
2,5−テトラヒドロフランジイル基[2,5−C46O−]
p−フェニレン基[−p−C64−]
m−フェニレン基[−m−C64−]
α,α’−o−キシリレン基[−o−CH2−C64−CH2−]
α,α’−m−キシリレン基[−m−CH2−C64−CH2−]
α,α’−p−キシリレン基[−p−CH2−C64−CH2−]
フラン−2,5−ジイル−ビスメチレン基[2,5−CH2−C42O−CH2−]
チオフェン−2,5−ジイル−ビスメチレン基[2,5−CH2−C42S−CH2−]
イソプロピリデンビス−p−フェニレン基[−p−C64−C(CH32−p−C64−]
Lxは置換基を有していても良い。置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、アシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、等)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、等)、水酸基、シアノ基、等が挙げられる。置換基として好ましいのは、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、水酸基である。
Lxとしては主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでも良い炭素数1〜8の2価の連結基が好ましく、主鎖が炭素のみからなる炭素数1〜5の2価の連結基がより好ましい。
Ryは置換基を表し、例としては、上述したRx1、Rx2およびRx3、Rx4で例示したアルキル基および置換アルキル基の置換基の例と同義の基が上げられ、好ましいのは、アルキル基、アルコキシ基、であり、より好ましいのはアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基であり、最も好ましいのはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基である。Ryは置換基を有していても良い。置換基の例としては、上述したLxの置換基と同義の基をあげることができる。
一般式(X)で表される化合物として好ましくは前記一般式(XX)で表される化合物である。
一般式(XX)において、Rx、Rxx1、Rxx2はアルキル基を表し、アルキル基の例としては上述したRx1、Rx2およびRx3、Rx4で例示したアルキル基と同義の基を挙げることができ、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基である。
Xxは酸素原子またはを表し、がより好ましい。Rxx3、Rxx4は水素原子またはアルキル基を表し、アルキル基としては上述したRxと同義の基をあげることができ、Rxx3、Rxx4がアルキル基の場合、該アルキル基は直鎖状でも良く、分岐構造を有していても良く、好ましくは炭素数1から20個のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1から12個のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等、である。jxおよびkxは0から3の整数を表し、0または1が好ましい。
一般式(X)で表される化合物としてさらに好ましくは前記一般式(XX−2)で表される化合物である。
一般式(XX−2)において、Rxx21、Rxx22は水素原子または炭素数1から4のアルキル基を表し、好ましくはメチル基、エチル基、tert−ブチル基、である。Rxx23、Rxx24は水素原子またはアルキル基を表し、上述したRxx3と同義の基をあげることができる。
以下に、本発明の一般式(X)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の一般式(X)で表される化合物は、その製法は問わないが、例えば、フェノール類をアルデヒドもしくはケトン化合物共存下に酸性条件で二量化(あるいは多量化)し(例えばJ.Am.Chem.Soc.,61,345(1939).、米国特許2046318号、J.Am.Chem.Soc.,63,1731(1941).、J.Am.Chem.Soc.,71,2287(1949).、Synthesis,4,253(1989).、Bull.Chem.Soc.Jpn.,62,3603(1989).、記載の方法などを参考にして合成できる)、白金等を触媒とした還元反応(例えば、Monatsh.Chem.,89,135(1958).、米国特許2118954号、ドイツ国特許2530122号記載の方法などを参考にして合成できる)によりシクロヘキサンアルコール誘導体とした後、脱水反応によりオレフィン誘導体化反応(J.Am.Chem.Soc.,38,2518(1916).、J.Am.Chem.Soc.,40,842(1918).、J.Am.Chem.Soc.,74,4872(1952).、J.Org.Chem.,35,1646(1970).、記載の方法などを参考にして合成できる)を経て、適当な酸化反応によりエポキシ化することで得ることができる(例えば、後述する本発明の一般式(A)または一般式(B)で表されるエポキシ化合物の製法で記載した文献等を参考にして合成できる)。
一般式(X)で表される化合物の合成例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
合成例1
中間体A、B、Cは定法に準じて合成した。具体的には、J.Am.Chem.Soc.,54,4325(1932).記載の方法に準じて、o−クレゾールをホルムアルデヒド共存下エタノール/濃塩酸中で反応させ、中間体Aを得た。ついで、この中間体AをMonatsh.Chem.,89,135(1958).記載の方法に準じて還元し、中間体Bを得た。次に、この中間体BをJ.Org.Chem.,35,1646(1970).記載の方法に準じて反応させ、中間体Cを得た。
中間体Cの10.2gを塩化メチレン90mlに溶解した。m−クロロ過安息香酸29.2gを塩化メチレン100mlに溶解し、先の中間体Cの溶液に2時間かけて滴下した。室温下2時間反応を行い、ガスクロマトグラフィーにて原料の消失を確認した。反応終了後、適量の亜硫酸ナトリウム水溶液を加え、過剰のm−クロロ過安息香酸を失活させた。有機層を分取し、重炭酸ソーダ水溶液で数回洗浄後、有機層を分取し、溶媒を減圧留去した。残渣を減圧蒸留にて精製し、X−1を得た。収量7.7g(収率65%)。NMRおよびマススペクトルにて目的物を確認した。
1H−NMR)(CDCl3)δ(ppm):1.2〜2.3(m,22H,上記aの炭素原子に置換した水素原子)、2.9〜3.1(m,2H,上記bの炭素原子に置換した水素原子)。
合成例2
合成例1記載のo−クレゾールを、2,6−ジメチルフェノールに変更し、中間体Fを合成例1と同様の方法で合成した。
中間体F11.6gを塩化メチレン90mlに溶解した。m−クロロ過安息香酸29.2gを塩化メチレン100mlに溶解し、先の中間体Fの溶液に2時間かけて滴下した。室温下2時間反応を行い、ガスクロマトグラフィーにて原料の消失を確認した。反応終了後、適量の亜硫酸ナトリウム水溶液を加え、過剰のm−クロロ過安息香酸を失活させた。有機層を分取し、重炭酸ソーダ水溶液で数回洗浄後、有機層を分取し、溶媒を減圧留去した。残渣を減圧蒸留にて精製し、X−2を得た。収量8.9g(収率68%)。NMRおよびマススペクトルにて目的物を確認した。
合成例3
中間体Gは定法に準じて合成した。具体的には、J.Am.Chem.Soc.,71,2287(1949).記載の方法に準じて、o−クレゾールをアセトン、濃塩酸共存下で反応させ、中間体Gを得た。その後、中間体Hおよび中間体Iは合成例1と同様の方法で合成した。
中間体Iの23.2gを塩化メチレン180mlに溶解した。m−クロロ過安息香酸59.0gを塩化メチレン200mlに溶解し、先の中間体Iの溶液に6時間かけて滴下した。室温下6時間反応を行い、ガスクロマトグラフィーにて原料の消失を確認した。反応終了後、適量の亜硫酸ナトリウム水溶液を加え、過剰のm−クロロ過安息香酸を失活させた。有機層を分取し、重炭酸ソーダ水溶液で数回洗浄後、有機層を分取し、溶媒を減圧留去した。残渣を減圧蒸留にて精製し、X−3を得た。収量18.6g(収率70%)。NMRおよびマススペクトルにて目的物を確認した。(1H−NMR)(CDCl3)δ(ppm):1.0〜2.2(m,26H,上記aの炭素原子に置換した水素原子)、2.9〜3.1(m,2H,上記bの炭素原子に置換した水素原子)。
合成例4
中間体Jは定法に準じて合成した。具体的には、Bull.Acad.Sci.USSRDiv.Chem.Sci.(Engl.Transl.),4,647(1960).記載の方法に準じて、o−クレゾールをヘキサフルオロアセトン、フッ化水素酸共存下で反応させ、中間体Jを得た。その後、中間体Kおよび中間体L、X−4は合成例1と同様の方法で合成した。NMRおよびマススペクトルにて目的物を確認した。
合成例5
例示化合物X−5の合成
合成例3記載のアセトンを2−ブタノンに変更し、合成例3に準じてX−5を合成した。NMRおよびマススペクトルにて目的物を確認した。
合成例6
例示化合物X−9の合成
合成例1記載のo−クレゾールをo−tert−ブチルフェノールに変更し、合成例1に準じてX−9を合成した。NMRおよびマススペクトルにて目的物を確認した。
合成例7
例示化合物X−10の合成
合成例3記載のo−クレゾールを2,6−ジメチルフェノールに変更し、合成例3に準じてX−10を合成した。NMRおよびマススペクトルにて目的物を確認した。
合成例8
例示化合物X−13の合成
合成例3記載のアセトンを3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒドに変更し、合成例3に準じてX−13を合成した。NMRおよびマススペクトルにて目的物を確認した。
合成例9
例示化合物X−24の合成
合成例3記載のo−クレゾールを2,4−ジメチルフェノールに変更し、合成例3に準じてX−24を合成した。NMRおよびマススペクトルにて目的物を確認した。
合成例10
例示化合物X−53の合成
合成例1記載のo−クレゾールを2,6−ジメチルフェノールに変更し、ホルムアルデヒドをグルタルアルデヒド50%水溶液に変更し、合成例1に準じてX−53を合成した。NMRおよびマススペクトルにて目的物を確認した。
合成例11
3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルをMonatsh.Chem.,89,135(1958).記載の方法に準じて還元し中間体Mを得た。次に、J.Org.Chem.,35,1646(1970).記載の方法に準じて反応させ中間体Nを得た。ついで、合成例1記載のm−クロロ過安息香酸による酸化反応に準じて例示化合物X−92を得た。NMRおよびマススペクトルにて目的物を確認した。(1H−NMR)(CDCl3)δ(ppm):1.0〜2.1(m,20H,上記aの炭素原子に置換した水素原子)、2.7〜3.1(m,4H,上記bの炭素原子に置換した水素原子)。
合成例12
例示化合物X−119の合成
3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルをビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)スルホンに変更し合成例11記載の方法に準じて例示化合物X−119を得た。NMRおよびマススペクトルにて目的物を確認した。
本発明の一般式(X)で表される化合物としては、5〜80質量%含有することが好ましい。5質量%未満であると硬化速度が環境湿度の影響を受けやすくなり、80質量%を超えると、硬化膜の基材への密着性が大きく低下する。本発明では、一般式(X)で表される化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
一般式(X)で表される化合物を含有する請求の範囲第12項〜30項に係わる重合性活性光線硬化組成物は、重合前の組成物の取り扱い性や塗布性、さらには多孔質な材料への浸透性といった点から、25℃での粘度が1〜500mPa・sに調整されることが好ましい。本発明の重合性活性光線硬化組成物は市販の溶剤で希釈されていても良いが、実質的に無溶剤であることが好ましい。本発明の一般式(X)で表される化合物自身が十分に低粘度であればそのまま反応性溶剤として使用することができ、また、500mPa・s以上の高粘度の場合には、低粘度の反応性希釈剤と組み合わせることが好ましく、好適に用いられる反応性希釈剤としては一般式(X)で表される化合物の中で十分に低粘度な化合物と併用してもよく、オキセタン化合物の中で十分に低粘度の化合物や一般式(A)で表される化合物の中で十分に低粘度の化合物と組み合わせて使用しても良く、この場合に使用される反応性希釈剤の粘度としては25℃での粘度が1〜400mPa・sであるものが好ましく、25℃での粘度が1〜300mPa・sであるものがより好ましく、25℃での粘度が1〜150mPa・sであるものが最も好ましい。
請求の範囲第12項〜30項に係わる発明で用いることのできるオキセタン環を有する化合物としては、特開2001−220526号、同2001−310937号に紹介されているような、公知のあらゆるオキセタン化合物を使用できる。
請求の範囲第12項〜30項に係わる重合性活性光線硬化組成物においては、一般式(X)で表される化合物と共に、オキセタン環の2位が置換されていないオキセタン化合物を併用することが好ましい。2位が置換されていないオキセタン化合物の一例としては、前記一般式(101)で表される化合物があげられる。
更に、本発明で好ましく併用出来るオキセタン化合物として、2個のオキセタン環を有する化合物が、得られる組成物が粘着性に優れ、低粘度で作業性に優れるため、特に好ましい。2個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、前記一般式(102)で示される化合物等が挙げられる。
2個のオキセタン環を有する化合物の具体例としては、本願記載の前記例示化合物11、12が挙げられる。
2個のオキセタン環を有する化合物において、上記の化合物以外の好ましい例としては、本願記載の前記一般式(107)で示される化合物がある。
また、3〜4個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、本願記載の前記一般式(108)で示される化合物が挙げられる。
3〜4個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、本願記載の前記例示化合物13が挙げられる。
さらに、上記説明した以外の1〜4個のオキセタン環を有する化合物の例としては、同じく本願記載の一般式(109)で示される化合物が挙げられる。
請求の範囲第12項〜30項に係わる発明において使用するオキセタン化合物の好ましい具体例としては、本願記載の前記例示化合物17〜19を挙げることができる。
上述したオキセタン環を有する各化合物は前記の文献等に開示された方法により製造することができ、また、これら以外、分子量1000〜5000程度の高分子量を有する1〜4個のオキセタン環を有する化合物として、前記請求の範囲第1項〜11項に係わる発明において具体的に記載された化合物も同様に挙げられ、請求の範囲第12項〜30項に係わる発明において使用することができる。
単官能脂環式エポキシ化合物
請求の範囲第12項〜30項に係わる発明の重合性活性光線硬化組成物においては、前記一般式(X)で表される化合物と共に、下記一般式(A)で表されるエポキシ化合物を添加することができる。一般式(A)で表される化合物は、重合性活性光線硬化組成物の粘度、硬化後の膜物性の硬さと柔軟性、基材への密着性の制御のための手段として本発明に好適である。
式中、R101はカチオン重合性あるいはラジカル重合性の反応性の官能基を含まない置換基を表し、m10は1、2、3または4を表す。
一般式(A)のR101はカチオン重合性あるいはラジカル重合性の反応性の官能基を含まない置換基を表す、置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、炭素数1〜20個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、等)、炭素数1〜20個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、炭素数2〜20のアシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、等)、炭素数2〜20のアシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、炭素数2〜20のアシルチオ基(例えばアセチルチオ基、プロピオニルチオ基、トリフルオロアセチルチオ基、等)、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、等)、炭素数2〜20のアルキルチオカルボニル基(メチルチオカルボニル基、エチルチオカルボニル基、tert−ブチルチオカルボニル基、等)、等が挙げられる。
これらの基は更に置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、炭素数1〜20個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、炭素数2〜20のアシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、等)、炭素数2〜20のアシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、等)、炭素数2〜20のアルキルチオカルボニル基(メチルチオカルボニル基、エチルチオカルボニル基、tert−ブチルチオカルボニル基、等)、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シアノ基、ニトロ基、等が挙がられる。置換基として好ましいのは、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基である。
高硬度の硬化膜を生成し、さらに硬化膜の基材密着性を良くすると言う点でより好ましい脂環式エポキシドは以下の一般式(A−I)で表される化合物である。
式中、R111は置換基を表し、m11は0、1、2または3を表す。R112、R113、R114はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基を表す。Y11およびY12はそれぞれ独立にOまたはSを表し、p11は0、1または2を表し、q11は0または1を表し、r11は0または1を表し、s11は0または1を表す。
一般式(A−I)において、R111は置換基を表すが、置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、炭素数1〜20個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、等)、炭素数1〜20個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、アシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、等)、炭素数1〜20個のアシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、炭素数1〜20個のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、等)、炭素数2〜20のアルキルチオカルボニル基(メチルチオカルボニル基、エチルチオカルボニル基、tert−ブチルチオカルボニル基、等)、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シアノ基、ニトロ基、等が挙げられる。置換基として好ましいのは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基である。
112、R113、R114は水素原子、置換または無置換のアルキル基を表す。アルキル基の例としては上述したR111のアルキル基の例と同義の基を挙げる事ができる。置換基を有するアルキル基の置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、炭素数1〜20個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、アシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、等)、炭素数1〜20個のアシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、炭素数1〜20個のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、等)、炭素数2〜20のアルキルチオカルボニル基(メチルチオカルボニル基、エチルチオカルボニル基、tert−ブチルチオカルボニル基、等)、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シアノ基、ニトロ基、等が挙げられ、置換基として好ましいのは、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基である。
11およびY12はOまたはSを表しOが好ましい。
m11は0〜3を表し、1または2が好ましい。p11は0、1または2を表し、q11、r11、s11は0または1を表す。
高硬度の硬化膜を生成し、さらに硬化膜の基材密着性を良くすると言う点で特に好ましい脂環式エポキシドは以下の一般式(A−II)で表される化合物である。
式中、R121は置換基を表し、m12は0、1または2を表す。R122、R123、R124はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基を表す。Y21およびY22はそれぞれ独立にO、またはSを表し、p12は0、1または2を表し、q12は0または1を表し、r12は0または1を表し、s12は0または1を表す。
上記の式中、R121は置換基を表し、置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、炭素数1〜20個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、等)、炭素数1〜20個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、アシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、等)、炭素数1〜20個のアシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、炭素数1〜20個のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、等)、炭素数2〜20のアルキルチオカルボニル基(メチルチオカルボニル基、エチルチオカルボニル基、tert−ブチルチオカルボニル基、等)、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シアノ基、ニトロ基、等が挙げられる。置換基として好ましいのは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基である。
21、Y22はOまたはSを表しOが好ましい。m12は0〜2を表し、0または1が好ましい。p12は0、1または2を表し、q12、r12、s12は0または1を表す。
122、R123、R124は水素原子、置換または無置換のアルキル基を表す。アルキル基の例としては上述したR111のアルキル基の例と同義の基を挙げる事ができる。置換基を有するアルキル基の置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、炭素数1〜20個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、アシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、等)、炭素数1〜20個のアシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、炭素数1〜20個のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、等)、炭素数2〜20のアルキルチオカルボニル基(メチルチオカルボニル基、エチルチオカルボニル基、tert−ブチルチオカルボニル基、等)、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シアノ基、ニトロ基、等が挙げられ、置換基として好ましいのは、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基である。
硬化感度が高く、硬化膜の基材密着性を良くし、さらに印字環境の変動によっても硬化感度が影響されにくいという点で更に好ましい脂環式エポキシドは以下の一般式(A−III)、一般式(A−IV)または、一般式(A−V)で表される化合物である。
上記の式中、R131、R141、R151は前記R111と同義である。m13、m14、m15は0〜2を表し、0または1が好ましい。p13、p14は0、1または2を表し、q13、s15は0または1を表す。R132、R133、R134、R142、R143、R144、R154はR112、R113、R114と同義である。
一般式(A−III)、一般式(A−IV)または一般式(A−V)において、R131、R141、R151は置換基を表し、置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、炭素数1〜20個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、等)、炭素数1〜20個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、アシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、等)、炭素数1〜20個のアシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、炭素数1〜20個のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、等)、炭素数2〜20のアルキルチオカルボニル基(メチルチオカルボニル基、エチルチオカルボニル基、tert−ブチルチオカルボニル基、等)、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シアノ基、ニトロ基、等が挙げられる。置換基として好ましいのは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基である。
m13、m14、m15は0〜2を表し、0または1が好ましい。p13、p14は0、1または2を表し、q13、s15は0または1を表す。
132、R133、R134、R142、R143、R144、R154は水素原子、置換または無置換のアルキル基を表す。アルキル基の例としては上述したR111のアルキル基の例と同義の基を挙げる事ができる。置換基を有するアルキル基の置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、炭素数1〜20個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、アシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、等)、炭素数1〜20個のアシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、炭素数1〜20個のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、等)、炭素数2〜20のアルキルチオカルボニル基(メチルチオカルボニル基、エチルチオカルボニル基、tert−ブチルチオカルボニル基、等)、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シアノ基、ニトロ基、等が挙げられ、置換基として好ましいのは、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基である。
硬化感度が高く、硬化膜の基材密着性を良くし、さらに印字環境の変動によっても硬化感度が影響されにくいという点で特に好ましい脂環式エポキシドは以下の一般式(A−VI)で表される化合物である。
式中、R1611、R1612はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1から6のアルキル基を表す。R162、R163、R164はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基を表す。q16は0または1を表す。
上記の式中、R1611、R1612は水素原子または炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)を表し、アルキル基として好ましいのは、メチル基、エチル基、プロピル基である。
162、R163、R164はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基を表す。アルキル基の例としては上述したR111のアルキル基の例と同義の基を挙げる事ができる。置換基を有するアルキル基の置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、炭素数1〜20個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、アシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、等)、炭素数1〜20個のアシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、炭素数1〜20個のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、等)、炭素数2〜20のアルキルチオカルボニル基(メチルチオカルボニル基、エチルチオカルボニル基、tert−ブチルチオカルボニル基、等)、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シアノ基、ニトロ基、等が挙げられ、置換基として好ましいのは、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基である。q16は0または1を表す。
以下に、請求の範囲第12項〜30項に係わる発明において用いられる単官能エポキシ化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
請求の範囲第12項〜30項に係わる発明において、一般式(A)で表される単官能エポキシ化合物を重合性活性光線硬化組成物に添加する場合、添加量としては、10〜40質量%含有することが好ましい。10質量%未満であると硬化膜への柔軟性の付与が不充分になり。40質量%を超えると、硬化後の膜物性が弱く、使えない。本発明への一般式(A)で表される単官能エポキシ化合物を添加する場合、1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
多官能脂環式エポキシ化合物
請求の範囲第12項〜30項の発明に係わる重合性組活性光線硬化成物においては、一般式(X)で表される化合物と共に、下記一般式(B)で表される多官能の脂環式エポキシ化合物を併用することができる。
式中、R201、R202は置換基を表し、m20、n20は0、1または2を表し、0または1が好ましい。r0は1〜3を表す。L0は主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでもよい炭素数1〜15のr0+1価の連結基または単結合を表す。
上記の式中、R201、R202が表す置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等)等が挙げられる。置換基として好ましいのは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基である。
0が表す主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでもよい炭素数1〜15の2価の連結基の例としては、以下の基及びこれらの基と−O−基、−S−基、−CO−基、−CS−基を複数組み合わせてできる基を挙げることができる。
メチレン基[−CH2−]
エチリデン基[>CHCH3
イソプロピリデン[>C(CH32
1,2−エチレン基[−CH2CH2−]
1,2−プロピレン基[−CH(CH3)CH2−]
1,3−プロパンジイル基[−CH2CH2CH2−]
2,2−ジメチル−1,3−プロパンジイル基[−CH2C(CH32CH2−]
2,2−ジメトキシ−1,3−プロパンジイル基[−CH2C(OCH32CH2−]
2,2−ジメトキシメチル−1,3−プロパンジイル基[−CH2C(CH2OCH32CH2−]
1−メチル−1,3−プロパンジイル基[−CH(CH3)CH2CH2−]
1,4−ブタンジイル基[−CH2CH2CH2CH2−]
1,5−ペンタンジイル基[−CH2CH2CH2CH2CH2−]
オキシジエチレン基[−CH2CH2OCH2CH2−]
チオジエチレン基[−CH2CH2SCH2CH2−]
3−オキソチオジエチレン基[−CH2CH2SOCH2CH2−]
3,3−ジオキソチオジエチレン基[−CH2CH2SO2CH2CH2−]
1,4−ジメチル−3−オキサ−1,5−ペンタンジイル基[−CH(CH3)CH2OCH(CH3)CH2−]
3−オキソペンタンジイル基[−CH2CH2COCH2CH2−]
1,5−ジオキソ−3−オキサペンタンジイル基[−COCH2OCH2CO−]
4−オキサ−1,7−ヘプタンジイル基[−CH2CH2CH2OCH2CH2CH2−]
3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジイル基[−CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2−]
1,4,7−トリメチル−3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジイル基[−CH(CH3)CH2OCH(CH3)CH2OCH(CH3)CH2−]
5,5−ジメチル−3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル基[−CH2CH2OCH2C(CH32CH2OCH2CH2−]
5,5−ジメトキシ−3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル基[−CH2CH2OCH2C(OCH32CH2OCH2CH2−]
5,5−ジメトキシメチル−3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル基[−CH2CH2OCH2C(CH2OCH32CH2OCH2CH2−]
4,7−ジオキソ−3,8−ジオキサ−1,10−デカンジイル基[−CH2CH2O−COCH2CH2CO−OCH2CH2−]
3,8−ジオキソ−4,7−ジオキサ−1,10−デカンジイル基[−CH2CH2CO−OCH2CH2O−COCH2CH2−]
1,3−シクロペンタンジイル基[−1,3−C58−]
1,2−シクロヘキサンジイル基[−1,2−C610−]
1,3−シクロヘキサンジイル基[−1,3−C610−]
1,4−シクロヘキサンジイル基[−1,4−C610−]
2,5−テトラヒドロフランジイル基[2,5−C46O−]
p−フェニレン基[−p−C64−]
m−フェニレン基[−m−C64−]
α,α′−o−キシリレン基[−o−CH2−C64−CH2−]
α,α′−m−キシリレン基[−m−CH2−C64−CH2−]
α,α′−p−キシリレン基[−p−CH2−C64−CH2−]
フラン−2,5−ジイル−ビスメチレン基[2,5−CH2−C42O−CH2−]
チオフェン−2,5−ジイル−ビスメチレン基[2,5−CH2−C42S−CH2−]
イソプロピリデンビス−p−フェニレン基[−p−C64−C(CH32−p−C64−]
3価以上の連結基としては、以上に挙げた2価の連結基から任意の部位の水素原子を必要なだけ除いてできる基、及びそれらと−O−基、−S−基、−CO−基、−CS−基を複数組み合わせてできる基を挙げることができる。
0は置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等)等が挙げられる。置換基として好ましいのは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基である。
0としては主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでもよい炭素数1〜8の2価の連結基が好ましく、主鎖が炭素のみからなる炭素数1〜5の2価の連結基がより好ましい。
高硬度の硬化膜を生成し、更に硬化膜の基材密着性を良くすると言う点で特に好ましい脂環式エポキシドは、以下の一般式(B−I)または(B−II)で表される化合物である。
式中、R211、R212は置換基を表し、m21、n21は0、1または2を表し、0または1が好ましい。p1、q1はそれぞれ0または1を表す。r1は1〜3を表す。L1は主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでもよい炭素数1〜15のr1+1価の連結基または単結合を表す。
式中、R221、R222は置換基を表し、m22、n22は0、1または2を表し、0または1が好ましい。p2、q2はそれぞれ0または1を表す。r2は1〜3を表す。L2は主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでもよい炭素数1〜15のr2+1価の連結基または単結合を表す。
上記の式中、R211、R212、R221、R222は前記一般式(A−1)におけるR111と同義である。
1、L2が表す主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでもよい炭素数1〜15の2価の連結基の例としては、L0の説明で示したものを同じものが挙げられる。L1、L2としては主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでもよい炭素数1〜8の2価の連結基が好ましく、主鎖が炭素のみからなる炭素数1〜5の2価の連結基がより好ましい。
硬化感度が高く、更に印字環境の変動によっても硬化感度が影響されにくいという点で特に好ましい脂環式エポキシドは、以下の一般式(B−III)または(B−IV)で表される化合物である。
式中、R231、R232は置換基を表し、m23、n23は0または1を表す。p3、q3はそれぞれ0または1を表す。r3は1〜3を表す。L3は主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでもよい炭素数1〜15のr3+1価の連結基または単結合を表す。
式中、R241、R242は置換基を表し、m24、n24は0または1を表す。p4、q4はそれぞれ0または1を表す。r4は1〜3を表す。L4は主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでもよい炭素数1〜15のr4+1価の連結基または単結合を表す。
上記の式中、R231、R232、R241、R242は前記一般式(A−1)におけるR111と同義である。L3、L4が表す主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでもよい炭素数1〜15の2価の連結基の例としては、L0の説明で示したものを同じものが挙げられる。
以下に好ましい脂環式エポキシドの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
請求の範囲第12項〜30項に係わる発明において、前記一般式(B)で表されるエポキシ化合物を添加する場合、一般式(B)で表されるエポキシ化合物の添加量としては、10〜50質量%含有することができる。一般式(B)で表されるエポキシ化合物を添加する場合、一般式(B)で表されるエポキシ化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
上述した一般式(A)または(B)で表されるエポキシ化合物は、その製法は問わないが、例えば、丸善KK出版、第四版実験化学講座20有機合成II、213〜、平成4年、Ed.by Alfred Hasfner,The chemistry of heterocyclic compounds−Small Ring Heterocycles part3 Oxiranes,John & Wiley and Sons,An Interscience Publication,New York,1985、吉村、接着、29巻12号、32、1985、吉村、接着、30巻5号、42、1986、吉村、接着、30巻7号、42、1986、特開平11−100378号、同4−36263号、同4−69360号の各公報等の文献を参考にして合成できる。
カチオン重合開始剤/光酸発生剤
請求の範囲第12項〜30項に係わる発明においては、重合性活性光線硬化組成物中に、請求の範囲第1項〜11項に係わる発明同様に、活性光線の照射により酸を発生する光酸発生剤を含有することが好ましい。
請求の範囲第12項〜30項に係わる重合性活性光線硬化組成物、また、これを用いたカチオン重合型インクで用いる光酸発生剤としては、前記請求の範囲第1項〜11項に係わる発明において挙げられたものと同様の酸発生剤が挙げられる。例えば、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C654 -,PF6 -,AsF6 -,SbF6 -,p−CH364SO3 -塩、CF3SO3 -塩などのスルホン酸塩、特に、対アニオンとしてボレート化合物をもつもものおよびPF6 -塩、スルホン酸を発生するスルホン化物、ハロゲン化水素を発生するハロゲン化物、鉄アレン錯体、また、光カチオン重合開始剤であるアリールスルホニウム塩誘導体、アリルヨードニウム塩誘導体、アレン−イオン錯体誘導体、ジアゾニウム塩誘導体、トリアジン系開始剤及びその他のハロゲン化物等の酸発生剤が挙げられる。
これらのカチオン重合開始剤は、請求の範囲第12項〜30項に係わる発明において、カチオン重合性を有する化合物100質量部に対して、0.2〜20質量部の比率で含有させることが好ましい。重合開始剤の含有量が0.2質量部未満では、硬化物を得ることが困難であり、20質量部を越えて含有させても、更なる硬化性向上効果はない。また、これら光カチオン重合開始剤は、1種または2種以上を選択して使用することができる。
請求の範囲第12項〜30項に係わる発明において用いられる光酸発生剤として好ましいのはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、等のオニウム塩であり、中でもスルホニウム塩化合物が好ましい。より好ましいスルホニウム塩化合物の構造として、前記一般式(I−1)、また、特開2004−143135号の請求の範囲第8項に記載されている一般式(I−2)、(I−3)で表されるスルホニウム塩を挙げることができる。具体的な化合物例としては、本願に記載の前記例示化合物PI−1〜PI−37を同様にあげることができる。
また、重合促進剤も、前記請求の範囲第1項〜11項に係わる発明においてあげられたものを同様に用いることができる。
本発明のいずれの重合性活性光線硬化組成物においても、上記説明した構成要素の他に、各種の添加剤を用いることができる。
色材・染料・顔料/その他の添加剤
次に本発明の重合性活性光線硬化組成物を含有する活性光線硬化型インクについて詳述する。本発明の活性光線硬化型インクとは本発明の重合性活性光線硬化組成物と着色剤(色材)を混合したものであることが好ましい。混合方法としては特に制限はないが、重合性活性光線硬化組成物に溶解または分散する方法が好ましい。着色剤としては染料または顔料であることが好ましいが、特に、画像の耐久性の点から顔料であることが好ましい。
本発明の重合性活性光線硬化組成物を用いた活性光線硬化型インク(以下、インクとも記載する)で用いる色材としては、活性光線硬化組成物の主成分に溶解または分散できる色材であれば制限無く使用でき、油溶性染料もしくは顔料が好ましく、耐候性・耐光性の点から顔料が好ましい。
染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものを利用してもよい。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料(メロシアニン染料含む)、等の染料が挙げられる。
本発明、即ち、請求の範囲第1項〜11項および請求の範囲第12項〜30項に係わる発明において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料を利用してもよい。顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機酸化錫、インジウム系化合物、無機顔料、等が挙げられる。
本発明で好ましく用いることのできる顔料を、以下に列挙する。
C.I.Pigment Yellow−1、3、12、13、14、17、81、83、87、95、109、42、
C.I.Pigment Orange−16、36、38、
C.I.Pigment Red−5、22、38、48:1、48:2、48:4、49:1、53:1、57:1、63:1、144、146、185、101、
C.I.Pigment Violet−19、23、
C.I.Pigment Blue−15:1、15:3、15:4、18、60、27、29、
C.I.Pigment Green−7、36、
C.I.Pigment White−6、18、21、
C.I.Pigment Black−7、
上記顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。また、顔料の分散を行う際に分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、高分子分散剤を用いることが好ましく、高分子分散剤としてはAvecia社のSolsperseシリーズが挙げられる。また分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤及び分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。分散媒体は、溶剤または重合性化合物を用いて行うが、本発明に用いる活性光線硬化型インクでは、インク着弾直後に反応・硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。溶剤が硬化画像に残ってしまうと、耐溶剤性の劣化、残留する溶剤のVOCの問題が生じる。よって、分散媒体は溶剤ではなく重合性化合物、その中でも最も粘度の低いモノマーを選択することが分散適性上好ましい。
顔料の分散は顔料粒子の平均粒径を0.08〜0.5μmとすることが好ましく、最大粒径は0.3〜10μm、好ましくは0.3〜3μmとなるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を適宜設定する。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性及び硬化の感度を維持することができる。
本発明の活性光線硬化型インクにおいては、色材濃度として、インク全体の1質量%乃至10質量%であることが好ましい。
本発明、即ち、請求の範囲第1項〜11項および請求の範囲第12項〜30項に係わる発明においては、吐出安定性、保存性を向上させる目的で、熱塩基発生剤も用いることができる。
熱塩基発生剤としては、例えば、加熱により脱炭酸して分解する有機酸と塩基の塩、分子内求核置換反応、ロッセン転位、ベックマン転位等の反応により分解してアミン類を放出する化合物や、加熱により何らかの反応を起こして塩基を放出するものが好ましく用いられる。具体的には、英国特許第998,949号記載のトリクロロ酢酸の塩、米国特許第4,060,420号に記載のアルファースルホニル酢酸の塩、特開昭59−157637号に記載のプロピール酸類の塩、2−カルボキシカルボキサミド誘導体、特開昭59−168440号に記載の塩基成分に有機塩基の他にアルカリ金属、アルカリ土類金属を用いた熱分解性酸との塩、特開昭59−180537号に記載のロッセン転位を利用したヒドロキサムカルバメート類、加熱によりニトリルを生成する特開昭59−195237号に記載のアルドキシムカルバメート類等が挙げられる。その他、英国特許第998,945号、米国特許第3,220,846号、英国特許第279,480号、特開昭50−22625号、同61−32844号、同61−51139号、同61−52638号、同61−51140号、同61−53634号〜同61−53640号、同61−55644号、同61−55645号等に記載の熱塩基発生剤が有用である。さらに具体的に例を挙げると、トリクロロ酢酸グアニジン、トリクロロ酢酸メチルグアニジン、トリクロロ酢酸カリウム、フェニルスルホニル酢酸グアニジン、p−クロロフェニルスルホニル酢酸グアニジン、p−メタンスルホニルフェニルスルホニル酢酸グアニジン、フェニルプロピオール酸カリウム、フェニルプロピオール酸グアニジン、フェニルプロピオール酸セシウム、p−クロロフェニルプロピオール酸グアニジン、p−フェニレン−ビス−フェニルプロピオール酸グアニジン、フェニルスルホニル酢酸テトラメチルアンモニウム、フェニルプロピオール酸テトラメチルアンモニウムがある。上記の熱塩基発生剤は広い範囲で用いることができる。
本発明の活性光線硬化型インクは、特開平8−248561号、同9−34106号をはじめとし、既に公知となっている活性光線の照射で発生した酸により新たに酸を発生する酸増殖剤を含有することも可能である。
本発明の活性光線硬化型インクは、重合性活性光線硬化組成物、顔料分散剤と共に、顔料をサンドミル等の通常の分散機を用いてよく分散することにより製造される。予め、顔料高濃度の濃縮液を調製しておき、活性光線硬化組成物で希釈することが好ましい。通常の分散機による分散でも充分な分散が可能であり、このため、過剰な分散エネルギーがかからず、多大な分散時間を必要としないため、インク成分の分散時の変質を招きにくく、安定性に優れたインクが調製される。インクは、孔径3μm以下、さらには1μm以下のフィルターにて濾過することが好ましい。
(粘度/その他の物性)
本発明の活性光線硬化型インクは、25℃での粘度を1〜500mPaに調整することが好ましいが、本発明においては25℃での粘度が7〜40mPa・sと高めに調整することがより好ましい。25℃での粘度が7〜40mPa・sのインクは、特に通常の4〜10kHzの周波数を有するヘッドから、10〜50kHzの高周波数のヘッドにおいても安定した吐出特性を示す。粘度が5mPa・s未満の場合は、高周波数のヘッドにおいて、吐出の追随性の低下が認められ、40mPa・sを越える場合は、加熱による粘度の低下機構をヘッドに組み込んだとしても吐出特性そのものの低下を生じ、吐出の安定性が不良となる。
また、本発明の活性光線硬化型インクは、ピエゾヘッドにおいては、10μS/cm以下の電導度とし、ヘッド内部での電気的な腐食のないインクとすることが好ましい。また、コンティニュアスタイプにおいては、電解質による電導度の調整が必要であり、この場合には、0.5mS/cm以上の電導度に調整する必要がある。
本発明においては、インクの25℃における表面張力が、25〜40mN/mの範囲にあることが好ましい。25℃におけるインクの表面張力が25mN/m未満では、安定した出射が得られにくく、また40mN/mを越えると所望のドット径を得ることができない。25〜40mN/mの範囲外では、本発明のように、インクの粘度や含水率を制御しながら出射、光照射しても、さまざまな支持体に対して均一なドット径を得ることが困難となる。
表面張力を調整するために、必要に応じて、界面活性剤を含有させてもよい。本発明に係るインクに好ましく使用される界面活性剤としては、例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤、重合性基を有する界面活性化合物等が挙げられる。これらの中で特に、シリコーン変性アクリレート、フッ素変性アクリレート、シリコーン変性エポキシ、フッ素変性エポキシ、シリコーン変性オキセタン、フッ素変性オキセタン等、不飽和結合やオキシラン、オキセタン環等重合性基を有する界面活性化合物が好ましい。
本発明のインクには、上記説明した以外にさまざまな添加剤を用いることができる。例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することができる。記録媒体との密着性を改善するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その使用量は0.1〜5質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜3質量%である。また、ラジカル重合性モノマーと開始剤を組み合わせ、ラジカル・カチオンのハイブリッド型硬化インクとすることも可能である。
(液滴量、照射タイミング、ヘッド加温)
本発明の画像形成方法においては、インク組成物をインクジェット記録方式により記録材料上に吐出、描画し、次いで紫外線等の活性光線を照射してインクを硬化させる。
本発明の画像形成方法においては、インク出射時にはインクをインクジェットノズルごと加温し、インク液を低粘度させることが好ましい。加熱温度としては、30〜80℃、好ましくは35〜60℃である。
本発明において、インクが着弾し、活性光線を照射して硬化した後の総インク膜厚が2〜20μmであることが好ましい。スクリーン印刷分野の活性光線硬化型インクジェット記録では、総インク膜厚が20μmを越えているのが現状であるが、記録材料が薄いプラスチック材料であることが多い軟包装印刷分野では、記録材料のカール・しわの問題だけでなく、印刷物全体のこし・質感が変わってしまうという問題があるため使えない。また、本発明では各ノズルより吐出する液滴量が2〜15plであることが好ましい。
本発明においては、高精細な画像を形成するためには、照射タイミングができるだけ早い方が好ましいが、本発明においては、インクの粘度または含水率が好ましい状態となるタイミングで光照射を開始することが好ましい。
詳しくは、発生光線の照射条件として、インク着弾後0.001〜1.0秒の間に活性光線照射を開始することが好ましく、より好ましくは0.001〜0.4秒である。また、0.1〜3秒後、好ましくは0.2〜1秒以内に、インクの流動性が失われる程度まで光照射を行なった後、終了させることが好ましい。上記条件とすることにより、ドット径の拡大やドット間の滲みを防止することができる。
活性光線の照射方法として、その基本的な方法が特開昭60−132767号に開示されている。これによると、記録ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式で記録ヘッドと光源を走査する。照射は、インク着弾後、一定時間を置いて行われることになる。さらに、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。米国特許第6,145,979号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源を記録ヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明の画像形成方法においては、これらのいずれの照射方法も用いることができる。
また活性光線を照射を2段階に分け、まずインク着弾後0.001〜2.0秒の間に前述の方法で活性光線を照射し、且つ全印字終了後、更に活性光線を照射する方法も好ましい態様の1つである。活性光線の照射を2段階に分けることで、よりインク硬化の際に起こる記録材料の収縮を抑えることが可能となる。
活性光線照射で用いる光源の例としては、水銀アークランプ、キセノンアークランプ、螢光ランプ、炭素アークランプ、タングステン−ハロゲン複写ランプ高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極UVランプ、低圧水銀ランプ、UVレーザー、キセノンフラッシュランプ、捕虫灯、ブラックライト、殺菌灯、冷陰極管、LEDをなどがあるが、これらに限定されないが、この中でも蛍光管が低エネルギー・低コストであり、好ましい。光源波長としては250〜370nm、好ましくには270〜320nmに発光波長のピークがある光源が、感度の点で好ましい。照度は1〜3000mW/cm2、好ましくは1〜200mW/cm2である。また電子線により硬化させる場合には、通常300eVの以下のエネルギーの電子線で硬化させるが、1〜5Mradの照射量で瞬時に硬化させることも可能である。
本発明の活性光線硬化型インクを用いて、被記録媒体(基材ともいう)への画像印字を行うが、被記録媒体としては、従来各種の用途で使用されている広汎な合成樹脂を全て用いることができ、具体的には、例えば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンテレフタレート等が挙げられ、これらの合成樹脂基材の厚みや形状は何ら限定されない。
本発明で用いることのできる基材としては、通常の非コート紙、コート紙等の他に、非吸収性支持体を用いることができるが、その中でも、基材として非吸収性支持体を用いることが好ましい。
本発明においては、非吸収性支持体としては、各種非吸収性のプラスチック及びそのフィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルムを挙げることができる。その他のプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類等が使用できる。また、金属類や、ガラス類にも適用可能である。これらの記録材料の中でも、特に熱でシュリンク可能な、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルムへ画像を形成する場合に本発明の構成は、有効となる。これらの基材は、インクの硬化収縮、硬化反応時の発熱等により、フィルムのカール、変形が生じやすいばかりでなく、インク膜が基材の収縮に追従し難い。
これら、各種プラスチックフィルムの表面エネルギーは大きく異なり、記録材料によってインク着弾後のドット径が変わってしまうことが、従来から問題となっていた。本発明の構成では、表面エネルギーの低いOPPフィルム、OPSフィルムや表面エネルギーの比較的大きいPETまでを含むが、基材として、濡れ指数が40〜60mN/mであることが好ましい。
本発明において、包装の費用や生産コスト等の記録材料のコスト、プリントの作製効率、各種のサイズのプリントに対応できる等の点で、長尺(ウェブ)な記録材料を使用する方が有利である。
以下、本発明の活性光線硬化型インクを用いて、画像形成を行う本発明のインクジェット記録装置について、図面を適宜参照しながら説明する。尚、図面の記録装置はあくまでも本発明の記録装置の一態様であり、本発明の記録装置はこの図面に限定されない。
図1は本発明のインクジェット記録装置の要部の構成を示す正面図である。インクジェット記録装置1は、ヘッドキャリッジ2、記録ヘッド3、照射手段4、プラテン部5等を備えて構成される。この記録装置1は記録材料Pの下にプラテン部5が設置されている。プラテン部5は、紫外線を吸収する機能を有しており、記録材料Pを通過してきた余分な紫外線を吸収する。その結果、高精細な画像を非常に安定に再現できる。
記録材料Pは、ガイド部材6に案内され、搬送手段(図示せず)の作動により、図1における手前から奥の方向に移動する。ヘッド走査手段(図示せず)は、ヘッドキャリッジ2を図1におけるY方向に往復移動させることにより、ヘッドキャリッジ2に保持された記録ヘッド3の走査を行う。
ヘッドキャリッジ2は記録材料Pの上側に設置され、記録材料P上の画像印刷に用いる色の数に応じて後述する記録ヘッド3を複数個、吐出口を下側に配置して収納する。ヘッドキャリッジ2は、図1におけるY方向に往復自在な形態で記録装置1本体に対して設置されており、ヘッド走査手段の駆動により、図1におけるY方向に往復移動する。
尚、図1ではヘッドキャリッジ2がホワイト(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、ライトイエロー(Ly)、ライトマゼンタ(Lm)、ライトシアン(Lc)、ライトブラック(Lk)、ホワイト(W)の記録ヘッド3を収納するものとして描図を行なっているが、実施の際にはヘッドキャリッジ2に収納される記録ヘッド3の色数は適宜決められるものである。
記録ヘッド3は、インク供給手段(図示せず)により供給された活性光線硬化型インク(例えばUV硬化インク)を、内部に複数個備えられた吐出手段(図示せず)の作動により、吐出口から記録材料Pに向けて吐出する。記録ヘッド3により吐出されるUVインクは色材、重合性モノマー、開始剤等を含んで組成されており、紫外線の照射を受けることで開始剤が触媒として作用することに伴うモノマーの架橋、重合反応によって硬化する性質を有する。
記録ヘッド3は記録材料Pの一端からヘッド走査手段の駆動により、図1におけるY方向に記録材料Pの他端まで移動するという走査の間に、記録材料Pにおける一定の領域(着弾可能領域)に対してUVインクをインク滴として吐出し、該着弾可能領域にインク滴を着弾させる。
上記走査を適宜回数行い、1領域の着弾可能領域に向けてUVインクの吐出を行った後、搬送手段で記録材料Pを図1における手前から奥方向に適宜移動させ、再びヘッド走査手段による走査を行いながら、記録ヘッド3により上記着弾可能領域に対し、図1における奥方向に隣接した次の着弾可能領域に対してUVインクの吐出を行う。
上述の操作を繰り返し、ヘッド走査手段及び搬送手段と連動して記録ヘッド3からUVインクを吐出することにより、記録材料P上にUVインク滴の集合体からなる画像が形成される。
照射手段4は特定の波長領域の紫外線を安定した露光エネルギーで発光する紫外線ランプ及び特定の波長の紫外線を透過するフィルターを備えて構成される。ここで、紫外線ランプとしては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーレーザー、紫外線レーザー、冷印極管、熱印極管、ブラックライト、LED(Light emitting diode)等が適用可能であり、帯状のメタルハライドランプ、冷陰極管、熱陰極管、水銀ランプもしくはブラックライトが好ましい。特に波長365nmの紫外線を発光する冷陰極管及びブラックライト、また、254nmの紫外線を発光する低圧水銀ランプ、熱陰極管、冷陰極管及び殺菌灯等は、滲み防止、ドット径制御を効率よく行え、好ましい。また、ブラックライトを照射手段4の放射線源に用いることで、UVインクを硬化するための照射手段4を安価に作製することができる。
照射手段4は、記録ヘッド3がヘッド走査手段の駆動による1回の走査によってUVインクを吐出する着弾可能領域のうち、記録装置(UVインクジェットプリンタ)1で設定できる最大のものとほぼ同じ形状か、着弾可能領域よりも大きな形状を有する。
照射手段4はヘッドキャリッジ2の両脇に、記録材料Pに対してほぼ平行に、固定して設置される。
前述したようにインク吐出部の照度を調整する手段としては、記録ヘッド3全体を遮光することはもちろんであるが、加えて照射手段4と記録材料Pの距離h1より、記録ヘッド3のインク吐出部31と記録材料Pとの距離h2を大きくしたり(h1<h2)、記録ヘッド3と照射手段4との距離dを離したり(dを大きく)することが有効である。又、記録ヘッド3と照射手段4の間を蛇腹構造7にすると更に好ましい。
ここで、照射手段4で照射される紫外線の波長は、照射手段4に備えられらた紫外線ランプ又はフィルターを交換することで適宜変更することができる。
本発明のインクは、非常に吐出安定性が優れており、ラインヘッドタイプのインクジェット記録装置を用いて画像形成する場合に、特に有効である。
図2は、インクジェット記録装置の要部の構成の他の一例を示す上面図である。
図2で示したインクジェット記録装置は、ラインヘッド方式と呼ばれており、ヘッドキャリッジ2に、各色の記録ヘッド3を、記録材料Pの全幅をカバーするようにして、複数個、固定配置されている。
一方、ヘッドキャリッジ2の下流側には、同じく記録材料Pの全幅をカバーするようにして、インク印字面全域をカバーするように配置されている照射手段4が設けられている。照明手段4に用いられる紫外線ランプは、図1に記載したのと同様のものを用いることができる。
このラインヘッド方式では、ヘッドキャリッジ2及び照射手段4は固定され、記録材料Pのみが、搬送されて、インク出射及び硬化を行って画像形成を行う。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1;請求の範囲第1項〜11項の発明に係わる実施例である。
(活性光線硬化組成物の作製)
本発明に係る光重合性化合物、光重合開始剤(光酸発生剤)及び比較化合物を表1に示すように添加、溶解させて活性光線硬化組成物を作製した。
使用した化合物を以下に示す。
セロキサイド2021P:ダイセル化学工業社製
セロキサイド3000:ダイセル化学工業社製
(活性光線硬化組成物の硬化)
得られた活性光線硬化組成物を合成紙(ユポ・コーポレーション(株)社製の合成紙ユポFGS)に膜厚が3μmになるように塗布した後、800mJ/cm2の紫外線をメタルハライドランプにより1秒以内で照射し、硬化物を得た。
(硬化物の評価方法)
得られた硬化物の物理的特性を下記に示す試験で評価した。
(1)鉛筆引っかき試験
JIS K 5400に従って、各硬化物の硬度を測定した。
即ち、JIS K5401に準拠した鉛筆引っ掻き試験機を用いた試験機法によって硬化膜の硬度を試験した。荷重は1000gで三菱ユニ鉛筆を使用して行なった。評価は、塗膜のすり傷で判定し、濃度記号の隣り合う2つの鉛筆について、すり傷が2回以上と2回未満とになる1組を求め、2回未満となる鉛筆の濃度記号を塗膜の鉛筆引っかき値とした。
(2)基盤目テープ剥離残留付着率試験
JIS K 5400の碁盤目試験をおこなった。即ち、得られた硬化物試料のそれぞれの硬化膜の表面に片刃のカミソリの刃を面に対して90度の切り込みを1mm間隔で縦横に11本ずつ入れ、1mm角の碁盤目を100個作成し、粘着テープ(スコッチ#250、住友スリーエム製)を張り合わせて2kgのローラーで1往復圧着した後、一気に剥がし、残留している碁盤目状の試料の数、付着残留率(%)を調査した。
(3)耐屈曲性の評価
JIS K 5600の耐屈曲性評価の方法に則り柔軟性を評価した。即ち、円柱の棒に試料を巻き付け、120°屈曲させてヒビが入るかどうかを評価した。その円柱の直径(Φ;mm)が小さいほど、柔軟性が良好であることを示す。
(4)光に対する堅牢性の評価
得られた試料をキセノンウェザーメーター(ツツナカテクノ(株)製、光源:キセノンアーク灯、放射照度:40〜60W/m2、300〜400nm、温度40℃、湿度50%)を用いて、光源からの距離を20cmとして7日間照射した。この試料について下記着色性及び耐屈曲性を評価した。
〈着色性〉
硬化物の着色性を以下の5段階で評価した
1:ほとんど着色がない
2:若干の着色がある
3:着色がある
4:着色が強い
5:着色が著しい。
〈耐屈曲性〉
JIS K 5600の耐屈曲性評価の方法に則り評価した。
以上の評価の結果を表2に示す。
表2より請求の範囲第1項〜11項の発明に係わる試料は基材への密着性、皮膜の硬さ、柔軟性(対屈曲性)に優れ、光に対する堅牢性も高いことが分かる。
実施例2;請求の範囲第1項〜11項の発明に係わる実施例である。
(活性光線硬化型インクの調製)
分散剤(PB822、味の素ファインテクノ社製)を5質量部と、表3に記載の光重合性化合物をステンレスビーカーに入れ、65℃のホットプレート上で加熱しながら1時間かけて撹拌、混合して溶解させた。次いで、この溶液に下記各種顔料をそれぞれ3質量部添加した後、直径1mmのジルコニアビーズ200gと共にポリ瓶に入れ密栓し、ペイントシェーカーにて2時間分散処理を行った。次いで、ジルコニアビーズを取り除き、光重合開始剤(光酸発生剤)、塩基性化合物、界面活性剤等の各種添加剤を表3に記載の組み合わせで添加し、これをプリンター目詰まり防止のため0.8μmメンブランフィルターで濾過して、活性光線硬化型インク(以下、単にインクという)を調製した。即ち、表3に記載の各試料それぞれを用いて、K、C、M、Y、WおよびLk、Lc、Lm、Lyのインクを調製し、インクセット31〜46を作製した。尚、Lk、Lc、Lm、Lyについては、K、C、M、Y、と同じ顔料をそれぞれ1/5の量で用い、減少分はインク中の重合性化合物で調整した。
得られた各インクについて、25℃、せん断速度1000(1/s)時の粘度を測定した所、表3に記載の光重合性化合物試料No.33〜46を用いたものはそれぞれ12〜17mPa・sであった。一方、表3に記載の試料No.31及び32を用いたものはそれぞれ22〜24mPa・sであった。
使用した化合物を以下に示す。
F1405:メガファックスF1405(パーフルオロアルキル基含有エチレンオキサイド付加物(大日本インキ化学工業社製))
F178k:メガファックスF178k(パーフルオロアルキル基含有アクリルオリゴマー(大日本インキ化学工業社製))
145P:ハリタック145P(ロジン変性マレイン酸樹脂 播磨化学社製) R100:ハリタックR100(ロジン変性マレイン酸樹脂 播磨化学社製)
K:CI pigment Black 7
C:CI pigment Blue 15:3
M:CI pigment Red 57:1
Y:CI pigment Yellow 13
W:酸化チタン(アナターゼ型、粒径0.2μm)
Lk:CI pigment Black 7
Lc:CI pigment Blue 15:3
Lm:CI pigment Red 57:1
Ly:CI pigment Yellow 13
(インクジェット画像形成方法)
ピエゾ型インクジェットノズルを備えた図1に記載の構成からなるインクジェット記録装置に、上記調製したインクをそれぞれ装填し、巾600mm、長さ20mの長尺の各記録材料へ、下記の画像記録を連続して行った。インク供給系は、インクタンク、供給パイプ、ヘッド直前の前室インクタンク、フィルター付き配管、ピエゾヘッドからなり、前室タンクからヘッド部分まで断熱して50℃の加温を行った。なお、各硬化組成物インクの粘度にあわせてヘッド部を加温し、2〜15plの液滴量のマルチサイズドットを720×720dpi(dpiとは1インチ、即ち2.54cm当たりのドット数を表す)の解像度で吐出できるよう駆動して、上記記載の硬化組成物インクを連続吐出した。また、記録材料は面ヒーターにより50℃に加温した。着弾した後、キャリッジ両脇の照射光源A:高圧水銀ランプVZero085(INTEGRATION TECHNOLOGY社製)または、照射光源B:メタルハライドランプ(日本電池社製 MAL400NL 電力=3kW・hr 120W/cm)により瞬時(着弾後0.5秒未満)に硬化させた。画像記録後に、総インク膜厚を測定したところ、2.3〜13μmの範囲であった。なお、インクジェット画像の形成は、上記方法に従って、25℃・20%RHの環境下で印字を行った。尚、文字品質と、色混じりについては、30℃・80%RHの環境下でも印字を行った。(前記活性光線硬化組成物試料No31〜46により調製したインクセットによる結果をそれぞれ試料51〜66として表4に示した。)
なお、各照射光源の照度は、岩崎電機社製のUVPF−A1を用いて、254nmの積算照度を測定した。
また、記載した各記録材料の略称の詳細は、以下の通りである。
合成紙:ユポコーポレーション社製合成紙 ユポFGS
PVC:polyvinyl chloride
(射出性の評価)
連続でインクを30分間吐出させた後、PVC上に吐出して、インク欠の状況を目視にて下記基準で評価した。
◎:インク欠がなく、良好なレベル
○:インク欠がわずかにあるが、問題のないレベル
△:インク欠があり、画質に影響を与えるレベル
×:インク欠が多発し、許容できないレベル。
(記録画像の評価)
上記画像形成方法で、PVC、合成紙両方を用いて記録した各画像について、下記の文字品質及び滲みの評価を行った。
〈文字品質〉
目標濃度で6ポイントMS明朝体文字を印字し、文字のガサツキをルーペで拡大評価し、下記の基準に則り文字品質の評価を行った。
◎:ガサツキなし
○:僅かにガサツキが見える
△:ガサツキが見えるが、文字として判別でき、ギリギリ使えるレベル
×:ガサツキがひどく、文字がかすれていて使えないレベル。
〈色混じり(滲み、皺)〉
720dpiでY、M、C、K各色1ドットが隣り合うように印字し、隣り合う各色ドットをルーペで拡大し、滲み及び皺の具合を目視観察し、下記基準に則り色混じりの評価を行った。
◎:隣り合うドット形状が真円を保ち、滲みがない
○:隣り合うドット形状はほぼ真円を保ち、ほとんど滲みがない
△:隣り合うドットが少し滲んでいてドット形状が少しくずれているが、ギリギリ使えるレベル
×:隣り合うドットが滲んで混じり合っており、また、重なり部に皺の発生があり、使えないレベル。
(硬化膜の評価)
シアン顔料を分散したシアンインクを用い上記の画像形成方法によって、PVC上に射出硬化させ作製した硬化膜の物理的特性を下記に示す試験で評価した。
(1)鉛筆引っかき試験
JIS K 5400に従って、各硬化物の硬度を測定した。
(2)耐屈曲性の評価
JIS K 5600の耐屈曲性評価の方法に則り柔軟性を評価した。
(3)基盤目テープ剥離残留付着率試験
上記耐屈曲性試験に使用した試料を用い、実施例1の基盤目テープ剥離残留付着率試験と同様に評価した。
(4)光に対する堅牢性の評価
上記耐屈曲性試験に使用した試料を用い、実施例1の光に対する堅牢性と同様に評価した。
以上の評価の結果を表4に示す。
表4より請求の範囲第1項〜11項に係わる発明試料はインクの粘度が低く、インクの射出性に優れ、環境湿度の影響が小さく良好な硬化性を示すことが分かる。また、基材への密着性、皮膜の硬さ、柔軟性、及び皮膜の光に対する堅牢性も高いことが分かる。
実施例3;請求の範囲第12項〜30項に係わる実施例である。
重合性活性光線硬化組成物の調製
重合性化合物(各10g),重合開始剤(各0.5g),溶媒(各25ml)を表1に示すように添加、溶解させて、重合性活性光線硬化組成物を調製した。
重合性活性光線硬化組成物の重合
以下の方法により、重合を行った。得られた重合性活性光線硬化組成物を窒素気流下、加熱還流しながら20分間撹拌し、トリエチルアミン1gを加えて反応を停止させた後、メタノール20mlを加え、析出物を濾取した。析出物をメタノールで十分に洗浄し、減圧乾燥後、析出物の質量を測定した。
重合性活性光線硬化組成物の評価
得られた硬化重合物の収率を比較した。収率が20%未満のものをA、収率が20〜40%のものをB、収率が40〜60%のものをC、収率が60%を越えるのものをD、収率が70%以上のものをEとした。結果を表5にあわせて示す。
使用した化合物は以下の通り。
OXT−221:東亞合成社製
OXT−212:東亞合成社製
IRGACURE−250(Ciba Speciality Chemicals社製)
表5より本発明の重合性活性光線硬化組成物は、比較化合物を用いたものに対して、比較的短い重合時間においても高収率で重合が進むことが分る。また、試料No.105を、高圧水銀灯照射下に重合反応を行い、重合が進行することを確認した。試料No113、114の重合開始剤をPI−1及びPI−2に変更し、高圧水銀灯照射下に重合反応を行い、重合が進行することを確認した。
実施例4;請求の範囲第12項〜30項に係わる実施例である。
重合性活性光線硬化組成物の作製
光重合性化合物、光重合開始剤、本発明の化合物及びその他添加剤を表6に示すように添加、溶解させて重合性活性光線硬化組成物を作製した。本発明の試料No.201〜230は、不快な臭気や刺激臭はなかった。一方、比較試料No.201〜209は刺激臭を感じた。
使用した化合物は以下の通り。
セロキサイド2021P:ダイセル化学工業社製
セロキサイド3000 :ダイセル化学工業社製
α−ピネンオキシド:東京化成工業社製
エポリードGT301:ダイセル化学工業社製
SP−152:アデカオプトマーSP−152 旭電化社製
UVI−6992:ダウ・ケミカル社製 プロピオンカーボネート50%液
N−エチルジエタノールアミン(塩基性化合物A)
トリイソプロパノールアミン(塩基性化合物B)
重合性活性光線硬化組成物の硬化
以下の方法によって、塗膜を形成した後、硬化させた。即ち、得られた重合性活性光線硬化組成物をTACフィルムに膜厚が5μmになるように塗布した後、800mJ/cm2の紫外線をメタルハライドランプにより2秒以内で照射し、硬化膜を得た。
硬化膜の評価方法
得られた硬化膜の物理的特性を下記に示す試験で評価した。
(1)鉛筆引っかき試験:JIS K 5400に従って、各硬化膜の硬度を測定した。
硬度のランクは(軟)6B〜B、HB、F、H〜9H(硬)の順に6Bが最も柔らかく、9Hが最も硬い。
(2)基盤目テープ剥離残留付着率試験:JIS K 5400の碁盤目試験に準じて、硬化物試料それぞれの表面に片刃のカミソリの刃を面に対して90度の切り込みを1mm間隔で縦横に11本ずつ入れ、1mm角の碁盤目を100個作成して得た試料に粘着テ−プ(スコッチ#250、住友スリ−エム製)を張り合わせて2kgのロ−ラ−で1往復圧着した後、一気に剥がし、残留している碁盤目状の試料の数を調査した。
(3)耐屈曲性の評価:得られた硬化膜をJIS K 5600 の耐屈曲性評価の方法に則り柔軟性を評価した。
粘度の評価
調製した各重合性活性光線硬化組成物の粘度を、レオメータMCR300(Physica製)を用い、温度25℃、Shear Rate=1000(1/s)の条件下で測定した。25℃における粘度が150mPa・s未満の組成物に◎、150〜300mPa・sの組成物を○、300〜500mPa・sの組成物を△、500mPa・sを越える組成物を×とした。
硬化膜保存性の評価
得られた硬化膜を、85℃90%RHの高温高湿環境下で1ヶ月保存した後の、硬化膜の鉛筆引っかき試験および柔軟性の評価を上述したのと同様の試験にて評価した。試験結果に大きな変化の無いものを◎、多少の劣化が見られるが実用上問題のないものを○、劣化が見られるものを△、大きく劣化が見られたものを×とした。◎および○が実用上問題の無いレベルである。結果は表7に示す。
表7より、本発明の試料は、密着性及び硬度が十分であり、硬化膜は長期間保存後においても硬さと柔軟性を保持し、劣化が殆ど無いことが判る。
実施例5;請求の範囲第12項〜30項に係わる実施例である。
《インク組成》
分散剤(PB822 味の素ファインテクノ社製)を5質量部と、表8に記載の各光重合性化合物をステンレスビーカーに入れ、65℃のホットプレート上で加熱しながら1時間かけて撹拌、混合して溶解させた。次いで、この溶液に各種顔料を3質量部添加した後、直径1mmのジルコニアビーズ200gと共にポリ瓶に入れ密栓し、ペイントシェーカーにて2時間分散処理を行った。次いで、ジルコニアビーズを取り除き、各光重合開始剤、塩基性化合物、界面活性剤等の各種添加剤を表4に記載の組み合わせで添加し、これをプリンター目詰まり防止のため0.8μmメンブランフィルターで濾過して、K、C、M、Y、W、Lk、Lc、Lm、Lyからなる活性光線硬化型インクセットをそれぞれ調製した。尚、Lk、Lc、Lm、Lyインクについては、K、C、M、Y、とそれぞれ同じ顔料を1/5量用い、減少分はインク中の重合性化合物で調整した。
使用した顔料は下記の通り
K:CI pigment Black 7
C:CI pigment Blue 15:3
M:CI pigment Red 57:1
Y:CI pigment Yellow 13
W:酸化チタン(アナターゼ型:粒径0.2μm)
Lk:CI pigment Black 7
Lc:CI pigment Blue 15:3
Lm:CI pigment Red 57:1
Ly:CI pigment Yellow 13
使用した化合物は以下の通り。
F178k:メガファックスF178k
パーフルオロアルキル基含有アクリルオリゴマー(大日本インキ化学工業社製)
F1405:メガファックスF1405
パーフルオロアルキル基含有エチレンオキサイド付加物(大日本インキ化学工業社製)
R100:ハリタックR100(ロジン変性マレイン酸樹脂 播磨化学社製)
145P:ハリタック145P(ロジン変性マレイン酸樹脂 播磨化学社製)
《インクジェット画像形成方法》
ピエゾ型インクジェットノズルを備えた図1に記載の構成からなるインクジェット記録装置に、上記調製した各活性光線硬化型インクのセットを装填し、巾600mm、長さ20mの長尺の各記録材料へ、下記の画像記録を連続して行った。インク供給系は、インクタンク、供給パイプ、ヘッド直前の前室インクタンク、フィルター付き配管、ピエゾヘッドからなり、前室タンクからヘッド部分まで断熱して50℃の加温を行った。なお、各活性光線硬化型インクの粘度にあわせてヘッド部を加温し、2〜15plの液滴量のマルチサイズドットを720×720dpi(dpiとは1インチ、即ち2.54cm当たりのドット数を表す)の解像度で吐出できるよう駆動して、上記記載の重合性インクを連続吐出した。また、記録材料は面ヒーターにより50℃に加温した。着弾した後、キャリッジ両脇の照射光源A:高圧水銀ランプVZero085(INTEGRATION TECHNOLOGY社製)または、照射光源B:メタルハライドランプ(日本電池社製 MAL400NL 電力=3kW・hr 120W/cm)により瞬時(着弾後0.5秒未満)に硬化させた。画像記録後に、総インク膜厚を測定したところ、2.3〜13μmの範囲であった。なお、インクジェット画像の形成は、上記方法に従って、27℃、85%RHと25℃、25%RHの環境下で印字を行った。
なお、各照射光源の照度は、岩崎電機社製のUVPF−A1を用いて、254nmの積算照度を測定した。
また、記載した各記録材料の略称の詳細は、以下の通りである。
合成紙:ユポコーポレーション社製合成紙 ユポFGS
PVC:polyvinyl chioride
粘度の評価
調製した各インクの粘度を、レオメータMCR300(Physica製)を用い、温度25℃、Shear Rate=1000(1/s)の条件下で測定した。25℃における粘度が7〜40mPa・sの範囲内のインクを◎、80mPa・s以上のインクを×とした。
ミストによる地汚れの評価
PVCを記録媒体に用いてマゼンタ画像ベタ部横の非画像部に付着したミスト汚れを目視により、◎○△×の4段階で評価した。
◎:ミストがほとんどなく、良好なレベル。
○:ミストがわずかにあるが、問題の無いレベル。
△:ミストがあり、画質に影響を与えるレベル。
×:ミストが多発し、許容できないレベル。
◎および○が、インクが十分に低粘度で、実用上問題の無いレベルである。
射出性の評価
連続でインクを30分間吐出させた後、PVC上に形成したマゼンタ画像から、インク欠の状況を目視にて評価した。
◎:欠がなく、良好なレベル。
○:欠がわずかにあるが、問題の無いレベル。
△:欠があり、画質に影響を与えるレベル。
×:欠が多発し、許容できないレベル。
◎および○が、実用上問題の無いレベルである。
インクジェット記録画像の評価
上記画像形成方法で、合成紙及びPVC上に記録した各画像について、下記の各評価を行った。目標濃度で6ポイントMS明朝体文字を印字し、文字のガサツキをルーペで拡大評価し、下記の基準に則り文字品質の評価を行った。
◎:ガサツキなし
○:僅かにガサツキが見える
△:ガサツキが見えるが、文字として判別でき、ギリギリ使えるレベル
×:ガサツキがひどく、文字がかすれていて使えないレベル
◎および○が、実用上問題の無いレベルである。
(色混じり(滲み、皺))
合成紙及びPVC上に、720dpiで、Y、M、C、K各色1ドットが隣り合うように印字し、隣り合う各色ドットをルーペで拡大し、滲み及び皺の具合を目視観察し、下記の基準に則り色混じりの評価を行った。
◎:隣り合うドット形状が真円を保ち、滲みがない
○:隣り合うドット形状はほぼ真円を保ち、ほとんど滲みがない
△:隣り合うドットが少し滲んでいてドット形状が少しくずれているが、ギリギリ使えレベル
×:隣り合うドットが滲んで混じりあっており、また、重なり部に皺の発生があり、使えないレベル
◎および○が、実用上問題の無いレベルである。
硬化膜硬度、硬化膜の耐屈曲性の評価
マゼンタ顔料を分散したマゼンタインクを用い上記のインクジェット画像形成方法によってPVC上に印刷して作製した各硬化膜の物理的特性を下記に示す試験で評価した。
(1)鉛筆引っかき試験:JIS K 5400に従って、各硬化膜の硬度を測定した。硬度のランクは(軟)6B〜B、HB、F、H〜9H(硬)の順に6Bが最も柔らかく、9Hが最も硬い。
(2)耐屈曲性の評価:インクをPVC上に膜厚が3μmになるように射出塗布した後、800mJ/cm2の紫外線をメタルハライドランプにより1秒以内で照射し、硬化膜を得た。得られた硬化膜をJIS K 5600 の耐屈曲性評価の方法にのっとり柔軟性を評価した。
インク保存性の評価
調製したインクを密栓容器に入れ、暗所にて室温1ヶ月間保存した後、上述した方法と同様の画像形成および試験を行い,保存安定性を判断した。1ヶ月保存後も試験結果に大きな変動が無いものを○、いずれかの試験において一つ以上の項目で大きな変動が見られたものを△、インク粘度が増加し,画像形成ができなかったものを×とした。○が実用上問題の無い保存安定性である。
硬化膜保存性の評価
得られたインク硬化膜を、85℃90%RHの高温高湿環境下で1ヶ月保存した後の、硬化膜の鉛筆引っかき試験および柔軟性の評価を上述したのと同様の試験にて評価した。試験結果に大きな変化の無いものを◎、多少の劣化が見られるが実用上問題のないものを○、劣化が見られるものを△、大きく劣化が見られたものを×とした。◎および○が実用上問題の無いレベルである。結果を表9に示す。
表9の結果より、請求の範囲第12項〜30項に係わる発明試料は、射出性も良く、かつ、画質も向上していることが判る。これらの試料は、環境の違いによらず、良好な硬化性を示すことが判る。本発明の請求の範囲第12項〜30項に係わる試料は、長期間保存後でも諸性能・諸物性を維持することがわかる。

Claims (30)

  1. 下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物および活性光線の照射により酸を発生する化合物を含有することを特徴とする重合性活性光線硬化組成物。

    (式中、Xは、酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO2−、−CBr2−、−C(CBr32−及び−C(CF32−からなる群から選択される2価の基を表す。R1〜R18は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、これらは、水素原子、ハロゲン原子、あるいは酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでもよい炭化水素基(炭素数1〜8)、又は置換基を有してもよいアルコキシ基(炭素数1〜8)を表す。)
  2. 下記一般式(2)で表されるエポキシ化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の重合性活性光線硬化組成物。

    (式中、R1及びR2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子またはアルキル基を表す。R3は水素原子、ハロゲン原子または置換基を表す。R4、R5及びR6は水素原子、ハロゲン原子、またはC*で表される炭素原子に炭素原子、窒素原子、または硫黄原子を介して結合する置換基を表す。ただし、R4、R5及びR6のうち少なくとも1つは水素原子である。)
  3. オキセタン化合物を含有することを特徴とする請求の範囲第1項又は2項に記載の重合性活性光線硬化組成物。
  4. 前記活性光線の照射により酸を発生する化合物がオニウム塩化合物であることを特徴とする請求の範囲第1項〜3項のいずれか1項に記載の重合性活性光線硬化組成物。
  5. 前記活性光線の照射により酸を発生する化合物がスルホニウム塩化合物であることを特徴とする請求の範囲第1項〜4項のいずれか1項に記載の重合性活性光線硬化組成物。
  6. 前記活性光線の照射により酸を発生する化合物が下記一般式(I−1)で表されるスルホニウム塩化合物であることを特徴とする請求の範囲第1項〜5項のいずれか1項に記載の重合性活性光線硬化組成物。

    (式中、R11、R12、R13は置換基を表し、m、n、pは0〜2の整数を表す。X11 -は対イオンを表す。)
  7. 請求の範囲第1項〜6項のいずれか1項に記載の重合性活性光線硬化組成物を含有することを特徴とする活性光線硬化型インク。
  8. 25℃における粘度が7〜40mPa・sであることを特徴とする請求の範囲第7項に記載の活性光線硬化型インク。
  9. 顔料を含有することを特徴とする請求の範囲第7項又は8項に記載の活性光線硬化型インク。
  10. インクジェット記録ヘッドより、請求の範囲第7項〜9項のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクを記録材料上に画像様に噴射して、該記録材料上に印刷を行う画像形成方法であって、該活性光線硬化型インクが着弾した後、0.001〜1.0秒の間に活性光線を照射して該活性光線硬化型インクを硬化させることを特徴とする画像形成方法。
  11. インクジェット記録ヘッドより、請求の範囲第7項〜9項のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクを記録材料上に画像様に噴射して、該記録材料上に印刷を行う画像形成方法であって、該インクジェット記録ヘッドの各ノズルより吐出する最小インク液滴量が2〜15plであることを特徴とする画像形成方法。
  12. 下記一般式(X)で表される化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする重合性活性光線硬化組成物。

    (式中、Rx1、Rx2、Rx3、Rx4は水素原子またはアルキル基を表し、R1、R2は置換基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、−CR3(R4)−、−SO−,−SO2−、−CO−、−CS−およびこれらを任意に組み合わせた連結基を表し、R3、R4は水素原子または置換基を表し、jおよびkは0から3の整数を表す。ただし、Rx1とRx2が同時に水素原子になることは無く、かつ、Rx3とRx4が同時に水素原子になることは無い。)
  13. 25℃における粘度が1〜500mPa・sであることを特徴とする請求の範囲第12項に記載の重合性活性光線硬化組成物。
  14. さらにオキセタン化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とする請求の範囲第12項または13項に記載の重合性活性光線硬化組成物。
  15. オキセタン化合物がオキセタン環の2位に置換基を有さないオキセタン化合物であることを特徴とする請求の範囲第14項に記載の重合性活性光線硬化組成物。
  16. オキセタン環の2位に置換基を有さないオキセタン化合物が二つ以上のオキセタン環を有する多官能のオキセタン化合物であることを特徴とする請求の範囲第14項または15項に記載の重合性活性光線硬化組成物。
  17. さらに下記一般式(A)で表されるエポキシ化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とする請求の範囲第12項〜16項のいずれか1項に記載の重合性活性光線硬化組成物。

    (式中、R101はカチオン重合性あるいはラジカル重合性の反応性の官能基を含まない置換基を表し、m10は1、2、3または4を表す。)
  18. さらに重合開始剤を含有することを特徴とする請求の範囲第12項〜17項のいずれか1項に記載の重合性活性光線硬化組成物。
  19. 重合開始剤が活性光線の照射により酸を発生する化合物であることを特徴とする請求の範囲第18項に記載の重合性活性光線硬化組成物。
  20. 活性光線の照射により酸を発生する化合物がオニウム塩化合物であることを特徴とする請求の範囲第19項に記載の重合性活性光線硬化組成物。
  21. 活性光線の照射により酸を発生する化合物がスルホニウム塩化合物であることを特徴とする請求の範囲第19項または20項のいずれかに記載の重合性活性光線硬化組成物。
  22. 請求の範囲第12項〜21項のいずれか1項に記載の重合性活性光線硬化組成物を熱または活性光線により重合することを特徴とする重合方法。
  23. 請求の範囲第12項〜21項のいずれか1項に記載の重合性活性光線硬化組成物を含有することを特徴とする活性光線硬化型インク。
  24. 25℃における粘度が7〜40mPa・sであることを特徴とする請求の範囲第23項に記載の活性光線硬化型インク。
  25. インクジェット記録ヘッドより、請求の範囲第23または24項に記載の活性光線硬化型インクを記録材料上に画像様に噴射し、該記録材料上に印刷を行う画像形成方法であって、該活性光線硬化型インクが着弾した後、0.001〜1.0秒の間に活性光線を照射して活性光線硬化型インクを硬化させることを特徴とする画像形成方法。
  26. インクジェット記録ヘッドより、請求の範囲第23項または24項に記載の活性光線硬化型インクを記録材料上に画像様に噴射して該記録材料上に印刷を行う画像形成方法であって、該インクジェット記録ヘッドの各ノズルより吐出する最小インク液滴量が、2〜15plであることを特徴とする画像形成方法。
  27. 請求の範囲第25項または26項に記載の画像形成方法に用いられるインクジェット記録装置であって、活性光線硬化型インク及び記録ヘッドを35〜100℃に加熱した後、吐出することを特徴とするインクジェット記録装置。
  28. 請求の範囲第25項または26項に記載の画像形成方法に用いられるインクジェット記録装置が、吐出する際、記録媒体を35〜60℃に加温できることを特徴とするインクジェット記録装置。
  29. 下記一般式(XX)で表されることを特徴とするエポキシ化合物。

    (式中Rx、Rxx1、Rxx2はアルキル基を表し、Xxは酸素原子または−CRxx3(Rxx4)−を表し、Rxx3、Rxx4は水素原子またはアルキル基を表し、jxおよびkxは0から3の整数を表す。)
  30. 下記一般式(XX−2)で表されることを特徴とするエポキシ化合物。

    (式中Rxx21、Rxx22は水素原子または炭素数1から4のアルキル基を表し、Rxx23、Rxx24は水素原子またはアルキル基を表す。)
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