JPWO2005110768A1 - インクジェット被記録材料 - Google Patents
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Abstract
基材と、その一方の面に形成されたインク受理層を有し、前記インク受理層が、セルロースエステルと、その100重量部当たり、可塑剤10〜100重量部及びシリコーンオイル0.1〜10重量部とを含むことを特徴とするインクジェット被記録材料。グリコールエーテルを主成分とする非水系溶媒中に顔料を分散してなる非水系型の顔料系インクを用いたインクジェット記録方式による印字が可能であって、インクの乾燥性、定着性、印刷適性に優れる上、耐候性が良好で、特に印字画像に亀裂がなく、鮮明性に優れる高品質印刷画像を得ることができる特徴を有する。
Description
本発明は、インクジェット被記録材料に関し、さらに詳しくは、グリコールエーテルを主成分とする非水系溶媒中に顔料を分散してなる非水系型の顔料系インクを用いたインクジェット記録方式による印字が可能であって、インクの乾燥性、定着性、印刷適性に優れる上、耐候性が良好で、特に印字画像に亀裂がなく、鮮明性に優れる高品質印刷画像を得ることができるインクジェット被記録材料に関する。
近年、コンピューター利用技術の普及により、コンピューターにより作成した資料や画像をプリンターなどを用いてポスターやプレゼンテーション資料を手軽にプリントアウトすることが頻繁に行われるようになってきた。その際使用されるプリンターとしては、ドットインパクトプリンター、レーザープリンター、サーマルプリンター又はインクジェットプリンターなどが挙げられるが、これらの中でインクジェットプリンターは、プリント時の機械騒音が少ない、フルカラー印刷ができる、プリントに伴うランニングコストが安いなどの利点を有することから広く利用されている。
このインクジェットプリンターにおいては、コンピューターなどからの電気信号に応じて、プリントヘッド又はスプレーノズルからインクジェット被記録材料に向けてインクの微小液滴を高速に噴射し、被記録材料のインク受理層に付着させて画像や文字などの記録が行われる。
このようなインクジェット記録方式においては、これまで、着色剤として染料を含む水系型の染料系インクが、主として使用されてきた。
しかしながら、近年、インクジェット記録方式が、大型の屋外用ポスター、ディスプレイ、広告掲示板などに使用されるようになってきたため、耐候性、インク定着性、耐水性、光沢性、画像再現性などに優れる印字画像を得るべく、顔料をベースとした非水系型の顔料系インクジェットインクが用いられるようになってきた。
ところが、インクジェット被記録材料のインク受理層は、一般に水系型の染料系インクに対応したもの、例えば水溶性又は親水性高分子化合物などを含む層であるため、非水系型の顔料系インクを用いた場合、顔料がインク受理層に吸収されず、該インク受理層上に置かれた状態になるため、印字画像がこすれて消えたり、他のものにインクが付着するなど、インク定着性が悪く、また耐水性や耐候性も不十分であるなどの問題があった。
そこで、このような問題に対処するために、グリコールエーテル類を主媒体とする非水系型の顔料系インクジェットインクを用いて印刷するのに適した被記録材料として、例えば特定のセルロースアセテートブチレートからなるインク吸収層を有するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この公報によれば、該被記録材料は、インクの乾燥性、形成された印字画像の光沢性、画像再現性に優れ、プラスチックフィルムのラミネートなしでも屋外での使用に十分耐え得るとされている。
しかしながら、本発明者らが検討したところ、上記インクジェット被記録材料においては、印字画像の乾燥性が劣ることがあり、また、印字画像に亀裂が発生する場合があることが分かった。そして、この傾向は、環境問題の対応から、基材として塩化ビニル系樹脂に代えてアクリル系樹脂を用いた場合に著しいことが分かった。
[特許文献1]特開2002−219864号公報
本発明は、このような事情のもとで、グリコールエーテルを主成分とする非水系溶媒中に顔料を分散してなる非水系型の顔料系インクを用いたインクジェット記録方式による印字が可能であって、インクの乾燥性、定着性、印刷適性に優れる上、耐候性が良好で、特に印字画像に亀裂がなく、鮮明性に優れる高品質印刷画像を得ることができるインクジェット被記録材料を提供することを目的としてなされたものである。
このインクジェットプリンターにおいては、コンピューターなどからの電気信号に応じて、プリントヘッド又はスプレーノズルからインクジェット被記録材料に向けてインクの微小液滴を高速に噴射し、被記録材料のインク受理層に付着させて画像や文字などの記録が行われる。
このようなインクジェット記録方式においては、これまで、着色剤として染料を含む水系型の染料系インクが、主として使用されてきた。
しかしながら、近年、インクジェット記録方式が、大型の屋外用ポスター、ディスプレイ、広告掲示板などに使用されるようになってきたため、耐候性、インク定着性、耐水性、光沢性、画像再現性などに優れる印字画像を得るべく、顔料をベースとした非水系型の顔料系インクジェットインクが用いられるようになってきた。
ところが、インクジェット被記録材料のインク受理層は、一般に水系型の染料系インクに対応したもの、例えば水溶性又は親水性高分子化合物などを含む層であるため、非水系型の顔料系インクを用いた場合、顔料がインク受理層に吸収されず、該インク受理層上に置かれた状態になるため、印字画像がこすれて消えたり、他のものにインクが付着するなど、インク定着性が悪く、また耐水性や耐候性も不十分であるなどの問題があった。
そこで、このような問題に対処するために、グリコールエーテル類を主媒体とする非水系型の顔料系インクジェットインクを用いて印刷するのに適した被記録材料として、例えば特定のセルロースアセテートブチレートからなるインク吸収層を有するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この公報によれば、該被記録材料は、インクの乾燥性、形成された印字画像の光沢性、画像再現性に優れ、プラスチックフィルムのラミネートなしでも屋外での使用に十分耐え得るとされている。
しかしながら、本発明者らが検討したところ、上記インクジェット被記録材料においては、印字画像の乾燥性が劣ることがあり、また、印字画像に亀裂が発生する場合があることが分かった。そして、この傾向は、環境問題の対応から、基材として塩化ビニル系樹脂に代えてアクリル系樹脂を用いた場合に著しいことが分かった。
[特許文献1]特開2002−219864号公報
本発明は、このような事情のもとで、グリコールエーテルを主成分とする非水系溶媒中に顔料を分散してなる非水系型の顔料系インクを用いたインクジェット記録方式による印字が可能であって、インクの乾燥性、定着性、印刷適性に優れる上、耐候性が良好で、特に印字画像に亀裂がなく、鮮明性に優れる高品質印刷画像を得ることができるインクジェット被記録材料を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、前記の優れた機能を有するインクジェット被記録材料を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、インク受理層として、セルロースエステルと可塑剤とシリコーンオイルを特定の割合で含むものを用いることにより、その目的を達成し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)基材と、その一方の面に形成されたインク受理層を有するインクジェット被記録材料において、前記インク受理層が、セルロースエステルと、その100重量部当たり、可塑剤10〜100重量部及びシリコーンオイル0.1〜10重量部とを含むことを特徴とするインクジェット被記録材料、
(2)インク受理層に含まれるセルロースエステルが、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートよりなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物である(1)記載のインクジェット被記録材料、
(3)インク受理層に含まれるセルロースエステルが、10,000〜70,000の範囲の数平均分子量を有するセルロースアセテートブチレートである、(2)記載のインクジェット被記録材料、
(4)インク受理層に含まれるセルロースエステルが、10,000〜80,000の範囲の数平均分子量を有するセルロースアセテートプロピオネートである、(2)記載のインクジェット被記録材料、
(5)インク受理層に含まれるセルロースエステルが、30,000〜60,000の範囲の数平均分子量を有するセルロースアセテートである、(2)記載のインクジェット被記録材料、
(6)インク受理層に含まれるセルロースエステルが、ブチリル化度15〜55重量%のセルロースアセテートブチレートである(2)又は(3)記載のインクジェット被記録材料、
(7)インク受理層に含まれるセルロースエステルが、プロピオニル化度40〜50重量%のセルロースアセテートプロピオネートである(2)又は(4)記載のインクジェット被記録材料、
(8)インク受理層に含まれるセルロースエステルにおける水酸基の含有量が1〜5重量%である、(1)乃至(7)のいずれかに記載のインクジェット被記録材料、
(9)インク受理層に含まれるセルロースエステルのガラス転移点が、80〜190℃である、(1)乃至(8)のいずれかに記載のインクジェット被記録材料、
(10)インク受理層に含まれるセルロースエステルのガラス転移点が、100〜150℃である、(1)乃至(9)のいずれかに記載のインクジェット被記録材料、
(11)インク受理層に含まれる可塑剤が、フタル酸エステル可塑剤である(1)乃至(10)のいずれかに記載のインクジェット被記録材料、
(12)インク受理層に含まれる可塑剤が、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジイソノニル及びフタル酸ジ−2−エチルヘキシルよりなる群から選ばれる少なくとも1つのフタル酸エステルである(11)記載のインクジェット被記録材料、
(13)インク受理層に含まれる可塑剤が、フタル酸ジイソデシルである、(12)記載のインクジェット被記録材料、
(14)インク受理層に含まれるシリコーンオイルが、ポリエーテル変性シリコーンオイルである(1)乃至(13)のいずれかに記載のインクジェット被記録材料、
(15)インク受理層に含まれるシリコーンオイルの含有量が、セルロースエステル100重量部あたり、0.1〜7重量部である、(1)乃至(14)のいずれかに記載のインクジェット被記録材料、
(16)インク受理層に含まれるシリコーンオイルの含有量が、セルロースエステル100重量部あたり、0.3〜3重量部である、(15)記載のインクジェット被記録材料、
(17)インク受理層の厚さが15〜70μmである(1)乃至(16)のいずれかに記載のインクジェット被記録材料、
(18)インク受理層の厚さが20〜40μmである(17)記載のインクジェット被記録材料、
(19)基材が、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂及びウレタン樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1つの合成樹脂を素材とするものである(1)乃至(18)のいずれかに記載のインクジェット被記録材料、及び
(20)基材が、
(i)ポリエチレンテレフタレート
(ii)(a)ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチルよりなる群より選ばれる少なくとも1つのポリメタクリル酸エステル、(b)アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルよりなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物と合成ゴムとの共重合体、(c)アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル−スチレン共重合体及び(d)アクリルポリオールをポリイソシアネート架橋剤で架橋させることにより得られるアクリルウレタン樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1つのアクリル樹脂、
(iii)熱可塑性ウレタン樹脂
よりなる群より選ばれる少なくとも1つの合成樹脂を素材とするフィルムあるいはシートである(19)記載のインクジェット被記録材料、
を提供するものである。
すなわち、本発明は、
(1)基材と、その一方の面に形成されたインク受理層を有するインクジェット被記録材料において、前記インク受理層が、セルロースエステルと、その100重量部当たり、可塑剤10〜100重量部及びシリコーンオイル0.1〜10重量部とを含むことを特徴とするインクジェット被記録材料、
(2)インク受理層に含まれるセルロースエステルが、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートよりなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物である(1)記載のインクジェット被記録材料、
(3)インク受理層に含まれるセルロースエステルが、10,000〜70,000の範囲の数平均分子量を有するセルロースアセテートブチレートである、(2)記載のインクジェット被記録材料、
(4)インク受理層に含まれるセルロースエステルが、10,000〜80,000の範囲の数平均分子量を有するセルロースアセテートプロピオネートである、(2)記載のインクジェット被記録材料、
(5)インク受理層に含まれるセルロースエステルが、30,000〜60,000の範囲の数平均分子量を有するセルロースアセテートである、(2)記載のインクジェット被記録材料、
(6)インク受理層に含まれるセルロースエステルが、ブチリル化度15〜55重量%のセルロースアセテートブチレートである(2)又は(3)記載のインクジェット被記録材料、
(7)インク受理層に含まれるセルロースエステルが、プロピオニル化度40〜50重量%のセルロースアセテートプロピオネートである(2)又は(4)記載のインクジェット被記録材料、
(8)インク受理層に含まれるセルロースエステルにおける水酸基の含有量が1〜5重量%である、(1)乃至(7)のいずれかに記載のインクジェット被記録材料、
(9)インク受理層に含まれるセルロースエステルのガラス転移点が、80〜190℃である、(1)乃至(8)のいずれかに記載のインクジェット被記録材料、
(10)インク受理層に含まれるセルロースエステルのガラス転移点が、100〜150℃である、(1)乃至(9)のいずれかに記載のインクジェット被記録材料、
(11)インク受理層に含まれる可塑剤が、フタル酸エステル可塑剤である(1)乃至(10)のいずれかに記載のインクジェット被記録材料、
(12)インク受理層に含まれる可塑剤が、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジイソノニル及びフタル酸ジ−2−エチルヘキシルよりなる群から選ばれる少なくとも1つのフタル酸エステルである(11)記載のインクジェット被記録材料、
(13)インク受理層に含まれる可塑剤が、フタル酸ジイソデシルである、(12)記載のインクジェット被記録材料、
(14)インク受理層に含まれるシリコーンオイルが、ポリエーテル変性シリコーンオイルである(1)乃至(13)のいずれかに記載のインクジェット被記録材料、
(15)インク受理層に含まれるシリコーンオイルの含有量が、セルロースエステル100重量部あたり、0.1〜7重量部である、(1)乃至(14)のいずれかに記載のインクジェット被記録材料、
(16)インク受理層に含まれるシリコーンオイルの含有量が、セルロースエステル100重量部あたり、0.3〜3重量部である、(15)記載のインクジェット被記録材料、
(17)インク受理層の厚さが15〜70μmである(1)乃至(16)のいずれかに記載のインクジェット被記録材料、
(18)インク受理層の厚さが20〜40μmである(17)記載のインクジェット被記録材料、
(19)基材が、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂及びウレタン樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1つの合成樹脂を素材とするものである(1)乃至(18)のいずれかに記載のインクジェット被記録材料、及び
(20)基材が、
(i)ポリエチレンテレフタレート
(ii)(a)ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチルよりなる群より選ばれる少なくとも1つのポリメタクリル酸エステル、(b)アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルよりなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物と合成ゴムとの共重合体、(c)アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル−スチレン共重合体及び(d)アクリルポリオールをポリイソシアネート架橋剤で架橋させることにより得られるアクリルウレタン樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1つのアクリル樹脂、
(iii)熱可塑性ウレタン樹脂
よりなる群より選ばれる少なくとも1つの合成樹脂を素材とするフィルムあるいはシートである(19)記載のインクジェット被記録材料、
を提供するものである。
本発明のインクジェット被記録材料は、基材と、その一方の面に形成されたインク受理層を有するものである。
このインクジェット被記録材料における基材としては、基材としての適当な機械物性を有するものであればよく、特に制限されず、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂;さらにはウレタン樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;ポリ塩化ビニリデン樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリイミド樹脂;フッ素樹脂;ポリアミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;などの合成樹脂製フィルムや合成樹脂製シート、合成樹脂製板状体;セロファン、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレートなどのセルロース類よりなるフィルム、シート又は板状体;あるいは上質紙、中質紙、アート紙、ボンド紙、再生紙、バライタ紙、コート紙、段ボールなどの紙基材;天然繊維、合成繊維、再生繊維、半合成繊維などからなる単独又は複数の繊維を併用した混紡・混繊の織物、不織布などの布帛;これらの複合物などが挙げられる。中でも、合成樹脂からなるフィルム、シート又は板状体が好ましく、とりわけポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート、あるいはポリ塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂を素材とするフィルムやシートが好適であり、特にポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂、ウレタン樹脂を素材とするフィルムやシートが好適である。
アクリル樹脂を素材とするフィルムやシートとしては、特に制限はないが、例えばポリメタクリル酸メチルやポリメタクリル酸エチル等のポリメタクリル酸エステル類、従来公知のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルと合成ゴムとの共重合体、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとスチレンとの共重合体又は、アクリルポリオールをポリイソシアネート架橋剤で架橋させることにより得られるアクリルウレタン樹脂などからなるフィルムやシートが好ましく用いられる。
ウレタン樹脂を素材とするフィルムやシートとしては、熱硬化性のものと熱可塑性のものがあるが、本発明においては熱可塑性ウレタン樹脂を素材とするフィルムやシートが好ましく用いられる。
前記基材は、単層構造、積層構造のいずれであってもよい。また、透明、半透明、不透明のいずれであってもよい。また、着色されていてもよいし、無着色のものでもよく、用途に応じて適宜選択すればよい。
基材に樹脂を用いる場合には、必要に応じて、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの安定剤を添加することができる。またその表面に設けられる層との密着性を向上させる目的で、所望により片面又は両面に、酸化法や凸凹化法などにより表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、凸凹化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は基材の種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から、好ましく用いられる。また、プライマー処理を施してもよい。
基材としては、市販の各種フィルムやシートなどを用いることができる。また、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどを工程シートとして用い、その上に基材を構成するための組成物を塗工し、乾燥処理して基材を形成することもできる。
基材の厚さは特に限定されないが、通常10〜200μm、好ましくは30〜100μmである。
本発明のインクジェット被記録材料において、前記基材の一方の面に形成されるインク受理層は、セルロースエステルと可塑剤とシリコーンオイルを含む層である。
前記セルロースエステルは、セルロースと種々の有機酸とのエステルであれば、特に限定はない。その具体例としては、セルロースアセテート(CA)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、カプロン酸エステル、ラウリル酸エステル等のセルロースと脂肪族カルボン酸とのエステルを挙げることができる。また、セルロースの安息香酸エステル、トルイル酸エステル等の芳香族エステルを使用することも可能である。
これらのセルロースエステルの数平均分子量は、セルロースエステルの種類により異なるが、例えば、セルロースアセテート(CA)では30,000〜60,000、セルロースアセテートブチレート(CAB)では、10,000〜70,000、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)では、10,000〜80,000の範囲にあることが好ましい。
これらのセルロースエステルのアセチル化度は、ASTM D817に準拠して求められ、セルロースエステルの種類により異なるが、例えば、セルロースアセテート(CA)では40重量%前後、セルロースアセテートブチレート(CAB)では、2〜30重量%程度、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)では0.5〜30重量%の範囲にあることが好ましい。また、セルロースアセテートブチレート(CAB)におけるブチリル化度は15〜55重量%であることが好ましく、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)におけるプロピオニル化度は40〜50重量%であることが好ましい。更に、これらのセルロースエステルにおける水酸基の含有量は、1〜5重量%であることが好ましい。
ブチリル化度等のエステル化の度合いを上記範囲内とすることにより、インクジェットインクの受理性及び乾燥性を良好に保つことができ、印字画像における亀裂発生を効果的に防止し、鮮明な画像を得ることができる。
セルロースエステルのガラス転移点は、80〜190℃であるのが好ましく、100〜150℃であるのがより好ましい。
ガラス転移点を上記範囲内にすることにより、インクの受理性及び乾燥性を良好に保ち、印字画像における亀裂発生を効果的に防止し、鮮明な画像を得ることができる。
このセルロースエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記可塑剤として、その種類は、特に限定されないが、フタル酸エステル可塑剤;燐酸エステル可塑剤;アジピン酸エステル可塑剤;セバシン酸エステル可塑剤;ジ安息香酸ジエチレングリコール、ジ安息香酸ジプロピレングリコール等のグリコール誘導体可塑剤;グリセロールトリアセテート、グリセロールトリブチレートなどのグリセリン誘導体可塑剤;エポキシ化大豆油等のエポキシ誘導体可塑剤;等を例示することができる。
フタル酸エステル可塑剤の具体例としては、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル等のフタル酸ジアルキル可塑剤;フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ミリスチルベンジル等のフタル酸アルキルベンジル可塑剤;フタル酸アルキルアリール可塑剤;フタル酸ジベンジル可塑剤;フタル酸ジアリール可塑剤などを挙げることができる。
燐酸エステル可塑剤の具体例としては、燐酸トリクレジル等の燐酸トリアリール可塑剤;燐酸トリオクチル等の燐酸トリアルキル可塑剤;燐酸アルキルアリール可塑剤を挙げることができる。
これらの可塑剤のうち、工業的に安価で入手しやすいこと、また作業性、低毒性などの点から、フタル酸エステル可塑剤が好ましい。中でも、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジイソノニル及びフタル酸ジ2−エチルヘキシルが好ましい。さらに高速印刷の場合は、特にフタル酸ジイソデシル(以下、DIDPと略記することがある)が好ましい。
これらの可塑剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
可塑剤は、前記セルロースエステル100重量部当たり、10〜100重量部、好ましくは20〜80重量部、より好ましくは30〜60重量部の範囲で、インク受理層中に存在させる。
可塑剤を、上記範囲で存在させることにより、インクの浸透性を向上させ、これにより、インクの乾燥式び定着性を向上させ、印字画像における亀裂発生を防止することができる。
可塑剤の配合量が少ないと、印字画像に亀裂が発生しやすくなり、多すぎると、ブリードの問題が生じるおそれがある。
なお、高速印刷の場合は、可塑剤の配合量は、好ましくは50〜60重量部である。可塑剤の配合量がこの範囲内であると、高速印刷によりインクの吐出速度が速くなっても、乾燥性に優れ、印字画像に亀裂が発生しない。なお、「高速印刷」の場合、単位面積当たりの印刷時間が標準の2分の1程度であり、インクの吐出速度は標準の2倍程度である。
シリコーンオイルとしては、その種類は特に限定はなく、ポリジメチルシロキサンやポリジフェニルシロキサンなどの未変性シリコーンオイル及び以下に示す変性シリコーンオイルのいずれも用いることができる。変性シリコーンオイルの例としては、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、メチルフェニル変性シリコーンオイル、ポリグリセリン変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、(メタ)アクリル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
本発明においては、前記シリコーンオイルは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、これらの中で、ポリエーテル変性シリコーンオイルが、効果の点で好適である。
シリコーンオイルは、前記セルロースエステル100重量部当たり、通常、0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜7重量部、より好ましくは0.3〜3重量部の範囲でインク受理層中に存在させる。
シリコーンオイルを、上記範囲で存在させることにより、インクの乾燥性を損なうことなく、印字画像における亀裂の発生を、さらに効果的に防止することができる。
シリコーンオイルの配合量が少ないと亀裂の発生防止効果が小さく、多すぎると乾燥性が悪くなる。
インク受理層の形成は、前記のセルロースエステル、可塑剤及びシリコーンオイルを所定の割合で、有機溶剤に均一に溶解し、濃度を調整した塗工液を、基材の一方の面に塗布し、次いで乾燥することによって行われる。
インク受理層の厚さは、通常15〜70μmの範囲である。インク受理層の厚さが上記範囲にあれば、インク受理層としての機能を十分に発揮することができる。好ましい厚さは20〜40μmの範囲である。
有機溶剤は、セルロースエステル、可塑剤及びシリコーンオイルを均一に溶解できるものであれば特に限定はなく、具体的には、メチルエチルケトン等のケトン溶媒;酢酸エチル等のエステル溶媒;トルエン等の芳香族炭化水素溶媒;等を使用することができる。塗工液の濃度も特に限定されないが、通常、10〜30重量%程度である。
また、必要に応じて、各種の添加剤を塗工液に添加することができる。そのような添加剤の例としては、各種界面活性剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;レベリング剤;酸化防止剤;充填剤;等が挙げられる。
基材への上記塗工液のコーティングは、公知のコーティング方法、例えば、フィルムアプリケーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、エアナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スプレーコーター、カーテンコーター等により行うことができる。
塗工液の乾燥条件は、上記の基材及びインク受理層の劣化を引き起こさない限り、特に限定はない。
本発明のインクジェット被記録材料は、特に非水系型の顔料系インクジェットインクによる印字画像の形成に適している。
非水系型の顔料系インクにおける媒体としては、グリコールエーテル系が好ましい。グリコールエーテルとして、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、モノプロピレングリコールモノブチルエーテル、モノプロピレングリコールモノエチルエーテル、モノプロピレングリコールモノプロピルエーテル、モノプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノプロピレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールジプロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジプロピレングリコールモノペンチルエーテルなどのグリコールエーテル類が挙げられる。これらの媒体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、非水系型の顔料系インクにおける顔料としては、例えば酸化チタン、亜鉛筆、酸化鉄、群青、紺青、カーボンブラック、コバルトブルー、黄鉛などの無機顔料;アニリド系、アセト酢酸アニリドビスアゾ系、ピラゾロン系などの不溶性アゾ顔料;銅フタロシアニンブルー、キナクリドン系、チオインジゴ系、インダスロン系などの有機顔料;が挙げられる。これらの顔料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、染料系インクを用いて印刷することもできる。該染料系インクにおける染料としては、例えばアゾ染料、キノリン染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、シアニン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、ニトロ染料、金属錯塩染料などが挙げられる。
また、上記インクジェットインクのバインダーとしては、前記のグリコールエーテル類を含有する溶剤に混合分散できる公知のインクジェット用インクのバインダーであればいかなるものでもさしつかえない。該インクのバインダーとしては、例えば、スチレン−アクリル樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、繊維素樹脂などが挙げられ、必要に応じて、可塑剤、分散剤、ワックス、界面活性剤、帯電防止剤、粘度調整剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの公知の添加剤を添加したものも使用することができる。
本発明のインクジェット被記録材料においては、前記インク受理層への印刷は、通常のインクジェットプリンター及びプロッターを使用して、上記のグリコールエーテル類、顔料、染料などの着色剤、バインダー及び各種添加剤を含む公知のインクジェットインク、好ましくは顔料系インクを用い、通常のインクジェット印刷条件で実施することができる。また、高速印刷を行う場合には、高速モードあるいは高速印刷用プリンターを使用する。
このインクジェット被記録材料における基材としては、基材としての適当な機械物性を有するものであればよく、特に制限されず、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂;さらにはウレタン樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;ポリ塩化ビニリデン樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリイミド樹脂;フッ素樹脂;ポリアミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;などの合成樹脂製フィルムや合成樹脂製シート、合成樹脂製板状体;セロファン、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレートなどのセルロース類よりなるフィルム、シート又は板状体;あるいは上質紙、中質紙、アート紙、ボンド紙、再生紙、バライタ紙、コート紙、段ボールなどの紙基材;天然繊維、合成繊維、再生繊維、半合成繊維などからなる単独又は複数の繊維を併用した混紡・混繊の織物、不織布などの布帛;これらの複合物などが挙げられる。中でも、合成樹脂からなるフィルム、シート又は板状体が好ましく、とりわけポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート、あるいはポリ塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂を素材とするフィルムやシートが好適であり、特にポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂、ウレタン樹脂を素材とするフィルムやシートが好適である。
アクリル樹脂を素材とするフィルムやシートとしては、特に制限はないが、例えばポリメタクリル酸メチルやポリメタクリル酸エチル等のポリメタクリル酸エステル類、従来公知のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルと合成ゴムとの共重合体、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとスチレンとの共重合体又は、アクリルポリオールをポリイソシアネート架橋剤で架橋させることにより得られるアクリルウレタン樹脂などからなるフィルムやシートが好ましく用いられる。
ウレタン樹脂を素材とするフィルムやシートとしては、熱硬化性のものと熱可塑性のものがあるが、本発明においては熱可塑性ウレタン樹脂を素材とするフィルムやシートが好ましく用いられる。
前記基材は、単層構造、積層構造のいずれであってもよい。また、透明、半透明、不透明のいずれであってもよい。また、着色されていてもよいし、無着色のものでもよく、用途に応じて適宜選択すればよい。
基材に樹脂を用いる場合には、必要に応じて、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの安定剤を添加することができる。またその表面に設けられる層との密着性を向上させる目的で、所望により片面又は両面に、酸化法や凸凹化法などにより表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、凸凹化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は基材の種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から、好ましく用いられる。また、プライマー処理を施してもよい。
基材としては、市販の各種フィルムやシートなどを用いることができる。また、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどを工程シートとして用い、その上に基材を構成するための組成物を塗工し、乾燥処理して基材を形成することもできる。
基材の厚さは特に限定されないが、通常10〜200μm、好ましくは30〜100μmである。
本発明のインクジェット被記録材料において、前記基材の一方の面に形成されるインク受理層は、セルロースエステルと可塑剤とシリコーンオイルを含む層である。
前記セルロースエステルは、セルロースと種々の有機酸とのエステルであれば、特に限定はない。その具体例としては、セルロースアセテート(CA)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、カプロン酸エステル、ラウリル酸エステル等のセルロースと脂肪族カルボン酸とのエステルを挙げることができる。また、セルロースの安息香酸エステル、トルイル酸エステル等の芳香族エステルを使用することも可能である。
これらのセルロースエステルの数平均分子量は、セルロースエステルの種類により異なるが、例えば、セルロースアセテート(CA)では30,000〜60,000、セルロースアセテートブチレート(CAB)では、10,000〜70,000、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)では、10,000〜80,000の範囲にあることが好ましい。
これらのセルロースエステルのアセチル化度は、ASTM D817に準拠して求められ、セルロースエステルの種類により異なるが、例えば、セルロースアセテート(CA)では40重量%前後、セルロースアセテートブチレート(CAB)では、2〜30重量%程度、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)では0.5〜30重量%の範囲にあることが好ましい。また、セルロースアセテートブチレート(CAB)におけるブチリル化度は15〜55重量%であることが好ましく、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)におけるプロピオニル化度は40〜50重量%であることが好ましい。更に、これらのセルロースエステルにおける水酸基の含有量は、1〜5重量%であることが好ましい。
ブチリル化度等のエステル化の度合いを上記範囲内とすることにより、インクジェットインクの受理性及び乾燥性を良好に保つことができ、印字画像における亀裂発生を効果的に防止し、鮮明な画像を得ることができる。
セルロースエステルのガラス転移点は、80〜190℃であるのが好ましく、100〜150℃であるのがより好ましい。
ガラス転移点を上記範囲内にすることにより、インクの受理性及び乾燥性を良好に保ち、印字画像における亀裂発生を効果的に防止し、鮮明な画像を得ることができる。
このセルロースエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記可塑剤として、その種類は、特に限定されないが、フタル酸エステル可塑剤;燐酸エステル可塑剤;アジピン酸エステル可塑剤;セバシン酸エステル可塑剤;ジ安息香酸ジエチレングリコール、ジ安息香酸ジプロピレングリコール等のグリコール誘導体可塑剤;グリセロールトリアセテート、グリセロールトリブチレートなどのグリセリン誘導体可塑剤;エポキシ化大豆油等のエポキシ誘導体可塑剤;等を例示することができる。
フタル酸エステル可塑剤の具体例としては、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル等のフタル酸ジアルキル可塑剤;フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ミリスチルベンジル等のフタル酸アルキルベンジル可塑剤;フタル酸アルキルアリール可塑剤;フタル酸ジベンジル可塑剤;フタル酸ジアリール可塑剤などを挙げることができる。
燐酸エステル可塑剤の具体例としては、燐酸トリクレジル等の燐酸トリアリール可塑剤;燐酸トリオクチル等の燐酸トリアルキル可塑剤;燐酸アルキルアリール可塑剤を挙げることができる。
これらの可塑剤のうち、工業的に安価で入手しやすいこと、また作業性、低毒性などの点から、フタル酸エステル可塑剤が好ましい。中でも、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジイソノニル及びフタル酸ジ2−エチルヘキシルが好ましい。さらに高速印刷の場合は、特にフタル酸ジイソデシル(以下、DIDPと略記することがある)が好ましい。
これらの可塑剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
可塑剤は、前記セルロースエステル100重量部当たり、10〜100重量部、好ましくは20〜80重量部、より好ましくは30〜60重量部の範囲で、インク受理層中に存在させる。
可塑剤を、上記範囲で存在させることにより、インクの浸透性を向上させ、これにより、インクの乾燥式び定着性を向上させ、印字画像における亀裂発生を防止することができる。
可塑剤の配合量が少ないと、印字画像に亀裂が発生しやすくなり、多すぎると、ブリードの問題が生じるおそれがある。
なお、高速印刷の場合は、可塑剤の配合量は、好ましくは50〜60重量部である。可塑剤の配合量がこの範囲内であると、高速印刷によりインクの吐出速度が速くなっても、乾燥性に優れ、印字画像に亀裂が発生しない。なお、「高速印刷」の場合、単位面積当たりの印刷時間が標準の2分の1程度であり、インクの吐出速度は標準の2倍程度である。
シリコーンオイルとしては、その種類は特に限定はなく、ポリジメチルシロキサンやポリジフェニルシロキサンなどの未変性シリコーンオイル及び以下に示す変性シリコーンオイルのいずれも用いることができる。変性シリコーンオイルの例としては、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、メチルフェニル変性シリコーンオイル、ポリグリセリン変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、(メタ)アクリル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
本発明においては、前記シリコーンオイルは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、これらの中で、ポリエーテル変性シリコーンオイルが、効果の点で好適である。
シリコーンオイルは、前記セルロースエステル100重量部当たり、通常、0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜7重量部、より好ましくは0.3〜3重量部の範囲でインク受理層中に存在させる。
シリコーンオイルを、上記範囲で存在させることにより、インクの乾燥性を損なうことなく、印字画像における亀裂の発生を、さらに効果的に防止することができる。
シリコーンオイルの配合量が少ないと亀裂の発生防止効果が小さく、多すぎると乾燥性が悪くなる。
インク受理層の形成は、前記のセルロースエステル、可塑剤及びシリコーンオイルを所定の割合で、有機溶剤に均一に溶解し、濃度を調整した塗工液を、基材の一方の面に塗布し、次いで乾燥することによって行われる。
インク受理層の厚さは、通常15〜70μmの範囲である。インク受理層の厚さが上記範囲にあれば、インク受理層としての機能を十分に発揮することができる。好ましい厚さは20〜40μmの範囲である。
有機溶剤は、セルロースエステル、可塑剤及びシリコーンオイルを均一に溶解できるものであれば特に限定はなく、具体的には、メチルエチルケトン等のケトン溶媒;酢酸エチル等のエステル溶媒;トルエン等の芳香族炭化水素溶媒;等を使用することができる。塗工液の濃度も特に限定されないが、通常、10〜30重量%程度である。
また、必要に応じて、各種の添加剤を塗工液に添加することができる。そのような添加剤の例としては、各種界面活性剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;レベリング剤;酸化防止剤;充填剤;等が挙げられる。
基材への上記塗工液のコーティングは、公知のコーティング方法、例えば、フィルムアプリケーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、エアナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スプレーコーター、カーテンコーター等により行うことができる。
塗工液の乾燥条件は、上記の基材及びインク受理層の劣化を引き起こさない限り、特に限定はない。
本発明のインクジェット被記録材料は、特に非水系型の顔料系インクジェットインクによる印字画像の形成に適している。
非水系型の顔料系インクにおける媒体としては、グリコールエーテル系が好ましい。グリコールエーテルとして、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、モノプロピレングリコールモノブチルエーテル、モノプロピレングリコールモノエチルエーテル、モノプロピレングリコールモノプロピルエーテル、モノプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノプロピレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールジプロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジプロピレングリコールモノペンチルエーテルなどのグリコールエーテル類が挙げられる。これらの媒体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、非水系型の顔料系インクにおける顔料としては、例えば酸化チタン、亜鉛筆、酸化鉄、群青、紺青、カーボンブラック、コバルトブルー、黄鉛などの無機顔料;アニリド系、アセト酢酸アニリドビスアゾ系、ピラゾロン系などの不溶性アゾ顔料;銅フタロシアニンブルー、キナクリドン系、チオインジゴ系、インダスロン系などの有機顔料;が挙げられる。これらの顔料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、染料系インクを用いて印刷することもできる。該染料系インクにおける染料としては、例えばアゾ染料、キノリン染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、シアニン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、ニトロ染料、金属錯塩染料などが挙げられる。
また、上記インクジェットインクのバインダーとしては、前記のグリコールエーテル類を含有する溶剤に混合分散できる公知のインクジェット用インクのバインダーであればいかなるものでもさしつかえない。該インクのバインダーとしては、例えば、スチレン−アクリル樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、繊維素樹脂などが挙げられ、必要に応じて、可塑剤、分散剤、ワックス、界面活性剤、帯電防止剤、粘度調整剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの公知の添加剤を添加したものも使用することができる。
本発明のインクジェット被記録材料においては、前記インク受理層への印刷は、通常のインクジェットプリンター及びプロッターを使用して、上記のグリコールエーテル類、顔料、染料などの着色剤、バインダー及び各種添加剤を含む公知のインクジェットインク、好ましくは顔料系インクを用い、通常のインクジェット印刷条件で実施することができる。また、高速印刷を行う場合には、高速モードあるいは高速印刷用プリンターを使用する。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例で得られたインクジェット被記録フィルムの評価は、以下に示す方法で行った。
(1)印字画像における亀裂の有無
記録された画像の品質を目視により下記の3段階で評価する。
○:ベタ印刷部分に全く亀裂がない。
×:ベタ印刷部分に亀裂が多く認められる。
(2)乾燥性
記録された画像を印字10分後に指で軽く擦った際の画像の変化を目視で観察し、下記の3段階で評価する。
○:変化なし。
△:指にインクが移るが画像自体に変化なし。
×:指にインクが移り、画像が擦れている。
実施例1
下記に示す塗工液の各成分を混合し、ディスパーを用いて1400rpmで15分間分散させ、基材用塗工液を調製した。
アクリル樹脂(メタクリル酸メチル/スチレン/アクリル酸ブチル共重合体、共重合比率=90/8/2) 100重量部
メチルエチルケトン(MEK) 200重量部
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF) 100重量部
紫外線吸収剤〔旭電化工業株式会社製、「アデカスタブ1413」〕 1重量部
ポリエステル可塑剤〔大日本インキ化学工業株式会社製、「モノサイザーW−260」〕 5重量部
着色剤 10重量部
次に、上記基材用塗工液を、工程シートである厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム〔帝人デュポンフィルム株式会社製、「GII−50」〕の上にフィルムアプリケーターを用いて乾燥塗膜厚さが50μmとなるように塗工、乾燥し、基材層を得た。次に、インク受理層としてセルロースエステル〔イーストマンケミカル社製、「CAB−381−2」、数平均分子量40,000、アセチル化度13.5重量%、ブチリル化度38.0重量%、水酸基含有量1.3重量%、ガラス転移点133℃〕100重量部、可塑剤としてのフタル酸ジイソデシル〔大八化学工業株式会社製〕40重量部、及びポリエーテル変性シリコーンオイル〔大日精化工業株式会社製、「レザロイドLU−2228」〕0.5重量部をMEK200重量部及びDMF100重量部からなる混合溶媒に十分に分散・溶解させたものを塗工液とし、フィルムアプリケーター用いて前記の基材層の上に乾燥塗膜厚さが25μmとなるように塗工、乾燥し、インクジェット被記録フィルムを得た。
このインクジェット被記録フィルムのインク受理層に、市販のインクジェットプリンター〔ローランド ディー.ジー.株式会社製、「SOLJET SC−500」〕と、グリコールエーテルを主成分とする非水系溶媒中に顔料を分散してなる顔料系インク〔ローランド ディー.ジー.株式会社製、「SOL INK」〕を使用してシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色のフルカラーベタ印刷を行い、印字画像における亀裂の有無と乾燥性を評価した。結果を第1表に示す。
実施例2
セルロースエステル〔イーストマンケミカル社製、「CAB−381−2」〕に代えてセルロースエステル〔イーストマンケミカル社製、「CAB−381−0.5」、数平均分子量30,000、アセチル化度13.5重量%、ブチリル化度38.0重量%、水酸基含有量1.3重量%、ガラス転移点130℃〕を用いたほかは実施例1と同様にして、インクジェット被記録フィルムを得た。このフィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を第1表に示す。
実施例3
フタル酸ジイソデシルに代えてフタル酸ジイソノニル〔大八化学工業株式会社製〕を用いたほかは実施例1と同様にして、インクジェット被記録フィルムを得た。このフィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を第1表に示す。
実施例4
シリコーンオイルとして、未変性シリコーンオイルであるポリジメチルシロキサン〔東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製、「SH200」〕を用いたほかは実施例1と同様にして、インクジェット被記録フィルムを得た。このフィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を第1表に示す。
実施例5
シリコーンオイルとして、アルキル変性シリコーンオイル〔信越化学工業株式会社製、「KP−324」〕を用いたほかは実施例1と同様にして、インクジェット被記録フィルムを得た。このフィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を第1表に示す。
実施例6
シリコーンオイルとして、メチルフェニル変性シリコーンオイル〔信越化学工業株式会社製、「KP−322」〕を用いたほかは実施例1と同様にして、インクジェット被記録フィルムを得た。このフィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を第1表に示す。
実施例7
シリコーンオイルとして、ポリグリセリン変性シリコーンオイル〔信越化学工業株式会社製、「X−24−1100」〕を用いたほかは実施例1と同様にして、インクジェット被記録フィルムを得た。このフィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を第1表に示す。
実施例8
ウレタン樹脂溶液〔大日精化工業株式会社製、「レザミンNE8821」〕を、工程シートである厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム〔ユニチカ株式会社製、「エンブレットS50」〕の上にフィルムアプリケーターにて乾燥塗膜厚さが50μmとなるように塗工、乾燥して基材層を得た以外は実施例1と同様にして、インクジェット被記録フィルムを得た。このフィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を第1表に示す。
実施例9
基材として、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム〔帝人デュポンフィルム株式会社製、「メリネックスA−542」〕を用いて、この上に実施例1と同様インク受理層をフィルムアプリケーターにて乾燥塗膜厚さが25μmとなるように塗工し、インクジェット被記録フィルムを得た。このフィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を第1表に示す。
比較例1
可塑剤として、フタル酸ジイソデシル40重量部に変えてフタル酸ジイソデシル5重量部を用いたほかは実施例1と同様にして、インクジェット被記録フィルムを得た。このフィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を第1表に示す。
比較例2
ポリエーテル変性シリコーンオイルを用いなかったほかは実施例1と同様にして、インクジェット被記録フィルムを得た。このフィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を第1表に示す。
比較例3
ポリエーテル変性シリコーンオイルの使用量を0.5重量部から15重量部に変更したほかは実施例1と同様にして、インクジェット被記録フィルムを得た。このフィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を第1表に示す。
第1表から明らかなように、シリコーンオイルを用いない場合(比較例2)には、印字画像に亀裂が発生することが分かる。また、インク受理層に含まれる可塑剤の量が、本発明で規定する範囲より少ない場合(比較例1)も、印字画像に亀裂が発生し、乾燥性も十分でないことが分かる。
また、シリコーンオイルの含有量が、本発明で規定する範囲より多い場合(比較例3)は、亀裂の発生はないが、乾燥性が悪く、インクが滲んでしまう現象が見られた。
これに対して、インク受理層が、セルロースエステルに対し、可塑剤及びシリコーンオイルを本発明で規定する範囲で含有する場合(実施例1〜9)は、印字画像に亀裂がなく、乾燥性もよいことが分かる。
なお、各例で得られたインクジェット被記録フィルムの評価は、以下に示す方法で行った。
(1)印字画像における亀裂の有無
記録された画像の品質を目視により下記の3段階で評価する。
○:ベタ印刷部分に全く亀裂がない。
×:ベタ印刷部分に亀裂が多く認められる。
(2)乾燥性
記録された画像を印字10分後に指で軽く擦った際の画像の変化を目視で観察し、下記の3段階で評価する。
○:変化なし。
△:指にインクが移るが画像自体に変化なし。
×:指にインクが移り、画像が擦れている。
実施例1
下記に示す塗工液の各成分を混合し、ディスパーを用いて1400rpmで15分間分散させ、基材用塗工液を調製した。
アクリル樹脂(メタクリル酸メチル/スチレン/アクリル酸ブチル共重合体、共重合比率=90/8/2) 100重量部
メチルエチルケトン(MEK) 200重量部
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF) 100重量部
紫外線吸収剤〔旭電化工業株式会社製、「アデカスタブ1413」〕 1重量部
ポリエステル可塑剤〔大日本インキ化学工業株式会社製、「モノサイザーW−260」〕 5重量部
着色剤 10重量部
次に、上記基材用塗工液を、工程シートである厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム〔帝人デュポンフィルム株式会社製、「GII−50」〕の上にフィルムアプリケーターを用いて乾燥塗膜厚さが50μmとなるように塗工、乾燥し、基材層を得た。次に、インク受理層としてセルロースエステル〔イーストマンケミカル社製、「CAB−381−2」、数平均分子量40,000、アセチル化度13.5重量%、ブチリル化度38.0重量%、水酸基含有量1.3重量%、ガラス転移点133℃〕100重量部、可塑剤としてのフタル酸ジイソデシル〔大八化学工業株式会社製〕40重量部、及びポリエーテル変性シリコーンオイル〔大日精化工業株式会社製、「レザロイドLU−2228」〕0.5重量部をMEK200重量部及びDMF100重量部からなる混合溶媒に十分に分散・溶解させたものを塗工液とし、フィルムアプリケーター用いて前記の基材層の上に乾燥塗膜厚さが25μmとなるように塗工、乾燥し、インクジェット被記録フィルムを得た。
このインクジェット被記録フィルムのインク受理層に、市販のインクジェットプリンター〔ローランド ディー.ジー.株式会社製、「SOLJET SC−500」〕と、グリコールエーテルを主成分とする非水系溶媒中に顔料を分散してなる顔料系インク〔ローランド ディー.ジー.株式会社製、「SOL INK」〕を使用してシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色のフルカラーベタ印刷を行い、印字画像における亀裂の有無と乾燥性を評価した。結果を第1表に示す。
実施例2
セルロースエステル〔イーストマンケミカル社製、「CAB−381−2」〕に代えてセルロースエステル〔イーストマンケミカル社製、「CAB−381−0.5」、数平均分子量30,000、アセチル化度13.5重量%、ブチリル化度38.0重量%、水酸基含有量1.3重量%、ガラス転移点130℃〕を用いたほかは実施例1と同様にして、インクジェット被記録フィルムを得た。このフィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を第1表に示す。
実施例3
フタル酸ジイソデシルに代えてフタル酸ジイソノニル〔大八化学工業株式会社製〕を用いたほかは実施例1と同様にして、インクジェット被記録フィルムを得た。このフィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を第1表に示す。
実施例4
シリコーンオイルとして、未変性シリコーンオイルであるポリジメチルシロキサン〔東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製、「SH200」〕を用いたほかは実施例1と同様にして、インクジェット被記録フィルムを得た。このフィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を第1表に示す。
実施例5
シリコーンオイルとして、アルキル変性シリコーンオイル〔信越化学工業株式会社製、「KP−324」〕を用いたほかは実施例1と同様にして、インクジェット被記録フィルムを得た。このフィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を第1表に示す。
実施例6
シリコーンオイルとして、メチルフェニル変性シリコーンオイル〔信越化学工業株式会社製、「KP−322」〕を用いたほかは実施例1と同様にして、インクジェット被記録フィルムを得た。このフィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を第1表に示す。
実施例7
シリコーンオイルとして、ポリグリセリン変性シリコーンオイル〔信越化学工業株式会社製、「X−24−1100」〕を用いたほかは実施例1と同様にして、インクジェット被記録フィルムを得た。このフィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を第1表に示す。
実施例8
ウレタン樹脂溶液〔大日精化工業株式会社製、「レザミンNE8821」〕を、工程シートである厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム〔ユニチカ株式会社製、「エンブレットS50」〕の上にフィルムアプリケーターにて乾燥塗膜厚さが50μmとなるように塗工、乾燥して基材層を得た以外は実施例1と同様にして、インクジェット被記録フィルムを得た。このフィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を第1表に示す。
実施例9
基材として、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム〔帝人デュポンフィルム株式会社製、「メリネックスA−542」〕を用いて、この上に実施例1と同様インク受理層をフィルムアプリケーターにて乾燥塗膜厚さが25μmとなるように塗工し、インクジェット被記録フィルムを得た。このフィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を第1表に示す。
比較例1
可塑剤として、フタル酸ジイソデシル40重量部に変えてフタル酸ジイソデシル5重量部を用いたほかは実施例1と同様にして、インクジェット被記録フィルムを得た。このフィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を第1表に示す。
比較例2
ポリエーテル変性シリコーンオイルを用いなかったほかは実施例1と同様にして、インクジェット被記録フィルムを得た。このフィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を第1表に示す。
比較例3
ポリエーテル変性シリコーンオイルの使用量を0.5重量部から15重量部に変更したほかは実施例1と同様にして、インクジェット被記録フィルムを得た。このフィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を第1表に示す。
また、シリコーンオイルの含有量が、本発明で規定する範囲より多い場合(比較例3)は、亀裂の発生はないが、乾燥性が悪く、インクが滲んでしまう現象が見られた。
これに対して、インク受理層が、セルロースエステルに対し、可塑剤及びシリコーンオイルを本発明で規定する範囲で含有する場合(実施例1〜9)は、印字画像に亀裂がなく、乾燥性もよいことが分かる。
本発明のインクジェット被記録材料は、グリコールエーテルを主成分とする非水系溶媒中に顔料を分散してなる非水系型の顔料系インクを用いたインクジェット記録方式による印字が可能であって、インクの乾燥性、定着性、印刷適性に優れる上、耐候性が良好で、特に印字画像に亀裂がなく、鮮明性に優れる高品質印刷画像を得ることができる。
Claims (20)
- 基材と、その一方の面に形成されたインク受理層を有するインクジェット被記録材料において、前記インク受理層が、セルロースエステルと、その100重量部当たり、可塑剤10〜100重量部及びシリコーンオイル0.1〜10重量部とを含むことを特徴とするインクジェット被記録材料。
- インク受理層に含まれるセルロースエステルが、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートよりなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物である請求の範囲1記載のインクジェット被記録材料。
- インク受理層に含まれるセルロースエステルが、10,000〜70,000の範囲の数平均分子量を有するセルロースアセテートブチレートである、請求の範囲2記載のインクジェット被記録材料。
- インク受理層に含まれるセルロースエステルが、10,000〜80,000の範囲の数平均分子量を有するセルロースアセテートプロピオネートである、請求の範囲2記載のインクジェット被記録材料。
- インク受理層に含まれるセルロースエステルが、30,000〜60,000の範囲の数平均分子量を有するセルロースアセテートである、請求の範囲2記載のインクジェット被記録材料。
- インク受理層に含まれるセルロースエステルが、ブチリル化度15〜55重量%のセルロースアセテートブチレートである請求の範囲2又は3記載のインクジェット被記録材料。
- インク受理層に含まれるセルロースエステルが、プロピオニル化度40〜50重量%のセルロースアセテートプロピオネートである請求の範囲2又は4記載のインクジェット被記録材料。
- インク受理層に含まれるセルロースエステルにおける水酸基の含有量が1〜5重量%である、請求の範囲1乃至7のいずれかに記載のインクジェット被記録材料。
- インク受理層に含まれるセルロースエステルのガラス転移点が、80〜190℃である、請求の範囲1乃至8のいずれかに記載のインクジェット被記録材料。
- インク受理層に含まれるセルロースエステルのガラス転移点が、100〜150℃である、請求の範囲1乃至9のいずれかに記載のインクジェット被記録材料。
- インク受理層に含まれる可塑剤が、フタル酸エステル可塑剤である請求の範囲1乃至10のいずれかに記載のインクジェット被記録材料。
- インク受理層に含まれる可塑剤が、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジイソノニル及びフタル酸ジ−2−エチルヘキシルよりなる群から選ばれる少なくとも1つのフタル酸エステルである請求の範囲11記載のインクジェット被記録材料。
- インク受理層に含まれる可塑剤が、フタル酸ジイソデシルである、請求の範囲12記載のインクジェット被記録材料。
- インク受理層に含まれるシリコーンオイルが、ポリエーテル変性シリコーンオイルである請求の範囲1乃至13のいずれかに記載のインクジェット被記録材料。
- インク受理層に含まれるシリコーンオイルの含有量が、セルロースエステル100重量部あたり、0.1〜7重量部である、請求の範囲1乃至14のいずれかに記載のインクジェット被記録材料。
- インク受理層に含まれるシリコーンオイルの含有量が、セルロースエステル100重量部あたり、0.3〜3重量部である、請求の範囲15記載のインクジェット被記録材料。
- インク受理層の厚さが15〜70μmである請求の範囲1乃至16のいずれかに記載のインクジェット被記録材料。
- インク受理層の厚さが20〜40μmである請求の範囲17記載のインクジェット被記録材料。
- 基材が、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂及びウレタン樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1つの合成樹脂を素材とするものである請求の範囲1乃至18のいずれかに記載のインクジェット被記録材料。
- 基材が、
(i)ポリエチレンテレフタレート
(ii)(a)ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチルよりなる群より選ばれる少なくとも1つのポリメタクリル酸エステル、(b)アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルよりなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物と合成ゴムとの共重合体、(c)アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル−スチレン共重合体及び(d)アクリルポリオールをポリイソシアネート架橋剤で架橋させることにより得られるアクリルウレタン樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1つのアクリル樹脂、
(iii)熱可塑性ウレタン樹脂
よりなる群より選ばれる少なくとも1つの合成樹脂を素材とするフィルムあるいはシートである請求の範囲19記載のインクジェット被記録材料。
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