JP2001260520A - インクジェット記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

インクジェット記録媒体及びその製造方法

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JP2001260520A
JP2001260520A JP2000072286A JP2000072286A JP2001260520A JP 2001260520 A JP2001260520 A JP 2001260520A JP 2000072286 A JP2000072286 A JP 2000072286A JP 2000072286 A JP2000072286 A JP 2000072286A JP 2001260520 A JP2001260520 A JP 2001260520A
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Giichi Ito
義一 伊藤
Kazuhiko Yanagisawa
和彦 柳澤
Koji Mizuno
耕治 水野
Kinnosuke Hino
欣之輔 比野
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Nichiban Co Ltd
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Nichiban Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インク吸収性、インク定着性、インク乾燥
性、ドット再現性などの印字性に優れ、インクの滲みや
印字後の経時変化が抑制され、さらには、耐水性、耐候
性、強度などに優れたインク受容層が形成されたインク
ジェット記録媒体を提供すること。 【解決手段】 支持体上にインク受容層が形成されたイ
ンクジェット記録媒体において、該インク受容層が、ポ
リビニルブチラール樹脂、その良溶媒、及びその貧溶媒
を含有する塗工液を支持体上に塗布し乾燥して形成され
た多孔質樹脂層であることを特徴とするインクジェット
記録媒体、及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シート状基材など
の支持体上に、インクジェットプリンターによる記録が
可能なインク受容層が形成されたインクジェット記録媒
体に関し、さらに詳しくは、インク吸収性、インク定着
性、インク乾燥性、ドット再現性などの印字性に優れ、
インクの滲みや印字後の経時変化が抑制され、さらに
は、耐水性、耐候性、強度などに優れたインク受容層が
形成されたインクジェット記録媒体とその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録は、インクをノズル
から噴出して微小な液滴をつくり、この液滴を電気入力
信号に応じた画素として紙などの基材に付着させて、文
字、図形、画像パターンなどを形成する記録方式であ
り、低雑音、高解像度、高速記録などの特徴を有してい
る。電子写真方式の複写や記録では、静電潜像形成用の
感光体ドラムやトナー定着用の加熱ローラなどの複雑で
高価な装置を必要とする。これに対して、インクジェッ
ト記録方式では、プリンターヘッドやインクカートリッ
ジなどの印字に必要な部品を備えた簡単で安価なインク
ジェットプリンターを使用することができる。
【0003】インクジェットプリンターは、小型で低価
格であることに加えて、ヘッドの増設だけでカラー印字
も簡単に打ち出すことが可能である。インクジェット記
録方式は、このような優れた特徴を有するため、パーソ
ナルコンピュータやワードプロセッサーなどの印字に使
用されているが、最近では、複写機、プロッター、ラベ
ルライターなどの各種出力機器への応用も図られてい
る。インクジェット記録方式における記録媒体として
は、紙だけではなく、布、ガラス、合成樹脂なども検討
されている。
【0004】特に合成樹脂シートは、一般に、耐熱性、
寸法安定性、剛性などのバランスに優れ、透明性や耐久
性などの要求を満足させる材質の選択も容易である。一
方、インクジェット記録方式によれば、鮮明な画像を得
ることができ、カラー印字も容易であり、入力に応じて
所望の形状の画像を形成することも簡単である。したが
って、合成樹脂シートをインクジェット記録媒体とする
ことができるならば、種々の用途分野への展開が可能で
ある。例えば、オーバーヘッドプロジェクター(OH
P)用の原紙としてポリエステルシートなどの透明な合
成樹脂シートが用いられているが、この原紙をインクジ
ェット記録媒体として使用することができるならば、各
種の会議や学会、講演、説明会、商品の宣伝等でのOH
Pの利用の拡大に貢献することができる。不透明な合成
樹脂シートや透明性の低い合成樹脂シートであっても、
インクジェット記録方式により鮮明な画像やカラー画像
を形成することができるならば、記録、説明、宣伝の資
料などとして活用することができる。
【0005】ところが、合成樹脂シートは、一般に、イ
ンクジェット記録用のインクを受容し難いという問題が
あった。インクジェットプリンターでは、ジェットノズ
ル部において、インクの乾燥によりインクの粘度が上昇
して噴出不良となるのを防ぐために、比較的乾燥し難い
インクが用いられている。しかも、インクジェット記録
用インクは、一般に、水溶性の染料、バインダー、添加
剤等を水に溶解したものからなるため、疎水性の合成樹
脂シート上では、インクの乾燥や定着が不良となる。イ
ンクジェットプリンターで印字を行うには、記録媒体と
して、インクの水分を急速に吸収して乾燥固化させる機
能を有するものを使用することが必要である。
【0006】そこで、従来より、合成樹脂シートをイン
クジェット記録用インクに適した記録媒体として使用す
るために、合成樹脂シート上に、急速な吸水性を示すイ
ンク受容層を形成することが提案されている。例えば、
(1) 透明な合成樹脂シート表面に、ポリビニルピロリド
ンを含有するインク受容層を設けたインクジェット記録
用シート(特開昭61−32788号公報)、(2) 透明
な熱可塑性樹脂フィルム上に、ポリビニルアルコールや
ゼラチンなどの水溶性樹脂とコロイダルシリカとを含む
透明なインク受容層を設けた記録用シート(特開昭61
−19389号公報)、(3) 透明なプラスチックフィル
ム上に、平均粒径1〜100mμの超微粒子と平均粒径
1〜20μの微粒子とを含有する水溶性高分子の薄膜を
設けた記録シート(特開昭61−280983号公
報)、(4) 透明性フィルム上に、粒径5〜50μm程度
の透明性微粒子(ガラスビーズや合成樹脂球状マイクロ
ビーズ)を含有させた透明性接着剤を塗布したオーバー
ヘッドプロジェクター用フィルム(特開昭61−244
94号公報)などが提案されている。
【0007】これらの中で、ポリビニルピロリドンなど
の水溶性高分子からなるインク受容層は、インク液滴の
付着により膨潤する膨潤型であるため、インクの固着能
力が不充分であり、印字後の経時変化により画像のシャ
ープさが低下する。また、膨潤型のインクジェット記録
媒体は、吸湿によりインク受容層が粘着性を持つように
なるため、ブロッキングして取扱性が低下しやすい。
【0008】コロイダルシリカやアルミナなどの無機粒
子を高比率で混入した水溶性高分子からなるインク受容
層は、インク液滴を吸収する吸収型であるため、インク
の固着能力は良好であるものの、透明性が不充分であっ
たり、脆くて割れやすいという欠点がある。また、ガラ
スビーズや合成樹脂球状マイクロビーズを水溶性高分子
バインダーで結合固定してなるインク受容層は、インク
の吸収性は良好であるものの、インクの定着性に劣り、
滲みが多く、しかも脆くて割れやすいという欠点があ
る。
【0009】さらに、これらの水溶性高分子を含有する
インク受容層は、耐水性及び耐候性が不充分であり、水
との接触により水溶性高分子が溶解してインク受容層が
破壊されやすく、また、厳しい環境下に置かれると、画
像が変化したり、インク受容層の劣化が進みやすい。そ
のため、水溶性高分子を含有するインク受容層が形成さ
れたインクジェット記録媒体は、屋外におけるサイン用
途や自動車への貼付など、耐水性及び耐候性が要求され
る用途分野への適用に制限があった。吸収型のインク受
容層の場合には、水溶性高分子バインダーを架橋するこ
とにより、耐水性及び耐候性を向上させることができる
ものの、充分ではなく、屋外では1ケ月ほどでインク受
容層が劣化して割れが発生する。
【0010】水溶性高分子を含有するインク受容層が形
成されたインクジェット記録媒体を屋外などの厳しい環
境下での用途に適用するには、ポリエステルフィルムに
よるラミネートなどの保護手段が必要とされ、コスト高
になるという欠点があった。しかも、ポリエステルフィ
ルムのラミネートにより撥水処理をしても、雨水のしみ
込みが発生して、インク受容層が劣化する。
【0011】インクジェット記録方式を利用した画像形
成に対する要求水準が高まるにつれて、インクジェット
記録媒体には、シート状基材などの支持体上に、次のよ
うな特性を有するインク受容層が形成されていることが
求められている。(1) インクの受容性、吸収乾燥性、定
着性、ドットの再現性等の印字性に優れていること、
(2) インクの発色が鮮明で、しかも経時により変色しな
いこと、(3) 被膜強度や耐水性に優れていること、(4)
積層状態で保存しても、各シート間でブロッキングを起
こさないこと、(5) 画像の端部をシャープに表現できる
インクドットの適度な広がりがあり、過度な滲みがない
こと、(6) 粘着性があったり、指紋跡等の付着がないこ
と、(7) 屋外及びサイン用途分野では、耐候性及び耐水
性に優れること。しかしながら、従来のインクジェット
記録媒体は、これらの要求特性を充分に満足することが
できるものではなかった。
【0012】今後、サイン分野では、インクジェットプ
リンターを用いて簡易に掲示物を作製する用途の増加が
予想される。それにつれて、耐候性及び耐水性の観点か
ら、着色剤として顔料を用いた顔料インクの普及が進む
と推定される。現在、主流のインクジェット記録媒体
は、印字面が水溶性高分子により被膜化されたインク受
容層であるため、粒子径の小さい染料インクを用いた場
合には、インク受容層内部にインクを定着することがで
きるが、粒子径の大きい顔料インクを用いると、インク
受容層の表面に顔料成分が残りやすく、印字直後の耐擦
過性が低下する。したがって、顔料インクに対するイン
ク受容性の改善が求められている。
【0013】従来、インク吸収性、耐ブロッキング性、
耐ビーディング性に優れ、長期保存性や透光性にも優れ
た被記録材(記録媒体)を得るために、水溶性高分子化
合物(例えば、ポリビニルピロリドン)と水不溶性高分
子化合物(例えば、ソルビトールと芳香族アルデヒドの
縮合生成物)を含む少なくとも2種の成分と、一方の成
分に対して良溶媒であり、他方の成分に対して貧溶媒で
ある溶媒と含む加熱溶液を基材に直接塗布し、溶媒を高
温で乾燥除去して、インク受容層を形成する方法が提案
されている(特許第2694042号公報)。しかし、
この方法により形成されたインク受容層は、水不溶性高
分子化合物により耐ブロッキング性が改善されているも
のの、インク吸収性を水溶性高分子や水溶性有機化合物
により得ており、インク受容性、耐水性及び耐候性が不
充分である。該公報には、ポリビニルブチラールのエチ
ルセロソルブ溶液をポリエチレンテレフタレートフィル
ム上に塗布し、140℃で5分間加熱乾燥した例が示さ
れているが(比較例2)、得られた被膜は、インク吸収
性がなく、インク受容層としては不適当なものである。
【0014】最近、高分子多孔質層からなるインク受容
層を形成したインクジェット記録媒体が提案されている
(特開平8−90944号公報、特開平9−29057
7号公報)。具体的には、ポリビニルアセタール樹脂や
ポリビニルブチラール樹脂などの高分子材料をN−メチ
ル−2−ピロリドンやN,N−ジメチルホルムアミドな
どのアミド系溶媒に溶解させた溶液をフィルム上に塗布
し、次いで、蒸気槽に導入したり、加湿器を用いて、塗
布層表面に噴霧水を接触させ、その後、水洗、乾燥させ
て、高分子多孔質層を形成している。噴霧水を用いるこ
とにより、塗布層表面に貧溶媒の水を微粒子状態で接触
させている。接触した噴霧水は、塗布層内の溶媒中に拡
散し、高分子材料を凝固させ、それによって、多孔質構
造を形成している。高分子多孔質層をインク受容層とす
ることにより、ドット再現性や記録濃度などが改善され
たインクジェット記録媒体を得ることができる。また、
高分子材料として水不溶性樹脂を用いることにより、耐
水性や耐候性を改善することが可能である。
【0015】しかしながら、塗布層表面に蒸気槽や加湿
器を用いて噴霧水を接触させる方法は、高分子多孔質
層の孔径などの多孔質構造を精密に制御することが困難
であること、乾燥速度が遅く、処理工程数も多いた
め、生産性に難があること、工業的規模での設備の設
置や制御が困難であることなどの問題がある。また、高
沸点のアミド系溶媒を使用すると、乾燥性に問題があ
り、皮膚刺激などの安全面での問題もある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、イン
ク吸収性、インク定着性、インク乾燥性、ドット再現性
などの印字性に優れ、インクの滲みや印字後の経時変化
が抑制され、さらには、耐水性、耐候性、強度などに優
れたインク受容層が形成されたインクジェット記録媒体
を提供することにある。本発明の他の目的は、このよう
な優れた諸特性を有するインクジェット記録媒体を、安
価、簡便かつ制御が容易な方法により製造する方法を提
供することにある。
【0017】本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意
研究した結果、シート状基材などの支持体上に、ポリビ
ニルブチラール樹脂の良溶媒と貧溶媒との混合溶媒溶液
を塗布し、乾燥することにより、多孔質樹脂層が形成さ
れることを見いだした。このようにして形成された多孔
質樹脂層は、インク受容層として、優れたインク吸収
性、インク定着性、インク乾燥性、ドット再現性などの
印字性を示し、インクの滲みがない。また、この多孔質
樹脂層は、耐候性、耐水性、強度に優れ、印字後の経時
変化が効果的に抑制されている。
【0018】本発明の方法によれば、良溶媒と貧溶媒の
種類や乾燥方法などを工夫することにより、多孔質樹脂
層の平均孔径などの多孔質構造を容易に制御することが
できる。平均孔径の制御により、顔料インクに対する受
容性を高めることができる。また、良溶媒として、メタ
ノールなどの低沸点有機溶媒を使用し、かつ、貧溶媒と
して、イオン交換水などを使用することにより、高沸点
のアミド系溶媒の使用に伴う問題を克服することができ
る。本発明によれば、簡単な設備を用いて、乾燥温度を
制御することにより、生産性良く、インク受容層として
高品質の多孔質樹脂層を形成することができる。本発明
は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものであ
る。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、支持体
上にインク受容層が形成されたインクジェット記録媒体
において、該インク受容層が、ポリビニルブチラール樹
脂、その良溶媒、及びその貧溶媒を含有する塗工液を支
持体上に塗布し乾燥して形成された多孔質樹脂層である
ことを特徴とするインクジェット記録媒体が提供され
る。また、本発明によれば、支持体上に、ポリビニルブ
チラール樹脂、その良溶媒、及びその貧溶媒を含有する
塗工液を塗布し、乾燥して、多孔質樹脂層を形成するこ
とを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法が提
供される。
【0020】
【発明の実施の形態】1.支持体 本発明で使用する支持体としては、特に限定されず、種
々の材質の種々の形態のものを使用することができる
が、通常は、シート状基材が好適に用いられる。シート
状基材としては、耐熱性、寸法安定性、剛性などを備え
た合成樹脂シートが好ましい。このような合成樹脂シー
トとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(P
ET)などのポリエステル、セルローストリアセテー
ト、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレ
ン、ポリイミドなどから形成されたシート(フィルムを
含む)を挙げることができる。シート状基材の厚さは、
用途に応じて適宜定めることができるが、通常、20〜
250μm程度である。これらの中でも、厚さ25〜1
50μmの延伸PETフィルムが特に好ましい。
【0021】インクジェット記録媒体をOHP用原紙な
どとして使用する場合には、透明性に優れた合成樹脂シ
ートを用いる。写真調の画像が望ましい場合には、上記
の如き合成樹脂に酸化チタン等の体質顔料を練り込ん
で、白色隠蔽性を付与した合成樹脂シートを用いる。ま
た、用途に応じて、合成紙、コート紙等の合成樹脂シー
ト以外のシート材料を支持体として使用することができ
る。支持体の表面には、必要に応じて、接着性を向上さ
せるために、プライマー層を設けたり、コロナ放電処理
を行ったりした後、その上に、多孔質樹脂層を形成して
もよい。支持体がシート状基材の場合、少なくともその
片面に多孔質樹脂層を形成するが、その両面に多孔質樹
脂層を設けると、カール防止効果が得られる。シート状
基材の片面に多孔質樹脂層を形成し、その反対面に他の
材質からなるカール防止層を設けてもよい。
【0022】2.多孔質樹脂層 本発明のインクジェット記録媒体では、支持体上に、ポ
リビニルブチラール樹脂、その良溶媒、及びその貧溶媒
を含有する塗工液を塗布し、乾燥して形成された多孔質
樹脂層をインク受容層とする。ポリビニルブチラール樹
脂は、ポリビニルアルコールを酸触媒でアセタール化し
て得られる樹脂であり、残存するポリビニルアルコール
の割合は、通常、5〜25重量%、好ましくは10〜2
0重量%程度である。残存ポリビニルアルコールの割合
が少ないものの方が種々の溶媒に対する溶解性に優れる
が、残存ポリビニルアルコールが増加するほど、被膜の
強度が向上する。
【0023】多孔質樹脂層は、平均孔径が通常0.01
〜10μmの連続孔からなる多孔質構造を有する。この
平均孔径は、好ましくは0.1〜8μm程度である。平
均孔径が小さすぎると、インク吸収性が低下し、インク
の速乾性が損なわれる。平均孔径が大きすぎると、イン
クが多孔質構造内部に落ち込んでしまうため、滲みが発
生する。平均孔径は、使用するインクの種類に応じて適
宜制御することができる。例えば、顔料インクを使用す
る場合には、平均孔径が比較的大きい多孔質樹脂層を形
成することが好ましい。
【0024】インク受容層となる多孔質樹脂層の厚み
は、好ましくは5〜50μm、より好ましくは15〜4
0μm程度である。この厚みが薄すぎると、インク吸収
能力が不充分となり、印字性が低下する。この厚みが厚
すぎると、被膜割れを起こしやすくなり、また、コスト
アップになる。
【0025】多孔質樹脂層には、多孔質構造を損なわな
い限り、必要に応じて、その他の熱可塑性樹脂(特に、
疎水性樹脂)、無機粒子、各種添加剤などを含有させる
ことができる。その他の成分は、塗工液を調製する際
に、その中に添加することにより、生成する多孔質樹脂
層中に含有させることができる。
【0026】本発明のインクジェット記録媒体は、ポリ
ビニルブチラール樹脂を主体とする多孔質樹脂層をイン
ク受容層としているため、造膜性、耐候性、耐水性、印
字性などに優れている。多孔質樹脂層に無機粒子を含有
させると、インク受容性、乾燥性、定着性、ドットの再
現性などの印字性や、光沢などに優れ、写真調の受像シ
ートを与えることができる。
【0027】3.インクジェット記録媒体の製造方法 本発明では、支持体上に、ポリビニルブチラール樹脂、
その良溶媒、及びその貧溶媒を含有する塗工液を塗布
し、乾燥して、多孔質樹脂層を形成することによりイン
クジェット記録媒体を製造する。多孔質樹脂層がインク
受容層となる。
【0028】ポリビニルブチラール樹脂の良溶媒とは、
25℃の溶媒100gに対して、ポリビニルブチラール
樹脂の溶解度が10g以上であるような溶媒を意味す
る。ポリビニルブチラール樹脂の良溶媒は、特に限定さ
れないが、生産性、作業環境、溶解性、経済性などを総
合的に勘案すると、メタノール、エタノールなどの低級
アルコール;アセトン、メチルエチルケトンなどのケト
ン類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのビニルエステル
類;などが好ましい。
【0029】ポリビニルブチラール樹脂の貧溶媒とは、
25℃の溶媒100gに対して、ポリビニルブチラール
樹脂の溶解度が1g未満であるような溶媒を意味する。
ポリビニルブチラール樹脂の貧溶媒は、特に限定されな
いが、水(好ましくは、イオン交換水や蒸留水などの精
製水)、n−オクタンなどの高級アルカンなどが好まし
い。貧溶媒は、ポリビニルブチラール樹脂を実質的に溶
解させないだけではなく、ポリビニルブチラール樹脂を
実質的に膨潤させないものであることが、多孔質構造の
形成性の観点から望ましい。
【0030】ポリビニルブチラール樹脂の良溶媒は、そ
の貧溶媒と相溶性を有し、かつ、該貧溶媒の沸点より低
沸点の有機溶媒であることが好ましい。ポリビニルブチ
ラール樹脂を低沸点良溶媒と高沸点貧溶媒の混合溶媒に
溶解させて塗工液を調製し、この塗工液を支持体上に塗
布し、乾燥させると、良溶媒が貧溶媒より低沸点であれ
ば、先ず低沸点良溶媒から乾燥除去される。低沸点良溶
媒が乾燥除去されるにつれて、ポリビニルブチラール樹
脂の凝集が起こり、その結果、多孔質構造が形成され
る。
【0031】ポリビニルブチラール樹脂の良溶媒と貧溶
媒とは、両者の沸点差が好ましくは15℃以上、より好
ましくは20℃以上となる組み合わせを選択すること
が、多孔質構造を形成する上で望ましい。両者の沸点差
が小さすぎると、乾燥工程において、良溶媒から乾燥除
去させることが困難になり、多孔質構造を形成すること
が難しくなる。また、乾燥工程において、低沸点良溶媒
の沸点以下の温度で良溶媒を乾燥除去し、次いで、低沸
点良溶媒の沸点を越える温度で高沸点分溶媒を乾燥除去
することが、多孔質構造を形成する上で好ましい。良溶
媒と貧溶媒を組み合わせて使用しても、高温で一挙に両
溶媒を乾燥除去すると、満足な多孔質構造を形成するこ
とが困難となる。
【0032】ポリビニルブチラール樹脂は、良溶媒10
0重量部に対して、好ましくは1〜20重量部、より好
ましくは5〜15重量部の割合で使用される。ポリビニ
ルブチラール樹脂の割合が小さすぎると、インク受容層
として充分な膜厚の多孔質樹脂層を形成することが困難
になり、大きすぎると、析出やゲル化が生じやすくな
る。貧溶媒の使用割合は、塗工液中でポリビニルブチラ
ール樹脂の析出やゲル化が生じない範囲内で選択され
る。貧溶媒は、良溶媒100重量部に対して、好ましく
は5〜40重量部、より好ましくは10〜35重量部の
割合で使用される。貧溶媒の割合が小さすぎると、多孔
質構造の形成が困難になり、無孔化または部分的な多孔
質化が生じやすくなる。貧溶媒の使用割合が大きすぎる
と、塗工液に樹脂の析出やゲル化が生じやすくなり、保
存安定性が低下したり、乾燥後の孔径が大きくなりすぎ
る。
【0033】シート状基材などの支持体上に、ポリビニ
ルブチラール樹脂と良溶媒と貧溶媒とを含有する塗工液
を塗布するには、例えば、ロールコーター、エアーナイ
フコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、バー
コーター、コンマコーター、リップコーター等を用い
る。塗工液の塗布量は、乾燥後の被膜(多孔質樹脂層)
の厚みが好ましくは5〜50μm、より好ましくは15
〜40μmとなる範囲で選択される。
【0034】塗布工程の後、塗膜を乾燥させるが、乾燥
条件としては、乾燥工程を少なくとも2段階に分け、第
一段階の乾燥工程として、良溶媒の沸点以下の温度で良
溶媒を乾燥除去し、次いで、第二段階の乾燥工程とし
て、良溶媒の沸点より高い温度で貧溶媒を乾燥除去する
方法を採用することが好ましい。このような段階的な乾
燥工程を採用することにより、良好な多孔質構造を有す
る多孔質樹脂層を形成することができる。
【0035】第一段階の乾燥工程での乾燥温度は、使用
する良溶媒の種類にもよるが、通常30〜80℃、好ま
しくは35〜60℃の範囲であって、かつ、使用する良
溶媒の沸点以下の温度とすることが望ましい。また、第
一段階の乾燥工程では、生成する多孔質樹脂の孔径を精
密に制御する上で、無風または微風状態で乾燥を行うこ
とが望ましい。第一段階の乾燥工程で良溶媒が乾燥除去
されるにつれて、塗膜中でポリビニルブチラール樹脂の
凝集が起こり、多孔質構造が形成される。
【0036】第二段階の乾燥工程では、乾燥温度を良溶
媒の沸点以上であって、貧溶媒の沸点近傍かそれ以下の
温度に調整することが望ましい。第二段階の乾燥工程で
の乾燥温度は、使用する良溶媒及び貧溶媒の種類にもよ
るが、通常55〜120℃、好ましくは60〜110℃
程度である。貧溶媒が水の場合、100℃程度の乾燥温
度で、実質的に完全に除去することができる。第二段階
の乾燥工程では、貧溶媒を乾燥除去するが、残存する良
溶媒がある場合には、それも同時に乾燥除去する。
【0037】乾燥工程の後、支持体上に、平均孔径が通
常0.01〜10μmの連続孔からなる多孔質構造を有
する多孔質樹脂層が形成される。良溶媒と貧溶媒の種類
と使用割合、乾燥条件などを適宜制御することにより、
多孔質樹脂層の孔径を調整することができる。顔料イン
クと染料インクとでは、着色剤粒子の大きさが異なる
が、本発明の方法によれば、着色剤粒子の粒子径に応じ
てインク受容層の孔径を調整し、それによって、使用す
るインクがインク受容層内に吸収されるように多孔質構
造を設計することが可能である。したがって、顔料イン
クを用いた場合でも、インク受容層の表面に顔料が残留
しないようにすることができ、印字後の耐擦過性が良好
な印字面を形成することができる。
【0038】本発明のインクジェット記録媒体は、支持
体と、支持体上に形成された多孔質樹脂層を有するが、
所望により、付加的な層を形成したり、表面処理などを
行うことができる。例えば、シート状基材からなる支持
体の片面に多孔質樹脂層を形成し、他方の面には、粘着
剤層とその上に剥離シートを設けると、ラベル用受像紙
を得ることができる。また、多孔質樹脂層の表面にカレ
ンダー処理などの加熱加圧処理を施すと、表面光沢を向
上させることができる。
【0039】4.その他の成分 多孔質樹脂層には、その他の熱可塑性樹脂、無機粒子、
各種添加剤などのその他の成分を含有させることができ
る。その他の成分は、塗工液を調製する際に、その中に
溶解もしくは分散させる。
【0040】その他の熱可塑性樹脂としては、ポリオレ
フィン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、
ポリウレタン樹脂、スチレンアクリロニトリル樹脂、ポ
リエステル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、これらの樹
脂のアニオンまたはカチオン変性物などを挙げることが
できる。その他の熱可塑性樹脂としては、多孔質化を阻
害することなく、造膜性に優れ、強度と耐水性、耐候性
を付与することができる疎水性樹脂が好ましい。その他
の熱可塑性樹脂は、ポリビニルブチラール樹脂の多孔質
化を阻害しない範囲内で使用されるが、樹脂成分の全量
基準で、通常、50重量%以下、好ましくは30重量%
以下、より好ましくは10重量%以下の割合で使用され
る。多くの場合、その他の熱可塑性樹脂を使用すること
なく、ポリビニルブチラール樹脂単独で良好な結果を得
ることができる。
【0041】インク吸収性がさらに改善された多孔質樹
脂膜を得るために、無機粒子を添加することが好まし
い。使用できる無機粒子としては、アルミナ、シリカ、
チタニアなどが挙げられる。アルミナとしては、例え
ば、平均粒径が50〜200nmのγ型結晶形態の酸化
アルミニウム微粉末が好ましい。シリカとしては、コロ
イダルシリカが好ましい。無機粒子は、ポリビニルブチ
ラール樹脂100重量部に対して、通常、200重量部
以下、好ましくは150重量部以下の割合で用いられ
る。
【0042】インク受容層となる多孔質樹脂層の耐候性
向上のために、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、酸化防止
剤、着色剤、顔料、その他の充填剤などを適宜含有させ
ることができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリア
ゾール系の2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニ
ル)ベンゾトリアゾールやオキザリックアシッドアニリ
ド系などが挙げられ、紫外線安定剤としては、ヒンダー
ドアミンのコハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエ
チル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジン重縮合物などが挙げられ、酸化防止剤とし
ては、ビンダードフェノール系のペンタエリスリチル−
テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート〕などが挙げられる。
これらの各種添加剤は、それぞれ単独で、あるいは2種
以上を組み合わせて、必要量が適宜用いられる。
【0043】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明に
ついてより具体的に説明する。物性及び諸特性の測定法
は、以下のとおりである。
【0044】(1)印字性 印字に関する評価は、顔料系インクジェットプリンター
〔キングジム(株)製のインクジェットラベルライター
「テプラ」JET JPC770〕、及び染料系インク
ジェットプリンター〔セイコー・エプソン(株)製のイ
ンクジェットプリンターMJ−500C〕にて印字して
行った。 インク吸収性 印字5秒後にベタ印刷部分を指で触わり、指にインクが
付着しない場合を特に良好(◎)、30秒後に付着しな
い場合を良好(○)、30秒後に付着する場合を不良
(×)と評価した。 インク定着性 印字後、インク受容層の上に紙を押し当てて放置して
も、紙面にインクが付着したり、経日により画像が不鮮
明になる等の変化が起きない場合を良好(○)、紙面に
インクが付着したり、経日により画像が不鮮明になる等
の変化が起こった場合を不良(×)と評価した。 ドット再現性 ドットの広がりを顕微鏡で拡大観察したとき、ドットの
形状及び大きさが一定であり、フェザリング等のない場
合を良好(○)、ドットの形状及び大きさが不定であ
り、フェザリング等のある場合を不良(×)と評価し
た。 滲み ベタ印刷の色の境界の滲みや重ね印刷部分の滲みを観察
して、滲みがないかその程度が小さい場合を良好
(○)、滲みが認められる場合を不良(×)と評価し
た。
【0045】(2)経時変化 印字後、1ヶ月間屋外放置したときの画像の安定性を評
価し、画像に変化がない場合を良好(○)、変化が認め
られる場合を不良(×)と評価した。 (3)耐水性 水に浸漬した綿棒(荷重100g)で10往復させ、イ
ンク受容層の破壊がない場合を良好(○)、破壊がある
場合を(×)とした。 (4)平均孔径 多孔質樹脂層を電子顕微鏡(SEM)にて観察し、平均
粒径を測った。
【0046】 [実施例1] <配合処方A> ポリビニルブチラール樹脂 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 10g (電気化学工業社製#6000C) メタノール(良溶媒)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 90g イオン交換水(貧溶媒)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23.5g 上記の配合処方により、ポリビニルブチラール樹脂をメ
タノールに溶解させ、次いで、メタノール溶液にイオン
交換水を攪拌しながら加えて塗工液を得た。この塗工液
を厚さ36μmのポリエステルフィルム(易接着処理フ
ィルム;デュポン(株)製メリネックス339)の片面
に乾燥後の塗布厚さが35μmになるようにコンマコー
ターにて塗布した。塗膜を50℃で1分間乾燥させた
後、さらに100℃で1分間乾燥させて、多孔質樹脂層
からなるインク受容層が形成されたインクジェット記録
媒体を得た。結果を表1に示す。
【0047】[実施例2] <配合処方B> ポリビニルブチラール樹脂 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 10g メチルエチルケトン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 90g イオン交換水 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28g 上記の配合処方により、ポリビニルブチラール樹脂をメ
チルエチルケトンに溶解させ、次いで、メチルエチルケ
トン溶液にイオン交換水を攪拌しながら加えて塗工液を
得た。以下、この塗工液を用いたこと以外は、実施例1
と同様にして、インクジェット記録媒体を得た。結果を
表1に示す。
【0048】[実施例3] <配合処方C> ポリビニルブチラール樹脂 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 10g 酢酸メチル ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 90g イオン交換水 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17g 上記の配合処方により、ポリビニルブチラール樹脂を酢
酸メチルに溶解させ、次いで、酢酸メチル溶液にイオン
交換水を攪拌しながら加えて塗工液を得た。以下、この
塗工液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、イ
ンクジェット記録媒体を得た。結果を表1に示す。
【0049】[実施例4] <配合処方D> ポリビニルブチラール樹脂 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 10g アセトン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 90g n−オクタン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25g 上記の配合処方により、ポリビニルブチラール樹脂をア
セトンに溶解させ、次いで、アセトン溶液にn−オクタ
ンを攪拌しながら加えて塗工液を得た。以下、この塗工
液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、インク
ジェット記録媒体を得た。結果を表1に示す。
【0050】[実施例5] <配合処方E> 無機粒子 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10g (平均粒子径90nmのγ型酸化アルミニウム微粒子、
日本アエロジル社製アエロジルAl23 ・C) ポリビニルブチラール樹脂 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 10g メタノール ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 90g イオン交換水 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18g 上記の配合処方により、ポリビニルブチラール樹脂をメ
タノールに溶解させ、次いで、無機粒子を添加して混合
し、さらに、イオン交換水を加えて、均一な状態になる
まで攪拌混合して塗工液を調製した。以下、この塗工液
を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、インクジ
ェット記録媒体を得た。結果を表1に示す。
【0051】[比較例1] <配合処方F> ポリビニルブチラール樹脂 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 10g メタノール ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 90g 上記の配合処方により、ポリビニルブチラール樹脂をメ
タノールに溶解させて塗工液を調製した。この塗工液を
厚さ36μmのポリエステルフィルム(デュポン(株)
製メリネックス339)の片面に乾燥後の塗布厚さが3
5μmになるようにコンマコーターにて塗布し、塗膜を
50℃で1分間乾燥させた。結果を表1に示す。
【0052】[比較例2] <配合処方G> ポリビニルアルコール ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10g (クラレ社製PVA235) イオン交換水 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 90g 上記の配合処方により、ポリビニルアルコールをイオン
交換水に溶解させて塗工液を調製した。この塗工液を厚
さ36μmのポリエステルフィルム(デュポン(株)製
メリネックス339)の片面に乾燥後の塗布厚さが20
μmになるようにアプリケーターにて塗布し、塗膜を乾
燥させた。結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】 [比較例3] <配合処方H> エチレン酢酸ビニル共重合体 ・・・・・・・・・・・・・・ 15g (三井・デュポン ポリケミカル(株)製EVA420) トルエン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 85g n−オクタノール ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41.4g 上記の配合処方により、エチレン酢酸ビニル共重合体を
トルエンに溶解させ、次いで、トルエン溶液にn−オク
タノールを攪拌しながら加えて塗工液を得た。以下、こ
の塗工液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、
インクジェット記録媒体を得た。上記配合処方では、塗
工液が若干白濁した。乾燥後の塗膜は、透明で、インク
吸収性はなかった。
【0055】 [比較例4] <配合処方I> 酢酸ビニル共重合体 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15g (昭和高分子(株)製ビニロールSH) メタノール ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 85g イオン交換水 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 46.2g 上記配合処方により、酢酸ビニル共重合体をメタノール
に溶解させ、次いで、メタノール溶液にイオン交換水を
攪拌しながら加えて塗工液を得た。以下、この塗工液を
用いたこと以外は、実施例1と同様にして、インクジェ
ット記録媒体を得た。上記配合処方では、塗工液にゲル
が浮遊していた。乾燥後の塗膜は、透明で、インク吸収
性はなかった。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、インク吸収性、インク
定着性、インク乾燥性、ドット再現性などの印字性に優
れ、インクの滲みや印字後の経時変化が抑制され、さら
には、耐水性、耐候性、強度などに優れたインク受容層
が形成されたインクジェット記録媒体が提供される。本
発明のインクジェット記録媒体は、屋外使用において、
保護用ラミネートフィルムなしに使用することができ
る。
【0057】本発明のインクジェット記録媒体は、良溶
媒や貧溶媒の種類と使用量、乾燥条件などを制御するこ
とにより、インク受容層の孔径を調整することができ、
それによって、インク吸収量、色濃度、インクドット径
などを調整することが可能である。本発明のインクジェ
ット記録媒体は、耐候性が非常に良好であり、屋外にお
けるサイン用途や自動車への貼付も可能なインク受像シ
ートを得るのに特に好適である。シート状基材の片面に
インク受容層、反対面には粘着剤層を形成し、必要に応
じて、粘着剤層上に剥離シートを積層したタックシート
とすれば、印字後、各種被着体に貼付することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水野 耕治 東京都文京区関口二丁目3番3号 ニチバ ン株式会社内 (72)発明者 比野 欣之輔 東京都文京区関口二丁目3番3号 ニチバ ン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA13 FC06 2H086 BA02 BA14 BA15 BA35 BA41 4F006 AA35 AB20 BA01 CA01 4F074 AA42 CB34 CB47 CC22X CC28Y CC29Y DA59

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上にインク受容層が形成されたイ
    ンクジェット記録媒体において、該インク受容層が、ポ
    リビニルブチラール樹脂、その良溶媒、及びその貧溶媒
    を含有する塗工液を支持体上に塗布し乾燥して形成され
    た多孔質樹脂層であることを特徴とするインクジェット
    記録媒体。
  2. 【請求項2】 多孔質樹脂層が、平均孔径0.01〜1
    0μmの連続孔からなる多孔質構造を有する請求項1記
    載のインクジェット記録媒体。
  3. 【請求項3】 支持体上に、ポリビニルブチラール樹
    脂、その良溶媒、及びその貧溶媒を含有する塗工液を塗
    布し、乾燥して、多孔質樹脂層を形成することを特徴と
    するインクジェット記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 ポリビニルブチラール樹脂の良溶媒が、
    その貧溶媒と相溶性を有し、かつ、該貧溶媒の沸点より
    低沸点の有機溶媒である請求項3記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 支持体上に塗工液を塗布後、乾燥工程に
    おいて、良溶媒の沸点以下の温度で良溶媒を乾燥除去
    し、次いで、良溶媒の沸点より高い温度で貧溶媒を乾燥
    除去する請求項4記載の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002038095A (ja) * 2000-07-24 2002-02-06 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 透明印刷下地膜形成用塗料、透明印刷下地膜および印刷方法
WO2007113594A1 (en) * 2006-03-31 2007-10-11 Innovia Films Limited Printable film
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