JPWO2005092969A1 - 共重合体ラテックス組成物、紙塗工用組成物および塗工紙 - Google Patents

共重合体ラテックス組成物、紙塗工用組成物および塗工紙 Download PDF

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Abstract

塗工操業性に優れ、かつ、白紙光沢、印刷光沢、インク乾燥性、表面強度などの印刷適性に優れた塗工紙を得ることができる紙塗工用の共重合体ラテックス組成物を提供する。
(A)(a)脂肪族共役ジエン系単量体30〜90重量%、(b)エチレン性不飽和カルボン酸単量体10〜50重量%、および(c)上記(a)〜(b)成分と共重合可能な他のビニル系単量体0〜60重量%〔らなる単量体成分を乳化重合して得られる共重合体ラテックス、ならびに(B)(d)脂肪族共役ジエン系単量体20〜80重量%、(e)エチレン性不飽和カルボン酸単量体0.1〜9重量%、および(f)上記(d)〜(e)成分と共重合可能な他のビニル系単量体10〜79.9重量%からなる単量体成分を乳化重合して得られる共重合体ラテックス、を含有してなる共重合体ラテックス組成物であり、かつ上記(A)共重合体ラテックスおよび(B)共重合体ラテックスの重量比が0.2:99.8〜30:70の範囲である共重合体ラテックス組成物。

Description

本発明は、紙塗工用の共重合体ラテックス組成物、これを用いた紙塗工用組成物、および当該紙塗工用組成物を塗布してなる塗工紙に関し、さらに詳しくは、塗工操業性に優れ、かつ、白紙光沢、印刷光沢、インク乾燥性、表面強度などの印刷適性に優れ、さらに、広い印刷速度範囲にわたって上記の優れた印刷適性を有する塗工紙を得ることができる共重合体ラテックス組成物および紙塗工用組成物、ならびにこれを用いた塗工紙に関する。
従来より、顔料と水性バインダーとを主体とした紙塗工用組成物を紙に塗工し、印刷適性に優れた塗工紙が製造されている。共重合体ラテックスは、その優れた接着強度から、紙塗工用組成物の主バインダーとして使用されている。
近年、印刷の高級化、高速化にともない、塗工紙に要求される性能も厳しくなってきており、白紙光沢、表面強度、耐水性、インキ転移性および印刷光沢などの改良が要求されるようになった。これと同時に、近年はコスト低減の目的からバインダー量を低減する要求が高まっており、このため、より少量の添加量でも十分な表面強度を示すバインダーが求められている。
また、印刷速度の高速化技術の進展に伴い、要求される印刷速度の範囲が広がってきている。従来の共重合体ラテックスでは適用可能な印刷速度範囲が狭いので、印刷速度に対応してその速度に適した共重合体ラテックスを個別的に選択する必要があり、製造コストの面と操業性の面で大きな負担となっている。このことから広い印刷速度範囲にわたって適用できる共重合体ラッテクスの登場が望まれている。
さらに、塗工紙の製造そのものも高速化しており、塗工操業性の改良、特に主な障害であるバッキングロール汚れ性の改良、すなわち共重合体ラテックスの粘着性の低減(べとつき防止性)も要求されている。共重合体ラテックスに対しては、上記の性質、特に表面強度の改良が求められ、そのために、例えば共重合体のゲル含量を調整する方法や共重合体組成を調整するなどの改良方法が提案されている。しかし、表面強度と他の特性とは互いに背反することが多く、全ての特性をバランスよく高いレベルにすることは非常に困難である。
例えば、接着強度を改良する目的で共役ジエン系単量体の量を増やして共重合体のガラス転移温度を低くする方法が試みられていたが、この方法では耐水性およびべとつき防止性の特性低下が著しい。逆に、ガラス転移温度を高くすると、耐水性の点は良好であるが、接着強度および印刷光沢の低下が著しい。また、官能基を有する単量体を多量に用いる方法では、接着強度は改良されるが、ラテックスの粘度が異常に高くなるので作業性が著しく低下し、かつ共重合体ラテックスの製造コストが高くなる。このように、これらの何れの方法も、いずれかの特性の改良が達成されたとしても、全ての特性に対する要求を満たすことはできず、ますます厳しくなる印刷における諸要求を満たすことはできないのが現状である。
本発明は、塗工操業性に優れ、かつ、白紙光沢、印刷光沢、インク乾燥性、表面強度などの印刷適性に優れた塗工紙を得ることができる紙塗工用の共重合体ラテックス組成物を提供することを目的とする。
本発明は、(A)(a)脂肪族共役ジエン系単量体30〜90重量%、(b)エチレン性不飽和カルボン酸単量体10〜50重量%、および(c)上記(a)〜(b)成分と共重合可能な他のビニル系単量体0〜60重量%からなる単量体成分〔ただし、(a)+(b)+(c)=100重量%〕を乳化重合して得られる共重合体ラテックス、ならびに
(B)(d)脂肪族共役ジエン系単量体20〜80重量%、(e)エチレン性不飽和カルボン酸単量体0.1〜9重量%、および(f)上記(d)〜(e)成分と共重合可能な他のビニル系単量体10〜79.9重量%からなる単量体成分〔ただし、(d)+(e)+(f)=100重量%〕を乳化重合して得られる共重合体ラテックス
を含有してなる共重合体ラテックス組成物であり、かつ上記(A)共重合体ラテックスおよび(B)共重合体ラテックスの重量比が0.2:99.8〜30:70の範囲であることを特徴とする共重合体ラテックス組成物に関する。
ここで、(A)重合体ラテックスの次式に示す膨潤度は2以上であり、かつ(B)共重合体ラテックスの膨潤度は2未満であることが好ましい。
膨潤度(Sv)=(pH10の膨潤時の体積)/(pH5の膨潤時の体積)=(r10/r
上記式において、r10はpH10におけるラテックスの平均粒子径(nm)を示し、rはpH5におけるラテックスの平均粒子径(nm)を示す。
また、(A)共重合体ラテックスのpH5における平均粒子径は200nm以下であることが好ましい。
さらに、(A)共重合体ラテックスの増粘点はpH8以上であることが好ましい。
ここで、増粘点は、pH−ラテックス粘度曲線の変曲点におけるpH値を示す。
さらに、(A)重合体ラテックスを構成する単量体成分のうち、(b)エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、メタクリル酸が好ましい。
次に、本発明は、上記共重合体ラテックス組成物をバインダーとして用いる紙塗工用組成物に関する。
次に、本発明は、上記紙塗工用組成物をダブル塗工の上塗り液あるいはシングル塗工の塗工液として用いた塗工紙に関する。
本発明の共重合体ラテックス組成物は、塗工操業性に優れ、かつ、白紙光沢、印刷光沢、インク乾燥性、表面強度などの印刷適性に優れ、さらに広い印刷速度範囲にわたって上記の優れた印刷適性を有し、特に白紙光沢、印刷光沢、インク乾燥性に優れる塗工紙を得ることができる紙塗工用共重合体ラテックスを提供することができる。
pH−ラテックス粘度曲線である。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
(A)共重合体ラテックス
(A)共重合体ラテックスは、(a)脂肪族共役ジエン系単量体30〜90重量%、(b)エチレン性不飽和カルボン酸単量体10〜50重量%、および必要に応じて用いられる(c)他のビニル系単量体0〜60重量%からなる単量体成分をただし、(a)+(b)+(c)=100重量%〕を乳化重合して得られる共重合体ラテックスであり、通常、アルカリ膨潤性であり、これにより、本発明の共重合体ラテックス組成物中に適度な保水性を付与し、バインダーとして塗工したときの乾燥時に塗工液内で移動し易いという作用をなすものである。
(A)共重合体ラテックスを構成する単量体成分のうち、(a)脂肪族共役ジエン系単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどを挙げることができ、特に1,3−ブタジエンが好ましい。
これらの(a)脂肪族共役ジエン系単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
この(a)脂肪族共役ジエン系単量体は、得られる共重合体ラテックスに適度な柔軟性と伸びを与えるために必須の成分であり、その使用割合は、共重合体ラテックスを製造する際の全単量体成分の30〜90重量%、好ましくは40〜80重量%、さらに好ましくは45〜75重量%である。(a)脂肪族共役ジエン系単量体の使用割合が、全単量体成分の30重量%未満では、増粘点が低下し共重合体ラテックス組成物の粘度が大きく上昇し、保管、輸送時の作業性が悪くなる。一方、90重量%を超えると、(b)エチレン性不飽和カルボン酸単量体含量が減りアルカリ膨潤度が下がる。
また、(b)エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などを挙げることができ、好ましくはメタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、特に好ましくはメタクリル酸である。
これらの(b)エチレン性不飽和カルボン酸単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
(b)エチレン性不飽和カルボン酸単量体の使用割合は、(A)共重合体ラテックスを製造する際の全単量体成分の10〜50重量%、好ましくは15〜40重量%、さらに好ましくは18〜35重量%である。(b)エチレン性不飽和カルボン酸単量体の使用割合が、全単量体成分中に10重量%未満では、得られる共重合体ラテックスのアルカリ膨潤度が下がり、目的の性能が得られない。一方、50重量%を超えると、重合時の安定性に欠け、多量の凝固物が発生し好ましくない。
さらに、(c)上記(a)〜(b)成分と共重合可能な他のビニル系単量体としては、例えば、芳香族ビニル系単量体、置換もしくは非置換のアルキル(メタ)アクリレート類、シアン化ビニル系単量体、酢酸ビニルなどを挙げることができる。
これらのうち、芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレンなどを挙げることができ、特にスチレンが好ましい。
また、置換もしくは非置換のアルキル(メタ)アクリレート類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどを挙げることができ、特にメチルメタクリレートが好ましい。
さらに、シアン化ビニル系単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどを挙げることができ、特にアクリロニトリルが好ましい。
これらの(c)共重合可能な他のビニル系単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
(c)他のビニル系単量体の使用割合は、(A)共重合体ラテックスを製造する際の全単量体成分の0〜60重量%、好ましくは0〜45重量%、さらに好ましくは0〜30重量%である。(c)他のビニル系単量体の使用割合が60重量%を超えると、共重合体が硬くなりすぎ接着強度が低下する。
本発明に用いられる上記(A)共重合体ラテックスは、pH5のときの平均粒子径が好ましくは200nm以下、さらに好ましくは45〜150nm、特に好ましくは50〜100nmである。上記平均粒子径が200nmを超えると、接着点が減少し接着強度が低下するため好ましくない。
上記平均粒子径は、重合時に使用する乳化剤量により容易に調整することができる。
また、(A)共重合体ラテックスの室温(25℃)における増粘点は、好ましくはpH8以上、さらに好ましくはpH8〜12、特に好ましくはpH8〜10である。
ここで、増粘点は、pH−ラテックス粘度曲線の変曲点におけるpH値を示す。
(A)共重合体ラテックスの増粘点がpH8未満では、共重合体ラテックス組成物の粘度が大きく上昇し、保管、輸送時の作業性が悪くとなり好ましくない。なお、(A)共重合体ラテックスの増粘点は、単量体成分である(a)脂肪族共役ジエン系単量体の使用量により、容易に調整することができる。
(B)共重合体ラテックス
(B)共重合体ラテックスは、(d)脂肪族共役ジエン系単量体20〜80重量%、(e)エチレン性不飽和カルボン酸単量体0.1〜9重量%、および(f)他のビニル系単量体10〜79.9重量%〔ただし、(d)+(e)+(f)=100重量%〕との共重合体ラテックスであり、通常、アルカリ非膨潤性であり、これにより、本発明の共重合体ラテックス組成物中に適度な耐水性を付与し、塗工液においては適度な流動性を付与するという作用をなすものである。
ここで、(d)脂肪族共役ジエン系単量体の種類は上記(a)成分と、また、(e)エチレン性不飽和カルボン酸は上記(b)成分と、さらに、(f)他のビニル系単量体の種類は上記(c)成分と、それぞれ、同様である。
このうち、(d)脂肪族共役ジエン系単量体は、(a)成分と同様に、得られる共重合体ラテックスに適度な柔軟性と伸びを与えるために必須の成分であり、その使用割合は、(B)共重合体ラテックスを製造する際の全単量体成分の20〜80重量%、好ましくは25〜70重量%、さらに好ましくは30〜65重量%である。(d)脂肪族共役ジエン系単量体の使用割合が、全単量体成分の20重量%未満では、得られる共重合体が硬くなりすぎ接着強度が悪化する。一方、80重量%を超えると、べとつき防止性が低下し、塗工操業性が悪化する。
また、(e)エチレン性不飽和カルボン酸単量体の使用割合は、(B)共重合体ラテックスを製造する際の全単量体成分の0.1〜9重量%、好ましくは0.3〜7重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%である。(e)エチレン性不飽和カルボン酸単量体の使用割合が、全単量体成分中に0.1重量%未満では、重合時のラテックスの安定性が低下し、多量の凝固物が発生する。一方、9重量%を超えると、ラテックス粘度が大きく上昇し、作業性が悪くなる。
さらに、(f)他のビニル系単量体の使用割合は、(B)共重合体ラテックスを製造する際の全単量体成分の10〜79.9重量%、好ましくは20〜75重量%、さらに好ましくは30〜70重量%である。(f)他のビニル系単量体の使用割合が、全単量体成分中に10重量%未満では、塗膜の耐水強度に劣り、一方79.9重量%を超えると、共重合体が硬くなりすぎ接着強度が低下する。
以上の(A)共重合体ラテックスと(B)共重合体ラテックスの混合割合は、固形分換算の重量比で、(A):(B)が0.2:99.8〜30:70、好ましくは1:99〜20:80、さらに好ましくは3:97〜10:90である。(A)共重合体ラテックスが0.2重量%未満では、(A)成分が少なくなり、目的の性能(白紙光沢、印刷光沢、インク乾燥性の向上)が得られない。一方、(A)成分が30重量%を超えると、表面強度、べとつき防止性、すなわち塗工操業性が悪化する。
本発明の共重合体ラテックス組成物において、(A)共重合体ラテックスの次式に示す膨潤度は好ましくは2以上、さらに好ましくは3〜150、特に好ましくは4〜100であり、かつ(B)共重合体ラテックスの膨潤度は好ましくは2未満、さらに好ましくは1〜1.5である。なお、膨潤度は、室温(25℃)におけるものとする。
膨潤度(Sv)=(pH10の膨潤時の体積)/(pH5の膨潤時の体積)=(r10/r
上記式において、r10はpH10におけるラテックスの平均粒子径(nm)を示し、rはpH5におけるラテックスの平均粒子径(nm)を示す。
(A)共重合体ラテックスの膨潤度が2未満では、充分な保水性が得られず、目的の性能(白紙光沢、印刷光沢、インク乾燥性の向上)も得られない。なお、(B)共重合体ラテックスの膨潤度が150を超えると、共重合体ラテックス組成物の粘度が上昇し作業性が悪化する。
上記膨潤度は、(A)成分の場合、単量体成分である(b)エチレン性不飽和カルボン酸単量体の使用量により、また、(B)成分の場合も、単量体成分である(e)エチレン性不飽和カルボン酸単量体の使用量により容易に調整することができる。
本発明で使用される(A)共重合体ラテックスや(B)共重合体ラテックスは、上記単量体成分を、それぞれ、乳化重合して、共重合体ラテックスを製造する。(A)〜(B)共重合体ラテックスを製造するに際しては、水性媒体中で乳化剤、重合開始剤などを用いて製造することができる。
ここで、乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが単独で、あるいは2種以上を併用して使用できる。
ここで、アニオン性界面活性剤としては、例えば高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、ポリエチレングリコールアルキルエーテルの硫酸エステルなどが挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、通常のポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型などが用いられる。
両性界面活性剤としては、アニオン部分としてカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、燐酸エステル塩を、カチオン部分としてはアミン塩、第4級アンモニウム塩を持つものが挙げられ、具体的にはラウリルベタイン、ステアリルベタインなどのベタイン類、ラウリル−β−アラニン、ステアリル−β−アラニン、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、オクチルジ(アミノエチル)グリシン、などのアミノ酸タイプのものなどが用いられる。
重合開始剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性重合開始剤、過酸化ベンゾイル、ラウリルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルなどの油溶性重合開始剤、還元剤との組み合わせによるレドックス系重合開始剤などが、それぞれ単独であるいは組み合わせで使用できる。
連鎖移動剤、キレート化剤、無機電解質なども公知のものが使用できる。
連鎖移動剤としては、具体的には、例えば、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタンなどのメルカプタン類;ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィドなどのキサントゲンジスルフィド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィドなどのチウラムジスルフィド類;四塩化炭素、臭化エチレンなどのハロゲン化炭化水素類;ペンタフェニルエタン、1,1−ジフェニルエチレン、α−メチルスチレンダイマーなどの炭化水素類;およびアクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテンなどを挙げることができる。
これらは単独でも、あるいは2種以上組み合わせて使用することもできる。
これらのうち、メルカプタン類、キサントゲンジスルフィド類、チウラムジスルフィド類、四塩化炭素、1,1−ジフェニルエチレン、α−メチルスチレンダイマーなどが好適に使用される。
連鎖移動剤の使用量は、それぞれの単量体成分100重量部当り、0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜15重量部、さらに好ましくは0.2〜10重量部、特に好ましくは0.3〜8重量部である。この連鎖移動剤の使用量が0.1重量部未満では耐ブリスター性が劣り、一方20重量部を超えると接着強度が低下して好ましくない。
重合方法としては、単量体成分の一部を重合した後、その残りを連続的にあるいは断続的に添加する方法、あるいは単量体成分を重合のはじめから連続的に添加する方法(重合タイプ)が挙げられる。
また、他の方法として、共重合体のガラス転移温度が異なる複数の共重合体ラテックスを予め製造し、それらを混合して、本発明の共重合体ラテックスを得る方法(混合タイプ)が挙げられる。好ましくは、前者の重合タイプである。
重合温度は、通常、好ましくは20〜85℃、より好ましくは25〜80℃である。
重合時間は、通常、10〜30時間である。
本発明の共重合体ラテックスの重合転化率は、95重量%以上、通常、97〜99重量%であるから、重合に用いた単量体の重量%はそのまま共重合体中の単量体成分の重量%とみなすことができる。
紙塗工用組成物
本発明の共重合体ラテックス組成物を用いた紙塗工用組成物は、(C)顔料、すなわち無機あるいは有機顔料に、上記(A)共重合体ラテックス、(B)共重合体ラテックス、さらに必要に応じて他のバインダー、種々の助剤を配合して使用される。
本発明の共重合体ラテックス組成物の配合量は、通常、(C)顔料100重量部に対して共重合体ラテックス組成物1〜30重量部(固形分として)、好ましくは3〜25重量部である。共重合体ラテックス組成物が1重量部未満であると、接着強度が著しく低下し、一方30重量部を超えるとインク乾燥性の低下が著しい。
(C)顔料のうち、上記無機顔料としてはクレー、硫酸バリウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、サチンホワイト、タルク、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛などが、また有機顔料としてはポリスチレンラテックス、尿素ホルマリン樹脂などを挙げることができる。
これらの(C)顔料は、目的に応じて、単独でも、あるいは2種以上組み合わせても使用することができる。
本発明の紙塗工用組成物全体の室温(25℃)におけるpHは、通常、8〜11、好ましくは9〜10である。
これは、通常、共重合体ラテックスの調製時にアルカリ化合物を添加して該ラテックスのpHを7〜8に調整し、また、紙塗工用組成物の調製時にもアルカリ化合物を添加するためであり、通常、8〜11程度である。
また、本発明の紙塗工用組成物には、さらに(D)防腐剤を配合することができる。
(D)防腐剤としては、公知の防腐剤であればいかなるものでも適用可能であるが、好ましくは窒素原子および硫黄原子を含有する化合物からなる防腐剤が使用でき、そのほか、窒素原子およびイオウ原子を含有しない化合物からなる防腐剤を併用することができる。
本発明に用いる窒素原子およびイオウ原子を含有する化合物からなる防腐剤としては、例えば、チアゾール、2−メルカプトチアゾール、ベンゾチアゾール、2−フェニルチアゾール、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、3−(フェニルアミノエチル)−ベンゾチアゾリン−2−チオン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、2,2´−ジベンゾチアゾイルジスルフィドなどチアゾール類;メチレンビスチオシアネート、アンモニウムチオシアネート、シクロヘキシルチオシアノアセテート、p−アミノフェニルチオシアネート、ベンジルチオシアネート、o−ビフェニルチオシアネート、イソボルニルチオシアノアセテート、2,4−ジニトロフェニルチオシアネートなどチオシアネート類;o−ベンゾイックスルフィミド、フェニルマーキュリック−o−ベンゾイックスルフィミドなどスルフィミド類;メチルジメチルチオカルバメート、エチルジエチルジチオカルバメートなどアルキルジアルキルチオカルバメート類;テトラメチルチラウムスルフィド、テトラエチルチラウムスルフィドなどチラウムスルフィド類;テトラメチルチラウムジスルフィド、テトラエチルチラウムジスルフィド、テトラブチルチラウムジスルフィド、ジメチルジフェニルチラウムジスルフィドなどチラウムジスルフィド類;フェリックジエチルジチオカルバメート、リードジメチルジチオカルバメート、セレニウムジエチルジチオカルバメート、ジンクジエチルジチオカルバメートなどジチオカルバメート類;o−トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルフォンアニリドなどスルファミド類;1−アミノナフチル−4−スルホン酸、1−アミノ−2−ナフトール−4−スルホン酸などアミノスルホン酸類;などが挙げられる。これらのうちでは、チアゾール類およびチオシアネート類が特に好ましい。
これら窒素原子およびイオウ原子を含有する化合物からなる防腐剤は、単独で用いても良く、2種類以上の化合物を同時に用いても良い。
(D)防腐剤の使用量は、共重合体ラテックス組成物100重量部(固形分)に対して、0.001〜20重量部、好ましくは0.005〜15重量部、さらに好ましくは0.01〜10重量部である。(D)防腐剤の使用割合が、0.001重量部より少量では防腐効果が得られないことがあり、一方20重量部を超えると、組成物を用いたコーティング膜の強度が低下し脆くなることがある。
これらの(D)防腐剤は、乳化重合時でも、重合後に添加してもよいが、重合後に添加する方が好ましい。
上記(D)防腐剤は、窒素原子およびイオウ原子を含有しない化合物からなる防腐剤を併用して用いてもよい。
窒素原子およびイオウ原子を含有しない化合物からなる防腐剤としては、ペンタクロロフェノール、o−フェニルフェノール、クロロアセチル化ヒドロキシジフェニル、クロロアセチル化ヒドロキシジフェニルエーテル、クロロアセチル化ヒドロキシジフェニルメタン、クロロアセチル化ヒドロキシジベンゾフラン、クロロアセチル化ヒドロキシジフェニルサルファイド、クロロアセチル化ヒドロキシジフェニルスルホン、p−tert−アミルフェノール、p−ベンジルアミノフェノール、ビス−(2−ヒドロキシ4−クロロフェニル)メタン、4−tert−ブチルカテコール、n−ブチル−p−ヒドロキシベンゾエート、p−tert−ブチルフェノール、2−クロロ−o−フェニルフェノール、o−シクロヘキシルフェノール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、o−ヒドロキシジフェニル、イソアミルサルシレート、フェニルサルシレート、サルシルアミド、サルシルナフタリドなどフェノール類およびこれらのアルカリ金属塩類;テトラクロロ−p−ベンゾキノン、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノンなど塩化キノン類;ジニトロカプリルフェニルクロトネート、ジニトロ−o−クレゾール、2−ブロモ−2−ニトロプロパンジオールなどニトロ基含有化合物類;1,3,5−トリヒドロキシエチルヘキサハイドロ−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリエチルヘキサハイドロ−1,3,5−トリアジンなどトリアジン類;フェニルマーキュリックフタレート、o−ヒドロキシフェニルマーキュリッククロライド、p−アミノフェニルマーキュリックアセテート、p−アセチルアミノフェニルマーキュリックアセテート、ヒドロキシマーキュリックサリチル酸無水物、ピリジルマーキュリッククロライドなど有機水銀化合物;p−アミノアゾベンゼン、ジフェニルアミン、o−アミノジフェニル、p−クロロアニリン、ジシアンジアミド、ナフチルアミンなどアミン類;シンナムアニリドなどアミド類;1,3−ジヨード−2−プロパノールなどヨウ素含有化合物;などを上げることができる。
これら併用できる防腐剤の使用量は、窒素原子およびイオウ原子を含有する化合物からなる防腐剤との合計量100重量%中に0〜95重量%、好ましくは0〜75重量%で用いられる。
本発明の紙塗工用組成物は、特にオフセット印刷用の紙塗工用組成物として好適に使用される。また、本発明の紙塗工用組成物は、上記共重合体ラテックス組成物に加えて、カゼイン、カゼイン変性物、澱粉、澱粉変性物、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性物質を必要に応じて組み合わせて使用できる。
また、本発明の紙塗工用組成物においては、一般に使用されている種々の配合剤、例えば、耐水性改良剤、顔料分散剤、粘度調節剤、着色顔料、蛍光染料、防腐剤を任意に配合することができる。さらに、本発明の紙塗工用組成物は、シートオフセット印刷用紙およびウエッブオフセット印刷用紙に好適に使用され、その他、凸版印刷、グラビア印刷などの各種印刷用紙および紙のコーティング剤にも使用することができる。
なお、本発明の紙塗工用組成物の固形分濃度は、通常、20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%程度である。
本発明の紙塗工用組成物は、原紙に、ダブル塗工の上塗り液あるいはシングル塗工の塗工液として用い、塗工紙を得ることができる。
すなわち、本発明の紙塗工用組成物を塗工液として用い、原紙の片面または両面に直接、シングル塗工してもよく、また、原紙の片面または両面にダブル塗工など、二層以上塗工して多層塗工紙とする場合には、ダブル塗工の上塗り液、多層塗工の最上塗り液として用いることで優れた印刷適正を有する塗工紙を得ることができる。
本発明の紙塗工用組成物を原紙に塗布する方法には、例えばエアナイフコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーターなどの塗工機が挙げられる。また、塗工後、表面を乾燥し、カレンダーリングなどにより仕上げる。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に制約されるものではない。
なお、実施例において割合を示す「部」および「%」はそれぞれ重量部および重量%を意味する。
また、実施例、比較例における共重合体ラテックスの分析、測定、評価の方法および紙塗工用組成物の調製、塗工紙の製造、紙塗工用組成物や塗工紙の測定、評価の方法などは次に記載の方法により行った。
[共重合体ラテックスの分析・測定]
(ラテックス平均粒子径)
共重合体ラテックスの平均粒子径は、粒子径測定装置(PAR−III:大塚電子社製)を用いて常法により測定した。
(トルエン不溶分)
共重合体ラテックスをpH8.0に調整した後、イソプロパノールで凝固し、この凝固物を洗浄、乾燥した後、所定量(約0.03g)の試料を所定量(100ml)のトルエンに室温(25℃)で20時間浸漬し、その後、120メッシュの金網でろ過し、得られる残存固形分の仕込の全固形分に対する%を求めた。
(ラテックス膨潤度)
ラテックスの膨潤度(Sv)は、次式に示すようにpH5とpH10でのラテックスの膨潤前後の体積の比として求めた。数字が大きい程、膨潤性が高いことを示す。
膨潤度(Sv)=(pH10の膨潤時の体積)/(pH5の膨潤時の体積)=(r10/r
ここで、r10はpH10におけるラテックスの平均粒子径(nm)を示し、rはpH5におけるラテックスの平均粒子径(nm)を示す。
なおpH5でのラテックス平均粒子径は、粒子径測定装置を用いて常法により測定した。
また、pH10でのラテックス平均粒子径は、pH10のホウ酸緩衝溶液中にラテックスを添加し試料溶液としたものを、粒子径測定装置を用いて測定した。
(ラテックス増粘点)
ラテックスの増粘点は、重合により得られた共重合体ラテックスを、水酸化ナトリウムを用いてpH調整し、ラテックス粘度を測定したpH−ラテックス粘度曲線の変曲点におけるpH値として求めた(図1参照)。
[紙塗工用組成物の調製]
配合処方のとおり原料をミキサーを用いて均一に混合して紙塗工用組成物を調製した。
(配合処方1)
カオリンクレー 70.0部
炭酸カルシウム 30.0部
分散剤(ポリアクリル酸ソーダ) 0.1部
水酸化ナトリウム 0.1部
澱粉 3.0部
共重合体ラテックス(固形分として)10.0部
水 全固形分が65%となるように適当量添加
[塗工紙の製造]
紙塗工用組成物を塗被原紙上に、塗工量が片面16.0±0.5g/mとなるように、電動式ブレードコーター(熊谷理機工業社製)で塗工し、180℃の電気式熱風乾燥機にて3秒間乾燥した。得られた塗工紙を温度23℃、湿度60%の恒温恒湿槽に1昼夜放置し、その後、線圧100kg/cm、ロール温度50℃の条件でスーパーカレンダー処理を2回行い、塗工紙を製造した。
[塗工紙の評価]
(ドライピック強度)
RI印刷機で印刷したときのピッキングの程度を肉眼で判定し、5段階で評価した。ピッキング現象の少ないものほど高得点とした。数値は測定回数6回の平均値で示した。
(ウェットピック強度)
RI印刷機を用いて、塗工紙表面を吸水ロールで湿してから、RI印刷機で印刷したときのピッキングの程度を肉眼で判定し、5段階で評価した。ピッキング現象の少ないものほど高得点とした。数値は測定回数6回の平均値で示した。
(白紙光沢)
塗工紙を、村上式光沢計を使用して、75度の角度で測定した。数字が大きい程、光沢が高いことを示す。
(印刷光沢−1回刷)
RI印刷機を用いて市販のオフセット印刷用墨インキを1回ベタ塗りし、村上式光沢計を使用して60度の角度で測定した。数字が大きい程、光沢が高いことを示す。
(印刷光沢−二色刷)
RI印刷機を用いて市販のオフセット印刷用藍インキと紅インキを連続してベタ塗りし、村上式光沢計を使用して60度の角度で測定した。数字が大きい程、光沢が高いことを示す。
(インク乾燥性)
RI印刷機を用いて、市販のオフセット印刷用紅インクを塗工紙表面に印刷し、その後白紙を重ね合わせて一定の圧力で加圧し、白紙へのインク転移の程度を肉眼で判定し、5段階で評価した。転移が少ないものほど高得点とした。数値は測定回数6回の平均値で示した。
(べとつき防止性)
ラテックスをポリエチレンテレフタレートフィルム上にNo.18ロッドにより塗布し、120℃で30秒間、乾燥し、皮膜を形成させた。この皮膜と黒羅紗紙を合わせて、ベンチスーパーカレンダーにより線圧200kg/m、温度70℃の条件下で圧着させた。両者をひきはがして、黒羅紗紙のラテックスへの転写の程度を目視で、5段階で評価した。転写の少ないものほど高得点とした。数値は測定回数6回の平均値で示した。
[(A)共重合体ラテックスの製造]
攪拌装置および温度調節機を備えた耐圧反応容器に、水300部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部、過硫酸カリウム1部を仕込み、次いで表1に示すように、1,3−ブタジエン70部、メタクリル酸30部、およびt−ドデシルメルカプタン2部を仕込み、窒素で重合系内を置換した。その後、重合系内の温度を70℃に昇温し、この温度で12時間重合を行い、共重合体ラテックス(a)を得た。共重合体ラテックス(b)〜(g)も同様にして調製した。なお、全て最終的な重合転化率は98%であった。
得られた共重合体ラテックスについて、水酸化ナトリウムを用いてpHを調整し、ラテックス平均粒子径、トルエン不溶分、ラテックス膨潤度、ラテックス増粘点を求めた。これらの結果を表1に示した。




[(B)共重合体ラテックスの製造]
攪拌装置および温度調節機を備えた耐圧反応容器に、表2に示される1段目成分を仕込み、窒素で重合系内を置換した。その後、重合系内の温度を40℃に昇温し、この温度で1時間重合を行った。次いで、表1に示される2段目成分と、還元剤水溶液の1/5量とを5時間かけて連続的に重合系内に添加し、重合を進めた。さらに、3段目成分と、還元剤水溶液の1/5量とを2時間かけて連続的に重合系内に添加した。その後、4段目成分と、および還元剤水溶液の2/5量を1時間かけて連続的に重合系内に添加した。重合を完結させるために、残り1/5量の還元剤水溶液を2時間かけて連続的に添加した。最終的な重合転化率は98%であった。
得られた共重合体ラテックスを、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムを用いて表2に示されるpHに調整した後、水蒸気を吹き込んで未反応単量体を除去し、さらに加熱水蒸気蒸留によって固形分濃度50%の共重合体ラテックス(h)を得た。
得られた共重合体ラテックスについて、ラテックス平均粒子径、トルエン不溶分を求めた。結果を表2に示す。





実施例1〜6、比較例1〜4
得られた(A)共重合体ラテックスと、(B)共重合体ラテックスを表3に示される重量比で用いて、上記の配合処方により紙塗工用組成物を調製し、さらにこれを紙に塗布して塗工紙を製造した。塗工紙について、上記の方法に従って性能評価を行った。これらの結果を表3に示した。
実施例1〜6は、本発明の範囲の紙塗工用組成物の例であり、本発明の目的とする塗工紙の性能が得られている。
これに対し、比較例1は、(A)共重合体ラテックスの(a)脂肪族共役ジエン系単量体の量が本発明の範囲を超えた例であり、(A)共重合体ラテックスのラテックス増粘点が低く、塗工紙の特性において表面強度、白紙光沢、印刷光沢、インク乾燥性が劣る、比較例2は、(A)共重合体ラテックスの(b)エチレン性不飽和カルボン酸単量体の量が本発明の範囲を超えた例であり、(A)共重合体ラテックスのラテックス膨潤度が低く、塗工紙の特性において白紙光沢、印刷光沢、インク乾燥性が劣る。比較例3、4は、(A)共重合体ラテックスおよび(B)共重合体ラテックスの重量比が本発明の範囲を超えた例であり、比較例3は、塗工紙の特性において白紙光沢、印刷光沢、インク乾燥性が劣り、比較例4は、ウェットピック強度、白紙光沢、印刷光沢、インク乾燥性が劣る。
本発明の紙塗工用の共重合体ラテックス組成物は、これを用いて紙塗工用組成物を調製すると、特に白紙光沢、印刷光沢、インク乾燥性に優れ、広い印刷速度範囲にわたって上記の優れた印刷適性を発現させ、紙塗工用、特に、オフセット印刷用さらに好ましくはシートオフセット印刷用およびウエッブオフセット印刷に好適に使用され得る。
【0002】
する方法や共重合体組成を調整するなどの改良方法が提案されている。しかし、表面強度と他の特性とは互いに背反することが多く、全ての特性をバランスよく高いレベルにすることは非常に困難である。
[0006]
例えば、接着強度を改良する目的で共役ジエン系単量体の量を増やして共重合体のガラス転移温度を低くする方法が試みられていたが、この方法では耐水性およびべとつき防止性の特性低下が著しい。逆に、ガラス転移温度を高くすると、耐水性の点は良好であるが、接着強度および印刷光沢の低下が著しい。また、官能基を有する単量体を多量に用いる方法では、接着強度は改良されるが、ラテックスの粘度が異常に高くなるので作業性が著しく低下し、かつ共重合体ラテックスの製造コストが高くなる。このように、これらの何れの方法も、いずれかの特性の改良が達成されたとしても、全ての特性に対する要求を満たすことはできず、ますます厳しくなる印刷における諸要求を満たすことはできないのが現状である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
[0007]
本発明は、塗工操業性に優れ、かつ、白紙光沢、印刷光沢、インク乾燥性、表面強度などの印刷適性に優れた塗工紙を得ることができる紙塗工用の共重合体ラテックス組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
[0008]
本発明は、(A)(a)脂肪族共役ジエン系単量体30〜70重量%、(b)エチレン性不飽和カルボン酸単量体30〜50重量%、および(c)上記(a)〜(b)成分と共重合可能な他のビニル系単量体0〜40重量%からなる単量体成分〔ただし、(a)+(b)+(c)=100重量%〕を乳化重合して得られる共重合体ラテックス、ならびに
(B)(d)脂肪族共役ジエン系単量体20〜80重量%、(e)エチレン性不飽和カルボン酸単量体0.1〜9重量%、および(f)上記(d)〜(e)成分と共重合可能な他のビニル系単量体11〜79.9重量%からなる単量体成分〔ただし、(d)+(e)+(f)=100重量%〕を乳化重合して得られる共重合体ラテックス
を含有してなる共重合体ラテックス組成物であり、かつ上記(A)共重合体ラテックスおよび(B)共重合体ラテックスの重量比が0.2:99.8〜30:70の範囲であることを
【0003】
特徴とする共重合体ラテックス組成物に関する。
ここで、(A)重合体ラテックスの次式に示す膨潤度は2以上であり、かつ(B)共重合体ラテックスの膨潤度は2未満であることが好ましい。
膨潤度(Sv)=(pH10の膨潤時の体積)/(pH5の膨潤時の体積)=(r10/r
上記式において、r10はpH10におけるラテックスの平均粒子径(nm)を示し、rはpH5におけるラテックスの平均粒子径(nm)を示す。
また、(A)共重合体ラテックスのpH5における平均粒子径は200nm以下であることが好ましい。
さらに、(A)共重合体ラテックスの増粘点はpH8以上であることが好ましい。
ここで、増粘点は、pH−ラテックス粘度曲線の変曲点におけるpH値を示す。
さらに、(A)重合体ラテックスを構成する単量体成分のうち、(b)エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、メタクリル酸が好ましい。
次に、本発明は、上記共重合体ラテックス組成物をバインダーとして用いる紙塗工用組成物に関する。
次に、本発明は、上記紙塗工用組成物をダブル塗工の上塗り液あるいはシングル塗工の塗工液として用いた塗工紙に関する。
【発明の効果】
[0009]
本発明の共重合体ラテックス組成物は、塗工操業性に優れ、かつ、白紙光沢、印刷光沢、インク乾燥性、表面強度などの印刷適性に優れ、さらに広い印刷速度範囲にわたって上記の優れた印刷適性を有し、特に白紙光沢、印刷光沢、インク乾燥性に優れる塗工紙を得ることができる紙塗工用共重合体ラテックスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
[0010]
[図1]pH−ラテックス粘度曲線である。
【発明を実施するための最良の形態】
[0011]
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
(A)共重合体ラテックス
(A)共重合体ラテックスは、(a)脂肪族共役ジエン系単量体30〜70重量%、(b)エ
【0004】
チレン性不飽和カルボン酸単量体30〜50重量%、および必要に応じて用いられる(c)他のビニル系単量体0〜40重量%からなる単量体成分をただし、(a)+(b)+(c)=100重量%〕を乳化重合して得られる共重合体ラテックスであり、通常、アルカリ膨潤性であり、これにより、本発明の共重合体ラテックス組成物中に適度な保水性を付与し、バインダーとして塗工したときの乾燥時に塗工液内で移動し易いという作用をなすものである。
[0012]
(A)共重合体ラテックスを構成する単量体成分のうち、(a)脂肪族共役ジエン系単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどを挙げることができ、特に1,3−ブタジエンが好ましい。
これらの(a)脂肪族共役ジエン系単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
この(a)脂肪族共役ジエン系単量体は、得られる共重合体ラテックスに適度な柔軟性と伸びを与えるために必須の成分であり、その使用割合は、共重合体ラテックスを製造する際の全単量体成分の30〜70重量%、好ましくは40〜70重量%、さらに好ましくは45〜70重量%である。(a)脂肪族共役ジエン系単量体の使用割合が、全単量体成分の30重量%未満では、増粘点が低下し共重合体ラテックス組成物の粘度が大きく上昇し、保管、輸送時の作業性が悪くなる。一方、70重量%を超えると、(b)エチレン性不飽和カルボン酸単量体含量が減りアルカリ膨潤度が下がる。
[0013]
また、(b)エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などを挙げることができ、好ましくはメタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、特に好ましくはメタクリル酸である。
これらの(b)エチレン性不飽和カルボン酸単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
(b)エチレン性不飽和カルボン酸単量体の使用割合は、(A)共重合体ラテックスを製造する際の全単量体成分の30〜50重量%、好ましくは30〜40重量%、さらに好ましくは30〜35重量%である。(b)エチレン性不飽和カルボン酸単量体の使用割合
【0005】
が、全単量体成分中に30重量%未満では、得られる共重合体ラテックスのアルカリ膨潤度が下がり、目的の性能が得られない。一方、50重量%を超えると、重合時の安定性に欠け、多量の凝固物が発生し好ましくない。
[0014]
さらに、(c)上記(a)〜(b)成分と共重合可能な他のビニル系単量体としては、例えば、芳香族ビニル系単量体、置換もしくは非置換のアルキル(メタ)アクリレート類、シアン化ビニル系単量体、酢酸ビニルなどを挙げることができる。
これらのうち、芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレンなどを挙げることができ、特にスチレンが好ましい。
また、置換もしくは非置換のアルキル(メタ)アクリレート類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどを挙げることができ、特にメチルメタクリレートが好ましい。
さらに、シアン化ビニル系単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどを挙げることができ、特にアクリロニトリルが好ましい。
これらの(c)共重合可能な他のビニル系単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
(c)他のビニル系単量体の使用割合は、(A)共重合体ラテックスを製造する際の全単量体成分の0〜40重量%、好ましくは0〜30重量%、さらに好ましくは0〜25重量
【0006】
%である。(c)他のビニル系単量体の使用割合が40重量%を超えると、共重合体が硬くなりすぎ接着強度が低下する。
[0015]
本発明に用いられる上記(A)共重合体ラテックスは、pH5のときの平均粒子径が好ましくは200nm以下、さらに好ましくは45〜150nm、特に好ましくは50〜100nmである。上記平均粒子径が200nmを超えると、接着点が減少し接着強度が低下するため好ましくない。
上記平均粒子径は、重合時に使用する乳化剤量により容易に調整することができる。
[0016]
また、(A)共重合体ラテックスの室温(25℃)における増粘点は、好ましくはpH8以上、さらに好ましくはpH8〜12、特に好ましくはpH8〜10である。
ここで、増粘点は、pH−ラテックス粘度曲線の変曲点におけるpH値を示す。
(A)共重合体ラテックスの増粘点がpH8未満では、共重合体ラテックス組成物の粘度が大きく上昇し、保管、輸送時の作業性が悪くとなり好ましくない。なお、(A)共重合体ラテックスの増粘点は、単量体成分である(a)脂肪族共役ジエン系単量体の使用量により、容易に調整することができる。
[0017]
(B)共重合体ラテックス
(B)共重合体ラテックスは、(d)脂肪族共役ジエン系単量体20〜80重量%、(e)エチレン性不飽和カルボン酸単量体0.1〜9重量%、および(f)他のビニル系単量体11〜79.9重量%〔ただし、(d)+(e)+(f)=100重量%〕との共重合体ラテックスであり、通常、アルカリ非膨潤性であり、これにより、本発明の共重合体ラテックス組成物中に適度な耐水性を付与し、塗工液においては適度な流動性を付与するという作用をなすものである。
[0018]
ここで、(d)脂肪族共役ジエン系単量体の種類は上記(a)成分と、また、(e)エチレン性不飽和カルボン酸は上記(b)成分と、さらに、(f)他のビニル系単量体の種類は上記(c)成分と、それぞれ、同様である。
[0019]
このうち、(d)脂肪族共役ジエン系単量体は、(a)成分と同様に、得られる共重合体ラテックスに適度な柔軟性と伸びを与えるために必須の成分であり、その使用割合は、(B)共重合体ラテックスを製造する際の全単量体成分の20〜80重量%、好ましく
【0007】
は25〜70重量%、さらに好ましくは30〜65重量%である。(d)脂肪族共役ジエン系単量体の使用割合が、全単量体成分の20重量%未満では、得られる共重合体が硬くなりすぎ接着強度が悪化する。一方、80重量%を超えると、べとつき防止性が低下し、塗工操業性が悪化する。
[0020]
また、(e)エチレン性不飽和カルボン酸単量体の使用割合は、(B)共重合体ラテックスを製造する際の全単量体成分の0.1〜9重量%、好ましくは0.3〜7重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%である。(e)エチレン性不飽和カルボン酸単量体の使用割合が、全単量体成分中に0.1重量%未満では、重合時のラテックスの安定性が低下し、多量の凝固物が発生する。一方、9重量%を超えると、ラテックス粘度が大きく上昇し、作業性が悪くなる。
[0021]
さらに、(f)他のビニル系単量体の使用割合は、(B)共重合体ラテックスを製造する際の全単量体成分の11〜79.9重量%、好ましくは20〜75重量%、さらに好ましくは30〜70重量%である。(f)他のビニル系単量体の使用割合が、全単量体成分中に11重量%未満では、塗膜の耐水強度に劣り、一方79.9重量%を超えると、共重合体が硬くなりすぎ接着強度が低下する。
[0022]
以上の(A)共重合体ラテックスと(B)共重合体ラテックスの混合割合は、固形分換算の重量比で、(A):(B)が0.2:99.8〜30:70、好ましくは1:99〜20:80、さらに好ましくは3:97〜10:90である。(A)共重合体ラテックスが0.2重量%未満では、(A)成分が少なくなり、目的の性能(白紙光沢、印刷光沢、インク乾燥性の向上)が得られない。一方、(A)成分が30重量%を超えると、表面強度、べとつき防止性、すなわち塗工操業性が悪化する。
[0023]
本発明の共重合体ラテックス組成物において、(A)共重合体ラテックスの次式に示す膨潤度は好ましくは2以上、さらに好ましくは3〜150、特に好ましくは4〜100であり、かつ(B)共重合体ラテックスの膨潤度は好ましくは2未満、さらに好ましくは1〜1.5である。なお、膨潤度は、室温(25℃)におけるものとする。
膨潤度(Sv)=(pH10の膨潤時の体積)/(pH5の膨潤時の体積)=(r10/r
上記式において、r10はpH10におけるラテックスの平均粒子径(nm)を示し、rはpH5におけるラテックスの平均粒子径(nm)を示す。
【0016】
、村上式光沢計を使用して60度の角度で測定した。数字が大きい程、光沢が高いことを示す。
[0057]
(インク乾燥性)
RI印刷機を用いて、市販のオフセット印刷用紅インクを塗工紙表面に印刷し、その後白紙を重ね合わせて一定の圧力で加圧し、白紙へのインク転移の程度を肉眼で判定し、5段階で評価した。転移が少ないものほど高得点とした。数値は測定回数6回の平均値で示した。
[0058]
(べとつき防止性)
ラテックスをポリエチレンテレフタレートフィルム上にNo.18ロッドにより塗布し、120℃で30秒間、乾燥し、皮膜を形成させた。この皮膜と黒羅紗紙を合わせて、ベンチスーパーカレンダーにより線圧200kg/m、温度70℃の条件下で圧着させた。両者をひきはがして、黒羅紗紙のラテックスへの転写の程度を目視で、5段階で評価した。転写の少ないものほど高得点とした。数値は測定回数6回の平均値で示した。
[0059]
[(A)共重合体ラテックスの製造]
攪拌装置および温度調節機を備えた耐圧反応容器に、水300部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部、過硫酸カリウム1部を仕込み、次いで表1に示すように、1,3−ブタジエン70部、メタクリル酸30部、およびt−ドデシルメルカプタン2部を仕込み、窒素で重合系内を置換した。その後、重合系内の温度を70℃に昇温し、この温度で12時間重合を行い、共重合体ラテックス(a)を得た。共重合体ラテックス(b)、(c)および(e)〜(g)も同様にして調製した。なお、全て最終的な重合転化率は98%であった。
[0060]
得られた共重合体ラテックスについて、水酸化ナトリウムを用いてpHを調整し、ラテックス平均粒子径、トルエン不溶分、ラテックス膨潤度、ラテックス増粘点を求めた。これらの結果を表1に示した。
【0017】
[0061]
【表1】
[0062]
[(B)共重合体ラテックスの製造]
攪拌装置および温度調節機を備えた耐圧反応容器に、表2に示される1段目成分を仕込み、窒素で重合系内を置換した。その後、重合系内の温度を40℃に昇温し、この温度で1時間重合を行った。次いで、表1に示される2段目成分と、還元剤水溶液の1/5量とを5時間かけて連続的に重合系内に添加し、重合を進めた。さらに、3段目成分と、還元剤水溶液の1/5量とを2時間かけて連続的に重合系内に添加した。その後、4段目成分と、および還元剤水溶液の2/5量を1時間かけて連続的に重合系内に添加した。重合を完結させるために、残り1/5量の還元剤水溶液を2時間かけて連続的に添加した。最終的な重合転化率は98%であった。
得られた共重合体ラテックスを、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムを用いて表2に示されるpHに調整した後、水蒸気を吹き込んで未反応単量体を除去し、さらに加熱水蒸気蒸留によって固形分濃度50%の共重合体ラテックス(h)を得た。
得られた共重合体ラテックスについて、ラテックス平均粒子径、トルエン不溶分を求めた。結果を表2に示す。
【0019】
得られた(A)共重合体ラテックスと、(B)共重合体ラテックスを表3に示される重量比で用いて、上記の配合処方により紙塗工用組成物を調製し、さらにこれを紙に塗布して塗工紙を製造した。塗工紙について、上記の方法に従って性能評価を行った。これらの結果を表3に示した。
[0065]
【表3】
[0066]
実施例1〜4および6は、本発明の範囲の紙塗工用組成物の例であり、本発明の目的とする塗工紙の性能が得られている。
これに対し、比較例1は、(A)共重合体ラテックスの(a)脂肪族共役ジエン系単量体の量が本発明の範囲を超えた例であり、(A)共重合体ラテックスのラテックス増粘点が低く、塗工紙の特性において表面強度、白紙光沢、印刷光沢、インク乾燥性が劣る、比較例2は、(A)共重合体ラテックスの(b)エチレン性不飽和カルボン酸単量体の量が本発明の範囲を超えた例であり、(A)共重合体ラテックスのラテックス膨潤度が低く、塗工紙の特性において白紙光沢、印刷光沢、インク乾燥性が劣る。比較例3は、(A)共重合体ラテックスおよび(B)共重合体ラテックスの重量比が本発明の範囲を超えた例であり、比較例3は、塗工紙の特性において白紙光沢、印刷光沢、インク乾燥性が劣る。
【産業上の利用可能性】
[0067]
本発明の紙塗工用の共重合体ラテックス組成物は、これを用いて紙塗工用組成物を調製すると、特に白紙光沢、印刷光沢、インク乾燥性に優れ、広い印刷速度範囲にわたって上記の優れた印刷適性を発現させ、紙塗工用、特に、オフセット印刷用さらに好ましくはシートオフセット印刷用およびウエッブオフセット印刷に好適に使用され得る。

Claims (7)

  1. (A)(a)脂肪族共役ジエン系単量体30〜90重量%、(b)エチレン性不飽和カルボン酸単量体10〜50重量%、および(c)上記(a)〜(b)成分と共重合可能な他のビニル系単量体0〜60重量%からなる単量体成分〔ただし、(a)+(b)+(c)=100重量%〕を乳化重合して得られる共重合体ラテックス、ならびに
    (B)(d)脂肪族共役ジエン系単量体20〜80重量%、(e)エチレン性不飽和カルボン酸単量体0.1〜9重量%、および上記(f)上記(d)〜(e)成分と共重合可能な他のビニル系単量体10〜79.9重量%からなる単量体成分〔ただし、(d)+(e)+(f)=100重量%〕を乳化重合して得られる共重合体ラテックス
    を含有してなる共重合体ラテックス組成物であり、かつ上記(A)共重合体ラテックスおよび(B)共重合体ラテックスの重量比が0.2:99.8〜30:70の範囲であることを特徴とする共重合体ラテックス組成物。
  2. (A)共重合体ラテックスの次式に示す膨潤度が2以上であり、かつ(B)共重合体ラテックスの膨潤度が2未満である請求項1記載の共重合体ラテックス組成物。
    膨潤度(Sv)=(pH10の膨潤時の体積)/(pH5の膨潤時の体積)=(r10/r
    ここで、r10はpH10におけるラテックスの平均粒子径(nm)を示し、rはpH5におけるラテックスの平均粒子径(nm)を示す。
  3. (A)共重合体ラテックスのpH5における平均粒子径が200nm以下である請求項1または2記載の共重合体ラテックス組成物。
  4. (A)共重合体ラテックスの増粘点がpH8以上である請求項1〜3いずれかに記載の共重合体ラテックス組成物。
    ここで、増粘点は、pH−ラテックス粘度曲線の変曲点におけるpH値を示す。
  5. (A)共重合体ラテックスを構成する単量体成分のうち、(b)エチレン性不飽和カルボン酸単量体がメタクリル酸である請求項1〜4いずれかに記載の共重合体ラテックス組成物。
  6. 請求項1〜5いずれかに記載の共重合体ラテックス組成物をバインダーとして用いる紙塗工用組成物。
  7. 請求項6に記載の紙塗工用組成物をダブル塗工の上塗り液あるいはシングル塗工の塗工液として用いた塗工紙。
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