JPWO2005082395A1 - 新規な育毛剤、抗脱毛症剤 - Google Patents
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Abstract
Arg−Pro−Leu−Lys−Pro−Trpで示されるペプチドは、毛周期の休止期から成長期への移行を促進することにより、育毛促進効果を有することが見出された。よって本発明により、Arg−Pro−Leu−Lys−Pro−Trpで示されるペプチドを有効成分とする育毛剤、及び上記ペプチドを用いて育毛を促進する方法が提供された。また上記ペプチドは抗癌剤の副作用である脱毛症に対して有効であることが見出された。よって本発明により、Arg−Pro−Leu−Lys−Pro−Trpで示されるペプチドを有効成分とする抗脱毛症剤、及び上記ペプチドを用いて脱毛を抑制する方法が提供された。本発明のペプチドの育毛促進効果と抗脱毛症効果は経口投与で有効であるために、その利用価値は大きいと考えられる。
Description
本発明は、Arg−Pro−Leu−Lys−Pro−Trpで示されるペプチドを有効成分とする育毛剤に関する。更に本発明は上記ペプチドを用いて育毛を促進する方法に関する。更に本発明は、Arg−Pro−Leu−Lys−Pro−Trpで示されるペプチドを有効成分とする抗脱毛症剤に関する。更に本発明は上記ペプチドを用いて脱毛を抑制する方法に関する。
脱毛は生命に関わる問題ではないが、その精神的な影響は非常に大きく、脱毛や抜け毛で悩む人は我が国で約2300万人とも言われている。その中で育毛剤を使用している人は約1/4程であり、多くの人が現在市販されている育毛剤の効果に充分な満足を感じていないのが現状である。毛成長機構や脱毛メカニズムの基礎研究成果に基づいた新たな育毛促進物質の探索とそのメカニズムの解明は現在重要な研究課題の一つであり、脱毛問題で悩む人々の生活の質(QOL)の改善に貢献することが期待される。
本発明者らは、卵白アルブミン由来の動脈弛緩ペプチドであるOvokinin(2−7)(RADHPF)のアミノ酸残基を部分的に置換して得られたRPLKPWが高血圧自然発症ラット(SHR)に対する経口投与により有意な血圧効果作用を示し、その作用がアンジオテンシン2型受容体(AT2−R)を介していることを見出している。そしてRPLKPWのペプチド自体について、血圧降下作用を有する新規なペプチドとして特許出願を行っている(特開2002−080496号公報)。
一方動脈弛緩・血圧降下剤として得られたミノキシジルが育毛促進作用を示すことが知られており、その作用にはスルホニル尿素受容体(SUR)が関与すると考えられている。ミノキシジルとRPLKPWは作用する受容体は異なっているものの、血管弛緩作用、血圧降下作用を有するという点で共通している。しかしRPLKPWの育毛促進作用についてはこれまで検討がなされたことはなかった。
また育毛を目的とする食品としては、アマチャヅルとカキノハと昆布の抽出物を含む食品が知られている。また抗癌剤の副作用としての脱毛症状を抑制、改善または予防する事が可能なウーロン茶抽出物を有効成分とする経口脱毛剤が知られている(特開平9−309840号公報)。また経口の育毛医薬品として、TypeII5αリダクターゼ阻害剤であるフィナステライド(finasteride)が知られている(J.of American Academy of Dermatology(1998)39,pp578−589)。しかしながら、当薬剤は男性ホルモンの代謝に作用する薬物であることから、副作用が懸念されており、使用上の注意や制限が多い。
本発明者らは、卵白アルブミン由来の動脈弛緩ペプチドであるOvokinin(2−7)(RADHPF)のアミノ酸残基を部分的に置換して得られたRPLKPWが高血圧自然発症ラット(SHR)に対する経口投与により有意な血圧効果作用を示し、その作用がアンジオテンシン2型受容体(AT2−R)を介していることを見出している。そしてRPLKPWのペプチド自体について、血圧降下作用を有する新規なペプチドとして特許出願を行っている(特開2002−080496号公報)。
一方動脈弛緩・血圧降下剤として得られたミノキシジルが育毛促進作用を示すことが知られており、その作用にはスルホニル尿素受容体(SUR)が関与すると考えられている。ミノキシジルとRPLKPWは作用する受容体は異なっているものの、血管弛緩作用、血圧降下作用を有するという点で共通している。しかしRPLKPWの育毛促進作用についてはこれまで検討がなされたことはなかった。
また育毛を目的とする食品としては、アマチャヅルとカキノハと昆布の抽出物を含む食品が知られている。また抗癌剤の副作用としての脱毛症状を抑制、改善または予防する事が可能なウーロン茶抽出物を有効成分とする経口脱毛剤が知られている(特開平9−309840号公報)。また経口の育毛医薬品として、TypeII5αリダクターゼ阻害剤であるフィナステライド(finasteride)が知られている(J.of American Academy of Dermatology(1998)39,pp578−589)。しかしながら、当薬剤は男性ホルモンの代謝に作用する薬物であることから、副作用が懸念されており、使用上の注意や制限が多い。
そこで、RPLKPWの育毛促進作用と抗脱毛作用を検討し、その知見を新規な育毛剤や抗脱毛症剤の開発に資することが本発明の課題である。脱毛や抜け毛に悩む人の数が多いことを考えると、新たな育毛剤を提供することの意義は大きいと考えられる。
そこで本発明者らは、RPLKPWの育毛促進作用を検討する目的で該ペプチドを飼料に混合してマウスに経口摂取させたところ、有意な育毛促進効果が得られることを見出した。該ペプチドの育毛促進効果は、毛周期の、休止期から成長期への移行が促進されることによるものと考えられる。よって本発明は、Arg−Pro−Leu−Lys−Pro−Trpで示されるペプチドを有効成分とする育毛剤、及び上記ペプチドを用いて育毛を促進する方法を提供するものである。
また本発明者らは抗癌剤であるエトポシドとRPLKPWを併用してラットに経口投与したところ、エトポシドの副作用である脱毛症に対して該ペプチドが有効であることを見出した。よって本発明は、Arg−Pro−Leu−Lys−Pro−Trpで示されるペプチドを有効成分とする抗脱毛症剤、及び上記ペプチドを用いて脱毛を抑制する方法を提供するものである。
本発明により、Arg−Pro−Leu−Lys−Pro−Trpで示されるペプチドを有効成分とする育毛剤、及び上記ペプチドを用いて育毛を促進する方法が提供された。更に本発明により、Arg−Pro−Leu−Lys−Pro−Trpで示されるペプチドを有効成分とする抗脱毛症剤、及び上記ペプチドを用いて脱毛を抑制する方法が提供された。本発明のペプチドの育毛促進作用と抗脱毛作用は経口投与で有効であるために簡便に摂取することができ、多くの人々の注意を喚起する可能性が高いと考えられる。上記ペプチドは育毛剤として有効であるために、本発明の知見を利用して、例えば、育毛医薬品、育毛食品、育毛化粧品を開発することが可能である。また抗癌剤の副作用として脱毛はしばしば見られ、それは抗癌剤の投与を受けている患者の生命に関わる問題ではないが、精神的な苦痛を考えると本発明の抗脱毛症剤の意義は大きい。
そこで本発明者らは、RPLKPWの育毛促進作用を検討する目的で該ペプチドを飼料に混合してマウスに経口摂取させたところ、有意な育毛促進効果が得られることを見出した。該ペプチドの育毛促進効果は、毛周期の、休止期から成長期への移行が促進されることによるものと考えられる。よって本発明は、Arg−Pro−Leu−Lys−Pro−Trpで示されるペプチドを有効成分とする育毛剤、及び上記ペプチドを用いて育毛を促進する方法を提供するものである。
また本発明者らは抗癌剤であるエトポシドとRPLKPWを併用してラットに経口投与したところ、エトポシドの副作用である脱毛症に対して該ペプチドが有効であることを見出した。よって本発明は、Arg−Pro−Leu−Lys−Pro−Trpで示されるペプチドを有効成分とする抗脱毛症剤、及び上記ペプチドを用いて脱毛を抑制する方法を提供するものである。
本発明により、Arg−Pro−Leu−Lys−Pro−Trpで示されるペプチドを有効成分とする育毛剤、及び上記ペプチドを用いて育毛を促進する方法が提供された。更に本発明により、Arg−Pro−Leu−Lys−Pro−Trpで示されるペプチドを有効成分とする抗脱毛症剤、及び上記ペプチドを用いて脱毛を抑制する方法が提供された。本発明のペプチドの育毛促進作用と抗脱毛作用は経口投与で有効であるために簡便に摂取することができ、多くの人々の注意を喚起する可能性が高いと考えられる。上記ペプチドは育毛剤として有効であるために、本発明の知見を利用して、例えば、育毛医薬品、育毛食品、育毛化粧品を開発することが可能である。また抗癌剤の副作用として脱毛はしばしば見られ、それは抗癌剤の投与を受けている患者の生命に関わる問題ではないが、精神的な苦痛を考えると本発明の抗脱毛症剤の意義は大きい。
図1は、コントロール群とRPLKPW投与群において、マウス背部の育毛促進効果を評価した写真である。
図2は、コントロール群とRPLKPWを投与群において、毛の生えている部分の割合の比較を行ったグラフである。
図3は、コントロール群とRPLKPWを投与群において、全毛包中におけるAnagenVI期にある毛包の割合を示すグラフである。
図4は、ヒト頭髪毛乳頭細胞におけるVEGFmRNA発現量に対して、RPLKPWが及ぼす効果の経時変化を示すグラフである。
図5は、エトポシドによる脱毛が、RPLKPWにより抑制される効果を示すグラフである。
図2は、コントロール群とRPLKPWを投与群において、毛の生えている部分の割合の比較を行ったグラフである。
図3は、コントロール群とRPLKPWを投与群において、全毛包中におけるAnagenVI期にある毛包の割合を示すグラフである。
図4は、ヒト頭髪毛乳頭細胞におけるVEGFmRNA発現量に対して、RPLKPWが及ぼす効果の経時変化を示すグラフである。
図5は、エトポシドによる脱毛が、RPLKPWにより抑制される効果を示すグラフである。
本発明は、Arg−Pro−Leu−Lys−Pro−Trpで示されるペプチドを有効成分として含有する育毛剤である。更に本発明は、Arg−Pro−Leu−Lys−Pro−Trpで示されるペプチドを有効成分として含有する抗脱毛症剤である。上記のペプチドは育毛促進作用を有するために、当該ペプチドを有効成分として含有することを特徴とする育毛剤を調製することが可能である。また上記のペプチドを用いて育毛を促進する方法もまた本発明の範囲内である。更に上記のペプチドを使用して、特に抗癌剤の副作用としての脱毛を抑制することが可能である。上記でいうArgはアルギニン、Proはプロリン、Leuはロイシン、Lysはリジン、Trpはトリプトファンを示す。かかるアミノ酸はいずれもL−体である。
本発明のペプチドは、ペプチド合成法で取得することができる。即ち、ペプチド合成に通常用いられる方法である液相法または固相法で、ペプチド結合の任意の位置で二分される2種のフラグメントの一方に相当する反応性カルボキシル基を有する原料と、他方のフラグメントに相当する反応性アミノ基を有する原料とを、2−(1H−Benzotriazole−1−yl)−1,1,3,3−tetramethyluronium hexafluorophosphate(HBTU)等の活性エステルを用いた方法や、カルボジイミドを用いた方法等を用いて縮合させることができる。生成する縮合物が保護基を有する場合、その保護基を除去することによっても製造し得る。
この反応工程において反応に関与すべきでない官能基は、保護基により保護される。アミノ基の保護基としては、例えばベンジルオキシカルボニル(Bz)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc),p−ビフェニルイソプロピロオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)等が挙げられる。カルボキシル基の保護剤としては例えばアルキルエステル、ベンジルエステル等を形成し得る基が挙げられるが、固相法の場合は、C末端のカルボキシル基はクロロトリチル樹脂、クロルメチル樹脂、オキシメチル樹脂、P−アルコキシベンジルアルコール樹脂等の担体に結合している。縮合反応は、カルボジイミド等の縮合剤の存在下にあるいはN−保護アミノ酸活性エステルまたはペプチド活性エステルを用いて実施する。
縮合反応終了後、保護基は除去されるが、固相法の場合はさらにペプチドのC末端と樹脂との結合を切断する。更に、本発明のペプチドは通常の方法に従い精製される。例えばイオン交換クロマトグラフィー、逆相液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等が挙げられる。合成したペプチドの合成はエドマン分解法でC−末端からアミノ酸配列を読み取るプロティンシークエンサー、GC−MS等で分析される。
次に医薬品として用いる場合について説明する。本発明の育毛ペプチド、抗脱毛症ペプチドは経口投与で有効であるという利点を有するが、それに限定されるものではなく、投与経路としては、経口投与、非経口投与、直腸内投与のいずれを採用することもできる。本発明の育毛剤、抗脱毛症剤は、経口的あるいは非経口的に投与することが可能である。本ペプチドの投与量は化合物の種類、投与方法、投与される者の状態や年齢等により異なるが、1日あたり通常は0.01mg/kg〜100mg/kg、好ましくは0.1mg/kg〜10mg/kgである。本発明のペプチドは通常、製剤用担体と混合して調製した製剤の形で投与される。製剤用担体としては、製剤分野において常用され、かつ本発明のペプチドと反応しない物質が用いられる。
具体的には、その様な物質の例として乳糖、ブドウ糖、マンニット、デキストリン、シクロデキストリン、デンプン、蔗糖、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、イオン交換樹脂、メチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、トラガント、ベントナイト、ビーガム、酸化チタン、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン、脂肪酸グリセリンエステル、精製ラノリン、グリセロゼラチン、ポリソルベート、マクロゴール、植物油、ロウ、流動パラフィン、白色ワセリン、フルオロカーボン、非イオン性界面活性剤、プロピレングルコール、水等が挙げられる。
剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、座剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤、吸入剤、注射剤等が挙げられる。これらの製剤は常法に従って調製される。尚、液体製剤にあっては、用時、水又は他の適当な溶媒に溶解または懸濁する形であってもよい。また錠剤、顆粒剤は周知の方法でコーティングしてもよい。注射剤の場合には、本発明のペプチドを水に溶解させて調製されるが、必要に応じて生理食塩水あるいはブドウ糖溶液に溶解させてもよく、また緩衝剤や保存剤を添加してもよい。
これらの製剤は、本発明のペプチドを0.01%〜100重量%、好ましくは1〜90重量%の割合で含有することができる。これらの製剤はまた、治療上価値のある他の成分を含有していてもよい。
経口投与用の固形製剤を製造するには、有効成分と賦形剤成分例えば乳糖、澱粉、結晶セルロース、乳酸カルシウム、無水ケイ酸などと混合して散剤とするか、さらに必要に応じて白糖、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウムなどの崩壊剤などを加えて湿式又は乾式造粒して顆粒剤とする。錠剤を製造するには、これらの散剤及び顆粒剤をそのまま或いはステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤を加えて打錠すればよい。これらの顆粒又は錠剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタクリル酸−メタクリル酸メチルポリマーなどの腸溶剤基剤で被覆して腸溶剤製剤、あるいはエチルセルロース、カルナウバロウ、硬化油などで被覆して持続性製剤とすることもできる。また、カプセル剤を製造するには、散剤又は顆粒剤を硬カプセルに充填するか、有効成分をそのまま或いはグリセリン、ポリエチレングリコール、ゴマ油、オリーブ油などに溶解した後ゼラチン膜で被覆し軟カプセルとすることができる。
経口投与用の液状製剤を製造するには、有効成分と白糖、ソルビトール、グリセリンなどの甘味剤とを水に溶解して透明なシロップ剤、更に精油、エタノールなどを加えてエリキシル剤とするか、アラビアゴム、トラガント、ポリソルベート80、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどを加えて乳剤又は懸濁剤としてもよい。これらの液状製剤には所望により矯味剤、着色剤、保存剤などを加えてもよい。
注射剤を製造するには、有効成分を必要に応じて塩酸、水酸化ナトリウム、乳糖、乳酸、ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどのpH調整剤、塩化ナトリウム、ぶどう糖などの等張化剤と共に注射用蒸留水に溶解し、無菌濾過してアンプルに充填するか、更にマンニトール、デキストリン、シクロデキストリン、ゼラチンなどを加えて真空凍結乾燥し、用事溶解型の注射剤としてもよい。また、有効成分にレチシン、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などを加えて水中で乳化せしめ注射剤用乳剤とすることもできる。
直腸投与剤を製造するには、有効成分をカカオ脂、脂肪酸のトリ、ジ及びモノグリセリド、ポリエチレングリコールなどの座剤用基材と共に加湿して溶解し型に流し込んで冷却するか、有効成分をポリエチレングリコール、大豆油などに溶解した後、ゼラチン膜で被覆すればよい。
皮膚用外用剤を製造するには、有効成分を白色ワセリン、ミツロウ、流動パラフィン、ポリエチレングリコールなどに加えて必要ならば加湿して練合し軟膏剤とするか、ロジン、アクリル酸アルキルエステル重合体などの粘着剤と練合した後ポリアルキルなどの不織布に展延してテープ剤とする。
更に本発明の育毛ペプチドを種々の飲食物や所謂サプリメントの形で投与することもできる。本発明の育毛ペプチドを一般に飲食されている物や調味料などの中に配合することが可能であり、そのような飲食物は通常の方法で製造させるものであって特に限定されるものではない。
また本発明の育毛ペプチドをヘアクリーム、ヘアリキッドあるいはゲルなどの種々の形態で化粧品中に配合して育毛化粧品とすることも可能である。なおクリーム状、エマルジョン状あるいはゲル状の育毛化粧品とする際に、一般的に使用される種々の添加剤を配合することができる。かかる添加剤は特に限定されるものではないが、水、エタノール、プロパノールおよびイソプロパノール等の低級脂肪族アルコール、あるいはグリセリンおよび1、2−プロピレングリコールのようなグリコールなどの溶媒を配合することが可能である。更にその他に、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルベタイン、オキシエチル化脂肪族アルコール、胎肪酸アルカノールアミド、オキシエチル化脂肪酸エステルなどのカチオン性、両性あるいは非イオン性界面活性剤からなる湿潤剤ないしは乳化剤、香油、エチレングリコールジステアレートなどの乳白剤、2、4、4トリクロル−2−ヒドロキシジフェニルエーテルあるいはメチルイソチアゾリゾンのような殺菌剤ないしは防カビ剤、緩衝剤、保湿剤や酸化防止剤を適宜使用することができる。
なお以下の実施例において本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲を限定するものではない。
本発明のペプチドは、ペプチド合成法で取得することができる。即ち、ペプチド合成に通常用いられる方法である液相法または固相法で、ペプチド結合の任意の位置で二分される2種のフラグメントの一方に相当する反応性カルボキシル基を有する原料と、他方のフラグメントに相当する反応性アミノ基を有する原料とを、2−(1H−Benzotriazole−1−yl)−1,1,3,3−tetramethyluronium hexafluorophosphate(HBTU)等の活性エステルを用いた方法や、カルボジイミドを用いた方法等を用いて縮合させることができる。生成する縮合物が保護基を有する場合、その保護基を除去することによっても製造し得る。
この反応工程において反応に関与すべきでない官能基は、保護基により保護される。アミノ基の保護基としては、例えばベンジルオキシカルボニル(Bz)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc),p−ビフェニルイソプロピロオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)等が挙げられる。カルボキシル基の保護剤としては例えばアルキルエステル、ベンジルエステル等を形成し得る基が挙げられるが、固相法の場合は、C末端のカルボキシル基はクロロトリチル樹脂、クロルメチル樹脂、オキシメチル樹脂、P−アルコキシベンジルアルコール樹脂等の担体に結合している。縮合反応は、カルボジイミド等の縮合剤の存在下にあるいはN−保護アミノ酸活性エステルまたはペプチド活性エステルを用いて実施する。
縮合反応終了後、保護基は除去されるが、固相法の場合はさらにペプチドのC末端と樹脂との結合を切断する。更に、本発明のペプチドは通常の方法に従い精製される。例えばイオン交換クロマトグラフィー、逆相液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等が挙げられる。合成したペプチドの合成はエドマン分解法でC−末端からアミノ酸配列を読み取るプロティンシークエンサー、GC−MS等で分析される。
次に医薬品として用いる場合について説明する。本発明の育毛ペプチド、抗脱毛症ペプチドは経口投与で有効であるという利点を有するが、それに限定されるものではなく、投与経路としては、経口投与、非経口投与、直腸内投与のいずれを採用することもできる。本発明の育毛剤、抗脱毛症剤は、経口的あるいは非経口的に投与することが可能である。本ペプチドの投与量は化合物の種類、投与方法、投与される者の状態や年齢等により異なるが、1日あたり通常は0.01mg/kg〜100mg/kg、好ましくは0.1mg/kg〜10mg/kgである。本発明のペプチドは通常、製剤用担体と混合して調製した製剤の形で投与される。製剤用担体としては、製剤分野において常用され、かつ本発明のペプチドと反応しない物質が用いられる。
具体的には、その様な物質の例として乳糖、ブドウ糖、マンニット、デキストリン、シクロデキストリン、デンプン、蔗糖、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、イオン交換樹脂、メチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、トラガント、ベントナイト、ビーガム、酸化チタン、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン、脂肪酸グリセリンエステル、精製ラノリン、グリセロゼラチン、ポリソルベート、マクロゴール、植物油、ロウ、流動パラフィン、白色ワセリン、フルオロカーボン、非イオン性界面活性剤、プロピレングルコール、水等が挙げられる。
剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、座剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤、吸入剤、注射剤等が挙げられる。これらの製剤は常法に従って調製される。尚、液体製剤にあっては、用時、水又は他の適当な溶媒に溶解または懸濁する形であってもよい。また錠剤、顆粒剤は周知の方法でコーティングしてもよい。注射剤の場合には、本発明のペプチドを水に溶解させて調製されるが、必要に応じて生理食塩水あるいはブドウ糖溶液に溶解させてもよく、また緩衝剤や保存剤を添加してもよい。
これらの製剤は、本発明のペプチドを0.01%〜100重量%、好ましくは1〜90重量%の割合で含有することができる。これらの製剤はまた、治療上価値のある他の成分を含有していてもよい。
経口投与用の固形製剤を製造するには、有効成分と賦形剤成分例えば乳糖、澱粉、結晶セルロース、乳酸カルシウム、無水ケイ酸などと混合して散剤とするか、さらに必要に応じて白糖、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウムなどの崩壊剤などを加えて湿式又は乾式造粒して顆粒剤とする。錠剤を製造するには、これらの散剤及び顆粒剤をそのまま或いはステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤を加えて打錠すればよい。これらの顆粒又は錠剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタクリル酸−メタクリル酸メチルポリマーなどの腸溶剤基剤で被覆して腸溶剤製剤、あるいはエチルセルロース、カルナウバロウ、硬化油などで被覆して持続性製剤とすることもできる。また、カプセル剤を製造するには、散剤又は顆粒剤を硬カプセルに充填するか、有効成分をそのまま或いはグリセリン、ポリエチレングリコール、ゴマ油、オリーブ油などに溶解した後ゼラチン膜で被覆し軟カプセルとすることができる。
経口投与用の液状製剤を製造するには、有効成分と白糖、ソルビトール、グリセリンなどの甘味剤とを水に溶解して透明なシロップ剤、更に精油、エタノールなどを加えてエリキシル剤とするか、アラビアゴム、トラガント、ポリソルベート80、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどを加えて乳剤又は懸濁剤としてもよい。これらの液状製剤には所望により矯味剤、着色剤、保存剤などを加えてもよい。
注射剤を製造するには、有効成分を必要に応じて塩酸、水酸化ナトリウム、乳糖、乳酸、ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどのpH調整剤、塩化ナトリウム、ぶどう糖などの等張化剤と共に注射用蒸留水に溶解し、無菌濾過してアンプルに充填するか、更にマンニトール、デキストリン、シクロデキストリン、ゼラチンなどを加えて真空凍結乾燥し、用事溶解型の注射剤としてもよい。また、有効成分にレチシン、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などを加えて水中で乳化せしめ注射剤用乳剤とすることもできる。
直腸投与剤を製造するには、有効成分をカカオ脂、脂肪酸のトリ、ジ及びモノグリセリド、ポリエチレングリコールなどの座剤用基材と共に加湿して溶解し型に流し込んで冷却するか、有効成分をポリエチレングリコール、大豆油などに溶解した後、ゼラチン膜で被覆すればよい。
皮膚用外用剤を製造するには、有効成分を白色ワセリン、ミツロウ、流動パラフィン、ポリエチレングリコールなどに加えて必要ならば加湿して練合し軟膏剤とするか、ロジン、アクリル酸アルキルエステル重合体などの粘着剤と練合した後ポリアルキルなどの不織布に展延してテープ剤とする。
更に本発明の育毛ペプチドを種々の飲食物や所謂サプリメントの形で投与することもできる。本発明の育毛ペプチドを一般に飲食されている物や調味料などの中に配合することが可能であり、そのような飲食物は通常の方法で製造させるものであって特に限定されるものではない。
また本発明の育毛ペプチドをヘアクリーム、ヘアリキッドあるいはゲルなどの種々の形態で化粧品中に配合して育毛化粧品とすることも可能である。なおクリーム状、エマルジョン状あるいはゲル状の育毛化粧品とする際に、一般的に使用される種々の添加剤を配合することができる。かかる添加剤は特に限定されるものではないが、水、エタノール、プロパノールおよびイソプロパノール等の低級脂肪族アルコール、あるいはグリセリンおよび1、2−プロピレングリコールのようなグリコールなどの溶媒を配合することが可能である。更にその他に、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルベタイン、オキシエチル化脂肪族アルコール、胎肪酸アルカノールアミド、オキシエチル化脂肪酸エステルなどのカチオン性、両性あるいは非イオン性界面活性剤からなる湿潤剤ないしは乳化剤、香油、エチレングリコールジステアレートなどの乳白剤、2、4、4トリクロル−2−ヒドロキシジフェニルエーテルあるいはメチルイソチアゾリゾンのような殺菌剤ないしは防カビ剤、緩衝剤、保湿剤や酸化防止剤を適宜使用することができる。
なお以下の実施例において本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲を限定するものではない。
毛包は一定の周期で常に生えかわる器官であり、毛周期は成長期(Anagen)、退行期(Catagen)、休止期(Telogen)から構成される。C3H/Heマウスにおいては7週齢から50日間、毛周期はTelogen期に同調していることが知られている。
本発明においては、毛周期がTelogen期にある7週齢の雄性C3H/Heマウスの背部をバリカンとシェーバーにより脱毛し、3日間の回復期間をおいた後、8週齢より1mg/kgに相当するRPLKPWを粉末飼料に混合し、自由に摂取させた。
RPLKPW混合飼料を14日間投与した後に、育毛促進作用について評価を行った。図1にマウス背部の写真を示す。図1において上段はコントロール群のマウスの写真であり、下段はRPLKPWを投与した群のマウスの写真である。また図2は図1の写真を画像解析して定量化した結果である。図2のグラフにおいて縦軸はマウスの背部全体のうち、毛の生えている部分の割合を示す。図1と図2より判る様に、RPLKPW投与群においてはコントロール群と比較して育毛が促進していることが認められた。
上記で述べた様に毛包には一定の周期があるが、Anagen期は更にI期からVI期までの6つの期間に分類することができ、毛包が成長するに伴い、AnagenI期からIV期へと移行する。
マウス背部から採取した皮膚をヘマトキシン・エオジンで染色し、見られる皮膚組織を観察した。コントロール群でもRPLKPW投与群でも、Anagenへ移行している毛包が確認された。コントロール群から採取した皮膚ではAnagenIII期の毛包が確認され、古い毛包が残っており、新しい毛包がバルジ付近までしか延びていない。一方RPLKPW投与群においてはAnagenVI期に移行している毛包の増加が確認され、新しい毛包が表皮を貫通していた。この結果からコントロール群と比較して、RPLKPW投与群では毛の生育の進行が促進していると考えられる。
全毛包の中で、AnagenVI期にある毛包の割合を定量化した結果を図3に示す。図3の結果は、RPLKPWがTelogen期からAnagen期への移行を促進することを意味している。よってRPLKPWの育毛効果はこのような毛周期の移行によって起こるものであることが判った。
間質系細胞として毛包基底部に存在している毛乳頭細胞は、毛包上皮細胞幹細胞に対して様々なサイトカインや細胞増殖因子を放出し、毛包の自己再生を行っている。育毛剤として知られるミノキシジルもまた、毛乳頭細胞から血管内皮細胞成長因子(VEGF)の産生を促進することが知られている。そこで、ヒト頭髪毛乳頭細胞に対するVEGFの影響を検討した。本検討により、RPLKPWの育毛促進効果のメカニズムを更に解明することができる。
ヒト頭髪毛乳頭細胞を5×104個ずつ、60mmのディッシュに播き、23時間培養した。その後培地を交換して1時間後にサンプルを添加した。サンプルを添加してから3時間、6時間、12時間、24時間培養を行い、その後細胞から全RNAを抽出し、ABIPrism7000を用いた定量的RT−PCRによりVEGFmRNA発現量の解析を行った。
その結果を図4に示す。なお図4において縦軸は、コントロールのVEGFmRNAの発現量を1とした時のRPLKPW投与群におけるVEGFmRNA発現量を、横軸は刺激時間を示す。ヒト頭髪毛乳頭細胞を0.3μMのRPLKPWで刺激することにより、該細胞におけるVEGFmRNAの発現は時間依存的に促進し、24時間の刺激で2.3倍に増加した。これはミノキシジル30μMで刺激した時と同じ効果であった。この結果から、RPLKPWの育毛促進作用にVEGFが関与していることが示唆された。
SD系ラットを用い、以下の(1)〜(5)の5群に分けて抗脱毛活性の評価を行なった。各群のラットには母親を一匹つけ、自由に哺乳させた。母親には日本クレア製の固形食CE2を自由に接種させ、飲水も自由にさせた。薬剤の投与は1日1回、朝10時より11時の間に行った。尚、ペプチドの投与は、生後6日目から生後13日目までの6日間連続して投与するというプロトコールに従い、経口投与で1日1回行った。エトポシドは1.2mg/kg体重の用量で、生後11日目から13日目までの3日間連続して腹腔内に投与した。
(1)エトポシド(日本化薬製 ラステット:抗癌剤) 単独投与群
(2)エトポシドと3mg/kgのRPLKPWを併用投与した群
(3)エトポシドと10mg/kgのRPLKPWを併用投与した群
(4)エトポシドと30mg/kgのRPLKPWを併用投与した群
(5)エトポシドと100mg/kgのRPLKPWを併用投与した群
上記5群の投与検体について、生後20日目に、肉眼下観察により脱毛度を検討した。ラットの毛が生えている領域の割合(%)により評価を行なった。各群4匹で平均を検討したところ、毛が生えている領域の割合は(1)エトポシド単独投与群で35.5%(標準偏差10.9)、(2)RPLKPW3mg/kg投与群で75.4%(標準偏差4.3)、(3)RPLKPW10mg/kg投与群で52.7%(標準偏差7.8)、(4)RPLKPW30mg/kg投与群で63.0%(標準偏差8.2)、(6)RPLKPW100mg/kg投与群で100.0%(標準偏差0)であった。その結果をグラフにして図5に示す。なお図5で*は1%の危険率での有意差を、***は0.1%の危険率での有意差をそれぞれ示す。
表5の結果より、RPLKPWを3mg/kgで6日間の経口投与することにより、抗癌剤エトポシドによる脱毛は有意に抑制された。なおRPLKPWを10mg/kgで投与した群とRPLKPWを30mg/kgで投与した群では、エトポシド単独投与群と比較して有意差は認められなかった。一方、RPLKPWを100mg/kg投与した群では、ほぼ完全な脱毛抑制が認められた。よってRPLKPWは育毛促進作用のみならず、抗脱毛作用を有していることが示された。
本発明においては、毛周期がTelogen期にある7週齢の雄性C3H/Heマウスの背部をバリカンとシェーバーにより脱毛し、3日間の回復期間をおいた後、8週齢より1mg/kgに相当するRPLKPWを粉末飼料に混合し、自由に摂取させた。
RPLKPW混合飼料を14日間投与した後に、育毛促進作用について評価を行った。図1にマウス背部の写真を示す。図1において上段はコントロール群のマウスの写真であり、下段はRPLKPWを投与した群のマウスの写真である。また図2は図1の写真を画像解析して定量化した結果である。図2のグラフにおいて縦軸はマウスの背部全体のうち、毛の生えている部分の割合を示す。図1と図2より判る様に、RPLKPW投与群においてはコントロール群と比較して育毛が促進していることが認められた。
上記で述べた様に毛包には一定の周期があるが、Anagen期は更にI期からVI期までの6つの期間に分類することができ、毛包が成長するに伴い、AnagenI期からIV期へと移行する。
マウス背部から採取した皮膚をヘマトキシン・エオジンで染色し、見られる皮膚組織を観察した。コントロール群でもRPLKPW投与群でも、Anagenへ移行している毛包が確認された。コントロール群から採取した皮膚ではAnagenIII期の毛包が確認され、古い毛包が残っており、新しい毛包がバルジ付近までしか延びていない。一方RPLKPW投与群においてはAnagenVI期に移行している毛包の増加が確認され、新しい毛包が表皮を貫通していた。この結果からコントロール群と比較して、RPLKPW投与群では毛の生育の進行が促進していると考えられる。
全毛包の中で、AnagenVI期にある毛包の割合を定量化した結果を図3に示す。図3の結果は、RPLKPWがTelogen期からAnagen期への移行を促進することを意味している。よってRPLKPWの育毛効果はこのような毛周期の移行によって起こるものであることが判った。
間質系細胞として毛包基底部に存在している毛乳頭細胞は、毛包上皮細胞幹細胞に対して様々なサイトカインや細胞増殖因子を放出し、毛包の自己再生を行っている。育毛剤として知られるミノキシジルもまた、毛乳頭細胞から血管内皮細胞成長因子(VEGF)の産生を促進することが知られている。そこで、ヒト頭髪毛乳頭細胞に対するVEGFの影響を検討した。本検討により、RPLKPWの育毛促進効果のメカニズムを更に解明することができる。
ヒト頭髪毛乳頭細胞を5×104個ずつ、60mmのディッシュに播き、23時間培養した。その後培地を交換して1時間後にサンプルを添加した。サンプルを添加してから3時間、6時間、12時間、24時間培養を行い、その後細胞から全RNAを抽出し、ABIPrism7000を用いた定量的RT−PCRによりVEGFmRNA発現量の解析を行った。
その結果を図4に示す。なお図4において縦軸は、コントロールのVEGFmRNAの発現量を1とした時のRPLKPW投与群におけるVEGFmRNA発現量を、横軸は刺激時間を示す。ヒト頭髪毛乳頭細胞を0.3μMのRPLKPWで刺激することにより、該細胞におけるVEGFmRNAの発現は時間依存的に促進し、24時間の刺激で2.3倍に増加した。これはミノキシジル30μMで刺激した時と同じ効果であった。この結果から、RPLKPWの育毛促進作用にVEGFが関与していることが示唆された。
SD系ラットを用い、以下の(1)〜(5)の5群に分けて抗脱毛活性の評価を行なった。各群のラットには母親を一匹つけ、自由に哺乳させた。母親には日本クレア製の固形食CE2を自由に接種させ、飲水も自由にさせた。薬剤の投与は1日1回、朝10時より11時の間に行った。尚、ペプチドの投与は、生後6日目から生後13日目までの6日間連続して投与するというプロトコールに従い、経口投与で1日1回行った。エトポシドは1.2mg/kg体重の用量で、生後11日目から13日目までの3日間連続して腹腔内に投与した。
(1)エトポシド(日本化薬製 ラステット:抗癌剤) 単独投与群
(2)エトポシドと3mg/kgのRPLKPWを併用投与した群
(3)エトポシドと10mg/kgのRPLKPWを併用投与した群
(4)エトポシドと30mg/kgのRPLKPWを併用投与した群
(5)エトポシドと100mg/kgのRPLKPWを併用投与した群
上記5群の投与検体について、生後20日目に、肉眼下観察により脱毛度を検討した。ラットの毛が生えている領域の割合(%)により評価を行なった。各群4匹で平均を検討したところ、毛が生えている領域の割合は(1)エトポシド単独投与群で35.5%(標準偏差10.9)、(2)RPLKPW3mg/kg投与群で75.4%(標準偏差4.3)、(3)RPLKPW10mg/kg投与群で52.7%(標準偏差7.8)、(4)RPLKPW30mg/kg投与群で63.0%(標準偏差8.2)、(6)RPLKPW100mg/kg投与群で100.0%(標準偏差0)であった。その結果をグラフにして図5に示す。なお図5で*は1%の危険率での有意差を、***は0.1%の危険率での有意差をそれぞれ示す。
表5の結果より、RPLKPWを3mg/kgで6日間の経口投与することにより、抗癌剤エトポシドによる脱毛は有意に抑制された。なおRPLKPWを10mg/kgで投与した群とRPLKPWを30mg/kgで投与した群では、エトポシド単独投与群と比較して有意差は認められなかった。一方、RPLKPWを100mg/kg投与した群では、ほぼ完全な脱毛抑制が認められた。よってRPLKPWは育毛促進作用のみならず、抗脱毛作用を有していることが示された。
本発明により、Arg−Pro−Leu−Lys−Pro−Trpで示されるペプチドを有効成分として含有する育毛剤が提供された。更に本発明により、Arg−Pro−Leu−Lys−Pro−Trpで示されるペプチドを有効成分として含有する抗脱毛症剤が提供された。本発明の知見を利用して、当該ペプチドを有効成分と含有する育毛医薬品、育毛医薬品や育毛化粧品を開発することが可能であると考えられる。
Claims (7)
- Arg−Pro−Leu−Lys−Pro−Trpで示されるペプチドを有効成分とする育毛剤。
- 請求項1記載の育毛剤を有効成分として含有する育毛医薬品。
- 請求項1記載の育毛剤を有効成分として含有する育毛食品。
- 請求項1記載の育毛剤を有効成分として含有する育毛化粧品。
- Arg−Pro−Leu−Lys−Pro−Trpで示されるペプチドを用いて育毛を促進する方法。
- Arg−Pro−Leu−Lys−Pro−Trpで示されるペプチドを有効成分とする抗脱毛症剤。
- Arg−Pro−Leu−Lys−Pro−Trpで示されるペプチドを用いて脱毛を抑制する方法。
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