JP2000143695A - 新規ペプチド、血圧降下剤および生理活性物質 - Google Patents

新規ペプチド、血圧降下剤および生理活性物質

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JP2000143695A
JP2000143695A JP10323678A JP32367898A JP2000143695A JP 2000143695 A JP2000143695 A JP 2000143695A JP 10323678 A JP10323678 A JP 10323678A JP 32367898 A JP32367898 A JP 32367898A JP 2000143695 A JP2000143695 A JP 2000143695A
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angiotensin
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phe
pro
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安全かつ有効な血圧降下物質を得る。 【解決手段】 Arg−Pro−Phe−His−Pr
o−Pheからなる、降圧作用を有する新規ペプチドを
提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アンジオテンシン
2レセプターに対して親和性を持ち、血圧降下剤として
有用な新規ペプチドおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】わが国における高血圧患者は数は300
0万人を超えると言われており、経口投与で有効な安全
な血圧降下物質が求められている。既知の血圧降下物質
としては交感神経遮断剤、アドレナリンアルファおよび
ベータブロッカー、カルシウム拮抗剤、利尿剤、アンジ
オテンシン変換酵素阻害剤およびアンジオテンシンAT
1レセプターアンタゴニスト等がある。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】アンジオテンシンレセプターにはサブタイ
プがあり、アンジオテンシン1レセプターが血圧上昇に
関与することは古くから知られていたが、ノックアウト
マウスを用いた実験からアンジオテンシン2レセプター
は血圧降下に関与することが最近解明された。しかし、
アンジオテンシン2レセプターを介して作用する血圧降
下物質は未だ見出されていない。
【課題を解決するための手段】
【0004】発明者は、食品中に含まれる生理活性物質
の探索研究を行う中で、卵白を酵素で加水分解した組成
物中に、動脈弛緩作用を持ち、血圧降下作用を有する物
質が含まれることをつきとめ、その物質がArg−Al
a−Asp−His−Pro−Phe(ovokini
nIII)であることを示した(特開平10−3639
4号)。その知見より、上記ペプチドと類似するペプチ
ドにつき、その生理活性を検討してきたところ、Arg
−Pro−Phe−His−Pro−Pheという配列
を有するペプチドが、アンジオテンシン2レセプターに
対してのみ親和性を有し、血圧降下作用を有することを
見出した。
【0005】アンジオテンシン2レセプターに親和性を
もつペプチドとしてはアンジオテンシンIIおよびII
Iが従来から知られているが、これらは血圧上昇に関与
するアンジオテンシン1レセプターに対しても強力に結
合するため血圧降下作用を示し得ない。そこで、アンジ
オテンシン1レセプターに対しては親和性を持たずにア
ンジオテンシン2レセプターに対してのみ親和性をもつ
物質は、本発明のペプチドが初めてであり、このような
作用機序による血圧降下物質は従来存在しない。また、
その作用機序より、本発明ペプチドは高血圧者に対して
は作用を示すが、正常血圧には影響を及ぼさない安全な
降圧物質である。
【0006】本発明のペプチドは、Arg−Pro−P
he−His−Pro−Pheからなる配列をもつ直鎖
状のペプチドであり、ペプチド合成の常套手段を適用し
て合成することによって製造することができる。上記で
いうArgはアルギニン、Proハプロリン、Pheは
フェニルアラニン、Hisはヒスチジンを示す。かかる
アミノ酸はいずれもL−体である。
【0007】
【実施例】本発明のペプチドは、ペプチド合成法で取得
でき、ペプチド合成に通常用いられる方法、即ち液相法
または固相法でペプチド結合の任意の位置で二分される
2種のフラグメントの一方に相当する反応性カルボキシ
ル基を有する原料と、他方のフラグメントに相当する反
応性アミノ基を有する原料と、他方のフラグメントに相
当する反応性アミノ基を有する原料とを2-(1H-Benzotr
iazole-1-yl)-1,1,3,3-tetramethyluronium hexafluoro
phosphate(HBTU)等の活性エステルを用いた方法、
カルボジイミドを用いた方法等を用いて縮合させ、生成
する縮合物が保護基を有する場合、その保護基を除去す
ることによっても製造し得る。
【0008】この反応工程において反応に関与すべきで
ない官能基は、保護基により保護される。アミノ基の保
護基としては、例えばベンジルオキシカルボニル(B
z)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc),p−ビ
フェニルイソプロピロオキシカルボニル、9ーフルオレ
ニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)等が挙げられ
る。カルボキシル基の保護剤としては例えばアルキルエ
ステル、ベンジルエステル等を形成し得る基が挙げられ
るが、固相法の場合は、C末端のカルボキシル基はクロ
ロトリチル樹脂、クロルメチル樹脂、オキシメチル樹
脂、P−アルコキシベンジルアルコール樹脂等の担体に
結合している。縮合反応は、カルボジイミド等の縮合剤
の存在下にあるいはN−保護アミノ酸活性エステルまた
はペプチド活性エステルを用いて実施する。
【0009】縮合反応終了後、保護基は除去されるが、
固相法の場合はさらにペプチドのC末端と樹脂との結合
を切断する。更に、本発明のペプチドは通常の方法に従
い精製される。例えばイオン交換クロマトグラフィー、
逆相液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマト
グラフィー等が挙げられる。合成したペプチドの合成は
エドマン分解法でC−末端からアミノ酸配列を読み取る
プロティンシークエンサー、GC−MS等で分析され
る。
【0010】次に医薬品として用いる場合について説明
する。本発明で使用するペプチドの投与経路としては、
経口投与、非経口投与、直腸内投与のいずれでもよい
が、経口投与が好ましい。本発明のペプチドの投与量は
化合物の種類、投与方法、患者の症状、年齢等により異
なるが、通常1回0.001〜1000mg,好ましく
は0.01〜10mgを一日当たり1〜3回である。本
発明のペプチドは通常、製剤用担体と混合して調製した
製剤の形で投与される。製剤用担体としては、製剤分野
において常用され、かつ本発明のペプチドと反応しない
物質が用いられる。
【0011】具体的には、例えば乳糖、ブドウ糖、マン
ニット、デキストリン、シクロデキストリン、デンプ
ン、蔗糖、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケ
イ酸アルミニウム、カルボキシメチルセルロースナトリ
ウム、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチル
セルロースカルシウム、イオン交換樹脂、メチルセルロ
ース、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセ
ルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ
ビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、軽質無水ケ
イ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、トラガン
ト、ベントナイト、ビーガム、酸化チタン、ソルビタン
脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリ
ン、脂肪酸グリセリンエステル、精製ラノリン、グリセ
ロゼラチン、ポリソルベート、マクロゴール、植物油、
ロウ、流動パラフィン、白色ワセリン、フルオロカーボ
ン、非イオン性界面活性剤、プロピレングルコール、水
等が挙げられる。
【0012】剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒
剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、座剤、軟膏、クリーム
剤、ゲル剤、貼付剤、吸入剤、注射剤等が挙げられる。
これらの製剤は常法に従って調製される。尚、液体製剤
にあっては、用時、水又は他の適当な溶媒に溶解または
懸濁する形であってもよい。また錠剤、顆粒剤は周知の
方法でコーティングしてもよい。注射剤の場合には、本
発明のペプチドを水に溶解させて調製されるが、必要に
応じて生理食塩水あるいはブドウ糖溶液に溶解させても
よく、また緩衝剤や保存剤を添加してもよい。
【0013】これらの製剤は、本発明のペプチドを0.
01%以上、好ましくは0.5〜70%の割合で含有す
ることができる。これらの製剤はまた、治療上価値のあ
る他の成分を含有していてもよい。
【0014】
【実施例】次に実例を挙げて本発明を更に具体的に説明
する。 (ペプチドの合成)市販のFmoc−Phenylal
anine−Wang樹脂(置換率0.50meq/
g)0.60gをPS3型ペプチド合成機(Prote
in Technologies社製)の反応槽に分取
し、以下のように合成を行った。まず、上記の樹脂を反
応容器に入れて、1mmolのFmoc−Proと、活
性化剤として、1mmolのHBTUを10mlの0.
4M N−メチルモルフォリンを含むジメチルフォルム
アミドに溶解したものを反応槽に加え、室温にて20分
攪拌反応させた。
【0015】得られた樹脂を20重量%ピペリジンを含
むジメチルフォルムアミド20ml中で、Fmoc基を
除去し、ついで上記のFmoc−His(Trt)をカ
ップリングさせた方法と同様にC末端から順次Fmoc
−アミノ酸をカップルさせて、Arg(Pmc)−Pr
o−Phe−His(Trt)−Pro−Phe−樹脂
を得た。該樹脂を10mlの脱保護液(82容量%トリ
フルオロ酢酸、5容量%チオアニソール、3容量%エタ
ンジオール、2容量%エチルメチルスルフィド、3容量
%フェノール、5容量%水)中で室温にて4時間攪拌
し、ペプチドを樹脂から遊離させた。
【0016】ここに40mlの冷エーテルを添加し、ペ
プチドを沈殿させ、さらに冷エーテルにて3回洗浄し粗
ペプチドを得た。これをODSカラム(Cosmosi
l5C18−AR,20×250mm)による逆相クロマ
トグラフィーにより0.1重量%トリフルオロ酢酸を含
むアセトニトリルの直線的濃度勾配にて展開、精製し、
Arg−Pro−Phe−His−Pro−Pheを得
た。本品をプロテインシーケンサー(アプライド バイ
オシステムズ社製477A型)により分析した結果、上
記の組成であることが判明した。
【0017】(アンジオテンシン2レセプター結合アッ
セイ)アンジオテンシン2レセプターに対する結合アッ
セイは、副腎膜画分と放射標識した[125I]CGP42
112Aを用いて行った。まず50mMトリス−塩酸緩
衝液(pH7.4)、125mM NaCl、6.5m
M MgCl2 、1mM EDTA、0.2%ウシ血清
アルブミン中にて、50pM[125I]CGP42112
Aと試料およびラット脳膜画分を12℃にて120分間
インキュベートし、氷冷することにより反応を停止し
た。Whatman GF/Fガラスフィルター上にて
0℃の同緩衝液にて洗浄後の放射活性をガンマ−カウン
ターにて計測した。なおフィルターは、予め2mg/m
lのポリエチレンイミンに2時間浸してラベルリガンド
の非特異的吸着を防いだ。
【0018】(アンジオテンシン1レセプター結合アッ
セイ)アンジオテンシン1レセプターに対する結合アッ
セイは、ラット肝臓アンジオテンシン1レセプターと放
射標識した[125I][Sar1 ,Ile8 ]アンジオテ
ンシンIIを用いて行った。まず20mMトリス−塩酸
緩衝液(pH7.5)、100mM NaCl、10m
M MgCl2 、0.2%ウシ血清アルブミン中にて、
50pM[125I][Sar1 ,Ile8 ]アンジオテン
シンIIと試料およびラット肝臓アンジオテンシン1レ
セプターを12℃にて120分間インキュベートし、氷
冷することにより反応を停止した。Whatman G
F/Aガラスフィルター上にて0℃の同緩衝液にて洗浄
後の放射活性をガンマ−カウンターにて計測した。なお
フィルターは、予め2mg/mlのポリエチレンイミン
に2時間浸してラベルリガンドの非特異的吸着を防い
だ。
【0019】上記アッセイにより、ペプチドのアンジオ
テンシン1(AT1)レセプターおよびアンジオテンシ
ン2(AT2)レセプターに対する親和性の評価を行っ
た。その結果を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】当該ペプチド(Arg−Pro−Phe−
His−Pro−Phe)は、Ki=2nMで結合抑制
を示したことから、アンジオテンシン2レセプターに結
合活性を有し、アンジオテンシン1レセプターに対する
親和性は100倍弱かった。よって当該ペプチドはアン
ジオテンシン2レセプターに対して特異的に結合すると
いえる。一方、アンジオテンシンレセプターを介さずに
降圧作用を示すovokininIIIをコントロール
として用いて、レセプター親和性を測定したところ、ア
ンジオテンシン2レセプターに対する親和性は当該ペプ
チドと比較して30倍以上弱かった。
【0022】(血圧変動の測定)15〜20週令の自然
高血圧ラットに、卵黄でエマルジョン化したサンプルを
ゾンデ針を使用して強制経口投与した。そして尾静脈部
の血圧をtail−cuff法により経時的に測定し
た。その結果、当該ペプチド(Arg−Pro−Phe
−His−Pro−Phe)は、自然発症高血圧ラット
(SHR)に対して0.3〜10mg/kgの用量で経
口投与を行うことにより、11〜15mmHgの血圧降
下作用をもたらした。図1に高血圧ラットに1mg/k
gの当該ペプチドを経口投与した際の血圧降下作用の時
間依存性を、図2に当該ペプチドを投与して6時間後の
血圧降下作用の容量依存性を示す。
【0023】
【発明の効果】当該ペプチド(Arg−Pro−Phe
−His−Pro−Phe)は経口投与により自然発症
高血圧ラット(SHR)の血圧を降下させるが、これは
アンジオテンシン2レセプターを介して作用するという
新しい機構によるものであり、正常血圧ラットの血圧は
変化させないことから安全な血圧降下物質である。
【図面の簡単な説明】
【図1】自然発症高血圧ラットに当該ペプチドを経口投
与した際の血圧降下作用の時間依存性を示す図である。
【図2】自然発症高血圧ラットに当該ペプチドを経口投
与した際の血圧降下作用の容量依存性を示す図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年12月3日(1998.12.
3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 新規ペプチド、血圧降下剤および生
理活性物質
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アンジオテンシン
AT2レセプターに対して親和性を持ち、血圧降下剤と
して有用な新規ペプチドおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】わが国における高血圧患者数は3000
万人を超えると言われており、経口投与で有効な安全な
血圧降下物質が求められている。既知の血圧降下物質と
しては交感神経遮断剤、アドレナリンアルファおよびベ
ータブロッカー、カルシウム拮抗剤、利尿剤、アンジオ
テンシン変換酵素阻害剤およびアンジオテンシンAT1
レセプターアンタゴニスト等がある。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】アンジオテンシンレセプターにはサブタイ
プがあり、アンジオテンシンAT1レセプターが血圧上
昇に関与することは古くから知られていたが、ノックア
ウトマウスを用いた実験からアンジオテンシンAT2レ
セプターは血圧降下に関与することが最近解明された。
しかし、アンジオテンシンAT2レセプターを介して作
用する血圧降下物質は未だ見出されていない。
【課題を解決するための手段】
【0004】発明者は、食品中に含まれる生理活性物質
の探索研究を行う中で、卵白を酵素で加水分解した組成
物中に、動脈弛緩作用を持ち、血圧降下作用を有する物
質が含まれることをつきとめ、その物質がArg−Al
a−Asp−His−Pro−Phe(ovokini
nIII)であることを示した(特開平10−3639
4号)。その知見より、上記ペプチドと類似するペプチ
ドにつき、その生理活性を検討してきたところ、Arg
−Pro−Phe−His−Pro−Pheという配列
を有するペプチドが、アンジオテンシンAT2レセプタ
ーに対してのみ親和性を有し、血圧降下作用を有するこ
とを見出した。
【0005】アンジオテンシンAT2レセプターに親和
性をもつペプチドとしてはアンジオテンシンIIおよび
IIIが従来から知られているが、これらは血圧上昇に
関与するアンジオテンシンAT1レセプターに対しても
強力に結合するため血圧降下作用を示し得ない。そこ
で、アンジオテンシンAT1レセプターに対しては親和
性を持たずにアンジオテンシンAT2レセプターに対し
てのみ親和性をもつ物質は、本発明のペプチドが初めて
であり、このような作用機序による血圧降下物質は従来
存在しない。また、その作用機序より、本発明ペプチド
は高血圧者に対しては作用を示すが、正常血圧には影響
を及ぼさない安全な降圧物質である。
【0006】本発明のペプチドは、Arg−Pro−P
he−His−Pro−Pheからなる配列をもつ直鎖
状のペプチドであり、ペプチド合成の常套手段を適用し
て合成することによって製造することができる。上記で
いうArgはアルギニン、Proはプロリン、Pheは
フェニルアラニン、Hisはヒスチジンを示す。かかる
アミノ酸はいずれもL−体である。
【0007】
【実施例】本発明のペプチドは、ペプチド合成法で取得
でき、ペプチド合成に通常用いられる方法、即ち液相法
または固相法でペプチド結合の任意の位置で二分される
2種のフラグメントの一方に相当する反応性カルボキシ
ル基を有する原料と、他方のフラグメントに相当する反
応性アミノ基を有する原料と、他方のフラグメントに相
当する反応性アミノ基を有する原料とを2-(1H-Benzotr
iazole-1-yl)-1,1,3,3-tetramethyluronium hexafluoro
phosphate(HBTU)等の活性エステルを用いた方法、
カルボジイミドを用いた方法等を用いて縮合させ、生成
する縮合物が保護基を有する場合、その保護基を除去す
ることによっても製造し得る。
【0008】この反応工程において反応に関与すべきで
ない官能基は、保護基により保護される。アミノ基の保
護基としては、例えばベンジルオキシカルボニル(B
z)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc),p−ビ
フェニルイソプロピロオキシカルボニル、9ーフルオレ
ニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)等が挙げられ
る。カルボキシル基の保護剤としては例えばアルキルエ
ステル、ベンジルエステル等を形成し得る基が挙げられ
るが、固相法の場合は、C末端のカルボキシル基はクロ
ロトリチル樹脂、クロルメチル樹脂、オキシメチル樹
脂、P−アルコキシベンジルアルコール樹脂等の担体に
結合している。縮合反応は、カルボジイミド等の縮合剤
の存在下にあるいはN−保護アミノ酸活性エステルまた
はペプチド活性エステルを用いて実施する。
【0009】縮合反応終了後、保護基は除去されるが、
固相法の場合はさらにペプチドのC末端と樹脂との結合
を切断する。更に、本発明のペプチドは通常の方法に従
い精製される。例えばイオン交換クロマトグラフィー、
逆相液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマト
グラフィー等が挙げられる。合成したペプチドの合成は
エドマン分解法でC−末端からアミノ酸配列を読み取る
プロティンシークエンサー、GC−MS等で分析され
る。
【0010】次に医薬品として用いる場合について説明
する。本発明で使用するペプチドの投与経路としては、
経口投与、非経口投与、直腸内投与のいずれでもよい
が、経口投与が好ましい。本発明のペプチドの投与量は
化合物の種類、投与方法、患者の症状、年齢等により異
なるが、通常1回0.001〜1000mg,好ましく
は0.01〜10mgを一日当たり1〜3回である。本
発明のペプチドは通常、製剤用担体と混合して調製した
製剤の形で投与される。製剤用担体としては、製剤分野
において常用され、かつ本発明のペプチドと反応しない
物質が用いられる。
【0011】具体的には、例えば乳糖、ブドウ糖、マン
ニット、デキストリン、シクロデキストリン、デンプ
ン、蔗糖、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケ
イ酸アルミニウム、カルボキシメチルセルロースナトリ
ウム、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチル
セルロースカルシウム、イオン交換樹脂、メチルセルロ
ース、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセ
ルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ
ビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、軽質無水ケ
イ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、トラガン
ト、ベントナイト、ビーガム、酸化チタン、ソルビタン
脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリ
ン、脂肪酸グリセリンエステル、精製ラノリン、グリセ
ロゼラチン、ポリソルベート、マクロゴール、植物油、
ロウ、流動パラフィン、白色ワセリン、フルオロカーボ
ン、非イオン性界面活性剤、プロピレングルコール、水
等が挙げられる。
【0012】剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒
剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、座剤、軟膏、クリーム
剤、ゲル剤、貼付剤、吸入剤、注射剤等が挙げられる。
これらの製剤は常法に従って調製される。尚、液体製剤
にあっては、用時、水又は他の適当な溶媒に溶解または
懸濁する形であってもよい。また錠剤、顆粒剤は周知の
方法でコーティングしてもよい。注射剤の場合には、本
発明のペプチドを水に溶解させて調製されるが、必要に
応じて生理食塩水あるいはブドウ糖溶液に溶解させても
よく、また緩衝剤や保存剤を添加してもよい。
【0013】これらの製剤は、本発明のペプチドを0.
01%以上、好ましくは0.5〜70%の割合で含有す
ることができる。これらの製剤はまた、治療上価値のあ
る他の成分を含有していてもよい。
【0014】
【実施例】次に実例を挙げて本発明を更に具体的に説明
する。 (ペプチドの合成)市販のFmoc−Phenylal
anine−Wang樹脂(置換率0.50meq/
g)0.60gをPS3型ペプチド合成機(Prote
in Technologies社製)の反応槽に分取
し、以下のように合成を行った。まず、上記の樹脂を反
応容器に入れて、1mmolのFmoc−Proと、活
性化剤として、1mmolのHBTUを10mlの0.
4M N−メチルモルフォリンを含むジメチルフォルム
アミドに溶解したものを反応槽に加え、室温にて20分
攪拌反応させた。
【0015】得られた樹脂を20重量%ピペリジンを含
むジメチルフォルムアミド20ml中で、Fmoc基を
除去し、ついで上記のFmoc−His(Trt)をカ
ップリングさせた方法と同様にC末端から順次Fmoc
−アミノ酸をカップルさせて、Arg(Pmc)−Pr
o−Phe−His(Trt)−Pro−Phe−樹脂
を得た。該樹脂を10mlの脱保護液(82容量%トリ
フルオロ酢酸、5容量%チオアニソール、3容量%エタ
ンジオール、2容量%エチルメチルスルフィド、3容量
%フェノール、5容量%水)中で室温にて4時間攪拌
し、ペプチドを樹脂から遊離させた。
【0016】ここに40mlの冷エーテルを添加し、ペ
プチドを沈殿させ、さらに冷エーテルにて3回洗浄し粗
ペプチドを得た。これをODSカラム(Cosmosi
l5C18−AR,20×250mm)による逆相クロマ
トグラフィーにより0.1重量%トリフルオロ酢酸を含
むアセトニトリルの直線的濃度勾配にて展開、精製し、
Arg−Pro−Phe−His−Pro−Pheを得
た。本品をプロテインシーケンサー(アプライド バイ
オシステムズ社製477A型)により分析した結果、上
記の組成であることが判明した。
【0017】(アンジオテンシンAT2レセプター結合
アッセイ)アンジオテンシンAT2レセプターに対する
結合アッセイは、副腎膜画分と放射標識した[125I]C
GP42112Aを用いて行った。まず50mMトリス
−塩酸緩衝液(pH7.4)、125mM NaCl、
6.5mM MgCl2 、1mM EDTA、0.2%
ウシ血清アルブミン中にて、50pM[125I]CGP4
2112Aと試料およびラット脳膜画分を12℃にて1
20分間インキュベートし、氷冷することにより反応を
停止した。Whatman GF/Fガラスフィルター
上にて0℃の同緩衝液にて洗浄後の放射活性をガンマ−
カウンターにて計測した。なおフィルターは、予め2m
g/mlのポリエチレンイミンに2時間浸してラベルリ
ガンドの非特異的吸着を防いだ。
【0018】(アンジオテンシンAT1レセプター結合
アッセイ)アンジオテンシンAT1レセプターに対する
結合アッセイは、ラット肝臓アンジオテンシンAT1レ
セプターと放射標識した[125I][Sar1 ,Il
8 ]アンジオテンシンIIを用いて行った。まず20
mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)、100mM
NaCl、10mM MgCl2 、0.2%ウシ血清ア
ルブミン中にて、50pM[125I][Sar1 ,Ile
8 ]アンジオテンシンIIと試料およびラット肝臓アン
ジオテンシンAT1レセプターを12℃にて120分間
インキュベートし、氷冷することにより反応を停止し
た。WhatmanGF/Aガラスフィルター上にて0
℃の同緩衝液にて洗浄後の放射活性をガンマ−カウンタ
ーにて計測した。なおフィルターは、予め2mg/ml
のポリエチレンイミンに2時間浸してラベルリガンドの
非特異的吸着を防いだ。
【0019】上記アッセイにより、ペプチドのアンジオ
テンシンAT1レセプターおよびアンジオテンシンAT
2レセプターに対する親和性の評価を行った。その結果
を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】当該ペプチド(Arg−Pro−Phe−
His−Pro−Phe)は、Ki=2nMで結合抑制
を示したことから、アンジオテンシンAT2レセプター
に結合活性を有し、アンジオテンシンAT1レセプター
に対する親和性は100倍弱かった。よって当該ペプチ
ドはアンジオテンシンAT2レセプターに対して特異的
に結合するといえる。一方、アンジオテンシンレセプタ
ーを介さずに降圧作用を示すovokininIIIを
コントロールとして用いて、レセプター親和性を測定し
たところ、アンジオテンシンAT2レセプターに対する
親和性は当該ペプチドと比較して30倍以上弱かった。
【0022】(血圧変動の測定)15〜20週令の自然
高血圧ラットに、卵黄でエマルジョン化したサンプルを
ゾンデ針を使用して強制経口投与した。そして尾静脈部
の血圧をtail−cuff法により経時的に測定し
た。その結果、当該ペプチド(Arg−Pro−Phe
−His−Pro−Phe)は、自然発症高血圧ラット
(SHR)に対して0.3〜10mg/kgの用量で経
口投与を行うことにより、11〜15mmHgの血圧降
下作用をもたらした。図1に高血圧ラットに1mg/k
gの当該ペプチドを経口投与した際の血圧降下作用の時
間依存性を、図2に当該ペプチドを投与して6時間後の
血圧降下作用の容量依存性を示す。
【0023】
【発明の効果】当該ペプチド(Arg−Pro−Phe
−His−Pro−Phe)は経口投与により自然発症
高血圧ラット(SHR)の血圧を降下させるが、これは
アンジオテンシンAT2レセプターを介して作用すると
いう新しい機構によるものであり、正常血圧ラットの血
圧は変化させないことから安全な血圧降下物質である。
【図面の簡単な説明】
【図1】自然発症高血圧ラットに当該ペプチドを経口投
与した際の血圧降下作用の時間依存性を示す図である。
【図2】自然発症高血圧ラットに当該ペプチドを経口投
与した際の血圧降下作用の容量依存性を示す図である。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年10月8日(1999.10.
8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 新規ペプチド、血圧降下剤および生
理活性物質
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アンジオテンシン
2(AT2)レセプターに対して親和性を持ち、血圧降
下剤として有用な新規ペプチドおよびその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】わが国における高血圧患者数は3000
万人を超えると言われており、経口投与で有効な安全な
血圧降下物質が求められている。既知の血圧降下物質と
しては交感神経遮断剤、アドレナリンアルファおよびベ
ータブロッカー、カルシウム拮抗剤、利尿剤、アンジオ
テンシン変換酵素阻害剤およびアンジオテンシン1(A
T1)レセプターアンタゴニスト等がある。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】アンジオテンシンレセプターにはサブタイ
プがあり、アンジオテンシン1(AT1)レセプターが
血圧上昇に関与することは古くから知られていたが、ノ
ックアウトマウスを用いた実験からアンジオテンシン2
(AT2)レセプターは血圧降下に関与することが最近
解明された。しかし、アンジオテンシン2(AT2)レ
セプターを介して作用する血圧降下物質は未だ見出され
ていない。
【課題を解決するための手段】
【0004】発明者は、食品中に含まれる生理活性物質
の探索研究を行う中で、卵白を酵素で加水分解した組成
物中に、動脈弛緩作用を持ち、血圧降下作用を有する物
質が含まれることをつきとめ、その物質がArg−Al
a−Asp−His−Pro−Phe(ovokini
nIII)であることを示した(特開平10−3639
4号)。その知見より、上記ペプチドと類似するペプチ
ドにつき、その生理活性を検討してきたところ、Arg
−Pro−Phe−His−Pro−Pheという配列
を有するペプチドが、アンジオテンシン2(AT2)レ
セプターに対してのみ親和性を有し、血圧降下作用を有
することを見出した。
【0005】アンジオテンシン2(AT2)レセプター
に親和性をもつペプチドとしてはアンジオテンシンII
およびIIIが従来から知られているが、これらは血圧
上昇に関与するアンジオテンシン1(AT1)レセプタ
ーに対しても強力に結合するため血圧降下作用を示し得
ない。そこで、アンジオテンシン1(AT1)レセプタ
ーに対しては親和性を持たずにアンジオテンシン2(A
T2)レセプターに対してのみ親和性をもつ物質は、本
発明のペプチドが初めてであり、このような作用機序に
よる血圧降下物質は従来存在しない。また、その作用機
序より、本発明ペプチドは高血圧者に対しては作用を示
すが、正常血圧には影響を及ぼさない安全な降圧物質で
ある。
【0006】本発明のペプチドは、Arg−Pro−P
he−His−Pro−Pheで表される配列をもつ直
鎖状のペプチドであり、ペプチド合成の常套手段を適用
して合成することによって製造することができる。上記
でいうArgはアルギニン、Proはプロリン、Phe
はフェニルアラニン、Hisはヒスチジンを示す。かか
るアミノ酸はいずれもL−体である。
【0007】
【実施例】本発明のペプチドは、ペプチド合成法で取得
でき、ペプチド合成に通常用いられる方法、即ち液相法
または固相法でペプチド結合の任意の位置で二分される
2種のフラグメントの一方に相当する反応性カルボキシ
ル基を有する原料と、他方のフラグメントに相当する反
応性アミノ基を有する原料と、他方のフラグメントに相
当する反応性アミノ基を有する原料とを2-(1H-Benzotr
iazole-1-yl)-1,1,3,3-tetramethyluronium hexafluoro
phosphate(HBTU)等の活性エステルを用いた方法、
カルボジイミドを用いた方法等を用いて縮合させ、生成
する縮合物が保護基を有する場合、その保護基を除去す
ることによっても製造し得る。
【0008】この反応工程において反応に関与すべきで
ない官能基は、保護基により保護される。アミノ基の保
護基としては、例えばベンジルオキシカルボニル(B
z)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc),p−ビ
フェニルイソプロピロオキシカルボニル、9ーフルオレ
ニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)等が挙げられ
る。カルボキシル基の保護剤としては例えばアルキルエ
ステル、ベンジルエステル等を形成し得る基が挙げられ
るが、固相法の場合は、C末端のカルボキシル基はクロ
ロトリチル樹脂、クロルメチル樹脂、オキシメチル樹
脂、P−アルコキシベンジルアルコール樹脂等の担体に
結合している。縮合反応は、カルボジイミド等の縮合剤
の存在下にあるいはN−保護アミノ酸活性エステルまた
はペプチド活性エステルを用いて実施する。
【0009】縮合反応終了後、保護基は除去されるが、
固相法の場合はさらにペプチドのC末端と樹脂との結合
を切断する。更に、本発明のペプチドは通常の方法に従
い精製される。例えばイオン交換クロマトグラフィー、
逆相液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマト
グラフィー等が挙げられる。合成したペプチドの合成は
エドマン分解法でC−末端からアミノ酸配列を読み取る
プロティンシークエンサー、GC−MS等で分析され
る。
【0010】次に医薬品として用いる場合について説明
する。本発明で使用するペプチドの投与経路としては、
経口投与、非経口投与、直腸内投与のいずれでもよい
が、経口投与が好ましい。本発明のペプチドの投与量は
化合物の種類、投与方法、患者の症状、年齢等により異
なるが、通常1回0.001〜1000mg,好ましく
は0.01〜10mgを一日当たり1〜3回である。本
発明のペプチドは通常、製剤用担体と混合して調製した
製剤の形で投与される。製剤用担体としては、製剤分野
において常用され、かつ本発明のペプチドと反応しない
物質が用いられる。
【0011】具体的には、例えば乳糖、ブドウ糖、マン
ニット、デキストリン、シクロデキストリン、デンプ
ン、蔗糖、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケ
イ酸アルミニウム、カルボキシメチルセルロースナトリ
ウム、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチル
セルロースカルシウム、イオン交換樹脂、メチルセルロ
ース、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセ
ルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ
ビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、軽質無水ケ
イ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、トラガン
ト、ベントナイト、ビーガム、酸化チタン、ソルビタン
脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリ
ン、脂肪酸グリセリンエステル、精製ラノリン、グリセ
ロゼラチン、ポリソルベート、マクロゴール、植物油、
ロウ、流動パラフィン、白色ワセリン、フルオロカーボ
ン、非イオン性界面活性剤、プロピレングルコール、水
等が挙げられる。
【0012】剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒
剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、座剤、軟膏、クリーム
剤、ゲル剤、貼付剤、吸入剤、注射剤等が挙げられる。
これらの製剤は常法に従って調製される。尚、液体製剤
にあっては、用時、水又は他の適当な溶媒に溶解または
懸濁する形であってもよい。また錠剤、顆粒剤は周知の
方法でコーティングしてもよい。注射剤の場合には、本
発明のペプチドを水に溶解させて調製されるが、必要に
応じて生理食塩水あるいはブドウ糖溶液に溶解させても
よく、また緩衝剤や保存剤を添加してもよい。
【0013】これらの製剤は、本発明のペプチドを0.
01%以上、好ましくは0.5〜70%の割合で含有す
ることができる。これらの製剤はまた、治療上価値のあ
る他の成分を含有していてもよい。
【0014】
【実施例】次に実例を挙げて本発明を更に具体的に説明
する。 (ペプチドの合成)市販のFmoc−Phenylal
anine−Wang樹脂(置換率0.50meq/
g)0.60gをPS3型ペプチド合成機(Prote
in Technologies社製)の反応槽に分取
し、以下のように合成を行った。まず、上記の樹脂を反
応容器に入れて、1mmolのFmoc−Proと、活
性化剤として、1mmolのHBTUを10mlの0.
4M N−メチルモルフォリンを含むジメチルフォルム
アミドに溶解したものを反応槽に加え、室温にて20分
攪拌反応させた。
【0015】得られた樹脂を20重量%ピペリジンを含
むジメチルフォルムアミド20ml中で、Fmoc基を
除去し、ついで上記のFmoc−His(Trt)をカ
ップリングさせた方法と同様にC末端から順次Fmoc
−アミノ酸をカップルさせて、Arg(Pmc)−Pr
o−Phe−His(Trt)−Pro−Phe−樹脂
を得た。該樹脂を10mlの脱保護液(82容量%トリ
フルオロ酢酸、5容量%チオアニソール、3容量%エタ
ンジオール、2容量%エチルメチルスルフィド、3容量
%フェノール、5容量%水)中で室温にて4時間攪拌
し、ペプチドを樹脂から遊離させた。
【0016】ここに40mlの冷エーテルを添加し、ペ
プチドを沈殿させ、さらに冷エーテルにて3回洗浄し粗
ペプチドを得た。これをODSカラム(Cosmosi
l5C18−AR,20×250mm)による逆相クロマ
トグラフィーにより0.1重量%トリフルオロ酢酸を含
むアセトニトリルの直線的濃度勾配にて展開、精製し、
Arg−Pro−Phe−His−Pro−Pheを得
た。本品をプロテインシーケンサー(アプライド バイ
オシステムズ社製477A型)により分析した結果、上
記の組成であることが判明した。
【0017】(アンジオテンシン2(AT2)レセプタ
ー結合アッセイ)アンジオテンシン2(AT2)レセプ
ターに対する結合アッセイは、副腎膜画分と放射標識し
た[125I]CGP42112Aを用いて行った。まず5
0mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)、125mM
NaCl、6.5mM MgCl2 、1mM EDT
A、0.2%ウシ血清アルブミン中にて、50pM[
125I]CGP42112Aと試料およびラット脳膜画分
を12℃にて120分間インキュベートし、氷冷するこ
とにより反応を停止した。Whatman GF/Fガ
ラスフィルター上にて0℃の同緩衝液にて洗浄後の放射
活性をガンマ−カウンターにて計測した。なおフィルタ
ーは、予め2mg/mlのポリエチレンイミンに2時間
浸してラベルリガンドの非特異的吸着を防いだ。
【0018】(アンジオテンシン1(AT1)レセプタ
ー結合アッセイ)アンジオテンシン1(AT1)レセプ
ターに対する結合アッセイは、ラット肝臓アンジオテン
シン1(AT1)レセプターと放射標識した[125I]
[Sar1,Ile8 ]アンジオテンシンIIを用いて
行った。まず20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.
5)、100mM NaCl、10mM MgCl2
0.2%ウシ血清アルブミン中にて、50pM[125I]
[Sar1 ,Ile8 ]アンジオテンシンIIと試料お
よびラット肝臓アンジオテンシン1(AT1)レセプタ
ーを12℃にて120分間インキュベートし、氷冷する
ことにより反応を停止した。Whatman GF/A
ガラスフィルター上にて0℃の同緩衝液にて洗浄後の放
射活性をガンマ−カウンターにて計測した。なおフィル
ターは、予め2mg/mlのポリエチレンイミンに2時
間浸してラベルリガンドの非特異的吸着を防いだ。
【0019】上記アッセイにより、ペプチドのアンジオ
テンシン1(AT1)レセプターおよびアンジオテンシ
ン2(AT2)レセプターに対する親和性の評価を行っ
た。その結果を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】当該ペプチド(Arg−Pro−Phe−
His−Pro−Phe)は、Ki=2nMで結合抑制
を示したことから、アンジオテンシン2(AT2)レセ
プターに結合活性を有し、アンジオテンシン1(AT
1)レセプターに対する親和性は100倍弱かった。よ
って当該ペプチドはアンジオテンシン2(AT2)レセ
プターに対して特異的に結合するといえる。一方、アン
ジオテンシンレセプターを介さずに降圧作用を示すov
okininIIIをコントロールとして用いて、レセ
プター親和性を測定したところ、アンジオテンシン2
(AT2)レセプターに対する親和性は当該ペプチドと
比較して30倍以上弱かった。
【0022】(血圧変動の測定)15〜20週令の自然
高血圧ラットに、卵黄でエマルジョン化したサンプルを
ゾンデ針を使用して強制経口投与した。そして尾静脈部
の血圧をtail−cuff法により経時的に測定し
た。その結果、当該ペプチド(Arg−Pro−Phe
−His−Pro−Phe)は、自然発症高血圧ラット
(SHR)に対して0.3〜10mg/kgの用量で経
口投与を行うことにより、11〜15mmHgの血圧降
下作用をもたらした。図1に高血圧ラットに1mg/k
gの当該ペプチドを経口投与した際の血圧降下作用の時
間依存性を、図2に当該ペプチドを投与して6時間後の
血圧降下作用の容量依存性を示す。
【0023】
【発明の効果】当該ペプチド(Arg−Pro−Phe
−His−Pro−Phe)は経口投与により自然発症
高血圧ラット(SHR)の血圧を降下させるが、これは
アンジオテンシン2(AT2)レセプターを介して作用
するという新しい機構によるものであり、正常血圧ラッ
トの血圧は変化させないことから安全な血圧降下物質で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 自然発症高血圧ラットに当該ペプチドを経口
投与した際の血圧降下作用の時間依存性を示す図であ
る。
【図2】 自然発症高血圧ラットに当該ペプチドを経口
投与した際の血圧降下作用の容量依存性を示す図であ
る。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Arg−Pro−Phe−His−Pr
    o−Pheからなる新規ペプチド。
  2. 【請求項2】 血圧降下作用を有する、請求項1記載の
    新規ペプチド。
  3. 【請求項3】 アンジオテンシン2レセプターに対して
    親和性を持ち、アンジオテンシン1レセプターに対して
    親和性を持たない、請求項1記載の新規ペプチド。
  4. 【請求項4】 Arg−Pro−Phe−His−Pr
    o−Pheからなるペプチドを活性成分として、血圧降
    下剤として有効量含有することを特徴とする血圧降下
    剤。
  5. 【請求項5】 Arg−Pro−Phe−His−Pr
    o−Pheからなるペプチドであり、アンジオテンシン
    2レセプターに作用する生理活性物質。
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WO2005082395A1 (ja) * 2004-03-02 2005-09-09 Kyoto University 新規な育毛剤、抗脱毛症剤

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005082395A1 (ja) * 2004-03-02 2005-09-09 Kyoto University 新規な育毛剤、抗脱毛症剤
JPWO2005082395A1 (ja) * 2004-03-02 2008-01-17 国立大学法人京都大学 新規な育毛剤、抗脱毛症剤

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