JPWO2005040645A1 - 3ピース組合せオイルリング - Google Patents
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Abstract
軸方向上下一対のサイドレール222と、その間に組み合わされ、サイドレール222の内周側から押圧しサイドレール222に張力を発生させるスペーサエキスパンダ224とを含む3ピースから構成される3ピース組合せオイルリングである。少なくともサイドレール内周面と接触するオーステナイト系ステンレス製スペーサエキスパンダ耳部に、470℃以上の温度でガス窒化処理を施して、厚さ10〜60μmであり、かつ、Cu−KαX線回折において2θ=40°及び2θ=46°にピークを持つ相を含むガス窒化層を形成し、且つ/又は、スペーサエキスパンダ(7)の少なくともサイドレール側面と対向する表面又は少なくともサイドレール(5,6)のスペーサエキスパンダ(7)と対向する表面に樹脂皮膜(31)を被覆する。
Description
本発明は、内燃機関のピストンに装着され、オイルコントロールを行う3ピース組合せオイルリングに関する。
地球環境保護の一貫として、自動車の燃費向上や排気ガス浄化が強く求められている。そのため内燃機関各部の摩擦力(フリクション)低減やエンジンオイル消費量の低減は重要な課題となっており、これらの課題を解決するうえでピストンリングの果たす役割は大きい。ピストンリングの設計においては、摩擦力低減のためのピストンリングの低張力化(オイルリングの張力は10〜20Nというレベルまで低張力化することが試みられている。)やオイル消費改善のためのピストンリングの薄幅化が注目されている。薄幅化は、ピストンリングの断面係数を小さくし、シリンダ壁への追従性を向上させることによりオイル消費を改善する。
内燃機関における一般的なピストンリングの断面構成を第6図に示す。ピストン100には、ピストンリングを装着するためのリング溝110,120,130が形成され、これらのリング溝内に、ガスシール作用を主目的とする2本の圧力リング200,210と、オイルコントロール及びオイルシール作用を主目的とする1組の組合せオイルリング220が装着される。ピストン100の往復動に伴い、これらリングの外周摺動面がシリンダ300の内壁と摺動される。
同図に示す組合せオイルリングは、軸方向上下一対のサイドレール222と、その間に組み合わされ、サイドレール222の内周側から押圧しサイドレール222に張力を発生させるスペーサエキスパンダ224とを含む3ピースから構成される。
同図に示す組合せオイルリングは、軸方向上下一対のサイドレール222と、その間に組み合わされ、サイドレール222の内周側から押圧しサイドレール222に張力を発生させるスペーサエキスパンダ224とを含む3ピースから構成される。
スペーサエキスパンダには、同図に示す軸方向波形形状の他に第7図に示す半径方向波形形状のもの224もあるが、サイドレール222を支持し、張力を発生させる構造は基本的に同じである。
サイドレール222(第6図)は、サイドレールを押圧するスペーサエキスパンダ224の耳部(サイドレール押圧片)224aの角度により、シリンダ壁面に向かう半径方向及びリング溝上下面に向かう軸方向に分力をもって押圧される。よって、サイドレール222はシリンダ壁面及びリング溝上下面においてシール機能を発揮するため、特に薄幅化された3ピース組合せオイルリングはオイル消費の低減が図れる構造として広く用いられ始めている。
しかし、この種の3ピース組合せオイルリングは、シリンダ壁面と摺動するサイドレール外周面222a、並びに、相互に接触しあうサイドレール内周面222b及びスペーサエキスパンダの耳部224aの何れか一つが摩耗すると、スペーサエキスパンダがサイドレールを押圧する力が減少するので、オイル掻き機能が低下する。多くの場合、耳部(224a)の摩耗がサイドレールの内周面(222b)の摩耗より大きい。最近の低張力化の傾向にあっては、耳部(224a)の摩耗によるオイル掻き機能の低下がオイル消費の増大に繋がる。
サイドレール222(第6図)は、サイドレールを押圧するスペーサエキスパンダ224の耳部(サイドレール押圧片)224aの角度により、シリンダ壁面に向かう半径方向及びリング溝上下面に向かう軸方向に分力をもって押圧される。よって、サイドレール222はシリンダ壁面及びリング溝上下面においてシール機能を発揮するため、特に薄幅化された3ピース組合せオイルリングはオイル消費の低減が図れる構造として広く用いられ始めている。
しかし、この種の3ピース組合せオイルリングは、シリンダ壁面と摺動するサイドレール外周面222a、並びに、相互に接触しあうサイドレール内周面222b及びスペーサエキスパンダの耳部224aの何れか一つが摩耗すると、スペーサエキスパンダがサイドレールを押圧する力が減少するので、オイル掻き機能が低下する。多くの場合、耳部(224a)の摩耗がサイドレールの内周面(222b)の摩耗より大きい。最近の低張力化の傾向にあっては、耳部(224a)の摩耗によるオイル掻き機能の低下がオイル消費の増大に繋がる。
一般に、サイドレール外周面とシリンダ壁面との間には潤滑オイルの油膜が存在するが、サイドレール内周面とスペーサエキスパンダ耳部とは、その間に十分な油膜の存在しないいわゆる境界潤滑条件で、また摺動という観点でも摺動速度がほとんどゼロという厳しい摩耗環境におかれている。
また、潤滑オイルが燃料とともに燃焼すると、カーボン系燃焼生成物が生成され、潤滑オイルに混ざってエンジンブロック内を循環する。オイルリングは複雑な形状であるため、これらの燃焼生成物はオイルリングに付着しやすく、一旦付着した燃焼生成物はその部分のオイルの流れを阻害するためさらに堆積していくという悪循環が生じる。オイルリング付近は100〜150℃の温度環境でもあり、ひどい場合には、ピストンとの固着(スティック)が生じることになる。固着対策としては、ピストンのオイルリング溝の軸方向幅とオイルリング幅との差であるリング溝のクリアランスを大きくすることが有効であるが、クリアランスを大きくすることは、ピストンの上下動に伴いサイドレールがピストン溝の中で上下に振動する幅が大きくなることから、溝摩耗の発生やシール機能の低下、さらには振動音問題を引き起こす。よって、クリアランスの拡大には限界がある。
オイルリングの摩耗対策としては、一般に、サイドレールにはマルテンサイト系ステンレス鋼を用いて、ガス窒化やイオン窒化処理が施され、スペーサエキスパンダには軟窒化処理されたオーステナイト系ステンレス鋼が用いられている。特開昭56−66429号公報(特許文献1)、特開昭56−66430号公報(特許文献2)、特開昭57−206752号公報(特許文献3)、特開昭58−5456号公報(特許文献4)、特開昭60−116844号公報(特許文献5)、特開平5−33866号公報(特許文献6)、特開平6−235461号公報(特許文献7)は、スペーサエキスパンダに軟窒化又はガス窒化が施される例を開示している。トライボロジストVol.44,No.3(1999)第19頁(非特許文献1)にはサイドレールにガス窒化を施す例が記述されている。
スペーサエキスパンダに用いられるオーステナイト系ステンレス鋼の窒化は、緻密な表面の不働態膜を先ず還元しなければ窒化されない点と、オーステナイト鉄の面心立方格子(fcc)構造に起因する極めて遅い窒化速度が実務上の課題となっている。オーステナイト系ステンレス鋼の窒化層組織については、窒化クロム、窒化鉄が主たる構成成分であることは古くから知られていたが、1970年代以降の研究により次の知見が得られている。市井一男、藤村侯夫、高瀬孝夫「イオン窒化処理した18−8ステンレス鋼の表面層組織と耐食性および硬さ」:熱処理25巻4号(8),191〜195頁,1985(非特許文献2)に報告しているように、400℃,4時間,N2:H2=1:9の条件でイオン窒化すると、酸に対する耐食性に優れる(Fe,Cr,Ni,…)4N相(市井らはS相と名付けた。)が形成される。この相は、Cu−KαX線回折によれば、2θ=40°及び2θ=46°にピークを持つ。また、寺門一佳が「低温窒化プロセスと新機能性」:表面技術協会第105回講演大会要旨集、391〜394頁(2002.2.8受理)(非特許文献3)に、AISI304,316,321について窒化温度と窒化時間に対して上記S相の存在とCrNが析出する境界条件を求めた結果を紹介しているが、AISI304においては、450℃以下の窒化温度条件でないとS相が存在し得ないことが読みとれる。一方、ガス窒化についても、源馬國恭「オーステナイト系ステンレス鋼のガス窒化および窒化層成長促進機構」:表面技術54巻3号,193〜199頁,2003(非特許文献4)に解説しているように、415℃や420℃の低温でのNH3窒化でS相が観察された従来例が存在するのみである。
特開昭56−66429号公報 特開昭56−66430号公報 特開昭57−206752号公報 特開昭58−5456号公報 特開昭60−116844号公報 特開平5−33866号公報 特開平6−235461号公報 トライボロジストVol.44,No.3(1999)第19頁 市井一男、藤村侯夫、高瀬孝夫「イオン窒化処理した18−8ステンレス鋼の表面層組織と耐食性および硬さ」:熱処理25巻4号(8),191〜195頁,1985。 寺門一佳「低温窒化プロセスと新機能性」:表面技術協会第105回講演大会要旨集、391〜394頁(2002.2.8受理)。 源馬國恭「オーステナイト系ステンレス鋼のガス窒化および窒化層成長促進機構」:表面技術54巻3号,193〜199頁,2003。
スペーサエキスパンダで、一般的に採用されている550〜600℃,1時間程度保持されて行われる塩浴窒化やガス窒化では、窒化層はCrN相,Fe4 N相(γ′相とも呼ばれる),及びその他の相から構成され、冒頭で述べたピストンリング使用環境では、耐食性と耐摩耗性に劣るものであった。そのため、ガソリンエンジンにおいても、有鉛ガソリンを使用する場合又はガソリンにイオウが数百(300〜500)PPM含有される場合において、腐食摩耗は特に顕著である。このような場合、窒化されたスペーサエキスパンダでは耳部(224a,第6図)の腐食摩耗が進み、張力の低下をきたし、オイル消費量が増加する。また微細で硬質の燃焼生成物の粒子がサイドレール内周面(226b,第6図)とスペーサエキスパンダ耳部(224a,第6図)の接触面に介在し、耳部の摩耗を急激に増加させる場合もある。さらに、近年の燃費向上手段としての直噴方式をガソリンエンジンに適用した場合には、ガソリンが潤滑オイルに混ざりやすいため潤滑条件がより厳しくなる。
また、前述したようにオイルリングの薄幅化は、シリンダ壁への追従性を向上させることによりオイル消費を改善するが、オイルリングに堆積される微細な燃焼生成物等の異物が排出され難くなり、サイドレール内周面とスペーサエキスパンダ耳部間の接触面摩耗を急激に増加させるだけでなく、スペーサエキスパンダとスペーサエキスパンダに支持されるサイドレールとの間に堆積物の固着し、スペーサエキスパンダによるサイドレールへの張力伝達を阻害するいわゆる「スティック現象」を起こし、オイル掻き機能を低下させてしまう。また、サイドレールに掻き落とされた余剰の潤滑オイルは、スペーサエキスパンダの各ピッチの隙間(窓部)を通過し、ピストンのリング溝に設けられた貫通穴部を経て、ピストン内部に排出され、循環する。サイドレールとスペーサエキスパンダに堆積物が増加してくると、この潤滑オイルの循環通路も狭くなり、結果としてオイル消費が増加してしまう。
以上のように、燃費向上のため低張力化したオイルリングにおいては、スペーサエキスパンダの耳部に軟窒化又はガス窒化によりCrN相、Fe4N(γ′)相を主とする窒化層を設けても、(a)耳部の摩耗により張力が低下してしまい、多様なエンジン仕様や使用環境下においてオイル掻き機能の十分な寿命保証ができない問題があった。またスペーサエキスパンダとサイドレールに堆積物が固着することで、(b)張力がサイドレールに伝達されずにオイルシール機能を低下させることでのオイル消費の増加と、(c)堆積物がオイル循環の通路を遮断してしまうことでのオイル消費の増加の問題があった。
そこで、本発明の第1の目的は、サイドレール内周面と接触するスペーサエキスパンダ耳部の耐摩耗性を改善し、張力減退の起こらない低張力3ピース組合せオイルリングを提供することとする(上記(a)参照)。
また、本発明の第2の目的は、サイドレールとスペーサエキスパンダの表面に燃焼生成物などを堆積・固着させないようにすることによりスティックによるオイルシール機能の低下を起こさず、且つ、サイドレールによってシリンダ壁から掻き落とされた余剰の潤滑オイルの通路を確保することによりオイルコントロール機能の高い低張力3ピース組合せオイルリングを提供することとする(上記(b),(c)参照)。
さらに、本発明の第3の目的は、上記の第1及び第2の目的を同時に達成し、オイルコントロール機能が高く、多様な仕様のエンジン及び多様な潤滑油や燃料の使用環境下においても耐久性に優れ、オイル消費の少ない低張力3ピース組合せオイルリングを提供することとする。
従来いわゆるS相は約703K(430℃)の高温までは安定に存在せず、高温では窒化物に変態し、その結果オーステナイト系ステンレスの耐食性は劣化すると考えられていた(前掲源馬「表面処理技術」第21頁)。本発明者らは、SUS304製のスペーサエキスパンダに570℃、30分の塩浴窒化及びガス窒化を施し、窒化層を構成する相の同定を行った。その際、ガス窒化において570℃という高温にもかかわらず、市井らや寺門が報告しているS相なる(Fe,Cr,Ni,…)4N相が形成されるという注目すべき事実と、その相を形成させたスペーサエキスパンダは実用面で優れた耐摩耗性を発揮することを発見した。すなわち、(Fe,Cr,Ni,…)4N相は、塩浴窒化では形成されないが、ガス窒化においては570℃という高温においても形成されるということを発見した。この理由について、本発明者らは、Fe3CのほうがFe4Nよりも標準生成自由エネルギーが低いため、窒化雰囲気中にカーボンと窒素の共存する環境においては、例えば、塩浴窒化に使用されるシアン化塩(NaCN)又はシアン酸塩(NaCNO)はカーボン源として作用し、被処理材中でのFe4Nの生成が阻害されるためと考えた。なお、Fe4Nは(Fe,Cr,Ni,…)4N相生成において一種の核のような寄与をすると考えられる。
よって、本発明の第1の目的に係るオイルリングは、スペーサエキスパンダとスペーサエキスパンダに支持される一対のサイドレールからなる組合せオイルリングにおいて、少なくともサイドレール内周面と接触するオーステナイト系ステンレス製スペーサエキスパンダ耳部に、470℃以上の温度でガス窒化処理を施して、厚さ10〜60μmでありかつ、Cu−KαX線回折において2θ=40°及び2θ=46°にピークを持つ相を含むガス窒化層を形成したことを特徴とする。
本発明において、ガス窒化とは、シアン化塩(NaCN)やシアン酸塩(NaCNO)のようなカーボン源を有するガスを使用せず、NH3を含むあるいはこれからなるガスを使用して470℃以上で行なう窒化処理である。NH3の残部は、H2,N2などである。本発明のガス窒化処理では、塩浴窒化と異なり(Fe,Cr,Ni,…)4N相が生成される。(Fe,Cr,Ni,…)4N相は、Crを固溶するため酸に対する耐食性に優れるが、窒化処理中に、時間の経過とともに分解反応によって該(Fe,Cr,Ni,…)4N相中にCrN相が析出するため基地中のCrが減少して基地の耐食性が低下する。従って、高温で長時間の窒化処理を行うと、耐食性に優れた(Fe,Cr,Ni,…)4N相は消失し、CrN相が析出したことにより耐食性が低下するので、(Fe,Cr,Ni,…)4N相が残存する窒化処理条件で処理しなければならない。本発明は窒化層中にCu−KαX線回折において2θ=40°及び2θ=46°にピークを持つ(Fe,Cr,Ni,…)4N相が存在することを要件とするが、腐食環境下では、窒化層中に少なくとも30体積%以上の該(Fe,Cr,Ni,…)4N相が含まれることが好ましい。本発明者らの実験では、470℃以上、10分以上のガス窒化処理とする。所定の窒化層の厚さが得られる範囲内で、該(Fe,Cr,Ni,…)4N相の消失を考慮すれば、温度の高いほど短時間で処理しなければならず、よって、工程管理上は時間を短くするよりも温度を下げるほうが好ましい。470℃より低温のガス窒化で(Fe,Cr,Ni,…)4N相が生成される場合は、窒化厚さが薄いか、あるいは窒化処理時間が著しく長いために実用的ではない。
(Fe,Cr,Ni,…)4N相のX線回折による回折線はASTMカードでは同定できないが、Cu−KαX線回折によれば、第1のピークが2θ=40°付近、第2のピークが2θ=46°付近に現れる。この両ピークは、窒素の固溶量に依存して低角側或いは高角側にずれる。また、Ni,…との表記の意味はNiなど以外のオーステナイト系ステンレス鋼の元素が固溶し得ることである。
本発明による窒化層は、厚さが10〜60μmの窒化層とする。窒化層の厚さが10μm未満の場合は充分な耐久性が得られず、窒化層の厚さが60μmを超えると張力のバラツキが大きくなるので所定の公差幅で製造しにくくなる。張力バラツキが大きくなる原因は窒化によるヤング率の増加と展開長さ(周方向の長さ)の増加にある。また、処理時間が長くなり(Fe,Cr,Ni,…)4N相が消失してしまう。本発明の窒化層の厚さは後述の拡散層の厚さを含む。
本発明による窒化層は、耐摩耗性という観点で充分な硬さを有し、最外表面から荷重25gでビッカース硬度を測定するとHv1000〜1500の硬度が得られる。
また、本発明による窒化層の母材側には、オーステナイト系ステンレス鋼の窒化で典型的な比較的硬度の低い拡散層が薄く存在する場合が多い。一般に、この拡散層が露出してくると急速に摩耗が進行するといわれている。本発明は、Cu−KαX線回折において2θ=40°及び2θ=46°にピークを持つ化合物相である(Fe,Cr,Ni,…)4N相の存在によって、目的を達成するものであり、よって、母材に接する拡散層の存在は重要でない。
また、本発明による窒化層の母材側には、オーステナイト系ステンレス鋼の窒化で典型的な比較的硬度の低い拡散層が薄く存在する場合が多い。一般に、この拡散層が露出してくると急速に摩耗が進行するといわれている。本発明は、Cu−KαX線回折において2θ=40°及び2θ=46°にピークを持つ化合物相である(Fe,Cr,Ni,…)4N相の存在によって、目的を達成するものであり、よって、母材に接する拡散層の存在は重要でない。
また、本発明の第2の目的は、サイドレールとスペーサエキスパンダの表面に燃焼生成物などを堆積・固着させないようにすることによりスティックによるオイルシール機能の低下を起こさず、且つ、サイドレールによってシリンダ壁から掻き落とされた余剰の潤滑オイルの通路を確保することによりオイルコントロール機能の高い低張力3ピース組合せオイルリングを提供するものである。すなわち、本発明者らは、燃焼生成物とオイルリング表面の間の固着状況に着目し、3ピース組合せオイルリングのスペーサエキスパンダの少なくともサイドレール側面と対向する表面又は少なくともサイドレールのスペーサエキスパンダと対向する表面に化学的に安定な皮膜が存在すれば、サイドレールとスペーサエキスパンダの固着を防止でき、且つ、サイドレールによってシリンダ壁から掻き落とされた余剰の潤滑オイルの通路を確保することができることに想到した。
よって、本発明の第2の目的に係るオイルリングは、スペーサエキスパンダとスペーサエキスパンダに支持される一対のサイドレールからなる組合せオイルリングにおいて、スペーサエキスパンダの少なくともサイドレール側面と対向する表面又は少なくともサイドレールのスペーサエキスパンダと対向する表面に樹脂皮膜を被覆したことを特徴とする。
燃焼生成物が最も固着しやすい箇所は、スペーサエキスパンダの耳部とサイドレールを支持する外周側突起部の間であり、スペーサエキスパンダに樹脂皮膜を被覆する場合は少なくともその部分に樹脂皮膜を被覆する。また、サイドレールのスペーサエキスパンダと対向する表面に樹脂皮膜を被覆しても同様な効果がある。勿論、両方に樹脂皮膜を被覆すればさらに効果的である。
上記スペーサエキスパンダ耳部への窒化とスペーサエキスパンダの少なくともサイドレール側面と対向する表面又は少なくともサイドレールのスペーサエキスパンダと対向する表面に樹脂皮膜の被覆を組み合わせれば、さらに一層効果的である。すなわち、本発明の第3の目的に係るオイルリングは、スペーサエキスパンダとスペーサエキスパンダに支持される一対のサイドレールからなる組合せオイルリングにおいて、少なくともサイドレール内周面と接触するスペーサエキスパンダ耳部に470℃以上の温度でガス窒化処理を施し、得られた窒化層が、窒化層の厚さが10〜60μmで、Cu−KαX線回折において2θ=40°及び2θ=46°にピークを持つ相を含み、且つ、スペーサエキスパンダの少なくともサイドレール側面と対向する表面又は少なくともサイドレールのスペーサエキスパンダと対向する表面に樹脂皮膜を被覆したことを特徴とする。
[図1]本発明に係る3ピース組合せオイルリングを示す図であり、同図(a)はスペーサエキスパンダの耳部とサイドレールを支持する外周側突起部の間のみに樹脂皮膜を被覆した例を示す断面図、同図(b)はスペーサエキスパンダの耳部から外周側突起部までの全面に樹脂皮膜を被覆した例を示す断面図、同図(c)はスペーサエキスパンダの耳部とサイドレールを支持する外周側突起部の間及びサイドレールのスペーサエキスパンダに対向する側面に樹脂皮膜を被覆した例を示す断面図、同図(d)はサイドレールのスペーサエキスパンダに対向する側面のみに樹脂皮膜を被覆した例を示す断面図である。
[図2]570℃、30分間の条件でガス窒化した実施例1(J1)のX線回折チャートを窒化層の深さ別に対比させた結果を示す。
[図3]530℃、30分間の条件でガス窒化した実施例2(J2)のX線回折チャートを窒化層の深さ別に対比させた結果を示す。
[図4]570℃、30分間の条件で塩浴窒化した比較例1(H1)のX線回折チャートを窒化層の深さ別に対比させた結果を示す。
[図5]窒化層の光学顕微鏡写真を示す図であり、同図(a)は450℃、60分間の条件でガス窒化した比較例2(H2)における窒化層の光学顕微鏡写真を示し、同図(b)は530℃、30分間の条件でガス窒化した実施例9(J9)における窒化層の光学顕微鏡写真を示す。
[図6]従来のピストンリングが装着されたピストンがシリンダ内にあるときの状態を示す断面図であり、同図に示されるオイルリングは軸方向波形形状の代表的な3ピース組合せオイルリングを示す。
[図7]従来の半径方向波形形状の代表的な3ピース組合せオイルリングを示す。
[図2]570℃、30分間の条件でガス窒化した実施例1(J1)のX線回折チャートを窒化層の深さ別に対比させた結果を示す。
[図3]530℃、30分間の条件でガス窒化した実施例2(J2)のX線回折チャートを窒化層の深さ別に対比させた結果を示す。
[図4]570℃、30分間の条件で塩浴窒化した比較例1(H1)のX線回折チャートを窒化層の深さ別に対比させた結果を示す。
[図5]窒化層の光学顕微鏡写真を示す図であり、同図(a)は450℃、60分間の条件でガス窒化した比較例2(H2)における窒化層の光学顕微鏡写真を示し、同図(b)は530℃、30分間の条件でガス窒化した実施例9(J9)における窒化層の光学顕微鏡写真を示す。
[図6]従来のピストンリングが装着されたピストンがシリンダ内にあるときの状態を示す断面図であり、同図に示されるオイルリングは軸方向波形形状の代表的な3ピース組合せオイルリングを示す。
[図7]従来の半径方向波形形状の代表的な3ピース組合せオイルリングを示す。
第1図は、本発明の実施態様を示す3ピースピストンリングにおいて、樹脂皮膜31を被覆する箇所の例を模式的に示したものである。第1図(a)はスペーサエキスパンダの耳部とサイドレールを支持する外周側突起部の間のみ、第1図(b)はスペーサエキスパンダの耳部から外周側突起部までの全面、第1図(c)はスペーサエキスパンダの耳部とサイドレールを支持する外周側突起部の間及びサイドレールのスペーサエキスパンダに対向する側面、第1図(d)はサイドレールのスペーサエキスパンダに対向する側面のみに樹脂皮膜を被覆している。
本発明において、被覆する樹脂皮膜の厚さは、0.5〜20μmとすることが好ましい。スペーサエキスパンダの突起部やサイドレール側面等、リング溝とのクリアランスに影響する位置への樹脂皮膜の被覆の場合は、1〜10μmが好ましい。
本発明による化学的に安定であり、かつカーボン系燃焼生成物に対して非凝着性をもつ樹脂皮膜は、150℃程度の耐熱性を有する樹脂であれば、いずれの樹脂も使用可能であるが、フッ素樹脂、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド、塩化ビニル、ポリエステル等が好ましい。化学的安定性と非凝着性以外に、望ましい性質である低摩擦係数や自己潤滑性という観点では、フッ素樹脂を利用するとより効果的である。しかし、フッ素樹脂は化学的に安定で非粘着性に優れ、耐熱性が高く低摩擦係数と自己潤滑性に優れているが、フッ素樹脂単体では密着性に乏しいため皮膜を形成することが極めて困難な物質である。従って、フッ素樹脂を利用する場合には、バインダーと複合して使用する必要がある。バインダーとしては、上記に挙げたポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド、塩化ビニル、ポリエステル等の耐熱性樹脂が使用できる。フッ素含有率としては、バインダーの効果等を考慮すれば70重量%以下が適当である。フッ素樹脂は、入手の容易性から、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマ(FEP)が容易に利用できる。潤滑性という観点では、二硫化モリブデン(MoS2)、ボロンナイトライド(BN)、C(黒鉛)等を35重量%以下含有させても良い。さらに、カーボンを分解させる触媒機能を持つ酸化チタン(TiO2)やC12A7化合物(12CaO・7Al2O3)等の微粒子を上記樹脂皮膜の中に35重量%以下分散させても良い。
本発明の第1の目的に係るオイルリングの窒化に応用することができる新規なオーステナイト系ステンレスの窒化方法は、窒化温度470〜600℃の範囲でNH3とN2ガスの雰囲気でガス窒化処理し、形成された(Fe,Cr,Ni,…)4N相が消失する前にガス窒化処理を止めるというものである。本発明者らの実験によれば、窒化時間は10分〜1時間の範囲が適当であった。窒化温度470℃未満では、本発明に係る窒化層を10μm以上形成するのに1時間以上を要し、600℃を超えると形成された(Fe,Cr,Ni,…)4N相は分解が進みすぎて消失してしまう。ここに示した窒化時間は、窒化処理を行う炉の大きさや処理量等に当然依存するものであり、厳密な意味で規定しているものでないことはいうまでもない。
また、オーステナイト系ステンレスの窒化においては不働態皮膜の還元を必須とする。還元方法は、ハロゲン化物添加法等、従来から行われている手法が使用できるが、CN−イオン等のカーボン源を含む還元剤は(Fe,Cr,Ni,…)4N相の生成を阻害するため使用できない。また、目的の窒化層を安定的に得るためには、窒化処理炉はマッフル構造とし、前述の還元処理と窒化処理を行う前に炉内を真空状態とすることが望ましい。
本発明の第2の目的に係るオイルリングにおいて、樹脂被膜は、スプレー塗布によって便利に被覆できる。勿論、静電塗装、浸せき法、スクリーン印刷、パッド印刷等も利用できる。塗布に先立ち、各被覆方法に適切な粘度に調整する必要があるが、使用する溶剤は、樹脂を溶かし、且つ、樹脂を分解しない温度で完全に揮発することを要件とする。但し、フッ素樹脂を含有させる場合は、フッ素樹脂を溶かさずにバインダーのみ溶かすことが重要である。樹脂材料又はバインダーとしてポリイミドやポリアミドイミドを選択した場合、N−メチル−2−ピロリジノン(ピロリドン)を主溶剤としてキシレン等を添加したものが便利に利用できる。フッ素樹脂や固体潤滑材を混合する場合は、溶剤に溶かしたバインダーに所定量を混合、充分均一に攪拌することが重要である。また、被覆する樹脂皮膜の厚さは0.5〜20μmが適当であり、使用する塗布方法によっては、充分粘度を低くする必要がある。
本発明の効果を説明すると次のとおりである。
本発明に係るオイルリングは、窒化層に高硬度で耐食性に優れた(Fe,Cr,Ni,…)4N相を有するため、有鉛ガソリンを使用する場合又はガソリンにイオウが数百(300〜500)PPM含有される場合で、且つ、潤滑条件も厳しい環境下においても腐食摩耗を起こさない。よって、サイドレール内周面と接触するスペーサエキスパンダ耳部の耐摩耗性が大幅に改善され、張力減退の起こらない低張力3ピース組合せオイルリング、すなわち、多様なエンジン仕様や使用環境下においても十分な耐久性を備えた低張力3ピース組合せオイルリングを提供することが可能となった。
本発明に係るオイルリングは、窒化層に高硬度で耐食性に優れた(Fe,Cr,Ni,…)4N相を有するため、有鉛ガソリンを使用する場合又はガソリンにイオウが数百(300〜500)PPM含有される場合で、且つ、潤滑条件も厳しい環境下においても腐食摩耗を起こさない。よって、サイドレール内周面と接触するスペーサエキスパンダ耳部の耐摩耗性が大幅に改善され、張力減退の起こらない低張力3ピース組合せオイルリング、すなわち、多様なエンジン仕様や使用環境下においても十分な耐久性を備えた低張力3ピース組合せオイルリングを提供することが可能となった。
また、本発明に係るオイルリングは、スペーサエキスパンダの少なくともサイドレール側面と対向する表面又は少なくともサイドレールのスペーサエキスパンダと対向する表面に樹脂皮膜を被覆しているため、サイドレールとスペーサエキスパンダの燃焼生成物による固着を防止することにより、スティックによるオイルシール機能の低下を起こさず、且つ、サイドレールによってシリンダ壁から掻き落とされた余剰のオイルの通路を確保することによりオイルコントロール機能の高い低張力3ピース組合せオイルリングを提供することが可能となった。
さらに、本発明に係るオイルリングは、上記耳摩耗対策と固着対策を同時に行うことにより、オイルコントロール機能が高く、多様な仕様のエンジンや多様な潤滑オイルや燃料の使用環境下においても耐久性に優れ、オイル消費の少ない低張力3ピース組合せオイルリングを提供することが可能となった。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
本発明を実施するための最良の形態については、以下の具体的実施例により詳細に説明する。なお、以下の実施例では、軸方向波形形状のスペーサエキスパンダの例を示しているが、本発明は該形状のスペーサエキスパンダに限定されるものでなく、半径方向波形形状のスペーサエキスパンダにも適用できることはいうまでもない。さらに、オーステナイト系ステンレス鋼は最も一般的なSUS304について例示するが、この改良鋼種や、SUS316,321などであっても本発明を適用できることはいうまでもない。
本発明を実施するための最良の形態については、以下の具体的実施例により詳細に説明する。なお、以下の実施例では、軸方向波形形状のスペーサエキスパンダの例を示しているが、本発明は該形状のスペーサエキスパンダに限定されるものでなく、半径方向波形形状のスペーサエキスパンダにも適用できることはいうまでもない。さらに、オーステナイト系ステンレス鋼は最も一般的なSUS304について例示するが、この改良鋼種や、SUS316,321などであっても本発明を適用できることはいうまでもない。
実施例1〜2(J1〜J2)及び比較例1(H1)
幅2.70mm、厚さ0.25mm、長さ20mmのスペーサエキスパンダ用の圧延帯材(SUS304材)から切り出したサンプルを使用し、脱脂洗浄後、NH390%・N210%雰囲気の570℃及び530℃で30分間のガス窒化を行った。なお、窒化処理はマッフル構造を持つ炉を使用し、一旦、炉内を真空状態とした後に昇温した。窒化処理に先立ち、先ず不働態膜の還元を塩化アンモニウムの所定量を所定のタイミングで添加することによって行った。また、比較のため、同様のサンプルを用いて、脱脂洗浄後、570℃で30分の塩浴窒化も行った。窒化処理後、窒化層構造の深さ方向における変化を確認するため、燐酸、シュウ酸及びゼラチンからなる電解質中で、電流密度5mA/mm2、25〜30℃の条件で電解研磨して窒化層の所定の深さを研磨した後X線回折するという手法により、窒化層を構成する相を同定する定性分析を行った。X線回折はCu−Kα線、管電圧40kV、管電流30mAで行った。
幅2.70mm、厚さ0.25mm、長さ20mmのスペーサエキスパンダ用の圧延帯材(SUS304材)から切り出したサンプルを使用し、脱脂洗浄後、NH390%・N210%雰囲気の570℃及び530℃で30分間のガス窒化を行った。なお、窒化処理はマッフル構造を持つ炉を使用し、一旦、炉内を真空状態とした後に昇温した。窒化処理に先立ち、先ず不働態膜の還元を塩化アンモニウムの所定量を所定のタイミングで添加することによって行った。また、比較のため、同様のサンプルを用いて、脱脂洗浄後、570℃で30分の塩浴窒化も行った。窒化処理後、窒化層構造の深さ方向における変化を確認するため、燐酸、シュウ酸及びゼラチンからなる電解質中で、電流密度5mA/mm2、25〜30℃の条件で電解研磨して窒化層の所定の深さを研磨した後X線回折するという手法により、窒化層を構成する相を同定する定性分析を行った。X線回折はCu−Kα線、管電圧40kV、管電流30mAで行った。
第2図に570℃、30分間、ガス窒化した実施例1(J1)のX線回折結果を窒化層の深さ別に対比させた結果を示す。530℃、30分間のガス窒化の実施例2(J2)についてのX線回折結果を第3図に、570℃、30分間の塩浴窒化の比較例1(H1)についてのX線回折結果を第4図に示す。第1表は、これらの結果を纏めたものである。
ここで、ε相は(Fe,Ni,…)2−3N相,γ′相は(Fe,Ni,…)4N相,γはSUS304のオーステナイト鉄と考えられる。X線回折において、S1が2θ=40°付近、及びS2が2θ=46°付近にピークを持っている。これまでの文献等では、450℃以下の低温窒化条件でしか得られなかったいわゆるS相と名付けられた(Fe,Cr,Ni,…)4N相が、570℃という高温においても、形成された該化合物相が消失する前にガス窒化処理を止めることにより得られていることが分かる。それに反し、塩浴窒化においては、カーボン源の存在により(Fe,Cr,Ni,…)4N相の形成が阻害され、該(Fe,Cr,Ni,…)4N相は一切現れていない。
実施例3〜18(J3〜J18)及び比較例2〜3(H2〜H3)
実施例1と同じく、幅2.70mm、厚さ0.25mm、長さ20mmのSUS304材の帯材から切り出したサンプルを使用し、脱脂洗浄後、実施例1と同様な雰囲気で、表2に示した温度及び保持時間の条件でガス窒化処理を行った。なお、不働態膜の還元も実施例1と同様に行った。窒化処理後のサンプルについて、断面の光学顕微鏡写真から窒化層の厚さ及び(Fe,Cr,Ni,…)4N相の画像解析による面積率(%)を求めた。光学顕微鏡写真は、(Fe,Cr,Ni,…)4N相がCrN相やγ′相等に分解した部分が黒色に見えるようマーブル液を用いてエッチング処理を行ったサンプルから撮影された。また窒化層表面の荷重25gのビッカース硬度を測定した。これらの結果を第2表に示す。
実施例1と同じく、幅2.70mm、厚さ0.25mm、長さ20mmのSUS304材の帯材から切り出したサンプルを使用し、脱脂洗浄後、実施例1と同様な雰囲気で、表2に示した温度及び保持時間の条件でガス窒化処理を行った。なお、不働態膜の還元も実施例1と同様に行った。窒化処理後のサンプルについて、断面の光学顕微鏡写真から窒化層の厚さ及び(Fe,Cr,Ni,…)4N相の画像解析による面積率(%)を求めた。光学顕微鏡写真は、(Fe,Cr,Ni,…)4N相がCrN相やγ′相等に分解した部分が黒色に見えるようマーブル液を用いてエッチング処理を行ったサンプルから撮影された。また窒化層表面の荷重25gのビッカース硬度を測定した。これらの結果を第2表に示す。
窒化層組織の代表例として、第5図(a)に、比較例2(H2)(450℃,60分)の処理における窒化層の光学顕微鏡写真、第5図(b)に、実施例9(J9)(530℃,30分)の処理における窒化層の光学顕微鏡写真を示す。450℃,60分のガス窒化処理では、(Fe,Cr,Ni,…)4N相が窒化層全体に形成されているものの厚さが薄く(7μm)、530℃,30分のガス窒化処理では、約30%近くの(Fe,Cr,Ni,…)4N相がCrN相やγ′相等に分解・消失している様子が分かる。
実施例19〜24(J19〜J24)及び比較例4〜5(H4〜H5)
エンジンにて摩耗への影響を短時間で評価するため、3ピース組合せオイルリングを以下のように作製した。
幅2.50mm、厚さ0.25mmのSUS304材の帯材をギア成形法により軸方向波形のスペーサエキスパンダに成形した。スパイラル状に成形したスペーサエキスパンダは、脱脂洗浄後、実施例19は実施例4、実施例20は実施例5、実施例21は実施例7、実施例22は実施例10、実施例23は実施例13、実施例24は実施例16、比較例4は比較例2、比較例5は比較例1と同じ条件で窒化処理を行った。窒化処理後、定寸切断、合口面仕上げ工程を経て、所定のボア径、組合せ厚さ、組合せ幅、張力のスペーサエキスパンダを製作した。スペーサエキスパンダは、精密な波形形状と一定の展開長さにより所定の張力が出るように設計している。
実施例19〜24(J19〜J24)及び比較例4〜5(H4〜H5)
エンジンにて摩耗への影響を短時間で評価するため、3ピース組合せオイルリングを以下のように作製した。
幅2.50mm、厚さ0.25mmのSUS304材の帯材をギア成形法により軸方向波形のスペーサエキスパンダに成形した。スパイラル状に成形したスペーサエキスパンダは、脱脂洗浄後、実施例19は実施例4、実施例20は実施例5、実施例21は実施例7、実施例22は実施例10、実施例23は実施例13、実施例24は実施例16、比較例4は比較例2、比較例5は比較例1と同じ条件で窒化処理を行った。窒化処理後、定寸切断、合口面仕上げ工程を経て、所定のボア径、組合せ厚さ、組合せ幅、張力のスペーサエキスパンダを製作した。スペーサエキスパンダは、精密な波形形状と一定の展開長さにより所定の張力が出るように設計している。
また、サイドレールには、幅2.30mm、厚さ0.40mmのSUS440B材の帯材を用いた。この帯材から、連続真円巻きにより所定の寸法のスパイラル状にサイドレールを成形し、ガス窒化により窒化層厚さ約50μmの窒化処理を施し、切断、外周ラップ、バフ仕上げ工程を経て、サイドレールとした。
これらの3ピース組合せオイルリングを用い、シリンダ内径82.5mmのガソリン直接噴射型の2000cc、直列4気筒水冷のエンジンで、有鉛ガソリンを燃料として、全負荷状態で6500rpm、250時間の加速耐久試験を行った。250時間経過後のサイドレール内周面の摩耗量及びスペーサエキスパンダ耳部の摩耗量を測定した。その結果を第3表に示す。
本発明に係るオイルリングのスペーサエキスパンダ耳部の摩耗量は、上記運転条件の耐久試験の250時間経過後においても20μm以内であり、従来の塩浴窒化した耳部(比較例5,H5)と比較して、充分な耐久性を示している。
実施例25〜37(J25〜J37)及び比較例6(H6)
実施例19及び比較例5と同じサイドレールとスペーサエキスパンダを用いて、第4表に示す組成の樹脂皮膜を、所定の箇所に所定量スプレー塗布、210℃で焼成することにより被覆した。
これらのオイルリングを、2400cc、直列4気筒水冷のエンジン、有鉛ガソリン、加減速パターン、200時間の運転条件で耐久試験を行った。耐久試験後のサイドレールとスペーサエキスパンダの固着の有無を同時に第4表に示す。
実施例19及び比較例5と同じサイドレールとスペーサエキスパンダを用いて、第4表に示す組成の樹脂皮膜を、所定の箇所に所定量スプレー塗布、210℃で焼成することにより被覆した。
これらのオイルリングを、2400cc、直列4気筒水冷のエンジン、有鉛ガソリン、加減速パターン、200時間の運転条件で耐久試験を行った。耐久試験後のサイドレールとスペーサエキスパンダの固着の有無を同時に第4表に示す。
第4表において、窒化条件J19(H5)とは、実施例19(比較例5)のサイドレールとスペーサエキスパンダに施した窒化条件と同じ条件でガス窒化処理を行ったことを意味する。また、被覆箇所a,b,c,dは、第1図の(a),(b),(c),(d)を示す。固着「無(中又は少又は微)」は、多少のカーボンの堆積(多、中、少、微はカーボンの堆積程度を示す。)があってもオイルリングの張力が減退していないことを意味し、固着「有(多)」は、カーボンの堆積によりオイルリングの張力が減退していることを意味する。また、固着「有(多)」であった比較例6(H6)はオイル消費率の増大も見られた。
以上より、本発明に係るオイルリングは、上記運転条件の耐久試験においてもサイドレールとスペーサエキスパンダとの間に重大な固着が観察されず、よって、樹脂皮膜を被覆しない従来のオイルリングと比較して、充分な耐久性を示している。
以上説明したように、本発明に係る3ピース組合せオイルリングはガソリン内燃機関、ジーゼル内燃機関に使用されるオイルリングの性能を向上し、かつ潤滑オイル消費量を少なくすることに貢献する。
Claims (11)
- スペーサエキスパンダ(7)とスペーサエキスパンダ(7)に支持される一対のサイドレール(5,6)からなる組合せオイルリングにおいて、少なくともサイドレール内周面と接触するオーステナイト系ステンレス製スペーサエキスパンダ耳部に、470℃以上の温度でガス窒化処理を施して、厚さ10〜60μmであり、かつ、Cu−KαX線回折において2θ=40°及び2θ=46°にピークを持つ相を含むガス窒化層を形成したことを特徴とするオイルリング。
- スペーサエキスパンダ(7)とスペーサエキスパンダ(7)に支持される一対のサイドレール(5,6)からなる組合せオイルリングにおいて、スペーサエキスパンダの少なくともサイドレール側面と対向する表面又は少なくともサイドレールのスペーサエキスパンダと対向する表面に樹脂皮膜(31)を被覆したことを特徴とするオイルリング。
- 前記樹脂皮膜(31)にフッ素樹脂が含有される請求の範囲第2項に記載のオイルリング。
- 前記樹脂皮膜(31)に固体潤滑材が含有される請求の範囲第2項に記載のオイルリング。
- 前記樹脂皮膜(31)にTiO2及びC12A7化合物の少なくとも何れかが含有される請求の範囲第2項に記載のオイルリング。
- スペーサエキスパンダ(6)とスペーサエキスパンダ(7)に支持される一対のサイドレール(5,6)からなる組合せオイルリングにおいて、少なくともサイドレール内周面と接触するオーステナイト系ステンレス製スペーサエキスパンダ耳部に、470℃以上の温度でガス窒化処理を施して、厚さ10〜60μmであり、かつ、Cu−KαX線回折において2θ=40°及び2θ=46°にピークを持つ相を含むガス窒化層を形成し、且つ、スペーサエキスパンダ(7)の少なくともサイドレール側面と対向する表面又は少なくともサイドレール(5,6)のスペーサエキスパンダ(7)と対向する表面に樹脂皮膜(31)を被覆したことを特徴とするオイルリング。
- 前記樹脂皮膜(31)にフッ素樹脂が含有される請求の範囲第6項に記載のオイルリング。
- 前記樹脂皮膜(31)に固体潤滑材が含有される請求の範囲第6項に記載のオイルリング。
- 前記樹脂皮膜(31)にTiO2及びC12A7化合物の少なくとも何れかが含有される請求の範囲第6項に記載のオイルリング。
- オーステナイト系ステンレス鋼に470〜600℃の温度でガス窒化処理を施し、Cu−KαX線回折において2θ=40゜及び2θ=46゜にピークを持つ相(以下「S相」という)が形成され続いて化合物相に変態して消失する以前に、ガス窒化処理を中止し、S相を含む窒化層をオーステナイト系ステンレス鋼の表面に形成することを特徴とする窒化方法。
- 前記窒化層の厚さが10μm以上であることを特徴とする請求の範囲第10項に記載の窒化方法。
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