JPH0533866A - 組合せオイルリング - Google Patents

組合せオイルリング

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JPH0533866A
JPH0533866A JP21001791A JP21001791A JPH0533866A JP H0533866 A JPH0533866 A JP H0533866A JP 21001791 A JP21001791 A JP 21001791A JP 21001791 A JP21001791 A JP 21001791A JP H0533866 A JPH0533866 A JP H0533866A
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oil ring
spacer expander
side rail
nitriding
side rails
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JP21001791A
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Masao Ishida
政男 石田
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Teikoku Piston Ring Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 サイドレール外周、オイルリング溝内壁、ス
ペーサエキスパンダのサイドレールとの接触部のいずれ
の摩耗量も低減することができる3ピース型の組合せオ
イルリングを提供する。 【構成】 上下のサイドレール13、15の外周面にの
みイオン窒化処理による窒化処理層21を形成して、サ
イドレール外周の摩耗を防止し、かつ、オイルリング溝
内壁の摩耗を防止する。また、サイドレール13、15
の間に配置するスペーサエキスパンダ17には、少なく
ともサイドレール13、15の内周と接触する部分に窒
化処理層33を形成して、スペーサエキスパンダ17の
摩耗を防止し、張力が減退することを防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関やコンプレッ
サなどのピストンに装着され、オイルコントロールを行
なう組合せオイルリングに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、内燃機関は、ますます高性能化さ
れ、高速、高荷重のものが開発されている。これに伴っ
て、シリンダやピストンリング等の摺動部材の耐熱性、
耐摩耗性、耐焼き付き性等を向上させるべく様々な改善
がなされている。最近では、これに加えて燃料消費量
や、潤滑油消費量の一層の低減が求められている。この
ため、特にガソリンエンジン等においては、3ピース型
の組合せオイルリングが多用されるようになってきた。
【0003】3ピース型の組合せオイルリングは、上下
2本のサイドレールの間にスペーサエキスパンダを配置
した構造をなし、上下レールが別々であるので、ボアの
微小な変形にも追従しやすく、上下レールがピストンの
オイルリング溝の上面にも下面にも接触するので、シー
ル効果に優れており、上下レールの合い口を180 °ずら
せて組み付けることができるので、合い口のところが開
くということがなく、その結果、潤滑油消費量の低減が
図られるという利点を有している。
【0004】図7には、このような組合せオイルリング
の一例が示されている。この組合せオイルリング11
は、環状のサイドレール13、15を上下に配し、この
サイドレール13、15の間に断面がコ字状をなすスペ
ーサエキスパンダ17を圧縮した状態で装着したもので
ある。サイドレール13、15としては、シリンダボア
との摺動に対して耐久性をもたすために、マルテンサイ
ト系ステンレス鋼などが用いられている。スペーサエキ
スパンダ17としては、サイドレール13、15に比べ
てより高いバネ性、靭性をもたす必要があるために、オ
ーステナイト系ステンレス鋼などが用いられている。な
お、スペーサエキスパンダ17には、潤滑油をオイルリ
ング溝内に導く役割をなす切欠き19が形成されてい
る。
【0005】サイドレール13、15は、耐摩耗性を向
上させるために、その表面の全体あるいは部分的に硬質
被膜21を形成することが多く行われている。例えば、
特開昭58−136771号には、サイドレールの全表
面に窒化層を設けることが開示されており、実開昭53
−147309号には、サイドレールの内周面及び外周
面に焼き入れ又は窒化処理による硬化層を形成すること
が開示されている。更に、スペーサエキスパンダ17
も、サイドレール13、15との接触面等において耐摩
耗性を付与するため、硬質被膜を形成することが行われ
ている。例えば、実開昭53−147308号には、ス
ペーサエキスパンダの外表面に焼き入れ又は窒化処理に
よる硬化層を形成することが開示されており、また、特
開昭58−5456号には、サイドレールとスペーサエ
キスパンダの両方に軟窒化処理を施すことが開示されて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
58−136771号、特開昭58−5456号に示さ
れるように、サイドレールの表面の全体を窒化処理した
場合には、サイドレールが脆化してクラックなどが生じ
やすくなり、また、サイドレールとピストンのオイルリ
ング溝との接触により、オイルリング溝が摩耗しやすく
なるという問題点があった。
【0007】また、実開昭53−147309号に示さ
れるように、サイドレールの内周面及び外周面に窒化処
理を施した場合は、表面全体を窒化処理する場合に比べ
て、脆化の問題は軽減されるが、内周面が硬質となるこ
とにより、オイルリング溝の摩耗という問題は解決され
なかった。すなわち、オイルリング溝の上下の内壁に
は、サイドレールの内周面及び合い口の内周角部が当た
りやすく、これらによってオイルリング溝が削られるか
らである。
【0008】更に、実開昭53−147308号、特開
昭58−5456号に示されるように、スペーサエキス
パンダの外表面に窒化処理を施した場合には、サイドレ
ールとの接触面における耐摩耗性は向上するが、サイド
レールも窒化処理されたものである場合には、より硬質
なサイドレールによる摩耗を防止しきれず、十分な耐摩
耗性を得ることはできなかった。なお、スペーサエキス
パンダが摩耗すると、オイルリングの張力が低下して、
オイル消費量が増大する。
【0009】したがって、本発明の目的は、サイドレー
ルを脆化させることなく、耐摩耗性を向上させ、オイル
リング溝の摩耗を防止し、かつ、スペーサエキスパンダ
の摩耗も少なくして、優れた耐久性を付与した組合せオ
イルリングを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、上下2本のサイドレールの間にスペーサ
エキスパンダを配置した3ピース型の組合せオイルリン
グにおいて、前記サイドレールの外周にのみイオン窒化
処理を施し、かつ、前記スペーサエキスパンダの少なく
とも前記サイドレールの内周と接触する部分に窒化処理
を施したことを特徴とする。
【0011】また、本発明の好ましい態様においては、
前記サイドレールがCr13〜22%を含む焼戻マルテ
ンサイト系ステンレス鋼からなり、前記スペーサエキス
パンダがオーステナイト系ステンレス鋼からなる。
【0012】以下、本発明について更に詳細に説明す
る。
【0013】本発明の組合せオイルリングにおいて用い
られるサイドレールは、その外周面にのみイオン窒化処
理が施される。イオン窒化法は、低真空中で窒素ガス単
体又は窒素ガスと微量の炭化水素系ガスの混合ガスを使
って、グロー放電させて窒化又は軟窒化する方法であ
る。より具体的に説明すると、例えば炉内を10-2〜10-3
Torr程度まで真空にした後、窒素と水素の混合ガスを導
入し、炉内圧力を処理条件に合わせて1〜10Torrにコン
トロールする。この中で炉体を陽極とし、処理品を陰極
として、両者間にグロー放電を発生させることにより、
イオン化した窒素を加速して、高速度で処理品に衝突さ
せ、処理品の表面を窒化する方法である。本発明におい
ては、イオン窒化法を採用することにより、例えば後述
する実施例に記載された方法により、サイドレールの外
周面にのみ効率的に窒化処理を施すことができる。
【0014】このイオン窒化法は、短時間の処理で厚
い窒化層が得られる、処理温度が低い、表面に化合
物層が生成しない、イオン窒化層の摩擦係数は、他の
窒化処理層に比べて小さい、H+ 、N+ イオンのスパ
ッタリング作用により前処理の必要がない、無公害で
ある、という優れた利点を有している。また、サイドレ
ールの材質として焼戻マルテンサイト系ステンレス鋼を
用いた場合には、窒化層としてFe4Nの単層が形成され、
疲れ強さの限界が高く、耐久性に優れた硬質被膜とする
ことができる。
【0015】また、本発明では、上下2本のサイドレー
ルの間に配置されるスペーサエキスパンダの少なくとも
サイドレール内周との接触部分にも窒化処理が施され
る。スペーサエキスパンダに施される窒化処理は、イオ
ン窒化処理に限定されることはなく、ガス窒化法、塩浴
軟窒化法、ガス軟窒化法など、公知の各種方法を採用す
ることができる。この場合、スペーサエキスパンダの上
記サイドレールとの接触面だけに窒化処理を施してもよ
く、あるいはスペーサエキスパンダの全表面に窒化処理
を施してもよい。
【0016】なお、本発明において、窒化層の厚さは、
特に限定されないが、サイドレール外周面においては、
30〜90μmが好ましく、スペーサエキスパンダの上記サ
イドレールとの接触面においては、12〜25μmとするこ
とが好ましい。
【0017】サイドレールは、シリンダボアと接触する
ため、耐熱性、耐摩耗性に優れた材質が好ましく、例え
ばCr13〜22%を含む焼戻マルテンサイト系ステン
レス鋼が好ましく採用される。この焼戻マルテンサイト
系ステンレス鋼を用いた場合には、前述したように、イ
オン窒化層としてFe4Nの単層が形成されるという利点が
得られる。また、スペーサエキスパンダは、サイドレー
ルに張力を付与するため、耐熱性、耐摩耗性とともに、
バネ性及び靭性に優れた材質が好ましく、例えばオース
テナイト系ステンレス鋼が好ましく採用される。
【0018】
【作用】本発明の組合せオイルリングは、サイドレール
の外周面、すなわちシリンダボアとの接触面にのみイオ
ン窒化処理を施し、サイドレールの内周面及び上下面に
はイオン窒化処理を行なわないので、サイドレールの脆
化を防止して耐久性を維持することができる。
【0019】また、オイルリング溝の内壁と接触するサ
イドレールの上下面や内周部分、合い口の端面などは、
窒化処理されていないので、オイルリング溝の摩耗も防
止できる。
【0020】一方、サイドレールがスペーサエキスパン
ダと接触する部分も窒化処理されていないが、一般に、
サイドレールの材質は、スペーサエキスパンダの材質よ
りも硬質のものが採用されるので、そのままでは、スペ
ーサエキスパンダの摩耗を防止できない。
【0021】本発明では、スペーサエキスパンダの少な
くともサイドレールの内周と接触する部分に窒化処理を
施したことにより、スペーサエキスパンダの摩耗も防止
することができ、摩耗によるスペーサエキスパンダの張
力の低下を防止することができる。
【0022】このように、本発明によれば、ボアと接触
するサイドレールの外周面においてはイオン窒化処理に
よる耐摩耗性をもたせ、オイルリング溝と接触する部分
においては窒化処理を行わずにオイルリング溝の摩耗を
防止し、スペーサエキスパンダとの接触部分において
は、サイドレールに窒化処理を施さず、スペーサエキス
パンダに窒化処理を施すことによって、スペーサエキス
パンダの摩耗を防止し、これらの作用によって耐久性に
優れ、オイル消費量を長期に亙って低く維持できる組合
せオイルリングを提供することができる。
【0023】
【実施例】図1には、本発明の組合せオイルリングの一
実施例が示されている。
【0024】この組合せオイルリング31は、上下2本
の厚さ0.5mm 程度の薄いスチールリボンによって形成さ
れた環状のサイドレール13、15を上下に配し、この
サイドレール13、15の間に断面がコ字状をなすスペ
ーサエキスパンダ17を圧縮した状態で装着したもので
ある。
【0025】サイドレール13、15は、Cr13〜2
2%を含む焼戻マルテンサイト系ステンレス鋼からな
り、その外周面、すなわち、シリンダボアに接触する部
分にのみイオン窒化法により窒化処理が施され、窒化処
理層21が形成されている。このため、サイドレールの
表面全体に窒化処理を施した場合に比べて、脆化を防止
して耐久性を向上させることができる。なお、窒化処理
の施されていない面、すなわちサイドレール13、15
の外周面以外の面には、必要に応じて、なじみ性をもた
せるように四三酸化鉄層の形成、パーカライジング、す
ずめっき等による表面処理を施してもよい。
【0026】スペーサエキスパンダ17は、オーステナ
イト系ステンレス鋼からなり、所定間隔で切欠き19が
形成されており、サイドレール13、15でかき集めら
れた潤滑油をオイルリング溝内に導くようになってい
る。スペーサエキスパンダ17の内周側には耳部23が
形成されており、この耳部23が上下に配置されたサイ
ドレール13、15と係合するようになっている。な
お、スペーサエキスパンダ17の形状は、図示した断面
コ字状のものに限定されることはなく、波形スペーサエ
キスパンダなど他の形状のものを採用してもよい。
【0027】スペーサエキスパンダ17のサイドレール
13、15との接触部分、特に上記耳部23には窒化処
理が施され、窒化処理層33がそれぞれ形成されてお
り、より硬度の高い材質からなるサイドレール13、1
5との接触によるスペーサエキスパンダ17の摩耗を防
止している。なお、スペーサエキスパンダ17に窒化処
理を施す場合には、ガス窒化法、塩浴軟窒化法、ガス軟
窒化法など各種方法を採用することができる。また、ス
ペーサエキスパンダ17は、その表面全体に窒化処理を
施してもよい。
【0028】図2には、図1に示す組合せオイルリング
をピストンのオイルリング溝内に装着した状態が示され
ている。
【0029】ピストンのオイルリング溝35内に装着さ
れた組合せオイルリング31は、スペーサエキスパンダ
17の拡張力によって、その外周面がシリンダボア37
に圧接され、余分なオイルをかき落とす。このとき、サ
イドレール13、15の外周面にはイオン窒化法による
窒化処理層が形成されているため摩耗を防止することが
できる。
【0030】一方、スペーサエキスパンダ17の拡張力
は、サイドレール13、15を上下に押す方向にも作用
し、サイドレール13の内周側の上面をオイルリング溝
35の内壁上面に、サイドレール15の内周側の下面を
オイルリング溝35の内壁下面にそれぞれ圧接させる。
このとき、サイドレール13、15の外周面以外の部分
には窒化処理層が形成されていないので、リング溝35
の内壁の摩耗を防止することができる。
【0031】また、サイドレール13、15内周の合い
口部分にも窒化処理層が形成されていないので、合い口
部分がオイルリング溝35の内壁に接触することによる
オイルリング溝35の摩耗も防止される。
【0032】一方、スペーサエキスパンダ17の耳部2
3のサイドレール13、15との接触部分には窒化処理
層33が形成されているので、サイドレール13、15
との接触によるスペーサエキスパンダ17の摩耗を防止
することができ、スペーサエキスパンダの摩耗による張
力の低下を防止できる。
【0033】実験例1 図3に示すように、焼戻マルテンサイト系ステンレス鋼
からなるサイドレール43を、支持板41上に立設され
た円筒47外周に巻き付けて上下に積層し、その上面に
押え板45を載置して、サイドレール43を上下に密着
させた。この状態でサイドレール43の外方から外周面
43aに対してイオン窒化法により窒化処理を行ない窒
化処理層を形成した。
【0034】図4には、この方法によって窒化処理を行
なったサイドレール43が示されている。サイドレール
43は、上下に密着した状態で外周面43aに窒化処理
がなされるので、サイドレール43の上下面及び内周面
43bには窒化処理はなされず、サイドレール43の外
周面43aにのみ窒化処理層21が形成される。
【0035】図5には、図3におけるサイドレール43
の積層位置A〜Eと、各位置において形成された窒化処
理層の深さとの関係が示されている。すなわち、図3に
おけるA〜Eの箇所からそれぞれサンプルを取出し、そ
れぞれのサイドレール43に形成された窒化処理層21
の深さを測定したものである。
【0036】この結果、サイドレール43の外周面43
aに形成された窒化処理層21の深さは、サンプル位置
にかかわらず全て60μm 程度であり、サイドレール43
に対してほぼ均一の深さで窒化処理層21が形成されて
いることがわかる。
【0037】図6には、サイドレール43の外周面43
aに形成された窒化処理層21の外周からの深さと断面
の硬度との関係が示されている。
【0038】この結果、サイドレール43の母材の硬度
が Hv372であるのに対して、イオン窒化法による窒化処
理層21を形成した場合には、窒化処理層21の外周面
から60μm 程度の深さの箇所では Hv1000 以上の硬度を
示し、イオン窒化処理を施さない場合に比べて硬度が極
めて高いことがわかる。
【0039】実験例2 直径86mm、直列4気筒、2000 cc のエンジンのピストン
に、表1に示すピストンリングを装着し、5200r.p.m.×
W.O.T.×30時間、水温105 ℃、油温125 ℃の条件で運転
を行った。なお、表1中、「TOP」はトップリング、
「2ND」はセカンドリング、「OIL」はオイルリン
グ、「総R」はバレルが円弧状であること、スペーサの
「ピッチ7mm」は耳部と耳部の円周方向の間隔、「B」
は各リングの厚さ方向の長さ、「T」は各リングの半径
方向の幅を意味している。なお、サイドレール上下面
は、ベルトサンダー加工なしとした。
【0040】
【表1】
【0041】運転終了後、各ピストンリングの摩耗量を
測定した結果を図8に示す。図中、「CYL 」は、エンジ
ンの気筒番号を意味する。また、図の上欄に記載された
値は、4気筒の平均値を意味する。このように、オイル
リングの外周の摩耗量、及びオイルリングのスペーサの
耳部接触摩耗量は、いずれも極めて小さい値にすること
ができた。
【0042】また、オイルリング溝の摩耗量を測定した
結果を図9に示す。なお、図9において、「F 」はFron
t 、「Th」はThrust、「R 」はRear、「AT」はAnti Thr
ustを表している。サイドレールは、合い口部のピスト
ン側に高さ最大7μmのバリのあるものを使用した。こ
のように、オイルリング溝の摩耗量は、いずれも検出不
可能であるほど小さいものであった。
【0043】更に、各ピストンリングの張力減退率を測
定した結果を図10に示す。このように、オイルリング
の張力減退率は、低く維持することができた。
【0044】実験例3 外周面にのみイオン窒化処理したサイドレールと、表面
が無処理のスペーサエキスパンダと、表面を塩浴軟窒化
処理(タフトライド処理)したスペーサエキスパンダと
を組み合わせ、2種類のオイルリングを作製した。
【0045】これらのオイルリングを、実験例2と同じ
エンジンのピストンに装着し、実験例2と同じ条件で運
転を行い、スペーサエキスパンダとサイドレールの摩耗
量を測定した。この結果を図11に示す。
【0046】このように、スペーサエキスパンダを窒化
処理することにより、スペーサエキスパンダの耳部摩耗
量は大幅に減少し、一方、サイドレール内周摩耗量はわ
ずかに増加する程度であった。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の組合せオ
イルリングによれば、サイドレールの外周面にのみイオ
ン窒化処理を施し、スペーサエキスパンダの少なくとも
サイドレール内周と接触する部分に窒化処理を施したこ
とにより、サイドレール外周、オイルリング溝、スペー
サエキスパンダの耳部のいずれの摩耗量も低減すること
ができ、耐久性に優れ、潤滑油消費量を長期に亙って低
く維持できるオイルリングを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の組合せオイルリングの一実施例を示す
斜視図である。
【図2】図1に示す組合せオイルリングをピストンのオ
イルリング溝内に装着した状態を示す断面図である。
【図3】サイドレールの外周面のみにイオン窒化処理層
を形成する方法を示す説明図である。
【図4】図3に示す方法により窒化処理を施したサイド
レールを示す部分拡大断面図である。
【図5】図3に示す方法により形成された窒化処理層の
深さとサイドレールの積層位置との関係を示す図であ
る。
【図6】図3に示す方法により形成された窒化処理層の
外周からの深さと断面の硬度との関係を示す図である。
【図7】従来の組合せオイルリングの一例を示す斜視図
である。
【図8】エンジンのピストンにピストンリングを装着し
て所定の条件で運転した後、各ピストンリングの摩耗量
を測定した結果を示す図である。
【図9】上記実験においてオイルリング溝の摩耗量を測
定した結果を示す図である。
【図10】上記実験において各ピストンリングの張力減
退率を測定した結果を示す図である。
【図11】スペーサエキスパンダに窒化処理を施した場
合と、施さない場合について、上記と同様な実験を行
い、スペーサエキスパンダの耳部接触摩耗量と、サイド
レールの内周接触摩耗量とを測定した結果を示す図であ
る。
【符号の説明】
13、15 サイドレール 17 スペーサエキスパンダ 21 窒化処理層 23 耳部 31 組合せオイルリング 33 窒化処理層 43 サイドレール 43a サイドレール外周面 43b サイドレール内周面

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上下2本のサイドレールの間にスペーサ
    エキスパンダを配置した3ピース型の組合せオイルリン
    グにおいて、前記サイドレールの外周にのみイオン窒化
    処理を施し、かつ、前記スペーサエキスパンダの少なく
    とも前記サイドレールの内周と接触する部分に窒化処理
    を施したことを特徴とする組合せオイルリング。
  2. 【請求項2】 前記サイドレールがCr13〜22%を
    含む焼戻マルテンサイト系ステンレス鋼からなり、前記
    スペーサエキスパンダがオーステナイト系ステンレス鋼
    からなる請求項1記載の組合せオイルリング。
JP21001791A 1991-07-26 1991-07-26 組合せオイルリング Pending JPH0533866A (ja)

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