JPH09196173A - 組合せオイルリング - Google Patents

組合せオイルリング

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JPH09196173A
JPH09196173A JP2046896A JP2046896A JPH09196173A JP H09196173 A JPH09196173 A JP H09196173A JP 2046896 A JP2046896 A JP 2046896A JP 2046896 A JP2046896 A JP 2046896A JP H09196173 A JPH09196173 A JP H09196173A
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JP
Japan
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expander
oil ring
film
side rail
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JP2046896A
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English (en)
Inventor
Hiroto Fukutome
弘人 福留
Nobuyuki Yamashita
信行 山下
Shoji Tanaka
昭二 田中
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Teikoku Piston Ring Co Ltd
Original Assignee
Teikoku Piston Ring Co Ltd
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  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
  • Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
  • Chemically Coating (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 組合せオイルリングのスペーサエキスパンダ
の耐久性を改善し、圧縮点火機関にも適用可能な組合せ
オイルリングを提供する。 【解決手段】 組合せオイルリング4は上下一対のサイ
ドレール5,6と、スペーサエキスパンダ7と、コイル
エキスパンダ8とからなる。サイドレール5,6はマル
テンサイト系ステンレス鋼からなり、ガス窒化処理を施
してある。スペーサエキスパンダ7はオーステナイト系
ステンレス鋼からなり、断面が略コ字形状で、全表面に
形成されている軟窒化層20上の外周面にイオンプレー
ティングによって硬度HV1300〜2000の硬さの
Cr2 N皮膜21を3〜30μmの厚さで形成してあ
る。内周面の軟窒化層20上にNi系複合めっき皮膜あ
るいはCr2 N皮膜を形成する場合もある。コイルエキ
スパンダ8はオーステナイト系ステンレス鋼からなり、
タフトライド処理を施してある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関のピスト
ンに装着される組合せオイルリングに関し、特に圧縮点
火機関に適用して有効である。
【0002】
【従来の技術】往復動内燃機関に使用されるオイルリン
グの1種に、上下一対のサイドレールと、これらのサイ
ドレールをシリンダ内周面とリング溝側面とに押圧付勢
するスペーサエキスパンダとからなる3ピースの組合せ
オイルリングがあり、主としてガソリンエンジンに使用
されている。この種の組合せオイルリングは、サイドレ
ール外周面、サイドレール内周面、サイドレール内周面
を押圧するスペーサエキスパンダのサイドレール押圧片
のいずれか一つが摩耗すると、スペーサエキスパンダが
サイドレールを押圧する力が減少するので、オイルリン
グ性能が低下する。これらの摩耗しやすい部分の耐摩耗
性を改善するために、サイドレールは、マルテンサイト
系ステンレス鋼製で、ガス窒化処理を施され、スペーサ
エキスパンダは、オーステナイト系ステンレス鋼製で、
軟窒化処理が施されるのが一般的である。
【0003】しかしながら、上記の組合せオイルリング
は、高負荷・長寿命のディーゼルエンジンには耐摩耗
性、耐久性、信頼性が不足するため使用されていない。
【0004】上述した張力減退を抑制できる可能性をも
った組合せオイルリングが特公昭60−55703号に
提案されている。これは、前述の3ピースの組合せオイ
ルリングにおけるスペーサエキスパンダの内周側にスペ
ーサエキスパンダを押圧するコイルエキスパンダを配置
したものである。3ピースの組合せオイルリングのスペ
ーサエキスパンダと比較すると、コイルエキスパンダは
コイル素線の全長が長く細いので、ばね係数を小さくで
き、従って摩耗した場合でも張力減退が小さい。しか
も、圧縮点火機関に一般的に使用されている、オイルリ
ングとコイルエキスパンダとからなる2ピースの組合せ
オイルリングと比較すると、リング溝側面のシール性能
を有するので、優れた組合せオイルリングとなり得る可
能性を有している。
【0005】しかしながら、この4ピースの組合せオイ
ルリングも、スペーサエキスパンダのサイドレール押圧
片およびコイルエキスパンダとの摺接部の摩耗防止方法
が提供されなかったため、未だ圧縮点火機関に使用され
ていない。
【0006】スペーサエキスパンダの摩耗を抑制する技
術として、以下に説明する技術が提案されている。 ・外表面にNi系複合めっきを施したスペーサエキスパ
ンダ(実公平6−3170号)。 ・スペーサエキスパンダの表面に、軟窒化またはCrめ
っきを施し、その上にCrN皮膜を形成した組合せオイ
ルリング(実公平1−22924号)。 ・サイドレール内周面にCVDによるTiN等の硬質皮
膜を形成し、スペーサエキスパンダ外周面に窒化クロム
皮膜を形成した組合せオイルリング(特開平6−235
462号)。
【0007】また、硬質のPVD皮膜を圧縮リングに施
す技術として、以下に説明する技術が提案されている。 ・外周面にCrとCr2 Nとからなる複合皮膜を形成し
たピストンリング(特公平6−25597号)。 ・ピストンリングの外周面に厚さ10〜50μmのCr
2 N皮膜を反応性イオンプレーティングにより形成する
(特開平1−156461号)。 ・外周面にCr2 NとCrNとからなる複合皮膜を形成
したピストンリング(特開平1−159449号)。 ・軟窒化またはCrめっきを施し、その上にCrN皮膜
を形成した圧縮リング(実公平1−22921号および
実公平1−22922号)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、実公平6−3
170号のスペーサエキスパンダは、耐摩耗性、信頼性
が充分でない。実公平1−22924号、特開平6−2
35462号のスペーサエキスパンダについては、Cr
N皮膜をスペーサエキスパンダのサイドレール押圧片に
適用すると、靱性が乏しいため運転中に剥離することが
分かってきた。
【0009】さらに、上記したように、圧縮リングの外
周面に適用可能なイオンプレーティング皮膜が、種々知
られている。しかし、圧縮リングの摺動条件は、 摺動相手:一般的に鋳鉄 摺動速度:10m/sのオーダー 圧力 :2kgf/cm2 前後 潤滑条件:主として流体潤滑 である。
【0010】これに対して、スペーサエキスパンダのサ
イドレール押圧片の摺動条件は、 摺動相手:ガス窒化したマルテンサイト系ステンレス鋼 摺動速度:ほとんど 0 圧力 :20kgf/cm2 以上 潤滑条件:主として境界潤滑 であり、圧縮リングの摺動条件とは異なっている。した
がって、スペーサエキスパンダのサイドレール押圧片に
は上述した圧縮リングに適用されているPVD皮膜を直
ちに適用可能でないことを意味している。
【0011】本発明の課題は、組合せオイルリングのス
ペーサエキスパンダの耐久性を改善し、圧縮点火機関に
も適用可能な組合せオイルリングを提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、サイドレール
内周面と接触するスペーサエキスパンダのサイドレール
押圧片に、耐摩耗性に優れた皮膜を形成し、さらに、ス
ペーサエキスパンダのコイルエキスパンダと接触する内
周部分に耐摩耗性に優れた皮膜を形成することにより、
上記課題を達成する。すなわち、本発明は、上下一対の
サイドレールと、これらのサイドレールを押圧するサイ
ドレール押圧片を有しているスペーサエキスパンダと、
スペーサエキスパンダの内周側に配置されスペーサエキ
スパンダを押圧するコイルエキスパンダとからなる組合
せオイルリングにおいて、前記スペーサエキスパンダの
サイドレール押圧片がサイドレールと接触する部分にC
2 N皮膜を有しており、かつ、スペーサエキスパンダ
の内周のコイルエキスパンダと接触する部分に軟窒化
層、窒化層、Ni系複合めっき皮膜、およびCr2 N皮
膜の中のいずれかが形成されていることを特徴とする。
【0013】スペーサエキスパンダのサイドレール押圧
片に形成されるCr2 N皮膜の硬さは、ビッカース硬度
でHV1300〜2000とするのが望ましい。これ
は、硬さがHV1300未満の場合、耐摩耗性が劣るた
め潤滑油消費量が多くなり、HV2000を越えると、
長時間運転後にクラックまたは剥離が生じるためであ
る。
【0014】また、Cr2 N皮膜の厚さは3〜30μm
とするのが望ましい。これは、皮膜の厚さが3μm未満
であると、耐久性が不足し、皮膜の厚さが30μmを越
えると、耐摩耗性は充分であるが、密着性のよい皮膜を
形成することが困難になるからである。
【0015】イオンプレーティングによって本発明のC
2 N皮膜を得るには、イオンプレーティング装置にお
いて、処理室内の窒素内圧と蒸発源であるCrの蒸発速
度を制御することによる。さらに、Cr2 N皮膜の硬さ
はバイアス電圧で制御することが可能である。
【0016】なお、サイドレールはスペーサエキスパン
ダのサイドレール押圧片と接触する部分に窒化層または
軟窒化層が形成されるのが望ましい。また、コイルエキ
スパンダはスペーサエキスパンダの内周と接触する部分
に軟窒化層または窒化層が形成されるのが望ましい。
【0017】本発明の組合せオイルリングは、上記のよ
うに、上下一対のサイドレールと、これらのサイドレー
ルを押圧するスペーサエキスパンダと、スペーサエキス
パンダを押圧するコイルエキスパンダとからなる構造を
有しているので、張力減退が少なく、かつ、リング溝側
面のシール性も優れている。そして、前記手段によっ
て、スペーサエキスパンダの耐摩耗性が高く、耐久性、
信頼性が高い。そのため、上記組合せオイルリング構成
上の特徴とスペーサエキスパンダの耐摩耗処理との組合
せによって、圧縮点火機関に使用した場合においても、
張力減退が抑制され、潤滑油消費量が少なくなる。
【0018】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施形態を示
し、シリンダに挿入されたピストンのオイルリング溝に
装着されている組合せオイルリングを示す縦断面図であ
る。図1において、1はピストン、2はシリンダで、ピ
ストン1の外周面に形成されているオイルリング溝3に
組合せオイルリング4が装着されている。組合せオイル
リング4は、環状で合口を備えている上下一対のサイド
レール5,6と、環状で合口を備えているスペーサエキ
スパンダ7と、環状で合口を備えているコイルエキスパ
ンダ8とからなっている。
【0019】スペーサエキスパンダ7は次のようにして
形成される。図2において、素材30は長手方向中心線
に対して対称形状をなしており、オーステナイト系のス
テンレス鋼の薄鋼帯の長手方向に等間隔にオイル孔とな
る亀甲状の孔16が列設されているとともに、これらの
孔16の間の薄鋼帯の両側部に略V字状切欠部17,1
8が形成されている。この素材30を対称形に折り曲げ
加工する。即ち、屈曲線A−AおよびB−Bに沿って幅
方向両側を同一幅で同一方向に90度屈曲する。次い
で、屈曲線C−CおよびD−Dに沿って上下の端部を同
一幅で斜めに屈曲して起立させ、次に、屈曲線E−Eお
よびF−Fに沿って上下の起立片の端部を同一幅で水平
に屈曲する。素材30を以上のように屈曲した後、下記
のまたはの工程が実施される。 :サイドレール押圧片が内周側になるように環状に成
形する成形工程→合口形成のための切断工程→全表面に
軟窒化層を形成するタフトライド処理工程→外周面にC
2 N皮膜を形成するイオンプレーティング工程。 :所定長さに切断する切断工程→サイドレール押圧片
が内周側になるように環状に成形する成形工程→全表面
に軟窒化層を形成するタフトライド処理工程→外周面に
Cr2 N皮膜を形成するイオンプレーティング工程。
【0020】すなわち、スペーサエキスパンダ7は、断
面が略コ字形状をなしており、一対の水平な上片9と下
片10とが軸方向に離間して配置され、これらの外周が
垂直な直立片11で接続されている。そして上片9と下
片10の内周には半径方向内方に向かって斜めに起立す
るサイドレール押圧片12,13が複数個、円周方向に
等間隔をおいてそれぞれ形成されており、各サイドレー
ル押圧片12,13の内周にはさらに半径方向内方に水
平に延びる内片14,15がそれぞれ形成されている。
そして、上片9と直立片11と下片10とにかけて開口
しているオイル孔が円周方向に等間隔をおいて多数形成
されている。
【0021】スペーサエキスパンダ7は前述したよう
に、オーステナイト系ステンレス鋼で形成されており、
タフトライド処理が施されて全表面に硬度HV1100
の軟窒化層20が形成されている。そしてこの軟窒化層
20上において、サイドレール押圧片12,13を含む
外周面に、イオンプレーティングによって、硬度HV1
300〜2000の硬さを有しているCr2 N皮膜21
が3〜30μmの厚さで形成されている。なお、Cr2
N皮膜の下地層は軟窒化層に代えて、Crめっき等でも
よい。
【0022】一対のサイドレール5,6はマルテンサイ
ト系ステンレス鋼で形成されており、ガス窒化処理が施
されて、全表面に窒化層22,23が形成されている。
なお、サイドレールはイオン窒化によって内周面と外周
面とにのみ窒化層を形成するようにしてもよい。
【0023】スペーサエキスパンダ7は、ピストン1の
オイルリング溝3内に、両合口端部が突き合わされて縮
められた状態で装着され、半径方向外方への拡張力を生
じるようにされており、一対のサイドレール5,6を上
下片9,10で上下(軸方向)に離隔保持し、上下のサ
イドレール押圧片12,13が一対のサイドレール5,
6の内周面をそれぞれ押圧することによって、各サイド
レール5,6の外周面をシリンダ2の内周面2aに密着
させるとともに、各サイドレール5,6の内周側の端部
をオイルリング溝3の側面3a,3bに密着させる。
【0024】スペーサエキスパンダ7の内周側にはコイ
ルエキスパンダ8が装着されている。コイルエキスパン
ダ8は、断面円形の線材をコイル状に巻き、コイル外周
面を研削加工し、リング状としたものである。したがっ
て、線材の断面は図では円の外周側を切り欠いた形状に
形成されている。この研削面19がスペーサエキスパン
ダ7のサイドレール押圧片12,13の基端部の内周に
接触するようにされている。なお、コイルエキスパンダ
8を形成する線材の断面形状は上記で示したものに限る
ことはなく、例えば円形や矩形等でもよい。
【0025】コイルエキスパンダ8は、ピストン1のオ
イルリング溝3内に、両合口端部が突き合わされて縮め
られた状態で装着され、半径方向外方への拡張力を生じ
るようにされており、スペーサエキスパンダ7を半径方
向外方に押圧付勢する。
【0026】図3は本発明の別の実施形態を示してお
り、上記実施形態と相違する点は、上記実施形態で示し
たスペーサエキスパンダ7のサイドレール押圧片12,
13を含む内周面に、さらに、厚さ5〜30μmのNi
系複合めっき皮膜、あるいはイオンプレーティングによ
って、硬度HV1300〜2000、厚さ3〜20μm
のCr2 N皮膜の耐摩耗性皮膜24が形成されている。
Ni系複合めっき皮膜としては例えばNi−P複合めっ
き皮膜やNi−Co−P複合めっき皮膜等を使用するこ
とができる。なお、Cr2 N皮膜の下地層は軟窒化層に
代えて、Crめっき等でもよい。
【0027】以下、本発明の効果を確認するために行っ
た試験について説明する。前記実施の形態で示した構造
のオーステナイト系ステンレス鋼製のスペーサエキスパ
ンダと、全表面にガス窒化処理を施したマルテンサイト
系ステンレス鋼製のサイドレールと、全表面にタフトラ
イド処理を施したオーステナイト系ステンレス鋼製のコ
イルエキスパンダとからなる4ピースの組合せオイルリ
ングを使用して、エンジン実験を行った。
【0028】以下、実験条件および結果について説明す
る。 1.スペーサエキスパンダの皮膜の形成 スペーサエキスパンダに、表1に示す種々の耐摩耗処理
を施した。
【0029】
【0030】上記比較例1,2および実施例1,2,3
の詳細は以下の通りである。
【0031】比較例1:580℃、20分の条件でタフ
トライド処理を行い、全表面に軟窒化層を形成した。H
V700以上の軟窒化層の厚さは18μmであった。
【0032】比較例2:スペーサエキスパンダのサイド
レール押圧片を含む外周面に、イオンプレーティングに
より、厚さ10μmのCr2 N皮膜を形成した。イオン
プレーティング条件は次の通りである。 イオンプレーティング装置:アークイオンプレーティン
グ装置 蒸発源:Cr 炉内窒素圧力:1.1mTorr バイアス電圧:30V なお、イオンプレーティング後、X線回折によって析出
物がCr2Nであることを確認した。また、皮膜の硬度
はHV1800であった。
【0033】実施例1:580℃、20分の条件でタフ
トライド処理を行い、全表面に軟窒化層を形成した。H
V700以上の軟窒化層の厚さは18μmであった。そ
の後、スペーサエキスパンダのサイドレール押圧片を含
む外周面に、イオンプレーティングにより、厚さ10μ
mのCr2 N皮膜を形成した。イオンプレーティングの
条件は比較例2と同じである。なお、イオンプレーティ
ング後、X線回折によって析出物がCr2Nであること
を確認した。また、皮膜の硬度はHV1800であっ
た。
【0034】実施例2:実施例1のスペーサエキスパン
ダのサイドレール押圧片を含む内周面に厚さ10μmの
複合めっき皮膜を形成した。複合めっきの条件は次の通
りである。 マトリックス:Ni−P(P:4.3重量%) 硬質粒子:SiC 硬質粒子の体積比率:12体積% 硬質粒子の粒径:1.5μm以下 この複合めっきは、無電解コンポジット(奥野製薬工業
株式会社)を使用し、温度90℃、時間80minで、
めっきできる。
【0035】実施例3:実施例1のスペーサエキスパン
ダのサイドレール押圧片を含む内周面に、イオンプレー
ティングにより、厚さ10μmのCr2 N皮膜を形成し
た。イオンプレーティングの条件は実施例1と同じであ
る。なお、イオンプレーティング後、X線回折によって
析出物がCr2Nであることを確認した。また、皮膜の
硬度はHV1800であった。
【0036】2.エンジン実験 上記5種類の耐摩耗性処理の異なる組合せオイルリング
を使用して、エンジン実験によって高速・全負荷で40
0時間の耐久試験を行った。実験に供したエンジンはシ
リンダ内径93mm、直列4気筒のディーゼルエンジン
である。組合せオイルリングの耐久性は、50時間毎に
潤滑油消費量を測定して評価した。
【0037】3.エンジン実験結果 潤滑油消費量の測定結果を、比較例1の50時間におけ
る潤滑油消費量を単位として図4に示す。図4は、本発
明の組合せオイルリングの潤滑油消費性能が長時間低下
せず、極めて優秀なことを示している。
【0038】なお、上記実施形態では、スペーサエキス
パンダの全周にタフトライド処理を行った後、外周にP
VD処理を行った。これによると、PVD皮膜の下地は
軟窒化層となる。これに対し、外周にPVD処理を行っ
た後、タフトライド処理を行うこともできる。これによ
れば、軟窒化層はPVD皮膜がない部分にのみ形成され
る。
【0039】また、本発明の組合せオイルリングのスペ
ーサエキスパンダは、上記の実施形態で示したものに限
ることはなく、例えば、内片14,15を設けないもの
もある。また、本発明は半径方向に波形をなしている形
状のスペーサエキスパンダを有している組合せオイルリ
ングにも適用される。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、組
合せオイルリングのスペーサエキスパンダの耐久性を改
善でき、圧縮点火機関にも適用可能で、潤滑油消費性能
を大幅に改善できる組合せオイルリングを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示し、シリンダに挿入さ
れたピストンのオイルリング溝に装着されている組合せ
オイルリングを示す縦断面図である。
【図2】スペーサエキスパンダの素材の一部分を示す平
面図である。
【図3】本発明の別の実施形態を示し、シリンダに挿入
されたピストンのオイルリング溝に装着されている組合
せオイルリングを示す縦断面図である。
【図4】エンジン実験における運転時間と潤滑油消費量
比を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ピストン 2 シリンダ 2a シリンダ内周面 3 オイルリング溝 3a,3b オイルリング溝側面 4 組合せオイルリング 5,6 サイドレール 7 スペーサエキスパンダ 8 コイルエキスパンダ 9 上片 10 下片 11 直立片 12,13 サイドレール押圧片 14,15 内片 16 孔 17,18 切欠部 19 研削面 20 軟窒化層 21 Cr2 N皮膜 22,23 窒化層 24 耐摩耗性皮膜 30 素材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 18/52 C23C 18/52 A 28/00 28/00 A

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上下一対のサイドレールと、これらのサ
    イドレールを押圧するサイドレール押圧片を有している
    スペーサエキスパンダと、スペーサエキスパンダの内周
    側に配置されスペーサエキスパンダを押圧するコイルエ
    キスパンダとからなる組合せオイルリングにおいて、 前記スペーサエキスパンダのサイドレール押圧片がサイ
    ドレールと接触する部分にCr2 N皮膜を有しており、
    かつ、スペーサエキスパンダの内周のコイルエキスパン
    ダと接触する部分に軟窒化層、窒化層、Ni系複合めっ
    き皮膜、およびCr2 N皮膜の中のいずれかが形成され
    ていることを特徴とする組合せオイルリング。
  2. 【請求項2】 前記サイドレール押圧片に形成されたC
    2 N皮膜の硬さがビッカース硬度でHV1300〜2
    000の範囲にあり、厚さが3〜30μmであることを
    特徴とする請求項1記載の組合せオイルリング。
  3. 【請求項3】 前記サイドレールがスペーサエキスパン
    ダのサイドレール押圧片と接触する部分に窒化層または
    軟窒化層を有しており、前記コイルエキスパンダがスペ
    ーサエキスパンダの内周と接触する部分に軟窒化層また
    は窒化層を有していることを特徴とする請求項1または
    2記載の組合せオイルリング。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2011000068A1 (en) 2009-07-01 2011-01-06 Mahle Metal Leve S/A Piston ring
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