JP2003113941A - ピストンリング及びピストンリングとピストンのリング溝との組み合わせ構造 - Google Patents

ピストンリング及びピストンリングとピストンのリング溝との組み合わせ構造

Info

Publication number
JP2003113941A
JP2003113941A JP2002076109A JP2002076109A JP2003113941A JP 2003113941 A JP2003113941 A JP 2003113941A JP 2002076109 A JP2002076109 A JP 2002076109A JP 2002076109 A JP2002076109 A JP 2002076109A JP 2003113941 A JP2003113941 A JP 2003113941A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piston ring
hard carbon
film
piston
coating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002076109A
Other languages
English (en)
Inventor
Minako Jino
美奈子 地濃
Katsuaki Ogawa
勝明 小川
Takahiro Okazaki
孝弘 岡崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Piston Ring Co Ltd
Original Assignee
Nippon Piston Ring Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Piston Ring Co Ltd filed Critical Nippon Piston Ring Co Ltd
Priority to JP2002076109A priority Critical patent/JP2003113941A/ja
Publication of JP2003113941A publication Critical patent/JP2003113941A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 耐摩耗性、耐スカッフ性およびに耐凝着性に
優れ、耐剥離性に優れた硬質炭素皮膜が形成されたピス
トンリングおよびピストンリングとピストンのリング溝
との組み合わせ構造を提供する。 【解決手段】 ピストンリング(1)の外周面(4)、
内周面(5)、上面(6)および下面(7)の全ての面
に連続して形成した硬質炭素皮膜(2)はSiを含む硬
質炭素皮膜であり、その硬質炭素皮膜の下地皮膜として
Si含有皮膜が形成されていること、または、その硬質
炭素皮膜がWまたはW−Niを含む硬質炭素皮膜であ
り、その硬質炭素皮膜の下地皮膜としてCr皮膜が形成
されていること、が好ましく、さらにピストンリングの
外周面には、硬質皮膜であるイオンプレーティング皮膜
が下地皮膜として形成されていることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ピストンリングお
よびピストンリングとピストンのリング溝との組み合わ
せ構造に関し、更に詳しくは、ピストン材との間の耐摩
耗性、耐スカッフ性およびに耐凝着性に優れ、かつ耐剥
離性に優れた硬質炭素皮膜が形成されたピストンリング
およびピストンリングとピストンのリング溝との組み合
わせ構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、内燃機関の軽量化と高出力化に伴
い、ピストンリングには高い摺動特性(例えば耐摩耗
性、耐スカッフ性、耐相手攻撃性)が要求されてきてい
る。
【0003】こうした中、耐摩耗性の向上や耐スカッフ
性の改善のために、Crめっき皮膜や窒化処理層等が、
ピストンリングの外周面や上下面に形成されている。ま
た、近年においては、上述した摺動特性をより向上させ
るために、Crめっき皮膜や窒化処理層等の代わりにP
VD(物理的蒸着)法で作製されたCrN(窒化クロ
ム)やTiN(窒化チタン)等の硬質皮膜が採用されて
いる。
【0004】しかし、ガソリンエンジンのように、ピス
トンのリング構(以下、リング構と略す。)がAl合金
である場合においては、ピストンリングの上下面がリン
グ溝の上下面(側面)と高温下で衝突を繰り返すため、
ピストンリングの上下面に形成されたCrめっき皮膜、
窒化層、またはPVD法で作製された硬質皮膜は、Al
合金製のリング溝を攻撃する。その結果、硬質皮膜が形
成されたピストンリングは、ピストンリングの上下面に
Al合金が凝着するいわゆる「A1凝着」現象を起こ
し、リング溝の摩耗を増大させるおそれがあった。
【0005】また、高出力・高負荷のディーゼルエンジ
ンのように、スチール製のピストンが使用されている場
合においても、上述した従来の硬質皮膜が形成されたピ
ストンリングは、大きな熱負荷に起因したスチールの凝
着現象を起こすことがあった。
【0006】こうした問題を解決するため、特開平11
−166625号公報および特開平12−120869
号公報には、硬質炭素皮膜(ダイアモンドライクカーボ
ン皮膜ともいわれることがある。以下同じ。)をその上
下面に形成したピストンリングが、Al合金製のリング
溝に対するAl凝着現象を抑制することが開示されてい
る。また、欧州特許であるEP0759519号公報に
も、金属成分を含まない硬質炭素皮膜(a−c:H構
造)を上下面に形成したピストンリングが、Al合金製
のリング溝に対するAl凝着現象を抑制することが開示
されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た特開平11−166625号公報、特開平12−12
0869号公報および欧州特許であるEP075951
9号公報に記載された硬質炭素皮膜を上下面および/ま
たは外周面に形成したピストンリングは、摺動時におけ
る硬質炭素皮膜の耐剥離性や密着性が不十分であり、使
用中における硬質炭素皮膜のクラック及び/又は欠け
等、更には剥離の発生が生じやすいという問題があっ
た。
【0008】特に、欧州特許であるEP0759519
号公報に記載されたピストンリングは、硬質炭素皮膜の
内部応力が高く、密着性に劣るという問題があった。
【0009】本発明は、上述した課題を解決するための
手段を提供するものであって、ピストン材との間の耐摩
耗性、耐スカッフ性およびに耐凝着性に優れ、かつ耐剥
離性に優れた硬質炭素皮膜が形成されたピストンリング
およびピストンリングとピストンのリング溝との組み合
わせ構造を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明のピストンリングは、Si、WおよびNiから
選択される元素を1または2以上含む硬質炭素皮膜が、
ピストンリングの外周面、内周面、上面および下面の全
ての面に、下地皮膜を介してまたは直接、連続して形成
されていることに特徴を有する。
【0011】この発明によれば、ピストンリングの全て
の面に上述した硬質炭素皮膜が連続して形成されている
ので、使用中における硬質炭素皮膜のクラック及び/又
は欠け等を発生させる起点が少なく、形成された硬質炭
素皮膜の耐剥離性を極めて向上させることができる。そ
の結果、長期間使用した場合であっても、耐摩耗性、耐
スカッフ性および耐凝着性に優れたピストンリングを提
供することができる。こうした本発明のピストンリング
は、Al合金製のリング溝やスチール製のリング溝に対
して好ましく適用できるので、ガソリンエンジン用のみ
ならず、高出力・高負荷のディーゼルエンジン用として
好ましく使用することができる。
【0012】本発明のピストンリングにおいては、
(イ)前記硬質炭素皮膜はSiを含む硬質炭素皮膜であ
り、当該硬質炭素皮膜の下地皮膜としてSi含有皮膜が
形成されていること、(ロ)前記硬質炭素皮膜はWまた
はW−Niを含む硬質炭素皮膜であり、当該硬質炭素皮
膜の下地皮膜としてCr皮膜が形成されていること、が
好ましい。
【0013】本発明において、硬質炭素皮膜は、下地皮
膜を介してまたは直接に、ピストンリング上に形成され
る。下地皮膜は、硬質炭素皮膜の密着性を向上させる
ためにその硬質炭素皮膜の下地として設けられるSi含
有皮膜またはCr皮膜からなる皮膜と、ピストンリン
グの摺動面の耐摩耗性を向上させるためにピストンリン
グ母材の少なくとも外周面に設けられる硬質皮膜(Cr
−N、TiN、Cr−O−N、Cr−B−N等をイオン
プレーティング法またはスパッタリング法で形成した皮
膜)とが挙げられる。硬質炭素皮膜は下地皮膜を介して
または直接に設けられ、そして、これらの各皮膜は、ピ
ストンリング母材上に層状に積層される。
【0014】上述のように、硬質炭素皮膜の下地皮膜と
して、Si含有皮膜やCr皮膜を形成することにより、
硬質炭素皮膜の密着性を向上させることができる。その
結果、優れた耐剥離性を有するピストンリングとするこ
とができ、ピストンリングの摺動特性(耐摩耗性、耐ス
カッフ性および凝着現象の抑制)をより一層向上させる
ことができる。
【0015】また、本発明のピストンリングにおいて、
硬質皮膜であるイオンプレーティング皮膜が、ピストン
リングの少なくとも外周面に、前記Si含有皮膜または
Cr皮膜に加えて、または、前記Si含有皮膜またはC
r皮膜に代えて、下地皮膜として形成されていることが
好ましい。Si含有皮膜またはCr皮膜に加えて硬質皮
膜を形成する場合には、ピストンリング母材上に、硬質
皮膜であるイオンプレーティング皮膜が下地皮膜として
積層され、その上にSi含有皮膜またはCr皮膜が積層
され、その上に硬質炭素皮膜が積層される。
【0016】この発明によれば、硬くて靱性のあるイオ
ンプレーティング皮膜が下地皮膜として形成されている
ので、摺動面として作用するピストンリングの少なくと
も外周面の耐摩耗性をより一層向上させることができ
る。
【0017】上記課題を解決するための本発明のピスト
ンリングとピストンのリング溝との組み合わせ構造は、
Si、WおよびNiから選択される元素を1または2以
上含む硬質炭素皮膜が外周面、内周面、上面および下面
の全ての面に、下地皮膜を介してまたは直接、連続して
形成されているピストンリングと、スチール製またはア
ルミニウム合金製のピストンのリング溝とからなること
に特徴を有する。
【0018】この発明によれば、全ての面に上述の硬質
炭素皮膜が連続して形成されたピストンリングは、硬質
炭素皮膜の耐剥離性を極めて向上させるので、長期間使
用した場合であっても、凝着現象が極めて起こりにくい
組み合わせ構造となる。そのため、ガソリンエンジン用
のみならず、高出力・高負荷のディーゼルエンジン用に
も好ましく適用できる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明のピストンリング及びピス
トンリングとピストンのリング溝との組み合わせ構造に
ついて図面を参照しつつ説明する。
【0020】(1)ピストンリング 本発明のピストンリング1は、図1および図2に示すよ
うに、その外周面4、内周面5、上面6および下面7の
全ての面に硬質炭素皮膜2が連続して形成されているも
のである。そして、図7に示すように、ピストンのリン
グ溝11に装着され、ピストンの上下運動(往復運動に
同じ。)によりシリンダライナー12の内周面に摺動接
触し、さらにリング溝11の上下面(側面)13で叩か
れながら、上下運動する摺動部材である。
【0021】本発明のピストンリング1は、トップリン
グ、セカンドリング、オイルリングの何れかであっても
またはそれらの全てであってもよい。特に、トップリン
グには好適に使用される。
【0022】硬質炭素皮膜2が形成されるピストンリン
グ1は、従来より使用されている材質からなるものであ
ればよく特に限定されない。したがって、いかなる材質
からなるピストンリング1に対しても本発明を適用で
き、従来より好ましく用いられている例えばステンレス
スチール材、鋳物材、鋳鋼材、鋼材等にも適用できる。
【0023】これらのうち、鋳物材よりも鋼(スチー
ル)材が好ましく適用される。鋼材が望ましいのは、例
えば、鋳物材上に硬質炭素皮膜2をCVD法で形成する
場合、巣から発生するガスが雰囲気を悪化させ、硬質炭
素皮膜の形成に悪影響を及ぼすためである。そうした鋼
材としては、マルテンサイトステンレス鋼(JIS規格
で表されるSUS410、SUS440材)、オーステ
ナイトステンレス鋼(SUS304材)、Si−Cr鋼
等のような材料でも適用が可能である。
【0024】本発明のピストンリング1は、硬質炭素皮
膜2が全周に形成されるので、クラック及び/又は欠け
等の欠陥を発生させる起点が少なく、硬質炭素皮膜2の
耐剥離性を顕著に向上させることができる。また、硬質
炭素皮膜2には、Al凝着現象および高負荷時のスチー
ル凝着現象を抑制するという作用があると共に耐摩耗性
および耐スカッフ性を改善するという作用もある。従っ
て、本発明のピストンリングを使用すれば、耐摩耗性、
耐スカッフ性、および、Al凝着現象または高負荷時の
スチール凝着現象の抑制を長期にわたって達成すること
ができる。
【0025】硬質炭素皮膜2は、反応性イオンプレーテ
ィング法や反応性スパッタリング法等のいわゆるPVD
法により形成される。また、プラズマCVD法等のCV
D法によっても形成することができる。
【0026】硬質炭素皮膜2の形成においては、上下面
および内周面に積極的に硬質炭素皮膜を成膜するため、
治具に各ピストンリング母材を一定の隙間で並べて装着
し、その後硬質炭素皮膜2を成膜する。従って、各ピス
トンリング母材の隙間を通過した原子が、上面、下面お
よび内周面上に析出するので、その隙間に応じて、各面
の厚さに差が生じることがある。特に、本発明のピスト
ンリング1のように、例えば反応性イオンプレーティン
グ装置や反応性スパッタリング装置のチャンバー内の治
具に取り付けられて成膜される場合においては、ピスト
ンリングの外周面4に形成される硬質炭素皮膜が最も厚
くなりやすく、上面6と下面7が続き、内周面5が最も
薄くなりやすい。そうした厚さの差は、ピストンリング
1を治具に取り付ける際に、隣接するピストンリング1
の隙間を調整することによりコントロールすることがで
き、例えば、その隙間を大きくすることにより各々の面
の厚さの差を小さくでき、隙間を小さくすることにより
各々の面の厚さの差を大きくすることができる。このと
き、各ピストンリングの隙間をおよそ10mm程度と
し、それより大きくしたり小さくして各々の面の厚さを
調整し、本発明のピストンリングの効果を達成する。
【0027】硬質炭素皮膜2は、Si、WおよびNiか
ら選択される元素を1または2以上含むものである。こ
うした硬質炭素皮膜2は、Si、W、Ni等の元素を含
む硬質炭素皮膜であっても、SiC、WC等の炭化物を
含む硬質炭素皮膜であってもよく、または、Si、W、
Ni等の元素およびSiC、WC等の炭化物の両方を含
む硬質炭素皮膜であってもよい。そうした硬質炭素皮膜
を形成することにより、耐摩耗性および耐スカッフ性に
優れたピストンリング1を構成することができる。ま
た、硬質炭素皮膜2は、凝着現象を抑制する作用を有し
ているので、本発明のピストンリング1の上下面6、7
および内周面5がAl合金製またはスチール製のリング
溝11の上下面(側面)13に接触しても、Al凝着や
スチール凝着が発生し難いという優れた特性を有してい
る。
【0028】なお、硬質炭素皮膜の基本構造は、天然ダ
イヤモンドと同じ炭素sp3 結合と、グラファイトと同
じ炭素sp2 結合と、水素結合とを含むアモルファス構
造からなるものとして知られているが、本発明における
硬質炭素皮膜2もそうした基本構造を有するものであ
る。
【0029】硬質炭素皮膜2の組成については特に限定
されないが、例えば、W−Ni系の硬質炭素皮膜2の場
合には、W:55〜85wt%好ましくは60〜80w
t%、Ni:3〜10wt%好ましくは5〜8wt%、
C:残部、その他不可避不純物であることが好ましい。
また、Si系の硬質炭素皮膜2の場合には、Si:50
〜70wt%好ましくは55〜65wt%、C:残部、
その他不可避不純物であることが好ましい。また、W系
の硬質炭素皮膜2の場合には、W:50〜85wt%好
ましくは60〜80wt%、C:残部、その他不可避不
純物であることが好ましい。
【0030】Siを硬質炭素皮膜に含むことにより、皮
膜の形成能がよくなり、厚膜化が容易になる。Wを硬質
炭素皮膜に含むことにより、皮膜形成時の応力が緩和し
皮膜の形成が容易になる。Niは、硬質炭素皮膜形成用
Wターゲット中に含有されていることがあり、硬質炭素
皮膜2中に含有されやすい元素である。なお、Niを含
有するターゲットはコスト削減の観点からは有利であ
る。
【0031】図5は、Si系の硬質炭素皮膜が含有する
Siの含有比率を膜厚方向に傾斜させた態様を示してい
る。図5に示すように、Siの含有比率が表面側から母
材8側に向かって高くなるように曲線状に変化させた
り、直線状に変化させることができる。さらに、Si含
有比率が母材側のみ高くなるように傾斜させ、その他の
部位では一定の組成とすることも可能である。そうした
変化は、成膜中のガス圧のコントロール、具体的には、
シランガスとアセチレンガスの混合比率をシランガスの
ガス比率が増すように変化させることでSi含有比率を
上げることができ、アセチレンガスのガス比率が増すよ
うに変化させることでSi含有比率を下げることができ
る。なお、後述のように、Si系の硬質炭素皮膜の下地
皮膜9としてSi含有皮膜を形成することにより、Si
系の硬質炭素皮膜の密着性を顕著に向上させることがで
きる。
【0032】そのSi含有皮膜は、Siがおよそ70〜
100重量%の範囲となるように形成される。そして、
その上に形成されるSi系硬質炭素皮膜は、下地皮膜側
のSi含有比率を高くし、およそ70〜100重量%と
することが好ましく、密着性を顕著に向上させることが
できる。なお、その際、最表面側のSi系の硬質炭素皮
膜のSi含有比率は低くなり、およそ0〜70重量%と
なる。
【0033】ピストンリング1の内周面5に形成される
硬質炭素皮膜2の厚さは、0.01μm以上であること
が好ましい。0.01μm以上の硬質炭素皮膜を内周面
5に形成したピストンリング1は、硬質炭素皮膜2の耐
剥離性が顕著に向上するので、本発明の所期の目的を達
成することができる。また、内周面5に形成される硬質
炭素皮膜2の厚さは、上述のように、隙間を大きくする
ことにより厚くすることができるので、外周面4や上下
面6、7の厚さとの差を適宜調整できる。なお、内周面
での厚さの上限を、約30μm程度にまですることも可
能である。
【0034】ピストンリング1の上面6および下面7に
形成される硬質炭素皮膜2の厚さは、1〜30μmであ
ることが好ましい。その硬質炭素皮膜2の厚さを1〜3
0μmとしたのは、リング溝11との間の耐Al凝着性
または耐スチール凝着性、耐摩耗性および耐スカッフ
性、および製造上の観点によるものである。具体的に
は、上面6および下面7に形成される硬質炭素皮膜2の
厚さが1μm未満では、膜厚が薄くてリング溝11の上
下面(側面)13との間で耐摩耗性の向上が図れないこ
とがある。一方、上面6および下面7に形成される硬質
炭素皮膜2の厚さが30μmを超えると、形成された硬
質炭素皮膜2に剥離が発生することがある。
【0035】本発明においては、上記の範囲からなる上
面6及び下面7の厚さを100(指数)としたときに、
外周面4の厚さを100〜500(指数)とすることが
好ましく120〜300(指数)とすることがより好ま
しく、また、内周面5の厚さについては、1〜99(指
数)とすることが好ましく30〜90(指数)とするこ
とがより好ましい。従って、外周面の厚さは、1〜15
0μm、好ましくは1.2〜90μmの範囲で形成する
ことができる。
【0036】こうした硬質炭素皮膜2をピストンリング
1の全周に連続して形成することにより、ピストンリン
グ1がピストンに装着されて使用された場合であって
も、クラック及び/又は欠け等の欠陥を発生させる起点
が少なくなり、硬質炭素皮膜2の耐剥離性を向上させる
ことができる。その結果、長期間使用した場合であって
も、耐摩耗性および耐スカッフ性に優れ、Al凝着現象
またはスチール凝着現象を抑制できるピストンリングを
提供することができる。
【0037】さらに、本発明のピストンリング1におい
ては、ピストンリング1の摺動時におけるオイル燃焼に
基づくすすの付着の問題を解決することができるという
利点がある。すなわち、従来においては、ピストンリン
グ1とリング溝11との間で起こるオイル焼けにより発
生したすすが、ピストンリングの下面7および内周面5
に付着または凝着して、ピストンリングを拘束してしま
うことがあった。こうしたことは、ピストンリングとリ
ング溝との間にすすがたまりやすい矩形形状のピストン
リングの場合に顕著であり、ハーフキーストンリング
や、ディーゼルエンジンに好ましく採用されているフル
キーストンリングの場合であっても同様であった。こう
したすすの付着の問題に対して、本発明のピストンリン
グ1は、全周に、特にこうしたすすの問題が起こる下面
7と内周面5に硬質炭素皮膜2が形成されているので、
すすが付きにくく、たとえ付着したとしても容易に砕く
ことができ、すすを排除しやすくなる。その結果、すす
の付着を防止することができ、ピストンリングが拘束さ
れるのを防ぐとともに異常な背圧の上昇を防ぐことがで
きるという顕著な効果を有している。
【0038】図3に示すように、上述した硬質炭素皮膜
2の下地皮膜9として、Si含有皮膜またはCr皮膜が
形成されていることが好ましい。
【0039】Si含有皮膜については、既述したよう
に、Siがおよそ70〜100重量%の範囲となるよう
に、ピストンリング母材である鋼材上に形成されること
が好ましく、その上にSi系硬質炭素皮膜が形成される
ことにより、その硬質炭素皮膜の密着性を顕著に向上さ
せることができる。Cr皮膜については、ピストンリン
グ母材である鋼材上にCr皮膜または実質的にCrから
なる皮膜が形成されることが好ましく、その上にW系ま
たはW−Ni系硬質炭素皮膜が形成されることにより、
その硬質炭素皮膜の密着性を顕著に向上させることがで
きる。なお、Si含有皮膜は、SiC、または、Siと
Cとの混合物、または、それら3種の混合物、の何れか
である。また、実質的にCrからなる皮膜は、不可避不
純物を含むことがある。
【0040】こうしたSi含有皮膜またはCr皮膜の作
用により、下地のピストンリング母材8と硬質炭素皮膜
2との密着性を向上させて耐剥離性を向上させることが
できる。その結果、ピストンリングの耐摩耗性および耐
スカッフ性の効果、および、凝着現象の抑制効果をより
一層向上させることができる。
【0041】下地皮膜9であるSi含有皮膜やCr皮膜
は、それぞれの種類に応じて、スパッタリング法、イオ
ンプレーティング法またはめっき法等により形成するの
が望ましい。なお、この下地皮膜9の厚さは、0.1〜
5μmであることが好ましい。
【0042】また、ピストンリング1の少なくとも外周
面4には、図2及び図4に示すように、硬質皮膜からな
る下地皮膜(以下、硬質皮膜3という。)が形成されて
いることが好ましい。
【0043】硬質皮膜3としては、イオンプレーティン
グ法で形成される皮膜(本発明においては、これをイオ
ンプレーティング皮膜という。)であることが好まし
く、特に、Cr−N、TiN、Cr−O−N、Cr−B
−N等の硬質皮膜3であることが好ましい。こうしたイ
オンプレーティング皮膜は、硬くて靱性があるので、摺
動面として作用するピストンリング1の外周面4の耐摩
耗性および耐スカッフ性を向上させることができる。な
お、イオンプレーティング法の代わりに反応性スパッタ
リング法等の薄膜形成法により形成された硬質皮膜3で
あってもよい。こうした硬質皮膜3の厚さは、5〜50
μm程度であることが好ましい。
【0044】次に、本発明のピストンリングを製造する
方法について説明する。
【0045】ピストンリングの全周、すなわちピストン
リングの外周面4、内周面5、上面6および下面7に、
下地皮膜を介してまたは直接、連続して形成される硬質
炭素皮膜2を、反応性イオンプレーティング法または反
応性スパッタリング法等のPVD法または、CVD法に
より形成する。
【0046】スパッタリング法で硬質炭素皮膜を形成す
る場合の一例としては、先ず、ピストンリング母材8を
反応性スパッタリング装置のチャンバー内の取付治具に
セットし、そのチャンバー内を真空引きする。その後、
取付治具を回転させつつアルゴン等の不活性ガスを導入
し、イオンボンバードメントによりピストンリング母材
8の表面を清浄化する。その後、先ず、Crターゲット
をイオン化したアルゴン等でスパッタリングし、チャン
バー内の蒸発したCr原子をピストンリング母材8上に
析出させ、次いで、炭素源であるメタン等の炭化水素系
ガスをチャンバー内に導入し、Si、WおよびNiから
選択される元素が1または2以上含まれている金属ター
ゲットをイオン化したアルゴン等でスパッタリングし、
チャンバー内の炭素原子と蒸発した金属原子とを結合さ
せてCr原子が析出したピストンリング母材8上に、硬
質炭素皮膜2を形成させる。Si、W、Niからなる元
素の含有比率は、それらの元素の蒸発速度および反応性
ガスの圧力等を調整することにより制御される。
【0047】CVD法で硬質炭素皮膜を形成する場合の
一例としては、先ず、ピストンリング母材8をプラズマ
CVD装置のチャンバー内の取付治具にセットし、その
チャンバー内を真空引きする。その後、取付治具を回転
させつつアルゴン等の不活性ガスを導入し、イオンボン
バードメントによりピストンリング母材8の表面を清浄
化する。その後、炭素源であるアセチレン等の炭化水素
ガスをチャンバー内に導入し、Siが含まれているシラ
ンガス等を導入して、プラズマで活性化し、チャンバー
内の炭素原子と蒸発した金属原子とが結合してピストン
リング母材8上に少なくともSiを含む皮膜として析出
させ、硬質炭素皮膜2を形成する。Siの含有比率は、
Si元素を含む反応性ガスの圧力等を調整することによ
り制御される。
【0048】図6は、取付治具にセットされたピストン
リング母材の平面図(a)および本発明のピストンリン
グの特定部位の断面図(b)の一例を示している。上述
したように、ピストンリング母材8は、チャンバー内の
取付治具31にセットされる。この図は模式図である
が、ピストンリング母材8を取付治具31で内側から張
ることにより、ピストンリング母材8を保持できる。こ
うして保持されたピストンリング母材8は、自由合い口
隙間(フリーの状態での合い口部分の隙間のこと。)よ
り僅かに広げられた状態に保持した状態でセットされ
る。その際、取付治具31の形状によっては、図6
(a)に示すように、ピストンリング母材8の内周面5
に接触することがある。そのような接触状態でセットさ
れたピストンリング母材8に硬質皮膜3、下地皮膜9お
よび硬質炭素皮膜2等を形成した場合においては、取付
治具31に接触したピストンリングの内周面5には、そ
の製造上の問題により、それらの皮膜が形成されていな
いことがある(図6(b)を参照。)。図6(a)は一
実施例を示すものであり、治具の形態はこの形状に限定
されず、治具のコストや寿命を含め適宜選択することが
できる。
【0049】しかしながら、本発明のピストンリング
は、内周面5の一部に、下地皮膜9および硬質炭素皮膜
2等が形成されていない部位(特定部位32という。)
を有するものであっても、ピストンリング全体としては
硬質炭素皮膜2が連続して形成されている。その結果、
このような特定部位を有するピストンリングは、特定部
位以外のピストンリングの全周に硬質炭素皮膜2が連続
して形成されているので、本発明の効果を発揮でき、本
発明の技術的範囲に含まれる。そして、硬質炭素皮膜2
の耐剥離性を向上させることができる。
【0050】このとき、図6(b)に示すように、硬質
炭素皮膜2は、その特定部位32(取付治具31により
内周面5の全てに硬質炭素皮膜2が形成されていない部
位)において、内周面側のコーナー33から内周面5の
中心方向に回りこむように形成される。各コーナー33
から内周面5の中心方向に回りこむ割合としては、ピス
トンリング1の厚さtと、上下のコーナーから中心方向
に回り込む長さt1との比が、t1/t=1/10以
上、すなわち、t1はピストンリング1全体の厚さtの
10%以上であることが好ましい。このような状態で形
成された硬質炭素皮膜2は、硬質炭素皮膜2が形成され
なくなる境界線34が、コーナー33よりも内周面5の
中心方向にあるので、摺動時の衝撃によっても剥離の起
点とはなり難い。その結果、そうした特定部位32を僅
か(例えば、2,3箇所)有するピストンリングは、高
い耐剥離性を備えている。なお、最も好ましいのは特定
部位がなく、全面を被覆したものであることはいうまで
もない。
【0051】なお、硬質皮膜3であるイオンプレーティ
ング皮膜を下地皮膜として外周面4に有するピストンリ
ング1は、例えばCr−N、TiN、Cr−O−N、C
r−B−N等の化合物からなる硬質皮膜3を予めイオン
プレーティング装置によりピストンリング母材8上に形
成し、その後、上述の反応性スパッタリング装置等に供
して硬質炭素皮膜を形成して製造される。このとき、そ
うした硬質皮膜3を形成した後、その硬質皮膜3上にS
i含有皮膜やCr皮膜を下地皮膜9として形成し、さら
にその下地皮膜9上に硬質炭素皮膜2を形成することが
好ましい(図4を参照。)。
【0052】(2)ピストンリングとピストンのリング
溝との組み合わせ構造 図7は、ピストンリングとピストンのリング溝との組み
合わせ構造の一例を示す構成断面図である。
【0053】ピストンリング1とピストンのリング溝1
1との組み合わせ構造は、上述した本発明のピストンリ
ング1と、スチール製またはアルミニウム合金製からな
るリング溝11とから構成される。ピストンリング1の
特徴的な構成および効果等については、上述した本発明
のピストンリングと同じである。なお、図7中、符号1
2はシリンダライナーである。
【0054】上述した本発明のピストンリング1は、A
l合金製のピストンおよびスチール製のピストンに対
し、好ましく用いられる。もちろん、本発明のピストン
リング1を、あまり凝着現象が起こらないとされてい
る、ピストントレーガーが装着されたAl合金製のピス
トンや鋳鉄製のピストンに対して適用してもよい。
【0055】Al合金製のピストンは、Al−Si−N
i−Cu−Mg系合金(例えば、JIS規格記号で、A
C8A、AC8B、AC8C)からなるものが好ましく
適用される。このピストンは、最も多く用いられ、静置
鋳造により鋳込まれるものである。
【0056】スチール製のピストンは、熱間工具鋼とし
て用いられる熱間ダイス鋼からなるものが好ましく適用
され、具体的には、SKD6(JIS規格記号)からな
るものがより好ましい。こうした鋼材は、軟化抵抗や二
次硬化等の効果を発揮する。このピストンは、高負荷な
ディーゼルエンジンに用いられる。
【0057】本発明のピストンリング1を、前記のピス
トンに形成されているリング溝11に装着することによ
り、そのリング溝11とピストンリング1との間の凝着
現象を極めて有効に抑制することができる。
【0058】
【実施例】以下に、実施例と比較例を挙げて、本発明を
更に詳しく説明する。なお、表1は、実施例1〜9と比
較例1、2の構成を示している。
【0059】(実施例1)17Crステンレス鋼製のピ
ストンリング母材8を作製した。次いで、その全周、す
なわち外周面4、内周面5、上面6および下面7に、S
i系の硬質炭素皮膜2をCVD装置により形成した。こ
うして実施例1のピストンリングを作製した。
【0060】なお、Si系の硬質炭素皮膜2は、シラン
ガス圧などの反応条件を制御することにより、Si:6
9.4wt%、C:残部、および不可避不純物からなる
組成とし、各面の厚さを、外周面4:9.9μm、内周
面5:6.5μm、上面6:7.5μmおよび下面7:
6.1μmとした。
【0061】(実施例2)実施例1において、Si系の
硬質炭素皮膜2を形成する前のピストンリング母材8の
外周面4に、イオンプレーティング装置により厚さ30
μmの硬質皮膜3(Cr−N皮膜)を形成した。それ以
外は、実施例1と同様にして、実施例2のピストンリン
グを作製した。
【0062】なお、イオンプレーティング皮膜は、イオ
ンプレーティング装置により主に{200}に配向した
CrN皮膜を形成した。その後、イオンプレーティング
皮膜の表面を研削加工し、研磨ペーパーを用いた表面研
磨を行い、粗さ1μmRzとなるように調整した。最終
的な皮膜厚さを20μmとした。形成されたイオンプレ
ーティング皮膜のビッカース硬さはHv1500であっ
た。
【0063】(実施例3)実施例2において、硬質皮膜
3(Cr−N皮膜)を形成した後、Si系の硬質炭素皮
膜2を形成する前のピストンリング母材8の全周にCV
D装置により厚さ1μmのSi含有皮膜(Si:72w
t%)を下地皮膜9として形成した。それ以外は、実施
例2と同様にして、実施例3のピストンリングを作製し
た。
【0064】(実施例4)実施例1において、その全周
にSi系の硬質炭素皮膜2をCVD装置により形成する
代わりに、その全周にW系の硬質炭素皮膜2を反応性ス
パッタリング装置により形成した。それ以外は、実施例
1と同様にして、実施例4のピストンリングを作製し
た。
【0065】なお、W系の硬質炭素皮膜2は、Wターゲ
ットおよび炭素含有ガス圧などの反応条件を制御するこ
とにより、W:75wt%、C:残部、および不可避不
純物からなる組成とし、各面の厚さを、外周面4:2.
1μm、内周面5:0.4μm、上面6:1.1μmお
よび下面7:0.7μmとした。
【0066】(実施例5)実施例4において、W系の硬
質炭素皮膜2を形成する前のピストンリング母材8の外
周面4に、イオンプレーティング装置により厚さ30μ
mの硬質皮膜3(Cr−N皮膜)を形成した。それ以外
は、実施例4と同様にして、実施例5のピストンリング
を作製した。
【0067】なお、イオンプレーティング皮膜の詳細に
ついては、実施例2に記載のものと同様である。
【0068】(実施例6)実施例5において、硬質皮膜
3(Cr−N皮膜)を形成した後、W系の硬質炭素皮膜
2を形成する前のピストンリング母材8の全周にイオン
プレーティング装置により厚さ0.4μmのCr皮膜
(Cr)を下地皮膜9として形成した。それ以外は、実
施例5と同様にして、実施例6のピストンリングを作製
した。
【0069】(実施例7)実施例1において、その全周
にSi系の硬質炭素皮膜2をCVD装置により形成する
代わりに、その全周にW−Ni系の硬質炭素皮膜2を反
応性スパッタリング装置により形成した。それ以外は、
実施例1と同様にして、実施例7のピストンリングを作
製した。
【0070】なお、W−Ni系の硬質炭素皮膜2は、W
−Niターゲットおよび炭素含有ガス圧などの反応条件
を制御することにより、W:75wt%、Ni:8wt
%、C:残部、および不可避不純物からなる組成とし、
各面の厚さを、外周面4:2.1μm、内周面5:0.
4μm、上面6:1.1μmおよび下面7:0.7μm
とした。
【0071】(実施例8)実施例7において、W−Ni
系の硬質炭素皮膜2を形成する前のピストンリング母材
8の外周面4に、イオンプレーティング装置により厚さ
30μmの硬質皮膜3(Cr−N皮膜)を形成した。そ
れ以外は、実施例7と同様にして、実施例8のピストン
リングを作製した。
【0072】なお、イオンプレーティング皮膜の詳細に
ついては、実施例2に記載のものと同様である。
【0073】(実施例9)実施例8において、硬質皮膜
3(Cr−N皮膜)を形成した後、W系の硬質炭素皮膜
2を形成する前のピストンリング母材8の全周にイオン
プレーティング装置により厚さ0.4μmのCr皮膜
(Cr)を下地皮膜9として形成した。それ以外は、実
施例8と同様にして、実施例9のピストンリングを作製
した。
【0074】(比較例1)17Crステンレス鋼製のピ
ストンリング母材8を作製した。次いで、上面6および
下面7のみに、厚さ6.5μmのSi系の硬質炭素皮膜
2をCVD装置により形成して、比較例1のピストンリ
ングを作製した。なお、Si系の硬質炭素皮膜2は、シ
ランガス圧などの反応条件を制御することにより、S
i:69.4wt%、C:残部、および不可避不純物か
らなる組成とした。
【0075】(比較例2)17Crステンレス鋼製のピ
ストンリング母材8を作製した。次いで、そのピストン
リング母材8の全周に、ガス窒化処理を施し、深さ10
0μmのガス窒化層を形成した。その後、外周面4に、
イオンプレーティング装置により硬質皮膜3(Cr−N
皮膜)を形成して、比較例2のピストンリングを作製し
た。
【0076】なお、ガス窒化処理は、アンモニア分解ガ
ス雰囲気中で590℃×6時間保持し、さらに、540
℃×2時間保持して上記深さのガス窒化層を形成した。
その後、窒化層の表面を研削加工し、研磨ペーパーを用
いた表面研磨を行い、粗さ1μmRzとなるとように調
整した。最終的な窒化層深さを70μmとした。形成さ
れたガス窒化層のビッカース硬さはHv1100であっ
た。
【0077】(摩耗試験)摩耗試験は、アムスラー型摩
耗試験機を使用し、試験片のほぼ半分を油に浸漬し、相
手材を接触させ、荷重を負荷して行った。試験片として
は、アムスラー試験片を用いた。このアムスラー試験片
は、実施例1〜9および比較例2のピストンリングと同
様の処理を施したものを使用した。各試験片を用いて摩
耗試験を行い、耐摩耗性の評価を行った。試験条件は、
潤滑油:クリセフH8(1号スピンドル油相当品)、油
温:80℃、周速:1m/秒(478rpm)、荷重:
150kgf、試験時間:7時間の条件下で、ボロン鋳
鉄を相手材として行った。このボロン鋳鉄からなる相手
材は、所定形状に研削加工した後、研削砥石の細かさを
変えて順次表面研削を行い、最終的に2μmRzとなる
ように調整した。摩耗量の測定は、粗さ計による段差プ
ロファイルで摩耗量(μm)を測定して評価した。
【0078】耐摩耗性は、実施例1〜9に対応する各試
験片の摩耗量を、比較例2に対応する試験片の摩耗量に
対しての相対比として比較し、摩耗指数とした。従っ
て、各試験片の摩耗指数が100より小さいほど摩耗量
が少ないことを表す。実施例1〜9に対応する各試験片
の摩耗指数は105〜108であり、比較例2に対応す
る試験片の結果とほぼ同等であり、大きな問題が発生す
ることはない。結果を表2に示した。
【0079】(スカッフ試験)スカッフ試験は、アムス
ラー型摩耗試験機を使用し、試験片に潤滑油を付着さ
せ、スカッフ発生まで荷重を負荷させて行った。試験片
としては、アムスラー試験片を用いた。このアムスラー
試験片は、実施例1〜9および比較例2のピストンリン
グと同様の処理を施したものを使用した。各試験片を用
いてスカッフ試験を行い、耐スカッフ性の評価を行っ
た。試験条件は、潤滑油:クリセフH8(1号スピンド
ル油相当品)、周速:1m/秒(478rpm)の条件
下で、ボロン鋳鉄を相手材として行った。このボロン鋳
鉄も上述の方法により最終的に2μmRzとなるように
調整した。
【0080】耐スカッフ性は、比較例2に対応する試験
片のスカッフ発生荷重を100とし、実施例1〜9に対
応する各試験片のスカッフ発生荷重を、比較例2に対応
する試験片の結果に対しての相対比として比較し、耐ス
カッフ指数とした。従って、実施例1〜9に対応する各
試験片の耐スカッフ指数が100より大きいほど、スカ
ッフ発生荷重が大きくなり、比較例2に対応する試験片
よりも耐スカッフ性に優れることとなる。実施例1〜9
に対応する各試験片の耐スカッフ指数は、110〜20
0であり、比較例2に対応する試験片よりも著しく耐ス
カッフ性に優れていた。結果を表2に示した。
【0081】(耐剥離性試験)耐剥離性の試験は、NP
R式衝撃試験装置(特公昭36−19046号、めっき
密着度の定量的試験装置)の改良試験機を使用し、表面
に1回当たり43.1mJ(4.4kgf・mm)の衝
撃エネルギーを加え、剥離発生までの回数で評価した。
試験片としては、上述の実施例1〜9および比較例1の
ピストンリングを使用した。各試験片を用いて耐剥離性
試験を行い、耐剥離性の評価を行った。剥離の有無は、
表面を15倍に拡大して観察し、評価した。図8は、測
定に使用したNPR式衝撃試験装置を示す。なお、図8
において、21はピストンリング、22は圧子、23は
当て金である。
【0082】耐剥離性は、比較例1の試験片の剥離発生
回数を100とし、実施例1〜9の試験片の剥離発生回
数を比較例1の結果に対する耐剥離指数として比較し
た。従って、実施例1〜9の試験片の耐剥離指数が10
0よりも大きくなると、比較例1の試験片よりも多い回
数で剥離が発生することとなるので、耐剥離性に優れる
こととなる。実施例1〜9の耐剥離指数は、110〜1
20であり、比較例1のピストンリングに比べ、耐剥離
性に優れていた。結果を表2に示した。
【0083】(たたき試験)たたき試験は、図9に示す
高温弁座摩耗試験機51を使用して行った。すべりたた
き試験片としては、実施例1〜9および比較例1と同様
の処理を施したものを使用し、たたき摩耗量の評価を行
った。試験条件は、ストローク:4mm、繰り返し速
度:500回/分、リング回転数:3rpm、試験時
間:10時間、ピストン材温度:340℃、ピストン
材:Al合金(AC8A)およびスチール材(SKD6
材)、の条件下で行った。なお、「凝着」の有無は、表
面を15倍に拡大して観察し、評価した。
【0084】ここで、「すべりたたき試験」とは、ピス
トン材53を試験機51に対して軸方向移動不能に固定
し、ピストンリング材52をピストン材53に同心に装
着し、ピストンリング材52の内周面側に備わっている
シリンダライナー相当の鋳鉄製円棒55を軸方向に往復
させて行う試験であり、ピストンリング材52を回転し
つつピストン材53を叩く動作モードを付与した試験で
ある。試験機51は、被験材加熱用のヒータ54を有し
ており、実際に燃料を燃焼させずともエンジン内の燃焼
時の高温状態を再現することができ、ピストン材の状態
変化を模すことができる。この試験により、ピストン側
摩耗(ピストン材の摩耗量)、ピストンリング側摩耗
(ピストンリング材の摩耗量)を評価した。
【0085】結果は、ピストンリングの上下面における
摩耗指数で表した。その値は、比較例2のピストン側摩
耗量およびピストンリング側摩耗量の結果をそれぞれ1
00とし、実施例1〜9の各試験片の結果を比較例2の
結果に対する摩耗指数として比較した。従って、実施例
1〜9の摩耗指数が100より小さいほど、摩耗量が小
さくなり、比較例2よりも耐摩耗性に優れることとな
る。上下面に硬質炭素皮膜2を有する実施例1〜9のピ
ストン側摩耗指数およびピストンリング側摩耗指数は、
70〜90の範囲であり、比較例2の試験片よりも著し
く耐摩耗性に優れていた。その結果を表2に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】 (評価)実施例1〜9のピストンリングは、比較例2の
ピストンリングに比べ、その何れも上下面に凝着の発生
はみられなかった。また、上下面の耐摩耗性は著しく向
上した。また、外周摺動面の耐摩耗性および耐スカッフ
性は、硬質炭素皮膜2が形成されることにより、耐スカ
ッフ性において著しく向上した。また、全周面に硬質炭
素皮膜2を形成することにより、耐剥離性にも優れてい
た。
【0088】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のピストン
リングおよびピストンリングとリング溝との組み合わせ
構造によれば、ピストンリングの全ての面に硬質炭素皮
膜が連続して形成されているので、その硬質炭素皮膜に
は、使用中における硬質炭素皮膜のクラック及び/又は
欠け等の欠陥を発生させる起点が少なく、形成された硬
質炭素皮膜の耐剥離性を向上させることができる。さら
に、上下面に形成された硬質炭素皮膜の作用により、A
l合金製のリング溝やスチール製のリング溝に対して、
凝着現象を極めて起こし難くすることができる。その結
果、長期間使用した場合であっても、耐摩耗性および耐
スカッフ性に優れ、且つ、凝着現象の抑制効果を有する
ピストンリングを提供することができる。こうした本発
明のピストンリングは、ガソリンエンジン用のみなら
ず、高出力・高負荷のディーゼルエンジン用としても好
ましく使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のピストンリングの一例を示す断面図で
ある。
【図2】本発明のピストンリングの他の一例を示す断面
図である。
【図3】下地皮膜9が形成された本発明のピストンリン
グの一例を示す断面図である。
【図4】下地被膜(下地皮膜9と硬質皮膜3)が形成さ
れた本発明のピストンリングの一例を示す断面図であ
る。
【図5】硬質炭素皮膜のSi含有比率を傾斜させた態様
の例である。
【図6】取付治具にセットされたピストンリング母材の
平面図(a)および本発明のピストンリングの特定部位
の断面図(b)の一例である。
【図7】本発明のピストンリングとリング溝との組み合
わせ構造の一例を示す断面図である。
【図8】NPR式衝撃試験装置の改良試験機である。
【図9】高温弁座摩耗試験機である。
【符号の説明】
1 ピストンリング 2 硬質炭素皮膜 3 硬質皮膜(下地皮膜3) 4 外周面 5 内周面 6 上面 7 下面 8 ピストンリング母材 9 下地皮膜 11 リング溝 12 シリンダライナー 13 上下面(側面)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡崎 孝弘 埼玉県さいたま市本町西5−2−6 日本 ピストンリング株式会社与野工場内 Fターム(参考) 3J044 AA02 BA04 BB14 BB26 BB27 BC03 BC06 BC07 BC08 CB01 DA09

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si、WおよびNiから選択される元素
    を1または2以上含む硬質炭素皮膜が、ピストンリング
    の外周面、内周面、上面および下面の全ての面に、下地
    皮膜を介してまたは直接、連続して形成されていること
    を特徴とするピストンリング。
  2. 【請求項2】 前記硬質炭素皮膜はSiを含む硬質炭素
    皮膜であり、当該硬質炭素皮膜の下地皮膜としてSi含
    有皮膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記
    載のピストンリング。
  3. 【請求項3】 前記硬質炭素皮膜はWまたはW−Niを
    含む硬質炭素皮膜であり、当該硬質炭素皮膜の下地皮膜
    としてCr皮膜が形成されていることを特徴とする請求
    項1に記載のピストンリング。
  4. 【請求項4】 イオンプレーティング法で形成された硬
    質皮膜が、ピストンリングの少なくとも外周面に、下地
    皮膜として形成されていることを特徴とする請求項1乃
    至請求項3の何れか1項に記載のピストンリング。
  5. 【請求項5】 Si、WおよびNiから選択される元素
    を1または2以上含む硬質炭素皮膜が外周面、内周面、
    上面および下面の全ての面に、下地皮膜を介してまたは
    直接、連続して形成されているピストンリングと、スチ
    ール製またはアルミニウム合金製のピストンのリング溝
    とからなることを特徴とするピストンリングとピストン
    のリング溝との組み合わせ構造。
JP2002076109A 2001-03-30 2002-03-19 ピストンリング及びピストンリングとピストンのリング溝との組み合わせ構造 Pending JP2003113941A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002076109A JP2003113941A (ja) 2001-03-30 2002-03-19 ピストンリング及びピストンリングとピストンのリング溝との組み合わせ構造

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001098381 2001-03-30
JP2001-98381 2001-03-30
JP2001-232803 2001-07-31
JP2001232803 2001-07-31
JP2002076109A JP2003113941A (ja) 2001-03-30 2002-03-19 ピストンリング及びピストンリングとピストンのリング溝との組み合わせ構造

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003113941A true JP2003113941A (ja) 2003-04-18

Family

ID=27346411

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002076109A Pending JP2003113941A (ja) 2001-03-30 2002-03-19 ピストンリング及びピストンリングとピストンのリング溝との組み合わせ構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003113941A (ja)

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1479946A2 (en) * 2003-05-23 2004-11-24 Nissan Motor Company, Limited Piston for internal combustion engine
US7273655B2 (en) 1999-04-09 2007-09-25 Shojiro Miyake Slidably movable member and method of producing same
JP2008241032A (ja) * 2007-02-28 2008-10-09 Nippon Piston Ring Co Ltd ピストンリング及びその製造方法
US7650976B2 (en) 2003-08-22 2010-01-26 Nissan Motor Co., Ltd. Low-friction sliding member in transmission, and transmission oil therefor
JP2010519468A (ja) * 2007-02-17 2010-06-03 フェデラル−モーグル ブルシャイト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ピストンリング
US7771821B2 (en) 2003-08-21 2010-08-10 Nissan Motor Co., Ltd. Low-friction sliding member and low-friction sliding mechanism using same
WO2011093464A1 (ja) * 2010-01-29 2011-08-04 日本ピストンリング株式会社 ピストンリング
US8096205B2 (en) 2003-07-31 2012-01-17 Nissan Motor Co., Ltd. Gear
US8152377B2 (en) 2002-11-06 2012-04-10 Nissan Motor Co., Ltd. Low-friction sliding mechanism
US8206035B2 (en) 2003-08-06 2012-06-26 Nissan Motor Co., Ltd. Low-friction sliding mechanism, low-friction agent composition and method of friction reduction
US8575076B2 (en) 2003-08-08 2013-11-05 Nissan Motor Co., Ltd. Sliding member and production process thereof
JP5627148B1 (ja) * 2013-07-24 2014-11-19 株式会社リケン ピストンリング及びその製造方法
WO2015045745A1 (ja) * 2013-09-30 2015-04-02 株式会社リケン ピストンリング
KR20150064167A (ko) * 2012-10-11 2015-06-10 페더럴-모걸 코오포레이숀 1회의 코팅 주행으로 피스톤 링 주행면, 측면 및 내경면 상에 내마모성 코팅을 화학적 증착하는 방법
WO2015133256A1 (ja) * 2014-03-03 2015-09-11 株式会社神戸製鋼所 硬質皮膜およびその形成方法、ならびに鋼板熱間成型用金型
JP2018154873A (ja) * 2017-03-17 2018-10-04 日本アイ・ティ・エフ株式会社 積層被覆膜とその製造方法およびピストンリング

Cited By (29)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7273655B2 (en) 1999-04-09 2007-09-25 Shojiro Miyake Slidably movable member and method of producing same
US8152377B2 (en) 2002-11-06 2012-04-10 Nissan Motor Co., Ltd. Low-friction sliding mechanism
EP1479946A3 (en) * 2003-05-23 2005-01-12 Nissan Motor Company, Limited Piston for internal combustion engine
EP1479946A2 (en) * 2003-05-23 2004-11-24 Nissan Motor Company, Limited Piston for internal combustion engine
US8096205B2 (en) 2003-07-31 2012-01-17 Nissan Motor Co., Ltd. Gear
US8206035B2 (en) 2003-08-06 2012-06-26 Nissan Motor Co., Ltd. Low-friction sliding mechanism, low-friction agent composition and method of friction reduction
US8575076B2 (en) 2003-08-08 2013-11-05 Nissan Motor Co., Ltd. Sliding member and production process thereof
US7771821B2 (en) 2003-08-21 2010-08-10 Nissan Motor Co., Ltd. Low-friction sliding member and low-friction sliding mechanism using same
US7650976B2 (en) 2003-08-22 2010-01-26 Nissan Motor Co., Ltd. Low-friction sliding member in transmission, and transmission oil therefor
JP2010519468A (ja) * 2007-02-17 2010-06-03 フェデラル−モーグル ブルシャイト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ピストンリング
JP2008241032A (ja) * 2007-02-28 2008-10-09 Nippon Piston Ring Co Ltd ピストンリング及びその製造方法
US9464717B2 (en) 2010-01-29 2016-10-11 Nippon Piston Ring Co., Ltd. Piston ring
WO2011093464A1 (ja) * 2010-01-29 2011-08-04 日本ピストンリング株式会社 ピストンリング
DE112011100377B4 (de) 2010-01-29 2022-12-15 Nippon Piston Ring Co., Ltd. Kolbenring
JP5794634B2 (ja) * 2010-01-29 2015-10-14 日本ピストンリング株式会社 ピストンリング
CN102741535A (zh) * 2010-01-29 2012-10-17 日本活塞环株式会社 活塞环
KR20150064167A (ko) * 2012-10-11 2015-06-10 페더럴-모걸 코오포레이숀 1회의 코팅 주행으로 피스톤 링 주행면, 측면 및 내경면 상에 내마모성 코팅을 화학적 증착하는 방법
JP2016500794A (ja) * 2012-10-11 2016-01-14 フェデラル−モーグル コーポレイション 1回のコーティングの実行での、ピストンリング運転面、側面および内径上への耐摩耗性コーティングの化学蒸着
US9909210B2 (en) 2012-10-11 2018-03-06 Federal-Mogul Llc Chemical vapor deposition of wear resistant coatings onto piston ring running face, side face, and inner diameter in one coating run
KR102302319B1 (ko) 2012-10-11 2021-09-16 테네코 인코퍼레이티드 1회의 코팅 주행으로 피스톤 링 주행면, 측면 및 내경면 상에 내마모성 코팅을 화학적 증착하는 방법
JP5627148B1 (ja) * 2013-07-24 2014-11-19 株式会社リケン ピストンリング及びその製造方法
WO2015045745A1 (ja) * 2013-09-30 2015-04-02 株式会社リケン ピストンリング
CN105593503A (zh) * 2013-09-30 2016-05-18 株式会社理研 活塞环
US10100929B2 (en) 2013-09-30 2018-10-16 Kabushiki Kaisha Riken Piston ring
JPWO2015045745A1 (ja) * 2013-09-30 2017-03-09 株式会社リケン アルミニウム合金製の相手材とピストンリングとの組み合わせ
WO2015133256A1 (ja) * 2014-03-03 2015-09-11 株式会社神戸製鋼所 硬質皮膜およびその形成方法、ならびに鋼板熱間成型用金型
US10233530B2 (en) 2014-03-03 2019-03-19 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho Hard film and method for forming same, and die for use in hot forming of steel sheet
JP2015180764A (ja) * 2014-03-03 2015-10-15 株式会社神戸製鋼所 硬質皮膜およびその形成方法、ならびに鋼板熱間成型用金型
JP2018154873A (ja) * 2017-03-17 2018-10-04 日本アイ・ティ・エフ株式会社 積層被覆膜とその製造方法およびピストンリング

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3885375B2 (ja) ピストンリング
US6325385B1 (en) Piston ring
JP3355306B2 (ja) ピストンリング
US9644738B2 (en) Combination of cylinder and piston ring
US20020175476A1 (en) Piston ring, and combined structure of piston ring and ring groove of piston
JP2003113941A (ja) ピストンリング及びピストンリングとピストンのリング溝との組み合わせ構造
JP5575989B2 (ja) シリンダとピストンリングとの組合せ
JP2000120869A (ja) 摺動部材及びその製造方法
JPH0578821A (ja) ピストンリング及びその製造法
US10100929B2 (en) Piston ring
JP2008241032A (ja) ピストンリング及びその製造方法
JP2730571B2 (ja) 摺動材料およびピストンリング
JP2003247060A (ja) 非晶質炭素被膜の製造方法及び非晶質炭素被覆摺動部品
JP4067678B2 (ja) 組合せオイルリングのスペーサエキスパンダ及び組合せオイルリング
JP7284700B2 (ja) 摺動機構
JP2003042294A (ja) ピストンリング
WO2017149082A1 (en) Piston ring
JP4374154B2 (ja) ピストンリング
JP4374153B2 (ja) ピストンリング
US6315840B1 (en) Sliding member
JP4374160B2 (ja) ピストンリング
JP2692758B2 (ja) ピストンリング
JPH03172504A (ja) 内燃機関の動弁機構用バルブリフタ
JP3388047B2 (ja) ピストンリングおよびその製造方法
US20230083774A1 (en) Piston ring, and method for manufacturing same

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040624

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070501

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070702

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20071002

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071130

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20071207

A912 Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20080222