JP5473890B2 - ピストンリング - Google Patents
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Description
ピストンリング10は、図1に示すように、ピストンリング基材1と、ピストンリング基材1の少なくとも外周摺動面21に設けられた硬質皮膜3とを有する。なお、図1中の下地膜2と窒化層6は、必要に応じて適宜に設けられていることが望ましい。例えば、下地膜2は、ピストンリング基材1上に硬質皮膜3の下地膜として設けられ、窒化層6は、ピストンリング基材1の表面に窒化処理により設けられる。
ピストンリング基材1は、従来使用されている材質からなるものであればよく、特に限定されない。したがって、いかなる材質のピストンリング基材1に対しても本発明を適用でき、従来好ましく用いられている例えばステンレススチール材、鋳物材、鋳鋼材、鋼材製等をピストンリング基材1として適用できる。また、図1(B)に示したように、ピストンリング基材1に窒化処理等を施して窒化層6を形成したものも適用できる。さらに、クロムめっきやPVD(Cr−N、Ti−N、Cr−B−N)を硬質皮膜3の下地膜として形成してなるピストンリング基材1も適用できる。
密着膜は、硬質皮膜3の直下に少なくともFeを含む密着膜(図示しない)を形成してもよい。
下地膜2は、必要に応じて設けられる。下地膜2は、ピストンリング基材1に対する硬質皮膜3の密着性を高めて剥離を防ぐために設けられる膜であって、ピストンリング基材1上(窒化層6が形成されている場合には窒化層6上)の少なくとも外周摺動面21に設けられる。通常は、図1に示すように、外周摺動面21のみに設けられるが、外周摺動面21、上面22及び下面23の3面に形成してもよいし、外周摺動面21、上面22、下面23及び内周面24の全周に形成してもよい。
下地膜3に代えて、又は下地膜3に加えて、図1(B)又は図1(C)に示す窒化層6をピストンリング基材1に形成してもよい。窒化層6は、ピストンリング基材1に対して、ガス窒化法、ガス軟窒化法、塩浴軟窒化法、イオン窒化法等の処理を行うことにより、ピストンリング基材1の表面に形成できる。ビッカース硬さHv700以上の窒化層6の厚さは、ピストンリング基材1の表面から10〜110μm程度である。
硬質皮膜3は、ダイヤモンドライクカーボンと呼ばれ、X線回折測定で特定の結晶性ピークが現れないハロー形態を示す非晶質状(アモルファス状乃至微結晶状)の炭素膜である。この硬質皮膜3は、図1に示すように、下地膜2上に設けられるが、少なくとも下地膜2はピストンリング基材1の外周摺動面21に設けられ、硬質皮膜3も外周摺動面21に設けられる。外周摺動面21に下地膜2と硬質皮膜3を積層することにより、高面圧下での硬質皮膜3の剥離を極力抑制することができるので、高い耐摩耗性と高い耐スカッフ性を実現できる。なお、下地膜2がピストンリング基材1の全周に設けられていれば硬質皮膜3も全周に設けてもよいが、その場合であっても、少なくとも外周摺動面21に設ければよく、上面22、下面23及び内周面24には必要に応じて任意に設ければよい。
本発明に係るピストンリング10の製造例としては、例えば、準備したピストンリング基材1を成膜治具に固定する工程、そのピストンリング基材1をスパッタリング、イオンプレーティング、プラズマCVDのいずれかの装置、又はそれらを兼用可能な装置のチャンバ内にセットし、そのチャンバ内を真空引きする工程、ピストンリング基材1を固定した成膜治具を自転ないし公転させつつ、脱ガスのため、全体に予熱をかける工程、予熱した後、アルゴンガス等の不活性ガスを導入し、イオンボンバードメントによってピストンリング基材1の表面を清浄化する工程、等を備えている。
ピストンリング基材1として、C:0.85質量%、Si:0.4質量%、Mn:0.3質量%、Cr:17.5質量%、Mo:1.1質量%、P:0.02質量%、S:0.02質量%、残部:鉄及び不可避不純物からなる17Crステンレス鋼製のものを予めガス窒化処理して窒化層6を形成したピストンリング基材1を使用した。そして、下地膜2は、イオンプレーティング法にてCrターゲットを用いて生成し、密着膜及び硬質皮膜3はマグネトロンスパッタリング装置を用い、JIS規格におけるSUS304ターゲット(組成は、C:0.07質量%、Si:0.9質量%、Mn:0.9質量%、P:0.03質量%、S:0.02質量%、Ni:9.5質量%、Cr:19.0質量%、残部:Feである。)及び炭素ターゲットを使用して成膜した。密着膜は、Fe−Cr−Ni膜とした。
実施例1において、使用した上記マグネトロンスパッタリング装置の諸条件を変更して比較例1のピストンリングを作製した。この比較例1におけるピストンリングに形成された硬質皮膜3の組成は、C:27.4原子%、N:50.0原子%、Ar:0.5原子%、Cr:4.5原子%、Fe:16.3原子%、Ni:1.3原子%であった。
比較例2として、炭素含有量が下限を外れ、かつ、鉄含有量が上限を外れたものを作製した。比較例2における硬質皮膜3の組成は、C:7.6原子%、N:52.0原子%、Cr:9.5原子%、Fe:29.1原子%、Ni:1.8原子%であり、炭素含有量は、7.6原子%と本発明の下限を外れ、鉄含有量は、Fe:29.1原子%と本発明の上限を外れている。
摩耗試験は、図3に示すアムスラー型摩耗試験機50を使用し、上記実施例1、並びに比較例1及び比較例2で得られたピストンリングと同じ条件で得た測定試料51(7mm×8mm×5mm)を固定片とし、相手材52(回転片)にはドーナツ状(外径40mm、内径16mm、厚さ10mm)のものを用い、測定試料51と相手材52を接触させ、荷重Pを負荷して行った。各測定試料51を用いた摩擦係数試験条件は、潤滑油53:有機モリブデン配合モーターオイル(0W−20)、油温:80℃、周速:1m/秒(478rpm)、荷重:1470N、試験時間:7時間の条件下で、ボロン鋳鉄を相手材52として行った。なお、ボロン鋳鉄からなる相手材52は、所定形状に研削加工した後、研削砥石の細かさを変えて順次表面研削を行い、最終的に1〜2μmRz(十点平均粗さ。JIS B0601(1994)に準拠。)となるように調整した。
摩擦係数試験も、上記摩耗試験で使用したアムスラー型摩耗試験器50を用い、同様の方法で行った。この摩擦係数試験は上記の摩耗試験において、各測定試料のトルク(摩擦抵抗)を荷重Pで除すことで算出した。この摩擦係数は、実施例1の測定試料の摩擦係数を比較例2に対応する測定試料の摩擦係数に対しての相対比として比較し、摩擦係数指数とした。従って、各測定試料の摩擦係数指数が100より小さいほど摩擦係数が小さいことを表す。
硬さ測定は、微小ビッカース硬さ試験機(株式会社フューチュアテック製、FM−ARS9000)を用いて測定した。実施例1、比較例1,2のピストンリングにおける硬質皮膜3のビッカース硬さはいずれもHv800〜2000の範囲であった。
硬質皮膜3の各試料を湿式切断機にて切断し、樹脂に試料を埋め込んで研磨し、断面観察から算出した。
硬質皮膜3中の成分組成は、電子プローグマイクロアナライザ(EPMA)装置(日本電子製、JXA−8800RL)を用いて定量した。
2 下地膜
3 硬質皮膜
6 窒化層
10(10A,10B) ピストンリング
21 外周摺動面(外周面)
22 上面
23 下面
24 内周面
31 ピストン
32 ピストンリング溝
33 シリンダライナ
34 シリンダライナ内周面
50 アムスラー型摩耗試験機
51 測定試料
52 相手材
53 潤滑油
Claims (6)
- ピストンリング基材と、該ピストンリング基材の少なくとも外周摺動面上に設けられる硬質皮膜とを有し、前記硬質皮膜が、10〜26原子%のCと、18〜28原子%のFeと、35〜65原子%のNとを含有することを特徴とするピストンリング。
- 前記硬質皮膜が3〜14原子%のCrをさらに含有する、請求項1に記載のピストンリング。
- 前記硬質皮膜が0.5〜18原子%のNiをさらに含有する、請求項1又は請求項2に記載のピストンリング。
- 前記硬質皮膜の直下に、少なくともFeを含む密着膜が形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のピストンリング。
- 前記硬質皮膜の下地膜として、Cr−N膜又はCr−B−N膜が形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のピストンリング。
- 前記ピストンリング基材の表面に窒化層が形成され、前記硬質皮膜は前記窒化層上に形成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のピストンリング。
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