JP3248938B2 - 摺動部材 - Google Patents

摺動部材

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JP3248938B2
JP3248938B2 JP03456792A JP3456792A JP3248938B2 JP 3248938 B2 JP3248938 B2 JP 3248938B2 JP 03456792 A JP03456792 A JP 03456792A JP 3456792 A JP3456792 A JP 3456792A JP 3248938 B2 JP3248938 B2 JP 3248938B2
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Nippon Piston Ring Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は摺動面上にニッケル基合
金めっき層が形成された摺動部材に関するものであり、
更に詳しくは、ボロンとモリブデンのみを含有したニッ
ケル基合金めっき皮膜が摺動面上に形成された摺動部材
に関する。
【0002】
【従来の技術】高温、高負荷を受ける内燃機関用ピスト
ンリング等の摺動部材は耐摩耗性を高めるために摺動面
に硬質のクロムめっきが施されることが多い。しかしな
がら、クロムめっきはその処理に長時間を要するばかり
でなく、環境汚染防止のためめっき廃液の処理に多額の
費用がかかり、その結果めっきに要するコストが高くな
るという問題点があった。また、高鉛ガソリンを使用す
るエンジンや高出力、高負荷のエンジンの構成部品にク
ロムめっき摺動部材を使用することはその耐摩耗性、耐
食性、耐焼付き性等の観点から問題が生じることがあっ
た。
【0003】この問題を解決する方法として、Ni-P合金
基地中に窒化物、炭化物、酸化物等の硬質粒子を分散さ
せる複合めっきが特公昭56−18080号公報におい
て提案されている。この公知のめっきによれば分散させ
る硬質粒子の種類、大きさ、分散量を適当に選ぶことに
よって、ある程度耐摩耗性、耐焼き付き性、耐食性に優
れた皮膜を形成することが可能であり、既にシリンダラ
イナー、ピストンリング等の摺動部材に使用されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の硬質粒
子を分散させた複合ニッケル合金めっきにおけるNi-P合
金基地は高熱、高負荷の影響を受けると脆くなり、過酷
な条件下で高速運転されるエンジンの摺動部材として使
用した場合、その耐摩耗性、耐焼き付き性さらには耐食
性等は必ずしも満足できるものではないという問題があ
った。
【0005】本発明は上記問題点に鑑みなされたもので
あって、摺動面に耐摩耗性、耐焼き付き性、特に耐食性
に優れた皮膜を形成した摺動部材を提供することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は0.1〜10.0重量%のボロンと、5.0
〜70.0重量%のモリブデンのみを含有したニッケル
基合金めっき皮膜を少なくとも摺動面上に電解めっきに
よりめっきした摺動部材を提供するものである。
【0007】
【0008】
【0009】
【作用】本発明による摺動部村は、その摺動面にボロン
及びモリブデンを含有し、耐摩耗性、耐食性、耐焼付き
性に優れるニッケル基合金めっき皮膜を有するので、高
鉛ガソリンを使用するエンジンや高出力、高負荷のエン
ジンに使用した場合であってもよい結果が得られるもの
である。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例にかかる摺動部材に沿
って本発明を詳細に説明する。
【0011】本実施例の摺動部材の母材として使用され
る鋼材の使用例としては、例えば、0.16〜1.30
%の炭素、12〜19%のクロムを含有する鋼材あるい
はこれにモリブデン及びバナジウムを含有させたものが
あげられる。本実施例の摺動部材は上記のような母材か
ら構成される摺動部材の周摺動面上に、耐摩耗性、耐焼
付き性、耐食性、耐熱性等に優れたニッケル基合金めっ
き皮膜を形成したものである。
【0012】ここで、ニッケル基合金めっき皮膜とは、
0.1〜10.0重量%のボロン(B)と、5.0〜7
0.0重量%のモリブデン(Mo)のみを含有したニッ
ケル基合金によるめっき皮膜をいう。
【0013】ニッケル基合金の基地中へのボロン(B)
の添加は、めっき皮膜の耐食性、耐焼付き性、耐摩耗性
を向上させるが、更にモリブデン(Mo)を添加するこ
とにより基地の靭性が強化され、更にめっき層の耐熱、
耐食性が向上する。その結果、摺動部材等の摺動部材の
耐摩耗性、耐焼付き性、耐食性等の諸特性の著しい改善
が達成される。
【0014】上記のボロン(B)添加による耐摩耗性等
向上の効果を得るためには、ボロン(B)を最低0.1
重量%含有させる必要がある。一方、ボロン(B)の含
有率が10.0重量%を越えるとめっき皮膜が脆くなる
といった問題が生じる。
【0015】また、モリブデン(Mo)の添加効果は、
めっき皮膜中のボロン(B)の含有量と密接に関連す
る。例えば、ボロンの含有量が多い時には、モリブデン
(Mo)の添加量が0.1%であっても、十分な硬度等
が得られる。一方、ボロンの含有量が少ないときには、
モリブデン(Mo)は70重量%までの範囲内で含有さ
せ耐熱性、耐焼付性、耐食性を向上させることができ
る。
【0016】このボロンとモリブデン(Mo)との比率
は、摺動部材等にどの程度の耐摩耗性、耐焼付き性、耐
熱性、耐食性が求められるか、または相手材がどのよう
な材質であるかといった種々の条件によって適宜選択さ
れるものである。
【0017】また、粒径10μm以下の金属窒化物、金
属炭化物、金属酸化物等の硬質粒子(例えばSi34
SiC、WC、Al23、ZrO2、Cr23等)また
は、固体潤滑剤粒子(例えばBN(ボロンナイトライ
ド)、ポリテトラフルオロエチレン等)の中から選ばれ
た一または二以上を組み合わせて上記ニッケル基合金め
っき皮膜中に含有させてもよい。
【0018】これら硬質粒子を含有させることにより耐
焼付き性、耐摩耗性を改善させることができる。また、
固体潤滑剤粒子を含有させることにより摩擦の低減が可
能となる。この場合これら硬質粒子等の含有率を5.0
容積%以下とすると上記効果が得られなくなり、30容
積%以上とするとめっき皮膜自体の密度が低下し脆くな
り使用上問題となる。
【0019】また、これら硬質粒子、固体潤滑剤粒子の
粒径は微細なほどこれら粒子添加の効果は高くなる。一
方、10μm以上になると相手攻撃性が強くなり、粒子
の脱落が生じめっき皮膜の耐摩耗性が損なわれることと
なる。粒子はその粒子径は微細なほど高価なため、粒子
の粒径は上記範囲内で価格、使用状況を考慮の上適宜選
択されるものである。好ましくは、0.3μm〜5μm
の範囲のものを用いるのが良い。硬質粒子、または固体
潤滑剤粒子の添加量も上記の範囲でその目的等を考慮の
上適宜選択されるものである。
【0020】更に、上記のニッケル基合金めっき皮膜、
または、これに硬質粒子、固体潤滑剤粒子等を含有させ
ためっき皮膜は、熱処理を施されるとボロン化物を生じ
硬度が上昇する。硬度の上昇率は処理温度に依存する。
例えば、ニッケル(Ni)−モリブデン(Mo)−ボロ
ン(B)のめっき皮膜では、めっきしたままの状態では
硬度が550Hvであるが、580℃で一時間熱処理を
行うことによって、硬度が1100Hvとなる。
【0021】このように熱処理の温度によりニッケル基
合金めっき皮膜の硬度を一定範囲内で変化させることが
きるため、熱処理温度を変化させ使用条件に適合した硬
度を得ることができる。
【0022】本発明のニッケル基合金めっき皮膜の厚さ
は5μm〜250μm程度であり、摺動部材の外周摺動
面の材質、表面処理等に応じ厚さを選択する。
【0023】
【0024】次に本発明によるニッケル(Ni)−モリ
ブデン(Mo)−ボロン(B)のニッケル合金皮膜が施
された摺動部材を製造する際のめっき液、めっき条件を
以下に示す。 めっき液組成めっき条件 シリコンナイトライド(Si34;0.5μm):15
0g/リットル モリブデン酸ナトリウム(Na2MoO4・2H2O):
60g/リットル クエン酸二アンモニウム(NH4667):60g/
リットル 硫酸ニッケル(Ni2SO4・2H2O):20g/リッ
トル トリメチルアミンボラン((CH33NBH3):3g
/リットル 電流密度 :3.0A/dm2 液温 :55℃
【0025】次に、本発明に係る摺動部材の耐摩耗性、
相手攻撃性に関する試験結果を示す。
【0026】摺動面にシリコンナイトライド(Si3N
4)を分散させたNi‐P合金めっき皮膜を施した摺動
部材を比較試料A、摺動面にシリコンナイトライド(S
i3N4)を分散させたニッケル(Ni)−モリブデン
(Mo)−ボロン(B)の合金めっき皮膜を施した摺動
部材を試料B(Ni−29.0重量%Mo−2.8重量
%B)、試料Bを580℃で1時間熱処理し硬度を高め
た摺動部材を試料Cとする。ここで試料BとCが本発明
の摺動部材である。
【0027】耐摩耗性、相手攻撃性試験はアムスラー型
摩耗試験機を使用し、回転片のほぼ半分を油に浸漬し、
固定片(試料)と接触させ荷重をかけるという方法によ
って行なった。尚、試験条件を以下の通りである。
【0028】(耐摩耗性、相手攻撃性試験の試験条件) 相手材 :FC25(HRB98) 潤滑油 :10W30 油温 :室温 摩擦速度:0.89m/sec(500r.p.m.) 荷重 :60Kg 時間 :20時間 摩耗量測定:粗さ計による段差プロフィールにて摩耗量
(μm)を測定。
【0029】試験結果は図1に示すとおりである。本願
発明に係る試料B、Cは比較用試料Aに比し耐摩耗性、
耐相手攻撃性とも良好であることがわかる。また、本願
発明にかかる摺動部材であっても熱処理をしないものよ
り熱処理を施したものの方が耐摩耗性、耐相手攻撃性と
も良好であることが明かである。
【0030】
【発明の効果】本発明による摺動部材は、その摺動面に
ボロン及びモリブデンを含有し、耐摩耗性、耐食性、耐
焼付き性に優れるニッケル基合金めっき皮膜を電解めっ
きにて形成したので、高鉛ガソリンを使用するエンジン
や、高出力、高負荷のエンジンに使用した場合であって
もよい結果が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の摺動部材の耐摩耗性、相手攻撃性に関
する試験結果を示すグラフ。
【符号の説明】
A 耐摩耗性、相手攻撃性試験における比較試料 B シリコンナイトライドを分散させたNi−Mo−B
の合金めっき皮膜を施した試料 C 試料Bを580℃で1時間熱処理した試料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−180491(JP,A) 特開 昭64−41649(JP,A) 特開 昭56−75560(JP,A) 特開 昭63−225722(JP,A) 特開 昭56−141922(JP,A) 特開 昭55−161062(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16J 9/26 C25D 15/02 F02F 5/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.1〜10.0重量%のボロンと、
    5.0〜70.0重量%のモリブデンのみを含有したニ
    ッケル基合金めっき皮膜を少なくとも摺動面上に電解め
    っきによりめっきしたことを特徴とする摺動部材。
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