JP2000178695A - 内燃機関用ピストンリング - Google Patents
内燃機関用ピストンリングInfo
- Publication number
- JP2000178695A JP2000178695A JP10352759A JP35275998A JP2000178695A JP 2000178695 A JP2000178695 A JP 2000178695A JP 10352759 A JP10352759 A JP 10352759A JP 35275998 A JP35275998 A JP 35275998A JP 2000178695 A JP2000178695 A JP 2000178695A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- piston ring
- piston
- internal combustion
- combustion engine
- main body
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Chemical Treatment Of Metals (AREA)
Abstract
組み合わせて使用した場合にピストンの溝摩耗の問題を
起こさないピストンリングを提供する。 【解決手段】 C0.95〜1.10%、Si0.15
〜0.35%、Mn0.50%以下、Cr1.30〜
1.60%を含み、残部Feおよび不可避的不純物から
なるピストンリング。さらに、本体の全周にリン酸塩化
成処理皮膜を、本体の少なくとも外周摺動面に硬質クロ
ムめっき皮膜を、本体の外周摺動面に硬質クロムめっき
皮膜を有し、側面にリン酸塩化成処理皮膜を有するピス
トンリング。
Description
リングに関する。
鉄またはSi−Cr鋼等の鋼材で作られており、これら
母材の耐摩耗性、耐焼付性、耐凝着性、摩擦係数等の摺
動特性を改善するために、外周面に電気メッキによる硬
質クロムめっきを施し用いられてきた。ところで、初晶
もしくは共晶Siにより耐摩耗性が向上しているAl−
Si合金製ピストンのピストンリング溝に装着されて使
用されるピストンリングとしてSi含有量の高い鋳鉄ま
たはSi−Cr鋼を用いた場合には、耐熱性を高める上
では効果があるSi成分が相対するピストンリング溝の
Si成分と反応して、凝着摩耗が起こり易いという問題
がある。
に鑑みなされたものであって、外周摺動面及びピストン
リング上下面が耐摩耗性に優れ、且つアルミ合金製のピ
ストンリング溝を摩耗させることのないピストンリング
を提供することを目的としている。
は、Si量を低レベルに抑制しつつ、ピストンリングと
しての機能を損なわない組成とするため、重量%でC
0.95〜1.10%、Si0.15〜0.35%、M
n0.50%以下、Cr1.30〜1.60%を含み、
残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とす
る鋼材を母材とし、本体の外周摺動面は母材のままか或
いはリン酸塩化成処理皮膜、例えばリン酸Zn、リン酸
Mn等の化成処理皮膜を有するものである。
べる。Cはα−Fe中に固溶し、強度向上に寄与する元
素であり、またCr炭化物を形成し、耐摩耗性に寄与す
る重要な元素であるため、少なくとも0.95%は必要
である。しかしCはNと同様Fe中において侵入型固溶
元素であるため、多量の添加は加工時の伸び・絞りの低
下を招き、さらに耐熱性向上のため添加する元素である
Crとの間の過多量の炭化物形成は、同元素添加の効果
を弱める。また、相手材のAl−Si合金を摩耗させる
ことになるので、上限を1.10%とした。Siは耐熱
性を向上させる元素であるため、少なくとも0.15%
は必要である。しかし多量の添加は冷間加工性を低下さ
せるだけでなく、熱伝導率を低下させることにより、摺
動による接触面の昇温を助長し耐焼付性を害するばかり
でなく、相手材のAl−Si合金中のSi成分と反応し
て凝着摩耗を発生するため、上限を0.35%とした。
Mnは鋳塊製造時に脱酸剤として添加される元素であ
り、多量の添加は熱間加工性を低下させるため、0.5
0%を上限とした。Crは炭化物形成元素であり、耐摩
耗性付与のため重要である。また、Crはフェライトを
安定させかつ耐熱性・耐酸化性を向上させる元素であ
る。これらの効果を十分に得るためには、少なくとも
1.30%は必要である。しかし、多量のCr添加は過
多量の炭化物を形成し靭性を低下させ、さらにα−Fe
に多量に固溶して加工性も低下させるなどの理由から、
上限を1.60%とした。
材は高炭素−Cr炭化物系材料に属するが、基地中に固
溶したCrが耐熱性向上に寄与することも重要である。
このような機能を発揮するための調質状態としてはHv
300〜450程度の硬度が得られるように、例えば焼
き戻し、焼鈍を行い、固溶Cr量を多くすることが好ま
しい。したがって同種の鋼材よりは使用状態における硬
度が著しく低くなる。また、Crによる耐熱性向上に加
えて少量のSiを基地に固溶させることにより、耐熱性
を確保するとともに、Siの固溶によりフェライト域を
拡大してCrの固溶量を多くしている。但し、Siはピ
ストンのSi成分との凝着摩耗の原因となるので、上限
を0.35%に抑えることにより、Si含有量を必要最
小限としている。
全周にリン酸塩化成処理皮膜を有する形態、本体の少な
くとも外周摺動面に、硬質クロムめっき皮膜を有する形
態、および本体の外周摺動面に、硬質クロムめっき皮膜
を有し、側面にリン酸塩化成処理皮膜を有する形態とし
て具体化することもできる。ここで、リン酸塩化成処理
皮膜の厚さは1〜10μm、硬質クロムめっき皮膜の厚
さは50〜150μmであることが好ましい。さらに、
本発明に係るピストンリングは、Siを11〜13%含
有するAl−Si系アルミニウム合金製ピストンと組み
合わせて使用することが好ましい。以下、実施例により
さらに詳しく本発明を説明する。
リングを表1に示す。
の化学組成と芯部の硬度及び表面処理を示すもので、表
中供試材No.1〜2は本発明鋼(請求項4および
1)、No.3〜5は現在ピストンリングとして使用さ
れている材料で、No.3はSi−Cr鋼(SWOSC
−V)、No.4は球状黒鉛鋳鉄(FCD700相
当)、No.5は片状黒鉛鋳鉄(FC250相当)であ
る。これらの材料を用い、通常のピストンリング加工
で、φ86×1.5×3.3の2ndリングを製造し、
エンジンテストを実施した。エンジンテスト条件および
結果は下記のとおりである。
る。 (1)本発明ピストンリング1は硬質クロムめっきの効
果でピストンリング外周摺動面の摩耗が少ないばかりで
なく、Siが少ないためピストン溝との凝着が発生せ
ず、リング上下面摩耗量およびAlピストン溝摩耗量も
少ない。Siが少ないため、張力減退率が原用材リング
に比べて、多くなったが今回のテスト条件で5%以下で
あれば実用上問題にならない。 (2)本発明ピストンリング2は母材の耐摩耗性が硬質
クロムめっきよりも劣るためピストンリング外周摺動面
の摩耗が現用材リングに比べて、多くなったが今回のテ
スト条件で5.0μm以下であれば実用上問題にならな
い。Siが少ないためピストン溝との凝着が発生せず、
リング上下面摩耗量およびAlピストン溝摩耗量も少な
い。Siが少ないため、張力減退率が現用材リングに比
べて、多くなったが、今回のテスト条件で5%以下であ
れば実用上問題にならない。 (3)現用ピストンリング材1〜3はSiが多いためピ
ストン溝との凝着が発生し、リング上下面摩耗量および
Alピストン溝摩耗量が多くなった。ただし、現用ピス
トンリング材1は同2、3に比べて母材硬度が高いた
め、リング上下面摩耗量が少なく、現用ピストンリング
材2は熱伝導率が同1、3に比べて低いため、Alピス
トン溝摩耗量が多く、現用ピストンリング材3は同1、
2に比べて母材硬度が低いため、リング上下面摩耗量が
多くなっている。 (4)リング上下面摩耗量およびA1ピストン溝摩耗量
は、今回のテスト条件では、いずれも5μm以下であれ
ば実用上問題にならないので、本発明ピストンリングお
よび現用ピストンリング材3のみ今回のエンジンテスト
使用で適用可能である。しかし、現用ピストンリング材
1および2は何らかのリング上下面摩耗およびAlピス
トン溝摩耗量対策が必要である。現用ピストンリング材
3はリン酸Zn系化成処理皮膜を施しているが、上下面
摩耗が非常に多くなっている。。
重量%でC0.95〜1.10%、Si0.15〜0.
35%、Mn0.50以下、Cr1.30〜1.60%
を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼材を
ピストンリング母材としているので、Si成分を必要最
小限しか含まず、ピストンリングとしての機能を損なわ
ないで、リング上下面摩耗およびAlピストン溝摩耗が
実用上問題にならない程度に抑えることができる。
Claims (5)
- 【請求項1】 重量%で、C0.95〜1.10%、S
i0.15〜0.35%、Mn0.50%以下、Cr
1.30〜1.60%を含み、残部Feおよび不可避的
不純物からなることを特徴とする内燃機関用ピストンリ
ング。 - 【請求項2】 重量%で、C0.95〜1.10%、S
i0.15〜0.35%、Mn0.50%以下、Cr
1.30〜1.60%を含み、残部Feおよび不可避的
不純物からなる本体の全周にリン酸塩化成処理皮膜を有
することを特徴とする内燃機関用ピストンリング - 【請求項3】 重量%で、C0.95〜1.10%、S
i0.15〜0.35%、Mn0.50%以下、Cr
1.30〜1.60%を含み、残部Feおよび不可避的
不純物からなる本体の少なくとも外周摺動面に、硬質ク
ロムめっき皮膜を有することを特徴とする内燃機関用ピ
ストンリング。 - 【請求項4】 重量%で、C0.95〜1.10%、S
i0.15〜0.35%、Mn0.50%以下、Cr
1.30〜1.60%を含み、残部Feおよび不可避的
不純物からなる本体の外周摺動面に、硬質クロムめっき
皮膜を有し、側面にリン酸塩化成処理皮膜を有すること
を特徴とする内燃機関用ピストンリング。 - 【請求項5】 Al−Si系アルミニウム合金製ピスト
ンと組み合わせて使用される請求項1から4までの何れ
か1項記載の内燃機関用ピストンリング。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35275998A JP3450727B2 (ja) | 1998-12-11 | 1998-12-11 | 内燃機関用ピストンリング |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35275998A JP3450727B2 (ja) | 1998-12-11 | 1998-12-11 | 内燃機関用ピストンリング |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000178695A true JP2000178695A (ja) | 2000-06-27 |
JP3450727B2 JP3450727B2 (ja) | 2003-09-29 |
Family
ID=18426255
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35275998A Expired - Fee Related JP3450727B2 (ja) | 1998-12-11 | 1998-12-11 | 内燃機関用ピストンリング |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3450727B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1201781A2 (en) * | 2000-10-04 | 2002-05-02 | Dana Corporation | Non-stainless steel nitrided piston ring, and method of making the same |
KR100593087B1 (ko) * | 1998-12-31 | 2006-08-30 | 두산인프라코어 주식회사 | 내연기관 엔진용 피스톤링 |
WO2014024996A1 (ja) * | 2012-08-09 | 2014-02-13 | サンデン株式会社 | 斜板式圧縮機 |
WO2020104438A1 (de) * | 2018-11-20 | 2020-05-28 | Ks Kolbenschmidt Gmbh | Materialzusammensetzung für eine beschichtung für bauteile von brennkraftmaschinen |
-
1998
- 1998-12-11 JP JP35275998A patent/JP3450727B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100593087B1 (ko) * | 1998-12-31 | 2006-08-30 | 두산인프라코어 주식회사 | 내연기관 엔진용 피스톤링 |
EP1201781A2 (en) * | 2000-10-04 | 2002-05-02 | Dana Corporation | Non-stainless steel nitrided piston ring, and method of making the same |
EP1201781A3 (en) * | 2000-10-04 | 2002-05-08 | Dana Corporation | Non-stainless steel nitrided piston ring, and method of making the same |
WO2014024996A1 (ja) * | 2012-08-09 | 2014-02-13 | サンデン株式会社 | 斜板式圧縮機 |
JP2014034929A (ja) * | 2012-08-09 | 2014-02-24 | Sanden Corp | 斜板式圧縮機 |
US9874204B2 (en) | 2012-08-09 | 2018-01-23 | Sanden Corporation | Swash plate compressor |
WO2020104438A1 (de) * | 2018-11-20 | 2020-05-28 | Ks Kolbenschmidt Gmbh | Materialzusammensetzung für eine beschichtung für bauteile von brennkraftmaschinen |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3450727B2 (ja) | 2003-09-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US4966751A (en) | Steel having good wear resistance | |
US4985092A (en) | Steel having good wear resistance | |
JP2008531848A (ja) | 高い炭化物含有率を有し、均一に分布する黒鉛の形態を示すレデブライト性鋳鉄 | |
JPS63174798A (ja) | 肉盛溶接用耐食合金 | |
JPH11264468A (ja) | ピストンリング及びその組合せ | |
JP3450727B2 (ja) | 内燃機関用ピストンリング | |
KR100435324B1 (ko) | 고온 내산화성을 갖는 내열구상흑연주철 | |
JPS61291950A (ja) | 耐摩耗性焼結合金 | |
JP3380748B2 (ja) | 内燃機関用ピストンリング | |
JP3484076B2 (ja) | 内燃機関用ピストンリング | |
JP2005061389A (ja) | 内燃機関用ピストンリング | |
JPS60196465A (ja) | ピストンリング | |
JP3143835B2 (ja) | ピストンリングの組合せ | |
JP2866868B2 (ja) | ピストンリング材 | |
JPH0470384B2 (ja) | ||
JPH1180907A (ja) | 耐スカッフィング性に優れたピストンリング | |
JPH0127145B2 (ja) | ||
JPS635147A (ja) | ピストンリングとシリンダの組合せ | |
JP2536107B2 (ja) | 摺動部材 | |
JPH06235096A (ja) | 摺動部材 | |
WO2022219854A1 (ja) | オイルリング用線 | |
JPH03122257A (ja) | ピストンリング材 | |
JP2002226949A (ja) | アルミニウム合金製ピストン用耐摩環 | |
JPH05302674A (ja) | ピストンリングとシリンダの組合せ | |
JPH08170144A (ja) | 複合シリンダライナー |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090711 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120711 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130711 Year of fee payment: 10 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |