JP3450727B2 - 内燃機関用ピストンリング - Google Patents
内燃機関用ピストンリングInfo
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Description
リングに関する。
鉄またはSi−Cr鋼等の鋼材で作られており、これら
母材の耐摩耗性、耐焼付性、耐凝着性、摩擦係数等の摺
動特性を改善するために、外周面に電気メッキによる硬
質クロムめっきを施し用いられてきた。ところで、初晶
もしくは共晶Siにより耐摩耗性が向上しているAl−
Si合金製ピストンのピストンリング溝に装着されて使
用されるピストンリングとしてSi含有量の高い鋳鉄ま
たはSi−Cr鋼を用いた場合には、耐熱性を高める上
では効果があるSi成分が相対するピストンリング溝の
Si成分と反応して、凝着摩耗が起こり易いという問題
がある。
に鑑みなされたものであって、外周摺動面及びピストン
リング上下面が耐摩耗性に優れ、且つアルミ合金製のピ
ストンリング溝を摩耗させることのないピストンリング
を提供することを目的としている。
は、Si量を低レベルに抑制しつつ、ピストンリングとし
ての機能を損なわない組成とするため、重量%でC0.95
〜1.10%、Si0.15〜0.35%、Mn0.50%以下、Cr1.30〜1.60%
を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなることを特
徴とする鋼材を母材とし、Al-Si系アルミニウム合金製
ピストンと組み合わせて使用され、本部の外周摺動面は
母材のままか或はリン酸塩化成処理皮膜、例えばリン酸
Zn、リン酸Mn等の化成処理皮膜を有するものである。
べる。Cはα−Fe中に固溶し、強度向上に寄与する元
素であり、またCr炭化物を形成し、耐摩耗性に寄与す
る重要な元素であるため、少なくとも0.95%は必要
である。しかしCはNと同様Fe中において侵入型固溶
元素であるため、多量の添加は加工時の伸び・絞りの低
下を招き、さらに耐熱性向上のため添加する元素である
Crとの間の過多量の炭化物形成は、同元素添加の効果
を弱める。また、相手材のAl−Si合金を摩耗させる
ことになるので、上限を1.10%とした。Siは耐熱
性を向上させる元素であるため、少なくとも0.15%
は必要である。しかし多量の添加は冷間加工性を低下さ
せるだけでなく、熱伝導率を低下させることにより、摺
動による接触面の昇温を助長し耐焼付性を害するばかり
でなく、相手材のAl−Si合金中のSi成分と反応し
て凝着摩耗を発生するため、上限を0.35%とした。
Mnは鋳塊製造時に脱酸剤として添加される元素であ
り、多量の添加は熱間加工性を低下させるため、0.5
0%を上限とした。Crは炭化物形成元素であり、耐摩
耗性付与のため重要である。また、Crはフェライトを
安定させかつ耐熱性・耐酸化性を向上させる元素であ
る。これらの効果を十分に得るためには、少なくとも
1.30%は必要である。しかし、多量のCr添加は過
多量の炭化物を形成し靭性を低下させ、さらにα−Fe
に多量に固溶して加工性も低下させるなどの理由から、
上限を1.60%とした。
材は高炭素−Cr炭化物系材料に属するが、基地中に固
溶したCrが耐熱性向上に寄与することも重要である。
このような機能を発揮するための調質状態としてはHv
300〜450程度の硬度が得られるように、例えば焼
き戻し、焼鈍を行い、固溶Cr量を多くすることが好ま
しい。したがって同種の鋼材よりは使用状態における硬
度が著しく低くなる。また、Crによる耐熱性向上に加
えて少量のSiを基地に固溶させることにより、耐熱性
を確保するとともに、Siの固溶によりフェライト域を
拡大してCrの固溶量を多くしている。但し、Siはピ
ストンのSi成分との凝着摩耗の原因となるので、上限
を0.35%に抑えることにより、Si含有量を必要最
小限としている。
全周にリン酸塩化成処理皮膜を有する形態、本体の少な
くとも外周摺動面に、硬質クロムめっき皮膜を有する形
態、および本体の外周摺動面に、硬質クロムめっき皮膜
を有し、側面にリン酸塩化成処理皮膜を有する形態とし
て具体化することもできる。ここで、リン酸塩化成処理
皮膜の厚さは1〜10μm、硬質クロムめっき皮膜の厚
さは50〜150μmであることが好ましい。さらに、
本発明に係るピストンリングは、Siを11〜13%含
有するAl−Si系アルミニウム合金製ピストンと組み
合わせて使用することが好ましい。以下、実施例により
さらに詳しく本発明を説明する。
リングを表1に示す。
の化学組成と芯部の硬度及び表面処理を示すもので、表
中供試材No.1〜2は本発明鋼(請求項4および
1)、No.3〜5は現在ピストンリングとして使用さ
れている材料で、No.3はSi−Cr鋼(SWOSC
−V)、No.4は球状黒鉛鋳鉄(FCD700相
当)、No.5は片状黒鉛鋳鉄(FC250相当)であ
る。これらの材料を用い、通常のピストンリング加工
で、φ86×1.5×3.3の2ndリングを製造し、
エンジンテストを実施した。エンジンテスト条件および
結果は下記のとおりである。
る。 (1)本発明ピストンリング1は硬質クロムめっきの効
果でピストンリング外周摺動面の摩耗が少ないばかりで
なく、Siが少ないためピストン溝との凝着が発生せ
ず、リング上下面摩耗量およびAlピストン溝摩耗量も
少ない。Siが少ないため、張力減退率が原用材リング
に比べて、多くなったが今回のテスト条件で5%以下で
あれば実用上問題にならない。 (2)本発明ピストンリング2は母材の耐摩耗性が硬質
クロムめっきよりも劣るためピストンリング外周摺動面
の摩耗が現用材リングに比べて、多くなったが今回のテ
スト条件で5.0μm以下であれば実用上問題にならな
い。Siが少ないためピストン溝との凝着が発生せず、
リング上下面摩耗量およびAlピストン溝摩耗量も少な
い。Siが少ないため、張力減退率が現用材リングに比
べて、多くなったが、今回のテスト条件で5%以下であ
れば実用上問題にならない。 (3)現用ピストンリング材1〜3はSiが多いためピ
ストン溝との凝着が発生し、リング上下面摩耗量および
Alピストン溝摩耗量が多くなった。ただし、現用ピス
トンリング材1は同2、3に比べて母材硬度が高いた
め、リング上下面摩耗量が少なく、現用ピストンリング
材2は熱伝導率が同1、3に比べて低いため、Alピス
トン溝摩耗量が多く、現用ピストンリング材3は同1、
2に比べて母材硬度が低いため、リング上下面摩耗量が
多くなっている。 (4)リング上下面摩耗量およびA1ピストン溝摩耗量
は、今回のテスト条件では、いずれも5μm以下であれ
ば実用上問題にならないので、本発明ピストンリングお
よび現用ピストンリング材3のみ今回のエンジンテスト
使用で適用可能である。しかし、現用ピストンリング材
1および2は何らかのリング上下面摩耗およびAlピス
トン溝摩耗量対策が必要である。現用ピストンリング材
3はリン酸Zn系化成処理皮膜を施しているが、上下面
摩耗が非常に多くなっている。。
重量%でC0.95〜1.10%、Si0.15〜0.
35%、Mn0.50以下、Cr1.30〜1.60%
を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼材を
ピストンリング母材としているので、Si成分を必要最
小限しか含まず、ピストンリングとしての機能を損なわ
ないで、リング上下面摩耗およびAlピストン溝摩耗が
実用上問題にならない程度に抑えることができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%で、C0.95〜1.10%、Si0.15〜0.3
5%、Mn0.50%以下、Cr1.30〜1.60%を含み、残部Feお
よび不可避的不純物からなり、Al-Si系アルミニウム合
金製ピストンと組み合わせて使用されることを特徴とす
る内燃機関用ピストンリング。 - 【請求項2】 重量%で、C0.95〜1.10%、Si0.15〜0.3
5%、Mn0.50%以下、Cr1.30〜1.60%を含み、残部Feお
よび不可避的不純物からなる本体の全周にリン酸塩化処
理皮膜を有し、Al-Si系アルミニウム合金製ピストンと
組み合わせて使用されることを特徴とする内燃機関用ピ
ストンリング。 - 【請求項3】 重量%で、C0.95〜1.10%、Si0.15〜0.3
5%、Mn0.50%以下、Cr1.30〜1.60%を含み、残部Feお
よび不可避的不純物からなる本体の少なくとも外周摺動
面に、硬質クロムめっき皮膜を有し、Al-Si系アルミニ
ウム合金製ピストンと組み合わせて使用されることを特
徴とする内燃機関用ピストンリング。 - 【請求項4】重量%で、C0.95〜1.10%、Si0.15〜0.35
%、Mn0.50%以下、Cr1.30〜1.60%を含み、残部Feおよ
び不可避的不純物からなる本体の外周摺動面に、硬質ク
ロムめっき皮膜を有し、側面にリン酸塩化処理皮膜を有
し、Al-Si系アルミニウム合金製ピストンと組み合わせ
て使用されることを特徴とする内燃機関用ピストンリン
グ。
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JP35275998A JP3450727B2 (ja) | 1998-12-11 | 1998-12-11 | 内燃機関用ピストンリング |
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-
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- 1998-12-11 JP JP35275998A patent/JP3450727B2/ja not_active Expired - Fee Related
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