JP2008050651A - 耐焼付き性鋳鉄 - Google Patents

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Abstract

【課題】摺動特性及び引張特性が共に良好な耐焼付き性鋳鉄を提供するものである。
【解決手段】本発明に係る耐焼付き性鋳鉄は、面積率が9〜18%の片状黒鉛、面積率が1〜10%の硬質相であるステダイト及び炭化物を含み、基地組織に面積率1〜30%のフェライトを含み、残部がパーライト、オースフェライト、焼戻しマルテンサイト組織で構成されるものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐焼付き性鋳鉄に係り、特に、舶用ディーゼルエンジンの耐焼付き性鋳鉄に関するものである。
内燃機関のシリンダライナには、片状黒鉛鋳鉄が多く利用されている。なぜなら、黒鉛は、黒鉛自体に固体潤滑剤としての働きがあり、また、黒鉛が周りの基地組織に比べて低硬度で、研磨時や摺動時に凹部となってその部分が潤滑油の油溜まり部として働くので、摺動特性が良好であるためである。
片状黒鉛鋳鉄は、CV鋳鉄や球状黒鉛鋳鉄と比べて、摺動作用が優れることが知られている。また、黒鉛は熱伝導度が大きいことに起因して、片状黒鉛鋳鉄は他の鋳鉄に比べて熱伝導度に優れる。一方、片状黒鉛鋳鉄は他の鋳鉄に比べて強度特性に劣るという問題がある。
ディーゼルエンジンのシリンダライナには、摺動特性(耐摩耗性、耐焼付性)と引張特性(引張強度、延性)が必要とされる。近年、ディーゼルエンジンの高出力化が進み、シリンダライナの引張特性向上が強く求められている。また、それに伴い、摺動面に掛かる面圧が上昇しており、耐焼付性向上の要求が強くなっている。
現在、ディーゼルエンジン、特に舶用ディーゼルエンジンのシリンダライナには、片状黒鉛鋳鉄にP、Bを添加して硬質相である炭化物とステダイト(Fe3P+Fe3C+Feの3元共晶)を晶出させた特殊鋳鉄(ボロン鋳鉄)が利用されている(特許文献1,2及び非特許文献1,2参照)。硬質相である炭化物とステダイトは他の相に比べて硬く耐摩耗性に優れる相である他に、研磨や摺動時に凸部となり、凹部となる黒鉛と同様に油溜まり部形成に寄与するため、摺動特性を向上させる。
摺動特性を維持しつつ、シリンダライナの強度特性を向上させる手法として、内側と外側を別の合金に分けた複層シリンダライナがある(特許文献3,4参照)。この複層シリンダライナは、摺動特性が要求される内側(摺動面)を通常の特殊鋳鉄とし、外側に球状黒鉛鋳鉄や鋳鋼などの強度特性に優れた合金を用いている。
また、片状黒鉛鋳鉄よりも強度特性に優れたCV鋳鉄や球状黒鉛鋳鉄の中に硬質相を晶出させた鋳鉄がある(特許文献5参照)。
また、鋳鋼などの摺動特性に効果的な黒鉛を有していない合金に、摺動特性を持つ物質を分散させた合金がある(特許文献6参照)。
特許第244151号公報 特許第3297150号公報 特許第3537038号公報 特開平7−71308号公報 特許第1539537号公報 特開2003−294142号公報 「金属材料 3号」、1963、p.101 「Int.J.Cast Metals Res. 11号」、1999、p.303
しかしながら、特許文献3,4記載の複層シリンダライナでは、大型のシリンダライナを製造することができないという問題がある。大型化に対応するために、シリンダライナを上下に分割して鋳造し、それらを機械的に接合する方法もあるが、上部と下部との段差が生じやすいことから、摺動特性に悪影響を及ぼことになる。また、全般的に生産性が悪い。
特許文献5記載の鋳鉄及び特許文献6記載の合金では、片状黒鉛鋳鉄をベースとした材料に比べて、耐焼付性に劣るという問題がある。
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、摺動特性及び引張特性が共に良好な耐焼付き性鋳鉄を提供することにある。
上記目的を達成すべく請求項1に係る発明は、面積率が9〜18%の片状黒鉛、面積率が1〜10%の硬質相であるステダイト及び炭化物を含み、基地組織に面積率1〜30%のフェライトを含み、残部がパーライト、オースフェライト、焼戻しマルテンサイト組織の1種もしくはこれらの複合組織で構成されることを特徴とする耐焼付き性鋳鉄である。
請求項2に係る発明は、C:2.9〜3.5wt%、Mn:0.5〜1.0wt%、S:0.01〜0.2wt%、Siを含み、残部がFe及び不可避な不純物元素で構成される請求項1記載の耐焼付き性鋳鉄である。
請求項3に係る発明は、C、Mn、S、Siに加えて更にP、Bを含む請求項2記載の耐焼付き性鋳鉄である。
請求項4に係る発明は、P:0.05〜0.5wt%、B:0.003〜0.05wt%を含む請求項3記載の耐焼付き性鋳鉄である。
請求項5に係る発明は、Si:1.3〜3.0wt%を含む請求項2から4いずれかに記載の耐焼付き性鋳鉄である。
請求項6に係る発明は、Mo:0.001〜1.0wt%を含む請求項2から5いずれかに記載の耐焼付き性鋳鉄である。
請求項7に係る発明は、Ni:0.01〜3.0wt%を含む請求項3から6いずれかに記載の耐焼付き性鋳鉄である。
請求項8に係る発明は、Cu:0.1〜0.5wt%を含む請求項3から7いずれかに記載の耐焼付き性鋳鉄である。
本発明によれば、摺動特性及び引張特性が共に良好で、特に耐焼付き性が良好な鋳鉄が得られるという優れた効果を発揮する。
以下、本発明の好適一実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
本発明に係る耐焼付き性鋳鉄は、摺動特性の観点から特殊鋳鉄(ボロン鋳鉄)をベース材とした。また、本発明に係る耐焼付き性鋳鉄は、代表的な鋳造製品であるシリンダライナにおける製造コスト低減の観点から、鋳造後の熱処理なしでも、十分な強度を有することを目標とした。
高温高圧下で優れた耐焼付き性及び耐摩耗性を備えた鋳鉄において、その基地組織のフェライトの分量が増えると基地組織が軟らかくなるので(特開平9−209072号公報の段落[0010]を参照)、基地組織にフェライトが析出することは、耐摩耗性、耐焼付性の観点から望ましくないと考えられてきた。
しかしながら、本発明者らが鋭意研究した結果、焼付の発生には、黒鉛周辺からのクラック(亀裂)の発生、進展を伴い、フェライトはパーライトよりも靭性が高いため、亀裂の発生、進展の抑制に有効であることを見出した。このため、黒鉛の周りにフェライトを析出させることで、耐焼付性を向上させることができることを見出した。
一方、基地組織にフェライトを析出させた場合、引張強度の低下を伴う。そこで、合金元素の添加により引張特性の向上を図った。合金元素を添加した場合、フェライトの量の減少ならびに延性の減少を伴うことが懸念される。これらに注意して合金組成の最適化を図り、耐焼付性、耐摩耗性、強度、延性に優れた耐焼き付き性鋳鉄の開発を行い、黒鉛の周りに1〜30%の面積率でフェライトを析出させることとした。
本発明の好適一実施の形態に係る発明は、面積率が9〜18%の片状黒鉛と、面積率が1〜10%の硬質相であるステダイト及び炭化物を含み、残部の基地組織が主たる組織のパーライトと面積率が1〜30%のフェライトで構成される。また、基地組織中には、硬質相として面積率1〜10%のステダイト及び炭化物が含まれる。面積率が1〜30%のフェライトは主に片状黒鉛の周りに析出される。
化学組成は、Moを0.001〜1.0wt%、C、Si、Mn、S、P、Bを含み、残部がFe及び不可避な不純物元素とされる。より詳しくは、Cを2.9〜3.5wt%、Mnを0.5〜1.0wt%、Sを0.01〜0.2wt%、Pを0.05〜0.5wt%、Bを0.003〜0.05wt%の範囲で含んでいる。また、Siを1.3〜3.0wt%、Niを0.01〜3.0wt%、Cuを0.1〜0.5wt%の範囲で含んでいる。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
フェライトは黒鉛周辺を覆うフェライト量が30%を超えると、耐摩耗性及び焼付き特性が低下する。このため、フェライトの面積率は1〜30%とする。
硬質相は摺動の際、第一摺動面を形成し、硬質相の凸が油溜まり部形成に寄与する。油溜まり部の効果を発揮するには硬質相が1%以上必要である。また、硬質相が10%を超えると、硬質相による相手材への攻撃性が高くなり(相手材の摩耗が激しくなり)、相手材の摩耗が進むと共に、過大に発生した摩耗粉が摺動面に入り込み、焼付きが生じやすくなる。このため、硬質相の面積率は1〜10%とする。
片状黒鉛の面積率は、9%未満だと十分な摺動作用が得られず、逆に18%を超えると鋳鉄全体の引張特性が悪化する。このため、片状黒鉛の面積率は9〜18%とする。
残りは通常、パーライトで構成されるが、オースフェライトやマルテンサイト組織を含んでいても構わない。
Siは鋳鉄の主要成分であると共に、フェライト生成元素である。1%以上のフェライトを得るためには、1.3wt%以上のSi含有が必要である。ただ、3.0wt%を超えて含有すると、フェライト量が30%超と多量になってしまい、耐焼付性、強度に対して悪影響を及ぼす。このため、Si含有量は1.3〜3.0wt%、好ましくは1.3〜1.8wt%とする。
Niは黒鉛形態を殆ど変えずに強度を向上させることができる。その際、Niはフェライト形成抑制傾向が弱いため、黒鉛周りのフェライトを残しつつ強度向上を図れ、それに伴う延性の低下は非常に小さい。また、後述するMoと併用することで、フェライトを形成する効果が得られる。Ni添加量が0.01wt%未満では強度はほとんど向上せず、逆にNi添加量が3.0wt%を超えると強度向上の効果が小さくなり、経済的に不利となる。図1に■印を結んだ線で示すように、Ni添加量が増えると、引張強度は向上するが、伸びはほとんど低下しない。このため、Ni含有量は0.01〜3.0wt%とする。
Moは主に強度向上のために添加する。Moも、Ni同様、フェライト形成抑制傾向が弱いため、黒鉛周りのフェライトを残しつつ強度を向上させることができ、強度向上に伴う延性の低下は非常に小さい。Mo添加量が0.001wt%未満では強度向上の効果はほとんどなく、逆にMo添加量が1.0wt%を超えると、黒鉛析出量が少なくなり、析出する黒鉛が細かくなるため、焼付き特性に悪影響を及ぼす。図1に▲印を結んだ線で示すように、Mo添加量が増えると、引張強度は大きく上昇するが、伸びの減少はわずかである。このため、Mo含有量は0.001〜1.0wt%とする。
Cuは耐食性を向上させたい場合、並びに引張強度を向上させたい場合に、添加してもよい。Cu添加量が0.1wt%未満では耐食性向上効果はほとんど無い。また、Cuはフェライト形成抑制傾向が強いため、その添加上限は0.5wt%とする。図1に●印を結んだ線で示すように、Cu添加量が増えると、引張強度は徐々に上昇し、伸びは大きく減少する。このため、Cu含有量は0.1〜0.5wt%とする。
Pは硬質相であるステダイト形成元素である。P添加量が0.05wt%未満ではステダイト形成効果が不十分となり、逆に、P添加量が0.5wt%を超えると、ステダイトが多量に形成されてしまう。ステダイトが少ないと、摺動面の凹部が不十分で、油溜まり部の形成が不十分で、摺動特性が不十分であり、ステダイトが多量に形成されると、凸部の相手材攻撃性が高くなり、相手材の摩耗を進める(早める)ことになる。このため、P含有量は0.05〜0.5wt%とする。
Bは硬質相である炭化物形成元素であり、Pと併用することによりステダイトとの複層組織を形成する。B添加量が0.003wt%未満では炭化物形成効果が不十分となり、逆に、B添加量が0.05wt%を超えると、炭化物が多量に形成されてしまう。硬質相である炭化物の形成効果については、ステダイト形成効果と同じである。このため、B含有量は0.003〜0.05wt%とする。
本実施の形態に係る耐焼付き性鋳鉄は、面積率を9〜18%に調整した片状黒鉛の周りに、1〜30%の面積率でフェライトを析出させている。フェライトはパーライトよりも靭性が高いため、亀裂の発生、進展の抑制に有効である。このため、黒鉛周辺からの亀裂の発生、進展を抑制することができ、結果として焼付が生じにくくなる。この耐焼付き性鋳鉄の基地組織は、フェライトを含むが、フェライト析出に伴い引張強度が低下することのないよう、フェライト析出量を1〜30%に調整すると共に、Mo、Ni、Cu等の合金元素の添加で強化を図っていることから、十分な引張特性を有している。
本実施の形態に係る耐焼付き性鋳鉄を用いて製造したシリンダライナは、強度、延性、耐摩耗性、耐焼付性がいずれも良好であるため、従来のシリンダライナよりも異常な摩耗を生じにくく、高信頼性を確保できる。また、ディーゼルエンジンの過給圧、燃焼温度を高めることが可能となり、出力増加が可能となる。その結果、エンジンの燃費が向上する。
また、本実施の形態に係る耐焼付き性鋳鉄を用いて製造したシリンダライナは、特許文献3,4記載の合金のように複層化や特許文献6記載の合金のように硬質粒子の分散を行っていないため、シリンダライナのリサイクル(再溶解)が容易となる。
本発明は、耐焼付特性に優れた鋳鉄材料に関するものであり、例えば、内燃機関のシリンダライナ、ピストンリング、バルブガイドのように耐焼付性、耐摩耗性、強度を要求される摺動部材に適用されるものである。ただし、通常のねずみ鋳鉄が使用される部材についても同様に適用できる。
また、基地組織に含まれるフェライトの面積率は冷却速度の影響を受けるが、それはSi量で調整できる。すなわち、肉厚が薄く冷却速度が速い場合はSi量を多く、逆に肉厚が厚くて冷却速度が遅い場合はSi量を少なくすることで、目的の組織を得ることができる。ここで硬質相は、ステダイト及び炭化物を言い、基地組織は、黒鉛と硬質相以外を言うものとする。
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のものが想定されることは言うまでもない。
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本発明に係る耐焼付き性鋳鉄を用いて図2に示す回転片91を作製し、既存のCV鋳鉄からなる固定片92を用いてリングオンディスクタイプの焼付試験を行った。
焼付試験条件は、回転速度を4m/s、面圧(荷重)を588N、給油口からの潤滑油(コスモポインターEX♯50、油温40±2℃)の供給を約1L/minとした。
先ず、潤滑油を供給しながら回転片91を回転させ、回転片91と固定片92を摺り合わせ、面圧を上げてゆく。その後、所定の面圧に達したら、回転は維持したまま潤滑油の供給を停止する。潤滑油の供給を停止した時点から焼付までの時間を測定した。この時、回転片91を構成する鋳鉄材の組成を変えて、6種類の試験片(実施例1〜4及び比較例1,2の試験片)の焼付時間を測定した。焼付時間に基づいて各試験片の耐焼付き性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
各試験片の組成は、高周波溶解炉を用いて成分調整を行い、とりべ(取鍋)にて接種材を添加した後、試料形状がφ465×220の砂型に鋳造した。
Figure 2008050651
表1に示すように、実施例1〜4の各試験片の、黒鉛面積率は9.8〜16.6%と規定範囲(9〜18%)内であった。また、実施例1〜4の各試験片の、フェライト面積率は2〜24%と規定範囲(1.0〜30%)内であり、図3(c),図3(d)に示すように、実施例1,2の各試験片のフェライト面積率は2%,10%であった。また、実施例1〜4の各試験片の硬質相面積率は3.5〜9.1%と規定範囲(1〜10%)であった。このため、実施例1〜4の各試験片においては、160MPa(実施例1〜3の場合だと220MPa)以上の引張強度、110s以上の焼付時間が得られた。つまり、実施例1〜4の各試験片においては、摺動特性及び引張特性の両方が高いレベルで得られた。
これに対して、比較例1の試験片は、図3(a)に示すようにフェライトの面積率が47%と規定範囲を超えていることから、焼付時間が87sと短く、耐焼付き性が低かった。これは、Si含有量が1.86wt%と多いことに起因していると考えられる。
また、比較例2の試験片は、図3(b)に示すようにフェライトの面積率が0%と規定範囲未満であることから、焼付時間が100sと短く、耐焼付き性が低かった。これは、Si量が1.17wt%、Cu量が0.67wt%と規定範囲(Si:1.3〜3.0wt%、Cu:0.1〜0.5wt%)から外れていることに起因していると考えられる。
一方、化学組成の異なる7種類の試験片(比較例3〜9の試験片)を作製し、それらの化学組成、組織中の黒鉛、フェライト、及び硬質相の各面積率、引張強度、並びに焼付時間を表2に示す。各試験片の内、比較例6のみが焼入れ焼戻し材であり、その他は全て鋳造のまま(鋳放し材)である。
各試験片の組成は、高周波溶解炉を用いて成分調整を行い、とりべ(取鍋)にて接種材を添加した後、試料形状がφ50×25断熱鋳型に鋳造した。断熱鋳型による鋳造は、同形状の砂型による鋳造と比べて冷却速度が遅く、冷却速度は10℃/min程度である。
Figure 2008050651
比較例3〜9の各試験片の、フェライト量と焼付き時間の関係を図4に示すように、フェライト量が1〜30%の時、焼付き時間が長くなるのが明らかである。フェライト面積率が30%を超える比較例5は焼付時間が60s以下であり、フェライト面積率が0%の比較例6,7よりも短く、このことからフェライト量の上限は30%とされる。
合金元素Mo,Cu,Niの組成と、引張強度、伸びの関係を示す図である。 リングオンディスクタイプ摩耗試験機の概略図である。 表1に示した実施例1,2及び比較例1,2の基地組織観察図である。図3(a)は比較例1、図3(b)は比較例2、図3(c)は実施例1、図3(d)は実施例2の基地組織観察図である。 フェライト量と焼付き時間の関係を示す図である。

Claims (8)

  1. 面積率が9〜18%の片状黒鉛、面積率が1〜10%の硬質相であるステダイト及び炭化物を含み、基地組織に面積率1〜30%のフェライトを含み、残部がパーライト、オースフェライト、焼戻しマルテンサイト組織の1種もしくはこれらの複合組織で構成されることを特徴とする耐焼付き性鋳鉄。
  2. C:2.9〜3.5wt%、Mn:0.5〜1.0wt%、S:0.01〜0.2wt%、Siを含み、残部がFe及び不可避な不純物元素で構成される請求項1記載の耐焼付き性鋳鉄。
  3. C、Mn、S、Siに加えて更にP、Bを含む請求項2記載の耐焼付き性鋳鉄。
  4. P:0.05〜0.5wt%、B:0.003〜0.05wt%を含む請求項3記載の耐焼付き性鋳鉄。
  5. Si:1.3〜3.0wt%を含む請求項2から4いずれかに記載の耐焼付き性鋳鉄。
  6. Mo:0.001〜1.0wt%を含む請求項2から5いずれかに記載の耐焼付き性鋳鉄。
  7. Ni:0.01〜3.0wt%を含む請求項3から6いずれかに記載の耐焼付き性鋳鉄。
  8. Cu:0.1〜0.5wt%を含む請求項3から7いずれかに記載の耐焼付き性鋳鉄。
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