JPH0718368A - 優れた耐食性と耐摩耗性を有する鋳鉄及び該鋳鉄で形成されたシリンダライナ - Google Patents
優れた耐食性と耐摩耗性を有する鋳鉄及び該鋳鉄で形成されたシリンダライナInfo
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- JPH0718368A JPH0718368A JP16161393A JP16161393A JPH0718368A JP H0718368 A JPH0718368 A JP H0718368A JP 16161393 A JP16161393 A JP 16161393A JP 16161393 A JP16161393 A JP 16161393A JP H0718368 A JPH0718368 A JP H0718368A
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Abstract
で鋳造したシリンダライナを提供することを目的とす
る。 【構成】 重量%で、C:2.5〜3.6,Si:1.
4〜2.6,Mn:0.5〜1.0,P:0.1〜0.
4,S:0.12以下、Cr:0.1〜0.4,B:
0.03〜0.12,Cu:0.2〜2.0,Co:
1.0〜10を含み、残部Fe及び不可避的不純物から
なる化学組成と、主としてパーライトからなるマトリッ
クス中に、ステダイト及びボロン化合物からなる硬質相
と片状黒鉛とが分散した組成からなる鋳鉄であり、この
鋳鉄により、特にEGR装置を備えたディーゼルエンジ
ンなどの内燃機関のシリンダライナを鋳造成形する。
Description
優れた鋳鉄に関し、特にEGR装置を備えたディーゼル
エンジン等の内燃機関のシリンダライナ用に適した鋳鉄
及び、該鋳鉄で形成されたシリンダライナに関する。
耐摩耗性の良好な鋳鉄、たとえばマトリックスが主とし
てパーライトからなり、かつこのマトリックス中にステ
ダイト及びボロン化合物とからなる硬質相と片状黒鉛と
が分散した組織を有する鋳鉄が使用されている。この鋳
鉄は、通常T.C.:2.9〜3.5%,Si:1.8
〜2.6%,Mn:0.5〜1.0%,P:0.1〜
0.4%,S:0.12%以下、Cr:0.1〜0.4
%,B:0.03〜0.12%,残部Feの化学組成を
有している。
食摩耗性が十分でないので、EGR装置を付加したディ
ーゼルエンジン用のシリンダライナなどに使用すると、
シリンダライナ内周面に著しい腐食摩耗が生じ、耐久性
が不足する。シリンダライナの耐腐食摩耗性を高める試
みとして、シリンダライナの内周面に窒化処理を施すこ
とが一般的に行われている。この場合表面の窒化層の耐
腐食摩耗性が改善されるだけであるから、窒化層が摩耗
した後の腐食摩耗を防止することができない。
(たとえば特公平4−68373号公報参照)も検討さ
れている。この公報によれば、CuおよびNiを添加し
て、鋳鉄組織をオーステナイト化して硫酸腐食性の改善
を図っている。しかしこの鋳鉄は従来のパーライト組織
の鋳鉄に比べ、耐摩耗性が劣る欠点がある。
を付加したディーゼルエンジンのシリンダライナでも好
適に使用できる耐摩耗性、耐腐食摩耗性に優れた鋳鉄を
提供することを課題とする。
めに、本発明は次の構成からなる鋳鉄を提供するもので
ある。すなわち、本発明は重量で、C:2.5〜3.6
%,Si:1.4〜2.6%,Mn:0.5〜1.0
%,P:0.1〜0.4%,S:0.12%以下、C
r:0.1〜0.4%,B:0.03〜0.12%,C
u:0.2〜2.0%,Co:1.0〜10%を含み、
残部Fe及び不可避的不純物からなる化学組成を有しか
つ、主としてパーライトからなるマトリックス中に、ス
テダイト及びボロン化合物からなる硬質相と片状黒鉛と
が分散した組織からなる鋳鉄を特徴とする。
造したシリンダライナを提供するものであり、さらにま
た、該シリンダライナの表面に窒化処理を施して耐腐食
摩耗性を一層改善したシリンダライナを提供するもので
ある。本発明はEGR装置を付加したディーゼルエンジ
ン用またはさらに高負荷のディーゼルエンジン用のシリ
ンダライナを製造し、提供するものである。
理由について述べる。本発明は上述した従来内燃機関の
シリンダライナ用に用いられている鋳鉄の化学成分を基
本成分とし、この成分にCuとCoを添加したものであ
る。Cuは、マトリックスに固溶し、その耐食性を向上
させる作用がある。この作用を生じるには、Cuの添加
量は、少なくとも0.2%以上添加する必要がある。他
方Cuが2%を越えると、Cu中にFeが固溶したε相
が析出し強度低下を引き起こす。また耐食性の改善の効
果も飽和するので、Cuの添加量の上限は2%とする。
その耐食性を向上させるが、Cuとの複合添加によって
耐食摩耗性がさらに向上する。この効果を発揮せしめる
ために、Coは1%以上必要である。しかし、Coが1
0%を越えると耐食性の改善効果が減少し費用の割に効
果がなくなるので上限を10%とする。なお、本化学成
分中にMo:0.2〜0.5%を添加すると、耐スカッ
フィング性、耐摩耗性及び強度が改善される。
ぎ、所望の形状、たとえば内燃機関のシリンダライナを
鋳造するが、このときの冷却速度を中位の冷却速度にし
て冷却してマトリックスを主としてパーライト組織に
し、かつ、このマトリックス中にステダイトとボロン化
合物からなる硬化相と片状黒鉛とを分散せしめる。上記
硬化相の量は3〜14%の範囲に、また片状黒鉛の量は
8〜18%の範囲にある。
は優れた耐摩耗性と良好な耐蝕食性を有する。また、さ
らに耐摩耗性を向上する必要がある場合は、シリンダラ
イナの摺動面に窒化処理を施す。
1に示す各組成の鋳鉄を高周波誘導炉で溶解した。この
溶湯をフェロシリコンで接種後砂型鋳造で径30mmの丸
棒を作製した。実施例の鋳鉄の機械的性質は、以下の範
囲にあった。
イト1%以下で、パーライトマトリックス中にステダイ
ト、ボロン化合物を主体とする硬質相が6%、サイズ4
−6のA型黒鉛が90%分散した組織であった。次に上
述の種々の組成を有する鋳鉄丸棒から往復動摩耗試験片
を作製した。この往復動摩耗試験片を更に窒化処理を行
ったものと無処理のものとの2種類を用意した。窒化処
理の条件は、 窒化方法 ガス窒化処理 温 度 590℃ 時 間 30分 である。上記の窒化処理で摺動面に硬度HV870の化
合物層(厚さ7μm)窒素拡散層(厚さ100μm)の
窒化層が形成された。
して、硬質Crめっきを施した鋼材を使用した。
下で往復動摩耗試験を行い、鋳鉄材の腐食摩耗特性を評
価した。往復動摩耗試験機の試験片及び相手材の配置と
構造を模式的に図1に示す。図中1は摩耗試験片(鋳
鉄)で矢印の方向へ往復動する。2は相手材でその接触
端をR18の球状に形成し、Crめっき3を施した。4
は潤滑油を供給するパイプ、5は希硫酸を供給するパイ
プである。
て摩耗量を測定した。また摩耗試験片の摩耗量は、同様
に形状測定器で摩耗段差により測定した。
1に一括して示す。これによれば、実施例の鋳鉄材の摩
耗量は、比較例の摩耗量に比べきわめて少なく同時に相
手材の摩耗も少なかった。さらに実施例の鋳鉄材で窒化
処理したものは、摩耗量がさらに少なく相手材の摩耗も
少ないことが示されている。本発明の耐腐食摩耗性鋳鉄
は、砂型鋳造、金型遠心鋳造等何れの鋳造方法によって
製造可能である。
性を有しているのでEGR装置を付加したディーゼルエ
ンジン用のシリンダライナとして好適に使用できる。
Claims (3)
- 【請求項1】 重量で、C:2.5〜3.6%,Si:
1.4〜2.6%,Mn:0.5〜1.0%,P:0.
1〜0.4%,S:0.12%以下、Cr:0.1〜
0.4%,B:0.03〜0.12%,Cu:0.2〜
2.0%,Co:1.0〜10%を含み、残部Fe及び
不可避的不純物からなる化学組成を有し、かつ主として
パーライトからなるマトリックス中に、ステダイト及び
ボロン化合物からなる硬質相と片状黒鉛とが分散した組
織からなることを特徴とする優れた耐食性及び耐摩耗性
を有する鋳鉄。 - 【請求項2】 請求項1で記載された鋳鉄によって形成
されたことを特徴とする優れた耐食性及び耐摩耗性を有
するシリンダライナ。 - 【請求項3】 表面に窒化層を有する請求項2記載のシ
リンダライナ。
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