JPH0468373B2 - - Google Patents
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- JPH0468373B2 JPH0468373B2 JP58250336A JP25033683A JPH0468373B2 JP H0468373 B2 JPH0468373 B2 JP H0468373B2 JP 58250336 A JP58250336 A JP 58250336A JP 25033683 A JP25033683 A JP 25033683A JP H0468373 B2 JPH0468373 B2 JP H0468373B2
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Landscapes
- Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
Description
〔産業上の利用分野〕
本発明は、耐腐食摩耗鋳鉄に関し、詳しくは、
耐腐食摩耗性を向上させることによつて、デイー
ゼルエンジンのシリンダライナに、好適に適用で
きる耐腐食摩耗鋳鉄にかかる。 〔従来技術〕 シリンダライナボア壁面は、ピストンリングと
繰返し摺動摩擦し、また、比較的高温に加熱され
るため摩耗しやすい。 とくに、デイーゼルエンジンでは、燃焼により
生成する炭素粒子が摩耗を促進するため、ガソリ
ンエンジンの場合より一層摩耗が著しい。 そこで、従来、デイーゼルエンジンのシリンダ
ライナ用鋳鉄としては、Bを重量比率で0.02〜
0.06%添加した鋳鉄(特公昭33−2765号)、Bを
重量比率で0.06〜0.3%添加した鋳鉄(特公昭3
−11253号)、NbまたはTaを添加した鋳鉄(特公
昭47−3701)、高P鋳鉄、S−H鋳鉄等の耐摩耗
性に優れた鋳鉄が用いられている。 しかし、最近のデイーゼルエンジンは、高負
荷・高回転仕様になつてきており、また、排気ガ
ス対策として使用される、排気ガス再循環装置
(いわゆるEGR装置)によつて、排気ガスがシリ
ンダ室内に再導入されることから、 シリンダ室内の温度が低下し、シリンダ室内
に硫酸系凝縮水が成される。 排気ガス中の炭化粒子が再導入される。 等の理由から、シリンダライナボア壁面に、腐
食を伴つた過大摩耗を生じやすい傾向がある。 このような状況のもとにおいては、従来のエン
ジンのシリンダライナとして使用して、優れた耐
摩耗性を示した合金鋳鉄、たとえば、組成が重量
比率で3.3%C,2.1%Si,0.7%Mn,0.3%P,
0.03%S,0.3%Cr残部実質的にFeであつて、基
地がパーライト組織からなり、黒鉛はASTM規
定のA型黒鉛となし、ステダイトを含んだ合金鋳
鉄としても、腐食を伴つた過大摩耗を生じること
があるという問題があつた。 また、高Ni,Crを添加したオーステナイト鋳
鉄は、シリンダライナとして使用して、性能上か
らは問題ないものの、コストが高いという欠点が
ある。 〔発明の目的〕 本発明は、P,Crを添加して板状ステダイト
状の炭化物、炭窒化物を均一に分散させるととも
に、Cuを多く含有するオーステナイト鋳鉄とす
ることによつて、耐腐食摩耗性を改良し、デイー
ゼルエンジンのシリンダライナに、好適に適用で
きる耐腐食摩耗鋳鉄を提供することを目的として
いる。 〔発明の構成〕 このような目的は、本発明によれば、重量比率
で、C;2.5〜3.5%,Si;1.0〜2.5%,Mn;0.5〜
2.0%,P;0.1〜0.8%,Cr;1.0〜5.0%,Ni;13
〜20%,Cu;4.0〜8.0%、残部実質的にFeからな
る基本組成にV;0.1〜0.5%,Ti;0.1〜0.5%,
Nb;0.2〜0.6%のうち、少なくとも1種類以上
を、0.2〜0.6%添加した鋳鉄であつて、基地はオ
ーステナイト組織をなし、炭化物および炭窒化物
をあわせて面積比率で2〜15%析出させるととも
に、黒鉛形状をASTM規定のA型黒鉛とし、該
A型黒鉛のサイズを前記ASTM規定のNo.4とし
たこを特徴とする、潤滑性を有する耐腐食摩耗鋳
鉄、によつて達成される。 〔発明の作用〕 以下、本発明の作用を発明する。 まず、本発明鋳鉄における各々の合金元素の、
範囲限定理由について説明する。 なお、以下の説明において、合金元素の含有量
はすべて重量比率(%)で表示する。 なお、C,Si,Mnについては、一般的オース
テナイト鋳鉄における場合と同じ範囲であり、か
つ、範囲限定理由もよく知られた理由に基づいて
いるため、説明を省略する。 Pは析出する炭化物を整形し、耐摩耗性を向上
させる効果があり、Pの添加によつて、第1図に
示すような塊状炭化物の集合した組織を、第2図
に示すような板状ステダイト状炭化物が均一分散
した組織とすることができ、耐摩耗性を向上させ
るが、1%未満の添加では上記の効果が十分でな
く、また、0.8%を越えて添加すると鋳鉄性、機
械加工性が劣ることから、0.1〜0.8%とした。 Crは、炭化物を析出させて耐摩耗性を向上さ
せるが、1.0%未満の添加では炭化物の析出が少
ないため耐摩耗性の向上が十分でなく、5.0%を
越えて添加すると機械加工性が劣ることから、
1.0〜5.0%とした。 Niは、基地をオーステナイト組織とするに有
効な元素であるが、13%未満ではオーステナイト
組織が不安定となり、また、18%以上になると添
加量に見合つた改善効果が認められないばかりで
なく、材料コストを高騰させることから、13.0〜
18.0%とした。 Cuは、基地の耐食性を向上させるとともに、
基地のオーステナイト組織化に有効であるが、
4.0%未満の添加では耐食性向上効果が十分でな
く、また、8.0%を越えて添加すると鋳造性、機
械加工性を劣化させることから、4.0〜8.0%とし
た。 V,Ti,Nbは、ほぼ同様の効果があり、炭化
物、炭窒化物を析出させて耐摩耗性向上に有効で
あるが、それらの総添加量が0.2%未満では耐摩
耗性向上効果が十分でなく、総添加量が0.6%を
越えると機械加工性を劣化させることから、V,
Ti,Nbの総添加量を0.2〜0.6%とした。 本発明材において、析出させた炭化物・炭窒化
物は、耐摩耗性を向上するのに有効であるが、面
積比率で2%未満ではその耐摩耗性向上効果が十
分でなく、15%を越えると機械加工性が劣化する
ことから、2〜15%とした。 黒鉛形状は、ASTM規定のA型黒鉛とする。
このA型黒鉛は基地中に偏在することなく均一に
分散するため、自己潤滑性に優れ、さらに黒鉛自
身に油を深く浸透させることができる。よつて、
これらの相乗効果により、優れた潤滑性が得られ
るのである。 なお、黒鉛サイズは、ASTM規定No.4のサイ
ズが好ましく、No.4より小さいと黒鉛自身の固体
潤滑剤としての効果が弱く、また、基地の塑性流
動によつて、基地中に理没してしまう恐れがあ
る。 一方、No.4より大きいと材料強度が低下する。 また、黒鉛量は、鋳鉄の断面観察における面積
率で、5〜15%が望ましい。 上記のように、本発明材は、上述の鋳鉄組成・
基地組織・炭化物および炭窒化物量・黒鉛形状・
黒鉛サイズとすることによつてオーステナイト鋳
鉄でありながら比較的安価で、しかも耐腐食摩耗
性を改良することができ、苛酷な使用条件下の、
デイーゼルエンジンのシリンダライナに、好適に
適用できるものである。 〔実施例〕 実施例 1 第1表に示す鋳鉄にて腐食摩耗試験片を製作
し、デイーゼルエンジンのシリンダ室内に生成さ
れる硫酸系凝縮水に類似させた、腐食雰囲気中で
の腐食摩耗試験を行つた。
耐腐食摩耗性を向上させることによつて、デイー
ゼルエンジンのシリンダライナに、好適に適用で
きる耐腐食摩耗鋳鉄にかかる。 〔従来技術〕 シリンダライナボア壁面は、ピストンリングと
繰返し摺動摩擦し、また、比較的高温に加熱され
るため摩耗しやすい。 とくに、デイーゼルエンジンでは、燃焼により
生成する炭素粒子が摩耗を促進するため、ガソリ
ンエンジンの場合より一層摩耗が著しい。 そこで、従来、デイーゼルエンジンのシリンダ
ライナ用鋳鉄としては、Bを重量比率で0.02〜
0.06%添加した鋳鉄(特公昭33−2765号)、Bを
重量比率で0.06〜0.3%添加した鋳鉄(特公昭3
−11253号)、NbまたはTaを添加した鋳鉄(特公
昭47−3701)、高P鋳鉄、S−H鋳鉄等の耐摩耗
性に優れた鋳鉄が用いられている。 しかし、最近のデイーゼルエンジンは、高負
荷・高回転仕様になつてきており、また、排気ガ
ス対策として使用される、排気ガス再循環装置
(いわゆるEGR装置)によつて、排気ガスがシリ
ンダ室内に再導入されることから、 シリンダ室内の温度が低下し、シリンダ室内
に硫酸系凝縮水が成される。 排気ガス中の炭化粒子が再導入される。 等の理由から、シリンダライナボア壁面に、腐
食を伴つた過大摩耗を生じやすい傾向がある。 このような状況のもとにおいては、従来のエン
ジンのシリンダライナとして使用して、優れた耐
摩耗性を示した合金鋳鉄、たとえば、組成が重量
比率で3.3%C,2.1%Si,0.7%Mn,0.3%P,
0.03%S,0.3%Cr残部実質的にFeであつて、基
地がパーライト組織からなり、黒鉛はASTM規
定のA型黒鉛となし、ステダイトを含んだ合金鋳
鉄としても、腐食を伴つた過大摩耗を生じること
があるという問題があつた。 また、高Ni,Crを添加したオーステナイト鋳
鉄は、シリンダライナとして使用して、性能上か
らは問題ないものの、コストが高いという欠点が
ある。 〔発明の目的〕 本発明は、P,Crを添加して板状ステダイト
状の炭化物、炭窒化物を均一に分散させるととも
に、Cuを多く含有するオーステナイト鋳鉄とす
ることによつて、耐腐食摩耗性を改良し、デイー
ゼルエンジンのシリンダライナに、好適に適用で
きる耐腐食摩耗鋳鉄を提供することを目的として
いる。 〔発明の構成〕 このような目的は、本発明によれば、重量比率
で、C;2.5〜3.5%,Si;1.0〜2.5%,Mn;0.5〜
2.0%,P;0.1〜0.8%,Cr;1.0〜5.0%,Ni;13
〜20%,Cu;4.0〜8.0%、残部実質的にFeからな
る基本組成にV;0.1〜0.5%,Ti;0.1〜0.5%,
Nb;0.2〜0.6%のうち、少なくとも1種類以上
を、0.2〜0.6%添加した鋳鉄であつて、基地はオ
ーステナイト組織をなし、炭化物および炭窒化物
をあわせて面積比率で2〜15%析出させるととも
に、黒鉛形状をASTM規定のA型黒鉛とし、該
A型黒鉛のサイズを前記ASTM規定のNo.4とし
たこを特徴とする、潤滑性を有する耐腐食摩耗鋳
鉄、によつて達成される。 〔発明の作用〕 以下、本発明の作用を発明する。 まず、本発明鋳鉄における各々の合金元素の、
範囲限定理由について説明する。 なお、以下の説明において、合金元素の含有量
はすべて重量比率(%)で表示する。 なお、C,Si,Mnについては、一般的オース
テナイト鋳鉄における場合と同じ範囲であり、か
つ、範囲限定理由もよく知られた理由に基づいて
いるため、説明を省略する。 Pは析出する炭化物を整形し、耐摩耗性を向上
させる効果があり、Pの添加によつて、第1図に
示すような塊状炭化物の集合した組織を、第2図
に示すような板状ステダイト状炭化物が均一分散
した組織とすることができ、耐摩耗性を向上させ
るが、1%未満の添加では上記の効果が十分でな
く、また、0.8%を越えて添加すると鋳鉄性、機
械加工性が劣ることから、0.1〜0.8%とした。 Crは、炭化物を析出させて耐摩耗性を向上さ
せるが、1.0%未満の添加では炭化物の析出が少
ないため耐摩耗性の向上が十分でなく、5.0%を
越えて添加すると機械加工性が劣ることから、
1.0〜5.0%とした。 Niは、基地をオーステナイト組織とするに有
効な元素であるが、13%未満ではオーステナイト
組織が不安定となり、また、18%以上になると添
加量に見合つた改善効果が認められないばかりで
なく、材料コストを高騰させることから、13.0〜
18.0%とした。 Cuは、基地の耐食性を向上させるとともに、
基地のオーステナイト組織化に有効であるが、
4.0%未満の添加では耐食性向上効果が十分でな
く、また、8.0%を越えて添加すると鋳造性、機
械加工性を劣化させることから、4.0〜8.0%とし
た。 V,Ti,Nbは、ほぼ同様の効果があり、炭化
物、炭窒化物を析出させて耐摩耗性向上に有効で
あるが、それらの総添加量が0.2%未満では耐摩
耗性向上効果が十分でなく、総添加量が0.6%を
越えると機械加工性を劣化させることから、V,
Ti,Nbの総添加量を0.2〜0.6%とした。 本発明材において、析出させた炭化物・炭窒化
物は、耐摩耗性を向上するのに有効であるが、面
積比率で2%未満ではその耐摩耗性向上効果が十
分でなく、15%を越えると機械加工性が劣化する
ことから、2〜15%とした。 黒鉛形状は、ASTM規定のA型黒鉛とする。
このA型黒鉛は基地中に偏在することなく均一に
分散するため、自己潤滑性に優れ、さらに黒鉛自
身に油を深く浸透させることができる。よつて、
これらの相乗効果により、優れた潤滑性が得られ
るのである。 なお、黒鉛サイズは、ASTM規定No.4のサイ
ズが好ましく、No.4より小さいと黒鉛自身の固体
潤滑剤としての効果が弱く、また、基地の塑性流
動によつて、基地中に理没してしまう恐れがあ
る。 一方、No.4より大きいと材料強度が低下する。 また、黒鉛量は、鋳鉄の断面観察における面積
率で、5〜15%が望ましい。 上記のように、本発明材は、上述の鋳鉄組成・
基地組織・炭化物および炭窒化物量・黒鉛形状・
黒鉛サイズとすることによつてオーステナイト鋳
鉄でありながら比較的安価で、しかも耐腐食摩耗
性を改良することができ、苛酷な使用条件下の、
デイーゼルエンジンのシリンダライナに、好適に
適用できるものである。 〔実施例〕 実施例 1 第1表に示す鋳鉄にて腐食摩耗試験片を製作
し、デイーゼルエンジンのシリンダ室内に生成さ
れる硫酸系凝縮水に類似させた、腐食雰囲気中で
の腐食摩耗試験を行つた。
【表】
試験結果を第3図に示す。
比較材Aは、従来、デイーゼルエンジンのシリ
ンダライナに使用されている耐摩耗鋳鉄である
が、パーライト基地であることもあつて、腐食が
著しく摩耗量が多い。 比較材Bは、オーステナイト鋳鉄であるが、
Cr含有量が少なく、炭化物の析出が少ないため、
摩耗量が多い。 また、Cu含有量が少ないことから、部分的に
は腐食の進行も認められる。 比較材Cは、オーステナイト鋳鉄であり、腐食
は認めれないが、P,Cr含有量が少ないため炭
化物の析出量が少ないことから摩耗量が多い。 なお、部分的には焼付きの発生も認められた。 比較材Dは、一般に使用されているオーステナ
イト鋳鉄であるが、P含有量が少ないため、炭化
物が塊状に集合した組織となつて、部分的に焼付
きが発生し、摩耗量が多くなつている。 また、Cuを含有していないため、部分的には、
腐食の進行も認められている。 比較材Eは、比較材B,Cと同様のオーステナ
イト鋳鉄であり、Cr含有量が少ないため、炭化
物の析出量が少なく摩耗量が多い。 比較材Fは、オーステナイト鋳鉄であるが、
Cr含有量が多いため粗大な炭化物が多く析出し、
炭化物露出部で焼付きが生じ、摩耗量が多くなつ
ている。 上述の比較材に対し、本発明の発明材である
G,Hは、腐食が少なく、しかも摩耗量も著しく
少ない。さらに、焼付きの発生も認められない。 実施例 2 第2表に示す従来材と本発明材にて、シリンダ
ライナを製作し、2200c.c.のEGRを装備したデイ
ーゼルエンジンを用いて、低回転でEGRを作動
させた条件での腐食摩耗試験により、シリンダラ
イナの耐久性を評価した。
ンダライナに使用されている耐摩耗鋳鉄である
が、パーライト基地であることもあつて、腐食が
著しく摩耗量が多い。 比較材Bは、オーステナイト鋳鉄であるが、
Cr含有量が少なく、炭化物の析出が少ないため、
摩耗量が多い。 また、Cu含有量が少ないことから、部分的に
は腐食の進行も認められる。 比較材Cは、オーステナイト鋳鉄であり、腐食
は認めれないが、P,Cr含有量が少ないため炭
化物の析出量が少ないことから摩耗量が多い。 なお、部分的には焼付きの発生も認められた。 比較材Dは、一般に使用されているオーステナ
イト鋳鉄であるが、P含有量が少ないため、炭化
物が塊状に集合した組織となつて、部分的に焼付
きが発生し、摩耗量が多くなつている。 また、Cuを含有していないため、部分的には、
腐食の進行も認められている。 比較材Eは、比較材B,Cと同様のオーステナ
イト鋳鉄であり、Cr含有量が少ないため、炭化
物の析出量が少なく摩耗量が多い。 比較材Fは、オーステナイト鋳鉄であるが、
Cr含有量が多いため粗大な炭化物が多く析出し、
炭化物露出部で焼付きが生じ、摩耗量が多くなつ
ている。 上述の比較材に対し、本発明の発明材である
G,Hは、腐食が少なく、しかも摩耗量も著しく
少ない。さらに、焼付きの発生も認められない。 実施例 2 第2表に示す従来材と本発明材にて、シリンダ
ライナを製作し、2200c.c.のEGRを装備したデイ
ーゼルエンジンを用いて、低回転でEGRを作動
させた条件での腐食摩耗試験により、シリンダラ
イナの耐久性を評価した。
【表】
耐久性評価試験結果を第4図に示す。
第4図から明らかなように、本発明材にて製作
したシリンダライナは、従来材(合金鋳鉄)に
て製作したシリンダライナに比較して、摩耗量が
少なく、耐摩耗性に優れていることが理解され
る。 さらに、試験後のシリンダライナボア表面を観
察した結果、従来材(合金鋳鉄)で製作したシ
リンダライナには、明らかな腐食が認められた
が、本発明材で製作したシリンダライナには、腐
食が認められず、優れた耐摩耗性を示した。 実施例 3 実施例2における第2表に示す本発明材の耐ス
カツフイング性を評価するために、本発明材で製
作したシリンダライナにて、2200c.c.のデイーゼル
エンジンを用いて連続高速耐久試験を行い、試験
後、上記シリンダライナ表面を観察した。 その結果、本発明材にて製作したシリンダライ
ナ表面には、全く、スカツフイングの発生は認め
られなかつた。 上記の結果から、V,Ti,Nbを添加した本発
明材のオーステナイト鋳鉄は、従来材に比較し
て、耐摩耗性、耐食性に加えて、耐スカツフイン
グ性に優れていることが理解される。 〔発明の効果〕 以上により明らかなように、本発明にかかる耐
腐食摩耗鋳鉄によれば、P,Crを添加して板状
ステダイト状の炭化物、炭窒化物を均一に分散さ
せるとともに、Cuを多く含有するオーステナイ
ト鋳鉄とするとによつて、耐腐食摩耗性を改良す
るとともに、黒鉛形状をASTM規定のA型黒鉛
とし、サイズを同規定のNo.4とすることで、潤滑
性を有し、デイーゼルエンジンのシリンダライナ
に、好適に適用できる利点がある。 しかも、Ni含有量が少ないことから、オース
テナイト鋳鉄でありながら安定な鋳鉄とつている
利点がある。
したシリンダライナは、従来材(合金鋳鉄)に
て製作したシリンダライナに比較して、摩耗量が
少なく、耐摩耗性に優れていることが理解され
る。 さらに、試験後のシリンダライナボア表面を観
察した結果、従来材(合金鋳鉄)で製作したシ
リンダライナには、明らかな腐食が認められた
が、本発明材で製作したシリンダライナには、腐
食が認められず、優れた耐摩耗性を示した。 実施例 3 実施例2における第2表に示す本発明材の耐ス
カツフイング性を評価するために、本発明材で製
作したシリンダライナにて、2200c.c.のデイーゼル
エンジンを用いて連続高速耐久試験を行い、試験
後、上記シリンダライナ表面を観察した。 その結果、本発明材にて製作したシリンダライ
ナ表面には、全く、スカツフイングの発生は認め
られなかつた。 上記の結果から、V,Ti,Nbを添加した本発
明材のオーステナイト鋳鉄は、従来材に比較し
て、耐摩耗性、耐食性に加えて、耐スカツフイン
グ性に優れていることが理解される。 〔発明の効果〕 以上により明らかなように、本発明にかかる耐
腐食摩耗鋳鉄によれば、P,Crを添加して板状
ステダイト状の炭化物、炭窒化物を均一に分散さ
せるとともに、Cuを多く含有するオーステナイ
ト鋳鉄とするとによつて、耐腐食摩耗性を改良す
るとともに、黒鉛形状をASTM規定のA型黒鉛
とし、サイズを同規定のNo.4とすることで、潤滑
性を有し、デイーゼルエンジンのシリンダライナ
に、好適に適用できる利点がある。 しかも、Ni含有量が少ないことから、オース
テナイト鋳鉄でありながら安定な鋳鉄とつている
利点がある。
第1図は、従来のP無添加鋳鉄の顕微鏡組織写
真、第2図は、P添加鋳鉄の顕微鏡組織写真、第
3図は、本発明材の腐食摩耗試験結果を示すグラ
フ、第4図は、本発明材にて製作したシリンダラ
イナを用いて耐久試験した結果を示すグラフであ
る。
真、第2図は、P添加鋳鉄の顕微鏡組織写真、第
3図は、本発明材の腐食摩耗試験結果を示すグラ
フ、第4図は、本発明材にて製作したシリンダラ
イナを用いて耐久試験した結果を示すグラフであ
る。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 重量比率で、C;2.5〜3.5%,Si;1.0〜2.5
%,Mn;0.5〜2.0%,P;0.1〜0.8%,Cr;1.0〜
5.0%,Ni;13〜20%,Cu;4.0〜8.0%、残部実
質的にFeからなる基本組成にV;0.1〜0.5%,
Ti;0.1〜0.5%,Nb;0.2〜0.6%のうち、少なく
とも1種類以上を、0.2〜0.6%添加した鋳鉄であ
つて、 基地はオーステナイト組織をなし、炭化物およ
び炭窒化物を合せて面積比率で2〜15%析出させ
るとともに、黒鉛形状をASTM規定のA型黒鉛
とし、該A型黒鉛のサイズを前記ASTM規定の
No.4としたことを特徴とする、潤滑性を有する耐
腐食摩耗鋳鉄。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25033683A JPS60138050A (ja) | 1983-12-26 | 1983-12-26 | 潤滑性を有する耐腐食摩耗鋳鉄 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25033683A JPS60138050A (ja) | 1983-12-26 | 1983-12-26 | 潤滑性を有する耐腐食摩耗鋳鉄 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS60138050A JPS60138050A (ja) | 1985-07-22 |
JPH0468373B2 true JPH0468373B2 (ja) | 1992-11-02 |
Family
ID=17206400
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25033683A Granted JPS60138050A (ja) | 1983-12-26 | 1983-12-26 | 潤滑性を有する耐腐食摩耗鋳鉄 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS60138050A (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0283617A2 (en) * | 1987-03-23 | 1988-09-28 | Eaton Corporation | Low porosity surfacing alloys |
JPH03265761A (ja) * | 1990-03-15 | 1991-11-26 | Teikoku Piston Ring Co Ltd | シリンダライナ |
WO2009028976A1 (fr) * | 2007-08-28 | 2009-03-05 | Alexey Gennadyevich Panov | Fonte résistante au gonflement |
CN107502814A (zh) * | 2017-09-06 | 2017-12-22 | 马鞍山市万兴耐磨金属制造有限公司 | 高镍铸铁‑高铬铸铁双材料铸件的工艺 |
JP6951949B2 (ja) * | 2017-11-16 | 2021-10-20 | トヨタ自動車東日本株式会社 | 摺動機構 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5348016A (en) * | 1976-10-14 | 1978-05-01 | Goetzewerke | Austenitic alloyed cast iron and mechanical parts exposed to abrasion |
JPS57194241A (en) * | 1981-05-26 | 1982-11-29 | Yanmar Diesel Engine Co Ltd | Wear resistant cast ferroalloy |
-
1983
- 1983-12-26 JP JP25033683A patent/JPS60138050A/ja active Granted
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5348016A (en) * | 1976-10-14 | 1978-05-01 | Goetzewerke | Austenitic alloyed cast iron and mechanical parts exposed to abrasion |
JPS57194241A (en) * | 1981-05-26 | 1982-11-29 | Yanmar Diesel Engine Co Ltd | Wear resistant cast ferroalloy |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS60138050A (ja) | 1985-07-22 |
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