JPWO2005019450A1 - 細胞傷害性リンパ球の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、培地中における血清および血漿の総含有濃度が0容量%以上5容量%未満である培地を用いて、フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物の存在下に細胞傷害性リンパ球の誘導、維持および拡大培養から選択される少なくとも1つを行う工程を含むことを特徴とする、細胞傷害徃リンパ球の製造方法を提供する。

Description

本発明は、医療分野において有用な、細胞傷害性リンパ球を取得する方法に関する。
生体は主として免疫応答により異物から守られており、免疫システムはさまざまな細胞とそれが作り出す可溶性の因子によって成り立っている。なかでも中心的な役割を果たしているのが白血球、特にリンパ球である。このリンパ球はBリンパ球(以下、B細胞と記載することがある)とTリンパ球(以下、T細胞と記載することがある)という2種類の主要なタイプに分けられ、いずれも抗原を特異的に認識し、これに作用して生体を防御する。
T細胞は、CD(Cluster of Differentiation)4マーカーを有し、主に抗体産生の補助や種々の免疫応答の誘導に関与するヘルパーT細胞(以下、Tと記載する)、CD8マーカーを有し、主に細胞傷害活性を示す細胞傷害性T細胞〔T;細胞傷害性Tリンパ球(cytotoxicT lymphocyte)、キラーT細胞とも呼ばれる。以下、CTLと記載することがある〕に亜分類される。腫瘍細胞やウイルス感染細胞等を認識して破壊、除去するのに最も重要な役割を果たしているCTLは、B細胞のように抗原に対して特異的に反応する抗体を産生するのではなく、標的細胞膜表面上に存在する主要組織適合複合体〔MHC:ヒトにおいてはヒト白血球抗原(HLA)と称することもある〕クラスI分子に会合した標的細胞由来の抗原(抗原ペプチド)を直接認識して作用する。この時、CTL膜表面のT細胞レセプター(以下、TCRと称す)が前述した抗原ペプチドおよびMHCクラスI分子を特異的に認識して、抗原ペプチドが自己由来のものなのか、あるいは、非自己由来のものなのかを判断する。そして、非自己由来と判断された標的細胞はCTLによって特異的に破壊、除去される。
近年、薬剤治療法や放射線治療法のように患者に重い肉体的負担がある治療法が見直され、患者の肉体的負担が軽い免疫治療法への関心が高まっている。特に免疫機能が正常なヒト由来のリンパ球から目的とする抗原に対して特異的に反応するCTLを生体外(ex vivo)で誘導した後、もしくは誘導を行わず、リンパ球を拡大培養し、患者へ移入する養子免疫療法の有効性が注目されている。例えば、動物モデルにおいて養子免疫療法がウイルス感染および腫瘍に対して有効な治療法であることが示唆されている(例えば、Greenberg,P.D.著,1992年発行,Advances in Immunology及びReusser P.他3名,Blood,1991年,Vol.78,No.5,P1373〜1380)。この治療法ではCTLの抗原特異的傷害活性を維持もしくは増強させた状態でその細胞数を維持あるいは増加させることが重要である。
上記のような養子免疫療法において、治療効果を得るためには一定量以上の細胞数の細胞傷害性リンパ球を投与する必要がある。すなわち、ex vivoでこれらの細胞数を短時間に得ることが最大の問題であるといえる。
CTLの抗原特異的傷害活性を維持および増強するためには、CTLについて抗原に特異的な応答を誘導する際に、目的とする抗原を用いた刺激を繰り返す方法が一般的である。しかし、通常、この方法では最終的に得られるCTL数が減少し、十分な細胞数が得られない。
疾病の治療に有効なT細胞を調製する方法としては、例えば、リンフォカイン活性化キラー細胞(LAK細胞)を用いる養子免疫療法(例えば、Rosenberg S.A.他,N.Engl.J.Med.1987年,Vol.316,No.15,P889〜897)、高濃度のインターロイキン−2(IL−2)を用いて誘導した腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を用いる養子免疫療法(例えば、Rosenberg S.A.他,N.Engl.J.Med.1988年,Vol.319,No.25,P1676〜1680およびHo M.他9名,Blood,1993年,Vol.81,No.8,P2093〜2101)が知られている。
次に、抗原特異的なCTLの調製に関しては、自己CMV感染線維芽細胞とIL−2(例えば、Riddell S.A.他4名,J.Immunol.,1991年,Vol.146,No.8,P2795〜2804)、あるいは抗CD3モノクローナル抗体(抗CD3mAb)とIL−2を用いて、それぞれCMV特異的CTLクローンを単離ならびに大量培養する方法(例えば、Greenberg P.D.他1名,J.Immunol.Methods,1990年,Vol.128,No.2,P189〜201)が報告されている。
さらに、国際公開第96/06929号パンフレットにはREM法(rapid expansion method)が開示されている。このREM法は、抗原特異的CTLおよびTを含むT細胞の初期集団を短期間で増殖(Expand)させる方法である。つまり、個々のT細胞クローンを増殖させて大量のT細胞を提供可能であり、抗CD3抗体、IL−2、並びに放射線照射により増殖性をなくしたPBMC(peripheral blood mononuclear cell、末梢血単核細胞)とエプスタイン−バールウイルス(Epstein−Barr virus、以下EBVと略す)感染細胞とを用いて抗原特異的CTL数を増加させることが特徴である。
また、国際公開第97/32970号パンフレットには改変REM法が開示されており、当該方法はPBMCとは区別されるT細胞刺激成分を発現する分裂していない哺乳動物細胞株をフィーダ細胞として使用し、PBMCの使用量を低減させる方法である。
リンフォカイン活性化キラー細胞(LAK細胞)は、リンパ球を含む末梢血液(末梢血白血球)や臍帯血、組織液等にIL−2を加えて、数日間試験管内で培養することにより得られる細胞傷害活性を持つ機能的細胞集団である。この際、抗CD3抗体を加えて培養することにより、さらにLAK細胞の増殖は加速する。このようにして得られたLAK細胞は非特異的にさまざまながん細胞やその他のターゲットに対して傷害活性を有する。LAK細胞も上記CTLと同様に、養子免疫療法に使用される。
上記のとおり、細胞傷害性リンパ球、例えばCTL、LAK細胞、TIL等を取得する工程においてはIL−2の利用を欠かすことができない。IL−2が細胞表面のインターロイキン−2レセプター(IL−2R)に結合することにより細胞はさらに活性化される。また、IL−2Rはリンパ球の活性化マーカーとして知られている。これらの点において、細胞表面のIL−2Rの発現を上昇させることは重要である。また、CTLの誘導においては、抗原による刺激に供されたCTLの前駆細胞がCTLとして誘導される効率を向上させること、すなわち、誘導後の細胞群におけるCD8陽性細胞の割合(比率)を向上させることが重要である。
またこれらリンパ球を体外において拡大培養する際には通常血清または血漿が5容量%から20容量%添加される。この血清・血漿はリンパ球等の細胞をex vivoで培養する際に必要とされる成分であるが、血清・血漿は非自己動物(ヒト・ウシ等)の血液をその由来とするため各種ウイルス感染等の危険性が排除できない。また、現在の検出技術では検出することが出来ないようなウイルス・病原性微生物の存在を完全否定することは不可能である。
この観点から、近年、患者由来の血清・血漿(自己血清・血漿)の使用が進められている。しかし、培養に必要な量の血清・血漿を確保するために患者自身の血液を多量に採取することは、患者への肉体的負担が大きく、生命の危険につながる可能性もある。この危険を回避するため、少量の血清・血漿を用いて、治療に必要なリンパ球を得る拡大培養を行うと必然的に低濃度血清・血漿での培養となる。一般にリンパ球等の細胞は低血清・低血漿条件における培養では増殖が不安定となり治療に必要な量の細胞が得られない。さらに、上述の肉体的負担および感染の危険性を回避するためには無血清培養が強く求められるが、このような培養条件ではほとんどの細胞が増殖しなくなる。
このため、低血清・無血清(低血漿・無血漿)でのリンパ球拡大培養方法が強く求められている。
無血清(無血漿)条件下でのリンパ球拡大培養方法が確立されれば、血清・血漿のロット間の差を排除でき、患者血清・血漿に由来する負要因(免疫抑制成分等)を排除することが出来ることから、この系の確立によって得られる利益は計り知れない。
フィブロネクチンは動物の血液中、培養細胞表面、組織の細胞外マトリックスに存在する分子量25万の巨大な糖タンパク質であり、多彩な機能を持つことが知られている。そのドメイン構造は7つに分けられており(以下、第1図参照)、またそのアミノ酸配列中には3種類の類似の配列が含まれており、これら各配列の繰返しで全体が構成されている。3種類の類似の配列はI型、II型、III型と呼ばれ、このうち、III型はアミノ酸残基71〜96個のアミノ酸残基で構成されており、これらのアミノ酸残基の一致率は17〜40%である。フィブロネクチン中には14のIII型の配列が存在するが、そのうち、8番目、9番目、10番目(以下、それぞれIII−8、III−9、III−10と称する。)は細胞結合ドメインに、また12番目、13番目、14番目(以下、それぞれIII−12、III−13、III−14と称する。)はヘパリン結合ドメインに含有されている。また、III−10にはVLA(very late activation antigen)−5結合領域が含まれており、このコア配列はRGDSである。また、ヘパリン結合ドメインのC末端側にはIIICSと呼ばれる領域が存在する。IIICSには25アミノ酸からなるVLA−4に対して結合活性を有するCS−1と呼ばれる領域が存在する(例えば、Deane F.Momer著,1988年発行,FIBRONECTIN,ACADEMIC PRESS INC.,P1〜8、Kimizuka F.他8名,J.Biochem.,1991年,Vol.110,No.2,p284−291およびHanenberg H.他5名,Human Gene Therapy,1997年,Vol.8,No.18,p2193−2206)。
本発明の目的は、安全性が高く、医療への使用に適した、細胞傷害活性を高いレベルで保持した細胞傷害性リンパ球を取得する方法を提供することにある。
本発明を概説すれば、本発明の第1の発明は、培地中における血清および血漿の総含有濃度が0容量%以上5容量%未満である培地を用いて、フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物の存在下に細胞傷害性リンパ球の誘導、維持および拡大培養から選択される少なくとも1つを行う工程を含むことを特徴とする、細胞傷害性リンパ球の製造方法に関する。本発明の第1の発明で製造される細胞傷害性リンパ球としては、フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物の非存在下に製造されたものと比較して、インターロイキン−2レセプターを高発現する細胞傷害性リンパ球が例示される。また、本発明の第1の発明で製造される細胞傷害性リンパ球としては、フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物の非存在下に製造されたものと比較して、CD8陽性細胞を高比率で含有する細胞傷害性リンパ球が例示される。また、本発明の第1の発明で製造される細胞傷害性リンパ球としては、フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物の非存在下での細胞傷害性リンパ球の製造方法により製造されたものと比較して、拡大培養率が高い細胞傷害性リンパ球が例示される。また、本発明の第1の発明で製造される細胞傷害性リンパ球としては、フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物の非存在下に製造されたものと比較して、細胞傷害活性が増強されたもしくは高い細胞傷害活性が維持された細胞傷害性リンパ球が例示される。
本発明の第1の発明において、フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物の使用については、これらが固相に固定化されて使用されることが例示される。ここで固相としては細胞培養用器材または細胞培養用担体が例示される。細胞培養用器材としては、シャーレ、フラスコまたはバッグが例示され、細胞培養用担体としては、ビーズ、メンブレンまたはスライドガラスが例示される。
本発明の第1の発明において、細胞傷害性リンパ球としては、リンフォカイン活性化キラー細胞が例示される。
本発明の第1の発明において、フィブロネクチンのフラグメントとしては、配列表の配列番号1〜8で表されるいずれかのアミノ酸配列を少なくとも1つ含んでなるポリペプチド(m)であるか、または前記いずれかのアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは付加したアミノ酸配列を少なくとも1つ含んでなるポリペプチドであって、前記ポリペプチド(m)と同等な機能を有するポリペプチド(n)が例示される。フィブロネクチンのフラグメントとしては、細胞接着活性および/またはヘパリン結合活性を有するものが例示される。また、フィブロネクチンのフラグメントが、配列表の配列番号9〜20および25で表されるいずれかのアミノ酸配列を有するポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチドが例示される。
本発明の第1の発明において、当該製造方法を細胞培養用器材中で行う場合の一態様として、
(a)培養開始時の細胞数と細胞培養用器材における培養面積との比率が、1cell/cm〜5×10cells/cmである、および/または
(b)培養開始時の培地中の細胞の濃度が、1cell/mL〜5×10cells/mLである、
の条件を満たすことが例示される。
また、このような製造方法としては、細胞培養液を希釈する工程を要しない方法が例示される。
本発明の第1の発明において、細胞傷害性リンパ球の誘導、維持及び拡大培養の少なくともいずれか1つを、フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物の存在下、培地を含む細胞培養用器材中で行なう場合、例えば、少なくとも1回の、細胞培養液の希釈工程、培地の交換工程もしくは細胞培養用器材の交換工程を包含し、かつ少なくとも1回の、細胞培養液の希釈工程直後、培地の交換工程直後もしくは細胞培養用器材の交換工程直後の培養条件が、
(c)細胞培養液中の細胞の濃度が2×10cells/mL〜1×10cells/mLである、もしくは
(d)細胞培養液中の細胞数と細胞培養用器材における培養面積との比率が1×10cells/cm〜1×10cells/cmである、
の条件を満たすことが例示される。
本発明の第1の発明の製造方法において、細胞傷害性リンパ球の誘導、維持及び拡大培養の少なくともいずれか1つを、フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物の存在下、培地を含む細胞培養用器材中で行なう場合、特に限定はないが、例えば、少なくとも1回の、細胞培養液の希釈工程、培地の交換工程もしくは細胞培養用器材の交換工程を包含し、かつ少なくとも1回の、細胞培養液の希釈工程直後、培地の交換工程直後もしくは細胞培養用器材の交換工程直後の培地中における血清および血漿の総含有濃度が培養開始時と同じか、もしくは培養開始時よりも低減されていることが例示される。
本発明の第1の発明において、細胞傷害性リンパ球に外来遺伝子を導入する工程をさらに含む方法が例示される。ここで外来遺伝子の導入としては、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスまたはシミアンウイルスを用いて導入することが例示される。
本発明の第2の発明は、本発明の第1の発明の方法により得られる細胞傷害性リンパ球に関する。
本発明の第3の発明は本発明の第1の発明の方法により得られる細胞傷害性リンパ球を有効成分として含有する医薬に関する。
本発明の第4の発明は、フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物を有効成分として含有し、かつ血清および血漿の総含有濃度が0容量%以上5容量%未満であることを特徴とする細胞傷害性リンパ球培養用培地に関する。
本発明により、安全性が高く、患者への負担が軽減された細胞傷害性リンパ球の製造方法が提供される。
第1図は、フィブロネクチンのドメイン構造を示す模式図である。
本発明は、細胞傷害性リンパ球の誘導、維持又は拡大培養方法において、フィブロネクチン及び/又はフィブロネクチンフラグメントの存在下に細胞傷害性リンパ球を調製することにより、培地中の血清や血漿の含有量を低減または除去しても、高い拡大培養率で充分な細胞傷害活性を有し、IL−2Rの発現量が高く、さらにCD8陽性細胞の比率が高い細胞傷害性リンパ球が得られることを見出し、完成するに至ったものである。
なお、本明細書において細胞傷害性リンパ球の製造とは、当該細胞の誘導(活性化)、維持、拡大培養の各工程、もしくはこれらを組み合わせた工程を包含する操作を指す。また、本発明の細胞傷害性リンパ球の製造を、細胞傷害性リンパ球の培養とも称する。
以下、本発明を具体的に説明する。
(1)本発明に使用されるフィブロネクチン、およびそのフラグメント
本明細書中に記載のフィブロネクチンおよびそのフラグメントは、天然から得られたもの、または人為的に合成されたもののいずれでもよい。フィブロネクチンおよびそのフラグメントは、例えば、ルオスラーティ E.ら〔Ruoslahti E.,et al.、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、第256巻、第14号、第7277〜7281頁(1981)〕の開示に基づき、天然起源の物質から実質的に純粋な形態で製造することができる。ここで、本明細書に記載された実質的に純粋なフィブロネクチンまたはフィブロネクチンフラグメントとは、これらが天然においてフィブロネクチンと一緒に存在する他のタンパク質を本質的に含有していないことを意味する。上記のフィブロネクチンおよびそのフラグメントは、それぞれ単独で、もしくは複数の種類のものを混合して本発明に使用することができる。
なお、フィブロネクチンは多くのスプライシングバリアントの存在が知られているが、本発明に使用されるフィブロネクチンとしては、本発明の所望の効果を発現するものであれば、いずれのバリアントも使用することができる。例えば、血漿由来のフィブロネクチンの場合、細胞結合ドメインの上流に存在するED−Bと呼ばれる領域、細胞結合ドメインとヘパリン結合ドメインの間に存在するED−Aと呼ばれる領域が欠失していることが知られているが、このような血漿由来のフィブロネクチンも本発明に使用することができる。
本発明に使用できるフィブロネクチンフラグメント、ならびに該フラグメントの調製に関する有用な情報は、キミヅカ F.ら〔Kimiduka F.,et al.、ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(J.Biochem.)、第110巻、第284〜291頁(1991)〕、コーンブリット A.R.ら〔Kornbrihtt A.R.,et al.、EMBO ジャーナル(EMBO J.)、第4巻、第7号、1755〜1759(1985)〕、およびセキグチ K.ら〔Sekiguchi K.,et al.、バイオケミストリー(Biochemistry)、第25巻、第17号、4936〜4941(1986)〕等より得ることができる。また、フィブロネクチンのアミノ酸配列については、Genbank Accession No.NM_002026(NP_002017)に開示されている。
本発明において、フィブロネクチンフラグメントとしては、例えば、III−8(配列表の配列番号1で表されるアミノ酸配列)、III−9(配列表の配列番号2で表されるアミノ酸配列)、III−10(配列表の配列番号3で表されるアミノ酸配列)、III−11(配列表の配列番号4で表されるアミノ酸配列)、III−12(配列表の配列番号5で表されるアミノ酸配列)、III−13(配列表の配列番号6で表されるアミノ酸配列)、III−14(配列表の配列番号7で表されるアミノ酸配列)、およびCS−1(配列表の配列番号8で表されるアミノ酸配列)のいずれかの領域を構成するアミノ酸配列を少なくとも1つ含んでなるポリペプチド(m)(第1図参照)や、前記いずれかのアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは付加したアミノ酸配列を少なくとも1つ含んでなるポリペプチドであって、前記ポリペプチド(m)と同等な機能を有するポリペプチド(n)が例示される。
また、当該フラグメントとしては、細胞接着活性および/またはヘパリン結合活性を有するものが好適に使用できる。細胞接着活性は、本発明で使用されるフラグメント(その細胞結合ドメイン)と細胞との結合を公知の方法を使用してアッセイすることにより調べることができる。例えば、このような方法には、ウイリアムズ D.A.らの方法〔Williams D.A.,et al.、ネイチャー(Nature)、第352巻、第438〜441頁(1991)〕が含まれる。当該方法は、培養プレートに固定化したフラグメントに対する細胞の結合を測定する方法である。また、ヘパリン結合活性は、本発明に使用されるフラグメント(そのヘパリン結合ドメイン)とヘパリンとの結合を公知の方法を使用してアッセイすることにより調べることができる。例えば、上記のウイリアムズ D.A.らの方法において、細胞に換えてヘパリン、例えば標識ヘパリンを使用することにより、同様の方法でフラグメントとヘパリンとの結合の評価を行うことができる。
さらにフィブロネクチンのフラグメントとしては、C−274(配列表の配列番号9で表されるアミノ酸配列)、H−271(配列表の配列番号10で表されるアミノ酸配列)、H−296(配列表の配列番号11で表されるアミノ酸配列)、CH−271(配列表の配列番号12で表されるアミノ酸配列)、CH−296(配列表の配列番号13で表されるアミノ酸配列)、C−CS1(配列表の配列番号14で表されるアミノ酸配列)、またはCH−296Na(配列表の配列番号25で表されるアミノ酸配列)より選択されるポリペプチドが例示される。なお、CH−296Naについては本願において初めて作製されたポリペプチドである。
上記のCH−271、CH−296、CH−296Na、C−274、C−CS1の各フラグメントはVLA−5に結合する活性を有する細胞結合ドメインを有するポリペプチドである。また、C−CS1、H−296、CH−296、CH−296NaはVLA−4に結合する活性を有するCS−1を有するポリペプチドである。さらに、H−271、H−296、CH−271、CH−296およびCH−296Naはヘパリン結合ドメインを有するポリペプチドである。なお、CH−296Naは血漿由来のフィブロネクチンにおける細胞結合ドメインからCS−1までを含むポリペプチドである。すなわち、CH−296NaはGenbank Accession No.NM_002026(NP_002017)に開示されているフィブロネクチンのアミノ酸配列の1270番目のプロリンから2016番目のスレオニンまでを含むポリペプチドより、1631番目のアスパラギンから1720番目のスレオニンにわたる領域(ED−A)が欠失したポリペプチドである。
本発明においては、上記の各ドメインが改変されたフラグメントも使用することができる。フィブロネクチンのヘパリン結合ドメインは3つのIII型配列(III−12、III−13、III−14)によって構成されている。前記III型配列のうちの一つもしくは二つを欠失したヘパリン結合ドメインを含むフラグメントも本発明に使用することが可能である。例えば、フィブロネクチンの細胞結合部位(VLA−5結合領域、Pro1239〜Ser1515)と一つのIII型配列とが結合したフラグメントであるCHV−89(配列表の配列番号15で表されるアミノ酸配列)、CHV−90(配列表の配列番号16で表されるアミノ酸配列)、CHV−92(配列表の配列番号17で表されるアミノ酸配列)、あるいは二つのIII型配列とが結合したフラグメントであるCHV−179(配列表の配列番号18で表されるアミノ酸配列)、CHV−181(配列表の配列番号19で表されるアミノ酸配列)が例示される。CHV−89、CHV−90、CHV−92はそれぞれIII−13、III−14、III−12を含むものであり、CHV−179はIII−13とIII−14を、CHV−181はIII−12とIII−13をそれぞれ含んでいる。
また、上記の各フラグメントにさらにアミノ酸を付加したフラグメントも本発明に使用することができる。当該フラグメントは、例えば、後述の製造例に記載のH−275−Cysの製造方法に準じて上記各フラグメントに所望のアミノ酸を付加することにより製造可能である。例えば、H−275−Cys(配列表の配列番号20で表されるアミノ酸配列)は、フィブロネクチンのヘパリン結合ドメインを有し、かつC末端にシステイン残基を有するフラグメントである。
なお、本発明に使用されるフラグメントとしては、本発明の所望の効果が得られる限り、上記に例示した天然のフィブロネクチンのアミノ酸配列の少なくとも一部を含むフラグメントと同等な機能を有する、当該フラグメントを構成するポリペプチドのアミノ酸配列に1もしくは複数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入もしくは付加を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドからなるものであってもよい。
アミノ酸の置換等は、本来のポリペプチドの機能が維持され得る範囲内で該ポリペプチドの物理化学的性状等を変化させ得る程度のものであるのが好ましい。例えば、アミノ酸の置換等は、本来のポリペプチドの持つ性質(例えば、疎水性、親水性、電荷、pK等)を実質的に変化させない範囲の保存的なものが好ましい。例えば、アミノ酸の置換は、1.グリシン、アラニン;2.バリン、イソロイシン、ロイシン;3.アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;4.セリン、スレオニン;5.リジン、アルギニン;6.フェニルアラニン、チロシンの各グループ内での置換であり、アミノ酸の欠失、付加、挿入は、ポリペプチドにおけるそれらの対象部位周辺の性質に類似した性質を有するアミノ酸の、対象部位周辺の性質を実質的に変化させない範囲での欠失、付加、挿入が好ましい。
アミノ酸の置換等は種間や個体差に起因して天然に生ずるものであってもよく、また、人工的に誘発されたものであってもよい。人工的な誘発は公知の方法により行えばよく、特に限定はないが、例えば、公知の手法により、天然のフィブロネクチン由来の前記領域や所定のフラグメントをコードする核酸において1もしくは複数個の塩基が置換、欠失、付加もしくは挿入された所定の核酸を作製し、それを使用して、天然のフィブロネクチン由来の前記領域や所定のフラグメントと同等な機能を有する、当該フラグメント等を構成するポリペプチドのアミノ酸配列に置換等を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを製造することができる。
また、本明細書において「同等な機能を有する」とは、比較対照であるポリペプチドが、天然由来のフィブロネクチンフラグメントの有する、(i)細胞傷害性リンパ球の細胞傷害活性の増強又は維持機能、(ii)IL−2Rの発現量の増強機能、(iii)CD8陽性細胞の比率向上機能、または(iv)細胞傷害性リンパ球の拡大培養率の向上機能の少なくともいずれかの機能を有することをいう。前記機能は後述の実施例に記載の方法に準じて適宜確認することができる。また、アミノ酸の置換等を有するポリペプチドからなるフラグメントとしては、細胞接着活性および/またはヘパリン結合活性を有するものが好適である。細胞接着活性およびヘパリン結合活性は、それらの前記活性測定方法に準じて評価することができる。
アミノ酸の置換等を有するポリペプチドからなるフラグメントとして、例えば、2つの異なるドメイン間にリンカーとして1以上のアミノ酸が挿入されたフラグメントも本発明に使用することができる。
なお、フィブロネクチンについても、上記のフラグメントと同様、そのポリペプチドのアミノ酸配列に1もしくは複数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入もしくは付加を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドであって、少なくとも前記(i)〜(iv)のいずれかの機能を有するポリペプチドを、本発明において使用することができる。
本明細書中に記載のフィブロネクチンフラグメントは、例えば、米国特許第5,198,423号明細書の記載に基づいて遺伝子組換え体より製造することもできる。例えば、上記のH−271(配列番号10)、H−296(配列番号11)、CH−271(配列番号12)、CH−296(配列番号13)の各フラグメントならびにこれらを取得する方法は当該特許明細書に詳細に記載されている。また、CH−296Na(配列番号25)とその製造方法については後述の(3)CH−296Naについて、および実施例に記載されている。また、上記のC−274(配列番号9)フラグメントは米国特許第5,102,988号明細書に記載された方法により得ることができる。さらに、C−CS1(配列番号14)フラグメントは日本特許第3104178号明細書に記載された方法により得ることができる。上記CHV−89(配列番号15)、CHV−90(配列番号16)、CHV−179(配列番号18)の各フラグメントは、日本特許第2729712号明細書に記載された方法により得ることができる。また、CHV−181(配列番号19)フラグメントは国際公開第97/18318号パンフレットに記載された方法に準じて得ることができる。CHV−92(配列番号17)フラグメントは、日本特許第2729712号明細書および国際公開第97/18318号パンフレットを参照し、それらの文献に記載されたプラスミドに基づいて定型的にプラスミドを構築し、該プラスミドを用いて遺伝子工学的に取得することができる。
これらのフラグメントまたはこれらフラグメントから定型的に誘導できるフラグメントは、〒305−8566日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6 独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに下記受託番号のもとで寄託された微生物を用いて製造する、あるいは各微生物の保持するプラスミドを公知の方法により改変することにより製造することができる;
FERM BP−2264(H−271をコードするプラスミドを保有する大腸菌;寄託日 1989年1月30日)、
FERM BP−2800(CH−296をコードするプラスミドを保有する大腸菌;寄託日 1989年5月12日)、
FERM BP−2799(CH−271をコードするプラスミドを保有する大腸菌;寄託日 1989年5月12日)、
FERM BP−7420(H−296をコードするプラスミドを保有する大腸菌;寄託日 1989年5月12日)、
FERM BP−1915(C−274をコードするプラスミドを保有する大腸菌;寄託日 1988年6月17日)、
FERM BP−5723(C−CS1をコードするプラスミドを保有する大腸菌;寄託日 1990年3月5日)、
FERM BP−10073(CH−296Naをコードするプラスミド;寄託日 2004年7月23日)
FERM P−12182(CHV−89をコードするプラスミドを保有する大腸菌;寄託日 1991年4月8日)、
FERM P−12183(CHV−179をコードするプラスミドを保有する大腸菌;寄託日 1991年4月8日)。
フィブロネクチンは巨大な糖タンパク質であるため、天然起源のタンパク質を調製して使用することは産業上および医薬品製造上、必ずしも容易ではない。また、フィブロネクチンは多機能タンパク質であることから、その使用の状況によっては、本発明の方法に効果を示す領域とは異なる領域に起因する不都合が起こることも考えられる。これらのことから、本発明においては、入手、取り扱いの容易さ、安全面の観点から、好適にはフィブロネクチンフラグメント、さらに好適には前記のようにして得られる組換えフィブロネクチンフラグメントを使用することができる。さらに、後述するリンパ球の拡大培養率の向上、拡大培養されたリンパ球におけるIL−2Rの発現量の上昇、および拡大培養されたリンパ球集団中のCD8陽性細胞の比率の向上、細胞傷害活性の上昇等の効果を示すことができるフィブロネクチンフラグメントが特に好適に使用できる。また、本発明に使用されるフィブロネクチンフラグメントの分子量としては、特に限定はないが、好適には1〜200kD、より好適には5〜190kD、さらに好適には10〜180kDである。当該分子量は、例えば、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により測定することができる。
なお、本発明のフィブロネクチンフラグメントを構成するポリペプチドのアミノ酸配列において、天然由来のフィブロネクチンフラグメントを構成するポリペプチドのアミノ酸配列以外のアミノ酸配列部分は、本発明の所望の効果の発現を阻害しない限り任意であり、特に限定されるものではない。
(2)本発明の細胞傷害性リンパ球の製造方法
以下、本発明の細胞傷害性リンパ球の製造方法について具体的に説明する。本発明の方法は、培地中における血清及び血漿の総含有濃度が0容量%以上5容量%未満である培地を用いて、フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物の存在下に細胞傷害性リンパ球の誘導、維持および拡大培養の少なくともいずれか1つを行なう細胞傷害性リンパ球の製造方法である。
本明細書において細胞傷害性リンパ球とは細胞傷害性リンパ球を含有する細胞群を意味する。なお、狭義には前記細胞群に含有されている細胞傷害性リンパ球のみを示すことがある。また、本発明において細胞傷害性リンパ球の製造とは、本発明の細胞傷害性リンパ球になり得る前駆細胞からの細胞傷害活性を有するリンパ球への誘導、細胞傷害性リンパ球の維持、細胞傷害性リンパ球および/または前駆細胞を用いた細胞傷害性リンパ球の拡大培養のいずれをも包含するものである。本発明の細胞傷害性リンパ球の製造方法においては、該方法に供する細胞の種類や、培養の条件等を適宜調整することにより、細胞傷害性リンパ球の誘導、維持または拡大培養が行なわれることになる。
本発明の細胞傷害性リンパ球としては、特に限定するものではないが、例えば細胞傷害活性を有する、リンフォカイン活性化キラー細胞(LAK細胞)、細胞傷害性T細胞(CTL)、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、NK細胞等が挙げられる。
本発明において、細胞傷害性リンパ球になり得る、すなわち、該リンパ球への分化能を有する前駆細胞としては、末梢血単核球(PBMC)、NK細胞、ナイーブ細胞、メモリー細胞、造血幹細胞、臍帯血単核球等が例示される。また、血球系細胞であれば本発明において前駆細胞として使用できる。これらの細胞は生体から採取されたものをそのままもしくは凍結保存したもののいずれも使用することができる。なお、本発明の細胞傷害性リンパ球の製造方法では、前記細胞を含有する材料、例えば、末梢血液、臍帯血等の血液や、血液から赤血球や血漿等の成分を除去したもの、骨髄液等を使用することができる。
本発明の細胞傷害性リンパ球の製造方法は、フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物から選択される有効成分の存在下に細胞傷害性リンパ球を製造することを1つの大きな特徴とする。なお、本発明の細胞傷害性リンパ球の製造方法は、細胞傷害性リンパ球の培養の全期間、もしくは任意の一部の期間において行われる。すなわち、細胞傷害性リンパ球の製造工程の一部に前記工程を含むものであれば本発明に包含される。
さらに、従来の細胞傷害性リンパ球の拡大培養方法では、培地中に5〜20容量%の血清・血漿の添加が必要であったのに対し、本発明の細胞傷害性リンパ球の製造方法は、これら血清および血漿の培地中の総含有濃度を0容量%以上5容量%未満とすることを特徴とする。血清および血漿の培地中の総含有濃度は、好適には0容量%以上4容量%以下、特に好適には0容量%以上3容量%以下とすることができる。本発明の特に好適な態様においては、培地中に血清・血漿を全く添加することなく、十分な細胞傷害性リンパ球の製造を行うことができ、安全面や患者への負担を軽減させる点で非常に有用な方法である。また、本発明において、使用する血清・血漿の使用量をさらに低減させたい場合は、培養途中において血清・血漿の使用量を段階的に低減させることができる。すなわち、培養開始時の血清・血漿濃度に対して、後述する細胞培養液の希釈、培地交換もしくは細胞培養用器材の交換の際に使用される新たな培地中の血清・血漿濃度を低減させるもしくは添加しないことで、血清・血漿の使用量を通常より低減させることができる。よって、本発明によれば、少なくとも1回の、細胞培養液の希釈工程、培地の交換工程もしくは細胞培養用器材の交換工程を包含し、かつ少なくとも1回の、細胞培養液の希釈工程直後、培地の交換工程直後もしくは細胞培養用器材の交換工程直後の培地中における血清および血漿の総含有濃度が培養開始時と同じか、もしくは培養開始時よりも低減されている細胞傷害性リンパ球の製造方法が提供される。
なお、血清又は血漿の由来としては、自己(使用する細胞傷害性リンパ球の前駆細胞と由来が同じであることを意味する)もしくは非自己(使用する細胞傷害性リンパ球の前駆細胞と由来が異なることを意味する)のいずれでも良いが、好適には安全性の観点から自己由来のものが使用できる。
本発明の方法において、細胞傷害性リンパ球の製造、すなわち、細胞傷害性リンパ球の誘導、維持および/または拡大培養は、通常、本発明の前記有効成分の存在下に、所定の成分を含む培地中で行なわれる。
例えば、本発明の方法において、細胞傷害性リンパ球の誘導もしくは拡大培養を意図する場合、本発明において使用される培養開始時の細胞(細胞傷害性リンパ球および/または前駆細胞)数としては、特に限定はないが、例えば1cell/mL〜1×10cells/mL、好適には1cell/mL〜5×10cells/mL、さらに好適には1cell/mL〜2×10cells/mLが例示される。また、培養条件に特に限定はなく、通常の細胞培養に使用される条件を使用することができる。例えば、37℃、5%CO等の条件で培養することができる。また、適当な時間間隔で細胞培養液を新鮮な培地を加えて希釈するか、培地を交換するか、もしくは細胞培養用器材を交換することができる。
本発明の細胞傷害性リンパ球の製造方法において使用される培地には血清および血漿の総含有濃度を除いては特に限定はなく、細胞傷害性リンパ球、その前駆細胞の維持、生育に必要な成分を混合して作製された公知の培地を使用することができ、たとえば市販の培地を適宜選択して使用することができる。これらの培地はその本来の構成成分以外に適当なタンパク質、サイトカイン類、その他の成分を含んでいてもよい。好適には、IL−2を含有する培地が本発明に使用される。IL−2の培地中の濃度としては、特に限定はないが、例えば、好適には0.01〜1×10U/mL、より好適には0.1〜1×10U/mLである。
本発明の細胞傷害性リンパ球の製造方法において使用される細胞培養用器材としては、特に限定はないが、例えば、シャーレ、フラスコ、バッグ、大型培養槽、バイオリアクター等を使用することができる。なお、バッグとしては、下記実施例34〜38および45〜52に記載のとおり、細胞培養用COガス透過性バッグを使用することができる。また、工業的に大量のリンパ球を製造する場合には、大型培養槽を使用することができる。また、培養は開放系、閉鎖系のいずれのものも使用することができるが、好適には得られるリンパ球の安全性の観点から閉鎖系で培養を行うことが好ましい。
また、抗CD3抗体をさらに含有する培地中で細胞傷害性リンパ球になり得る前駆細胞を培養することもできる。抗CD3抗体の培地中の濃度としては、特に限定はないが、例えば0.001〜100μg/mL、特に0.01〜100μg/mLが好適である。抗CD3抗体はリンパ球上のレセプターを活性化する目的で添加することができる。また、この他、レクチン等のリンパ球刺激因子を添加することもできる。当該成分の培地中の濃度は、所望の効果が得られれば特に限定されるものではない。
なお、本発明の有効成分を含め、上記成分は培地中に溶解して共存させる他、適切な固相、例えばシャーレ、フラスコ、バッグ等の細胞培養用器材(開放系のもの、および閉鎖系のもののいずれをも含む)、またはビーズ、メンブレン、スライドガラス等の細胞培養用担体に固定化して使用してもよい。なお、ビーズへの固定化としては、下記実施例61および62に記載のとおりに行うことができ、製造されたビーズは下記実施例63および64に記載のとおりに使用することができる。それらの固相の材質は細胞培養に使用可能なものであれば特に限定されるものではない。該成分を、例えば、前記器材に固定化する場合、培地を該器材に入れた際に、該成分を培地中に溶解して用いる場合の所望の濃度と同様の割合となるように、器材に入れる培地量に対して各成分の一定量を固定化するのが好適であるが、当該成分の固定化量は所望の効果が得られれば特に限定されるものではない。前記担体は、細胞培養時に細胞培養用器材中の培養液に浸漬して使用される。前記成分を前記担体に固定化する場合、該担体を培地に入れた際に、該成分を培地中に溶解して用いる場合の所望の濃度と同様の割合となるように、器材に入れる培地量に対して各成分の一定量を固定化するのが好適であるが、当該成分の固定化量は所望の効果が得られれば特に限定されるものではない。
例えば、フィブロネクチンのフラグメントの固定化は、国際公開第97/18318号パンフレット、ならびに国際公開第00/09168号パンフレットに記載の方法により実施することができる。
前記の種々の成分や、本発明の有効成分を固相に固定化しておけば、本発明の方法により細胞傷害性リンパ球を得た後、該リンパ球と固相とを分離するのみで、有効成分等と該リンパ球とを容易に分離することができ、該リンパ球への有効成分等の混入を防ぐことができる。
さらに、国際公開第02/14481号パンフレットに記載された、抗原特異的な細胞傷害活性を有する細胞傷害性T細胞の誘導に有効な酸性多糖、酸性オリゴ糖、酸性単糖およびそれらの塩からなる群より選択される化合物や、下記(A)〜(D)から選択される物質を前記成分と共に用いてもよい。
(A)CD44に結合活性を有する物質
(B)CD44リガンドがCD44に結合することにより発せられるシグナルを制御し得る物質
(C)成長因子の成長因子レセプターへの結合を阻害し得る物質
(D)成長因子が成長因子レセプターに結合することにより発せられるシグナルを制御し得る物質
前記CD44に結合活性を有する物質としては、例えばCD44リガンドおよび/または抗CD44抗体が例示される。CD44リガンドがCD44に結合することにより発せられるシグナルを制御し得る物質としては、例えば各種リン酸化酵素および脱リン酸化酵素の阻害剤又は活性化剤が挙げられる。成長因子の成長因子レセプターへの結合を阻害し得る物質としては、例えば成長因子に結合活性を有し、成長因子と複合体を形成することにより成長因子が成長因子レセプターに結合するのを阻害する物質、もしくは成長因子レセプターに結合活性を有し、成長因子が成長因子レセプターに結合するのを阻害する物質が挙げられる。さらに、成長因子が成長因子レセプターに結合することにより発せられるシグナルを制御し得る物質としては、例えば各種リン酸化酵素および脱リン酸化酵素の阻害剤又は活性化剤が挙げられる。これらの成分の培地中の濃度は、所望の効果が得られれば特に限定されるものではない。また、これらの成分は培地中に溶解して共存させる他、前記のような適切な固相に固定化して使用してもよい。
なお、上記の各種物質は単独で、もしくは2種以上混合して用いることができる。
本発明において前記有効成分の存在下とは、細胞傷害性リンパ球の誘導、維持または拡大培養を行なう際に、前記有効成分がその機能を発揮し得る状態で存在することをいい、その存在状態は特に限定されるものではない。例えば、有効成分を使用する培地に溶解させる場合、培養を行う培地中における、本発明の有効成分の含有量は所望の効果が得られれば特に限定するものではないが、例えば、好ましくは0.0001〜10000μg/mL、より好ましくは0.001〜10000μg/mL、さらに好ましくは0.005〜5000μg/mL、特に好ましくは0.01〜1000μg/mLである。
本発明の製造方法によって得られた細胞傷害性リンパ球についてIL−2Rの発現量を測定すると、フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物の非存在下に誘導、維持および拡大培養の少なくともいずれか1つを行なった細胞傷害性リンパ球に比較して有意なIL−2R発現量の増加が認められる。ここで、IL−2R発現量は公知の方法、例えば、抗IL−2R抗体を使用して測定することができる。
上記のように、本発明の方法により得られた細胞傷害性リンパ球はIL−2Rの発現量が増加している。IL−2Rは活性化T細胞表面に発現する活性化マーカーであり、この分子の発現に伴い、サイトカイン産生、細胞傷害活性、増殖活性等が活性化される。よって、本発明の方法により得られる細胞傷害性リンパ球は高い機能を有する細胞群である。
また、本発明の方法により得られる細胞傷害性リンパ球は、IL−2Rの発現量が増加していることから、培地中に添加されたIL−2、あるいは細胞傷害性リンパ球の前駆細胞、リンパ球自体もしくは共存するその他の細胞が産生したIL−2による刺激に対する感受性が向上している。このため、IL−2の少ない環境下(例えば体内等)でも自ら活性化することができる。
さらに、本発明の方法により得られた細胞傷害性リンパ球では、フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物の非存在下に誘導、維持および拡大培養の少なくともいずれか1つを行なったものに比べてCD8マーカーを有する(CD8陽性)細胞の存在する比率が高い。このことは、例えば、1.CD8陽性細胞はインターフェロン−γ等のサイトカインを産生して、免疫賦活を引き起こし、ヘルパーT細胞バランスをTh1系にする、2.CD8陽性細胞は細胞性免疫担当細胞であり、ウィルスや腫瘍細胞等の異物を効率よく排除することができる、3.CD8陽性細胞を得る場合は、従来はマグネットビーズやフローサイトメーターでCD8陽性細胞を精製していたが、本発明の方法では培養しながらCD8陽性細胞をエンリッチにすることができる、4.CD8陽性細胞比が多いことから、CTLを誘導する際の前駆細胞としての使用に適している、5.CD8陽性細胞比の少ない細胞集団からでも、CD8陽性細胞比率を高めながら培養することができる、等の利点がある。よって、本発明の方法は細胞傷害性リンパ球の調製において極めて有用である。
なお、本発明の方法により得られた細胞傷害性リンパ球におけるCD8陽性細胞の比率は、特に限定するものではないが、例えば抗CD8抗体を使用して測定することができる。
また、本発明の方法により調製された細胞傷害性リンパ球は培養後の細胞を長期間にわたって維持、あるいはこれを増殖させても、従来観察されたような高い細胞傷害活性が維持されているという性質を有している。すなわち、該細胞傷害性リンパ球は、フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物の非存在下に誘導、維持および拡大培養の少なくともいずれか1つを行なったものと比べて、細胞傷害活性が高く維持される。従って、培養された細胞傷害性リンパ球をクローン化することにより、安定した細胞傷害活性を有するリンパ球として維持することもできる。また、誘導された細胞傷害性リンパ球に抗原、各種サイトカイン、抗CD3抗体刺激を与えることにより増殖させ、拡大培養することができる。この細胞傷害性リンパ球の維持、拡大培養には、特に限定はなく、公知の方法を用いることができる。
上記の細胞傷害性リンパ球の維持とは、細胞傷害性リンパ球を細胞傷害活性を保ったままで維持することをいう。その際の培養条件に特に限定はなく、通常の細胞培養に使用される条件を適用することができる。例えば、37℃、5%CO等の条件で培養することができる。また、適当な時間間隔で培地を新鮮なものに交換することができる。使用される培地や、同時に使用されるその他の成分等は前記と同様である。
本発明の方法における細胞傷害性リンパ球の維持および拡大培養は、本発明の有効成分、すなわちフィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物の存在下、培地中における血清及び血漿の総含有濃度が0容量%以上5容量%未満である培地中で細胞傷害性リンパ球をそれぞれ継続培養および拡大培養することを1つの大きな特徴とする。拡大培養によれば、細胞傷害性リンパ球の有する細胞傷害活性を維持させた状態でその細胞数を増加させることができる。すなわち、本発明の方法は、1つの態様として、細胞傷害性リンパ球の拡大培養方法を提供する。
本発明の方法により得られる細胞傷害性リンパ球は所望の標的細胞を認識する能力を有しており、例えば標的となる細胞を、その細胞傷害活性により破壊する。この細胞傷害性リンパ球の細胞傷害活性は公知の方法により評価できる。例えば、放射性物質、蛍光物質等で標識した標的細胞に対する細胞傷害性リンパ球の細胞傷害活性を、細胞傷害性リンパ球により破壊された標的細胞に由来する放射活性や蛍光強度を測定することによって評価できる。また、細胞傷害性リンパ球や標的細胞より特異的に遊離されるGM−CSF、IFN−γ等のサイトカイン量を測定することにより検出することもできる。その他蛍光色素等によって標識された抗原ペプチド−MHC複合体の使用によって直接確認することもできる。この場合、例えば細胞傷害性リンパ球を細胞傷害性リンパ球特異性抗体とカップリングさせた第1蛍光マーカーと接触させた後に第2蛍光マーカーとカップリングさせた抗原ペプチド−MHC複合体を接触させ、そして二重標識細胞の存在をFACS(fluorescence−activated cell sorting)分析することにより細胞傷害性リンパ球の細胞傷害活性を評価することができる。
さらに、本発明の細胞傷害性リンパ球の製造方法の特徴として、低細胞数から培養を開始することが可能である。養子免疫療法を行うためには大量のリンパ球が必要となるが、患者から大量のリンパ球を取得することは困難である。また、通常の細胞傷害性リンパ球の拡大培養では、使用する細胞数に応じた適切な培養面積の細胞培養用器材の選択や、適切な培地量での培養が必要となる。すなわち、通常は細胞培養用器材における培養面積〔すなわち、培地に接触している器材表面部分の面積(cm)〕に対する細胞量(個数)は1×10cells/cm以上、細胞濃度は1×10cells/mL以上の高密度で培養が開始され、これ以下の細胞量条件では、拡大培養率〔拡大培養前の細胞数に対する拡大培養後の細胞数の比(拡大培養後の細胞数/拡大培養前の細胞数)〕が非常に低くなり、大量の細胞傷害性リンパ球を得るまでに長期の培養期間を要する。よって、一般的には、例えば、小さな細胞培養用器材を用いて培養を開始した後、段階的に大きなスケールの細胞培養用器材を使用する、もしくは細胞培養用器材の数を増やして希釈操作を繰り返す等の方法により、大量のリンパ球を製造するのが現状である。このように、通常の細胞傷害性リンパ球の拡大培養では、複数の培養系を必要とする。
本発明の方法により、少量の細胞量より開始された場合でも細胞培養用器材の大きさに関わらず、高い拡大培養率で培養を行うことができる。よって、従来のような面倒な細胞培養用器材や細胞培養液の交換、細胞培養液の希釈操作は不要となる。すなわち、本発明の方法によれば、1つの細胞培養用器材を用いた培養操作により、換言すれば、1つの培養系により、充分な細胞傷害性リンパ球の拡大培養を行なうことができる。よって、本発明の方法により、細胞培養液を希釈する工程を要しない細胞傷害性リンパ球の製造方法を実現することができる。特に、本発明の方法でLAK細胞を拡大培養する場合、大容量の細胞培養用器材にLAK細胞となり得る前駆細胞と培地を添加し、それ以降はIL−2を添加するのみでLAK細胞の拡大培養を行うことが可能である。簡便な操作で大量のLAK細胞を得ることができる点において、本発明は非常に有用である。この際、使用する本発明の有効成分としては、より高い拡大培養率を得るという観点から、好適にはフィブロネクチンフラグメントが使用できる。このように、本発明の方法によれば、短時間に必要量の細胞傷害性リンパ球を得ることができる。
例えば、細胞傷害性リンパ球の誘導、維持および拡大培養の少なくともいずれか1つを、本発明の有効成分の存在下、培地を含む細胞培養用器材中で低細胞数から開始する場合、培養開始時において、下記(a)および(b)から選択される条件を満たす低濃度もしくは低密度の細胞量を使用して行うことができる。
(a)使用する細胞培養用器材における培養面積に対する細胞量の比率が、好適には1cell/cm〜5×10cells/cm、より好適には10cells/cm〜1×10cells/cm、特に好適には1×10cells/cm〜5×10cells/cmである。
(b)培地中の細胞の濃度が、好適には1cell/mL〜5×10cells/mL、より好適には10cells/mL〜1×10cells/mL、特に好適には1×10cells/mL〜5×10cells/mLである。
なお、ここで細胞量とは、細胞傷害性リンパ球および/または前駆細胞の個数をいう。
また、本発明の方法においては、細胞培養液の希釈操作の工程を要しない、細胞傷害性リンパ球の誘導、維持および拡大培養の少なくともいずれか1つを1つの培養系で行なう方法が例示される。
さらに本発明の細胞傷害性リンパ球の製造方法の特徴として、高細胞数での培養を行うことも可能となる。すなわち、細胞傷害性リンパ球の製造を培地を含む細胞培養用器材中で行なう方法であって、培養途中に、少なくとも1回の、細胞培養液を新鮮な培地で希釈する工程、培地を交換する工程、もしくは細胞培養用器材を交換する工程を包含する場合、これらの工程直後の培養条件を高濃度(例えば、細胞培養液中の細胞の濃度が2×10cells/mL〜1×10cells/mL、好適には2×10cells/mL〜5×10cells/mL、さらに好適には2×10cells/mL〜2×10cells/mL)もしくは高密度(例えば、細胞培養液中の細胞数と細胞培養用器材における培養面積との比率が1×10cells/cm〜1×10cells/cm、好適には1×10cells/cm〜5×10cells/cm、さらに好適には1×10cells/cm〜2×10cells/cm)に設定した場合においても、本発明の方法は従来法と比較して、良好な拡大培養率を実現することができる。通常の細胞傷害性リンパ球の拡大培養においては、培養開始時は細胞数を比較的高濃度もしくは高密度に設定されることが多いが、細胞の増殖率が上がってくると細胞培養液中の細胞濃度や細胞培養用器材中の細胞密度が低く設定される。本発明の高細胞数での培養とは、このような培養途中における細胞濃度や細胞密度の設定時において細胞培養液中の細胞の濃度が、2×10cells/mL〜1×10cells/mL、もしくは細胞培養液中の細胞数と細胞培養用器材における培養面積との比率が1×10cells/cm〜1×10cells/cmという高濃度又は高密度な条件に設定される細胞傷害性リンパ球の製造をいう。なお、ここでいう細胞培養液を新鮮な培地で希釈する工程直後、培地を交換する工程直後、もしくは細胞培養用器材を交換する工程直後とは、培養開始時を包含するものではない。
このような高細胞数での培養が実施できる利点としては、使用する培地、血清・血漿等の培地添加物、細胞培養用器材、労力および培養スペースの削減が挙げられる。養子免疫療法では大量のリンパ球を必要とするため、使用される培地や細胞培養用器材が非常に多く必要となり、それに伴って大規模な培養スペースや多くの人員も必要となる。これらは養子免疫療法が普及する上で大きな課題となるものである。従って、本発明の方法はこのような課題を解決することができることから施設の設営、運営上、非常に有意義な発明である。
前述したとおり、本発明の方法は、低濃度もしくは低密度での細胞培養、高濃度もしくは高密度での細胞培養のいずれにも適用可能な方法であることから、本発明の方法を用いることにより、培養状況に応じてさまざまな細胞濃度もしくは細胞密度での細胞傷害性リンパ球の製造が可能となる。
また、本発明の方法においては、適切なフィーダ細胞と共培養することもできる。細胞傷害性リンパ球をフィーダ細胞と共培養する場合には、細胞傷害性リンパ球、フィーダ細胞の両者の維持、生育に適した培地であることが望ましい。当該培地としては、市販の培地が使用できる。
本発明の方法に使用されるフィーダ細胞は、抗CD3抗体と協同して細胞傷害性リンパ球を刺激し、T細胞レセプターを活性化するものであれば特に限定はない。本発明には、例えば、PBMCやエプスタイン−バールウィルスによって形質転換されたB細胞(EBV−B細胞)が使用される。通常、フィーダ細胞は放射線照射のような手段で増殖能を奪ったうえで使用される。なお、フィーダ細胞の培地中における含有量は公知の方法に従って決定すればよく、例えば、1×10cells/mL〜1×10cells/mLが好適である。
特に好ましい態様においては、フィーダ細胞として、非ウィルス感染細胞、例えば、EBV−B細胞以外のものが使用される。これにより、拡大培養された細胞傷害性リンパ球中にEBV−B細胞が混在する可能性を排除することができ、養子免疫療法のような細胞傷害性リンパ球を利用した医療の安全性を高めることが可能となる。
また、本発明の方法においては、適切な抗原提示細胞と共培養することもできる。抗原提示細胞は、抗原提示能を有する細胞に抗原ペプチドを付加し、その表面に抗原ペプチドを提示させることにより調製することができる〔例えば、ベンドナレク M.A.ら(Bendnarek M.A.,et al.)、J.Immunol.、第147巻、第12号、第4047〜4053頁(1991)を参照〕。また、抗原提示能を有する細胞が抗原を処理(process)する能力を有している場合には、当該細胞に抗原を負荷することにより、抗原が細胞内に取り込まれてプロセッシングを受け、断片化された抗原ペプチドが細胞表面に提示される。なお、抗原ペプチドを抗原提示能を有する細胞に付加する場合、使用される抗原提示細胞、誘導しようとする細胞傷害性リンパ球のMHC拘束性に合致する抗原ペプチドまたはMHC非拘束性の抗原ペプチドが使用される。
なお、本発明において使用される抗原は特に限定されるものではなく、例えば、細菌、ウィルスなどの外来性抗原や腫瘍関連抗原(癌抗原)などの内存性抗原等が挙げられる。
本発明においては、抗原提示細胞は非増殖性とすることが好ましい。細胞を非増殖性とするためには、例えばX線等の放射線照射またはマイトマイシン(mitomycin)等の薬剤による処理を行えばよい。
本発明の製造方法によりLAK細胞を製造する場合、前記有効成分の存在下、IL−2とともにLAK細胞となり得る前駆細胞をインキュベートすることにより実施される。LAK細胞となり得る前駆細胞としては、特に限定されるものではなく、例えば末梢血単核球(PBMC)、NK細胞、臍帯血単核球、造血幹細胞、これらの細胞を含有する血液成分等が挙げられる。
また、LAK細胞を培養するための一般的な条件は、上記の培地を使用する点を除いては、公知の条件〔例えば、細胞工学、Vol.14、No.2、p223〜227、(1995年);細胞培養、17、(6)、p192〜195、(1991年);THE LANCET、Vol.356、p802〜807、(2000);Current Protocols in Immunology,supplement 17,UNIT7.7を参照〕に従えばよい。培養条件には特に限定はなく、通常の細胞培養に使用される条件を使用することができ、例えば、37℃、5%CO等の条件下で培養することができる。この培養は通常、2〜15日程度実施される。また、適当な時間間隔で細胞培養液を希釈する工程、培地を交換する工程もしくは細胞培養用器材を交換する工程を行っても良い。
上記のLAK細胞の誘導、維持、拡大培養と同様に、フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物の存在下に培養することにより、CTL、TILについても高い細胞傷害活性を有する細胞群を調製することができる。本発明においては、これらの細胞の活性化操作においてフィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物を共存させ、かつ培地中における血清及び血漿の総含有濃度が0容量%以上5容量%未満である培地を使用する他には特に限定はなく、前記細胞の培養、活性化に適した培地を使用して実施することができる。フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物の使用量、添加方法等については前記方法に準じて適切なものを選択すればよい。
なお、本発明の細胞傷害性リンパ球の拡大培養方法については、前記有効成分が、当該方法に使用される培養系に存在しており、さらに培地中の血清及び血漿の総含有濃度が0容量%以上5容量%未満であれば特に限定は無く、上記以外の従来の細胞傷害性リンパ球の拡大培養方法において、その培養系に前記有効成分を存在させて、さらに培地中の血清及び血漿の総含有濃度が0容量%以上5容量%未満であれば本発明に包含される。
本発明の方法により製造される細胞傷害性リンパ球を投与される疾患としては、特に限定はないが、例えば、癌、悪性腫瘍、肝炎や、インフルエンザ等のウィルス、細菌、カビが原因となる感染性疾患が例示される。また、後述のようにさらに外来遺伝子を導入した場合は、各種遺伝子疾患に対しても効果が期待される。また、本発明の方法により製造される細胞傷害性リンパ球は骨髄移植や放射線照射後の感染症予防を目的としたドナーリンパ球輸注等にも利用できる。
本発明の別の態様として、フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物を有効成分として含有し、かつ培地中における血清及び血漿の総含有濃度が0容量%以上5容量%未満である細胞傷害性リンパ球培養用培地が提供される。当該培地は、さらにその他の任意の成分、たとえば、公知の細胞培養に用いられる培地成分、タンパク質、サイトカイン類(好適にはIL−2)、所望のその他の成分とからなる。なお、当該培地は、本発明の有効成分、および培地中の総含有濃度が0容量%以上5容量%未満となるように自己又は非自己の血清や血漿を用い、公知の方法に準じて製造することができる。当該培地中の本発明の有効成分等の含有量は、本発明の所望の効果が得られれば特に限定されるものではなく、例えば、本発明の方法に使用される前記培地中の有効成分等の含有量に準じて、所望により、適宜、決定することができる。本発明の培地の一態様としては、フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物が固定化された細胞培養用担体を含有する培地、フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物が固定化された細胞培養用器材に封入して提供される培地が包含される。
上記の細胞傷害性リンパ球の製造方法を用いて得られたリンパ球含有培養物中には、通常、ヘルパーT細胞等の細胞傷害性リンパ球以外の細胞も混在している。しかしながら、本発明により得られたリンパ球含有培養物中には細胞傷害活性を保持するリンパ球が多く含まれているため、該培養物から遠心分離等により該培養物中の細胞を回収し、本発明の方法により得られた細胞傷害性リンパ球としてそのまま使用することができる。しかも、前記有効成分等を細胞培養用器材等に固定化しておけば、得られた細胞傷害性リンパ球における該成分等の混入の心配はない。
また、さらに該培養物から公知の方法により、細胞傷害性リンパ球を高含有する細胞集団(あるいは培養物)を分離し、本発明の方法により得られた細胞傷害性リンパ球として使用することもできる。すなわち、本発明の細胞傷害性リンパ球の製造方法は、当該方法により得られた培養物から細胞傷害性リンパ球を高含有する細胞集団を選択する工程を含むことができる。
細胞傷害性リンパ球を高含有する該細胞集団の選択方法については特に限定はないが、例えば培養物から所望の細胞表面上に発現している細胞表面抗原に対する抗体、例えば抗CD8抗体を結合させた細胞培養用器材もしくは担体を用いて目的の細胞のみを選択的に回収する方法や、フローサイトメーターを用いる方法が挙げられる。前記担体としては磁気ビーズやカラムが例示される。また、培養物から所望の細胞以外の細胞を吸着除去することにより、目的の細胞を高含有する細胞集団を得ることもできる。例えば、ヘルパーT細胞表面上に発現している細胞表面抗原に対する抗体、例えば抗CD4抗体を使用し、当該リンパ球培養物からヘルパーT細胞を除去することができる。この工程にはフローサイトメーターを用いることもできる。
さらに本発明は、上記の本発明の細胞傷害性リンパ球の製造方法で得られた、細胞傷害性リンパ球を提供する。当該リンパ球は高い細胞傷害活性を有しており、長期間にわたる継続培養や拡大培養を行っても細胞傷害活性の低下が少ないという性質を有する。また、本発明は、当該リンパ球を有効成分として含有する医薬(治療剤)を提供する。特に、当該リンパ球を含有する前記治療剤は養子免疫療法への使用に適している。養子免疫療法においては、患者の治療に適した細胞傷害活性を有するリンパ球が、例えば静脈への投与によって患者に投与される。当該治療剤は前述の疾患やドナーリンパ球輸注での使用において非常に有用である。当該治療剤は製薬分野で公知の方法に従い、例えば、本発明の方法により調製された当該リンパ球を有効成分として、たとえば、公知の非経口投与に適した有機または無機の担体、賦形剤、安定剤等と混合することにより調製できる。なお、治療剤における本発明のリンパ球の含有量、治療剤の投与量、当該治療剤に関する諸条件は公知の養子免疫療法に従って適宜、決定できる。
本発明の細胞傷害性リンパ球の製造方法においては、当該リンパ球に外来遺伝子を導入する工程をさらに包含することができる。すなわち、本発明は、その一態様として、細胞傷害性リンパ球に外来遺伝子を導入する工程をさらに含む細胞傷害性リンパ球の製造方法を提供する。なお、「外来」とは、遺伝子導入対象のリンパ球に対して外来であることをいう。
本発明の細胞傷害性リンパ球の製造方法、特に細胞傷害性リンパ球の拡大培養方法を行うことにより、培養されるリンパ球の増殖能が増強される。よって、本発明の細胞傷害性リンパ球の製造方法を、遺伝子の導入工程と組み合わせることにより、遺伝子の導入効率の上昇が期待される。
外来遺伝子の導入手段には特に限定はなく、公知の遺伝子導入方法により適切なものを選択して使用することができる。遺伝子導入の工程は、細胞傷害性リンパ球の製造の際、任意の時点で実施することができる。例えば、前記リンパ球の誘導、維持および/または拡大培養のいずれかの工程と同時に、あるいは該工程の後に実施するのが、作業効率の観点から好適である。
前記の遺伝子導入方法としては、ウイルスベクターを使用する方法、該ベクターを使用しない方法のいずれもが本発明に使用できる。それらの方法の詳細についてはすでに多くの文献が公表されている。
前記ウイルスベクターには特に限定はなく、通常、遺伝子導入方法に使用される公知のウイルスベクター、例えば、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、シミアンウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクターまたはセンダイウイルスベクター等が使用される。特に好適には、ウイルスベクターとしては、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスまたはシミアンウイルスが使用される。上記ウイルスベクターとしては、感染した細胞中で自己複製できないように複製能を欠損させたものが好適である。
レトロウイルスベクターは、当該ベクターが導入される細胞の染色体DNA中に該ベクターに挿入されている外来遺伝子を安定に組み込むことができ、遺伝子治療等の目的に使用されている。当該ベクターは分裂、増殖中の細胞に対する感染効率が高いことから、本発明における、細胞傷害性リンパ球の製造工程、例えば、拡大培養の工程において遺伝子導入を行なうのに好適である。
ウイルスベクターを使用しない遺伝子導入方法としては、本発明を限定するものではないが、例えば、リポソーム、リガンド−ポリリジンなどの担体を使用する方法やリン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法、パーティクルガン法などを使用することができる。この場合にはプラスミドDNAや直鎖状DNAに組み込まれた外来遺伝子が導入される。
本発明において細胞傷害性リンパ球に導入される外来遺伝子には特に限定はなく、前記細胞に導入することが望まれる任意の遺伝子を選ぶことができる。このような遺伝子としては、例えば、タンパク質(例えば、酵素、サイトカイン類、レセプター類等)をコードするものの他、アンチセンス核酸やsiRNA(small interfering RNA)、リボザイムをコードするものが使用できる。また、遺伝子導入された細胞の選択を可能にする適当なマーカー遺伝子を同時に導入してもよい。
前記の外来遺伝子は、例えば、適当なプロモーターの制御下に発現されるようにベクターやプラスミド等に挿入して使用することができる。また、効率のよい遺伝子の転写を達成するために、プロモーターや転写開始部位と協同する他の調節要素、例えば、エンハンサー配列やターミネーター配列がベクター内に存在していてもよい。また、外来遺伝子を相同組換えにより導入対象のリンパ球の染色体へ挿入することを目的として、例えば、該染色体における該遺伝子の所望の標的挿入部位の両側にある塩基配列に各々相同性を有する塩基配列からなるフランキング配列の間に外来遺伝子を配置させてもよい。導入される外来遺伝子は天然のものでも、または人工的に作製されたものでもよく、あるいは起源を異にするDNA分子がライゲーション等の公知の手段によって結合されたものであってもよい。さらに、その目的に応じて天然の配列に変異が導入された配列を有するものであってもよい。
本発明の方法によれば、例えば、がん等の患者の治療に使用される薬剤に対する耐性に関連する酵素をコードする遺伝子を細胞傷害性リンパ球に導入して該リンパ球に薬剤耐性を付与することができる。そのような細胞傷害性リンパ球を用いれば、養子免疫療法と薬剤療法とを組み合わせることができ、従って、より高い治療効果を得ることが可能となる。薬剤耐性遺伝子としては、例えば、多剤耐性遺伝子(multidrug resistance gene)が例示される。
一方、前記の態様とは逆に、特定の薬剤に対する感受性を付与するような遺伝子を細胞傷害性リンパ球に導入して、該薬剤に対する感受性を付与することもできる。かかる場合、生体に移植した後のリンパ球を当該薬剤の投与によって除去することが可能となる。薬剤に対する感受性を付与する遺伝子としては、例えば、チミジンキナーゼ遺伝子が例示される。
(3)CH−296Naについて
本発明においては、配列表の配列番号25に記載のアミノ酸配列(x)(CH−296Na)、またはアミノ酸配列(x)において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、挿入、付加もしくは置換したアミノ酸配列(y)を有するポリペプチドであって、アミノ酸配列(y)を有するポリペプチドがアミノ酸配列(x)を有するポリペプチドと同等な機能を有するものである、新規なポリペプチド、およびこれをコードする核酸も提供される。当該核酸としては、(1)配列番号26に記載の塩基配列からなるDNA(CH−296Naをコードする核酸)、(2)配列番号26に記載の塩基配列において1もしくは複数個の塩基が欠失、置換、挿入もしくは付加した塩基配列からなり、かつDNA(1)にコードされるポリペプチドと同等な機能を有するポリペプチドをコードするDNA、または(3)配列番号26に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつDNA(1)にコードされるポリペプチドと同等な機能を有するポリペプチドをコードするDNAからなる核酸が例示される。
なお、本明細書において、前記新規なポリペプチドを本発明のポリペプチドと称し、これをコードする核酸を本発明の核酸と称することがある。
以下、本発明のポリペプチド、該ポリペプチドをコードする核酸、該ポリペプチドの製造方法について説明する。
本発明のポリペプチドは、前述のような細胞傷害性リンパ球の製造において所望の機能〔前記(i)〜(iv)の機能〕のいずれかを有するものであれば、上記アミノ酸配列において1ないし複数個の置換、欠失、挿入あるいは付加の1以上が生じた配列のものも本発明のポリペプチドに含まれる。CH−296Na以外の本発明のポリペプチドとしては、好適には配列表の配列番号25に記載のアミノ酸配列に1〜20個のアミノ酸の置換、欠失、挿入あるいは付加のいずれか1以上が生じたもの、より好適には1〜10個のアミノ酸の置換、欠失、挿入あるいは付加のいずれか1以上が生じたもの、さらに好適には1〜5個のアミノ酸の置換、欠失、挿入あるいは付加のいずれか1以上が生じたものが例示される。なお、アミノ酸の置換等は、本来のポリペプチドの機能が維持され得る範囲内で該ポリペプチドの物理化学的性状等を変化させ得る程度のものであってもよい。その詳細、該ポリペプチドの作製法は前記の通りである。
本発明のポリペプチドをコードする配列表の配列番号26で表される核酸は血漿由来のヒトフィブロネクチンをコードするcDNAを鋳型にPCR反応を行い、CH−296NaをコードするDNA断片として取得することができる。この際に使用されるプライマーとしては、特に限定はないが、例えば配列表の配列番号27、28に記載されるPrimer CH−296Nal、PrimerCH−296Na2を使用することができる。また、当該核酸としては、前述のFERM BP−2800(CH−296をコードするプラスミドを保有する大腸菌)のプラスミドと、ネイティブの血漿由来のフィブロネクチンの細胞結合ドメインとヘパリン結合ドメインの間に存在する配列(第1図におけるIII型繰り返し配列の11)を有するDNA断片を適当な制限酵素サイトを用いて結合することにより取得することができる。
また、本発明の核酸としては、配列表の配列番号26で表される核酸の塩基配列において、1ないし複数個の置換、欠失、挿入あるいは付加のいずれか1以上が生じたものも含まれる。例えば配列表の配列番号26に記載の塩基配列から1〜60塩基の置換、欠失、挿入あるいは付加のいずれか1以上が生じたもの、より好適には1〜30塩基の置換、欠失、挿入あるいは付加のいずれか1以上が生じたもの、さらに好適には1〜15塩基の置換、欠失、挿入あるいは付加のいずれか1以上が生じたものが例示される。なお、塩基の置換等は、核酸にコードされるポリペプチドの機能が維持され得る範囲内で該ポリペプチドの物理化学的性状等を変化させ得る程度のものであってもよい。その詳細、塩基の置換等の方法については前記のアミノ酸の置換等に関する記載に準ずる。
さらに配列番号26に記載の塩基配列からなる核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、本発明のポリペプチドと同等な機能、すなわち前述の細胞傷害性リンパ球の製造における前記(i)〜(iv)の少なくともいずれかの機能を有するポリペプチドをコードする核酸も本発明の核酸に含まれる。上記「ストリンジェントな条件」とは特に限定されず、配列番号26に記載の塩基配列からなるDNAにハイブリダイズさせるDNAに応じて、ハイブリダイゼーション時の、好ましくはさらに洗浄時の温度および塩濃度を適宜決定することにより設定し得るが、ストリンジェントな条件としては、例えば、モレキュラー クローニング ア ラボラトリー マニュアル 第3版〔サンプルーク(sambrook)ら、Molecular cloning,A laboratory manual 3rd edition、2001年、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)社発行〕等の文献に記載の条件が挙げられる。
具体的には、例えば、6×SSC(1×SSCは、0.15M NaCl、0.015M クエン酸ナトリウム、pH7.0)と0.5%SDSと5×デンハルト〔Denhardt’s、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)、0.1%ポリビニルピロリドン、0.1%フィコール400〕と100μg/mLサケ精子DNAとを含む溶液中、50℃、好ましくは65℃で保温する条件が例示される。前記の温度は用いるDNAのTm値が既知である場合は、その値より5〜12℃低い温度としてもよい。さらに、非特異的にハイブリダイズしたDNAを洗浄により除去するステップ、ここで、より精度を高める観点から、より低イオン強度、例えば、2×SSC、よりストリンジェントには、0.1×SSC等の条件および/またはより高温、例えば、用いられる核酸のTm値により異なるが、25℃以上、よりストリンジェントには、37℃以上、さらにストリンジェントには、42℃以上、よりさらにストリンジェントには、50℃以上等の条件下で洗浄を行なう、という条件等を追加してもよい。
より低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件で本発明のポリヌクレオチドにハイブリダイズする核酸分子もまた本発明に包含される。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーおよびシグナル検出の変化は、主として、ホルムアミド濃度(より低い百分率のホルムアミドが、低下したストリンジェンシーを生じる)、塩濃度、または温度の操作によって行われる。例えば、より低いストリンジェンシー条件は、6×SSPE(20×SSPE=3M NaCl;0.2M NaHPO;0.02M EDTA、pH7.4)、0.5%SDS、30%ホルムアミド、100μg/mLサケ精子ブロッキングDNAを含む溶液中での37℃での一晩インキュベーション;次いで1×SSPE、0.1%SDSを用いた50℃での洗浄を含む。さらに、より低いストリンジェンシーを達成するために、ストリンジェントなハイブリダイゼーション後に行われる洗浄は、より高い塩濃度(例えば、5×SSC)で行うことができる。
上記の条件は、ハイブリダイゼーション実験においてバックグラウンドを抑制するために使用される代替的なブロッキング試薬を添加および/または置換することによって改変することができる。代表的なブロッキング試薬としては、デンハルト試薬、BLOTTO、ヘパリン、変性サケ精子DNA、および市販の製品処方物が挙げられる。また、この改変に応じて、上記のハイブリダイゼーション条件の他の要素の改変が必要な場合もある。
一方、このようにして得られた核酸を用いて、配列表の配列番号25で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを遺伝子工学的に取得することができる。すなわち、当該核酸を適切な発現用ベクター、特に限定はないが、例えばpETベクターやpColdベクター等に挿入し、公知の方法により、当該ポリペプチドを、例えば、大腸菌等で発現させることにより取得することができる。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら限定されるものではない。
製造例1 フィブロネクチンフラグメントの調製
(1)フィブロネクチンフラグメントの調製
ヒトフィブロネクチン由来のフラグメント H−271は、Escherichia coli HB101/pHD101(FERM BP−2264)より、米国特許第5,198,423号明細書に記載の方法により調製した。
また、ヒトフィブロネクチン由来のフラグメント H−296、CH−271、CH−296はそれぞれ、Escherichia coli HB101/pHD102(FERM BP−7420)、Escherichia coli HB101/pCH101(FERM BP−2799)、Escherichia coli HB101/pCH102(FERM BP−2800)を用い、これを上記の明細書に記載の方法で培養し、該培養物より調製した。
ヒトフィブロネクチン由来のフラグメント C−274は、Escherichia coli JM109/pTF7221(FERM BP−1915)を用い、これを米国特許第5,102,988号明細書に記載の方法で培養し、該培養物より調製した。
ヒトフィブロネクチン由来のフラグメント C−CS1は、Escherichia coli HB101/pCS25(FERM BP−5723)を用い、日本特許3104178号明細書に記載の方法で培養し、該培養物より調製した。
ヒトフィブロネクチン由来のフラグメント CHV−89、CHV−179は、それぞれEscherichia coli HB101/pCHV89(FERM P−12182)、Escherichia coli HB101/pCHV179(FERM P−12183)を用い、日本特許2729712号明細書に記載の方法で培養し、該培養物より調製した。
また、ヒトフィブロネクチン由来のフラグメント CHV−90は日本特許2729712号明細書に記載の方法で調製した。すなわち、当該明細書に記載の操作によってプラスミドpCHV90を構築したうえ、該プラスミドを保有する形質転換体を培養し、該培養物よりCHV−90を調製した。
ヒトフィブロネクチン由来のフラグメント CHV−181は、国際公開第97/18318号パンフレットに記載の方法で、CHV−181をコードするDNAを含有するプラスミド(pCHV181)を構築した後、該プラスミドを導入された大腸菌(Escherichia coli HB101/pCHV181)を培養し、該培養物より、上記のCHV−179と同様の方法で調製した。
(2)CHV−92の調製
上記のポリペプチドCHV−181を発現させるためのプラスミド pCHV181について、CHV−181をコードする領域中のIII−13領域をコードする領域を欠失したプラスミドCHV92を構築した。欠失操作は日本特許2729712号明細書に記載の、プラスミドpCHV179からのIII−14コード領域の欠失操作に準じて行った。
上記のプラスミドpCHV92で形質転換された大腸菌HB101(Escherichia coli HB101/pCHV92)を培養し、該培養物より日本特許第2729712号明細書に記載のCHV−89ポリペプチドの精製方法に準じて精製操作を行い、精製CHV−92標品を得た。
(3)H−275−Cysの調製
ポリペプチドH−275−Cysを発現させるためのプラスミドは以下に示す操作に従って構築した。Escherichia coli HB101/pCH102(FERM BP−2800)よりプラスミドpCH102を調製した。このプラスミドを鋳型とし、配列表の配列番号21に塩基配列を示すプライマー12Sと配列表の配列番号22に塩基配列を示すプライマー14Aとを用いたPCRを行い、フィブロネクチンのヘパリン結合ドメインをコードする約0.8kbのDNA断片を得た。得られたPNA断片をNcoI、BamHI(ともにタカラバイオ社製)で消化した後、NcoI、BamHIで消化したpTV118N(タカラバイオ社製)とライゲーションすることにより、プラスミドpRH1を構築した。
プラスミドベクターpINIII−ompA〔グーライェプ J.ら(Ghrayeb J.,et al.)、EMBO J.、第3巻、第10号、第2437〜2442頁(1984)〕をBamHIとHincII(タカラバイオ社製)とで消化し、リポプロティンターミネーター領域を含む約0.9kbのDNA断片を回収した。これをBamHIとHincIIで消化した上記のプラスミドpRH1と混合してライゲーションを行い、lacプロモーター、ヘパリン結合ドメインをコードするDNA断片およびリポプロテインターミネーターをこの順に含むプラスミドpRH1−Tを得た。
このプラスミドpRH1−Tを鋳型とし、配列表の配列番号23に塩基配列を示すプライマーCys−Aと配列表の配列番号24に塩基配列を示すプライマーCys−Sとを用いたPCR反応の後、回収した増幅DNA断片をNotI(タカラバイオ社製)で消化し、さらに該DNA断片をセルフライゲーションさせた。こうして得られた環状DNAをSpeIとScaI(タカラバイオ社製)とで消化して得られる2.3kbのDNA断片と、プラスミドpRH1−TをSpeIとScaI(タカラバイオ社製)とで消化して得られる2.5kbのDNA断片とを混合してライゲーションを行い、プラスミドpRH−Cysを得た。該プラスミドには、前記のH−271のN末端側にMet−Ala−Ala−Serの4アミノ酸が付加され、さらにC末端にCysが付加されたポリペプチドH−275−Cysがコードされている。
ポリペプチドH−275−Cysは以下の方法により調製した。上記のプラスミドpRH−Cysで形質転換された大腸菌HB101(Escherichia coli HB101/pRH−Cys)を120mLのLB培地中、37℃で1晩培養した。培養液より回収した菌体を40mLの破砕用緩衝液(50mM Tris−HCl、1mM EDTA、150mM NaCl、1mM DTT、1mM PMSF、pH7.5)に懸濁し、超音波処理を行って菌体を破砕した。遠心分離を行って得られた上清を精製用緩衝液(50mM Tris−HCl、pH7.5)で平衡化されたハイトラップ−ヘパリンカラム(ファルマシア社製)にかけた。同緩衝液でカラム内の非吸着画分を洗浄した後、0〜1MNaCl濃度勾配を持つ精製用緩衝液で溶出を行った。溶出液をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分析し、H−275−Cysの分子量に相当する画分を集めて精製H−275−Cys標品を得た。
[実施例1] 低血清培地を用いたLAK細胞(Lymphokine−activated killer cells)培養系における拡大培養率の測定
(1)PBMCの分離および保存
インフォームド・コンセントの得られたヒト健常人ドナーより成分採血を実施後、採血液をPBS(−)で2倍希釈し、Ficoll−paque(ファルマシア社製)上に重層して500×gで20分間遠心分離した。中間層の末梢血単核細胞(PBMC)をピペットで回収、洗浄した。採取したPBMCは90%FBS(Bio Whittaker社製)/10%DMSO(SIGMA社製)からなる保存液に懸濁し、液体窒素中にて保存した。LAK誘導時にはこれら保存PBMCを37℃水浴中にて急速融解し、10μg/mL DNase(Calbiochem社製)を含むRPMI1640培地(Bio Whittaker社製)で洗浄後、トリパンブルー染色法にて生細胞数を算出して各実験に供した。
(2)抗ヒトCD3抗体およびFNフラグメント固定化
以下の実験で使用する培養器材に抗ヒトCD3抗体およびFNフラグメントを固定化した。すなわち24穴細胞培養プレートまたは12.5cm細胞培養フラスコ(Falcon社製)に抗ヒトCD3抗体(ヤンセン協和社製)(終濃度5μg/mL)を含むPBSを1mL(24穴プレートの場合)または2mL(12.5cmフラスコの場合)ずつ添加した。この時、FNフラグメント添加群には製造例1に記載の各フィブロネクチンフラグメント(FNfr)を終濃度10μg/mL(24穴プレートの場合)または25μg/mL(12.5cmフラスコの場合)となるように添加した。対照として、FNfrを添加しない群も設定した。
これらの培養器材を室温で5時間インキュベート後、使用時まで4℃で保存した。使用直前にはこれらの培養器材から抗体・FNfrを含むPBSを吸引除去後、各ウェルをPBSで2回、XVIVO20培地(Bio whittaker社製)で1回洗浄し各実験に供した。
(3)LAK細胞の誘導および培養
1%humanAB血清を含むXVIVO20(以下1%XVIVO20と略す)に1×10cells/mLとなるように実施例1−(1)で調製したPBMCを懸濁後、実施例1−(2)で調製した抗ヒトCD3抗体固定化プレート、または抗ヒトCD3抗体およびFNfr固定化プレートに1mL/ウェルずつまき、終濃度1000U/mLとなるようにIL−2(塩野義製薬社製)を添加した。これらのプレートを5%CO中37℃で培養した(培養0日目)。培養開始後2日目、3日目には1000U/mLのIL−2を含む1%XVIVO20を1mL/ウェルずつ添加した。培養開始後4日目には適宜1%XVIVO20を用いて希釈した培養液を何も固定化していない新しいフラスコに移し、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養を継続し、2〜3日毎に培養開始4日目と同様に適宜1%XVIVO20を用いて希釈し終濃度300〜500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始後11日目または15日目にトリパンブルー染色法にて生細胞数を計測し、培養開始時の細胞数と比較しての拡大培養率として算出した。結果を表1に示す。
Figure 2005019450
表1に示されるように、低濃度の血清を含んだ培地を用いてのLAK細胞誘導初期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した培養器材を使用した群においては、対照群に比較してLAK細胞の拡大培養率が高い。このことから各フィブロネクチンフラグメントは低濃度の血清を含んだ培地を用いたLAK細胞培養時に好適に使用されることが明らかとなった。
[実施例2] 低血清培地を用いたLAK細胞培養系における拡大培養率の測定(繰り返し刺激による拡大培養)
(1)LAK細胞の誘導および培養
0.5%または1%XVIVO20に1×10cells/mLとなるように実施例1−(1)で調製したPBMCを懸濁後、実施例1−(2)で調製した抗ヒトCD3抗体固定化プレート、または抗ヒトCD3抗体およびFNfr固定化プレートに1mL/ウェルずつまき、終濃度1000U/mLとなるようにIL−2(塩野義製薬社製)を添加した。これらのプレートを5%CO中37℃で培養した(培養0日目)。培養開始後2日目、3日目には1000U/mLのIL−2を含む0.5%または1%XVIVO20を1mL/ウェルずつ添加した。培養開始後4日目には適宜0.5%または1%XVIVO20を用いて希釈した培養液を何も固定化していない新しいフラスコに移し、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始9日目には実施例1−(2)と同様の方法で調製した抗ヒトCD3抗体固定化フラスコ、または抗ヒトCD3抗体およびFNfr固定化フラスコ(ただし、固定化に用いる抗ヒトCD3抗体の濃度は0.5μg/mLとした)に適宜0.5%または1%XVIVO20を用いて希釈した培養液を移し、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始12日目に再度適宜0.5%または1%XVIVO20を用いて希釈した培養液を何も固定化していない新しいフラスコに移し、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始15日目にトリパンブルー染色法にて生細胞数を計測し、培養開始時の細胞数と比較しての拡大培養率として算出した。結果を表2に示す。
Figure 2005019450
表2に示されるように、低濃度の血清を含んだ培地を用いてのLAK細胞誘導時初期および中期に繰り返し各フィブロネクチンフラグメントおよび抗CD3抗体を固定化した培養器材を使用した群においては、対照群に比較してLAK細胞の拡大培養率が高い。これらの拡大培養率は、LAK細胞誘導時初期および中期に繰り返し抗CD3抗体のみを固定化した培養器材を使用した群における拡大培養率よりもはるかに高いものであった。すなわちLAK細胞誘導初期および中期にフィブロネクチンフラグメントおよび抗CD3抗体を用いて刺激することにより、低濃度の血清を含んだ培地を用いた場合でも高い拡大培養率でLAK細胞を誘導・培養することが可能であることが明らかとなった。
[実施例3] 低血清培地を用いたLAK細胞培養系におけるIL−2レセプター(IL−2R)発現の誘導
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例2−(1)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。
(2)LAK細胞におけるIL−2R発現率の測定
実施例3−(1)で調製した2×10cellsのLAK細胞を1%パラホルムアルデヒド(ナカライテスク社製)を含むPBS(ニッスイ社製)を用いて固定した後、PBSで洗浄した。固定細胞を1%BSA(SIGMA社製)を含む100μLのPBS中に懸濁し、FITC標識マウスIgG1もしくはFITC標識マウス抗ヒトIL−2R(CD25)抗体(ともにDAKO社製)を添加後、氷上で30分間インキュベートした。インキュベート後、細胞をPBSで洗浄し、再度1%パラホルムアルデヒドを含むPBSに懸濁した。この細胞をFACS Vantage(ベクトン・ディッキンソン社製)を用いたフローサイトメトリーに供し、IL−2R発現陽性細胞含有率を測定した。結果を表3に示す。かかる表ではIL−2R発現陽性細胞含有率(%)をIL−2R発現率(%)と表示する。
Figure 2005019450
表3に示されるように、低濃度の血清を含んだ培地を用いてのLAK細胞誘導初期および中期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した培養器材を使用した群においては、培養中のLAK細胞表面上におけるIL−2R発現率を高く誘導することができた。すなわち低濃度の血清を含んだ培地を用いてLAK細胞を誘導する際にフィブロネクチンフラグメントを共存させることにより、IL−2R発現率を高くしながらLAK細胞を誘導・培養することが可能であることが明らかとなった。
[実施例4] 低血清培地を用いたLAK細胞集団中におけるCD8陽性細胞含有比率
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例2−(1)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。
(2)LAK細胞におけるCD8陽性細胞集団含有比率の測定
実施例4−(1)で調製した2×10cellsのLAK細胞を1%パラホルムアルデヒドを含むPBSを用いて固定した後、PBSで洗浄した。固定細胞を1%BSAを含む100μLのPBS中に懸濁し、FITC標識マウスIgG1もしくはFITC標識マウス抗ヒトCD8抗体(ともにDAKO社製)を添加後、氷上で30分間インキュベートした。インキュベート後、細胞をPBSで洗浄し、再度1%パラホルムアルデヒドを含むPBSに懸濁した。この細胞をFACS Vantageを用いたフローサイトメトリーに供し、CD8陽性細胞の含有率を測定した。結果を表4に示す。
Figure 2005019450
表4に示されるように、低濃度の血清を含んだ培地を用いてのLAK細胞誘導初期または初期および中期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した培養器材を使用した群においては、培養中のLAK細胞中におけるCD8陽性細胞含有率を高く誘導することができた。すなわち低濃度の血清を含んだ培地を用いてLAK細胞を誘導する際にフィブロネクチンフラグメントを共存させることにより、LAK細胞中のCD8陽性細胞の含有率を高くしながらLAK細胞を誘導・培養することが可能であることが明らかとなった。
[実施例5] 無血清培地を用いたLAK細胞培養系における拡大培養率の測定
(1)LAK細胞の誘導および培養
血清を含まないXVIVO20(以下0%XVIVO20と略す)に1×10cells/mLとなるように実施例1−(1)で調製したPBMCを懸濁後、実施例1−(2)で調製した抗ヒトCD3抗体固定化プレート、または抗ヒトCD3抗体およびFNfr固定化プレートに1mL/ウェルずつまき、終濃度1000U/mLとなるようにIL−2を添加した。これらのプレートを5%CO中37℃で培養した(培養0日目)。培養開始後2日目、3日目には1000U/mLのIL−2を含む0%XVIVO20を1mL/ウェルずつ添加した。培養開始後4日目には適宜0%XVIVO20を用いて希釈した培養液を何も固定化していない新しいフラスコに移し、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養を継続し、2〜3日毎に培養開始4日目と同様に適宜0%XVIVO20を用いて希釈し終濃度300〜500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始後11日目または15日目にトリパンブルー染色法にて生細胞数を計測し、培養開始時の細胞数と比較しての拡大培養率として算出した。結果を表5に示す。
Figure 2005019450
表5に示されるように、血清を含まない培地を用いてのLAK細胞誘導初期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した培養器材を使用した群においては、対照群に比較してLAK細胞の拡大培養率が高い。このことから各フィブロネクチンフラグメントは血清を含まない培地を用いたLAK細胞培養時に好適に使用されることが明らかとなった。
[実施例6] 無血清培地でのLAK細胞培養系における拡大培養率の測定(繰り返し刺激による拡大培養)
(1)LAK細胞の誘導および培養
0%XVIVO20に1×10cells/mLとなるように実施例1−(1)で調製したPBMCを懸濁後、実施例1−(2)で調製した抗ヒトCD3抗体固定化プレート、または抗ヒトCD3抗体およびFNfr固定化プレートに1mL/ウェルずつまき、終濃度1000U/mLとなるようにIL−2を添加した。これらのプレートを5%CO中37℃で培養した(培養0日目)。培養開始後2日目、3日目には1000U/mLのIL−2を含むO%XVIVO20を1mL/ウェルずつ添加した。培養開始後4日目には適宜0%XVIVO20を用いて希釈した培養液を何も固定化していない新しいフラスコに移し、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始9日目には実施例1−(2)と同様の方法で調製した抗ヒトCD3抗体固定化フラスコ、または抗ヒトCD3抗体およびFNfr固定化フラスコ(ただし、固定化に用いる抗ヒトCD3抗体の濃度は0.5μg/mLとした)に適宜0%XVIVO20を用いて希釈した培養液を移し、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始12日目に再度適宜0%XVIVO20を用いて希釈した培養液を何も固定化していない新しいフラスコに移し、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始15日目にトリパンブルー染色法にて生細胞数を計測し、培養開始時の細胞数と比較しての拡大培養率として算出した。結果を表6に示す。
Figure 2005019450
表6に示されるように、血清を含まない培地を用いてのLAK細胞誘導時初期および中期に繰り返し各フィブロネクチンフラグメントおよび抗CD3抗体を固定化した培養器材を使用した群においては、対照群に比較してLAK細胞の拡大培養率が高い。これらの拡大培養率は、LAK細胞誘導時初期および中期に繰り返し抗CD3抗体のみを固定化した培養器材を使用した群における拡大培養率よりもはるかに高いものであった。すなわちLAK細胞誘導初期および中期にフィブロネクチンフラグメントおよび抗CD3抗体を用いて刺激することにより、血清を含まない培地を用いた場合でも高い拡大培養率でLAK細胞を誘導・培養することが可能であることが明らかとなった。
[実施例7] 無血清培地を用いたLAK細胞培養系におけるIL−2R発現の誘導
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例6−(1)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。
(2)LAK細胞におけるIL−2R発現率の測定
実施例3−(2)と同様の方法で、IL−2R発現陽性細胞含有率を測定した。結果を表7に示す。かかる表ではIL−2R発現陽性細胞含有率(%)をIL−2R発現率(%)と表示する。
Figure 2005019450
表7に示されるように、血清を含まない培地を用いてのLAK細胞誘導初期および中期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した培養器材を使用した群においては、培養中のLAK細胞表面上におけるIL−2R発現率を高く誘導することができた。すなわち血清を含まない培地を用いてLAK細胞を誘導する際にフィブロネクチンフラグメントを共存させることにより、IL−2R発現率を高くしながらLAK細胞を誘導・培養することが可能であることが明らかとなった。
[実施例8] 無血清培地(AIM V)を用いたLAK細胞培養系における拡大培養率の測定
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例5−(1)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。ただし、この際使用する培地を血清を含まないAIM V培地(インビトロジェン社製、以下0%AIM Vと略す)に変更した。結果を表8に示す。
Figure 2005019450
表8に示されるように、血清を含まない培地を用いてのLAK細胞誘導初期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した培養器材を使用した群においては、対照群に比較してLAK細胞の拡大培養率が高い。またこの効果は無血清培養用の基本培地を変えても発揮される。このことから各フィブロネクチンフラグメントは血清を含まない培地を用いたLAK細胞培養時に好適に使用されることが明らかとなった。
[実施例9] 無血清培地でのLAK細胞培養系における拡大培養率の測定(低細胞数からのLAK細胞誘導・培養/希釈操作なしでの培養)
(1)LAK細胞の誘導および培養
XVIVO20(血清を含まない)に1×10cells/mLとなるように実施例1−(1)で調製したPBMCを懸濁後、実施例1−(2)と同様の方法で調製した抗ヒトCD3抗体固定化プレート、または抗ヒトCD3抗体およびFNfr固定化6ウェルプレートに1mL/ウェルずつまき、XVIVO20(血清を含まない) 4mLを加え(1×10cells/cm)、さらに終濃度500U/mLとなるようにIL−2を添加した。これらのプレートを5%CO中37℃で培養した(培養0日目)。培養開始後2日目、3日目、4日目には終濃度500U/mLとなるようにIL−2を添加した。培養を継続し、培養開始後7日目以降2〜3日毎に終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。この間培養液の希釈操作は全く行わなかった。
培養開始後15日目にトリパンブルー染色法にて生細胞数を計測し、培養開始時の細胞数と比較しての拡大培養率を算出した。結果を表9に示す。
Figure 2005019450
表9に示されるように、低細胞数からのLAK細胞誘導時に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した培養器材を使用した群においては、誘導途中の細胞の希釈操作を必要とすることなしに培養開始後15日目に高い拡大培養率が得られた。これに対して対照群では培養開始15日目でもほとんど増殖しなかった。すなわち無血清培地を用いて低細胞数からLAK細胞を誘導する際にフィブロネクチンフラグメントを共存させることにより、全く希釈操作を必要とすることなく、高い拡大培養率でLAK細胞を誘導・培養することが可能であることが明らかとなった。
[実施例10] 無血清培地を用いたLAK細胞培養系におけるIL−2R発現の誘導(低細胞数からのLAK細胞誘導・培養/希釈操作なしでの培養)
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例9−(1)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。
(2)LAK細胞におけるIL−2R発現率の測定
実施例3−(2)と同様の方法で、IL−2R発現陽性細胞含有率を測定した。結果を表10に示す。かかる表ではIL−2R発現陽性細胞含有率(%)をIL−2R発現率(%)と表示する。
Figure 2005019450
表10に示されるように、低細胞数からのLAK細胞誘導時に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した培養器材を使用した群においては、誘導途中の細胞の希釈操作を必要とすることなしに培養中のLAK細胞表面上におけるIL−2R発現率を高く誘導することができた。すなわち無血清培地を用いて低細胞数からLAK細胞を誘導する際にフィブロネクチンフラグメントを共存させることにより、全く希釈操作を必要とすることなく、IL−2R発現率を高くしながらLAK細胞を誘導・培養することが可能であることが明らかとなった。
[実施例11] 無血清培地(AIM V)を用いて培養したLAK細胞集団中におけるCD8陽性細胞含有比率
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例8−(1)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。
(2)LAK細胞におけるCD8陽性細胞集団含有比率の測定
実施例4−(2)と同様の方法でCD8陽性細胞の含有率を測定した。結果を表11に示す。
Figure 2005019450
表11に示されるように、血清を含まない培地を用いてのLAK細胞誘導初期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した培養器材を使用した群においては、培養中のLAK細胞中におけるCD8陽性細胞含有率を高く誘導することができた。すなわち血清を含まない培地を用いてLAK細胞を誘導する際にフィブロネクチンフラグメントを共存させることにより、LAK細胞中のCD8陽性細胞の含有率を高くしながらLAK細胞を誘導・培養することが可能であることが明らかとなった。
[実施例12] 低血清培地(AIM V)を用いたLAK細胞培養系における拡大培養率の測定
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例1−(3)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。ただし、この際使用する培地を1%または5%humanAB血清を含むAIM V培地(以下、1%AIM Vまたは5%AIM Vと略す)に変更した。結果を表12に示す。
Figure 2005019450
表12に示されるように、低濃度の血清を含んだ培地(AIM V)を用いてのLAK細胞誘導初期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した培養器材を使用した群においては、対照群に比較してLAK細胞の拡大培養率が高い。このことから各フィブロネクチンフラグメントは低濃度の血清を含んだAIM V培地を用いたLAK細胞培養時に好適に使用されることが明らかとなった。
[実施例13] 種々の低血清培地を用いたLAK細胞培養系における拡大培養率の効果
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例1−(3)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。ただし、この際使用する培地を1%humanAB血清を含むXVIVO20培地・XVIVO10培地またはAIM V培地(以下それぞれ1%XVIVO20・1%XVIVO10または1%AIM Vと略す)に変更し、各培地における拡大培養率を測定した。結果を表13に示す。
Figure 2005019450
表13に示されるように、低濃度の血清を含んだ培地を用いてのLAK細胞誘導初期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した培養器材を使用した群においては、対照群に比較してLAK細胞の拡大培養率が高い。またこの効果は基本培地を変えても発揮される。このことから各フィブロネクチンフラグメントは低濃度の血清を含んだいずれの培地を用いたLAK細胞培養時にも好適に使用されることが明らかとなった。
[実施例14] 低血清培地を用いたLAK細胞培養系における拡大培養率の測定
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例1−(3)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。ただし、この際使用する培地を0.2%humanAB血清を含むXVIVO20培地に変更した。結果を表14に示す。
Figure 2005019450
表14に示されるように、低濃度(0.2%)の血清を含んだ培地(XVIVO20)を用いてのLAK細胞誘導初期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した培養器材を使用した群においては、対照群に比較してLAK細胞の拡大培養率が高い。このことから各フィブロネクチンフラグメントは低濃度の血清を含んだ培地を用いたLAK細胞培養時に好適に使用されることが明らかとなった。
[実施例15] 低血清培地を用いたLAK細胞培養系における拡大培養率の測定(繰り返し刺激による拡大培養)
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例2−(1)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。この際使用する培地を0.2%humanAB血清を含むXVIVO20培地または1%humanAB血清を含むXVIVO10に変更した。結果を表15に示す。
Figure 2005019450
表15に示されるように、低濃度の血清(0.2%)を含んだ培地を用いてのLAK細胞誘導時初期および中期に繰り返し各フィブロネクチンフラグメントおよび抗CD3抗体を固定化した培養器材を使用した群においては、対照群に比較してLAK細胞の拡大培養率が高い。これらの拡大培養率は、LAK細胞誘導時初期および中期に繰り返し抗CD3抗体のみを固定化した培養器材を使用した群における拡大培養率よりもはるかに高いものであった。またこの効果は基本培地を変えても発揮される。すなわちLAK細胞誘導初期および中期にフィブロネクチンフラグメントおよび抗CD3抗体を用いて刺激することにより、低濃度の血清を含んだ培地を用いた場合でも高い拡大培養率でLAK細胞を誘導・培養することが可能であることが明らかとなった。
[実施例16] 低血清培地を用いたLAK細胞培養系におけるIL−2レセプター(IL−2R)発現の誘導
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例2−(1)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。この際使用する培地を0.2%humanAB血清を含むXVIVO20培地または1%humanAB血清を含むXVIVO10に変更した。
(2)LAK細胞におけるIL−2R発現率の測定
実施例3−(2)と同様の方法で、IL−2R発現陽性細胞含有率を測定した。結果を表16に示す。かかる表ではIL−2R発現陽性細胞含有率(%)をIL−2R発現率(%)と表示する。
Figure 2005019450
表16に示されるように、低濃度の血清を含んだ培地を用いてのLAK細胞誘導初期および中期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した培養器材を使用した群においては、培養中のLAK細胞表面上におけるIL−2R発現率を高く誘導することができた。またこの効果は基本培地を変えても発揮される。すなわち低濃度の血清を含んだ培地を用いてLAK細胞を誘導する際にフィブロネクチンフラグメントを共存させることにより、IL−2R発現率を高くしながらLAK細胞を誘導・培養することが可能であることが明らかとなった。
[実施例17] 低血清培地を用いたLAK細胞集団中におけるCD8陽性細胞含有比率
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例1−(3)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。この際使用する培地を0.2%もしくは1%humanAB血清を含むXVIVO20培地または1%humanAB血清を含むXVIVO10に変更した。
(2)LAK細胞におけるCD8陽性細胞集団含有比率の測定
実施例4−(2)と同様の方法でCD8陽性細胞の含有率を測定した。結果を表17に示す。
Figure 2005019450
表17に示されるように、低血清を含む培地を用いてのLAK細胞誘導初期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した培養器材を使用した群においては、培養中のLAK細胞中におけるCD8陽性細胞含有率を高く誘導することができた。またこの効果は基本培地を変えても発揮された。すなわち低濃度の血清を含む培地を用いてLAK細胞を誘導する際にフィブロネクチンフラグメントを共存させることにより、LAK細胞中のCD8陽性細胞の含有率を高くしながらLAK細胞を誘導・培養することが可能であることが明らかとなった。
[実施例18] 低血清培地を用いたLAK細胞集団中におけるCD8陽性細胞含有比率(繰り返し刺激による拡大培養)
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例2−(1)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。この際使用する培地を0.2%humanAB血清を含むXVIVO20培地または1%humanAB血清を含むXVIVO10に変更した。
(2)LAK細胞におけるCD8陽性細胞集団含有比率の測定
実施例4−(2)と同様の方法でCD8陽性細胞の含有率を測定した。結果を表18に示す。
Figure 2005019450
表18に示されるように、低濃度の血清を含んだ培地を用いてのLAK細胞誘導初期または中期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した培養器材を使用した群においては、培養中のLAK細胞中におけるCD8陽性細胞含有率を高く誘導することができた。またこの効果は基本培地を変えても発揮された。すなわち低濃度の血清を含んだ培地を用いてLAK細胞を誘導する際にフィブロネクチンフラグメントを共存させることにより、LAK細胞中のCD8陽性細胞の含有率を高くしながらLAK細胞を誘導・培養することが可能であることが明らかとなった。
[実施例19] 無血清培地を用いたLAK細胞培養系における拡大培養率の測定
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例5−(1)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。ただし、この際使用する培地を血清を含まないXVIVO10培地またはAIM V培地に変更した。結果を表19に示す。
Figure 2005019450
表19に示されるように、血清を含まない培地を用いてのLAK細胞誘導初期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した培養器材を使用した群においては、対照群に比較してLAK細胞の拡大培養率が高い。またこの効果は基本培地を変えても発揮された。このことから各フィブロネクチンフラグメントは血清を含まない培地を用いたLAK細胞培養時に好適に使用されることが明らかとなった。
[実施例20] 無血清培地でのLAK細胞培養系における拡大培養率の測定(繰り返し刺激による拡大培養)
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例6−(1)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。ただし、この際使用する培地を血清を含まないXVIVO10培地に変更した。結果を表20に示す。
Figure 2005019450
表20に示されるように、血清を含まない培地を用いてのLAK細胞誘導時初期および中期に繰り返し各フィブロネクチンフラグメントおよび抗CD3抗体を固定化した培養器材を使用した群においては、対照群に比較してLAK細胞の拡大培養率が高い。これらの拡大培養率は、LAK細胞誘導時初期および中期に繰り返し抗CD3抗体のみを固定化した培養器材を使用した群における拡大培養率よりもはるかに高いものであった。またこの効果は基本培地を変えても発揮された。すなわちLAK細胞誘導初期および中期にフィブロネクチンフラグメントおよび抗CD3抗体を用いて刺激することにより、血清を含まない培地を用いた場合でも高い拡大培養率でLAK細胞を誘導・培養することが可能であることが明らかとなった。
[実施例21] 無血清培地を用いたLAK細胞培養系におけるIL−2R発現の誘導
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例6−(1)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。ただし、この際使用する培地を血清を含まないXVIVO10培地に変更した。
(2)LAK細胞におけるIL−2R発現率の測定
実施例3−(2)と同様の方法で、IL−2R発現陽性細胞含有率を測定した。結果を表21に示す。かかる表ではIL−2R発現陽性細胞含有率(%)をIL−2R発現率(%)と表示する。
Figure 2005019450
表21に示されるように、血清を含まない培地を用いてのLAK細胞誘導初期および中期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した培養器材を使用した群においては、培養中のLAK細胞表面上におけるIL−2R発現率を高く誘導することができた。すなわち血清を含まない培地を用いてLAK細胞を誘導する際にフィブロネクチンフラグメントを共存させることにより、IL−2R発現率を高くしながらLAK細胞を誘導・培養することが可能であることが明らかとなった。
[実施例22] 無血清培地を用いて培養したLAK細胞集団中におけるCD8陽性細胞含有比率
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例5−(1)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。ただし、この際使用する培地を血清を含まないXVIVO20またはXVIVO10またはAIM V培地に変更した。
(2)LAK細胞におけるCD8陽性細胞集団含有比率の測定
実施例4−(2)と同様の方法でCD8陽性細胞の含有率を測定した。
結果を表22に示す。
Figure 2005019450
表22に示されるように、血清を含まない培地を用いてのLAK細胞誘導初期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した培養器材を使用した群においては、培養中のLAK細胞中におけるCD8陽性細胞含有率を高く誘導することができた。またこの効果は基本培地を変えても発揮された。すなわち血清を含まない培地を用いてLAK細胞を誘導する際にフィブロネクチンフラグメントを共存させることにより、LAK細胞中のCD8陽性細胞の含有率を高くしながらLAK細胞を誘導・培養することが可能であることが明らかとなった。
[実施例23] 無血清培地を用いたLAK細胞集団中におけるCD8陽性細胞含有比率(繰り返し刺激による拡大培養)
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例6−(1)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。ただし、この際使用する培地を血清を含まないXVIVO20またはXVIVO10培地に変更した。
(2)LAK細胞におけるCD8陽性細胞集団含有比率の測定
実施例4−(2)と同様の方法でCD8陽性細胞の含有率を測定した。結果を表23に示す。
Figure 2005019450
表23に示されるように、血清を含まない培地を用いてのLAK細胞誘導初期または初期中期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した培養器材を使用した群においては、培養中のLAK細胞中におけるCD8陽性細胞含有率を高く誘導することができた。またこの効果は基本培地を変えても発揮された。すなわち低濃度の血清を含んだ培地を用いてLAK細胞を誘導する際にフィブロネクチンフラグメントを共存させることにより、LAK細胞中のCD8陽性細胞の含有率を高くしながらLAK細胞を誘導・培養することが可能であることが明らかとなった。
[実施例24] 低血清培地を用いたLAK細胞培養系におけるIL−2R発現の誘導(低細胞数からのLAK細胞誘導・培養/希釈操作なしでの培養)
(1)LAK細胞の誘導および培養
1%humanAB血清を含むXVIVO20(以下1%XVIVO20と省略)に1×10cells/mLまたは5×10cells/mLとなるように実施例1−(1)で調製したPBMCを懸濁後、実施例1−(2)と同様の方法で調製した抗ヒトCD3抗体固定化プレート、または抗ヒトCD3抗体およびFNfr固定化6ウェルプレートに1mL/ウェルずつまき、1%XVIVO20 4mLを加え(1×10cells/cmまたは5×10cells/cm)、さらに終濃度500U/mLとなるようにIL−2(塩野義製薬社製)を添加した。これらのプレートを5%CO中37℃で培養した(培養0日目)。培養開始後2日目、3日目、4日目には終濃度500U/mLとなるようにIL−2を添加した。培養を継続し、培養開始後7日目以降2〜3日毎に終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。この間培養液の希釈操作は全く行わなかった。培養開始後16日目に細胞を回収した。
(2)LAK細胞におけるIL−2R発現率の測定
実施例3−(2)と同様の方法で、IL−2R発現陽性細胞含有率を測定した。かかる表ではIL−2R発現陽性細胞含有率(%)をIL−2R発現率(%)と表示する。結果を表24に示す。
Figure 2005019450
表24に示されるように、低細胞数からのLAK細胞誘導時に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した培養器材を使用した群においては、誘導途中の細胞の希釈操作を必要とすることなしに培養中のLAK細胞表面上におけるIL−2R発現率を高く誘導することができた。すなわち低血清培地を用いて低細胞数からLAK細胞を誘導する際にフィブロネクチンフラグメントを共存させることにより、全く希釈操作を必要とすることなく、IL−2R発現率を高くしながらLAK細胞を誘導・培養することが可能であることが明らかとなった。
[実施例25] 無血清・低血清培地を用いたLAK細胞培養系における細胞傷害活性の測定
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例1−(3)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。この際使用する培地を0%から5%humanAB血清を含むXVIVO20または0%から5%humanAB血清を含むAIM V培地または5%humanAB血清を含むXVIVO10培地に変更した。
(2)培養したLAK細胞の細胞傷害活性の測定
実施例25−(1)で調製した培養後15日目のLAKの細胞傷害活性は、Calcein−AMを用いた細胞傷害活性測定法〔リヒテンフェルズ R.ら(Lichtenfels R.,et al.)、J.Immnol.Methods、第172巻、第2号、第227〜239頁(1994)〕にて評価した。細胞株 K562、Daudiを1×10cells/mLとなるよう5%FBS(Bio Whittaker社製)を含むRPMI1640培地に懸濁後、終濃度25μMとなるようにCalcein−AM(ドータイト社製)を添加し、37℃で1時間培養した。細胞をCalcein−AMを含まない培地にて洗浄後、Calcein標識標的細胞とした。
実施例25−(1)で調製したLAK細胞をエフェクター細胞として1×10〜3×10cells/mLとなるように5%human血清を含むRPMI(以下5HRPMIと省略)で段階希釈後、96穴細胞培養プレートの各ウェルに100μL/ウェルずつ分注しておき、これらに1×10cells/mLに調製したCalcein標識標的細胞を100μL/ウェルずつ添加した。上記細胞懸濁液の入ったプレートを400×gで1分間遠心後、37℃の湿式COインキュベーター内で4時間インキュベートした。4時間後、各ウェルから培養上清100μLを採取し、蛍光プレートリーダー(485nm/538nm)によって培養上清中に放出されたcalcein量(蛍光強度)を測定した。LAK細胞の細胞傷害活性は以下の式1にしたがって算出した。
式1:
細胞傷害活性(%)=〔(各ウェルの測定値−最小放出量)/(最大放出量−
最小放出量)〕×100
上式において最小放出量は標的細胞のみ含有するウェルのcalcein放出量であり、標的細胞からのcalcein自然放出量を示す。また、最大放出量は標的細胞に界面活性剤であるTriton X−100(ナカライテスク社製)を終濃度0.05%となるように加えて細胞を完全破壊した際のcalcein放出量を示している。結果を表25に示す。なお、表中、「E/T」とはエフェクター細胞と標的細胞の細胞数に基づく比(エフェクター細胞/標的細胞)を表す。
Figure 2005019450
表25に示されるように、血清を含まない培地もしく低濃度の血清を含んだ培地を用いてのLAK細胞誘導初期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した培養器材を使用した群においては、対照群に比較してLAK細胞の細胞傷害活性が高い。またこの効果は基本培地を変えても発揮された。このことから各フィブロネクチンフラグメントは血清を含まない培地または低濃度の血清を含んだ培地を用いたLAK細胞培養時に好適に使用されることが明らかとなった。
[実施例26] 低血清培地(AIM V)を用いたLAK細胞培養系における拡大培養率の測定(繰り返し刺激による拡大培養)−1
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例2−(1)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。この際使用する培地を1%humanAB血清を含む培地AIM Vに変更した。結果を表26に示す。
Figure 2005019450
表26に示されるように、低濃度の血清(1%)を含んだAIM V培地を用いてのLAK細胞誘導時初期および中期に繰り返し各フィブロネクチンフラグメントおよび抗CD3抗体を固定化した培養器材を使用した群においては、対照群に比較してLAK細胞の拡大培養率が高い。これらの拡大培養率は、LAK細胞誘導時初期および中期に繰り返し抗CD3抗体のみを固定化した培養器材を使用した群における拡大培養率よりもはるかに高いものであった。すなわちLAK細胞誘導初期および中期にフィブロネクチンフラグメントおよび抗CD3抗体を用いて刺激することにより、低濃度の血清を含んだ培地を用いた場合でも高い拡大培養率でLAK細胞を誘導・培養することが可能であることが明らかとなった。
[実施例27] 低血清培地(AIM V)を用いたLAK細胞培養系における拡大培養率の測定(繰り返し刺激による拡大培養)−2
(1)抗ヒトCD3抗体およびFNフラグメント固定化
以下の実験で使用する培養器材(容器)に抗ヒトCD3抗体およびFNフラグメントを固定化した。すなわち12穴細胞培養プレートまたは12.5cm細胞培養フラスコ(Falcon社製)に抗ヒトCD3抗体(終濃度5μg/mL)を含むPBSを1.9mL(12穴プレートの場合)または2mL(12.5cmフラスコの場合)ずつ添加した。この時、FNフラグメント添加群には製造例1に記載の各フィブロネクチンフラグメント(FNfr)を終濃度10μg/mL(12穴プレートの場合)または25μg/mL(12.5cmフラスコの場合)となるように添加した。対照として、FNfrを添加しない群も設定した。
これらの培養器材を室温で5時間インキュベート後、使用時まで4℃で保存した。使用直前にはこれらの培養器材から抗体・FNfrを含むPBSを吸引除去後、各ウェルをPBSで2回、AIM V培地で1回洗浄し各実験に供した。
(2)LAK細胞の誘導および培養
1%AIM Vに5×10cells/mLとなるように実施例1−(1)で調製したPBMCを懸濁後、実施例27−(1)で調製した抗ヒトCD3抗体固定化プレート、または抗ヒトCD3抗体およびFNfr固定化プレートに1mL/ウェルずつまき、終濃度1000U/mLとなるようにIL−2を添加した。これらのプレートを5%CO中37℃で培養した(培養0日目)。培養開始後2、3日目には1000U/mLのIL−2を含む1%AIM Vを1mL/ウェルずつ添加した。培養開始後4日目には培養液を何も固定化していない25cm細胞培養フラスコ(Falcon社製)に移し、さらに1%AIM V7mLを添加し、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始7日目には1%AIM Vを用いて細胞濃度を2x10cells/mLに調整した培養液の一部を何も固定化していない新しいフラスコに移し、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始9日目には実施例27−(1)と同様の方法で調製した抗ヒトCD3抗体固定化フラスコ、または抗ヒトCD3抗体およびFNfr固定化フラスコ(ただし、固定化に用いる抗ヒトCD3抗体の濃度は0.5μg/mLとした)に1%AIM Vを用いて細胞濃度を2x10cells/mLに調整した培養液の一部を移し、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始12日目に再度適宜1%AIM Vを用いて細胞濃度を2x10cells/mLに調整した培養液の一部を何も固定化していない新しいフラスコに移し、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始15日目にトリパンブルー染色法にて生細胞数を計測し、培養開始時の細胞数と比較しての拡大培養率として算出した。同条件にてn=3で拡大培養を行い、その平均±標準偏差の各結果を表27に示す。
Figure 2005019450
表27に示されるように、低濃度の血清(1%)を含んだAIM V培地を用いてのLAK細胞誘導時初期および中期に繰り返し各フィブロネクチンフラグメントおよび抗CD3抗体を固定化した培養器材を使用した群においては、対照群に比較してLAK細胞の拡大培養率が高い。これらの拡大培養率は、LAK細胞誘導時初期および中期に繰り返し抗CD3抗体のみを固定化した培養器材を使用した群における拡大培養率よりもはるかに高いものであった。すなわちLAK細胞誘導初期および中期にフィブロネクチンフラグメントおよび抗CD3抗体を用いて刺激することにより、低濃度の血清を含んだ培地を用いた場合でも高い拡大培養率でLAK細胞を誘導・培養することが可能であることが明らかとなった。
[実施例28] 無血清培地(AIM V)を用いたLAK細胞集団中におけるCD8陽性細胞含有比率(繰り返し刺激による拡大培養)
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例2−(1)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。この際使用する培地をhumanAB血清を含まないAIM Vに変更した。
(2)LAK細胞におけるCD8陽性細胞集団含有比率の測定
実施例4−(2)と同様の方法でCD8陽性細胞の含有率を測定した。結果を表28に示す。
Figure 2005019450
表28に示されるように、血清を含まないAIM V培地を用いてのLAK細胞誘導初期または中期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した培養器材を使用した群においては、培養中のLAK細胞後細胞集団におけるCD8陽性細胞含有率を高く誘導することができた。すなわち低濃度の血清を含んだ培地を用いてLAK細胞を誘導する際にフィブロネクチンフラグメントを共存させることにより、LAK細胞中のCD8陽性細胞の含有率を高くしながらLAK細胞を誘導・培養することが可能であることが明らかとなった。
[実施例29] 低血清培地(AIM V)を用いたLAK細胞集団中におけるCD8陽性細胞含有比率(繰り返し刺激による拡大培養)
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例2−(1)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。この際使用する培地を1%humanAB血清を含むAIM Vに変更した。
(2)LAK細胞におけるCD8陽性細胞集団含有比率の測定
実施例4−(2)と同様の方法でCD8陽性細胞の含有率を測定した。結果を表29に示す。
Figure 2005019450
表29に示されるように、低濃度の血清を含んだAIM V培地を用いてのLAK細胞誘導初期または初期および中期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した培養器材を使用した群においては、培養後のLAK細胞集団におけるCD8陽性細胞含有率を高く誘導することができた。すなわち低濃度の血清を含んだ培地を用いてLAK細胞を誘導する際にフィブロネクチンフラグメントを共存させることにより、LAK細胞中のCD8陽性細胞の含有率を高くしながらLAK細胞を誘導・培養することが可能であることが明らかとなった。
[実施例30] 無血清培地(AIM V)を用いたLAK細胞培養系におけるIL−2レセプター(IL−2R)発現の誘導
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例2−(1)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。この際使用する培地をhumanAB血清を含まないAIM V培地に変更した。
(2)LAK細胞におけるIL−2R発現率の測定
実施例3−(2)と同様の方法で、IL−2R発現陽性細胞含有率を測定した。結果を表30に示す。かかる表ではIL−2R発現陽性細胞含有率(%)をIL−2R発現率(%)と表示する。
Figure 2005019450
表30に示されるように、血清を含まないAIM V培地を用いてのLAK細胞誘導初期および中期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した培養器材を使用した群においては、培養後のLAK細胞表面上におけるIL−2R発現率を高く誘導することができた。すなわち血清を含まない培地を用いてLAK細胞を誘導する際にフィブロネクチンフラグメントを共存させることにより、IL−2R発現率を高くしながらLAK細胞を誘導・培養することが可能であることが明らかとなった。
[実施例31] 低血清培地(AIM V)を用いたLAK細胞培養系におけるIL−2レセプター(IL−2R)発現の誘導(繰り返し刺激による拡大培養)
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例2−(1)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。この際使用する培地を1%humanAB血清を含むAIM V培地に変更した。
(2)LAK細胞におけるIL−2R発現率の測定
実施例3−(2)と同様の方法で、IL−2R発現陽性細胞含有率を測定した。結果を表31に示す。かかる表ではIL−2R発現陽性細胞含有率(%)をIL−2R発現率(%)と表示する。
Figure 2005019450
表31に示されるように、低濃度の血清を含んだAIM V培地を用いてのLAK細胞誘導初期および中期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した培養器材を使用した群においては、培養中のLAK細胞表面上におけるIL−2R発現率を高く誘導することができた。すなわち低濃度の血清を含んだ培地を用いてLAK細胞を誘導する際にフィブロネクチンフラグメントを共存させることにより、IL−2R発現率を高くしながらLAK細胞を誘導・培養することが可能であることが明らかとなった。
[実施例32] 低血清培地(AIM V)を用いたLAK細胞集団中におけるCD8陽性細胞含有比率
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例1−(3)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。この際使用する培地を1%humanAB血清を含むAIM V培地に変更した。
(2)LAK細胞におけるCD8陽性細胞集団含有比率の測定
実施例4−(2)と同様の方法でCD8陽性細胞の含有率を測定した。結果を表32に示す。
Figure 2005019450
表32に示されるように、低血清を含むAIM V培地を用いてのLAK細胞誘導初期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した培養器材を使用した群においては、培養中のLAK細胞中におけるCD8陽性細胞含有率を高く誘導することができた。すなわち低濃度の血清を含む培地を用いてLAK細胞を誘導する際にフィブロネクチンフラグメントを共存させることにより、LAK細胞中のCD8陽性細胞の含有率を高くしながらLAK細胞を誘導・培養することが可能であることが明らかとなった。
[実施例33] 無血清・低血清培地を用いたLAK細胞培養系における細胞傷害活性の測定
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例1−(3)または実施例2−(1)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。この際使用する培地を0%または1%humanAB血清を含むXVIVO10、XVIVO20またはAIM V培地に変更した。
(2)培養したLAK細胞の細胞傷害活性の測定
実施例25−(2)と同様の方法で培養後15日目のLAKの細胞傷害活性を測定した。結果を表33に示す。
Figure 2005019450
表33に示されるように、血清を含まない培地もしくは低濃度の血清を含んだ培地を用いてのLAK細胞誘導初期または初期および中期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した培養器材を使用した群においては、対照群に比較してLAK細胞の細胞傷害活性が高い。またこの効果は基本培地を変えても発揮された。このことから各フィブロネクチンフラグメントは血清を含まない培地または低濃度の血清を含んだ培地を用いたLAK細胞培養時に好適に使用されることが明らかとなった。
[実施例34] 低血清培地(XVIVO10)を用いたLAK細胞培養系における拡大培養率の測定(細胞培養用COガス透過性バッグを用いた培養)
(1)抗ヒトCD3抗体およびFNフラグメント固定化
以下の実験で使用する培養器材(細胞培養用COガス透過性バッグ)に抗ヒトCD3抗体およびFNフラグメントを固定化した。すなわち85cm細胞培養用COガス透過性バッグ(Baxter社製)に抗ヒトCD3抗体(終濃度5μg/mL)を含むPBSを20mLずつ添加した。この時、FNフラグメント添加群には製造例1に記載の各フィブロネクチンフラグメント(FNfr)を終濃度42.5μg/mLとなるように添加した。対照として、FNfrを添加しない群も設定した。
これらの培養器材を室温で5時間インキュベート後、使用時まで4℃で保存した。使用直前にはこれらの培養器材から抗体・FNfrを含むPBSを除去後、各バッグをPBSで2回、1%humanAB血清を含むXVIVO10培地(以下1%XVIVO10と略す)で1回洗浄し各実験に供した。
(2)LAK細胞の誘導および培養
1%XVIVO10に1×10cells/mLとなるように実施例1−(1)で調製したPBMCを懸濁後、実施例34−(1)で調製した抗ヒトCD3抗体固定化細胞培養用COガス透過性バッグ、または抗ヒトCD3抗体およびFNfr固定化細胞培養用COガス透過性バッグに10mL/バッグずつ細胞懸濁液を入れ、終濃度1000U/mLとなるようにIL−2を添加した。これらの細胞培養用COガス透過性バッグを5%CO中37℃で培養した(培養0日目)。培養開始後2日目には1000U/mLのIL−2を含む1%XVIVO10を20mL/バッグずつ添加した。培養開始4日目には終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始後6日目には1%XVIVO10を30mL/バッグずつ添加し、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始後8日目には培養液の一部を適宜希釈した後、何も固定化していない85cm細胞培養用COガス透過性バッグに移し、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始11、13日目には終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始15日目にトリパンブルー染色法にて生細胞数を計測し、培養開始時の細胞数と比較しての拡大培養率として算出した。結果を表34に示す。
Figure 2005019450
表34に示されるように、低濃度(1%)の血清を含んだ培地(XVIVO10)と細胞培養用COガス透過性バッグを用いてのLAK細胞誘導初期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した細胞培養用COガス透過性バッグを使用した群においては、対照群に比較してLAK細胞の拡大培養率が高い。このことから各フィブロネクチンフラグメントは低濃度の血清を含んだ培地および細胞培養用COガス透過性バッグを用いたLAK細胞培養時に好適に使用されることが明らかとなった。
[実施例35] 低血清培地(XVIVO10)を用いたLAK細胞培養系における拡大培養率の測定(細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせた培養)
(1)抗ヒトCD3抗体およびFNフラグメント固定化
以下の実験で使用する培養器材(25cm細胞培養用フラスコ)に抗ヒトCD3抗体およびFNフラグメントを固定化した。すなわち25cm細胞培養用フラスコ(コーニング社製)に抗ヒトCD3抗体(終濃度5μg/mL)を含むPBSを6mLずつ添加した。この時、FNフラグメント添加群には製造例1に記載の各フィブロネクチンフラグメント(FNfr)を終濃度42.5μg/mLとなるように添加した。対照として、FNfrを添加しない群も設定した。
これらの培養器材を室温で5時間インキュベート後、使用時まで4℃で保存した。使用直前にはこれらの培養器材から抗体・FNfrを含むPBSを除去後、各フラスコをPBSで2回、1%humanAB血清を含むXVIVO10培地(以下1%XVIVO10と略す)で1回洗浄し各実験に供した。
(2)LAK細胞の誘導および培養
1%XVIVO10に1×10cells/mLとなるように実施例1−(1)で調製したPBMCを懸濁後、実施例35−(1)で調製した抗ヒトCD3抗体固定化フラスコ、または抗ヒトCD3抗体およびFNfr固定化フラスコに3mL/フラスコずつ細胞懸濁液を入れ、終濃度1000U/mLとなるようにIL−2を添加した。これらのフラスコを5%CO中37℃で培養した(培養0日目)。培養開始後1日目または2日目には1000U/mLのIL−2を含む1%XVIVO10を7mL/フラスコずつ添加した。以下抗CD3抗体±CH−296刺激期間により2つの方法で培養した。(i)培養開始後4日目に培養液をなにも固定化していない85cm細胞培養用COガス透過性バッグに移した後、1%XVIVO10を20mL/バッグずつ添加し終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加、さらに培養開始後6日目に1%XVIVO10を30mL/バッグずつ添加後、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した(抗CD3抗体±CH−296刺激期間4日間)。(ii)培養開始4日目または5日目に終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加し、培養開始後6日目に培養液をなにも固定化していない85cm細胞培養用COガス透過性バッグに移した後、1%XVIVO10を50mL/バッグずつ添加、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した(抗CD3抗体±CH−296刺激期間6日間)。両条件とも培養開始後8日目には培養液の一部を適宜希釈した後、何も固定化していない85cm細胞培養用COガス透過性バッグに移し、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始11、13日目には終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始15日目にトリパンブルー染色法にて生細胞数を計測し、培養開始時の細胞数と比較しての拡大培養率として算出した。結果を表35に示す。
Figure 2005019450
表35に示されるように、低濃度(1%)の血清を含んだ培地(XVIVO10)を用いて、細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせたLAK細胞誘導初期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した細胞培養用フラスコを使用した群においては、対照群に比較してLAK細胞の拡大培養率が高い。このことから各フィブロネクチンフラグメントは低濃度の血清を含んだ培地を用いて、細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせたLAK細胞培養時に好適に使用されることが明らかとなった。
[実施例36] 低血清培地(AIM V)を用いたLAK細胞培養系における拡大培養率の測定(細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせた培養)
(1)抗ヒトCD3抗体およびFNフラグメント固定化
以下の実験で使用する培養器材(25cm細胞培養用フラスコ)に実施例35−(1)と同様に抗ヒトCD3抗体およびFNフラグメントを固定化した。使用直前にはこれらの培養器材から抗体・FNfrを含むPBSを除去後、各フラスコをPBSで2回、1%humanAB血清を含むAIM V培地(以下1%AIM Vと略す)で1回洗浄し各実験に供した。
(2)LAK細胞の誘導および培養
1%AIM Vに1×10cells/mLとなるように実施例1−(1)で調製したPBMCを懸濁後、実施例36−(1)で調製した抗ヒトCD3抗体固定化フラスコ、または抗ヒトCD3抗体およびFNfr固定化フラスコに3mL/フラスコずつ細胞懸濁液を入れ、終濃度1000U/mLとなるようにIL−2を添加した。これらのフラスコを5%CO中37℃で培養した(培養0日目)。培養開始後1日目には1000U/mLのIL−2を含む1%AIM Vを7mL/フラスコずつ添加した。培養開始後4日目には培養液を何も固定化していない85cm細胞培養用COガス透過性バッグに移した後、1%AIM Vを20mL/バッグずつ添加し、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始6日目には1%AIM Vを30mL/バッグずつ添加し、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始後8日目には培養液の一部を適宜希釈した後、何も固定化していない85cm細胞培養用COガス透過性バッグに移し、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始11、13日目には終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始15日目にトリパンブルー染色法にて生細胞数を計測し、培養開始時の細胞数と比較しての拡大培養率として算出した。結果を表36に示す。
Figure 2005019450
表36に示されるように、低濃度(1%)の血清を含んだ培地(AIM V)を用いて、細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせたLAK細胞誘導初期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した細胞培養用フラスコを使用した群においては、対照群に比較してLAK細胞の拡大培養率が高い。このことから各フィブロネクチンフラグメントは低濃度の血清を含んだ培地を用いて、細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせたLAK細胞培養時に好適に使用されることが明らかとなった。
[実施例37] 低血清培地(XVIVO10)を用いたLAK細胞集団中におけるCD8陽性細胞含有比率(細胞培養用COガス透過性バッグを用いた培養)
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例34−(2)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。
(2)LAK細胞におけるCD8陽性細胞集団含有比率の測定
実施例4−(2)と同様の方法でCD8陽性細胞の含有率を測定した。結果を表37に示す。
Figure 2005019450
表37に示されるように、低濃度(1%)の血清を含んだ培地(XVIVO10)と細胞培養用COガス透過性バッグを用いてのLAK細胞誘導初期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した細胞培養用COガス透過性バッグを使用した群においては、培養後のLAK細胞中におけるCD8陽性細胞含有率を高く誘導することができた。このことから各フィブロネクチンフラグメントは低濃度の血清を含んだ培地および細胞培養用COガス透過性バッグを用いたLAK細胞培養時に好適に使用されることが明らかとなった。
[実施例38] 低血清培地(XVIVO10)を用いたLAK細胞集団中におけるCD8陽性細胞含有比率(細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせた培養)
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例35−(2)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。
(2)LAK細胞におけるCD8陽性細胞集団含有比率の測定
実施例4−(2)と同様の方法でCD8陽性細胞の含有率を測定した。結果を表38に示す。
Figure 2005019450
表38に示されるように、低濃度(1%)の血清を含んだ培地(XVIVO10)を用いて、細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせたLAK細胞誘導初期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した細胞培養用フラスコを使用した群においては、対照群に比較して培養後のLAK細胞中におけるCD8陽性細胞含有率を高く誘導することができた。このことから各フィブロネクチンフラグメントは低濃度の血清を含んだ培地を用いて、細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせたLAK細胞培養時に好適に使用されることが明らかとなった。
[実施例39] 低血清培地(AIM V)を用いたLAK細胞培養系における拡大培養率の測定(培養開始時、継代時の濃度)
LAK細胞培養系における培養開始時および継代時の細胞濃度が拡大培養率に及ぼす影響を確認した。
培養開始時の細胞濃度として0.5×10cells/mLおよび1×10cells/mLを設定した。培養4日目の継代細胞濃度として、0.025×10cells/mLおよび0.05×10cells/mLを設定した。培養7、9および11日目の継代細胞濃度として、0.2×10cells/mLおよび0.5×10cells/mLを設定した。下記表39−1に上記パターンを示す。
Figure 2005019450
(1)抗ヒトCD3抗体およびFNフラグメント固定化
以下の実験で使用する培養器材に抗ヒトCD3抗体およびFNフラグメントを固定化した。すなわち24穴細胞培養プレートに抗ヒトCD3抗体(終濃度5μg/mL)を含むPBSを1mLずつ添加した。この時、FNフラグメント添加群には製造例1に記載のフィブロネクチンフラグメント(CH−296)を終濃度25μg/mLとなるように添加した。対照として、CH−296を添加しない群も設定した。
これらの培養器材を室温で5時間インキュベート後、使用時まで4℃で保存した。使用直前にはこれらの培養器材から抗ヒトCD3抗体・CH−296を含むPBSを吸引除去後、各ウェルをPBSで2回、RPMI培地で1回洗浄し各実験に供した。
(2)LAK細胞の誘導および培養
1%のhumanAB血清を含むAIM Vに細胞濃度パターン1、2および3で培養する区分は0.5×10cells/mLとなるように、細胞濃度パターン4、5および6で培養する区分は1×10cells/mLとなるように実施例1−(1)で調製したPBMCを懸濁後、(1)で調製した抗ヒトCD3抗体固定化プレート、または抗ヒトCD3抗体およびCH−296固定化プレートに1mL/ウェルずつまき、終濃度1000U/mLとなるようにIL−2を添加した。これらのプレートを5%CO中37℃で培養した(培養0日目)。培養開始後2、3日目には1000U/mLのIL−2を含む1%AIM Vを1mL/ウェルずつ添加した。
培養開始後4日目に細胞濃度パターン1および4で培養する区分は、0.025×10cells/mLとなるように、また細胞濃度パターン2、3、5、6で培養する区分は、0.05×10cells/mLとなるように1%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し(液量最大6mL)、何も固定化していない12.5cm細胞培養フラスコにそれぞれ移した。各区分において終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。
培養開始後7、9および11日目には細胞濃度パターン1、2、4および5で培養する区分は、0.2×10cells/mLとなるように、また細胞濃度パターン3、6で培養する区分は、0.5×10cells/mLとなるように1%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し(液量最大6mL)、何も固定化していない12.5cm細胞培養フラスコにそれぞれ移した。各区分において終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。
培養開始15日目にトリパンブルー染色法にて生細胞数を計測し、培養開始時の細胞数と比較しての拡大培養率として算出した。各実験は3連で行った。その平均の各結果を表39−2に示す。
Figure 2005019450
表39−2に示されるように、培養開始時および継代時において種々の細胞濃度でのLAK細胞培養において、いずれの細胞濃度区分においても、対照群(抗CD3抗体のみによる刺激)と比較してCH−296および抗CD3抗体により刺激した群において高い拡大培養率が得られた。すなわち、諸状況下で変化しうる培養開始時および継代時の細胞濃度に対して、CH−296により刺激することにより、明らかに高い拡大培養率でLAK細胞を誘導・培養できることが示された。
[実施例40] 低血清培地(AIM V)を用いて培養したLAK細胞集団中におけるCD8陽性細胞含有比率(培養開始時、継代時の濃度)
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例39と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。
(2)LAK細胞におけるCD8陽性細胞集団含有比率の測定
実施例4−(2)と同様の方法でCD8陽性細胞の含有率を測定した。結果を表40に示す。
Figure 2005019450
表40に示されるように、培養開始時および継代時において種々の細胞濃度でのLAK細胞培養において、いずれの細胞濃度区分においても、対照群(抗CD3抗体のみによる刺激)と比較してCH−296および抗CD3抗体により刺激した群において培養中のLAK細胞中におけるCD8陽性細胞含有率を高く誘導することができた。すなわち、諸状況下で変化しうる培養開始時および継代時の細胞濃度に対して、CH−296により刺激することにより、明らかにLAK細胞中のCD8陽性細胞の含有率を高くしながらLAK細胞を誘導・培養することが可能であることが明らかとなった。
[実施例41] 低血清培地(AIM V)を用いたLAK細胞培養系における拡大培養率の測定(高濃度・高密度培養)
LAK細胞培養系において、最終培養液量および最終培養面積を極力抑えることができれば、培地、資材および労力を低減することができる。細胞を高濃度、高密度で培養したときの拡大培養率に及ぼす影響を確認した。
継代時の細胞濃度および細胞密度を抑えない区分(普通培養区分)、培養7および10日目の継代時の細胞濃度を普通培養区分のそれぞれ1.8倍および約6倍にした区分(高濃度培養区分、ただし細胞密度は濃度に比例して同じく1.8倍および約6倍となる)、培養7および10日目の継代時の細胞濃度を普通培養区分のそれぞれ1.3倍および約2.5倍に、かつ細胞密度をそれぞれ約3.9倍および7.5倍にした区分(高濃度・高密度培養区分)を設定した。下記表41−1に上記各群での継代時細胞濃度および細胞密度を示す。
Figure 2005019450
(1)抗ヒトCD3抗体およびFNフラグメント固定化
以下の実験で使用する培養器材に抗ヒトCD3抗体およびFNフラグメントを固定化した。すなわち12穴細胞培養プレートに抗ヒトCD3抗体(終濃度5μg/mL)を含むPBSを1.9mLずつ添加した。この時、FNフラグメント添加群には製造例1に記載のフィブロネクチンフラグメント(CH−296)を終濃度25μg/mLとなるように添加した。対照として、CH−296を添加しない群も設定した。
これらの培養器材を室温で5時間インキュベート後、使用時まで4℃で保存した。使用直前にはこれらの培養器材から抗ヒトCD3抗体・CH−296を含むPBSを吸引除去後、各ウェルをPBSで2回、RPMI培地で1回洗浄し各実験に供した。
(2)LAK細胞の誘導および培養
各培養区分とも1%のhumanAB血清を含むAIM Vに0.33×10cells/mLとなるように、実施例1−(1)で調製したPBMCを懸濁後、実施例41−(1)で調製した抗ヒトCD3抗体固定化プレート、または抗ヒトCD3抗体およびCH−296固定化プレートに3mL/ウェルずつまき、終濃度1000U/mLとなるようにIL−2を添加した。これらのプレートを5%CO中37℃で培養した(培養0日目)。
培養開始後4日目に各培養区分とも、0.05×10cells/mLとなるように1%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し(液量最大6mL)、何も固定化していない12.5cm細胞培養フラスコに移した。各区分において終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。
培養開始後7日目には、普通培養区分は0.1×10cells/mLとなるように、高濃度培養区分は0.18×10cells/mLとなるように1%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し(液量最大6mL)、何も固定化していない12.5cm細胞培養フラスコに移した。また、高濃度・高密度培養区分は0.13×10cells/mLとなるように1%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し(液量最大9mL)、何も固定化していない25cm細胞培養フラスコを立てたものに移した。各区分において終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。
培養開始後10日目には、普通培養区分は0.15×10cells/mLとなるように、高濃度培養区分は0.893×10cells/mLとなるように1%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し(液量最大6mL)、何も固定化していない12.5cm細胞培養フラスコに移した。また、高濃度・高密度培養区分は0.38×10cells/mLとなるように1%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し(液量最大9mL)、何も固定化していない25cm細胞培養フラスコを立てたものに移した。各区分において終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。
培養開始後11日目には各区分に終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。
培養開始15日目にトリパンブルー染色法にて生細胞数を計測し、培養開始時の細胞数と比較しての拡大培養率として算出した。各実験は2連で行った。その平均の各結果を41−2に示す。
Figure 2005019450
表41−2に示されるように、普通培養区分あるいは高濃度培養区分あるいは高濃度・高密度培養区分において、いずれの区分においても、対照群(抗CD3抗体のみによる刺激)と比較してCH−296および抗CD3抗体により刺激した群において高い拡大培養率が得られた。すなわち、培地、資材および労力を低減することができる高濃度・高密度培養においてCH−296による刺激により明らかに拡大培養に対する効果が認められた。
[実施例42] 低血清培地(AIM V)を用いて培養したLAK細胞集団中におけるCD8陽性細胞含有比率(高濃度、高密度培養)
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例41と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。
(2)LAK細胞におけるCD8陽性細胞集団含有比率の測定
実施例4−(2)と同様の方法でCD8陽性細胞の含有率を測定した。結果を表42に示す。
Figure 2005019450
表42に示されるように、普通培養区分あるいは高濃度培養区分あるいは高濃度・高密度培養区分において、いずれの区分においても、対照群(抗CD3抗体のみによる刺激)と比較してCH−296および抗CD3抗体により刺激した群において培養中のLAK細胞中におけるCD8陽性細胞含有率を高く誘導することができた。すなわち、培地、資材および労力を低減することができる高濃度・高密度培養においてCH−296による刺激により、明らかにLAK細胞中のCD8陽性細胞の含有率を高くしながらLAK細胞を誘導・培養することが可能であることが明らかとなった。
[実施例43] 低血清培地(AIM V)を用いたLAK細胞培養系における拡大培養率の測定(血清濃度0%、0.15%、5%→0.1%)
LAK細胞培養において1回に30mLを採血すると、大体15mLの血漿が得られる。これを最終10Lまでの培地により培養することを考慮すると、血漿濃度として0.15%となる。また、5%の血漿濃度から培養を開始すると4日目以降、細胞を継代、希釈するときの培地における血漿濃度は0.1%程度となる。以上を鑑みてLAK細胞培養系における血清濃度の影響を確認した。
培養開始時にhumanAB血清が0%、0.15%あるいは5%それぞれ含まれる区分を設定した。各濃度のhumanAB血清を含むAIM Vに0.33×10cells/mLとなるように実施例1−(1)で調製したPBMCを懸濁後、実施例41−(1)で調製した抗ヒトCD3抗体固定化プレート、または抗ヒトCD3抗体およびCH−296固定化プレートに3mL/ウェルずつまき、終濃度1000U/mLとなるようにIL−2を添加した。これらのプレートを5%CO中37℃で培養した(培養0日目)。
培養開始後4日目に0%、0.15%humanAB血清を含むAIM Vで培養した区分は、最大0.05×10cells/mLとなるように、それぞれ0%あるいは0.15%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し、何も固定化していない12.5cm細胞培養フラスコに培養液を移した(液量2.5mL)。5%humanAB血清を含むAIM Vで培養した区分は、0.05×10cells/mLとなるように0.1%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し(液量6mL)、何も固定化していない12.5cm細胞培養フラスコに移した。各区分において終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。
培養開始7日目には0%、0.15%humanAB血清を含むAIM Vで培養した区分はそれぞれ同濃度の血清を含むAIM Vにより0.11×10cells/mLとなるように希釈し、何も固定化していない新しい25cm細胞培養フラスコを立てたものに移した(液量最大12.6mL)。5%humanAB血清を含むAIM Vで培養した区分は、0.1%humanAB血清を含むAIM Vにより0.11×10cells/mLとなるように希釈し、何も固定化していない新しい25cm細胞培養フラスコを立てたものに移した(液量最大12.6mL)。各区分において終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。
培養開始10日目には0%、0.15%humanAB血清を含むAIM Vで培養した区分はそれぞれ同濃度の血清を含むAIM Vにより0.22×10cells/mLとなるように希釈し、何も固定化していない新しい25cm細胞培養フラスコを立てたものに移した(液量最大12.6mL)。5%humanAB血清を含むAIM Vで培養した区分は、0.1%humanAB血清を含むAIM Vにより0.6×10cells/mLとなるように希釈し、何も固定化していない新しい25cm細胞培養フラスコを立てたものに移した(液量最大12.6mL)。各区分において終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。
培養開始15日目にトリパンブルー染色法にて生細胞数を計測し、培養開始時の細胞数と比較しての拡大培養率として算出した。各実験は2連で行った。その平均の各結果を表43に示す。
Figure 2005019450
表43に示されるように、各血清濃度を含んだAIM V培地を用いてのLAK細胞培養において、いずれの血清濃度区分においても、対照群(抗CD3抗体のみによる刺激)と比較してCH−296および抗CD3抗体により刺激した群において高い拡大培養率が得られた。すなわち、30mL採血を想定した血清濃度におけるLAK細胞培養において、CH−296および抗CD3抗体により刺激することで、明らかに高い拡大培養率でLAK細胞を誘導・培養することができた。また、このときの培養における細胞は高濃度・高密度であり、CH−296で刺激することにより、このような条件下においても、明らかに高い拡大培養率であり、CH−296の有効性が認められた。
[実施例44] 低血清培地(AIM V)を用いたLAK細胞培養系における拡大培養率の測定(血清濃度3%→1%→0%→0%、3%→1%→0.1%→0%、3%→0.5%→0.2%→0.2%(最終培養液量約半量)、3%→0.5%→0.2%→0.05%)
実施例43と同様の観点で30mL採血により得られる血漿濃度を考慮してLAK細胞培養系における血清濃度の影響を確認した。
humanAB血清濃度は培養開始時は3%で、培養4日目に1%あるいは0.5%humanAB血清を含むAIM V培地で細胞を希釈する群、培養7日目に0%、0.1%あるいは0.2%humanAB血清を含むAIM V培地で細胞を希釈する群、培養10日目に0%、0.05%あるいは0.2%humanAB血清を含むAIM V培地で細胞を希釈する群をそれぞれ設定した。下記表44−1に上記パターンを示す。
Figure 2005019450
3%のhumanAB血清を含むAIM Vに0.33×10cells/mLとなるように実施例1−(1)で調製したPBMCを懸濁後、実施例41−(1)で調製した抗ヒトCD3抗体固定化プレート、または抗ヒトCD3抗体およびCH−296固定化プレートに3mL/ウェルずつまき、終濃度1000U/mLとなるようにIL−2を添加した。これらのプレートを5%CO中37℃で培養した(培養0日目)。
培養開始後4日目に血清濃度パターン1および2で培養する区分は、0.05×10cells/mLとなるように1%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し(液量6mL)、何も固定化していない12.5cm細胞培養フラスコに移した。血清濃度パターン3および4で培養する区分は、0.058×10cells/mLとなるように0.5%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し(液量6mL)、何も固定化していない12.5cm細胞培養フラスコに移した。各区分において終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。
培養開始7日目には血清濃度パターン1で培養する区分は、0.28×10cells/mLとなるようにhumanAB血清を含まないAIM Vにより希釈し(液量12.6mL)、また血清濃度パターン2で培養する区分は、0.28×10cells/mLとなるように0.1%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し(液量12.6mL)、何も固定化していない新しい25cm細胞培養フラスコを立てたものにそれぞれ移した。血清濃度パターン3および4で培養する区分は、0.48×10cells/mLとなるように0.2%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し(液量12.6mL)、何も固定化していない新しい25cm細胞培養フラスコを立てたものに移した。各区分において終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。
培養開始10日目には血清濃度パターン1および2で培養する区分は、0.51×10cells/mLとなるようにhumanAB血清を含まないAIM Vにより希釈し(液量12.6mL)、何も固定化していない新しい25cm細胞培養フラスコを立てたものに移した。血清濃度パターン3で培養する区分は、0.839×10cells/mLとなるように0.2%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し(液量12.6mL)、また血清濃度パターン4で培養する区分は、0.43×10cells/mLとなるように0.05%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し(液量12.6mL)、何も固定化していない新しい25cm細胞培養フラスコを立てたものにそれぞれ移した。各区分において終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。
培養開始15日目にトリパンブルー染色法にて生細胞数を計測し、培養開始時の細胞数と比較しての拡大培養率として算出した。各実験は2連で行った。その平均の各結果を表44−2に示す。
Figure 2005019450
表44−2に示されるように、各血清濃度を含んだAIM V培地を用いてのLAK細胞培養において、いずれの血清濃度区分においても、対照群(抗CD3抗体のみによる刺激)と比較してCH−296および抗CD3抗体により刺激した群において高い拡大培養率が得られた。すなわち、30mL採血を想定した血清濃度におけるLAK細胞培養において、CH−296および抗CD3抗体により刺激することで、抗CD3抗体単独で刺激するよりも、明らかに高い拡大培養率でLAK細胞を誘導・培養することができた。また、このときの培養における細胞は高濃度・高密度であり、CH−296で刺激することにより、このような条件下においても、明らかに高い拡大培養率であり、CH−296の有効性が認められた。
[実施例45] 低血清培地(AIM V)を用いたLAK細胞培養系における拡大培養率の測定(細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせた培養)
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例36−(2)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。結果を表45に示す。
Figure 2005019450
表45に示されるように、低濃度(1%)の血清を含んだ培地(AIM V)を用いて、細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせたLAK細胞誘導初期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した細胞培養用フラスコを使用した群においては、対照群に比較してLAK細胞の拡大培養率が高い。このことから各フィブロネクチンフラグメントは低濃度の血清を含んだ培地を用いて、細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせたLAK細胞培養時に好適に使用されることが明らかとなった。
[実施例46] 新鮮分離PBMCおよび自己血漿含有培地を用いたLAK細胞培養系における拡大培養率の測定(0.5%自己血漿を含むAIM V培地・細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせた培養)
(1)PBMCの分離および保存
インフォームド・コンセントの得られたヒト健常人ドナーより採血用注射筒にて30mL採血を実施後、採血液を500×g 20分間遠心し、自己血漿およびバフィーコート層を回収した。回収したバフィーコート層はPBSで希釈後Ficoll−paque(ファルマシア社製)上に重層して500×gで20分間遠心分離した。中間層の末梢血単核細胞(PBMC)をピペットで回収、洗浄した。採取した新鮮分離PBMCはトリパンブルー染色法にて生細胞数を算出して各実験に供した。
回収した自己血漿は56℃30分非働化後、800×gで30分間遠心分離し、その上清を非働化自己血漿として使用した(以下自己血漿と略す)。
(2)抗ヒトCD3抗体およびFNフラグメント固定化
以下の実験で使用する培養器材(25cm細胞培養用フラスコ)に実施例35−(1)と同様に抗ヒトCD3抗体およびFNフラグメントを固定化した。使用直前にはこれらの培養器材から抗体・FNfrを含むPBSを除去後、各フラスコをPBSで2回、AIM V培地で1回洗浄し各実験に供した。
(3)LAK細胞の誘導および培養
0.5%自己血漿を含むAIM V(以下0.5%自己血漿AIM Vと略す)に1×10cells/mLとなるように実施例46−(1)で調製した新鮮分離PBMCを懸濁後、実施例46−(2)で調製した抗ヒトCD3抗体固定化フラスコ、または抗ヒトCD3抗体およびFNfr固定化フラスコに3mL/フラスコずつ細胞懸濁液を入れ、終濃度1000U/mLとなるようにIL−2を添加した。これらのフラスコを5%CO中37℃で培養した(培養0日目)。培養開始後1日目には1000U/mLのIL−2を含む0.5%自己血漿AIM Vを7mL/フラスコずつ添加した。培養開始後4日目には培養液を何も固定化していない85cm細胞培養用COガス透過性バッグ(オプティサイトバッグまたはX−Foldバッグ バクスター社製)に移した後、0.5%自己血漿AIM Vを20mL/バッグずつ添加し、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始6日目には0.5%自己血漿/AIM Vを30mL/バッグずつ添加し、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始後8日目には培養液の一部を適宜希釈した後、何も固定化していない85cm細胞培養用COガス透過性バッグ(オプティサイトバッグまたはX−Foldバッグ)に移し、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始11、13日目には終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始15日目にトリパンブルー染色法にて生細胞数を計測し、培養開始時の細胞数と比較しての拡大培養率として算出した。結果を表46に示す。
Figure 2005019450
表46に示されるように、低濃度(0.5%)の自己血漿を含んだ培地(AIM V)を用いて、細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせたLAK細胞誘導初期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した細胞培養用フラスコを使用した群においては、細胞培養用COガス透過性バッグの種類によらずLAK細胞の拡大培養率が高い。このことから各フィブロネクチンフラグメントは低濃度の血漿を含んだ培地を用いての細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせたLAK細胞培養時に好適に使用されることが明らかとなった。
[実施例47] 新鮮分離PBMCおよび自己血漿含有培地を用いたLAK細胞集団中におけるCD8陽性細胞比率の測定(0.5%自己血漿を含むAIM V培地・細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせた培養)
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例46−(3)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。培養開始15日目に実施例4−(2)と同様の方法でCD8陽性細胞の含有率を測定した。結果を表47に示す。
Figure 2005019450
表47に示されるように、低濃度(0.5%)の自己血漿を含んだ培地(AIM V)を用いて、細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせたLAK細胞誘導初期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した細胞培養用フラスコを使用した群においては、細胞培養用COガス透過性バッグの種類によらずLAK細胞集団中のCD8細胞陽性比率が高い。このことから各フィブロネクチンフラグメントは低濃度の血漿を含んだ培地を用いての細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせたLAK細胞培養時に好適に使用されることが明らかとなった。
[実施例48] 新鮮分離PBMCおよび自己血漿含有培地を用いたLAK細胞培養系における拡大培養率の測定(0.5%自己血漿を含むAIM V培地・細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせた培養)
(1)抗ヒトCD3抗体およびFNフラグメント固定化
以下の実験で使用する培養器材(25cm細胞培養用フラスコ)に実施例35−(1)と同様に抗ヒトCD3抗体およびFNフラグメントを固定化した。使用直前にはこれらの培養器材から抗体・FNfrを含むPBSを除去後、各フラスコをPBSで2回、AIM V培地で1回洗浄し各実験に供した。
(2)LAK細胞の誘導および培養
0.5%自己血漿を含むAIM V(以下0.5%自己血漿AIM Vと略す)に1×10cells/mLとなるように実施例46−(1)と同様の方法で調製した新鮮分離PBMCを懸濁後、実施例48−(1)で調製した抗ヒトCD3抗体固定化フラスコ、または抗ヒトCD3抗体およびFNfr固定化フラスコに3mL/フラスコずつ細胞懸濁液を入れ、終濃度1000U/mLとなるようにIL−2を添加した。これらのフラスコを5%CO中37℃で培養した(培養0日目)。培養開始後1日目には1000U/mLのIL−2を含む0.5%自己血漿AIM Vを7mL/フラスコずつ添加した。培養開始後4日目には培養液を何も固定化していない85cm細胞培養用COガス透過性バッグ(オプティサイトバッグ)に移した後、0.5%自己血漿AIM Vを20mL/バッグずつ添加し、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始6日目には0.5%自己血漿/AIM Vを30mL/バッグずつ添加し、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始後8日目には培養液の一部を適宜希釈した後、何も固定化していない85cm細胞培養用COガス透過性バッグ(オプティサイトバッグ)に移し、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始11、13日目には終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。
また、同様に4日目まで培養した培養液を何も固定化していない180cm細胞培養用COガス透過性バッグに一部(10mL中7mL)移した後、0.5%自己血漿AIM Vを58mL/バッグずつ添加し、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始6日目には0.5%自己血漿/AIM Vを65mL/バッグずつ添加し、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始後8日目には培養液の一部を適宜希釈した後、何も固定化していない180cm細胞培養用COガス透過性バッグ(オプティサイトバッグ)に移し、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始11、13日目には終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。この際培養開始11日目に0.5%自己血漿/AIM Vを130mL添加する系も設定した。培養開始15日目にトリパンブルー染色法にて生細胞数を計測し、培養開始時の細胞数と比較しての拡大培養率として算出した。結果を表48に示す。
Figure 2005019450
表48に示されるように、低濃度(0.5%)の自己血漿を含んだ培地(AIM V)を用いて、細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせたLAK細胞誘導初期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した細胞培養用フラスコを使用した群においては、細胞培養用COガス透過性バッグの培養面積・培養方法・最終培地量によらずLAK細胞の拡大培養率が高い。このことから各フィブロネクチンフラグメントは低濃度の血漿を含んだ培地を用いての細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせたLAK細胞培養時に好適に使用されることが明らかとなった。
[実施例49] 新鮮分離PBMCおよび自己血漿含有培地を用いたLAK細胞集団中におけるCD8陽性細胞比率の測定(0.5%自己血漿を含むAIM V培地・細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせた培養)
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例48−(2)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。培養開始15日目に実施例4−(2)と同様の方法でCD8陽性細胞の含有率を測定した。結果を表49に示す。
Figure 2005019450
表49に示されるように、低濃度(0.5%)の自己血漿を含んだ培地(AIM V)を用いて、細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせたLAK細胞誘導初期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した細胞培養用フラスコを使用した群においては、細胞培養用COガス透過性バッグの培養面積・培養方法・最終培地量によらずLAK細胞集団中のCD8細胞陽性比率が高い。このことから各フィブロネクチンフラグメントは低濃度の血漿を含んだ培地を用いての細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせたLAK細胞培養時に好適に使用されることが明らかとなった。
[実施例50] 新鮮分離PBMCおよび自己血漿含有培地を用いたLAK細胞培養培養系における細胞傷害活性の測定(0.5%自己血漿を含むAIM V培地・細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせた培養)
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例46−(3)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。
(2)培養したLAK細胞の細胞傷害活性の測定
実施例25−(2)と同様の方法で培養後15日目のLAKの細胞傷害活性を測定した。結果を表50に示す。
Figure 2005019450
表50に示されるように、低濃度(0.5%)の自己血漿を含んだ培地(AIM V)を用いて、細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせたLAK細胞誘導初期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した細胞培養用フラスコを使用した群においては、対照群に比較してLAK細胞の細胞傷害活性が高い。このことから各フィブロネクチンフラグメントは低濃度の血漿を含んだ培地を用いての細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせたLAK細胞培養時に好適に使用されることが明らかとなった。
[実施例51] 新鮮分離PBMCおよび自己血漿含有培地を用いたLAK細胞培養系における拡大培養率の測定(0.5%自己血漿を含むAIM V培地・細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせた培養)
(1)抗ヒトCD3抗体およびFNフラグメント固定化
以下の実験で使用する培養器材(25cm細胞培養用フラスコ)に実施例35−(1)と同様に抗ヒトCD3抗体およびFNフラグメントを固定化した。使用直前にはこれらの培養器材から抗体・FNfrを含むPBSを除去後、各フラスコをPBSで2回、AIM V培地で1回洗浄し各実験に供した。
(2)LAK細胞の誘導および培養
0.5%自己血漿を含むAIM V(以下0.5%自己血漿AIM Vと略す)に5×10cells/mLとなるように(ただし、生細胞数の計測はチュルク液(関東化学社製)で実施した。)実施例46−(1)と同様の方法で調製した新鮮分離PBMCを懸濁後、実施例51−(1)で調製した抗ヒトCD3抗体固定化フラスコ、または抗ヒトCD3抗体およびFNfr固定化フラスコに3mL/フラスコずつ細胞懸濁液を入れ、終濃度1000U/mLとなるようにIL−2を添加した。これらのフラスコを5%CO中37℃で培養した(培養0日目)。培養開始後1日目には1000U/mLのIL−2を含む0.5%自己血漿AIM Vを7mL/フラスコずつ添加した。培養開始後4日目には培養液を何も固定化していない180cm細胞培養用COガス透過性バッグに一部(10mL中7mL)移した後、0.5%自己血漿AIM Vを58mL/バッグずつ添加し、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始6日目には0.5%自己血漿/AIM Vを65mL/バッグずつ添加し、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始後8日目には培養液の一部を適宜希釈した後、何も固定化していない180cm細胞培養用COガス透過性バッグ(オプティサイトバッグ)に移し、終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。培養開始11、13日目には終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。この際培養開始11日目に自己血漿を含まないAIM Vまたは0.5%自己血漿/AIM Vを130mL添加する系も設定した。培養開始15日目にトリパンブルー染色法にて生細胞数を計測し、培養開始時の細胞数と比較しての拡大培養率として算出した。結果を表51に示す。
Figure 2005019450
表51に示されるように、低濃度(0.5%)の自己血漿を含んだ培地(AIM V)を用いて、細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせたLAK細胞誘導初期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した細胞培養用フラスコを使用した群においては、細胞培養用COガス透過性バッグの培養面積・培養方法・最終培地量によらずLAK細胞の拡大培養率が高い。このことから各フィブロネクチンフラグメントは低濃度の血漿を含んだ培地を用いての細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせたLAK細胞培養時に好適に使用されることが明らかとなった。
[実施例52] 新鮮分離PBMCおよび自己血漿含有培地を用いたLAK細胞集団中におけるCD8陽性細胞比率測定(0.5%自己血漿を含むAIM V培地・細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせた培養)
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例51−(2)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。培養開始15日目に実施例4−(2)と同様の方法でCD8陽性細胞の含有率を測定した。結果を表52に示す。
Figure 2005019450
表52に示されるように、低濃度(0.5%)の自己血漿を含んだ培地(AIM V)を用いて、細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせたLAK細胞誘導初期に各フィブロネクチンフラグメントを固定化した細胞培養用フラスコを使用した群においては、細胞培養用COガス透過性バッグの培養面積・培養方法・最終培地量によらずLAK細胞集団中のCD8陽性細胞比率が高い。このことから各フィブロネクチンフラグメントは低濃度の血漿を含んだ培地を用いての細胞培養用フラスコおよび細胞培養用COガス透過性バッグを組み合わせたLAK細胞培養時に好適に使用されることが明らかとなった。
[実施例53] 低血清培地(AIM V)を用いたLAK細胞培養系におけるIL−2レセプター(IL−2R)発現の誘導
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例1−(3)と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。この際使用する培地を1%humanAB血清を含むAIM V培地に変更した。
(2)LAK細胞におけるIL−2R発現率の測定
実施例3−(2)と同様の方法で、IL−2R発現陽性細胞含有率を測定した。結果を表53に示す。かかる表ではIL−2R発現陽性細胞含有率(%)をIL−2R発現率(%)と表示する。
Figure 2005019450
表53に示されるように、低濃度の血清を含んだAIM V培地を用いてのLAK細胞誘導初期各フィブロネクチンフラグメントを固定化した培養器材を使用した群においては、培養中のLAK細胞表面上におけるIL−2R発現率を高く誘導することができた。すなわち低濃度の血清を含んだ培地を用いてLAK細胞を誘導する際にフィブロネクチンフラグメントを共存させることにより、IL−2R発現率を高くしながらLAK細胞を誘導・培養することが可能であることが明らかとなった。
[実施例54] レトロネクチン変異体タンパク質の発現(CH−296Na)
(1)CH−296Na発現ベクターの構築
配列番号27、28の合成DNAプライマー(それぞれPrimer CH−296Na1およびPrimer CH−296Na2)を用い、CH−296発現ベクターであるpCH102を鋳型にPCR反応を行い、得られたDNA断片をNdeIおよびHindIIIで制限酵素処理した。一方、国際公開第99/27117号パンフレットの実施例5記載のpCold04から同パンフレットの実施例4の方法に従い調製した翻訳開始コドンのところにNdeIサイトを有するpCold14ND2ベクターを作製した。pCold14ND2ベクターのNdeI−HindIII制限酵素部位に前記DNA断片を挿入することで、ベクターpCold14ND2−CH296を得た。次に、フィブロネクチンの細胞結合ドメインの一部からC末端までをコードするcDNAを有するpLF2435ベクターを鋳型に、配列番号28、29の合成DNAプライマー(それぞれPrimer CH−296Na2およびPrimer CH−296Na3)を用いてPCR反応を行い、得られたDNA断片をBamHIおよびHindIIIで制限酵素処理した。こうして得られたDNA断片をpCold14ND2−CH296をBamHIおよびHindIIIで制限酵素処理したものとライゲーションすることによりCH−296Na発現用ベクターを作成した。
(2)CH−296Naの発現、精製
上記実施例54−(1)で調製したpCold14−CH296Naを用いて大腸菌BL21を形質転換し、その形質転換体を1.5%(w/v)濃度の寒天を含むLB培地(アンピシリン50μg/mL含む)上で生育させた。生育したコロニーを30mLのLB液体培地(アンピシリン50μg/mL含む)に植菌し、37℃で一晩培養した。全量を3Lの同LB培地に植菌し、37℃で対数増殖期まで培養した。なお、この培養の際には、5L容ミニジャーファーメンター(Biott社製)を使用し、150rpm、Air=1.0L/minの条件で行なった。前記培養後、15℃まで冷却した後、IPTGを終濃度1.0mMになるように添加し、そのまま15℃で24時間培養して発現誘導させた。その後菌体を遠心分離により集め、菌体容量の4倍量の細胞破砕溶液[50mM Tris−HCl(pH7.5),1mM EDTA,1mM DTT,1mM PMSF,50mM NaCl]に再懸濁した。超音波破砕により菌体を破砕し、遠心分離(11,000rpm 20分)により上清の抽出液と沈殿とに分離した。これを2LのbufferA[50mM Tris−HCl(pH7.5),50mM NaCl]で透析を行い、その約40mLを用いてさらにイオン交換クロマトによる精製を以下のように行なった。
すなわち、樹脂容積にして100mL分のSP−Sepharose(アマシャムファルマシア社製)をbufferAで飽和させたカラム(Φ4cm 20cm)を準備し、これに透析後のサンプルをアプライした。300mLのbufferAでカラムを洗浄した後、bufferB[50mM Tris−HCl(pH7.5),200mM NaCl]、bufferC[50mM Tris−HCl(pH7.5),300mM NaCl]、bufferD[50mM Tris−HCl(pH7.5),500mM NaCl]の各200mLを用いて順にカラムからの溶出を行い、約100mLずつ分取し画分1〜6を得た。分取した分画を、10%SDS−PAGEに供じた結果、分子量約71kDaの目的タンパク質を多く含むことが分かった画分2、3(約200mL)を回収し、2LのbufferAで透析を行なった。
次に、樹脂容積にして50mL分のQ−Sepharose(アマシャムファルマシア社製)をbufferAで飽和させたカラム(Φ3cm 16cm)を準備し、これに透析後のサンプルをアプライした。カラムを200mLのbufferAで洗浄した後、bufferE[50mM Tris−HCl(pH7.5),140mM NaCl]、bufferB、bufferCの各150mLを用いて順にカラムからの溶出を行い、約100mLずつ分取し画分1〜5を得た。10%SDS−PAGEに供じた結果、目的タンパク質のみを多く含むことが分かった画分1 約100mLを回収し、2LのbufferF[50mM 炭酸ナトリウム緩衝液 pH9.5]で透析を行なった。
その後、セントリコン−10(ミリポア社製)で約4倍の25mLまで濃縮を行い、10%SDS−PAGEで確認したところ、分子量約71kDaの目的タンパク質がほぼ単一バンドで検出され、これをCH−296Naとした。その後、MicroBCAキット(ピアース社製)を使用して、タンパク質濃度を測定したところ、3.8mg/mLであった。
[実施例55] 低血清培地(AIM V)を用いたLAK細胞培養系における拡大培養率の測定(血清濃度5%→1%→0%→0%、5%→1%→0.05%→0.05%、3%→1%→0.05%→0.05%、3%→1%→0.1%→0.05%、1%→1%→0.1%→0.05%)
実施例43と同様の観点で30mL採血により得られる血漿濃度を考慮してLAK細胞培養系における血清濃度の影響を確認した。
humanAB血清濃度は培養開始時に5%、3%あるいは1%含有する区分を設定し、以降下記表54に示すhumanAB血清濃度を含むAIM V培地により希釈する群をそれぞれ設定した。なお、下記表54に示すように各継代日に継代濃度を変更した区分もそれぞれ設定した。
Figure 2005019450
5%、3%あるいは1%のhumanAB血清を含むAIM Vに0.33×10cells/mLとなるように実施例1−(1)で調製したPBMCを懸濁後、実施例41−(1)で調製した抗ヒトCD3抗体固定化プレート、または抗ヒトCD3抗体およびCH−296固定化プレートに3mL/ウェルずつまき、終濃度1000U/mLとなるようにIL−2を添加した。これらのプレートを5%CO中37℃で培養した(培養0日目)。
培養開始後4日目に血清濃度パターン1−1、2−1および3−1で培養する区分は、0.1×10cells/mLとなるように、血清濃度パターン1−2および2−2で培養する区分は、0.2×10cells/mLとなるように、血清濃度パターン3−2および3−3で培養する区分は、0.05×10cells/mLとなるように、1%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し(液量6mL)、何も固定化していない12.5cm細胞培養フラスコに移した。各区分において終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。
培養開始7日目には血清濃度パターン1−1で培養する区分は、0.321×10cells/mLとなるようにhumanAB血清を含まないAIM Vにより希釈し(液量12.6mL)、血清濃度パターン1−2および2−1で培養する区分は、0.321×10cells/mLとなるように0.05%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し(液量12.6mL)、また血清濃度パターン2−2および3−1で培養する区分は0.321×10cells/mLとなるように、血清濃度パターン3−2で培養する区分は0.417×10cells/mLとなるように、血清濃度パターン3−3で培養する区分は0.23×10cells/mLとなるようにそれぞれ0.1%humanAB血清を含むAIM Vによりそれぞれ希釈し(液量12.6mL)、各区分は何も固定化していない新しい25cm細胞培養フラスコを立てたものにそれぞれ移した。各区分において終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。
培養開始10日目には血清濃度パターン1−1で培養する区分は、0.873×10cells/mLとなるようにhumanAB血清を含まないAIM Vにより希釈し(液量12.6mL)、血清濃度パターン1−2で培養する区分は0.841×10cells/mLとなるように、血清濃度パターン2−1で培養する区分は0.746×10cells/mLとなるように、血清濃度パターン2−2および3−1で培養する区分は0.643×10cells/mLとなるように、血清濃度パターン3−2で培養する区分は1.214×10cells/mLとなるように、0.05%humanAB血清を含むAIM Vによりそれぞれ希釈し(液量12.6mL)、何も固定化していない新しい25cm細胞培養フラスコを立てたものに移した。各区分において終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。
培養開始15日目にトリパンブルー染色法にて生細胞数を計測し、培養開始時の細胞数と比較しての拡大培養率として算出した。各実験は2連で行った。その平均の各結果を表55に示す。
Figure 2005019450
表55に示されるように、各血清濃度を含んだAIM V培地を用いてのLAK細胞培養において、いずれの血清濃度区分、またいずれの継代濃度区分においても、対照群(抗CD3抗体のみによる刺激)と比較してCH−296および抗CD3抗体により刺激した群において高い拡大培養率が得られた。すなわち、30mL採血を想定した血清濃度におけるLAK細胞培養において、CH−296および抗CD3抗体により刺激することで、抗CD3抗体単独で刺激するよりも、明らかに高い拡大培養率でLAK細胞を誘導・培養することができた。また、このときの培養における細胞は高濃度・高密度であり、CH−296で刺激することにより、このような条件下においても、明らかに高い拡大培養率であり、CH−296の有効性が認められた。
[実施例56] 低血清培地(AIM V)を用いたLAK細胞培養系における拡大培養率の測定(IL−2濃度、100U/mL→150U/mL→150U/mL→300U/mL、200U/mL→300U/mL→300U/mL→400U/mL、1000U/mL→500U/mL→500U/mL→500U/mL)
LAK細胞培養系におけるIL−2濃度の影響を確認した。
培養開始時および継代時に添加するIL−2濃度を下記表56−1に示すように設定した。
Figure 2005019450
3%のhumanAB血清を含むAIM Vに0.33×10cells/mLとなるように実施例1−(1)で調製したPBMCを懸濁後、実施例41−(1)で調製した抗ヒトCD3抗体固定化プレート、または抗ヒトCD3抗体およびCH−296固定化プレートに3mL/ウェルずつまき、終濃度100U/mL、200U/mLあるいは1000U/mLとなるようにIL−2を添加した。これらのプレートを5%CO中37℃で培養した(培養0日目)。
培養開始後4日目に各区分とも、0.1×10cells/mLとなるように1%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し(液量6mL)、何も固定化していない12.5cm細胞培養フラスコにそれぞれ移した。IL−2濃度パターン1においては終濃度150U/mLとなるように、IL−2濃度パターン2においては300U/mLとなるように、IL−2濃度パターン3においては500U/mLとなるようにそれぞれIL−2を添加した。
培養開始7日目には各区分とも、0.262×10cells/mLとなるように0.05%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し(液量12.6mL)、何も固定化していない新しい25cm細胞培養フラスコを立てたものにそれぞれ移した。IL−2濃度パターン1においては終濃度150U/mLとなるように、IL−2濃度パターン2においては300U/mLとなるように、IL−2濃度パターン3においては500U/mLとなるようにそれぞれIL−2を添加した。
培養開始10日目には各区分とも、0.585×10cells/mLとなるように0.05%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し(液量12.6mL)、何も固定化していない新しい25cm細胞培養フラスコを立てたものにそれぞれ移した。IL−2濃度パターン1においては終濃度300U/mLとなるように、IL−2濃度パターン2においては400U/mLとなるように、IL−2濃度パターン3においては500U/mLとなるようにそれぞれIL−2を添加した。
培養開始15日目にトリパンブルー染色法にて生細胞数を計測し、培養開始時の細胞数と比較しての拡大培養率として算出した。各実験は2連で行った。その平均の各結果を表56−2に示す。
Figure 2005019450
表56−2に示されるように、継代時に種々のIL−2濃度で培養したLAK細胞培養において、いずれのIL−2濃度区分においても、対照群(抗CD3抗体のみによる刺激)と比較してCH−296および抗CD3抗体により刺激した群において高い拡大培養率が得られた。すなわち、IL−2濃度を変更しても、CH−296および抗CD3抗体により刺激することで、抗CD3抗体単独で刺激するよりも、明らかに高い拡大培養率でLAK細胞を誘導・培養することができた。また、このときの培養における細胞は高濃度・高密度であり、また、血清濃度も30mL採血で総培養液量が10Lであることを想定しており、CH−296で刺激することにより、このような条件下においても、明らかに高い拡大培養率であり、CH−296の有効性が認められた。
[実施例57] 低血清培地(AIM V)を用いて培養したLAK細胞集団中におけるCD8陽性細胞含有比率(IL−2濃度の検討)
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例56と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。
(2)LAK細胞におけるCD8陽性細胞集団含有比率の測定
実施例4−(2)と同様の方法でCD8陽性細胞の含有率を測定した。結果を表57に示す。
Figure 2005019450
表57に示されるように、培養開始時、継代時にIL−2濃度を変更したいずれの区分においても、対照群(抗CD3抗体のみによる刺激)と比較してCH−296および抗CD3抗体により刺激した群において培養中のLAK細胞中におけるCD8陽性細胞含有率を高く誘導することができた。すなわち、IL−2濃度を変更してもCH−296による刺激により、明らかにLAK細胞中のCD8陽性細胞の含有率を高くしながらLAK細胞を誘導・培養することが可能であることが明らかとなった。
[実施例58] 低血清培地(AIM V)を用いたLAK細胞培養系における拡大培養率の測定(培養開始初期濃度の検討)
30mL採血、最終培養液量約10Lと想定したときのLAK細胞培養系における培養開始時の細胞初期濃度の拡大培養率に及ぼす影響を確認した。
培養開始初期細胞濃度を0.083×10cells/mL、0.167×10cells/mLあるいは0.33×10cells/mLの各区分を設定した。
(1)抗ヒトCD3抗体およびFNフラグメント固定化
以下の実験で使用する培養器材に抗ヒトCD3抗体およびFNフラグメントを固定化した。すなわち12穴細胞培養プレートあるいは6穴細胞培養プレート(ファルコン社製)に抗ヒトCD3抗体(終濃度5μg/mL)を含むPBSを1.9mLあるいは4.8mLずつそれぞれ添加した。この時、FNフラグメント添加群には製造例1に記載のフィブロネクチンフラグメント(CH−296)を終濃度25μg/mLとなるように添加した。対照として、CH−296を添加しない群も設定した。
これらの培養器材を室温で5時間インキュベート後、使用時まで4℃で保存した。使用直前にはこれらの培養器材から抗ヒトCD3抗体・CH−296を含むPBSを吸引除去後、各ウェルをPBSで2回、RPMI培地で1回洗浄し各実験に供した。
(2)LAK細胞の誘導および培養
3%のhumanAB血清を含むAIM Vに0.083×10cells/mL、0.167×10cells/mLあるいは0.33×10cells/mLとなるように実施例1−(1)で調製したPBMCをそれぞれ懸濁後、0.083×10cells/mLあるいは0.167×10cells/mLで培養開始する区分は実施例58−(1)で調製した抗ヒトCD3抗体固定化6穴細胞培養プレート、または抗ヒトCD3抗体およびCH−296固定化6穴細胞培養プレートに7.5mL/ウェルずつ、また、0.33×10cells/mLで培養開始する区分は実施例58−(1)で調製した抗ヒトCD3抗体固定化12穴細胞培養プレート、または抗ヒトCD3抗体およびCH−296固定化12穴細胞培養プレートに3mL/ウェルずつ、それぞれまき、終濃度1000U/mLとなるようにIL−2を添加した。これらのプレートを5%CO中37℃で培養した(培養0日目)。
培養開始後4日目に各区分は、最大0.1×10cells/mLとなるように1%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し(液量6mL)、何も固定化していない12.5cm細胞培養フラスコに移した。各区分において終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。
培養開始7日目には0.083×10cells/mLで培養開始した区分は、0.227×10cells/mLとなるように、0.167×10cells/mLで培養開始した区分は0.276×10cells/mLとなるように、また、0.33×10cells/mLで培養開始した区分は0.465×10cells/mLとなるように、それぞれ0.05%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し(液量最大12.6mL)、何も固定化していない新しい25cm細胞培養フラスコを立てたものにそれぞれ移した。各区分において終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。
培養開始10日目には0.083×10cells/mLで培養開始した区分は、0.58×10cells/mLとなるように、0.167×10cells/mLで培養開始した区分は0.75×10cells/mLとなるように、また、0.33×10cells/mLで培養開始した区分は0.79×10cells/mLとなるように、それぞれ0.05%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し(液量12.6mL)、何も固定化していない新しい25cm細胞培養フラスコを立てたものにそれぞれ移した。各区分において終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。
培養開始15日目にトリパンブルー染色法にて生細胞数を計測し、培養開始時の細胞数と比較しての拡大培養率として算出した。各実験は2連で行った。その平均の各結果を表58に示す。
Figure 2005019450
表58に示されるように、いずれの細胞濃度で培養開始した区分においても、対照群(抗CD3抗体のみによる刺激)と比較してCH−296および抗CD3抗体により刺激した群において高い拡大培養率が得られた。すなわち、種々の細胞濃度で培養開始してもCH−296および抗CD3抗体により刺激することで、抗CD3抗体単独で刺激するよりも、明らかに高い拡大培養率でLAK細胞を誘導・培養することができた。また、このときの培養は30mL採血、最終培養液量10Lを想定したものであり、CH−296で刺激することにより、このような条件下においても、明らかに高い拡大培養率であり、CH−296の有効性が認められた。さらに、対照群においては培養開始細胞初期濃度により拡大培養率が大きく変動する様子が確認されたが、CH−296により刺激した区分では、培養開始細胞初期濃度に関わらず、安定した拡大培養率が得られた。
[実施例59] 低血清培地(AIM V)を用いたLAK細胞培養系における拡大培養率の測定(刺激期間)
LAK細胞培養系における抗CD3抗体単独あるいは抗CD3抗体およびCH−296による培養開始時における刺激の日数が拡大培養率に与える影響について確認した。
刺激日数として2日、3日あるいは4日の各区分を設定した。
3%のhumanAB血清を含むAIM Vに各区分とも0.33×10cells/mLとなるように、実施例1−(1)で調製したPBMCをそれぞれ懸濁後、実施例41−(1)で調製した抗ヒトCD3抗体固定化プレート、または抗ヒトCD3抗体およびCH−296固定化プレートに3mL/ウェルずつまき、終濃度1000U/mLとなるようにIL−2を添加した。これらのプレートを5%CO中37℃で培養した(培養0日目)。
培養開始後2日目あるいは3日目にそれぞれ2日刺激の区分、3日刺激の区分を何も固定化していない新しい12穴培養プレートにそのまま移した。
培養開始後4日目に各区分とも、0.1×10cells/mLとなるように1%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し(液量6mL)、何も固定化していない12.5cm細胞培養フラスコにそれぞれ移した。各区分において終濃度500U/mLとなるようにそれぞれIL−2を添加した。
培養開始7日目には各区分とも、0.45×10cells/mLとなるように0.05%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し(液量12.6mL)、何も固定化していない新しい25cm細胞培養フラスコを立てたものにそれぞれ移した。各区分において終濃度500U/mLとなるようにそれぞれIL−2を添加した。
培養開始10日目には各区分とも、0.6×10cells/mLとなるように0.05%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し(液量12.6mL)、何も固定化していない新しい25cm細胞培養フラスコを立てたものにそれぞれ移した。各区分において終濃度500U/mLとなるようにそれぞれIL−2を添加した。
培養開始15日目にトリパンブルー染色法にて生細胞数を計測し、培養開始時の細胞数と比較しての拡大培養率として算出した。各実験は2連で行った。その平均の各結果を表59に示す。
Figure 2005019450
表59に示されるように、培養開始時より種々の刺激期間で培養したLAK細胞培養において、いずれの刺激期間の区分においても、対照群(抗CD3抗体のみによる刺激)と比較してCH−296および抗CD3抗体により刺激した群において高い拡大培養率が得られた。すなわち、刺激期間を変更しても、CH−296および抗CD3抗体により刺激することで、抗CD3抗体単独で刺激するよりも、明らかに高い拡大培養率でLAK細胞を誘導・培養することができた。また、このときの培養における細胞は高濃度・高密度であり、また、血清濃度も30mL採血で総培養液量が10Lであることを想定しており、CH−296で刺激することにより、このような条件下においても、明らかに高い拡大培養率であり、CH−296の有効性が認められた。
[実施例60] 低血清培地(AIM V)を用いたLAK細胞培養系における拡大培養率の測定(CH−296Na)
FNフラグメントしてCH−296Naを用いたときのLAK細胞培養系における拡大培養率を測定した。
CH−296Naは細胞培養プレートに固定化する区分とそのまま細胞培養液中に添加する区分を設定した。
(1)抗ヒトCD3抗体およびFNフラグメント固定化
以下の実験で使用する培養器材に抗ヒトCD3抗体およびFNフラグメントを固定化した。すなわち12穴細胞培養プレートに抗ヒトCD3抗体(終濃度5μg/mL)を含むPBSを1.9mLずつそれぞれ添加した。この時、FNフラグメント添加群には実施例54に記載のフィブロネクチンフラグメント(CH−296Na)を終濃度28.6μg/mLとなるように添加した。対照として、CH−296Naを添加しない群も設定した。
これらの培養器材を室温で5時間インキュベート後、使用時まで4℃で保存した。使用直前にはこれらの培養器材から抗ヒトCD3抗体・CH−296Naを含むPBSを吸引除去後、各ウェルをPBSで2回、RPMI培地で1回洗浄し各実験に供した。
(2)LAK細胞の誘導および培養
3%のhumanAB血清を含むAIM Vに0.33×10cells/mLとなるように実施例1−(1)で調製したPBMCをそれぞれ懸濁後、実施例60−(1)で調製した抗ヒトCD3抗体固定化細胞培養プレート、または抗ヒトCD3抗体およびCH−296Na固定化細胞培養プレートに3mL/ウェルずつまいた。また、CH−296Naを細胞培養液中にそのまま添加する区分においては、抗ヒトCD3抗体固定化細胞培養プレートにまいた細胞に対して、終濃度1μg/mLとなるようにCH−296Naを添加した。それぞれの区分において終濃度1000U/mLとなるようにIL−2を添加した。これらのプレートを5%CO中37℃で培養した(培養0日目)。
培養開始後4日目に、各区分とも0.1×10cells/mLとなるように1%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し(液量6mL)、何も固定化していない12.5cm細胞培養フラスコに移した。各区分において終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。
培養開始7日目には各区分とも0.5×10cells/mLとなるように、それぞれ0.05%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し(液量12.6mL)、何も固定化していない新しい25cm細胞培養フラスコを立てたものにそれぞれ移した。各区分において終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。
培養開始10日目には各区分とも0.94×10cells/mLとなるように、それぞれ0.05%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し(液量12.6mL)、何も固定化していない新しい25cm細胞培養フラスコを立てたものにそれぞれ移した。各区分において終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。
培養開始15日目にトリパンブルー染色法にて生細胞数を計測し、培養開始時の細胞数と比較しての拡大培養率として算出した。各実験は2連で行った。その平均の各結果を表60に示す。
Figure 2005019450
表60に示されるように、対照群(抗CD3抗体のみによる刺激)と比較してCH−296Naを固定化あるいは溶液で添加したいずれの区分においても高い拡大培養率が得られた。すなわち、CH−296Naおよび抗CD3抗体により刺激することで、抗CD3抗体単独で刺激するよりも、明らかに高い拡大培養率でLAK細胞を誘導・培養することができた。また、このときの培養は30mL採血、最終培養液量10Lを想定したものであり、CH−296Naで刺激することにより、このような条件下においても、明らかに高い拡大培養率であり、CH−296Naの有効性が認められた。
[実施例61] CH−296ビーズの作成
CH−296を固定化するためのビーズとして、Dynabeas M−450 Epoxy(Dynal社製)を使用した。2.8×10個のDynabeas M−450 Epoxyを0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)で3回洗浄した。洗浄したDynabeas M−450 Epoxy 2.8×10個を、CH−296 140μgを含むPBS 0.7mLに懸濁し、軽く混合しながら4℃で一晩固定化反応を行った。反応液を除去し、0.1%のヒト血清アルブミン(HSA)を含むPBS 0.7mLで3回置換した後、4℃で保存したものをCH−296ビーズとした。
また、CH−296を含まずにビーズを同様に処理したものを対照ビーズとした。
[実施例62] CD3/CH−296ビーズの作成
CH−296と抗ヒトCD3抗体とを固定化するためのビーズとして、Dynabeas M−450 Epoxyを使用した。4×10個のDynabeas M−450 Epoxyを0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)で3回洗浄した。洗浄したDynabeas M−450 Epoxy 4×10個を、CH−296 160μg、抗ヒトCD3抗体32μgを含むPBS 1mLに懸濁し、軽く混合しながら4℃で一晩固定化反応を行った。反応液を除去し、0.1%のヒト血清アルブミン(HSA)を含むPBS 1mLで3回置換した後、4℃で保存したものをCD3/CH−296ビーズとした。
[実施例63] 低血清培地(AIM V)を用いたLAK細胞培養系における拡大培養率の測定(FNfr固定化ビーズによる刺激)
細胞培養用担体(ビーズ)に固定化されたフィブロネクチンフラグメント(CH−296)を用いてのLAK細胞培養に対する効果を確認した。
抗CD3抗体がビーズに固定化されているCD3ビーズと何も固定化されていない対照ビーズで刺激する区分(CD3ビーズ区分)、CD3ビーズとCH−296がビーズに固定化されているCH−296ビーズにより刺激する区分(CD3ビーズ+CH−296ビーズ区分)、抗CD3抗体とCH−296がビーズに固定化されているCD3/CH−296ビーズにより刺激する区分(CD3/CH−296ビーズ区分)を設定した。
1%のhumanAB血清を含むAIM Vに0.33×10cells/mLとなるように実施例1−(1)で調製したPBMCを懸濁後、何も固定化していない12穴培養プレートに3mL/ウェルずつまき、CD3ビーズ区分はCD3ビーズ(Dynabeads M−450 CD3(panT)、ベリタス社、DB11113)を1×10個/ウェル、実施例61で調製した対照ビーズを3.8×10個/ウェルとなるように、CD3ビーズ+CH−296ビーズ区分はCD3ビーズを1×10個/ウェル、実施例61で調製したCH−296ビーズを0.76×10個/ウェルとなるように、また、CD3/CH−296ビーズ区分は実施例62で調製したCD3/CH−296ビーズを2.3×10個/ウェルとなるように添加した。各ウェルには終濃度1000U/mLとなるようにIL−2を添加した。これらのプレートを5%CO中37℃で培養した(培養0日目)。
培養開始後4日目に各区分とも培養液中に含まれる各ビーズをマグネティックスタンドにより除去したのち、0.07×10cells/mLとなるように、1%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し(液量6mL)、何も固定化していない12.5cm細胞培養フラスコに移した。各区分において終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。
培養開始7日目には各区分とも0.25×10cells/mLとなるように1%humanAB血清を含むAIM Vによりそれぞれ希釈し(液量12.6mL)、何も固定化していない新しい25cm細胞培養フラスコを立てたものにそれぞれ移した。各区分において終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。
培養開始10日目には各区分とも0.685×10cells/mLとなるように、1%humanAB血清を含むAIM Vにより希釈し(液量12.6mL)、何も固定化していない新しい25cm細胞培養フラスコを立てたものに移した。各区分において終濃度500U/mLとなるようIL−2を添加した。
培養開始15日目にトリパンブルー染色法にて生細胞数を計測し、培養開始時の細胞数と比較しての拡大培養率として算出した。各実験は2連で行った。その平均の各結果を表61に示す。
Figure 2005019450
表61に示されるように、各ビーズにより刺激したLAK細胞培養において、CD3ビーズ区分と比較してCD3ビーズ+CH−296ビーズ区分およびCD3/CH−296ビーズ区分により刺激した区分において高い拡大培養率が得られた。すなわち、細胞培養用担体としてビーズを用いたLAK細胞培養において、CH−296および抗CD3抗体を固定化したビーズにより刺激することで、抗CD3抗体単独のビーズで刺激するよりも、明らかに高い拡大培養率でLAK細胞を誘導・培養することができた。また、このときの培養における細胞は高濃度・高密度であり、CH−296ビーズで刺激することにより、このような条件下においても、明らかに高い拡大培養率であり、CH−296の有効性が認められた。
[実施例64] 低血清培地(AIM V)を用いて培養したLAK細胞集団中におけるCD8陽性細胞含有比率(FNfr固定化ビーズによる刺激)
(1)LAK細胞の誘導および培養
実施例63と同様の方法でLAK細胞を誘導・培養した。
(2)LAK細胞におけるCD8陽性細胞集団含有比率の測定
実施例4−(2)と同様の方法でCD8陽性細胞の含有率を測定した。結果を表62に示す。
Figure 2005019450
表62に示されるように、各ビーズにより刺激したLAK細胞培養において、CD3ビーズ区分と比較してCD3ビーズ+CH−296ビーズ区分およびCD3/CH−296ビーズ区分により刺激した区分において培養中のLAK細胞中におけるCD8陽性細胞含有率を高く誘導することができた。すなわち、細胞培養用担体としてビーズを用いたLAK細胞培養において、CH−296および抗CD3抗体を固定化したビーズにより刺激することで、抗CD3抗体単独のビーズで刺激するよりも、明らかにLAK細胞中のCD8陽性細胞の含有率を高くしながらLAK細胞を誘導・培養することが可能であることが明らかとなった。
Figure 2005019450
Figure 2005019450
本発明の細胞傷害性リンパ球の製造方法によれば、無血清・低血清濃度培地を用いた場合でも、拡大培養率が高く、細胞傷害活性が高く維持され、IL−2Rの発現量が有意に上昇し、CD8陽性細胞の比率が向上した細胞傷害性リンパ球が得られる。当該リンパ球は、例えば、養子免疫療法に好適に使用される。従って、本発明の方法は、医療分野への多大な貢献が期待される。
【配列表】
Figure 2005019450
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Claims (24)

  1. 培地中における血清および血漿の総含有濃度が0容量%以上5容量%未満である培地を用いて、フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物の存在下に細胞傷害性リンパ球の誘導、維持および拡大培養から選択される少なくとも1つを行う工程を含むことを特徴とする、細胞傷害性リンパ球の製造方法。
  2. 細胞傷害性リンパ球が、フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物の非存在下に製造されたものと比較して、インタ−ロイキン−2レセプターを高発現するものである請求項1記載の方法。
  3. 細胞傷害性リンパ球が、フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物の非存在下に製造されたものと比較して、CD8陽性細胞を高比率で含有するものである請求項1記載の方法。
  4. フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物の非存在下での細胞傷害性リンパ球の製造方法と比較して、拡大培養率が高い方法である請求項1記載の方法。
  5. 細胞傷害性リンパ球が、フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物の非存在下に製造されたものと比較して、細胞傷害活性が増強されたもしくは高い細胞傷害活性が維持されたものである請求項1〜4いずれか1項に記載の方法。
  6. フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物が固相に固定化されてなるものである請求項1〜5いずれか1項に記載の方法。
  7. 固相が細胞培養用器材または細胞培養用担体である請求項6記載の方法。
  8. 細胞培養用器材がシャーレ、フラスコまたはバッグであり、細胞培養用担体がビーズ、メンブレンまたはスライドガラスである請求項7記載の方法。
  9. 細胞傷害性リンパ球がリンフォカイン活性化キラー細胞である請求項1〜8いずれか1項に記載の方法。
  10. フィブロネクチンのフラグメントが、配列表の配列番号1〜8で表されるいずれかのアミノ酸配列を少なくとも1つ含んでなるポリペプチド(m)であるか、または前記いずれかのアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは付加したアミノ酸配列を少なくとも1つ含んでなるポリペプチドであって、前記ポリペプチド(m)と同等な機能を有するポリペプチド(n)である請求項1〜9いずれか1項に記載の方法。
  11. フィブロネクチンのフラグメントが、細胞接着活性および/またはヘパリン結合活性を有するものである請求項10記載の方法。
  12. フィブロネクチンのフラグメントが、配列表の配列番号9〜20および25で表されるいずれかのアミノ酸配列を有するポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチドである請求項10記載の方法。
  13. 細胞培養用器材中で行なう請求項1記載の方法であって、
    (a)培養開始時の細胞数と細胞培養用器材における培養面積との比率が、1cell/cm〜5×10cells/cmである、および/または
    (b)培養開始時の培地中の細胞の濃度が、1cell/mL〜5×10cells/mLである、
    の条件を満たす方法。
  14. 細胞培養液を希釈する工程を要しない請求項13記載の方法。
  15. 細胞傷害性リンパ球の誘導、維持及び拡大培養の少なくともいずれか1つを、フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物の存在下、培地を含む細胞培養用器材中で行なう請求項1記載の方法であって、少なくとも1回の、細胞培養液の希釈工程、培地の交換工程もしくは細胞培養用器材の交換工程を包含し、かつ少なくとも1回の、細胞培養液の希釈工程直後、培地の交換工程直後もしくは細胞培養用器材の交換工程直後の培養条件が、
    (c)細胞培養液中の細胞の濃度が2×10cells/mL〜1×10cells/mLである、または
    (d)細胞培養液中の細胞数と細胞培養用器材における培養面積との比率が1×10cells/cm〜1×10cells/cmである、
    の条件を満たす方法。
  16. 細胞傷害性リンパ球の誘導、維持及び拡大培養の少なくともいずれか1つを、フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物の存在下、培地を含む細胞培養用器材中で行なう請求項1記載の方法であって、少なくとも1回の、細胞培養液の希釈工程、培地の交換工程もしくは細胞培養用器材の交換工程を包含し、かつ少なくとも1回の、細胞培養液の希釈工程直後、培地の交換工程直後もしくは細胞培養用器材の交換工程直後の培地中における血清および血漿の総含有濃度が培養開始時と同じか、もしくは培養開始時よりも低減されている請求項1記載の方法。
  17. 請求項1〜16いずれか1項に記載の方法により得られる細胞傷害性リンパ球。
  18. 請求項1〜16いずれか1項に記載の方法により得られる細胞傷害性リンパ球を有効成分として含有する医薬。
  19. フィブロネクチン、そのフラグメントまたはそれらの混合物を有効成分として含有し、かつ血清および血漿の総含有濃度が0容量%以上5容量%未満であることを特徴とする細胞傷害性リンパ球培養用培地。
  20. 細胞傷害性リンパ球に外来遺伝子を導入する工程をさらに含む請求項1〜16いずれか1項に記載の方法。
  21. 外来遺伝子をレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスまたはシミアンウイルスを用いて導入する請求項20記載の方法。
  22. 配列表の配列番号25に記載のアミノ酸配列(x)、またはアミノ酸配列(x)において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、挿入、付加もしくは置換したアミノ酸配列(y)を有するポリペプチドであって、アミノ酸配列(y)を有するポリペプチドがアミノ酸配列(x)を有するポリペプチドと同等な機能を有するものである、ポリペプチド。
  23. 請求項22のポリペプチドをコードする核酸。
  24. (1)配列番号26に記載の塩基配列からなるDNA、(2)配列番号26に記載の塩基配列において1もしくは複数個の塩基が欠失、置換、挿入もしくは付加した塩基配列からなり、かつDNA(1)にコードされるポリペプチドと同等な機能を有するポリペプチドをコードするDNA、または(3)配列番号26に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつDNA(1)にコードされるポリペプチドと同等な機能を有するポリペプチドをコードするDNAからなる請求項23記載の核酸。
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