JP2729712B2 - 機能性ポリペプチド - Google Patents
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Description
し、更に詳しくは細胞接着活性とガン転移抑制活性の両
活性を有する新規なポリペプチド、並びにそれらをコー
ドする核酸、及びそのDNAを用いた該ペプチドの遺伝
子工学的な製造方法に関する。
る)は、血漿や細胞外マトリックスに存在する糖タンパ
ク質で、多彩な機能を持つことが知られている〔アニュ
アルレビュー オブ バイオケミストリー( Annual Rev
iew of Biochemistry ) 、第57巻、第375〜413
頁(1988)〕。天然のFNを創傷治癒、点眼薬等の
医薬品や化粧品に利用する試みがなされているが、血液
から採取するために、供給に制限があること、コスト高
であること、また、病原性の細菌やウイルス等による汚
染の可能性があること等の理由により、実用化されてい
ない。FNにはヘパリンに結合する領域(ヘパリン結合
ドメイン)が2ケ 所存在し、1ケ 所はN末端付近にあ
り、結合にCaイオンが必要であることが知られてい
る。もう一方の領域はC末端付近にあり、この領域のヘ
パリンに対する結合活性は、前述の領域よりも強く、し
かもCaイオンに影響されない。最近の研究からFNの
ヘパリン結合ドメインが、細胞接着ドメインと同様に線
維芽細胞、内皮細胞、ある種のガン細胞等の接着、伸
展、移動に重要な役割を果していることが次第に明らか
となってきた。FNのヘパリン結合ドメインは細胞の表
層にあるプロテオグリカンに結合して、細胞と細胞外マ
トリックスとの相互作用を引起すことにより、細胞の接
着、伸展、移動等に寄与すると考えられる。したがっ
て、細胞接着ドメイン構造とヘパリン結合ドメイン構造
の両構造を持つポリペプチドは、細胞と細胞外マトリッ
クスの両方に結合して創傷部の組織の修復や、恒常性の
維持に寄与し、医薬品としての用途が期待できる。
−311498号公報に記載のヒトFNの細胞接着ドメ
インと、ヘパリン結合ドメインが、直接又はリンカーペ
プチドを介して結合した機能性ポリペプチドを創製し、
該ポリペプチドがガン転移抑制作用等の生理活性を示す
ことを既に見出している(特開平3−127742号、
特願平1−306145号、同2−165727号各明
細書)。ガン転移抑制作用、脈管形成抑制作用等の生理
活性は、機能性ポリペプチドの構造、特に該ポリペプチ
ドのヘパリン結合ドメイン由来のポリペプチドの構造に
より異なることより、更にヘパリン結合ドメイン由来の
ポリペプチド部の構造の異なる上記機能性ポリペプチド
の開発が望まれている。本発明の目的は上記現状にかん
がみ、ヘパリン結合ドメイン由来のポリペプチド部の構
造の異なる細胞接着活性とガン転移抑制活性を合せもつ
機能性ポリペプチド、及び該ポリペプチドを含有するガ
ン転移抑制剤を提供することにある。
発明の第1の発明は機能性ポリペプチドに関し、下記一
般式(化1):
ド、Bは配列表の配列番号2で表されるポリペプチド、
Cは配列表の配列番号3で表されるポリペプチド、m、
nはそれぞれ1又は0の数を示す。但しm、nの和は1
以上である)で表されることを特徴とする。また本発明
の第2の発明はガン転移抑制剤に関し、本発明の第1の
発明の機能性ポリペプチドを含有することを特徴とす
る。本発明の第3の発明は、第1の発明の機能性ポリペ
プチドをコードする核酸に関する。本発明の第4の発明
は、第1の発明の機能性ポリペプチドをコードするDN
Aを組込んだプラスミドに関する。本発明の第5の発明
は、第4の発明のプラスミドを導入した形質転換体に関
する。更に本発明の第6の発明は、第1の発明の機能性
ポリペプチドの製造方法に関し、第5の発明の形質転換
体を培養し、該培養物より第1の発明の機能性ポリペプ
チドを採取することを特徴とする。
77はヒトFNの細胞接着ドメインの Pro1239− Ser
1515と同一配列であり、配列表の配列番号2はヒトFN
のヘパリン結合ドメインの Asn1782− Thr1870と同一配
列であり、配列表の配列番号3は同じくヘパリン結合ド
メインの Ala1871− Thr1960と同一配列である。
された肩数字は、EMBLデータバンク( EMBL DATA B
ANK ) のFNのcDNAを翻訳して得られるアミノ酸に
付与されたN末端からのアミノ酸残基数を示す。
ンボ ジャーナル( The EMBO Journal) 、第4巻、第1
755〜1759頁(1985)に記載されている。ま
た、その細胞接着ドメイン及びヘパリン結合ドメインを
コードするcDNAクローン( pLF5、pLF3、p
LF4及びpLF5)についてはバイオケミストリー(
Biochemistry )、第25巻、第4936〜4941頁
(1986)に記載されている。本発明者らは、pLF
5から、細胞接着ドメインに対するcDNA断片を取出
し、これを発現ベクターに接続して大腸菌に導入するこ
とにより、細胞接着活性ポリペプチド及びその製造方法
を開発し特許出願した(特開平1−206998号)。
本発明で必要とされる細胞接着ドメインのcDNAは、
特開平1−206998号公報に記載されている組換え
体プラスミドpTF7021 を用いることができる。pTF7021
はFNの Pro1239− Met1517(279アミノ酸残基)を
発現するプラスミドである。pTF7021 の翻訳領域のC末
端の終止コドンの直前にクローニングサイト、例えばN
coIサイトを導入することにより、細胞接着ドメインの
cDNAと他のドメインのcDNAを連結させることが
できる。特開平2−311498号公報に記載のように
pTF7021にNCOIサイトを導入したプラスミドは pTF75
20と命名され、該プラスミド中に Pro1239− Ser1515−
Met の配列がコードされている。
ン、サーモライシン、カテプシンD等によって分解され
て得られた断片が報告されており、その大きさは、29
kDから38kDに及んでいる。ドメインの詳しい特定はな
されていないが、一般的には約90アミノ酸から成る I
II型類似配列を3個( III−12、 III−13、 III−
14)と、それに続く IIIcs型配列の一部を含む断片が
知られている。
Aは、 pLF2435から取出すことができる。 pLF2435は、
前記pLF2、pLF3、pLF4及びpLF5から再
構築されたプラスミドで、FNのヘパリン結合ドメイン
をコードするcDNAを含んでいる。 pLF2435から必要
なcDNA断片を制限酵素で切出し、5′側に開始コド
ンを含む合成DNAを、また、3′側には、終止コドン
を含む合成DNAをDNAリガーゼで連結した後、適当
な発現ベクターに接続することにより、特開平2−31
1498号公報に記載の III型類似配列が3個つらなっ
た配列を有するペプチド(H−271)を発現するプラ
スミドpHD101を得ることができる。
については特開平2−311498号公報中に更に詳細
に記述されている。CHV−179、CHV−90及び
CHV−89は、それぞれヘパリン結合ドメインの III
型リピートのうち、 III−13及び III−14、III −
14、及び III−13が細胞接着ドメインポリペプチド
( Pro1239− Ser1515) のC末端にメチオニン残基を介
して結合したポリペプチドである。これらを発現するプ
ラスミドは、例えば次のようにして構築することができ
る。ヘパリン結合ドメインのポリペプチド(H−27
1)をコードするプスラミドpHD101の III−13のN末
端、又はC末端に対応する領域にNCOIサイトを導入
し、NCOIとBamHIで消化して III−14、又は III
−13及び III−14をコードするDNA断片を得る。
これを細胞接着ドメインポリペプチドをコードしている
プスラミドpTF7520 (特開平2−311498号)のN
COI−BamHIサイトに接続することにより、CHV−
179及びCHV−90をそれぞれ発現するプラスミド
pCHV179 及びpCHV90が得られる。次いで、CHV−17
9を発現するプラスミドから、部位特異的変異の手法
で、 III−14をコードする配列を欠失させることによ
り、CHV−89を発現するプラスミドpCHV89を得るこ
とができる。
Iサイトに由来するメチオニン残基がリンカーとして含
まれる。リンカーの有無は、本発明の効果を左右するも
のではないが、必要とあれば部位特異的変異の手法によ
り、容易に除去することができる。また、任意のスペー
サーを分子間距離の調節のため挿入することもできる。
ドするプラスミドpCHV89、配列表の配列番号5のアミノ
酸配列をコードするプラスミドpCHV179 、配列表の配列
番号6のアミノ酸配列をコードするプラスミドpCHV90を
それぞれ例えば、大腸菌に導入し、適当な条件下に培養
することにより、目的ペプチドが大腸菌内に蓄積され
る。発現の確認にはイムノブロッティングが用いられ
る。組換え大腸菌の全菌体タンパク質をSDS−ポリア
クリルアミド電気泳動で分離した後、泳動パターンをニ
トロセルロース膜に移し取る。FNの細胞接着ドメイン
を認識するモノクローナル抗体(FN−10、宝酒
造)、及びFNのヘパリンドメインを認識するモロクロ
ーナル抗体(IST−1又はIST−2、セラ・ラブ
社)等を用いて検出されるバンドが目的のポリペプチド
である。目的ポリペプチドの精製は、例えば次のように
行う。組換え大腸菌をL−ブロス等の培地に培養し、集
菌した後、超音波処理により、菌体破砕液を得、これを
遠心分離して上清を得る。上清を透析後、DEAEイオ
ン交換体のカラムで分画し、次いで抗体カラム及び/又
はヘパリン−アガロース等のアフィニティクロマトを行
う。以上の操作により、目的のポリペプチドを精製する
ことができる。
細胞に対する細胞伸展活性の測定及びヘパリン結合活性
の測定に用いられる。細胞伸展活性の測定は、例えばル
オスラティ( Ruoslahti )らの方法〔メソッズ イン
エンザイモロジー ( Methodsin Enzymology )、第82
巻、第803〜831頁(1981)〕に準じて行う。
すなわち、試料をコートした後、BSAでブロッキング
したマイクロタイタープレートに、BHK又はNRK細
胞の懸濁液を添加し、37℃で約1時間インキュベート
した後、未吸着の細胞を洗浄した後、ホルマリン固定し
て、伸展した細胞の割合を顕微鏡下に測定することによ
り、細胞伸展の強さを測定することができる。一方、ヘ
パリン結合活性は、ヘパリンを結合した担体、例えばA
F−ヘパリントヨパール( Toyopearl、東ソー)のカラ
ムに試料を吸着させ、NaClの塩濃度を上昇させて溶
出させ、溶出された塩濃度により、ヘパリンへの結合能
力を示すことができる。
はBHKやNRK細胞に対して強い細胞伸展活性を示す
と共に、CHV−179、CHV−89はそれぞれヘパ
リンに対しても強い親和性を示すことが証明される。
る場合、必要に応じて医薬用担体と共に常法により製剤
化し、経口投与又は非経口投与すればよい。賦形剤ある
いは担体としては薬理学的に許容されるものが選ばれ、
その種類及び組成は投与経路や投与方法によって異な
る。例えば液状担体として水、アルコール類若しくは大
豆油、オリーブ油、ミネラル油等の動植物油、又は合成
油が用いられる。固体担体としてマルトース、シューク
ロースなどの糖類、アミノ酸類、ヒドロキシプロピルセ
ルロースなどのセルロース誘導体、ステアリン酸マグネ
シウムなどの有機酸塩などが使用される。
緩衝液、グルコース、イノシトール、マンニトール、ラ
クトースなどの糖類溶液、エチレングリコール、ポリエ
チレングリコールなどのグリコール類が望ましい。また
イノシトール、マンニトール、ラクトース、シュークロ
ース等の糖類、フェニルアラニン等のアミノ酸等の賦形
剤と共に凍結乾燥製剤とし、それを投与時に注射用の適
当な溶剤、例えば滅菌水、生理食塩液、ブドウ糖液、電
解質溶液、アミノ酸溶液等静脈投与用液体に溶解させて
投与することもできる。製剤中における本発明のポリペ
プチドの含量は製剤により異なるが、通常0.1〜10
0重量%好ましくは1〜98重量%である。例えば注射
液の場合には、通常0.1〜30重量%、好ましくは1
〜10重量%の有効成分を含むようにすることが望まし
い。経口投与する場合には前記固体担体若しくは液状担
体と共に、錠剤、カプセル剤、粉剤、顆粒剤、液剤、ド
ライシロップ剤等の形態で用いられる。カプセル、顆
粒、粉剤は一般に5〜100重量%、好ましくは25〜
98重量%の有効成分を含む。
目的等により決定されるが治療量は一般に、非経口投与
で1〜100mg/kg/日、経口投与で5〜500m
g/kg/日である。
を用いる転移のモデル系にて有意な転移防止効果を示す
もので、胃ガン、肺ガン、大腸ガン、乳ガン、前立腺ガ
ン、子宮頸ガン、腎ガンなどガン細胞に対して良好に転
移を防止せしめてなる有用なものである。
法により、細胞接着活性とガン転移抑制剤活性を伴せ持
ち、新規な機能性ポリペプチドを効率よく提供すること
ができる。該ポリペプチドは抗転移抑制剤としての用途
のほか、脈管形成抑制剤、創傷治癒剤、生長促進剤等の
医薬品として、また、化粧料、培養基材等として有用で
ある。
明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
プチドとの融合タンパク質の構築 なお、図1は融合タンパク質を発現するプラスミドの構
築工程を示す図である。Escherichia coli HB 101/pHD
101 (FERM BP−2264)より調製したヘパリ
ン結合ドメインをコードするプラスミドpHD101(特開平
2−311498号)を大腸菌BW313に導入し、ヘ
ルパーファージM13K07を感染させてdUを含む一本鎖
DNAを調製した。これをテンプレートとし、NCOI認
識配列を含む配列表の配列番号6で表す合成DNAをプ
ライマーとして、T4DNAポリメラーゼを作用させ、
相補鎖合成を行った。なお、プライマーは、ポリヌクレ
オチドキナーゼにより、あらかじめ5′末端をリン酸化
した。得られた2重鎖DNAを大腸菌DNAリガーゼで
環状化し、宿主菌の大腸菌BMH71-18mutS株に導入して、
複製させた。得られた形質転換体からプラスミドを抽出
しNCOIで切断してゲル電気泳動で約0.27kbのバン
ドを与えるプラスミドを選択した。このようにして、ヘ
パリン結合ドメインの III−13のN末端( Asn1782 )
と、 III−12のC末端( Glu1781 )をコードする配列
の間にNCOIサイトを導入したプラスミドを得た。な
お、この変異導入には市販の変異導入キット(ミュータ
ンK、宝酒造)を用いた。このプラスミドを、NCOIと
BamHIで消化してゲル電気泳動を行い、約0.54kb
のバンドをゲルから抽出した。一方、Escherichia coli
JM 109/pTF 7021(FERM BP−1941)より前
述の組換え体プラスミドpTF 7021を調製し、次いで該プ
ラスミドにNCOIサイトを導入した。NCOIサイトの導
入は特開平2−311498号公報に記載のように、配
列表の配列番号7で表すオリゴヌクレオチドを合成し、
前出ミュータンKを用いて行い、プラスミドpTF 7520を
得た。前記0.54kbのDNA断片をNCOIとBamHI
で消化したpTF 7520とT4DNAリガーゼで連結した
後、大腸菌HB101に導入した。得られた形質転換体
から、プラスミドを抽出し、NCOIと、BamHIで消化
したときに、0.54kbのバンドを与えるプラスミドを
選択した。このプラスミドを pCHV179と命名した。pCHV
179は、H−271の III−12を欠失したヘパリン結
合ドメインポリペプチドと細胞接着ドメインポリペプチ
ド( Pro1239− Ser1515 )がメチオニン残基を介して結
合した融合タンパク質を発現するプラスミドであること
をDNAの塩基配列分析によって確認した。 pCHV179を
導入した大腸菌HB101を Escherichia coli HB1
01/pCHV179 と命名、表示して工業技術院微生物工業
技術研究所に寄託した〔微工研菌寄第12183号(F
ERM P−12183)〕。
配列番号8で表す変異導入プライマーを用いて、pHD101
に変異導入を行い、III −13のC末端( Thr1870 )と
III−14のN末端( Ala1871 )をコードする配列の間
にNCOIサイトを導入したプラスミドを得た。これをN
COIとBamHIで消化して約0.27kbのバンドを切り
出し、 pTF7520のNCOI−BamHIサイトに接続して、
大腸菌HB101に導入した。得られた形質転換体か
ら、プラスミドを抽出し、NCOIとBamHIで消化した
とき0.27kbのバンドを与えるプラスミドを選択し、
このプラスミドをpCHV 90 と命名した。pCHV 90 は、H
−271の III−12と III−13を欠失したヘパリン
結合ドメインポリペプチドを細胞接着ドメインポリペプ
チドがメチオニン残基を介して結合した融合タンパク質
を発現するプラスミドであることをDNAの塩基配列分
析により確認した。pCHV 90 を導入した大腸菌HB10
1をEscherichia coli HB101/pCHV 90 と命名し
た。
ドする領域を欠失するために欠失導入プライマーとして
III−13のC末端をコードする配列に相補的な配列
と、ストップコドン以下の配列に相補的な配列とが直接
結合した配列表の配列番号9で表す30塩基のオリゴヌ
クレオチドを合成した。これをプライマーとして前記の
方法で相補鎖を合成し、DNAリガーゼで閉環した後、
大腸菌BMH71-18mutSを形質転換し、得られたプラスミド
をNCOIとBamHIで消化して、0.27kbの断片を生
成するものを目的の変異体として選択した。最終的に
は、塩基配列分析により、変異を確認した。このように
して得られたプラスミドはH−271の III−12と I
II−14を欠失したヘパリン結合ドメインポリペプチド
と細胞接着ドメインポリペプチドがメチオニン残基を介
して結合した融合タンパク質を発現するプラスミドであ
り、該プラスミドをpCHV89と命名した。これを再び大腸
菌HB101に導入して、得られた形質転換体を Esche
richia coli HB101/pCHV89と命名、表示して工業
技術院微生物工業技術研究所に寄託した〔微工研菌寄第
12182号(FERM P−12182)〕。
腸菌による生産と精製 pCHV89を導入した Escherichia coli HB101/pCHV
89(FERM P−12182)を50μg/mlのアン
ピシリンを含む5mlのL−ブロス培地に接種し、37
℃、1夜振とう培養した。これを500mlの同培地に接
種して振とう培養し、660nmの吸光度が0.3のとき
に、2mMのIPTGを添加して、更に20時間培養し
た。次に遠心分離により集菌し、1mM EDTA、5mM
メルカプトエタノール、3μM p−アミジノフェニル
メタンスルホニルフルオライドを含む20mMトリス塩酸
バッファー( pH 8.0)に懸濁した。これを超音波処
理した後、遠心分離を行って25mlの上清を得た。上清
をDEAE−トヨパール 650M(15ml)をカラム
に吸着させ、カラムを20mMトリス塩酸バッファー( p
H 8.0)で洗浄後、バッファー中のNaCl濃度の上
昇により吸着物を分画した。イムノブロッティングによ
り検出された目的画分を集め、20mMトリス塩酸バッフ
ァー(pH8.0)で平衡化した抗体カラム(FN−10
を結合させたセファロース4B、10ml)に吸着させ、
次に0.1M NaClを含む同バッファー、20mM酢
酸アンモニウムの順に洗浄した後、40mM酢酸で目的画
分を溶出した。その中でSDS−PAGEで単一のバン
ドを与える画分を集めて、脱塩、凍結乾燥した。このよ
うにして500mlの培養菌体から約5mgのCHV−89
を得た。このCHV−89の一部をプロテインシーケン
サー(477A/120A、アプライドバイオシステム
ズ社)で分析して、N末端配列を確認した。また、カル
ボキシペプチダーゼP消化法により、C末端アミノ酸を
確認した。
scherichia coli HB101/pCHV179 (FERM P
−12183)を培養し、500mlの培養菌体から、約
5mgのCHV−179を得た。また、pCHV90を導入した
Escherichia coli HB101/pCHV90の500ml培養
液から約4mgのCHV−90を得た。CHV−179、
CHV−90のN末端アミノ酸、C末端アミノ酸も、上
記と同様の方法でそれぞれ確認した。
着活性、ヘパリン結合活性及びヘパリン結合ドメインに
対するモノクローナル抗体との反応性を測定した。細胞
接着活性は、ルオスラティらの方法〔メソッズ イン
エンザイモロジー、第82巻、該803〜831頁(1
981)〕に準じて測定した。試料を蒸留水、PBS
(リン酸緩衝化生理食塩水)等に溶かし、96穴マイク
ロプレート上で階段的に希釈した。4℃、2時間インキ
ュベートして、試料をプレート上に吸着させた(50μ
l/ウエル)。3%BSA(牛血清アルブミン)を含む
PBS溶液を100μl/ウエル加え、37℃、1時間
インキュベートしてプレートをブロックした。PBSで
プレートを洗浄後、あらかじめダルベッコ( Dulbecoo′
s)イーグル最小栄養培地(DMEM)に5×105 細胞
/mlとなるように懸濁させたベビーハムスター腎細胞
(BHK−21)を100μl/ウエル分注し、37
℃、1時間インキュベートした。なお使用したBHK−
21細胞は、凍結保存した株を継代培養後、トリプシン
処理(37℃、5分)したものを用いた。PBSでプレ
ートを洗浄後、3%ホルマリン溶液で細胞をプレート上
に固定した。顕微鏡下でBHK−21細胞の伸展を観察
し、伸展細胞数が、n−FNの高濃度における伸展細胞
数の50%となる試料の濃度(ED50)を求め細胞接着
活性の指標とした。
た。20mMリン酸バッファー( pH 7.0)で平衡化し
たAFヘパリン−トヨパール650Mのカラム(1.5
ml)に試料を乗せ、バッファー中のNaCl濃度を段階
的に上昇させ、溶出される塩濃度によりヘパリンへの結
合力を表した。
ナル抗体との反応性の測定は、試料1〜2μgをSDS
−PAGEで分離し、これをセミドライブロッター(ザ
ルトリウス社)を用いて、ニトロセルロースメンブラン
にブロッティングした。メンブランをブロッキング液
(1%BSAを含むPBS)で処理した後、FNのヘパ
リン結合ドメインを認識するモノクローナル抗体(IS
T−1及び−2、セラ・ラブ社)を含むブロッキング液
と約1時間インキュベートし、50mM NaCl及び
0.05% NP−40を含む10mMトリス・HClバ
ッファー( pH 7.5)でメンブランを洗浄、更にNP
−40を含まない上記バッファーでメンブランを洗浄し
た。次いで、パーオキシダーゼ標識2次抗体(アマシャ
ム社)を含むブロッキング液と約1時間インキュベート
し、同様にメンブランを洗浄した。4−クロロ−1−ナ
フトール及びH2 O2 を含む50mM NaCl−トリス
・HCl(pH7.5)溶液にメンブランを浸して、メン
ブランにブロッティングされたバンドを発色させた。
に示す。なお、特開平2−311498号公報記載のC
277 −Met−H271 を対照とし用いた。
3×104 個と本発明のポリペプチド1000μgを静
脈内に注入する(細胞とポリペプチドをPBS中で混合
し、その0.05mlを静注する)。対照としてメラノ
ーマ細胞のみを静注し、対照群とする。メラノーマ細胞
移植後14日目に肺を摘出して、肺表面における転移結
節数を実体顕微鏡を用いて測定する。その結果を表2に
示す。
群で、メラノーマの肺転移が抑制されている。
−179をそれぞれ静脈内投与した。100mg/kg
において毒性は認められなかった。
において、部は重量部を意味する。
00部としてこれを溶解後、ミリポアフィルターGSタ
イプを用いて除菌ろ過する。このろ液2gを10mlの
バイアル瓶にとり凍結乾燥し、1バイアルに該ポリペプ
チド30mgを含む凍結乾燥注射剤を得た。
00部としてこれを溶解後、ミリポアフィルターGSタ
イプを用いて除菌ろ過する。このろ液2gを10mlの
バイアル瓶にとり凍結乾燥し、1バイアルに該ポリペプ
チド30mgを含む凍結乾燥注射剤を得た。
000部としてこれを溶解後、ミリポアフィルターGS
タイプを用いて除菌ろ過する。このろ液2gを10ml
のバイアル瓶にとり凍結乾燥し、1バイアルに該ポリペ
プチド30mgを含む凍結乾燥注射剤を得た。
330部及びヒドロキシプロピルセルロース20部をよ
く混和し、ロール型圧縮機(ローラーコンパクター)を
用いて圧縮し、破砕して16〜60メッシュの間に入る
ように篩過し、顆粒とした。
330部及びヒドロキシプロピルセルロース20部をよ
く混和し、ロール型圧縮機(ローラーコンパクター)を
用いて圧縮し、破砕して16〜60メッシュの間に入る
ように篩過し、顆粒とした。
ス330部及びヒドロキシプロピルセルロース20部を
よく混和し、ロール型圧縮機(ローラーコンパクター)
を用いて圧縮し、破砕して16〜60メッシュの間に入
るように篩過し、顆粒とした。
ン由来のポリペプチド部の構造が異なり、細胞接着活性
とガン転移抑制活性の両活性を合せ持つ新規低分子ポリ
ペプチド、並びにそれらをコードする核酸、及びそのD
NAを用いる該ポリペプチドの遺伝子工学的な製造方法
が提供される。このポリペプチドは遺伝子工学的に大量
に供給可能であり、創傷治癒等種々の分野で有用な新規
タンパク質である。
れぞれ構築するための工程図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 下記一般式(化1): 【化1】A−(B)m−(C)n (式中Aは配列表の配列番号1で表されるポリペプチ
ド、Bは配列表の配列番号2で表されるポリペプチド、
Cは配列表の配列番号3で表されるポリペプチド、m、
nはそれぞれ1又は0の数を示す。但しm、nの和は1
以上である)で表されることを特徴とする機能性ポリペ
プチド。 - 【請求項2】 請求項1記載の機能性ポリペプチドを含
有することを特徴とするガン転移抑制剤。 - 【請求項3】 請求項1記載の機能性ポリペプチドをコ
ードする核酸。 - 【請求項4】 請求項1記載の機能性ポリペプチドをコ
ードするDNAを組込んだプラスミド。 - 【請求項5】 請求項4記載のプラスミドを導入した形
質転換体。 - 【請求項6】 請求項5記載の形質転換体を培養し、該
培養物より請求項1記載の機能性ポリペプチドを採取す
ることを特徴とする機能性ポリペプチドの製造方法。
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FR2857598A1 (fr) * | 2003-07-18 | 2005-01-21 | Inst Nat Sante Rech Med | Composes anti-angiogeniques, composition pharmaceutique les comprenant, et leur utilisation |
BR112013015213B1 (pt) * | 2010-12-16 | 2021-11-03 | Merck Patent Gmbh | Uso de um meio de cultura de células seco granulado |
-
1991
- 1991-08-27 JP JP3238935A patent/JP2729712B2/ja not_active Expired - Fee Related
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