JP3104178B2 - 機能性ポリペプチド - Google Patents

機能性ポリペプチド

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JP3104178B2 JP02080676A JP8067690A JP3104178B2 JP 3104178 B2 JP3104178 B2 JP 3104178B2 JP 02080676 A JP02080676 A JP 02080676A JP 8067690 A JP8067690 A JP 8067690A JP 3104178 B2 JP3104178 B2 JP 3104178B2
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寶酒造株式会社
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、新規ポリペプチドに関し、更に詳しくは、
ヒトフィブロネクチンの細胞接着ドメインポリペプチド
を含有する、新規な人工の機能性ポリペプチド、並びに
それらをコードする遺伝子、及び該遺伝子を用いた該人
工の機能性ポリペプチドの遺伝子工学的な製造方法、更
にその用途に関する。
〔従来の技術〕
フィブロネクチン(以下、FNと表示する)は血漿や細
胞外マトリックスに存在する糖タンパク質で、多彩な機
能を持つことが知られている〔アニュアル レビュー
オブ バイオケミストリー(Annual Review of Biochem
istry)、第57巻、第375〜413頁(1988)〕。天然のFN
を創傷治癒、点眼薬等の医薬品や化粧品に利用する試み
がなされているが、血液から採取するために供給に制限
があること、コスト高であること、また、病原性の細菌
やウイルス等による汚染の可能性があるなどの理由によ
り、実用化されていない。また、天然のFNの機能ドメイ
ンを取出して利用することも同様の理由から実用化され
ていない。
そこで本発明者らは、ヒトFNの細胞接着ドメインをコ
ードするcDNA断片を発現ベクターに接続して大腸菌に導
入することにより、細胞接着活性ポリペプチド及びその
製造方法を開発し、特許出願した(特開平1−206998
号)。
また、ヒトFMの細胞接着ドメインと、ヘパリン結合ド
メイン又はヘパリン結合ドメインとそれに続くIII cs領
域の一部を含む断片とが共有結合した機能性ポリペプチ
ド及びその遺伝子工学的製造方法を開発して、特許出願
した(特開平2−311498号)。
更に、これら機能性ポリペプチドの医薬品への応用に
ついて研究した結果、これらの多くが癌転移抑制作用を
有することを見出し、特許出願した(特開平3−127742
号)。しかしながら、これらの癌転移抑制活性は必ずし
も充分ではなかった。一方、マッカーシーらはヒトFNの
ヘパリン結合ドメインとIII cs領域の一部を含む33−kD
a断片に癌転移抑制作用があることを報告している〔ジ
ャーナル オブ キャンサー インスチチュート(Jour
nal of National Cancer Institute)第80巻、第2号、
第108頁(1988年)〕。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、33−kDa断片のどの領域にその作用が
あるのかは明らかにされていない。
本発明の目的は、癌転移抑制作用の強い新規な機能性
ポリペプチドを開発し、その製造方法を提供することに
ある。
〔課題を解決するための手段〕 本発明を概説すれば、本発明の第1の発明は人工の機
能性ポリペプチドに関する発明であって、一般式
〔I〕:C277−CS1(式中C277及びCS1の定義は後記のと
おりである)で表されることを特徴とする。
本発明の第2の発明は、第1の発明の人工の機能性ポ
リペプチドをコードする遺伝子に関する。
また、本発明の第3の発明は第2の発明の人工の機能
性ポリペプチドをコードする遺伝子を組込んだプラスミ
ドに関し、第4の発明は第1の発明の機能性ポリペプチ
ドの製造方法に関し、第3の発明のプラスミドを導入し
た宿主細胞を培養し、該培養物より第1の発明の機能性
ポリペプチドを採取することを特徴とする。
更に、本発明の第5の発明は癌転移抑制剤に関する発
明であって、一般式〔IV〕:(C277−CS1(式中C
277及びCS1の定義は後記のとおりであり、nは零又は1
を示す)で表される人工の機能性ポリペプチドを有効成
分として含有していることを特徴とする。
本発明者らは、III cs領域を含まないヘパリン結合ド
メイン全域をカバーするポリペプチドを遺伝子工学的に
作製して癌転移抑制作用を調べたところ、全く活性がな
いことを見出した。
この知見はIII cs領域が癌転移抑制作用に密接に関係
していることを示唆している。本発明者らはB16−F10メ
ラノーマ細胞に対する接着活性を持つことが知られてい
るIII csのN末端側25アミノ酸からなるペプチド(以下
CS1と表示する)を化学合成して調べた結果、CS1に癌転
移抑制作用があることを見出した。更に、CS1と細胞接
着ドメインが共有結合した新規ポリペプチドを遺伝子工
学的に作製して、その癌転移抑制作用を調べたところ、
活性は細胞接着ドメイン単独、あるいはCS1単独の場合
に比べて著しく増強されていることを見出した。本発明
は以上の知見に基づいて達成された。
以下本発明を具体的に説明する。
本発明に係る新規ポリペプチドは、ヒトFNの細胞接着
ドメインポリペプチドとCS1ポリペプチドが共有結合し
たものであり、遺伝子工学的に作製することができる。
例えば、細胞接着ドメインをコードするDNAを含むベク
ター、及びCS1領域をコードするDNAを含むベクターか
ら、それぞれ必要な領域を取出して接続することによ
り、目的のポリペプチドを発現するベクターを作製する
ことができる。各領域間の共有結合は、直接結合であっ
てもよく、間接結合、例えばスペーサーを介した間接結
合であってもよい。スペーサーは、細胞接着ドメインと
CS1の分子間距離を調節するための挿入配列であり、任
意のペプチド鎖を用いることができ、例えばFN分子中の
CS1領域の上流配列であってもよい。スペーサー配列は
遺伝子工学的に容易に導入することができる。
本発明に係る新規ポリペプチドの具体例としては、下
記一般式〔I〕で示されるポリペプチドを挙げることが
できる。
すなわち下記一般式〔I〕: C277−CS1 ・・・〔I〕 〔式中C277はヒトFN細胞接着ドメインのPro1239−Ser
1515に相当する277アミノ酸ポリペプチド残基を示し、
下記式〔II〕: で表される配列を有し、CS1はヒトFNのIII cs領域のN
末端側25アミノ酸残基を表し、下記式〔III〕: で表されるペプチド残基を示す〕で表されることを特徴
とする機能性ポリペプチドである。
本発明に係るC277−CS1は、ヒトFNの細胞接着ドメイ
ンのPro1239−Ser1515(277アミノ酸残基、以下C277
表示する)に対応するポリペプチドと、ヒトFNのヘパリ
ン結合ドメインのC末端側に位置するIII cs領域(71ア
ミノ酸残基)のN末端25アミノ酸(CS1)が結合したも
のである。
C277はベビーハムスター腎細胞(BHK)や正常ラット
腎細胞(NRK)などの線維芽細胞に対する接着伸展活性
を有することが示されている。一方、CS1はB16−F10メ
ラノーマ細胞が特異的に接着する部位であることが知ら
れている〔ジャーナル オブ セル バイオロジー(J.
Cell Biol.)第103巻、第2637〜2647頁(1986)及びジ
ャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(J.Bi
ol.Chem.)第262巻、第6886〜6892頁(1987)〕。更
に、メラノーマ細胞の接着には必ずしもCS1の全域が必
要なのではなく、その一部でも活性があると言われてい
る〔セル(Cell)、第60巻、第53〜61頁(1990)〕。
本発明に係るCS1は、メラノーマ細胞の接着活性を持
つ配列であれば、CS1の全域である必要はない。CS1及び
その関連ペプチドは、ペプチド合成機により容易に合成
することができる。細胞接着ドメインポリペプチドとメ
ラノーマ細胞接着配列が共有結合したポリペプチドの例
としては、前記式〔I〕記載のC277−CS1が挙げられる
が、この新規ポリペプチドは遺伝子工学的に作製するの
が有利である。
本発明者らは、既にヘパリン結合ドメインとCS1が結
合した296アミノ酸残基ポリペプチド(以下H−296と表
示する)を発現するプラスミドを作製し、pHD102と命名
した(特開平2−311498号)。
また、このプラスミドを含む大腸菌HB101をEscherich
ia coli HB101/pHD102と表示して工業技術院微生物工業
技術研究所に寄託している〔微工研菌寄第10721号(FER
M P−10721)〕。
一方、細胞接着ドメインポリペプチドC277をコード
し、かつ、その3′末端の終止コドンの直前に他のポリ
ペプチドをコードするDNAを接続するのに有利なクロー
ニングサイトを導入した発現プラスミドpTF7520を構築
してある(特開平2−311498号)。
したがって、これらのプラスミドを用いることによ
り、C277−CS1を発現するプラスミドを容易に構築する
ことができる。すなわち、まず、pHD102からヘパリン結
合ドメインのC末端側の1個のIII型ホモロジー(III−
16)とCS1を含む領域に対応するDNA断片を取出し、これ
をpTF7520のC277をコードする領域の3′末端のクロー
ニングサイトに接続する。得られたプラスミドから、ヘ
パリン結合ドメインのIII−16に対応するDNAを部位特異
的変異の手法により除去することにより、C277−CS1を
発現するプラスミドを得ることができる(第1図参
照)。得られたプラスミドを大腸菌に導入し、適当な条
件下に培養することにより、目的ポリペプチドが、大腸
菌内に蓄積される。発現の確認にはイムノブロッティン
グが用いられる。組換え大腸菌の全菌体タンパク質をSD
S−ポリアクリルアミド電気泳動で分離した後、泳動パ
ターンをニトロセルロース膜に移し取る。ヒトFNの細胞
接着ドメインを認識するモノクローナル抗体を作用させ
た後、標識第2抗体で33−kDa付近のバンドが染色され
るのが確認できる。
目的ポリペプチドの精製は例えば次の様に行う。L−
ブロス等で培養された組換え大腸菌を超音波破砕して上
清を得る。
これを陰イオン交換樹脂のカラムに吸着させ、食塩濃
度を上げることにより分画する。前記方法により、目的
画分を検出し、これを前記抗体を結合させたセファロー
スカラムに吸着させる。中性付近のバッファーでカラム
を洗浄後、pH3付近のバッファーで溶出し、目的画分を
検出する。電気泳動的に単一のバンドを与える画分を集
めて脱塩した後、凍結乾燥する。得られたポリペプチド
は、N末端配列分析及びC末端アミノ酸分析により、目
的のものであることを確認する。
このようにして得られたC−CS1ポリペプチドのCS1部
分は25アミノ酸残基であるが、前述〔セル第60巻、第53
〜61頁(1990)〕のごとくメラノーマ細胞への接着活性
に必要な最小単位は、C末端約10アミノ酸に集約するこ
とができる。
したがって、C−CS1のCS1部分は、例えばCS1領域の
N末端から15番目までの配列を除去したポリペプチドで
あってもよい。この配列の除去は、対応するDNA配列を
部位特異的変異の手法により、除去することで容易に達
成することができる。
得られたポリペプチドの細胞接着活性は例えばルオス
ラティ(Ruoslahti)等の方法〔メソッズ イン エン
ザイモロジー(Methods in Enzymology)、第82巻、第8
03〜831頁(1981)〕に準じて行う。すなわち、試料を
コートした後BSAでブロッキングしたマイクロタイター
プレートに、BHK又はB16−F10細胞の懸濁液を添加し、3
7℃で約1時間インキュベートした後、洗浄する。吸着
した細胞をホルマリン固定し、伸展した細胞の割合を顕
微鏡下に測定することにより細胞接着活性を測定するこ
とができる。このようにしてC277−CS1は、BHKよりもB1
6−F10細胞に対して強い親和性を示すことが示された。
本発明に係るポリペプチドの癌転移抑制活性の測定は
例えば次のように行う。高転移性のB16−F10メラノーマ
細胞を、PBSに溶解した試料と混合し、マウスの尾静脈
に投与する。約2週間後の肺に転移したコロニーを計測
する。以上の実験により、CS1及びC277−CS1に癌転移抑
制効果のあることが示される。また、その効果は、CS1
よりも、C277−CS1の方が強いことが示される。
以上のようにして得られた本発明のポリペプチドを医
薬として使用する場合、必要に応じて医薬用担体と共に
常法により製剤化し、経口投与又は非経口投与すればよ
い。賦形剤あるいは担体としては薬理学的に許容される
ものが選ばれ、その種類及び組成は投与経路や投与方法
によって異なる。例えば液状担体として水、アルコール
類若しくは大豆油、オリーブ油、ミネラル油等の動植物
油、又は合成油が用いられる。個体担体としてマルトー
ス、シュークロースなどの糖類、アミノ酸類、ヒドロキ
シプロピルセルロースなどのセルロース誘導体、ステア
リン酸マグネシウムなどの有機酸塩などが使用される。
注射剤の場合は溶解液は生理食塩液、各種緩衝液、グ
ルコース、イノシトール、マンニトール、ラクトースな
どの糖類溶液、エチレングリコール、ポリエチレングリ
コールなどのグリコール類が望ましい。またイノシトー
ル、マンニトール、ラクトース、シュークロース等の糖
類、フェニルアラニン等のアミノ酸等の賦形剤と共に凍
結乾燥製剤とし、それを投与時に注射用の適当な溶剤、
例えば滅菌水、生理食塩液、ブドウ糖液、電解質溶液、
アミノ酸溶液等静脈投与用液体に溶解させて投与するこ
ともできる。製剤中における本発明のポリペプチドの含
量は製剤により異なるが、通常0.1〜100重量%好ましく
は1〜98重量%である。例えば注射液の場合には、通常
0.1〜30重量%、好ましくは1〜10重量%の有効成分を
含むようにすることが望ましい。経口投与する場合には
前記個体担体若しくは液状担体と共に、錠剤、カプセル
剤、粉剤、顆粒剤、液剤、ドライシロップ剤等の形態で
用いられる。カプセル、顆粒、粉剤は一般に5〜100重
量%、好ましくは25〜98重量%の有効成分を含む。
投与量は、患者の年令、体重、症状、治癒目的等によ
り決定されるが治療量は一般に、非経口投与で1〜100m
g/kg/日、経口投与で5〜500mg/kg/日である。
また、C57BL/6マウスを用いた、機能性ポリペプチド
の毒性試験において、本ポリペプチド100mg/kgの静脈内
投与で毒性は認められない。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されない。
参考例1 CS1ペプチドの合成 25アミノ酸から成るCS1ペプチドは、Fmoc法により、
化学合成した。試薬及び装置は、LKB社のものを用い、
0.2mmolスケールで合成した。合成後、常法により脱保
護し、逆相HPLCにより目的画分を分取し、凍結乾燥し
た。収量は100mgであった。得られたペプチドは、プロ
ティンシークエンサー(モデル477A/120A、アプライド
バイオシステムズ社)により正しい配列であることを確
認した。
また、アミノ酸分析の結果も予想通りであった。
実施例1 ヒトFNの細胞接着ドメインのPro1239−Ser1515(277ア
ミノ酸残基)とCS1との融合タンパク質をコードするcDN
A断片のクローニング(第1図参照) (1−1)pHD102へのNco Iサイトの導入 pHD102はヘパリン結合ドメインとCS1が結合したポリ
ペプチドH−296を発現するプラスミドであり、特開平
2−311498号公報に記載されている。H−286から、ヘ
パリン結合部位を除去するために、まずpHD101のAla
1871に対応する配列の直前にNco Iサイトを導入した。N
co Iサイトの導入には、変異導入用プライマーとしてd
〔pATCAATGGCCATGGTGGAGGCG〕を用い、変異導入用キッ
トとして、サイト−ダイレクテッドミュータジェネシス
システムミュータン−K〔宝酒造(株)販売〕を用い
た。実験は添付のプロトコールに従って行い、目的のプ
ラスミドを得た。
(1−2) Nco I−Hinc II断片の調製 (1−1)で得たプラスミド1μgをNco I及びHinc
IIで分解し、アガロース電気泳動で分離して1.3kbのNco
I−Hinc II断片約120ngを回収した。
(1−3) Nco I−Hinc II断片のpTF7520へのクロー
ニング pTF7520はヒトFNの細胞接着ドメインポリペプチドC
277を発現することができ、かつ、そのC末端に対応す
る部位にNco Iサイトが付加されており、他のポリペプ
チドをコードするDNAを接続することができる発現プラ
スミドである。このプラスミドは特開平2−311498号公
報に記載されている。pTF7520をNco I及びHinc IIで分
解後、脱リン酸した。このプラスミド50ngを(1−2)
で得たNco I−Hinc II断片50ngと共に5μ溶液とし、
20μのDNAライゲーションキット〔宝酒造(株)販
売〕A液、5μのB液を加え、16℃で30分インキュベ
ートした。この反応液10μを用いて大腸菌HB101を形
質転換し、細胞接着ドメインのPro1239−Ser1515(277
アミノ酸残基)とH−296のAla1871−Thr1985(115アミ
ノ酸残基)がMetを介して結合した融合タンパク質(C
277−Met−H115)を発現するプラスミドを得た。
(1−4) Met及びAla1871−Thr1960に対応する配列
の除去 (1−3)で得たプラスミドから、Met及びAla1871
Thr1960(90アミノ酸残基)に対応する配列を部位特異
的変異の手法により除去した。Met及びAla1871−Thr
1960(90アミノ酸残基)に対応する配列の除去は、オリ
ゴヌクレオチドd〔pGGGAAGCTCGTCGGATGGTTTGTC〕を合
成し、サイト−ダイレクテッドミュータジェネシスシス
テムミュータン−K(宝酒造(株))販売〕を用いて行
った。その結果、細胞接着ドメインのPro1239−Ser1515
(277アミノ酸残基)とCS1が直接結合した融合タンパク
質(C277−CS1)を発現するプラスミドを得、pCS25と命
名した。
またこのプラスミドを保持する大腸菌HB101はEscheri
chia coli HB101/pCS25と表示し、通商産業省工業技術
院生命工学工業技術研究所に寄託されている(FERM BP
−5723)。
実施例2 組換え体からのペプチドの精製 実施例1で得たEscherichia coli HB101/pCS25を50μ
g/mlのアンピシリンを添加した5mlのL−ブロスを含む
試験管で37℃、一夜振とう培養した。これを500mlの同
培地を含む2の三角フラスコに接種し、100rpmで培養
を続け、20時間後に集菌した。菌体の一部を用いてイム
ノブロッテイングを行った。すなわち、全菌体タンパク
質をSDS−PAGEで分離し、泳動パターンをニトロセルロ
ースメンブランに転写した後、ヒトFNの細胞接着ドメイ
ンを特異的に認識するモノクローナル抗体FN−10〔宝酒
造(株)販売〕を作用させ、次いでパーオキシダーゼ標
識第2抗体を作用させた。結合した第2抗体のパーオキ
シダーゼ活性を4−クロロ−1−ナフトールと過酸化水
素の存在下で発色させ、33kD付近に目的のペプチドが生
産されていることを確認した。次に、全菌体ペレットを
20mMトリス(Tris)−HCl(pH7.5)、1mM−EDTA、5mMメ
ルカプトエタノール、3μMパラアミジノフェニルメタ
ンスルホニルフルオライド(p−APMSF)を含む溶液に
懸濁して、超音波処理を行った。12000rpmで20分遠心し
て、上清25mlを得た。これを20mMトリス−HCl(pH7.5)
バッファーで平衡化したDE−53のカラム(40ml)に通し
た。カラムを0.1M NaClを含む20mMトリス−HCl(pH7.
5)バッファーで洗浄後、0.15M NaClを含む20mMトリス
・HCl(pH7.5)バッファーで溶出し、分画した。溶出液
のイムノブロッティングを行い、目的画分を集めた。次
に、この画分をモノクローナル抗体FN−10を結合させた
セファロース4Bのカラム(10ml)に通した。カラムを0.
1M NaClを含む20mMトリス・HCl(pH7.5)バッファーで
洗浄後、0.1Mグリシン・HCl(pH3.0)バッファーで溶出
し、分画した。イムノブロッティングにより目的画分を
集め、脱塩、凍結乾燥して、電気泳動的にほぼ単一なペ
プチド約7.5mgを得た。ABI社のペプチドシーケンサー47
7A/120Aを用いて、本ペプチドのN末端からのアミノ酸
配列を調べたところ目的のペプチドのN末端配列と一致
した。また、カルボキシペプチダーゼP〔宝酒造(株)
販売〕消化法により、C末端はThrであることが確認さ
れた。
実施例3 細胞接着活性の測定 実施例2で得られたC277−CS1ポリペプチドのBHK及び
マウスメラノーマ細胞B16−F10に対する細胞接着活性を
測定した。
細胞接着活性は、ルオスラティらの方法〔メソッズ
イン エンザイモロジー、第82巻、第803〜831頁(198
1)〕に準じて測定した。試料を蒸留水、PBS(リン酸緩
衝化生理食塩水)等に溶かし、96穴マイクロプレート上
で段階的に希釈した。4℃、2時間インキュベートし
て、試料をプレート上に吸着させた(50μ/ウエ
ル)。3%BSAを含むPBS溶液を100μ/ウエル加え、3
7℃、1時間インキュベートしてプレートをブロックし
た。PBSでプレードを洗浄後、あらかじめダルベッコ(D
ulbecco's)イーグル最小栄養培地(DMEM)に5×105
胞/mlとなるように懸濁させたベビーハムスター腎細胞
(BHK−21)、又はマウスメラノーマ細胞B16−F10を100
μ/ウエル分注し、37℃、1時間インキュベートし
た。なお使用した細胞は、凍結保存した株を継代培養
後、トリプシン処理(37℃、5分)したものを用いた。
PBSでプレートを洗浄後、3%ホルマリン溶液で細胞を
プレート上に固定した。
顕微鏡下でBHK−21細胞、又はB16−F10細胞の伸展を
観察し、伸展細胞数が、ヒトFNの高濃度における伸展細
胞数の50%となる試料の濃度(ED50)を求め細胞接着活
性の指標とした。
その結果を第1表に示す。
以上の結果、C277−CS1は、BHK細胞よりもB16−F10メ
ラノーマ細胞に対して、強い細胞接着活性を持つことが
示された。
実施例4 癌転移抑制試験 化学合成したCS1ペプチド及びC277−CS1を用いて実験
的肺転移に対する影響を調べた。C57BL/6マウス5匹を
一群として、PBSに溶解した試料とB16−BL6メラノーマ
細胞(3×104)を混合した後、マウスの尾静脈に投与
した。2週間後に肺に転移したコロニー数を計測してコ
ントロールと比較した。
その結果を第2表に示す。
以上の結果、CS1ペプチドに癌転移抑制作用があるこ
とが示された。また、CS1と細胞接着ドメインポリペプ
チドとの融合ペプチドは更に強い転移抑制効果を持つこ
とが示された。
実施例5 実施例2で得たポリペプチド30重量部に対しPBSを加
え、全量を2000重量部としてこれを溶解後、ミリポアフ
ィルターGSタイプを用いて除菌ろ過する。このろ液2gを
10mlのバイアル瓶にとり凍結乾燥し、1バイアルに該ポ
リペプチド30mgを含む凍結乾燥注射剤を得た。
〔発明の効果〕
以上述べたごとく、本発明により、癌転移抑制作用を
持つ新規ポリペプチド、並びにそれらをコードする遺伝
子、及び該遺伝子を用いた該新規ポリペプチドの遺伝子
工学的な製造方法、更にその用途が提供される。
【図面の簡単な説明】
第1図はC277−CS1ポリペプチドを発現させるためのプ
ラスミドの構築の工程図を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI //(C12P 21/02 C12R 1:19) (72)発明者 君塚 房夫 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒 造株式会社中央研究所内 (72)発明者 加藤 郁之進 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒 造株式会社中央研究所内 (72)発明者 東 市郎 北海道札幌市南区真駒内上町5丁目3番 2号 (72)発明者 済木 育夫 北海道札幌市西区八軒三条西3丁目6番 7―45号 (56)参考文献 特開 昭62−89699(JP,A) 特開 平1−206998(JP,A) J.Natl.Cancer.Ins t.,80(2),p.108−116,1988 J.Clin.Invest.,81, p.782−790,1988 J.Biol.Chem.,262 (14),p.6886−6892,1987 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 - 15/90 C07K 14/78 GENBANK/EMBL/DDBJ/G ENESEQ PIR/SWISSPROT/GENES EQ BIOSIS/WPI(DIALOG)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式〔I〕: C277−CS1 ・・・〔I〕 〔式中C277はヒトフィブロネクチン細胞接着ドメインの
    Pro1239−Ser1515に相当する277アミノ酸ポリペプチド
    残基を示し、下記式〔II〕: で表される配列を有し、CS1はヒトフィブロネクチンのI
    II cs領域のN末端側25アミノ酸残基を表し、下記式〔I
    II〕: で表されるペプチド残基を示す〕で表されることを特徴
    とする人工の機能性ポリペプチド。
  2. 【請求項2】請求項1記載の人工の機能性ポリペプチド
    をコードする遺伝子。
  3. 【請求項3】請求項2記載の人工の機能性ポリペプチド
    をコードする遺伝子を組込んだプラスミド。
  4. 【請求項4】請求項3記載のプラスミドを導入した宿主
    細胞を培養し、該培養物より請求項1記載の人工の機能
    性ポリペプチドを採取することを特徴とする請求項1記
    載の人工の機能性ポリペプチドの製造方法。
  5. 【請求項5】下記一般式〔IV〕: (C277−CS1 ・・・〔IV〕 [式中C277及びCS1は式〔I〕と同義であり、nは零又
    は1を示す]で表される人工の機能性ポリペプチドを有
    効成分として含有していることを特徴とする癌転移抑制
    剤。
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