JPWO2005001964A1 - カソードフィルム用配合剤組成物、カソードフィルム用ポリエーテル重合体組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明は、厚みが薄く均一で、安定した電気的特性を有するカソードフィルムを、押出成形法で生産性高く製造するための技術に関する。 すなわち本発明は、活物質及び導電性付与剤を含有し、安息角が35度以下であるカソードフィルム用配合剤組成物。少なくともポリエーテル重合体及び前記カソードフィルム用配合剤組成物を含有するカソードフィルム用ポリエーテル重合体組成物を提供する。これらを用いて押出成形することにより上記目的が達成される。
Description
本発明は、活物質及び導電性付与剤を含有するカソードフィルム用配合剤組成物及びカソードフィルム用ポリエーテル重合体組成物に関し、詳しくは、厚みが薄く均一で、安定した電気的特性を有するカソードフィルムを生産性高く製造することができる、カソードフィルム用配合剤組成物及びカソードフィルム用ポリエーテル重合体組成物に関する。
エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体などのポリエーテル重合体に該重合体に可溶のリチウム塩化合物などの電解質塩化合物を含有させると、高いイオン伝導性を示すことから固体電解質用の高分子材料として注目されている(特開昭61−83249号公報及び特開昭63−136407号公報参照)。
高分子固体電解質材料は、電池のイオン伝導膜等に使用する場合には高出力を得るために薄いフィルムにする必要がある。しかし、上記ポリエーテル重合体は、引張強度等の機械的強度が十分大きくなるような組成や分子量等にすると、溶融粘度が高くて流動性が悪くなる。そのため上記特許文献等においても、高分子固体電解質フィルムの製法としては、ポリエーテル重合体を有機溶媒に溶解した溶液を平板上にキャストする方法が採用されている。しかし、キャスト法はフィルム製造の生産性が低く、また、環境安全上にも問題があるので、近時、押出成形法が着目されている。
ポリエーテル重合体を使用した固体電解質フィルムは、電池のカソードフィルムとしても好適である。カソードフィルムの製造にはポリエーテル重合体に電解質塩化合物のほか、粒状物である活物質及び導電性付与剤を多量配合する必要がある。カソードフィルムの製造方法においては、これらの配合剤をポリエーテル重合体中に均一に分散させる必要があるが、上記キャストでは比重が大きな粒状物が沈殿するという問題があった。
一方、押出成形法で薄くて均一な厚みのフィルムを押し出せる程度に流動性の高い組成や構造のポリエーテル重合体を用いると、フィルムの機械的強度が不足して成形時に切断する可能性が高くなる。従って、押出成形法で得られるフィルムは、厚みの均一化が困難で、一般にインピーダンス等の電気的特性のバラツキが大きい。
高分子固体電解質材料は、電池のイオン伝導膜等に使用する場合には高出力を得るために薄いフィルムにする必要がある。しかし、上記ポリエーテル重合体は、引張強度等の機械的強度が十分大きくなるような組成や分子量等にすると、溶融粘度が高くて流動性が悪くなる。そのため上記特許文献等においても、高分子固体電解質フィルムの製法としては、ポリエーテル重合体を有機溶媒に溶解した溶液を平板上にキャストする方法が採用されている。しかし、キャスト法はフィルム製造の生産性が低く、また、環境安全上にも問題があるので、近時、押出成形法が着目されている。
ポリエーテル重合体を使用した固体電解質フィルムは、電池のカソードフィルムとしても好適である。カソードフィルムの製造にはポリエーテル重合体に電解質塩化合物のほか、粒状物である活物質及び導電性付与剤を多量配合する必要がある。カソードフィルムの製造方法においては、これらの配合剤をポリエーテル重合体中に均一に分散させる必要があるが、上記キャストでは比重が大きな粒状物が沈殿するという問題があった。
一方、押出成形法で薄くて均一な厚みのフィルムを押し出せる程度に流動性の高い組成や構造のポリエーテル重合体を用いると、フィルムの機械的強度が不足して成形時に切断する可能性が高くなる。従って、押出成形法で得られるフィルムは、厚みの均一化が困難で、一般にインピーダンス等の電気的特性のバラツキが大きい。
本発明の目的は、厚みが薄く均一で、安定した電気的特性を有するカソードフィルムを、押出成形法で生産性高く製造するための技術を提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成すべく、多量に配合する粒状の活物質及び導電性付与剤に着目して鋭意検討を重ねた結果、活物質及び導電性付与剤を、特定の流動状態を示すように予め混合しておくと、ポリエーテル重合体中に均一に分散しやすいこと、そのような混合物を用いると押出成形法で厚みが均一に薄いカソードフィルムが得やすいこと、を見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
かくして本発明によれば、下記1〜4が提供される。
1. 活物質及び導電性付与剤を含有し、安息角が35度以下であるカソードフィルム用配合剤組成物。
2. 少なくともポリエーテル重合体及び上記1記載のカソードフィルム用配合剤組成物を含有するカソードフィルム用ポリエーテル重合体組成物。
3. 撹拌翼を備えたヘンシェルミキサを用いて活物質及び導電性付与剤を混合して、上記1記載のカソードフィルム用配合剤組成物を調製する方法であって、
混合を、撹拌翼先端の周速度5〜50m/秒にて行うことを特徴とするカソードフィルム用配合剤組成物の調製方法。
4. 少なくともポリエーテル重合体及び上記1記載のカソードフィルム用配合剤組成物を押出機に供給して両者を混合しつつ押出成形することを特徴とするカソードフィルムの製造方法。
本発明によれば、厚みが薄く均一で、安定した電気的特性を有するカソードフィルムを、押出成形法で生産性高く製造することができる。
本発明者らは、前記目的を達成すべく、多量に配合する粒状の活物質及び導電性付与剤に着目して鋭意検討を重ねた結果、活物質及び導電性付与剤を、特定の流動状態を示すように予め混合しておくと、ポリエーテル重合体中に均一に分散しやすいこと、そのような混合物を用いると押出成形法で厚みが均一に薄いカソードフィルムが得やすいこと、を見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
かくして本発明によれば、下記1〜4が提供される。
1. 活物質及び導電性付与剤を含有し、安息角が35度以下であるカソードフィルム用配合剤組成物。
2. 少なくともポリエーテル重合体及び上記1記載のカソードフィルム用配合剤組成物を含有するカソードフィルム用ポリエーテル重合体組成物。
3. 撹拌翼を備えたヘンシェルミキサを用いて活物質及び導電性付与剤を混合して、上記1記載のカソードフィルム用配合剤組成物を調製する方法であって、
混合を、撹拌翼先端の周速度5〜50m/秒にて行うことを特徴とするカソードフィルム用配合剤組成物の調製方法。
4. 少なくともポリエーテル重合体及び上記1記載のカソードフィルム用配合剤組成物を押出機に供給して両者を混合しつつ押出成形することを特徴とするカソードフィルムの製造方法。
本発明によれば、厚みが薄く均一で、安定した電気的特性を有するカソードフィルムを、押出成形法で生産性高く製造することができる。
厚みが薄く均一で、安定した電気的特性を有するカソードフィルムを得るためにポリエーテル重合体に配合する本発明のカソードフィルム用配合剤組成物は、活物質及び導電性付与剤を含有し、安息角が35度以下のものである。
本発明のカソードフィルム用配合剤に用いる活物質としては、一般に高分子製のカソードフィルムに使用される活物質が用いられる。かかる活物質を例示すると、コバルト酸リチウム(Li1.2CoO2、LiCoO2など)、マンガン酸化物リチウム(LiMn2O4、Li0.33MnOなど)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、バナジウム酸リチウム(LiV2O5)、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)、リン酸鉄リチウムとカーボンとの焼成物、リン酸バナジウム酸リチウム(LiVOPO4)、これらの複合酸化物等が挙げられる。
活物質の平均粒径は、通常、0.1〜30μm、好ましくは0.5〜20μmである。活物質の平均粒径が大きすぎても小さすぎてもポリエーテル重合体中に均一に分散しなくなるおそれがある。
本発明のカソードフィルム用配合剤に用いる導電性付与剤としては、一般に高分子製のカソードフィルムに使用される導電性付与剤が用いられる。かかる導電性付与剤を例示すると、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、グラファイト等が挙げられる。
導電性付与剤の平均粒径は、通常、20nm〜25μm、好ましくは50nm〜10μmである。導電性付与剤の平均粒径が小さすぎると分散不良となるおそれがあり、逆に、大きすぎるとカソードフィルム表面に凹凸が生じ、また破断しやすくなる可能性がある。
導電性付与剤の配合量は、上記活物質100重量部あたり、通常、0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜15重量部である。導電性付与剤が少なすぎると活物質と混合したときにポリエーテル重合体に均一分散しにくくなるおそれがあり、逆に、多すぎると均一な厚みのフィルムが得られなくなり、いずれの場合にもカソードフィルムの充放電容量が低下する可能性がある。
カソードフィルム用配合剤組成物の調製に際しては、活物質及び導電性付与剤に加えて、後述の電解質塩化合物、可塑剤、充填剤、架橋剤などの成分を必要に応じて一緒に混合してもよい。その場合、活物質及び導電性付与剤以外の成分の量は、カソードフィルム用配合剤組成物の重量の80%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましい。
活物質及び導電性付与剤を含有してなる本発明のカソードフィルム用配合剤組成物は、安息角が35度以下、好ましくは33度以下、より好ましくは30度以下のものである。該配合剤組成物の安息角は、前記活物質及び導電性付与剤を混合したときの流動性を示す指標であり、この安息角が大きすぎると、ポリエーテル重合体に均一に分散しなくなるおそれがある。
ここで、安息角は、23℃、相対湿度50%において、カソードフィルム用配合剤組成物200gを、漏斗(上端部直径70mm、深さ60mm、ノズル口径5mm、ノズル長さ35mm)のノズル先端から7.5cm下に水平に置いた直径80mmのステンレス鋼製円板上の中心部に粒状で少しずつ落下させ、円板の端から該組成物がこぼれる時点における、円錐状に形成された堆積物の母線と底面とがなす角である。
活物質及び導電性付与剤を含有してなるカソードフィルム用配合剤組成物の安息角が上記範囲となるようにするため、活物質及び導電性付与剤を十分混合する。混合方法に限定はないが、高速混合可能な混合機を用いて活物質及び導電性付与剤を混合するのが好ましい。そのような混合機としては、ヘンシェルミキサが特に好ましい。ヘンシェルミキサは、ドイツ、Henschel社によって開発された混合機で、ジャケットを有する密閉混合槽の底部に上下2枚の撹拌翼を備え、それらを高速回転させて混合する構造を有する。粉体どうしの摩擦熱とジャケットからの伝熱により温度を任意に制御することも可能である。密閉容器の容量に限定はないが、通常、1〜200リットル、好ましくは3〜100リットルである。
ヘンシェルミキサでの混合は、撹拌翼先端の周速度、通常、5〜50m/秒、好ましくは8〜40m/秒にて、通常、0.5〜20分間、好ましくは1〜15分間行う。混合開始温度は特に限定しないが0〜100℃、好ましくは10〜80℃である。
本発明のカソードフィルム用ポリエーテル重合体組成物は、少なくともポリエーテル重合体及び上記カソードフィルム用配合剤組成物を含有するものである。
本発明のカソードフィルム用ポリエーテル重合体組成物に用いられるポリエーテル重合体は、オキシラン単量体を開環重合して得られるオキシアルキレン繰り返し単位を主構造単位とするものであれば特に限定されない。前記オキシラン単量体は特に限定されないが、重合に用いるオキシラン単量体の少なくとも一成分としてエチレンオキシド単量体(a)を用いると、これを成形して得られるカソードフィルムが機械的強度に優れるので好ましい。すなわち、本発明に用いるポリエーテル重合体は、エチレンオキシド単量体(a)単位と、エチレンオキシドと共重合可能なオキシラン単量体(b)単位の含有量のモル比が、〔単量体(a)単位のモル数/単量体(b)単位のモル数〕で、通常、70/30〜99/1、好ましくは80/20〜99/1、より好ましくは85/15〜99/1である。エチレンオキシド単量体(a)単位含有量が少なすぎると、ポリエーテル重合体組成物の結晶化速度が下がって成形中のカソードフィルムが破れ易く、また、カソードフィルムが冷却ロールなどに粘着し易くなるおそれがある。逆に、エチレンオキシド単量体(a)単位含有量が多すぎると、平滑なカソードフィルムを得にくくなる可能性がある。
エチレンオキシドと共重合可能なオキシラン単量体(b)としては、炭素数3〜20のアルキレンオキシド、炭素数4〜10のグリシジルエーテル、芳香族ビニル化合物のオキシドなどが挙げられる。
エチレンオキシドと共重合可能なオキシラン単量体(b)は、1種のみを用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、本発明においては、上記の炭素数3〜20のアルキレンオキシド、炭素数4〜10のグリシジルエーテルを少なくともその一成分に用いることが好ましく、炭素数3〜20のアルキレンオキシドを少なくともその一成分に用いることがより好ましい。炭素数3〜20のアルキレンオキシドとしては、プロピレンオキシドが好ましい。
また、上記のオキシラン単量体(b)の少なくとも一成分に、架橋性オキシラン単量体を用いることも可能である。架橋性オキシラン単量体は、上記の、炭素数3〜20のアルキレンオキシド、炭素数4〜10のグリシジルエーテルなどのオキシラン単量体に架橋性基を導入した単量体である。このような架橋性オキシラン単量体を用いる場合には、ビニル基、水酸基及び酸無水物基などの、光又はパーオキシドで架橋し得る架橋性基を有する架橋性オキシラン単量体を用いることが好ましく、その中でも、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のビニル基を有する架橋性オキシラン単量体を用いることがより好ましい。
上記オキシラン単量体を開環重合するための重合触媒としては、特に限定されず、例えば、有機アルミニウムに水とアセチルアセトンとを反応させた触媒(特公昭35−15797号公報)、トリイソブチルアルミニウムにリン酸とトリエチルアミンとを反応させた触媒(特公昭46−27534号公報)、トリイソブチルアルミニウムにジアザビアシクロウンデセンの有機酸塩とリン酸とを反応させた触媒(特公昭56−51171号公報)、アルミニウムアルコキサイドの部分加水分解物と有機亜鉛化合物とからなる触媒(特公昭43−2945号公報)、有機亜鉛化合物と多価アルコールとからなる触媒(特公昭45−7751号公報)、ジアルキル亜鉛と水とからなる触媒(特公昭36−3394号公報)などの、オキシラン化合物の開環重合触媒として従来公知の重合触媒を用いることができる。
重合溶媒は、重合触媒を失活させないものであれば特に限定されない。例えば、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;n−ペンタン、n−ヘキサンなどの鎖状飽和炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;などが用いられる。
重合方法としては、生成重合体が溶解する有機溶媒を用いる溶液重合法、又は、生成重合体が不溶な有機溶媒を用いる溶媒スラリー重合法などの重合法を用いることができるが、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロペンタンなどの溶媒を用いる溶媒スラリー重合法が好ましい。
また、溶媒スラリー重合法の中でも、予め種子(シード)の重合をした後に該シードの粒子を肥大化する重合を行う二段階重合法が、反応器の内壁へのスケール付着量が少ないので好ましい。
本発明で使用するポリエーテル重合体は、ジメチルホルムアミドを溶媒とするゲルパーミエーション法によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、通常、10万〜150万、好ましくは15万〜100万、より好ましくは20万〜60万であり、かつ、分子量分布(Mw/Mn、ここでMnは数平均分子量)が、通常、1.5〜13、好ましくは1.6〜12、より好ましくは1.7〜11の重合体である。
Mwが大きすぎると、押出成形機のトルクやダイ圧が上昇するため成形加工が困難となるおそれがある。Mwが小さすぎると、得られるカソードフィルムの機械的強度が不足してフィルムが破れ易くなり、また、フィルムが粘着し易くなるため、薄いカソードフィルムを安定的に生産することが困難になる可能性がある。
また、Mw/Mnの値が大きすぎても小さすぎても、フィルム成形時の溶融粘度が高くなり、押出成形時にダイ圧力が上昇して加工困難になったり、押出成形されたカソードフィルムの表面平滑性や厚みの均一性が損なわれたりする。
本発明のカソードフィルム用ポリエーテル重合体組成物に用いられる電解質塩化合物は、陽イオンを移動させ得る化合物で本発明に用いるポリエーテル重合体に可溶のものであれば、特に限定されない。このような電解質塩化合物の具体例としては、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン〔CF3SO3 −〕、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン〔N(CF3SO2)2 −〕、ビス(ヘプタフルオロプロピルスルホニル)イミドイオン〔N(C2F5SO2)2 −〕、トリフルオロスルホンイミドイオン、テトラフルオロホウ素酸イオン〔BF4 −〕、硝酸イオン、AsF6 −、PF6 −、ステアリルスルホン酸イオン、オクチルスルホン酸イオンなどの陰イオンと、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどの金属の陽イオンとからなる塩が挙げられる。これらの電解質塩化合物の中でも、リチウムイオンを陽イオンとするリチウム塩化合物が好ましい。さらに、リチウム塩化合物の中では、LiBF4、LiPF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2及びLiN(C2F5SO2)2がより好ましい。これら電解質塩化合物は1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
カソードフィルム用ポリエーテル重合体組成物中の電解質塩化合物の含有量は、ポリエーテル重合体100重量部当たり、通常、5〜30重量部、好ましくは10〜26重量部、より好ましくは15〜22重量部である。電解質塩化合物の含有量が少なすぎると、カソードフィルムのイオン伝導性が低下するおそれがある。また、電解質塩化合物の含有量が多すぎると、カソードフィルムの機械的強度が不十分となり成形加工性が低下する可能性がある。
また、本発明のカソードフィルム用ポリエーテル重合体組成物は、上述の活物質及び導電性付与剤を含有する安息角35度以下のカソードフィルム用配合剤を、活物質基準でポリエーテル重合体100重量部当たり、通常、10〜1,000重量部、好ましくは30〜800重量部、より好ましくは50〜600重量部含有する。該配合剤組成物の含有量が少なすぎるとカソードの電極機能が不十分になることがあり、逆に多すぎると、分散が不均一になってフィルムの厚みが不均一となるため成形が困難になるおそれがある。
本発明のカソードフィルム用ポリエーテル重合体組成物には、必要に応じて、可塑剤、架橋剤、老化防止剤、光安定剤、滑剤、難燃剤、防黴剤、帯電防止剤、着色剤、補強材、充填剤などの添加剤を配合してもよい。
本発明のカソードフィルム用ポリエーテル重合体組成物を調製する方法としては、ポリエーテル重合体、本発明の配合剤組成物、電解質塩化合物及び必要に応じて配合される上記任意成分を予め混合装置で混合してもよい。また、カソードフィルムを成形する際に、少なくともポリエーテル重合体及び本発明の配合剤組成物を直接押出機に供給して両者を混合しつつ押出成形することもできる。これにより、本発明の配合剤組成物が均一分散したカソードフィルムを得ることができ、また、ポリエーテル重合体の溶融、混練、成形を同時に行えて効率的であり好ましい。
前者の方法における混合装置としては、ミキシングロール、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダー等が例示される。また、押出機を用いて溶融、混練してペレットにすることも可能である。
本発明のカソードフィルムの製造方法は、少なくともポリエーテル重合体及び上記のカソードフィルム用配合剤組成物を押出機に供給して両者を混合しつつ押出成形することを特徴とする。
カソードフィルムを成形する押出機の種類は限定されないが、二軸押出機が好ましく、材料導入口とダイとの間のバレルの途中に第2導入口を備えた二軸押出機がより好ましい。第2導入口は、熱履歴や剪断を軽減したい成分を供給する場合に使用することができる。
押出機のバレルの長さ(L)と内径(D)との比L/Dは、通常、10〜50である。ダイとしては、ストレートマニホルドダイ、フィッシュテールダイ、コートハンガーダイ等のフィルムダイが使用される。
本発明のポリエーテル重合体組成物を用いて薄いフィルムを安定して製造するための混練部の温度は、通常、80〜200℃、好ましくは100〜190℃、より好ましくは110〜180℃である。混練部の温度が低すぎると粘度が上がって薄いフィルムを円滑に押し出すことが困難になるおそれがあり、逆に、混練部の温度が高すぎると重合体が熱分解を起こしてフィルム強度が低下する可能性がある。
また、溶融、混練時の円滑な流動のためにポリエーテル重合体組成物が適度に水分を含有すると好ましい。かかる水分含有量はポリエーテル重合体の重量に対し、通常、500〜5,000ppm、好ましくは800〜4,000ppm、より好ましくは1,000〜3,000ppmである。
押出機のダイから押し出されたカソードフィルムは、通常、冷却ロールを経て引取りロールに巻き取られる。引取りロールの前に、調整ロールを置き、フィルムの厚みや張力をそれぞれの検知手段で検知してその結果を押出機及び冷却ロールにフィードバックさせることが好ましい。
冷却ロールの表面を鏡面状にすることにより、ダイから押し出されたフィルムの表面を一層平滑に仕上げることができる。
本発明の製造方法により得られるカソードフィルムの厚みは、通常、10〜150μm、好ましくは20〜100μmである。厚みが薄すぎるとフィルム取扱い性(ハンドリング性)に劣るおそれがあり、逆に、厚すぎると当該フィルムと接触する積層フィルムとの密着性および折りたたみ性が低下する可能性がある。
上記製造方法によると、活物質及び導電性付与剤がポリエーテル重合体中に均一に分散するので、薄くて厚みが均一なカソードフィルムを、切断せずに高速で連続的に引取ることができる。そのため、従来の溶液キャスト法に比して極めて生産性高く製造することができる。また、キャスト法の場合のように有機溶媒の揮散工程を有しないので環境上も安全である。
本発明のカソードフィルム用配合剤に用いる活物質としては、一般に高分子製のカソードフィルムに使用される活物質が用いられる。かかる活物質を例示すると、コバルト酸リチウム(Li1.2CoO2、LiCoO2など)、マンガン酸化物リチウム(LiMn2O4、Li0.33MnOなど)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、バナジウム酸リチウム(LiV2O5)、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)、リン酸鉄リチウムとカーボンとの焼成物、リン酸バナジウム酸リチウム(LiVOPO4)、これらの複合酸化物等が挙げられる。
活物質の平均粒径は、通常、0.1〜30μm、好ましくは0.5〜20μmである。活物質の平均粒径が大きすぎても小さすぎてもポリエーテル重合体中に均一に分散しなくなるおそれがある。
本発明のカソードフィルム用配合剤に用いる導電性付与剤としては、一般に高分子製のカソードフィルムに使用される導電性付与剤が用いられる。かかる導電性付与剤を例示すると、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、グラファイト等が挙げられる。
導電性付与剤の平均粒径は、通常、20nm〜25μm、好ましくは50nm〜10μmである。導電性付与剤の平均粒径が小さすぎると分散不良となるおそれがあり、逆に、大きすぎるとカソードフィルム表面に凹凸が生じ、また破断しやすくなる可能性がある。
導電性付与剤の配合量は、上記活物質100重量部あたり、通常、0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜15重量部である。導電性付与剤が少なすぎると活物質と混合したときにポリエーテル重合体に均一分散しにくくなるおそれがあり、逆に、多すぎると均一な厚みのフィルムが得られなくなり、いずれの場合にもカソードフィルムの充放電容量が低下する可能性がある。
カソードフィルム用配合剤組成物の調製に際しては、活物質及び導電性付与剤に加えて、後述の電解質塩化合物、可塑剤、充填剤、架橋剤などの成分を必要に応じて一緒に混合してもよい。その場合、活物質及び導電性付与剤以外の成分の量は、カソードフィルム用配合剤組成物の重量の80%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましい。
活物質及び導電性付与剤を含有してなる本発明のカソードフィルム用配合剤組成物は、安息角が35度以下、好ましくは33度以下、より好ましくは30度以下のものである。該配合剤組成物の安息角は、前記活物質及び導電性付与剤を混合したときの流動性を示す指標であり、この安息角が大きすぎると、ポリエーテル重合体に均一に分散しなくなるおそれがある。
ここで、安息角は、23℃、相対湿度50%において、カソードフィルム用配合剤組成物200gを、漏斗(上端部直径70mm、深さ60mm、ノズル口径5mm、ノズル長さ35mm)のノズル先端から7.5cm下に水平に置いた直径80mmのステンレス鋼製円板上の中心部に粒状で少しずつ落下させ、円板の端から該組成物がこぼれる時点における、円錐状に形成された堆積物の母線と底面とがなす角である。
活物質及び導電性付与剤を含有してなるカソードフィルム用配合剤組成物の安息角が上記範囲となるようにするため、活物質及び導電性付与剤を十分混合する。混合方法に限定はないが、高速混合可能な混合機を用いて活物質及び導電性付与剤を混合するのが好ましい。そのような混合機としては、ヘンシェルミキサが特に好ましい。ヘンシェルミキサは、ドイツ、Henschel社によって開発された混合機で、ジャケットを有する密閉混合槽の底部に上下2枚の撹拌翼を備え、それらを高速回転させて混合する構造を有する。粉体どうしの摩擦熱とジャケットからの伝熱により温度を任意に制御することも可能である。密閉容器の容量に限定はないが、通常、1〜200リットル、好ましくは3〜100リットルである。
ヘンシェルミキサでの混合は、撹拌翼先端の周速度、通常、5〜50m/秒、好ましくは8〜40m/秒にて、通常、0.5〜20分間、好ましくは1〜15分間行う。混合開始温度は特に限定しないが0〜100℃、好ましくは10〜80℃である。
本発明のカソードフィルム用ポリエーテル重合体組成物は、少なくともポリエーテル重合体及び上記カソードフィルム用配合剤組成物を含有するものである。
本発明のカソードフィルム用ポリエーテル重合体組成物に用いられるポリエーテル重合体は、オキシラン単量体を開環重合して得られるオキシアルキレン繰り返し単位を主構造単位とするものであれば特に限定されない。前記オキシラン単量体は特に限定されないが、重合に用いるオキシラン単量体の少なくとも一成分としてエチレンオキシド単量体(a)を用いると、これを成形して得られるカソードフィルムが機械的強度に優れるので好ましい。すなわち、本発明に用いるポリエーテル重合体は、エチレンオキシド単量体(a)単位と、エチレンオキシドと共重合可能なオキシラン単量体(b)単位の含有量のモル比が、〔単量体(a)単位のモル数/単量体(b)単位のモル数〕で、通常、70/30〜99/1、好ましくは80/20〜99/1、より好ましくは85/15〜99/1である。エチレンオキシド単量体(a)単位含有量が少なすぎると、ポリエーテル重合体組成物の結晶化速度が下がって成形中のカソードフィルムが破れ易く、また、カソードフィルムが冷却ロールなどに粘着し易くなるおそれがある。逆に、エチレンオキシド単量体(a)単位含有量が多すぎると、平滑なカソードフィルムを得にくくなる可能性がある。
エチレンオキシドと共重合可能なオキシラン単量体(b)としては、炭素数3〜20のアルキレンオキシド、炭素数4〜10のグリシジルエーテル、芳香族ビニル化合物のオキシドなどが挙げられる。
エチレンオキシドと共重合可能なオキシラン単量体(b)は、1種のみを用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、本発明においては、上記の炭素数3〜20のアルキレンオキシド、炭素数4〜10のグリシジルエーテルを少なくともその一成分に用いることが好ましく、炭素数3〜20のアルキレンオキシドを少なくともその一成分に用いることがより好ましい。炭素数3〜20のアルキレンオキシドとしては、プロピレンオキシドが好ましい。
また、上記のオキシラン単量体(b)の少なくとも一成分に、架橋性オキシラン単量体を用いることも可能である。架橋性オキシラン単量体は、上記の、炭素数3〜20のアルキレンオキシド、炭素数4〜10のグリシジルエーテルなどのオキシラン単量体に架橋性基を導入した単量体である。このような架橋性オキシラン単量体を用いる場合には、ビニル基、水酸基及び酸無水物基などの、光又はパーオキシドで架橋し得る架橋性基を有する架橋性オキシラン単量体を用いることが好ましく、その中でも、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のビニル基を有する架橋性オキシラン単量体を用いることがより好ましい。
上記オキシラン単量体を開環重合するための重合触媒としては、特に限定されず、例えば、有機アルミニウムに水とアセチルアセトンとを反応させた触媒(特公昭35−15797号公報)、トリイソブチルアルミニウムにリン酸とトリエチルアミンとを反応させた触媒(特公昭46−27534号公報)、トリイソブチルアルミニウムにジアザビアシクロウンデセンの有機酸塩とリン酸とを反応させた触媒(特公昭56−51171号公報)、アルミニウムアルコキサイドの部分加水分解物と有機亜鉛化合物とからなる触媒(特公昭43−2945号公報)、有機亜鉛化合物と多価アルコールとからなる触媒(特公昭45−7751号公報)、ジアルキル亜鉛と水とからなる触媒(特公昭36−3394号公報)などの、オキシラン化合物の開環重合触媒として従来公知の重合触媒を用いることができる。
重合溶媒は、重合触媒を失活させないものであれば特に限定されない。例えば、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;n−ペンタン、n−ヘキサンなどの鎖状飽和炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;などが用いられる。
重合方法としては、生成重合体が溶解する有機溶媒を用いる溶液重合法、又は、生成重合体が不溶な有機溶媒を用いる溶媒スラリー重合法などの重合法を用いることができるが、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロペンタンなどの溶媒を用いる溶媒スラリー重合法が好ましい。
また、溶媒スラリー重合法の中でも、予め種子(シード)の重合をした後に該シードの粒子を肥大化する重合を行う二段階重合法が、反応器の内壁へのスケール付着量が少ないので好ましい。
本発明で使用するポリエーテル重合体は、ジメチルホルムアミドを溶媒とするゲルパーミエーション法によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、通常、10万〜150万、好ましくは15万〜100万、より好ましくは20万〜60万であり、かつ、分子量分布(Mw/Mn、ここでMnは数平均分子量)が、通常、1.5〜13、好ましくは1.6〜12、より好ましくは1.7〜11の重合体である。
Mwが大きすぎると、押出成形機のトルクやダイ圧が上昇するため成形加工が困難となるおそれがある。Mwが小さすぎると、得られるカソードフィルムの機械的強度が不足してフィルムが破れ易くなり、また、フィルムが粘着し易くなるため、薄いカソードフィルムを安定的に生産することが困難になる可能性がある。
また、Mw/Mnの値が大きすぎても小さすぎても、フィルム成形時の溶融粘度が高くなり、押出成形時にダイ圧力が上昇して加工困難になったり、押出成形されたカソードフィルムの表面平滑性や厚みの均一性が損なわれたりする。
本発明のカソードフィルム用ポリエーテル重合体組成物に用いられる電解質塩化合物は、陽イオンを移動させ得る化合物で本発明に用いるポリエーテル重合体に可溶のものであれば、特に限定されない。このような電解質塩化合物の具体例としては、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン〔CF3SO3 −〕、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン〔N(CF3SO2)2 −〕、ビス(ヘプタフルオロプロピルスルホニル)イミドイオン〔N(C2F5SO2)2 −〕、トリフルオロスルホンイミドイオン、テトラフルオロホウ素酸イオン〔BF4 −〕、硝酸イオン、AsF6 −、PF6 −、ステアリルスルホン酸イオン、オクチルスルホン酸イオンなどの陰イオンと、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどの金属の陽イオンとからなる塩が挙げられる。これらの電解質塩化合物の中でも、リチウムイオンを陽イオンとするリチウム塩化合物が好ましい。さらに、リチウム塩化合物の中では、LiBF4、LiPF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2及びLiN(C2F5SO2)2がより好ましい。これら電解質塩化合物は1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
カソードフィルム用ポリエーテル重合体組成物中の電解質塩化合物の含有量は、ポリエーテル重合体100重量部当たり、通常、5〜30重量部、好ましくは10〜26重量部、より好ましくは15〜22重量部である。電解質塩化合物の含有量が少なすぎると、カソードフィルムのイオン伝導性が低下するおそれがある。また、電解質塩化合物の含有量が多すぎると、カソードフィルムの機械的強度が不十分となり成形加工性が低下する可能性がある。
また、本発明のカソードフィルム用ポリエーテル重合体組成物は、上述の活物質及び導電性付与剤を含有する安息角35度以下のカソードフィルム用配合剤を、活物質基準でポリエーテル重合体100重量部当たり、通常、10〜1,000重量部、好ましくは30〜800重量部、より好ましくは50〜600重量部含有する。該配合剤組成物の含有量が少なすぎるとカソードの電極機能が不十分になることがあり、逆に多すぎると、分散が不均一になってフィルムの厚みが不均一となるため成形が困難になるおそれがある。
本発明のカソードフィルム用ポリエーテル重合体組成物には、必要に応じて、可塑剤、架橋剤、老化防止剤、光安定剤、滑剤、難燃剤、防黴剤、帯電防止剤、着色剤、補強材、充填剤などの添加剤を配合してもよい。
本発明のカソードフィルム用ポリエーテル重合体組成物を調製する方法としては、ポリエーテル重合体、本発明の配合剤組成物、電解質塩化合物及び必要に応じて配合される上記任意成分を予め混合装置で混合してもよい。また、カソードフィルムを成形する際に、少なくともポリエーテル重合体及び本発明の配合剤組成物を直接押出機に供給して両者を混合しつつ押出成形することもできる。これにより、本発明の配合剤組成物が均一分散したカソードフィルムを得ることができ、また、ポリエーテル重合体の溶融、混練、成形を同時に行えて効率的であり好ましい。
前者の方法における混合装置としては、ミキシングロール、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダー等が例示される。また、押出機を用いて溶融、混練してペレットにすることも可能である。
本発明のカソードフィルムの製造方法は、少なくともポリエーテル重合体及び上記のカソードフィルム用配合剤組成物を押出機に供給して両者を混合しつつ押出成形することを特徴とする。
カソードフィルムを成形する押出機の種類は限定されないが、二軸押出機が好ましく、材料導入口とダイとの間のバレルの途中に第2導入口を備えた二軸押出機がより好ましい。第2導入口は、熱履歴や剪断を軽減したい成分を供給する場合に使用することができる。
押出機のバレルの長さ(L)と内径(D)との比L/Dは、通常、10〜50である。ダイとしては、ストレートマニホルドダイ、フィッシュテールダイ、コートハンガーダイ等のフィルムダイが使用される。
本発明のポリエーテル重合体組成物を用いて薄いフィルムを安定して製造するための混練部の温度は、通常、80〜200℃、好ましくは100〜190℃、より好ましくは110〜180℃である。混練部の温度が低すぎると粘度が上がって薄いフィルムを円滑に押し出すことが困難になるおそれがあり、逆に、混練部の温度が高すぎると重合体が熱分解を起こしてフィルム強度が低下する可能性がある。
また、溶融、混練時の円滑な流動のためにポリエーテル重合体組成物が適度に水分を含有すると好ましい。かかる水分含有量はポリエーテル重合体の重量に対し、通常、500〜5,000ppm、好ましくは800〜4,000ppm、より好ましくは1,000〜3,000ppmである。
押出機のダイから押し出されたカソードフィルムは、通常、冷却ロールを経て引取りロールに巻き取られる。引取りロールの前に、調整ロールを置き、フィルムの厚みや張力をそれぞれの検知手段で検知してその結果を押出機及び冷却ロールにフィードバックさせることが好ましい。
冷却ロールの表面を鏡面状にすることにより、ダイから押し出されたフィルムの表面を一層平滑に仕上げることができる。
本発明の製造方法により得られるカソードフィルムの厚みは、通常、10〜150μm、好ましくは20〜100μmである。厚みが薄すぎるとフィルム取扱い性(ハンドリング性)に劣るおそれがあり、逆に、厚すぎると当該フィルムと接触する積層フィルムとの密着性および折りたたみ性が低下する可能性がある。
上記製造方法によると、活物質及び導電性付与剤がポリエーテル重合体中に均一に分散するので、薄くて厚みが均一なカソードフィルムを、切断せずに高速で連続的に引取ることができる。そのため、従来の溶液キャスト法に比して極めて生産性高く製造することができる。また、キャスト法の場合のように有機溶媒の揮散工程を有しないので環境上も安全である。
以下に参考例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は、特記ない限り重量基準である。試験及び評価は以下の方法によった。
(1)重合体組成
ポリエーテル重合体の組成は、500MHz 1H−NMR、及び13C−NMRを用いて測定した。
(2)重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件により測定した。
装置:東ソー株式会社製GPC測定装置
カラム:東ソー株式会社製G7000HHR+GMHHR−H
溶媒:ジメチルホルムアミド(リチウムブロマイド5mmol/L)
流速:1ml/min、カラム温度:40℃
分子量標準物質:ポリマーラボラトリー社製標準ポリスチレン
(3)カソードフィルム用配合剤組成物の安息角
振とう器に水平に設置した目開き1mmのJIS標準篩の10mm下方に、上端部直径70mm、深さ60mm、ノズル口径5mm、ノズル長さ35mmのガラス製漏斗の上端が来るように置き、一方、机上に置いた台座の上に直径80mm、厚さ3.5mmのステンレス鋼製の円板を、その中心が漏斗の中心の真下になるようにして水平に置き、漏斗のノズル先端とステンレス鋼製円板の表面との距離を7.5cmに保った。23℃、相対湿度60%に1昼夜置いたカソードフィルム用配合剤組成物200gを上記篩に乗せ、水平振幅0.8mm、往復回数3,000VPM(毎分往復数)で振とう器を動かして該組成物をロート下部から円板上に供給した。円板上に円錐状の堆積物が形成されて、円板の端から該組成物がこぼれ落ちる時点で該組成物の供給を止めた。次いで、堆積物に対し、水平方向と平行にレーザー光を照射し、背後のスクリーンに投影された堆積物の影像の母線と底辺とがなす角2つを測定して平均値を求めて安息角とした。
(4)限界引取り速度
フィルムの薄膜成形性の指標として、フィルムの引取り速度を当初4m/分にしてフィルムの押出しを開始し、2分間押出機を運転して安定させてからから引取り速度を1m/分上昇させ、以後同様に各速度で2分間運転後1m/分上昇させていった時に、フィルムが切れる直前の引取り速度を求め、限界引取り速度として評価した。単位は(m/分)。
(5)平均フィルム厚み
上記(4)の限界引取り速度におけるカソードフィルム試料につきデジタル膜厚計にて長さ方向に20cm間隔で6点厚みを測定し、それらの平均値を平均フィルム厚みとした。単位は(μm)。
(6)フィルム厚みのバラツキ度
上記(5)におけるカソードフィルム試料1つあたり6点の測定値の最大値と最小値の差を6点の測定値の平均値で除した値で示した。数値が小さいほどバラツキが小さい。
(7)平均インピーダンス
ステンレス鋼製容器(直径20mm、高さ3mm)のキャップとの接合面にポリプロピレン製ガスケット(外径20mm、内径16mm、高さ3mm)を設置した。直径15mmの円形に切り抜いたカソードフィルムをこの容器の底部にセットし、その上にステンレス鋼製円板(直径15mm、厚さ1mm)、次いでバネ(外径15mm、内径10.6mm、高さ1.7mm)を重ねた。その後、ステンレス鋼製キャップをかぶせて閉め、厚さ約3.2mmのコイン型電池を作製した。1カソードフィルムあたり上記(5)の6試験片をそれぞれ用いてコイン型電池を6個作製して電気化学測定システム(インピーダンスアナライザー1260型、ソーラトロン社製)により横軸のZcosθを測定して平均値を求めた。
(8)インピーダンスのバラツキ度
上記(7)における6点の測定値の最大値と最小値の差を平均値で除した値で示した。数値が小さいほどバラツキが小さい。
(9)電池容量
上記(7)と同様にポリプロピレン製ガスケットを設置したステンレス鋼製容器の底にカソードフィルム、次いでポリエーテル重合体Bとリチウムトリフルオロメタンスルホニルイミドからなる架橋高分子固体電解質フィルム(下記注参照)、ステンレス鋼製円板及びバネを順次重ね、ステンレス鋼製キャップをかぶせて閉め、厚さ約3.2mmのコイン型電池を作製した。電池容量の測定は、60℃で充放電レートを0.2Cとし、定電流法にて、所定の充放電電圧(充放電の電圧差1.5V)を2回印加した後の初期電池容量を測定した。1カソードフィルムあたり6試験片をそれぞれ用いて作製した6コイン型電池について測定した初期電池容量の平均値を求めた。単位は〔mAh/g−活物質〕。
(注)参考例2に記載のポリエーテル重合体B100部とリチウムトリフルオロメタンスルホニルイミド32部及びベンジルメチルケタール2部をテトラヒドロフランに溶解し、フッ素樹脂板に塗布、乾燥して得た厚み約100μmのフィルムに紫外線照射し、架橋した高分子固体電解質フィルムを得た。
参考例1(ポリエーテル重合体Aの製造)
ジャケット及び攪拌機付きオートクレーブを乾燥して窒素置換し、トリイソブチルアルミニウム65.1部、トルエン217.9部及びジエチルエーテル121.6部を仕込んだ。内温を30℃に設定して攪拌しながらリン酸11.26部を10分間かけて一定速度で添加した。これにトリエチルアミン5部を添加し、60℃で2時間熟成反応し、触媒溶液を得た。
オートクレーブを窒素置換し、n−ヘキサン1514部と上記触媒溶液63.3部を仕込んだ。内温を30℃に設定して、攪拌しながらエチレンオキシドを7.4部加えて反応させ、次いで、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの等重量混合単量体を14.7部加えて反応させ、シードを形成した。
内温を60℃に設定して、シードを形成した重合反応液に、エチレンオキシド439.6部(92モル%)、プロピレンオキシド50.4部(8モル%)、n−ヘキサン427.4部からなる混合溶液を5時間かけて連続的に等速度で添加した。添加終了後、反応を2時間継続した。重合反応率は98%であった。得られたスラリーに、老化防止剤として4,4´−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)の5%のトルエン溶液42.4部を添加攪拌した。ポリマークラムをろ過後、40℃で真空乾燥して粉体状のポリエーテル重合体Aを得た。
ポリエーテル重合体Aの組成は、エチレンオキシド(EO)単位91.5モル%、プロピレンオキシド(PO)単位8.5モル%であった。また、この重合体のMwは272,000、Mw/Mnは4.5であった。
参考例2(ポリエーテル重合体Bの製造)
n−ヘキサン中で、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びアリルグリシジルエーテルを用いて公知の方法によりシード重合を行い、EO単位93.5モル%、PO単位2.8モル%及びアリルグリシジルエーテル(AGE)単位3.7モル%であり、Mwが350,000、Mw/Mnが10.2であるポリエーテル重合体Bを得た。
(1)重合体組成
ポリエーテル重合体の組成は、500MHz 1H−NMR、及び13C−NMRを用いて測定した。
(2)重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件により測定した。
装置:東ソー株式会社製GPC測定装置
カラム:東ソー株式会社製G7000HHR+GMHHR−H
溶媒:ジメチルホルムアミド(リチウムブロマイド5mmol/L)
流速:1ml/min、カラム温度:40℃
分子量標準物質:ポリマーラボラトリー社製標準ポリスチレン
(3)カソードフィルム用配合剤組成物の安息角
振とう器に水平に設置した目開き1mmのJIS標準篩の10mm下方に、上端部直径70mm、深さ60mm、ノズル口径5mm、ノズル長さ35mmのガラス製漏斗の上端が来るように置き、一方、机上に置いた台座の上に直径80mm、厚さ3.5mmのステンレス鋼製の円板を、その中心が漏斗の中心の真下になるようにして水平に置き、漏斗のノズル先端とステンレス鋼製円板の表面との距離を7.5cmに保った。23℃、相対湿度60%に1昼夜置いたカソードフィルム用配合剤組成物200gを上記篩に乗せ、水平振幅0.8mm、往復回数3,000VPM(毎分往復数)で振とう器を動かして該組成物をロート下部から円板上に供給した。円板上に円錐状の堆積物が形成されて、円板の端から該組成物がこぼれ落ちる時点で該組成物の供給を止めた。次いで、堆積物に対し、水平方向と平行にレーザー光を照射し、背後のスクリーンに投影された堆積物の影像の母線と底辺とがなす角2つを測定して平均値を求めて安息角とした。
(4)限界引取り速度
フィルムの薄膜成形性の指標として、フィルムの引取り速度を当初4m/分にしてフィルムの押出しを開始し、2分間押出機を運転して安定させてからから引取り速度を1m/分上昇させ、以後同様に各速度で2分間運転後1m/分上昇させていった時に、フィルムが切れる直前の引取り速度を求め、限界引取り速度として評価した。単位は(m/分)。
(5)平均フィルム厚み
上記(4)の限界引取り速度におけるカソードフィルム試料につきデジタル膜厚計にて長さ方向に20cm間隔で6点厚みを測定し、それらの平均値を平均フィルム厚みとした。単位は(μm)。
(6)フィルム厚みのバラツキ度
上記(5)におけるカソードフィルム試料1つあたり6点の測定値の最大値と最小値の差を6点の測定値の平均値で除した値で示した。数値が小さいほどバラツキが小さい。
(7)平均インピーダンス
ステンレス鋼製容器(直径20mm、高さ3mm)のキャップとの接合面にポリプロピレン製ガスケット(外径20mm、内径16mm、高さ3mm)を設置した。直径15mmの円形に切り抜いたカソードフィルムをこの容器の底部にセットし、その上にステンレス鋼製円板(直径15mm、厚さ1mm)、次いでバネ(外径15mm、内径10.6mm、高さ1.7mm)を重ねた。その後、ステンレス鋼製キャップをかぶせて閉め、厚さ約3.2mmのコイン型電池を作製した。1カソードフィルムあたり上記(5)の6試験片をそれぞれ用いてコイン型電池を6個作製して電気化学測定システム(インピーダンスアナライザー1260型、ソーラトロン社製)により横軸のZcosθを測定して平均値を求めた。
(8)インピーダンスのバラツキ度
上記(7)における6点の測定値の最大値と最小値の差を平均値で除した値で示した。数値が小さいほどバラツキが小さい。
(9)電池容量
上記(7)と同様にポリプロピレン製ガスケットを設置したステンレス鋼製容器の底にカソードフィルム、次いでポリエーテル重合体Bとリチウムトリフルオロメタンスルホニルイミドからなる架橋高分子固体電解質フィルム(下記注参照)、ステンレス鋼製円板及びバネを順次重ね、ステンレス鋼製キャップをかぶせて閉め、厚さ約3.2mmのコイン型電池を作製した。電池容量の測定は、60℃で充放電レートを0.2Cとし、定電流法にて、所定の充放電電圧(充放電の電圧差1.5V)を2回印加した後の初期電池容量を測定した。1カソードフィルムあたり6試験片をそれぞれ用いて作製した6コイン型電池について測定した初期電池容量の平均値を求めた。単位は〔mAh/g−活物質〕。
(注)参考例2に記載のポリエーテル重合体B100部とリチウムトリフルオロメタンスルホニルイミド32部及びベンジルメチルケタール2部をテトラヒドロフランに溶解し、フッ素樹脂板に塗布、乾燥して得た厚み約100μmのフィルムに紫外線照射し、架橋した高分子固体電解質フィルムを得た。
参考例1(ポリエーテル重合体Aの製造)
ジャケット及び攪拌機付きオートクレーブを乾燥して窒素置換し、トリイソブチルアルミニウム65.1部、トルエン217.9部及びジエチルエーテル121.6部を仕込んだ。内温を30℃に設定して攪拌しながらリン酸11.26部を10分間かけて一定速度で添加した。これにトリエチルアミン5部を添加し、60℃で2時間熟成反応し、触媒溶液を得た。
オートクレーブを窒素置換し、n−ヘキサン1514部と上記触媒溶液63.3部を仕込んだ。内温を30℃に設定して、攪拌しながらエチレンオキシドを7.4部加えて反応させ、次いで、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの等重量混合単量体を14.7部加えて反応させ、シードを形成した。
内温を60℃に設定して、シードを形成した重合反応液に、エチレンオキシド439.6部(92モル%)、プロピレンオキシド50.4部(8モル%)、n−ヘキサン427.4部からなる混合溶液を5時間かけて連続的に等速度で添加した。添加終了後、反応を2時間継続した。重合反応率は98%であった。得られたスラリーに、老化防止剤として4,4´−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)の5%のトルエン溶液42.4部を添加攪拌した。ポリマークラムをろ過後、40℃で真空乾燥して粉体状のポリエーテル重合体Aを得た。
ポリエーテル重合体Aの組成は、エチレンオキシド(EO)単位91.5モル%、プロピレンオキシド(PO)単位8.5モル%であった。また、この重合体のMwは272,000、Mw/Mnは4.5であった。
参考例2(ポリエーテル重合体Bの製造)
n−ヘキサン中で、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びアリルグリシジルエーテルを用いて公知の方法によりシード重合を行い、EO単位93.5モル%、PO単位2.8モル%及びアリルグリシジルエーテル(AGE)単位3.7モル%であり、Mwが350,000、Mw/Mnが10.2であるポリエーテル重合体Bを得た。
ヘンシェルミキサ(FM10BF、三井三池化工社製、内容積9リットル)に、活物質であるコバルト酸リチウム(LiCoO2、セルシードC5−H、日本化学工業社製、平均粒径5μm)100部、導電性付与剤であるケッチェンブラック(ケッチェンブラックEC、ライオン社製、平均粒径39.5nm)5部を仕込み、撹拌翼回転数1500RPM、撹拌翼先端周速度14.4m/秒にて撹拌開始した。設定温度30℃で3分攪拌してカソードフィルム用配合剤組成物aを得た。該組成物の安息角は19度であった。
30部のポリエーテル重合体Aと、100部のカソードフィルム用配合剤組成物aおよび8部の電解質塩化合物であるリチウムトリフルオロメタンスルホニルイミド〔LiN(CF3SO2)2、キシダ化学社製〕を25mm径二軸押出機(スクリュー回転数200RPM、L/D=40)の導入部に供給して調製したポリエーテル重合体組成物Aをコートハンガーフィルムダイで押し出した。押出機の温度条件は、導入部30℃、溶融部50〜100℃、混練部180℃、ヘッド140℃、ダイ140℃であった。押し出されたフィルム(幅200mm)は冷却ロール(直径200mm)に接触させた後、引取りロール(直径200mm)で巻き取った。
カソードフィルム用配合剤組成物の安息角、得られたカソードフィルムの限界引取り速度、平均フィルム厚み、フィルム厚みのバラツキ度、該カソードフィルムを用いて作製したコイン型電池の平均インピーダンス、インピーダンスのバラツキ度及び初期電池容量につき試験、評価した結果を表1に記す。
実施例2、3及び比較例1
実施例1において、活物質及びヘンシェルミキサ運転条件を表記のようにした他は実施例1と同様に行った。実施例1と同様の試験、評価を行った結果を表1に記す。なお、実施例3はコバルト酸リチウムのかわりにマンガン酸化物リチウム(Li0.33MnO2、中央電気工業社製、平均粒径0.5μm)を用いた。
表1が示すように、安息角が35度以下であるカソードフィルム用配合剤組成物を用いることにより、カソードフィルムを高引取速度で生産性高く製造することができる。また、得られたフィルムは厚みが薄くて均一であり、それをカソードに使用して作製したコイン型電池は安定して低いインピーダンスと高い電池容量を示した(実施例1〜3)。
一方、ヘンシェルミキサでの混合が不十分なために安息角が35度を超える状態であるカソードフィルム用配合剤組成物を用いると、カソードフィルムの限界引取り速度は低くなって生産性が低下した。また、得られたフィルムは厚みが不均一であり、そのカソードフィルムのインピーダンスは高くてバラツキが大きく、初期電池容量も低い値を示した(比較例1)。
30部のポリエーテル重合体Aと、100部のカソードフィルム用配合剤組成物aおよび8部の電解質塩化合物であるリチウムトリフルオロメタンスルホニルイミド〔LiN(CF3SO2)2、キシダ化学社製〕を25mm径二軸押出機(スクリュー回転数200RPM、L/D=40)の導入部に供給して調製したポリエーテル重合体組成物Aをコートハンガーフィルムダイで押し出した。押出機の温度条件は、導入部30℃、溶融部50〜100℃、混練部180℃、ヘッド140℃、ダイ140℃であった。押し出されたフィルム(幅200mm)は冷却ロール(直径200mm)に接触させた後、引取りロール(直径200mm)で巻き取った。
カソードフィルム用配合剤組成物の安息角、得られたカソードフィルムの限界引取り速度、平均フィルム厚み、フィルム厚みのバラツキ度、該カソードフィルムを用いて作製したコイン型電池の平均インピーダンス、インピーダンスのバラツキ度及び初期電池容量につき試験、評価した結果を表1に記す。
実施例2、3及び比較例1
実施例1において、活物質及びヘンシェルミキサ運転条件を表記のようにした他は実施例1と同様に行った。実施例1と同様の試験、評価を行った結果を表1に記す。なお、実施例3はコバルト酸リチウムのかわりにマンガン酸化物リチウム(Li0.33MnO2、中央電気工業社製、平均粒径0.5μm)を用いた。
表1が示すように、安息角が35度以下であるカソードフィルム用配合剤組成物を用いることにより、カソードフィルムを高引取速度で生産性高く製造することができる。また、得られたフィルムは厚みが薄くて均一であり、それをカソードに使用して作製したコイン型電池は安定して低いインピーダンスと高い電池容量を示した(実施例1〜3)。
一方、ヘンシェルミキサでの混合が不十分なために安息角が35度を超える状態であるカソードフィルム用配合剤組成物を用いると、カソードフィルムの限界引取り速度は低くなって生産性が低下した。また、得られたフィルムは厚みが不均一であり、そのカソードフィルムのインピーダンスは高くてバラツキが大きく、初期電池容量も低い値を示した(比較例1)。
Claims (4)
- 活物質及び導電性付与剤を含有し、安息角が35度以下であるカソードフィルム用配合剤組成物。
- 少なくともポリエーテル重合体及び請求項1記載のカソードフィルム用配合剤組成物を含有するカソードフィルム用ポリエーテル重合体組成物。
- 撹拌翼を備えたヘンシェルミキサを用いて活物質及び導電性付与剤を混合して、請求項1記載のカソードフィルム用配合剤組成物を調製する方法であって、
混合を、撹拌翼先端の周速度5〜50m/秒にて行うことを特徴とするカソードフィルム用配合剤組成物の調製方法。 - 少なくともポリエーテル重合体及び請求項1記載のカソードフィルム用配合剤組成物を押出機に供給して両者を混合しつつ押出成形することを特徴とするカソードフィルムの製造方法。
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