JP3503697B2 - 非水電解質電池 - Google Patents

非水電解質電池

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JP3503697B2 JP2000324472A JP2000324472A JP3503697B2 JP 3503697 B2 JP3503697 B2 JP 3503697B2 JP 2000324472 A JP2000324472 A JP 2000324472A JP 2000324472 A JP2000324472 A JP 2000324472A JP 3503697 B2 JP3503697 B2 JP 3503697B2
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鈴木  勲
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    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非水電解質電池お
よびこれに用いられる複合活物質およびその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯用電子機器の発展がめざまし
いため、その電源に使用される電池の高性能化が早急に
求められている。その要求を満たす電池の一つとして、
金属の中で最も卑な電位を示し、かつ比重も小さいリチ
ウムが負極活物質に用いられたリチウム二次電池が期待
されたが、その電池は充放電サイクルを繰り返したと
き、リチウムのデントライトが析出するため、じゅうぶ
んなサイクル寿命が得られないだけでなく、そのデント
ライトが内部短絡の原因となるため、安全性に問題があ
った。
【0003】そのため、負極活物質として、リチウムの
デンドライトが析出しにくいグラファイトやカーボンな
どの炭素材料を使用し、かつ正極活物質として、コバル
ト酸リチウムやニッケル酸リチウムなどを使用したリチ
ウムイオン二次電池が考案された。近年、この電池は高
エネルギー密度電池として用いられている。
【0004】また、リチウムイオン電池などの非水電解
質電池に使用される正極活物質は電子伝導性が低いため
に、前記正極活物質はアセチレンブラックなどの導電剤
とともにアルミニウム等の集電体に塗布されている。リ
チウムイオン電池などの非水電解質電池は活物質、導電
剤、結着剤、集電体およびセパレータなど種々の材料で
構成される。
【0005】ところが、このために、材質の違いに起因
して、電解液に対する各部材の濡れやすさが大きく異な
り電池の各構成要素が電解液で均一に濡れなくなって、
電流分布が不均一となる。そのため、局所的に電流が集
中して電池の高率放電特性が低下するという問題が生じ
る場合があった。
【0006】また、寿命試験中には電池内の電解液が減
少するため、電解液に対する濡れ性の悪い部分の電解液
が電解液に対する濡れ性の良い部分に吸収されて電解液
が部分的に不足した状態となり、電池の寿命性能が低下
するという問題があった。さらに、このような問題があ
るために電池内の有機電解液を減らすのが難しく、可燃
性のある有機電解液を減らすことによる安全性能の向上
という方法を採用することが出来なかった。
【0007】また、負極活物質として炭素材料が用いら
れる場合には、初期還元時に炭素材料表面で電解液の分
解がおこり、その分解生成物によって炭素材料表面に皮
膜が生成される不可逆反応がおこる。そして、このため
に、電池のなかの正極活物質に含まれるリチウム量が限
られていることとの関係で電池の可逆容量の減少を引き
起こしている。
【0008】さらに、負極に炭素材料を用いたリチウム
イオン二次電池は金属リチウムを用いたリチウム二次電
池と比較すると安全であるが、外部からの加熱や内部短
絡などによって電池が高温になったときには、リチウム
を吸蔵した炭素粒子と電解液との発熱反応を起こし、正
極での熱暴走を生じさせることが有り得るため、他の手
段設けることによってこのようなことを防止している。
【0009】このような炭素材料と電解液との反応はそ
れらの接触界面で生じるため、炭素材料の表面をポリマ
ーで被覆することによって、負極での不可逆容量を減少
させることができ、発熱反応を抑制することができる。
【0010】そして例えば、リチウムイオンを吸蔵・放
出できる炭素材料の表面にポリマー電解質を被覆するこ
と(特開平7−235328号)または炭素材料の表面
をポリマーとアルカリ金属塩とからなるポリマー膜によ
って被覆すること(特開平8−306353号)によっ
て、初期充電時に負極から生じるガス発生を防止すると
いう技術が公開されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな技術を用いても、高率放電特性の低下、寿命性能の
低下、負極に炭素材料を用いた場合の電解液との反応を
十分に抑制することができなかった。
【0012】本発明は、以上のような問題を解決しよう
とするものである。
【0013】
【課題を解決する為の手段】本発明は、活物質表面をポ
リマーで被覆する方法で上記のような問題が解決されな
い理由が、ポリマーの被覆量が不適切であったこと、ま
た、ポリマーを形成する方法が不適切であったことを見
出すことによりなされたものであり、さらに、適切な被
覆量や適切な形成方法を用いた場合に、ポリマーの形態
や材質を特定のものにすることによって、よりその特性
を向上させることを見出したことによって成されたもの
である。
【0014】 本願発明の複合活物質は、正極活物質表
面に含有率が0.01重量%〜5重量%の量の有孔性ポ
リマーが備えられていることを特徴とするものである。
【0015】そして、このような複合活物質によれば、
例えば、非水電解質電池の活物質として用いることによ
り、上記のような電解液の濡れ性に起因する問題を解決
することができる。
【0016】 正極活物質表面に有孔性ポリマーを備え
た複合活物質において、有孔性ポリマーの含有率として
は、より好ましくは0.1重量%〜1重量%であるのが
良い。
【0017】また、活物質が炭素系活物質である場合に
は、表面に備える有孔性ポリマーの含有率を0.04重
量%〜4重量%とするのがより好ましく、このような複
合活物質によれば、例えば、非水電解質電池の負極活物
質として用いることにより、上記電解液との反応に起因
する問題が解決される。また、当然に上記濡れ性に関す
る問題も解決される。
【0018】なお、本願において含有率とは、表面に備
えられた有孔性ポリマーの重量の複合活物質の重量に対
する百分率である。
【0019】本願発明の複合活物質では、有孔性ポリマ
ーが表面に備えられていることで、この有孔性ポリマー
をポリマー電解質とすることによって、また、有孔性
リマーに電解質の保持とイオン通路の形成のための孔を
設けることによって、活物質表面の電解質の分布状態を
均一にすることが可能となる。これは、有孔性ポリマー
による電解質の保持性能が増加し、また、イオンが活物
質に移動しやすくなるためである。
【0020】さらに、上記本願発明の複合活物質におい
ては、上記いずれの構造を取る場合にも有孔性ポリマー
としてはフッ素を含んでいるものが好ましい。これは、
このような有孔性ポリマーではその耐久性が優れるため
であって、特に、非水電解質電池の活物質として用いら
れる場合にこのような有孔性ポリマーを備えたものが好
ましい。
【0021】本願発明の複合活物質の製造方法は、活物
質表面にポリマー溶液を担持させる工程を経ることを特
徴とするものである。
【0022】この方法によれば、例えば、界面状態を最
適にすることができ、ポリマーの機能を効果的に発揮さ
せることが出来る。また、分子レベルといったようなサ
イズの小さい活物質を用いた製造にも対応できる。
【0023】また、この方法は、上記本願発明の複合活
物質の製造方法として適しており、例えば、溶液の濃度
を調節するだけでポリマーの含有率を制御できるという
利点を有する。
【0024】この方法において用いられるポリマー溶液
の粘度としては、20mPa・s以下であるのが適して
おり、より好ましくは、10mPa・s以下であるのが
よく、このような粘度のポリマー溶液に活物質を浸漬す
ることによりポリマー溶液を担持させるのが好ましい。
【0025】さらに、ポリマー溶液を担持させる方法と
しては、上記いずれの方法による場合にも、第1の圧力
雰囲気下でポリマー溶液に活物質が浸漬された状態を経
る第1の浸漬工程と、第1の圧力雰囲気の圧力より大きな
圧力を有する第2の圧力雰囲気下でポリマー溶液に活物
質が浸漬された状態を経る第2の浸漬工程とを有し、第1
の浸漬工程に続いて第2の浸漬工程を行うことによって
上記ポリマー溶液を活物質表面に担持させる方法が好ま
しい。
【0026】また、活物質表面にポリマー溶液を担持さ
せた後には、表面に担持されたポリマー溶液から該溶液
中のポリマーを相分離させるのが複合活物質の製造方法
として好ましい。
【0027】そして、上記相分離の方法としては、上記
ポリマー溶液中のポリマーの非溶媒に上記ポリマー溶液
の担持された活物質を浸漬することにより相分離を行う
方法が好ましい。
【0028】本願発明の電極は、上記本願発明の複合活
物質または本願発明の製造方法により製造された活物質
を備えたことを特徴とする電極であり、特にこの電極
は、非水電解質電池の電極として好ましいものである。
【0029】そして、上記本願発明の電極は、その表面
に有孔性ポリマーを備えるようにするのが好ましく、ま
た、複合活物質間で形成された孔に有孔性ポリマーを備
えるようにするのが好ましい。さらに、複合活物質間に
形成された孔を有する多孔性の電極とし、前記孔に有孔
性ポリマーを備えると共に表面に有孔性ポリマーを備え
るようにするのも好ましい。
【0030】このような本願発明の電極は、上記本願発
明の複合活物質または本願発明の方法により製造された
複合活物質を用い、これを含む混合物を集電体に塗布す
る工程を用いることにより好適に製造することができ
る。本願発明の非水電解質電池は、本願発明の複合活物
質、本願発明の方法により製造された複合活物質、また
は本願発明の電極が用いられていることを特徴とするも
のである。
【0031】
【0032】また、上記本願発明の非水電解質電池にお
いて、有孔性ポリマーがセパレータとして用いられてい
るものは性能の優れた電池となるため好ましい。
【0033】
【発明の実施の形態】本願発明の複合活物質は、正極
物質表面に有孔性ポリマーを備えた活物質であって、そ
の有孔性ポリマーの含有率が0.01〜5重量%であ
る。
【0034】 正極活物質が電解液を均一に保持するた
めには、0.01重量%以上の有孔性ポリマーを備えて
いる必要があり、また、有孔性ポリマーが正極での充放
電反応や集電性を妨げないためには、正極活物質に備え
られた有孔性ポリマーの量が5重量%以下である必要が
ある。
【0035】 これは、例えば、正極活物質表面が大量
の有孔性ポリマーで被覆されているときには、濡れ性の
改善以上に有孔性ポリマーによる充放電反応の阻害や集
電性の低下が大きいため、また、正極活物質表面が少な
すぎる量の有孔性ポリマーで被覆されているときには、
電解液を十分に保持することができないためと考えられ
る。
【0036】活物質を正極活物質とした本願発明の複合
活物質を正極に用いた非水電解質電池では、その正極活
物質に備えられたポリマーが電解液を保持することが可
能であるため、正極での電流分布が均一になる。したが
って、電池の高率放電特性と安全性とが向上する。さら
に、正極での電解液の不足がおこりにくいため、良好な
寿命性能が得られる。
【0037】また、表面にポリマーが備えられた正極活
物質において、そのポリマーを有孔性ポリマーとするこ
とが望ましい。有孔性ポリマーは孔を有しているため、
その孔の中の電解液をとおってリチウムイオンが速やか
に拡散でき、さらに毛管現象によって電解液がポリマー
に保持されやすく、かつその比表面積は大きいため、有
孔性ポリマーは電解液に湿潤または膨潤しやすい。した
がって、正極活物質表面に有孔性ポリマーが備えられた
複合活物質を使用した非水電解質電池の寿命性能と高率
放電性能とは表面に孔を有さないポリマーが備えられた
正極活物質を使用した非水電解質電池のそれと比較して
向上する。
【0038】また、上記ポリマーまたは有孔性ポリマー
としてフッ素を含むポリマーを使用すると、フッ素を含
むポリマーは正極において電気化学的に安定であるた
め、非水電解質電池は、他種のポリマーを表面に備えた
複合活物質を使用した非水電解質電池と比較して寿命性
能が良好となる。
【0039】本願発明の複合活物質では、正極活物質、
特に非水電解質リチウム二次電池用正極活物質として
は、リチウムを吸蔵放出可能な化合物であればなんでも
よく、無機化合物としては、組成式LixMO2またはL
y24(ただし、Mは遷移金属、0≦x≦1、0≦y
≦2)で表される複合酸化物、トンネル状の孔を有する
酸化物、層状構造の金属カルコゲン化物、オキシ水酸化
物等を用いることができる。その具体例としては、Li
CoO2、LiNiO2、LiMn24、Li2Mn
24、MnO2、FeO2、V25、V613、TiO2
TiS2、NiOOHLiなどが挙げられ、特にLiC
oO2、LiNiO2、LiMn24、NiOOHLiが
本願発明の複合活物質用活物質として適している。ま
た、遷移金属Mの一部を他の元素で置換した無機化合物
を用いてもよく、たとえば、LiNi0.80Co
0.202、LiNi0.80Co0.17Al0.032などが挙げ
られる。さらに、無機化合物、有機化合物を問わず、上
記各種活物質を混合して用いてもよい。また、その形状
は、基本的には、繊維状、粒状等どのようなものでも良
く、分子レベルの大きさのものでもかまわない。
【0040】また、本願発明の複合活物質では、負極活
物質、特に非水電解質リチウム二次電池用負極活物質と
しては、炭素粒子等の炭素系活物質が良く、この表面に
含有率が0.04〜4重量%の量の有孔性ポリマーを備
えた複合活物質が良い。この複合活物質を負極に使用し
た非水電解質電池では、0.04重量%以上の有孔性
リマーを備えているため、その負極活物質に備えられた
有孔性ポリマーが十分な電解液を保持することが可能で
あるため、負極での電流分布が均一になる。したがっ
て、電池の高率放電特性と安全性とが向上する。さら
に、リチウムを吸蔵した炭素粒子と電解液との発熱反応
が抑制され、かつ負極での不可逆容量が減少される。ま
た、有孔性ポリマーの量が4重量%以下であるため、
孔性ポリマーが負極での充放電反応や集電性を妨げな
い。
【0041】
【0042】
【0043】本願発明で用いられる炭素系活物質として
は、グラファイト、カーボンなどの炭素材料が挙げられ
る。炭素材料としては、コークス、メソカーボンマイク
ロビーズ(MCMB)、メソフェーズピッチ系炭素繊
維、熱分解気相成長炭素繊維などの易黒鉛化性炭素、フ
ェノール樹脂焼成体、ポリアクリロニトリル系炭素繊
維、擬等方性炭素、フルフリルアルコール樹脂焼成体な
どの難黒鉛化性炭素、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛化MC
MB、黒鉛化メソフェーズピッチ系炭素繊維、黒鉛ウイ
スカーなどの黒鉛質材料、またはこれらの混合物があ
る。また、その形状は、基本的には、繊維状、粒状等ど
のようなものでも良く、分子レベルの大きさのものでも
かまわないが、好ましくは、粒状のものが良い。
【0044】本願発明の複合活物質の概念図を図1に示
す。図1において、1は活物質、2はポリマー、3は有
孔性ポリマーを示す。本願では、表面に備えられたポリ
マーの含有率は、(ポリマーの重量/複合活物質の重
量)×100で定義される。複合活物質がポリマーと活
物質のみから構成される場合には、ポリマーの重量+活
物質の重量=複合活物質の重量となる。また、この含有
率は、複合活物質1個について求められる値ではなく、
複合活物質の集合体の平均値として求められるものであ
る。しかしながら、各複合活物質がすべて本願発明の所
定の含有率を満たしているのが好ましいことには変わり
ない。
【0045】本発明では、活物質の表面に備えられたポ
リマーの含有率(重量%)は、たとえば以下のような方
法で求められる。ポリマーを備えた活物質またはポリマ
ーを備えた活物質を使用した極板をそのポリマーの溶媒
に浸漬することによって、そのポリマーを抽出し、その
ポリマーの重量またはその活物質の重量を測定する方法
がある。また、示差走査熱量測定(DSC)を使用した
方法がある。まずはじめに、ポリマーを備えた活物質ま
たはポリマーを備えた活物質を使用した極板のDSCを
おこない、ポリマーXgの融解ピークの面積Q1を求め
る。つぎに、ポリマーAgの融解ピークの面積Q2を測
定し、式X=(Q1/Q2)×Aから活物質表面に備え
られたポリマーの重量を求める。ポリマーを備えた活物
質を使用した極板に含まれる結着剤のポリマーの重量も
上記の方法と同様にして計算することができる。また、
熱重量測定(TG)を使用した方法がある。まずはじめ
に、ポリマーを備えた活物質またはポリマーを備えた活
物質を使用した極板のTGをおこない、その重量変化
(dW1)を測定する。つぎに、一定量の前記ポリマー
および一定量の前記活物質のTGをおこない、それらの
重量変化(dW2、dW3)を測定して、dW1と(d
W2、dW3)とから活物質表面に備えられたポリマー
の重量を相対的に計算することができる。また、ポリマ
ーを備えた活物質を使用した極板に含まれる結着剤のポ
リマーの重量も上記の方法と同様にして計算することが
できる。
【0046】本願発明における有孔性ポリマーでは、孔
またはすき間を有するポリマーが電解液に湿潤または膨
潤することによって、そのポリマーの孔部分の電解液を
リチウムイオンが移動できることが好ましく、さらにそ
のポリマー中もリチウムイオンが移動できることが望ま
しい。さらに、本願発明における有孔性ポリマーでは、
そのポリマーが網目状構造を形成していることが好まし
い。また、本願発明における有孔性ポリマーは、多孔度
が40〜90%であることが望ましく、さらに好ましく
は、50〜75%であることが望ましい。
【0047】本願発明の電極は、本願発明の複合活物質
を用いて製作される。これによって、電極中にポリマー
または有孔性ポリマーが均一に分布することができるた
め、電流密度が均一になり、電池の寿命性能と高率放電
性能と安全性とが向上する。
【0048】さらに、電極の表面に有孔性ポリマーが備
えられることによって、セパレータと電極との密着性が
向上するため、セパレータと電極との間で電解液の不足
も生じないため、電池の寿命性能と高率放電性能とが著
しく向上する。一方、表面にポリマーを備えない活物質
を使用した電極の表面に有孔性ポリマーが備えられてい
るときは、その電極表面の有孔性ポリマーの部分が電解
液を吸収するため、電極内部の活物質周辺の電解液が不
足する。したがって、その電極を使用した非水電解質電
池の寿命性能と高率放電性能とは従来の電池と比較して
低下する。
【0049】なお、本願発明の表面に有孔性ポリマーが
備えられた電極において、有孔性ポリマーがセパレータ
の役割をするときも、同じ理由で電池の寿命性能と高率
放電性能とが向上する。表面に備えられた有孔性ポリマ
ーの厚みをそれぞれTp、Tnとし、セパレータの厚み
をTsとしたときに、5μm<(Tp+Tn+Ts)<
50μmであることが望ましく、さらに好ましくは(T
p+Tn+Ts)<25μmである。
【0050】さらに、本願発明の複合活物質間に形成さ
れた孔を有する多孔性の電極であって、前記孔に有孔性
ポリマーが備えられていることを特徴とする電極では、
孔中の有孔性ポリマーによって、前記孔にも電解液が保
持されるため、電池の寿命性能が著しく良好となる。一
方、表面にポリマーを備えない活物質を使用した電極の
孔に有孔性ポリマー電解質が備えられているときは、活
物質の細孔部分の電解液が不足するため、さらに有孔性
ポリマー電解質が電極内に均一に分布しにくいため、そ
の電池の高率放電性能は従来の電池のそれと比較して低
下する。
【0051】なお、本願発明の電極においては、複合活
物質と電極表面とに備えられた有孔性ポリマーを除いた
電極孔中に備えられた有孔性ポリマーの重量%を0.1
重量%<(有孔性ポリマー重量/(複合活物質+導電剤
+結着剤)重量)×100重量%<30重量%とするこ
とが望ましい。
【0052】また、有孔性ポリマーがセパレータとして
使用されることを特徴とする本願発明の非水電解質電池
では、セパレータ部分で電解液の不足が生じないため、
電池の寿命性能と高率放電性能とが良好となる。
【0053】本願発明において用いられるポリマーは、
電池として完成された状態で電解質として働くか、電解
質と同様に働くようにして用いられる。すなわち、電解
質として働くようにする場合には、ポリマーとしてポリ
マー電解質が用いられ、電解質と同様に働くようにする
場合には、ポリマーを多孔性にする等して、ポリマー中
に電解質が保持され、この部分が電解質として働くよう
にする。ポリマー電解質を用いる場合には、真性ポリマ
ー電解質としても良いし、ゲル状ポリマー電解質として
も良い。ゲル状ポリマー電解質が用いられる場合には、
例えば電解液が注入されてはじめてポリマー電解質が形
成される。
【0054】ポリマーの材質としては、充放電による活
物質の体積膨張収縮に追随した形状変化ができる柔軟性
があるものが好ましく、さらに、電解液で湿潤または膨
潤するものが好ましい。なお、柔軟性は、電池に組まれ
た状態で有しておればよい。
【0055】具体例としては、ポリビニリデンフルオラ
イド(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ
ビニルフルオライド(PVF)、ビニリデンフルオライ
ド/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(P(VdF
/HFP))などのフッ素を含むポリマーがもっとも好
ましく、フッ素を含むポリマーは、他のポリマーと比較
すると電気化学的に安定であるため、正極、負極および
セパレータのすべてに使用することができるため、電池
内の電解液の分布を均一にすることができ、電池の寿命
性能や高率放電性能が良好となる。
【0056】
【0057】
【0058】本願発明の電池では、従来の非水電解質電
池の電解液量は正極と負極とセパレータとの孔部分の合
計体積の130%〜150%であるのに対し、電解液量
を正極と負極とセパレータとの孔部分の合計体積の20
%以上100%以下とすることができ、これによって電
池内の電解液量が減少して電池の安全性が向上するので
好ましい。さらに、より高率放電性能の優れた電池を製
作するためには、電解液量を正極と負極とセパレータと
の孔部分の合計体積の40%以上とすることが望まし
い。
【0059】活物質表面にポリマーが備えられた複合活
物質の製造方法としては、ポリマーを含む溶液、乳濁液
または懸濁液に活物質を浸漬する工程を含む製造方法、
ポリマーを含む粉末と活物質とを混合する工程を含む製
造方法、または活物質にポリマーを含む溶液、乳濁液ま
たは懸濁液を散布する工程を含む製造方法などがある
が、ポリマーを含む溶液に活物質を浸漬する工程を含む
製造方法がとくに好ましい。また、それらの工程のあ
と、ポリマーを含む溶液、乳濁液または懸濁液と活物質
との混合液を濾過する工程を含む製造方法が好ましい。
さらに、この濾過工程のあとに、ポリマーを含む溶液、
乳濁液または懸濁液を含んだ活物質を乾燥する工程を含
む製造方法が好ましい。また、浸漬などの工程から乾燥
工程までを繰り返すことによって、活物質の表面に備え
られたポリマー電解質の含有率を調整することができ
る。
【0060】なお、活物質の形態は、粉末状態でも、凝
集した状態でも良いが、粉末状態であることが望まし
い。
【0061】また、活物質の表面が均一にポリマーで被
覆されることが望ましいため、活物質粒子の細孔内およ
び活物質粒子間にポリマー溶液が均一に保持される必要
がある。たとえば、ポリマー溶液の粘度が高いときは、
活物質粒子の細孔内および活物質粒子間にポリマー溶液
が浸入しにくいため、活物質の表面が均一にポリマーで
被覆されない。そこで、表面にポリマー電解質が備えら
れた正・負極活物質の製造方法において、ポリマーを含
む溶液、乳濁液または懸濁液の粘度を20mPa・s以
下とすることが好ましく、さらにポリマーを含む溶液、
乳濁液または懸濁液の粘度を10mPa・s以下とする
ことが好ましい。さらに、本発明では、粘度20mPa
・s以下のポリマー溶液に活物質を浸漬する工程を含む
製造方法が望ましく、粘度10mPa・s以下のポリマ
ー溶液に活物質を浸漬する工程を含む製造方法がさらに
好ましい。
【0062】また、第1の圧力雰囲気にポリマーと活物
質の混合物を置き、この後第1の圧力雰囲気をこれより
大きな圧力を有する第2の圧力雰囲気とする工程を経る
方法が好ましく、特に、第1の圧力雰囲気でポリマー溶
液に活物質を浸漬し、この後第1の圧力雰囲気をこれよ
り大きな圧力を有する第2の圧力雰囲気とする工程を経
ることにより上記ポリマー溶液を活物質に担持させる方
法が好ましい。例えば、圧力50Torr以下の雰囲
気、好ましく圧力1Torr以下でポリマー溶液に活物
質を浸漬し、この後大気圧に戻す工程を含む製造方法が
好ましい。
【0063】さらに、ポリマーを含む溶液、乳濁液また
は懸濁液または/および活物質を30〜200℃の温度
に加熱する工程を含む製造方法、ポリマーを含む溶液、
乳濁液または懸濁液または/および活物質を攪拌、振動
または流動させる工程を含む製造方法等が望ましい。
【0064】また、ポリマーを含む溶液、乳濁液または
懸濁液に活物質を浸漬したのち、そのポリマーを相分離
させる工程を含む製造方法、活物質にポリマーを含む溶
液、乳濁液または懸濁液を散布したのち、そのポリマー
を相分離させる工程を含む製造方法などがあるが、本発
明ではポリマー溶液に活物質を浸漬したのち、ポリマー
溶液からポリマーを相分離させる工程を含む製造方法が
とくに好ましく、さらにポリマー溶液に活物質を浸漬し
たのち、その活物質をポリマーの非溶媒に浸漬する工程
を含む製造方法が好ましい。また、ポリマーを相分離さ
せる工程の前または/およびあとに、ポリマーを含む溶
液、乳濁液または懸濁液と活物質とを含む混合液を濾過
する工程を含む製造方法が好ましい。さらに、その濾過
工程のあとに、ポリマーを含む溶液、乳濁液または懸濁
液を含んだ活物質を乾燥する工程を含む製造方法が好ま
しい。
【0065】活物質の形態は、粉末状態でも、凝集した
状態でも良いが、粉末状態であることが望ましい。ま
た、浸漬などの工程から乾燥工程までを繰り返すことに
よって、活物質の表面に備えられたポリマー電解質の含
有率を調整することができる。
【0066】また、ポリマーを溶媒aに溶解した溶液b
からポリマーを相分離させることによって、有孔性ポリ
マーを製造する方法としては、溶液bからの溶媒aの抽
出、溶液bの加熱または冷却による温度変化、溶媒aの
蒸発による濃度変化などが挙げられるが、とくに好まし
い製造方法は、溶液bから溶媒aを抽出する方法、すな
わち溶媒抽出法である。溶媒抽出法では2種類の溶媒a
と溶媒cが使用される。溶媒aはポリマーを溶解する溶
媒である。溶媒cは、溶液bから溶媒aを抽出する抽出
用溶媒である。溶液bは、溶媒aとポリマーとを含むも
のである。溶媒抽出法は、ポリマーを溶解した溶液b
を、ポリマーと非相溶性であり、かつ溶媒aと相溶性で
ある溶媒c中に浸漬することによって、ポリマー溶液b
の溶媒aを抽出する方法である。これによって、ポリマ
ーの溶媒aが除去された部分が孔となるため、有孔性ポ
リマーが得られる。
【0067】溶媒抽出法では、ポリマーの開口部に円形
の孔が形成される。本発明における「ポリマーの非溶
媒」とは溶媒cのことである。また、溶液bの加熱また
は冷却による温度変化を利用した製造方法の一例を述べ
る。低温においてポリマーが溶媒dに溶解しにくく、温
度を上昇させたときに溶解するようなポリマーと溶媒d
との組み合せにおいて、温度を上昇させてポリマーを溶
媒dに溶解したあと、溶液eの温度を下げると、溶媒d
に対してポリマーが過飽和となり、溶液e中でポリマー
と溶媒dとが相分離する。このような相分離をおこした
ポリマーと溶媒dとの溶液eから、溶媒dを除去するこ
とによって有孔性ポリマーが得られるものである。
【0068】本願発明の製造方法において用いられるポ
リマーは、上記本願発明の複合活物質、電極、非水電解
質電池において用いられるポリマーと同じものであり、
本発明の製造方法において用いられるポリマーの溶媒と
しては、これらポリマーが溶解できるものであればよ
い。
【0069】例えば、プロピレンカーボネート、エチレ
ンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカー
ボネート、エチルメチルカーボネートなどの炭酸エステ
ル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチ
ルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル、メチ
ルエチルケトン、アセトンなどのケトン、ジメチルホル
ムアミド、ジメチルアセトアミド、1−メチル−ピロリ
ジノン、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられ
る。このなかでポリマーを溶解する溶媒aとしては、プ
ロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチ
ルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチル
カーボネートなどの炭酸エステル、ジメチルエーテル、
ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、テトラヒド
ロフランなどのエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメ
チルアセトアミド、1−メチル−ピロリジノン、N−メ
チル−2−ピロリドンなどが好ましい。また、ポリマー
を溶解する溶媒dとしては、メチルエチルケトン、アセ
トンなどのケトン、プロピレンカーボネート、エチレン
カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボ
ネート、エチルメチルカーボネートなどの炭酸エステ
ル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチ
ルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル、ジメ
チルホルムアミドなどが挙げられるが、とくにケトンが
良く、そのなかでもメチルエチルケトンが良い。
【0070】すなわち、特定のポリマーを使用すると
き、溶媒dとしては、低温においてポリマーが溶媒dに
溶解しにくく、温度を上昇させたときにポリマーが溶解
しやすいような溶媒dが好ましい。具体的には、ケトン
が良く、そのなかでもメチルエチルケトンが良い。その
ような溶媒dを使用することにより、温度を上昇させて
ポリマーを溶媒dに溶解したあと、そのポリマー溶液の
温度を徐々に下げると、溶媒dに対してポリマーが過飽
和となり、ポリマー溶液中でポリマーと溶媒dとが分離
する。このような相分離をおこしたポリマーと溶媒dと
の溶液から、溶媒dを除去することによって有孔性ポリ
マーが得られる。
【0071】ポリマー溶液から溶媒aを抽出するための
溶媒cとしては、前記ポリマーと非相溶性であり、溶媒
aと相溶性があればなんでもよく、例えば水、アルコー
ル、アセトンなどが挙げられ、あるいはこれらの混合溶
液を使用してもよい。
【0072】溶液bから溶媒aが抽出される工程が迅速
におこなわれるためには、抽出用溶媒cの温度が30℃
以上であることが好ましく、また、抽出用溶媒cの温度
がポリマーの融点から5℃以上低い温度であることが望
ましい。さらに抽出用溶媒cの温度が60℃以下である
ことが好ましい。また、溶液bから溶媒aが抽出される
工程が迅速におこなわれるためには、抽出用溶媒cを攪
拌、振動または流動させることが好ましい。
【0073】有孔性ポリマー電解質の他の製造方法とし
ては、紫外線照射などによってポリマーに孔を開ける製
造方法などがある。
【0074】本願発明の製造方法において使用すること
のできる活物質は、上記本願発明の複合活物質において
用いられる活物質と同じであり、本願発明の電極、特に
非水電解質電池用電極は以下のような方法によって製造
される。
【0075】活物質を含む混合物を成形する工程を含む
製造方法、活物質を含む混合物を集電体に塗布する工程
を含む製造方法などがあるが、本願発明の複合活物質を
含む混合物を集電体に塗布する工程を含む製造方法が好
ましい。
【0076】さらに、その工程で使用される活物質を含
む混合物中には結着剤を含んでいることが好ましく、具
体的には、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキ
シド等のポリエーテル、ポリエチレン、ポリプロピレン
等のポリオレフィン、ポリビニリデンフルオライド(P
VdF)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルフ
ルオライド、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、
ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリ
メチルアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリメタ
クリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルピ
ロリドン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリカプロラク
タム、ポリウレタン、ポリエチレンイミン、ポリブタジ
エン、ポリスチレン、ポリイソプレン、カルボキシメチ
ルセルロース、メチルセルロースおよびこれらの誘導体
を単独であるいは混合して用いることができる。
【0077】また、ポリマーとして、これらのポリマー
を構成する各種モノマーを含むポリマーを用いてもよ
く、具体的には、ビニリデンフルオライド/ヘキサフル
オロプロピレンコポリマー(P(VdF/HFP))、
スチレンブタジエンゴムなどを用いることもできる。こ
れらの中では、PVdF、 P(VdF/HFP)、ポ
リエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリビ
ニルアルコール、スチレンブタジエンゴム、カルボキシ
メチルセルロース、メチルセルロースおよびこれらの誘
導体が好ましい。さらに、その工程で使用される活物質
を含む混合物中には導電剤を含んでいても良く、さらに
正極活物質を含む混合物中には導電剤を含んでいること
が望ましく、具体的にはカーボン、アセチレンブラッ
ク、グラファイトなどがあげられる。
【0078】本願発明の複合活物質を使用した非水電解
質電池用電極の表面に有孔性ポリマー電解質を備えた電
極の製造方法としては、以下の方法が挙げられる。電極
表面にポリマーを含む溶液、乳濁液または懸濁液を設定
重量の範囲で塗布する方法としては、電極表面にポリマ
ーを含む溶液、乳濁液または懸濁液を前記設定重量より
も多めに塗布したあとに、余分なポリマーを含む溶液、
乳濁液または懸濁液を取り除く方法、および設定重量の
範囲のポリマーを含む溶液、乳濁液または懸濁液を電極
に転移させる方法等がある。また、これらの工程は電極
をプレスしたあとに実施されることが望ましい。具体的
には、本願発明の複合活物質を使用した非水電解質電池
用電極をプレスしたあとに、その電極をポリマーを含む
溶液、乳濁液または懸濁液中に浸漬し、その電極を取り
出し、その電極の表面に付着したポリマーを含む溶液、
乳濁液または懸濁液をローラーやブレードなどで取り除
き、塗布面を平坦化する工程を含む製造方法、本願発明
の複合活物質を使用した非水電解質電池用電極をプレス
したあとに、ポリマーを含む溶液、乳濁液または懸濁液
を前記電極表面に塗布して、その電極の表面に付着した
ポリマーを含む溶液、乳濁液または懸濁液をローラーや
ブレードなどで取り除き、塗布面を平坦化する工程を含
む製造方法、設定重量の範囲のポリマーを含む溶液、乳
濁液または懸濁液をロールまたは板の上に塗布したの
ち、本願発明の複合活物質を使用したプレスあとの非水
電解質電池用電極にそのロールまたは板からポリマーを
含む溶液、乳濁液または懸濁液を転移させる工程を含む
製造方法などがある。
【0079】本願発明の複合活物質を使用した非水電解
質電池用電極の孔に有孔性ポリマー電解質を備えさせる
製造方法としては、以下の方法が挙げられる。まず、そ
の電極の孔中にポリマーを含む溶液、乳濁液または懸濁
液を含有させる方法としては、本願発明の複合活物質を
使用した非水電解質電池用電極をポリマーを含む溶液、
乳濁液または懸濁液に浸漬することにより、ポリマーを
含む溶液、乳濁液または懸濁液を電極孔中に浸透させる
工程を含む製造方法、本願発明の複合活物質を使用した
非水電解質電池用電極の表面にポリマーを含む溶液、乳
濁液または懸濁液を塗布し、浸透圧によって電極孔中に
ポリマーを含む溶液、乳濁液または懸濁液を浸透させる
工程を含む製造方法等がある。このあと、その電極孔中
のポリマーを含む溶液、乳濁液または懸濁液からポリマ
ーを相分離させることによって、電極孔中に有孔性ポリ
マー電解質を形成する。相分離の方法は前に述べた方法
と同様であるが、特に好ましいのは本願発明の複合活物
質を使用した非水電解質電池用電極をポリマー溶液に浸
漬したのち、ポリマー溶液からポリマーを相分離させる
工程を含む製造方法であり、さらに本願発明の複合活物
質を使用した非水電解質電池用電極をポリマー溶液に浸
漬したのち、その電極をポリマーの非溶媒に浸漬する工
程を含む製造方法が好ましい。
【0080】さらに、本願発明の複合活物質を使用した
非水電解質電池用電極の孔に有孔性ポリマー電解質を備
えさせる製造方法において、電極孔中に有孔性ポリマー
電解質を均一に備えさせる方法としては、ポリマーを含
む溶液、乳濁液または懸濁液または/および電極を30
〜200℃の温度に加熱する方法、さらに好ましくはポ
リマーを含む溶液、乳濁液または懸濁液または/および
電極を60℃以下の温度に加熱する方法があり、さらに
ポリマーを含む溶液、乳濁液または懸濁液を保持した電
極を減圧状態に置く方法、ポリマーを含む溶液、乳濁液
または懸濁液を攪拌または流動させる方法、ポリマーを
含む溶液、乳濁液または懸濁液または/および電極を振
動させる方法等がある。さらに、電極孔中に有孔性ポリ
マー電解質を備えさせる工程は、電極をプレスする前に
実施されることが望ましい。また、電極表面に付着した
余分なポリマーを含む溶液、乳濁液または懸濁液はその
電極をローラーなどに通すことによって取り除かれるこ
とが望ましい。
【0081】電解液の溶媒としては、エチレンカーボネ
ート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、
エチルメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、スル
ホラン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1、2−ジ
メトキシエタン、1、2−ジエトキシエタン、テトラヒ
ドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキソ
ラン、メチルアセテートなどの極性溶媒、もしくはこれ
らの混合物を使用してもよい。
【0082】電解液溶媒に含有させる塩としては、Li
PF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiS
CN、LiI、LiCF3SO3、LiCl、LiBr、
LiCF3CO2などのリチウム塩、もしくはこれらの混
合物を用いてもよい。
【0083】正極・負極間の短絡防止に用いるセパレー
タとしては、孔または隙間を有するポリプロピレンおよ
びポリエチレンなどを単独または組み合わせたで使用し
たポリオレフィン製微孔性膜などが挙げられる。
【0084】正極および負極の集電体は、鉄、銅、アル
ミニウム、ステンレス、ニッケル等のいずれでもよく、
シート、発泡体、焼結多孔体、エキスパンド格子等のい
ずれでもよく、さらに、そららの集電体に任意の形状で
穴を開けたものでもよい。
【0085】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例を用いて説明す
る。
【0086】[実施例1]まず第1工程として、ビニリ
デンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレンコポリマ
ー(P(VdF/HFP))をN―メチル−2−ピロリ
ドン(NMP)に溶解した濃度の異なる7種類の溶液
(P(VdF/HFP)/NMP溶液)を製作した。こ
こで、このP(VdF/HFP)のVdFとHFPとの
モル比はVdF:HFP=95:5であり、実施例中で
は、とくに断りのない限りこのP(VdF/HFP)を
使用した。
【0087】つぎに第2工程では、コバルト酸リチウム
(LiCoO2)/P(VdF/HFP)混合体を製作
した。まず、LiCoO21kgと第1工程で製作した
P(VdF/HFP)/NMP溶液1.5lを混合し、
それを60℃に加熱したあと、0.1Torrの減圧状
態で30分間保持し、LiCoO2の粒子間の空隙にP
(VdF/HFP)/NMP溶液を保持させた。LiC
oO2とP(VdF/HFP)/NMP溶液の混合物を
取り出し、吸引濾過によって余分なP(VdF/HF
P)/NMP溶液を除去した後、100℃で乾燥をおこ
なってNMPを除去し、このあと真空乾燥をおこない、
LiCoO2/P(VdF/HFP)混合体を得た。こ
れによって得られたLiCoO2/P(VdF/HF
P)混合体中のP(VdF/HFP)の重量分率とサン
プル記号を表1に示した。本実施例では、活物質に含ま
れるP(VdF/HFP)の重量分率の決定は以下の方
法でおこなった。まず、100gのLiCoO2/P
(VdF/HFP)混合体と300gのNMPとを混合
および攪拌したあと、P(VdF/HFP)/NMP溶
液を抽出し、P(VdF/HFP)とLiCoO2とを
分離した。つぎに、そのLiCoO2を100℃で乾燥
したあと、そのLiCoO2の重量を測定することによ
って、LiCoO2/P(VdF/HFP)混合体に含
まれるP(VdF/HFP)の重量分率を決定した。本
実施例では、とくに断りのない限り、この方法で活物質
に含まれるP(VdF/HFP)の重量分率の決定をお
こなった。
【0088】
【表1】
【0089】また、第3工程では、黒鉛化MCMB/P
(VdF/HFP)混合体を製作した。まず、黒鉛化M
CMB(以下単にMCMBと記す)1kgと第1工程で
製作したP(VdF/HFP)/NMP溶液1.5lを
混合し、それを60℃に加熱したあと、0.1Torr
の減圧状態で30分間保持し、MCMBの粒子間の空隙
にP(VdF/HFP)/NMP溶液を保持させた。M
CMBとP(VdF/HFP)/NMP溶液の混合物を
取り出し、吸引濾過によって余分なP(VdF/HF
P)/NMP溶液を除去した後、100℃で乾燥をおこ
なってNMPを除去し、このあと真空乾燥をおこない、
MCMB/P(VdF/HFP)混合体を得た。これに
よって得られたMCMB/P(VdF/HFP)混合体
中のP(VdF/HFP)の重量分率とサンプル記号を
表2に示した。
【0090】
【表2】
【0091】つぎに第4工程では、LiCoO2/有孔
性P(VdF/HFP)混合体を製作した。まず第2工
程と同様にして、LiCoO21kgと第1工程で製作
したP(VdF/HFP)/NMP1.5lを混合し、
それを60℃に加熱したあと、0.1Torrの減圧状
態で30分間保持し、LiCoO2の粒子間の空隙にP
(VdF/HFP)/NMP溶液を保持させた。つぎに
LiCoO2とP(VdF/HFP)/NMP溶液の混
合物を取り出し、吸引濾過によって余分なP(VdF/
HFP)/NMP溶液を除去した。その後、溶媒抽出法
により、LiCoO2/P(VdF/HFP)/NMP
混合物を10分間水に浸漬した後、100℃で乾燥をお
こなって水とNMPを除去し、このあと真空乾燥をおこ
なって、LiCoO2/有孔性P(VdF/HFP)混
合体を得た。この結果を、表3に示した。
【0092】
【表3】
【0093】第5工程では、MCMB/有孔性P(Vd
F/HFP)混合体を製作した。まず第3工程と同様に
して、MCMB1kgと第1工程で製作したP(VdF
/HFP)/NMP1.5lを混合し、60℃で加熱し
たあと、0.1Torrの減圧状態で30分間保持し、
MCMBの粒子間の空隙にP(VdF/HFP)/NM
P溶液を保持させた。つぎにMCMBとP(VdF/H
FP)/NMP溶液の混合物を取り出し、吸引濾過によ
って余分なP(VdF/HFP)/NMP溶液を除去し
た。その後、溶媒抽出法により、MCMB/P(VdF
/HFP)/NMP混合物を10分間水に浸漬した後、
100℃で乾燥をおこなって水とNMPを除去し、この
あと真空乾燥をおこない、MCMB/有孔性P(VdF
/HFP)混合体を得た。この結果を、表4に示した。
【0094】
【表4】
【0095】つぎに、工程2〜5で製作した活物質を使
用して非水電解質電池をそれぞれ10個づつ製作した。
製作した電池に使用した活物質の組み合わせを表5に示
した。
【0096】
【表5】
【0097】両面に活物質層を備えた正極板(工程6)
は、表5に示す正極活物質70wt%、アセチレンブラ
ック6wt%、PVdF9wt%、NMP15wt%を
混合したペーストを、幅100mm、長さ480mm、
厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、150
℃で乾燥してNMPを蒸発させて製作した。この後、プ
レスをおこない、電極の厚さを280μmから175μ
mまで薄くし、幅19mm、長さ480mmのサイズに
切断した。
【0098】両面に活物質層を備えた負極板(工程7)
は、表5に示す負極活物質81wt%、PVdF9wt
%、NMP10wt%を混合したペーストを、幅80m
m、長さ500mm、厚さ14μmの銅箔の両面に塗布
し、150℃で乾燥してNMPを蒸発させて製作した。
この後、プレスをおこない、電極の厚さを300μmか
ら190μmまで薄くし、幅20mm、長さ500mm
のサイズに切断した。
【0099】工程8では、これらの正・負極板と、厚さ
30μm、幅22mmのポリエチレンセパレータとを巻
回した後、高さ47.0mm、幅22.2mm、厚さ
6.4mmのステンレスケースに挿入した。さらに、体
積比1:1のエチレンカーボネートとジメチルカーボネ
ートとの混合液に1mol/lのLiPF6を加えた電
解液を注入して、公称容量400mAhの電池を製作し
た。なお、電池ケースには非復帰式の安全弁を備えた。
【0100】つぎに,これらの電池を用いて寿命試験を
おこなった。電池を45℃において400mAの電流で
4.1Vまで充電し、続いて4.1Vの定電圧で2時間
充電した。つぎに400mAの電流で2.75Vまで放
電した。これを500回繰り返した。1サイクル目の放
電容量に対する500サイクル目の放電容量の比を「容
量維持率」と定義した。電解液量と容量維持率の関係を
表6および図2〜5に示した。表6は、従来から公知の
電池(電池記号ST)の、電解液量と容量維持率との関
係を示し、図2、3、4および5は、電池記号1〜6、
7〜12、13〜18および19〜24の電池の、電解
液量と容量維持率の関係を示した。
【0101】
【表6】
【0102】図2から明らかなように、LiCoO2
表面に0.01〜5重量%のポリマーを備えた本発明に
よる電池記号2〜5の電池は、従来から公知の電池記号
STの電池とくらべて、寿命性能が大幅に向上すること
が判明した。これは、正極活物質に電解液で膨潤しやす
いポリマーを備えさせることによって、正極板の電解液
の保持能力が向上するため、寿命性能の大幅な改善が見
られたものと考えられる。
【0103】また、電池記号1の電池においては、正極
活物質に備えられたポリマーの量が十分でなかったため
に、正極板の電解液の保持能力が向上しなかったため、
寿命性能が改善されなかったと考えられる。
【0104】電池記号6の電池においては、正極活物質
に備えられたポリマーが過剰であったために、正極活物
質表面での充放電反応が妨げられたため、寿命性能が改
善されなかったと思われる。さらに、本発明による電池
記号2〜5の電池の電解液量は20%以上とすることが
最適であることが判明した。
【0105】図3では、LiCoO2の表面にポリマー
を備え、かつグラファイトの表面に0.04〜4重量%
のポリマーを備えた本発明による電池記号8〜11の電
池の容量維持率が、電池記号2〜5の電池の中で最も寿
命性能の良かった電池記号4の電池のそれとくらべて、
さらに向上することがわかった。
【0106】これは、負極活物質にも、電解液で膨潤し
やすいポリマーを備えさせることによって、負極板の電
解液保持能力も向上するため、さらに寿命性能が改善さ
れたものと考えられる。
【0107】また、電池記号7の電池においては、負極
活物質に備えられたポリマーの量が十分でなかったため
に、負極板の電解液保持能力が向上しなかったため、寿
命性能が改善されなかったと考えられる。また、電池記
号12の電池においては、負極活物質に備えられたポリ
マーが過剰であったために、負極活物質表面での充放電
反応が妨げられたため、寿命性能が改善されなかったと
思われる。そのため、電池記号12の電池においては、
寿命試験終了後に電池の解体を実施したところ、負極板
表面にリチウムの析出がおこってデンドライトとなって
いた。さらに、本発明による電池記号8〜11の電池の
電解液量は20%以上とすることが最適であることが判
明した。
【0108】図4においては、LiCoO2の表面に
0.01〜5重量%の有孔性ポリマーを備えた本発明に
よる電池記号14〜17の電池が、LiCoO2の表面
に0.01〜5重量%のポリマーを備えた本発明による
電池記号2〜5の電池と比較して、さらに寿命性能が向
上することが明らかとなった。
【0109】これは、有孔性ポリマーが、毛管現象によ
って、その孔中に電解液を保持しやすいため、さらに前
記ポリマーの比表面積が大きいため、電解液との接触面
積が大きく、電解液に膨潤しやすいためであると考えら
れる。したがって、正極板の電解液保持能力がさらに向
上して、寿命性能が改善されたと思われる。
【0110】また、電池記号13の電池においては、正
極活物質に備えられた有孔性ポリマーの量が十分でなか
ったために、正極板の電解液保持能力が向上しなかった
ため、寿命性能が改善されなかったと考えられる。
【0111】また、電池記号18の電池においては、正
極活物質に備えられたポリマーが過剰であったために、
正極活物質表面での充放電反応が妨げられたため、寿命
性能が改善されなかったと思われる。さらに、本発明に
よる電池記号14〜17の電池の電解液量は20%以上
とすることが最適であることが判明した。
【0112】図5では、LiCoO2の表面に有孔性ポ
リマーを備え、かつグラファイトの表面に0.04〜4
重量%の有孔性ポリマーを備えた本発明による電池記号
20〜23の電池の容量維持率が、電池記号14〜17
の電池の中で最も寿命性能の良かった電池記号16の電
池のそれとくらべて、さら向上することがわかった。
【0113】これは、負極活物質にも、電解液でより膨
潤しやすい有孔性ポリマーを備えさせることによって、
負極板の電解液保持能力もさらに向上して、よりいっそ
う寿命性能が改善されたものと考えられる。また、電池
記号19の電池においては、負極活物質に備えられた有
孔性ポリマーの量が十分でなかったために、負極板の電
解液保持能力が向上しなかったため、寿命性能が改善さ
れなかったと考えられる。また、電池記号24の電池に
おいては、負極活物質に備えられた有孔性ポリマーが過
剰であったために、負極活物質表面での充放電反応が妨
げられたため、寿命性能が改善されなかったと思われ
る。そのため、電池記号24の電池においては、寿命試
験終了後に電池の解体を実施したところ、負極板表面に
リチウムの析出がおこってデンドライトとなっていた。
さらに、本発明による電池記号20〜23の電池の電解
液量は20%以上とすることが最適であることが判明し
た。
【0114】また、正極活物質にLC4、負極活物質に
GRP2〜5を使用した電池においても、負極活物質に
GR2〜5を使用した電池と比較して、寿命性能が改善
された。
【0115】つぎに、正極活物質にLCP4および負極
活物質にGRP4を使用し、工程6および7と同じ方法
で正・負極板を製作した。
【0116】つぎに、工程9では、NMPに20wt%
のP(VdF/HFP)を溶解したポリマー溶液中に電
極を浸漬し、電極表面にポリマー溶液を担持させた。次
に、この電極をローラー間のギャップを通すことによ
り、電極表面に担持させるポリマー溶液の厚みを4μm
とした。
【0117】つぎに、この電極を脱イオン水に浸漬して
NMPの抽出をおこない、電極表面に有孔性ポリマーを
形成した。電極表面に形成された有孔性ポリマーの厚み
は1μmであった。上記方法で正極板PSと負極板NS
とを製作した。
【0118】つぎに、表7に示す極板の組み合わせの電
池を、工程8にしたがって製作した。
【0119】
【表7】
【0120】これら正・負極の少なくとも一方の表面に
有孔性ポリマー電解質を備えた電池記号25〜27の電
池と正・負極の表面に有孔性ポリマー電解質を備えてい
ない電池記号22の電池について、上記と同じ条件で寿
命試験を実施した。
【0121】その結果を、図6に示す。正極のみまたは
負極のみの表面に有孔性ポリマー電解質を備えさせるだ
けで、電池記号22の電池にくらべて、寿命性能がさら
に向上することがわかった。また、正・負極両方の表面
に有孔性ポリマー電解質を備えさせることで、電池記号
25および26の電池と比較して、より寿命性能が改善
されることが明らかとなった。
【0122】これは、セパレータと極板との密着性が向
上し、そのすき間での電解液の不足が生じないため、寿
命性能が向上したものと考えられる。さらに、本発明に
よる電池記号25〜26の電池の電解液量は20%以上
とすることが最適であることが判明した。
【0123】つぎに、正極活物質にLCP4を使用し
て、工程6で電極をプレスを実施する前に、NMPに8
wt%のP(VdF/HFP)を溶解させたポリマー溶
液中に電極を浸漬し、電極孔中にポリマー溶液を担持さ
せた。この電極をローラー間を通すことにより、電極表
面の余分なポリマー溶液を取り除いた。さらに、この電
極を脱イオン水に浸漬してNMPの抽出をおこない、電
極孔中に有孔性ポリマー電解質を形成した。このあと、
プレスをおこない、電極の厚さを280μmから175
μmまで薄くし、幅19mm、長さ480mmのサイズ
に切断した。上記方法で正極板PPを製作した。
【0124】つぎに、負極活物質にGRP4を使用し
て、工程7で電極をプレスを実施する前に、NMPに6
wt%のP(VdF/HFP)を溶解したポリマー溶液
中に電極を浸漬し、電極孔中にポリマー溶液を担持させ
た。この電極をローラー間を通すことにより、電極表面
の余分なポリマー溶液を取り除いた。さらに、この電極
を脱イオン水に浸漬してNMPの抽出をおこない、電極
孔中に有孔性ポリマー電解質を形成した。このあと、プ
レスをおこない、電極の厚さを300μmから190μ
mまで薄くし、幅20mm、長さ500mmのサイズに
切断した。上記方法で負極板NPを製作した。
【0125】さらに、正極板PPと負極板NPとに工程
9を実施することによって、電極表面に厚み1μmの有
孔性ポリマー電解質を備えた正極板PPSと負極板NP
Sとを製作した。
【0126】つぎに、表8に示す極板の組み合わせの電
池を、工程8にしたがって製作した。さらに、工程8に
おいてポリエチレンセパレータを使用する代わりに厚さ
32μm、幅22mmの有孔性P(VdF/HFP)膜
(多孔度:55%)を使用した電池も製作した。
【0127】
【表8】
【0128】これら正・負極の少なくとも一方の孔に有
孔性ポリマー電解質を備えた電池記号28〜31の電池
と正・負極の孔中に有孔性ポリマー電解質を備えていな
い電池記号27の電池について、上記と同じ条件で寿命
試験を実施した。その結果を、図7に示す。
【0129】正極のみまたは負極のみの孔中に有孔性ポ
リマー電解質を備えさせるだけで、電池記号27の電池
と比較して、寿命性能が向上することが明らかとなっ
た。また、正・負極両方の孔中に有孔性ポリマー電解質
を備えさせることで、電池記号28および29の電池と
比較して、より寿命性能が改善されることが判明した。
これは、正極または負極の孔の中に、有孔性ポリマー電
解質を備えさせることによって、正極または負極が電解
液を保持しやすくなるため、寿命性能が良好となったも
のと思われる。
【0130】さらに、正・負極板間に有孔性ポリマー電
解質をセパレータの代わりに挿入した電池記号31の電
池においては、さらに寿命性能が向上した。これは、セ
パレータの部分に有孔性ポリマー電解質を使用すること
によって、セパレータ部分での、電解液の不足が生じな
いためであると考えられる。
【0131】さらに、本発明による電池記号28〜31
の電池の電解液量は20%以上とすることが最適である
ことが判明した。
【0132】また、正極板PPと負極板NPとを使用し
て、工程9において、ローラー間のギャップを通すこと
により、電極表面に担持させるポリマー溶液の厚みを6
0および100μmとして、この電極を脱イオン水に浸
漬してNMPの抽出をおこない、電極表面に有孔性ポリ
マー電解質を形成した。電極表面に形成された有孔性ポ
リマー電解質の厚みはそれぞれ15および30μmであ
った。このようにして表9に示す正・負極板を製作し
た。
【0133】
【表9】
【0134】表9に示す極板を使用して、表10の組み
合わせの電池を製作した。これらの電池は、工程8にお
いて、ポリエチレンセパレータを使用せずに製作した。
【0135】
【表10】
【0136】これら電池記号32〜34の電池は、電池
記号31の電池と同等の寿命性能を示すことがわかっ
た。
【0137】[実施例2]つぎに、さらにこれらの電池
記号STおよび1〜34の電池を製作して、安全性試験
をおこなった。電池を室温において400mAの電流で
4.5Vまで充電し、続いて4.5Vの定電圧で2時間
充電した後、外部短絡させた。その結果を、表11に示
した。
【0138】
【表11】
【0139】以上の結果より、本発明による電池におい
ては、電解液量を100%以下とすることで、より安全
となることが明らかとなった。
【0140】[実施例3]まず第10工程として、P
(VdF/HFP)をNMPに溶解した溶液(P(Vd
F/HFP)/NMP溶液)を製作し、それぞれの溶液
の粘度を測定した。その結果を表12に示す。
【0141】
【表12】
【0142】つぎに第11工程では、MCMB/P(V
dF/HFP)混合体を製作した。まず、MCMB10
0gと第10工程で製作したP(VdF/NMP)溶液
S3(1.0wt%)150mlを混合し、0.1To
rrの減圧状態で30分間保持し、MCMBの粒子間の
空隙にP(VdF/HFP)/NMP溶液を保持させ
た。MCMBとP(VdF/HFP)/NMP溶液の混
合物を取り出し、吸引濾過によって余分なP(VdF/
HFP)/NMP溶液を除去した後、100℃で乾燥を
おこなってNMPを除去し、このあと真空乾燥をおこな
い、MCMB/P(VdF/HFP)混合体(これをa
1とする)を得た。
【0143】さらに、この操作を2〜5回繰り返すこと
によって、P(VdF/HFP)含有量の多いMCMB
/P(VdF/HFP)混合体を製作し、操作を2回繰
り返したMCMB/P(VdF/HFP)混合体をa
2、操作を3回繰り返したMCMB/P(VdF/HF
P)混合体をa3というようにして、MCMB/P(V
dF/HFP)混合体a2〜a5を得た。工程回数とP
(VdF/HFP)含有率の関係を図9に示す。図9か
ら明らかなように、P(VdF/HFP)含有率は、ほ
ぼ工程回数に比例した。
【0144】第12工程では、MCMB/有孔性P(V
dF/HFP)混合体を製作した。まず第11工程と同
様にして、MCMB100gと第1工程で製作したP
(VdF/HFP)/NMP溶液S3(1.0wt%)
150mlを混合し、0.1Torrの減圧状態で30
分間保持し、MCMBの粒子間の空隙にP(VdF/H
FP)/NMP溶液を保持させた。つぎにMCMBとP
(VdF/HFP)/NMP溶液の混合物を取り出し、
吸引濾過によって余分なP(VdF/HFP)/NMP
溶液を除去した。その後、溶媒抽出法により、MCMB
/P(VdF/HFP)/NMP混合物を10分間水に
浸漬した後、100℃で乾燥をおこなって水とNMPを
除去し、このあと真空乾燥をおこない、MCMB/有孔
性P(VdF/HFP)混合体(これをb1とする)を
得た。
【0145】さらに、この操作を2〜5回繰り返すこと
によって、P(VdF/HFP)含有量の多いMCMB
/有孔性P(VdF/HFP)混合体を製作し、操作を
2回繰り返したMCMB/有孔性P(VdF/HFP)
混合体をb2、操作を3回繰り返したMCMB/有孔性
P(VdF/HFP)混合体をb3というようにして、
b2〜b5を得た。工程回数とP(VdF/HFP)含
有率の関係はほぼ図9と同じであった。
【0146】第13工程では、第11工程で製作したM
CMB/P(VdF/HFP)混合体(a1〜a5)、
第12工程で製作したMCMB/有孔性P(VdF/H
FP)混合体(b1〜b5)および未処理のMCMB
(これをcとする)を活物質として使用し、寸法20m
m×15mmの負極単板を製作した。前記活物質とPV
dFとNMPとを81:9:10(wt%)で混合した
ペーストを発泡ニッケル基体上に塗布し、100℃で乾
燥してNMPを蒸発させた後、プレスをおこない、厚さ
200μmの負極単板を得た。
【0147】このようにして製作した負極単板と、参照
極および対極として共に金属リチウム電極を用い、負極
単板試験用ガラスセルを組み立てた。電解液には、体積
比1:1のエチレンカーボネートとジメチルカーボネー
トとの混合溶液に1mol/lのLiClO4を加えた
ものを用いた。
【0148】このガラスセルを用いて充放電試験をおこ
なった。まず1サイクル目の充電を、0.2CmAの定
電流で0Vまで、続いて0Vの定電圧で、合計10時間
おこなった。続いて、1サイクル目の放電を、0.2C
mAの定電流で1.5Vまでおこなった。同じ条件で2
サイクル目の充電および放電をおこない、さらに0.2
CmAの定電流で、活物質の組成がLi0.7C6とな
る状態まで、3サイクル目の充電をおこなった。
【0149】MCMB/P(VdF/HFP)混合体a
1〜a5とb1〜b5の可逆容量および不可逆容量の関
係、また未処理のMCMB(c)の可逆容量および不可
逆容量を図8に示す。ここで「可逆容量」は1サイクル
目と2サイクル目の平均放電容量を意味し、「不可逆容
量」は1サイクル目の充電容量と放電容量の差を意味す
る。
【0150】図8から、本発明のMCMB/P(VdF
/HFP)混合体a1〜a5とb1〜b5の可逆容量
は、未処理のMCMB(c)とほとんど差がなかった
が、MCMB/P(VdF/HFP)混合体a1〜a5
とb1〜b5の不可逆容量は、未処理のMCMB(c)
に比べて激減し、P(VdF/HFP)の含有率が4w
t%であるMCMB/P(VdF/HFP)混合体a4
とb4の不可逆容量は、未処理のMCMB(c)の不可
逆容量の10%以下となった。
【0151】その理由は、MCMBとP(VdF/HF
P)を混合し、MCMBの表面をP(VdF/HFP)
で覆うことにより、MCMB表面での電解液溶媒の分解
およびそれに伴うMCMB表面への被膜形成という不可
逆反応が抑制されるためである。
【0152】MCMB表面をP(VdF/HFP)で覆
うことにより、MCMB表面での電解液溶媒の分解が抑
制される機能は、MCMB以外の炭素材料やP(VdF
/HFP)以外のポリマーを使用した場合でも有効に働
くものであるが、とくにフッ素を含むポリマーであるこ
とが望ましい。
【0153】なお、MCMB/P(VdF/HFP)混
合体中のP(VdF/HFP)含有率を4wt%以上と
しても、活物質混合体a1〜a5とb1〜b5の不可逆
容量はほぼ一定となり、MCMB/P(VdF/HF
P)混合体中に含まれるP(VdF/HFP)の含有量
が増えるのみであるため、P(VdF/HFP)の含有
率は4wt%以下とする必要がある。
【0154】さらに、3サイクル目の充電終了後の状態
(Li0.7C6状態)でのMCMB/P(VdF/H
FP)混合体a1〜a5とb1〜b5の熱安定性を測定
した。3サイクル目充電終了後の充電状態にあるMCM
B/P(VdF/HFP)混合体a1〜a5とb1〜b
5を各々1.5mgと電解液(体積比1:1のエチレン
カーボネートとジメチルカーボネートとの混合溶液+1
mol/l,LiPF6)1.2mgをSUS製容器に
封入し、示差走査熱量測定(DSC)をおこなった。一
例として、MCMB/有孔性P(VdF/HFP)混合
体(b1)および未処理のMCMB(c)のDSC曲線
を図10に示す。未処理のMCMB(c)のDSC曲線
に観測される発熱ピークは以下の反応によると考えられ
ている(J.Electrochem.Soc. 14
5(1998)472)。120℃付近の発熱ピークは
グラファイト表面のパシベーション膜の分解、250℃
付近の発熱ピークはLixC6と電解液との反応、32
0℃付近の発熱ピークはLixC6と結着剤のPVdF
との反応によるものと考えられている。これに対して、
MCMB/有孔性P(VdF/HFP)混合体(b1)
のDSC曲線では、120℃付近の発熱量が半分以下に
減少していることがわかった。この120℃付近の発熱
は、正極での熱暴走の起因となり、電池の安全性に大き
く影響するため、MCMB/有孔性P(VdF/HF
P)混合体(b1)を負極に使用した電池の安全性は著
しく向上すると考えられる。また、MCMB/有孔性P
(VdF/HFP)混合体(b1)では、250℃付近
の発熱量の増加と350℃付近の新たな発熱ピークの出
現とが観測された。この350℃付近に観測された新た
な発熱ピークは、MCMB表面に被覆されたP(VdF
/HFP)とLixC6との反応によると考えられる
(J.Electrochem.Soc. 145(1
998)472)。MCMB/P(VdF/HFP)混
合体(a1)のDSC曲線もMCMB/有孔性P(Vd
F/HFP)混合体(b1)のそれとほぼ同様であっ
た。1wt%のP(VdF/HFP)溶液にMCMBを
浸漬することによって、少量のP(VdF/HFP)を
MCMB表面に被覆するだけで、上記のように明確な発
熱ピークが観測されるのは、活物質を製作したときに使
用したP(VdF/HFP)溶液の粘度が低いために、
MCMB表面だけでなくその細孔内にも均一にP(Vd
F/HFP)が被覆されているためであると考えられ
る。
【0155】上記DSC曲線からリチウムを吸蔵したM
CMBと電解液溶媒との反応に起因する120℃付近で
の発熱量を求めた。MCMB/P(VdF/HFP)混
合体中のP(VdF/HFP)含有率と発熱量の関係を
図11に示す。MCMB/P(VdF/HFP)混合体
a1〜a5とb1〜b5の発熱量は、未処理のMCMB
(c)の発熱量にくらべて大幅に減少し、P(VdF/
HFP)の含有率が4wt%のMCMB/P(VdF/
HFP)混合体a4とb4の発熱量は、未処理のMCM
B(c)の発熱量の10%以下となった。そして、MC
MB/有孔性P(VdF/HFP)混合体(b1〜b
5)の発熱量は、孔のないMCMB/P(VdF/HF
P)混合体(a1〜a5)の発熱量よりもさらに減少し
た。
【0156】この理由は、炭素粒子と電解液との界面に
ポリマー膜が存在することによって、リチウムを吸蔵し
た炭素粒子と電解液溶媒との反応が抑制されたためであ
る。MCMB/有孔性P(VdF/HFP)混合体(b
1〜b5)の発熱量が、孔のないMCMB/P(VdF
/HFP)混合体(a1〜a5)の発熱量に比べて小さ
い原因は、MCMB/有孔性P(VdF/HFP)混合
体(b1〜b5)に備えられたP(VdF/HFP)の
孔中に存在する電解液中をリチウムイオンが円滑に移動
できるため、MCMB/有孔性P(VdF/HFP)混
合体(b1〜b5)表面での電流密度が、MCMB/P
(VdF/HFP)混合体(a1〜a5)よりも均一に
なり、リチウムイオンのインターカレーションがMCM
B表面全体で均一におこなわれるようになり、MCMB
/有孔性P(VdF/HFP)混合体(b1〜b5)を
Li0.7C6状態まで充電したときに、LixC6
(X>0.7)状態まで充電される部分が、MCMB/
P(VdF/HFP)混合体(a1〜a5)よりも減少
するためであると考えられる。このように、MCMB/
P(VdF/HFP)混合体(a1〜a5)およびMC
MB/有孔性P(VdF/HFP)混合体(b1〜b
5)では、未処理のMCMB(c)と比べて、安全性が
向上することが示された。
【0157】[実施例4]つぎに、ポリマー含有量の異
なるMCMBのより簡便な製作方法について述べる。ま
ず、実施例3の第11工程と同様にして、MCMB10
0gと実施例3の第10工程で製作したP(VdF/H
FP)/NMP溶液(表12のS1〜S7)を0.1T
orrの減圧状態で混合することにより、MCMB/P
(VdF/HFP)混合体(d1〜d7)を製作した。
なお、表12のP(VdF/HFP)/NMP溶液S1
を使用して製作したMCMB/P(VdF/HFP)混
合体をd1、以下S2を使用した場合をd2、S3を使
用した場合をd3というように、MCMB/P(VdF
/HFP)混合体の記号をつけた。ただし、第11工程
の繰り返し回数を1回としたため、d3はa1と同一の
ものである。
【0158】さらに、実施例3の第12工程と同様にし
て、MCMB100gと実施例3の第11工程で製作し
た濃度の異なるP(VdF/HFP)/NMP溶液(表
12のS1〜S7)を用いて、MCMB/有孔性P(V
dF/HFP)混合体(e1〜e7)を製作した。ただ
し、第11工程の繰り返し回数を1回としたため、e3
はb1と同一のものである。
【0159】図12に、これらのサンプルのBET比表
面積を示す。P(VdF/HFP)を備えたMCMBの
BET比表面積が減少することがわかった。この比表面
積の低下のため、これを使用した負極の安全性が向上
し、さらにその不可逆容量が低減すると考えられる。
【0160】実施例3の第13工程と同様にして、MC
MB/P(VdF/HFP)混合体(d1〜d7)およ
びMCMB/有孔性P(VdF/HFP)混合体(e1
〜e7)を活物質として使用した負極単板を製作し、実
施例3と同様の充放電試験をおこなった。また、それぞ
れのサンプルについて、実施例3と同様のDSCをおこ
なった。
【0161】MCMB/P(VdF/HFP)混合体
(d1〜d7)、MCMB/有孔性P(VdF/HF
P)混合体(e1〜e7)および未処理のMCMB
(c)を活物質とする負極単板の可逆容量および不可逆
容量と活物質を製作した場合に使用したP(VdF/H
FP)/NMP溶液の濃度との関係を図13に、また、
P(VdF/HFP)/NMP溶液の濃度とDSC曲線
の120℃付近での発熱量との関係を図14に示す。
【0162】これらの結果、MCMB/P(VdF/H
FP)混合体(d1〜d7)とMCMB/有孔性P(V
dF/HFP)混合体(e1〜e7)についても、実施
例3で述べたMCMB/P(VdF/HFP)混合体
(a1〜a5)とMCMB/有孔性P(VdF/HF
P)混合体(b1〜b5)と同様、MCMB中に含まれ
るP(VdF/HFP)含有量が増加するとともに不可
逆容量および発熱量の減少が観測された。これは、P
(VdF/HFP)を備えたMCMBの比表面積が減少
したことに関係していると考えられる。さらに、実施例
3の場合と同様、MCMB/有孔性P(VdF/HF
P)混合体(e1〜e7)の発熱量は、孔のないMCM
B/P(VdF/HFP)混合体(d1〜d7)の発熱
量よりもさらに減少した。
【0163】しかし、P(VdF/HFP)濃度が4w
t%以上であるP(VdF/HFP)/NMP溶液(表
12のS6、S7)を用いて製作したMCMB/P(V
dF/HFP)混合体(d6、d7)とMCMB/有孔
性P(VdF/HFP)混合体(e6、e7)では、3
wt%のP(VdF/HFP)/NMP溶液(表12の
S5)を用いて製作したMCMB/P(VdF/HF
P)混合体(d5、e5)に比べて、不可逆容量がわず
かに増加し、またリチウムを吸蔵したMCMBと電解液
溶媒との反応による発熱量の大幅な増加が観測された。
【0164】これは、MCMBとP(VdF/HFP)
/NMP溶液を減圧状態で混合する場合、P(VdF/
HFP)/NMP溶液の粘度が高くなると、MCMB粒
子の細部にまでP(VdF/HFP)/NMP溶液が浸
透せず、P(VdF/HFP)で覆われていないMCM
B粒子が存在するためであると考えられるが、高粘度の
P(VdF/HFP)/NMP溶液を用いて製作したM
CMB/P(VdF/HFP)混合体の発熱量が、低粘
度のP(VdF/HFP)/NMP溶液を用いた場合に
比べて大幅に増加する理由は不明である。
【0165】表12から、P(VdF/HFP)/NM
P溶液の粘度は、P(VdF/HFP)の濃度が4wt
%以上になると20mPa・sを越えるため、P(Vd
F/HFP)/NMP溶液にMCMBを浸漬し、P(V
dF/HFP)を備えたMCMBを製造する場合、P
(VdF/HFP)/NMP溶液の粘度は20mPa・
s以下とすべきであることが明らかとなった。
【0166】ポリマー溶液に使用する有機溶媒やポリマ
ーの種類にかかわらず、ポリマー溶液の粘度を20mP
a・s以下とした場合に、本発明になる表面にポリマー
を備えた炭素粒子を得ることができる。
【0167】さらに、P(VdF/HFP)濃度が0.
1wt%であるP(VdF/HFP)/NMP溶液(表
12のS1)を用いて製作したMCMB/P(VdF/
HFP)混合体(d1、e1)においては、 P(Vd
F/HFP)の含有量が0.04wt%程度と少量だっ
たにもかかわらず、不可逆容量および発熱量は、未処理
のMCMB(c)に比べて20%程度減少した。
【0168】したがって、P(VdF/HFP)/NM
P溶液中のP(VdF/HFP)含有量を0.04wt
%とした場合も、負極での不可逆容量を減少させ、さら
には、リチウムを吸蔵した炭素粒子と電解液溶媒との反
応が抑制され、安全性を向上させることができることが
明らかとなった [実施例5]実施例3および実施例4で製作したMCM
B/P(VdF/HFP)混合体a1〜a5およびd1
〜d5、MCMB/有孔性P(VdF/HFP)混合体
b1〜b5およびe1〜e5の安全性を確認するため
に、これらの混合体を負極に使用した非水電解質電池を
それぞれ10個づつ製作した。なお、図14に示したよ
うに、MCMB/P(VdF/HFP)混合体(d6、
d7)とMCMB/有孔性P(VdF/HFP)混合体
(e6、e7)では、リチウムを吸蔵したMCMBと電
解液溶媒との反応による発熱量の大幅な増加が観測され
たため、安全性試験は行わなかった。
【0169】両面に活物質層を備えた正極板は、コバル
ト酸リチウム70wt%、アセチレンブラック6wt
%、PVdF9wt%、NMP15wt%を混合したペ
ーストを、幅100mm、長さ480mm、厚さ20μ
mのアルミニウム箔の両面に塗布し、150℃で乾燥し
てNMPを蒸発させて製作した。この後、プレスをおこ
ない、電極の厚さを280μmから175μmまで薄く
し、幅19mm、長さ480mmのサイズに切断した。
【0170】両面に活物質層を備えた負極板は、実施例
3および実施例4で製作した各種MCMB/P(VdF
/HFP)混合体81wt%、PVdF9wt%、NM
P10wt%を混合したペーストを、幅80mm、長さ
500mm、厚さ14μmの銅箔の両面に塗布し、15
0℃で乾燥してNMPを蒸発させて製作した。この後、
プレスをおこない、電極の厚さを300μmから190
μmまで薄くし、幅20mm、長さ500mmのサイズ
に切断した。
【0171】これらの正・負極板と、厚さ30μm、幅
22mmのポリエチレンセパレータとを巻回した後、高
さ47.0mm、幅22.2mm、厚さ6.4mmのス
テンレスケースに挿入した。さらに、体積比1:1のエ
チレンカーボネートとジメチルカーボネートとの混合液
に1mol/lのLiPF6を加えた電解液を注入し
て、公称容量400mAhの電池を製作した。なお、電
池ケースには非復帰式の安全弁を備えた。
【0172】これらの電池を用いて安全性試験をおこな
った。電池を室温において400mAの電流で4.5V
まで充電し、続いて4.5Vの定電圧で2時間充電した
後、外部短絡させた。
【0173】その結果、本発明によるMCMB/P(V
dF/HFP)混合体a1〜a5、b1〜b5、d1〜
d7およびe1〜e7を負極に使用した非水電解質二次
電池においては、試験した10個のすべての電池におい
て、安全弁は作動せず、電池からの発煙は見られなかっ
た。一方、未処理のMCMB(c)を用いて製作した従
来から公知の電池においては、安全弁が作動し、電池か
ら発煙・発火が生じた。
【0174】このように、本発明によるMCMB/P
(VdF/HFP)混合体を負極に使用した非水電解質
二次電池に適用した場合、未処理のMCMB(c)を使
用したものとくらべて、安全性が向上することがわかっ
た。
【0175】[実施例6]つぎに、LiCoO2/有孔
性P(VdF/HFP)混合体を製作した。まず、Li
CoO2100gと第10工程で製作したP(VdF/
NMP)溶液S3(1.0wt%)150mlを混合
し、0.1Torrの減圧状態で30分間保持し、Li
CoO2の粒子間の空隙にP(VdF/HFP)/NM
P溶液を保持させた。つぎにLiCoO2とP(VdF
/HFP)/NMP溶液の混合物を取り出し、吸引濾過
によって余分なP(VdF/HFP)/NMP溶液を除
去した。その後、溶媒抽出法により、LiCoO2/P
(VdF/HFP)/NMP混合物を10分間水に浸漬
した後、100℃で乾燥をおこなって水とNMPを除去
し、このあと真空乾燥をおこない、LiCoO2/有孔
性P(VdF/HFP)混合体(これをf1とする)を
得た。
【0176】つぎに、LiCoO2/有孔性P(VdF
/HFP)混合体(f1)および未処理のLiCoO2
(g)を活物質として使用し、寸法15mm×15mm
の正極単板を製作した。前記活物質とアセチレンブラッ
クとPVdFとNMPとを70:6:9:15(wt
%)で混合したペーストをアルミメッシュ基体上に塗布
し、100℃で乾燥してNMPを蒸発させた後、プレス
をおこない、厚さ200μmの正極単板を得た。
【0177】このようにして製作した正極単板と、参照
極および対極として共に金属リチウム電極を用い、正極
単板試験用ガラスセルを組み立てた。電解液には、体積
比1:1のエチレンカーボネートとジメチルカーボネー
トとの混合溶液に1mol/lのLiClO4を加えた
ものを用いた。
【0178】このガラスセルを用いて充放電試験をおこ
なった。まず1サイクル目の充電を、0.2CmAの定
電流で4.2Vまで、続いて4.2Vの定電圧で、合計
10時間おこなった。続いて、1サイクル目の放電を、
0.2CmAの定電流で3.0Vまでおこなった。同じ
条件で2サイクル目の充電および放電をおこない、さら
に0.2CmAの定電流で、活物質の組成がLi0.5
CoO2となる状態まで、3サイクル目の充電をおこな
った。
【0179】3サイクル目の充電終了後の状態(Li
0.5CoO2状態)でLiCoO2/有孔性P(VdF
/HFP)混合体(f1)の熱安定性を測定した。3サ
イクル目充電終了後の充電状態にあるLiCoO2/有
孔性P(VdF/HFP)混合体(f1)を0.4mg
と電解液(体積比1:1のエチレンカーボネートとジメ
チルカーボネートとの混合溶液+1mol/l,LiP
F6)1.2mgとをSUS製容器に封入し、DSCを
おこなった。LiCoO2/有孔性P(VdF/HF
P)混合体(f1)および未処理のLiCoO2(g)
のDSC曲線を図15に示す。未処理のLiCoO
2(g)のDSC曲線に観測される200〜300℃付
近の発熱はLixCoO2と電解液との反応によると考
えられている(Solid State Ionics
69(1994)265、 Journal of
Power Sources 70(1998)1
6)。また440℃付近の発熱は、結着剤のPVdFの
分解によるものであると考えられる。一方、LiCoO
2/有孔性P(VdF/HFP)混合体(f1)のDS
C曲線にも未処理のLiCoO2のそれと同じく200
〜300℃付近にLixCoO2と電解液との反応によ
る発熱が観測された。さらに、400℃付近に大きな発
熱ピークが観測された。この発熱ピークはLiCoO2
表面に被覆されたP(VdF/HFP)の分解によるも
のと考えられる。LiCoO2表面に被覆されたP(V
dF/HFP)の分解による発熱量が結着剤のPVdF
と比較して大きくなる原因は定かではない。しかし、実
施例2ですでに述べたように、LiCoO2/有孔性P
(VdF/HFP)混合体を使用した電池の安全性は従
来の電池と比較して向上してることから、LiCoO2
/有孔性P(VdF/HFP)混合体を使用した電池で
は、正極での電流分布が均一であるため、外部短絡時に
電池温度がさほど上昇しなかったため、400℃という
高温での発熱が電池の安全性に影響しなかったと考えら
れる。
【0180】
【発明の効果】本願発明を用いることによって、電池の
高率放電特性や寿命を向上させることができ、また、容
量密度が大きく、安全性に優れた電池の製造が可能にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 複合活物質の概念図。
【図2】 電池記号1〜6の電池の容量維持率と電解液
量との関係を示す図。
【図3】 電池記号7〜12の電池の容量維持率と電解
液量との関係を示す図。
【図4】 電池記号13〜18の電池の容量維持率と電
解液量との関係を示す図。
【図5】 電池記号19〜24の電池の容量維持率と電
解液量との関係を示す図。
【図6】 電池記号25〜27の電池の容量維持率と電
解液量との関係を示す図。
【図7】 電池記号28〜31の電池の容量維持率と電
解液量との関係を示す図。
【図8】 P(VdF/HFP)含有率と可逆容量およ
び不可逆容量との関係を示す図。
【図9】 工程回数とP(VdF/HFP)含有率の関
係を示す図。
【図10】 DSC曲線を示す図。
【図11】 P(VdF/HFP)含有率と発熱量との
関係を示す図。
【図12】 濃度とBET比表面積との関係を示す図。
【図13】 P(VdF/HFP)/NMP溶液の濃度
と可逆容量および不可逆容量との関係を示す図。
【図14】 MCMB/P(VdF/HFP)混合体
(d1〜d7)、MCMB/有孔性P(VdF/HF
P)混合体(e1〜e7)および未処理のMCMB
(c)の、ポリマー電解質の含有率とDSC測定での発
熱量の関係。
【図15】 LiCoO2/有孔性P(VdF/HFP)
混合体(f1)および未処理のLiCoO2(g)のD
SC曲線。
【符号の説明】
1:活物質 2:ポリマー 3:有孔性ポリマー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 勲 京都府京都市南区吉祥院西ノ庄猪之馬場 町1番地 日本電池株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−86064(JP,A) 特開 平11−40157(JP,A) 特開 平9−219197(JP,A) 特開 平11−185731(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 4/00 - 4/62

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極活物質を含む正極と、炭素系活物質
    を含む負極とを備えた非水電解質二次電池において、前
    正極活物質表面に含有率が0.01重量%〜5重量%
    の量の有孔性ポリマーが備えられていることを特徴とす
    る非水電解質二次電池。
  2. 【請求項2】 第1の圧力雰囲気下でポリマー溶液に活
    物質が浸漬された状態を経る第1の浸漬工程と、第1の
    圧力雰囲気の圧力より大きな圧力を有する第2の圧力雰
    囲気下でポリマー溶液に活物質が浸漬された状態を経る
    第2の浸漬工程とを有し、第1の浸漬工程に続いて第2
    の浸漬工程を行うことによって活物質表面にポリマー溶
    液を担持させる工程を経て得られた活物質を用いること
    を特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。
  3. 【請求項3】 正極表面または負極表面の少なくとも一
    方が、有孔性ポリマーで被覆されていることを特徴とす
    る請求項1または2記載の非水電解質二次電池。
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