JPWO2004077556A1 - 半導体集積回路装置及びその電源配線方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は安定に動作する半導体集積回路装置の電源配線の配線方法を開示する。論理回路部13に電源を供給する基本電源配線18の上層に設けられた電源メッシュ24は縦補強電源配線22及び横補強電源配線23を含む。縦補強電源配線22及び横補強電源配線23の幅は、分割単位u0毎にIRドロップ又は過剰の電流密度を緩和するように最適化されている。

Description

本発明は、半導体集積回路装置及びその電源配線方法に関する。
半導体集積回路装置(LSI)の大規模化及び高集積化が進むにつれ、論理回路部に動作電流を供給する電源配線の抵抗の増加によって生じる論理回路部の内側(例えば、中心部近傍)での電圧降下(IRドロップ)がより顕著となる。電源配線の電圧降下は、論理ゲートの応答速度の低下や動作不良につながる看過できない問題である。そこで、従来のLSIでは、論理回路部に直接電源を供給する基本電源配線に加え、補強電源配線を設けて総配線幅を増加させることによりIRドロップの緩和が図られている(特開2002−261245号公報参照)。
図91は、従来のLSIの電源配線を示す平面図である。LSI1は、論理回路部2の上にX方向に配線された基本電源配線3と、当該基本電源配線3より上層の複数の配線層に亘って格子状に配線された補強電源配線4と、電源リング6とを備える。
補強電源配線4は、自動配置配線により図91のX方向及びY方向にそれぞれ等間隔(均等ピッチ)で配線されている。基本電源配線3及び補強電源配線4の各交点は、ビアホール等の接続孔を介して電気的に接続されている。電源パッド5から電源リング6を通じて補強電源配線4に供給された動作電流は、基本電源配線3を介して論理回路部2の素子へと供給される。
しかし、近年の急速なLSIの大規模化及び高集積化に伴う配線の微細化及び配線長の延伸により、上記のような従来の電源配線では、IRドロップを十分に緩和することができなくなりつつある。
また、論理回路部において比較的消費電力の大きい部分では、電源配線の電流密度が局所的に許容電流密度を超える場合がある。過剰な電流密度はエレクトロマイグレーションの発生の要因となることから、電流密度の制約違反はLSIの信頼性の低下につながる。
本発明の目的は、安定性の向上された半導体集積回路装置及びその電源配線方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様は、回路部と、前記回路部に電源を供給する第1電源配線と、前記第1電源配線と電気的に接続された第2電源配線とを備え、各第2電源配線の配線幅と、第2電源配線の配線間隔とのうちの少なくとも一つが前記第2電源配線における電圧降下を緩和するように設定されている半導体集積回路装置を提供する。
一実施形態の半導体集積回路装置は、前記回路部上に複数の行領域又は列領域を区画するように前記第1電源配線と電気的に接続された複数の第2電源配線を備え、前記複数の第2電源配線の間隔が不均一である。
一実施形態では、第2電源配線は複数の場所において異なる幅を有している。
一実施形態では、半導体集積回路装置は、給電部から前記回路部の内方に延伸され、前記第2電源配線に電源を供給する電源幹線をさらに備える。
一実施形態では、複数の電源幹線の先端が実質的に等しい電圧降下値を有するように構成されている。
一実施形態では、前記回路部は、前記第1電源配線および前記第2電源配線が配置されている複数の分割領域からなり、各分割領域は、互いに電気的に分離されている複数のセグメント領域からなり、前記電源幹線は一つの基端部と、前記複数のセグメント領域にそれぞれ対応付けられた複数の先端部とを有する。
一実施形態では、前記回路部は、前記第1電源配線および前記第2電源配線が配置されている複数の分割領域からなり、各分割領域に配置されている第1電源配線および第2電源配線は他の分割領域から電気的に分離されており、前記電源幹線は一つの基端部と、前記複数の分割領域の少なくとも一つに対応付けられた少なくとも一つの先端部とを有する。
一実施形態では、前記第2電源配線は、ストライプ状に分割された複数の並列配線を含む。
一実施形態では、前記第2電源配線は、前記回路部上に複数の行領域又は列領域を区画する複数の第2電源配線の一つであり、前記複数の第2電源配線の間隔は不均一である。
一実施形態では、前記第2電源配線は複数の第2電源配線の一つであり、前記複数の第2電源配線のいくつかは、前記回路部上に矩形以外の多角形状を有する領域を区画する線分を含む。
一実施形態では、前記第2電源配線は複数の第2電源配線の一つであり、隣接する2つの第2電源配線を接続する部分補強配線を更に備える。
一実施形態の半導体集積回路装置は、回路部と、前記回路部に電源を供給する第1電源配線と、給電部に接続された基端と前記第1電源配線に接続された複数の先端とを有し、かつ、前記給電部と前記第1電源配線との間で段階的に分岐されたツリー構造を有する電源幹線とを備える。
一実施形態では、前記電源幹線は複数の場所において異なる幅を有している。
一実施形態では、前記電源幹線からの電源供給を制御するスイッチング素子が当該電源幹線に設けられている。
一実施形態では、前記電源幹線は、ストライプ状に分割された複数の並列配線を含む。
本発明は更に、回路部と、前記回路部に電源を供給する第1電源配線とを有する半導体集積回路装置の電源配線方法であって、前記第1電源配線と電気的に接続するように第2電源配線を設けるステップと、前記第2電源配線における電圧降下を緩和するように、前記第2電源配線の配線幅及び前記第2電源配線の配線間隔のうち少なくとも一つを設定するステップとを備える方法を提供する。
一実施形態では、前記設定するステップは、前記第2電源配線の長手方向に少なくとも一つの配線部分に区分けし、各配線部分毎に仮の電圧降下及び仮の電流密度の少なくとも一方を算出し、算出された値に応じて各配線部分の幅を設定することを含む。
一実施形態では、前記第2電源配線は複数の第2電源配線の一つであり、前記設定するステップは、前記回路部上に複数の領域が区画されるように前記複数の第2電源配線を仮配線し、各領域を、各々が所定の最小サイズを有する複数のブロックに分割し、各ブロックの電圧降下値を算出し、前記複数の領域内の複数のブロックの電圧降下値の合計が互いに実質的に等しくなるように、前記複数の第2電源配線の間隔を設定することを含む。
一実施形態では、前記第2電源配線は前記回路部上に複数の矩形領域を区画する複数の第2電源配線の一つであり、前記設定するステップは、各矩形領域の電圧降下値を算出し、前記複数の矩形領域の電圧降下値が許容範囲を満たすように、前記許容値を外れた電圧降下値を有している矩形領域を区画している第2電源配線の線分を移動させることを含む。
一実施形態では、前記第2電源配線は前記回路部上に複数の矩形領域を区画する複数の第2電源配線の一つであり、前記設定するステップは、各矩形領域の電圧降下値を算出し、許容範囲を超えている電圧降下値を有している矩形領域がある場合、当該矩形領域に関連する2つの第2電源配線を接続して当該矩形領域を2分割するように部分補強配線を追加することを含む。
一実施形態では、前記第2電源配線は複数の第2電源配線の一つであり、前記設定するステップは、前記回路部上に複数の領域が区画されるように前記複数の第2電源配線を前記回路部上に仮配線し、各領域を、各々が所定の最小サイズを有する複数のブロックに分割し、各ブロックの電圧降下値を算出し、前記複数の領域において電圧降下値の代表値を算出し、隣接する領域におけるブロックの電圧降下値の代表値を比較し、前記隣接する領域における前記電圧降下値の代表値が実質的に等しくなるように前記複数の第2電源配線を再度仮配線し、前記再度の仮配線後の前記回路部の電圧降下の分布を求め、前記回路部上に所定の上限を超える電圧降下が生じているか否かを判定し、前記上限を超える電圧降下が生じている場合には、該電圧降下が前記上限以下となるまで、前記電圧降下値の算出、前記電圧降下値の代表値の比較、及び前記複数の第2電源配線の再度の仮配線を繰り返すことを含む。
一実施形態では、前記第2電源配線は複数の第2電源配線の一つであり、前記設定するステップは、前記回路部の電圧降下分布を求めて、電圧降下のピークが生じる仮の電圧降下ピーク位置を記憶し、前記複数の第2電源配線の少なくとも一つが前記仮の電圧降下ピーク位置を通るように前記複数の第2電源配線を仮配線し、前記仮の電圧降下ピーク位置における電圧降下値が所定の上限以下になるまで、前記仮の電圧降下ピーク位置を通る第2電源配線の幅を拡大し、前記複数の第2電源配線を仮配線した状態における前記回路部の電圧降下分布を求めて、前記回路部上に前記上限を超える電圧降下が発生しているか否かを判定し、前記上限を超える電圧降下が発生している場合には、同上限を超える電圧降下が回避されるまで、前記仮の電圧降下ピーク位置の記憶、前記複数の第2電源配線の仮配線、前記第2電源配線の幅の拡大、及び前記電圧降下の判定を繰り返すことを含む。
一実施形態の方法は、前記回路部上に仮の第2電源配線を設けるステップと、前記仮の第2電源配線を設けた状態にて、前記回路部上の仮の電圧降下分布を求め、仮の電圧降下ピーク位置を記憶するステップと、その中に前記仮の電圧降下ピーク位置を含みかつその消費電力量が規定の値と実質的に等しくなるように主電力ピースを前記回路部に設定するステップと、前記主電力ピースが前記回路部における前記主電力ピースを除く他の領域と電気的に分離されていると仮定して、前記主電力ピース内の仮の電圧降下分布を求め、該主電力ピース内の仮の電圧降下ピーク位置を記憶するステップと、給電部と前記主電力ピース内の仮の電圧降下ピーク位置近傍とを接続するように電源幹線を設けるステップとを更に備える。
一実施形態の方法は、前記回路部上に仮の第2電源配線を設けるステップと、前記仮の第2電源配線を設けた状態にて、前記回路部上の仮の電圧降下分布を求め、仮の電圧降下ピーク位置を記憶するステップと、その中に前記仮の電圧降下ピーク位置が含まれかつその消費電力量が規定の値と実質的に等しい主電力ピースを前記回路部に設定するステップと、前記主電力ピースが前記回路部における前記主電力ピースを除く他の領域と電気的に分離されていると仮定して、前記主電力ピース内の仮の電圧降下分布を求め、該主電力ピース内の仮の電圧降下ピーク位置を記憶するステップと、給電部と前記主電力ピース内の仮の電圧降下ピーク位置近傍とを接続するように主電源幹線を配線するステップと、前記主電源幹線の配線された状態にて、回路部上の仮の電圧降下分布を求め、前記他の領域の仮の電圧降下ピーク位置を記憶するステップと、前記給電部と前記他の領域の仮の電圧降下ピーク位置近傍とを接続するように副電源幹線を配線するステップとを更に備える。
一実施形態では、一つの主電力ピースが他の少なくとも一つの主電力ピースと部分的に重複した場合には、重複領域を解消するように、重複している主電力ピースのうち、関連する給電部から前記重複領域までの距離が遠い主電力ピースから前記重複領域を含む部分を削除し、その削除された部分を、他の主電力ピースと重複しない位置に移動させて、主電力ピースを再設定するステップが行われる。
本発明は更に、回路部と複数の給電部とを有する半導体集積回路装置の電源配線方法において、前記回路部を、各々が少なくとも一つのセグメント領域からなる複数のクラスタ領域に区分けするステップと、前記複数のクラスタ領域を前記複数の給電部と関連付けて、各クラスタ領域のセグメント領域と、関連する各給電部とを複数の電源幹線によって仮接続するステップと、各給電部に仮接続された前記複数の電源幹線を、関連する給電部に接続された一つの基端部と、関連するクラスタ領域の複数のセグメント領域に接続された複数の先端とを有する一つのツリー状電源幹線に統合するステップとを備える半導体集積回路装置の電源配線方法を提供する。
図1(a)は本発明の第1の実施形態に従うLSIの電源配線を示す平面図。
図1(b)は図1(a)中の一つの電源配線の拡大図。
図2(a)はLSIの概略図。
図2(b)は図2(a)の部分拡大図。
図3は基本電源配線の部分拡大図。
図4はIRドロップを回避するように配線幅を変更する工程を示す模式図。
図5は過剰の電流密度を回避するように配線幅を変更する工程を示す模式図。
図6はチップサイズとIRドロップ値との関係を示すテーブル。
図7は本発明の第2の実施形態に従うLSIの電源配線を示す平面図。
図8はIRドロップマップの概略図。
図9及び図10は本発明の第2の実施形態に従う電源配線方法のフローチャート。
図11乃至図13は図9及び図10の配線方法の説明図。
図14は本発明の第2の実施形態の第1変形例に従うLSIの電源配線を示す平面図。
図15は本発明の第2の実施形態の第1変形例に従う電源配線方法の部分的なフローチャート。
図16及び図17は本発明の第2の実施形態の第1変形例に従う配線方法の説明図。
図18は本発明の第2の実施形態の第2変形例に従う電源配線方法の部分的なフローチャート
図19乃至23は本発明の第2の実施形態の第2変形例に従う電源配線方法の説明図。
図23は本発明の第2の実施形態の第3変形例に従う電源配線方法の部分的なフローチャート。
図24乃至図28は本発明の第2の実施形態の第3変形例に従う電源配線方法の説明図。
図29は本発明の第2の実施形態の第4変形例に従うLSIの電源配線を示す平面図。
図30は図29の変形例の電源配線方法の一部を示すフローチャート。
図31は補強電源配線(部分補強配線)の配線手法を示す説明図。
図32は第3の実施形態のLSI内部における電源配線を示す平面図。
図33は第3の実施形態の電源配線方法のフローチャート。
図34は同じく第3の実施形態の電源配線方法のフローチャート。
図35はIRドロップマップの概略図。
図36乃至図38は補強電源配線の配線手法を示す説明図。
図39は第4の実施形態のLSI内部における電源配線を示す平面図。
図40及び図41は第4の実施形態における電源配線方法のフローチャート。
図42はIRドロップマップの概略図。
図43乃至図48は電源幹線の配線手法を示す説明図。
図49は主電力ピースが重複した場合の処理を説明する説明図。
図50は本発明の第5の実施形態のLSI内部における電源配線を示す平面図。
図51及び図52は本発明の第5の実施形態の電源配線方法のフローチャート。
図53はIRドロップマップの概略図。
図54乃至図63は電源幹線の配線手順を示す平面図。
図64は本発明の第6の実施形態のLSI内部の電源配線を示す平面図。
図65及び図66は第6の実施形態の電源配線方法のフローチャート。
図67乃至図70は電源幹線の配線手法を示す説明図。
図71及び図72は第6の実施形態の変形例のLSI内部の電源配線を示す平面図
図73及び図74は本発明の第7の実施形態の電源配線方法のフローチャート。
図75乃至図80は電源幹線の配線手法を示す説明図。
図81は本発明の第8の実施形態のLSIの電源配線を示す平面図。
図82は図81のスイッチ素子の模式図。
図83及び図84は本発明の第8の実施形態の電源配線方法のフローチャート。
図85は本発明の第8の実施形態の変形例のスイッチ素子の構成を模式的に示す説明図。
図86は本発明の第8の実施形態の変形例のスイッチ素子を採用したLSI内部の電源配線を示す平面図。
図87は本発明の別例の電源幹線の平面図。
図88及び図89は電源幹線のバリエーションを示す平面図。
図90は本発明の第8の実施形態のスイッチ素子の配置例を示すブロック図。
図91は従来のLSIの電源配線を示す平面図。
以下、本発明の第1の実施形態にかかる半導体集積回路装置(LSI)及びその電源配線方法について図面を参照しつつ説明する。
図2(a)に示すように、LSI10は、基板12上に設けられた方形状をなす論理回路部13を備える。論理回路部13は、複数のセル14から構成されている。基板12において論理回路部13の外周に沿うように、複数のパッド15が配置されている。いくつかのパッド15は論理回路部13に電源を供給するための電源パッド(給電部、電源供給起点)15aとして機能する。給電部は論理回路部13の上方や下方に設けられていてもよい。
図2(b)に示すように、論理回路部13を囲むように環状の電源配線すなわち電源リング16が配線されている。電源リング16は、引き出し線17を介して電源パッド15aと電気的に接続されている。
具体的には、図3に示すように、電源リング16は、電位VDDを有する第1のリング配線16aと、電位VSSを有する第2のリング配線16bとから構成されている。第1のリング配線16aまたは第2のリング配線16bが、ビアホール等の接続孔20を介して、論理回路部13上に配線されて同論理回路部13に電源を供給する基本電源配線18と接続されている。
基本電源配線18は、第1のリング源配線16aと接続された基本電源配線18a、および第2のリング配線16bと接続された基本電源配線18bからなり、基本電源配線18a、18bが論理回路部13上にて交互に横方向に配線されている。基本電源配線18に挟まれるように、横方向に整列されたセル列19が形成される。電源パッド15aから電源リング16(16a,16b)に供給された動作電流は、基本電源配線18(18a,18b)を介してセル列19に供給される。各セル列19は、例えばインバータ素子などから構成されたセル14を含む。セル14の配置に使われるCADデータが電源配線のためのデータを含む場合には、そのCADデータにて表される複数のセルから構成されるセル群の電源配線と、その電源配線を電源リング16に接続する電源配線とから各基本電源配線18が構成される。
図1(a)に示すように、基本電源配線18の上層には、論理回路部13の電源を補強する格子状の補強電源配線(電源メッシュ)24が配線されている。電源メッシュ24はY方向に延びる縦補強電源配線22とX方向に延びる横補強電源配線23とからなる。縦補強配線22及び横補強配線23の各々は複数の層に亘って形成されている。これら縦補強配線22及び横補強配線23は基本的に等間隔(均等ピッチ)で配線されている。
各縦補強配線22及び各横補強電源配線23の両端部は、接続孔(図示略)を介して電源リング16と電気的に接続されている。縦補強電源配線22及び横補強電源配線23と基本電源配線18とは、縦補強電源配線22及び横補強電源配線23と基本電源配線18との各交点又は交点の近傍に設けられた接続孔(図示略)を介して互いに電気的に接続されている。
各縦補強電源配線22及び各横補強電源配線23は、所定の分割単位にて長手方向に区分けされた少なくとも一つの配線部分によって構成される。各補強電源配線22,23の幅は、IRドロップ(電圧降下)と過剰の電流密度との少なくとも一方を緩和するように、各配線部分毎に決められている。例えば、図1(a)の縦補強電源配線22aに注目した場合、図1(b)に示すように、縦補強電源配線22aの幅は、分割単位u0(電源メッシュ24の格子サイズの半分)毎に決められている。なお、縦補強電源配線22a以外の電源メッシュ24を構成する補強電源配線についても、配線部分毎に配線幅が決められる。図1(b)に示す縦補強電源配線22aの長手方向の寸法と横方向の幅との比率は実物と一致していない。
次に、図4及び図5を参照して、補強電源配線の配線幅を設定する処理について説明する。図4は、IRドロップ値と配線幅との関係、図5は、電流密度と配線幅との関係を示す。図4,5の左側は、補強電源配線のIRドロップ及び電流密度を配線部分毎に示し、右側は補強電源配線の配線幅を模式的に示している。なお、ここでのIRドロップ値とは、補強電源配線が実際に配線されるのに先立って、論理回路部上に均一な配線幅を有する補強電源配線が仮に配線された場合に予想されるIRドロップ値(仮のIRドロップ値)のことをいう。また、ここでの電流密度とは、補強電源配線が実際に配線されるのに先立って、論理回路部上に均一な配線幅を有する補強電源配線が仮に配線された場合に予想される電流密度(仮の電流密度)のことをいう。
まず、仮のIRドロップ値に対応した配線幅の設定について説明する。
図4に示すように、均一な所定の幅にて形成された補強電源配線26aは、長手方向の分割単位u1にて8つの配線部分(Aa1〜Ah1)に区分けされる。なお、分割単位は、例えば、電源メッシュの格子サイズ、最小セルサイズを基準として設定してもよく、また任意の配線長であってもよい。
補強電源配線26aの配線幅は、部分Aa1〜Ah1毎に算出された仮のIRドロップ値に対応して、部分Aa1〜Ah1毎に変更される。幅の変更された配線部分Aa2〜Ah2からなる補強電源配線26bが図4の右側に示される。
すなわちまず、各部分Aa1〜Ah1の仮のIRドロップ値がIRドロップ解析により算出される。IRドロップ値は、「IRドロップ値Vd=電流値I×シート抵抗Rs×配線長L/配線幅W」といった関係式に従って算出される。ここで、シート抵抗Rsは、「抵抗率ρ/配線膜厚d」より算出され、製造プロセス条件により決定される。電流値Iは、電力解析を行うことにより求められる。そして、この関係式より算出された仮のIRドロップ値Vdに基づいて、各部分Aa1〜Ah1の配線幅が変更され、補強電源配線26bの各部分Aa2〜Ah2の配線幅が決定される。仮のIRドロップ値が大きいほど配線幅が太くされる。
なお、配線幅を増加させたい配線区間について、配線リソースの不足などにより配線幅の増加が困難な場合には、その増加分の配線幅を他の配線区間(例えば隣接区間)に振り分けてもよい。また、配線幅の変更については、図6に示すように、チップサイズとIRドロップ値とから経験則より求められたテーブルに基づいて行うこともできる。
この補強電源配線26aの場合、仮のIRドロップ値は、配線両端の部分Aa1、Ah1で低く、配線中央の部分Ad1、Ae1ほど高くなるように分布している。そこで、新たな補強電源配線26bの配線幅は、配線両端の部分Aa2、Ah2では小さく、配線中央の部分Ad2、Ae2ほど大きくなるように設定されている。
次に、仮の電流密度に対応した配線幅の設定について説明する。
仮の電流密度に対応した配線幅の設定を行う場合、図5に示すように、補強電源配線27aの配線幅は、分割単位u2(格子サイズ)で区分けされた各部分Ba1〜Bh1毎に算出された仮の電流密度に対応して変更される。幅の変更された配線部分部分Ba2〜Bh2からなる補強電源配線27bが図5の右側に示される。
電流密度Jは、「電流値I/(配線膜厚d×配線幅W)」より算出される。配線幅は、仮の電流密度が予め設定されたエレクトロマイグレーション制約を充足する許容電流密度以下となるように決定される。例えば、仮の電流密度が許容電流密度を超える場合には配線幅が増加され、仮の電流密度が許容電流密度に対して余裕がある場合には配線幅は減少される。
この補強電源配線27aの場合、仮の電流密度の分布は、配線中央の部分Bd1、Be1から配線両端の部分Ba1、Bh1へと高くなっている。そこで、新たな補強電源配線27bの配線幅は、各部分Ba2〜Bh2毎に仮の電流密度が許容電流密度以下となるように設定される。従って、新たな補強電源配線27bの配線幅は、元の補強電源配線27aの仮の電流密度の分布に対応して、配線中央の部分Bd2、Be2から配線両端の部分Ba2、Bh2へと幅広く設定されている。
この補強電源配線27aの場合、最も仮の電流密度が高い配線両端の部分Ba1、Bh1が許容電流密度以下となっているため、補強電源配線27bは、仮の電流密度に余裕がある部分Ba2、Bh2から配線中央の部分Bd2、Be2へと減少されている。
次に、本実施形態の電源配線方法について、図1の例を参考に詳述する。
図1に示すLSI10の電源配線は、縦補強電源配線22及び横補強電源配線23について、先ず仮のIRドロップ値に対応して配線幅を変更し、その後、仮の電流密度に対応して配線幅の変更を行って配線されたものである。仮の電流密度に対応した配線幅の変更の後、仮のIRドロップ値に対応した配線幅の変更を行ってもよいし、より最適な配線幅を得るべく、配線幅の変更を繰り返し行ってもよい。また、仮のIRドロップ値および仮の電流密度のいずれの条件も満たすのであれば、仮の電流密度、あるいは仮のIRドロップ値に対応した配線幅の変更のみを行ってもよい。
詳述すると、IRドロップ値に対応した配線幅の変更では、まず、分割単位u0の大きさを設定し、各電源配線を分割単位u0で区分けする。図1(b)の分割単位u0の大きさは電源メッシュ24の格子サイズの半分に設定されている。各配線部分毎に仮のIRドロップ値に対応した配線幅の変更が行われる。
仮の電流密度に対応した配線幅の変更では、分割単位u0の大きさを設定し、各電源配線を分割単位u0で区分けする。分割単位u0は例えば電源メッシュ24の格子サイズの半分である。各配線部分毎に仮の電流密度に対応した配線幅の変更が行われる。なお、このときの配線幅の変更では、同時にIRドロップ値を確認しつつ最適な配線幅が設定される。
配線幅の変更処理は、コンピュータ等の情報処理装置により実行される。情報処理装置の記憶装置には、この配線設計処理のプログラムデータが記録媒体や通信媒体を介してインストールされている。情報処理装置は、プログラムを実行して生成したLSI10のレイアウトデータを記憶装置に記憶するとともに、処理中において必要なIRドロップ値の上限及び許容電流密度等の設定データ及び算出するデータを記憶装置に記憶する。
第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)論理回路部13へ電源を供給する基本電源配線18より上層には、複数の配線層に亘って配線された縦補強電源配線22及び横補強電源配線23からなる格子状の電源メッシュ24が配線される。各縦補強電源配線22及び各横補強電源配線23は、所定の分割単位にて長手方向に区分けされる。各配線部分毎に仮のIRドロップ値および仮の電流密度を緩和するように、各配線部分の配線幅は設定される。
これにより、仮のIRドロップ値の比較的大きい領域又は仮の電流密度の比較的高い領域のいずれの領域でも、幅の広い電源配線が配線されるようになり、論理回路部上のIRドロップが効果的に緩和され、かつ、エレクトロマイグレーション制約が充足される。また、仮のIRドロップ値が比較的小さく、かつ、仮の電流密度が比較的低い領域では、幅の狭い電源配線が配線されるため、電源配線面積の増大を抑制することができる。その結果、信号配線の配線領域を拡大することができ、信号配線の配線態様の自由度が向上する。さらに、分割単位を最小に設定する、即ち最小デザインルールを用いることにより、補強電源配線は、配線部分の段差が極めて小さいスムーズな形状となる。
(2)自動配置配線手法を適用し、電力解析及びIRドロップ解析によるシミュレーションに基づいて配線幅の決定を行うことにより、早期設計段階でIRドロップによる動作不良を防止することができる。
次に、本発明の第2の実施形態にかかる半導体集積回路装置及びその電源配線方法について、図面を参照しつつ説明する。尚、説明の便宜上、第1の実施形態と同一の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図7は、本実施形態のLSIの電源配線を示す平面図であり、図8は、仮のIRドロップ値の分布を示すマップ(IRドロップマップ)である。
図7に示すLSI30では、補強電源配線(電源メッシュ)31を構成する縦補強電源配線32及び横補強電源配線33が、それぞれ不均等間隔で配線されている。詳しくは、隣接する縦補強電源配線32間の間隔は仮のIRドロップ値の大きさに応じて設定されている。隣接する横補強電源配線33の間隔は仮のIRドロップ値の大きさに応じて設定されている。仮のIRドロップ値とは、論理回路部34上に電源メッシュ31が配線されるのに先立って、縦補強電源配線32および横補強電源配線33がそれぞれ均等ピッチで仮に配線された場合(図91参照)に予想されるIRドロップ値のことをいう。図8は縦補強電源配線32及び横補強電源配線33の間隔を調整する前のLSI30aの仮のIRドロップ値分布の一例である。この例では、IRドロップ値の最大値の位置(ピーク位置)P0は論理回路部34の中央部近傍にある。
本実施形態では、論理回路部34においてピーク位置P0に近い位置ほど配線密度が高くなるように、即ち隣接する配線間隔がピーク位置P0に近い位置ほど小さくなるように、縦補強電源配線32及び横補強電源配線33の間隔が調整される。これにより、仮のIRドロップ値が大きい領域ほど縦補強電源配線32及び横補強電源配線33の数が多くなり、論理回路部34上のIRドロップが効果的に緩和される。
詳述すると、仮に論理回路部34を所定の最小サイズを有する平方単位(最小ブロックU)で分割した場合、各最小ブロックU毎に求められる仮のIRドロップ値の合計が、各縦補強電源配線32により区画される論理回路部34上の各隣り合う領域内において実質的に等しくなるように、縦補強電源配線32が配線されている。横補強電源配線33についても同様、上記各最小ブロックを単位として求められる仮のIRドロップ値の合計が、各横補強電源配線33により区画される論理回路部34上の各隣り合う領域内において実質的に等しくなるように、配線されている。
具体的には、LSI30は、各7本の縦補強電源配線32a〜32g及び横補強電源配線33a〜33gを備え、論理回路部34は、これら各7本の縦補強電源配線32a〜32g及び横補強電源配線33a〜33gにより8つの縦領域(列)Rv1〜Rv8及び横領域(行)Rh1〜Rh8に区画されている。
縦補強電源配線32a〜32gは、各縦領域Rv1〜Rv8における各最小ブロックUの仮のIRドロップ値の合計が互いに等しくなるように配線され、同様に横補強電源配線33a〜33gは、各横領域Rh1〜Rh8内における各最小ブロックUの仮のIRドロップ値の合計が互いに等しくなるように配線されている。
例えば、縦補強電源配線32d、32eにより区画された縦領域Rv5における最小ブロックUの仮のIRドロップ値の合計と縦補強電源配線32e、32fにより区画された縦領域Rv6における最小ブロックUの仮のIRドロップ値の合計は互いに等しい。同様に、横補強電源配線33a、33bにより区画された横領域Rh2と、横補強電源配線33gにより区画された論理回路部34外周側の横領域Rh8とで、最小ブロックUの仮のIRドロップ値の合計も互いに等しい。
次に、本実施形態の電源配線方法について説明する。
図9〜図10は、本実施形態の電源配線方法すなわち配線設計処理のフローチャートである。この処理は、コンピュータ等の情報処理装置により実行される。情報処理装置の記憶装置には、この配線設計処理のプログラムデータが記録媒体や通信媒体を介してインストールされている。情報処理装置は、プログラムを実行して生成したLSI30のレイアウトデータを記憶装置に記憶するとともに、処理中において必要なIRドロップ値の上限及び許容電流密度等の設定データ及び算出するデータを記憶装置に記憶する。
図9に示すように、ステップS201において、許容可能なIRドロップ値の上限及びエレクトロマイグレーション制約(EM制約)を充足する配線の許容電流密度を設定する。そして、ステップS202において、電力解析により論理回路部34の総消費電力量及び総電流量を算出する。
ステップS203において、ステップS201で設定された許容電流密度及びステップS202で算出された総電流量に基づいて、EM制約を充足する電源配線の総配線幅を算出し、電源メッシュ31を構成する各縦補強電源配線32及び横補強電源配線33の本数及び配線幅を決定する。
ステップS204において、論理回路部34を構成する各セルの仮配置を行い、論理回路部34上に仮想電源メッシュを設ける。尚、この仮想電源メッシュを構成する縦及び横の補強電源配線(即ち、最終的に電源メッシュ31を構成する縦補強電源配線32a〜32g及び横補強電源配線33a〜33g)は、図8に示すようにそれぞれ均等ピッチで仮配線される。
ステップS205において、仮想電源メッシュが仮配線された状態でIRドロップ解析を行い、図8に示したIRドロップマップを作成する。
ステップS206において、IRドロップマップ(図8)に基づいて、ステップS201で設定した上限を超えるIRドロップが発生していないか、即ちIRドロップ条件を満たしているか否かを判定する。IRドロップ条件を満たしている場合(YES)には、後述するステップS214以下の処理を実行する。
一方、IRドロップ条件が満たされていない場合(NO)には、ステップS207において、論理回路部34を最小ブロックUに分割し、各最小ブロックU毎に仮のIRドロップ値を算出する。最小ブロックUのIRドロップ値は、最小ブロックU内のIRドロップ値の最大値、平均値、中央値、又は、最小ブロックUの中心位置におけるIRドロップ値等の代表値である。本実施形態では、最小ブロックUのサイズは最小セルサイズに合わせているが、その他の任意のサイズでもよい。
ステップS208において、図11に示すように、縦補強電源配線32a〜32gにより区画された各縦領域Rv1〜Rv8における各最小ブロックU(図8参照)の仮のIRドロップ値の合計を算出し比較する。ステップS209において、各縦領域Rv1〜Rv8内における各最小ブロックUの仮のIRドロップ値の合計が互いに等しくなるように各縦補強電源配線32a〜32gの配線位置を調整する。
ステップS210においては、図12に示すように、横補強電源配線33a〜33gにより区画された各横領域Rh1〜Rh8における各最小ブロックU(図8参照)の仮のIRドロップ値の合計を算出し比較する。ステップS211において、各横領域Rh1〜Rh8内における各最小ブロックUの仮のIRドロップ値の合計が互いに等しくなるように各横補強電源配線33a〜33gの位置(配線間隔)を調整する。
ステップS201〜ステップS211の処理によれば、仮のIRドロップ値が大きい領域ほど、縦補強電源配線32及び横補強電源配線33の密度が高くなる。このため、仮のIRドロップ値が大きい領域ほど、実質的に電源配線面積が大きくなり、IRドロップが緩和される。本実施形態の方法では、IRドロップの緩和が不十分である場合に、ステップS212およびステップS213の処理がさらに行われる。
ステップS212においては、図13に示すように、縦補強電源配線32a〜32g及び横補強電源配線33a〜33gの位置が調整された状態で、再びIRドロップ解析を行う。ステップS213においては、IRドロップ条件を満たしているか否かを判定する。ステップS213においてIRドロップ条件が満たされていない場合(NO)には、IRドロップ条件を満たすまでステップS207〜ステップS212が繰り返される。
このように縦補強電源配線32及び横補強電源配線33の配線位置の調整を繰り返すことで、論理回路部34のIRドロップを低減させる位置に、縦補強電源配線32及び横補強電源配線33を適切に補正(再調整)することができる。この繰り返しの処理においては、ステップS212で作成されたIRドロップマップに基づいて、各最小ブロックUの仮のIRドロップ値が再度決定される。
そして、IRドロップ条件が満たされると(S213でYES)、ステップS214において、電力解析を行い各縦補強電源配線32a〜32g及び各横補強電源配線33a〜33gの電流密度(仮の電流密度)を算出する。ステップS215において、各縦補強電源配線32a〜32g及び横補強電源配線33a〜33gについて、EM制約を充足するようにその配線幅を再構成する。このとき第1の実施形態に示した電源配線方法を用い、各縦補強電源配線32a〜32g及び横補強電源配線33a〜33gを、所定の分割単位(最小ブロックUの長手方向の長さ)にて分割し、各配線部分毎にその配線幅の変更を行ってもよい。
ところで、ステップS215において、EM制約を充足するように縦補強電源配線32及び横補強電源配線33の配線幅を再構成する際、EM制約に余裕があれば、電源配線の配線リソースの消耗を抑制すべく、逆に配線幅を減少させることがある。ただし、このような場合、配線幅を減少させることにより新たなIRドロップが生じ、ひいては上限を超えるIRドロップが発生してしまうおそれがある。そこで、本実施形態では、ステップS216において、配線幅の再構成後、確認のため再びIRドロップ解析によりIRドロップマップを作成する。そして、ステップS217において、IRドロップ条件を満たしているか否かを判定する。上限を超えるIRドロップが発生している場合(S217でNO)には、EM制約を充足するための処理(ステップS214〜ステップS216)をやりなおす。
従って、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の(1)および(2)の効果と同様の効果に加え、以下の効果が得られる。
(3)縦補強電源配線32及び横補強電源配線33は、縦補強電源配線32により区画される隣り合う領域の相互の比較、及び横補強電源配線33により区画される隣り合う領域の相互の比較において、各領域内における最小ブロックUの仮のIRドロップ値の合計が等しくなるように配線される。これにより、縦補強電源配線32及び横補強電源配線33の配線前の状態において仮のIRドロップ値が大きい領域ほど、論理回路領域の単位面積あたりの電源配線面積が実質的に大きくなり、IRドロップを効果的に緩和することができ、その結果、半導体集積回路の安定な動作を保障することができる。
(4)電源メッシュ31(縦補強電源配線32及び横補強電源配線33)の仮配線後、電力解析を行い各縦補強電源配線32及び各横補強電源配線33の電流密度を算出し、EM制約を充足するように各配線32,33の配線幅を最適化する。これにより、エレクトロマイグレーション制約が充足され、電源配線面積の増大が抑えられ、かつ、信頼性の向上した半導体集積回路を設計することができる。
(5)縦補強電源配線32および横補強電源配線33の配線位置を補正(再調整)する処理(ステップS207〜ステップS213の繰り返しの処理)が行われる。このため、論理回路部34上のIRドロップがより確実に緩和される。
次に、第2の実施形態の変形例について説明する。
(第1変形例)
第2の実施形態では、仮のIRドロップ値の大きさに応じて補強電源配線(電源メッシュ)31を配線することとしたが、これに代えて、図14に示す配線態様を補強電源配線に採用することもできる。すなわち、この変形例では、縦補強電源配線132は、基本的には、各縦補強電源配線132により区画された各隣り合う領域における消費電力量が実質的に等しくなるように配線されている。同様に、横補強電源配線133は、基本的には、各横補強電源配線133により区画された各隣り合う領域における消費電力量が実質的に等しくなるように配線されている。
この変形例の電源配線方法について説明する。図15は、この変形例において、情報処理装置により実行される電源配線の配線手順の一部を示すフローチャートである。図15に示すように、この変形例では、図9のステップS204とS205の間に、ステップS2041〜ステップS2044の処理が実行される。
ステップS2041においては、図16に示すように、縦補強電源配線132a〜132gにより区画された各縦領域Rv11〜Rv18における消費電力量を算出して比較する。次いで、ステップS2042において、各縦領域Rv11〜Rv18内における消費電力量が互いに等しくなるように各縦補強電源配線132a〜132gの配線位置を調整する。
ステップS2043において、図17に示すように、横補強電源配線133a〜133gにより区画された各横領域Rh11〜Rh18における消費電力量の合計を算出して比較する。次いで、ステップS2044において、各横領域Rh11〜Rh18内における消費電力量が互いに等しくなるように各横補強電源配線133a〜133gの配線位置を調整する。
ちなみに、このような配線方法(ステップS2041〜ステップS2044)によっても、仮のIRドロップ値が大きい領域ほど、縦補強電源配線132および横補強電源配線133が密に配線されるといった上述の傾向はある。したがってこの配線方法でも、IRドロップ値が大きい領域ほど、実質的に電源配線面積が大きくなり、IRドロップが緩和される。
ただし、こうした電源配線方法(電源配線態様)のみによっては、IRドロップの緩和が十分でないようなことがある。そこで、この変形例でも、さらにステップS205において、縦補強電源配線132a〜132g及び横補強電源配線133a〜133gが調整された状態でIRドロップ解析を行い、次いでステップS213において、IRドロップ条件を満たしているか否かを判定する。そして、このステップS206においてもなお、上限を超えるIRドロップが発生している場合には、IRドロップ条件を満たすまでステップS207〜ステップS213の処理を繰り返し実行する(縦補強電源配線132および横補強電源配線133の配線位置の補正処理)。
第1変形例によれば、第1及び第2の実施形態の(1)〜(5)の効果と同様の効果が得られる。
(第2変形例)
縦補強電源配線および横補強電源配線の配線位置の補正処理方法については任意である。例えば、第2の実施形態における繰り返しの処理(ステップS207〜ステップS213)に代えて、図18に示すステップS213a1〜ステップS213a8の処理を行うこともできる。
すなわち、一度目のステップS213において、上限を超えるIRドロップが発生している場合(ステップS213でNO)、ステップS207に戻ることなく、ステップS213a1の処理を行う。ステップS213a1において、IRドロップマップ上に現れた仮のIRドロップピーク位置Pの最も近傍にあり、かつ、このピーク位置Pを挟む2本(1組)の縦補強電源配線232を選択する。なお、仮のIRドロップピーク位置Pが複数ある場合には、例えば、仮のIRドロップ値が最も大きいピーク位置Pを対象としてこの選択の処理を行う。
具体的には、図19に示されるように、IRドロップマップ上に3つのピーク位置P1〜P3が現れた場合には、このうちIRドロップ値が最も大きいピーク位置P1を対象とする。そして、このピーク位置P1の最も近傍にあり、かつ、このピーク位置P1を挟む縦補強電源配線232dおよび232eを選択する。ステップS213a2において、上記対象としたピーク位置P1の最も近傍にあり、かつ、このピーク位置P1を挟む横補強電源配線233eおよび233fを選択する。
こうして4本の補強電源配線232d、232e、233e、233fが選択されると、次にステップS213a3において、図20に示すように、これら選択した補強電源配線232d、232e、233e、233fにより囲まれた領域Aを狭める方向にこれら補強電源配線232d、232e、233e、233fの配線位置を各々補正(調整)する。そして、ステップS213a4において、これら補強電源配線232d、232e、233e、233fが補正(調整)された状態でIRドロップ解析を行う。次いで、ステップS213a5において、この状態にて、領域Aにおける各最小ブロックU(図8参照)毎に求められる仮のIRドロップ値の合計がIRドロップ条件を満たしているか否かを判定する。IRドロップ条件を満たす(ステップS213a5でYES)まで、ステップS213a3およびステップS213a4の処理を繰り返し実行する。IRドロップ条件を満たすと(ステップS213a5でYES)、次にステップS213a6の処理を行う。
ステップS213a6においては、全ての縦補強電源配線232及び横補強電源配線233が選択されたか否かを判断する。全ての縦補強電源配線232および横補強電源配線233(補強電源配線231)が選択されたと判断されるまで、ステップS213a1〜ステップS213a5がを繰り返される。
なお、ステップS213a1〜ステップS213a5を繰り返す場合、ステップS213a1および213a2の処理において対象とするピーク位置Pは、前回のステップS213a1の処理において対象としたピーク位置P1であり、これを他のピーク位置Pに変更しない。また、一度選択した縦補強電源配線232d、232e、および横補強電源配線233e、233fについてはこれを再度選択しない。したがって、図21に示すように、ステップS213a1においては、縦補強電源配線232cおよび232fを選択し、ステップS213a2においては、横補強電源配線233dおよび233gを選択する。ステップS213a3においては、領域B1〜B8の各々を狭める態様で、補強電源配線232b、232f、233d、233gの配線位置を各々補正(調整)する。ただし、領域B1〜B8の各々が既にIRドロップ条件を満たしている場合には、ステップS213a3をスキップして、ステップS213a4の処理に移行してもよい。
また、この繰り返しの処理を実行するに際し、ステップS213a1、213a2において選択することのできる縦補強電源配線232あるいは横補強電源配線233が1本しかない場合には、その1本の配線のみを選択する。こうした場合、次のステップS213a3においては、選択した補強電源配線と電源リングとにより囲まれる領域を狭める態様で、上記選択した補強電源配線の配線位置を補正(調整)する。一方、ステップS213a1、213a2において選択することのできる補強電源配線がない場合には、選択しない。
最終的にステップS213a6の処理において、全ての縦補強電源配線232および横補強電源配線233が選択されたとき、ステップS213a7の処理を行う。
ステップS213a7においては、図22に示すように、縦補強電源配線232a〜232g及び横補強電源配線233a〜233gが補正(調整)された状態で、再びIRドロップ解析を行う。次いで、ステップS213a8において、IRドロップ条件を満たしているか否かを判定する。そして、このステップS213a8の処理において、上限を超えるIRドロップが発生しなくなるまで、ステップS213a1〜ステップS213a7の処理を繰り返し実行する。IRドロップ条件が満たされると、EM制約を充足すべく、ステップS214〜ステップS217の処理を実行する。
ステップS213a1〜ステップS213a8を行うことにより、縦補強電源配線232および横補強電源配線233(補強電源配線231)により区画される領域のうち、仮のIRドロップのピーク位置Pのある領域から外周に向かって、補強電源配線231の配線間隔が順次補正(調整)される。これにより、上述の電源配線方法(ステップS201〜ステップS213)と相まって、IRドロップがより確実に緩和される。
第2変形例によれば、第1、第2の実施形態の前記(1)〜(5)の効果と同様の効果が得られる。
(第3変形例)
縦補強電源配線および横補強電源配線の配線位置の補正処理として、第2の実施形態における繰り返しの処理(ステップS207〜ステップS213)に代えて、図23に示すステップS213b1〜ステップS213b11の処理を行うこともできる。
すなわち、一度目のステップS213の処理において、上限を超えるIRドロップが発生している場合(ステップS213でNO)、ステップS207に戻ることなく、ステップS213b1の処理を行う。
ステップS213b1の処理においては、IRドロップ値の下限値および上限値(許容範囲)を設定する。ステップS213b2において、図24に示すように、縦補強電源配線332および横補強電源配線333(補強電源配線331)により区画される格子状領域のうち、仮のIRドロップ値の最も低い領域Cを選択する。なお、格子状領域における仮のIRドロップ値とは、格子状領域における各最小ブロックU(図8参照)毎に求められる仮のIRドロップ値の合計のことをいう。
ステップS213b3において、上記選択した領域Cにおける仮のIRドロップ値と上記下限値とを比較する。領域Cにおける仮のIRドロップ値が上記下限値未満であれば、当該領域Cを拡大する。具体的には、図25と併せて示すように、領域Cを区画する縦補強電源配線332a、332bおよび横補強電源配線333b、333cのうち、当該領域Cを区画する線分332a1,332b1、333b1、333c1の位置を補正し、領域Cを拡大する。領域Cにおける仮のIRドロップ値が上記下限値以上となり、許容範囲に入ると、調整した線分(領域Cを区画する線分)の配線位置を固定し、次にステップS213b4の処理を行う。他方、ステップS213b3において、選択した領域Cの仮のIRドロップ値が、当初から許容範囲に入っているのであれば、領域Cの拡大を行うことなく、次のステップS213b4の処理を行う。いずれにしろ、ステップS213b3の処理においては、上記選択した領域Cを区画する線分の配線位置は固定される。尚、図25の例では、線分332a1,332b1、333b1、333c1の移動により、領域Cは矩形から十字形状(矩形以外の多角形)に変化している。
ステップS213b4においては、縦補強電源配線332および横補強電源配線333により区画される全ての格子状領域を選択したか否かを判断する。ステップS213b4において全ての格子状領域が選択されたと判断されるまで、ステップS213b2および213b3の処理が繰り返される。なお、ステップS213b2およびステップS213b3の繰り返しの処理を実行するに際し、配線位置が固定された線分に区画される格子状領域についてはこれを再度選択しない。
ステップS213b4において、全ての格子状領域を選択したと判断されると、次にステップS213b5の処理を行う。ステップS213b5においては、縦補強電源配線332および横補強電源配線333の配線位置の固定を全て解除する。ステップS213b6において、図26に示すように、縦補強電源配線332および横補強電源配線333(補強電源配線331)により区画される格子状領域のうち、仮のIRドロップ値の最も高い領域Dを選択する。
ステップS213b7においては、上記選択した領域Dにおける仮のIRドロップ値と上記上限値とを比較する。そして、領域Dにおける仮のIRドロップ値が上限値を超えていると判断される場合には、当該領域Cを縮小する。具体的には、図27と併せて示すように、領域Dを区画する縦補強電源配線332c、332dおよび横補強電源配線333e、333fのうち、当該領域Dを区画する線分332c1,332d1,333e1,333f1の位置を補正し、領域Dを縮小する。
領域Dを縮小する処理手順の一例について詳述する。
領域Dにおける仮のIRドロップ値が上限値を超えている場合、まず、横補強電源配線333e、333fのうち、さらに当該領域Dを区画する線分333e1,333f1を選択する。そして、この選択した線分333e1,333f1間の距離が小さくなる方向に、これら選択した線分333e1,333f1の配線位置を各々補正(調整)する。領域Dにおける仮のIRドロップ値が上限値以下となり、許容範囲に入ると、この領域Dを縮小する処理を終了する。
一方、選択した線分333e1,333f1間の距離が予め設定された最小配線間隔となったにもかかわらず、領域Dにおける仮のIRドロップ値が未だ上限値を超えている場合には、次に縦補強電源配線332c、332の配線位置を補正(調整)する。すなわち、縦補強電源配線332c、332dのうち当該領域Dを区画する線分332c1,332d1を選択する。そして、この選択した線分332c1,332d1間の距離が小さくなる方向に、これら選択した線分332c1,332d1の配線位置を各々補正(調整)する。領域DにおけるIRドロップ値が上限値以下となり、許容範囲に入った場合には、この領域Dを縮小する処理を終了する。尚、図27の例では、線分332c1,332d1,333e1,333f1の移動により、領域Dに隣接するいくつかの領域の形状が矩形からT字形状(矩形以外の多角形)に変化している。
なお、領域を縮小する処理を行うにあたって、縦補強電源配線332および横補強電源配線333のいずれから上記配線位置の補正(調整)を開始してもよい。また、ステップS213b7の処理においては、領域Dを縮小する処理が終了すると、領域Dを区画する線分の配線位置を固定する。ただし、ステップS213b7の処理において、領域DのIRドロップ値が、当初から許容範囲に入っているのであれば、こうした縮小する処理を行うことなく、領域Dを区画する線分の配線位置を固定し、次にステップS213b8の処理を行う。
ステップS213b8の処理においては、縦補強電源配線332および横補強電源配線333により区画される全ての格子状領域を選択したか否かを判断する。全ての格子状領域が選択されるまで(ステップS213b8でYES)、ステップS213b6および213b7の処理を繰り返し実行する。なお、ステップS213b6およびステップS213b7の繰り返しの処理を実行するに際し、配線位置が固定された線分に区画される格子状領域についてはこれを再度選択しない。そして、全ての格子状領域が選択されると、ステップS213b9の処理において、縦補強電源配線332および横補強電源配線333の配線位置の固定を全て解除する。ステップS213b10において、図28に示されるように、縦補強電源配線332a〜332g及び横補強電源配線333a〜333gが補正(調整)された状態でIRドロップ解析を行う。次いで、ステップS213b11において、IRドロップ条件を満たしているか否かについて判定する。上限を超えるIRドロップが発生しなくなるまで、ステップS213b2〜ステップS213b10の処理を繰り返し実行する。上限を超えるIRドロップが発生していない場合(ステップS213b11でYES)、EM制約の充足を図るべく、ステップS214〜ステップS217の処理を実行する。
こうした電源配線方法(ステップS213b1〜ステップS213b11)によれば、縦補強電源配線232および横補強電源配線233により区画される格子状領域のうち、IRドロップ条件を満たしていない領域のみを対象として、縦補強電源配線332および横補強電源配線333の配線位置の補正(調整)が行われる。したがって、論理回路部34上のIRドロップを、効率よく、かつより確実に緩和することができる。
第3変形例によれば、第1、第2の実施形態の前記(1)〜(5)の効果と同様の効果が得られる。
尚、ステップS213b2〜S213b4の処理とステップS213b6〜S213b8の処理の順序を入れ替えてもよい。
(第4変形例)
第2の実施形態では、縦補強電源配線および横補強電源配線の配線位置を補正(調整)する処理(ステップS207〜ステップS213までの繰り返しの処理)を行うこととしたが、この補正処理については省略することもできる。ただしこの場合には、図29に示す配線態様を採用することが、IRドロップをより確実に緩和する上で望ましい。
第4変形例では、図29に示される補強電源配線431が論理回路部434上に配線される。補強電源配線431は、縦補強電源配線432、横補強電源配線433、および論理回路部434上の任意の部分を補強する部分補強配線435を含む。部分補強配線435は、隣り合う2本の縦補強電源配線432、あるいは、2本の横補強電源配線433を連結する。部分補強配線435により、電源配線の配線リソースの消耗を抑制しつつ、IRドロップを容易かつ的確に緩和することができる。
第4変形例の電源配線方法について説明する。図30は、この変形例において、情報処理装置により実行される電源配線の配線手順の一部を示すフローチャートである。
上限を超えるIRドロップが発生している場合(ステップS213においてNO)、論理回路部434上の任意の部分を補強する配線である部分補強配線435をさらに追加すべく、図30に示されるステップS213c1〜ステップS213c4の処理を実行する。
ステップS213c1においては、図31に示すように、縦補強電源配線432および横補強電源配線433により区画される格子状領域のうち、IRドロップ条件を満たしていない領域(図31にて斜線で示される領域)を選択する。ステップS213c2において、上記選択した格子状領域の各々に、追加の部分補強配線435を配線し、各選択した格子状領域を2分割する。具体的には、上記選択した格子状領域を区画する4辺のうちの短辺と平行であり、かつ、当該格子状領域における仮のIRドロップピーク位置Pを通るように、追加の部分補強配線435を配線する。
ステップS213c3において、部分補強配線435を配線した状態でIRドロップ解析を行う。ステップS213c4において、全ての格子状領域がIRドロップ条件を満たしているか否かを判定する。そして、ステップS213c4において、すべての格子状領域がIRドロップ条件を満たすまで、ステップS213c1〜ステップS213c3までの処理を繰り返し実行する。すべての格子状領域がIRドロップ条件を満たした場合(ステップS213c4でYES)、前記EM制約の充足を図るべく、ステップS214以降の処理を実行する。
こうした電源配線方法(ステップS213c1〜ステップS213c4)によれば、縦補強電源配線432および横補強電源配線433により区画される格子状領域のうち、IRドロップ条件を満たさない領域には、新たな部分補強配線435が追加される。これにより、上述の電源配線方法(ステップS201〜ステップS213)と相まって、電源配線の配線リソースの消耗を抑制しつつ、IRドロップを容易かつ的確に緩和することができる。
尚、IRドロップ条件を満たしていない領域が、図31において補強電源配線432d,432e、433a,433bによって区画される矩形領域のように、短辺と長辺とを有する長方形である場合、その短辺と平行になるように部分補強配線435を追加することが好ましい。この場合、最小限の配線リソースの追加によってIRドロップが効率的に緩和される。
また、LSIの設計中において、配線リソースの使用状況に関する情報があるときには、配線リソースの使用状況に応じて部分補強配線435を追加してもよい。例えばX方向の配線リソースが多く使用されている一方で、Y方向の配線リソースに余裕がある場合には、Y方向と平行になるように部分補強配線435を追加してもよい。
第4変形例によれば、第1、第2の実施形態の前記(1)〜(5)の効果と同様の効果に加え、以下の効果が得られる。
(6)IRドロップ条件を満たさない格子状領域については、最終的には、部分補強配線435を追加するようにした。これにより、電源配線の配線リソースの消耗を抑制しつつ、IRドロップを容易かつ的確に緩和することができる。
次に、本発明の第3の実施形態にかかる半導体集積回路装置及びその電源配線方法について、図面を参照しつつ説明する。なお、説明の便宜上、各実施形態と同一の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図32は、本実施形態のLSIの電源配線を示す平面図である。
図32に示すように、LSI40の補強電源配線(電源メッシュ)41は、不均等な間隔で配線された縦補強電源配線42a〜42h及び横補強電源配線43a〜43hを含む。縦補強電源配線42a〜42h及び横補強電源配線43a〜43hの配線幅は各々独立に設定されている。
詳述すると、縦補強電源配線42a〜42h及び横補強電源配線43a〜43hは、LSI40における仮のIRドロップ値がピークとなる位置、即ち仮のIRドロップピーク位置Pを横切るように配線されている。また、縦補強電源配線42及び横補強電源配線43は、IRドロップピーク位置Pにおける仮のIRドロップを十分に低減する配線幅を有する。
次に、本実施形態の電源配線方法とともに、LSI40における電源メッシュ41について詳述する。
図33及び図34は、本実施形態の電源配線方法すなわち配線設計処理のフローチャートである。この処理はコンピュータ等の情報処理装置により実行される。
先ず、許容可能なIRドロップ値の上限及びEM制約を充足する配線の許容電流密度を設定し(ステップS301)、電力解析により論理回路部44に流れる総電流量を算出する(ステップS302)。
次に、論理回路部44を構成する各セルの仮配置を行い、当該論理回路部44の周囲に仮想電源リング46を配線する(ステップS303)。この状態で、IRドロップ解析を行い、図35に示されるように、仮のIRドロップマップを作成する(ステップS304)。IRドロップマップに基づいて、上限を超えるIRドロップが発生していないか、即ちIRドロップ条件を満たしているか否かについて判定する(ステップS305)。IRドロップ条件を満たしている場合には、後述するステップS311以降の処理を実行する。
他方、IRドロップ条件が満たされていない場合には、ステップS306において、IRドロップが発生している区域とIRドロップのピーク位置Pを特定し、特定したピーク位置Pの座標を記憶する。そして、ピーク位置Pを通るように、縦補強電源配線42及び横補強電源配線43を各々仮配線(追加)する(ステップS307)。
ステップS307の処理について詳述する。
図35に示す仮のIRドロップマップ上には、3つの仮のIRドロップピーク位置P11、P12、P13が現れている。3つのピーク位置P11、P12、P13のうち、ピーク位置P11における仮のIRドロップ値が最も高い。この場合、ステップS307においてはまず、ピーク位置P11を選択する。そして、この選択したピーク位置P11上で交差するように、縦補強電源配線42g及び横補強電源配線43eを仮配線する。
縦補強電源配線42g及び横補強電源配線43eの仮配線後、IRドロップピーク位置P11のIRドロップの低減をより確実に図るべく、以下のステップS308〜ステップS310の処理を行う。
縦補強電源配線42gおよび横補強電源配線43eが仮配線された状態でIRドロップ解析を再度行い、IRドロップマップを再度作成する(ステップS308)。IRドロップピーク位置P11における仮のIRドロップ値がIRドロップ条件を満たしているか否かを判定する(ステップS309)。仮のIRドロップ値がIRドロップ条件を満たしていない場合には、縦補強電源配線42g及び横補強電源配線43eをの幅を大きくする(ステップS310)。IRドロップピーク位置P11における仮のIRドロップ値がIRドロップ条件を満たすまで、ステップS308〜S310が繰り返し実行される。
ステップS309において、ピーク位置P11における仮のIRドロップ値がIRドロップ条件を満たすと、ステップS305に戻り、再び論理回路部44の全域においてIRドロップ条件が満たされているか否かを判定する。
すなわち、図36と図35との比較から明らかなように、論理回路部44上のIRドロップ分布は、縦補強電源配線42g及び横補強電源配線43eの追加によって変化する。図36ではIRドロップピーク位置P12,P13はシフトしている。このため、ステップS305においては、変化後のIRドロップ分布に基づいて、補強電源配線の追加後の論理回路部44の全域においてIRドロップ条件が満たされているか否かを判定する。ステップS305の処理において、IRドロップ条件を満たしている場合には、後述するステップS311以降の処理を実行する。
一方、図36に示すように、シフトしたIRドロップピーク位置P12あるいはP13における仮のIRドロップ値が、未だIRドロップ条件を満たしていない場合、再びステップS306以降の処理を行う。
シフトしたIRドロップピーク位置P12の仮のIRドロップ値が、シフトしたIRドロップピーク位置P13の仮のIRドロップ値よりも高い場合、ステップS306においては、仮のIRドロップピーク位置P12の座標を記憶する。次いで、ステップS307において、図37に示されるように、このピーク位置P12で交差するように、縦補強電源配線42c及び横補強電源配線43gを仮配線する。IRドロップピーク位置P12における仮のIRドロップ値がIRドロップ条件を満たすまで、縦補強電源配線42c及び横補強電源配線43gの配線幅を大きくする(ステップS308〜ステップ310)。
論理回路部44の全域においてIRドロップ条件が満たされるまで、ステップS306〜ステップS310を繰り返す。図38はIRドロップ条件が満たされた論理回路部44を示す。ステップS305において、論理回路部44の全域におけるIRドロップ値がIRドロップ条件を満たす場合、ステップS311の処理において、電力解析を行い、各縦補強電源配線42a〜42h及び横補強電源配線43a〜43hの電流密度(仮の電流密度)を算出する。そして、各縦補強電源配線42a〜42h及び各横補強電源配線43a〜43hについて、前記EM制約を充足するように、その配線幅を再構成する(ステップS312)。この配線幅の再構成の後、再びIRドロップ解析によりIRドロップマップを作成し(ステップS313)、IRドロップ条件を満たしているか否かを判定する(ステップS314)。ステップS314において、上限を超えるIRドロップが発生している場合には、EM制約を充足するための処理(ステップS311〜ステップS313)をやりなおす。
第3の実施形態によれば、第1、第2の実施形態の(1)〜(5)の効果と同様の効果に加え、以下の効果が得られる。
(7)IRドロップ解析により得られた仮のIRドロップピーク位置P11を通る縦補強電源配線42g及び横補強電源配線43eを配線(追加)し、ピーク位置P11においてIRドロップ条件が満たされるまで縦補強電源配線42g及び横補強電源配線43eの配線幅を大きくする。次に、再度IRドロップ解析を行い、新たにシフトしたIRドロップピーク位置P12を通る縦補強電源配線42c及び横補強電源配線43gを追加する。そして、当該ピーク位置P12においてIRドロップ条件が満たされるまで縦補強電源配線42c及び横補強電源配線43gの配線幅を増加する。このように、論理回路部44の全域においてIRドロップ条件が満たされるまで、かかる一連の処理、即ち縦補強電源配線及び横補強電源配線の追加及びその配線幅の増加を繰り返す。
従って、論理回路部44の仮のIRドロップピーク位置Pについて集中的に電源補強をし、且つシフトしたIRドロップピーク位置Pについても順次にIRドロップ条件を解消するので、IRドロップを効果的に緩和することができ、安定性の向上された半導体集積回路を設計することができる。
次に、本発明の第4の実施形態にかかる半導体集積回路装置及びその電源配線方法について、図面を参照しつつ説明する。図39は、本実施形態のLSIの電源配線を示す平面図である。
図39に示すように、LSI50も、第1の実施形態と同様、論理回路部54の外周には複数の電源パッド55a〜55fが配置されており、動作電流は、電源パッド55a〜55fから電源リング56を通じて基本電源配線58に供給される。また、IRドロップの低減およびEM制約の充足を図るべく、論理回路部54上に補強電源配線(電源メッシュ)51が配線されている電源メッシュ51の配線態様の限定はなく、例えば、第1〜第3の実施形態にて示したいずれの配線態様を採用してもよい。例えば、図39に示されるように、縦補強電源配線52及び横補強電源配線53の各々を均等ピッチとなるように配線することもできる。
ただし、LSI50は、電源パッド55a〜55fと接続され、電源パッド55a〜55fから論理回路部54の内部側へ向かって延伸(配線)された電源幹線57を備えている。電源幹線57の先端部近傍は、電源メッシュ51あるいは基本電源配線58と接続されている。
各電源幹線57は、論理回路部54の内部に定めた電源供給点へ電力を提供する。論理回路部54の内部から、その縁(外周付近)に配線される部分に向かって電源を供給することができるので、論理回路部54上におけるIRドロップが効果的に緩和される。
電源幹線57は、IRドロップの低減が最も要求される所定領域に配線される主電源幹線57aと、主電源幹線57aを除く副電源幹線57bとを含む。主電源幹線57aは同領域におけるIRドロップ値を許容範囲内にするように配線される。
次に、本実施形態の電源配線方法について説明する。
図40及び図41は、本実施形態の電源配線方法すなわち配線設計処理のフローチャートである。この処理は、コンピュータ等の情報処理装置により実行される。
先ず、許容可能なIRドロップ値の上限及びEM制約を充足する配線の許容電流密度を設定し(ステップS401)、電力解析により論理回路部に流れる総電流量を算出する(ステップS402)。
次に、論理回路部を構成する各セルの仮配置を行い、当該論理回路部上に仮電源メッシュを設ける(ステップS403)。なお、仮電源メッシュは均等ピッチで仮配線された縦及び横補強電源配線により構成されている。図42に示されるように、この状態でIRドロップ解析を行い、IRドロップマップを作成する(ステップS404)。各セルに流れる電流量は、LSIの動作状況により時間的な違いがあるため、どの時点での電流量を基準とするかによって解析結果が異なるが、ステップS404においては、平均値を用いる。
次に、上限を超える仮のIRドロップが発生している場合、仮のIRドロップが上限を超える区域を特定し、仮のIRドロップピーク位置Pの座標を記憶する(ステップS405)。図42の例では、ピーク位置P21、P22、P23の座標を記憶する。
ステップS406において、IRドロップの低減が最も要求される領域を特定し、その領域に主電力ピースMPを設定する。具体的には、図43に示されるように、仮のIRドロップピーク位置P21、P22を中心付近に含む領域であって、その領域内における最小ブロック(図8参照)の消費電力量の合計値(総消費電力量)が規定の値と実質的に等しくなるような領域を主電力ピースMPaとして設定する。同様に、仮のIRドロップピーク位置P23を中心付近に含む連続した領域であって、その領域内における最小ブロックの消費電力量の合計値(総消費電力量)が規定の値と実質的に等しい領域を主電力ピースMPbとして設定する。
尚、ここで、仮電源メッシュを不均等ピッチとして仮のIRドロップ解析を実施すると、仮電源メッシュの不均等ピッチに基づく電力供給の偏りにより、仮のIRドロップピーク位置は配線が密な領域に近い位置から疎な領域に近い位置に変位する。すなわち、仮電源メッシュのピッチの調整により、主電力ピースを特定の場所に偏らせることができる。
また、規定の値である電力量は主電力ピース毎に個別設定できる。例えば、電源パッドと仮のIRドロップのピーク位置の間の距離に応じて重み付けを行ってもよい。例えば、電源パッドから仮のIRドロップのピーク位置までの距離が近いほど、規定の値が大きくなるように重み付けを行うことができる。この場合、短い電源幹線ほど、多くの電力供給を行うことになるので、効率的である。
複数の主電力ピースMPa,MPbを設定する場合、主電力ピースMPa,MPbの一部が重複しかねない。そこで、本実施形態では、主電力ピースMPa,MPbの一部が重複しているか否かを判断し(ステップS407)、重複している場合には、当該重複を解消するように主電力ピースMPa,MPbの区画調整を行う(ステップS408)。一方、重複がない場合にはステップS408はスキップされる。
ところで、主電力ピースMPa,MPbは、論理回路部54においてIRドロップの低減が最も要求される領域に設定される。そこで、主電力ピースMPa,MPbのIRドロップを最も適切に低減する態様にて電源幹線57を配線すべく、図41に示すように、ステップS409の処理を行う。
すなわち、ステップS409においては、まず、図43に示すように、主電力ピースMPのうち、1つの主電力ピースMPaを解析対象として選択する。選択した主電力ピースMPaが、論理回路部54上における他の領域と電気的に遮断され、また、主電力ピースMPaの外周には、等電位の電源が設置されていると仮定し、主電力ピースMPaのIRドロップマップを作成する。
図44に示すように、他の主電力ピース(主電力ピースMPb)を解析対象として選択する。そして、この選択した主電力ピースMPbも、主電力ピースMPaと同様、論理回路部54上における他の領域と電気的に遮断され、また、主電力ピースMPbの外周に等電位の電源が設置されていると仮定し、主電力ピースMPbのIRドロップマップを作成する。このように主電力ピースMPa、MPbが他の領域と電気的に断断されていると仮定して、IRドロップマップを各々作成することで、図42乃至図44に示すように、各IRドロップピーク位置P21、P22、P23はシフトする。
ステップS410において、これらシフトした各IRドロップピーク位置Pに達するように主電源幹線57aを配線し、各IRドロップピーク位置Pに電源供給点を形成する。
具体的には、図45に示すように、まず、主電力ピースMPa、MPbと電源パッド55a、55bとを関連付けて対応させる。電源パッド55a、55bと、対応する主電力ピースMPa,MPbのIRドロップピーク位置P(P21,P22,P23)とを結ぶように、電源幹線57(主電源幹線57a)を配線する。主電源幹線57aの配線幅は、主電源幹線57aが配線されるIRドロップピーク位置Pにおける仮のIRドロップ値に基づいて決定される。
論理回路部54の内部に延びるように配線された主電源幹線57aによって、仮のIRドロップピーク位置Pから主電力ピースMPの外縁付近に向かって主電力ピースMPへの主要な電源の供給が行われる。
主電源幹線57aの配線後、ステップS411において、図46に示されるように、論理回路部54上の主電力ピースMP以外の領域に、それぞれの総消費電力量が規定の値となるように区画を定めて複数の副電力ピースSPを設定する。
副電力ピースSPは規定の電力量を実質的に備えた連続する領域として区画分けされる。例えば、電源パッドなどの給電部に近い場所を含みかつ規定の電力量を持つように、連続する領域を決める。各副電力ピースSPについて各給電部からの距離に応じて、給電部と副電力ピースSPとの関連付けが容易となる。連続する領域の形状は特に限定されず、例えば、矩形状、I字状、L字状、T字状、C字状である。
次に、主電源幹線57aを配線した状態にて、論理回路部54上の全領域に対してIRドロップ解析を行い、図46に示すように、仮のIRドロップマップを作成する(ステップS412)。そして、副電力ピースSPa〜SPd毎に電源幹線57を配線する(ステップS413)。
すなわち、図47に示すように、これら副電力ピースSPa〜SPdについても、主電力ピースMPと同様、電源パッド55c〜55fと各々関連付ける。電源パッド55c〜55fと、対応する副電力ピースSPa〜SPdとを結ぶように、電源幹線57(副電源幹線57b)を配線する。副電源幹線57bは、副電力ピースSPa〜SPdにおける各々の仮のIRドロップピーク位置Pに達するように配線することが望ましい。副電源幹線57bの配線幅は、ピーク位置Pの仮のIRドロップ値に基づいて決定することが望ましい。
こうして全ての電力ピースに電源幹線57(主電源幹線57a、副電源幹線57b)の配線後、各電力ピースMP、SPの設定を解除し、論理回路部54の全域に電源メッシュ51を構築する(ステップS414)。図48に示すように、再び論理回路部54全体のIRドロップ解析を行うことによりIRドロップマップを作成し(ステップS415)、IRドロップ条件を満たしているか否かを再度判定する(ステップS416)。IRドロップ条件を満たすまで、ステップS414、S415の処理は繰り返される。ステップS414では、例えば、第1〜第3の実施形態にて示した方法で電源メッシュ51(縦補強電源配線52および横補強電源配線53)を配線することもできる。
IRドロップ条件を満たすと(S416でYES)、ステップS417において、電力解析を行い縦補強電源配線52および横補強電源配線53の電流密度(仮の電流密度)を算出する。
ステップS418において、EM制約を充足するように縦補強電源配線52及び横補強電源配線53の配線幅を再構成する。ステップS419において、配線幅の再構成された論理回路部54に対して再びIRドロップ解析によりIRドロップマップを作成する。ステップS420において、IRドロップ条件を満たしているか否かを判定する。上限を超えるIRドロップが発生している場合には、EM制約を充足するための処理(ステップS417〜ステップS420)をやりなおす。
ここで、主電力ピースMPが重複した場合の処理(ステップS408)について詳述する。
図49に示すように、主電力ピースMPaと主電力ピースMPbとが重複領域MPDで重複していると仮定する。
この場合には、関連する電源パッドから比較的近い位置に重複領域MPDを有している主電力ピースMPaについては区画調整を行わず、関連する電源パッドから比較的遠い位置に重複領域MPDを有している主電力ピースMPbについてのみ区画調整を行う。
図49の例では、重複領域MPDは電源パッド55bから比較的遠く、電源パッド55aから比較的近い。そこで、重複領域MPDから比較的遠い電源パッド55bに関連する主電力ピースMPbから、当該重複領域MPDに対応する区画を削減し、その区画を電源パッド55aから比較的近い主電力ピースMPaのみに属する領域として、主電力ピースMPaの区画を確定する。次に、主電力ピースMPbから削除された重複領域MPDと同程度の電力量を持ち、かつ、主電力ピース以外でかつ主電力ピースMPbに隣接する領域に含まれる領域を、主電力ピースMPbに加えて、主電力ピースMPbを再構成する。こうした処理を繰り返すことにより、重複領域を持たず、かつ、各々が実質的に所定の電力量を有する複数の主電力ピースを設定することができる。
例えば、LSI50の場合、主電力ピースMPaに対応する主電源幹線57aが接続される電源パッド55aから重複領域MPDまでの距離よりも主電力ピースMPbに対応する主電源幹線57aが接続される電源パッド55bまでの距離の方が遠い(図49参照)。
したがって、主電力ピースMPaについては区画調整を行わず、主電力ピースMPbの重複領域MPDに対応する区画が電源パッド55b側の代替区画MPSを、確定した主電力ピース以外の領域で主電力ピースMPbに近接した領域から抽出して、主電力ピースMPbに加えることで、主電力ピースMPbの区画を再設定する。
即ち、電源供給起点である電源パッド55aから遠い区画である重複領域MPDを主電力ピースMPbから削除し、主電力ピースMPbに近接し、確定した主電力ピース以外の領域から新たに抽出した区画MPSを新たに加えることにより、主電力ピースMPbは、その総電力量が小さいか又は同等となるように再設定される。
第4の実施形態によれば、第1〜3の実施形態の前記(1)〜(7)の効果と同様の効果に加え、以下の効果が得られる。
(8)論理回路部54の内部側へ向かって配線された主電源幹線57a及び副電源幹線57bの先端部が電源メッシュ51及び基本電源配線58と接続される。これにより、論理回路部54の内部から、その縁端(外周付近)に配線される部分に向かって電源の供給が行われるようになり、論理回路部54上におけるIRドロップが効果的に緩和される。
(9)電源幹線57a、57bを、論理回路部54上におけるIRドロップピーク位置Pに配線したため、IRドロップが効率的に低減される。
(10)主電力ピースMPが重複する場合には、重複する領域を解消するように主電力ピースMPの区画調整が行われる。従って、最も大きなIRドロップが発生している領域に対して適切に主電力ピースMPを設定することができるため、より効果的にIRドロップを緩和することができ、その結果、安定性の向上された半導体集積回路を設計することができる。
(11)主電力ピースMPa、MPbを設定する。そして、当該主電力ピースMPa、MPbに対応する主電源幹線57aを配線する。次に、当該主電力ピースMPa、MPb以外の領域について副電力ピースSPa〜SPdを設定し、各副電力ピースSPa〜MSPdに対応する副電源幹線57bを配線する。この手順によれば、仮のIRドロップの大きい主電力ピースMPにて、IRドロップの低減が優先的に図られる。その結果、より効果的にIRドロップを緩和することができ、安定性の向上された半導体集積回路を設計することができる。
尚、ステップS409において主電力ピースMPaのIRドロップマップを作成する場合、主電力ピースMPaの外周に等電位の電源が設置されていると仮定する代わりに、主電力ピースMPaの外周に不均等電位の電源が設置されていると仮定して、IRドロップ解析を行ってもよい。この場合、IRドロップピーク位置Pは比較的低い電位を有すると仮定された電源に近づくようにシフトする。シフトしたIRドロップピーク位置Pの近傍に電源幹線57aの先端を設けることで、比較的低い電位を有すると仮定された電源近傍は、それ以外の箇所の電源変動の影響が少ないため、当該電源近傍に対する電源の強化がなされる。
次に、電源幹線57aの先端から主電力ピースMPa内に広がるように電源配線を配線する。この工程では、主電力ピースMPaの外縁付近のIRドロップ値に、マージン電位(例えばLSIの基準電位と、主電力ピースMPaの外周の比較的低い電位との差)を加えた値を用いて、主電力ピースMPa内の電源配線のIRドロップ違反を調べる。これにより、IRドロップ条件を余裕をもって満たす電源配線を主電力ピースMPa内に設けることができる。
このように、主電力ピースMPaの周囲に比較的低い電位を有する電源を含む不均等電位を有する電源が設置されていると仮定することにより、マクロセルのような電源変動に弱い回路に対して、特に安定な電位を供給することができる。
次に、本発明の第5の実施形態にかかる半導体集積回路装置及びその電源配線方法について、図面を参照しつつ説明する。図50は、本実施形態のLSIの電源配線を示す平面図である。
図50に示すように、LSI60は、論理回路部64の外周に配置された複数(6つ)の電源パッド65aを有する。論理回路部64上には、電源メッシュ61(縦補強電源配線61a及び横補強電源配線61b)が所定の態様にて配線されている。そして、電源幹線67(主電源幹線67a、副電源幹線67b)が、電源パッド65aから論理回路部64の内部側へ向かって配線されている。論理回路部64は、6つのセグメント領域(分割領域)69から構成されている。各セグメント領域69には、対応する電源幹線67から電源が供給される。
電源メッシュ61および基本電源配線68は、それらセグメント領域69毎に分離(独立)して配線されている。それらセグメント領域69は、電源パッド65aのうちの1つの電源パッドと各々関連付けられ、基本的にはこの関連づけられた電源パッドのみから電源幹線67を通じて電源の供給を受ける。これにより、論理回路部64は、6つの電源パッド65aから必要な電力の供給を受ける。こうした電源分離により、LSI60の動作の安定化が図られる。6つの領域69に対して各別に電力制御を行うことができる。各セグメント領域69が要求する電流量は、各電源パッド65aの最大許容電流量よりも小さく設定されている。
次に、本実施形態の電源配線方法について説明する。
図51及び図52は、本実施形態の電源配線方法すなわち配線設計処理のフローチャートである。この処理はコンピュータ等の情報処理装置により実行される。なお、この処理は、第4の実施形態における配線設計処理と、基本的には同様の手順にて行われる。
先ず、IRドロップ値の上限及びEM制約を充足する配線の許容電流密度を設定し(ステップS501)、電力解析により論理回路部64に流れる総電流量を算出する(ステップS502)。論理回路部64を構成する各セルの仮配置を行い、当該論理回路部64上に仮電源メッシュを設ける(ステップS503)。図53に示されるように、IRドロップ解析により仮のIRドロップマップを作成する(ステップS504)。このIRドロップ解析は、電源メッシュが均等ピッチで配線されていると仮定して行っている。
上限を超えるIRドロップが発生している場合には、その仮のIRドロップのピーク位置Pの座標を記憶する(ステップS505)。図53の例では、IRドロップピーク位置P31、P32、P33の座標が記憶される。
第4の実施形態と同様に、論理回路部64上に主電力ピースMPを設定する(ステップS506)。具体的には、図54に示されるように、LSI60では、ピーク位置P31及びP32を含む主電力ピースMPc、及び仮のIRドロップのピーク位置P33を含む主電力ピースMPdが設定される。各主電力ピースMPc、MPdは、その消費電力が規定の値となるように設定される。
主電力ピースMPが重複しているか否かを判断する(ステップS507)。重複している場合には、当該重複を解消するように主電力ピースMPの区画調整を行う(ステップS508)。一方、重複がない場合には、ステップS508はスキップされる。
主電力ピースMPの設定後、副電力ピースMSを設定する(ステップS509)。副電力ピースSPの消費電力は規定した値に設定される。具体的には、図55に示される態様にて設定される。図55の例は、各電源パッドから実質的に均等な電力量が供給され、各電力ピース及び各副電力ピースの規定とする電力量が総電力量の6分の1である場合の構成である。
すなわち、この場合において、論理回路部64上に設定する副電力ピースSPの数は、主電力ピースMP及び副電力ピースSPの総数が、電源パッド65aの総数と同数となるように設定する。例えば、LSI60では、電源パッド65aの総数が6であり、2つの主電力ピースMPが設定されているため、その他の領域に4つの副電力ピースSPe〜SPhが設定される。
主電力ピースMP及び副電力ピースSPの設定後、主電力ピースMP及び副電力ピースSP毎にIRドロップ解析を行い、IRドロップマップを作成する(ステップS510)。
ステップS510の処理について詳述する。図56に示すように、まず、主電力ピースMPcを解析対象として選択する。この主電力ピースMPcが、論理回路部64上における他の領域と電気的に遮断され、かつ、その外周には等電位の電源が設置されていると仮定してIRドロップマップを作成する。このマップにおける仮のIRドロップのピーク位置P31、P32を記憶する。次に、図57に示すように、他の主電力ピース(主電力ピースMPd)を解析対象として選択する。この主電力ピースMPbについても、論理回路部64上における他の領域と電気的に遮断され、かつ、その外周には等電位の電源が設置されていると仮定してIRドロップマップを作成する。このマップにおける仮のIRドロップのピーク位置P33を記憶する。
全ての主電力ピースMPのIRドロップマップを作成後、副電力ピースSPのIRドロップ解析を行う。例えば、図58に示すように、副電力ピースSPeを解析対象として選択する。この副電力ピースSPeが、論理回路部64上における他の領域と電気的に遮断され、かつ、その外周に等電位の電源が設置されていると仮定してIRドロップマップを作成する。そして、このマップにおける仮のIRドロップのピーク位置P34を記憶する。図59に示すように、他の副電力ピースSP(ここでは副電力ピースSPf)を解析対象として選択し、この副電力ピースSPfが論理回路部64上における他の領域と電気的に遮断され、かつ、その外周に等電位の電源が設置されていると仮定してIRドロップマップを作成する。そして、このマップにおける仮のIRドロップのピーク位置P35を記憶する。
図60及び図61に示すように、他の副電力ピースSPg、SPhについても同様にIRドロップマップを作成し、各マップ上における仮のIRドロップのピーク位置P36、P37を記憶する。
全ての電力ピースのIRドロップマップを作成後、ステップS511において、各電力ピースに対して電源供給点を設けるべく、電源幹線67を配線する。
具体的には、図62に示すように、主電力ピースMPc、MPd及び副電力ピースSPe〜SPhと電源パッド65aとを各々関連付けて対応させる。電源パッド65aと、対応する電力ピースとを結ぶように、電源幹線67を配線する。電源幹線67は、仮のIRドロップピーク位置Pに達するように配線されるのが好ましい。電源幹線67の配線幅は、IRドロップピーク位置Pの仮のIRドロップ値に基づいて決定される。
全ての電力ピースに電源幹線67を配線後、ステップS512において、全ての主電力ピースMP及び副電力ピースSPに対して電源メッシュ61をそれぞれ構築する。すなわち、電源メッシュ61を各電力ピース毎に分離して配線し、これによって論理回路部64上に、互いに電源分離されたセグメント領域69を仮形成する。
図63に示すように、再度、全ての主電力ピースMP及び副電力ピースSP毎にIRドロップ解析を行い、IRドロップマップを作成する(ステップS513)。全ての主電力ピースMP及び副電力ピースSP毎にIRドロップ条件を満たしているか否かを判定する(ステップS514)。
ステップS514の処理において、上限を超えるIRドロップが発生している電力ピースがある場合には、当該電力ピースのみを対象としてIRドロップ条件を満たすまで、ステップS512およびステップS513の処理を繰り返し実行する。なお、ステップS512の処理においては、電源メッシュ61の配線方法として、例えば、第1〜第3の実施形態にて示した配線方法を採用し、この採用した配線方法に対応する処理を実行することもできる。
ステップS514の処理において、IRドロップ条件が満たされると、ステップS515において、電力解析を行い電源メッシュ61(縦補強電源配線61a及び横補強電源配線61b)の電流密度(仮の電流密度)を算出する。
ステップS516において、EM制約を充足するように縦補強電源配線61a及び横補強電源配線61bの配線幅を再構成する。ステップS517において、再び電力ピース毎にIRドロップマップを作成する。ステップS518において、各電力ピースがIRドロップ条件を満たしているか否かを判定する。上限を超えるIRドロップが発生している電力ピースがある場合には、当該電力ピースのみを対象として、EM制約を充足するための処理(ステップS515〜ステップS517)をやりなおす。
第5の実施形態によれば、第1〜4の実施形態の(1)〜(10)の効果と同様の効果に加え、以下び効果が得られる。
(12)互いに電源回路の分離されたセグメント領域69を介して、論理回路部64への電源供給がなされる。従って、不要な電源配線によって形成される余分な電源ループによる、ノイズ発生及びノイズ混入を防ぐことができ、電源の安定化を図ることができる。その結果、半導体集積回路の安定性が向上する。
尚、第5の実施形態では、各セグメントは電源分離しているが、最終的には分離箇所が接続されて電源分離されていない構成としてもよい。
次に、本発明の第6の実施形態にかかる半導体集積回路装置及びその電源配線方法について説明する。図64は、第6実施形態にかかるLSIの電源配線を示す平面図である。
図64に示されるように、LSI70は、論理回路部71の外周に配置された複数(6つ)の電源パッド74を有する。論理回路部71には、電源メッシュ(補強電源配線)73が所定の態様にて配線されている。この電源メッシュ73は、縦補強電源配線73aおよび横補強電源配線(図示略)から構成されている。そして、電源幹線77が、電源パッド74から論理回路部71の内部側へ向かって配線されている。
論理回路部71は、大きくは、6つの分割領域(クラスタ領域75)から構成されている。この例では、これらクラスタ領域75は、各クラスタ領域75の消費電力量が実質的に論理回路部71の総消費電力量の6分の1になるように区画されている。各クラスタ領域75は、電源パッド74のうちの1つの電源パッドと関連付けられ、基本的にはこの関連づけられた電源パッドのみから電源の供給を受ける。
クラスタ領域75のうちの1つのクラスタ領域75aにおいてのみ図示するが、各クラスタ領域75は1つまたは複数のセグメント領域76を備えている。一つのセグメント領域76の電源配線72,73は他のセグメント領域76のものと分離されるように、各セグメント領域76には、基本電源配線72および補強電源配線73が配線されている。各セグメント領域76と、そのクラスタ領域75に対応する電源パッド74とを接続する電源幹線77が配線されている。各電源幹線77によって各セグメント領域76に電源が供給される。補強電源配線73を省略することも可能ではある。この場合には、電源幹線77が全ての基本電源配線72と接続される。
ここで、電源幹線77の配線態様について詳述する。
図64に示されるように、電源幹線77は、電源パッド74から段階的に分岐したツリー構造を有する。該ツリー構造の電源幹線77の各先端部分が基本電源配線72または補強電源配線73と接続される。尚、電源幹線77の各先端部分は、基本電源配線72または補強電源配線73以外に、論理セル、メモリーセルまたはマクロセル等の回路素子の電源端子に直接接続してもよい。
電源幹線77としては、図64に示されるように、電源パッド74から1回分岐された後に先端部分が基本電源配線72に接続されることに限られない。電源幹線77として、電圧降下が十分に緩和されるまで分岐が繰り返されて形成されるものであれば、分岐回数は2回あるいは3回以上でもよい。図64の例では、電源幹線77の先端部分は各セグメント領域76においてIRドロップ値が平坦化される位置まで延伸されている。
電源幹線77の配線幅は、分岐の段階毎に異なっており、電源パッド74の近傍になるにつれ、段階的に大きく設定されている。電源幹線77の配線幅を段階的に変更することで、電源幹線77の電流密度が緩和されるように同配線幅を調整することが容易である。
次に、図65および図66を参照して、この実施形態にかかるLSI70の電源配線方法すなわち配線設計処理の一例について説明する。この処理はコンピュータ等の情報処理装置によって実行される。
図65に示すように、まず、ステップS601において、IRドロップ値の上限およびEM制約を充足する許容電流密度を設定する。ステップS602において、各電源パッド74の最大許容電流量を設定する。ステップS603において、論理回路部71を区画(分割)する際の区画単位(最小ブロックU(図8参照))を設定する。ここでは、情報処理装置により設定し得る最小の電源配線幅を有する電源幹線77を配線したときにその電源配線によって供給される電力量と同じか僅かに大きい電力量を消費する最小の領域(最小消費電力単位)を、区画単位として設定する。区画単位として、半導体集積回路装置に搭載される各モジュールの機能や動作頻度を基準として選ばれた単位や、セル単位、その他任意の単位に設定することもできる。
ステップS604において、論理回路部71を少なくとも一つのセグメント領域76に区分けする(図67)。各セグメント領域76の大きさは、各セグメント領域76内に1つの電源供給点を配置したときに各セグメント領域76内のIRドロップが十分緩和されるように設定される。
ステップS605において、セグメント領域76のうちの1つまたは複数のセグメント領域76をグループ化し、クラスタ領域75を設定する。具体的には、図67に示されるように、電源パッド74の個数に等しい数すなわち6つのグループA〜Fに、セグメント領域76をグループ分けする。グループA〜Fにグループ分けされたセグメント領域76を、複数のクラスタ領域75(75A〜75F)として各々設定する。複数の電源パッド74と複数のクラスタ領域75とを各々関連付ける。
ステップS606において、電力解析により各クラスタ領域75の総電流量を算出する。ステップS607において、各クラスタ領域75の総電流量が対応する電源パッド74の最大許容電流量を超えるか否かを判断する。各クラスタ領域75の総電流量が最大許容電流量を超えている場合には、ステップS605の処理に戻り、クラスタ領域75を再設定する。
他方、各クラスタ領域75の総電流量が最大許容電流量以下である場合には、ステップS608の処理を行う。ステップS608において、一つのセグメント領域76の電源配線72,73が別のセグメント領域76のものとは分離するように、各セグメント領域76に対して、基本電源配線72および補強電源配線73を配線する。
ステップS609において、各セグメント領域76毎にIRドロップ解析を行う。ステップS610において、各セグメント領域76における仮のIRドロップの最大値とその位置(仮のIRドロップピーク位置P)を記憶する。
ステップS611において、図68に示されるように、仮のIRドロップピーク位置Pと、このピーク位置Pの属するクラスタ領域75と関連付けされた電源パッド74とを電源幹線77によって仮接続する。図68では、クラスタ領域Aのみについて、電源幹線77の仮配線の態様を示す。
適切な大きさに分割された全てのセグメント領域76に対して電源幹線77が各々仮配線されることで、各セグメント領域76におけるIRドロップは十分に緩和される。ただしこの状態では、電源パッド74から全てのセグメント領域76に対して電源幹線77が各別に仮配線されており、その配線リソースが大きい。そこで、ステップS612において、仮配線した電源幹線77の配線経路を他の電源幹線77の配線経路と共通化(統合)させることを含む再構成を行う。
具体的には、まず、各セグメント領域76の位置に応じてセグメント領域76をグループ化する。このグループ化は、各クラスタ領域75毎に行われる。例えば、図68に示すように、クラスタ領域Aでは、3つのセグメント領域76からなるグループG1と、2つのセグメント領域76からなるグループG2と、1つのセグメント領域76からなるグループG3とがグループ化する。
次に、図69に示すように、各電源幹線77に節fを設定する。グループG毎に、一つの電源幹線77の節fと他の電源幹線77の節fとを統合する。最終的に、電源パッド74の近傍において、一つのグループGに関連する電源幹線77が一つになるように、節fを統合する。その後、図70に示すように、電源幹線77の配線経路を最終調整し、これによってツリー構造を有する電源幹線77が配線される。
ステップS613において、電源幹線77の電流密度が上記許容電流密度以下となるように、電源幹線77の配線幅の調整を行う。具体的には、ツリー構造における電源幹線77の先端部分から電源パッド74に向かって、ツリー構造における電源幹線77の各分岐部分の配線幅が段階的に大きくなるように調整する。
ステップS614において、各セグメント領域76毎にIRドロップ解析を行い、IRドロップマップを作成する。ステップS615において、IRドロップ条件を満たしているか否かを各セグメント領域76毎に判定する。上限を超えるIRドロップが発生している場合には、この上限を超えるIRドロップが発生しているセグメント領域76に仮配線されている電源幹線77のみを対象として、その配線幅の調整をやりなおす。
ステップS616において、各セグメント領域76毎に、IRドロップ解析を再度行う。ステップS616の処理後においても、上限を超えるIRドロップが発生している場合には、この上限を超えるIRドロップが発生しているセグメント領域76のみを対象として、ステップS610〜ステップS615の処理を繰り返し実行する。
第6の実施形態によれば、第4および第5の実施形態の前記(8)、(9)、(12)の効果と同様の効果に加え、以下の効果が得られる。
(13)電源パッド74から段階的に分岐するツリー構造を有する電源幹線77を設け、電源幹線77の各先端部分を基本電源配線72または補強電源配線73と接続した。これにより、電圧降下がより的確に緩和されるとともに、エレクトロマイグレーションの発生も好適に抑制される。
(14)電源幹線77の各分岐部分の配線幅は、電圧降下及び電流密度の要求をいずれをも満たすように設定されているため、電源幹線77における段階的な分岐構造との相乗効果を通じて、電圧降下、並びに過剰な電流密度に基づくエレクトロマイグレーションの発生が的確に緩和される。
(15)全ての電源幹線77が仮配線された後に、全ての電源幹線77の統合を一括して行う。電源幹線77を統合する際に最終的な配線経路の調整を行うことができるので、ツリー構造を有する電源幹線77を無駄なく的確に配線することができる。
尚、第6実施形態では、一つの電源パッドを一つのクラスタ領域に対する給電部として割り当てたが、複数の電源パッドを相互に接続して一つのクラスタ領域に対する給電部として割り当ててもよい。また、一つの電源パッドを複数のクラスタ領域に対する給電部として割り当ててもよい。
例えば、図71の例では、6つのクラスタ領域75A〜75Fに対し、8個の電源パッド74a〜74hが設けられている。クラスタ領域75A、75Bの各々の要求電力量が他のクラスタ領域75C〜75Fのものの2倍である。この場合、電源パッド74aと74gをクラスタ領域75Aに割り当て、電源パッド74bと74hをクラスタ領域75Bに割り当て、他のクラスタ領域75C〜75Fに対しては、電源パッド74c〜74fをそれぞれ割り当てることができる。
一方、図72の例では、6つのクラスタ領域75A〜75Fに対し、4個の電源パッド74a〜74dが設けられている。クラスタ領域75Aの要求電力量と、クラスタ領域75Bの要求電力量と、クラスタ領域75Cと75Dの合計要求電力量と、クラスタ領域75Eと75Fの合計要求電力量とが同じである。この場合、クラスタ領域75A、75Bについては、電源パッド74a、74bをそれぞれ割り当て、1つの電源パッド74cを2つのクラスタ領域75C,75Dに割り当て、1つの電源パッド74dを2つのクラスタ領域75E,75Fに割り当てることができる。
第6の実施形態では、各セグメント及び各クラスタは電源分離されていたが、電源分離されていなくてもよい。
次に、本発明の第7の実施形態にかかる半導体集積回路装置及びその電源配線方法について説明する。
この実施形態にかかるLSI80は、基本的には第6の実施形態と同様の構成であり、電源幹線87はツリー構造にて段階的に分岐して配線されている。電源幹線87の各先端部分は、基本電源配線または補強電源配線以外に、論理セル、メモリーセルまたはマクロセル等の回路素子の電源端子に直接接続してもよい。
この実施形態の電源配線方法について説明する。図73、図74は、この実施形態において、コンピュータ等の情報処理装置により実行される電源配線の配線手順を示すフローチャートである。
ステップS701において、IRドロップ値の上限(許容値)およびエレクトロマイグレーションの制約を充足する許容電流密度を設定する。そして、ステップS702において、各電源パッド84の最大許容電流量を設定する。ステップS703において、論理回路部81を区画(分割)する際の区画単位(最小ブロックU(図8参照))を設定する。この区画単位は、例えば、最小消費電力単位に設定される。
ステップS704において、論理回路部81を分割し、セグメント領域86を設定する。具体的には、図75に示す態様にてセグメント領域86を設定する。ただし、これらセグメント領域86は各領域86の消費電力が均等となるように設定されている。この実施形態では、このセグメント領域86の設定態様については任意である。例えば、搭載される各モジュールにおける機能や動作頻度が互いに共通となるようにこれらセグメント領域86を設定することもできる。
ステップS705において、1つまたは複数のセグメント領域86をグループ化し、クラスタ領域85を設定する。具体的には、図75に示されるように、電源パッド74の個数分となる6つのグループH〜Mに、セグメント領域86をグループ分けする。各グループH〜Mを、クラスタ領域85(85H〜85M)として各々設定する。また、電源パッド84とクラスタ領域85とを各々関連付ける。
ステップS706において、電力解析により各クラスタ領域85の総電流量を算出する。ステップS707において、全てのクラスタ領域85において総電流量が関連付けられた電源パッド84の最大許容電流量を超えるか否かを判断する。上記算出した総電流量が最大許容電流量を超えているクラスタ領域がある場合(S707でNO)には、ステップS705の処理に戻り、クラスタ領域85を再設定する。そして、全てのクラスタ領域85において総電流量が最大許容電流量以下になるまで、ステップS705、S706、S707を繰り返す。
セグメント領域Hからなるクラスタ領域85の電流量が、関連する電源パッド84の最大許容電流量を超えており、セグメント領域Lからなるクラスタ領域85の電流量が、関連する電源パッド84の最大許容電流量に対して十分に小さい場合であれば、クラスタ領域85は、図79に示されるように再構成され得る。
他方、全てのクラスタ領域85において総電流量が最大許容電流量以下である場合(S707でYES)には、ステップS708において、一つのセグメント領域86の電源配線が別のセグメント領域86のものとは分離するように、各セグメント領域86に対して、基本電源配線および補強電源配線を配線する(図64の第7実施形態を参照)。
ステップS709において、各セグメント領域86毎にIRドロップ解析を行う。ステップS710において、各セグメント領域86における仮のIRドロップの最大値とその位置(仮のIRドロップピーク位置P)を記憶する。
ステップS711において、図76に示されるように、記憶した仮のIRドロップピーク位置Pと、このピーク位置Pの属するクラスタ領域85と関連付けされた電源パッド84とを電源幹線87によって仮接続する。図76には、クラスタ領域Hのみについて、電源幹線87の仮配線の態様を示す。
ステップS712において、仮配線した電源幹線87の配線経路を他の電源幹線87の配線経路と共通化(統合)させることを含む再構成を行う。
具体的には、まず、各セグメント領域86の位置に応じて同セグメント領域86をグループ化する。グループ化は、各クラスタ領域75毎に行われる。例えば、図76に示すように、クラスタ領域Hでは、3つのセグメント領域86からなるグループG11と、2つのセグメント領域86からなるグループG12と、1つのセグメント領域86からなるグループG13とがグループ化される。
次に、図77に示すように、仮配線した各電源幹線87に節fを設定する。グループG毎に、一つの電源幹線87の節fと他の電源幹線87の節fとを統合する。最終的に、電源パッド84の近傍において、一つのグループGに関連する電源幹線87が一つになるように、節fを統合する。その後、図78に示すように、電源幹線87の配線経路を最終調整する。
ステップS713において、電源幹線87の電流密度が許容電流密度以下となるように、電源幹線87の配線幅の調整を行う。具体的には、電源幹線87の先端部分から電源パッド84に向かって、電源幹線87の各分岐部分の配線幅が段階的に大きくなるように調整する。
ステップS714において、各セグメント領域86毎にIRドロップ解析を行い、IRドロップマップを作成する。ステップS715において、IRドロップ条件を満たしているか否かを各セグメント領域86毎に判定する。上限を超えるIRドロップが発生している場合には、この上限を超えるIRドロップが発生しているセグメント領域86に仮配線されている電源幹線87のみを対象として、その配線幅の調整を行う。
ステップS716において、各セグメント領域86毎に、再度、IRドロップ解析を行う。上限を超えるIRドロップが発生している場合には、この上限を超えるIRドロップが発生しているセグメント領域(例えば図80(a)のセグメント領域86a)を処理対象として選択する(S716a)。その処理対象についてステップS703以降の処理を再帰的に繰り返す。
この繰り返し中には、セグメント領域86aを回路部全体と見なし、また、セグメント領域86aに達する電源幹線87aを電源パッドと見なしてステップS703以降の処理を実行する。これにより、セグメント領域86aは、さらに細かい複数のサブセグメント領域86a1に分割される。図80(a)の例では、複数のサブセグメント領域86a1により一つのサブクラスタ領域85a1が構成されており、サブクラスタ領域85a1はクラスタ領域Hと関連付けられている。そして、電源幹線87aは、ステップS717での先端部分(仮の先端部分)からさらに分岐されて、各サブセグメント領域86a1まで延伸される。
こうした繰り返しの処理は、ステップS717において、全てのセグメント領域86においてIRドロップ条件を満たしていると判断されるまで実行される。電源幹線87の仮の先端部分にて順次分岐が繰り返されることにより、ツリー構造を有する電源幹線87が配線される。
尚、ステップS716aでは、上限を超えるIRドロップが発生しているセグメント領域のみを処理対象に選択してもよく、当該セグメント領域及び別のセグメント領域を処理対象に選択してもよい。別のセグメント領域としては、上限を超えるIRドロップが発生しているセグメント領域の近傍あるいは隣接のセグメント領域または別のクラスタ領域内のセグメント領域である。
IRドロップ条件を満たすことができないと予想される場合、一部のサブセグメント領域を他のクラスタ領域に組み入れるようにして、クラスタ領域を再編してもよい。例えば、図80(b)に示す例では、複数のサブセグメント領域86a1から複数のサブクラスタ領域85a1,85a2が構成されており、サブクラスタ領域85a1はクラスタ領域Hと関連付けられ、サブクラスタ領域85a2はクラスタ領域Lと関連付けられている。
第7の実施形態によれば、第4〜6の実施形態の前記(8)、(9)、(12)〜(14)の効果と同様の効果に加え、以下の効果が得られる。
(16)論理回路部81上のIRドロップが十分緩和されるまで、ステップS703以降の各ステップを再帰的に繰り返して実行することとした。このため、、論理回路部81上のIRドロップを緩和するのに必要な長さを有する、ツリー構造の電源幹線87を配線することができる。
また、電源幹線87が、論理回路部81において電源の供給が必要とされる箇所に対し、必要に応じて配線される。このため、論理回路部81の一部分において過剰な電力供給が行われることが防止され、効率のよい電力供給を実現することができる。
尚、第7実施形態において、図71,72のように、複数の電源パッドを相互に接続して一つのクラスタ領域に対する給電部として割り当ててもよい。また、一つの電源パッドを複数のクラスタ領域に対する給電部として割り当ててもよい。
第7の実施形態では、各セグメント及び各クラスタは電源分離されていても電源分離されていなくてもよい。
次に、本発明の第8の実施形態にかかる半導体集積回路装置及びその電源配線方法について説明する。図81は、この実施形態にかかるLSIの電源配線を示す平面図である。
図81に示されるように、LSI90は、論理回路部91の外周に配置された複数(ここでは4つ)の電源パッド94を有する。論理回路部91には、基本電源配線および補強電源配線(図示略)が所定の態様にて配線されている。そして、電源幹線97が、電源パッド94から論理回路部91の内部側へ向かって配線されている。図81において、電源幹線97の途中、および各先端部分に示されるひし形の図形は、電源幹線97による論理回路部91への電源供給点である。
論理回路部91は、複数の分割領域(4つのクラスタ領域95(95P〜95S))を備えている。この例では、クラスタ領域95は、各クラスタ領域95の消費電力量が実質的に論理回路部91の総消費電力量の4分の1になるように区画されている。各クラスタ領域95は、1つの電源パッド94と関連付けられ、基本的にはこの関連づけられた電源パッドのみから電源の供給を受ける。
論理回路部91において、各クラスタ領域95は1つまたは複数のセグメント領域96を備えている。各セグメント領域96と、そのクラスタ領域95に対応する電源パッド94とを接続する電源幹線97が配線されている。各電源幹線94によって各セグメント領域96に電源が供給される。
電源幹線97は、電源パッド94から段階的に分岐して配線されたツリー構造を有する。電源幹線97の各先端部分が基本電源配線または補強電源配線と接続されている。尚、電源幹線97の各先端部分は、基本電源配線または補強電源配線以外に、論理セル、メモリーセルまたはマクロセル等の回路素子の電源端子に直接接続してもよい。
第8の実施形態では、電源幹線97に、その経路を開閉する単純型のスイッチ素子98が設けられている。スイッチ素子98により、各セグメント領域96に対する電源の供給を選択的に切替えることが可能となり、半導体集積回路装置の電源制御の自由度と効率が向上する。
図81に示すように、スイッチ素子98は、電源パッド94による各セグメント領域96への電力供給を制御し得る態様にて配置される。例えば、以下の態様が可能である。
(i)クラスタ領域95Pのセグメント領域96に向けて延伸される電源幹線97では、スイッチ素子98は、電源パッド94から各セグメント領域96への電源供給経路の共通経路上に配置される。
(ii)クラスタ領域95Qのセグメント領域96に向けて延伸される電源幹線97では、スイッチ素子98は、電源幹線97の互いに並列配置される各先端部分に配置される。
(iii)クラスタ領域95Rのセグメント領域96に向けて延伸される電源幹線97のように、隣接したセグメント領域96に対して直列に配線される電源幹線97では、スイッチ素子98は、各セグメント領域96毎に対応して配置される。
クラスタ領域95Sにて示すように、(i)、(ii)、(iii)を組み合わせてスイッチ素子98を配置することもできる。スイッチ素子98は、大容量のスイッチング素子(例えば、パワートランジスタやパワーMOSFETなど)から構成されることが望ましい。
次に、図83および図84を参照して、第8の実施形態にかかるLSI90の電源配線方法すなわち配線設計処理の一例について説明する。この処理は、コンピュータ等の情報処理装置によって実行される。
まず、ステップS801において、電圧降下値(IRドロップ値)の上限およびエレクトロマイグレーションの制約を充足する許容電流密度を設定する。ステップS802において、各電源パッド94の最大許容電流量を設定する。ステップS803において、論理回路部91を区画(分割)する際の区画単位(最小ブロックU(図8参照))を設定する。区画単位は例えば最小消費電力単位である。
ステップS804において、論理回路部91を分割し、セグメント領域96を設定する。ステップS805において、1つまたは複数のセグメント領域96をグループ化し、クラスタ領域95を設定する。セグメント領域96およびクラスタ領域95の具体的な設定処理については、第6の実施形態の説明した。
ステップS806において、電力解析により各クラスタ領域95の総電流量を算出する。ステップS807において、各クラスタ領域95の総電流量が対応する電源パッド94の最大許容電流量を超えるか否かを判断する。上記総電流量が上記最大許容電流量を超えている場合には、ステップS805の処理に戻り、クラスタ領域95を再設定する。
他方、上記総電流量が上記最大許容電流量以下である場合には、ステップS808において、一つのセグメント領域96の基本電源配線および補強電源配線が別のセグメント領域96のものとは分離するように、各セグメント領域96に対して、基本電源配線および補強電源配線を配線する。
ステップS809において、各セグメント領域96毎にIRドロップ解析を行う。ステップS810において、各セグメント領域96における仮のIRドロップの最大値とその位置(仮のIRドロップのピーク位置P)を記憶する。
ステップS811において、記憶した仮のIRドロップのピーク位置Pと、このピーク位置Pの属するクラスタ領域95が関連付けされた電源パッド94とを電源幹線97によって仮接続する。
ステップS812において、クラスタ領域95毎にセグメント領域96のグループ分けを行う。セグメント領域96のグループ分けは、論理回路部91の電力制御を行う上で好ましい態様、例えば、互いに共通した動作頻度を有するセグメント領域96がグループ化される。そして、ステップS812においてはさらに、セグメント領域96のグループ分け後、上記仮配線した電源幹線97の配線経路の統合を行ってツリー構造の電源幹線97を形成することにより、論理回路部91上のIRドロップが十分に緩和される。
ステップS813において、電源幹線97にスイッチ素子98を仮配置する。スイッチ素子98の配置態様は任意であるが、例えば、上述の(i)、または(ii)、または(iii)の配置態様を採用することができる。スイッチ素子98を仮配置する場合、スイッチ素子98の搭載スペースと、論理回路部91に搭載予定の論理素子の搭載スペースとが競合することがある。
そこで、ステップS814において、LSI90のレイアウトを必要に応じて再配置し、スイッチ素子98の搭載スペースとの競合の回避された最終的なLSI90のレイアウトを決定する。ステップS815において、電源幹線97の配線経路を決定し、同電源幹線97の再構成を行う。
ステップS816において、各電源幹線97の電流密度が上記許容電流密度以下となるように、各電源幹線97の配線幅の調整を行う。ステップS817において、各セグメント領域96毎にIRドロップ解析を行い、IRドロップマップを作成する。ステップS818において、IRドロップ条件を満たしているか否かを各セグメント領域96毎に判定する。上限を超えるIRドロップが発生している場合には、上限を超えるIRドロップが発生しているセグメント領域96に仮配線されている電源幹線97のみを対象として、その配線幅の再調整を行う。
ステップS819において、各セグメント領域96毎に、IRドロップ解析を再度行う。ステップS819の処理後においても、上限を超えるIRドロップが発生している場合には、この上限を超えるIRドロップが発生しているセグメント領域96のみを対象として、ステップS810〜ステップS818の処理を繰り返し実行する。
第8の実施形態によれば、第4〜第6の実施形態の前記(8)、(9)、(12)〜(15)の効果と同様の効果に加え、以下の効果が得られる。
(17)電源幹線97にスイッチ素子98を設けたため、セグメント領域96に対する電源の供給と停止とをスイッチ素子98の開閉操作によって切替えることが可能となる。従って、半導体集積回路装置のIRドロップを効率的に低減することができ、そのような半導体集積回路装置を高い自由度で設計することができる。また、基本電源配線に電力が供給される前の段階にて、論理回路部91に対する電力供給態様を制御することができるため、論理回路部91における漏れ電流が低減され、半導体集積回路装置の消費電力が低減される。
第8の実施形態において、各セグメント及び各クラスタは電源分離されていても電源分離されていなくてもよい。
次に、第8の実施形態の変形例について説明する。
図82に示す単純型のスイッチ素子98に代えて、図85に示すスイッチ素子198を採用することもできる。このスイッチ素子198は、2つの電源パッドにそれぞれ接続された2つの電源幹線197a、197bと、論理回路部へと延伸される電源幹線197との間に設けられたマルチプレクサ型のスイッチング素子である。スイッチ素子198は2つの電源幹線197a、197bのいずれかを選択する。選択された電源幹線に接続された電源パッドの電源が電源幹線197を介して論理回路部へ供給される。
2つの電源幹線197a、197bに接続された2つの電源パッドの電源電位を互いに異なる場合、スイッチ素子198の切替えにより、論理回路部に対する高電位及び低電位による電源の供給を選択することが可能となる。例えば、論理回路部上の特定の領域に高電位電源を供給して高速動作モードで動作させ、低電位電源を供給して低速動作モードで動作させることができる。従って、動作モードの選択可能な半導体集積回路装置の電源配線を高い自由度で設計することができる。
図86は、図85に示したスイッチ素子198を採用したLSIの電源配線の平面図である。
このLSI190では、論理回路部191は4つのクラスタ領域195(195P〜195S)を有する。4つのクラスタ領域195の外周には、5つの電源パッド194が配置されている。クラスタ領域195Pは2つの電源パッド194a、194bと関連付けられている。電源パッド194aの電源電位は、電源パッド194bのものより高電位である。電源パッド194a、194bとクラスタ領域195Pとの間にマルチプレクサ型のスイッチ素子198が配置されている。スイッチ素子198は、2つの電源パッド194a、194bにそれぞれ接続された2つの電源幹線197a,197bの一つを選択する。スイッチ素子198の切り替え操作により、クラスタ領域195Pを構成する各セグメント領域196に対して、高電位電源または低電位電源を選択的に供給することが可能となる。
この変形例によれば、第4〜第6の実施形態の前記(8)、(9)、(12)〜(15)の効果と同様の効果に加え、以下の効果が得られる。
(18)2つの電源パッド194a、194bとクラスタ領域195Pとを結ぶ電源幹線197の経路の途中に、2つの電源パッド194a、194bから各々延伸される電源幹線197a、197bの統合を図るかたちでマルチプレクサ型のスイッチ素子198を配置することとした。このため、当該半導体集積回路装置として、IRドロップの低減を考慮したより自由度の高い電源供給が実現される。
各実施形態を以下のように変更してもよい。
・第2の実施形態においては、各変形例(第1〜第4変形例)にて説明した電源配線の配線手順を適宜組み合わせて、電源配線の配線処理を行うことができる。例えば、第1および第2変形例の配線手順を組み合わせた場合には、第1変形例の配線処理を基準として、第1変形例にて示した補強電源配線の配線位置の補正処理(ステップS207〜ステップS213)を、第2変形例にて示した補正処理(ステップS213a1〜ステップS213a8)に代えて、同配線処理を行う。これと同様に、第1および第3変形例の配線手順を組み合わせることもできる。
また、第1および第2変形例、又は第1および第3変形例の配線手順を組み合わせた各配線処理に対し、第4変形例の配線手順をさらに組み合わせることもできる。この場合には、電源配線の最終的な配線処理として、部分補強配線435を追加して配線する処理(ステップS213c1〜ステップS213c4)を行う。
・第2の実施形態の第3変形例では、最終的に、補強電源配線331が直線状となるように同電源配線331を再配線してもよい。この場合には、上限を超えるIRドロップが生じないように補強電源配線331を再配線する。
・第2〜第8の実施形態では、補強電源配線あるいは電源幹線の幅を変更する処理を行うにあたって、第1の実施形態にて示した処理(補強電源配線を所定の分割単位にて長手方向に分割し、配線区画毎にIRドロップと過剰な電流密度との少なくとも一方を緩和する配線幅を設定する処理)を行うこともできる。
・第3の実施形態においては、部分補強配線435を追加する処理を行うこともできる。
・第4及び第5の実施形態では、複数の主電力ピースMP間に重複領域が発生した場合、各主電源幹線が接続された電源パッドから当該重複領域までの距離が近い方の主電力ピースMPについては区画調整を行わず、電源パッドから当該重複領域までの距離が遠い方の主電力ピースMPについてのみ区画調整を行った(図49参照)。しかし、これに限らず、重複する主電力ピースMP双方について区画調整を行ってもよい。
・第4および第5の実施形態では、電力ピースが他の領域と電気的に遮断され、かつ、その外周には等電位の電源が設置されていると仮定した上で、電力ピースでのIRドロップ解析が行われる。その代わりに、IRドロップ解析を行うにあたって、互いに異なる電位を有する複数の電源が電力ピースの外周に設置されていると仮定してもよい。例えば、電源変動に弱いセル近傍の外周部に低電位の電源が設置されていると仮定し、IRドロップ解析を行ってもよい。この解析結果に基づいて補強電源配線を配線することで、電源変動の弱いセルに対して重点的に補強電源配線を配線することができる。
・第4〜第8の実施形態において、電源幹線(57、67、77、87、97、197)の少なくとも1つを、図88に示すように、ストライプ状に分割された複数の並列配線から形成された電源幹線207とし、この電源幹線207が基本電源配線202、補強電源配線203と接続されるようにしてもよい。また、このような電源幹線としては、電源幹線207に限らず、図89(a)〜(d)に示される電源幹線207a〜207dとすることもできる。なお、この図88、図89において、基本電源配線202、補強電源配線203、電源幹線207、207a〜207dは、第4〜第8の実施形態における基本電源配線(58、68、72)、補強電源配線(51、61、73)、電源幹線(57、67、77、87、97、197)に各々相当する。また、図88、図89において、各電源配線の途中、および各先端部分に示される四角の図形は、ビアホールなどの所定の接続孔であり、各電源配線の電気的な接続ポイントを示している。
・第4〜第8の実施形態では、各セグメントに対して、電力量などの規定値を個別に設定できる。また、クラスタについても電力量などの規定値を個別に設定できる。例えば、電源パッドとの距離に応じてクラスタ領域またはセグメント領域の規定値に重み付けを行ってもよい。この場合、電源パッドから近いクラスタまたはセグメントほど、規定の値が大きくなるように重み付けを行うことができるので、短い電源幹線ほど、多くの電力供給を行うことができ、効率的である。
・第5〜第8の実施形態では、第1の実施形態にて示した電源リングを設け、この電源リングと電源幹線とを電気的に接続してもよい。
・第5〜第8の実施形態では、各クラスタ領域、セグメント領域毎に電源リングを設けることもできる。
・第5〜第8の実施形態では、電源パッドの個数と等しい数のクラスタ領域を設定したが、電源パッドの個数とは異なる数のクラスタ領域を設定してもよい。この場合、電源パッドとクラスタ領域との関連付けは、例えば、電源パッドおよび電源供給点間の距離や、クラスタ領域において消費する電力量などに基づいて行われる。
・第5〜第8の実施形態では、電源メッシュ(補強電源配線)はオープンとなっており、先端間を接続する電源配線は設けられていないが、電源メッシュの先端間を接続して、電源メッシュを環状(クローズ)にしてもよい。
・第6〜第8の実施形態において、段階的に分岐したツリー構造を有する電源幹線の代わりに、図87に示すように、こうした電源幹線107を、基本電源配線102および補強電源配線103が全領域に分離されることなく配線された論理回路部101に配線することもできる。なお、図87において、基本電源配線102、補強電源配線103、電源幹線107は、第6〜第8の実施形態における基本電源配線(72)、補強電源配線(73)、電源幹線(77、87、97、197)にそれぞれ相当する。
・第6〜第8の実施形態では、第1〜第3の実施形態にて示した配線態様にて補強電源配線を配線した後、回路部上に電源幹線を配線してもよい。
・第8の実施形態のスイッチ素子98を、多段で配置してもよい。例えば図90に示すように、電源パッド94と2つのセグメント領域96との間で並列に配置された2つのスイッチ素子98と、電源パッド94と2つのセグメント領域96との間で直列に配置されたスイッチ素子98とによって電源スイッチを構成してもよい。
・各実施形態において、各電源配線をX方向及びY方向以外の所定の方向に配線してもよい。
・各実施形態において、電源パッドの位置は論理回路部の外周に限られず、チップの任意の位置に配置することができる。
・各実施形態において、図88および図89(a)〜(d)に示される電源幹線207、207a〜207dの配線態様を採用して、補強電源配線を配線することもできる。
・各実施形態では、縦補強電源配線及び横補強電源配線の両方を配線したが、縦補強電源配線及び横補強電源配線の一方を配線してもよい。
・各実施形態において、IRドロップマップを作成する際に算出する各セルの電流量は、平均値、最大値又は中央値等の代表値であってもよい。
・各実施形態において、IRドロップ解析は、基本電源配線が配線接続されていると仮定した仮電源配線(シミュレーションモデル)に対して行なわれるが、基本電源配線が実際に配線接続されている実体電源配線に対して行ってもよい。
・各実施形態において、IRドロップ解析は、EM解析(電流密度算出)とセットであるいは並行して行なわれる。従って、IRドロップ解析によって電源配線を構成する場合、EM解析によって得られた電流密度に基づいて、電源配線の幅を調整することができる。
・各実施形態において、接地電位となる電源配線、あるいは電位VSSとなる電源配線、及び他の電源配線についても、第1〜第5の実施形態において示した補強電源配線、あるいは第4〜第8の実施形態において示した電源幹線と同じ態様で配線することができる。
・各実施形態において、電源配線の幅の調整は、ストライプ状の並列配線の本数を増加または減少させることを含む。
・各実施形態において、給電部は電源パッドに限られない。例えば図示しない電源回路に設けられた電源出力端子や内部電源供給回路等の電源供給起点であってもよい。
・本発明は記憶回路やアナログ回路のような論理回路部以外の回路に対する電源供給に適用することもできる。

Claims (29)

  1. 回路部と、前記回路部に電源を供給する第1電源配線と、前記第1電源配線と電気的に接続された第2電源配線とを備えた半導体集積回路装置であって、
    各第2電源配線の配線幅と、前記第2電源配線の配線間隔とのうちの少なくとも一つは、前記第2電源配線における電圧降下を緩和するように設定されていることを特徴とする半導体集積回路装置。
  2. 回路部と、前記回路部に電源を供給する第1電源配線と、前記第1電源配線と電気的に接続された第2電源配線とを備えた半導体集積回路装置であって、
    各第2電源配線の配線幅は、前記第2電源配線における電圧降下を緩和するように設定されていることを特徴とする半導体集積回路装置。
  3. 回路部と、前記回路部に電源を供給する第1電源配線と、前記第1電源配線と電気的に接続された第2電源配線とを備えた半導体集積回路装置であって、
    前記第2電源配線の配線間隔は、前記第2電源配線における電圧降下を緩和するように設定されていることを特徴とする半導体集積回路装置。
  4. 回路部と、前記回路部に電源を供給する第1電源配線とを備えた半導体集積回路装置であって、
    前記回路部上に複数の行領域又は列領域を区画するように前記第1電源配線と電気的に接続された複数の第2電源配線を備え、前記複数の第2電源配線の間隔は不均一である半導体集積回路装置。
  5. 前記第2電源配線は、複数の場所において異なる幅を有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の半導体集積回路装置。
  6. 給電部から前記回路部の内方に延伸され、前記第2電源配線に電源を供給する電源幹線をさらに備えることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の半導体集積回路装置。
  7. 前記電源幹線は複数の電源幹線のうちの一つであり、前記複数の電源幹線の先端は実質的に等しい電圧降下値を有するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の半導体集積回路装置。
  8. 前記回路部は、前記第1電源配線および前記第2電源配線が配置されている複数の分割領域からなり、各分割領域は、互いに電気的に分離されている複数のセグメント領域からなり、前記電源幹線は一つの基端部と、前記複数のセグメント領域にそれぞれ対応付けられた複数の先端部とを有することを特徴とする請求項6又は7に記載の半導体集積回路装置。
  9. 前記回路部は、前記第1電源配線および前記第2電源配線が配置されている複数の分割領域からなり、各分割領域に配置されている第1電源配線および第2電源配線は他の分割領域から電気的に分離されており、前記電源幹線は一つの基端部と、前記複数の分割領域の少なくとも一つに対応付けられた少なくとも一つの先端部とを有することを特徴とする請求項6又は7に記載の半導体集積回路装置。
  10. 前記第2電源配線は、ストライプ状に分割された複数の並列配線を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の半導体集積回路装置。
  11. 前記第2電源配線は、前記回路部上に複数の行領域又は列領域を区画する複数の第2電源配線の一つであり、前記複数の第2電源配線の間隔は不均一である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体集積回路装置。
  12. 前記第2電源配線は複数の第2電源配線の一つであり、前記複数の第2電源配線のいくつかは、前記回路部上に矩形以外の多角形状を有する領域を区画する線分を含む請求項1に記載の半導体集積回路装置。
  13. 前記第2電源配線は複数の第2電源配線の一つであり、
    隣接する2つの第2電源配線を接続する部分補強配線を更に備える請求項1に記載の半導体集積回路装置。
  14. 回路部と、
    前記回路部に電源を供給する第1電源配線と、
    給電部に接続された基端と、前記第1電源配線に接続された複数の先端とを有し、かつ、前記給電部と前記第1電源配線との間で段階的に分岐されたツリー構造を有する電源幹線と
    を備えることを特徴とする半導体集積回路装置。
  15. 前記電源幹線は複数の場所において異なる幅を有していることを特徴とする請求項14に記載の半導体集積回路装置。
  16. 前記電源幹線に設けられ、当該電源幹線からの電源供給を制御するスイッチング素子を更に備えることを特徴とする請求項9、14及び15のいずれか一項に記載の半導体集積回路装置。
  17. 前記電源幹線は、ストライプ状に分割された複数の並列配線を含む請求項6〜10及び14〜16のいずれか一項に記載の半導体集積回路装置。
  18. 前記第1電源配線は複数の第1電源配線の一つであり、前記第2電源配線は複数の第2電源配線の一つである請求項1又は14に記載の半導体集積回路装置。
  19. 回路部と、前記回路部に電源を供給する第1電源配線とを有する半導体集積回路装置の電源配線方法であって、
    前記第1電源配線と電気的に接続するように第2電源配線を設けるステップと
    前記第2電源配線における電圧降下を緩和するように、前記第2電源配線の配線幅及び前記第2電源配線の配線間隔のうち少なくとも一つを設定するステップとを備えることを特徴とする半導体集積回路装置の電源配線方法。
  20. 前記設定するステップは、
    前記第2電源配線の長手方向に少なくとも一つの配線部分に区分けし、
    各配線部分毎に仮の電圧降下及び仮の電流密度の少なくとも一方を算出し、
    算出された値に応じて各配線部分の幅を設定することを含む請求項19に記載の電源配線方法。
  21. 前記第2電源配線は複数の第2電源配線の一つであり、前記設定するステップは、
    前記回路部上に複数の領域が区画されるように、前記複数の第2電源配線を仮に配線し
    各ブロックの電圧降下値を算出し、
    前記複数の領域内の複数のブロックの電圧降下値の合計が互いに実質的に等しくなるように、前記複数の第2電源配線の間隔を設定することを含む請求項19又は20に記載の電源配線方法。
  22. 前記第2電源配線は前記回路部上に複数の矩形領域を区画する複数の第2電源配線の一つであり、前記設定するステップは、
    各矩形領域の電圧降下値を算出し、
    前記複数の矩形領域の電圧降下値が許容範囲を満たすように、前記許容値を外れた電圧降下値を有している矩形領域を区画している第2電源配線の線分を移動させることを含む請求項19又は20に記載の電源配線方法。
  23. 前記第2電源配線は前記回路部上に複数の矩形領域を区画する複数の第2電源配線の一つであり、前記設定するステップは、
    各矩形領域の電圧降下値を算出し、
    許容範囲を超えている電圧降下値を有している矩形領域がある場合、当該矩形領域に関連する2つの第2電源配線を接続して当該矩形領域を2分割するように部分補強配線を追加することを含む請求項19乃至21のいずれか一項に記載の電源配線方法。
  24. 前記第2電源配線は複数の第2電源配線の一つであり、前記設定するステップは、
    前記回路部上に複数の領域が区画されるように、前記複数の第2電源配線を前記回路部上に仮配線し、
    各領域を、各々が所定の最小サイズを有する複数のブロックに分割し、
    各ブロックの電圧降下値を算出し、
    前記複数の領域において電圧降下値の代表値を算出し、
    隣接する領域におけるブロックの電圧降下値の代表値を比較し、
    前記隣接する領域における前記電圧降下値の代表値が実質的に等しくなるように、前記複数の第2電源配線を再度仮配線し、
    前記再度の仮配線後の前記回路部の電圧降下の分布を求め、
    前記回路部上に所定の上限を超える電圧降下が生じているか否かを判定し、
    前記上限を超える電圧降下が生じている場合には、該電圧降下が前記上限以下となるまで、前記電圧降下値の算出、前記電圧降下値の代表値の比較、及び前記複数の第2電源配線の再度の仮配線を繰り返すことを含む請求項19又は20に記載の電源配線方法。
  25. 前記第2電源配線は複数の第2電源配線の一つであり、前記設定するステップは、
    前記回路部の電圧降下分布を求めて、電圧降下のピークが生じる仮の電圧降下ピーク位置を記憶し、
    前記複数の第2電源配線の少なくとも一つが前記仮の電圧降下ピーク位置を通るように前記複数の第2電源配線を仮配線し、
    前記仮の電圧降下ピーク位置における電圧降下値が所定の上限以下になるまで、前記仮の電圧降下ピーク位置を通る第2電源配線の幅を拡大し、
    前記複数の第2電源配線を仮配線した状態における前記回路部の電圧降下分布を求めて、前記回路部上に前記上限を超える電圧降下が発生しているか否かを判定し、
    前記上限を超える電圧降下が発生している場合には、同上限を超える電圧降下が回避されるまで、前記仮の電圧降下ピーク位置の記憶、前記複数の第2電源配線の仮配線、前記第2電源配線の幅の拡大、及び前記電圧降下の判定を繰り返すことを含む請求項19又は20に記載の電源配線方法。
  26. 前記回路部上に仮の第2電源配線を設けるステップと、
    前記仮の第2電源配線を設けた状態にて、前記回路部上の仮の電圧降下分布を求め、仮の電圧降下ピーク位置を記憶するステップと、
    その中に前記仮の電圧降下ピーク位置を含みかつその消費電力量が規定の値と実質的に等しくなるように主電力ピースを前記回路部に設定するステップと、
    前記主電力ピースが前記回路部における前記主電力ピースを除く他の領域と電気的に分離されていると仮定して、前記主電力ピース内の仮の電圧降下分布を求め、該主電力ピース内の仮の電圧降下ピーク位置を記憶するステップと、
    給電部と、前記主電力ピース内の仮の電圧降下ピーク位置近傍とを接続するように電源幹線を設けるステップとを備えたことを特徴とする請求項19乃至25のいずれか一項に記載の半導体集積回路装置の電源配線方法。
  27. 前記回路部上に仮の第2電源配線を設けるステップと、
    前記仮の第2電源配線を設けた状態にて、前記回路部上の仮の電圧降下分布を求め、仮の電圧降下ピーク位置を記憶するステップと、
    その中に前記仮の電圧降下ピーク位置が含まれかつその消費電力量が規定の値と実質的に等しい主電力ピースを前記回路部に設定するステップと、
    前記主電力ピースが前記回路部における前記主電力ピースを除く他の領域と電気的に分離されていると仮定して、前記主電力ピース内の仮の電圧降下分布を求め、該主電力ピース内の仮の電圧降下ピーク位置を記憶するステップと、
    給電部と、前記主電力ピース内の仮の電圧降下ピーク位置近傍とを接続するように主電源幹線を配線するステップと、
    前記主電源幹線の配線された状態にて、回路部上の仮の電圧降下分布を求め、前記他の領域の仮の電圧降下ピーク位置を記憶するステップと、
    前記給電部と、前記他の領域の仮の電圧降下ピーク位置近傍とを接続するように副電源幹線を配線するステップとを備えたことを特徴とする請求項19乃至25のいずれか一項に記載の半導体集積回路装置の電源配線方法。
  28. 前記主電力ピースは複数の主電力ピースのうちの一つであり、一つの主電力ピースが他の少なくとも一つの主電力ピースと部分的に重複した場合には、重複領域を解消するように、重複している主電力ピースのうち、関連する給電部から前記重複領域までの距離が遠い主電力ピースから前記重複領域を含む部分を削除し、その削除された部分を、他の主電力ピースと重複しない位置に移動させて、主電力ピースを再設定するステップを更に備えることを特徴とする請求項26又は27に記載の半導体集積回路装置の電源配線方法。
  29. 回路部と、複数の給電部とを有する半導体集積回路装置の電源配線方法において、
    前記回路部を、各々が少なくとも一つのセグメント領域からなる複数のクラスタ領域に区分けするステップと、
    前記複数のクラスタ領域を前記複数の給電部と関連付けて、各クラスタ領域のセグメント領域と、関連する各給電部とを複数の電源幹線によって仮接続するステップと、
    各給電部に仮接続された前記複数の電源幹線を、関連する給電部に接続された一つの基端部と、関連するクラスタ領域の複数のセグメント領域に接続された複数の先端とを有する一つのツリー状電源幹線に統合するステップとを備える半導体集積回路装置の電源配線方法。
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