JPWO2004058884A1 - ポリアセタール樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

ポリアセタール樹脂組成物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

ポリアセタール樹脂100重量部に対して、酸化防止剤0.001〜5重量部程度、及び少なくとも1つの下記式(1)で表わされるユニットを有するグアナミン化合物又はその塩0.001〜10重量部程度を添加し、樹脂組成物を構成する。樹脂組成物は、さらに、加工安定剤、耐熱安定性、耐候安定剤、着色剤、光沢制御剤、耐衝撃性改良剤、摺動性改良剤、充填剤などを含んでもよい。(式中、R1及びR2は同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示し、mは2以上の整数を示す)

Description

本発明は、ホルムアルデヒド発生量が著しく抑制されたポリアセタール樹脂組成物及びその製造方法、並びに前記樹脂組成物で形成されたポリアセタール樹脂成形品に関する。
ポリアセタール樹脂は、押出又は成形工程などの加工工程において分解し、金型への付着物(モールドデポジット)が発生したり、成形性や機械的物性などが低下し易い。分解により発生したホルムアルデヒドは化学的に活性であり、耐熱性に悪影響を及ぼしたり、電気・電子機器の部品などに用いると、金属製接点部品が腐蝕したり有機化合物の付着により変色し、接点不良を生じる。さらにホルムアルデヒド自体が、部品組立工程での作業環境や最終製品の使用環境を汚染する。そのため、ポリアセタール樹脂には、高い熱安定性、成形加工過程又は成形品からのホルムアルデヒドの発生を抑制することが要求される。
そこで、ポリアセタール樹脂を安定化させるため、酸化防止剤やその他の安定剤(含窒素化合物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属化合物など)が使用されている。特に、前記含窒素化合物としては、メラミン、グアナミン、アセトグアナミンなどのアミノトリアジン類が有効であることが知られている。しかし、このようなアミノトリアジン類は低分子量であり、さらにポリアセタール樹脂との相溶性が低いため、成形加工に伴って、金型への付着(モールドデポジット)や成形品から染み出し(ブルーミング)が発生し、成形性の低下、成形品の外観不良、染み出し物による汚染トラブルを引き起こす。
このような欠点を改良するため、高分子量化したトリアジン類(例えば、メラミンホルムアルデヒド樹脂)、又はトリアジン類と酸性化合物との塩(例えば、メラミンシアヌレート、グアナミンシアヌレートなど)などを用いて樹脂を変性する方法が試みられている。しかし、これらの変性物は、未変性物と比較してポリアセタールの安定化作用が大幅に低下するとともに、通常、不溶不融であるために、染み出しは少ないものの、成形表面が凹凸となり成形品の外観特性を低下させる。
従って、本発明の目的は、安定剤の染み出しを抑制して成形加工性及び成形品の表面の外観特性に優れ、かつホルムアルデヒドの発生が抑制されたポリアセタール樹脂組成物及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、表面の外観特性に優れ、ホルムアルデヒドの発生が抑制されたポリアセタール樹脂成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するため、ポリアセタール樹脂の安定剤に関して一連のアミノトリアジン類の探索検討を行なった結果、酸化防止剤と、特定のグアナミン化合物とを組み合わせて用いた場合に、成形加工性及び成形品表面の外観特性を改善でき、成形品からのホルムアルデヒドの発生を抑制できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のポリアセタール樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂と、酸化防止剤と、少なくとも1つの下記式(1)
Figure 2004058884
(式中、R及びRは同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示し、mは2以上の整数を示す)
で表わされるユニットを有するグアナミン化合物又はその塩とで構成されている。前記グアナミン化合物は下記式(2)で表わされる化合物であってもよい。
Figure 2004058884
(式中、ユニット−N−Xは、アンモニア又はアミン残基を示し、nは1〜6の整数を示す。R及びR、並びにmは前記に同じ)
前記グアナミン化合物は、例えば、イミダゾール残基を有していてもよい。
前記酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系化合物及び/又はヒンダードアミン系化合物であってもよい。ポリアセタール樹脂100重量部に対して、酸化防止剤0.001〜5重量部、及びグアナミン化合物0.001〜10重量部を含んでいてもよい。樹脂組成物は、さらに加工安定剤及び耐熱安定剤から選択された少なくとも一種を含んでもよい。前記加工安定剤は、長鎖脂肪酸又はその誘導体、水及び/又はアルコール類、オルガノシロキサン、フッ素化合物及びワックス類から成る群より選択された少なくとも一種であり、耐熱安定剤は、塩基性窒素化合物[ビウレア、アラントイン又はその金属塩、カルボン酸ヒドラジド(脂肪族又は芳香族カルボン酸ヒドラジド、カルボン酸ヒドラジドを含む樹脂マスターバッチなど)、ポリアミド樹脂など]、有機カルボン酸金属塩、アルカリ又はアルカリ土類金属化合物、ハイドロタルサイト、ゼオライト及び酸性化合物(ホウ酸類、ヒドロキシル基を有する窒素含有環状化合物、カルボキシル基含有化合物、(ポリ)フェノール類、及びアミノカルボン酸類など)から成る群より選択された少なくとも一種などであってもよい。加工安定剤及び耐熱安定剤の割合は、それぞれ、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、加工安定剤0.01〜5重量部及び耐熱安定剤0.001〜5重量部程度である。樹脂組成物は、さらに耐候(光)安定剤(ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、芳香族ベンゾエート系化合物、シアノアクリレート系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、及びヒンダードアミン系化合物など)、着色剤(カーボンブラックなど)、光沢制御剤、耐衝撃性改良剤、摺動性改良剤、及び充填剤から選択された少なくとも一種の添加剤を含んでもよい。
本発明には、ポリアセタール樹脂、酸化防止剤、及び前記グアナミン化合物又はその塩を混合するポリアセタール樹脂組成物の製造方法、前記ポリアセタール樹脂組成物で構成されたポリアセタール樹脂成形品、並びに前記ポリアセタール樹脂組成物を成形するポリアセタール樹脂成形品の製造方法も含まれる。前記成形品は、温度80℃で24時間密閉空間で保存した時、発生ホルムアルデヒド量が成形品の表面積1cm当り1.5μg以下であってもよい。また、成形品は、温度60℃で飽和湿度の密閉空間で3時間保存した時、発生ホルムアルデヒド量が成形品の表面積1cm当り2.5μg以下であってもよい。
また、成形品は、自動車部品、電気・電子部品(電気及び/又は電子部品)、建材・配管部品(建材及び/又は配管部品)、生活・化粧品用部品(生活及び/又は化粧品用部品)、医用部品及び写真用部品などであってもよい。
発明の詳細な説明
本発明の樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂と、酸化防止剤と、特定のグアナミン化合物とで構成されている。前記グアナミン化合物を添加することにより、ポリアセタール樹脂の加工安定性を著しく向上でき、ホルムアルデヒドの発生を抑制できる。
[グアナミン化合物又はその塩]
グアナミン化合物は、下記式(1)で表わされるユニットを少なくとも1つ有している。
Figure 2004058884
(式中、R及びRは同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示し、mは2以上の整数を示す)
前記式(1)において、R及びRで表わされるアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル基などのアルキル基が挙げられる。これらのアルキル基のうち、C1−6アルキル基(例えば、C1−4アルキル基)が好ましい。R及びRとしては、特に、水素原子又はメチル基が好ましい。
mは、好ましくは2〜4、さらに好ましくは2又は3である。原料として入手が容易な(メタ)アクリロニトリルを用いて製造可能である点から、mは2であるのが好ましい。なお、m=2である場合、(メタ)アクリロニトリルを用いて得られるグアナミン化合物は、下記式で表わされるユニットを有している。
Figure 2004058884
(式中、R1aは水素原子又はメチル基を示す)
このようなユニット(1)を有するグアナミン化合物には、例えば、下記式(2)で表わされる化合物などが含まれる。
Figure 2004058884
(式中、ユニット−N−Xは、アンモニア又はアミン残基を示し、nは1〜6の整数を示す。R及びR、並びにmは前記に同じ)
ユニット−N−Xは、アンモニア又はアミン(第1級及び第2級アミン)から少なくとも1つの活性水素原子(アミノ基又はイミノ基などの水素原子)が除かれた残基である。
前記ユニット−N−Xを形成可能なアミン(HN−X)としては、少なくとも1つの活性水素原子(アミノ基又はイミノ基)を有する限り、特に制限されず、種々の1級又は2級アミン類(環状又は非環状アミン、環状又は非環状尿素化合物、アミド類、イミド類、ヒドラジン類など)が例示できる。
前記非環状アミンとしては、脂肪族アミン類[メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミンなどのアルキルアミン(モノ又はジC1−6アルキルアミンなど);2−ヒドロキシエチルアミン、3−ヒドロキシプロピルアミンなどのヒドロキシアルキルアミン(ヒドロキシモノ又はジC1−6アルキルアミンなど);エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの(ポリ)アルキレンポリアミン類((ポリ)C1−6アルキレン−ジ乃至テトラアミンなど)など]、脂環族アミン類[シクロヘキシルアミン、ジアミノシクロヘキサンなどのアミノシクロアルカン(モノ乃至トリアミノC5−8シクロアルカンなど);水添キシリレンジアミンなどのジアルキルシクロアルカンに対応するジアミンなど];芳香族アミン類(アニリン、トルイジン、ジアミノベンゼンなどのアニリン類;キシリレンジアミンなどのジアルキルベンゼンに対応するジアミンなど)などが挙げられる。
環状アミンとしては、ピペリジン類(ピペリジン;ピペコリンなどのアルキルピペリジンなど)、ピペラジン類(ピペラジン;2,5−ジメチルピペラジン、ヒドロキシエチルピペラジンなどのアルキル又はヒドロキシアルキル置換ピペラジン;N−メチルピペラジンなどのN−アルキルピペラジンなど)、モルホリン類(モルホリン;2−メチルモルホリンなどのアルキル置換モルホリンなど)、ピロール類(ピロール、インドール、カルバゾールなど)、イミダゾール類[イミダゾール、置換イミダゾール(アルキル基、アリール基、アミノアルキル基、及びヒドロキシアルキル基などの置換基を有するイミダゾール類、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのアルキルイミダゾール(モノ又はジC1−20アルキルイミダゾールなど);2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールなどのアリールイミダゾール(C6−20アリールイミダゾールなど);1−アミノエチルイミダゾール、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾールなどのアミノアルキルイミダゾール(アミノC1−6アルキル−イミダゾールなど);2−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾールなどのヒドロキシアルキルイミダゾール(ヒドロキシC1−6アルキル−イミダゾールなど)など);ベンズイミダゾールなど];メラミンなどのアミノ基を有するトリアジン類などが挙げられる。
非環状尿素化合物には、尿素、アルキル基などの置換基が置換したN−置換尿素、非環状の尿素縮合体[尿素の多量体(ビウレット、ビウレア、IB窒素などの二量体など)、尿素とアルデヒド化合物との縮合体(メチレン二尿素、ホルム窒素など)など]などが含まれる。
環状尿素化合物には、少なくとも1つの尿素ユニット−NHCONH−を環の構成ユニットとして有する化合物、例えば、アルキレン尿素[メチレン尿素、エチレン尿素、クロトニリデン尿素(CDU)、プロピレン尿素、ブチレン尿素、4,5−ビス(ヒドロキシメチル)エチレン尿素、4,5−ジメトキシエチレン尿素などのC1−10アルキレン尿素(好ましくはC1−6アルキレン尿素);アセチレン尿素(グリコールウリル)などの架橋式アルキレン尿素;ウロンなど]、アルケニレン尿素(ビニレン尿素、シトシン等のC2−10アルケニレン尿素など)など]、アリーレン尿素(イメサチンなど)、ジカルボン酸のウレイド[トリアゾン類、パラバン酸類(パラバン酸、ジメチルパラバン酸など)、バルビツル酸類(バルビツル酸、5,5−ジエチルバルビツル酸など)、ジリツル酸、ジアルル酸類(ジアルル酸など)、アロキサン類(アロキサン、アロキサン酸など)、イソシアヌール酸類(イソシアヌール酸、N−置換イソシアヌール酸など)、ウラミルなど]、β−アルデヒド酸のウレイド[ウラシル類(ウラシル、5−メチルウラシル(チミン)、ジヒドロウラシルなど)、ウラゾール、ベンゾイレン尿素など]、α−オキシ酸のウレイド[ヒダントイン類、例えば、ヒダントイン;5−メチルヒダントイン、5,5−ジメチルヒダントイン、5−イソプロピルヒダントインなどのアルキルヒダントイン(モノ又はジC1−6アルキルヒダントインなど);5−フェニルヒダントインなどのアリールヒダントイン(C6−10アリールヒダントインなど);1,1,−メチレンビス(5,5−ジメチルヒダントイン)、アラントインなどのヒダントイン骨格を有するジウレイドなど]、尿酸類[尿酸、アルキル置換尿酸(3−メチル尿酸などのC1−4アルキル尿酸)、プソイド尿酸など]、p−ウラジンなどのジウレア、ジカルボン酸のジウレイド(アロキサンチン、プルプル酸など)又はそれらの誘導体などが例示できる。
アミド類としては、例えば、ホルムアミド、アセトアミド、マロンアミドなどの脂肪族アミド;ベンズアミド、イソフタル酸ジアミドなどの芳香族アミド;α−ピロリドン、ε−カプロラクタム、グリシン無水物などの複素環式アミドなど)などが挙げられる。イミド類としては、例えば、スクシンイミド、マレイミドなどの脂肪族イミド類;フタルイミド、ピロメリットジイミド、トリメリットイミドなどの芳香族イミド類などが挙げられる。ヒドラジン類としては、例えば、ヒドラジン、ジメチルヒドラゾンなどのヒドラゾン類;アジピン酸ジヒドラジドなどの脂肪族ヒドラジド類;フタル酸ジヒドラジドなどの芳香族ヒドラジド類などが挙げられる。
前記アミン類又はアンモニアのうち、脂肪族アミン類、環状アミン類(ピペラジン類、モルホリン類、イミダゾール類など)、環状尿素化合物(アルキレン尿素類、イソシアヌール酸類、ヒダントイン類など)、及びイミド類が好ましい。
nは、好ましくは1〜4の整数である。nはアンモニア又はアミン残基(ユニット−N−X)に応じて選択でき、例えば、−N−Xがアミノ基(すなわち、アンモニア残基)の場合、n=1〜3であり、(ポリ)アルキレンポリアミン残基の場合、n=1〜6であり、イミダゾール残基の場合、n=1であり、アルキレン尿素残基の場合、n=1〜4であり、イソシアヌール酸残基の場合、n=1〜3であり、ヒダントイン残基の場合、n=1〜2であり、イミド残基の場合、n=1〜3であり、ピペラジン残基の場合、n=1〜2である。
代表的なグアナミン化合物としては、下記式(3)又は(4)で表わされる化合物などが例示できる。
Figure 2004058884
[式中、R、R、及びR〜Rは、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリールオキシカルボニルアルキル基、下記式(5a)又は(5b)
Figure 2004058884
で表わされるグアナミルアルキル基又はシアノアルキル基を示し、R及びRは隣接する窒素原子とともにヘテロ環を形成してもよい。Rは、アルキレン基、二価の脂環族基、二価の芳香族基、又は下記式(6)
Figure 2004058884
(式中、R及びR10は同一又は異なって、アルキレン基を示し、R11は水素原子、前記式(5a)のグアナミルアルキル基又は前記式(5b)のシアノアルキル基を示す。Yは酸素原子又は窒素原子を示し、Yが酸素原子である場合pは0であり、Yが窒素原子である場合、pは1である。qは1以上の整数を示す)
で表わされる二価基を示す。R、R、及びmは前記に同じ]
前記R、R、及びR〜Rで表わされるアルキル基としては、前記R及びRの項で例示のアルキル基と同様のアルキル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基などのC5−8シクロアルキル基、好ましくはC5−6シクロアルキル基が挙げられる。アリール基としては、フェニル、ナフチル基などのC6−10アリール基;ビフェニリル基、4−(2’,2’−ジメチル−2’−フェニルメチル)フェニル基などのアリールアルキルアリール基(C6−10アリール−C1−6アルキル−C6−10アリール基など)などが挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基などが挙げられる。
カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、及びアリールオキシカルボニルアルキル基は、下記式(5c)で表わすことができる。
Figure 2004058884
(式中、Xはヒドロキシル基、アルコキシ基、又はアリールオキシ基を示し、R、R及びmは前記に同じ)
前記式(5c)において、Xで表されるアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ基などのC1−6アルコキシ基(好ましくはC1−4アルコキシ基)などが挙げられる。アリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフトキシ基などのC6−14アリールオキシ基(好ましくはC6−10アリールオキシ基)などが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子(特に、塩素原子及び臭素原子)が挙げられる。
このようなカルボキシアルキル基としては、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基などのカルボキシC2−5アルキル基(カルボキシC2−4アルキル基など)などが挙げられる。また、アルコキシカルボニルアルキル基としては、メトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルプロピル基などのC2−6アルコキシカルボニル−C2−4アルキル基などが挙げられる。アリールオキシカルボニルアルキル基としては、フェノキシカルボニルエチル基、フェノキシカルボニルプロピル基などのC6−10アリールオキシ−カルボニル−C2−4アルキル基が挙げられる。
隣接する窒素原子とともにR及びRが形成するヘテロ環としては、ピロリジン、ピロリン、ピロール、イミダゾリジン、ピラゾリジン、イミダゾリン、ピラゾリン、イミダゾール、ピラゾール、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、1H,3H,5H−1,3−ジアジン、1H,3H−1,3−ジアジン、1H−1,3−ジアジン、1H,3H,5H−1,3,5−トリアジン、1H,3H−1,3,5−トリアジン、1H−1,3,5−トリアジンなどの5乃至8員ヘテロ環(例えば、5又は6員ヘテロ環);インドリン、イソインドリン、インドール、イソインドール、1H−インダゾール、プリン、カルバゾールなどの縮合ヘテロ環などが例示できる。前記ヘテロ環は、前記窒素原子とともに他のヘテロ原子(酸素原子、イオウ原子、窒素原子)を有していてもよい。また、前記ヘテロ環は、例えば、アルキル基(メチル、エチル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ウンデシル基などのC1−16アルキル基、好ましくはC1−12アルキル基、特にC1−6アルキル基など)、ヒドロキシル基、オキソ基(=O)、シアノ基、アミノ基などの置換基を1つ又は2以上有していてもよい。
で表わされるアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、テトラメチレン基などのC1−6アルキレン基、好ましくはC1−4アルキレン基などが挙げられる。二価の脂環族基としては、シクロアルキレン基(シクロヘキシレン基などのC5−8シクロアルキレン基など);−R−A−R−、−A−R−A−[式中、R及びRは、同一又は異なってC1−6アルキレン(例えば、C1−4アルキレン)基を示し、Rは、直鎖又は分岐鎖C1−6アルキレン(例えば、C1−4アルキレン)基を示し、A〜Aは同一又は異なって、C5−8シクロアルキレン(例えば、C5−6シクロアルキレン)基を示す]などで表わされる二価基が挙げられる。二価の芳香族基としては、アリーレン基(フェニレン、ナフチレン基などのC6−10アリーレン基など);−R−Ar−R−、−Ar−R−Ar−(式中、Arは、C6−10アリーレン基を示す。R、R及びRは前記に同じ)などで表わされる二価基などが挙げられる。
及びR10で表わされるアルキレン基としては、前記Rの項で例示と同様のアルキレン基が挙げられる。
qは、好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4(特に1又は2)の整数を示す。
前記式(4)において、R〜Rは、通常、前記式(5a)のグアナミルアルキル基である。前記式(6)において、R及びR10は、通常、C2−4アルキレン基であり、R11は、通常、前記式(5a)のグアナミルアルキル基であり、Yは、通常、窒素原子である。
前記グアナミン化合物は、(I)塩基性触媒の存在下、下記式(7)
Figure 2004058884
(式中、R、R、及びmは前記に同じ)
で表わされるユニットを有するニトリル(シアノアルキル化体)(例えば、下記式(8)で表わされるニトリル)と、ジシアンジアミド又はビグアニド類[ビグアニド;ビグアニドの塩(塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩などの無機酸塩;金属塩など);ビグアニル又はその塩(塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩などの無機酸塩;金属塩など)など]とを反応させる方法、又は(II)前記ニトリル(シアノアルキル化体)の誘導体[前記ニトリル(シアノアルキル化体)のシアノ基が、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、又はハロホルミル基などで置き換わった誘導体、すなわち、カルボキシアルキル化体、アルコキシカルボニルアルキル化体、アリールオキシカルボニル化体、ハロホルミルアルキル化体など]とビグアニド類(前記例示のビグアニド類)とを反応させる方法などにより製造できる。
Figure 2004058884
(式中、R、R、m、n及びユニット−N−Xは前記に同じ)
前記シアノアルキル化体は、慣用の方法、例えば、対応するシアノアルケン化合物(例えば、(メタ)アクリロニトリルなど)と、活性水素原子を有するアミン又はアンモニアとの反応(以下、単に反応Aと称する場合がある)により製造できる。
前記反応Aの詳細は、例えば、Organic Reactions,Vol.5,7thed.,p79、John Wiley&Sons,Inc.(1967)、Encylopedia of Chemical Technology Vol.6,2nded.,p634、日本化学会誌,90巻,p704(1969)、特公昭43−27869号公報、特開昭48−22422号公報、特公昭43−6626号公報、特公昭47−36391号公報、特開昭50−142817号公報、特開昭55−4379号公報、特開平4−21664号公報、特開平11−80112号公報、特開平11−180963号公報、特開2000−154181号公報、及び米国特許3235553号明細書、並びにこれらの文献に記載されている関連文献に記載の方法などを参照できる。前記反応Aに関連する文献などに記載されている各種ニトリル(シアノエチル化体など)から得られる2−置換グアナミン化合物も前記グアナミン化合物と同様に使用できる。
反応Aは、溶媒の非存在下又は存在下で行ってもよい。前記溶媒としては、水、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリンなど)、エーテル系溶媒(ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなどのジアルキルエーテル;エチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテルなどのアルキレングリコールのアルキルエーテルなど)、炭化水素類(デカリンなどの脂環族炭化水素類など)、芳香族系溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジン、ニトロベンゼンなど)、ハロゲン系溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチル、塩化エチレン、クロロベンゼン、クロロナフタレンなど)、非プロトン性極性溶媒[ジオキサンなどの環状エーテル;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;スルホラン、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスファミドなど)などが挙げられる。
反応Aにおいて、2−シアノエチル基などのシアノアルキル基は、前記アミン又はアンモニアの活性水素原子の数に応じて導入可能であり、シアノアルキル基の導入量は、原料のニトリルと前記アミン又はアンモニアとの割合や反応条件などにより調整してもよい。原料ニトリルとアミン又はアンモニアとの割合は、特に制限されず、例えば、前者(モル)/後者の活性水素当量=0.5/1〜2/1、好ましくは0.7/1〜1.5/1、さらに好ましくは0.8/1〜1.2/1程度である。
グアナミン化合物は、(I)塩基性触媒の存在下、前記シアノアルキル化体(前駆体ニトリル)と、ジシアンジアミド又はビグアニド類との反応(以下、単に反応B1と称する場合がある)又は(II)前記シアノアルキル化体の誘導体とビグアニド類との反応(以下、単に反応B2と称する場合がある)により得ることができる。反応B1及びB2は溶媒(前記反応Aの項で例示の溶媒など)の存在下で行ってもよい。
反応B1の詳細については、例えば、ジニトリル化合物とジシアンジアミドとを、アルコール系有機溶媒中、塩基性触媒の存在下、高圧で反応させる方法(特開平5−32664号公報)、有機溶媒中、塩基性触媒の存在下で反応させる方法(特公昭44−8676号公報、特公昭47−36391号公報、特公昭47−41120号公報、特開2000−154181号公報、及び米国特許2901464号明細書)、J.Chem.Soc.1252頁,(1952)、Comprehensive Heterocyclic Chemistry II,Vol.6,613頁、ニトリル化合物とビグアニド類とを、アルコール系溶媒中、塩基性触媒の存在下で反応させる方法(米国特許2777848号明細書)並びにこれらの文献に記載されている関連の文献に記載の方法などを参照できる。
反応B1で使用する塩基性触媒としては、無機塩基[アルカリ金属(金属カリウム、金属ナトリウムなど)、金属水酸化物(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;水酸化銅などの遷移金属水酸化物など)、炭酸塩類(炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどのアルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどのアルカリ土類金属炭酸塩;炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩など)、アルコキシド(カリウムメトキシド、ナトリウムメトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド)、有機カルボン酸アルカリ金属塩(酢酸ナトリウムなど)、アンモニアなど]、有機塩基[アルカリ金属アミド(カリウムアミド、ナトリウムアミドなど)、アミン又はアンモニウム類(トリエチルアミンなどのアルキルアミン;N,N−ジメチルアニリンなどの第3級アリールアミン;ピリジンなどの複素環式アミン;4級アンモニウム水酸化物など)など]などが挙げられる。
塩基性触媒の割合は、原料ニトリルのニトリル基1モルに対して、0.01〜3モル、好ましくは0.05〜2モル、さらに好ましくは0.1〜1.5モル程度である。
反応B1では、原料ニトリルの少なくとも1つのニトリル基をグアナミン環に変換できればよく、ニトリルとジシアンジアミド又はビグアニド類との割合は、目的とする生成物に応じて広い範囲から選択できる。ニトリルとジシアンジアミド及びビグアニド類との割合は、例えば、前者/後者(モル比)=1/1〜1/10、好ましくは1/1〜1/6、さらに好ましくは1/1〜1/4(例えば、1/1〜1/2)程度である。特に、ニトリルのニトリル基に対して、1〜1.3倍モル程度のジシアンジアミドを用いるのが好ましい。
反応B1において、溶媒を用いる場合、溶媒の量は、特に制限されず、例えば、原料ニトリル及びジシアンジアミドの総量100重量部に対して、10〜1000重量部(例えば、10〜500重量部)、好ましくは30〜500重量部程度である。
反応B1において、反応温度は、特に制限されず、0〜200℃(例えば、20〜200℃)程度の範囲から選択できるが、室温以下では、反応速度が遅くなるため、通常、50〜170℃程度が好ましい。反応は、常圧下であっても十分進行するが、加圧下(例えば、オートクレーブなどを用いて高圧下)で行ってもよい。
反応B2で用いられるシアノアルキル化体の誘導体は慣用の方法により製造できる。例えば、カルボキシアルキル化体は、前記シアノアルキル化体の加水分解反応などにより製造できる。また、得られたカルボキシアルキル化体から慣用の方法により、アルコキシカルボニルアルキル化体、アリールオキシカルボニルアルキル化体、酸ハロゲン化体(ハロホルミルアルキル化体)などの誘導体を製造することもできる。
前記シアノアルキル化体の誘導体の製造法は、例えば、特開2001−39956号公報、特開2001−11057号公報、特開平11−279162号公報、米国特許323553号明細書に記載の方法などを参照できる。
前記シアノアルキル化体の誘導体と、前記ビグアニド類(特に、ビグアニル類)と反応させることにより新規グアナミン化合物を得ることができる。このような製造法の詳細については、例えば、米国特許2423071号明細書、米国特許2423353号明細書、米国特許2425287号明細書、英国特許569100号明細書に記載されている方法などを参照できる。
このようにして得られるグアナミン化合物のうち、脂肪族アミン残基を有すグアナミン化合物の例としては、N−[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]−N−メチルアミンなどのN−グアナミルアルキル−N−モノ又はN,N−ジアルキルアミン(N−グアナミルC2−4アルキル−N−モノ又はN,N−ジC1−6アルキルアミンなど);N,N−ビス[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]アミノエタノールなどのN−グアナミルアルキル−N−モノ又はN,N−ジ(ヒドロキシアルキル)アミン[N−グアナミルC2−4アルキル−N−モノ又はN,N−ジ(ヒドロキシC1−6アルキル)アミンなど];ビス[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]エチレンジアミン、テトラキス[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]エチレンジアミン、テトラキス[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]−1,2−プロパンジアミン、テトラキス[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]−1,4−ブタンジアミン、ペンタキス[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]ジエチレントリアミンなどの(ポリ)グアナミルアルキル−(ポリ)アルキレンポリアミン[ジ乃至ペンタ(グアナミルC2−4アルキル)−C1−6アルキレン−ジ乃至テトラアミンなど]などが挙げられる。
環状アミン残基を有するグアナミン化合物のうち、ピペラジン残基を有する化合物としては、1,4−ビス[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]ピペラジンなどのN−グアナミルアルキルピペラジン(N−モノ又はN,N−ビスグアナミルC2−4アルキルピペラジンなど)などが挙げられ、モルホリン残基を有する化合物としては、4−[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]モルホリン、N−グアナミルアルキルモルホリン(N−グアナミルC2−4アルキルモルホリンなど)などが挙げられる。また、環状アミン類のうち、イミダゾール残基を有するグアナミン化合物の例としては、2,4−ジアミノ−6−[β−(イミダゾール−1’−イル)エチル]−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[α−メチル−β−(イミダゾール−1−イル)]エチル−s−トリアジンなどのN−グアナミルアルキルイミダゾール(N−グアナミルC2−4アルキルイミダゾールなど)、及びそれらの誘導体[例えば、2,4−ジアミノ−6−(2’−メチル−イミダゾール−1’−イル)エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2’−ウンデシル−イミダゾール−1’−イル)エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2’−エチル−4’−メチル−イミダゾール−1’−イル)エチル−s−トリアジンなどのN−グアナミルアルキル−アルキルイミダゾール(N−グアナミルC2−4アルキル−C1−12アルキル−イミダゾールなど);特公昭47−36391号公報及び特公昭47−41120号公報記載のイミダゾール部位にアルキル基やシクロアルキル基を有していてもよい2−グアナミルエチルイミダゾール又は2−グアナミル−2−メチルエチルイミダゾール化合物など]などが挙げられる。
環状尿素化合物残基を有するグアナミン化合物のうち、アルキレン尿素残基を有する化合物の例としては、1,3−ビス[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]エチレン尿素、1,3−ビス[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]プロピレン尿素、1,3,5,7−テトラキス[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]アセチレン尿素などのグアナミルアルキル−アルキレン尿素(グアナミルC2−4アルキル−C1−10アルキレン尿素、グアナミルC2−4アルキル−架橋式アルキレン尿素など)などが挙げられる。
環状尿素化合物残基を有するグアナミン化合物のうち、イソシアヌール酸残基を有する化合物の例としては、モノ乃至トリス(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)メチルイソシアヌレート、モノ乃至トリス[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート、モノ乃至トリス[α−メチル−β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレートなどのモノ乃至トリス(グアナミルアルキル)イソシアヌレート[モノ乃至トリス(グアナミルC2−4アルキル)イソシアヌレート;モノ又はビス(β−カルボキシエチル)−ビス又はモノ[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート、モノ又はビス(γ−カルボキシプロピル)−ビス又はモノ[γ−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)プロピル]イソシアヌレートなどのモノ又はビス(カルボキシC1−6アルキル)−ビス又はモノ[(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)C1−6アルキル]イソシアヌレート;モノ又はビス(β−アルコキシカルボニルエチル)−ビス又はモノ[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート、モノ又はビス(γ−アルコキシカルボニルプロピル)−ビス又はモノ[γ−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)プロピル]イソシアヌレートなどのモノ又はビス(C1−5アルコキシカルボニルC1−6アルキル)−ビス又はモノ[(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)C1−6アルキル]イソシアヌレートなど];モノ(シアノメチル)モノ[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)メチル]イソシアヌレート、モノ(β−シアノエチル)−モノ[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレートなどのモノ(シアノアルキル)−モノ(グアナミルアルキル)イソシアヌレート[モノ(シアノC2−4アルキル)−モノ(グアナミルC2−4アルキル)イソシアヌレートなど];モノ又はビス(シアノメチル)−ビス又はモノ[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)メチル]イソシアヌレート、モノ又はビス(β−シアノエチル)−ビス又はモノ[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレートなどのモノ又はビス(シアノアルキル)−ビス又はモノ(グアナミルアルキル)イソシアヌレート[モノ又はビス(シアノC2−4アルキル)−ビス又はモノ(グアナミルC2−4アルキル)イソシアヌレートなど]、モノ又はビス(β−カルボキシエチル−ビス又はモノ[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート・イソシアヌール酸塩などのモノ又はビス(カルボキシC1−6アルキル)−ビス又はモノ[(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)C1−6アルキル]イソシアヌレート・イソシアヌール酸塩などのモノ又はビス(β−アルコキシカルボニルエチル)−ビス又はモノ[β−2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル]エチル)イソシアヌレート・イソシアヌール酸塩などのモノ又はビス(C1−5アルコキシカルボニルC1−6アルキル)−ビス又はモノ[(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)C1−6アルキル]イソシアヌレート・イソシアヌール酸塩]などが挙げられる。
環状尿素化合物残基を有するグアナミン化合物のうち、ヒダントイン残基を有する化合物の例としては、3−[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]ヒダントイン、1,3−ビス[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]ヒダントインなどのグアナミルアルキルヒダントイン(モノ又はビスグアナミルC2−4アルキル−ヒダントインなど);3−[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]−3−n−プロピルヒダントイン、3−[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]−3−イソプロピルヒダントイン、3−[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]−5,5−ジメチルヒダントイン、1,3−ビス[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]−5,5−ジメチルヒダントインなどのグアナミルアルキル−アルキルヒダントイン[モノ又はビス(グアナミルC2−4アルキル)−C1−6アルキル−ヒダントインなど]が挙げられる。
イミド残基を有するグアナミン化合物の例としては、N−[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]フタルイミド、N,N’−ビス[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]ピロメリットジイミド、N,N’,N’’−トリス[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]トリメリットイミドなどが挙げられる。
前記グアナミン化合物には、グアナミン化合物の塩も含まれる。グアナミン化合物は、通常、グアナミン環のアミノ基を介して、このアミノ基と塩形成可能な化合物と塩を形成している。このような化合物は、アミノ基と塩形成可能であれば特に制限されず、例えば、無機系プロトン酸、有機系プロトン酸などであってもよいが、ヒドロキシル基含有化合物、特に、ヒドロキシル基を有する窒素含有環状化合物であるのが好ましい。
前記ヒドロキシル基を有する窒素含有環状化合物には、少なくとも1つのヒドロキシル基と、少なくとも1つの窒素原子を環のヘテロ原子として有するヘテロ環とで構成された化合物が含まれる。前記ヘテロ環としては、複数の窒素原子を環の構成原子として有する5又は6員窒素含有環、特に、トリアジン環が挙げられる。
トリアジン化合物としては、1,3,5−トリアジン類、1,2,3−トリアジン類、1,2,4−トリアジン類が挙げられる。ヒドロキシル基を有するトリアジン化合物において、ヒドロキシル基は、トリアジン環の適当な部位(窒素原子及び炭素原子、特に炭素原子)に置換していてもよい。ヒドロキシル基の個数は、特に制限されず、1〜4個、特に1〜3個(例えば、2〜3個)程度である。好ましいヒドロキシル基含有トリアジン化合物は、ヒドロキシル基含有1,3,5−トリアジン類、特にシアヌール酸又はイソシアヌール酸、アンメリン、アンメリドなどのシアヌール酸又はその誘導体などである。
グアナミン化合物の塩において、ヒドロキシル基を有する窒素含有環状化合物の割合は、前記グアナミン化合物のグアナミン部位1モルに対して、0.1〜1.2モル、好ましくは0.4〜1モル程度である。グアナミン化合物が複数のグアナミン環を有する場合、各グアナミン環は、同種又は異種のヒドロキシル基を有する窒素含有環状化合物と塩を形成してもよい。
このようなグアナミン化合物の塩には、イソシアヌール酸との塩又は反応生成物を例にとって説明すると、前記例示のグアナミン化合物とイソシアヌール酸との塩が含まれる。これらの塩のうち、イソシアヌール酸残基を有するグアナミン化合物とイソシアヌール酸との塩としては、トリス[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート・イソシアヌール酸塩などのモノ乃至トリス[(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)C1−6アルキル]イソシアヌレート・イソシアヌール酸塩;モノ(β−シアノエチル)−モノ[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート・イソシアヌール酸塩などのモノ(シアノC1−6アルキル)−モノ[(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)C1−6アルキル]イソシアヌレート・イソシアヌール酸塩;モノ又はビス(β−シアノエチル)−ビス又はモノ[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート・イソシアヌール酸塩などのモノ又はビス(シアノC1−6アルキル)−ビス又はモノ[(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)C1−6アルキル]イソシアヌレート・イソシアヌール酸塩などが挙げられる。なお、これらのイソシアヌール酸残基を有する化合物は、新規である。
グアナミン化合物の塩において、イソシアヌール酸の割合は特に限定はないが、グアナミン化合物1モルに対して、例えば、0.2〜6モル、好ましくは0.3〜4モル程度であり、0.5〜3モル(例えば、1〜3モル)程度であってもよい。例えば、トリス[β−(2,4−ジアミノ−S−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート・イソシアヌール酸塩としては、トリス[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート・1倍モルイソシアヌール酸塩、トリス[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート・1.5倍モルイソシアヌール酸塩、トリス[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート・3倍モルイソシアヌール酸塩などが挙げられる。また、ビス[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート・イソシアヌール酸塩としては、ビス[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート・1倍モルイソシアヌール酸塩、ビス[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート・2倍モルイソシアヌール酸塩などが挙げられる。
グアナミン化合物の塩は、例えば、グアナミン化合物とヒドロキシル基を有する窒素含有環状化合物などの塩形成化合物とを反応させることにより製造できる。反応は、溶媒中で行ってもよい。溶媒としては、水、前記反応A及び反応B1の反応溶媒の項で例示の有機溶媒、水と前記有機溶媒との混合溶媒などが使用できる。例えば、グアナミン化合物と塩形成化合物(イソシアヌール酸など)とを溶媒中に溶解又は分散させ、必要により加熱し、両者を反応させることによりグアナミン化合物の塩を製造できる。
本発明の樹脂組成物において、前記グアナミン化合物又はその塩は、安定剤として機能する。樹脂組成物において、前記グアナミン化合物又はその塩の割合は、樹脂100重量部に対して、0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部、さらに好ましくは0.01〜1重量部程度である。
[ポリアセタール樹脂]
ポリアセタール樹脂とは、オキシメチレン基(−CHO−)を主たる構成単位とする高分子化合物であり、ポリアセタールホモポリマー(例えば、米国デュポン社製、商品名「デルリン(登録商標)」;旭化成工業(株)製、商品名「テナック(登録商標)4010」など)、オキシメチレン基以外に他のコモノマー単位を含有するポリアセタールコポリマー(例えば、ポリプラスチックス(株)製,商品名「ジュラコン(登録商標)」など)が含まれる。コポリマーにおいて、コモノマー単位には、炭素数2〜6程度(好ましくは炭素数2〜4程度)のオキシアルキレン単位(例えば、オキシエチレン基(−CHCHO−)、オキシプロピレン基、オキシテトラメチレン基など)が含まれる。コモノマー単位の含有量は、少量、例えば、ポリアセタール樹脂全体に対して、0.01〜30モル%、好ましくは0.03〜20モル%(例えば、0.05〜18モル%)、さらに好ましくは0.1〜15モル%程度の範囲から選択できる。
ポリアセタールコポリマーは、二成分で構成されたコポリマー、三成分で構成されたターポリマーなどであってもよい。ポリアセタールコポリマーは、ランダムコポリマーの他、ブロックコポリマー(例えば、特公平2−24307号公報、旭化成工業(株)製、商品名「テナックLA」「テナックLM」など)、グラフトコポリマーなどであってもよい。また、ポリアセタール樹脂は、線状のみならず分岐構造であってもよく、架橋構造を有していてもよい。さらに、ポリアセタール樹脂の末端は、例えば、酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸又はそれらの無水物とのエステル化などにより安定化してもよい。ポリアセタールの重合度、分岐度や架橋度も特に制限はなく、溶融成形可能であればよい。ポリアセタール系樹脂の分子量は特に制限されず、例えば、重量平均分子量5,000〜500,000、好ましくは10,000〜400,000程度である。
前記ポリアセタール樹脂は、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類、トリオキサン、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、ジエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマールなどの環状エーテルや環状ホルマールを重合することにより製造できる。さらには、共重合成分として、アルキル又はアリールグリシジルエーテル(例えば、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ナフチルグリシジルエーテルなど)、アルキレン又はポリオキシアルキレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテルなど)、アルキル又はアリールグリシジルアルコール、環状エステル(例えば、β−プロピオラクトンなど)及びビニル化合物(例えば、スチレン、ビニルエーテルなど)を使用することもできる。
[酸化防止剤]
また、本発明の樹脂組成物は、長期間安定に耐熱性を維持するために酸化防止剤(又は安定剤)を含んでいる。酸化防止剤又は安定剤には、例えば、フェノール系(ヒンダードフェノール類など)、アミン系(ヒンダードアミン類など)、リン系、イオウ系、ヒドロキノン系、キノリン系酸化防止剤(又は安定剤)などが含まれる。これらの酸化防止剤は一種で又は二種以上組合せて使用できる。
前記ヒンダードフェノール系化合物には、慣用のフェノール系酸化防止剤、例えば、単環式ヒンダードフェノール化合物(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールなど)、炭化水素基又はイオウ原子を含む基で連結された多環式ヒンダードフェノール化合物[2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタンなどのC1−10アルキレンビス乃至テトラキス(t−ブチルフェノール)類;4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)などのC2−10アルケニレン又はジエニレンビス乃至テトラキス(t−ブチルフェノール)類;1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンなどのC6−20アリーレン又はアラルキレンビス乃至テトラキス(t−ブチルフェノール)類;4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)などのイオウ原子を有する基で連結されたビス(t−ブチルフェノール)類など]、エステル基又はアミド基を有するヒンダードフェノール化合物[n−オクタデシル−3−(4′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、n−オクタデシル−2−(4′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネートなどのC2−10アルキレンカルボニルオキシ基を有するt−ブチルフェノール;1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などの脂肪酸のポリオールエステルで連結されたビス乃至テトラキス(t−ブチルフェノール)類;3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどのヘテロ環基とC2−10アルキレンカルボニルオキシ基とを有するビス乃至テトラキス(t−ブチルフェノール)類;2−t−ブチル−6−(3′−t−ブチル−5′−メチル−2′−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートなどのC3−10アルケニルカルボニルオキシ基を有するt−アルキルフェノール(例えば、t−ブチルフェノール及びt−ペンチルフェノールなど);ジ−n−オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートなどのホスホン酸エステル基を有するヒンダードフェノール化合物;N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ジヒドロシンナムアミド)などのアミド基を有するヒンダードフェノール化合物など]などが含まれる。中でも、t−ブチル(特に複数のt−ブチル)基を有するフェノール化合物(特に複数のt−ブチルフェノール部位を有する化合物)が好ましい。特に、前記脂肪酸のポリオールエステルで連結されたビス乃至テトラキス(モノ乃至テトラt−ブチルフェノール)類、特に、C2−10脂肪酸(特にC2−6脂肪酸)のジ乃至テトラオールエステル基で連結されたビス乃至テトラキス(モノ又はジt−ブチルフェノール)類が好ましい。
アミン系酸化防止剤には、ヒンダードアミン類、例えば、トリ又はテトラC1−3アルキルピペリジン又はその誘導体(4−位にメトキシ、ベンゾイルオキシ、フェノキシなどが置換していてもよい2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなど)、ビス(トリ、テトラ又はペンタC1−3アルキルピペリジン)C2−20アルキレンジカルボン酸エステル[例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)オギザレート、オギザレートに対応するマロネート、アジペート、セバケート、テレフタレートなど;ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス[1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル]セバケートなど]、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)エタンなど]、芳香族アミン類[例えば、フェニルナフチルアミン、N,N′−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−シクロヘキシル−1,4−フェニレンジアミン、4,4’−ジ(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンなど]などが含まれる。
リン系安定剤(又は酸化防止剤)には、例えば、トリイソデシルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジトリデシルホスファイト、トリス(分岐C3−6アルキルフェニル)ホスファイト[例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−アミルフェニル)ホスファイトなど]、ビス又はトリス(2−t−ブチルフェニル)フェニルホスファイト、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、ビス(C3−9アルキルアリール)ペンタエリスリトールジホスファイト[例えば、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなど]などのホスファイト系安定剤、トリフェニルホスフェート系安定剤(例えば、4−フェノキシ−9−α−(4−ヒドロキシフェニル)−p−クメニルオキシ−3,5,8,10−テトラオキサ−4,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェートなど)、ジホスフォナイト系安定剤(例えば、テトラキス(2,4−ジt−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスフォナイト、テトラキス(2,4−ジt−ブチル−5−メチル)−4,4’−ビフェニレンジホスフォナイトなど)、次亜リン酸金属塩(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム塩など)などが含まれる。また、リン系安定剤には、ホスフィン系安定剤も含まれる。
前記ホスフィン系安定剤には、アルキルホスフィン(例えば、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン等のトリC1−10アルキルホスフィンなど)、シクロアルキルホスフィン(例えば、トリシクロヘキシルホスフィンなどのトリC5−12シクロアルキルホスフィンなど)、アリールホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィン、p−トリルジフェニルホスフィン、ジp−トリルフェニルホスフィン、トリm−アミノフェニルホスフィン、トリ2,4−ジメチルフェニルホスフィン、トリ2,4,6−トリメチルフェニルホスフィン、トリo−トリルホスフィン、トリm−トリルホスフィン、トリp−トリルホスフィン等のトリC6−12アリールホスフィンなど)、アラルキルホスフィン(例えば、トリo−アニシルホスフィン、トリp−アニシルホスフィン等のトリC6−12アリールC1−4アルキルホスフィンなど)、アリールアルケニルホスフィン(例えば、ジフェニルビニルホスフィン、アリルジフェニルホスフィン等のジC6−12アリールC2−10アルケニルホスフィンなど)、アリールアラルキルホスフィン(例えば、p−アニシルジフェニルホスフィンなどのジC6−12アリール−C6−12アリールC1−4アルキルホスフィン;ジp−アニシルフェニルホスフィンなどのC6−12アリールジ(C6−12アリールC1−4アルキル)ホスフィン等)、アルキルアリールアラルキルホスフィン(例えば、メチルフェニル−p−アニシルホスフィンなどのC1−10アルキルC6−12アリールC6−12アリールC1−4アルキルホスフィンなど)、ビスホスフィン類[例えば、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンなどのビス(ジC6−12アリールホスフィノ)C1−10アルカン]等のホスフィン化合物などが含まれる。
ヒドロキノン系酸化防止剤には、例えば、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノンなどが含まれ、キノリン系酸化防止剤には、例えば、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンなどが含まれ,イオウ系酸化防止剤には、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネートなどが含まれる。
これらの酸化防止剤のうち、ヒンダードフェノール系及びヒンダードアミン系酸化防止剤から選択された少なくとも一種が好ましい。
本発明の樹脂組成物において、酸化防止剤の割合は、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、0.001〜5重量部、好ましくは0.005〜3重量部、さらに好ましくは0.01〜1重量部程度である。
本発明の樹脂組成物は、必要により加工安定剤及び耐熱安定剤から選択された少なくとも一種を含んでもよい。加工安定剤及び耐熱安定剤は一種で又は二種以上組合せて使用できる。特に、加工安定剤及び耐熱安定剤を含むのが好ましい。
[加工安定剤]
加工安定剤としては、(a)長鎖脂肪酸又はその誘導体、(b)水及び/又はアルコール類、(c)オルガノシロキサン、(d)フッ素化合物、及び(e)ワックス類などから選択された少なくとも一種が挙げられる。
(a)長鎖脂肪酸又はその誘導体
前記長鎖脂肪酸は、飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸であってもよい。また、一部の水素原子がヒドロキシル基などの置換基で置換されたものも使用できる。このような長鎖脂肪酸としては、炭素数10以上の1価又は2価の脂肪酸、例えば、炭素数10以上の1価の飽和脂肪酸[カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、モンタン酸などのC10−34飽和脂肪酸(好ましくはC10−30飽和脂肪酸)など]、炭素数10以上の1価の不飽和脂肪酸[オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エルカ酸などのC10−34不飽和脂肪酸(好ましくはC10−30不飽和脂肪酸)など]、炭素数10以上の2価の脂肪酸(二塩基性脂肪酸)[セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、タプシア酸などの2価のC10−30飽和脂肪酸(好ましくは2価のC10−20飽和脂肪酸)、デセン二酸、ドデセン二酸などの2価のC10−30不飽和脂肪酸(好ましくは2価のC10−20不飽和脂肪酸)など]が例示できる。これらの脂肪酸は一種で又は二種以上組合せて使用できる。前記脂肪酸には、1つ又は複数のヒドロキシル基を分子内に有する脂肪酸(例えば、12−ヒドロキシステアリン酸などのヒドロキシ飽和C10−26脂肪酸など)も含まれる。
前記長鎖脂肪酸の誘導体には、脂肪酸エステル及び脂肪酸アミドなどが含まれる。前記長鎖脂肪酸エステルとしては、その構造は特に制限されず、直鎖状又は分岐状脂肪酸エステルのいずれも使用でき、前記長鎖脂肪酸とアルコールとのエステル(モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステルなどの1つ又は複数のエステル結合を有するエステルなど)が挙げられる。長鎖脂肪酸エステルを構成するアルコールは、その種類は特に制限されないが、多価アルコールが好ましい。前記多価アルコールとしては、炭素数が2〜8程度、好ましくは2〜6程度の多価アルコール又はその重合体、例えば、アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなどのC2−8アルキレングリコール(好ましくはC2−6アルキレングリコール)など)などのジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン又はこれらの誘導体などのトリオール類、ペンタエリスリトール、ソルビタン又はこれらの誘導体などのテトラオール類、及びこれらの多価アルコール類の単独又は共重合体(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコールの単独又は共重合体、ポリグリセリン、ジペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトールなど)などが例示できる。前記ポリアルキレングリコールの平均重合度は2以上(例えば、2〜500)、好ましくは2〜400(例えば、2〜300)程度であり、平均重合度16以上(例えば、20〜200程度)が好ましく、このようなポリアルキレングリコールは、炭素数12以上の脂肪酸とのエステルとして好適に使用される。好ましい多価アルコールは、平均重合度が2以上のポリアルキレングリコールである。これらの多価アルコールは一種で又は二種以上組合せて使用できる。
このような長鎖脂肪酸エステルの例としては、エチレングリコールモノ又はジパルミチン酸エステル、エチレングリコールモノ又はジステアリン酸エステル、エチレングリコールモノ又はジベヘン酸エステル、エチレングリコールモノ又はジモンタン酸エステル、グリセリンモノ乃至トリパルミチン酸エステル、グリセリンモノ乃至トリステアリン酸エステル、グリセリンモノ乃至トリベヘン酸エステル、グリセリンモノ乃至トリモンタン酸エステル、ペンタエリスリトールモノ乃至テトラパルミチン酸エステル、ペンタエリスリトールモノ乃至テトラステアリン酸エステル、ペンタエリスリトールモノ乃至テトラベヘン酸エステル、ペンタエリスリトールモノ乃至テトラモンタン酸エステル、ポリグリセリントリステアリン酸エステル、トリメチロールプロパンモノパルミチン酸エステル、ペンタエリスリトールモノウンデシル酸エステル、ソルビタンモノステアリン酸エステル、ポリアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど)のモノラウレート、モノパルミテート、モノステアレート、モノベヘネート、モノモンタネート、ジラウレート、ジパルミテート、ジステアレート、ジベヘネート、ジモンタネート、ジオレエート、ジリノレート、前記グリセリンモノ又はジ長鎖脂肪酸エステル類の三塩基性無機酸の金属塩(グリセリンモノステアレートのモノホウ酸エステルのカルシウム塩、グリセリンモノステアレートのモノホウ酸エステルのマグネシウム塩など)などが挙げられる。
前記脂肪酸アミドとしては、前記長鎖脂肪酸(1価又は2価の長鎖脂肪酸)とアミン類(モノアミン、ジアミン、ポリアミン類など)との酸アミド(モノアミド、ビスアミドなど)が使用できる。モノアミドとしては、例えば、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、アラキン酸アミド、ベヘン酸アミド、モンタン酸アミドなどの飽和脂肪酸の第1級酸アミド、オレイン酸アミドなどの不飽和脂肪酸の第1級酸アミド、ステアリルステアリン酸アミド、ステアリルオレイン酸アミドなどの飽和及び/又は不飽和脂肪酸とモノアミンとの第2級酸アミドなどが例示できる。好ましい脂肪酸アミドはビスアミドである。前記ビスアミドには、C1−6アルキレンジアミン(特に、C1−2アルキレンジアミン)と前記脂肪酸とのビスアミドなどが含まれ、その具体例としては、エチレンジアミン−ジパルミチン酸アミド、エチレンジアミン−ジステアリン酸アミド(エチレンビスステアリルアミド)、ヘキサメチレンジアミン−ジステアリン酸アミド、エチレンジアミン−ジベヘン酸アミド、エチレンジアミン−ジモンタン酸アミド、エチレンジアミン−ジオレイン酸アミド、エチレンジアミン−ジエルカ酸アミドなどが挙げられ、さらにエチレンジアミン−(ステアリン酸アミド)オレイン酸アミドなどのアルキレンジアミンのアミン部位に異なるアシル基が結合した構造を有するビスアミドなども使用できる。前記酸アミドにおいて、酸アミドを構成する脂肪酸は飽和脂肪酸であるのが好ましい。
これらの長鎖脂肪酸又はその誘導体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(b)水及び/又はアルコール類
前記アルコール類としては、飽和又は不飽和脂肪族アルコール類[メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール、ステアリルアルコールなどのC1−34アルキルアルコール;アリルアルコールなどのC2−34アルケニルアルコール;プロパギルアルコールなどのC2−34アルキニルアルコールなど]、脂環族アルコール類(シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどのC5−10シクロアルカノールなど)、芳香族アルコール類(ベンジルアルコールなどのC6−14アリール−C1−6アルキルアルコールなど)、多価アルコール又はその誘導体(多価アルコールの重合体、置換多価アルコールなど)、糖類(グルコース、ガラクトース、フルクトースなど単糖類:トレハロース、スクロース、マルトース、ラフィノースなどオリゴ糖類:エリトリット、キシリット、ソルビットなどの糖アルコール;セルロース、デンプンなどの多糖類など)などが挙げられる。
前記多価アルコール又はその誘導体としてはC2−8多価アルコール(好ましくはC2−6多価アルコール)又はその重合体(オリゴマーも含む)、例えば、アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなどのC2−8アルキレングリコール(好ましくはC2−6アルキレングリコール)など)などのジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン又はこれらの誘導体などのトリオール類、ペンタエリスリトール、ソルビタン又はこれらの誘導体などのテトラオール類;これらの多価アルコールの部分エステル化物(例えば、アルキルエステルなど);これらの多価アルコール類のオリゴマー(例えば、ジペンタエリスリトールなど)、単独又は共重合体(例えば、ポリオキシアルキレングリコールの単独又は共重合体、ポリグリセリンなど)などが例示できる。
また、その他の多価アルコール類として、シクロアミロース類(α−,β−,γ−,δ−又はε−シクロデキストリンなど)、キトサン類、キチン類、ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、オレフィン−ビニルアルコール共重合体なども含まれる。
前記ポリオキシアルキレングリコールには、アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコールなどのC2−6アルキレングリコール(好ましくはC2−4アルキレングリコール)など)の単独重合体、共重合体、及びそれらの誘導体などが含まれる。具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリC2−6オキシアルキレングリコール(好ましくはポリC2−4オキシアルキレングリコール)、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体(ランダム又はブロック共重合体など)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノブチルエーテルなどの共重合体類が挙げられる。好ましいポリオキシアルキレングリコールは、オキシエチレン単位を有する重合体、例えば、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体及びそれらの誘導体などである。また、前記ポリオキシアルキレングリコールの数平均分子量は、3×10〜1×10(例えば、5×10〜5×10)、好ましくは1×10〜1×10(例えば、1×10〜5×10)程度である。
水及びアルコール類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(c)オルガノシロキサン
オルガノシロキサンとしては、ポリオルガノシロキサン、例えば、ジアルキルシロキサン(例えば、ジメチルシロキサンなど)、アルキルアリールシロキサン(例えば、メチルフェニルシロキサンなど)、ジアリールシロキサン(例えば、ジフェニルシロキサンなど)等の単独重合体(例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン等)又は共重合体等が例示できる。ポリオルガノシロキサンは、オリゴマーであってもよく、また架橋ポリマーであってもよい。また、(ポリ)オルガノシロキサンとしては、分岐オルガノシロキサン(ポリメチルシルセスキオキサン、ポリメチルフェニルシルセスキオキサン、ポリフェニルシルセスキオキサンなどのポリオルガノシルセスキオキサンなど)[例えば、東芝シリコーン(株)の商品名「XC99−B5664」、信越化学工業(株)の商品名「X−40−9243」、「X−40−9244」、「X−40−9805」、特開2001−40219号公報、特開2000−159995号公報、特開平11−158363号公報、特開平10−182832号公報、特開平10−139964号公報記載の化合物など]、分子末端や主鎖に、エポキシ基、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アミノ基、エーテル基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基などの置換基を有する変性(ポリ)オルガノシロキサン(例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)の商品名「SiパウダーDC4−7051,DC4−7081,DC4−7105,DC1−9641など」など)なども使用できる。これらのシリコーン系化合物(オルガノシロキサン)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(d)フッ素化合物
フッ素化合物には、フッ素含有オリゴマー、フッ素系樹脂などが含まれる。フッ素含有オリゴマー及びフッ素系樹脂には、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテルなどのフッ素含有モノマーの単独又は共重合体;前記フッ素含有モノマーと共重合性モノマー(エチレン、プロピレンなどのオレフィン系単量体;アルキル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル系単量体など)との共重合体;前記フッ素含有モノマーと酸素との光酸化重合体などが含まれる。このようなフッ素含有オリゴマー及びフッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニルデンフルオライドなどの単独重合体;テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体などの共重合体などが例示できる。これらのフッ素化合物は、一種で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(e)ワックス類
ワックス類には、ポリオレフィン系ワックスなどが含まれる。ポリオレフィン系ワックスとしては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリC2−4オレフィン系ワックス、エチレン共重合体ワックスなどのオレフィン共重合体ワックスが例示でき、これらの部分酸化物又は混合物等も含まれる。オレフィン共重合体には、例えば、オレフィン(エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、2,3−ジメチル−2−ブテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン等のα−オレフィン等)の共重合体や、これらのオレフィンと共重合可能なモノマー、例えば、不飽和カルボン酸又はその酸無水物[無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸等]、(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸C1−10アルキル(好ましくはC1−4アルキル)エステルなど]等の重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。また、これらの共重合体には、ランダム共重合体、ブロック共重合体、又はグラフト共重合体が含まれる。オレフィン共重合体ワックスは、通常、エチレンと、他のオレフィン及び重合性モノマーから選択された少なくとも一種のモノマーとの共重合体である。
これらのワックス類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのワックスのうち、ポリエチレンワックスが好ましい。ワックス類の数平均分子量は、100〜20000、好ましくは500〜15000、さらに好ましくは1000〜12000程度である。
前記加工安定剤は、一種で又は二種以上組合せて使用できる。
加工安定剤の割合は、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、0〜5重量部(例えば、0.01〜5重量部)、好ましくは0.03〜5重量部(例えば、0.05〜3重量部)程度、特に0.05〜2重量部程度である。
[耐熱安定剤]
前記耐熱安定剤には、(a)塩基性窒素化合物、(b)有機カルボン酸金属塩、(c)アルカリ又はアルカリ土類金属化合物、(d)ハイドロタルサイト、(e)ゼオライト及び(f)特定酸性化合物などが含まれる。
(a)塩基性窒素化合物
塩基性窒素含有化合物には、低分子化合物や高分子化合物(窒素含有樹脂)が含まれる。窒素含有低分子化合物としては、例えば、脂肪族アミン類(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス−(ヒドロキシメチル)アミノメタンなど)、芳香族アミン類(o−トルイジン、p−トルイジン、p−フェニレンジアミン、o−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、o−アミノ安息香酸エチル、p−アミノ安息香酸エチルなどの芳香族第2級アミン又は第3級アミン)、イミド類(フタルイミド、トリメリトイミド、ピロメリトイミドなど)、トリアゾール類(ベンゾトリアゾールなど)、テトラゾール類(5,5’−ビテトラゾールのアミン塩又は金属塩など)、アミド化合物(マロンアミド、イソフタル酸ジアミドなどの多価カルボン酸アミド、p−アミノベンズアミドなど)、ヒドラジン又はその誘導体[ヒドラジン、ヒドラゾン、カルボン酸ヒドラジド(ステアリン酸ヒドラジド、12−ヒドロキシステアリン酸ヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジドなどの脂肪族カルボン酸ヒドラジド;安息香酸ヒドラジド、ナフトエ酸ヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、ナフタレンジカルボン酸ジヒドラジド、ベンゼントリカルボン酸トリヒドラジドなどの芳香族カルボン酸ヒドラジドなど)など]、ポリアミノトリアジン類[グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、サクシノグアナミン、アジポグアナミン、1,3,6−トリス(3,5−ジアミノ−2,4,6−トリアジニル)ヘキサン、フタログアナミン、CTU−グアナミンなどのグアナミン類又はそれらの誘導体、メラミン又はその誘導体(メラミン;メラム、メレム、メロンなどのメラミン縮合物など)]、メラミン及びメラミン誘導体を含むポリアミノトリアジン類と有機酸との塩[(イソ)シアヌール酸塩(メラミンシアヌレートなど)など]、メラミン及びメラミン誘導体を含むポリアミノトリアジン類と無機酸との塩[メラミンボレートなどのホウ酸との塩、メラミンホスフェートなどのリン酸との塩など]、ウラシル又はその誘導体(ウラシル、ウリジンなど)、シトシン又はその誘導体(シトシン、シチジンなど)、グアニジン又はその誘導体(グアニジン、シアノグアニジンなどの非環状グアニジン;クレアチニンなどの環状グアニジンなど)、尿素又はその誘導体[ビウレット、ビウレア、エチレン尿素、プロピレン尿素、アセチレン尿素、アセチレン尿素誘導体(アルキル置換体、アリール置換体、アラルキル置換体、アシル置換体、ヒドロキシメチル置換体、アルコキシメチル置換体など)、イソブチリデンジウレア、クロチリデンジウレア、尿素とホルムアルデヒドとの縮合体、ヒダントイン、置換ヒダントイン誘導体(1−メチルヒダントイン、5−プロピルヒダントイン、5,5−ジメチルヒダントインなどのモノ又はジC1−4アルキル置換体;5−フェニルヒダントイン、5,5−ジフェニルヒダントインなどのアリール置換体;5−メチル−5−フェニルヒダントインなどのアルキルアリール置換体など)、アラントイン、置換アラントイン誘導体(例えば、モノ,ジまたはトリC1−4アルキル置換体、アリール置換体など)、アラントインの金属塩(アラントインジヒドロキシアルミニウム、アラントインモノヒドロキシアルミニウム、アラントインアルミニウムなどの周期表3B属金属との塩など)、アラントインとアルデヒド化合物との反応生成物(アラントインホルムアルデヒド付加体など)、アラントインとイミダゾール化合物との化合物(アラントインソジウム−dlピロリドンカルボキシレートなど)、有機酸塩など]などが例示できる。
窒素含有樹脂としては、例えば、ポリビニルアミンの単独又は共重合体、ポリアリルアミンの単独又は共重合体、ホルムアルデヒドとの反応により生成するアミノ樹脂(グアナミン樹脂、メラミン樹脂、グアニジン樹脂などの縮合樹脂、フェノール−メラミン樹脂、ベンゾグアナミン−メラミン樹脂、芳香族ポリアミン−メラミン樹脂などの共縮合樹脂など)、芳香族アミン−ホルムアルデヒド樹脂(アニリン樹脂など)、ポリアミド樹脂(例えば、ナイロン3(ポリβ−アラニン)、ナイロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロンMXD6、ナイロン6−10、ナイロン6−11、ナイロン6−12、ナイロン6−66−610などの単独又は共重合ポリアミド、メチロール基やアルコキシメチル基を有する置換ポリアミドなど)、ポリエステルアミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドと他のビニルモノマーとの共重合体、ポリ(ビニルラクタム)、ビニルラクタムと他のビニルモノマーとの共重合体(例えば、特開昭55−52338号公報、米国特許第3204014号明細書に記載の単独又は共重合体など)、ポリ(N−ビニルホルムアミド)又はその誘導体(N−ビニルホルムアミド−N−ビニルアミン共重合体など)(例えば、三菱化学(株)製、商品名「PNVEシリーズ」など)、N−ビニルホルムアミドと他のビニルモノマーとの共重合体、ポリ(N−ビニルカルボン酸アミド)、N−ビニルカルボン酸アミドと他のビニルモノマーとの共重合体(例えば、特開2001−247745号公報、特開2001−131386号公報、特開平8−311302号公報、特開昭59−86614号公報、米国特許第5455042号明細書、米国特許第5407996号明細書、米国特許第5338815号明細書に記載の単独又は共重合体、昭和電工(株)製、商品名「ノニオレックス」「クリアチック」など)などが例示できる。
これらの塩基性窒素含有化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
好ましい窒素含有化合物には、グアナミン類(アジポグアナミン、CTU−グアナミンなど)、メラミン又はその誘導体[特にメラミン又はメラミン縮合物(メラム、メレムなど)]、グアニジン誘導体(シアノグアニジン、クレアチニンなど)、尿素誘導体[ビウレア、尿素とホルムアルデヒドとの縮合体、アラントイン、アラントインの金属塩(アラントインジヒドロキシアルミニウムなど)]、ヒドラジン誘導体(カルボン酸ヒドラジドなど)、窒素含有樹脂[アミノ樹脂(メラミン樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂などのアミノ樹脂;架橋メラミン樹脂などの架橋アミノ樹脂など)、ポリアミド樹脂、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(N−ビニルホルムアミド)、ポリ(N−ビニルカルボン酸アミド)、ポリ(ビニルラクタム)など]が含まれる。これらのうち、特に、ビウレア、アラントイン、アラントインの金属塩、カルボン酸ヒドラジド及びポリアミド樹脂から選択された少なくとも一種と、前記式(1)で表されるユニットを有するグアナミン化合物とを併用すると、成形品からの発生ホルムアルデヒド量を大幅に低減することができる。窒素含有化合物は、この窒素含有化合物[特に、カルボン酸ヒドラジド(例えば、脂肪族カルボン酸ヒドラジド及び芳香族カルボン酸ヒドラジドから選択された少なくとも一種)など]を含む樹脂マスターバッチとして用いてもよい。窒素含有化合物[例えば、前記尿素系化合物(ビウレアなど)、カルボン酸ヒドラジド(例えば、脂肪族カルボン酸ヒドラジド及び芳香族カルボン酸ヒドラジドから選択された少なくとも一種)など]は、熱可塑性樹脂(例えば、ポリアセタール樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂など)と溶融混合しマスターバッチの形態で使用してもよい。この窒素含有化合物を含む樹脂マスターバッチとして用いてもよい。樹脂マスターバッチにおいて、窒素含有化合物の割合は、例えば、1〜80重量%程度であってもよい。
(b)有機カルボン酸金属塩
有機カルボン酸金属塩としては、有機カルボン酸と金属(Na,Kなどのアルカリ金属;Mg,Caなどのアルカリ土類金属;Znなどの遷移金属など)との塩が挙げられる。
前記有機カルボン酸は、低分子又は高分子のいずれであってもよく、前記長鎖脂肪酸の項で例示した長鎖飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸などの他、炭素数10未満の低級の飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸、不飽和脂肪族カルボン酸の重合体なども使用できる。また、これらの脂肪族カルボン酸はヒドロキシル基を有していてもよい。前記低級の飽和脂肪族カルボン酸としては、飽和C1−9モノカルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、カプリル酸など)、飽和C2−9ジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸など)、及びこれらのオキシ酸(グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸、クエン酸など)などが例示できる。
低級の不飽和脂肪族カルボン酸としては、不飽和C3−9モノカルボン酸[(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸など]、不飽和C4−9ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸など)、及びこれらのオキシ酸(プロピオール酸など)などが例示できる。
また、不飽和脂肪族カルボン酸の重合体としては、重合性不飽和カルボン酸[α,β−エチレン性不飽和カルボン酸、例えば、(メタ)アクリル酸などの重合性不飽和モノカルボン酸、重合性不飽和多価カルボン酸(イタコン酸、マレイン酸、フマル酸など)、前記多価カルボン酸の酸無水物又はモノエステル(マレイン酸モノエチルなどのモノC1−10アルキルエステルなど)など]とオレフィン(エチレン、プロピレンなどのα−C2−10オレフィンなど)との共重合体などが挙げられる。
これらの有機カルボン酸金属塩は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
好ましい有機カルボン酸金属塩は、アルカリ土類金属有機カルボン酸塩(酢酸カルシウム、クエン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムなど)、アイオノマー樹脂(前記重合性不飽和多価カルボン酸とオレフィンとの共重合体に含有されるカルボキシル基の少なくとも一部が前記金属のイオンにより中和されている樹脂)などである。前記アイオノマー樹脂は、例えば、ACLYN(アライド・シグナル社製)、ハイミラン(三井デュポンポリケミカル社製)、サーリン(デュポン社製)などとして市販されている。
(c)アルカリ又はアルカリ土類金属化合物
アルカリ又はアルカリ土類金属化合物には、CaO、MgOなどの金属酸化物、Ca(OH)、Mg(OH)などの金属水酸化物、金属無機酸塩(NaCO、KCO、CaCO、MgCOなどの金属炭酸塩、ホウ酸塩やリン酸塩などの無機酸塩など)などの無機化合物が含まれ、特に、金属酸化物及び金属水酸化物が好ましい。前記化合物のうち、アルカリ土類金属化合物が好ましい。
これらのアルカリ又はアルカリ土類金属化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(d)ハイドロタルサイト
ハイドロタルサイトとしては、特開昭60−1241号公報及び特開平9−59475号公報などに記載されているハイドロタルサイト類、例えば、下記式で表されるハイドロタルサイト化合物などが使用できる。
[M2+ 1−x3+ (OH)x+[An− x/n・mHO]x−
(式中、M2+はMg2+、Mn2+、Fe2+、Co2+などの2価金属イオンを示し、M3+はAl3+、Fe3+、Cr3+などの3価金属イオンを示す。An−はCO 2−、OH、HPO 2−、SO 2−などのn価(特に1価又は2価)のアニオンを示す。xは、0<x<0.5であり、mは、0≦m<1である。)
これらのハイドロタルサイトは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
なお、ハイドロタルサイトは、「DHT−4A」、「DHT−4A−2」、「アルカマイザー」などとして協和化学工業(株)から入手可能である。
(e)ゼオライト
ゼオライトとしては、特に制限されないが、例えば、特開平7−62142号公報に記載されているゼオライト[最小単位セルがアルカリ及び/又はアルカリ土類金属の結晶性アルミノケイ酸塩であるゼオライト(A型、X型、Y型、L型、β型及びZSM型ゼオライト、モルデン沸石型ゼオライト;チャバザイト、モルデン沸石、ホージャサイトなどの天然ゼオライトなど)など]などが使用できる。
これらのゼオライトは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
なお、A型ゼオライトは、「ゼオラムシリーズ(A−3、A−4、A−5)、「ゼオスターシリーズ(KA100P、NA−100P、CA−100P)」などとして、また、X型ゼオライトは、「ゼオラムシリーズ(F−9)」、「ゼオスターシリーズ(NX−100P)」、Y型ゼオライトは、「HSZシリーズ320NAA」などとして東ソー(株)、日本化学工業(株)から入手可能である。
(f)特定酸性化合物
特定酸性化合物には、ホウ酸類(オルトホウ酸、メタホウ酸など)、ヒドロキシル基を有する窒素含有環状化合物(シアヌール酸、イソシアヌール酸、アンメリン、アンメリド、バルビツール酸、尿酸など)、カルボキシル基含有化合物[グリコール酸などのヒドロキシカルボン酸;ポリ(メタ)アクリル酸などの(メタ)アクリル酸の単独又は共重合体;(メタ)アクリル酸−オレフィン共重合体などの(メタ)アクリル酸と他の共重合性モノマー(エチレン、プロピレンなどのオレフィン系モノマーなど)との共重合体;不飽和(無水)カルボン酸変性オレフィン;特開2000−239484号公報記載のpKaが3.6以上のカルボキシル基含有化合物など]、(ポリ)フェノール類(フェノール、メチルフェノールなどのフェノール類;ソグニン、カテキンなどのポリフェノール類;ノボラック樹脂、ポリビニルフェノールなど)、アミノカルボン酸類(アミノ酸など)などが使用できる。これらの酸性化合物は、単独又は2種以上組み合わせて使用できる。
前記耐熱安定剤は、1種で又は2種以上組み合わせて使用できる。塩基性窒素含有化合物と、有機カルボン酸金属塩、アルカリ又はアルカリ土類金属化合物、ハイドロタルサイト、ゼオライト及び特定酸性化合物から選択された少なくとも一種とを組み合わせて用いると、少量で耐熱安定性を付与することもできる。
耐熱安定剤の割合は、例えば、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、0〜5重量部(0.001〜5重量部)、好ましくは0.001〜3重量部(特に0.01〜2重量部)程度の範囲から選択できる。特に、耐熱安定剤として塩基性窒素化合物を使用する場合、塩基性窒素化合物の割合は、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、0.001〜1重量部、好ましくは0.005〜0.5重量部(特に0.01〜0.15重量部)程度の範囲から選択できる。
[添加剤]
また、本発明のポリアセタール樹脂組成物は、さらに耐候(光)安定剤、着色剤、光沢制御剤、耐衝撃性改良剤、摺動性改良剤、及び充填剤から選択された少なくとも一種の添加剤を含んでいてもよい。
(耐候(光)安定剤)
耐候(光)安定剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、芳香族ベンゾエート系化合物、シアノアクリレート系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、及びヒンダードアミン系化合物などが挙げられる。これらの耐候(光)安定剤は一種又は二種以上組合せて使用できる。
(a)ベンゾトリアゾール系化合物
ベンゾトリアゾール系化合物としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−イソアミルフェニル)ベンゾトリアゾール等のヒドロキシル基及びアルキル(C1−6アルキル)基置換アリール基を有するベンゾトリアゾール類;2−[2′−ヒドロキシ−3′,5′−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾールなどのヒドロキシル基及びアラルキル(又はアリール)基置換アリール基を有するベンゾトリアゾール類;2−(2′−ヒドロキシ−4′−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾールなどのヒドロキシル基及びアルコキシ(C1−12アルコキシ)基置換アリール基を有するベンゾトリアゾール類等が挙げられる。これらのベンゾトリアゾール化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのベンゾトリアゾール系化合物のうち、ヒドロキシル基及びC3−6アルキル基置換C6−10アリール(特にフェニル)基を有するベンゾトリアゾール類、並びにヒドロキシル基及びC6−10アリール−C1−6アルキル(特にフェニル−C1−4アルキル)基置換アリール基を有するベンゾトリアゾール類などである。
(b)ベンゾフェノン系化合物
ベンゾフェノン系化合物としては、複数のヒドロキシル基を有するベンゾフェノン類(2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンなどのジ乃至テトラヒドロキシベンゾフェノン;2−ヒドロキシ−4−オキシベンジルベンゾフェノンなどのヒドロキシル基及びヒドロキシル置換アリール又はアラルキル基を有するベンゾフェノン類など);ヒドロキシル基及びアルコキシ(C1−16アルコキシ)基を有するベンゾフェノン類(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン等)などが挙げられる。これらのベンゾフェノン化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのベンゾフェノン系化合物のうち、ヒドロキシル基と共にヒドロキシル基置換C6−10アリール(又はC6−10アリール−C1−4アルキル)基を有するベンゾフェノン類、特に、ヒドロキシル基と共にヒドロキシル基置換フェニル−C1−2アルキル基を有するベンゾフェノン類が好ましい。
(c)芳香族ベンゾエート系化合物
芳香族ベンゾエート系化合物としては、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレートなどのアルキルアリールサリシレート類が挙げられる。芳香族ベンゾエート化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(d)シアノアクリレート系化合物
シアノアクリレート系化合物としては、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のシアノ基含有ジアリールアクリレート類などが挙げられる。シアノアクリレート系化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(e)シュウ酸アニリド系化合物
シュウ酸アニリド系化合物としては、N−(2−エチルフェニル)−N′−(2−エトキシ−5−t−ブチルフェニル)シュウ酸ジアミド、N−(2−エチルフェニル)−N′−(2−エトキシ−フェニル)シュウ酸ジアミド等の窒素原子上に置換されていてもよいアリール基などを有するシュウ酸ジアミド類が挙げられる。シュウ酸アニリド化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(f)ヒンダードアミン系化合物
ヒンダードアミン系化合物としては、立体障害性基を有するピペリジン誘導体、例えば、エステル基含有ピペリジン誘導体[4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどの脂肪族アシルオキシピペリジン(C2−20脂肪族アシルオキシ−テトラメチルピペリジンなど);4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどの芳香族アシルオキシピペリジン(C7−11芳香族アシルオキシ−テトラメチルピペリジンなど);ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)オギザレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アジペート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート)などの脂肪族ジ又はトリカルボン酸−ビス又はトリスピペリジルエステル(C2−20脂肪族ジカルボン酸−ビスピペリジルエステルなど);ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)テレフタレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレートなどの芳香族ジ乃至テトラカルボン酸−ビス乃至テトラキスピペリジルエステル(芳香族ジ又はトリカルボン酸−ビス又はトリスピペリジルエステルなど)など]、エーテル基含有ピペリジン誘導体[4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどのC1−10アルコキシピペリジン(C1−6アルコキシ−テトラメチルピペリジンなど);4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどのC5−8シクロアルキルオキシ−ピペリジン;4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどのアリールオキシピペリジン;4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどC6−10アリール−C1−4アルキルオキシ−ピペリジンなど;1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)エタンなどのアルキレンジオキシビスピペリジン(C1−10アルキレンジオキシ−ビスピペリジンなど)など]、アミド基含有ピペリジン誘導体[4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどのカルバモイルオキシピペリジン;ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメートなどのカルバモイルオキシ置換アルキレンジオキシ−ビスピペリジンなど]などが挙げられる。また、高分子量のピペリジン誘導体重縮合物(コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物など)なども含まれる。これらのヒンダードアミン系化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのヒンダードアミン系化合物のうち、エステル基含有ピペリジン誘導体、特に、脂肪族カルボン酸ピペリジルエステル(好ましくはC2−16脂肪族ジカルボン酸−ビスピペリジルエステル、さらに好ましくはC6−14脂肪族ジカルボン酸−ビステトラメチルピペリジルエステルなど)、芳香族ジ又はトリカルボン酸−ビス又はトリスピペリジルエステル等が好ましい。
耐候(光)安定剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
耐候(光)安定剤の割合は、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.01〜3重量部、さらに好ましくは0.1〜2重量部程度である。
(着色剤)
着色剤としては、各種染料または顔料が使用できる。染料はソルベント染料が好ましく、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、又はナフトキノン系染料などが挙げられる。顔料については、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用できる。
無機顔料としては、チタン系顔料、亜鉛系顔料、カーボンブラック(ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなど)、鉄系顔料、モリブデン系顔料、カドミウム系顔料、鉛系顔料、コバルト系顔料、及びアルミニウム系顔料などが例示できる。
有機顔料としては、アゾ系顔料、アンスラキノン系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、ジオキサジン系顔料、又はスレン系顔料などが例示できる。
上記のような着色剤は、単独で用いてもよく、また複数の着色剤を組み合わせて用いてもよい。光遮蔽効果の高い着色剤(カーボンブラック、チタン白(酸化チタン)、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料(特に、カーボンブラック、ペリレン系黒色顔料など)など)を用いると、耐候(光)性を向上できる。
着色剤の含有量は、例えば、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、0〜5重量部(例えば、0.01〜5重量部)、好ましくは0.1〜4重量部、さらに好ましくは0.1〜2重量部程度である。
(耐衝撃性改良剤)
耐衝撃性改良剤としては、アクリル系コアシェルポリマー(特開平12−26705号公報記載のコアシェルポリマーなど)、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂(熱可塑性ポリエステル)、スチレン系エラストマー[スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロック共重合体、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン(SEBS)ブロック共重合体、スチレン−イソプレン−プロピレン−スチレン(SIPS)ブロック共重合体、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン(SEPS)ブロック共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル−エチレン・プロピレン−スチレン(AES)樹脂など]などが例示できる、これらの耐衝撃性改良剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
耐衝撃性改良剤の割合は、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、例えば、0〜100重量部(例えば、1〜100重量部)、好ましくは2〜75重量部、さらに好ましくは3〜60重量部程度であってもよい。
(光沢制御剤)
光沢制御剤としては、耐衝撃性改良剤の項で例示の樹脂(エラストマーも含む)を低光沢剤として使用できる。また、アクリル系樹脂[ポリアルキル(メタ)アクリレート単独又は共重合体(ポリメチルメタクリレートなど)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−エチレン・プロピレン−スチレン(AES)樹脂など]、スチレン系樹脂(ポリスチレンなど)を光沢付与剤として使用できる。光沢制御剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
光沢制御剤の割合は、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、例えば、0〜30重量部(例えば、0.01〜20重量部)、好ましくは0.02〜10重量部、さらに好ましくは0.05〜5重量部程度であってもよい。
(摺動性改良剤)
摺動性改良剤としては、例えば、オレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアルキレングリコール樹脂、炭酸カルシウム、タルクなどが例示できる。耐衝撃性改良剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
摺動性改良剤の割合は、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、0〜50重量部(例えば、0.1〜50重量部)、好ましくは1〜30重量部、さらに好ましくは3〜20重量部程度であってもよい。
(充填剤)
必要に応じて、本発明の成形品の性能を向上させるために、慣用の繊維状、板状、粉粒状などの充填剤を単独で又は二種以上組み合わせて配合してもよい。繊維状充填剤としては、無機繊維(ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、チタン酸カリウム繊維(ウイスカー)等)、有機繊維(アミド繊維など)等が例示できる。板状充填剤としては、ガラスフレーク、マイカ、グラファイト、各種金属箔等が例示できる。粉粒状充填剤としては、金属酸化物(酸化亜鉛、アルミナなど)、硫酸塩(硫酸カルシウム、硫酸マグネシウムなど)、炭酸塩(炭酸カルシウムなど)、ガラス類(ミルドファイバー、ガラスビーズ、ガラスバルーンなど)、ケイ酸塩(タルク、カオリン、シリカ、ケイソウ土、クレー、ウォラスナイトなど)、硫化物(二硫化モリブデン、二硫化タングステン、硫化亜鉛など)、炭化物(フッ化黒鉛、炭化ケイ素など)、窒化ホウ素等が例示できる。
充填剤の割合は、充填剤の種類や配合目的に応じて、調整することができる。例えば、ポリアセタール樹脂の強度や剛性等の機械的特性の向上を目的とする場合には、充填剤の割合は、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、0〜200重量部(例えば、1〜200重量部)、好ましくは1〜100重量部、さらに好ましくは3〜70重量部程度であってもよい。
本発明のポリアセタール樹脂組成物には、必要に応じて、慣用の添加剤、例えば、離型剤、核剤、帯電防止剤、難燃剤、界面活性剤、抗菌剤、抗カビ剤、芳香剤、香料、各種ポリマー[アクリル系樹脂(ポリメチルメタクリレートなどのC1−10アルキル(メタ)アクリレートの単独又は共重合体)、アクリル系コアシェルポリマー、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系エラストマー又は樹脂、ポリエステル系エラストマー又は樹脂、ポリアミド系エラストマー又は樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系エラストマー又は樹脂など]などを1種で又は2種以上組み合わせて添加してもよい。
(ポリアセタール樹脂組成物の製造方法)
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、粉粒状混合物や溶融混合物であってもよく、ポリアセタール樹脂と、酸化防止剤と、前記グアナミン化合物と、加工安定剤及び/又は耐熱安定剤と、必要により他の添加剤とを慣用の方法で混合することにより調製できる。例えば、(1)各成分を主フィーダーからフィードして、一軸又は二軸の押出機により混練して押出してペレットを調製した後、成形する方法、(2)グアナミン化合物を含まない成分を主フィーダーから、そして少なくともグアナミン化合物を含む成分(他成分として、ポリアセタール樹脂、安定剤、他の添加剤など)をサイドフィーダーからフィードして、一軸又は二軸の押出機により混練押出してペレットを調製した後、成形する方法、(3)一旦組成の異なるペレット(マスターバッチ)を調製し、そのペレットを所定量混合(希釈)して成形に供し、所定の組成の成形品を得る方法、(4)ポリアセタール樹脂のペレットに抑制剤を散布、表面コートなどにより共存又は付着させた後、成形し、所定の組成の成形品を得る方法などが採用できる。また、成形品に用いられる組成物の調製において、基体であるポリアセタール樹脂の粉粒体(例えば、ポリアセタール樹脂の一部又は全部を粉砕した粉粒体)と他の成分(酸化防止剤、加工安定剤、耐熱安定剤、グアナミン化合物など)を混合して溶融混練すると、添加物の分散を向上させるのに有利である。
特に、本発明のグアナミン化合物に加えて、塩基性窒素化合物として、尿素系化合物(特に、ビウレア、アラントイン、アラントインの金属塩)及び/又はヒドラジン化合物(特に、カルボン酸ヒドラジド)を併用し、押出機を用いて溶融混合によりポリアセタール樹脂組成物を調製する場合には、(a)少なくとも前記塩基性窒素化合物を押出機の途中部(例えば、脱揮口の前又は後ろ)からフィードして混合する製造方法、及び/又は(b)樹脂の押出機内での平均滞留時間を300秒以下(例えば、前記塩基性窒素化合物を押出機の主フィード口及び/又は押出機のサイドフィード口から添加する場合に、ポリアセタール樹脂の平均滞留時間を10〜200秒とする)で溶融押出調製するのが好ましい。さらに、押出機としては、一軸又は二軸押出機の何れも適用でき、好ましくは、一つ以上の脱揮口を有する押出機などが使用できる。例えば、真空下(例えば、1〜500mmHg(0.13〜66.7kPa)、通常、5〜300mmHg(0.67〜40kPa)のベント真空度)で脱揮口から揮発成分を除去した後に、少なくとも前記塩基性窒素化合物を含む添加剤を押出機の途中部(サイドフィード口)から添加してもよい。
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、特に成形加工(特に溶融成形加工)工程において、ポリアセタール樹脂の酸化又は熱分解などによるホルムアルデヒドの生成を顕著に抑制でき、作業環境を改善できる。また、金型への分解物や添加物などの付着(モールドデポジット)、成形品からの分解物や添加物の浸出を顕著に抑制でき、成形加工時の諸問題を改善できる。
(成形品)
本発明のポリアセタール樹脂成形品は、前記ポリアセタール樹脂組成物を成形することにより製造できる。成形は、慣用の成形方法、例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、真空成形、発泡成形、回転成形、ガスインジェクションモールディングなどの方法により行うことができる。
前記ポリアセタール樹脂組成物で構成された本発明のポリアセタール樹脂成形品は、酸化防止剤と、特定のグアナミン化合物と、必要により、加工安定剤及び/又は熱安定剤とを組み合わせて含んでおり、押出及び/又は成形加工安定性に優れるとともに、ホルムアルデヒド発生量が極めて少ない。すなわち、酸化防止剤などの安定剤を含む従来のポリアセタール樹脂で構成された成形品は、比較的多量のホルムアルデヒドを生成し、腐食や変色などの他、生活環境や作業環境を汚染する。例えば、一般に市販されているポリアセタール樹脂成形品からのホルムアルデヒド発生量は、乾式(恒温乾燥雰囲気下)において、表面積1cm当たり2〜5μg程度であり、湿式(恒温湿潤雰囲気下)において、表面積1cm当たり3〜6μg程度である。
これに対して、本発明のポリアセタール樹脂成形品は、乾式において、ホルムアルデヒド発生量が成形品の表面積1cm当たり1.5μg以下、好ましくは0〜1.3μg、さらに好ましくは0〜1μg程度であり、通常、0.01〜1μg程度である。また、湿式において、ホルムアルデヒドの発生量が成形品の表面積1cm当たり2.5μg以下、好ましくは0〜1.7μg、さらに好ましくは0〜1.5μg程度であり、通常、0.01〜1.5μg程度である。
なお、乾式でのホルムアルデヒド発生量は、次のようにして測定できる。
ポリアセタール樹脂成形品を、必要により切断して表面積を測定した後、その成形品の適当量(例えば、表面積10〜50cmとなる程度)を密閉容器(容量20ml)に入れ、温度80℃で24時間放置する。その後、この密閉容器中に水を5ml注入し、この水溶液のホルマリン量をJIS K0102,29(ホルムアルデヒドの項)に従って定量し、成形品の表面積当たりのホルムアルデヒド発生量(μg/cm)を求める。
また、湿式でのホルムアルデヒド発生量は、次のようにして測定できる。
ポリアセタール樹脂成形品を、必要により切断して表面積を測定した後、その成形品の適当量(例えば、表面積10〜100cmとなる程度)を、蒸留水50mlを含む密閉容器(容量1L)の蓋に吊下げて密閉し、恒温槽内に温度60℃で3時間放置する。その後、室温で1時間放置し、密閉容器中の水溶液のホルマリン量をJIS K0102,29(ホルムアルデヒドの項)に従って定量し、成形品の表面積当たりのホルムアルデヒド発生量(μg/cm)を求める。
本発明における前記ホルムアルデヒド発生量の数値規定は、ポリアセタール樹脂と、酸化防止剤と、特定のグアナミン化合物とを含む限り、慣用の添加剤(加工安定剤、耐熱安定剤、耐候(光)安定剤、着色剤、光沢制御剤、耐衝撃性改良剤、摺動性改良剤、充填剤、通常の安定剤、離型剤など)を含有するポリアセタール樹脂組成物の成形品についてだけでなく、無機充填剤、他のポリマーなどを含有する組成物の成形品においても、その成形品の表面の大部分(例えば、50〜100%)がポリアセタール樹脂で構成された成形品(例えば、多色成形品や被覆成形品など)についても適用可能である。
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、酸化防止剤と、特定のグアナミン化合物とを含んでいるので、ポリアセタール樹脂の押出・成形加工時の熱安定性を大幅に改善したうえに、前記成分を少量添加するだけで、ポリアセタール樹脂及び成形品からのホルムアルデヒドの発生量を極めて低レベルに抑制でき、周辺環境(作業環境、使用環境など)を大きく改善できる。さらには、過酷な条件下であってもホルムアルデヒドの生成を抑制でき、金型への分解物や添加物などの付着(モールドデポジット)、成形品からの樹脂分解物や添加物の浸出や成形品の熱劣化を抑制でき、成形品の品質や成形性を向上できる。さらに、耐候(光)安定剤、耐衝撃性改良剤などの添加によりポリアセタール樹脂の特性を向上させることもできる。
本発明の成形品は、ホルムアルデヒドが弊害となるいずれの用途にも使用可能であるが、自動車部品や電気・電子部品(能動部品や受動部品など)、建材・配管部品、日用品(生活)・化粧品用部品、及び医用(医療・治療)部品及び写真用部品として好適に使用される。
より具体的には、自動車部品としては、インナーハンドル、フェーエルトランクオープナー、シートベルトバックル、アシストラップ、各種スイッチ、ノブ、レバー、クリップなどの内装部品、メーターやコネクターなどの電気系統部品、オーディオ機器やカーナビゲーション機器などの車載電気・電子部品、ウインドウレギュレーターのキャリアープレートに代表される金属と接触する部品、ドアロックアクチェーター部品、ミラー部品、ワイパーモーターシステム部品、燃料系統の部品などの機構部品が例示できる。
電気・電子部品(機構部品)としては、ポリアセタール樹脂成形品で構成され、かつ金属接点が多数存在する機器の部品又は部材[例えば、カセットテープレコーダなどのオーディオ機器、VTR(ビデオテープレコーダー)、8mmビデオ、ビデオカメラなどのビデオ機器、又はコピー機、ファクシミリ、ワードプロセッサー、コンピューターなどのOA(オフィスオートメーション)機器、更にはモーター、発条などの駆動力で作動する玩具、電話機、コンピュータなどに付属するキーボードなど]などが例示できる。具体的には、シャーシ(基盤)、ギヤー、レバー、カム、プーリー、軸受けなどが挙げられる。さらに、少なくとも一部がポリアセタール樹脂成形品で構成された光及び磁気メディア部品(例えば、金属薄膜型磁気テープカセット、磁気ディスクカートリッジ、光磁気ディスクカートリッジなど)、更に詳しくは、音楽用メタルテープカセット、デジタルオーディオテープカセット、8mmビデオテープカセット、フロッピー(登録商標)ディスクカートリッジ、ミニディスクカートリッジなどにも適用可能である。光及び磁気メディア部品の具体例としては、テープカセット部品(テープカセットの本体、リール、ハブ、ガイド、ローラー、ストッパー、リッドなど)、ディスクカートリッジ部品(ディスクカートリッジの本体(ケース)、シャッター、クランピングプレートなど)などが挙げられる。
さらに、本発明のポリアセタール樹脂成形品は、照明器具、建具、配管、コック、蛇口、トイレ周辺機器部品などの建材・配管部品、ファスナー類(スライドファスナー、スナップファスナー、面ファスナー、レールファスナーなど)、文具、リップクリーム・口紅容器、洗浄器、浄水器、スプレーノズル、スプレー容器、エアゾール容器、一般的な容器、注射針のホルダー、(デジタル)カメラ部品、フィルム周辺部品などの広範な生活関係部品・化粧関係部品・医用関係部品・写真用部品に好適に使用される。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において、成形性(金型付着物の量)、乾式での成形品からのホルムアルデヒドの発生量、及び耐候(光)性について、以下のようにして評価した。
[成形性(金型付着物の量)]
ポリアセタール樹脂組成物で形成されたペレットから特定形状の成形品(径20mm×1mm)を、射出成形機を用いて連続成形(1000ショット)し、金型付着物の程度を5段階に評価した。なお、数字が小さい程、金型付着物が少ない、すなわち、モールドデポジットが少ないことを意味する。
[乾式での成形品からのホルムアルデヒド発生量]
試験片(2mm×2mm×50mm)10個(総表面積約40cm)の樹脂サンプルを密閉容器(容量20ml)に入れ、温度80℃で24時間、恒温槽内で加熱した後、室温に空冷し、蒸留水5mlをシリンジにて注入した。この水溶液のホルムアルデヒド量を、JIS K0102,29(ホルムアルデヒドの項)に従って定量し、表面積当たりのホルムアルデヒドガス発生量(μg/cm)を算出した。
[湿式での成形品からのホルムアルデヒド発生量]
平板状試験片(100mm×40mm×2mm:総表面積85.6cm)を、蒸留水50ml含むポリエチレン製瓶(容量1000ml)の蓋に吊り下げて密閉し、恒温槽内に温度60℃で3時間放置した後、室温で1時間静置した。ポリエチレン製瓶中の蒸留水に吸収されたホルムアルデヒドの量をJIS K0102.29(ホルムアルデヒドの項)に従って定量し、試験片の表面積当たりのホルムアルデヒド発生量を算出した。
[添加剤の滲出(ブルーミング性)]
成形品(直径20mm×厚さ1mm)を、ギヤーオーブンに入れて130℃で5時間加熱処理した後、成形品の表面を目視観察により下記の3段階の基準で添加剤の滲出状態を評価した。
○:なし
△:少しあり
×:非常に多い
[耐候(光)性試験]
平板状成形品(70mm×40mm×3mm)をウェザーメーター[スガ試験機(株)製,WEL−SUN−HCH型]により83℃のフェード条件で600時間照射し、照射前後における色相及び光沢の変化を観察し、それぞれについてその変化の程度を5段階に評価した。数字が小さい程、変化が少ない、すなわち、光沢の低下及び変色が少ないことを意味する。
[耐衝撃性試験]
ISO179/1eAに準じて、シャルピー衝撃強さ(ノッチ付)を評価した。
実施例1〜31及び比較例1〜5
ポリアセタール樹脂100重量部に、酸化防止剤、耐候(光)安定剤、グアナミン化合物、着色剤、加工安定剤、及び耐熱安定剤を表1及び表2に示す割合で混合した後、1ヶ所に脱揮ベント口を有する30mm径の2軸押出機により溶融混合し、ペレット状の組成物を調製した(押出条件:押出温度=200℃、スクリュー回転数=100rpm、ベント真空度=20mmHg(2.67kPa)、吐出量=15kg/hr、平均滞留時間=100秒)。このペレットを用いて、射出成形機により、所定の試験片を成形し、成形時のモールドデポジットと添加剤の滲出を評価した。また、所定の試験片からのホルムアルデヒド発生量を測定するとともに、耐候(光)性の評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
なお、比較のために、グアナミン化合物を添加しない例について、上記と同様にして評価した。結果を表3に示す。
実施例32〜43
実施例1、2、19及び20で調製したペレット状の樹脂組成物に、耐熱安定剤iを所定量添加、混合し、得られた混合物から射出成形機を用いて、所定の試験片を成形した。成形に伴うモールドデポジット及び添加剤の滲出について評価した。また、所定の試験片からのホルムアルデヒド発生量を測定した。さらに、実施例38〜43は所定の試験片を用いて耐候(光)性の評価を行った。結果を表4に示す。
実施例44及び45
比較例1で調製したペレット状の樹脂組成物に、グアナミン化合物c及び耐熱安定剤iを所定量添加、混合し、得られた混合物から射出成形機を用いて、所定の試験片を成形した。成形に伴うモールドデポジット及び添加剤の滲出について評価した。また、所定の試験片からのホルムアルデヒド発生量を測定した。結果を表4に示す。
比較例4で調製したペレット状の樹脂組成物に、グアナミン化合物c及び耐熱安定剤iを所定量添加、混合し、得られた混合物から射出成形機を用いて、所定の試験片を成形した。成形に伴うモールドデポジット及び添加剤の滲出について評価した。また、所定の試験片からのホルムアルデヒド発生量を測定した。さらに、所定の試験片を用いて耐候(光)性の評価を行った。結果を表4に示す。
実施例47〜50及び比較例6〜8
ポリアセタール樹脂100重量部に、酸化防止剤、グアナミン化合物、加工安定剤、耐熱安定剤を表5に示す割合でプリブレンドした。得られたプリブレンド材を、1ヶ所の脱揮ベント口を有する30mm径の二軸押出機の主フィード口に投入して、溶融混合(押出条件:押出温度=200℃、スクリュー回転数=100rpm、ベント真空度=20mmHg(2.67kPa)、吐出量15kg/hr、平均滞留時間=100秒)し、ペレット状の組成物を調製した。
このペレット状組成物を用いて、射出成形機により、所定の試験片を成形し、モールドデポジット、並びに乾式及び湿式におけるホルムアルデヒド発生量を評価した。結果を表5に示す。
実施例51〜56
ポリアセタール樹脂95重量部に、酸化防止剤、耐侯(光)安定剤、着色剤、加工安定剤、耐熱安定剤(h)を表5に示す割合で混合したプリブレンド材を調製した。このプリブレンド材を、1ヶ所の脱揮ベント口を有する30mm径の二軸押出機の主フィード口より投入して、溶融混合(押出条件:押出温度=200℃、スクリュー回転数=100rpm、ベント真空度=20mmHg(2.67kPa)、吐出量15kg/hr、平均滞留時間=100秒)するとともに、前記押出機の脱揮ベント口後ろのサイドフィード口より、ブレンド材(前記と同様のポリアセタール樹脂の粉粒体5重量部、グアナミン化合物及び耐熱安定剤(i)を含む)をフィードして、ペレット状の組成物を調製した。このペレット状組成物を用いて、射出成形機により、所定の試験片を成形し、モールドデポジット、並びに乾式及び湿式におけるホルムアルデヒド発生量を評価した。また、実施例56では、耐侯(光)性評価も行った。結果を表5に示す。
実施例57、59〜61及び63〜65
ポリアセタール樹脂95重量部に、酸化防止剤、耐侯(光)安定剤、着色剤、加工安定剤、耐熱安定剤(h)、及びその他の添加剤を表6に示す割合で混合したプリブレンド材を調製した。このプリブレンド材を、1ヶ所の脱揮ベント口を有する30mm径の二軸押出機の主フィード口より投入して、溶融混合(押出条件:押出温度=200℃、スクリュー回転数=100rpm、ベント真空度=20mmHg(2.67kPa)、吐出量=15kg/hr、平均滞留時間=100秒)するとともに、前記押出機の脱揮ベント口後ろのサイドフィード口より、ブレンド材(前記と同様のポリアセタール樹脂の粉粒体5重量部、グアナミン化合物及び耐熱安定剤(i)を含む)をフィードしてペレット状の組成物を調製した。このペレット状組成物を用いて、射出成形機により、所定の試験片を成形し、モールドデポジット及び湿式におけるホルムアルデヒド発生量を評価した。また、実施例57及び実施例59〜61においては、耐候(光)性評価を行うとともに、実施例59〜65では、耐衝撃性も評価した。結果を表6に示す。
実施例58、62、及び比較例9、10
ポリアセタール樹脂100重量部に、酸化防止剤、グアナミン化合物、耐候(光)安定剤、着色剤、加工安定剤、耐熱安定剤、及びその他の添加剤を表6に示す割合でプリブレンドした。得られたプリブレンド材を、1ヶ所の脱揮ベント口を有する30mm径の二軸押出機の主フィード口に投入して、溶融混合(押出条件:押出温度=200℃、スクリュー回転数=100rpm、ベント真空度=20mmHg(2.67kPa)、吐出量15kg/hr、平均滞留時間=100秒)し、ペレット状の組成物を調製した。
このペレット状組成物を用いて、射出成形機により、所定の試験片を成形し、モールドデポジット、湿式におけるホルムアルデヒド発生量、及び耐衝撃性を評価した。また、実施例58及び比較例9では、耐候(光)性の評価も行った。結果を表6に示す。
尚、比較例1の耐衝撃性を評価したところ、6.0kJ/mであった。
実施例66〜67及び比較例11
ポリアセタール樹脂100重量部に、酸化防止剤、グアナミン化合物、加工安定剤、耐熱安定剤、及びその他の添加剤を表6に示す割合で混合したプリブレンド材を調製した。このプリブレンド材を1ヶ所の脱揮ベント口を有する30mm径の二軸押出機の主フィード口より投入して、溶融混合(押出条件:押出温度=200℃、スクリュー回転数=120rpm、ベント真空度=20mmHg(2.67kPa)、吐出量:15kg/hr)するとともに、前記押出機の脱揮ベント口前のサイドフィード口より、その他の添加剤[ガラス繊維(j−4)]33重量部をフィードしてペレット状の組成物を調製した。このペレット状組成物を用いて、射出成形機により、所定の試験片を成形し、モールドデポジット、湿式におけるホルムアルデヒド発生量、及び耐衝撃性の評価を行った。結果を表6に示す。
実施例および比較例で使用したポリアセタール樹脂、酸化防止剤、グアナミン化合物、耐候(光)安定剤、着色剤、加工安定剤、耐熱安定剤、及びその他の添加剤は以下の通りである。
1.ポリアセタール樹脂 a
(a−1):ポリアセタール樹脂コポリマー(溶融加水分解法安定化樹脂、メルトインデックス=9g/10分;下記の方法により調製した)
二つの円が一部重なった断面形状を有するとともに、外側に熱(冷)媒を通すジャケットを備えたバレルと、このバレル内部の長手方向において、それぞれ攪拌及び推進用パドルを備えた2本の回転軸とを有する連続式混合反応機を用いて、以下のように重合反応を行った。
ジャケットに80℃の温水を通し、二本の回転軸を100rpmの速度で回転させ、酸化防止剤として0.05重量%のトリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、コモノマーとして3.3重量%の1,3−ジオキソラン、及び連鎖移動剤として700ppm(重量基準)のメチラールを含有するトリオキサンを連続的に反応機に供給するとともに、並行して、三フッ化ホウ素ブチルエーテラートをシクロヘキサンに溶解させた溶液(1重量%濃度)を、全モノマー(トリオキサン及び1,3−ジオキソランの総量)に対して、三フッ化ホウ素として10ppm(重量基準)の濃度で連続添加して、共重合を行った。次いで、反応機の吐出口より排出された粗ポリアセタール樹脂コポリマーを、0.1重量%のトリエチルアミンを含有する水溶液に添加し、触媒を失活させた。この混合物を遠心分離処理し、得られた粗ポリアセタール樹脂コポリマーを乾燥させた。乾燥した粗ポリアセタール樹脂コポリマー100重量部に対して0.3重量部のトリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を添加し、この混合物を脱揮口付き二軸押出機に供給した。押出機内で溶融している粗ポリアセタール樹脂コポリマー100重量部に対して、2重量部のトリエチルアミン水溶液(3重量%濃度)をインジェクションし、20mmHg(2.67kPa)のベント真空度、200℃のシリンダー温度、300秒の平均滞留時間で、熱分解物を(ベント)脱揮口より除去しながら、溶融混練し、ペレット状のポリアセタール樹脂コポリマー(a−1)を得た。
(a−2):ポリアセタール樹脂コポリマー(溶液加水分解法安定化樹脂、メルトインデックス=9g/10分;下記の方法により調製した)
上記コポリマー(a−1)の調製と同様の反応機を用いて、同様の方法により共重合を行い、粗ポリアセタールコポリマーを調製した。
反応機の吐出口より排出された粗ポリアセタール樹脂コポリマーを、0.25重量%のトリエチルアミンを含有するメタノール水溶液に投入し、加圧下、170℃で溶解加熱処理し、その後、冷却してポリアセタール樹脂コポリマーを析出させた。次いで、遠心分離、乾燥を行い、粉体状のポリアセタール樹脂コポリマー(a−2)を得た。
(a−3):実施例1で調製したポリアセタール樹脂組成物
(a−4):実施例2で調製したポリアセタール樹脂組成物
(a−5):実施例19で調製したポリアセタール樹脂組成物
(a−6):実施例20で調製したポリアセタール樹脂組成物
(a−7):比較例1で調製したポリアセタール樹脂組成物
(a−8):比較例4で調製したポリアセタール樹脂組成物
(a−9):ポリアセタール樹脂コポリマー(溶融加水分解法安定化樹脂、メルトインデックス=9g/10分;下記の方法により調製した)
上記コポリマー(a−1)の調製と同様の反応機を用いて、同様の方法により共重合を行い、粗ポリアセタールコポリマーを調製した。
反応機の吐出口より排出された粗ポリアセタール樹脂コポリマーを、0.1重量%のトリエチルアミンを含有する水溶液に添加し、触媒を失活させた。この混合物を遠心分離処理に供し、粗ポリアセタール樹脂コポリマー100重量部に対して、2重量%の2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムホルメート[(HOCHCH)MeHCOO]を含む水溶液の1重量部を均一に添加混合し、次いで乾燥処理を行った。
この乾燥した粗ポリアセタール樹脂コポリマー100重量部に対して、0.3重量部のトリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を添加し、脱揮口付き二軸押出機に供給した。押出機内で溶融している粗ポリアセタール樹脂コポリマー100重量部に対して、3重量部の水をインジェクションし、20mmHg(2.67kPa)のベント真空度、200℃のシリンダー温度、300秒の平均滞留時間で、熱分解物を(ベント)脱揮口より除去しながら溶融混練し、ペレット状のポリアセタール樹脂コポリマー(a−9)を得た。
(a−10):ポリアセタール樹脂コポリマー(溶融加水分解法安定化樹脂、メルトインデックス=9g/10分;下記の方法により調製した)
上記コポリマー(a−1)の調製と同様の反応機を用いて重合を行った。
ジャケットに80℃の温水を通し、二本の回転軸を100rpmの速度で回転させ、酸化防止剤として0.0重量5%のトリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、コモノマーとして4.0重量%の1,3−ジオキソラン、及び連鎖移動剤として700ppm(重量基準)のメチラールを含有するトリオキサンを連続的に供給するとともに、並行してトリフルオロメタンスルホン酸をギ酸メチルに溶解させた溶液(トリフルオロメタンスルホン酸の濃度:1重量%)を、全モノマー(トリオキサン及び1,3−ジオキソランの総量)に対して、トリフルオロメタンスルホン酸として3ppm(重量基準)の濃度で連続添加して、共重合を行った。
次いで、反応機の吐出口より排出された粗ポリアセタール樹脂コポリマーを、トリエチルアミン水溶液(濃度0.1重量%)に添加し、触媒を失活させた。この混合物を遠心分離処理に供し、得られた粗ポリアセタール樹脂コポリマー100重量部に対して、2重量%の2−ヒドロキシエチルトリエチルアンモニウムホルメート[(HOCHCH)EtHCOO]を含む水溶液の1重量部を均一に添加混合し、次いで乾燥処理を行った。
この乾燥した粗ポリアセタール樹脂コポリマー100重量部に対して、0.3重量部のトリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を添加し、脱揮口付き二軸押出機に供給した。押出機内で溶融している粗ポリアセタール樹脂コポリマー100重量部に対して、3重量部の水をインジェクションし、20mmHg(2.67kPa)のベント真空度、200℃のシリンダー温度、300秒の平均滞留時間で、熱分解物を(ベント)脱揮口より除去しながら、溶融混練し、ペレット状のポリアセタール樹脂コポリマー(a−10)を得た。
なお、上記のポリアセタール樹脂aにおいて、上記メルトインデックスは、ASTM−D1238に準じ、190℃、2160gの条件下で求めた値(g/10分)である。
2.酸化防止剤 b
(b−1):トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
(b−2):ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
3.グアナミン化合物 c
(c−1):2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾリル−1’)−エチル−s−トリアジン[四国化成工業(株)製,キュアゾール2MZ−A]
(c−2):2,4−ジアミノ−6−(2’−ウンデシルイミダゾリル−1’)−エチル−s−トリアジン[四国化成工業(株)製,キュアゾールC11Z−A]
(c−3):2,4−ジアミノ−6−(2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−1’)−エチル−s−トリアジン[四国化成工業(株)製、キュアゾール2E4MZ−A]
(c−4):3−[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]−5,5−ジメチルヒダントイン[特開2000−154181号公報の実施例6に準じて調製した]
(c−5):テトラキス[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]エチレンジアミン[特開2000−154181号公報の実施例8に準じて調製した]
(c−6):2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾリル−1’)−エチル−s−トリアジン・イソシアヌール酸塩
(c−7):トリス[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート
(c−8):ビス[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート
(c−9):2,4−ジアミノ−6−(2’−フェニルイミダゾール−1’)−エチル−s−トリアジン
4.耐候(光)安定剤 d
(d−1):2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール
(d−2):2−ヒドロキシ−4−オキシベンジルベンゾフェノン
(d−3):2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール
5.耐候(光)安定剤 e
(e−1):ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート
6.着色剤 f
(f−1):カーボンブラック(アセチレンブラック)
(f−2):フタロシアニン系青色顔料
(f−3):酸化チタン
7.加工安定剤 g
(g−1):エチレンビスステアリルアミド
(g−2):グリセリンモノステアレート
(g−3):ポリエチレングリコールモノステアリン酸エステル(日本油脂(株)製,ノニオンS−40)
(g−4):エチレングリコールジステアレート
(g−5):ポリエチレングリコール[分子量=35000]
(g−6):蒸留水
8.耐熱安定剤(有機カルボン酸金属塩、アルカリ土類金属塩) h
(h−1):12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム
(h−2):ステアリン酸マグネシウム
(h−3):アイオノマー[三井・デュポンポリケミカル(株)製、ハイミラン1702]
(h−4):酸化マグネシウム
(h−5):クエン酸カルシウム
(h−6):酢酸カルシウム
(h−7):ステアリン酸カルシウム
9.耐熱安定剤(塩基性窒素化合物) i
(i−1):メラミン
(i−2):メラミンホルムアルデヒド樹脂
メラミン1モルに対してホルムアルデヒド1.2モルを用い、水溶液中、pH8、温度70℃で反応させ、反応系を白濁させることなく水溶性初期縮合体のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂を生成させた。次いで、攪拌しながら反応系をpH6.5に調整して、攪拌を継続し、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を析出させ、乾燥により粗製メラミン−ホルムアルデヒド樹脂の粉粒体を得た。この粉粒体を60℃の温水で30分間洗浄し、濾過した後、残渣をアセトンで洗浄し、これを乾燥することにより白色粉末の精製メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を得た。
(i−3):シアノグアニジン
(i−4):ナイロン6−66−610
(i−5):アラントイン
(i−6):アラントイン(i−5)とポリアセタール樹脂[ポリプラスチックス(株)ジュラコンM90−44]から押出調製した3重量%のアラントインを含有するマスターバッチペレット
(i−7):ビウレア
(i−8):アジピン酸ジヒドラジド
(i−9):アラントインジヒドロキシアルミニウム[川研ファインケミカル(株)製、「ALDA」]
(i−10):ナイロン66(平均粒子径=3μm)
(i−11):セバシン酸ジヒドラジド
(i−12):ドデカン二酸ジヒドラジド
10.その他の添加剤
(j−1):ポリスチレン[東洋スチレン(株)製、東洋スチロールG19]
(j−2):アクリル系コアシェルポリマー[武田薬品工業(株)製、スタフィロイドPO]
(j−3):熱可塑性ポリウレタン[日本ミラクトラン(株)製、ミラクトランE]
(j−4):ガラス繊維[直径9μm、長さ3mmのチョップドストランド]
Figure 2004058884
Figure 2004058884
Figure 2004058884
Figure 2004058884
Figure 2004058884
Figure 2004058884
表より明らかなように、比較例に比べて、実施例の樹脂組成物は、成形に伴うモールドデポジット及び添加剤の滲出が少ないため、成形性及び成形品外観を向上でき、ホルムアルデヒドの発生量が極めて小さいため、環境を大きく改善できるとともに、成形品の耐候(光)性を向上できる。また、耐衝撃性改良剤の添加により、耐衝撃性も向上させることができる。
本発明は、ホルムアルデヒド発生量が著しく抑制されたポリアセタール樹脂組成物及びその製造方法、並びに前記樹脂組成物で形成されたポリアセタール樹脂成形品に関する。
ポリアセタール樹脂は、押出又は成形工程などの加工工程において分解し、金型への付着物(モールドデポジット)が発生したり、成形性や機械的物性などが低下し易い。分解により発生したホルムアルデヒドは化学的に活性であり、耐熱性に悪影響を及ぼしたり、電気・電子機器の部品などに用いると、金属製接点部品が腐蝕したり有機化合物の付着により変色し、接点不良を生じる。さらにホルムアルデヒド自体が、部品組立工程での作業環境や最終製品の使用環境を汚染する。そのため、ポリアセタール樹脂には、高い熱安定性、成形加工過程又は成形品からのホルムアルデヒドの発生を抑制することが要求される。
そこで、ポリアセタール樹脂を安定化させるため、酸化防止剤やその他の安定剤(含窒素化合物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属化合物など)が使用されている。特に、前記含窒素化合物としては、メラミン、グアナミン、アセトグアナミンなどのアミノトリアジン類が有効であることが知られている。しかし、このようなアミノトリアジン類は低分子量であり、さらにポリアセタール樹脂との相溶性が低いため、成形加工に伴って、金型への付着(モールドデポジット)や成形品から染み出し(ブルーミング)が発生し、成形性の低下、成形品の外観不良、染み出し物による汚染トラブルを引き起こす。
このような欠点を改良するため、高分子量化したトリアジン類(例えば、メラミンホルムアルデヒド樹脂)、又はトリアジン類と酸性化合物との塩(例えば、メラミンシアヌレート、グアナミンシアヌレートなど)などを用いて樹脂を変性する方法が試みられている。しかし、これらの変性物は、未変性物と比較してポリアセタールの安定化作用が大幅に低下するとともに、通常、不溶不融であるために、染み出しは少ないものの、成形表面が凹凸となり成形品の外観特性を低下させる。
従って、本発明の目的は、安定剤の染み出しを抑制して成形加工性及び成形品の表面の外観特性に優れ、かつホルムアルデヒドの発生が抑制されたポリアセタール樹脂組成物及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、表面の外観特性に優れ、ホルムアルデヒドの発生が抑制されたポリアセタール樹脂成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するため、ポリアセタール樹脂の安定剤に関して一連のアミノトリアジン類の探索検討を行なった結果、酸化防止剤と、特定のグアナミン化合物とを組み合わせて用いた場合に、成形加工性及び成形品表面の外観特性を改善でき、成形品からのホルムアルデヒドの発生を抑制できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のポリアセタール樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂と、酸化防止剤と、少なくとも1つの下記式(1)
Figure 2004058884
(式中、R1及びR2は同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示し、mは2以上の整数を示す)
で表わされるユニットを有するグアナミン化合物又はその塩とで構成されている。前記グアナミン化合物は下記式(2)で表わされる化合物であってもよい。
Figure 2004058884
(式中、ユニット−N−Xは、アンモニア又はアミン残基を示し、nは1〜6の整数を示す。R1及びR2、並びにmは前記に同じ)
前記グアナミン化合物は、例えば、イミダゾール残基を有していてもよい。
前記酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系化合物及び/又はヒンダードアミン系化合物であってもよい。ポリアセタール樹脂100重量部に対して、酸化防止剤0.001〜5重量部、及びグアナミン化合物0.001〜10重量部を含んでいてもよい。樹脂組成物は、さらに加工安定剤及び耐熱安定剤から選択された少なくとも一種を含んでもよい。前記加工安定剤は、長鎖脂肪酸又はその誘導体、水及び/又はアルコール類、オルガノシロキサン、フッ素化合物及びワックス類から成る群より選択された少なくとも一種であり、耐熱安定剤は、塩基性窒素化合物[ビウレア、アラントイン又はその金属塩、カルボン酸ヒドラジド(脂肪族又は芳香族カルボン酸ヒドラジド、カルボン酸ヒドラジドを含む樹脂マスターバッチなど)、ポリアミド樹脂など]、有機カルボン酸金属塩、アルカリ又はアルカリ土類金属化合物、ハイドロタルサイト、ゼオライト及び酸性化合物(ホウ酸類、ヒドロキシル基を有する窒素含有環状化合物、カルボキシル基含有化合物、(ポリ)フェノール類、及びアミノカルボン酸類など)から成る群より選択された少なくとも一種などであってもよい。加工安定剤及び耐熱安定剤の割合は、それぞれ、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、加工安定剤0.01〜5重量部及び耐熱安定剤0.001〜5重量部程度である。樹脂組成物は、さらに耐候(光)安定剤(ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、芳香族ベンゾエート系化合物、シアノアクリレート系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、及びヒンダードアミン系化合物など)、着色剤(カーボンブラックなど)、光沢制御剤、耐衝撃性改良剤、摺動性改良剤、及び充填剤から選択された少なくとも一種の添加剤を含んでもよい。
本発明には、ポリアセタール樹脂、酸化防止剤、及び前記グアナミン化合物又はその塩を混合するポリアセタール樹脂組成物の製造方法、前記ポリアセタール樹脂組成物で構成されたポリアセタール樹脂成形品、並びに前記ポリアセタール樹脂組成物を成形するポリアセタール樹脂成形品の製造方法も含まれる。前記成形品は、温度80℃で24時間密閉空間で保存した時、発生ホルムアルデヒド量が成形品の表面積1cm2当り1.5μg以下であってもよい。また、成形品は、温度60℃で飽和湿度の密閉空間で3時間保存した時、発生ホルムアルデヒド量が成形品の表面積1cm2当り2.5μg以下であってもよい。
また、成形品は、自動車部品、電気・電子部品(電気及び/又は電子部品)、建材・配管部品(建材及び/又は配管部品)、生活・化粧品用部品(生活及び/又は化粧品用部品)、医用部品及び写真用部品などであってもよい。
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、酸化防止剤と、特定のグアナミン化合物とを含んでいるので、ポリアセタール樹脂の押出・成形加工時の熱安定性を大幅に改善したうえに、前記成分を少量添加するだけで、ポリアセタール樹脂及び成形品からのホルムアルデヒドの発生量を極めて低レベルに抑制でき、周辺環境(作業環境、使用環境など)を大きく改善できる。さらには、過酷な条件下であってもホルムアルデヒドの生成を抑制でき、金型への分解物や添加物などの付着(モールドデポジット)、成形品からの樹脂分解物や添加物の浸出や成形品の熱劣化を抑制でき、成形品の品質や成形性を向上できる。さらに、耐候(光)安定剤、耐衝撃性改良剤などの添加によりポリアセタール樹脂の特性を向上させることもできる。
本発明の樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂と、酸化防止剤と、特定のグアナミン化合物とで構成されている。前記グアナミン化合物を添加することにより、ポリアセタール樹脂の加工安定性を著しく向上でき、ホルムアルデヒドの発生を抑制できる。
[グアナミン化合物又はその塩]
グアナミン化合物は、下記式(1)で表わされるユニットを少なくとも1つ有している。
Figure 2004058884
(式中、R1及びR2は同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示し、mは2以上の整数を示す)
前記式(1)において、R1及びR2で表わされるアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル基などのアルキル基が挙げられる。これらのアルキル基のうち、C1-6アルキル基(例えば、C1-4アルキル基)が好ましい。R1及びR2としては、特に、水素原子又はメチル基が好ましい。
mは、好ましくは2〜4、さらに好ましくは2又は3である。原料として入手が容易な(メタ)アクリロニトリルを用いて製造可能である点から、mは2であるのが好ましい。なお、m=2である場合、(メタ)アクリロニトリルを用いて得られるグアナミン化合物は、下記式で表わされるユニットを有している。
Figure 2004058884
(式中、R1aは水素原子又はメチル基を示す)
このようなユニット(1)を有するグアナミン化合物には、例えば、下記式(2)で表わされる化合物などが含まれる。
Figure 2004058884
(式中、ユニット−N−Xは、アンモニア又はアミン残基を示し、nは1〜6の整数を示す。R1及びR2、並びにmは前記に同じ)
ユニット−N−Xは、アンモニア又はアミン(第1級及び第2級アミン)から少なくとも1つの活性水素原子(アミノ基又はイミノ基などの水素原子)が除かれた残基である。
前記ユニット−N−Xを形成可能なアミン(HN−X)としては、少なくとも1つの活性水素原子(アミノ基又はイミノ基)を有する限り、特に制限されず、種々の1級又は2級アミン類(環状又は非環状アミン、環状又は非環状尿素化合物、アミド類、イミド類、ヒドラジン類など)が例示できる。
前記非環状アミンとしては、脂肪族アミン類[メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミンなどのアルキルアミン(モノ又はジC1-6アルキルアミンなど);2−ヒドロキシエチルアミン、3−ヒドロキシプロピルアミンなどのヒドロキシアルキルアミン(ヒドロキシモノ又はジC1-6アルキルアミンなど);エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの(ポリ)アルキレンポリアミン類((ポリ)C1-6アルキレン−ジ乃至テトラアミンなど)など]、脂環族アミン類[シクロヘキシルアミン、ジアミノシクロヘキサンなどのアミノシクロアルカン(モノ乃至トリアミノC5-8シクロアルカンなど);水添キシリレンジアミンなどのジアルキルシクロアルカンに対応するジアミンなど];芳香族アミン類(アニリン、トルイジン、ジアミノベンゼンなどのアニリン類;キシリレンジアミンなどのジアルキルベンゼンに対応するジアミンなど)などが挙げられる。
環状アミンとしては、ピペリジン類(ピペリジン;ピペコリンなどのアルキルピペリジンなど)、ピペラジン類(ピペラジン;2,5−ジメチルピペラジン、ヒドロキシエチルピペラジンなどのアルキル又はヒドロキシアルキル置換ピペラジン;N−メチルピペラジンなどのN−アルキルピペラジンなど)、モルホリン類(モルホリン;2−メチルモルホリンなどのアルキル置換モルホリンなど)、ピロール類(ピロール、インドール、カルバゾールなど)、イミダゾール類[イミダゾール、置換イミダゾール(アルキル基、アリール基、アミノアルキル基、及びヒドロキシアルキル基などの置換基を有するイミダゾール類、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのアルキルイミダゾール(モノ又はジC1-20アルキルイミダゾールなど);2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールなどのアリールイミダゾール(C6-20アリールイミダゾールなど);1−アミノエチルイミダゾール、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾールなどのアミノアルキルイミダゾール(アミノC1-6アルキル−イミダゾールなど);2−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾールなどのヒドロキシアルキルイミダゾール(ヒドロキシC1-6アルキル−イミダゾールなど)など);ベンズイミダゾールなど];メラミンなどのアミノ基を有するトリアジン類などが挙げられる。
非環状尿素化合物には、尿素、アルキル基などの置換基が置換したN−置換尿素、非環状の尿素縮合体[尿素の多量体(ビウレット、ビウレア、IB窒素などの二量体など)、尿素とアルデヒド化合物との縮合体(メチレン二尿素、ホルム窒素など)など]などが含まれる。
環状尿素化合物には、少なくとも1つの尿素ユニット−NHCONH−を環の構成ユニットとして有する化合物、例えば、アルキレン尿素[メチレン尿素、エチレン尿素、クロトニリデン尿素(CDU)、プロピレン尿素、ブチレン尿素、4,5−ビス(ヒドロキシメチル)エチレン尿素、4,5−ジメトキシエチレン尿素などのC1-10アルキレン尿素(好ましくはC1-6アルキレン尿素);アセチレン尿素(グリコールウリル)などの架橋式アルキレン尿素;ウロンなど]、アルケニレン尿素(ビニレン尿素、シトシン等のC2-10アルケニレン尿素など、アリーレン尿素(イメサチンなど)、ジカルボン酸のウレイド[トリアゾン類、パラバン酸類(パラバン酸、ジメチルパラバン酸など)、バルビツル酸類(バルビツル酸、5,5−ジエチルバルビツル酸など)、ジリツル酸、ジアルル酸類(ジアルル酸など)、アロキサン類(アロキサン、アロキサン酸など)、イソシアヌール酸類(イソシアヌール酸、N−置換イソシアヌール酸など)、ウラミルなど]、β−アルデヒド酸のウレイド[ウラシル類(ウラシル、5−メチルウラシル(チミン)、ジヒドロウラシルなど)、ウラゾール、ベンゾイレン尿素など]、α−オキシ酸のウレイド[ヒダントイン類、例えば、ヒダントイン;5−メチルヒダントイン、5,5−ジメチルヒダントイン、5−イソプロピルヒダントインなどのアルキルヒダントイン(モノ又はジC1-6アルキルヒダントインなど);5−フェニルヒダントインなどのアリールヒダントイン(C6-10アリールヒダントインなど);1,1,−メチレンビス(5,5−ジメチルヒダントイン)、アラントインなどのヒダントイン骨格を有するジウレイドなど]、尿酸類[尿酸、アルキル置換尿酸(3−メチル尿酸などのC1-4アルキル尿酸)、プソイド尿酸など]、p−ウラジンなどのジウレア、ジカルボン酸のジウレイド(アロキサンチン、プルプル酸など)又はそれらの誘導体などが例示できる。
アミド類としては、例えば、ホルムアミド、アセトアミド、マロンアミドなどの脂肪族アミド;ベンズアミド、イソフタル酸ジアミドなどの芳香族アミド;α−ピロリドン、ε−カプロラクタム、グリシン無水物などの複素環式アミドなど)などが挙げられる。イミド類としては、例えば、スクシンイミド、マレイミドなどの脂肪族イミド類;フタルイミド、ピロメリットジイミド、トリメリットイミドなどの芳香族イミド類などが挙げられる。ヒドラジン類としては、例えば、ヒドラジン、ジメチルヒドラゾンなどのヒドラゾン類;アジピン酸ジヒドラジドなどの脂肪族ヒドラジド類;フタル酸ジヒドラジドなどの芳香族ヒドラジド類などが挙げられる。
前記アミン類又はアンモニアのうち、脂肪族アミン類、環状アミン類(ピペラジン類、モルホリン類、イミダゾール類など)、環状尿素化合物(アルキレン尿素類、イソシアヌール酸類、ヒダントイン類など)、及びイミド類が好ましい。
nは、好ましくは1〜4の整数である。nはアンモニア又はアミン残基(ユニット−N−X)に応じて選択でき、例えば、−N−Xがアミノ基(すなわち、アンモニア残基)の場合、n=1〜3であり、(ポリ)アルキレンポリアミン残基の場合、n=1〜6であり、イミダゾール残基の場合、n=1であり、アルキレン尿素残基の場合、n=1〜4であり、イソシアヌール酸残基の場合、n=1〜3であり、ヒダントイン残基の場合、n=1〜2であり、イミド残基の場合、n=1〜3であり、ピペラジン残基の場合、n=1〜2である。
代表的なグアナミン化合物としては、下記式(3)又は(4)で表わされる化合物などが例示できる。
Figure 2004058884
[式中、R3、R4、及びR6〜R8は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリールオキシカルボニルアルキル基、下記式(5a)又は(5b)
Figure 2004058884
で表わされるグアナミルアルキル基又はシアノアルキル基を示し、R3及びR4は隣接する窒素原子とともにヘテロ環を形成してもよい。R5は、アルキレン基、二価の脂環族基、二価の芳香族基、又は下記式(6)
Figure 2004058884
(式中、R9及びR10は同一又は異なって、アルキレン基を示し、R11は水素原子、前記式(5a)のグアナミルアルキル基又は前記式(5b)のシアノアルキル基を示す。Yは酸素原子又は窒素原子を示し、Yが酸素原子である場合pは0であり、Yが窒素原子である場合、pは1である。qは1以上の整数を示す)
で表わされる二価基を示す。R1、R2、及びmは前記に同じ]
前記R3、R4、及びR6〜R8で表わされるアルキル基としては、前記R1及びR2の項で例示のアルキル基と同様のアルキル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基などのC5-8シクロアルキル基、好ましくはC5-6シクロアルキル基が挙げられる。アリール基としては、フェニル、ナフチル基などのC6-10アリール基;ビフェニリル基、4−(2’,2’−ジメチル−2’−フェニルメチル)フェニル基などのアリールアルキルアリール基(C6-10アリール−C1-6アルキル−C6-10アリール基など)などが挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル、フェネチル基などのC6-10アリール−C1-4アルキル基などが挙げられる。
カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、及びアリールオキシカルボニルアルキル基は、下記式(5c)で表わすことができる。
Figure 2004058884
(式中、X2はヒドロキシル基、アルコキシ基、又はアリールオキシ基を示し、R1、R2及びmは前記に同じ)
前記式(5c)において、X2で表されるアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ基などのC1-6アルコキシ基(好ましくはC1-4アルコキシ基)などが挙げられる。アリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフトキシ基などのC6-14アリールオキシ基(好ましくはC6-10アリールオキシ基)などが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子(特に、塩素原子及び臭素原子)が挙げられる。
このようなカルボキシアルキル基としては、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基などのカルボキシC2-5アルキル基(カルボキシC2-4アルキル基など)などが挙げられる。また、アルコキシカルボニルアルキル基としては、メトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルプロピル基などのC2-6アルコキシカルボニル−C2-4アルキル基などが挙げられる。アリールオキシカルボニルアルキル基としては、フェノキシカルボニルエチル基、フェノキシカルボニルプロピル基などのC6-10アリールオキシ−カルボニル−C2-4アルキル基が挙げられる。
隣接する窒素原子とともにR3及びR4が形成するヘテロ環としては、ピロリジン、ピロリン、ピロール、イミダゾリジン、ピラゾリジン、イミダゾリン、ピラゾリン、イミダゾール、ピラゾール、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、1H,3H,5H−1,3−ジアジン、1H,3H−1,3−ジアジン、1H−1,3−ジアジン、1H,3H,5H−1,3,5−トリアジン、1H,3H−1,3,5−トリアジン、1H−1,3,5−トリアジンなどの5乃至8員ヘテロ環(例えば、5又は6員ヘテロ環);インドリン、イソインドリン、インドール、イソインドール、1H−インダゾール、プリン、カルバゾールなどの縮合ヘテロ環などが例示できる。前記ヘテロ環は、前記窒素原子とともに他のヘテロ原子(酸素原子、イオウ原子、窒素原子)を有していてもよい。また、前記ヘテロ環は、例えば、アルキル基(メチル、エチル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ウンデシル基などのC1-16アルキル基、好ましくはC1-12アルキル基、特にC1-6アルキル基など)、ヒドロキシル基、オキソ基(=O)、シアノ基、アミノ基などの置換基を1つ又は2以上有していてもよい。
5で表わされるアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、テトラメチレン基などのC1-6アルキレン基、好ましくはC1-4アルキレン基などが挙げられる。二価の脂環族基としては、シクロアルキレン基(シクロへキシレン基などのC5-8シクロアルキレン基など);−Ra−A1−Rb−、−A2−Rc−A3−[式中、Ra及びRbは、同一又は異なってC1-6アルキレン(例えば、C1-4アルキレン)基を示し、Rcは、直鎖又は分岐鎖C1-6アルキレン(例えば、C1-4アルキレン)基を示し、A1〜A3は同一又は異なって、C5-8シクロアルキレン(例えば、C5-6シクロアルキレン)基を示す]などで表わされる二価基が挙げられる。二価の芳香族基としては、アリーレン基(フェニレン、ナフチレン基などのC6-10アリーレン基など);−Ra−Ar−Rb−、−Ar−Rc−Ar−(式中、Arは、C6-10アリーレン基を示す。Ra、Rb及びRcは前記に同じ)などで表わされる二価基などが挙げられる。
9及びR10で表わされるアルキレン基としては、前記R5の項で例示と同様のアルキレン基が挙げられる。
qは、好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4(特に1又は2)の整数を示す。
前記式(4)において、R6〜R8は、通常、前記式(5a)のグアナミルアルキル基である。前記式(6)において、R9及びR10は、通常、C2-4アルキレン基であり、R11は、通常、前記式(5a)のグアナミルアルキル基であり、Yは、通常、窒素原子である。
前記グアナミン化合物は、(I)塩基性触媒の存在下、下記式(7)
Figure 2004058884
(式中、R1、R2、及びmは前記に同じ)
で表わされるユニットを有するニトリル(シアノアルキル化体)(例えば、下記式(8)で表わされるニトリル)と、ジシアンジアミド又はビグアニド類[ビグアニド;ビグアニドの塩(塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩などの無機酸塩;金属塩など);ビグアニル又はその塩(塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩などの無機酸塩;金属塩など)など]とを反応させる方法、又は(II)前記ニトリル(シアノアルキル化体)の誘導体[前記ニトリル(シアノアルキル化体)のシアノ基が、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、又はハロホルミル基などで置き換わった誘導体、すなわち、カルボキシアルキル化体、アルコキシカルボニルアルキル化体、アリールオキシカルボニル化体、ハロホルミルアルキル化体など]とビグアニド類(前記例示のビグアニド類)とを反応させる方法などにより製造できる。
Figure 2004058884
(式中、R1、R2、m、n及びユニット−N−Xは前記に同じ)
前記シアノアルキル化体は、慣用の方法、例えば、対応するシアノアルケン化合物(例えば、(メタ)アクリロニトリルなど)と、活性水素原子を有するアミン又はアンモニアとの反応(以下、単に反応Aと称する場合がある)により製造できる。
前記反応Aの詳細は、例えば、Organic Reactions,Vol.5,7thed.,p79、John Wiley&Sons,Inc.(1967)、Encylopedia of Chemical Technology Vol.6,2nded.,p634、日本化学会誌,90巻,p704(1969)、特公昭43−27869号公報、特開昭48−22422号公報、特公昭43−6626号公報、特公昭47−36391号公報、特開昭50−142817号公報、特開昭55−4379号公報、特開平4−21664号公報、特開平11−80112号公報、特開平11−180963号公報、特開2000−154181号公報、及び米国特許3235553号明細書、並びにこれらの文献に記載されている関連文献に記載の方法などを参照できる。前記反応Aに関連する文献などに記載されている各種ニトリル(シアノエチル化体など)から得られる2−置換グアナミン化合物も前記グアナミン化合物と同様に使用できる。
反応Aは、溶媒の非存在下又は存在下で行ってもよい。前記溶媒としては、水、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリンなど)、エーテル系溶媒(ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなどのジアルキルエーテル;エチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテルなどのアルキレングリコールのアルキルエーテルなど)、炭化水素類(デカリンなどの脂環族炭化水素類など)、芳香族系溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジン、ニトロベンゼンなど)、ハロゲン系溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチル、塩化エチレン、クロロベンゼン、クロロナフタレンなど)、非プロトン性極性溶媒[ジオキサンなどの環状エーテル;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;スルホラン、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスファミドなど)などが挙げられる。
反応Aにおいて、2−シアノエチル基などのシアノアルキル基は、前記アミン又はアンモニアの活性水素原子の数に応じて導入可能であり、シアノアルキル基の導入量は、原料のニトリルと前記アミン又はアンモニアとの割合や反応条件などにより調整してもよい。原料ニトリルとアミン又はアンモニアとの割合は、特に制限されず、例えば、前者(モル)/後者の活性水素当量=0.5/1〜2/1、好ましくは0.7/1〜1.5/1、さらに好ましくは0.8/1〜1.2/1程度である。
グアナミン化合物は、(I)塩基性触媒の存在下、前記シアノアルキル化体(前駆体ニトリル)と、ジシアンジアミド又はビグアニド類との反応(以下、単に反応B1と称する場合がある)又は(II)前記シアノアルキル化体の誘導体とビグアニド類との反応(以下、単に反応B2と称する場合がある)により得ることができる。反応B1及びB2は溶媒(前記反応Aの項で例示の溶媒など)の存在下で行ってもよい。
反応B1の詳細については、例えば、ジニトリル化合物とジシアンジアミドとを、アルコール系有機溶媒中、塩基性触媒の存在下、高圧で反応させる方法(特開平5−32664号公報)、有機溶媒中、塩基性触媒の存在下で反応させる方法(特公昭44−8676号公報、特公昭47−36391号公報、特公昭47−41120号公報、特開2000−154181号公報、及び米国特許2901464号明細書)、J.Chem.Soc.1252頁,(1952)、Comprehensive Heterocyclic Chemistry II,Vol.6,613頁、ニトリル化合物とビグアニド類とを、アルコール系溶媒中、塩基性触媒の存在下で反応させる方法(米国特許2777848号明細書)並びにこれらの文献に記載されている関連の文献に記載の方法などを参照できる。
反応B1で使用する塩基性触媒としては、無機塩基[アルカリ金属(金属カリウム、金属ナトリウムなど)、金属水酸化物(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;水酸化銅などの遷移金属水酸化物など)、炭酸塩類(炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどのアルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどのアルカリ土類金属炭酸塩;炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩など)、アルコキシド(カリウムメトキシド、ナトリウムメトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド)、有機カルボン酸アルカリ金属塩(酢酸ナトリウムなど)、アンモニアなど]、有機塩基[アルカリ金属アミド(カリウムアミド、ナトリウムアミドなど)、アミン又はアンモニウム類(トリエチルアミンなどのアルキルアミン;N,N−ジメチルアニリンなどの第3級アリールアミン;ピリジンなどの複素環式アミン;4級アンモニウム水酸化物など)など]などが挙げられる。
塩基性触媒の割合は、原料ニトリルのニトリル基1モルに対して、0.01〜3モル、好ましくは0.05〜2モル、さらに好ましくは0.1〜1.5モル程度である。
反応B1では、原料ニトリルの少なくとも1つのニトリル基をグアナミン環に変換できればよく、ニトリルとジシアンジアミド又はビグアニド類との割合は、目的とする生成物に応じて広い範囲から選択できる。ニトリルとジシアンジアミド及びビグアニド類との割合は、例えば、前者/後者(モル比)=1/1〜1/10、好ましくは1/1〜1/6、さらに好ましくは1/1〜1/4(例えば、1/1〜1/2)程度である。特に、ニトリルのニトリル基に対して、1〜1.3倍モル程度のジシアンジアミドを用いるのが好ましい。
反応B1において、溶媒を用いる場合、溶媒の量は、特に制限されず、例えば、原料ニトリル及びジシアンジアミドの総量100重量部に対して、10〜1000重量部(例えば、10〜500重量部)、好ましくは30〜500重量部程度である。
反応B1において、反応温度は、特に制限されず、0〜200℃(例えば、20〜200℃)程度の範囲から選択できるが、室温以下では、反応速度が遅くなるため、通常、50〜170℃程度が好ましい。反応は、常圧下であっても十分進行するが、加圧下(例えば、オートクレーブなどを用いて高圧下)で行ってもよい。
反応B2で用いられるシアノアルキル化体の誘導体は慣用の方法により製造できる。例えば、カルボキシアルキル化体は、前記シアノアルキル化体の加水分解反応などにより製造できる。また、得られたカルボキシアルキル化体から慣用の方法により、アルコキシカルボニルアルキル化体、アリールオキシカルボニルアルキル化体、酸ハロゲン化体(ハロホルミルアルキル化体)などの誘導体を製造することもできる。
前記シアノアルキル化体の誘導体の製造法は、例えば、特開2001−39956号公報、特開2001−11057号公報、特開平11−279162号公報、米国特許323553号明細書に記載の方法などを参照できる。
前記シアノアルキル化体の誘導体と、前記ビグアニド類(特に、ビグアニル類)と反応させることにより新規グアナミン化合物を得ることができる。このような製造法の詳細については、例えば、米国特許2423071号明細書、米国特許2423353号明細書、米国特許2425287号明細書、英国特許569100号明細書に記載されている方法などを参照できる。
このようにして得られるグアナミン化合物のうち、脂肪族アミン残基を有すグアナミン化合物の例としては、N−[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]−N−メチルアミンなどのN−グアナミルアルキル−N−モノ又はN,N−ジアルキルアミン(N−グアナミルC2-4アルキル−N−モノ又はN,N−ジC1-6アルキルアミンなど);N,N−ビス[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]アミノエタノールなどのN−グアナミルアルキル−N−モノ又はN,N−ジ(ヒドロキシアルキル)アミン[N−グアナミルC2-4アルキル−N−モノ又はN,N−ジ(ヒドロキシC1-6アルキル)アミンなど];ビス[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]エチレンジアミン、テトラキス[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]エチレンジアミン、テトラキス[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]−1,2−プロパンジアミン、テトラキス[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]−1,4−ブタンジアミン、ペンタキス[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]ジエチレントリアミンなどの(ポリ)グアナミルアルキル−(ポリ)アルキレンポリアミン[ジ乃至ペンタ(グアナミルC2-4アルキル)−C1-6アルキレン−ジ乃至テトラアミンなど]などが挙げられる。
環状アミン残基を有するグアナミン化合物のうち、ピペラジン残基を有する化合物としては、1,4−ビス[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]ピペラジンなどのN−グアナミルアルキルピペラジン(N−モノ又はN,N−ビスグアナミルC2-4アルキルピペラジンなど)などが挙げられ、モルホリン残基を有する化合物としては、4−[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]モルホリン、N−グアナミルアルキルモルホリン(N−グアナミルC2-4アルキルモルホリンなど)などが挙げられる。また、環状アミン類のうち、イミダゾール残基を有するグアナミン化合物の例としては、2,4−ジアミノ−6−[β−(イミダゾール−1’−イル)エチル]−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[α−メチル−β−(イミダゾール−1−イル)]エチル−s−トリアジンなどのN−グアナミルアルキルイミダゾール(N−グアナミルC2-4アルキルイミダゾールなど)、及びそれらの誘導体[例えば、2,4−ジアミノ−6−(2’−メチル−イミダゾール−1’−イル)エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2’−ウンデシル−イミダゾール−1’−イル)エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2’−エチル−4’−メチル−イミダゾール−1’−イル)エチル−s−トリアジンなどのN−グアナミルアルキル−アルキルイミダゾール(N−グアナミルC2-4アルキル−C1-12アルキル−イミダゾールなど);特公昭47−36391号公報及び特公昭47−41120号公報記載のイミダゾール部位にアルキル基やシクロアルキル基を有していてもよい2−グアナミルエチルイミダゾール又は2−グアナミル−2−メチルエチルイミダゾール化合物など]などが挙げられる。
環状尿素化合物残基を有するグアナミン化合物のうち、アルキレン尿素残基を有する化合物の例としては、1,3−ビス[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]エチレン尿素、1,3−ビス[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]プロピレン尿素、1,3,5,7−テトラキス[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]アセチレン尿素などのグアナミルアルキル−アルキレン尿素(グアナミルC2-4アルキル−C1-10アルキレン尿素、グアナミルC2-4アルキル−架橋式アルキレン尿素など)などが挙げられる。
環状尿素化合物残基を有するグアナミン化合物のうち、イソシアヌール酸残基を有する化合物の例としては、モノ乃至トリス(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)メチルイソシアヌレート、モノ乃至トリス[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート、モノ乃至トリス[α−メチル−β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレートなどのモノ乃至トリス(グアナミルアルキル)イソシアヌレート[モノ乃至トリス(グアナミルC2-4アルキル)イソシアヌレート;モノ又はビス(β−カルボキシエチル)−ビス又はモノ[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート、モノ又はビス(γ−カルボキシプロピル)−ビス又はモノ[γ−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)プロピル]イソシアヌレートなどのモノ又はビス(カルボキシC1-6アルキル)−ビス又はモノ[(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)C1-6アルキル]イソシアヌレート;モノ又はビス(β−アルコキシカルボニルエチル)−ビス又はモノ[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート、モノ又はビス(γ−アルコキシカルボニルプロピル)−ビス又はモノ[γ−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)プロピル]イソシアヌレートなどのモノ又はビス(C1-5アルコキシカルボニルC1-6アルキル)−ビス又はモノ[(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)C1-6アルキル]イソシアヌレートなど];モノ(シアノメチル)モノ[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)メチル]イソシアヌレート、モノ(β−シアノエチル)−モノ[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレートなどのモノ(シアノアルキル)−モノ(グアナミルアルキル)イソシアヌレート[モノ(シアノC2-4アルキル)−モノ(グアナミルC2-4アルキル)イソシアヌレートなど];モノ又はビス(シアノメチル)−ビス又はモノ[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)メチル]イソシアヌレート、モノ又はビス(β−シアノエチル)−ビス又はモノ[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレートなどのモノ又はビス(シアノアルキル)−ビス又はモノ(グアナミルアルキル)イソシアヌレート[モノ又はビス(シアノC2-4アルキル)−ビス又はモノ(グアナミルC2-4アルキル)イソシアヌレートなど]、モノ又はビス(β−カルボキシエチル−ビス又はモノ[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート・イソシアヌール酸塩などのモノ又はビス(カルボキシC1-6アルキル)−ビス又はモノ[(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)C1-6アルキル]イソシアヌレート・イソシアヌール酸塩モノ又はビス(β−アルコキシカルボニルエチル)−ビス又はモノ[β−2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル]エチル)イソシアヌレート・イソシアヌール酸塩などのモノ又はビス(C1-5アルコキシカルボニルC1-6アルキル)−ビス又はモノ[(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)C1-6アルキル]イソシアヌレート・イソシアヌール酸塩]などが挙げられる。
環状尿素化合物残基を有するグアナミン化合物のうち、ヒダントイン残基を有する化合物の例としては、3−[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]ヒダントイン、1,3−ビス[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]ヒダントインなどのグアナミルアルキルヒダントイン(モノ又はビスグアナミルC2-4アルキル−ヒダントインなど);3−[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]−3−n−プロピルヒダントイン、3−[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]−3−イソプロピルヒダントイン、3−[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]−5,5−ジメチルヒダントイン、1,3−ビス[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]−5,5−ジメチルヒダントインなどのグアナミルアルキル−アルキルヒダントイン[モノ又はビス(グアナミルC2-4アルキル)−C1-6アルキル−ヒダントインなど]が挙げられる。
イミド残基を有するグアナミン化合物の例としては、N−[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]フタルイミド、N,N’−ビス[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]ピロメリットジイミド、N,N’,N''−トリス[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6’−イル)エチル]トリメリットイミドなどが挙げられる。
前記グアナミン化合物には、グアナミン化合物の塩も含まれる。グアナミン化合物は、通常、グアナミン環のアミノ基を介して、このアミノ基と塩形成可能な化合物と塩を形成している。このような化合物は、アミノ基と塩形成可能であれば特に制限されず、例えば、無機系プロトン酸、有機系プロトン酸などであってもよいが、ヒドロキシル基含有化合物、特に、ヒドロキシル基を有する窒素含有環状化合物であるのが好ましい。
前記ヒドロキシル基を有する窒素含有環状化合物には、少なくとも1つのヒドロキシル基と、少なくとも1つの窒素原子を環のヘテロ原子として有するヘテロ環とで構成された化合物が含まれる。前記ヘテロ環としては、複数の窒素原子を環の構成原子として有する5又は6員窒素含有環、特に、トリアジン環が挙げられる。
トリアジン化合物としては、1,3,5−トリアジン類、1,2,3−トリアジン類、1,2,4−トリアジン類が挙げられる。ヒドロキシル基を有するトリアジン化合物において、ヒドロキシル基は、トリアジン環の適当な部位(窒素原子及び炭素原子、特に炭素原子)に置換していてもよい。ヒドロキシル基の個数は、特に制限されず、1〜4個、特に1〜3個(例えば、2〜3個)程度である。好ましいヒドロキシル基含有トリアジン化合物は、ヒドロキシル基含有1,3,5−トリアジン類、特にシアヌール酸又はイソシアヌール酸、アンメリン、アンメリドなどのシアヌール酸又はその誘導体などである。
グアナミン化合物の塩において、ヒドロキシル基を有する窒素含有環状化合物の割合は、前記グアナミン化合物のグアナミン部位1モルに対して、0.1〜1.2モル、好ましくは0.4〜1モル程度である。グアナミン化合物が複数のグアナミン環を有する場合、各グアナミン環は、同種又は異種のヒドロキシル基を有する窒素含有環状化合物と塩を形成してもよい。
このようなグアナミン化合物の塩には、イソシアヌール酸との塩又は反応生成物を例にとって説明すると、前記例示のグアナミン化合物とイソシアヌール酸との塩が含まれる。これらの塩のうち、イソシアヌール酸残基を有するグアナミン化合物とイソシアヌール酸との塩としては、トリス[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート・イソシアヌール酸塩などのモノ乃至トリス[(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)C1-6アルキル]イソシアヌレート・イソシアヌール酸塩;モノ(β−シアノエチル)−モノ[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート・イソシアヌール酸塩などのモノ(シアノC1-6アルキル)−モノ[(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)C1-6アルキル]イソシアヌレート・イソシアヌール酸塩;モノ又はビス(β−シアノエチル)−ビス又はモノ[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート・イソシアヌール酸塩などのモノ又はビス(シアノC1-6アルキル)−ビス又はモノ[(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)C1-6アルキル]イソシアヌレート・イソシアヌール酸塩などが挙げられる。なお、これらのイソシアヌール酸残基を有する化合物は、新規である。
グアナミン化合物の塩において、イソシアヌール酸の割合は特に限定はないが、グアナミン化合物1モルに対して、例えば、0.2〜6モル、好ましくは0.3〜4モル程度であり、0.5〜3モル(例えば、1〜3モル)程度であってもよい。例えば、トリス[β−(2,4−ジアミノ−S−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート・イソシアヌール酸塩としては、トリス[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート・1倍モルイソシアヌール酸塩、トリス[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート・1.5倍モルイソシアヌール酸塩、トリス[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート・3倍モルイソシアヌール酸塩などが挙げられる。また、ビス[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート・イソシアヌール酸塩としては、ビス[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート・1倍モルイソシアヌール酸塩、ビス[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート・2倍モルイソシアヌール酸塩などが挙げられる。
グアナミン化合物の塩は、例えば、グアナミン化合物とヒドロキシル基を有する窒素含有環状化合物などの塩形成化合物とを反応させることにより製造できる。反応は、溶媒中で行ってもよい。溶媒としては、水、前記反応A及び反応B1の反応溶媒の項で例示の有機溶媒、水と前記有機溶媒との混合溶媒などが使用できる。例えば、グアナミン化合物と塩形成化合物(イソシアヌール酸など)とを溶媒中に溶解又は分散させ、必要により加熱し、両者を反応させることによりグアナミン化合物の塩を製造できる。
本発明の樹脂組成物において、前記グアナミン化合物又はその塩は、安定剤として機能する。樹脂組成物において、前記グアナミン化合物又はその塩の割合は、樹脂100重量部に対して、0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部、さらに好ましくは0.01〜1重量部程度である。
[ポリアセタール樹脂]
ポリアセタール樹脂とは、オキシメチレン基(−CH2O−)を主たる構成単位とする高分子化合物であり、ポリアセタールホモポリマー(例えば、米国デュポン社製、商品名「デルリン(登録商標)」;旭化成工業(株)製、商品名「テナック(登録商標)4010」など)、オキシメチレン基以外に他のコモノマー単位を含有するポリアセタールコポリマー(例えば、ポリプラスチックス(株)製,商品名「ジュラコン(登録商標)」など)が含まれる。コポリマーにおいて、コモノマー単位には、炭素数2〜6程度(好ましくは炭素数2〜4程度)のオキシアルキレン単位(例えば、オキシエチレン基(−CH2CH2O−)、オキシプロピレン基、オキシテトラメチレン基など)が含まれる。コモノマー単位の含有量は、少量、例えば、ポリアセタール樹脂全体に対して、0.01〜30モル%、好ましくは0.03〜20モル%(例えば、0.05〜18モル%)、さらに好ましくは0.1〜15モル%程度の範囲から選択できる。
ポリアセタールコポリマーは、二成分で構成されたコポリマー、三成分で構成されたターポリマーなどであってもよい。ポリアセタールコポリマーは、ランダムコポリマーの他、ブロックコポリマー(例えば、特公平2−24307号公報、旭化成工業(株)製、商品名「テナックLA」「テナックLM」など)、グラフトコポリマーなどであってもよい。また、ポリアセタール樹脂は、線状のみならず分岐構造であってもよく、架橋構造を有していてもよい。さらに、ポリアセタール樹脂の末端は、例えば、酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸又はそれらの無水物とのエステル化などにより安定化してもよい。ポリアセタールの重合度、分岐度や架橋度も特に制限はなく、溶融成形可能であればよい。ポリアセタール系樹脂の分子量は特に制限されず、例えば、重量平均分子量5,000〜500,000、好ましくは10,000〜400,000程度である。
前記ポリアセタール樹脂は、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類、トリオキサン、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、ジエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマールなどの環状エーテルや環状ホルマールを重合することにより製造できる。さらには、共重合成分として、アルキル又はアリールグリシジルエーテル(例えば、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ナフチルグリシジルエーテルなど)、アルキレン又はポリオキシアルキレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテルなど)、アルキル又はアリールグリシジルアルコール、環状エステル(例えば、β−プロピオラクトンなど)及びビニル化合物(例えば、スチレン、ビニルエーテルなど)を使用することもできる。
[酸化防止剤]
また、本発明の樹脂組成物は、長期間安定に耐熱性を維持するために酸化防止剤(又は安定剤)を含んでいる。酸化防止剤又は安定剤には、例えば、フェノール系(ヒンダードフェノール類など)、アミン系(ヒンダードアミン類など)、リン系、イオウ系、ヒドロキノン系、キノリン系酸化防止剤(又は安定剤)などが含まれる。これらの酸化防止剤は一種で又は二種以上組合せて使用できる。
前記ヒンダードフェノール系化合物には、慣用のフェノール系酸化防止剤、例えば、単環式ヒンダードフェノール化合物(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールなど)、炭化水素基又はイオウ原子を含む基で連結された多環式ヒンダードフェノール化合物[2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタンなどのC1-10アルキレンビス乃至テトラキス(t−ブチルフェノール)類;4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)などのC2-10アルケニレン又はジエニレンビス乃至テトラキス(t−ブチルフェノール)類;1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンなどのC6-20アリーレン又はアラルキレンビス乃至テトラキス(t−ブチルフェノール)類;4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)などのイオウ原子を有する基で連結されたビス(t−ブチルフェノール)類など]、エステル基又はアミド基を有するヒンダードフェノール化合物[n−オクタデシル−3−(4′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、n−オクタデシル−2−(4′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネートなどのC2-10アルキレンカルボニルオキシ基を有するt−ブチルフェノール;1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などの脂肪酸のポリオールエステルで連結されたビス乃至テトラキス(t−ブチルフェノール)類;3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどのヘテロ環基とC2-10アルキレンカルボニルオキシ基とを有するビス乃至テトラキス(t−ブチルフェノール)類;2−t−ブチル−6−(3′−t−ブチル−5′−メチル−2′−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートなどのC3-10アルケニルカルボニルオキシ基を有するt−アルキルフェノール(例えば、t−ブチルフェノール及びt−ペンチルフェノールなど);ジ−n−オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートなどのホスホン酸エステル基を有するヒンダードフェノール化合物;N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ジヒドロシンナムアミド)などのアミド基を有するヒンダードフェノール化合物など]などが含まれる。中でも、t−ブチル(特に複数のt−ブチル)基を有するフェノール化合物(特に複数のt−ブチルフェノール部位を有する化合物)が好ましい。特に、前記脂肪酸のポリオールエステルで連結されたビス乃至テトラキス(モノ乃至テトラt−ブチルフェノール)類、特に、C2-10脂肪酸(特にC2-6脂肪酸)のジ乃至テトラオールエステル基で連結されたビス乃至テトラキス(モノ又はジt−ブチルフェノール)類が好ましい。
アミン系酸化防止剤には、ヒンダードアミン類、例えば、トリ又はテトラC1-3アルキルピペリジン又はその誘導体(4−位にメトキシ、ベンゾイルオキシ、フェノキシなどが置換していてもよい2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなど)、ビス(トリ、テトラ又はペンタC1-3アルキルピペリジン)C2-20アルキレンジカルボン酸エステル[例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)オギザレート、オギザレートに対応するマロネート、アジペート、セバケート、テレフタレートなど;ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス[1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル]セバケートなど]、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)エタンなど]、芳香族アミン類[例えば、フェニルナフチルアミン、N,N′−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−シクロヘキシル−1,4−フェニレンジアミン、4,4’−ジ(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンなど]などが含まれる。
リン系安定剤(又は酸化防止剤)には、例えば、トリイソデシルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジトリデシルホスファイト、トリス(分岐C3-6アルキルフェニル)ホスファイト[例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−アミルフェニル)ホスファイトなど]、ビス又はトリス(2−t−ブチルフェニル)フェニルホスファイト、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、ビス(C3-9アルキルアリール)ペンタエリスリトールジホスファイト[例えば、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなど]などのホスファイト系安定剤、トリフェニルホスフェート系安定剤(例えば、4−フェノキシ−9−α−(4−ヒドロキシフェニル)−p−クメニルオキシ−3,5,8,10−テトラオキサ−4,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェートなど)、ジホスフォナイト系安定剤(例えば、テトラキス(2,4−ジt−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスフォナイト、テトラキス(2,4−ジt−ブチル−5−メチル)−4,4’−ビフェニレンジホスフォナイトなど)、次亜リン酸金属塩(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム塩など)などが含まれる。また、リン系安定剤には、ホスフィン系安定剤も含まれる。
前記ホスフィン系安定剤には、アルキルホスフィン(例えば、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン等のトリC1-10アルキルホスフィンなど)、シクロアルキルホスフィン(例えば、トリシクロヘキシルホスフィンなどのトリC5-12シクロアルキルホスフィンなど)、アリールホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィン、p−トリルジフェニルホスフィン、ジp−トリルフェニルホスフィン、トリm−アミノフェニルホスフィン、トリ2,4−ジメチルフェニルホスフィン、トリ2,4,6−トリメチルフェニルホスフィン、トリo−トリルホスフィン、トリm−トリルホスフィン、トリp−トリルホスフィン等のトリC6-12アリールホスフィンなど)、アラルキルホスフィン(例えば、トリo−アニシルホスフィン、トリp−アニシルホスフィン等のトリC6-12アリールC1-4アルキルホスフィンなど)、アリールアルケニルホスフィン(例えば、ジフェニルビニルホスフィン、アリルジフェニルホスフィン等のジC6-12アリールC2-10アルケニルホスフィンなど)、アリールアラルキルホスフィン(例えば、p−アニシルジフェニルホスフィンなどのジC6-12アリール−C6-12アリールC1-4アルキルホスフィン;ジp−アニシルフェニルホスフィンなどのC6-12アリールジ(C6-12アリールC1-4アルキル)ホスフィン等)、アルキルアリールアラルキルホスフィン(例えば、メチルフェニル−p−アニシルホスフィンなどのC1-10アルキルC6-12アリールC6-12アリールC1-4アルキルホスフィンなど)、ビスホスフィン類[例えば、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンなどのビス(ジC6-12アリールホスフィノ)C1-10アルカン]等のホスフィン化合物などが含まれる。
ヒドロキノン系酸化防止剤には、例えば、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノンなどが含まれ、キノリン系酸化防止剤には、例えば、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンなどが含まれ,イオウ系酸化防止剤には、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネートなどが含まれる。
これらの酸化防止剤のうち、ヒンダードフェノール系及びヒンダードアミン系酸化防止剤から選択された少なくとも一種が好ましい。
本発明の樹脂組成物において、酸化防止剤の割合は、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、0.001〜5重量部、好ましくは0.005〜3重量部、さらに好ましくは0.01〜1重量部程度である。
本発明の樹脂組成物は、必要により加工安定剤及び耐熱安定剤から選択された少なくとも一種を含んでもよい。加工安定剤及び耐熱安定剤は一種で又は二種以上組合せて使用できる。特に、加工安定剤及び耐熱安定剤を含むのが好ましい。
[加工安定剤]
加工安定剤としては、(a)長鎖脂肪酸又はその誘導体、(b)水及び/又はアルコール類、(c)オルガノシロキサン、(d)フッ素化合物、及び(e)ワックス類などから選択された少なくとも一種が挙げられる。
(a)長鎖脂肪酸又はその誘導体
前記長鎖脂肪酸は、飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸であってもよい。また、一部の水素原子がヒドロキシル基などの置換基で置換されたものも使用できる。このような長鎖脂肪酸としては、炭素数10以上の1価又は2価の脂肪酸、例えば、炭素数10以上の1価の飽和脂肪酸[カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、モンタン酸などのC10-34飽和脂肪酸(好ましくはC10-30飽和脂肪酸)など]、炭素数10以上の1価の不飽和脂肪酸[オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エルカ酸などのC10-34不飽和脂肪酸(好ましくはC10-30不飽和脂肪酸)など]、炭素数10以上の2価の脂肪酸(二塩基性脂肪酸)[セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、タプシア酸などの2価のC10-30飽和脂肪酸(好ましくは2価のC10-20飽和脂肪酸)、デセン二酸、ドデセン二酸などの2価のC10-30不飽和脂肪酸(好ましくは2価のC10-20不飽和脂肪酸)など]が例示できる。これらの脂肪酸は一種で又は二種以上組合せて使用できる。前記脂肪酸には、1つ又は複数のヒドロキシル基を分子内に有する脂肪酸(例えば、12−ヒドロキシステアリン酸などのヒドロキシ飽和C10-26脂肪酸など)も含まれる。
前記長鎖脂肪酸の誘導体には、脂肪酸エステル及び脂肪酸アミドなどが含まれる。前記長鎖脂肪酸エステルとしては、その構造は特に制限されず、直鎖状又は分岐状脂肪酸エステルのいずれも使用でき、前記長鎖脂肪酸とアルコールとのエステル(モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステルなどの1つ又は複数のエステル結合を有するエステルなど)が挙げられる。長鎖脂肪酸エステルを構成するアルコールは、その種類は特に制限されないが、多価アルコールが好ましい。前記多価アルコールとしては、炭素数が2〜8程度、好ましくは2〜6程度の多価アルコール又はその重合体、例えば、アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなどのC2-8アルキレングリコール(好ましくはC2-6アルキレングリコール)など)などのジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン又はこれらの誘導体などのトリオール類、ペンタエリスリトール、ソルビタン又はこれらの誘導体などのテトラオール類、及びこれらの多価アルコール類の単独又は共重合体(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコールの単独又は共重合体、ポリグリセリン、ジペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトールなど)などが例示できる。前記ポリアルキレングリコールの平均重合度は2以上(例えば、2〜500)、好ましくは2〜400(例えば、2〜300)程度であり、平均重合度16以上(例えば、20〜200程度)が好ましく、このようなポリアルキレングリコールは、炭素数12以上の脂肪酸とのエステルとして好適に使用される。好ましい多価アルコールは、平均重合度が2以上のポリアルキレングリコールである。これらの多価アルコールは一種で又は二種以上組合せて使用できる。
このような長鎖脂肪酸エステルの例としては、エチレングリコールモノ又はジパルミチン酸エステル、エチレングリコールモノ又はジステアリン酸エステル、エチレングリコールモノ又はジベヘン酸エステル、エチレングリコールモノ又はジモンタン酸エステル、グリセリンモノ乃至トリパルミチン酸エステル、グリセリンモノ乃至トリステアリン酸エステル、グリセリンモノ乃至トリベヘン酸エステル、グリセリンモノ乃至トリモンタン酸エステル、ペンタエリスリトールモノ乃至テトラパルミチン酸エステル、ペンタエリスリトールモノ乃至テトラステアリン酸エステル、ペンタエリスリトールモノ乃至テトラベヘン酸エステル、ペンタエリスリトールモノ乃至テトラモンタン酸エステル、ポリグリセリントリステアリン酸エステル、トリメチロールプロパンモノパルミチン酸エステル、ペンタエリスリトールモノウンデシル酸エステル、ソルビタンモノステアリン酸エステル、ポリアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど)のモノラウレート、モノパルミテート、モノステアレート、モノベヘネート、モノモンタネート、ジラウレート、ジパルミテート、ジステアレート、ジベヘネート、ジモンタネート、ジオレエート、ジリノレート、前記グリセリンモノ又はジ長鎖脂肪酸エステル類の三塩基性無機酸エステルの金属塩(グリセリンモノステアレートのモノホウ酸エステルのカルシウム塩、グリセリンモノステアレートのモノホウ酸エステルのマグネシウム塩など)などが挙げられる。
前記脂肪酸アミドとしては、前記長鎖脂肪酸(1価又は2価の長鎖脂肪酸)とアミン類(モノアミン、ジアミン、ポリアミン類など)との酸アミド(モノアミド、ビスアミドなど)が使用できる。モノアミドとしては、例えば、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、アラキン酸アミド、ベヘン酸アミド、モンタン酸アミドなどの飽和脂肪酸の第1級酸アミド、オレイン酸アミドなどの不飽和脂肪酸の第1級酸アミド、ステアリルステアリン酸アミド、ステアリルオレイン酸アミドなどの飽和及び/又は不飽和脂肪酸とモノアミンとの第2級酸アミドなどが例示できる。好ましい脂肪酸アミドはビスアミドである。前記ビスアミドには、C1-6アルキレンジアミン(特に、C1-2アルキレンジアミン)と前記脂肪酸とのビスアミドなどが含まれ、その具体例としては、エチレンジアミン−ジパルミチン酸アミド、エチレンジアミン−ジステアリン酸アミド(エチレンビスステアリルアミド)、ヘキサメチレンジアミン−ジステアリン酸アミド、エチレンジアミン−ジベヘン酸アミド、エチレンジアミン−ジモンタン酸アミド、エチレンジアミン−ジオレイン酸アミド、エチレンジアミン−ジエルカ酸アミドなどが挙げられ、さらにエチレンジアミン−(ステアリン酸アミド)オレイン酸アミドなどのアルキレンジアミンのアミン部位に異なるアシル基が結合した構造を有するビスアミドなども使用できる。前記酸アミドにおいて、酸アミドを構成する脂肪酸は飽和脂肪酸であるのが好ましい。
これらの長鎖脂肪酸又はその誘導体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(b)水及び/又はアルコール類
前記アルコール類としては、飽和又は不飽和脂肪族アルコール類[メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール、ステアリルアルコールなどのC1-34アルキルアルコール;アリルアルコールなどのC2-34アルケニルアルコール;プロパギルアルコールなどのC2-34アルキニルアルコールなど]、脂環族アルコール類(シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどのC5-10シクロアルカノールなど)、芳香族アルコール類(ベンジルアルコールなどのC6-14アリール−C1-6アルキルアルコールなど)、多価アルコール又はその誘導体(多価アルコールの重合体、置換多価アルコールなど)、糖類(グルコース、ガラクトース、フルクトースなど単糖類:トレハロース、スクロース、マルトース、ラフィノースなどオリゴ糖類:エリトリット、キシリット、ソルビットなどの糖アルコール;セルロース、デンプンなどの多糖類など)などが挙げられる。
前記多価アルコール又はその誘導体としてはC2-8多価アルコール(好ましくはC2-6多価アルコール)又はその重合体(オリゴマーも含む)、例えば、アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなどのC2-8アルキレングリコール(好ましくはC2-6アルキレングリコール)など)などのジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン又はこれらの誘導体などのトリオール類、ペンタエリスリトール、ソルビタン又はこれらの誘導体などのテトラオール類;これらの多価アルコールの部分エステル化物(例えば、アルキルエステルなど);これらの多価アルコール類のオリゴマー(例えば、ジペンタエリスリトールなど)、単独又は共重合体(例えば、ポリオキシアルキレングリコールの単独又は共重合体、ポリグリセリンなど)などが例示できる。
また、その他の多価アルコール類として、シクロアミロース類(α−,β−,γ−,δ−又はε−シクロデキストリンなど)、キトサン類、キチン類、ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、オレフィン−ビニルアルコール共重合体なども含まれる。
前記ポリオキシアルキレングリコールには、アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコールなどのC2-6アルキレングリコール(好ましくはC2-4アルキレングリコール)など)の単独重合体、共重合体、及びそれらの誘導体などが含まれる。具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリC2-6オキシアルキレングリコール(好ましくはポリC2-4オキシアルキレングリコール)、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体(ランダム又はブロック共重合体など)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノブチルエーテルなどの共重合体類が挙げられる。好ましいポリオキシアルキレングリコールは、オキシエチレン単位を有する重合体、例えば、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体及びそれらの誘導体などである。また、前記ポリオキシアルキレングリコールの数平均分子量は、3×102〜1×106(例えば、5×102〜5×105)、好ましくは1×103〜1×105(例えば、1×103〜5×104)程度である。
水及びアルコール類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(c)オルガノシロキサン
オルガノシロキサンとしては、ポリオルガノシロキサン、例えば、ジアルキルシロキサン(例えば、ジメチルシロキサンなど)、アルキルアリールシロキサン(例えば、メチルフェニルシロキサンなど)、ジアリールシロキサン(例えば、ジフェニルシロキサンなど)等の単独重合体(例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン等)又は共重合体等が例示できる。ポリオルガノシロキサンは、オリゴマーであってもよく、また架橋ポリマーであってもよい。また、(ポリ)オルガノシロキサンとしては、分岐オルガノシロキサン(ポリメチルシルセスキオキサン、ポリメチルフェニルシルセスキオキサン、ポリフェニルシルセスキオキサンなどのポリオルガノシルセスキオキサンなど)[例えば、東芝シリコーン(株)の商品名「XC99−B5664」、信越化学工業(株)の商品名「X−40−9243」、「X−40−9244」、「X−40−9805」、特開2001−40219号公報、特開2000−159995号公報、特開平11−158363号公報、特開平10−182832号公報、特開平10−139964号公報記載の化合物など]、分子末端や主鎖に、エポキシ基、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アミノ基、エーテル基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基などの置換基を有する変性(ポリ)オルガノシロキサン(例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)の商品名「SiパウダーDC4−7051,DC4−7081,DC4−7105,DC1−9641など」など)なども使用できる。これらのシリコーン系化合物(オルガノシロキサン)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(d)フッ素化合物
フッ素化合物には、フッ素含有オリゴマー、フッ素系樹脂などが含まれる。フッ素含有オリゴマー及びフッ素系樹脂には、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテルなどのフッ素含有モノマーの単独又は共重合体;前記フッ素含有モノマーと共重合性モノマー(エチレン、プロピレンなどのオレフィン系単量体;アルキル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル系単量体など)との共重合体;前記フッ素含有モノマーと酸素との光酸化重合体などが含まれる。このようなフッ素含有オリゴマー及びフッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニルデンフルオライドなどの単独重合体;テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体などの共重合体などが例示できる。これらのフッ素化合物は、一種で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(e)ワックス類
ワックス類には、ポリオレフィン系ワックスなどが含まれる。ポリオレフィン系ワックスとしては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリC2-4オレフィン系ワックス、エチレン共重合体ワックスなどのオレフィン共重合体ワックスが例示でき、これらの部分酸化物又は混合物等も含まれる。オレフィン共重合体には、例えば、オレフィン(エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、2,3−ジメチル−2−ブテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン等のα−オレフィン等)の共重合体や、これらのオレフィンと共重合可能なモノマー、例えば、不飽和カルボン酸又はその酸無水物[無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸等]、(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸C1-10アルキル(好ましくはC1-4アルキル)エステルなど]等の重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。また、これらの共重合体には、ランダム共重合体、ブロック共重合体、又はグラフト共重合体が含まれる。オレフィン共重合体ワックスは、通常、エチレンと、他のオレフィン及び重合性モノマーから選択された少なくとも一種のモノマーとの共重合体である。
これらのワックス類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのワックスのうち、ポリエチレンワックスが好ましい。ワックス類の数平均分子量は、100〜20000、好ましくは500〜15000、さらに好ましくは1000〜12000程度である。
前記加工安定剤は、一種で又は二種以上組合せて使用できる。
加工安定剤の割合は、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、0〜5重量部(例えば、0.01〜5重量部)、好ましくは0.03〜5重量部(例えば、0.05〜3重量部)程度、特に0.05〜2重量部程度である。
[耐熱安定剤]
前記耐熱安定剤には、(a)塩基性窒素化合物、(b)有機カルボン酸金属塩、(c)アルカリ又はアルカリ土類金属化合物、(d)ハイドロタルサイト、(e)ゼオライト及び(f)特定酸性化合物などが含まれる。
(a)塩基性窒素化合物
塩基性窒素含有化合物には、低分子化合物や高分子化合物(窒素含有樹脂)が含まれる。窒素含有低分子化合物としては、例えば、脂肪族アミン類(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス−(ヒドロキシメチル)アミノメタンなど)、芳香族アミン類(o−トルイジン、p−トルイジン、p−フェニレンジアミン、o−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、o−アミノ安息香酸エチル、p−アミノ安息香酸エチルなどの芳香族第2級アミン又は第3級アミン)、イミド類(フタルイミド、トリメリトイミド、ピロメリトイミドなど)、トリアゾール類(ベンゾトリアゾールなど)、テトラゾール類(5,5’−ビテトラゾールのアミン塩又は金属塩など)、アミド化合物(マロンアミド、イソフタル酸ジアミドなどの多価カルボン酸アミド、p−アミノベンズアミドなど)、ヒドラジン又はその誘導体[ヒドラジン、ヒドラゾン、カルボン酸ヒドラジド(ステアリン酸ヒドラジド、12−ヒドロキシステアリン酸ヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジドなどの脂肪族カルボン酸ヒドラジド;安息香酸ヒドラジド、ナフトエ酸ヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、ナフタレンジカルボン酸ジヒドラジド、ベンゼントリカルボン酸トリヒドラジドなどの芳香族カルボン酸ヒドラジドなど)など]、ポリアミノトリアジン類[グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、サクシノグアナミン、アジポグアナミン、1,3,6−トリス(3,5−ジアミノ−2,4,6−トリアジニル)ヘキサン、フタログアナミン、CTU−グアナミンなどのグアナミン類又はそれらの誘導体、メラミン又はその誘導体(メラミン;メラム、メレム、メロンなどのメラミン縮合物など)]、メラミン及びメラミン誘導体を含むポリアミノトリアジン類と有機酸との塩[(イソ)シアヌール酸塩(メラミンシアヌレートなど)など]、メラミン及びメラミン誘導体を含むポリアミノトリアジン類と無機酸との塩[メラミンボレートなどのホウ酸との塩、メラミンホスフェートなどのリン酸との塩など]、ウラシル又はその誘導体(ウラシル、ウリジンなど)、シトシン又はその誘導体(シトシン、シチジンなど)、グアニジン又はその誘導体(グアニジン、シアノグアニジンなどの非環状グアニジン;クレアチニンなどの環状グアニジンなど)、尿素又はその誘導体[ビウレット、ビウレア、エチレン尿素、プロピレン尿素、アセチレン尿素、アセチレン尿素誘導体(アルキル置換体、アリール置換体、アラルキル置換体、アシル置換体、ヒドロキシメチル置換体、アルコキシメチル置換体など)、イソブチリデンジウレア、クロチリデンジウレア、尿素とホルムアルデヒドとの縮合体、ヒダントイン、置換ヒダントイン誘導体(1−メチルヒダントイン、5−プロピルヒダントイン、5,5−ジメチルヒダントインなどのモノ又はジC1-4アルキル置換体;5−フェニルヒダントイン、5,5−ジフェニルヒダントインなどのアリール置換体;5−メチル−5−フェニルヒダントインなどのアルキルアリール置換体など)、アラントイン、置換アラントイン誘導体(例えば、モノ,ジまたはトリC1-4アルキル置換体、アリール置換体など)、アラントインの金属塩(アラントインジヒドロキシアルミニウム、アラントインモノヒドロキシアルミニウム、アラントインアルミニウムなどの周期表3B属金属との塩など)、アラントインとアルデヒド化合物との反応生成物(アラントインホルムアルデヒド付加体など)、アラントインとイミダゾール化合物との化合物(アラントインソジウム−dlピロリドンカルボキシレートなど)、有機酸塩など]などが例示できる。
窒素含有樹脂としては、例えば、ポリビニルアミンの単独又は共重合体、ポリアリルアミンの単独又は共重合体、ホルムアルデヒドとの反応により生成するアミノ樹脂(グアナミン樹脂、メラミン樹脂、グアニジン樹脂などの縮合樹脂、フェノール−メラミン樹脂、ベンゾグアナミン−メラミン樹脂、芳香族ポリアミン−メラミン樹脂などの共縮合樹脂など)、芳香族アミン−ホルムアルデヒド樹脂(アニリン樹脂など)、ポリアミド樹脂(例えば、ナイロン3(ポリβ−アラニン)、ナイロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロンMXD6、ナイロン6−10、ナイロン6−11、ナイロン6−12、ナイロン6−66−610などの単独又は共重合ポリアミド、メチロール基やアルコキシメチル基を有する置換ポリアミドなど)、ポリエステルアミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドと他のビニルモノマーとの共重合体、ポリ(ビニルラクタム)、ビニルラクタムと他のビニルモノマーとの共重合体(例えば、特開昭55−52338号公報、米国特許第3204014号明細書に記載の単独又は共重合体など)、ポリ(N−ビニルホルムアミド)又はその誘導体(N−ビニルホルムアミド−N−ビニルアミン共重合体など)(例えば、三菱化学(株)製、商品名「PNVEシリーズ」など)、N−ビニルホルムアミドと他のビニルモノマーとの共重合体、ポリ(N−ビニルカルボン酸アミド)、N−ビニルカルボン酸アミドと他のビニルモノマーとの共重合体(例えば、特開2001−247745号公報、特開2001−131386号公報、特開平8−311302号公報、特開昭59−86614号公報、米国特許第5455042号明細書、米国特許第5407996号明細書、米国特許第5338815号明細書に記載の単独又は共重合体、昭和電工(株)製、商品名「ノニオレックス」「クリアック」など)などが例示できる。
これらの塩基性窒素含有化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
好ましい窒素含有化合物には、グアナミン類(アジポグアナミン、CTU−グアナミンなど)、メラミン又はその誘導体[特にメラミン又はメラミン縮合物(メラム、メレムなど)]、グアニジン誘導体(シアノグアニジン、クレアチニンなど)、尿素誘導体[ビウレア、尿素とホルムアルデヒドとの縮合体、アラントイン、アラントインの金属塩(アラントインジヒドロキシアルミニウムなど)]、ヒドラジン誘導体(カルボン酸ヒドラジドなど)、窒素含有樹脂[アミノ樹脂(メラミン樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂などのアミノ樹脂;架橋メラミン樹脂などの架橋アミノ樹脂など)、ポリアミド樹脂、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(N−ビニルホルムアミド)、ポリ(N−ビニルカルボン酸アミド)、ポリ(ビニルラクタム)など]が含まれる。 これらのうち、特に、ビウレア、アラントイン、アラントインの金属塩、カルボン酸ヒドラジド及びポリアミド樹脂から選択された少なくとも一種と、前記式(1)で表されるユニットを有するグアナミン化合物とを併用すると、成形品からの発生ホルムアルデヒド量を大幅に低減することができる。窒素含有化合物は、この窒素含有化合物[特に、カルボン酸ヒドラジド(例えば、脂肪族カルボン酸ヒドラジド及び芳香族カルボン酸ヒドラジドから選択された少なくとも一種)など]を含む樹脂マスターバッチとして用いてもよい。窒素含有化合物[例えば、前記尿素系化合物(ビウレアなど)、カルボン酸ヒドラジド(例えば、脂肪族カルボン酸ヒドラジド及び芳香族カルボン酸ヒドラジドから選択された少なくとも一種)など]は、熱可塑性樹脂(例えば、ポリアセタール樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂など)と溶融混合しマスターバッチの形態で使用してもよい。この窒素含有化合物を含む樹脂マスターバッチとして用いてもよい。樹脂マスターバッチにおいて、窒素含有化合物の割合は、例えば、1〜80重量%程度であってもよい。
(b)有機カルボン酸金属塩
有機カルボン酸金属塩としては、有機カルボン酸と金属(Na,Kなどのアルカリ金属;Mg,Caなどのアルカリ土類金属;Znなどの遷移金属など)との塩が挙げられる。
前記有機カルボン酸は、低分子又は高分子のいずれであってもよく、前記長鎖脂肪酸の項で例示した長鎖飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸などの他、炭素数10未満の低級の飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸、不飽和脂肪族カルボン酸の重合体なども使用できる。また、これらの脂肪族カルボン酸はヒドロキシル基を有していてもよい。前記低級の飽和脂肪族カルボン酸としては、飽和C1-9モノカルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、カプリル酸など)、飽和C2-9ジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸など)、及びこれらのオキシ酸(グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸、クエン酸など)などが例示できる。
低級の不飽和脂肪族カルボン酸としては、不飽和C1-9モノカルボン酸[(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸など]、不飽和C4-9ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸など)、及びこれらのオキシ酸(プロピオール酸など)などが例示できる。
また、不飽和脂肪族カルボン酸の重合体としては、重合性不飽和カルボン酸[α,β−エチレン性不飽和カルボン酸、例えば、(メタ)アクリル酸などの重合性不飽和モノカルボン酸、重合性不飽和多価カルボン酸(イタコン酸、マレイン酸、フマル酸など)、前記多価カルボン酸の酸無水物又はモノエステル(マレイン酸モノエチルなどのモノC1-10アルキルエステルなど)など]とオレフィン(エチレン、プロピレンなどのα−C2-10オレフィンなど)との共重合体などが挙げられる。
これらの有機カルボン酸金属塩は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
好ましい有機カルボン酸金属塩は、アルカリ土類金属有機カルボン酸塩(酢酸カルシウム、クエン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムなど)、アイオノマー樹脂(前記重合性不飽和多価カルボン酸とオレフィンとの共重合体に含有されるカルボキシル基の少なくとも一部が前記金属のイオンにより中和されている樹脂)などである。前記アイオノマー樹脂は、例えば、ACLYN(アライド・シグナル社製)、ハイミラン(三井デュポンポリケミカル社製)、サーリン(デュポン社製)などとして市販されている。
(c)アルカリ又はアルカリ土類金属化合物
アルカリ又はアルカリ土類金属化合物には、CaO、MgOなどの金属酸化物、Ca(OH)2、Mg(OH)2などの金属水酸化物、金属無機酸塩(Na2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3などの金属炭酸塩、ホウ酸塩やリン酸塩などの無機酸塩など)などの無機化合物が含まれ、特に、金属酸化物及び金属水酸化物が好ましい。前記化合物のうち、アルカリ土類金属化合物が好ましい。
これらのアルカリ又はアルカリ土類金属化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(d)ハイドロタルサイト
ハイドロタルサイトとしては、特開昭60−1241号公報及び特開平9−59475号公報などに記載されているハイドロタルサイト類、例えば、下記式で表されるハイドロタルサイト化合物などが使用できる。
[M2+ 1-x3+ x(OH)2x+[An- x/n・mH2O]x-
(式中、M2+はMg2+、Mn2+、Fe2+、Co2+などの2価金属イオンを示し、M3+はAl3+、Fe3+、Cr3+などの3価金属イオンを示す。An-はCO3 2-、OH-、HPO4 2-、SO4 2-などのn価(特に1価又は2価)のアニオンを示す。xは、0<x<0.5であり、mは、0≦m<1である。)
これらのハイドロタルサイトは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
なお、ハイドロタルサイトは、「DHT−4A」、「DHT−4A−2」、「アルカマイザー」などとして協和化学工業(株)から入手可能である。
(e)ゼオライト
ゼオライトとしては、特に制限されないが、例えば、特開平7−62142号公報に記載されているゼオライト[最小単位セルがアルカリ及び/又はアルカリ土類金属の結晶性アルミノケイ酸塩であるゼオライト(A型、X型、Y型、L型、β型及びZSM型ゼオライト、モルデン沸石型ゼオライト;チャバザイト、モルデン沸石、ホージャサイトなどの天然ゼオライトなど)など]などが使用できる。
これらのゼオライトは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
なお、A型ゼオライトは、「ゼオラムシリーズ(A−3、A−4、A−5)、「ゼオスターシリーズ(KA100P、NA−100P、CA−100P)」などとして、また、X型ゼオライトは、「ゼオラムシリーズ(F−9)」、「ゼオスターシリーズ(NX−100P)」、Y型ゼオライトは、「HSZシリーズ320NAA」などとして東ソー(株)、日本化学工業(株)から入手可能である。
(f)特定酸性化合物
特定酸性化合物には、ホウ酸類(オルトホウ酸、メタホウ酸など)、ヒドロキシル基を有する窒素含有環状化合物(シアヌール酸、イソシアヌール酸、アンメリン、アンメリド、バルビツール酸、尿酸など)、カルボキシル基含有化合物[グリコール酸などのヒドロキシカルボン酸;ポリ(メタ)アクリル酸などの(メタ)アクリル酸の単独又は共重合体;(メタ)アクリル酸−オレフィン共重合体などの(メタ)アクリル酸と他の共重合性モノマー(エチレン、プロピレンなどのオレフィン系モノマーなど)との共重合体;不飽和(無水)カルボン酸変性オレフィン;特開2000−239484号公報記載のpKaが3.6以上のカルボキシル基含有化合物など]、(ポリ)フェノール類(フェノール、メチルフェノールなどのフェノール類;グニン、カテキンなどのポリフェノール類;ノボラック樹脂、ポリビニルフェノールなど)、アミノカルボン酸類(アミノ酸など)などが使用できる。これらの酸性化合物は、単独又は2種以上組み合わせて使用できる。
前記耐熱安定剤は、1種で又は2種以上組み合わせて使用できる。塩基性窒素含有化合物と、有機カルボン酸金属塩、アルカリ又はアルカリ土類金属化合物、ハイドロタルサイト、ゼオライト及び特定酸性化合物から選択された少なくとも一種とを組み合わせて用いると、少量で耐熱安定性を付与することもできる。
耐熱安定剤の割合は、例えば、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、0〜5重量部(0.001〜5重量部)、好ましくは0.001〜3重量部(特に0.01〜2重量部)程度の範囲から選択できる。特に、耐熱安定剤として塩基性窒素化合物を使用する場合、塩基性窒素化合物の割合は、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、0.001〜1重量部、好ましくは0.005〜0.5重量部(特に0.01〜0.15重量部)程度の範囲から選択できる。
[添加剤]
また、本発明のポリアセタール樹脂組成物は、さらに耐候(光)安定剤、着色剤、光沢制御剤、耐衝撃性改良剤、摺動性改良剤、及び充填剤から選択された少なくとも一種の添加剤を含んでいてもよい。
(耐候(光)安定剤)
耐候(光)安定剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、芳香族ベンゾエート系化合物、シアノアクリレート系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、及びヒンダードアミン系化合物などが挙げられる。これらの耐候(光)安定剤は一種又は二種以上組合せて使用できる。
(a)ベンゾトリアゾール系化合物
ベンゾトリアゾール系化合物としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−イソアミルフェニル)ベンゾトリアゾール等のヒドロキシル基及びアルキル(C1-6アルキル)基置換アリール基を有するベンゾトリアゾール類;2−[2′−ヒドロキシ−3′,5′−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾールなどのヒドロキシル基及びアラルキル(又はアリール)基置換アリール基を有するベンゾトリアゾール類;2−(2′−ヒドロキシ−4′−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾールなどのヒドロキシル基及びアルコキシ(C1-12アルコキシ)基置換アリール基を有するベンゾトリアゾール類等が挙げられる。これらのベンゾトリアゾール化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのベンゾトリアゾール系化合物のうち、ヒドロキシル基及びC3-6アルキル基置換C6-10アリール(特にフェニル)基を有するベンゾトリアゾール類、並びにヒドロキシル基及びC6-10アリール−C1-6アルキル(特にフェニル−C1-4アルキル)基置換アリール基を有するベンゾトリアゾール類などである。
(b)ベンゾフェノン系化合物
ベンゾフェノン系化合物としては、複数のヒドロキシル基を有するベンゾフェノン類(2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンなどのジ乃至テトラヒドロキシベンゾフェノン;2−ヒドロキシ−4−オキシベンジルベンゾフェノンなどのヒドロキシル基及びヒドロキシル置換アリール又はアラルキル基を有するベンゾフェノン類など);ヒドロキシル基及びアルコキシ(C1-16アルコキシ)基を有するベンゾフェノン類(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン等)などが挙げられる。これらのベンゾフェノン化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのベンゾフェノン系化合物のうち、ヒドロキシル基と共にヒドロキシル基置換C6-10アリール(又はC6-10アリール−C1-4アルキル)基を有するベンゾフェノン類、特に、ヒドロキシル基と共にヒドロキシル基置換フェニル−C1-2アルキル基を有するベンゾフェノン類が好ましい。
(c)芳香族ベンゾエート系化合物
芳香族ベンゾエート系化合物としては、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレートなどのアルキルアリールサリシレート類が挙げられる。芳香族ベンゾエート化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(d)シアノアクリレート系化合物
シアノアクリレート系化合物としては、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のシアノ基含有ジアリールアクリレート類などが挙げられる。シアノアクリレート系化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(e)シュウ酸アニリド系化合物
シュウ酸アニリド系化合物としては、N−(2−エチルフェニル)−N′−(2−エトキシ−5−t−ブチルフェニル)シュウ酸ジアミド、N−(2−エチルフェニル)−N′−(2−エトキシ−フェニル)シュウ酸ジアミド等の窒素原子上に置換されていてもよいアリール基などを有するシュウ酸ジアミド類が挙げられる。シュウ酸アニリド化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(f)ヒンダードアミン系化合物
ヒンダードアミン系化合物としては、立体障害性基を有するピペリジン誘導体、例えば、エステル基含有ピペリジン誘導体[4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどの脂肪族アシルオキシピペリジン(C2-20脂肪族アシルオキシ−テトラメチルピペリジンなど);4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどの芳香族アシルオキシピペリジン(C7-11芳香族アシルオキシ−テトラメチルピペリジンなど);ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)オギザレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アジペート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート]などの脂肪族ジ又はトリカルボン酸−ビス又はトリスピペリジルエステル(C2-20脂肪族ジカルボン酸−ビスピペリジルエステルなど);ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)テレフタレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレートなどの芳香族ジ乃至テトラカルボン酸−ビス乃至テトラキスピペリジルエステル(芳香族ジ又はトリカルボン酸−ビス又はトリスピペリジルエステルなど)など]、エーテル基含有ピペリジン誘導体[4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどのC1-10アルコキシピペリジン(C1-6アルコキシ−テトラメチルピペリジンなど);4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどのC5-8シクロアルキルオキシ−ピペリジン;4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどのアリールオキシピペリジン;4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどC6-10アリール−C1-4アルキルオキシ−ピペリジンなど;1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)エタンなどのアルキレンジオキシビスピペリジン(C1-10アルキレンジオキシ−ビスピペリジンなど)など]、アミド基含有ピペリジン誘導体[4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどのカルバモイルオキシピペリジン;ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメートなどのカルバモイルオキシ置換アルキレンジオキシ−ビスピペリジンなど]などが挙げられる。また、高分子量のピペリジン誘導体重縮合物(コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物など)なども含まれる。これらのヒンダードアミン系化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのヒンダードアミン系化合物のうち、エステル基含有ピペリジン誘導体、特に、脂肪族カルボン酸ピペリジルエステル(好ましくはC2-16脂肪族ジカルボン酸−ビスピペリジルエステル、さらに好ましくはC6-14脂肪族ジカルボン酸−ビステトラメチルピペリジルエステルなど)、芳香族ジ又はトリカルボン酸−ビス又はトリスピペリジルエステル等が好ましい。
耐候(光)安定剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
耐候(光)安定剤の割合は、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.01〜3重量部、さらに好ましくは0.1〜2重量部程度である。
(着色剤)
着色剤としては、各種染料または顔料が使用できる。染料はソルベント染料が好ましく、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、又はナフトキノン系染料などが挙げられる。顔料については、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用できる。
無機顔料としては、チタン系顔料、亜鉛系顔料、カーボンブラック(ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなど)、鉄系顔料、モリブデン系顔料、カドミウム系顔料、鉛系顔料、コバルト系顔料、及びアルミニウム系顔料などが例示できる。
有機顔料としては、アゾ系顔料、アンスラキノン系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、ジオキサジン系顔料、又はスレン系顔料などが例示できる。
上記のような着色剤は、単独で用いてもよく、また複数の着色剤を組み合わせて用いてもよい。光遮蔽効果の高い着色剤(カーボンブラック、チタン白(酸化チタン)、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料(特に、カーボンブラック、ペリレン系黒色顔料など)など)を用いると、耐候(光)性を向上できる。
着色剤の含有量は、例えば、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、0〜5重量部(例えば、0.01〜5重量部)、好ましくは0.1〜4重量部、さらに好ましくは0.1〜2重量部程度である。
(耐衝撃性改良剤)
耐衝撃性改良剤としては、アクリル系コアシェルポリマー(特開平12−26705号公報記載のコアシェルポリマーなど)、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂(熱可塑性ポリエステル)、スチレン系エラストマー[スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロック共重合体、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン(SEBS)ブロック共重合体、スチレン−イソプレン−プロピレン−スチレン(SIPS)ブロック共重合体、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン(SEPS)ブロック共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル−エチレン・プロピレン−スチレン(AES)樹脂など]などが例示できる、これらの耐衝撃性改良剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
耐衝撃性改良剤の割合は、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、例えば、0〜100重量部(例えば、1〜100重量部)、好ましくは2〜75重量部、さらに好ましくは3〜60重量部程度であってもよい。
(光沢制御剤)
光沢制御剤としては、耐衝撃性改良剤の項で例示の樹脂(エラストマーも含む)を低光沢剤として使用できる。また、アクリル系樹脂[ポリアルキル(メタ)アクリレート単独又は共重合体(ポリメチルメタクリレートなど)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−エチレン・プロピレン−スチレン(AES)樹脂など]、スチレン系樹脂(ポリスチレンなど)を光沢付与剤として使用できる。光沢制御剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
光沢制御剤の割合は、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、例えば、0〜30重量部(例えば、0.01〜20重量部)、好ましくは0.02〜10重量部、さらに好ましくは0.05〜5重量部程度であってもよい。
(摺動性改良剤)
摺動性改良剤としては、例えば、オレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアルキレングリコール樹脂、炭酸カルシウム、タルクなどが例示できる。耐衝撃性改良剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
摺動性改良剤の割合は、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、0〜50重量部(例えば、0.1〜50重量部)、好ましくは1〜30重量部、さらに好ましくは3〜20重量部程度であってもよい。
(充填剤)
必要に応じて、本発明の成形品の性能を向上させるために、慣用の繊維状、板状、粉粒状などの充填剤を単独で又は二種以上組み合わせて配合してもよい。繊維状充填剤としては、無機繊維(ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、チタン酸カリウム繊維(ウイスカー)等)、有機繊維(アミド繊維など)等が例示できる。板状充填剤としては、ガラスフレーク、マイカ、グラファイト、各種金属箔等が例示できる。粉粒状充填剤としては、金属酸化物(酸化亜鉛、アルミナなど)、硫酸塩(硫酸カルシウム、硫酸マグネシウムなど)、炭酸塩(炭酸カルシウムなど)、ガラス類(ミルドファイバー、ガラスビーズ、ガラスバルーンなど)、ケイ酸塩(タルク、カオリン、シリカ、ケイソウ土、クレー、ウォラスナイトなど)、硫化物(二硫化モリブデン、二硫化タングステン、硫化亜鉛など)、炭化物(フッ化黒鉛、炭化ケイ素など)、窒化ホウ素等が例示できる。
充填剤の割合は、充填剤の種類や配合目的に応じて、調整することができる。例えば、ポリアセタール樹脂の強度や剛性等の機械的特性の向上を目的とする場合には、充填剤の割合は、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、0〜200重量部(例えば、1〜200重量部)、好ましくは1〜100重量部、さらに好ましくは3〜70重量部程度であってもよい。
本発明のポリアセタール樹脂組成物には、必要に応じて、慣用の添加剤、例えば、離型剤、核剤、帯電防止剤、難燃剤、界面活性剤、抗菌剤、抗カビ剤、芳香剤、香料、各種ポリマー[アクリル系樹脂(ポリメチルメタクリレートなどのC1-10アルキル(メタ)アクリレートの単独又は共重合体)、アクリル系コアシェルポリマー、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系エラストマー又は樹脂、ポリエステル系エラストマー又は樹脂、ポリアミド系エラストマー又は樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系エラストマー又は樹脂など]などを1種で又は2種以上組み合わせて添加してもよい。
(ポリアセタール樹脂組成物の製造方法)
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、粉粒状混合物や溶融混合物であってもよく、ポリアセタール樹脂と、酸化防止剤と、前記グアナミン化合物と、加工安定剤及び/又は耐熱安定剤と、必要により他の添加剤とを慣用の方法で混合することにより調製できる。例えば、(1)各成分を主フィーダーからフィードして、一軸又は二軸の押出機により混練して押出してペレットを調製した後、成形する方法、(2)グアナミン化合物を含まない成分を主フィーダーから、そして少なくともグアナミン化合物を含む成分(他成分として、ポリアセタール樹脂、安定剤、他の添加剤など)をサイドフィーダーからフィードして、一軸又は二軸の押出機により混練押出してペレットを調製した後、成形する方法、(3)一旦組成の異なるペレット(マスターバッチ)を調製し、そのペレットを所定量混合(希釈)して成形に供し、所定の組成の成形品を得る方法、(4)ポリアセタール樹脂のペレットに抑制剤を散布、表面コートなどにより共存又は付着させた後、成形し、所定の組成の成形品を得る方法などが採用できる。また、成形品に用いられる組成物の調製において、基体であるポリアセタール樹脂の粉粒体(例えば、ポリアセタール樹脂の一部又は全部を粉砕した粉粒体)と他の成分(酸化防止剤、加工安定剤、耐熱安定剤、グアナミン化合物など)を混合して溶融混練すると、添加物の分散を向上させるのに有利である。
特に、本発明のグアナミン化合物に加えて、塩基性窒素化合物として、尿素系化合物(特に、ビウレア、アラントイン、アラントインの金属塩)及び/又はヒドラジン化合物(特に、カルボン酸ヒドラジド)を併用し、押出機を用いて溶融混合によりポリアセタール樹脂組成物を調製する場合には、(a)少なくとも前記塩基性窒素化合物を押出機の途中部(例えば、脱揮口の前又は後ろ)からフィードして混合する製造方法、及び/又は(b)樹脂の押出機内での平均滞留時間を300秒以下(例えば、前記塩基性窒素化合物を押出機の主フィード口及び/又は押出機のサイドフィード口から添加する場合に、ポリアセタール樹脂の平均滞留時間を10〜200秒とする)で溶融押出調製するのが好ましい。さらに、押出機としては、一軸又は二軸押出機の何れも適用でき、好ましくは、一つ以上の脱揮口を有する押出機などが使用できる。例えば、真空下(例えば、1〜500mmHg(0.13〜66.7kPa)、通常、5〜300mmHg(0.67〜40kPa)のベント真空度)で脱揮口から揮発成分を除去した後に、少なくとも前記塩基性窒素化合物を含む添加剤を押出機の途中部(サイドフィード口)から添加してもよい。
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、特に成形加工(特に溶融成形加工)工程において、ポリアセタール樹脂の酸化又は熱分解などによるホルムアルデヒドの生成を顕著に抑制でき、作業環境を改善できる。また、金型への分解物や添加物などの付着(モールドデポジット)、成形品からの分解物や添加物の浸出を顕著に抑制でき、成形加工時の諸問題を改善できる。
(成形品)
本発明のポリアセタール樹脂成形品は、前記ポリアセタール樹脂組成物を成形することにより製造できる。成形は、慣用の成形方法、例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、真空成形、発泡成形、回転成形、ガスインジェクションモールディングなどの方法により行うことができる。
前記ポリアセタール樹脂組成物で構成された本発明のポリアセタール樹脂成形品は、酸化防止剤と、特定のグアナミン化合物と、必要により、加工安定剤及び/又は熱安定剤とを組み合わせて含んでおり、押出及び/又は成形加工安定性に優れるとともに、ホルムアルデヒド発生量が極めて少ない。すなわち、酸化防止剤などの安定剤を含む従来のポリアセタール樹脂で構成された成形品は、比較的多量のホルムアルデヒドを生成し、腐食や変色などの他、生活環境や作業環境を汚染する。例えば、一般に市販されているポリアセタール樹脂成形品からのホルムアルデヒド発生量は、乾式(恒温乾燥雰囲気下)において、表面積1cm2当たり2〜5μg程度であり、湿式(恒温湿潤雰囲気下)において、表面積1cm2当たり3〜6μg程度である。
これに対して、本発明のポリアセタール樹脂成形品は、乾式において、ホルムアルデヒド発生量が成形品の表面積1cm2当たり1.5μg以下、好ましくは0〜1.3μg、さらに好ましくは0〜1μg程度であり、通常、0.01〜1μg程度である。また、湿式において、ホルムアルデヒドの発生量が成形品の表面積1cm2当たり2.5μg以下、好ましくは0〜1.7μg、さらに好ましくは0〜1.5μg程度であり、通常、0.01〜1.5μg程度である。
なお、乾式でのホルムアルデヒド発生量は、次のようにして測定できる。
ポリアセタール樹脂成形品を、必要により切断して表面積を測定した後、その成形品の適当量(例えば、表面積10〜50cm2となる程度)を密閉容器(容量20ml)に入れ、温度80℃で24時間放置する。その後、この密閉容器中に水を5ml注入し、この水溶液のホルマリン量をJIS K0102,29(ホルムアルデヒドの項)に従って定量し、成形品の表面積当たりのホルムアルデヒド発生量(μg/cm2)を求める。
また、湿式でのホルムアルデヒド発生量は、次のようにして測定できる。
ポリアセタール樹脂成形品を、必要により切断して表面積を測定した後、その成形品の適当量(例えば、表面積10〜100cm2となる程度)を、蒸留水50mlを含む密閉容器(容量1L)の蓋に吊下げて密閉し、恒温槽内に温度60℃で3時間放置する。その後、室温で1時間放置し、密閉容器中の水溶液のホルマリン量をJIS K0102,29(ホルムアルデヒドの項)に従って定量し、成形品の表面積当たりのホルムアルデヒド発生量(μg/cm2)を求める。
本発明における前記ホルムアルデヒド発生量の数値規定は、ポリアセタール樹脂と、酸化防止剤と、特定のグアナミン化合物とを含む限り、慣用の添加剤(加工安定剤、耐熱安定剤、耐候(光)安定剤、着色剤、光沢制御剤、耐衝撃性改良剤、摺動性改良剤、充填剤、通常の安定剤、離型剤など)を含有するポリアセタール樹脂組成物の成形品についてだけでなく、無機充填剤、他のポリマーなどを含有する組成物の成形品においても、その成形品の表面の大部分(例えば、50〜100%)がポリアセタール樹脂で構成された成形品(例えば、多色成形品や被覆成形品など)についても適用可能である。
本発明の成形品は、ホルムアルデヒドが弊害となるいずれの用途にも使用可能であるが、自動車部品や電気・電子部品(能動部品や受動部品など)、建材・配管部品、日用品(生活)・化粧品用部品、及び医用(医療・治療)部品及び写真用部品として好適に使用される。
より具体的には、自動車部品としては、インナーハンドル、フェーエルトランクオープナー、シートベルトバックル、アシストラップ、各種スイッチ、ノブ、レバー、クリップなどの内装部品、メーターやコネクターなどの電気系統部品、オーディオ機器やカーナビゲーション機器などの車載電気・電子部品、ウインドウレギュレーターのキャリアープレートに代表される金属と接触する部品、ドアロックアクチェーター部品、ミラー部品、ワイパーモーターシステム部品、燃料系統の部品などの機構部品が例示できる。
電気・電子部品(機構部品)としては、ポリアセタール樹脂成形品で構成され、かつ金属接点が多数存在する機器の部品又は部材[例えば、カセットテープレコーダなどのオーディオ機器、VTR(ビデオテープレコーダー)、8mmビデオ、ビデオカメラなどのビデオ機器、又はコピー機、ファクシミリ、ワードプロセッサー、コンピューターなどのOA(オフィスオートメーション)機器、更にはモーター、発条などの駆動力で作動する玩具、電話機、コンピュータなどに付属するキーボードなど]などが例示できる。具体的には、シャーシ(基盤)、ギヤー、レバー、カム、プーリー、軸受けなどが挙げられる。さらに、少なくとも一部がポリアセタール樹脂成形品で構成された光及び磁気メディア部品(例えば、金属薄膜型磁気テープカセット、磁気ディスクカートリッジ、光磁気ディスクカートリッジなど)、更に詳しくは、音楽用メタルテープカセット、デジタルオーディオテープカセット、8mmビデオテープカセット、フロッピー(登録商標)ディスクカートリッジ、ミニディスクカートリッジなどにも適用可能である。光及び磁気メディア部品の具体例としては、テープカセット部品(テープカセットの本体、リール、ハブ、ガイド、ローラー、ストッパー、リッドなど)、ディスクカートリッジ部品(ディスクカートリッジの本体(ケース)、シャッター、クランピングプレートなど)などが挙げられる。
さらに、本発明のポリアセタール樹脂成形品は、照明器具、建具、配管、コック、蛇口、トイレ周辺機器部品などの建材・配管部品、ファスナー類(スライドファスナー、スナップファスナー、面ファスナー、レールファスナーなど)、文具、リップクリーム・口紅容器、洗浄器、浄水器、スプレーノズル、スプレー容器、エアゾール容器、一般的な容器、注射針のホルダー、(デジタル)カメラ部品、フィルム周辺部品などの広範な生活関係部品・化粧関係部品・医用関係部品・写真用部品に好適に使用される。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において、成形性(金型付着物の量)、乾式での成形品からのホルムアルデヒドの発生量、及び耐候(光)性について、以下のようにして評価した。
[成形性(金型付着物の量)]
ポリアセタール樹脂組成物で形成されたペレットから特定形状の成形品(径20mm×1mm)を、射出成形機を用いて連続成形(1000ショット)し、金型付着物の程度を5段階に評価した。なお、数字が小さい程、金型付着物が少ない、すなわち、モールドデポジットが少ないことを意味する。
[乾式での成形品からのホルムアルデヒド発生量]
試験片(2mm×2mm×50mm)10個(総表面積約40cm2)の樹脂サンプルを密閉容器(容量20ml)に入れ、温度80℃で24時間、恒温槽内で加熱した後、室温に空冷し、蒸留水5mlをシリンジにて注入した。この水溶液のホルムアルデヒド量を、JIS K0102,29(ホルムアルデヒドの項)に従って定量し、表面積当たりのホルムアルデヒドガス発生量(μg/cm2)を算出した。
[湿式での成形品からのホルムアルデヒド発生量]
平板状試験片(100mm×40mm×2mm:総表面積85.6cm2)を、蒸留水50ml含むポリエチレン製瓶(容量1000ml)の蓋に吊り下げて密閉し、恒温槽内に温度60℃で3時間放置した後、室温で1時間静置した。ポリエチレン製瓶中の蒸留水に吸収されたホルムアルデヒドの量をJIS K0102.29(ホルムアルデヒドの項)に従って定量し、試験片の表面積当たりのホルムアルデヒド発生量を算出した。
[添加剤の滲出(ブルーミング性)]
成形品(直径20mm×厚さ1mm)を、ギヤーオーブンに入れて130℃で5時間加熱処理した後、成形品の表面を目視観察により下記の3段階の基準で添加剤の滲出状態を評価した。
○:なし
△:少しあり
×:非常に多い
[耐候(光)性試験]
平板状成形品(70mm×40mm×3mm)をウェザーメーター[スガ試験機(株)製,WEL−SUN−HCH型]により83℃のフェード条件で600時間照射し、照射前後における色相及び光沢の変化を観察し、それぞれについてその変化の程度を5段階に評価した。数字が小さい程、変化が少ない、すなわち、光沢の低下及び変色が少ないことを意味する。
[耐衝撃性試験]
ISO179/1eAに準じて、シャルピー衝撃強さ(ノッチ付)を評価した。
実施例1〜31及び比較例1〜5
ポリアセタール樹脂100重量部に、酸化防止剤、耐候(光)安定剤、グアナミン化合物、着色剤、加工安定剤、及び耐熱安定剤を表1及び表2に示す割合で混合した後、1ヶ所に脱揮ベント口を有する30mm径の2軸押出機により溶融混合し、ペレット状の組成物を調製した(押出条件:押出温度=200℃、スクリュー回転数=100rpm、ベント真空度=20mmHg(2.67kPa)、吐出量=15kg/hr、平均滞留時間=100秒)。このペレットを用いて、射出成形機により、所定の試験片を成形し、成形時のモールドデポジットと添加剤の滲出を評価した。また、所定の試験片からのホルムアルデヒド発生量を測定するとともに、耐候(光)性の評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
なお、比較のために、グアナミン化合物を添加しない例について、上記と同様にして評価した。結果を表3に示す。
実施例32〜43
実施例1、2、19及び20で調製したペレット状の樹脂組成物に、耐熱安定剤iを所定量添加、混合し、得られた混合物から射出成形機を用いて、所定の試験片を成形した。成形に伴うモールドデポジット及び添加剤の滲出について評価した。また、所定の試験片からのホルムアルデヒド発生量を測定した。さらに、実施例38〜43は所定の試験片を用いて耐候(光)性の評価を行った。結果を表4に示す。
実施例44及び45
比較例1で調製したペレット状の樹脂組成物に、グアナミン化合物c及び耐熱安定剤iを所定量添加、混合し、得られた混合物から射出成形機を用いて、所定の試験片を成形した。成形に伴うモールドデポジット及び添加剤の滲出について評価した。また、所定の試験片からのホルムアルデヒド発生量を測定した。結果を表4に示す。
実施例46
比較例4で調製したペレット状の樹脂組成物に、グアナミン化合物c及び耐熱安定剤iを所定量添加、混合し、得られた混合物から射出成形機を用いて、所定の試験片を成形した。成形に伴うモールドデポジット及び添加剤の滲出について評価した。また、所定の試験片からのホルムアルデヒド発生量を測定した。さらに、所定の試験片を用いて耐候(光)性の評価を行った。結果を表4に示す。
実施例47〜50及び比較例6〜8
ポリアセタール樹脂100重量部に、酸化防止剤、グアナミン化合物、加工安定剤、耐熱安定剤を表5に示す割合でプリブレンドした。得られたプリブレンド材を、1ヶ所の脱揮ベント口を有する30mm径の二軸押出機の主フィード口に投入して、溶融混合(押出条件:押出温度=200℃、スクリュー回転数=100rpm、ベント真空度=20mmHg(2.67kPa)、吐出量15kg/hr、平均滞留時問=100秒)し、ペレット状の組成物を調製した。
このペレット状組成物を用いて、射出成形機により、所定の試験片を成形し、モールドデポジット、並びに乾式及び湿式におけるホルムアルデヒド発生量を評価した。結果を表5に示す。
実施例51〜56
ポリアセタール樹脂95重量部に、酸化防止剤、耐侯(光)安定剤、着色剤、加工安定剤、耐熱安定剤(h)を表5に示す割合で混合したプリブレンド材を調製した。このプリブレンド材を、1ヶ所の脱揮ベント口を有する30mm径の二軸押出機の主フィード口より投入して、溶融混合(押出条件:押出温度=200℃、スクリュー回転数=100rpm、ベント真空度=20mmHg(2.67kPa)、吐出量15kg/hr、平均滞留時間=100秒)するとともに、前記押出機の脱揮ベント口後ろのサイドフィード口より、ブレンド材(前記と同様のポリアセタール樹脂の粉粒体5重量部、グアナミン化合物及び耐熱安定剤(i)を含む)をフィードして、ペレット状の組成物を調製した。このペレット状組成物を用いて、射出成形機により、所定の試験片を成形し、モールドデポジット、並びに乾式及び湿式におけるホルムアルデヒド発生量を評価した。また、実施例56では、耐侯(光)性評価も行った。結果を表5に示す。
実施例57、59〜61及び63〜65
ポリアセタール樹脂95重量部に、酸化防止剤、耐侯(光)安定剤、着色剤、加工安定剤、耐熱安定剤(h)、及びその他の添加剤を表6に示す割合で混合したプリブレンド材を調製した。このプリブレンド材を、1ヶ所の脱揮ベント口を有する30mm径の二軸押出機の主フィード口より投入して、溶融混合(押出条件:押出温度=200℃、スクリュー回転数=100rpm、ベント真空度=20mmHg(2.67kPa)、吐出量=15kg/hr、平均滞留時間=100秒)するとともに、前記押出機の脱揮ベント口後ろのサイドフィード口より、ブレンド材(前記と同様のポリアセタール樹脂の粉粒体5重量部、グアナミン化合物及び耐熱安定剤(i)を含む)をフィードしてペレット状の組成物を調製した。このペレット状組成物を用いて、射出成形機により、所定の試験片を成形し、モールドデポジット及び湿式におけるホルムアルデヒド発生量を評価した。また、実施例57及び実施例59〜61においては、耐候(光)性評価を行うとともに、実施例59〜65では、耐衝撃性も評価した。結果を表6に示す。
実施例58、62、及び比較例9、10
ポリアセタール樹脂100重量部に、酸化防止剤、グアナミン化合物、耐候(光)安定剤、着色剤、加工安定剤、耐熱安定剤、及びその他の添加剤を表6に示す割合でプリブレンドした。得られたプリブレンド材を、1ヶ所の脱揮ベント口を有する30mm径の二軸押出機の主フィード口に投入して、溶融混合(押出条件:押出温度=200℃、スクリュー回転数=100rpm、ベント真空度=20mmHg(2.67kPa)、吐出量15kg/hr、平均滞留時問=100秒)し、ペレット状の組成物を調製した。
このペレット状組成物を用いて、射出成形機により、所定の試験片を成形し、モールドデポジット、湿式におけるホルムアルデヒド発生量、及び耐衝撃性を評価した。また、実施例58及び比較例9では、耐候(光)性の評価も行った。結果を表6に示す。
尚、比較例1の耐衝撃性を評価したところ、6.0kJ/m2であった。
実施例66〜67及び比較例11
ポリアセタール樹脂100重量部に、酸化防止剤、グアナミン化合物、加工安定剤、耐熱安定剤、及びその他の添加剤を表6に示す割合で混合したプリブレンド材を調製した。このプリブレンド材を1ヶ所の脱揮ベント口を有する30mm径の二軸押出機の主フィード口より投入して、溶融混合(押出条件:押出温度=200℃、スクリュー回転数=120rpm、ベント真空度=20mmHg(2.67kPa)、吐出量:15kg/hr)するとともに、前記押出機の脱揮ベント口前のサイドフィード口より、その他の添加剤[ガラス繊維(j−4)]33重量部をフィードしてペレット状の組成物を調製した。このペレット状組成物を用いて、射出成形機により、所定の試験片を成形し、モールドデポジット、湿式におけるホルムアルデヒド発生量、及び耐衝撃性の評価を行った。結果を表6に示す。
実施例および比較例で使用したポリアセタール樹脂、酸化防止剤、グアナミン化合物、耐候(光)安定剤、着色剤、加工安定剤、耐熱安定剤、及びその他の添加剤は以下の通りである。
1.ポリアセタール樹脂 a
(a−1):ポリアセタール樹脂コポリマー(溶融加水分解法安定化樹脂、メルトインデックス=9g/10分;下記の方法により調製した)
二つの円が一部重なった断面形状を有するとともに、外側に熱(冷)媒を通すジャケットを備えたバレルと、このバレル内部の長手方向において、それぞれ攪拌及び推進用パドルを備えた2本の回転軸とを有する連続式混合反応機を用いて、以下のように重合反応を行った。
ジャケットに80℃の温水を通し、二本の回転軸を100rpmの速度で回転させ、酸化防止剤として0.05重量%のトリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、コモノマーとして3.3重量%の1,3−ジオキソラン、及び連鎖移動剤として700ppm(重量基準)のメチラールを含有するトリオキサンを連続的に反応機に供給するとともに、並行して、三フッ化ホウ素ブチルエーテラートをシクロヘキサンに溶解させた溶液(1重量%濃度)を、全モノマー(トリオキサン及び1,3−ジオキソランの総量)に対して、三フッ化ホウ素として10ppm(重量基準)の濃度で連続添加して、共重合を行った。次いで、反応機の吐出口より排出された粗ポリアセタール樹脂コポリマーを、0.1重量%のトリエチルアミンを含有する水溶液に添加し、触媒を失活させた。この混合物を遠心分離処理し、得られた粗ポリアセタール樹脂コポリマーを乾燥させた。乾燥した粗ポリアセタール樹脂コポリマー100重量部に対して0.3重量部のトリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を添加し、この混合物を脱揮口付き二軸押出機に供給した。押出機内で溶融している粗ポリアセタール樹脂コポリマー100重量部に対して、2重量部のトリエチルアミン水溶液(3重量%濃度)をインジェクションし、20mmHg(2.67kPa)のベント真空度、200℃のシリンダー温度、300秒の平均滞留時間で、熱分解物を(ベント)脱揮口より除去しながら、溶融混練し、ペレット状のポリアセタール樹脂コポリマー(a−1)を得た。
(a−2):ポリアセタール樹脂コポリマー(溶液加水分解法安定化樹脂、メルトインデックス=9g/10分;下記の方法により調製した)
上記コポリマー(a−1)の調製と同様の反応機を用いて、同様の方法により共重合を行い、粗ポリアセタールコポリマーを調製した。
反応機の吐出口より排出された粗ポリアセタール樹脂コポリマーを、0.25重量%のトリエチルアミンを含有するメタノール水溶液に投入し、加圧下、170℃で溶解加熱処理し、その後、冷却してポリアセタール樹脂コポリマーを析出させた。次いで、遠心分離、乾燥を行い、粉体状のポリアセタール樹脂コポリマー(a−2)を得た。
(a−3):実施例1で調製したポリアセタール樹脂組成物
(a−4):実施例2で調製したポリアセタール樹脂組成物
(a−5):実施例19で調製したポリアセタール樹脂組成物
(a−6):実施例20で調製したポリアセタール樹脂組成物
(a−7):比較例1で調製したポリアセタール樹脂組成物
(a−8):比較例4で調製したポリアセタール樹脂組成物
(a−9):ポリアセタール樹脂コポリマー(溶融加水分解法安定化樹脂、メルトインデックス=9g/10分;下記の方法により調製した)
上記コポリマー(a−1)の調製と同様の反応機を用いて、同様の方法により共重合を行い、粗ポリアセタールコポリマーを調製した。
反応機の吐出口より排出された粗ポリアセタール樹脂コポリマーを、0.1重量%のトリエチルアミンを含有する水溶液に添加し、触媒を失活させた。この混合物を遠心分離処理に供し、粗ポリアセタール樹脂コポリマー100重量部に対して、2重量%の2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムホルメート[(HOCH2CH2)Me3+HCOO-]を含む水溶液の1重量部を均一に添加混合し、次いで乾燥処理を行った。
この乾燥した粗ポリアセタール樹脂コポリマー100重量部に対して、0.3重量部のトリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を添加し、脱揮口付き二軸押出機に供給した。押出機内で溶融している粗ポリアセタール樹脂コポリマー100重量部に対して、3重量部の水をインジェクションし、20mmHg(2.67kPa)のベント真空度、200℃のシリンダー温度、300秒の平均滞留時間で、熱分解物を(ベント)脱揮口より除去しながら溶融混練し、ペレット状のポリアセタール樹脂コポリマー(a−9)を得た。
(a−10):ポリアセタール樹脂コポリマー(溶融加水分解法安定化樹脂、メルトインデックス=9g/10分;下記の方法により調製した)
上記コポリマー(a−1)の調製と同様の反応機を用いて重合を行った。
ジャケットに80℃の温水を通し、二本の回転軸を100rpmの速度で回転させ、酸化防止剤として0.05重量%のトリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、コモノマーとして4.0重量%の1,3−ジオキソラン、及び連鎖移動剤として700ppm(重量基準)のメチラールを含有するトリオキサンを連続的に供給するとともに、並行してトリフルオロメタンスルホン酸をギ酸メチルに溶解させた溶液(トリフルオロメタンスルホン酸の濃度:1重量%)を、全モノマー(トリオキサン及び1,3−ジオキソランの総量)に対して、トリフルオロメタンスルホン酸として3ppm(重量基準)の濃度で連続添加して、共重合を行った。
次いで、反応機の吐出口より排出された粗ポリアセタール樹脂コポリマーを、トリエチルアミン水溶液(濃度0.1重量%)に添加し、触媒を失活させた。この混合物を遠心分離処理に供し、得られた粗ポリアセタール樹脂コポリマー100重量部に対して、2重量%の2−ヒドロキシエチルトリエチルアンモニウムホルメート[(HOCH2CH2)Et3+HCOO-]を含む水溶液の1重量部を均一に添加混合し、次いで乾燥処理を行った。
この乾燥した粗ポリアセタール樹脂コポリマー100重量部に対して、0.3重量部のトリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を添加し、脱揮口付き二軸押出機に供給した。押出機内で溶融している粗ポリアセタール樹脂コポリマー100重量部に対して、3重量部の水をインジェクションし、20mmHg(2.67kPa)のベント真空度、200℃のシリンダー温度、300秒の平均滞留時間で、熱分解物を(ベント)脱揮口より除去しながら、溶融混練し、ペレット状のポリアセタール樹脂コポリマー(a−10)を得た。
なお、上記のポリアセタール樹脂aにおいて、上記メルトインデックスは、ASTM−D1238に準じ、190℃、2160gの条件下で求めた値(g/10分)である。
2.酸化防止剤 b
(b−1):トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
(b−2):ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
3.グアナミン化合物 c
(c−1):2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾリル−1’)−エチル−s−トリアジン[四国化成工業(株)製,キュアゾール2MZ−A]
(c−2):2,4−ジアミノ−6−(2’−ウンデシルイミダゾリル−1’)−エチル−s−トリアジン[四国化成工業(株)製,キュアゾールC11Z−A]
(c−3):2,4−ジアミノ−6−(2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−1’)−エチル−s−トリアジン[四国化成工業(株)製、キュアゾール2E4MZ−A]
(c−4):3−[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]−5,5−ジメチルヒダントイン[特開2000−154181号公報の実施例6に準じて調製した]
(c−5):テトラキス[β−(2’,4’−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]エチレンジアミン[特開2000−154181号公報の実施例8に準じて調製した]
(c−6):2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾリル−1’)−エチル−s−トリアジン・イソシアヌール酸塩
(c−7):トリス[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート
(c−8):ビス[β−(2,4−ジアミノ−s−トリアジン−6−イル)エチル]イソシアヌレート
(c−9):2,4−ジアミノ−6−(2’−フェニルイミダゾール−1’)−エチル−s−トリアジン
4.耐候(光)安定剤 d
(d−1):2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール
(d−2):2−ヒドロキシ−4−オキシベンジルベンゾフェノン
(d−3):2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール
5.耐候(光)安定剤 e
(e−1):ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート
6.着色剤 f
(f−1):カーボンブラック(アセチレンブラック)
(f−2):フタロシアニン系青色顔料
(f−3):酸化チタン
7.加工安定剤 g
(g−1):エチレンビスステアリルアミド
(g−2):グリセリンモノステアレート
(g−3):ポリエチレングリコールモノステアリン酸エステル(日本油脂(株)製,ノニオンS−40)
(g−4):エチレングリコールジステアレート
(g−5):ポリエチレングリコール[分子量=35000]
(g−6):蒸留水
8.耐熱安定剤(有機カルボン酸金属塩、アルカリ土類金属塩) h
(h−1):12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム
(h−2):ステアリン酸マグネシウム
(h−3):アイオノマー[三井・デュポンポリケミカル(株)製、ハイミラン1702]
(h−4):酸化マグネシウム
(h−5):クエン酸カルシウム
(h−6):酢酸カルシウム
(h−7):ステアリン酸カルシウム
9.耐熱安定剤(塩基性窒素化合物) i
(i−1):メラミン
(i−2):メラミンホルムアルデヒド樹脂
メラミン1モルに対してホルムアルデヒド1.2モルを用い、水溶液中、pH8、温度70℃で反応させ、反応系を白濁させることなく水溶性初期縮合体のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂を生成させた。次いで、攪拌しながら反応系をpH6.5に調整して、攪拌を継続し、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を析出させ、乾燥により粗製メラミン−ホルムアルデヒド樹脂の粉粒体を得た。この粉粒体を60℃の温水で30分間洗浄し、濾過した後、残渣をアセトンで洗浄し、これを乾燥することにより白色粉末の精製メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を得た。
(i−3):シアノグアニジン
(i−4):ナイロン6−66−610
(i−5):アラントイン
(i−6):アラントイン(i−5)とポリアセタール樹脂[ポリプラスチックス(株)ジュラコンM90−44]から押出調製した3重量%のアラントインを含有するマスターバッチペレット
(i−7):ビウレア
(i−8):アジピン酸ジヒドラジド
(i−9):アラントインジヒドロキシアルミニウム[川研ファインケミカル(株)製、「ALDA」]
(i−10):ナイロン66(平均粒子径=3μm)
(i−11):セバシン酸ジヒドラジド
(i−12):ドデカン二酸ジヒドラジド
10.その他の添加剤
(j−1):ポリスチレン[東洋スチレン(株)製、東洋スチロールG19]
(j−2):アクリル系コアシェルポリマー[武田薬品工業(株)製、スタフィロイドPO]
(j−3):熱可塑性ポリウレタン[日本ミラクトラン(株)製、ミラクトランE]
(j−4):ガラス繊維[直径9μm、長さ3mmのチョップドストランド]
Figure 2004058884
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表より明らかなように、比較例に比べて、実施例の樹脂組成物は、成形に伴うモールドデポジット及び添加剤の滲出が少ないため、成形性及び成形品外観を向上でき、ホルムアルデヒドの発生量が極めて小さいため、環境を大きく改善できるとともに、成形品の耐候(光)性を向上できる。また、耐衝撃性改良剤の添加により、耐衝撃性も向上させることができる。

Claims (22)

  1. ポリアセタール樹脂と、酸化防止剤と、少なくとも1つの下記式(1)
    Figure 2004058884
    (式中、R及びRは同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示し、mは2以上の整数を示す)
    で表わされるユニットを有するグアナミン化合物又はその塩とで構成されたポリアセタール樹脂組成物。
  2. グアナミン化合物が下記式(2)で表わされる化合物である請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物。
    Figure 2004058884
    (式中、ユニット−N−Xは、アンモニア又はアミン残基を示し、nは1〜6の整数を示す。R及びR、並びにmは前記に同じ)
  3. 式(2)において、アミン残基が、アミン類、尿素類、アミド類、イミド類、又はヒドラジン類の残基である請求項2記載のポリアセタール樹脂組成物。
  4. グアナミン化合物が、下記式(3)又は(4)で表わされる請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物。
    Figure 2004058884
    [式中、R、R、及びR〜Rは、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリールオキシカルボニルアルキル基、下記式(5a)又は(5b)
    Figure 2004058884
    で表わされるグアナミルアルキル基又はシアノアルキル基を示し、R及びRは隣接する窒素原子とともにヘテロ環を形成してもよい。Rは、アルキレン基、二価の脂環族基、二価の芳香族基、又は下記式(6)
    Figure 2004058884
    (式中、R及びR10は同一又は異なって、アルキレン基を示し、R11は水素原子、前記式(5a)のグアナミルアルキル基又は前記式(5b)のシアノアルキル基を示す。Yは酸素原子又は窒素原子を示し、Yが酸素原子である場合pは0であり、Yが窒素原子である場合、pは1である。qは1以上の整数を示す)
    で表わされる二価基を示す。R、R、及びmは前記に同じ]
  5. グアナミン化合物がイミダゾール残基を有するグアナミン化合物である請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物。
  6. 酸化防止剤がヒンダードフェノール系化合物及び/又はヒンダードアミン系化合物である請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物。
  7. ポリアセタール樹脂100重量部に対して、酸化防止剤0.001〜5重量部、及びグアナミン化合物又はその塩0.001〜10重量部を含む請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物。
  8. さらに加工安定剤及び耐熱安定剤から選択された少なくとも一種を含む請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物。
  9. 加工安定剤が、長鎖脂肪酸又はその誘導体、水及び/又はアルコール類、オルガノシロキサン、フッ素化合物及びワックス類から成る群より選択された少なくとも一種であり、耐熱安定剤が、塩基性窒素化合物、有機カルボン酸金属塩、アルカリ又はアルカリ土類金属化合物、ハイドロタルサイト、ゼオライト、及び酸性化合物から成る群より選択された少なくとも一種である請求項8記載のポリアセタール樹脂組成物。
  10. 塩基性窒素化合物が、ビウレア、アラントイン、アラントインの金属塩、カルボン酸ヒドラジド、及びポリアミド樹脂から選択された少なくとも一種である請求項9記載のポリアセタール樹脂組成物。
  11. 塩基性窒素化合物が、カルボン酸ヒドラジド又はこのカルボン酸ヒドラジドを含む樹脂マスターバッチであり、前記カルボン酸ヒドラジドが、脂肪族カルボン酸ヒドラジド及び芳香族カルボン酸ヒドラジドから選択された少なくとも一種である請求項9記載のポリアセタール樹脂組成物。
  12. 酸性化合物が、ホウ酸類、ヒドロキシル基を有する窒素含有環状化合物、カルボキシル基含有化合物、(ポリ)フェノール類、及びアミノカルボン酸類から選択された少なくとも一種である請求項9記載のポリアセタール樹脂組成物。
  13. ポリアセタール樹脂100重量部に対して、加工安定剤0.01〜5重量部及び/又は耐熱安定剤0.001〜5重量部を含む請求項8記載のポリアセタール樹脂組成物。
  14. さらに耐候(光)安定剤、着色剤、光沢制御剤、耐衝撃性改良剤、摺動性改良剤及び充填剤から選択された少なくとも一種の添加剤を含む請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物。
  15. 耐候(光)安定剤が、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、芳香族ベンゾエート系化合物、シアノアクリレート系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、及びヒンダードアミン系化合物から成る群より選択された少なくとも一種の化合物であり、着色剤がカーボンブラックである請求項14記載のポリアセタール樹脂組成物。
  16. 耐候(光)安定剤及び着色剤の割合が、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、それぞれ0.01〜5重量部である請求項14記載のポリアセタール樹脂組成物。
  17. ポリアセタール樹脂、酸化防止剤、及び請求項1記載のグアナミン化合物又はその塩を混合するポリアセタール樹脂組成物の製造方法。
  18. 請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物で構成されたポリアセタール樹脂成形品。
  19. 温度80℃で24時間密閉空間で保存した時、発生ホルムアルデヒド量が成形品の表面積1cm当り1.5μg以下である請求項18記載のポリアセタール樹脂成形品。
  20. 温度60℃で飽和湿度の密閉空間で3時間保存した時、発生ホルムアルデヒド量が成形品の表面積1cm当り2.5μg以下である請求項18記載のポリアセタール樹脂成形品。
  21. 成形品が、自動車部品、電気・電子部品、建材・配管部品、生活・化粧品用部品、医用部品及び写真用部品から選択された少なくとも一種である請求項18記載のポリアセタール樹脂成形品。
  22. 請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物を成形し、ポリアセタール樹脂成形品を製造する方法。
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