JPWO2004029266A1 - 3−ヒドロキシアルカン酸共重合体の精製方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、PHA含有菌体から分離されるPHAを、著しい分子量の低下を引き起こすことなく高純度で精製する方法を提供すること。微生物が産生した3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を精製する方法であって、微生物から分離した3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を含む水性懸濁液にアルカリを連続的又は断続的に添加することによって、前記水性懸濁液のpHをコントロールしながら過酸化水素による処理を行うことからなる精製方法である。
Description
本発明は、微生物菌体によって産生された3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を精製する方法に関する。
ポリ−3−ヒドロキシアルカン酸(以後PHAと称す)は多くの微生物種の細胞にエネルギー蓄積物質として生成、蓄積される熱可塑性ポリエステルであり、生分解性を有している。現在、プラスチック廃棄物は焼却、埋立などにより処理されているが、これらの処理方法には地球の温暖化や埋立地の地盤弛緩等の問題点がある。そのためプラスチックリサイクルへの社会意識の高まりとともに、リサイクルシステム化が進みつつある。しかし、リサイクル可能な用途には限りがあり、実際には、プラスチック廃棄処理方法としては、焼却、埋立、リサイクルだけでは対応しきれず、自然界に放置されたままになるものも多いのが現状である。そこで、廃棄後は自然界の物質循環に取り込まれ、分解生成物が有害とならないPHAの様な生分解性プラスチックが注目されており、その実用化が切望されている。特に、微生物が菌体内で生成蓄積するPHAは、自然界の炭素循環プロセスに取り込まれることから生態系への悪影響がほとんどないと予想されている。また、医療分野においても、回収不要のインプラント材料、薬物担体としての利用が可能と考えられる。
微生物が生成するPHAは、通常顆粒体を形成してその微生物の菌体内に蓄積されるため、PHAをプラスチックとして利用するためには、微生物の菌体内からPHAを分離して取り出すという工程が必要である。PHAを微生物菌体から分離精製する既知の方法として、大別すると、PHAが可溶である有機溶媒を用いて菌体からPHAを抽出する方法と、PHA以外の菌体構成成分を破砕もしくは可溶化させて除くことによりPHAを得る方法に分けられる。
有機溶媒による抽出を利用したPHAの分離精製方法では、PHAが可溶である溶媒として、例えば1,2−ジクロロエタンやクロロホルムといったハロゲン含有炭化水素を用いて抽出する方法がある(特開昭55−118394号公報、特開昭57−65193号公報参照)。しかし、これらハロゲン含有炭化水素は疎水性溶媒であるため、抽出前に、菌体を予め乾燥する等の、溶媒が菌体中のPHAと接触できるようにするための工程が必要となる。また、これらの方法においてはPHAを実用に値する濃度(たとえば5%)以上に溶解すると抽出液は極めて粘稠となり、溶解しなかった菌体残渣とPHAを含む溶媒層との分離が非常に困難である。更に、溶媒層からPHAを高い回収率で再沈殿させるためには溶媒層の4〜5倍容のメタノールやヘキサン等のPHA不溶性溶媒が必要であるなど、再沈殿工程には大容量の容器が必要とされる。さらには、溶媒の使用量が膨大なため、溶媒の回収コストと損失溶媒のコストがかさむことになる。加えて近年、環境保護の観点から有機ハロゲン化合物の使用は制限される方向にあり、この方法での工業化は難しいのが現状である。
そこで、PHAが可溶でありかつ水と混ざり合う溶媒、例えばジオキサン(特開昭63−198991号公報参照)またはプロパンジオール(特開平02−69187号公報参照)またはテトラヒドロフラン(特開平07−79788号公報参照)の様な親水性溶媒を用いた抽出方法も提案されている。これらの方法は乾燥菌体や湿菌体からでもPHAを抽出することが可能な点と、菌体残渣と分離した溶媒層を冷却するだけでPHAの沈殿物が得られる点では好ましいと考えられる。しかし、これらの方法でもPHAの溶解した溶媒層の粘稠性の問題は解決されておらず、加えて抽出効率を上げるためには加熱が必要であり、水存在下で加熱するためにPHAの低分子化が避けられないことや、回収率が劣ることなどの欠点を有している。
一方、PHA以外の菌体構成成分を可溶化させて除くことによりPHAを得る方法として、J.Gen.Microbiology,1958年,第19巻,p.198−209には、菌体懸濁液を次亜塩素酸ナトリウムで処理してPHA以外の菌体構成成分を可溶化し、PHAを得る方法が記載されている。この方法は、プロセスとしては簡単ではあるが、大量の次亜塩素酸ナトリウムを使用する必要があるためにコストが高くなる。また、PHAの著しい低分子化が引き起こされることや、得られたPHA内に無視できない量の塩素が残存することから実用には適さないと考えられる。
特公平04−61638号公報には、PHAを含有する微生物菌体懸濁液を100℃以上で熱処理することで菌体構造を破壊し、次いでタンパク質分解酵素処理と、リン脂質分解酵素処理あるいは過酸化水素処理とを組み合わせて、PHA以外の菌体構成成分を可溶化し、PHAを得る方法が記載されている。この方法は、熱処理によってタンパク質が変性・不溶化するために、次のタンパク質分解酵素処理工程での負荷が増大すること、更には、処理工程が多く複雑であること、酵素は比較的高価であることからコストがかかる等の欠点を有している。
PHA含有微生物菌体を破砕する方法として、界面活性剤で処理したのち、菌体から放出された核酸を過酸化水素処理して分解し、PHAを分離する方法が提案されている(特表平08−502415号公報参照)が、界面活性剤を含む廃液は発泡が激しいことに加えて高いBOD負荷値を持つ。このような観点から界面活性剤の使用は工業的規模において望ましくない。
PHA含有微生物菌体を高圧ホモジナイザーで破砕してPHAを分離する方法が提案されている(特開平07−177894号公報、特開平07−31488号公報参照)。しかし、これらの方法は微生物菌体懸濁液を少なくとも3回、場合によっては加温して10回も高圧処理しなければ純度の高いPHAを得ることは出来ず、なおかつ得られるPHAの純度は65〜89%程度と低いという欠点がある。
また、PHA含有微生物懸濁液にアルカリを添加して加熱し、細胞を破砕してPHAを分離する方法が提案されている(特開平07−31487号公報参照)。しかし、得られるポリマーの純度は75.1〜80.5%と低く、収率向上のためにアルカリ添加量を増やすとポリマーの低分子化が起こるなどの欠点があった。さらに、アルカリ添加後に物理的破砕を行う方法もいくつか提案されているが(特開平07−31489号公報、Bioseparation,1991年,第2巻,第95−105項参照)、アルカリ処理だけでは菌体構成成分は少量しか菌体外に出ておらず、続く高圧破砕処理後でも菌体構成成分がPHA画分に残存しており効率的でないこと、従って微生物菌体懸濁液を少なくとも5回高圧処理しなければ純度の高いPHAを得ることは出来ず、なおかつ得られるPHAの純度は77〜85%程度と低いという欠点がある。加えて、アルカリを添加する方法においては、一般に、微生物菌体から流出する菌体成分、特に核酸が、菌体懸濁液の粘度を上昇させ、その後の処理が困難になるという問題があった。
また、PHA含有微生物懸濁液をpH2未満の酸性に調整し50℃以上でPHAを分離する方法が提案されている(特開平11−266891号公報参照)。しかし、この方法はpH2未満のような強酸性で処理を行うために工業的規模では望ましくないこと、純度向上のためには酸処理の後にアルカリ性に調整する必要があり大量の塩が発生すること、また、得られるPHAの分子量が247万から100万程度にまで低下するなどの欠点を有している。
特開平07−177894号公報では菌体を高圧破砕処理したあと酸素系漂白剤で処理することによりポリ−3−ヒドロキシブチレート(以後PHB)を分離精製する方法を提案している。PHBのスラリーを各種酸素系漂白剤で処理する方法を提示しているが、漂白処理時のpHについては記載されていない。
発明の要約
本発明の目的は、上記現状に鑑み、微生物菌体によって産生された3−ヒドロキシアルカン酸共重合体から少ない工程で3−ヒドロキシアルカン酸共重合体以外の菌体構成成分を効率よく取り除き、深刻な分子量の低下を引き起こすことなく、高純度で溶融時の黄変や異臭のない3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を高収率で得ることのできる精製方法を提供することにある。
本発明者らは、3−ヒドロキシアルカン酸共重合体が、3−ヒドロキシアルカン酸単独重合体の場合と比較して、過酸化水素処理に伴う分子量低下が顕著であるという課題を見出し、この課題を解決するため鋭意検討した。その結果、過酸化水素処理を行う際に、3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を含む水性懸濁液のpHをアルカリでコントロールすることによって深刻な分子量低下を防止することができることを見出した。
すなわち本発明は、微生物が産生した3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を精製する方法であって、微生物から分離した3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を含む水性懸濁液にアルカリを連続的又は断続的に添加することによって、上記水性懸濁液のpHをコントロールしながら過酸化水素による処理を行うことからなる精製方法に関する。
以下、本発明を詳述する。
微生物が生成するPHAは、通常顆粒体を形成してその微生物の菌体内に蓄積されるため、PHAをプラスチックとして利用するためには、微生物の菌体内からPHAを分離して取り出すという工程が必要である。PHAを微生物菌体から分離精製する既知の方法として、大別すると、PHAが可溶である有機溶媒を用いて菌体からPHAを抽出する方法と、PHA以外の菌体構成成分を破砕もしくは可溶化させて除くことによりPHAを得る方法に分けられる。
有機溶媒による抽出を利用したPHAの分離精製方法では、PHAが可溶である溶媒として、例えば1,2−ジクロロエタンやクロロホルムといったハロゲン含有炭化水素を用いて抽出する方法がある(特開昭55−118394号公報、特開昭57−65193号公報参照)。しかし、これらハロゲン含有炭化水素は疎水性溶媒であるため、抽出前に、菌体を予め乾燥する等の、溶媒が菌体中のPHAと接触できるようにするための工程が必要となる。また、これらの方法においてはPHAを実用に値する濃度(たとえば5%)以上に溶解すると抽出液は極めて粘稠となり、溶解しなかった菌体残渣とPHAを含む溶媒層との分離が非常に困難である。更に、溶媒層からPHAを高い回収率で再沈殿させるためには溶媒層の4〜5倍容のメタノールやヘキサン等のPHA不溶性溶媒が必要であるなど、再沈殿工程には大容量の容器が必要とされる。さらには、溶媒の使用量が膨大なため、溶媒の回収コストと損失溶媒のコストがかさむことになる。加えて近年、環境保護の観点から有機ハロゲン化合物の使用は制限される方向にあり、この方法での工業化は難しいのが現状である。
そこで、PHAが可溶でありかつ水と混ざり合う溶媒、例えばジオキサン(特開昭63−198991号公報参照)またはプロパンジオール(特開平02−69187号公報参照)またはテトラヒドロフラン(特開平07−79788号公報参照)の様な親水性溶媒を用いた抽出方法も提案されている。これらの方法は乾燥菌体や湿菌体からでもPHAを抽出することが可能な点と、菌体残渣と分離した溶媒層を冷却するだけでPHAの沈殿物が得られる点では好ましいと考えられる。しかし、これらの方法でもPHAの溶解した溶媒層の粘稠性の問題は解決されておらず、加えて抽出効率を上げるためには加熱が必要であり、水存在下で加熱するためにPHAの低分子化が避けられないことや、回収率が劣ることなどの欠点を有している。
一方、PHA以外の菌体構成成分を可溶化させて除くことによりPHAを得る方法として、J.Gen.Microbiology,1958年,第19巻,p.198−209には、菌体懸濁液を次亜塩素酸ナトリウムで処理してPHA以外の菌体構成成分を可溶化し、PHAを得る方法が記載されている。この方法は、プロセスとしては簡単ではあるが、大量の次亜塩素酸ナトリウムを使用する必要があるためにコストが高くなる。また、PHAの著しい低分子化が引き起こされることや、得られたPHA内に無視できない量の塩素が残存することから実用には適さないと考えられる。
特公平04−61638号公報には、PHAを含有する微生物菌体懸濁液を100℃以上で熱処理することで菌体構造を破壊し、次いでタンパク質分解酵素処理と、リン脂質分解酵素処理あるいは過酸化水素処理とを組み合わせて、PHA以外の菌体構成成分を可溶化し、PHAを得る方法が記載されている。この方法は、熱処理によってタンパク質が変性・不溶化するために、次のタンパク質分解酵素処理工程での負荷が増大すること、更には、処理工程が多く複雑であること、酵素は比較的高価であることからコストがかかる等の欠点を有している。
PHA含有微生物菌体を破砕する方法として、界面活性剤で処理したのち、菌体から放出された核酸を過酸化水素処理して分解し、PHAを分離する方法が提案されている(特表平08−502415号公報参照)が、界面活性剤を含む廃液は発泡が激しいことに加えて高いBOD負荷値を持つ。このような観点から界面活性剤の使用は工業的規模において望ましくない。
PHA含有微生物菌体を高圧ホモジナイザーで破砕してPHAを分離する方法が提案されている(特開平07−177894号公報、特開平07−31488号公報参照)。しかし、これらの方法は微生物菌体懸濁液を少なくとも3回、場合によっては加温して10回も高圧処理しなければ純度の高いPHAを得ることは出来ず、なおかつ得られるPHAの純度は65〜89%程度と低いという欠点がある。
また、PHA含有微生物懸濁液にアルカリを添加して加熱し、細胞を破砕してPHAを分離する方法が提案されている(特開平07−31487号公報参照)。しかし、得られるポリマーの純度は75.1〜80.5%と低く、収率向上のためにアルカリ添加量を増やすとポリマーの低分子化が起こるなどの欠点があった。さらに、アルカリ添加後に物理的破砕を行う方法もいくつか提案されているが(特開平07−31489号公報、Bioseparation,1991年,第2巻,第95−105項参照)、アルカリ処理だけでは菌体構成成分は少量しか菌体外に出ておらず、続く高圧破砕処理後でも菌体構成成分がPHA画分に残存しており効率的でないこと、従って微生物菌体懸濁液を少なくとも5回高圧処理しなければ純度の高いPHAを得ることは出来ず、なおかつ得られるPHAの純度は77〜85%程度と低いという欠点がある。加えて、アルカリを添加する方法においては、一般に、微生物菌体から流出する菌体成分、特に核酸が、菌体懸濁液の粘度を上昇させ、その後の処理が困難になるという問題があった。
また、PHA含有微生物懸濁液をpH2未満の酸性に調整し50℃以上でPHAを分離する方法が提案されている(特開平11−266891号公報参照)。しかし、この方法はpH2未満のような強酸性で処理を行うために工業的規模では望ましくないこと、純度向上のためには酸処理の後にアルカリ性に調整する必要があり大量の塩が発生すること、また、得られるPHAの分子量が247万から100万程度にまで低下するなどの欠点を有している。
特開平07−177894号公報では菌体を高圧破砕処理したあと酸素系漂白剤で処理することによりポリ−3−ヒドロキシブチレート(以後PHB)を分離精製する方法を提案している。PHBのスラリーを各種酸素系漂白剤で処理する方法を提示しているが、漂白処理時のpHについては記載されていない。
発明の要約
本発明の目的は、上記現状に鑑み、微生物菌体によって産生された3−ヒドロキシアルカン酸共重合体から少ない工程で3−ヒドロキシアルカン酸共重合体以外の菌体構成成分を効率よく取り除き、深刻な分子量の低下を引き起こすことなく、高純度で溶融時の黄変や異臭のない3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を高収率で得ることのできる精製方法を提供することにある。
本発明者らは、3−ヒドロキシアルカン酸共重合体が、3−ヒドロキシアルカン酸単独重合体の場合と比較して、過酸化水素処理に伴う分子量低下が顕著であるという課題を見出し、この課題を解決するため鋭意検討した。その結果、過酸化水素処理を行う際に、3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を含む水性懸濁液のpHをアルカリでコントロールすることによって深刻な分子量低下を防止することができることを見出した。
すなわち本発明は、微生物が産生した3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を精製する方法であって、微生物から分離した3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を含む水性懸濁液にアルカリを連続的又は断続的に添加することによって、上記水性懸濁液のpHをコントロールしながら過酸化水素による処理を行うことからなる精製方法に関する。
以下、本発明を詳述する。
図1は、本発明の精製方法を実施するための装置の一例の概略図を示す。
1 攪拌槽
2 攪拌装置
3 pH検知制御装置
4 ポンプ
5 管路
6 アルカリ貯留槽
7 pH計
発明の詳細な開示
本発明における微生物は、細胞内に3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を蓄積している微生物であれば特に限定されない。例えばアルカリゲネス属(Alcaligenes)、ラルストニア属(Ralstonia)、シュウドモナス属(Pseudomonas)、バチルス属(Bacillus)、アゾトバクター属(Azotobacter)、ノカルディア属(Nocardia)、アエロモナス属(Aeromonas)の菌等が挙げられる。特に、アルカリゲネス・リポリティカ(A.lipolytica)、アルカリゲネス・ラトゥス(A.latus)、アエロモナス・キャビエ(A.caviae)、アエロモナス・ハイドロフィラ(A.hydrophila)、ラルストニア・ユートロファ(R.eutropha)等の菌株、更には、アエロモナス・キャビエ由来の3−ヒドロキシアルカン酸共重合体合成酵素群の遺伝子を導入した菌株、特にラルストニア・ユートロファ(R.eutropha)(旧名Alcaligenes eutrophus AC32)(ブダペスト条約に基づく国際寄託、国際寄託当局:独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地 中央第6)、寄託日1997年8月7日、寄託番号FERM BP−6038、原寄託FERM P−15786より移管)(J.Bacteriol.,179,4821−4830頁(1997))等がより好ましい。これら微生物を適切な条件で培養して菌体内に3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を蓄積させた微生物菌体が用いられる。その培養方法については特に限定されないが、例えば特開平05−93049号等に挙げられる方法が用いられる。
本発明における3−ヒドロキシアルカン酸共重合体とは、3−ヒドロキシアルカン酸から構成される共重合体の総称である。3−ヒドロキシアルカン酸成分としては特に限定されないが、具体的には、D−3−ヒドロキシブチレート(3HB)と他の3−ヒドロキシアルカン酸との共重合体、または、D−3−ヒドロキシヘキサノエート(3HH)を含む3−ヒドロキシアルカン酸の共重合体などが挙げられる。さらに、3−ヒドロキシプロピオネート、3−ヒドロキシブチレート、3−ヒドロキシバレレート、3−ヒドロキシヘキサノエート、3−ヒドロキシヘプタノエート及び3−ヒドロキシオクタノエートからなる群より選択される2種以上のモノマーから構成される共重合体なども挙げられる。なかでもモノマー成分として3HHを含む共重合体、例えば、3HBと3HHとの2成分共重合体(PHBH)(Macromolecules,28,4822−4828(1995))、または、3HBとD−3−ヒドロキシバレレート(3HV)と3HHとの3成分共重合体(PHBVH)(特許第277757号,特開平08−289797号)が、得られるポリエステルの物性の面からより好ましい。ここで3HBと3HHの2成分共重合体PHBHを構成する各モノマーユニットの組成比については特に限定されるものではないが、3HHユニットを1〜99モル%といった組成比のものが好適である。また、3HBと3HVと3HHとの3成分共重合体PHBVHを構成する各モノマーユニットの組成比については特に限定されるものではないが、例えば、3HBユニットの含量は1〜95モル%、3HVユニットの含量は1〜96モル%、3HHユニットの含量は1〜30モル%といった範囲のものが好適である。
本発明における「微生物から分離した3−ヒドロキシアルカン酸共重合体」とは、3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を含有する微生物菌体を破砕することによって、微生物から遊離した3−ヒドロキシアルカン酸共重合体のことをいう。微生物菌体の破砕方法としては特に限定されないが、従来公知の物理的破砕や、アルカリ添加による破砕等が挙げられる。
本発明における「微生物から分離した3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を含む水性懸濁液」とは、微生物から分離した3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を水に懸濁させたものであれば特に限定されない。また、悪影響がない範囲で有機溶剤が共存しても差し支えない。通常、当該懸濁液には、微生物菌体の破砕によって生じた菌体構成物質等が混入している。
上記水性懸濁液は、3−ヒドロキシアルカン酸共重合体含有菌体の懸濁液を攪拌しつつ、物理的破砕と同時にアルカリを添加することによって3−ヒドロキシアルカン酸共重合体以外の菌体構成物質の全てまたは一部を可溶化して3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を分離し、3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を水に懸濁させたものであることが好ましい。
本発明における「3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を含む水性懸濁液」の3−ヒドロキシアルカン酸共重合体濃度は、精製を効率よく行うという観点から、500g/L以下が好ましく、300g/L以下がより好ましい。
本発明においては、過酸化水素による上記水性懸濁液の処理と並行して、上記水性懸濁液にアルカリを連続的又は断続的に添加することによって、上記水性懸濁液のpHをコントロールする。これによって、過酸化水素によるタンパク質(懸濁液に残存する菌体構成物質)の分解を行うとともに、3−ヒドロキシアルカン酸共重合体の分子量の深刻な低下を防止することができる。
本発明で使用するアルカリとしては、pHを特定の範囲に調整できるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウムなどを含めたアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどの有機酸のアルカリ金属塩;ほう砂等のアルカリ金属のホウ酸塩;リン酸3ナトリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸3カリウム、リン酸水素2カリウムなどのアルカリ金属のリン酸塩;あるいはアンモニア水などが挙げられる。この中でも、工業生産に適し、また価格の点で、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウムなどが好ましい。
本発明において、アルカリの添加によってコントロールするpHの範囲は特に限定されないが、共重合体の分子量低下防止という観点から、pH7以上が好ましく、pH8以上がより好ましい。また上限はpH13以下が好ましく、pH12以下がより好ましい。特に、pH8からpH11の間で調整されることが好ましい。
コントロールするpHの上下幅としては設定値のそれぞれ1以内が好ましく、さらに好ましくは上下それぞれ0.5以内である。
本発明においては、アルカリの添加速度は特に限定されず、上記水性懸濁液のpHの推移を計測しながら、上記pHを所望の範囲にコントロールできるような速度でアルカリを添加することが好ましい。
一般に、3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を過酸化水素で処理すると、精製が進むにつれて、上記水性懸濁液のpHが徐々に下がっていく現象が見られる。本発明は、この現象を抑止するために、アルカリを連続的又は断続的に添加して上記水性懸濁液のpHを一定範囲内にコントロールするものである。pH14を越えるような過剰なアルカリを添加すると、過酸化水素の分解が起こり精製の効率が下がるだけではなく、かえって3−ヒドロキシアルカン酸共重合体の分子量の低下を招きやすい。また、アルカリの添加量が不足すれば、過酸化水素の活性が下がり十分な精製効果が得られず、また、酸性側に傾くと、3−ヒドロキシアルカン酸共重合体の分子量も大きく低下する傾向がある。適正な量のアルカリを連続的又は断続的に添加してpHをコントロールすることによってはじめて、精製効率の向上と分子量低下の抑止という2つの目的を同時に達成することができる。
本発明において、過酸化水素の添加量は特に制限されないが、水性懸濁液中の濃度として10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、1重量%以下がさらに好ましい。また適切な精製効果を得るためには、0.01重量%以上が好ましく、0.05重量%以上がより好ましく、0.1重量%以上がさらに好ましい。
特に本発明の場合、アルカリの添加による水性懸濁液のpHのコントロールによって、過酸化水素の添加量を低減しても優れた精製効果を得ることが可能となる。過酸化水素の添加量の低減は、精製工程のコストダウンや、排水処理負担の削減を可能にするため非常に好ましい。すなわち本発明においては、例えば、1重量%以下、さらには0.5重量%未満であっても優れた精製効果を得ることができる。アルカリの添加による水性懸濁液のpHのコントロールを行わず過酸化水素の処理のみを行った場合、このような低濃度では十分な精製効果を達成することができない。
本発明において、過酸化水素による処理は、室温以上の温度から水性懸濁液の沸点までの範囲で行うのが好ましい。短期間でより精製の効果を高めるために、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上で処理を行う。また、通常10分から10時間、好ましくは30分から5時間、さらに好ましくは1時間から3時間処理を行う。
過酸化水素処理を行った後、遠心分離を行って得られた沈殿物を水や有機溶媒、好ましくは親水性溶媒、具体的にはメタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフランなどの溶媒で洗浄し、乾燥させることによって、3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を単離することができる。
2 攪拌装置
3 pH検知制御装置
4 ポンプ
5 管路
6 アルカリ貯留槽
7 pH計
発明の詳細な開示
本発明における微生物は、細胞内に3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を蓄積している微生物であれば特に限定されない。例えばアルカリゲネス属(Alcaligenes)、ラルストニア属(Ralstonia)、シュウドモナス属(Pseudomonas)、バチルス属(Bacillus)、アゾトバクター属(Azotobacter)、ノカルディア属(Nocardia)、アエロモナス属(Aeromonas)の菌等が挙げられる。特に、アルカリゲネス・リポリティカ(A.lipolytica)、アルカリゲネス・ラトゥス(A.latus)、アエロモナス・キャビエ(A.caviae)、アエロモナス・ハイドロフィラ(A.hydrophila)、ラルストニア・ユートロファ(R.eutropha)等の菌株、更には、アエロモナス・キャビエ由来の3−ヒドロキシアルカン酸共重合体合成酵素群の遺伝子を導入した菌株、特にラルストニア・ユートロファ(R.eutropha)(旧名Alcaligenes eutrophus AC32)(ブダペスト条約に基づく国際寄託、国際寄託当局:独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地 中央第6)、寄託日1997年8月7日、寄託番号FERM BP−6038、原寄託FERM P−15786より移管)(J.Bacteriol.,179,4821−4830頁(1997))等がより好ましい。これら微生物を適切な条件で培養して菌体内に3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を蓄積させた微生物菌体が用いられる。その培養方法については特に限定されないが、例えば特開平05−93049号等に挙げられる方法が用いられる。
本発明における3−ヒドロキシアルカン酸共重合体とは、3−ヒドロキシアルカン酸から構成される共重合体の総称である。3−ヒドロキシアルカン酸成分としては特に限定されないが、具体的には、D−3−ヒドロキシブチレート(3HB)と他の3−ヒドロキシアルカン酸との共重合体、または、D−3−ヒドロキシヘキサノエート(3HH)を含む3−ヒドロキシアルカン酸の共重合体などが挙げられる。さらに、3−ヒドロキシプロピオネート、3−ヒドロキシブチレート、3−ヒドロキシバレレート、3−ヒドロキシヘキサノエート、3−ヒドロキシヘプタノエート及び3−ヒドロキシオクタノエートからなる群より選択される2種以上のモノマーから構成される共重合体なども挙げられる。なかでもモノマー成分として3HHを含む共重合体、例えば、3HBと3HHとの2成分共重合体(PHBH)(Macromolecules,28,4822−4828(1995))、または、3HBとD−3−ヒドロキシバレレート(3HV)と3HHとの3成分共重合体(PHBVH)(特許第277757号,特開平08−289797号)が、得られるポリエステルの物性の面からより好ましい。ここで3HBと3HHの2成分共重合体PHBHを構成する各モノマーユニットの組成比については特に限定されるものではないが、3HHユニットを1〜99モル%といった組成比のものが好適である。また、3HBと3HVと3HHとの3成分共重合体PHBVHを構成する各モノマーユニットの組成比については特に限定されるものではないが、例えば、3HBユニットの含量は1〜95モル%、3HVユニットの含量は1〜96モル%、3HHユニットの含量は1〜30モル%といった範囲のものが好適である。
本発明における「微生物から分離した3−ヒドロキシアルカン酸共重合体」とは、3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を含有する微生物菌体を破砕することによって、微生物から遊離した3−ヒドロキシアルカン酸共重合体のことをいう。微生物菌体の破砕方法としては特に限定されないが、従来公知の物理的破砕や、アルカリ添加による破砕等が挙げられる。
本発明における「微生物から分離した3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を含む水性懸濁液」とは、微生物から分離した3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を水に懸濁させたものであれば特に限定されない。また、悪影響がない範囲で有機溶剤が共存しても差し支えない。通常、当該懸濁液には、微生物菌体の破砕によって生じた菌体構成物質等が混入している。
上記水性懸濁液は、3−ヒドロキシアルカン酸共重合体含有菌体の懸濁液を攪拌しつつ、物理的破砕と同時にアルカリを添加することによって3−ヒドロキシアルカン酸共重合体以外の菌体構成物質の全てまたは一部を可溶化して3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を分離し、3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を水に懸濁させたものであることが好ましい。
本発明における「3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を含む水性懸濁液」の3−ヒドロキシアルカン酸共重合体濃度は、精製を効率よく行うという観点から、500g/L以下が好ましく、300g/L以下がより好ましい。
本発明においては、過酸化水素による上記水性懸濁液の処理と並行して、上記水性懸濁液にアルカリを連続的又は断続的に添加することによって、上記水性懸濁液のpHをコントロールする。これによって、過酸化水素によるタンパク質(懸濁液に残存する菌体構成物質)の分解を行うとともに、3−ヒドロキシアルカン酸共重合体の分子量の深刻な低下を防止することができる。
本発明で使用するアルカリとしては、pHを特定の範囲に調整できるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウムなどを含めたアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどの有機酸のアルカリ金属塩;ほう砂等のアルカリ金属のホウ酸塩;リン酸3ナトリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸3カリウム、リン酸水素2カリウムなどのアルカリ金属のリン酸塩;あるいはアンモニア水などが挙げられる。この中でも、工業生産に適し、また価格の点で、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウムなどが好ましい。
本発明において、アルカリの添加によってコントロールするpHの範囲は特に限定されないが、共重合体の分子量低下防止という観点から、pH7以上が好ましく、pH8以上がより好ましい。また上限はpH13以下が好ましく、pH12以下がより好ましい。特に、pH8からpH11の間で調整されることが好ましい。
コントロールするpHの上下幅としては設定値のそれぞれ1以内が好ましく、さらに好ましくは上下それぞれ0.5以内である。
本発明においては、アルカリの添加速度は特に限定されず、上記水性懸濁液のpHの推移を計測しながら、上記pHを所望の範囲にコントロールできるような速度でアルカリを添加することが好ましい。
一般に、3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を過酸化水素で処理すると、精製が進むにつれて、上記水性懸濁液のpHが徐々に下がっていく現象が見られる。本発明は、この現象を抑止するために、アルカリを連続的又は断続的に添加して上記水性懸濁液のpHを一定範囲内にコントロールするものである。pH14を越えるような過剰なアルカリを添加すると、過酸化水素の分解が起こり精製の効率が下がるだけではなく、かえって3−ヒドロキシアルカン酸共重合体の分子量の低下を招きやすい。また、アルカリの添加量が不足すれば、過酸化水素の活性が下がり十分な精製効果が得られず、また、酸性側に傾くと、3−ヒドロキシアルカン酸共重合体の分子量も大きく低下する傾向がある。適正な量のアルカリを連続的又は断続的に添加してpHをコントロールすることによってはじめて、精製効率の向上と分子量低下の抑止という2つの目的を同時に達成することができる。
本発明において、過酸化水素の添加量は特に制限されないが、水性懸濁液中の濃度として10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、1重量%以下がさらに好ましい。また適切な精製効果を得るためには、0.01重量%以上が好ましく、0.05重量%以上がより好ましく、0.1重量%以上がさらに好ましい。
特に本発明の場合、アルカリの添加による水性懸濁液のpHのコントロールによって、過酸化水素の添加量を低減しても優れた精製効果を得ることが可能となる。過酸化水素の添加量の低減は、精製工程のコストダウンや、排水処理負担の削減を可能にするため非常に好ましい。すなわち本発明においては、例えば、1重量%以下、さらには0.5重量%未満であっても優れた精製効果を得ることができる。アルカリの添加による水性懸濁液のpHのコントロールを行わず過酸化水素の処理のみを行った場合、このような低濃度では十分な精製効果を達成することができない。
本発明において、過酸化水素による処理は、室温以上の温度から水性懸濁液の沸点までの範囲で行うのが好ましい。短期間でより精製の効果を高めるために、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上で処理を行う。また、通常10分から10時間、好ましくは30分から5時間、さらに好ましくは1時間から3時間処理を行う。
過酸化水素処理を行った後、遠心分離を行って得られた沈殿物を水や有機溶媒、好ましくは親水性溶媒、具体的にはメタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフランなどの溶媒で洗浄し、乾燥させることによって、3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を単離することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(重合体の純度の測定方法)
重合体の水性懸濁液を遠心分離(2400rpm、15min)して上清を除去し、メタノール(ただし実施例4と比較例3の場合のみエタノールを使用)で2回洗浄した後、加熱・減圧下で乾燥して重合体の粉体を得た。重合体の粉体10mgを、クロロホルム1mlに溶解したのち、メタノール0.85mlと濃硫酸0.15mlを加えて100℃で140分間処理した。これを冷却後、硫酸アンモニア飽和水溶液0.5mlを加えて激しく攪拌して静置し、下層部をキャピラリーガスクロマトグラフィーにて分析して、重合体の純度を求めた。
(重合体の分子量の測定方法)
重合体の分子量は、菌体より分離して得られた沈殿物10mgを、クロロホルム1mlに溶解したのち、不溶物を濾過により除いた。この溶液をShodex K805L(300×8mm、2本連結)を装着したSHIMADZU社製GPCシステムを用いクロロホルムを移動相として分析した。
(重合体の溶融時のYI値の測定方法)
重合体の水性懸濁液を遠心分離(2400rpm、15min)して上清を除去し、メタノール(ただし実施例4と比較例3の場合のみエタノールを使用)で2回洗浄した後、加熱・減圧下で乾燥して各サンプルを得た。PHBHサンプルは170℃、PHBサンプルは190℃に熱したアルミブロックで10分間溶融させてペレットとし、日本電色工業(株)製分光式色彩計SE−2000で測定を行い、黄色度指数(YI値)を求めた。
(重合体中の残留窒素量の測定方法)
重合体の水性懸濁液を遠心分離(2400rpm、15min)して上清を除去し、メタノールで2回洗浄した後、加熱・減圧下で乾燥して各サンプルを得た。各サンプルに関しダイヤインスツルメンツ社製の微量窒素分析装置TN−10を用いて測定した窒素濃度に6.38をかけてタンパク質換算を行った値で表示した。
(微生物から分離したPHBHを含む水性懸濁液の調製)
PHBHの懸濁液は、アエロモナス・キャビエ由来の3−ヒドロキシアルカン酸共重合体合成酵素群遺伝子を導入したラルストニア・ユウトロファ(旧名アルカリゲネス・ユウトロファス AC32(上述の寄託番号FERM BP−6038))をJ.Bacteriol.,179,4821−4830頁(1997)に記載の方法で培養し、PHBHを約67wt%含有した菌体を得た。遠心(5000rpm、10min)によって培養液から分離したペースト状の菌体に水を加えて75g乾燥菌体/Lの水性懸濁液とし、アルカリとして水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH11.7に保ちながら攪拌と物理的破砕とを行うことでPHBH以外の菌体構成物質を可溶化し、遠心分離(3000rpm、10min)を行って沈殿物を得た。沈殿物はさらに水洗を行い、平均分子量約70万、3HHモル分率5%、純度91%のPHBHを分離した。得られたPHBHを75g/Lの水性懸濁液として、以下の実施例1〜2及び比較例1〜2で使用した。
図1は本発明の3−ヒドロキシアルカン酸共重合体の精製方法を実施するための装置の一例の概略図である。もちろん本発明はこの装置例に限定されるものではない。
(重合体の純度の測定方法)
重合体の水性懸濁液を遠心分離(2400rpm、15min)して上清を除去し、メタノール(ただし実施例4と比較例3の場合のみエタノールを使用)で2回洗浄した後、加熱・減圧下で乾燥して重合体の粉体を得た。重合体の粉体10mgを、クロロホルム1mlに溶解したのち、メタノール0.85mlと濃硫酸0.15mlを加えて100℃で140分間処理した。これを冷却後、硫酸アンモニア飽和水溶液0.5mlを加えて激しく攪拌して静置し、下層部をキャピラリーガスクロマトグラフィーにて分析して、重合体の純度を求めた。
(重合体の分子量の測定方法)
重合体の分子量は、菌体より分離して得られた沈殿物10mgを、クロロホルム1mlに溶解したのち、不溶物を濾過により除いた。この溶液をShodex K805L(300×8mm、2本連結)を装着したSHIMADZU社製GPCシステムを用いクロロホルムを移動相として分析した。
(重合体の溶融時のYI値の測定方法)
重合体の水性懸濁液を遠心分離(2400rpm、15min)して上清を除去し、メタノール(ただし実施例4と比較例3の場合のみエタノールを使用)で2回洗浄した後、加熱・減圧下で乾燥して各サンプルを得た。PHBHサンプルは170℃、PHBサンプルは190℃に熱したアルミブロックで10分間溶融させてペレットとし、日本電色工業(株)製分光式色彩計SE−2000で測定を行い、黄色度指数(YI値)を求めた。
(重合体中の残留窒素量の測定方法)
重合体の水性懸濁液を遠心分離(2400rpm、15min)して上清を除去し、メタノールで2回洗浄した後、加熱・減圧下で乾燥して各サンプルを得た。各サンプルに関しダイヤインスツルメンツ社製の微量窒素分析装置TN−10を用いて測定した窒素濃度に6.38をかけてタンパク質換算を行った値で表示した。
(微生物から分離したPHBHを含む水性懸濁液の調製)
PHBHの懸濁液は、アエロモナス・キャビエ由来の3−ヒドロキシアルカン酸共重合体合成酵素群遺伝子を導入したラルストニア・ユウトロファ(旧名アルカリゲネス・ユウトロファス AC32(上述の寄託番号FERM BP−6038))をJ.Bacteriol.,179,4821−4830頁(1997)に記載の方法で培養し、PHBHを約67wt%含有した菌体を得た。遠心(5000rpm、10min)によって培養液から分離したペースト状の菌体に水を加えて75g乾燥菌体/Lの水性懸濁液とし、アルカリとして水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH11.7に保ちながら攪拌と物理的破砕とを行うことでPHBH以外の菌体構成物質を可溶化し、遠心分離(3000rpm、10min)を行って沈殿物を得た。沈殿物はさらに水洗を行い、平均分子量約70万、3HHモル分率5%、純度91%のPHBHを分離した。得られたPHBHを75g/Lの水性懸濁液として、以下の実施例1〜2及び比較例1〜2で使用した。
図1は本発明の3−ヒドロキシアルカン酸共重合体の精製方法を実施するための装置の一例の概略図である。もちろん本発明はこの装置例に限定されるものではない。
PHBHの水性懸濁液50mlを、pH電極を装着した100ml攪拌槽に入れて70℃に保温した。pH電極は丸菱バイオエンジン社製ラボコントローラーMDL−6C型に接続し、pHが設定値以下になるとペリスタポンプが作動して水酸化ナトリウム水溶液が設定値に達するまで該懸濁液内に入るように設定した。ラボコントローラーのpHを10に設定し、該懸濁液に30%過酸化水素水を過酸化水素濃度がポリマー重量に対して5重量%(懸濁液重量に対して0.375重量%)となるように添加して1時間攪拌を行った。次いでこの懸濁液を遠心分離によって2回水洗し、さらにメタノールで2回洸浄を行ったあと、乾燥して粉体を得た。
同様にラボコントローラーのpHを7および8に設定して上記処理を行った。これらの結果を表1に示す。
この結果から、過酸化水素処理時にアルカリを添加してpHをコントロールすると、共重合体の純度が向上し残留窒素量が減少するとともに、共重合体の分子量は変化せず、さらには共重合体の溶融時の黄変が抑えられることが分かった。
同様にラボコントローラーのpHを7および8に設定して上記処理を行った。これらの結果を表1に示す。
この結果から、過酸化水素処理時にアルカリを添加してpHをコントロールすると、共重合体の純度が向上し残留窒素量が減少するとともに、共重合体の分子量は変化せず、さらには共重合体の溶融時の黄変が抑えられることが分かった。
上記と同様な処理を行って得られた分子量148万、3HHモル分率7%、純度99%のPHBH110gを水1000mlに懸濁させた懸濁液を作成し、pH電極とシルバーソンミキサーを装着した2000ml攪拌槽に入れて70℃に保温した。pH電極は丸菱バイオエンジン社製ラボコントローラーMDL−6C型に接続し、pHが設定値以下になるとペリスタポンプが作動して水酸化ナトリウム水溶液が設定pH10に達するまで該懸濁液内に入るように設定した。シルバーソンミキサーの回転数を5000回転に設定し、該懸濁液に30%過酸化水素水を過酸化水素濃度がポリマー重量に対して5重量%(懸濁液重量に対して0.375重量%)となるように添加して50分間攪拌を行った。次いでこの懸濁液を遠心分離によって3回水洗し、さらにメタノールで2回洗浄を行ったあと、乾燥して粉体を得た。結果を表3に示す。
この結果から、アルカリを添加してpHをコントロールしながら過酸化水素処理を行うと、共重合体の分子量は変化せず、共重合体の溶融時の黄変が抑えられることが分かった。
(比較例1)
実施例1で用いたものと同じPHBHの水性懸濁液(pH7.19)(処理1)50mlと、これに水酸化ナトリウムを添加してpH9.16とした懸濁液(処理2)50mlを、それぞれ、100ml攪拌槽にいれて70℃に保温した。該懸濁液に30%過酸化水素水を過酸化水素濃度がポリマー重量に対して5重量%(懸濁液重量に対して0.375重量%)となるように添加し、pHの調整を行わずに3時間攪拌した。次いでこの懸濁液を遠心分離によって2回水洗し、さらにメタノールで2回洗浄を行ったあと、乾燥して粉体を得た。この結果を表4に示す。
この結果から、pHの調整をせずに過酸化水素の処理を行うと、共重合体の分子量は処理前の分子量の90%未満にまで低下することが分かった。
(比較例2)
実施例1で用いたPHBHの懸濁液50mlのpHを希塩酸を用いてpH5に調整し、実施例1と同様にpH電極を装着した100mlの攪拌槽に入れて70℃に保温した。ラボコントローラーのpHを5に設定して、30%過酸化水素水を過酸化水素濃度がポリマー重量に対して5重量%(懸濁液重量に対して0.375重量%)となるように添加し、1時間攪拌を行った。次いでこの懸濁液を遠心分離によって2回水洗し、さらにメタノールで2回洗浄を行ったあと、乾燥して粉体を得た。結果を表5に示す。
以上の結果から、酸によってpHをコントロールしながら共重合体の過酸化水素処理を行うと、共重合体の純度は向上し、溶融時の黄変は抑えられたものの、共重合体の分子量が大幅に低下することが判明した。
この結果から、アルカリを添加してpHをコントロールしながら過酸化水素処理を行うと、共重合体の分子量は変化せず、共重合体の溶融時の黄変が抑えられることが分かった。
(比較例1)
実施例1で用いたものと同じPHBHの水性懸濁液(pH7.19)(処理1)50mlと、これに水酸化ナトリウムを添加してpH9.16とした懸濁液(処理2)50mlを、それぞれ、100ml攪拌槽にいれて70℃に保温した。該懸濁液に30%過酸化水素水を過酸化水素濃度がポリマー重量に対して5重量%(懸濁液重量に対して0.375重量%)となるように添加し、pHの調整を行わずに3時間攪拌した。次いでこの懸濁液を遠心分離によって2回水洗し、さらにメタノールで2回洗浄を行ったあと、乾燥して粉体を得た。この結果を表4に示す。
この結果から、pHの調整をせずに過酸化水素の処理を行うと、共重合体の分子量は処理前の分子量の90%未満にまで低下することが分かった。
(比較例2)
実施例1で用いたPHBHの懸濁液50mlのpHを希塩酸を用いてpH5に調整し、実施例1と同様にpH電極を装着した100mlの攪拌槽に入れて70℃に保温した。ラボコントローラーのpHを5に設定して、30%過酸化水素水を過酸化水素濃度がポリマー重量に対して5重量%(懸濁液重量に対して0.375重量%)となるように添加し、1時間攪拌を行った。次いでこの懸濁液を遠心分離によって2回水洗し、さらにメタノールで2回洗浄を行ったあと、乾燥して粉体を得た。結果を表5に示す。
以上の結果から、酸によってpHをコントロールしながら共重合体の過酸化水素処理を行うと、共重合体の純度は向上し、溶融時の黄変は抑えられたものの、共重合体の分子量が大幅に低下することが判明した。
上記と同様な処理を行って得られた分子量80万、3HHモル分率5%、純度>99%のPHBHの懸濁液50mlに対して、実施例1と同様の処理を行った。ただしラボコントローラーはpH8に設定した。この結果を表6に示す。
(比較例3)
過酸化水素を添加しないこと以外は、実施例4と同様の処理を行った。この結果を表6に示す。
表6の結果から、アルカリを添加してpHをコントロールしながら過酸化水素処理を行うことで、共重合体の分子量の低下を防止し、共重合体の溶融時の黄変を抑えられるが、過酸化処理を行わずにアルカリ添加によるpHコントロールのみを行った場合は、分子量は低下し、溶融時の黄変もほとんど抑制できないことがわかった。
(参考例1)
ポリ−3−ヒドロキシブチレート[アルドリッチ社製、純度95%、分子量65万]の10%水性懸濁液に30%過酸化水素水を過酸化水素濃度がポリマー重量に対して5重量%(懸濁液重量に対して0.375重量%)となるように添加した。この水性懸濁液のpHを調整せずに、70℃で3時間加熱攪拌した。次いでこの懸濁液を遠心分離によって2回水洗し、さらにメタノールで2回洗浄を行ったあと、乾燥して粉体を得た。この粉体の結果を表7に示す。
単独重合体に対してpHの調整をせずに過酸化水素処理を行っても、分子量の低下はみられず、溶融時の黄変も抑えられることが分かった。
(参考例2)
PHB[純度95%、分子量65万]の10%水性懸濁液のpHを希塩酸でpH5にし、70℃で保温した。該懸濁液に30%過酸化水素水を過酸化水素濃度がポリマー重量に対して5重量%(懸濁液重量に対して0.375重量%)となるように添加して、3時間攪拌を行った。次いでこの懸濁液を遠心分離によって2回水洗し、さらにメタノールで2回洗浄を行ったあと乾燥して粉体のPHBを得た。この粉体の分子量は65万であり、過酸化水素処理前の分子量を保持していた。PHBは酸を添加して過酸化水素処理を行っても分子量を保持していることがわかった。
参考例1及び2の結果から、単独重合体の場合には過酸化水素処理の際にアルカリでpHをコントロールしなくとも分子量が低下しないことがわかった。すなわち、過酸化水素処理の際に分子量が低下するのは共重合体に特異な現象であり、本発明の精製方法によればこの共重合体の分子量低下を防止することができる。
(比較例3)
過酸化水素を添加しないこと以外は、実施例4と同様の処理を行った。この結果を表6に示す。
表6の結果から、アルカリを添加してpHをコントロールしながら過酸化水素処理を行うことで、共重合体の分子量の低下を防止し、共重合体の溶融時の黄変を抑えられるが、過酸化処理を行わずにアルカリ添加によるpHコントロールのみを行った場合は、分子量は低下し、溶融時の黄変もほとんど抑制できないことがわかった。
(参考例1)
ポリ−3−ヒドロキシブチレート[アルドリッチ社製、純度95%、分子量65万]の10%水性懸濁液に30%過酸化水素水を過酸化水素濃度がポリマー重量に対して5重量%(懸濁液重量に対して0.375重量%)となるように添加した。この水性懸濁液のpHを調整せずに、70℃で3時間加熱攪拌した。次いでこの懸濁液を遠心分離によって2回水洗し、さらにメタノールで2回洗浄を行ったあと、乾燥して粉体を得た。この粉体の結果を表7に示す。
単独重合体に対してpHの調整をせずに過酸化水素処理を行っても、分子量の低下はみられず、溶融時の黄変も抑えられることが分かった。
(参考例2)
PHB[純度95%、分子量65万]の10%水性懸濁液のpHを希塩酸でpH5にし、70℃で保温した。該懸濁液に30%過酸化水素水を過酸化水素濃度がポリマー重量に対して5重量%(懸濁液重量に対して0.375重量%)となるように添加して、3時間攪拌を行った。次いでこの懸濁液を遠心分離によって2回水洗し、さらにメタノールで2回洗浄を行ったあと乾燥して粉体のPHBを得た。この粉体の分子量は65万であり、過酸化水素処理前の分子量を保持していた。PHBは酸を添加して過酸化水素処理を行っても分子量を保持していることがわかった。
参考例1及び2の結果から、単独重合体の場合には過酸化水素処理の際にアルカリでpHをコントロールしなくとも分子量が低下しないことがわかった。すなわち、過酸化水素処理の際に分子量が低下するのは共重合体に特異な現象であり、本発明の精製方法によればこの共重合体の分子量低下を防止することができる。
本発明の3−ヒドロキシアルカン酸共重合体の精製方法によれば、きわめて簡便な方法によって、3−ヒドロキシアルカン酸共重合体の過酸化水素処理時の深刻な分子量の低下を防止し、かつ、高純度で溶融時の黄変や異臭のない3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を高収率で得ることができる。
この方法により得られる極めて高純度な3−ヒドロキシアルカン酸共重合体は幅広い用途に用いることができ、工業的に非常に有用である。
この方法により得られる極めて高純度な3−ヒドロキシアルカン酸共重合体は幅広い用途に用いることができ、工業的に非常に有用である。
Claims (10)
- 微生物が産生した3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を精製する方法であって、
微生物から分離した3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を含む水性懸濁液にアルカリを連続的又は断続的に添加することによって、前記水性懸濁液のpHをコントロールしながら過酸化水素による処理を行うことを特徴とする精製方法。 - 水性懸濁液のpHを7〜13の間にコントロールすることを特徴とする請求の範囲第1項記載の精製方法。
- 水性懸濁液中の過酸化水素の濃度が0.01重量%〜1重量%の範囲であることを特徴とする請求の範囲第1又は2項記載の精製方法。
- 3−ヒドロキシアルカン酸共重合体が、D−3−ヒドロキシヘキサノエートと他のD−3−ヒドロキシアルカン酸との共重合体である請求の範囲第1〜3項のいずれかに記載の精製方法。
- 3−ヒドロキシアルカン酸共重合体が、3−ヒドロキシプロピオネート、3−ヒドロキシブチレート、3−ヒドロキシバレレート、3−ヒドロキシヘキサノエート、3−ヒドロキシヘプタノエート及び3−ヒドロキシオクタノエートからなる群より選択される2種以上のモノマーから構成される共重合体である請求の範囲第1〜3項のいずれかに記載の精製方法。
- 3−ヒドロキシアルカン酸共重合体が、D−3−ヒドロキシヘキサノエートとD−3−ヒドロキシブチレートとの2成分共重合体、または、D−3−ヒドロキシヘキサノエートとD−3−ヒドロキシブチレートとD−3−ヒドロキシバレレートとの3成分共重合体である請求の範囲第1〜3項のいずれかに記載の精製方法。
- 3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を産生する微生物が、アエロモナス属に属する微生物である請求の範囲第1〜6項のいずれかに記載の精製方法。
- 3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を産生する微生物が、アエロモナス・キャビエまたはアエロモナス・ハイドロフィラである請求の範囲第7項記載の精製方法。
- 3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を産生する微生物が、アエロモナス・キャビエ由来の3−ヒドロキシアルカン酸共重合体合成酵素群遺伝子を導入された菌株である請求の範囲第1〜6項のいずれかに記載の精製方法。
- 3−ヒドロキシアルカン酸共重合体の水性懸濁液が、3−ヒドロキシアルカン酸共重合体含有菌体の懸濁液を攪拌しつつ、物理的破砕と同時にアルカリを添加することによって3−ヒドロキシアルカン酸共重合体以外の菌体構成物質の全てまたは一部を可溶化して3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を分離し、3−ヒドロキシアルカン酸共重合体を水に懸濁させたものである請求の範囲第1〜9項のいずれかに記載の精製方法。
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