JP2001340095A - 生体細胞からのポリヒドロキシアルカン酸の分離方法 - Google Patents

生体細胞からのポリヒドロキシアルカン酸の分離方法

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Takeshi Imamura
剛士 今村
Takashi Kenmoku
敬 見目
Tomohiro Suzuki
智博 鈴木
Tsutomu Honma
務 本間
Takeshi Nomoto
毅 野本
Etsuko Sugawa
悦子 須川
Tetsuya Yano
哲哉 矢野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微生物生産ポリエステルであるポリヒドロキ
シアルカン酸(PHA)を、ラージスケールにおいて有機
溶剤の使用を最小限の量にとどめることができ、かつ効
率的に分離可能な方法を提供する。 【解決手段】 ポリヒドロキシアルカン酸を含有する生
体細胞から、ポリヒドロキシアルカン酸を回収する方法
であって、該生体細胞にマイクロ波を照射する工程を含
むことを特徴とする生体細胞からのポリヒドロキシアル
カン酸の分離方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微生物により生産
・蓄積されたポリヒドロキシアルカン酸の、生体細胞か
らの分離方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリ3-ヒドロキシ酪酸(PHB)に代表
される微生物産生ポリエステル(ポリヒドロキシアルカ
ン酸;以下PHAと記載)は、石油由来の合成高分子と
は異なり、生物により分解されうるという特性を有して
いる。人類は長年にわたって合成高分子をプラスチック
等として使用してきたが、それらのプラスチックが廃棄
物となった場合、その分解されにくいという性質が災い
し、廃棄物処理場に蓄積される。また、焼却処理を行な
うことにより、ダイオキシンや環境ホルモン等の有害物
質の原因となり、環境汚染を引き起こすことが問題とな
っている。一方、微生物産生PHAは生分解されること
により自然の物質循環に取り込まれるので、環境保全を
可能とするプラスチックとして利用することができる。
また、医療用軟質部材としても今後有用視される可能性
を有している(特開平5-159号公報)。
【0003】これまで、多くの細菌がPHB或いはその
他のヒドロキシアルカン酸とのコポリマーを菌体内に生
成・蓄積することが報告されてきた(「生分解性プラス
チックハンドブック」(生分解性プラスチック研究会
編;(株)エヌ・テイー・エス)、p178-197)。特に、アル
カリゲネス・ユウトロファスH16株(Alcaligenes eutr
ophus H16、ATCC No.17699)及びその変異株はこ
れらポリマーの生産に関し詳細に研究されてきており、
基質となる炭素源を変化させることによって、3-ヒド
ロキシ酪酸(3HB)と3-ヒドロキシ吉草酸(3HV)の
共重合体または両者の各単位を共に含有成分とする共重
合体を様々な割合で生成することが開示されている(特
公平6-15604号公報、特公平7-14 352号公
報、特公平8-19227号公報等)。
【0004】特許公報第2642937号には、シュー
ドモナス・オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)
ATCC 29347株に、炭素源として非環状脂肪族炭化水
素を与えることにより、炭素数が6から12までの3-
ヒドロキシアルカン酸(3HA)をモノマーユニットとす
るポリエステルを生産することが開示されている。
【0005】特開平5-74492号公報には、メチロ
バクテリウム(Methylobacterium)属、パラコッカス(P
aracoccus)属、アルカリゲネス属、シュードモナス属の
バクテリアを、炭素数3から7の第一アルコールに接触
させることにより3HBと3HVの共重合ポリエステル
を生産せしめる方法が開示されている。
【0006】特開平5-93049号公報、及び特開平
7-265065号公報には、アエロモナス・キャビエ
(Aeromonas Caviae)がオレイン酸やオリーブオイル
を炭素源として培養することにより3HBと3-ヒドロ
キシヘキサン酸(3HHx)の2成分共重合ポリエステル
を生産することが開示されている。
【0007】特開平9-191893号公報には、コマ
モナス・アシドボランス(Comamonas acidovorans)I
FO 13852株が、炭素源としてグルコン酸及び1,4ブ
タンジオールを用いた培養により、3HBと4-ヒドロ
キシ酪酸(4HB)をモノマーユニットに持つポリエステ
ルを生産することが開示されている。
【0008】この様な、微生物により生産・蓄積された
PHAは、通常PHAが溶解する有機溶剤、具体的には
クロロホルムやジクロロメタン等の塩素系有機溶剤で菌
体から抽出する方法が一般的である。しかし、大規模生
産を考えた場合、微生物菌体よりPHAを分離するため
には、上記の方法では大量に塩素系有機溶剤を使用する
こととなり、現実的ではない。
【0009】この様な観点から、微生物菌体等の生体細
胞からPHAを分離する際に、有機溶剤を使用しない方
法が様々に研究されてきている。
【0010】特開昭57-174094号公報には、P
HA蓄積菌体を加温加圧し、圧力を開放することにより
菌体を破砕して微生物菌体からPHAを分離する方法が
開示されている。
【0011】米国特許4562245号公報及び特開昭
59-205992号公報には、PHB含有菌体をタン
パク質分解酵素組成物で細胞を消化し、PHBを分離す
る方法が開示されている。
【0012】米国特許4910145号公報及び特開昭
60-145097号公報には、タンパク質分解酵素や
界面活性剤等の細胞成分可溶化剤をもちいてPHBを菌
体から分離する方法が開示されている。
【0013】特開昭63-226291号公報には、菌
体をスフェロプラストヘ変換し、音波振動処理によって
これらを破砕し、そして遠心分離したのちに形成される
最上層のPHAを分離する方法が記載されている。
【0014】特開平5-336982号公報には、PH
A蓄積微生物の細胞質をプロテアーゼで溶解させ、界面
活性剤を用いて当該重合体及び/又は共重合体を精製す
る方法が開示されている。
【0015】特開平7-31487号公報、特開平7-3
1488号公報、特開平7-31489号公報には、P
HB含有菌体をアルカリで処理し、PHBを分離する方
法、高温高圧処理し、PHBを分離する方法、両者を組
み合わせてPHBを分離する方法が開示されている。
【0016】特表平8-508881号公報には、PH
A蓄積菌体をタンパク質分解酵素処理した後、適当なキ
レート剤で処理し、更に過酸化水素処理を行なうことで
PHAを菌体から分離する方法が開示されている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】このように、微生物生
産ポリエステルであるポリヒドロキシアルカン酸(PH
A)を、溶媒を使用せずに分離する方法は様々開示され
てきているが、回収率が上がらない、純度が高くない、
分子量が低下するなど、様々な問題点が少なからず存在
し、実用上必ずしも十分であるとは言えない。一方PH
Aの利用は今後ますます拡がっていくことが予想され、
PHAをラージスケールで効率的に、かつ高純度・高品
質で分離する必要性はますます高まっている。従来分離
プロセスではかかる理想的分離には多量の有機溶剤とり
わけ塩素系有機溶剤が大量に必要とされていたが、これ
を最小限の使用量で分離効率・品質を保つことを可能に
すること、あるいは全く使用しない場合でも従来よりも
分離効率・品質にかなりの改善が認められるような方法
の開発が強く望まれていた。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、この様な
課題を解決すべく鋭意研究の結果以下のような、微生物
菌体等の生体細胞からのポリヒドロキシアルカン酸(P
HA)の分離方法を発明するに至った。即ち本発明は、
ポリヒドロキシアルカン酸を含有する生体細胞から、ポ
リヒドロキシアルカン酸を回収する方法であって、該生
体細胞にマイクロ波を照射する工程を含むことを特徴と
する生体細胞からのポリヒドロキシアルカン酸の分離方
法に関するものである。
【0019】
【発明の実施の形態】マイクロ波を照射した後の処理方
法の一つは、マイクロ波を照射した該微生物菌体等の生
体細胞をポリヒドロキシアルカン酸が溶解しうる溶媒に
より回収し、次いでPHAが溶解しない溶媒によりポリ
ヒドロキシアルカン酸を洗浄する方法がある。この場
合、PHAが溶解しうる溶媒として、従来から抽出に用
いられているクロロホルムを用いた場合はいかなるヒド
ロキシアルカン酸ユニットを含んでいるPHAでも非常
に良好な結果が得られる。溶媒の使用量はPHAの溶解
に必要なだけでよく、例えばマイクロ波を照射した該微
生物菌体1g(乾燥重量)当たり 0.1mLから 15mL、好ま
しくは1mLから 10mLあればよい。すなわち従来の抽
出のみのプロセスのように問題となる大量使用の必要が
ない。
【0020】炭素数が6以上のヒドロキシアルカン酸ユ
ニットが組成の大部分をなすPHAであればより害の少
ないアセトンでも良好に溶解する。更にユニットの構造
によってはジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニ
トリルも用いることができる。
【0021】また、PHAが溶解しない溶媒としては、
メタノール、エタノールを用いることができる。
【0022】マイクロ波を照射した後の処理方法のもう
一つは、マイクロ波を照射した該水性懸濁液を、PHA
以外の微生物菌体等の生体細胞成分の可溶化剤処理を行
なう工程を含む方法がある。この場合、可溶化剤として
は、菌体成分加水分解酵素或いは界面活性剤、或いはそ
の両方が使用される。用いる菌体成分加水分解酵素とし
てはプロテアーゼ、リパーゼ、リゾチーム、パパイン
等、通常菌体成分加水分解酵素として用いられているも
のならいかなるものでも使用可能である。用いる界面活
性剤としては、硫酸ドデシルナトリウム塩(SDS)やト
リトンX等、通常菌体成分を変成・可溶化させうるよう
なものならいかなる物でも用いることができる。
【0023】更に、マイクロ波照射と併せて、菌体の水
性懸濁液のpHを 10以上に調整する方法もとりうる。具
体的には水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを 0.01mo
l/Lから 0.5mol/L(0.01規定から 0.5規定)程度の濃度
で加え、よく攪拌した後にマイクロ波照射を行なうと良
いが、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの濃度は用い
る微生物によって異なり、PHAの分子量低下や変成を
防ぐために最小限にとどめることが望ましい。
【0024】逆に、菌体の水性懸濁液のpHを2以下に
調整する方法もとりうる。具体的には硫酸を 10%から
50%(v/v)程度の濃度で加え、よく攪拌した後にマイク
ロ波照射を行なうと良いが、硫酸の濃度は用いる微生物
によって異なり、PHAの分子量低下や変成を防ぐため
に最小限にとどめることが望ましい。
【0025】これらのようにpHを調整した後マイクロ
波を照射した場合には、中和操作が必要となるが、処理
後の溶液を直接中和した場合は不溶成分が多量に発生す
るので、反応後一旦遠心分離等で分離した後、再懸濁液
を中和することが望ましい。
【0026】更に、マイクロ波照射と併せて、菌体の水
性懸濁液に予め界面活性剤処理を行なう方法もとりう
る。用いる界面活性剤としては、硫酸ドデシルナトリウ
ム塩(SDS)やトリトンX等、通常菌体成分を変成・可
溶化させうるようなものならいかなる物でも用いること
ができる。
【0027】マイクロ波処理方法では、菌体質量の5か
ら 50倍量、好ましくは 10から 30倍量の水性媒体を用
いて、100mL当り出力 0.5から2kW、好ましくは 0.8
から1.7kWの高周波(周波数 900から 2500MHz程度)を
照射する方法が用いられる。実験室レベルでは市販の電
子レンジで十分であるが、大規模な抽出操作の場合には
特開平8-20009号公報に開示されているような大
型の装置が必要となる。
【0028】本発明の方法を用いることができる生体細
胞は、体内にPHAを蓄積する等の生体細胞であればい
かなる等の生体細胞でもよく、主には微生物菌体、更に
はPHA生産遺伝子を組み換えた植物細胞にも応用する
ことができる。
【0029】以下実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。
【0030】各実施例で用いたM9培地は下記の組成を
有するものである。 M9培地組成(1リットル中): Na2HPO4 6.2g KH2PO4 3.0g NaCl 0.5g NH4Cl 1.0g 水 残部 (pH7.0) 本実施例で用いた微生物はラルストニア ユウトロファ
TB64株(Ralstoniaeutropha TB64、特開2000-
166587号公報に開示;経済産業省産業技術総合研
究所生命工学工業技術研究所に寄託(寄託番号:FERM
BP-6933))、及びシュードモナス オレオボランス(Ps
eudomonas oleovorans)ATCC 29347(American Ty
pe Culture Collection より分譲)である。
【0031】
【実施例】[実施例1]ピルビン酸ナトリウム 0.1%を含
有するM9寒天培地上のTB64株のコロニーを、500mL
容振とうフラスコ中の、ピルビン酸ナトリウム 0.5%を
含有するM9培地 200mLに植菌し、30℃で振とう培養
した。24時間後、菌体を遠心分離によって収穫し、窒素
源であるNH4Clを含まない、ピルビン酸ナトリウム
0.5%を含有するM9培地 200mLに再懸濁し、同様に振
とうして菌体にPHBを蓄積させた。24時間後、PHB
蓄積菌体を遠心分離によって収穫し、蒸留水 40mLに再
懸濁して4等分した。これらを1から4まで番号をつ
け、以下の処理を行なった。
【0032】1:対照:メタノールで洗浄し、凍結乾燥
して秤量した後クロロホルムで 60℃、24時間抽出操作
を行なった。
【0033】2:5mol/L(5規定)の水酸化ナトリウム
を、最終濃度 0.1mol/L(0.1規定)になるように加え、
室温で 10分間攪拌した。
【0034】3:1の操作を行なった後、家庭用電子レ
ンジ(0.8kW、2450MHz)で5分間処理した。
【0035】4:家庭用電子レンジ(0.8kW、2450MH
z)で8分間処理した。
【0036】番号2から4は、処理後蒸留水 30mLを加
え良く攪拌した後遠心分離(8000rpm、10分間)し、更に
再度後蒸留水 40mLを加え良く攪拌した後遠心分離し
(2に関しては希塩酸によりpH7程度まで中和し)、沈
殿物を凍結乾燥し、秤量した。
【0037】以下に示す「回収率」及び「純度」を評価
する為、次の操作を行なった。
【0038】凍結乾燥した1から4までの試料にクロロ
ホルム 30mLを加え、60℃で 24時間攪拌抽出操作を行
なった。PHBが抽出されたクロロホルム溶液を 0.45
μmのPTFEフィルターでろ過し、ロータリーエバポ
レーターで濃縮して 10倍量のメタノールに注加しPH
Bを沈殿、回収した。これらを減圧乾燥して秤量した。
【0039】対照である1における、クロロホルム抽出
によって得られたPHBに対する、対から、のクロロホ
ルム抽出によって得られたPHBの質量比を回収率、各
試料の、クロロホルム抽出前の試料に対するクロロホル
ム抽出によって得られたPHBの質量比を純度とし、表
1に示す。
【0040】
【表1】 回収率、純度とも、マイクロ波(電子レンジ)処理のみを
行なった試料(4)が最も良好であった。
【0041】得られたPHBは、ゲルパーミエーション
クロマトグラフイー(GPC;東ソーHLC-8020、カラ
ム:ポリマーラボラトリーPLgelMIXED-C(5μ
m)、溶媒:クロロホルム、ポリスチレン換算)により分
子量を測定した。結果を表2に示す。なお、「試料2」
はピークが2つに分離したため両方を示す。
【0042】
【表2】 対照に対する分子量の低下は、マイクロ波(電子レンジ)
処理のみを行なった試料(4)では全く見られなかった。
【0043】[実施例2]実施例1と同様にして得られた
TB64株のPHB蓄積菌体(各培養液 50mL分)を 10mL
の蒸留水に再懸濁した試料を2サンプル用意し、試料5
及び6として、以下の処理を行なった。
【0044】5:家庭用電子レンジ(0.8kW、2450MHz)
で5分間処理した。
【0045】6:5の処理を行なった後、最終濃度 0.2
%となるようにSDS水溶液を加え、1分間激しく攪拌
した。
【0046】各サンプルは、実施例1と同様に、処理後
蒸留水 30mLを加え良く攪拌した後遠心分離(8000rp
m、10分間)し、更に再度後蒸留水 40mLを加え良く攪
拌した後遠心分離し、沈殿物を凍結乾燥し、秤量した。
【0047】これらの試料を実施例1と同様にクロロホ
ルム抽出し、回収率及び純度を求めた。結果を表3に示
す。なお、回収率の対照は実施例1における試料1のデ
ータを用いた。
【0048】
【表3】 実施例1に比べ温和な条件でマイクロ波処理し、更に界
面活性剤であるSDS処理を行なうことにより、高い回
収率及び純度でPHBを回収することが可能であった。
【0049】得られたPHBは実施例1と同様にGPC
で分子量を測定した。結果を表4に示す。
【0050】
【表4】 分子量の低下は全く見られなかった。
【0051】[実施例3]n-ノナン酸 0.1%を含有するM
9寒天培地上のシュードモナス・オレオボランスのコロ
ニーを、500mL容振とうフラスコ中の、n-ノナン酸 0.2
%を含有するM9培地 200mLに植菌し、30℃で振とう
培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって収穫し、
窒素源であるNH4Clを含まず、n-ノナン酸 0.1%及び
5-フェニル吉草酸 0.1%を含有するM9培地 200mLに
再懸濁し、同様に振とうして菌体に3-ヒドロキシノナ
ン酸、3-ヒドロキシヘプタン酸、3-ヒドロキシ吉草
酸、及び3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸をユニッ
トとして含むPHAを蓄積させた。24時間後、PHA蓄
積菌体を遠心分離によって収穫し、以下の処理を行なっ
た。
【0052】7:対照:メタノールで洗浄し、凍結乾燥
して秤量した後クロロホルムで 60℃、24時間抽出操作
を行なった。
【0053】8:30%硫酸水溶液 50mLに懸濁し、室温
で 24時間攪拌した。
【0054】9:30%硫酸水溶液 50mLに懸濁した後、
家庭用電子レンジ(0.8kW、2450MHz)で1分間処理を
3回繰り返した。
【0055】これらの試料を実施例1と同様にクロロホ
ルム抽出し、回収率及び純度を求めた。結果を表5に示
す。
【0056】
【表5】 得られたPHAは実施例1と同様にGPCで分子量を測
定した。結果を表6に示す。
【0057】
【表6】 硫酸を加え、マイクロ波処理することにより、幾つかの
ユニットを含んだPHA成分が、高純度、高回収率で分
子量低下もそれ程なしに回収することが可能であった。
【0058】
【発明の効果】本発明の方法により、微生物等の生体細
胞内に蓄積されたポリヒドロキシアルカン酸を、簡便な
方法で、且つ本来の分子量をほぼ保ったままで、高い回
収率で回収することが可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:38) C12R 1:38) (72)発明者 鈴木 智博 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 本間 務 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 野本 毅 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 須川 悦子 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 矢野 哲哉 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリヒドロキシアルカン酸を含有する生
    体細胞から、ポリヒドロキシアルカン酸を回収する方法
    であって、該生体細胞にマイクロ波を照射する工程を含
    むことを特徴とする生体細胞からのポリヒドロキシアル
    カン酸の分離方法。
  2. 【請求項2】 マイクロ波を照射した該生体細胞をポリ
    ヒドロキシアルカン酸が溶解しうる溶媒で処理すること
    によりポリヒドロキシアルカン酸を回収し、次いでポリ
    ヒドロキシアルカン酸が溶解しない溶媒により該回収さ
    れたポリヒドロキシアルカン酸を洗浄する工程を含む請
    求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 該ポリヒドロキシアルカン酸が溶解しう
    る溶媒がクロロホルム、アセトン、ジオキサン、テトラ
    ヒドロフラン、アセトニトリルのいずれか一つである請
    求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 該ポリヒドロキシアルカン酸が溶解しう
    る溶媒の使用量がマイクロ波を照射した該生体細胞1g
    (乾燥重量)当たり1mLから10mLである請求項2に記
    載の方法。
  5. 【請求項5】 該ポリヒドロキシアルカン酸が溶解しな
    い溶媒がメタノール、エタノールのいずれか一つである
    請求項2に記載の方法。
  6. 【請求項6】 マイクロ波を照射した該生体細胞を、ポ
    リヒドロキシアルカン酸以外の生体細胞成分を可溶化剤
    を用いて溶解処理を行なう工程を含む請求項1に記載の
    方法。
  7. 【請求項7】 該可溶化剤がタンパク質分解酵素及び/
    或いは界面活性剤である請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 該生体細胞のpHを10以上に調整する
    請求項1に記載の方法。
  9. 【請求項9】 該生体細胞のpHを2以下に調整する請
    求項1に記載の方法。
  10. 【請求項10】 該生体細胞に硫酸を加えることを特徴
    とする請求項9に記載の方法。
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