JP2000166587A - 生物を用いた高分子微粒子の製造方法 - Google Patents

生物を用いた高分子微粒子の製造方法

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JP2000166587A
JP2000166587A JP10344508A JP34450898A JP2000166587A JP 2000166587 A JP2000166587 A JP 2000166587A JP 10344508 A JP10344508 A JP 10344508A JP 34450898 A JP34450898 A JP 34450898A JP 2000166587 A JP2000166587 A JP 2000166587A
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JP10344508A
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English (en)
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Yuji Kawabata
裕司 川畑
Takeshi Imamura
剛士 今村
Etsuko Sugawa
悦子 須川
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Original Assignee
Canon Inc
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  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 微粒子状での用途に利用できる高分子微粒子
を生体からその形状を維持した状態で分離することがで
きる生体からの高分子微粒子の製造方法を提供するこ
と。 【解決手段】 高分子微粒子を生産蓄積している生体
と、高分子微粒子以外の生体成分を可溶化する可溶剤と
を接触させて得られた混合物から高分子微粒子を回収
し、乾燥させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生物の代謝反応を
利用した高分子材料として有用な高分子微粒子の製造方
法に関するものである。より詳しくは、微生物等の生体
が産生する高分子微粒子をそのままの形状で取得するこ
とができ、成形工程を経ずにそのまま微粒子状での用途
に利用できることも可能とする生体からの高分子微粒子
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高分子材料は現代の産業や生活に不可欠
のものであり、安価軽量であること、成形性がよいこと
などから家電品の筐体をはじめ包装材や緩衝材、あるい
は繊維材料など多岐にわたって使用されている。これら
高分子材料の中で主に構造材として用いられているプラ
スチックは世界中で年間1.2億トンも生産されており、
その一方で廃棄されるプラスチックはその50%以上とい
われている。この廃棄プラスチックの処理方法は主に焼
却あるいは埋め立てであるが、ポリ塩化ビニルなどの含
塩素プラスチックを焼却処理するとダイオキシンなどの
さらに有害物質を生成する場合があり、環境面への影響
といった点において問題が多い。また、埋め立て方法は
広大な処理場を必要とする上、最近ではプラスチックあ
るいはこれに含まれる可塑剤などが流出して、これが生
体に対して内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)として
働いている場合があることが明らかになってきている。
従って、このような廃棄プラスチックを減量する技術開
発は、限りある資源の有効利用や環境保全の観点からも
急務である。
【0003】廃棄プラスチックを減らす方法としては、 1.使用しているプラスチック材が本当に必要なのか、
代替の材料はないのかを再考する、 2.不必要・過剰な使用をやめて、プラスチックの使用
量を減らす、 3.廃棄プラスチックを原料として回収し、再度プラス
チック材として用いる、 4.廃棄プラスチックを部品として回収し、再度利用す
る、 などが考えられる。いずれもプラスチックの材料設計か
ら製品設計・製品製造まで一連の流れの中で考えなけれ
ばならず、また回収−再利用のための技術開発や流通シ
ステムの整備も不可欠である。しかし、廃棄プラスチッ
クの回収が困難あるいは回収に高い費用を要するような
場合、廃棄後に環境中の微生物により分解される生分解
性プラスチックを用いることが極めて有用となる。
【0004】このような環境調和型(環境低負荷型)の
生分解性プラスチックの用途は主に次の二つに分けられ
る。一つは、生分解性プラスチックからなる製品が自然
環境中でその形態や機能を保持した状態で利用され、こ
れが自然環境へ流失した場合でも微生物などにより分解
消滅できる用途である。例えば、漁網や釣り糸、土壌の
保水材料などが挙げられる。もう一つは、生分解性プラ
スチックからなる製品が人間社会の中で利用され、廃棄
後は微生物などにより分解消滅できる用途である。例え
ば、電化製品の筐体や包装用フィルム、ゴミ袋などが挙
げられる。
【0005】これまで上記のような目的で多くのメーカ
ーによって生分解性プラスチックが生産されている。例
えば、脂肪族ポリエステルについては、モンサント(商
品名バイオポール)、ダイセル化学工業(商品名セルグ
リーン)、昭和高分子(商品名ビオノーレ)、日本触媒
(商品名ルナーレSE)、島津製作所(商品名ラクテ
ィ)、三井東圧化学(商品名レイシア)、あるいはカー
ギル(商品名エコプレイ)などが挙げられる。また、ポ
リビニルアルコールについては、クラレ(商品名ポバー
ル)、多糖では日本合成化学工業(商品名マタービ
ー)、チッソ(商品名ノボン)、日本コーンスターチ
(商品名エバーコーン)、ダイセル化学工業(商品名セ
ルグリーン)、日本触媒(商品名ルナーレZT)、あるい
はアイセロ化学(商品名ドロンCC)などが挙げられる。
【0006】これら生分解性プラスチックは、微生物な
どの生体を用いて直接合成させたり、あるいは安価な原
料から発酵などの生体機能を用いてモノマーを合成し、
これを通常の化学合成により重合する方法などによって
得られている。
【0007】なお、前者の方法により得られた生分解性
プラスチックは、タンパク質などのバイオマスと分離す
るために溶媒洗浄や溶媒抽出等により精製する必要があ
る。この精製工程については、例えば特開昭55-118394
号公報には、ポリ-β-ヒドロキシブチレート(PHB)を含
む微生物を加熱乾燥後にアセトンまたはメタノールで洗
浄し、1,2-ジクロロエタンで抽出する方法が記載されて
いる。また、USP5096819号公報あるいはUSP5059536号公
報には、微生物を純水、エタノール、及びアセトンで洗
浄し、クロロホルムでPHBを抽出する方法が述べられて
いる。さらにUSP5395919号公報には、微生物をアセトン
で洗浄し、クロロホルム、塩化メチレン、あるいはピリ
ジンなどでポリ-β-ヒドロキシアルカノエート(PHA)を
抽出して精製する方法が開示されている。
【0008】また、特開昭60-145097号公報ではPHBを含
有する微生物細胞より細胞物質のみを除去して高分子を
精製する方法が述べられている。具体的には、PHBを含
有する微生物をタンパク分解酵素や界面活性剤で処理し
て高分子以外の細胞物質を可溶化し、またこの可溶化処
理の工程前あるいは工程中において微生物含有水溶液を
80℃以上に加熱して細胞物質を変性させ、可溶化を促進
させる方法である。可溶化処理後にはPHBのクロロホル
ム等での抽出が行なわれ、純度の高い高分子が得られて
いる。Pageらは5.25 %の次亜塩素酸ナトリウムを用いて
微生物より細胞物質を除去し、PHBをクロロホルムで抽
出する方法を述べている(App. Environ.Microbiol. 59,
4236-4244(1993))。以上のような精製方法では最終的
に高分子を有機溶媒に抽出するので、生分解性プラスチ
ック(生分解性高分子)はバルク原料として供給される
ことになる。
【0009】一方、生分解性プラスチックの微粒子を作
製する方法としては、例えばBarnardらは微生物が内包
している高分子微粒子の自然状態における物理化学的性
状を検討する目的で、高分子微粒子をそのままの性状で
取り出す方法を述べている(FEBS Lett. 231,16-18(198
8))。この方法は微生物をリゾチームとDNaseで処理して
細胞物質を分解し、さらに超音波処理するものである。
しかしながら、その実施例のところで述べるように、同
様な方法で処理したPHB微粒子を走査型電子顕微鏡で観
察すると高分子微粒子の周囲に分解できなかった細胞物
質が残存しており、不純物が多い高分子微粒子となるた
め、工業目的でこれをそのまま利用するには問題があ
る。従って、工業用途に利用できるような純度の高い高
分子微粒子をそのままの形状で取り出すには、さらなる
工夫が必要である。
【0010】また、特開平05-009132号公報には、生分
解性高分子に有機合成的に気体あるいは薬剤を内包させ
た微粒子が開示されている。この方法は、内包されたガ
ス成分が生体内の超音波造影剤として働き、また内包さ
せた薬剤により治療効果を得るというものである。さら
に、特開平05-221855号公報には、乳酸とグリコール酸
の共重合体を合成し、これに薬理活性をもつペプチドを
内包させた微粒子が開示されている。この微粒子を用い
ると、生体内に入れられた微粒子は徐々に分解されペプ
チド成分が少しずつ溶解するため、持続性のある投薬が
可能である。ここに挙げたいずれの提案においても、生
分解性高分子はin vitroで微粒子化され、これに種々の
機能が付加されている。
【0011】また、特開平05-271458号公報では、パル
プ材と生分解性の増粘剤を混合し、生分解で生じた気泡
によりパルプ材を基材とする発泡微粒子を作製する方法
が述べられている。パルプ材も生分解性をもっているの
で使用後に埋め立てや焼却処分が可能であり、環境調和
型の緩衝材料となりうる。
【0012】一方、生体機能により合成された高分子
(プラスチック)は生体内で微粒子として分散している
場合が多く、このような微粒子状で存在する高分子を抽
出濃縮せずにそのままの形状で取り出すことができれ
ば、そのミクロな形状を活かした新しい用途開発が可能
となる。例えば、微生物は数マイクロメートルの形状な
ので、微生物に内包される高分子微粒子はさらに小さ
く、その粒径分布に応じてバインダやコート剤、あるい
はミクロ構造材として利用することができる。しかしな
がら、そのような高分子微粒子の合成及び取得について
の試みは従来なされていない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】生分解性プラスチック
は廃棄後コンポストとなり環境に残留することがないた
め、極めて環境に調和した材料であり、現在使用されて
いるプラスチックの数割が生分解性プラスチックに代替
されれば、環境負荷を著しく低減できると予測されてい
る。この生分解性プラスチック原料は微生物などの生体
機能を利用して、あるいは有機合成的に生産することが
できる。得られた原料は従来のプラスチック材料と同様
に射出成形や金型成形により製品化される。また、熱延
伸等でフィルム化あるいは繊維化してから成形すること
も可能である。一方、生分解性プラスチックを含めた高
分子材料をマイクロメートルレベルで制御した微粒子に
成形するには極めて高い技術が必要である。通常は高分
子合成時の重合条件を選択したり、あるいは得られた微
粒子を分粒してほぼ一定の粒径をもつ微粒子を調製す
る。このように粒径分布がそろった、あるいは所望の粒
径分布を有する高分子微粒子は複写機トナーのバインダ
剤や表面コート剤として極めて有用であり、環境調和型
の生分解性プラスチックを安価に微粒子化する技術が高
く望まれている。
【0014】上述のように微生物などの生体により合成
される高分子材料は生体内に局在、あるいは分散して存
在し、その存在様式は用いる生体(動物や植物、あるい
は微生物など)や生体環境(温度、圧力、栄養条件な
ど)により制御することができる。例えば、遺伝子組み
換えをした微生物では乾燥重量の80%以上ものポリエス
テルを内包することが知られており(現代化学、1998年
1月、「微生物がつくり、微生物が分解する環境にやさ
しいプラスチック」)ほぼ微生物の大きさと等しい高分
子微粒子が生体内で合成されている。このような高分子
微粒子をそのままの形状で取り出すことができれば、安
価かつ効率的に生分解性プラスチック微粒子を調製する
ことができる。
【0015】本発明の目的は、生体内に合成保持された
高分子微粒子を、そのままの形状で取得することがで
き、それを成形工程を経ずにそのまま微粒子状での用途
に利用可能とする生体からの高分子微粒子の製造方法を
提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、生体の代謝反
応を利用した高分子材料の合成において、生体内に内包
されている高分子微粒子をそのままの形状で取り出すこ
とにより、一定の粒径をもつ微粒子や所望の粒径分布を
もつ微粒子を調製できるとの本発明者らの新たな知見に
基づいてなされたものである。かかる知見に基づく本発
明の高分子微粒子の製造方法は、生体を用いた高分子微
粒子の製造方法において、高分子微粒子を有する生体を
取得する工程と、該生体と、該高分子微粒子以外の生体
成分を可溶化する可溶化剤と、を接触させて該高分子微
粒子を含む混合物を得る工程と、該混合物から該高分子
微粒子を回収する工程と、回収された高分子微粒子を該
高分子微粒子の融点以下の温度で乾燥させて、該高分子
微粒子の形状を保ったままの高分子微粒子の乾燥品を得
る工程とを有することを特徴とする。
【0017】本発明の製造方法で得られる高分子微粒子
の形状や粒径分布等の特性は、生体に特有な場合が多
く、生体を選択することで所望とする粒子形及び粒径分
布の高分子微粒子を得ることが可能となる。例えば、微
生物や細胞を用いる場合、その種類や培養条件あるいは
遺伝子操作の有無を選択することにより種々の粒子形や
粒径分布をもつ高分子微粒子が得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明において高分子微粒子を合
成する生体としては、例えば微生物などの原核細胞、あ
るいは動物や植物などの真核細胞を挙げることができ
る。微生物の属種は特に制限されるものではなく、サッ
カロミセス(Saccharomyces)、ハンセヌラ(Hansenul
a)、カンジダ(Candida)、ミクロコッカス(Micrococ
cus)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、 スト
レプトコッカス(Streptococcus)、ロイコノストア(L
euconostoa),ラクトバチルス(Lactobacillus)、コリ
ネバクテリウム(Corynebacterium)、アルスロバクタ
ー(Arthrobacter)、バチルス(Bacillus)、クロスト
リジウム(Clostridium)、ノルカルディア(Norcardi
a)、ロドコッカス(Rhodococcus)、ロドスピリリウム
・ルブラム(Rhodospirillum rubrum)、ナイセリア(N
eisseria)、エシェリシア(Escherichia)、エンテロ
バクター(Enterobacter)、セラチア(Serratia)、ア
クロモバクター(Achromobacter)、アエロモナス(Aer
omonas)、アルカリゲネス(Alcaligenes)、フラボバ
クテリウム(Flavobacterium)、アセトバクター(Acet
obacter)、モラクセラ(Moraxella)、ニトロソモナス
(Nitrosomonas)、ニトロバクター(Nitrobacter)、
チオバチルス(Thiobacillus)、グルコノバクター(Gl
uconobacter)、シュードモナス(Pseudomonas)、キサ
ントモナス(Xanthomonas)、バークホルデリア(Burkh
olderia)、ビブリオ(Vibrio)、コマモナス(Comamon
as)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)
などの細菌、糸状菌、酵母などが挙げられる。また、よ
り高い高分子合成能力をもつ微生物を人為的な変異や遺
伝子操作などにより作製し、利用しても構わない。さら
に、シネココッカス スピーシズ(Synechococcus s
p)、アナバエナ・バリアビリス(Anabaena variabili
s)などの藻類、更には原生動物、赤血球、白血球、腫
瘍細胞、培養細胞、動植物細胞などの各種細胞を挙げる
ことができる。例えば、遺伝子組み換え等により生体内
で大量に合成された高分子微粒子がほぼその細胞を大き
さに匹敵する場合、生物種を選択することにより微粒子
の形状を規定することができる。
【0019】また、本発明において生体内で合成される
高分子としては、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ
吉草酸、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレン
スクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレン
スクシネートなどの脂肪族ポリエステル、、デンプン、
酢酸セルロース、キトサンなどの多糖類、ポリビニルア
ルコール、ポリグルタミン酸、オリプレニルフェノール
などを挙げることができる。
【0020】さらに、生体内で合成される高分子微粒子
の形状は上記のような生体の種類のほかに、生体周囲の
環境条件によって制御される。例えば、アエロモナス・
キャビエ(Aeromonas caviae)という微生物がもつ高分
子重合酵素の遺伝子のクローニングを行ない、この遺伝
子をアルカリゲネス・ユーウトロファス(Alcaligenes
eutrophus)という重合遺伝子欠損株に導入した微生物
では、栄養素である炭素源の種類や濃度により効率的に
共重合ポリエステルを合成できることが知られている。
また、金属イオンなどのミネラル成分や温度、圧力など
の生育条件によって、生体が合成する高分子の組成や形
状を変化させることが可能である。このような高分子
は、生体のエネルギー源や生体構成材料源として貯蔵さ
れているものであるから、生体が貯蔵を促進するように
制御することにより効率的に高分子を得ることができ
る。
【0021】高分子微粒子として、ポリヒドロキシ酪酸
またはポリヒドロキシ吉草酸などのポリヒドロキシアル
カノエートを主成分として含むものを生産する場合の微
生物としては、例えばバークホルデリア・セパシア(Bu
rkholderia cepacia)、 ラルストニア・ユウトロファ
(Ralstonia eutropha)、アルカリゲネス スピーシズ
(Alcaligenes sp.)、アルカリゲネス・ロータス(Alc
aligenes latus)、シュードモナス・プチダ(Pseudomo
nas putida)、アエロモナス・キャビエ(Aeromonas ca
viae)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterui
m)及びコマモナス・アシドボランス(Comamonas acido
vorans)等を好適なものとして挙げることができる。ま
た、これらの微生物は、単独で、あるいは必要に応じて
本発明の効果を損なわない範囲内でその2種以上を組み
合わせて用いることができる。
【0022】また、高分子微粒子を生産させるための生
体の培養においては、生体を担体に固定して快適な棲息
空間を与えることにより、生産される高分子微粒子の組
成や形状を制御することもできる。担体としては、これ
まで医薬品工業や食品工業あるいは排水処理システムな
どのバイオリアクタで利用されている多くの担体を用い
ることができる。例えば、多孔質ガラス、セラミック
ス、金属酸化物、活性炭、カオリナイト、ベントナイ
ト、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、アンスラサイ
ト、などの粒子状担体のほか、でんぷん、寒天、キチ
ン、キトサン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、ポ
リアクリルアミド、カラギーナン、アガロース、ゼラチ
ン、などのゲル状担体、セルロース、グルタルアルデヒ
ド、ポリアクリル酸、ウレタンポリマーなどの高分子樹
脂やイオン交換樹脂などである。さらに、天然あるいは
合成の高分子化合物、例えば綿、麻、パルプ材、あるい
は天然物を変性した高分子アセテート、ポリエステル、
ポリウレタン、なども利用できる。
【0023】本発明における高分子微粒子の製造方法で
は、まず高分子微粒子を生産保持した生体を取得する。
この生体の取得は、例えば、高分子微粒子を生産し得る
微生物や細胞を培養して、培養菌体や細胞マスを得るこ
とで行うことができる。培養は、先に述べたとおり、所
望とする高分子微粒子の粒子形や粒径分布が得られるよ
うに用いる微生物や細胞の種類に応じて選択する。
【0024】次に、生体内に生産保持された高分子微粒
子をそのままの形状で取り出す。高分子微粒子をそのま
まの形状で生体から取り出すには、高分子微粒子以外の
生体成分と高分子微粒子を効果的に分離できる方法が好
適に用いられる。具体的には、高分子微粒子は可溶化せ
ずに、高分子微粒子以外の生体成分を可溶化する可溶化
剤で生体を処理した後に、高分子微粒子を洗浄して可溶
化成分を除去し、これを乾燥することによって生体から
の高分子微粒子のその形状を保った状態での取得が可能
となる。
【0025】可溶化剤には高分子微粒子が膨潤・溶解し
ない有機溶媒を用いることもできるが、高分子微粒子の
形状や性状を変化させないためにはより温和な可溶化
剤、例えば次亜塩素酸などが望ましい。次亜塩素酸ナト
リウムを用いる場合は、次亜塩素酸ナトリウムを水溶液
とし、その有効塩素濃度が0.05〜5重量%であるものが好
ましい。
【0026】また、可溶化反応を促進する目的で可溶化
処理の前に高分子微粒子以外の生体成分を物理的にある
いは化学的に破壊してもよい。例えば、タンパク質を変
性させる、例えばpH9以上のアルカリで処理する、生体
成分を分解するリゾチームなどの酵素で処理する、ある
いは加圧破砕や超音波破砕など物理的な処理を行なって
もよい。
【0027】可溶化剤と生体とを接触させて、高分子微
粒子以外の生体成分を可溶化して得られた混合物(高分
子微粒子分散液)からの高分子微粒子の回収は、遠心分
離による濃縮と水による洗浄により、すなわち最初の遠
心分離で得られる沈降物を含むスラリー部分を回収し、
水と混合して再度遠心分離にかけて沈降物を含むスラリ
ー部分を回収し、この操作を必要に応じて繰り返すこと
で行うことができる。遠心分離における遠心条件は、製
造される高分子微粒子の種類や粒径分布などによって選
択することができる。
【0028】例えば、0.5μmのPHB微粒子を回収
する場合、8000gで10分間遠心して高分子微粒子
を沈降させる。この上澄みを捨てて、ほぼ同量の水を加
え、その後に沈降した微粒子を攪拌する。この操作を3
回繰り返すことで高分子微粒子の洗浄、回収を行うこと
ができる。
【0029】こうして得られたスラリーを乾燥させるこ
とで、粒子形を保った状態の高分子微粒子を得ることが
できる。この乾燥処理は、風乾処理や凍結乾燥処理が利
用できる。風乾処理は必要に応じて温風や熱風を用いる
ことができ、高分子微粒子の凝集を避けるという観点か
らは高分子微粒子がその融点に達しない温度が好ましく
は、更に好ましくはそれがガラス転移温度に達しないよ
うにして行なうのがよい。
【0030】本発明においては、例えば粒径が0.1μm〜
5μmの範囲内にある高分子微粒子を得ることができ、
その粒径分布に応じてバインダやコート剤、あるいはミ
クロ構造材として利用することができる。
【0031】
【実施例】以下、実施例などにより本発明を詳述する
が、これらは本発明をなんら限定するものではない。 実施例1(Burkholderia cepacia KK01株による高分子
微粒子の合成) はじめに、1.0重量%のピルビン酸ナトリウムを含む200
mlのM9培地(Na2HPO4:6.2g/l、 KH2PO4:3.0g/l、NaC
l:0.5 g/l、NH4Cl:1.0g/l、pH7.0、以下同様)を調製
した。次に、KK01株(FERM BP-4235)をこの培地に植菌
し、120 rpmで振盪しながら30℃で3日間培養を行った。
【0032】なお、バークホルデリア・セパシア(Burkh
olderia cepacia)KK01株は、通産省、工業技術院、生命
工学工業技術研究所にブダペスト条約下の国際寄託とし
て寄託されている(寄託日:平成4年3月11日、受託
番号は上記のとおり)。寄託当初はシュードモナス(Pse
udomonas)属に属するものとされたが、その後尚、シュ
ードモナス・セパシアの分類学上の位置のバークホルデ
リア・セパシアへの変更にともなって、ここではKK01株
をバークホルデリア属に属するものとして記載するが、
寄託されている株自体に変更はない。また、特開平6-29
6711号公報において、このKK01株がフェノール等の芳香
族化合物を誘導物質としてTCE等の有機塩素化合物を分
解することが開示されているものである。
【0033】微生物濃度がおよそ5×108cell/mlとなっ
たところで遠心分離により微生物を濃縮した。次に、濃
縮した微生物を1.0重量%のピルビン酸ナトリウムを含む
培地(Na2HPO4:6.2 g/l、KH2PO4:3.0 g/l、NaCl:0.5
g/l、pH7.0)に再度懸濁し、30℃で3.5日間さらに培養
を続け、微生物内にPHB(ポリ-β-ヒドロキシブチレー
ト)高分子を蓄積させた。
【0034】得られた培養液を遠心分離して微生物を濃
縮し、これを次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素濃
度5%)5 mlに再度懸濁した。これを45℃で1時間放置す
ることにより高分子微粒子以外の生体成分を可溶化し
た。遠心分離による濃縮と純水による洗浄をさらに3回
繰り返して可溶化成分を除去し、これを15℃で風乾させ
て高分子微粒子の粉体を得た。得られた粉体の重量は約
40 mgであった。
【0035】次に、この高分子微粒子を導電性テープに
よりアルミ製の試料台に固定し、イオンコーターにより
金を薄く蒸着した。走査型電子顕微鏡により高分子微粒
子の形状を観察したところ、微粒子間の融着もほとんど
ない真球状の微粒子が見られ、その粒径も揃っており、
その平均粒径は0.6 ± 0.2μmであった。また、高分子
微粒子以外の生体成分は完全に除去されていたことが確
認された。
【0036】また、得られた高分子微粒子をテトラヒド
ロフランに溶解し、その分子量をゲルクロマトグラフィ
ーにより測定したところ、平均分子量500,000の値が得
られた。さらに、得られた高分子微粒子をスクリューキ
ャップ付き10ml試験管に入れ、クロロホルム2mlと3重量
%硫酸−メタノール溶液2 mlを添加して密栓後100℃で3.
5時間反応させ、メタノリシスによりモノマー化した。
これに水1mlを加え、10分間激しく振盪して、下層のク
ロロホルム層を取り出し、このクロロホルム層をガスク
ロマトグラフィーにより分析した。得られたクロマトグ
ラムの中で主成分であるピークが標品であるヒドロキシ
酪酸のメチル化化合物との保持時間が同一であることか
ら、得られた高分子微粒子の主成分はポリヒドロキシ酪
酸であることを確認した。
【0037】また、上記の可溶化処理において、次亜塩
素酸ナトリウム水溶液(有効塩素濃度0.05%)を用いて4
5℃で10時間放置、あるいは次亜塩素酸ナトリウム水溶
液(有効塩素濃度0.5%)を用いて45℃で5時間放置して
も同様な高分子微粒子が得られることを確認した。
【0038】比較例1(Burkholderia cepacia KK01株
による高分子微粒子の合成) 実施例1と同様にして、微生物内にPHB高分子を蓄積さ
せた。得られた培養液を遠心分離して微生物を濃縮し、
以下の4つの方法により高分子微粒子以外の生体成分を
除去した。 (1)10重量%のドデシル硫酸ナトリウム水溶液を添加
した後、これを−80℃で凍結する。これを超音波処理を
しながら融解し、遠心分離後に純水で洗浄した15℃で風
乾する。 (2)アセトンで洗浄して遠心分離した後、エタノール
で洗浄する。再度遠心分離し、最後に純水で洗浄して15
℃で風乾する。 (3)1NのNH4OHに懸濁して45℃で1時間処理する。遠心
分離後に純水で洗浄して15℃で風乾する。 (4) 1 mMのEDTAと重量0.1%のリゾチームを含む水溶液5
mlに懸濁し、20℃で1時間処理する。遠心分離後に純水
で洗浄して15℃で風乾する。
【0039】以上のような処理により得られた高分子を
導電性テープによりアルミ製の試料台に固定し、イオン
コーターにより金を薄く蒸着した。走査型電子顕微鏡に
より高分子の形状を観測したところ、(1)及び(2)の方法
では高分子以外の生体成分はほとんど完全に除去できて
いたが、微粒子の変形および微粒子同士の融着が見ら
れ、均一形状の分散した微粒子は得られなかった。ま
た、(3)及び(4)の方法では細胞膜がかなり残存している
ため不純物は多く、形態も不均一で工業材料としては不
適であった。
【0040】実施例2(Ralstonia eutropha TB64株に
よる高分子微粒子の合成) 茨城県で採取し、単離された土壌微生物Ralstonia eutr
opha TB64株(通産省、工業技術院、生命工学工業技術
研究所、寄託番号:FERM P-16980、寄託日:平成10年
9月30日)は、以下の菌学的性質を示す微生物であ
る。 (1)形態観察 細胞の形:桿菌 (0.3〜0.5×1.0〜2.0 mm) 胞子:無 鞭毛:有(周鞭毛) グラム染色性 ・18時間:陰性 ・24時間:陰性 ・36時間:陰性 (2)生理・生化学試験 嫌気下での生育:陰性 カタラーゼ:陽性 オキシダーゼ:陽性 リトマスミルク:アルカリ 硝酸塩の還元:陰性 V-P反応:陰性 V-P培地のpH:7.76 カゼインの分解:陰性 ゼラチンの分解:陰性 澱粉の分解:陰性 DNAの分解:陰性 尿素の分解:陰性 Tween20の分解:陰性 Tween40の分解:陰性 Tween60の分解:陰性 Tween80の分解:陰性 チロシンの分解:陽性 有機酸の利用 ・クエン酸:陽性 ・プロピオン酸:陽性 ・酢酸:陽性 ・フマル酸:陽性 ・L-リンゴ酸:陽性 ・コハク酸:陽性 無機窒素源の利用 ・アンモニウム塩:陽性 ・硝酸塩:陽性 インドールの生成:陰性 硫化水素の生成: 陰性 色素の生成 ・P agar:陰性 ・F agar:陰性 ・King A agar:陰性 ・King B agar:陰性 NaCl存在下での生育 ・2%:陽性 ・5%:陰性 ・7%:陰性 生育pH:5.0〜9.0 生育温度:10℃〜40℃ 0.02%アジ化ナトリウム存在下での生育:陰性 0.001%リゾチウム存在下での生育:陽性 OFテスト:陰性 糖からの酸の生成 ・グルコース:陰性 ・アラビノース:陰性 ・フラクトース:陰性 ・ガラクトース:陰性 ・マルトース:陰性 ・ラクトース:陰性 ・シュークロース:陰性 ・キシロース:陰性 ・トレハロース:陰性 ・グリセロール:陰性 ・マンニトール:陰性 ・ソルビトール:陰性 ・ソルボース:陰性 ・マンノース:陰性 ・ラムノース:陰性 ・アドニトール:陰性 ガスの生成 ・グルコース:陰性 ・アラビノース:陰性 ・キシロース:陰性 ・マンニトール:陰性 (3)キノン組成分析
【0041】
【表1】 はじめに、1.0重量%のピルビン酸ナトリウムを含む200
mlのM9培地を調製した。次に、TB64株をこの培地に植菌
し、120rpmで振盪しながら30℃で2日間培養を行った。
微生物濃度がおよそ3×108cell/mlとなったところで遠
心分離により微生物を濃縮した。次に、濃縮した微生物
を1.0重量%のピルビン酸ナトリウムを含む培地(Na2HPO
4:6.2g/l、KH2PO4:3.0 g/l、NaCl:0.5g/l、pH7.0)
に再度懸濁し、30℃で3日間さらに培養を続け、微生物
内にPHB高分子を蓄積させた。
【0042】得られた培養液から実施例1と同様にして
高分子微粒子を得た。得られた粉体の重量は約27 mgで
あった。また、実施例1と同様にして高分子微粒子の形
状を観察したところ、真球状の微粒子が見られ、その平
均粒径は0.5±0.2μmであった。さらに、高分子微粒子
以外の生体成分は完全に除去されていた。
【0043】高分子微粒子の成分を実施例1と同様にし
て同定したところ、主成分としてポリヒドロキシ酪酸、
副成分としてポリヒドロキシ吉草酸が含まれていること
を確認した。さらに、乾燥工程において−10℃で凍結乾
燥を行なっても同様な高分子微粒子が得られることを確
認した。
【0044】実施例3(Alcaligenes sp.TL2株による高
分子微粒子の合成) はじめに、1.0重量%のピルビン酸ナトリウムを含む200
mlのM9培地を調製した。次に、TL2株(FERM P-14642)を
この培地に植菌し、120rpmで振盪しながら30℃で3日間
培養を行った。微生物濃度がおよそ2×108cell/mlとな
ったところで遠心分離により微生物を濃縮した。次に、
濃縮した微生物を1.0重量%のピルビン酸ナトリウムを含
む培地(Na2HPO4:6.2 g/l、KH2PO4:3.0 g/l、NaCl:
0.5 g/l、pH7.0)に再度懸濁し、30℃で2日間さらに培
養を続け、微生物内にPHB高分子を蓄積させた。
【0045】なお、アルカリゲネス スピーシズTL2株
(通産省、工業技術院、生命工学工業技術研究所、寄託
番号:FERM P-14642、寄託日:平成6年11月15日)は、
特開平8-154669号公報において、フェノール等の芳香族
化合物を資化し、かつこれらの化合物を誘導物質として
TCE等の有機塩素化合物を分解することが開示されたも
のである。
【0046】得られた培養液から微生物を遠心分離して
濃縮し、これをpH10の水酸化ナトリウム水溶液5mlに懸
濁して20℃で3時間放置して細胞膜を変性させた。この
後、実施例1と同様にして高分子微粒子を得た。得られ
た粉体の重量は約22mgであった。また、実施例1と同様
にして高分子微粒子の形状を観察したところ、真球状の
微粒子が見られ、その平均粒径は0.4±0.1μmであっ
た。さらに、高分子微粒子以外の生体成分は完全に除去
されていた。高分子微粒子の成分を実施例1と同様にし
て同定したところ、主成分はポリヒドロキシ酪酸である
ことを確認した。
【0047】実施例4(Pseudomonas putida (ATCC2328
9)による高分子微粒子の合成) ATCCのマニュアルに従い、栄養培地(Difco0003)に菌株
を植菌し、120 rpmで振盪しながら30℃で2日間培養を行
った。遠心分離により微生物を濃縮し、これを1.0重量%
のピルビン酸ナトリウムを含む培地(Na2HPO4:6.2 g/
l、KH2PO4:3.0 g/l、NaCl:0.5 g/l、pH7.0)に再度懸
濁して、30℃で2日間さらに培養を続け、微生物内にPHB
高分子を蓄積させた。
【0048】得られた培養液から微生物を遠心分離して
濃縮し、これを0.1重量%のリゾチームを含む水溶液に懸
濁して20℃で5時間放置して細胞膜を化学的に破砕し
た。この後、実施例1と同様にして高分子微粒子を得
た。得られた粉体の重量は約15mgであった。また、実施
例1と同様にして高分子微粒子の形状を観察したとこ
ろ、真球状の微粒子が見られ、その平均粒径は0.3 ±
0.1μmであった。さらに、高分子微粒子以外の生体成分
は完全に除去されていた。
【0049】高分子微粒子の成分を実施例1と同様にし
て同定したところ、主成分はポリヒドロキシ酪酸である
ことを確認した。
【0050】実施例5(Alcaligenes latus (ATCC2971
2)による高分子微粒子の合成) ATCCのマニュアルに従い、グルコースを含むミネラル培
地(培養培地1018)に菌株を植菌し、120 rpmで振盪し
ながら30℃で3日間培養を行った。遠心分離により微生
物を濃縮し、これを窒素源を除いた上記培地に再度懸濁
して、30℃で3日間さらに培養を続け、微生物内にPHB高
分子を蓄積させた。
【0051】得られた培養液から微生物を遠心分離して
濃縮し、これに10℃に保ちながら超音波(20 kHz、平均
出力60W)を20分間照射して物理的に細胞膜を化学的に
破砕した。この後、実施例1と同様にして高分子微粒子
を得た。得られた粉体の重量は約17 mgであった。ま
た、実施例1と同様にして高分子微粒子の形状を観察し
たところ、真球状の微粒子が見られ、その平均粒径は0.
4±0.1μmであった。さらに、高分子微粒子以外の生体
成分は完全に除去されていた。
【0052】高分子微粒子の成分を実施例1と同様にし
て同定したところ、主成分はポリヒドロキシ酪酸である
ことを確認した。
【0053】実施例6(Aeromonas cavie (ATCC13137)
による高分子微粒子の合成) ATCCのマニュアルに従い、栄養培地(Difco0003)に菌株
を植菌し、120 rpmで振盪しながら30℃で3日間培養を行
った。遠心分離により微生物を濃縮し、これを1.0重量%
のピルビン酸ナトリウムを含む培地(Na2HPO4:6.2 g/
l、KH2PO4:3.0 g/l、NaCl:0.5 g/l、pH7.0)に再度懸
濁して、30℃で4日間さらに培養を続け、微生物内にPHB
高分子を蓄積させた。得られた培養液から実施例1と同
様にして高分子微粒子を得た。得られた粉体の重量は約
32 mgであった。また、実施例1と同様にして高分子微
粒子の形状を観察したところ、真球状の微粒子が見ら
れ、その平均粒径は0.6±0.2μmであった。さらに、高
分子微粒子以外の生体成分は完全に除去されていた。更
に、高分子微粒子の成分を実施例1と同様にして同定し
たところ、主成分はポリヒドロキシ酪酸であることを確
認した。
【0054】実施例7(Bacillus megateruim (ATCC115
61)による高分子微粒子の合成) ATCCのマニュアルに従い、栄養培地(22 Bacillus mediu
m(1/4 strength))に菌株を植菌し、120 rpmで振盪しな
がら26℃で2日間培養を行った。遠心分離により微生物
を濃縮し、これを1.0重量%のピルビン酸ナトリウムを含
む培地(Na2HPO4:6.2g/l、KH2PO4:3.0g/l、NaCl:0.5
g/l、pH7.0)に再度懸濁して、26℃で3日間さらに培養
を続け、微生物内にPHB高分子を蓄積させた。得られた
培養液から実施例1と同様にして高分子微粒子を得た。
得られた粉体の重量は約11 mgであった。また、実施例
1と同様にして高分子微粒子の形状を観察したところ、
真球状の微粒子が見られ、その平均粒径は0.3±0.1μm
であった。さらに、高分子微粒子以外の生体成分は完全
に除去されていた。また、高分子微粒子の成分を実施例
1と同様にして同定したところ、主成分はポリヒドロキ
シ酪酸であることを確認した。
【0055】実施例8(Comamonas acidovorans (ATCC9
355)による高分子微粒子の合成) ATCCのマニュアルに従い、栄養培地(Difco0003)に菌株
を植菌し、120 rpmで振盪しながら26℃で3日間培養を行
った。遠心分離により微生物を濃縮し、これを1.0重量%
のピルビン酸ナトリウムを含む培地(Na2HPO4:6.2g/
l、KH2PO4:3.0g/l、NaCl:0.5 g/l、pH7.0)に再度懸
濁して、26℃で3日間さらに培養を続け、微生物内にPHB
高分子を蓄積させた。得られた培養液から実施例1と同
様にして高分子微粒子を得た。得られた粉体の重量は約
14 mgであった。また、実施例1と同様にして高分子微
粒子の形状を観察したところ、真球状の微粒子が見ら
れ、その平均粒径は0.4±0.1μmであった。さらに、高
分子微粒子以外の生体成分は完全に除去されていた。ま
た、高分子微粒子の成分を実施例1と同様にして同定し
たところ、主成分はポリヒドロキシ酪酸であることを確
認した。
【0056】
【発明の効果】本発明により、高分子以外の生体成分を
含まない高純度で、かつ真球状の形状が均一な高分子微
粒子を合成および取得することができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) (C12P 7/62 C12R 1:40) (C12P 7/62 C12R 1:11) (72)発明者 須川 悦子 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 4B064 AD83 CA02 CE02 CE16 DA16

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体を用いた高分子微粒子の製造方法に
    おいて、 高分子微粒子を有する生体を取得する工程と、 該生体と、該高分子微粒子以外の生体成分を可溶化する
    可溶化剤と、を接触させて該高分子微粒子を含む混合物
    を得る工程と、 該混合物から該高分子微粒子を回収する工程と、 回収された高分子微粒子を該高分子微粒子の融点以下の
    温度で乾燥させて、該高分子微粒子の形状を保ったまま
    の高分子微粒子の乾燥品を得る工程とを有することを特
    徴とする高分子微粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】 該生体が真核細胞あるいは原核細胞のい
    ずれかであることを特徴とする請求項1に記載の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 該原核細胞がバークホルデリア・セパシ
    ア(Burkholderia cepacia)、 ラルストニア・ユウト
    ロファ(Ralstonia eutropha)、アルカリゲネス スピ
    ーシズ(Alcaligenes sp.)、アルカリゲネス・ロータ
    ス(Alcaligenes latus)、シュードモナス・プチダ(P
    seudomonas putida)、アエロモナス・キャビエ(Aerom
    onas caviae)、バチルス・メガテリウム(Bacillus me
    gateruim)及びコマモナス・アシドボランス(Comamona
    s acidovorans)からなる群から選択された少なくとも
    1種である請求項2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 該高分子微粒子がポリヒドロキシアルカ
    ノエートを主成分として含む請求項1に記載の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 該ポリヒドロキシアルカノエートがポリ
    ヒドロキシ酪酸またはポリヒドロキシ吉草酸である請求
    項4に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 該高分子微粒子の大きさが0.1μm〜5μ
    mの範囲内にある請求項1に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 該可溶化剤が次亜塩素酸ナトリウムを含
    む水溶液である請求項1に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 該次亜塩素酸ナトリウムの有効塩素濃度
    が0.05〜5重量%である請求項7に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 該回収された高分子微粒子の乾燥が風乾
    あるいは凍結乾燥である請求項1に記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 該可溶化剤と該生体を接触させる前
    に、pH9以上のアルカリ水溶液と該生体を接触させる請
    求項1に記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 該可溶化剤と該生体を接触させる前
    に、該生体成分を分解する酵素を含んだ水溶液と該生体
    を接触させる請求項1に記載の製造方法。
  12. 【請求項12】 該酵素がリゾチームである請求項11
    に記載の製造方法。
  13. 【請求項13】 該可溶化剤と該生体を接触させる前
    に、該生体を加圧破砕あるいは超音波破砕する請求項1
    に記載の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7510813B2 (en) 2004-06-24 2009-03-31 Canon Kabushiki Kaisha Resin-coated carrier for electrophotographic developer
US7553922B2 (en) 2004-06-11 2009-06-30 Canon Kabushiki Kaisha Polyhydroxyalkanoate having ester group, carboxyl group, and sulfonic group, and method of producing the same

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US7553922B2 (en) 2004-06-11 2009-06-30 Canon Kabushiki Kaisha Polyhydroxyalkanoate having ester group, carboxyl group, and sulfonic group, and method of producing the same
US7510813B2 (en) 2004-06-24 2009-03-31 Canon Kabushiki Kaisha Resin-coated carrier for electrophotographic developer

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