JP2000166586A - 芳香族化合物を基質とするポリヒドロキシアルカノエートの生物的生産方法 - Google Patents

芳香族化合物を基質とするポリヒドロキシアルカノエートの生物的生産方法

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JP2000166586A
JP2000166586A JP10344507A JP34450798A JP2000166586A JP 2000166586 A JP2000166586 A JP 2000166586A JP 10344507 A JP10344507 A JP 10344507A JP 34450798 A JP34450798 A JP 34450798A JP 2000166586 A JP2000166586 A JP 2000166586A
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Takeshi Imamura
剛士 今村
Yuji Kawabata
祐司 川畑
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 芳香族化合物を原料としてポリヒドロキシア
ルカノエートを微生物により生産できる方法を提供する
こと。 【解決手段】 芳香族化合物を資化し且つポリヒドロキ
シアルカノエートを生産・蓄積する能力を有する微生物
を、芳香族化合物を含む培地で培養する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、3-ヒドロキシブチ
レートをモノマーユニットとして含むポリヒドロキシア
ルカノエートの微生物を用いた製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリ3-ヒドロキシブチレート(PHB)に代
表される微生物産生ポリエステルは、石油由来の合成高
分子とは異なり、生物により分解されうるという特性を
有している。人類は長年にわたって合成高分子をプラス
チック等として使用してきたが、それらのプラスチック
が廃棄物となった場合、その分解されにくいという性質
が災いし、廃棄物処理場に蓄積される。また、焼却処理
を行うことにより、ダイオキシンや環境ホルモン等の有
害物質の原因となり、環境汚染を引き起こすことが問題
となっている。一方、微生物産生ポリエステルは生分解
されることにより自然の物質循環に取り込まれるので、
環境保全を可能とするプラスチックとして利用すること
ができる。また、医療用軟質部材としても今後有用視さ
れる可能性を有している(特開平5-159号公報)。これま
で、多くの細菌がPHB或いはその他のアルカノエートと
のコポリマーを菌体内に生成・蓄積することが報告され
てきた(「生分解性プラスチックハンドブック」(生分解性
プラスチック研究会編;(株)エヌ・ティー・エス)、p17
8-197、1995年5月26日発行)。特に、アルカリ
ゲネス・ユウトロファスH16株(Alcaligenes eutrophus
H16、ATCC No. 17699)及びその変異株については、こ
れらポリマーの生産に関して詳細に研究されてきてお
り、基質となる炭素源を変化させることによって、この
株が3-ヒドロキシブチレート(3HB)と3-ヒドロキシバレ
レート(3HV)の共重合体または両者の各単位を共に含有
成分とする共重合体を様々な割合で生成することが開示
されている(特公平6-15604号公報、特公平7-14352号公
報、特公平8-19227号公報等)。
【0003】特許第2642937号公報には、シュードモナ
ス・オレオボランス(Pseudomonas oleovorans) ATCC293
47株に、炭素源として非環状脂肪族炭化水素を与えるこ
とにより、炭素数が6から12までの3-ヒドロキシアルカ
ノエート(3HA)をモノマーユニットとするポリエステル
が生産されることが開示されている。特開平5-74492号
公報には、メチロバクテリウム(Methylobacterium)属、
パラコッカス(Paracoccus)属、アルカリゲネス属、シュ
ードモナス属の細菌を、炭素数3から7の第一アルコール
に接触させることにより、これらの細菌に3HBと3HVの共
重合ポリエステルを生産させる方法が開示されている。
特開平5-93049号公報、及び特開平7-265065号公報に
は、アエロモナス・キャビエ(Aeromonas caviae)をオレ
イン酸やオリーブオイルを炭素源として培養することに
より3HBと3-ヒドロキシヘキサノエート(3HHx)の2成分共
重合ポリエステルが生産されることが開示されている。
特開平9-191893号公報には、コマモナス・アシドボラン
ス(Comamonas acidovorans)IFO13852株を炭素源として
グルコン酸及び1,4ブタンジオールを用いた培養によ
り、3HBと4-ヒドロキシブチレート(4HB)をモノマーユニ
ットに持つポリエステルが生産されることが開示されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の微
生物生産ポリエステルであるポリヒドロキシアルカノエ
ート(PHA)を生産せしめる場合の炭素源は、糖、脂肪族
炭化水素、脂肪酸、アルコール等であり、広範囲な条件
においてPHAを生産せしめるという観点からすると、用
いる得る炭素源の範囲を広げることが重要となってく
る。更に、廃棄物や環境を汚染している物質を単遡源と
して用いることができれば、廃棄物処理や環境浄化を行
いつつ、環境にやさしい生分解性のPHAを生産するこ
とができる。
【0005】本発明の目的は、芳香族化合物を炭素源と
してPHAを生産できる微生物を用いることで、PHA
生産用の原料として芳香族化合物の利用を可能とするこ
とにある。本発明の他の目的は、産業廃棄物や汚染され
た環境から供給される芳香族化合物を原料としてPHA
を生産することで、産業廃棄物処理や環境浄化処理を行
うとともに、PHAを生産できる方法を提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の様な問題
点を解決するための方法を提供するものである。即ち、
本発明のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の製造
方法は、ベンゼン核を有する芳香族化合物を含む培地中
で、該芳香族化合物を資化し且つポリヒドロキシアルカ
ノエートを生産・蓄積する能力を有する微生物を培養す
る工程を有すること特徴とする。
【0007】本発明において用い得る芳香族化合物とし
ては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼ
ン、フェノール及びクレゾールが挙げられ、これらのう
ちのいずれか一つ以上を用いることができる。これらの
化合物は、化学系工場の産業廃液等に多く含まれ、その
処理が問題となっており、これらの化合物をPHA生産の
ための炭素源として用いることにより、廃液処理を行う
という効果も得られる。
【0008】シュードモナス・オレオボランスが、芳香
核を含む化合物である5-フェニルバレリン酸を基質とし
てPHAを生産する報告がなされているが(Macromolecule
s,24,5256-5260 (1991))、この化合物はアセチルCoA
にまでは分解されず、単に部分的に変換されて、ポリβ
-ヒドロキシ5-フェニルバレリン酸となる。
【0009】それに対し本発明における方法は、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、フェノー
ル、クレゾールといった芳香族化合物を基質とし、最終
的に大部分の3HBと少量の4HB、3HVをモノマーユニット
とするPHAを生産するので、該芳香族化合物はアセチルC
oAにまで分解されてPHAが合成されていると考えられ
る。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で用いる微生物としては、
上記芳香族化合物を資化しうる微生物であり且つ菌体内
でPHAを生産・蓄積することができる微生物であればい
かなる微生物でもよく、例えば、バークホルデリア(Bur
kholderia)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、アル
カリゲネス(Alcaligenes)属、ラルストニア(Ralstonia)
属、コマモナス(Comamonas)属にする細菌等が挙げられ
る。これらの細菌は、必要に応じて本発明の効果を損な
わない範囲内でその2種以上を混合して用いることがで
きる。
【0011】好ましい細菌としては、バークホルデリア
・セパシア(Burkholderia cepacia)KK01株(FERM BP-423
5)、アルカリゲネス スピーシズ(Alcaligenes sp.)TL2
株(FERM P-14642)、ラルストニア・ユウトロファ(Ralst
onia eutropha)TB64株(FERM P-16980)を挙げることがで
きる。
【0012】バークホルデリア・セパシア(Burkholderi
a cepacia)KK01株は、通産省、工業技術院、生命工学工
業技術研究所にブダペスト条約下の国際寄託として寄託
されている(寄託日:平成4年3月11日、受託番号は
上記のとおり)。なお、寄託当初はシュードモナス(Pse
udomonas)属に属するものとされたが、その後尚、シュ
ードモナス・セパシアの分類学上の位置のバークホルデ
リア・セパシアへの変更にともなって、ここではKK01株
をバークホルデリア属に属するものとして記載するが、
寄託されている株自体に変更はない。
【0013】このKK01株は特公平8-24589号公報におい
てフェノール、クレゾール等の芳香族化合物を分解する
菌として公告された菌株である。また、特開平6-296711
号公報において、このKK01株がフェノール等の芳香族化
合物を誘導物質としてTCE等の有機塩素化合物を分解す
ることが開示されている。
【0014】アルカリゲネス スピーシズTL2株(通産
省、工業技術院、生命工学工業技術研究所、寄託番号:
FERM P-14642、寄託日:平成6年11月15日)は、特
開平8-154669号公報において、フェノール等の芳香族化
合物を資化し、かつこれらの化合物を誘導物質としてTC
E等の有機塩素化合物を分解することが開示されたもの
である。
【0015】ラルストニア・ユウトロファTB64株(通産
省、工業技術院、生命工学工業技術研究所、寄託番号:
FERM P-16980、寄託日:平成10年9月3日)は、以下
のような特徴を示す微生物である。なお、以下において
は試験項目、結果の順に記載する。
【0016】(1)形態観察 細胞の形:桿菌 (0.3〜0.5×1.0〜2.0 mm) 胞子:無 鞭毛:有(周鞭毛) グラム染色性 ・18時間:陰性 ・24時間:陰性 ・36時間:陰性
【0017】(2)生理・生化学試験 嫌気下での生育:陰性 カタラーゼ:陽性 オキシダーゼ:陽性 リトマスミルク:アルカリ 硝酸塩の還元:陰性 V-P反応:陰性 V-P培地のpH:7.76 カゼインの分解:陰性 ゼラチンの分解:陰性 澱粉の分解:陰性 DNAの分解:陰性 尿素の分解:陰性 Tween20の分解:陰性 Tween40の分解:陰性 Tween60の分解:陰性 Tween80の分解:陰性 チロシンの分解:陽性 有機酸の利用 ・クエン酸:陽性 ・プロピオン酸:陽性 ・酢酸:陽性 ・フマル酸:陽性 ・L-リンゴ酸:陽性 ・コハク酸:陽性 無機窒素源の利用 ・アンモニウム塩:陽性 ・硝酸塩:陽性 インドールの生成:陰性 硫化水素の生成: 陰性 色素の生成 ・P agar:陰性 ・F agar:陰性 ・King A agar:陰性 ・King B agar:陰性 NaCl存在下での生育 ・2%:陽性 ・5%:陰性 ・7%:陰性 生育pH:5.0〜9.0 生育温度:10℃〜40℃ 0.02%アジ化ナトリウム存在下での生育:陰性 0.001%リゾチウム存在下での生育:陽性 OFテスト:陰性 糖からの酸の生成 ・グルコース:陰性 ・アラビノース:陰性 ・フラクトース:陰性 ・ガラクトース:陰性 ・マルトース:陰性 ・ラクトース:陰性 ・シュークロース:陰性 ・キシロース:陰性 ・トレハロース:陰性 ・グリセロール:陰性 ・マンニトール:陰性 ・ソルビトール:陰性 ・ソルボース:陰性 ・マンノース:陰性 ・ラムノース:陰性 ・アドニトール:陰性 ガスの生成 ・グルコース:陰性 ・アラビノース:陰性 ・キシロース:陰性 ・マンニトール:陰性
【0018】(3)キノン組成分析
【表1】
【0019】以上の様な結果より、本菌株はラルストニ
ア・ユウトロファ(Ralstonia eutropha)と同定するのが
適当とした。
【0020】本発明における芳香族化合物を原料とした
PHAの生産では、芳香族化合物を唯一の炭素源として
与えてもよいし、これに酵母エキス、ポリペプトン等の
増殖基質を併用してもよい。培養方法としては、バッチ
式、流動バッチ式、連続培養式、リアクター形式等、通
常微生物を培養するいかなる方法をも用いることができ
る。与える芳香族化合物の濃度は、一回に与える濃度と
して2mMから5mM程度とし、何回にもわたって添加して原
料として利用させるようにしてもよい。PHAを生産・蓄
積せしめる段階では、窒素源は枯渇常態にあるような条
件に設定する事が望ましい。
【0021】本発明においては、少なくとも芳香族化合
物を炭素源とし、これを例えば無機塩培地に添加してPH
A生産用の培地として利用することができる。この無機
塩培地としては、リン源(通常はリン酸塩)、窒素源(通
常はアンモニウム塩、或いは硝酸塩)等、微生物が増殖
しうる成分を含んでいるものならいかなるものでもよ
く、例えば、MSB培地、M9培地等を挙げることができ
る。なお、M9培地の組成を以下に示す。
【0022】 Na2HPO4:6.2g KH2PO4:3.0g NaCl:0.5g NH4Cl:1.0g (培地1リットル中;pH7.0)
【0023】本発明における菌体からのPHAの回収は、
通常行われているクロロホルム抽出が最も簡便である
が、有機溶媒が使用しにくい環境中においては、SDS等
の界面活性剤処理、リゾチーム等の酵素処理、EDTA、次
亜塩素酸ナトリウム、アンモニア等の薬剤処理によって
PHA以外の菌体内成分を除去することによってPHAのみを
回収する方法を採ることもできる。
【0024】
【実施例】以下に実施例などを示すが本発明は以下の実
施例によって何等制限されうるものではない。
【0025】実施例1(KK01株を用いたフェノールによ
るPHBの生産) 酵母エキス0.2%を含むM9寒天培地上のKK01株のコロニ
ーを、酵母エキス0.1%、フェノール2mMを含むM9液体培
地に植菌し、30℃で培養した。24時間後、2mlの培養液
をフェノール5mMを唯一の炭素源として含む200mlのM9液
体培地中に加え、30℃で培養した。培養中、18時間後、
28時間後、38時間後、48時間後にフェノールを培地中
の濃度として5mMになるように追加し、72時間後に遠心
分離によって菌体を集菌した。この時、培地中のフェノ
ール濃度を4-アミノアンチピリンを用いた吸光光度法
(JIS K 0102-1993 28.1)によって測定したところ、5
μM以下であった。
【0026】集菌したKK01株のペレットを凍結乾燥した
ところ、210mgであった。この凍結乾燥ペレットを100ml
のクロロホルムに懸濁し、60℃で20時間攪拌抽出した。
抽出液をろ過した後、エバポレーターで濃縮し、濃縮液
を冷ヘキサン中で再沈殿させ、ポリマーを得た。このポ
リマーを室温で減圧乾燥し、秤量したところ、78mgであ
った。乾燥菌体当たりの量比は約37%ということにな
る。
【0027】得られたポリマーの組成は以下のようにし
て分析した。すなわち、ポリマー10mgを25ml容ナス型フ
ラスコに入れ、クロロホルム2mlに溶解させ、3%硫酸
を含むメタノール溶液2mlを加えて、100℃で還流し
ながら3.5時間反応させた。反応終了後、水2mlを加えて
激しく10分間振とうした後に、2層に分離した下層の
クロロホルム層を取り出し、このクロロホルム層をガス
クロマトグラフィーにかけて、各ヒドロキシアルカン酸
メチルのピークのリテンションタイムと比較してモノマ
ーユニットを同定した。その結果、3HBが98%、4HBが2
%のポリエステルであることが判明した。
【0028】更に、GPCによってこのポリエステルの分
子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)が280000、重
量平均分子量(Mw)が1300000であった。
【0029】実施例2(TL2株を用いたフェノールによ
るPHBの生産) 酵母エキス0.2%を含むM9寒天培地上のTL2株のコロニー
を、酵母エキス0.1%、フェノール2mMを含むM9液体培地
に植菌し、30℃で培養した。20時間後、2mlの培養液を
フェノール4mMを唯一の炭素源として含む200mlのM9液体
培地中に加え、30℃で培養した。培養中、16時間後、24
時間後、32時間後、40時間後、48時間後、60時間後にフ
ェノールを培地中の濃度として4mMになるように追加
し、72時間後に遠心分離によって菌体を集菌した。この
時、培地中のフェノール濃度を4-アミノアンチピリンを
用いた吸光光度法(JIS K 0102-1993 28.1)によって測
定したところ、5μM以下であった。
【0030】集菌したTL2株のペレットを凍結乾燥した
ところ、290mgであった。この凍結乾燥ペレットから、
実施例1と同様の方法でポリマーを得た。このポリマー
を室温で減圧乾燥し、秤量したところ、144mgであっ
た。乾燥菌体当たりの量比は約50%ということになる。
【0031】得られたポリマーの組成を、実施例1と同
様の方法で分析したところ、3HBが94%、4HBが6%のポ
リエステルであることが判明した。更に、GPCによって
その分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)が3000
00、重量平均分子量(Mw)が1100000であった。
【0032】実施例3(TB64株を用いたフェノールによ
るPHBの生産) 酵母エキス0.2%を含むM9寒天培地上のTB64株のコロニ
ーを、酵母エキス0.1%、フェノール2mMを含むM9液体培
地に植菌し、30℃で培養した。20時間後、2mlの培養液
をフェノール4mMを唯一の炭素源として含む200mlのM9液
体培地中に加え、30℃で培養した。培養中、16時間後、
24時間後、32時間後、40時間後、48時間後、60時間後に
フェノールを培地中の濃度として4mMになるように追加
し、72時間後に遠心分離によって菌体を集菌した。この
時、培地中のフェノール濃度を4-アミノアンチピリンを
用いた吸光光度法(JIS K 0102-1993 28.1)によって測
定したところ、5μM以下であった。
【0033】集菌したTB64株のペレットを凍結乾燥した
ところ、265mgであった。この凍結乾燥ペレットから、
実施例1と同様の方法でポリマーを得た。このポリマー
を室温で減圧乾燥し、秤量したところ、119mgであっ
た。乾燥菌体当たりの量比は約45%ということになる。
【0034】得られたポリマーの組成を、実施例1と同
様の方法で分析したところ、3HBが95%、4HBが5%のポ
リエステルであることが判明した。更に、GPCによって
その分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)が2600
00、重量平均分子量(Mw)が990000であった。
【0035】実施例4(KK01株を用いたo-クレゾールに
よるPHBの生産) 酵母エキス0.2%を含むM9寒天培地上のKK01株のコロニ
ーを、酵母エキス0.1%、o-クレゾール2mMを含むM9液体
培地に植菌し、30℃で培養した。24時間後、2mlの培養
液をo-クレゾール5mMを唯一の炭素源として含む200mlの
M9液体培地中に加え、30℃で培養した。培養中、16時間
後、26時間後、36時間後、46時間後、56時間後、66時間
後にフェノールを培地中の濃度として5mMになるように
追加し、76時間後に遠心分離によって菌体を集菌した。
この時、培地中のo-クレゾール濃度をp-ヒドラジノベン
ゼンスルホン酸を用いた吸光光度法(JIS K 0102-1993
28.2)によって測定したところ、5μM以下であった。
【0036】集菌したKK01株のペレットを凍結乾燥した
ところ、255mgであった。この凍結乾燥ペレットから、
実施例1と同様の方法によりポリマーを得た。このポリ
マーを室温で減圧乾燥し、秤量したところ、98mgであっ
た。乾燥菌体当たりの量比は約38%ということになる。
得られたポリマーの組成を実施例1と同様の方法で分析
した結果、3HBが97%、4HBが3%のポリエステルである
ことが判明した。
【0037】更に、GPCによってその分子量を測定した
ところ、数平均分子量(Mn)が270000、重量平均分子量(M
w)が1200000であった。
【0038】実施例5(TB64株を用いたトルエンによる
PHBの生産) 酵母エキス0.2%を含むM9寒天培地上のTB64株のコロニ
ーを、酵母エキス0.1%、トルエン2mMを含むM9液体培地
に植菌し、密栓して30℃で培養した。24時間後、2mlの
培養液をトルエン2mMを唯一の炭素源として含む200mlの
M9液体培地中に加え、密栓して30℃で培養した。培養
中、20時間後、30時間後、40時間後、50時間後、60時間
後、70時間後にトルエンを培地中の濃度として2mMにな
るように追加し、80時間後に遠心分離によって菌体を集
菌した。この時、培地中のトルエンの濃度をガスクロマ
トグラフィーによって測定したところ、10μM以下であ
った。
【0039】集菌したTB64株のペレットを凍結乾燥した
ところ、188mgであった。この凍結乾燥ペレットから、
実施例1と同様の方法でポリマーを得た。このポリマー
を室温で減圧乾燥し、秤量したところ、79mgであった。
乾燥菌体当たりの量比は約42%ということになる。
【0040】得られたポリマーの組成を、実施例1と同
様の方法で分析したところ、3HBが96%、4HBが4%のポ
リエステルであることが判明した。また、3HVに相当す
るピークがトレースで確認された。更に、GPCによって
その分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)が2500
00、重量平均分子量(Mw)が980000であった。
【0041】実施例6(TL2株を用いたベンゼンによるP
HBの生産) 酵母エキス0.2%を含むM9寒天培地上のTL2株のコロニー
を、酵母エキス0.1%、ベンゼン2mMを含むM9液体培地に
植菌し、30℃で培養した。24時間後、2mlの培養液をベ
ンゼン2mMを唯一の炭素源として含む200mlのM9液体培地
中に加え、30℃で培養した。培養中、18時間後、28時間
後、38時間後、48時間後、58時間後、68時間後にベンゼ
ンを培地中の濃度として2mMになるように追加し、78時
間後に遠心分離によって菌体を集菌した。この時、培地
中のベンゼン濃度をガスクロマトグラフィーによって測
定したところ、10μM以下であった。
【0042】集菌したTL2株のペレットを凍結乾燥した
ところ、192mgであった。この凍結乾燥ペレットから、
実施例1と同様の方法でポリマーを得た。このポリマー
を室温で減圧乾燥し、秤量したところ、89mgであった。
乾燥菌体当たりの量比は約46%ということになる。
【0043】得られたポリマーの組成を、実施例1と同
様の方法で分析したところ、3HBが95%、4HBが5%のポ
リエステルであることが判明した。更に、GPCによって
その分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)が3000
00、重量平均分子量(Mw)が1000000であった。
【0044】実施例7(TL2株を用いたキシレンによるP
HBの生産) 酵母エキス0.2%を含むM9寒天培地上のTL2株のコロニー
を、酵母エキス0.1%、キシレン2mMを含むM9液体培地に
植菌し、30℃で培養した。30時間後、2mlの培養液をキ
シレン2mMを唯一の炭素源として含む200mlのM9液体培地
中に加え、30℃で培養した。培養中、24時間後、34時間
後、44時間後、54時間後、64時間後、74時間後にベンゼ
ンを培地中の濃度として2mMになるように追加し、84時
間後に遠心分離によって菌体を集菌した。この時、培地
中のキシレン濃度をガスクロマトグラフィーによって測
定したところ、10μM以下であった。
【0045】集菌したTL2のペレットを凍結乾燥したと
ころ、186mgであった。この凍結乾燥ペレットから、実
施例1と同様の方法でポリマーを得た。このポリマーを
室温で減圧乾燥し、秤量したところ、81mgであった。乾
燥菌体当たりの量比は約44%ということになる。
【0046】得られたポリマーの組成を、実施例1と同
様の方法で分析したところ、3HBが93%、4HBが7%のポ
リエステルであることが判明した。更に、GPCによって
分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)が280000、
重量平均分子量(Mw)が980000であった。
【0047】実施例8(TB64株を用いたエチルベンゼン
によるPHBの生産) 酵母エキス0.2%を含むM9寒天培地上のTB64株のコロニ
ーを、酵母エキス0.2%、エチルベンゼン1mMを含むM9液
体培地に植菌し、密栓して30℃で培養した。30時間後、
2mlの培養液をエチルベンゼン2mMを唯一の炭素源として
含む200mlのM9液体培地中に加え、密栓して30℃で培養
した。培養中、24時間後、34時間後に、培地中の濃度と
して1mM、40時間後、50時間後、60時間後、70時間後に
培地中の濃度として2mMになるようにエチルベンゼンを
追加し、85時間後に遠心分離によって菌体を集菌した。
この時、培地中のエチルベンゼンの濃度をガスクロマト
グラフィーによって測定したところ、10μM以下であっ
た。
【0048】集菌したTB64のペレットを凍結乾燥したと
ころ、179mgであった。この凍結乾燥ペレットから、実
施例1と同様の方法でポリマーを得た。このポリマーを
室温で減圧乾燥し、秤量したところ、73mgであった。乾
燥菌体当たりの量比は約41%ということになる。
【0049】得られたポリマーの組成を、実施例1と同
様の方法で分析したところ、3HBが96%、4HBが4%のポ
リエステルであることが判明した。また、3HVに相当す
るピークがトレースで確認された。更に、GPCによって
その分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)が2600
00、重量平均分子量(Mw)が990000であった。
【0050】
【発明の効果】本発明の方法により、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、エチルベンゼン、フェノール、クレゾー
ルといった芳香族化合物から、生物的にポリヒドロキシ
ブチレートを中心とするポリヒドロキシアルカノエート
を生産することが可能となった。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベンゼン核を有する芳香族化合物を含む
    培地中で、該芳香族化合物を資化し且つポリヒドロキシ
    アルカノエートを生産・蓄積する能力を有する微生物を
    培養する工程を有することを特徴とするポリヒドロキシ
    アルカノエートの製造方法。
  2. 【請求項2】 該芳香族化合物がベンゼン、トルエン、
    キシレン、エチルベンゼン、フェノール及びクレゾール
    からなる群から選択された一つ以上である請求項1に記
    載の製造方法。
  3. 【請求項3】 該微生物が、バークホルデリア(Burkhol
    deria)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属またはラル
    ストニア(Ralstonia)属に属する細菌である請求項1に
    記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 該微生物が、バークホルデリア・セパシ
    ア(Burkholderia cepacia)KK01株(FERM BP-4235)、
    アルカリゲネス スピーシズ(Alcaligenes sp.)TL2株
    (FERM P-14642)またはラルストニア・ユウトロファ
    (Ralstonia eutropha)TB64株(FERM P-16980)である請求
    項3に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 該ポリヒドロキシアルカノエートが、モ
    ノマーユニットとして3-ヒドロキシブチレートを含む請
    求項1に記載の製造方法。
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