JPWO2003015139A1 - ステージシステム及び露光装置、並びにデバイス製造方法 - Google Patents
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Abstract
定盤(30)に対して振動的に独立して設けられた固定子(74)と、ステージ(RST)に接続された可動子(72)とにより、定盤のガイド面(92c,92d)に沿ってステージが駆動される。また、定盤の例えば上下方向の駆動量が所定値を超えると、接続機構(33)によるステージと可動子との接続が解除される。すなわち、定盤上のステージに接続された可動子と固定子とが接触して両者間に大きな負荷がかかる前に、ステージと可動子との接続が解除されるので、可動子及び固定子の接触による損傷を回避することができる。更に、固定子が定盤に対して振動的に独立して設けられているので、ステージの位置制御を高精度に行うことができる。従って、長期に渡ってステージを安定して駆動することが可能となる。
Description
技術分野
本発明は、ステージシステム及び露光装置、並びにデバイス製造方法に係り、更に詳しくは定盤の移動面に沿って移動するステージ本体と該ステージ本体に接続された可動子と定盤に対して振動的に独立して設けられた固定子とを有するステージシステム、及び該ステージシステムをマスク及び基板の少なくとも一方の駆動装置として備える露光装置、並びに該露光装置を用いて露光を行うデバイス製造方法に関する。
背景技術
従来より、半導体素子、液晶表示素子等を製造するためのリソグラフィ工程では、マスク又はレチクル(以下「レチクル」と総称する)に形成されたパターンを投影光学系を介してレジスト等が塗布されたウエハ又はガラスプレート等の基板(以下、「ウエハ」と総称する)上に転写するステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置(いわゆるステッパ)や、このステッパに改良を加えたステップ・アンド・スキャン方式の走査型投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ)等の逐次移動型の投影露光装置が主として用いられている。
例えば、スキャニング・ステッパの場合、レチクルを保持するレチクルステージの移動基準となるレチクルステージ定盤は、投影光学系によりレチクル上のパターンが結像される像面を決定する重要な部分であるため、レチクルステージ駆動時にもできる限り振動が抑制されることが望ましい。
また、投影露光装置のウエハステージでは、ウエハ表面をレチクル上のパターンが結像される像面に合わせるため、XY駆動用のXYステージ上に、少なくともZ・チルト駆動が可能なウエハテーブルが設けられ、このウエハテーブル上にウエハが保持されている場合が多い。この場合、ウエハステージ定盤に所定量以上の振動が生じた場合、十分な振動減衰を行うことができず、ウエハテーブルのZ軸方向位置制御精度が悪化する。
このため、レチクルステージ又はウエハステージを、例えばリニアモータを用いて駆動する場合には、リニアモータによるステージの駆動に伴う反力がステージ定盤に伝わらないようにするために、ステージの駆動による反力が作用するリニアモータの固定子をステージ定盤とは分離するか、あるいはその反力の作用により運動量が保存されるように固定子が移動するいわゆるカウンタマス機構を採用することで、ステージの駆動による反力がステージ定盤を振動させるのを防止している。
また、床からの振動がステージ定盤を振動させるのを防止するため、ステージ定盤と床との間にダンパを介在させてステージ定盤に対する防振を行うことが望ましい。
レチクルステージ及びウエハステージでは、共に、少なくとも長ストローク方向(通常水平面内の一軸方向)への駆動手段としてリニアモータが用いられることが多い。このリニアモータでは、水平面に直交する方向(高さ方向)に関しては許容できる可動子と固定子との間の相対変位は小さく、例えば±0.5mm程度の範囲が有効な推力を得るための限界となっている。
この一方、前述のダンパとしては、十分な振動減衰効果を得るためにはAVIS(エアダンパ等の大重量に耐える機械式のダンパとボイスコイルモータ等の電磁アクチュエータとの組み合わせにより振動減衰を行う防振装置)が採用されることが多い。すなわち、AVISによりステージ定盤を積極的に駆動して、床からの振動がステージ定盤を振動させるのを防止するのである。しかるに、AVISでは、その中立位置からその駆動を機械的に制限するストッパ(メカストッパ)が設けられた位置までの許容可動ストロークは、±3mm程度となっている。このため、AVISが暴走してその制御が困難となった場合などには、AVISによるステージ定盤の駆動ストロークが前述したリニアモータにおける許容範囲をオーバーするため、結果的にリニアモータの固定子と可動子とが相互に接触し、リニアモータが損傷するおそれがあった。
かかる事態の発生を回避する方法として、例えばリニアモータの固定子のガイド部と可動子のガイド部とのそれぞれをステージ定盤上のガイド面とは別に設定することも考えられるが、このように設定した場合には、元々各ステージのガイド面はステージ定盤上にあるため、ステージのガイド面とリニアモータの固定子及び可動子のガイド部との適切な位置関係を維持することが困難となり、結果的にリニアモータの固定子のガイド部と可動子のガイド部が損傷する可能性があった。
このため、従来技術では、リニアモータあるいはそのガイド部のメンテナンスを頻繁に行う必要があった。これは、露光装置のダウンタイムの増加要因となり、結果的に最終製品であるデバイスの生産性を低下させる要因となる。
本発明はかかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、長期に渡ってステージ本体を安定して駆動することが可能なステージシステムを提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、稼動効率の向上を図ることができる露光装置を提供することにある。
また、本発明の第3の目的は、デバイスの生産性を向上させることが可能なデバイス製造方法を提供することにある。
発明の開示
本発明は、第1の観点からすると、定盤の移動面に沿って移動可能なステージ本体と;前記ステージ本体に接続された可動子と;前記定盤に対して振動的に独立して設けられ、前記可動子と協働して前記ステージ本体を駆動する固定子と;前記定盤を駆動する駆動装置と;前記駆動装置による前記定盤の駆動量が所定値を超えた際に、前記ステージ本体と前記可動子との接続を解除する解除装置と;を備えるステージシステムである。
これによれば、定盤に対して振動的に独立して設けられた固定子とステージ本体に接続された可動子との協働により、ステージ本体が定盤の移動面に沿って駆動される。定盤は、駆動装置によって駆動されるが、駆動装置による定盤の駆動量が所定値を超えた場合には、解除装置によりステージ本体と可動子との接続が解除される。すなわち、駆動装置による定盤の駆動量が所定値を超えた場合に、ステージ本体に接続された可動子と固定子とが接触し、両者間に大きな負荷がかかる前に、解除装置によりステージ本体と可動子との接続が解除され、結果的に可動子及び固定子が接触により損傷するのを回避することが可能となる。また、固定子が定盤に対して振動的に独立して設けられていることから、ステージ本体を駆動する際に固定子に生じる反力が定盤を振動させることがなく、定盤上の移動面に沿って移動するステージ本体の位置制御を高精度に行うことができる。従って、本発明のステージシステムによれば、長期に渡ってステージ本体を安定して駆動することが可能となる。
この場合において、駆動装置による定盤の駆動方向は、特に限定されず、例えば、前記駆動装置は、前記移動面とほぼ直交する方向に沿って前記定盤を駆動することとすることができる。
本発明のステージシステムでは、前記ステージ本体と前記可動子とを接続する方法、及び解除装置の構成等については、種々のものが考えられる。例えば、前記ステージ本体と前記可動子とは磁気的に接続されており、前記解除装置は、前記磁気的な接続を解除することとしても良いし、あるいは前記ステージ本体と前記可動子とは真空吸引力により接続されており、前記解除装置は、前記真空吸引力を解除することとしても良い。
本発明のステージシステムでは、前記定盤に対して振動的に独立して設けられた支持台を備え、前記固定子は前記支持台に接続されていることとすることができる。
本発明のステージシステムでは、前記定盤に対して振動的に独立して設けられた支持台を備え、前記固定子は前記支持台に移動可能に支持されていることとすることができる。
この場合において、前記支持台に移動可能に支持された前記固定子は、前記ステージ本体の駆動時に生じる反力の作用により、前記ステージ本体の駆動方向とは反対方向に移動することとすることができる。
本発明のステージシステムでは、固定子が定盤に対して振動的に独立して設けられた支持台に移動可能に支持されている場合には、前記ステージ本体の移動に伴う前記固定子の位置変化を補正する位置補正機構を更に備えることとすることができる。
本発明のステージシステムでは、固定子が定盤に対して振動的に独立して設けられた支持台に移動可能に支持されている場合には、前記固定子と可動子との協働による駆動力の作用点は前記ステージ本体の重心及び前記固定子の重心に一致し、前記解除装置は、前記駆動装置による前記定盤の駆動により、前記定盤上の移動面と前記支持台における前記固定子の移動面との間の相対位置変位が所定値以上となる場合に、それに応答して前記ステージ本体と前記可動子との接続を解除することとすることができる。
本発明のステージシステムでは、前記ステージ本体と前記可動子とは、吸引力により接続されており、前記解除装置は、前記駆動装置による前記定盤の駆動により前記可動子と固定子とが接触した際に、これを検知して前記吸引力の発生を停止するオン・オフ機構を含むこととすることができる。
本発明に係るステージシステムでは、前記解除装置により前記接続が解除された状態で機械的な破損を生じない程度の剛性を有するとともに、前記ステージ本体と前記可動子とを接続する弾性部材を更に備えることとすることができる。
本発明は、第2の観点からすると、マスクに形成されたパターンを基板上に転写する露光装置であって、前記マスクを駆動する第1駆動システムと;前記基板を駆動する第2駆動システムと;を備え、前記第1駆動システム及び第2駆動システムの少なくとも一方として本発明のステージシステムが用いられていることを特徴とする第1の露光装置である。
これによれば、長期に渡ってステージ本体を安定して駆動することが可能な本発明のステージシステムが、マスクを駆動する第1駆動システム及び基板を駆動する第2駆動システムの少なくとも一方として用いられている。このため、マスク及び基板の少なくとも一方を長期に渡って安定して駆動することができ、マスクと基板との重ね合わせ精度を良好に維持することができる。また、ステージシステムでは、ステージ本体を駆動する駆動装置の固定子と可動子とが接触により損傷する可能性が低いので、このためのメンテナンスが不要となる。従って、装置のダウンタイムの低減を図ることができ、結果的に稼働率の向上が可能となる。
本発明は、第3の観点からすると、エネルギビームにより感光物体を露光して所定のパターンを前記感光物体上に形成する露光装置であって、前記感光物体を保持して第1移動面に沿って移動可能な少なくとも1つの物体ステージと;前記物体ステージに接続された第1可動子と、該第1可動子との間の物理的な相互作用により発生する駆動力によって前記物体ステージを駆動する第1固定子とを有する第1ステージ駆動装置と;前記第1移動面の前記第1固定子に対する相対変位により、前記第1可動子と前記第1固定子とが接触した際に、前記前記物体ステージと前記第1可動子との接続を解除する第1の解除装置と;を備える第2の露光装置である。
これによれば、第1ステージ駆動装置は、第1可動子と第1固定子との間の物理的な相互作用(例えば電磁気的な相互作用など)により発生する駆動力によって前記第1可動子に吸引力により接続された物体ステージを、第1移動面に沿って駆動する。そして、何らかの要因により、第1移動面が第1固定子に対して相対変位することにより、第1可動子と第1固定子とが接触した際には、解除装置により、第1可動子と物体ステージとの接続が解除される。このため、本第2の露光装置では、物体ステージを駆動する第1ステージ駆動装置の第1固定子と第1可動子とが接触により損傷するのをほぼ回避することができるので、第1固定子と第1可動子との接触に起因する第1ステージ駆動装置のメンテナンスが不要となる分、第1ステージ駆動装置のメンテナンス頻度を低減することができる、従って、装置のダウンタイムの低減を図ることができ、結果的に稼働率の向上が可能となる。
この場合において、前記物体ステージと前記第1可動子とは、吸引力により接続され、前記第1の解除装置は、前記吸引力を解除することにより前記物体ステージと前記第1可動子との接続を解除することとすることができる。
本発明の第2の露光装置では、前記第1移動面は前記第1固定子とは振動に関して分離された定盤上に形成されていることとすることができる。
本発明の第2の露光装置では、前記物体ステージは複数設けられ、前記第1ステージ駆動装置は、前記各物体ステージに吸引力により個別に接続された複数の第1可動子と、該各第1可動子との間の物理的な相互作用により前記各物体ステージを駆動する前記駆動力を発生する少なくとも1つの前記第1固定子とを有し、前記第1の解除装置は、少なくとも1つの特定の第1可動子と対応する第1固定子とが接触した際に、前記特定の第1可動子と対応する物体ステージとの間の前記吸引力を解除することとすることができる。
この場合において、前記パターンの原版であるマスクから射出される前記エネルギビームを前記感光物体上に投射する投影光学系と;前記各物体ステージにて保持された感光物体の、前記投影光学系の光軸方向位置を検出するフォーカス検出系と;前記各物体ステージの前記光軸に直交する面内の位置を計測する位置計測装置と;前記各物体ステージの位置と前記2つの物体ステージの位置関係とに応じたマップ及び前記位置計測装置による計測結果、並びに前記フォーカス検出系の検出結果に基づいて、前記移動面と前記各物体ステージとの前記光軸方向に関する位置関係を調整する調整装置と;を更に備えることとすることができる。
本発明の第2の露光装置では、前記パターンの原版であるマスクを保持して第2移動面に沿って移動可能なマスクステージと;前記マスクステージに接続された第2可動子と、該第2可動子との間の物理的な相互作用により発生する駆動力によって前記マスクステージを駆動する第2固定子とを有する第2ステージ駆動装置と;前記第2移動面の前記第2固定子に対する相対変位により、前記第2可動子と前記第2固定子とが接触した際に、前記マスクステージと前記第2可動子との接続を解除する第2の解除装置と;を更に備えることとすることができる。
この場合において、前記マスクステージと前記第2可動子とは、吸引力により接続され、前記第2の解除装置は、前記吸引力を解除することにより前記マスクステージと前記第2可動子との接続を解除することとすることができる。
本発明の第2の露光装置では、前記第2移動面は前記第2固定子とは振動に関して分離された定盤上に形成されていることとすることができる。
本発明の第2の露光装置では、前記吸引力は、真空吸引力及び磁気的吸引力のいずれかであることとすることができる。
また、リソグラフィ工程において、本発明の第1及び第2の露光装置のいずれかを用いて露光を行うことにより、露光装置のダウンタイムを低減してデバイスの生産性を向上することができる。従って、本発明は、更に別の観点からすると、本発明の第1及び第2の露光装置のいずれかを用いるデバイス製造方法であるとも言える。
発明を実施するための最良の形態
本発明の一実施形態を図1〜図12Bに基づいて説明する。図1には、一実施形態に係る露光装置が一部断面して概略的に示されている。
この露光装置10は、マスクとしてのレチクルRと基板としてのウエハW1(又はW2)とを一次元方向(ここでは、図1における紙面内左右方向であるY軸方向とする)に同期移動しつつ、レチクルRに形成された回路パターンを投影光学系PLを介してウエハW1(又はW2)上の各ショット領域に転写する、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置、すなわちいわゆるスキャニング・ステッパである。
露光装置10は、露光光源を含む照明系12、レチクルRを保持するステージ本体としてのレチクルステージRST、レチクルRから射出される照明光ILをウエハW1、W2上に投射する投影光学系PL、ウエハW1,W2をそれぞれ保持するステージ本体としてのウエハステージWST1,WST2、及びレチクルステージRST及びウエハステージWST1,WST2をそれぞれ移動可能に支持するとともに投影光学系PLを保持する本体コラムBD等を備えている。
前記照明系12は、例えば特開平6−349701号公報及びこれに対応する米国特許第5,534,970号公報などに開示されるように、光源と、オプティカルインテグレータ(フライアイレンズ、内面反射型インテグレータ、あるいは回折光学素子など)等を含む照度均一化光学系、リレーレンズ、可変NDフィルタ、レチクルブラインド、及びダイクロイックミラー等(いずれも不図示)から成る照明光学系とを含んで構成されている。この照明系12では、回路パターン等が描かれたレチクルR上のレチクルブラインドで規定されたスリット状の照明領域部分を照明光ILによりほぼ均一な照度で照明する。ここで、照明光ILとしては、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの遠紫外光、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、あるいはF2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光などが用いられる。照明光ILとして、超高圧水銀ランプからの紫外域の輝線(g線、i線等)を用いることも可能である。なお、本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記公報及び対応する米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
ここで、照明系内の各駆動部、すなわち可変NDフィルタ、レチクルブラインド等は、主制御装置99(図1では不図示、図7参照)からの指示に応じ照明制御装置(露光コントローラ)117(図1では不図示、図7参照)によって制御される。
前記本体コラムBDは、クリーンルームの床面F上に水平に載置された矩形板状の支持台としてのベースプレートBP、該ベースプレートBP上面の4つのコーナー部分に設けられた上下方向に所定の長さで伸びる4本の第1支柱14(但し、図1の紙面手前側に位置する2本の第1支柱については不図示)、これらの第1支柱14により駆動装置としての第1防振ユニット16(但し、図1の紙面手前側の2つの第1防振ユニットについては不図示)をそれぞれ介して4点で支持された第1架台ST1、該第1架台ST1上に配置された駆動装置としての4つの第2防振ユニット24(但し、図1の紙面手前側に位置する2つの第2防振ユニットについては不図示)により4点で支持された第2架台ST2、及び第1架台ST1の下方に吊り下げ支持された第3架台ST3等を備えている。このうち、ベースプレートBPと4本の第1支柱14とによってフレームキャスタFCが構成されている。
前記第1架台ST1は、その底板部を構成するベースフレーム18と、このベースフレーム18上面の図1の紙面奥側に位置する2つのコーナー近傍にそれぞれ固定された上下方向に延びる2本の第2支柱20A,20Bと、これら2本の第2支柱20A,20Bによりほぼ水平に支持された矩形板状のY軸固定子支持板60とを備えている。
前記ベースフレーム18は、その中央部に矩形の開口18aが形成された矩形枠状の板部材から成り、その底面の4つのコーナー近傍にて、前述した第1防振ユニット16によりほぼ水平に支持されている。これらの第1防振ユニット16のそれぞれは、第1支柱14の上部に直列(又は並列)に配置されたエアダンパ又は油圧式のダンパ等の大重量に耐える機械式のダンパと、ボイスコイルモータ等の電磁式のアクチュエータより成る電磁式のダンパとを含んで構成されている。そして、ベースフレーム18の上面の水平面に対する傾斜角が第1変位センサ109(図1では不図示、図7参照)によって検出され、この第1変位センサ109の検出値に基づいて、主制御装置99(図7参照)により、前記の傾斜角が許容範囲内に収まるように、4つの第1防振ユニット16を構成する電磁式のダンパが駆動され、必要に応じて機械式のダンパの空気圧又は油圧等が制御される。この場合、機械式のダンパによって、床からの高い周波数の振動は露光装置10に伝わる前に減衰され、残存している低い周波数の振動は電磁式のダンパによって減衰される。上記の変位センサとしては、例えば、ベースフレーム18に取り付けられた電気式の水準器、又は光学式の傾斜角検出器等を用いることができる。
前記Y軸固定子支持板60は、上方から見て矩形の板部材から構成され、その上面には後述するY軸固定子が配置されている。
前記第2架台ST2は、ベースフレーム18の上面に配置された4つの第2防振ユニット24によって下方から4点で支持された投影光学系支持部材26と、該投影光学系支持部材26の上面の第2防振ユニット24にそれぞれ対向する位置にそれぞれ固定された上下方向に所定長さで伸びる4本の第3支柱28A,28B,28C,28D(但し、図1における紙面手前側に位置する第3支柱28C,28Dについては不図示、図2参照)と、これら4本の第3支柱28A〜28Dによりほぼ水平に支持された定盤としてのレチクルステージベース30とを備えている。
前記投影光学系支持部材26は、上端部にフランジ部が形成された筒状の部材によって構成されている。この投影光学系支持部材26の中央には、平面視(上から見て)円形の段付き開口26aが上下方向(Z軸方向)に連通して形成されている。この段付き開口26aには、前記投影光学系PLが上方から挿入され、投影光学系PLはその高さ方向のほぼ中央に設けられたフランジFLGを介して投影光学系支持部材26によって支持されている。
また、投影光学系支持部材26には、段つき開口26a以外にも、上下方向(Z軸方向)に複数の貫通孔が設けられており、該貫通孔には、各種検出系を構成する複数の鏡筒が挿入されている。なお、これら検出系については後に詳述する。
前記第2防振ユニット24のそれぞれは、前述した第1防振ユニット16と同様の構成となっている(但し、耐荷重性は第1防振ユニット16よりも低く設定されている)。そして、投影光学系支持部材26上面又はレチクルステージベース30上面の水平面に対する傾斜角が第2変位センサ111(図1では不図示、図7参照)によって検出され、この第2変位センサ111の検出値に基づいて、主制御装置99(図7参照)により、前記傾斜角が許容範囲内に収まるように、4つの第2防振ユニット24が制御される。すなわち、本実施形態では、第2防振ユニット24のそれぞれによって、レチクルステージベース30を含む第2架台ST2を、それぞれZ軸方向に駆動する駆動装置が構成され、かつ4つの第2防振ユニット24によって第2架台ST2をXY面に対する傾斜方向に駆動する駆動装置が構成されている。
なお、上記の変位センサとしては、例えば、投影光学系支持部材26又はレチクルステージベース30に取り付けられた電気式の水準器、又は光学式の傾斜角検出器等を用いることができる。
前記レチクルステージベース30は、図2に示されるように、平面視(上方から見て)矩形の板部材から構成されており、その中央部には照明光ILを通過させるための開口30a(図2では不図示、図1参照)が形成されている。このレチクルステージベース30上面のX軸方向−側及び他側の端部にはY軸方向に沿ってエアガイド92A,92Bがそれぞれ延設されている。これらエアガイド92A,92Bの上面はそれぞれ平坦度が極めて良好な面に加工されており、これらの面によってステージ本体としてのレチクルステージRSTの移動面としてのガイド面92c,92dが構成されている。
前記レチクルステージRSTは、レチクルステージベース30の上面に複数の気体静圧軸受け90を介して浮上支持され、レチクルRを真空吸着等によって保持するレチクル微動ステージ32と、該レチクル微動ステージ32と一体で走査方向であるY軸方向に所定ストロークで移動するレチクル粗動ステージ34とを備えている。なお、図1においては、便宜上、レチクル微動ステージ32とレチクル粗動ステージ34とが1つのレチクルステージRSTとして図示されている。
また、レチクルステージベース30には、図2の斜視図に示されるようにレチクル微動ステージ32の位置を計測するレチクルY軸干渉計66Y1、66Y2、レチクルX軸干渉計66X、及び各干渉計を介して測長ビームを出射する干渉計レーザ68が設けられており、これらの干渉計によってレチクル微動ステージ32の2次元的な位置及び回転角が高精度に計測され、この計測結果に基づいて主制御装置99(図7参照)は、レチクル微動ステージ32の位置及び速度を制御する。なお、図1では、計3つの干渉計が纏めてレチクル干渉計66として示されている。
また、図2では不図示であるがそれぞれのレチクル干渉計66Y1、66Y2、66Xに対応して、計測の基準となる固定鏡がそれぞれ投影光学系PLの鏡筒の側面に設けられている。これら固定鏡が、図1では代表的に固定鏡Mrとして示されている。
更に、前記Y軸固定子支持板60上方には、図2に示されるように、レチクル粗動ステージ34をY軸方向に駆動するためのリニアモータの固定子であって、駆動時に発生する反力をキャンセルするためにY軸方向に沿ってレチクル粗動ステージ34とは反対方向に移動するカウンタマスとしての機能を有するY軸固定子74が配置されている。
本実施形態では、レチクルステージRSTとその駆動系等を含んで第1駆動システムとしてのレチクルステージシステムが構成されている。このレチクルステージシステムの構成等については後に更に詳述する。
図1に戻り、前記投影光学系PLとしては、物体面側(レチクル側)と像面側(ウエハ側)の両方がテレセントリックで1/4(又は1/5)縮小倍率の縮小系が用いられている。このため、レチクルRに照明系12から照明光(紫外パルス光)ILが照射されると、レチクルR上に形成された回路パターン領域のうちの紫外パルス光によって照明された部分からの結像光束が投影光学系PLに入射し、その回路パターンの部分倒立像が紫外パルス光の各パルス照射の度に投影光学系PLの像面側の視野の中央にX軸方向に細長いスリット状又は矩形状(多角形)に制限されて結像される。これにより、投影された回路パターンの部分倒立像は、投影光学系PLの結像面に配置されたウエハW1(又はウエハW2)上の複数のショット領域のうちの1つのショット領域表面のレジスト層に縮小転写される。
投影光学系PLとしては、光源としてArFエキシマレーザを用いる場合には、屈折光学素子(レンズ素子)のみから成る屈折系が主として用いられるが、F2レーザ等を用いる場合には、例えば特開平3−282527号公報、特開平8−171054号公報及びこれに対応する米国特許第5,668,672号、並びに特開平10−20195号公報及びこれに対応する米国特許第5,835,275号などに開示されているような、屈折光学素子と反射光学素子(凹面鏡やビームスプリッタ等)とを組み合わせたいわゆるカタディオプトリック系(反射屈折系)、あるいは反射光学素子のみから成る反射光学系が主として用いられる。本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記各米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。但し、F2レーザを用いる場合に、屈折系を用いることは可能である。
前記第3架台ST3は、投影光学系PLの下方にベースプレートBPにほぼ平行に配置された定盤としてのステージベースSBと、該ステージベースSBをベースフレーム18の底面に吊り下げ支持する4本のベース支持部材42(但し、紙面手前側に位置する2本のベース支持部材は不図示)とを有している。ステージベースSBの上面の上方に不図示の非接触ベアリング、例えば気体静圧軸受けを介して前記ウエハステージWST1,WST2が浮上支持されている。
ウエハステージWST1,WST2は、それぞれ、例えばリニアモータ等より構成されるウエハステージ駆動系70(図7参照)により駆動され、Y軸方向に連続移動するとともに、X軸方向及びY軸方向にステップ移動する。
さらに、ウエハステージWST1の内部には、ウエハW1のレベリング及びフォーカシングを行うためにウエハW1をZ軸方向、θx方向(X軸回りの回転方向)、及びθy方向(Y軸回りの回転方向)の3自由度方向に微小駆動するためのウエハテーブルTB1(図3参照)が組み込まれている。同様に、ウエハステージWST2の内部には、ウエハW2のレベリング及びフォーカシングを行うためにウエハW2をZ軸方向、θx方向及びθy方向の3自由度方向に微小駆動するためのウエハテーブルTB2(図3参照)が組み込まれている。
本実施形態では、ウエハステージWST1,WST2及びそれらの駆動系を含んで第2駆動システムとしてのウエハステージシステムが構成されている。このウエハステージシステムについては後に更に詳述する。
さらに、本実施形態では、図1に示されるように、投影光学系支持部材26に上下方向に貫通状態で形成された1対の貫通孔には、アライメント系ALG1、ALG2を構成する鏡筒がそれぞれ挿入されており、投影光学系支持部材26上面の鏡筒それぞれに対応する位置には、各アライメント系ALG1,ALG2を構成するセンサヘッドが配置されている。
さらに、投影光学系PLの周囲の投影光学系PLの中心からX軸及びY軸に対して斜め45°の位置には、ウエハW1(又はW2)の表面の露光領域(照明光ILが照射される前述したレチクルR上の照明領域と共役な領域)内部分及びその近傍の領域のZ軸方向(光軸AX方向)の位置を検出するための斜入射方式のフォーカス検出系(焦点検出系)の1つである多点フォーカス位置検出系が設けられている。この多点フォーカス位置検出系は、センサヘッド41及び鏡筒43から構成され、内部に光ファイバー束、パターン形成板、ミラー、レンズ等(いずれも不図示)を備える照射光学系160aと、内部に回転方向振動板、受光用スリット板、レンズ及び多数のフォトセンサを有する受光器等(いずれも不図示)を備える受光光学系160b(但し、受光光学系160bは鏡筒部分のみを図示)とから構成されている。
この多点フォーカス位置検出系(160a、160b)では、照射光学系160aによりウエハW1(又はW2)上のフォトレジストに対する感光性の低い、比較的広い波長帯の検出ビームがウエハW1(又はW2)に対して斜めから照射され、この検出ビームのウエハW1(又はW2)面からの反射光が受光光学系160bにより受光される。ここで受光された光(像)は、信号処理装置103(図1では不図示、図7参照)により、回転振動周波数の信号で同期検波される。そして、この信号処理装置103により同期検波して得られた多数のフォーカス信号が図7の主制御装置99に供給される。
また、投影光学系支持部材26下半部のY軸方向両側の側壁には、ウエハY軸干渉計116、118が設けられている。また、投影光学系支持部材26下半部の−X側の側壁には、ウエハステージWST1、WST2のX軸方向位置を検出するためのウエハX軸干渉計142(図1では不図示、図7参照)が設けられている。これら干渉計116,118,142では、投影光学系支持部材26の上面に配置された不図示のレーザヘッドにて発生したレーザ光を、投影光学系支持部材26内部に設けられたビームスプリッタ、ミラー等から成る不図示のリレー光学系を介して、ウエハステージWST1,WST2に向けて出射するようになっている。
なお、図示は省略されているが、ウエハY軸干渉計116,118は、投影光学系PLの光軸及びアライメント系ALG1,ALG2の光軸を通過する測長軸を有している。また、ウエハX軸干渉計142は、ウエハY軸干渉計116,118のそれぞれの測長軸と投影光学系PLの光軸にて垂直に交差する測長軸、アライメント系ALG1の光軸にて垂直に交差する測長軸、アライメント系ALG2の光軸にて垂直に交差する測長軸を有している。これにより、投影光学系PLを用いた露光時、及びアライメント系ALG1又はALG2を用いたウエハアライメント時のいずれのときにおいても、いわゆるアッベ誤差なくウエハステージWST1、WST2の位置を計測できるようになっている。
本実施形態の露光装置10では、照明光ILのもとで、レチクルRの照明領域内のパターンの像が、投影光学系PLを介して投影倍率β(βは、1/4倍又は1/5倍等)で表面にレジストが塗布されたウエハW1(又はW2)上の矩形スリット状の露光領域に投影される。この状態でレチクルRとウエハW1(又はW2)とを同期して所定の走査方向(Y軸方向)に移動することで、ウエハW1(又はW2)上の一つのショット領域にレチクルRのパターンが転写される。すなわち、このようにして走査露光が行われる。
図2には、レチクルステージRST及びその駆動系等を含む第1駆動システム(ステージシステム)としてのレチクルステージシステム25が斜視図にて概略的に示されている。以下、このレチクルステージシステム25について詳述する。
レチクルステージRSTは、前述の如く、レチクル微動ステージ32とレチクル粗動ステージ34とを含んで構成されており、該レチクル粗動ステージ34がY軸リニアモータ69によってY軸方向に駆動される。
前記Y軸リニアモータ69は、Y軸固定子支持板60上方に設けられたY軸固定子74と、該Y軸固定子74に沿ってY軸方向に移動するY軸可動子72とを備えている。
前記Y軸固定子74は、Y軸方向に長手方向を有し+X側の面に所定深さの凹溝が形成された断面U字状(コ字状)の固定子ヨーク104と、該固定子ヨーク104の長手方向両端部にそれぞれ固着されたブロック状の部材106A、106Bとを備えている。固定子ヨーク104の内部空間における一対の対向面(上下対向面)には、N極永久磁石とS極永久磁石がY軸方向に沿って所定の間隔で交互に配置されている。この場合、相互に対向する磁石同士は、相互に異なる(すなわち1対のN極永久磁石とS極永久磁石とが各位置で相互に対向している)。ここで、N極永久磁石、S極永久磁石とは、Y軸可動子72に対向する側の面がそれぞれN磁極面、S磁極面である永久磁石を指す。従って、このY軸固定子74の空隙内ではY軸方向に沿って所定周期の交番磁界が発生している。
前記固定子ヨーク104の長手方向両端部の下面側には、一対の気体静圧軸受け76a、76bがそれぞれ設けられている。これら気体静圧軸受け76a,76bの軸受け面は、Y軸固定子支持板60の上面に形成された固定子の移動面としてのガイド面(以下、「第2レチクルガイド面」と呼ぶ)60aに対向している。気体静圧軸受け76a,76bは、該第2レチクルガイド面60aに向けて加圧気体、例えば加圧空気をそれぞれ噴出し、その加圧気体の静圧と、Y軸固定子74の自重とのバランスにより、Y軸固定子74が第2レチクルガイド面60aの上方に数μm程度のクリアランスを介して浮上支持されている。
また、Y軸固定子74は、Y軸固定子支持板60の上面のY軸方向両端部に固定された枠体94A,枠体94Bに、Y軸方向両端部のブロック状の部材106A,106Bがそれぞれ挿入された状態で非接触にて保持されている。すなわち、枠体94A,94BのX軸方向両内面には不図示の気体静圧軸受けがそれぞれ設けられており、これらの気体静圧軸受けから部材106A,106BのX軸方向の両側面に向けて噴出される加圧気体の静圧同士のバランスにより、部材106A,106Bが枠体94A,94Bとの間にX軸方向に数μmのクリアランスを介してそれぞれ保持されている。なお、Y軸固定子74は、Z軸方向に関して、気体静圧軸受け76a,76bにより、Y軸固定子支持板60の第2レチクルガイド面60aに対してのみならず、枠体94A,94Bに対しても数μmの間隔をあけて非接触で保持されている。このように、Y軸固定子74は、X軸方向及びZ軸方向の両方向について非接触で拘束されている。
ところで、図2からも明らかなように、第2レチクルガイド面60aが形成されたY軸固定子支持板60を含む第1架台ST1は、レチクルステージベース30に対して振動的に独立して設けられており、第1架台ST1によってY軸固定子74を移動可能に支持する支持台が構成されている。
また、Y軸固定子74のY軸方向−端部(+Y側端部)に設けられた部材106Aの上面及び下面には、上板部材96A及び下板部材96Bがそれぞれ固定されており、また、Y軸固定子74のY軸方向他端部(−Y側端部)に設けられた部材106Bの上面及び下面には、上部ユニット保持部材98A、及び下部ユニット保持部材98Bがそれぞれ固定されている。上部ユニット保持部材98Aは、XZ断面がU字状の薄肉部材から成り、その中央の凹溝部には、電機子ユニット101Bが埋め込まれている。電機子ユニット101Bは、Y軸方向に沿って所定の間隔で配置された電機子コイルをその内部に有している。下部ユニット保持部材98Bも上部ユニット保持部材98Aと同様に構成され、同様の電機子ユニットが埋め込まれている。更に、前記枠体94Bの電機子ユニット101Bに対向する位置には、磁極ユニット101Aが設けられている。これら電機子ユニット101Bと、磁極ユニット101Aとにより、Y軸固定子74をY軸方向に駆動するY軸位置補正機構102Aが構成されている。なお、下部ユニット保持部材98B側にも同様にしてY軸位置補正機構102B(図2では不図示、図7参照)が構成されている。
この場合、Y軸固定子74のY軸方向−端部の部材106Aと上板部材96Aと下板部材96Bとを合わせた質量、他端部の部材106Bと上部ユニット保持部材98Aと電機子ユニット101Bと下部ユニット保持部材98Bと不図示の電機子ユニットとを合わせた質量とが同一に設定されている。従って、Y軸固定子74の重心位置に重力が作用するため、重心から等距離にある同一の作用を有する気体静圧軸受け76a,76bの制御を簡易に行うことができる。
このように、Y軸固定子74はX軸方向及びZ軸方向に非接触にて拘束されているが、Y軸方向には一切拘束されていない構成となっている。このため、レチクルステージRSTが後述するY軸可動子とともにY軸方向へ駆動されると、Y軸固定子74にはレチクルステージRSTの駆動方向とは反対方向の反力が発生するが、その際、Y軸固定子74は、そのY軸方向の反力に応じ、レチクルステージRSTの駆動方向とは逆のY軸方向に移動する。この場合、運動量保存則が成立し、Y軸固定子74に作用する反力がほぼ完全に吸収される。また、重心の移動に起因する偏荷重も生じない。従って、レチクルステージRSTの駆動により生じる反力に起因した振動の発生がほぼ完全に防止されるようになっている。この場合、Y軸固定子74の質量は、レチクルステージRST及びY軸可動子72を合わせた重量よりも数倍程度(例えば4倍〜6倍)重く設定されている。
なお、本実施形態では、レチクルステージRSTの駆動時に作用する反力によるY軸固定子74のY軸方向の移動量が、上述のY軸位置補正機構102A,102Bのストローク範囲から外れないように、図7の主制御装置99により、Y軸位置補正機構102A,102BのY軸方向駆動用の電機子ユニットの電機子コイルに供給される電流が制御され、Y軸固定子74は、適当なタイミングでY軸方向の原位置に復帰されるようになっている。
前記Y軸可動子72は、側面視T字状で、T字の足に相当する部分がY軸固定子74の内部空間に挿入されY軸方向に所定長さで延びる部材72aと、該部材72aのT字の足に相当する部分の内部にY軸方向に沿って所定間隔で配列された複数の電機子コイル(不図示)とを備えている。Y軸可動子72の電機子コイルに電流が供給されると、その電流と、Y軸固定子74の内部空間に発生している交番磁界との間の電磁相互作用により、Y軸可動子72をY軸方向へ駆動するローレンツ力(推力)が生じる。すなわち、Y軸固定子74とY軸可動子72とにより、ムービングコイル型のY軸リニアモータ69が構成され、このY軸リニアモータ69によりレチクルステージRSTがY軸方向に所定ストロークで駆動される。なお、Y軸リニアモータ69のY軸可動子72を構成する電機子コイルに供給される電流値(方向を含む)が図7の主制御装置99によって制御されるようになっている。
また、部材72aの−X側の面のY軸固定子74に対向する部分には、不図示の気体静圧軸受けが設けられ、Y軸可動子72のX軸方向の微小駆動及びZ軸回りの回転方向への微小駆動が可能となっている。更に、部材72aの底面にも気体静圧軸受け97が設けられ、該気体静圧軸受け97から第2レチクルガイド面60aに向けて噴出される加圧気体の静圧により、Y軸可動子72が第2レチクルガイド面60aの上方に数μm程度のクリアランスを介して浮上支持されている。ここで、気体静圧軸受け97としては、真空予圧型の気体静圧軸受けを用いることが望ましい。
前記レチクル粗動ステージ34は、平面視(上から見て)L字状の形状を有しており、Y軸可動子72の+X側の側面に接続機構33を介してレチクルステージベース30の上方に張り出した片持ち支持状態で固定されている。なお、不図示ではあるが、レチクル粗動ステージ34の底面の第1レチクルガイド面92c,92dに対向した位置には、前述した気体静圧軸受け76a,76bと同様の気体静圧軸受けが複数設けられている。
前記レチクル微動ステージ32は、平面視(上から見て)長方形状の部材から成り、そのほぼ中央部分には、照明光ILの通過路となる矩形の開口(不図示)が形成されている。この開口の周辺の上面側には、不図示のバキュームチャックが複数(例えば4つ)設けられており、これらバキュームチャックによってレチクルRが真空吸着により保持されるようになっている。
また、レチクル微動ステージ32の下面(底面)の4隅部には、前述した気体静圧軸受け76a,76bと同様の気体静圧軸受け90がそれぞれ設けられている(但し、図2における奥側の気体静圧軸受けは不図示)。これらの気体静圧軸受け90は、レチクルステージベース30上のエアガイド92A,92Bの上面である第1レチクルガイド面92c,92dに対向した位置に設けられており、該ガイド面92c,92dに向けて加圧気体(例えば加圧空気)を吹き付けることで、その加圧気体の静圧と、真空予圧力とレチクル微動ステージ32の自重との合計力とのバランスにより、ガイド面92c,92dの上方に数μm程度のクリアランスを介してレチクル微動ステージ32が浮上支持されている。
更に、レチクル微動ステージ32上面の+X側端部には、図2に示されるように、平面ミラーから成るレチクルX移動鏡64Xが固定されている。このX移動鏡64Xに対して、前記レチクルX軸干渉計66Xからの測長ビームが垂直に照射されている。また、レチクル微動ステージ32上面の+Y側端部には、一対のコーナーキューブ64Y1,64Y2が固定されており、これらのコーナーキューブ64Y1,64Y2に対して、前記レチクルY軸干渉計66Y1,66Y2からの測長ビームがそれぞれ照射されている。なお、干渉計66X、66Y1,66Y2からの測長ビームは、レチクルステージベース30上面に固定された干渉計レーザ68で発生されるレーザビームが分岐されたものである。
そして、レチクルY軸干渉計66Y1,66Y2によって、レチクル微動ステージ32のY軸方向の位置及びθz回転が、固定鏡を基準として例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出され、レチクルX軸干渉計66Xによって、レチクル微動ステージ32のX軸方向の位置が、固定鏡を基準として例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。
この場合、レチクルY軸干渉計66Y1,66Y2として、コーナーキューブ64Y1,64Y2に対して測長ビームを投射し、それぞれの反射光を受光してコーナーキューブ64Y1,64Y2のY軸方向の位置を検出する一対のダブルパス干渉計を用いているので、レチクル微動ステージ32にθz回転が存在しても、それぞれの測長ビームの投射位置のY軸方向位置を精度良く検出することができる。
前記レチクル微動ステージ32と前記レチクル粗動ステージ34との間には、3つのボイスコイルモータ71A,71B,71Cが設けられている。この内、ボイスコイルモータ71Aは、レチクル微動ステージ32の−X側端面に固定された可動子と、これに対向するレチクル粗動ステージ34の+X側の面に固定された固定子とを有し、レチクル微動ステージ32をX軸方向に微小駆動する。残りのボイスコイルモータ71B,71Cは、レチクル微動ステージ32の−Y側の端面にそれぞれ固定された可動子と、該各可動子に対向するレチクル粗動ステージ34の+Y側の面に固定された固定子とをそれぞれ有し、レチクル微動ステージ32をY軸方向及びθz方向に微小駆動する。
すなわち、上記3つのボイスコイルモータ71A〜71Cにより、レチクル微動ステージ32とレチクル粗動ステージ34との相対位置関係が高応答で調整される。
前記接続機構33は、図2に示されるように、Y軸可動子72の+X側端面にその−端が接着等により接続され、その他端がレチクル粗動ステージ34の−X側端面に固定された弾性部材67と、該弾性部材67を挟んでY軸方向の−側と他側とにそれぞれ配置され、Y軸可動子72とレチクル粗動ステージ34とを磁気的吸引力(磁力)により強固に結合する一対の電磁石ユニット73A,73Bとを備えている。
前記弾性部材67としては、板バネなどを用いることもできるが、本実施形態では、フレキシャが用いられている。以下においては、この弾性部材67を「フレキシャ67」とも呼ぶものとする。この場合、フレキシャ67は、Y軸回りの回転方向の応力(ストレス)の作用によって変形し、その応力が解放された場合に、元の状態に復帰するという特徴を有している。
前記電磁石ユニット73Aは、Y軸可動子72の+X側端面に固定された電磁石51aと、レチクル粗動ステージ34の−X側端面に固定された鉄板53aとを備えている。また、電磁石ユニット73Bも同様に構成され、電磁石51bと、鉄板53bとを備えている。これら電磁石ユニット73A,73Bにおいては、通常、電磁石51a(及び51b)に対して電流が供給されているので、電磁石51a(51b)及び鉄板53a(53b)が強固に結合されるとともに、Y軸可動子72とレチクル粗動ステージ34とが機械的に結合された状態となっている。
次に、第2駆動システム(ステージシステム)としてのウエハステージシステム100について図3〜図7に基づいて説明する。
図3には、図1に示されるウエハステージシステム100がベースプレートBP及び第3架台ST3とともに斜視図にて示されている。この図3に示されるように、ウエハステージ装置100は、全体としてベースプレートBP上方に配置されている。
ウエハステージシステム100は、前述した第3架台ST3を構成するステージベースSB上方にて非接触で支持され、独立してXY2次元方向に移動可能なウエハステージWST1,WST2、該ウエハステージWST1,WST2を駆動するウエハステージ駆動系70(図7参照)、前記ステージベースSBの周囲を取り囲むように設けられ、全体として矩形枠状の形状を有する運動量保存用カウンタウェイト(以下、単に「カウンタウェイト」と呼ぶ)27(図4参照)等を備えている。
前記ベースプレートBPは、図3に示されるように、平面視(上から見て)長方形板状の部材から成り、該ベースプレートBP上面のX軸方向−側と他側の端部近傍には、Y軸方向にそれぞれ延びる2つの凸部BPa,BPbがそれぞれ凸設されている。これら2つの凸部BPa,BPbの上面は平面度良く加工されている。これら凸部BPa、BPbのうちの−X側の凸部BPbの上面は、+X側に位置する凸部BPaの上面よりも所定高さだけ高く設定されている。
これら凸部BPa,BPbに挟まれた位置(ベースプレートBPのほぼ中央部)には、前述したステージベースSBが配置されている(実際には吊り下げ支持されている)。このステージベースSBの表面(上面)は、平面度が非常に高くなるように加工が施され、ウエハステージWST1,WST2の移動の際の基準と成る移動面としてのステージガイド面SBaとされている。
前記カウンタウェイト27は、図4の分解斜視図から明らかなように、概略矩形枠状の形状を有している。
このカウンタウェイト27は、図4に示されるように、X軸方向に所定間隔を隔てて相互に平行に配設され、それぞれY軸方向を長手方向とする断面長方形の2つの板状部材15、17と、これらの板状部材15、17の長手方向の−端部同士を連結する角柱状の連結部材56Aと、板状部材15、17の長手方向の他端部同士を連結する角柱状の連結部材56Bと、−X側の板状部材17の上面に、一体的に固定される断面略L字状のガイド支持部材107と、を備えている。この内、板状部材17とガイド支持部材107とによって、図3の側面視コ字状(U字状)の枠体35が構成される。板状部材17は、図4からもわかるように、板状部材15よりも所定量だけ薄肉に(高さが低く)形成されている。
このようにして構成されるカウンタウェイト27は、組み付け時には、ベースプレートBP上に配置されるが、この組み付けが完了した図3の状態では、板状部材15がベースプレートBPの+X側の凸部BPaの上方に配置され、板状部材17がベースプレートBPの−X側の凸部BPb上に配置される。
カウンタウェイト27の素材としては、例えばタングステンや鉛等の高密度金属が用いられる。但し、全体をこれらの高密度金属により形成する必要は必ずしもないが、少なくともガイド支持部材107部分は、タングステン等で形成することが望ましい。その理由は、カウンタウェイト27全体の重心点のZ位置を高くできるからである。
前記板状部材15、17は、図3の組み付け後の状態では、その上面がほぼ同一高さに設定されている。また、板状部材15,17の下面には、図3のA−A線断面図である図5に示されるように、複数の気体静圧軸受け84が設けられ、これらの気体静圧軸受け84によって板状部材15、17(カウンタウェイト27)がベースプレートBPの凸部BPa,BPb上面の上方に所定のクリアランスを介して浮上支持されている。
前記枠体35は、図3及び図5等から分かるように、板状部材17と、前述したガイド支持部材107とによって構成されている。ガイド支持部材107は、板状部材17上面の−X側端部にその下端面が固定された背面板39と、この背面板39によって板状部材17に平行に支持される上板37との2部分を有する。
また、上板37下面の+X側端部には、断面長方形でY軸方向に延びる棒状部材から成るガイド23Aが固定されている。このガイド23Aの下面及びX軸方向両側の端面は、それぞれ平面度が高く加工され、ガイド面23Aaとされている(図5参照)。
ガイド23Aに対向して、板状部材17上面の+X側端部には、断面長方形でY軸方向に延びる棒状部材から成るガイド23Bが固定されている。このガイド23Bの上面及びX軸方向両側の端面は、それぞれ平面度が高く加工され、ガイド面23Baとされている(図5参照)。
これらのガイド部材23A、23Bに設けられた各ガイド面は、ウエハステージWST1、WST2をそれぞれ駆動する後述するX軸リニアモータ1691の固定子89X1及びX軸リニアモータ1692の固定子89X2のY軸方向駆動の際の移動基準面となる。これらのガイド部材23A、23Bは、固定子89X1、89X2のY軸駆動の際のXガイド、Zガイド及びヨーガイドの役目を果たす。
前記一方のウエハステージWST1は、図3に示されるように、YZ断面が矩形枠状の中空部材から成るテーブル支持体581と、該テーブル支持体581上に載置されたウエハテーブルTB1とを備えている。このウエハテーブルTB1上に、不図示のウエハホルダを介してウエハW1が真空吸着又は静電吸着等により保持されている。
前記テーブル支持体581の内部には、該テーブル支持体581を一部破砕して斜視図にて示す図6から分かるように、その底面にY軸方向に所定間隔を隔てて2つのバキューム機構55C、55Dが配置されている。また、このテーブル支持体581の+Y側の側壁の内面には、X軸方向に所定間隔を隔てて2つのバキューム機構55A、55Bが固定されるとともに、これら2つのバキューム機構55A、55Bの中央に弾性部材59が配置され、該弾性部材59の+Y側の端面がテーブル支持体581の内面に接続されている。
前記弾性部材59としては、板バネなどを用いることもできるが、本実施形態では、フレキシャが用いられている。以下においてはこの弾性部材59を「フレキシャ59」とも呼ぶものとする。この場合、フレキシャ59は、X軸回りの回転方向の応力(ストレス)の作用によって変形し、その応力が解放された場合に、元の状態に復帰する。
前記テーブル支持体581の底面には、図11Aに示されるように、ステージベースSBの上面であるステージガイド面SBaに対して加圧気体、例えば加圧空気などを噴出する気体静圧軸受け811が複数設けられている。この複数の気体静圧軸受け811から噴出される加圧気体の静圧によってテーブル支持体581を含むウエハステージWST1の全体が、ステージガイド面SBaの上方に数μm程度のクリアランスを介して浮上支持されるようになっている。気体静圧軸受け811からの噴出し圧力、噴出し流量は主制御装置99(図7参照)によって制御される。
また、テーブル支持体581の内部には、図3及び図11A等に示されるように、YZ断面が矩形状の中空部材であるX軸可動子47が配置されている。このX軸可動子47の+Y側の側壁の外面に、前述したフレキシャ59の−Y側端面が接続されている。従って、このX軸可動子47は、フレキシャ59を介してテーブル支持体581に低剛性で結合されている。また、このX軸可動子47は、図11Aに示されるように、通常状態では、バキューム機構55A〜55Dを介して、テーブル支持体581と高剛性にて強固に結合される。
また、X軸可動子47には、その内部の上面にX軸方向に所定間隔で交互に配置されたN極永久磁石とS極永久磁石とを含む磁極ユニット(図示省略)が設けられている。
更に、X軸可動子47の内部空間には、図3及び図11A等に示されるように、X軸方向を長手方向とするX軸固定子89X1が挿入されている。このX軸固定子89X1のY軸方向の両端面に対してそれぞれ加圧気体を噴き出す一対の気体静圧軸受け79A,79Bが、X軸可動子47のY軸方向−側と他側の側壁の内面にそれぞれ設けられている。気体静圧軸受け79A,79BのそれぞれからX軸固定子89X1に対して噴き出される加圧気体の噴き出し圧力及び噴き出し流量が、主制御装置99(図7参照)により制御され、X軸固定子89X1と各気体静圧軸受け79A,79Bの軸受け面との隙間の調整が行われる。これにより、X軸固定子89X1に対するX軸可動子47のX軸方向の位置が所望の位置に調整されるようになっている。
前記X軸固定子89X1は、X軸方向に沿って所定間隔で配置された複数の電機子コイルを含む電機子ユニットによって構成されている。このX軸固定子89X1は、前記X軸可動子47の内部の上面に設けられた不図示の磁極ユニットとの間で電磁相互作用を行い、X軸可動子47、ひいてはウエハステージWST1をX軸方向に駆動する推力(ローレンツ力)を発生する。すなわち、X軸固定子89X1とX軸可動子47とにより、ウエハステージWST1をX軸方向に駆動するムービングマグネット型のX軸リニアモータ1691(図7参照)が構成されている。
本実施形態のX軸リニアモータ1691では、図11Aに示されるように、X軸固定子89X1の下側にはX軸固定子89X1の上側と比べ、広い空隙が確保されている。
図3に戻り、前記ウエハテーブルTB1の上面には、X軸方向の−側(−X側)の端部にY軸方向に延びる平面ミラーから成るX移動鏡40X1が設けられ、Y軸方向の−側(−Y側)の端部にX軸方向に延びる平面ミラーから成るY移動鏡40Y1が設けられている。なお、ウエハテーブルTB1の端面を鏡面加工して反射面(上記X移動鏡40X1、Y移動鏡40Y1の反射面に相当)を形成しても良い。
ウエハテーブルTB1は、テーブル支持体581の上面にZ・チルト駆動機構77A(図3では図示せず、図7参照)を介して載置され、Z・チルト駆動機構77Aによって、ウエハテーブルTB1はZ軸方向、θx方向(X軸回りの回転方向)、及びθy方向(Y軸回りの回転方向)の3自由度方向について微少駆動可能な構成となっている。Z・チルト駆動機構77Aは、例えばテーブル支持体581上面の三角形の頂点となる位置に配置され、ウエハテーブルTB1を独立してZ軸方向に駆動する3つのアクチュエータ(ボイスコイルモータなど)を含んで構成することができる。Z・チルト駆動機構77Aは、主制御装置99(図7参照)により制御される。
前記X軸固定子89X1の長手方向(X軸方向)−側と他側の端部には、図3及び図5等に示されるように、XZ断面が矩形の筒状をした一対のスライダ(Y軸可動子)86Y1,87Y1がそれぞれ設けられている。これらのスライダ86Y1,87Y1は、それぞれY軸方向に延びる角柱状の形状を有する一対のリニアガイド(Y軸固定子)88Y1,88Y2に沿って移動可能となっている。すなわち、本実施形態においては、リニアガイド88Y1とスライダ86Y1とによって、例えばムービングコイル型のリニアモータから成るY軸リニアモータ1861(図7参照)が構成され、リニアガイド87Y1とスライダ86Y2とにより、例えばムービングコイル型のリニアモータから成るY軸リニアモータ1862(図7参照)が構成されている。
一方のリニアガイド88Y1は、図3に示されるように、前述したカウンタウェイト27を構成する板状部材15の上方に配置され、その長手方向の−端部(+Y側端部)が、板状部材15の+Y側端部近傍に固定された枠体1081の内部に挿入されている。また、リニアガイド88Y1は、その長手方向の他端部(−Y側端部)が、板状部材15の−Y側端部近傍に固定された枠状構造体13Y1の内部に挿入されている。前記枠体1081及び枠状構造体13Y1それぞれの内部の底面及び両側面には、Y軸固定子88Y1に対して加圧気体を噴き出す不図示の気体静圧軸受けがそれぞれ設けられており、これらの気体静圧軸受けによりリニアガイド88Y1はX軸方向及びZ軸方向について非接触にて拘束されている。
枠状構造体13Y1は、トリムモータ113Y1(図7参照)の固定子を構成するもので、この枠状構造体13Y1とリニアガイド88Y1(電機子ユニット)とによって、リニアガイド88Y1をY軸方向に所定ストローク範囲内で駆動可能なムービングコイル型のリニアモータから成るトリムモータ113Y1が構成されている。
他方のリニアガイド88Y2は、図3に示されるように、板状部材17の上方に配設され、その大部分が前述した枠体35に覆われた状態となっている。このリニアガイド88Y2も上記リニアガイド88Y1と同様の構成を有し、板状部材17上面のY軸方向−端部及び他端部が、前述した枠体1081と同様の枠体1082(但し、図3では不図示、図4参照)、及び枠状構造体13Y2の内部にそれぞれ挿入されている。枠体1082及び枠状構造体13Y2それぞれの内部の底面及び両側面には、リニアガイド88Y2に対して加圧気体を噴き出す不図示の気体静圧軸受けがそれぞれ設けられており、これらの気体静圧軸受けによりリニアガイド88Y2はX軸方向及びZ軸方向について非接触にて拘束されている。
枠状構造体13Y2は、トリムモータ113Y2(図7参照)の固定子を構成するもので、この枠状構造体13Y2とリニアガイド88Y2(電機子ユニット)とによって、リニアガイド88Y2をY軸方向に所定ストローク範囲内で駆動可能なムービングコイル型のリニアモータから成るトリムモータ113Y2が構成されている。
前記X軸固定子89X1の下面の+X側端部近傍には、図5に示されるように、気体静圧軸受け1631が設けられている。これに対応して、板状部材15上面の−X側端部には、XZ断面が矩形の棒状部材から成るZガイド21がY軸方向に沿って延設されている。このZガイド21の上面は、平面度が非常に良好になるように加工され、X軸固定子89X1のY軸方向への移動の際の移動基準面となるガイド面21aとされている。気体静圧軸受け1631からガイド面21aに対して加圧気体が噴き付けられ、この加圧気体の静圧により、X軸固定子89X1の+X側の端部(スライダ86Y1を含む)が、浮上支持されている。
また、X軸固定子89X1の−X側端部近傍には、図3及び図5に示されるように、上下両側の面に凹溝がそれぞれ形成されており、これらの凹溝の各面には、前述したガイド23A、23Bのガイド面23Aa、23Baに対して加圧気体を噴き付ける複数の気体静圧軸受け1651がそれぞれ設けられている。これらの気体静圧軸受け1651により、X軸固定子89X1は、ガイド面23Aa,23Baに対して所定のクリアランスを介して支持され、Z軸方向、及びX軸、θz方向に非接触で拘束されている。
他方のウエハステージWST2及びその駆動系は、上述したウエハステージWST1と左右対称ではあるが、同様にして構成されている。
すなわち、ウエハステージWST2は、YZ断面が矩形枠状の中空部材から成るテーブル支持体582と、該テーブル支持体582上にZ・チルト駆動機構77B(図7参照)を介して支持されたウエハテーブルTB2とを備えている。これら各部は前述したウエハステージWST1と同様にかつ左右対称に構成されている。
テーブル支持体582の下面には、ステージガイド面SBaとの間に所定のクリアランスを介してのウエハステージWST2を浮上支持するための気体静圧軸受け812(図7参照)が設けられている。また、ウエハテーブルTB2の上面には、図3に示されるように、X移動鏡40X2及びY移動鏡40Y2が固定されている。なお、各移動鏡に代えてウエハテーブルTB2の端面を鏡面加工して反射面を形成しても良い。
テーブル支持体582の内部には、前述と同様にして、フレキシャを介してテーブル支持体581に低剛性で結合されるとともに、バキューム機構を介してテーブル支持体581と高剛性にて強固に結合されたX軸可動子49が配置されている。そして、このX軸可動子49とX軸固定子89X2との間の電磁相互作用により発生する電磁力(ローレンツ力)によりX軸可動子49に接続されたテーブル支持体582(すなわちウエハステージWST2)がX軸方向に駆動される。すなわち、X軸可動子49とY軸固定子89X2とにより、ウエハステージWST2をX軸方向に駆動する例えばムービングコイル型のX軸リニアモータ1692(図7参照)が構成されている。
X軸固定子89X2の長手方向(X軸方向)両端部にはスライダ(Y軸可動子)86Y2,87Y2が設けられており、これらスライダ86Y2,87Y2は前述したスライダと同様に、リニアガイド88Y1、88Y2それぞれに沿ってY軸方向に移動可能となっている。すなわち、スライダ86Y2とリニアガイド88Y1とによって、例えばムービングコイル型のリニアモータから成るY軸リニアモータ1863(図7参照)が構成され、スライダ87Y2とリニアガイド88Y2とによってムービングコイル型のリニアモータから成るY軸リニアモータ1864(図7参照)が構成されている。
X軸固定子89X2下面の+X側端部近傍には、前述したZガイド21上面のガイド面21aに対して気体を噴出する気体静圧軸受け1632(図7参照)が設けられている。
また、X軸固定子89X2の−X側端部近傍には、前述したX軸固定子89X1と同様に、上下両側の面に凹溝が形成されており、これらの凹溝の各面には、気体静圧軸受け1652(図7参照)が前述と同様にして設けられている。これら気体静圧軸受け1652から噴出される加圧気体の静圧により、X軸固定子89X2は、ガイド面23Aa,23Baに対して所定のクリアランスを介して支持され、Z軸方向、及びX軸、θz方向に非接触で拘束されている。
前記一方の連結部材56Aには、図3に示されるように、その上面の長手方向中央近傍にトリムモータ113X1の可動子1151が固定されており、この可動子1151はベースプレートBPに固定された固定子13X1に係合している。トリムモータ113X1としては、電磁力駆動方式のリニアモータが用いられている。トリムモータ113X1は、連結部材56A(カウンタウェイト27)をX軸方向に駆動する推力を発生する。
前記他方の連結部材56Bには、その上面の長手方向に沿って所定間隔を隔てた位置に、2つのトリムモータ113X2、113X3の可動子1152,1153がそれぞれ固定されており、これらの可動子1152,1153は、ベースプレートBPに固定された固定子13X2,13X3にそれぞれ係合している。トリムモータ113X2、113X3としても、トリムモータ113X1と同様に、電磁力駆動方式のリニアモータが用いられている。これらのトリムモータ113X2、113X3は、連結部材56B(カウンタウェイト27)をX軸方向に駆動する推力を発生する。
従って、トリムモータ113X1とトリムモータ113X2、113X3の少なくとも一方とを同時に駆動し、かつ両者の発生する推力を同一値に設定することによりカウンタウェイト27をX軸方向に駆動することができるとともに、両者の発生する推力を異ならせることにより、カウンタウェイト27をθz方向に回転させることもできる。トリムモータ113X1〜113X3は、主制御装置99によって制御される(図7参照)。
上述のようにして構成された本実施形態の露光装置10では、ウエハステージWST1が投影光学系PLの直下において露光動作を行っている間に、ウエハステージWST2側ではウエハ交換とアライメント系ALG2直下におけるウエハアライメント動作とが行われる。同様に、ウエハステージWST2が投影光学系PLの直下において露光動作を行っている間に、ウエハステージWST1側ではウエハ交換、アライメント系ALG1直下におけるウエハアライメント動作が行われる。すなわち、本実施形態の露光装置10では、このようにしてウエハステージWST1、WST2上で並行処理動作を行うことによりスループットの向上が図られている。
前記ウエハ交換では、不図示のウエハローダによって、ウエハステージWST1(又はウエハステージWST2)上に載置された露光済みのウエハのアンロード及び新たなウエハのロードが行なわれる。
また、ウエハアライメント動作では、アライメント系ALG1又はALG2を用いて例えば特開昭61−44429号公報及びこれに対応する米国特許第4,780,617号等に詳細に開示されるEGA(エンハンスト・グローバル・アライメント)方式等のウエハアライメントが実行される。本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記公報及びこれに対応する上記米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。このようなアライメントの終了後、ウエハW1(又はウエハW2)上の各ショット領域の露光のための加速開始位置にウエハステージWST1(又はウエハステージWST2)を移動させるショット間ステッピング動作と、前述した走査露光によりその露光対象のショット領域にレチクルRのパターンを転写する露光動作とを繰り返す、ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行なわれる。なお、この露光動作は、通常のスキャニング・ステッパと同様にして行われるので、詳細説明は省略する。
ところで、本実施形態の露光装置10では、前述の如く、レチクルステージRSTの駆動により生じる反力に起因した振動の発生がほぼ完全に防止されるのみならず、一方のウエハステージWST1(又はWST2)の駆動が、いずれのウエハステージに対しても殆ど悪影響を与えないようになっている。以下、この点について図3及び図5等を中心に説明する。
図5において、ウエハステージWST1がX軸リニアモータ1691によって例えば矢印A方向(+X方向)に駆動されると、X軸固定子89X1にはその方向とは反対の方向(−X方向)の反力が作用することになるが、該反力によりカウンタウェイト27全体がウエハステージWST1の移動方向とは反対の方向である矢印B方向に移動する。このカウンタウェイト27の移動は、運動量が保存されるように行われるので、その反力はカウンタウェイト27の移動によって吸収される。また、このとき、カウンタウェイト27及びウエハステージWST1を含む系の重心移動も生じないので、偏荷重も生じない。
また、ウエハステージWST1がY軸リニアモータ1861、1862により、図3中の矢印C方向(+Y方向)に駆動されると、その駆動力の反力がリニアガイド88Y1及び88Y2にそれぞれ作用し、これらのリニアガイド88Y1及び88Y2が図3中の矢印D方向(−Y方向)に移動する。この場合も、リニアガイド88Y1及び88Y2は、運動量保存則に従って移動するので、反力が吸収されるのみならず、偏荷重の発生も防止される。
このように、ウエハステージWST1のX軸方向、Y軸方向の駆動時の反力は全て、カウンタウェイト27、Y軸固定子88Y1,88Y2の移動により、キャンセルされるとともに、偏荷重の発生も防止されるので、ウエハステージWST1のX軸方向、Y軸方向の駆動時の反力が振動を発生させるのがほぼ確実に防止されており、いずれのウエハステージに対しても悪影響を与えることはない。
ここで、ウエハステージWST1又はウエハステージWST2が、+X方向、又は−X方向に断続的に駆動されると、カウンタウェイト27が徐々に位置ずれして移動許容範囲を超えて位置ずれ(θz回転を含む)するおそれがあるが、本実施形態では、かかる事態が生じる前に、主制御装置99(図7参照)によって、トリムモータ113X1〜113X3が制御され、カウンタウェイト27のX軸方向位置、Z軸回りの回転方向の姿勢が適宜補正されるようになっている。すなわち、このような目的で、トリムモータ113X1〜113X3が設けられている。
同様に、主制御装置99により、トリムモータ113Y1,113Y2を介してリニアガイド88Y1,88Y2のY軸方向の位置が適宜補正され、移動許容範囲を超えてリニアガイド88Y1、88Y2がY軸方向に位置ずれするのが防止されるようになっている。
また、本実施形態の露光装置10では、図5に示されるように、ベースプレートBPのカウンタウェイト27を支持する部分(凸部BPa,BPb)をウエハステージWST1,WST2の重心付近まで高くしておき、その上にカウンタウェイト27やリニアガイド88Y1,88Y2を載置することで、各部の重心を近づけ、ウエハステージWST1(又はWST2)をX軸方向に駆動する推力の作用点の少なくともZ軸方向の位置(Z位置)をウエハステージWST1(又はWST2)の重心GsのZ位置に極力一致させることとしている。このようにすることにより、重心Gsを通るY軸回りの回転モーメント(ピッチングモーメント)の発生を抑制することができ、これによりウエハステージWST1(WST2)がステージベースSBの上面のステージガイド面SBaに接触するのを回避することができる。
また、本実施形態の露光装置10では、ウエハステージWST1(又はWST2)をX軸方向に駆動する際に、X軸リニアモータ1691(又は1692)(図7参照)の固定子であるリニアガイド89X1(又は89X2)が受ける反力をキャンセルするためのカウンタウェイト27に与えられる反力の作用点の少なくともZ位置も、図5に示されるように、カウンタウェイト27の重心GcのZ位置と一致させている。かかる構成を実現するために、前述した手法により、カウンタウェイト27全体の重心点のZ位置を高くしているのである。これにより、カウンタウェイト27の重心Gcを通るY軸回りの回転モーメント(ピッチングモーメント)の発生を抑制することができるので、カウンタウェイト27とベースプレートBP(凸部BPa(又はBPb))との接触が回避され、カウンタウェイト27の振動、ひいてはウエハステージWST1、WST2の振動を抑制することができる。
また、ウエハステージWST1(又はWST2)のY軸方向への駆動時に生じる反力がリニアガイド88Y1,88Y2に対して作用する作用点も、Y軸固定子88Y1,88Y2の重心点とZ軸方向、X軸方向に関して極力一致するような構造が採用され、更には、カウンタウェイト27の重心点Gcとトリムモータ113X1〜113X3がカウンタウェイト27に与える推力の作用点とが、Z軸方向で極力一致するような構造が採用されている。また、トリムモータ113Y1,113Y2の発生する推力の作用点についても、Y軸固定子88Y1、88Y2の重心点とZ軸方向、X軸方向の位置がほぼ一致するような構造が採用されている。
以上のように、本実施形態では、ウエハステージの駆動時に発生する力が作用する作用点と各部の重心位置とを極力一致させることにより、各部に対する回転モーメントの発生を可能な限り抑制しようとしている。
但し、このようにする場合には、機械的な微調整を各所において高精度に行わなければならないが、そのような微調整は現実問題として非常に困難である。このため、多少の回転モーメントが発生してしまうことは避けられない。本実施形態では、かかる点も考慮し、カウンタウェイト27、リニアガイド88Y1、88Y2を全てベースプレートBP上に配置し、たとえ回転モーメントが生じたとしても、振動はベースプレートBPに伝達するようにし、ステージベースSBを直接振動させることがないような構成としているのである。
また、上に掲げた各種の回転モーメントの発生原因のうちで、ステージベースSBを振動させるものとして唯一考えられるのは、ステージベースSB上に配置されたウエハステージWST1,WST2の重心とX軸リニアモータ1691,1692の駆動力の作用点との不一致がある。しかし、本実施形態の場合、ステージベースSBは、第1防振ユニット16により支持された第3架台ST3の一部を構成し、ウエハステージWST21及びWST2を駆動するウエハステージ駆動系70は、ベースプレートBP上に設けられている、換言すればステージベースSBとウエハステージWST1(又はWST2)との間には第1防振ユニット16が搭載されている。このため、例えば、回転モーメント量を正確に計測して第1防振ユニット16にオフセットを載せることにより、数μmの単位で重心と作用点の位置とを容易に一致させることができる。
なお、ウエハステージWST1(又はWST2)は、それ自体がケーブルや配管を引きずるような構成とならざるを得ないため、ステージベースSB上のウエハステージWST1,WST2それぞれの位置や、ウエハステージWST1とウエハステージWST2との位置関係に応じて重心と作用点がずれてしまう可能性がある。このため、本実施形態においては、ステージベースSB上のウエハステージWST1,WST2の位置と、ウエハステージWST1,WST2同士の位置関係に応じたマップを作成し、該マップに応じて、第1防振ユニット16に対して補正をかけることが望ましい。この場合、第1防振ユニット16に対して補正をかけるとウエハテーブルTB1,TB2の上面の高さ方向(Z軸方向,及びθx,θy方向)の位置が変化するが、ウエハテーブルTB1,TB2の高さ方向位置を多点フォーカス位置検出系(160a、160b)の計測値に基づいて、図7の主制御装置99により、Z・チルト駆動機構77A,77Bを介して制御することにより、ウエハW1,W2の上面をレチクル投影像面に対して高応答で位置合わせすることが可能である。すなわち、本実施形態では、主制御装置99によって、ウエハステージWST1,WST2の位置とウエハステージWST1,WST2の位置関係とに応じたマップ及びウエハ干渉計142、116、118の計測結果、並びに多点フォーカス位置検出系(160a、160b)の検出結果に基づいて、移動面とウエハステージWST1,WST2それぞれとの投影光学系PLの光軸方向に関する位置関係を調整する調整装置が構成されている。
図7には、本実施形態の露光装置10の制御系の構成が簡単に示されている。この制御系はワークステーション(又はマイクロコンピュータ)から成る主制御装置99を中心として構成されている。主制御装置99は、これまでに説明した各種の制御を行う他、装置全体を統括的に制御する。
次に、本実施形態の露光装置10における防振ユニットの暴走時などの対処の仕組みについて説明する。
まず、第2防振ユニット24のエアダンパなどの機械式ダンパの空気を抜いたり、あるいは第2防振ユニット24が暴走したりした場合の対処の仕組みについて、図8A〜図10Bに基づいて説明する。
図8A〜図8C及び図9A〜図9Cには、レチクルステージベース30が第2防振ユニット24の暴走等により傾いた場合の関係各部の動作の流れが、時間の経過とともに示されている。
この場合、接続機構33に関しては、図8A〜図8Cでは、電磁石ユニット73Bの状態に着目して図示され、図9A〜図9Cでは、フレキシャ67の状態に着目して図示されている。なお、図8Aと図9A、図8Bと図9B、及び図8Cと図9Cとでは、時間的(状態的)に対応した図面となっている。
図8A,図9Aには、通常の状態が示されている。この通常の状態では、レチクルステージRSTの移動面である第1レチクルガイド面92c,92dと、レチクルステージRSTをY軸方向に駆動するY軸リニアモータ69を構成するY軸可動子72のZ軸方向のガイド面である第2レチクルガイド面60aとの関係は理想的な関係にある。レチクルステージベース30とY軸固定子支持板60とが、図8A,図9Aに示されるような理想的な位置関係にある状態(各ガイド面の高さ差Δhの状態)を、以下においては「基準状態」と呼ぶものとする。
図8B,図9Bには、第2防振ユニット24に暴走等が生じた状態の図が示されている。この状態では、Y軸可動子72の角部がY軸固定子74の内面(上面)に接触しているため、更にこのまま力が加わりつづけると、Y軸リニアモータ69の損傷や、Y軸可動子72と第2レチクルガイド面60aとの接触による第2レチクルガイド面60aの損傷、その他レチクルステージシステム25の各部の損傷が引き起こされる恐れがある。なお、このような状態を以下においては「異常状態」と呼ぶものとする。
本実施形態では、このような異常状態が発生した場合、直ちに図8Cに示されるように、電磁石ユニット73Bの電磁石51bと鉄板53bとの接続、及び電磁石ユニット73Aの電磁石51aと鉄板53aとの接続が、図10A及び図10Bに示される解除装置としてのオン・オフ機構150によって解除されるようになっている。
オン・オフ機構150は、図10Aに示されるように、第1回路(電流供給回路)141と、第2回路(切り換え回路)143とを備えている。第1回路141は、電磁石ユニット73A(73B)のコイル部の−端にその−端(+端)が接続され、他端(−端)がノーマリクローズタイプの開閉接点85を介して電磁石ユニット73A(73B)のコイル部の他端に接続された電源93を有している。このため、開閉接点85が閉成している図10Aに示される通常状態では、電源93から電磁石51a(51b)に電流が供給され続け、電磁石51a(51b)の発生する磁気的吸引力により、電磁石51a(51b)及び鉄板53a(53b)が強固に結合されている。
前記第2回路143は、開閉接点85に近接して配置された電磁石83と、該電磁石83にその−端(+端)が接続された電源95と、この電源95の他端(−端)に接続されY軸リニアモータ69を構成するY軸可動子72の角部(Y軸固定子74と最も接触が早いと予測される部分)の近傍に設けられた金属線等から成る電極45と、Y軸固定子74の内部の上下面に設けられ電磁石83に接続された電極38とを備えている。ここで、開閉接点85と電磁石83とによって、電磁スイッチSWが構成されている。
この第2回路143では、前述した基準状態(図8A、図9Aの状態)では、図10Aに示されるように、電極45,38は非接触であり、第2回路143は閉じた回路となっていない。このため、第2回路143中の電磁石83には電流が供給されないので、第1回路141の開閉接点85の閉状態が維持される。すなわち、電磁スイッチSWはオンの状態を維持する。
一方、前述した異常状態(図8B,図9B)では、図10Bに示されるように、電極45と電極38とが接触する。このため、第2回路143が閉回路を構成して、電源95から第2回路143内に電流が流れ、第2回路143中に設けられた電磁石83が磁気的吸引力を発生して、開閉接点85を開成する。これにより、電磁スイッチSWがオフとなって、電源93から電磁石ユニット73A,73Bに電流が供給されなくなり、これにより鉄板53a(53b)と電磁石51a(51b)との間の強固な結合力(磁気的吸引力)がなくなり、鉄板53a(53b)と電磁石51a(51b)との接続、すなわちレチクルステージRSTとY軸可動子72との接続が解除される。
このようにしてレチクルステージRSTとY軸可動子72との接続が解除されると、Y軸可動子72に対して作用する下向きの力よりも気体静圧軸受け97の発生する上向きの力の方が大きくなるため、Y軸可動子72は図8Cに示されるように僅かに上昇する。しかしながら、この上向きの力は微小であるため、リニアモータ69の各部の損傷を引き起こすほどの力ではない。
このように、本実施形態では、第2防振ユニット24の暴走等により、レチクルステージベース30が所定量以上傾いた場合など、駆動装置としての第2防振ユニット24の少なくとも1つにより、レチクルステージベース30の一部が所定量以上Z軸方向に駆動された場合に、オン・オフ機構150により、図8Cに示されるように、Y軸可動子72とレチクルステージRSTとの強固な結合が直ちに解放されるので、リニアモータ69の損傷や、Y軸固定子支持板60上の第2レチクルガイド面60aの損傷などを防ぐことが可能となっている。この場合、オン・オフ機構150そのものが、一種のセンサとして機能する構成が採用されているので、第2防振ユニット24によるレチクルステージベース30の駆動量が所定値を超えたことを検知するセンサを特別に設ける必要もない。
ここで、図9Cに示されるようにY軸可動子72とレチクル粗動ステージ34とがフレキシャ67により接続されていることから、第2防振ユニット24が正常となり、レチクルステージベース30が基準位置に戻った場合には、その弾性力により、基準状態(図9Aに示す状態)に確実に復帰するようになっている。
なお、上では、レチクルステージベース30が傾いた場合の対処方法について説明したが、単にレチクルステージベース30が上下方向(Z軸方向)に所定値以上移動した場合にも同様の対処がなされるようになっている。
次に、駆動装置としての第1防振ユニット16のエアダンパなどの機械式ダンパの空気を抜いたり、あるいは第1防振ユニット16が暴走したりした場合の対処の仕組みについて、一方のウエハステージWST1を採り挙げて、図11A〜図12Bに基づいて説明する。
図11Aには、通常の状態(ステージベースSBが水平状態かつ理想高さにある状態(以下、「基準状態」と呼ぶ))での、テーブル支持体581、X軸固定子89X1の状態が模式的に示されている。この基準状態から、ステージベースSBの位置(傾斜を含む)が第1防振ユニット16の暴走等により変動した場合において、その変動が大きいと図11Bに示されるように、X軸固定子89X1の一部がテーブル支持体581内部のX軸可動子47の内面に接触する(以下、「異常状態」という)。このとき、これ以上力が加わらないように、本実施形態では、図11BのようにX軸固定子89X1の一部がテーブル支持体581に接触した場合には、直ちにテーブル支持体581内部のバキューム機構55A〜55Dがバキューム状態からエア噴出状態に切り換えられるようになっている。これにより、X軸可動子47とテーブル支持体581との強固な接続が図11Cのように解除される。
ここで、バキューム機構55A〜55Dをバキューム状態からエア噴出状態に切り換える解除装置としてのオン・オフ機構150’について図12A,図12Bに基づいて説明する。
このオン・オフ機構150’では、レチクルステージRSTの接続機構33に用いられた電磁石ユニット73A,73B(図2参照)の磁気的吸引力のオン・オフ機構150と同様の原理が用いられている。
すなわち、オン・オフ機構150’は、図12Aに示されるように、第1回路(電流供給回路)141’と、第2回路(切り換え回路)143’とを備えている。第1回路141’は、電磁弁91の−端にその−端(+端)が接続され、他端(−端)がノーマリクローズタイプの開閉接点85を介して電磁弁91の他端に接続された電源93を有している。電磁弁91は、バキューム機構55A〜55Dに対して、不図示の真空ポンプに接続された不図示の真空吸引路と、不図示の気体供給源に接続された給気経路とを択一的に接続する役目を有する。すなわち、電磁弁91は、電源93からの電流が供給されるオン状態のときには、真空吸引路をバキューム機構55A〜55Dに対して接続する一方、電源93からの電流が供給されないオフ状態のときには、給気経路をバキューム機構55A〜55Dに対して接続する。
このため、開閉接点85が閉成している図12Aに示される通常状態では、電源93から電磁弁91に電流が供給され続け、電磁弁がオン状態を維持して、バキューム機構55A〜55Dが発生する真空吸引力により、可動子47がテーブル支持体581に対して強固に接続されている(図11A参照)。
前記第2回路143’は、開閉接点85に近接して配置された電磁石83と、該電磁石83にその−端(+端)が接続された電源95と、この電源95の他端(−端)に接続されX軸リニアモータの固定子89X1の上面の角部(可動子47と最も接触が早いと予測される部分)の近傍に設けられた金属線等から成る電極45’と、可動子47の内部の上面の両端に設けられ電磁石83に接続された電極38’とを備えている。ここで、開閉接点85と電磁石83とによって、電磁スイッチSWが構成されている。
この第2回路143’では、前述した基準状態(図11Aの状態)では、図12Aに示されるように、電極45’,38’は非接触であり、第2回路143’は閉じた回路となっていない。このため、第2回路143’中の電磁石83には電流が供給されないので、第1回路141’の開閉接点85の閉状態が維持される。すなわち、電磁スイッチSWはオンの状態を維持する。このため、電磁弁91に電流が供給され続けるので、バキューム機構55A〜55Dではバキューム動作が維持される。
ここで、異常状態(図11Bの状態)となった場合には、図12Bに示されるように、電極45’と電極38’とが接触するので、電源95から第2回路143’に電流が供給され、第2回路143’中に設けられた電磁石83が磁気的吸引力を発生して、開閉接点85を開成する。これにより、電磁スイッチSWがオフとなって、電源93から電磁弁91に電流が供給されなくなり、電磁弁91では、バキューム機構55A〜55Dを、バキューム状態からエア噴出状態(エアフロー状態)に切り換える。これにより、図11Cに示されるようにX軸可動子47と、テーブル支持体581との間の強固な結合力による接続が解除され、弾性部材(フレキシャ)59のみで低剛性にて結合されることになる。
従って、図11Cの状態では、X軸可動子47に対してX軸固定子89X1からはさほど力が加わらないので、X軸リニアモータ1691の損傷を回避することが可能となっている。
反対に、異常状態から第1防振ユニット16が正常な状態に回復する間に、電極45’と電極38’とが離間すると、バキューム機構55A〜55Dが再びバキューム状態となり、X軸可動子47とテーブル支持体581は、元の状態(図11Aの状態)に復帰する。
また、ステージベースSBに上述したX軸回りの回転方向への傾斜が生じた場合のみならず、Y軸回りの回転方向への傾斜や、Z軸方向に沿ったテーブル支持体581の移動にも同様の対処がなされるようになっている。この場合、オン・オフ機構150’そのものが、一種のセンサとして機能する構成が採用されているので、第1防振ユニット16によるステージベースSBの駆動量が所定値を超えたことを検知するセンサを特別に設ける必要もない。
なお、オン・オフ機構150’では、ステージベースSBが上側に移動した場合には、バキューム機構55A〜55Dのバキュームをオフしても対処できない構成となっているが、前述したように、X軸固定子89X1とX軸可動子47の内部下側の面との間に比較的広い空間を確保しているので、X軸固定子89X1とX軸可動子47の内部下側の面との接触は殆ど生じることはない。
勿論、ウエハステージWST2側においても、上記と同様にして、ガイド面の損傷、及びリニアモータの損傷等を確実に回避することが可能となっている。
以上説明したように、本実施形態に係るレチクルステージシステム25によると、何らかの理由により、第2防振ユニット24によるレチクルステージベース30を含む第2架台ST2のZ軸方向の駆動量が所定値を超えた場合には、前述したオン・オフ機構150により、レチクルステージRSTとY軸可動子72との強固な接続(磁気的な接続)が解除され、フレキシャ67による緩やかな接続のみが維持される。フレキシャ67は、Y軸可動子72とレチクルステージRSTの相対変位を許容する。従って、第2防振ユニット24によるレチクルステージベース30の駆動量が所定値を超えた場合に、レチクルステージRSTに接続されたY軸可動子72とY軸固定子74とが接触し、両者間に大きな負荷がかかる前に、オン・オフ機構150によりレチクルステージRSTと可動子72との強固な接続が解除され、結果的にY軸可動子72及びY軸固定子74が損傷するのを回避できる。
また、Y軸固定子74がレチクルステージベース30に対して振動的に独立して設けられていることから、レチクルステージRSTを駆動する際にY軸固定子74に生じる反力がレチクルステージベース30等を振動させることがなく、レチクルステージベース30のガイド面92c、92dに沿って移動するレチクルステージRSTの位置制御を高精度に行うことができる。
従って、レチクルステージシステム25によると、長期に渡ってレチクルステージRSTを安定して駆動することが可能となる。
また、本実施形態に係るウエハステージシステム100によると、何らかの理由により、第1防振ユニット16によるステージベースSBを含む本体コラムBDのZ軸方向の駆動量が所定値を超えた場合には、前述したオン・オフ機構150’により、ウエハステージWST1のテーブル支持体581とX軸可動子47との強固な接続(真空吸引力による接続)が解除され、フレキシャ59による緩やかな接続のみが維持される。フレキシャ59は、X軸可動子47とテーブル支持体581を含むウエハステージWST1との相対変位を許容するので、X軸可動子47には大きな負荷(ウエハステージWST1の自重による)がかからなくなる。ウエハステージWST2側でも同様に、オン・オフ機構150’により、ウエハステージWST2のテーブル支持体582とX軸可動子49との強固な接続(真空吸引力による接続)が解除され、フレキシャ59による緩やかな接続のみが維持されるようになる。
従って、第1防振ユニット16によるステージベースSBの駆動量が所定値を超えた場合に、ウエハステージWST1に接続されたX軸可動子47とX軸固定子89X1とが接触し、両者間に大きな負荷がかかる前に、オン・オフ機構150’によりウエハステージWST1とX軸可動子47との強固な接続が解除され、結果的にX軸可動子47及びX軸固定子89X1が損傷するのを回避できる。同様に、ウエハステージWST2に接続されたX軸可動子49とX軸固定子89X2とが接触し、両者間に大きな負荷がかかる前に、オン・オフ機構150’によりウエハステージWST2とX軸可動子49との強固な接続が解除され、結果的にX軸可動子49及びX軸固定子89X2が損傷するのを回避できる。
また、Y軸固定子であるリニアガイド88Y1、88Y2は勿論、X軸可動子47、49も、ステージベースSBに対して振動的に独立して設けられていることから、ウエハステージWST1、WST2を駆動する際にリニアガイド88Y1、88Y2やX軸固定子47、49に生じる反力が、ステージベースSB等を振動させることがなく、ステージベースSBのガイド面SBaに沿って移動するウエハステージWST1、WST2の位置制御を高精度に行うことができる。
従って、ウエハステージシステム100によると、長期に渡ってウエハステージWST1、WST2を安定して駆動することが可能となる。
また、本実施形態の露光装置10によると、長期に渡ってレチクルステージRSTを安定して駆動することが可能なレチクルステージシステム25がレチクルRの駆動システムとして採用されるとともに、長期に渡ってウエハステージWST1、WST2を安定して駆動することが可能なウエハステージシステム100がウエハW1、W2の駆動システムとして採用されている。このため、レチクルR及びウエハW1、W2を長期に渡って安定して駆動することができ、レチクルRとウエハW1との重ね合わせ精度、及びレチクルRとウエハW2との重ね合わせ精度を良好に維持することができる。また、本実施形態の露光装置10では、防振ユニット16又は24の暴走などにより、レチクルステージベース30やステージベースSBが所定量以上駆動されても、レチクル側のY軸可動子72及びY軸固定子74が接触により損傷したり、ウエハ側のX軸可動子47及びX軸固定子89X1、並びにX軸可動子49及びX軸固定子89X2が損傷したりする可能性が低く、このためのメンテナンスが不要となる。従って、露光装置10のダウンタイムの低減を図ることができ、結果的に稼働率の向上が可能となる。
また、本実施形態の露光装置10では、主制御装置99を介さずに、オン・オフ機構150、150’により、前述の如く、ステージRST、WST1、WST2と各ステージを駆動するリニアモータの可動子との強固な接続を解除することとしたので、非常に高い応答性で防振ユニット16,24の暴走等の異常に対処することが可能となっている。
また、本実施形態の露光装置10では、前述した種々の構成の採用により、ウエハステージの駆動による反力を完全にキャンセルすることができるので、床剛性が低い場合でも制御精度を良好に維持することが可能となっている。
また、本実施形態の露光装置10では、オン・オフ機構150、150’によりステージRST、WST1、WST2と各ステージを駆動するリニアモータの可動子との強固な接続が解除された場合に、各ステージと可動子との間がフレキシャ等の弾性部材を介して、緩やかな接続状態が維持されるので、異常状態から基準状態(通常状態)への復帰を円滑に、かつ再現性良く行うことができる。しかしながら、本発明のステージシステムでは、弾性部材は必ずしも設ける必要がない。かかる場合であっても、前述した接続の解除による効果は同等だからである。
なお、上記実施形態では、電磁弁によりバキューム機構の吸引動作、及びエアフロー動作が制御されることとしたが、これに限らず、バキュームのみ行うことが可能な機構を有する回路と、エアフローのみを行うことが可能な機構を有する回路とを別々に有し、共通の切り換え回路により、各機構のオン・オフを交互に切り換えることとしても良い。
なお、上記実施形態では、本発明のステージシステムを、レチクルを駆動する第1駆動システム、及びウエハを駆動する第2駆動システムの両方に用いた場合について説明したが、本発明の露光装置がこれに限定されるものではなく、いずれか一方のステージシステムにのみ本発明のステージシステムを採用することとしても良いことは勿論である。
なお、上記実施形態では、レチクルステージシステム25の接続機構33として、電磁石を使用するオン・オフ機構150を採用し、ウエハステージシステム100ではオン・オフ機構としてバキューム機構を使用するオン・オフ機構150’を用いるものとしたが、これに限らず、いずれのステージシステムにいずれの方式のオン・オフ機構を解除装置として用いても良い。また、ステージ本体と可動子との接続は、磁気的接続や真空吸引力による接続以外の接続方法を採用しても勿論良く、かかる場合には、その接続の解除に好適な解除装置を用いれば良い。
なお、上記実施形態において、各所に設けられた気体静圧軸受けに代えて、いわゆるジンバルベアリングと気体静圧軸受けとを組み合わせた構造を有する軸受け装置を採用することも可能である。この場合、気体静圧軸受けの軸受け面は、ガイド面に対して所定のクリアランスを介して非接触を保つとともに、ジンバルベアリングの接続された構成部分は水平を維持することができるので、ガイド面の損傷を回避することができる。また、ジンバルベアリングを用いることにより、各部に設けられたガイドの平面度をそれほど高くしなくてもステージ等を高精度に駆動することができる。この場合、気体静圧軸受けの剛性が下がることになるが、ウエハテーブルTB1,TB2はX,Y,Z、θz,θx,θyの6自由度方向の位置・姿勢の制御が可能であることから、特に支障はない。すなわち、ウエハテーブルTB1,TB2はX,Y,θz,θx,θyの5自由度方向については、全て投影光学系支持部材26に固定されたウエハ干渉計116,118,142の結果に基づきリニアモータやZ・チルト駆動機構を構成するボイスコイルモータ等により高応答で制御され、更にZ軸方向については斜入射方式の多点AF系の出力に基づき、直接的にボイスコイルモータ等で制御される。従って、ガイド(気体静圧軸受け)の剛性が低いことによる制御への影響は最小限に抑えることが可能である。
なお、上記実施形態では、2つのウエハステージを用いて同時並行処理するダブルステージタイプのステージシステム及びこれを備える露光装置に本発明が適用された場合について説明したが、本発明の適用範囲がこれに限られるものではなく、シングルステージタイプのウエハステージシステム及びこれを採用する露光装置にも、本発明は好適に適用できることは勿論である。
また、上記実施形態では、スキャニング・ステッパに本発明が適用された場合について説明したが、これに限らずステッパ等の静止型露光装置にも本発明は適用することができる。また、露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置や、プラズマディスプレイ、有機EL、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシンあるいはDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
また、本発明の露光装置では、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、投影光学系の倍率は縮小系のみならず等倍および拡大系のいずれでも良い。
《デバイス製造方法》
次に上述した露光装置をリソグラフィ工程で使用するデバイスの製造方法の実施形態について説明する。
図13には、デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートが示されている。図13に示されるように、まず、ステップ201(設計ステップ)において、デバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップ202(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ203(ウエハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
次に、ステップ204(ウエハ処理ステップ)において、ステップ201〜ステップ203で用意したマスクとウエハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウエハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップ205(デバイス組立てステップ)において、ステップ204で処理されたウエハを用いてデバイス組立てを行う。このステップ205には、ダイシング工程、ボンディング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。
最後に、ステップ206(検査ステップ)において、ステップ205で作成されたデバイスの動作確認テスト、耐久テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
図14には、半導体デバイスにおける、上記ステップ204の詳細なフロー例が示されている。図14において、ステップ211(酸化ステップ)においてはウエハの表面を酸化させる。ステップ212(CVDステップ)においてはウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ213(電極形成ステップ)においてはウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ214(イオン打ち込みステップ)においてはウエハにイオンを打ち込む。以上のステップ211〜ステップ214それぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
ウエハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップ215(レジスト形成ステップ)において、ウエハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップ216(露光ステップ)において、上で説明した露光装置10などの本発明の露光装置及び露光方法によってマスクの回路パターンをウエハに転写する。次に、ステップ217(現像ステップ)においては露光されたウエハを現像し、ステップ218(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップ219(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
以上説明した本実施形態のデバイス製造方法を用いれば、露光工程(ステップ216)において上記実施形態の露光装置10などの本発明の露光装置が用いられるので、長期間に渡ってレチクルとウエハとの重ね合わせ精度を良好に維持して露光が行われるとともに、露光装置のダウンタイムの低減による稼働率の向上が可能となる。従って、微細パターンが形成された高集積度のマイクロデバイスの生産性(歩留まりを含む)を向上させることが可能である。
産業上の利用可能性
以上説明したように、本発明のステージシステムは、ステージ本体を安定して駆動するのに適している。また、本発明の露光装置は、感光物体上にパターンを形成するのに適している。また、本発明のデバイス製造方法は、マイクロデバイスの生産に適している。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の一実施形態に係る露光装置の構成を概略的に示す図である。
図2は、レチクルステージ装置及びその近傍を示す斜視図である。
図3は、図1のウエハステージ装置をベースプレートとともに示す斜視図である。
図4は、図3のウエハステージ装置を示す分解斜視図である。
図5は、図3のA−A線断面図である。
図6は、テーブル支持体を一部断面して示す斜視図である。
図7は、一実施形態の露光装置の制御系を示すブロック図である。
図8A〜図8Cは、レチクルステージ装置における接続機構の切り離し動作を説明するための図(その1)である。
図9A〜図9Cは、レチクルステージ装置における接続機構の切り離し動作を説明するための図(その2)である。
図10A,図10Bは、レチクルステージ装置のオン・オフ機構の構成及び作用を説明するための図である。
図11A〜図11Cは、第1防振ユニットの空気を抜いたり、第1防振ユニットが暴走したりした場合の対処の仕組みについて説明するための図である。
図12A、図12Bは、ウエハステージ装置のオン・オフ機構の構成及び作用を説明するための図である。
図13は、本発明に係るデバイス製造方法を説明するためのフローチャートである。
図14は、図13のステップ204の具体例を示すフローチャートである。
本発明は、ステージシステム及び露光装置、並びにデバイス製造方法に係り、更に詳しくは定盤の移動面に沿って移動するステージ本体と該ステージ本体に接続された可動子と定盤に対して振動的に独立して設けられた固定子とを有するステージシステム、及び該ステージシステムをマスク及び基板の少なくとも一方の駆動装置として備える露光装置、並びに該露光装置を用いて露光を行うデバイス製造方法に関する。
背景技術
従来より、半導体素子、液晶表示素子等を製造するためのリソグラフィ工程では、マスク又はレチクル(以下「レチクル」と総称する)に形成されたパターンを投影光学系を介してレジスト等が塗布されたウエハ又はガラスプレート等の基板(以下、「ウエハ」と総称する)上に転写するステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置(いわゆるステッパ)や、このステッパに改良を加えたステップ・アンド・スキャン方式の走査型投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ)等の逐次移動型の投影露光装置が主として用いられている。
例えば、スキャニング・ステッパの場合、レチクルを保持するレチクルステージの移動基準となるレチクルステージ定盤は、投影光学系によりレチクル上のパターンが結像される像面を決定する重要な部分であるため、レチクルステージ駆動時にもできる限り振動が抑制されることが望ましい。
また、投影露光装置のウエハステージでは、ウエハ表面をレチクル上のパターンが結像される像面に合わせるため、XY駆動用のXYステージ上に、少なくともZ・チルト駆動が可能なウエハテーブルが設けられ、このウエハテーブル上にウエハが保持されている場合が多い。この場合、ウエハステージ定盤に所定量以上の振動が生じた場合、十分な振動減衰を行うことができず、ウエハテーブルのZ軸方向位置制御精度が悪化する。
このため、レチクルステージ又はウエハステージを、例えばリニアモータを用いて駆動する場合には、リニアモータによるステージの駆動に伴う反力がステージ定盤に伝わらないようにするために、ステージの駆動による反力が作用するリニアモータの固定子をステージ定盤とは分離するか、あるいはその反力の作用により運動量が保存されるように固定子が移動するいわゆるカウンタマス機構を採用することで、ステージの駆動による反力がステージ定盤を振動させるのを防止している。
また、床からの振動がステージ定盤を振動させるのを防止するため、ステージ定盤と床との間にダンパを介在させてステージ定盤に対する防振を行うことが望ましい。
レチクルステージ及びウエハステージでは、共に、少なくとも長ストローク方向(通常水平面内の一軸方向)への駆動手段としてリニアモータが用いられることが多い。このリニアモータでは、水平面に直交する方向(高さ方向)に関しては許容できる可動子と固定子との間の相対変位は小さく、例えば±0.5mm程度の範囲が有効な推力を得るための限界となっている。
この一方、前述のダンパとしては、十分な振動減衰効果を得るためにはAVIS(エアダンパ等の大重量に耐える機械式のダンパとボイスコイルモータ等の電磁アクチュエータとの組み合わせにより振動減衰を行う防振装置)が採用されることが多い。すなわち、AVISによりステージ定盤を積極的に駆動して、床からの振動がステージ定盤を振動させるのを防止するのである。しかるに、AVISでは、その中立位置からその駆動を機械的に制限するストッパ(メカストッパ)が設けられた位置までの許容可動ストロークは、±3mm程度となっている。このため、AVISが暴走してその制御が困難となった場合などには、AVISによるステージ定盤の駆動ストロークが前述したリニアモータにおける許容範囲をオーバーするため、結果的にリニアモータの固定子と可動子とが相互に接触し、リニアモータが損傷するおそれがあった。
かかる事態の発生を回避する方法として、例えばリニアモータの固定子のガイド部と可動子のガイド部とのそれぞれをステージ定盤上のガイド面とは別に設定することも考えられるが、このように設定した場合には、元々各ステージのガイド面はステージ定盤上にあるため、ステージのガイド面とリニアモータの固定子及び可動子のガイド部との適切な位置関係を維持することが困難となり、結果的にリニアモータの固定子のガイド部と可動子のガイド部が損傷する可能性があった。
このため、従来技術では、リニアモータあるいはそのガイド部のメンテナンスを頻繁に行う必要があった。これは、露光装置のダウンタイムの増加要因となり、結果的に最終製品であるデバイスの生産性を低下させる要因となる。
本発明はかかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、長期に渡ってステージ本体を安定して駆動することが可能なステージシステムを提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、稼動効率の向上を図ることができる露光装置を提供することにある。
また、本発明の第3の目的は、デバイスの生産性を向上させることが可能なデバイス製造方法を提供することにある。
発明の開示
本発明は、第1の観点からすると、定盤の移動面に沿って移動可能なステージ本体と;前記ステージ本体に接続された可動子と;前記定盤に対して振動的に独立して設けられ、前記可動子と協働して前記ステージ本体を駆動する固定子と;前記定盤を駆動する駆動装置と;前記駆動装置による前記定盤の駆動量が所定値を超えた際に、前記ステージ本体と前記可動子との接続を解除する解除装置と;を備えるステージシステムである。
これによれば、定盤に対して振動的に独立して設けられた固定子とステージ本体に接続された可動子との協働により、ステージ本体が定盤の移動面に沿って駆動される。定盤は、駆動装置によって駆動されるが、駆動装置による定盤の駆動量が所定値を超えた場合には、解除装置によりステージ本体と可動子との接続が解除される。すなわち、駆動装置による定盤の駆動量が所定値を超えた場合に、ステージ本体に接続された可動子と固定子とが接触し、両者間に大きな負荷がかかる前に、解除装置によりステージ本体と可動子との接続が解除され、結果的に可動子及び固定子が接触により損傷するのを回避することが可能となる。また、固定子が定盤に対して振動的に独立して設けられていることから、ステージ本体を駆動する際に固定子に生じる反力が定盤を振動させることがなく、定盤上の移動面に沿って移動するステージ本体の位置制御を高精度に行うことができる。従って、本発明のステージシステムによれば、長期に渡ってステージ本体を安定して駆動することが可能となる。
この場合において、駆動装置による定盤の駆動方向は、特に限定されず、例えば、前記駆動装置は、前記移動面とほぼ直交する方向に沿って前記定盤を駆動することとすることができる。
本発明のステージシステムでは、前記ステージ本体と前記可動子とを接続する方法、及び解除装置の構成等については、種々のものが考えられる。例えば、前記ステージ本体と前記可動子とは磁気的に接続されており、前記解除装置は、前記磁気的な接続を解除することとしても良いし、あるいは前記ステージ本体と前記可動子とは真空吸引力により接続されており、前記解除装置は、前記真空吸引力を解除することとしても良い。
本発明のステージシステムでは、前記定盤に対して振動的に独立して設けられた支持台を備え、前記固定子は前記支持台に接続されていることとすることができる。
本発明のステージシステムでは、前記定盤に対して振動的に独立して設けられた支持台を備え、前記固定子は前記支持台に移動可能に支持されていることとすることができる。
この場合において、前記支持台に移動可能に支持された前記固定子は、前記ステージ本体の駆動時に生じる反力の作用により、前記ステージ本体の駆動方向とは反対方向に移動することとすることができる。
本発明のステージシステムでは、固定子が定盤に対して振動的に独立して設けられた支持台に移動可能に支持されている場合には、前記ステージ本体の移動に伴う前記固定子の位置変化を補正する位置補正機構を更に備えることとすることができる。
本発明のステージシステムでは、固定子が定盤に対して振動的に独立して設けられた支持台に移動可能に支持されている場合には、前記固定子と可動子との協働による駆動力の作用点は前記ステージ本体の重心及び前記固定子の重心に一致し、前記解除装置は、前記駆動装置による前記定盤の駆動により、前記定盤上の移動面と前記支持台における前記固定子の移動面との間の相対位置変位が所定値以上となる場合に、それに応答して前記ステージ本体と前記可動子との接続を解除することとすることができる。
本発明のステージシステムでは、前記ステージ本体と前記可動子とは、吸引力により接続されており、前記解除装置は、前記駆動装置による前記定盤の駆動により前記可動子と固定子とが接触した際に、これを検知して前記吸引力の発生を停止するオン・オフ機構を含むこととすることができる。
本発明に係るステージシステムでは、前記解除装置により前記接続が解除された状態で機械的な破損を生じない程度の剛性を有するとともに、前記ステージ本体と前記可動子とを接続する弾性部材を更に備えることとすることができる。
本発明は、第2の観点からすると、マスクに形成されたパターンを基板上に転写する露光装置であって、前記マスクを駆動する第1駆動システムと;前記基板を駆動する第2駆動システムと;を備え、前記第1駆動システム及び第2駆動システムの少なくとも一方として本発明のステージシステムが用いられていることを特徴とする第1の露光装置である。
これによれば、長期に渡ってステージ本体を安定して駆動することが可能な本発明のステージシステムが、マスクを駆動する第1駆動システム及び基板を駆動する第2駆動システムの少なくとも一方として用いられている。このため、マスク及び基板の少なくとも一方を長期に渡って安定して駆動することができ、マスクと基板との重ね合わせ精度を良好に維持することができる。また、ステージシステムでは、ステージ本体を駆動する駆動装置の固定子と可動子とが接触により損傷する可能性が低いので、このためのメンテナンスが不要となる。従って、装置のダウンタイムの低減を図ることができ、結果的に稼働率の向上が可能となる。
本発明は、第3の観点からすると、エネルギビームにより感光物体を露光して所定のパターンを前記感光物体上に形成する露光装置であって、前記感光物体を保持して第1移動面に沿って移動可能な少なくとも1つの物体ステージと;前記物体ステージに接続された第1可動子と、該第1可動子との間の物理的な相互作用により発生する駆動力によって前記物体ステージを駆動する第1固定子とを有する第1ステージ駆動装置と;前記第1移動面の前記第1固定子に対する相対変位により、前記第1可動子と前記第1固定子とが接触した際に、前記前記物体ステージと前記第1可動子との接続を解除する第1の解除装置と;を備える第2の露光装置である。
これによれば、第1ステージ駆動装置は、第1可動子と第1固定子との間の物理的な相互作用(例えば電磁気的な相互作用など)により発生する駆動力によって前記第1可動子に吸引力により接続された物体ステージを、第1移動面に沿って駆動する。そして、何らかの要因により、第1移動面が第1固定子に対して相対変位することにより、第1可動子と第1固定子とが接触した際には、解除装置により、第1可動子と物体ステージとの接続が解除される。このため、本第2の露光装置では、物体ステージを駆動する第1ステージ駆動装置の第1固定子と第1可動子とが接触により損傷するのをほぼ回避することができるので、第1固定子と第1可動子との接触に起因する第1ステージ駆動装置のメンテナンスが不要となる分、第1ステージ駆動装置のメンテナンス頻度を低減することができる、従って、装置のダウンタイムの低減を図ることができ、結果的に稼働率の向上が可能となる。
この場合において、前記物体ステージと前記第1可動子とは、吸引力により接続され、前記第1の解除装置は、前記吸引力を解除することにより前記物体ステージと前記第1可動子との接続を解除することとすることができる。
本発明の第2の露光装置では、前記第1移動面は前記第1固定子とは振動に関して分離された定盤上に形成されていることとすることができる。
本発明の第2の露光装置では、前記物体ステージは複数設けられ、前記第1ステージ駆動装置は、前記各物体ステージに吸引力により個別に接続された複数の第1可動子と、該各第1可動子との間の物理的な相互作用により前記各物体ステージを駆動する前記駆動力を発生する少なくとも1つの前記第1固定子とを有し、前記第1の解除装置は、少なくとも1つの特定の第1可動子と対応する第1固定子とが接触した際に、前記特定の第1可動子と対応する物体ステージとの間の前記吸引力を解除することとすることができる。
この場合において、前記パターンの原版であるマスクから射出される前記エネルギビームを前記感光物体上に投射する投影光学系と;前記各物体ステージにて保持された感光物体の、前記投影光学系の光軸方向位置を検出するフォーカス検出系と;前記各物体ステージの前記光軸に直交する面内の位置を計測する位置計測装置と;前記各物体ステージの位置と前記2つの物体ステージの位置関係とに応じたマップ及び前記位置計測装置による計測結果、並びに前記フォーカス検出系の検出結果に基づいて、前記移動面と前記各物体ステージとの前記光軸方向に関する位置関係を調整する調整装置と;を更に備えることとすることができる。
本発明の第2の露光装置では、前記パターンの原版であるマスクを保持して第2移動面に沿って移動可能なマスクステージと;前記マスクステージに接続された第2可動子と、該第2可動子との間の物理的な相互作用により発生する駆動力によって前記マスクステージを駆動する第2固定子とを有する第2ステージ駆動装置と;前記第2移動面の前記第2固定子に対する相対変位により、前記第2可動子と前記第2固定子とが接触した際に、前記マスクステージと前記第2可動子との接続を解除する第2の解除装置と;を更に備えることとすることができる。
この場合において、前記マスクステージと前記第2可動子とは、吸引力により接続され、前記第2の解除装置は、前記吸引力を解除することにより前記マスクステージと前記第2可動子との接続を解除することとすることができる。
本発明の第2の露光装置では、前記第2移動面は前記第2固定子とは振動に関して分離された定盤上に形成されていることとすることができる。
本発明の第2の露光装置では、前記吸引力は、真空吸引力及び磁気的吸引力のいずれかであることとすることができる。
また、リソグラフィ工程において、本発明の第1及び第2の露光装置のいずれかを用いて露光を行うことにより、露光装置のダウンタイムを低減してデバイスの生産性を向上することができる。従って、本発明は、更に別の観点からすると、本発明の第1及び第2の露光装置のいずれかを用いるデバイス製造方法であるとも言える。
発明を実施するための最良の形態
本発明の一実施形態を図1〜図12Bに基づいて説明する。図1には、一実施形態に係る露光装置が一部断面して概略的に示されている。
この露光装置10は、マスクとしてのレチクルRと基板としてのウエハW1(又はW2)とを一次元方向(ここでは、図1における紙面内左右方向であるY軸方向とする)に同期移動しつつ、レチクルRに形成された回路パターンを投影光学系PLを介してウエハW1(又はW2)上の各ショット領域に転写する、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置、すなわちいわゆるスキャニング・ステッパである。
露光装置10は、露光光源を含む照明系12、レチクルRを保持するステージ本体としてのレチクルステージRST、レチクルRから射出される照明光ILをウエハW1、W2上に投射する投影光学系PL、ウエハW1,W2をそれぞれ保持するステージ本体としてのウエハステージWST1,WST2、及びレチクルステージRST及びウエハステージWST1,WST2をそれぞれ移動可能に支持するとともに投影光学系PLを保持する本体コラムBD等を備えている。
前記照明系12は、例えば特開平6−349701号公報及びこれに対応する米国特許第5,534,970号公報などに開示されるように、光源と、オプティカルインテグレータ(フライアイレンズ、内面反射型インテグレータ、あるいは回折光学素子など)等を含む照度均一化光学系、リレーレンズ、可変NDフィルタ、レチクルブラインド、及びダイクロイックミラー等(いずれも不図示)から成る照明光学系とを含んで構成されている。この照明系12では、回路パターン等が描かれたレチクルR上のレチクルブラインドで規定されたスリット状の照明領域部分を照明光ILによりほぼ均一な照度で照明する。ここで、照明光ILとしては、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの遠紫外光、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、あるいはF2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光などが用いられる。照明光ILとして、超高圧水銀ランプからの紫外域の輝線(g線、i線等)を用いることも可能である。なお、本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記公報及び対応する米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
ここで、照明系内の各駆動部、すなわち可変NDフィルタ、レチクルブラインド等は、主制御装置99(図1では不図示、図7参照)からの指示に応じ照明制御装置(露光コントローラ)117(図1では不図示、図7参照)によって制御される。
前記本体コラムBDは、クリーンルームの床面F上に水平に載置された矩形板状の支持台としてのベースプレートBP、該ベースプレートBP上面の4つのコーナー部分に設けられた上下方向に所定の長さで伸びる4本の第1支柱14(但し、図1の紙面手前側に位置する2本の第1支柱については不図示)、これらの第1支柱14により駆動装置としての第1防振ユニット16(但し、図1の紙面手前側の2つの第1防振ユニットについては不図示)をそれぞれ介して4点で支持された第1架台ST1、該第1架台ST1上に配置された駆動装置としての4つの第2防振ユニット24(但し、図1の紙面手前側に位置する2つの第2防振ユニットについては不図示)により4点で支持された第2架台ST2、及び第1架台ST1の下方に吊り下げ支持された第3架台ST3等を備えている。このうち、ベースプレートBPと4本の第1支柱14とによってフレームキャスタFCが構成されている。
前記第1架台ST1は、その底板部を構成するベースフレーム18と、このベースフレーム18上面の図1の紙面奥側に位置する2つのコーナー近傍にそれぞれ固定された上下方向に延びる2本の第2支柱20A,20Bと、これら2本の第2支柱20A,20Bによりほぼ水平に支持された矩形板状のY軸固定子支持板60とを備えている。
前記ベースフレーム18は、その中央部に矩形の開口18aが形成された矩形枠状の板部材から成り、その底面の4つのコーナー近傍にて、前述した第1防振ユニット16によりほぼ水平に支持されている。これらの第1防振ユニット16のそれぞれは、第1支柱14の上部に直列(又は並列)に配置されたエアダンパ又は油圧式のダンパ等の大重量に耐える機械式のダンパと、ボイスコイルモータ等の電磁式のアクチュエータより成る電磁式のダンパとを含んで構成されている。そして、ベースフレーム18の上面の水平面に対する傾斜角が第1変位センサ109(図1では不図示、図7参照)によって検出され、この第1変位センサ109の検出値に基づいて、主制御装置99(図7参照)により、前記の傾斜角が許容範囲内に収まるように、4つの第1防振ユニット16を構成する電磁式のダンパが駆動され、必要に応じて機械式のダンパの空気圧又は油圧等が制御される。この場合、機械式のダンパによって、床からの高い周波数の振動は露光装置10に伝わる前に減衰され、残存している低い周波数の振動は電磁式のダンパによって減衰される。上記の変位センサとしては、例えば、ベースフレーム18に取り付けられた電気式の水準器、又は光学式の傾斜角検出器等を用いることができる。
前記Y軸固定子支持板60は、上方から見て矩形の板部材から構成され、その上面には後述するY軸固定子が配置されている。
前記第2架台ST2は、ベースフレーム18の上面に配置された4つの第2防振ユニット24によって下方から4点で支持された投影光学系支持部材26と、該投影光学系支持部材26の上面の第2防振ユニット24にそれぞれ対向する位置にそれぞれ固定された上下方向に所定長さで伸びる4本の第3支柱28A,28B,28C,28D(但し、図1における紙面手前側に位置する第3支柱28C,28Dについては不図示、図2参照)と、これら4本の第3支柱28A〜28Dによりほぼ水平に支持された定盤としてのレチクルステージベース30とを備えている。
前記投影光学系支持部材26は、上端部にフランジ部が形成された筒状の部材によって構成されている。この投影光学系支持部材26の中央には、平面視(上から見て)円形の段付き開口26aが上下方向(Z軸方向)に連通して形成されている。この段付き開口26aには、前記投影光学系PLが上方から挿入され、投影光学系PLはその高さ方向のほぼ中央に設けられたフランジFLGを介して投影光学系支持部材26によって支持されている。
また、投影光学系支持部材26には、段つき開口26a以外にも、上下方向(Z軸方向)に複数の貫通孔が設けられており、該貫通孔には、各種検出系を構成する複数の鏡筒が挿入されている。なお、これら検出系については後に詳述する。
前記第2防振ユニット24のそれぞれは、前述した第1防振ユニット16と同様の構成となっている(但し、耐荷重性は第1防振ユニット16よりも低く設定されている)。そして、投影光学系支持部材26上面又はレチクルステージベース30上面の水平面に対する傾斜角が第2変位センサ111(図1では不図示、図7参照)によって検出され、この第2変位センサ111の検出値に基づいて、主制御装置99(図7参照)により、前記傾斜角が許容範囲内に収まるように、4つの第2防振ユニット24が制御される。すなわち、本実施形態では、第2防振ユニット24のそれぞれによって、レチクルステージベース30を含む第2架台ST2を、それぞれZ軸方向に駆動する駆動装置が構成され、かつ4つの第2防振ユニット24によって第2架台ST2をXY面に対する傾斜方向に駆動する駆動装置が構成されている。
なお、上記の変位センサとしては、例えば、投影光学系支持部材26又はレチクルステージベース30に取り付けられた電気式の水準器、又は光学式の傾斜角検出器等を用いることができる。
前記レチクルステージベース30は、図2に示されるように、平面視(上方から見て)矩形の板部材から構成されており、その中央部には照明光ILを通過させるための開口30a(図2では不図示、図1参照)が形成されている。このレチクルステージベース30上面のX軸方向−側及び他側の端部にはY軸方向に沿ってエアガイド92A,92Bがそれぞれ延設されている。これらエアガイド92A,92Bの上面はそれぞれ平坦度が極めて良好な面に加工されており、これらの面によってステージ本体としてのレチクルステージRSTの移動面としてのガイド面92c,92dが構成されている。
前記レチクルステージRSTは、レチクルステージベース30の上面に複数の気体静圧軸受け90を介して浮上支持され、レチクルRを真空吸着等によって保持するレチクル微動ステージ32と、該レチクル微動ステージ32と一体で走査方向であるY軸方向に所定ストロークで移動するレチクル粗動ステージ34とを備えている。なお、図1においては、便宜上、レチクル微動ステージ32とレチクル粗動ステージ34とが1つのレチクルステージRSTとして図示されている。
また、レチクルステージベース30には、図2の斜視図に示されるようにレチクル微動ステージ32の位置を計測するレチクルY軸干渉計66Y1、66Y2、レチクルX軸干渉計66X、及び各干渉計を介して測長ビームを出射する干渉計レーザ68が設けられており、これらの干渉計によってレチクル微動ステージ32の2次元的な位置及び回転角が高精度に計測され、この計測結果に基づいて主制御装置99(図7参照)は、レチクル微動ステージ32の位置及び速度を制御する。なお、図1では、計3つの干渉計が纏めてレチクル干渉計66として示されている。
また、図2では不図示であるがそれぞれのレチクル干渉計66Y1、66Y2、66Xに対応して、計測の基準となる固定鏡がそれぞれ投影光学系PLの鏡筒の側面に設けられている。これら固定鏡が、図1では代表的に固定鏡Mrとして示されている。
更に、前記Y軸固定子支持板60上方には、図2に示されるように、レチクル粗動ステージ34をY軸方向に駆動するためのリニアモータの固定子であって、駆動時に発生する反力をキャンセルするためにY軸方向に沿ってレチクル粗動ステージ34とは反対方向に移動するカウンタマスとしての機能を有するY軸固定子74が配置されている。
本実施形態では、レチクルステージRSTとその駆動系等を含んで第1駆動システムとしてのレチクルステージシステムが構成されている。このレチクルステージシステムの構成等については後に更に詳述する。
図1に戻り、前記投影光学系PLとしては、物体面側(レチクル側)と像面側(ウエハ側)の両方がテレセントリックで1/4(又は1/5)縮小倍率の縮小系が用いられている。このため、レチクルRに照明系12から照明光(紫外パルス光)ILが照射されると、レチクルR上に形成された回路パターン領域のうちの紫外パルス光によって照明された部分からの結像光束が投影光学系PLに入射し、その回路パターンの部分倒立像が紫外パルス光の各パルス照射の度に投影光学系PLの像面側の視野の中央にX軸方向に細長いスリット状又は矩形状(多角形)に制限されて結像される。これにより、投影された回路パターンの部分倒立像は、投影光学系PLの結像面に配置されたウエハW1(又はウエハW2)上の複数のショット領域のうちの1つのショット領域表面のレジスト層に縮小転写される。
投影光学系PLとしては、光源としてArFエキシマレーザを用いる場合には、屈折光学素子(レンズ素子)のみから成る屈折系が主として用いられるが、F2レーザ等を用いる場合には、例えば特開平3−282527号公報、特開平8−171054号公報及びこれに対応する米国特許第5,668,672号、並びに特開平10−20195号公報及びこれに対応する米国特許第5,835,275号などに開示されているような、屈折光学素子と反射光学素子(凹面鏡やビームスプリッタ等)とを組み合わせたいわゆるカタディオプトリック系(反射屈折系)、あるいは反射光学素子のみから成る反射光学系が主として用いられる。本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記各米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。但し、F2レーザを用いる場合に、屈折系を用いることは可能である。
前記第3架台ST3は、投影光学系PLの下方にベースプレートBPにほぼ平行に配置された定盤としてのステージベースSBと、該ステージベースSBをベースフレーム18の底面に吊り下げ支持する4本のベース支持部材42(但し、紙面手前側に位置する2本のベース支持部材は不図示)とを有している。ステージベースSBの上面の上方に不図示の非接触ベアリング、例えば気体静圧軸受けを介して前記ウエハステージWST1,WST2が浮上支持されている。
ウエハステージWST1,WST2は、それぞれ、例えばリニアモータ等より構成されるウエハステージ駆動系70(図7参照)により駆動され、Y軸方向に連続移動するとともに、X軸方向及びY軸方向にステップ移動する。
さらに、ウエハステージWST1の内部には、ウエハW1のレベリング及びフォーカシングを行うためにウエハW1をZ軸方向、θx方向(X軸回りの回転方向)、及びθy方向(Y軸回りの回転方向)の3自由度方向に微小駆動するためのウエハテーブルTB1(図3参照)が組み込まれている。同様に、ウエハステージWST2の内部には、ウエハW2のレベリング及びフォーカシングを行うためにウエハW2をZ軸方向、θx方向及びθy方向の3自由度方向に微小駆動するためのウエハテーブルTB2(図3参照)が組み込まれている。
本実施形態では、ウエハステージWST1,WST2及びそれらの駆動系を含んで第2駆動システムとしてのウエハステージシステムが構成されている。このウエハステージシステムについては後に更に詳述する。
さらに、本実施形態では、図1に示されるように、投影光学系支持部材26に上下方向に貫通状態で形成された1対の貫通孔には、アライメント系ALG1、ALG2を構成する鏡筒がそれぞれ挿入されており、投影光学系支持部材26上面の鏡筒それぞれに対応する位置には、各アライメント系ALG1,ALG2を構成するセンサヘッドが配置されている。
さらに、投影光学系PLの周囲の投影光学系PLの中心からX軸及びY軸に対して斜め45°の位置には、ウエハW1(又はW2)の表面の露光領域(照明光ILが照射される前述したレチクルR上の照明領域と共役な領域)内部分及びその近傍の領域のZ軸方向(光軸AX方向)の位置を検出するための斜入射方式のフォーカス検出系(焦点検出系)の1つである多点フォーカス位置検出系が設けられている。この多点フォーカス位置検出系は、センサヘッド41及び鏡筒43から構成され、内部に光ファイバー束、パターン形成板、ミラー、レンズ等(いずれも不図示)を備える照射光学系160aと、内部に回転方向振動板、受光用スリット板、レンズ及び多数のフォトセンサを有する受光器等(いずれも不図示)を備える受光光学系160b(但し、受光光学系160bは鏡筒部分のみを図示)とから構成されている。
この多点フォーカス位置検出系(160a、160b)では、照射光学系160aによりウエハW1(又はW2)上のフォトレジストに対する感光性の低い、比較的広い波長帯の検出ビームがウエハW1(又はW2)に対して斜めから照射され、この検出ビームのウエハW1(又はW2)面からの反射光が受光光学系160bにより受光される。ここで受光された光(像)は、信号処理装置103(図1では不図示、図7参照)により、回転振動周波数の信号で同期検波される。そして、この信号処理装置103により同期検波して得られた多数のフォーカス信号が図7の主制御装置99に供給される。
また、投影光学系支持部材26下半部のY軸方向両側の側壁には、ウエハY軸干渉計116、118が設けられている。また、投影光学系支持部材26下半部の−X側の側壁には、ウエハステージWST1、WST2のX軸方向位置を検出するためのウエハX軸干渉計142(図1では不図示、図7参照)が設けられている。これら干渉計116,118,142では、投影光学系支持部材26の上面に配置された不図示のレーザヘッドにて発生したレーザ光を、投影光学系支持部材26内部に設けられたビームスプリッタ、ミラー等から成る不図示のリレー光学系を介して、ウエハステージWST1,WST2に向けて出射するようになっている。
なお、図示は省略されているが、ウエハY軸干渉計116,118は、投影光学系PLの光軸及びアライメント系ALG1,ALG2の光軸を通過する測長軸を有している。また、ウエハX軸干渉計142は、ウエハY軸干渉計116,118のそれぞれの測長軸と投影光学系PLの光軸にて垂直に交差する測長軸、アライメント系ALG1の光軸にて垂直に交差する測長軸、アライメント系ALG2の光軸にて垂直に交差する測長軸を有している。これにより、投影光学系PLを用いた露光時、及びアライメント系ALG1又はALG2を用いたウエハアライメント時のいずれのときにおいても、いわゆるアッベ誤差なくウエハステージWST1、WST2の位置を計測できるようになっている。
本実施形態の露光装置10では、照明光ILのもとで、レチクルRの照明領域内のパターンの像が、投影光学系PLを介して投影倍率β(βは、1/4倍又は1/5倍等)で表面にレジストが塗布されたウエハW1(又はW2)上の矩形スリット状の露光領域に投影される。この状態でレチクルRとウエハW1(又はW2)とを同期して所定の走査方向(Y軸方向)に移動することで、ウエハW1(又はW2)上の一つのショット領域にレチクルRのパターンが転写される。すなわち、このようにして走査露光が行われる。
図2には、レチクルステージRST及びその駆動系等を含む第1駆動システム(ステージシステム)としてのレチクルステージシステム25が斜視図にて概略的に示されている。以下、このレチクルステージシステム25について詳述する。
レチクルステージRSTは、前述の如く、レチクル微動ステージ32とレチクル粗動ステージ34とを含んで構成されており、該レチクル粗動ステージ34がY軸リニアモータ69によってY軸方向に駆動される。
前記Y軸リニアモータ69は、Y軸固定子支持板60上方に設けられたY軸固定子74と、該Y軸固定子74に沿ってY軸方向に移動するY軸可動子72とを備えている。
前記Y軸固定子74は、Y軸方向に長手方向を有し+X側の面に所定深さの凹溝が形成された断面U字状(コ字状)の固定子ヨーク104と、該固定子ヨーク104の長手方向両端部にそれぞれ固着されたブロック状の部材106A、106Bとを備えている。固定子ヨーク104の内部空間における一対の対向面(上下対向面)には、N極永久磁石とS極永久磁石がY軸方向に沿って所定の間隔で交互に配置されている。この場合、相互に対向する磁石同士は、相互に異なる(すなわち1対のN極永久磁石とS極永久磁石とが各位置で相互に対向している)。ここで、N極永久磁石、S極永久磁石とは、Y軸可動子72に対向する側の面がそれぞれN磁極面、S磁極面である永久磁石を指す。従って、このY軸固定子74の空隙内ではY軸方向に沿って所定周期の交番磁界が発生している。
前記固定子ヨーク104の長手方向両端部の下面側には、一対の気体静圧軸受け76a、76bがそれぞれ設けられている。これら気体静圧軸受け76a,76bの軸受け面は、Y軸固定子支持板60の上面に形成された固定子の移動面としてのガイド面(以下、「第2レチクルガイド面」と呼ぶ)60aに対向している。気体静圧軸受け76a,76bは、該第2レチクルガイド面60aに向けて加圧気体、例えば加圧空気をそれぞれ噴出し、その加圧気体の静圧と、Y軸固定子74の自重とのバランスにより、Y軸固定子74が第2レチクルガイド面60aの上方に数μm程度のクリアランスを介して浮上支持されている。
また、Y軸固定子74は、Y軸固定子支持板60の上面のY軸方向両端部に固定された枠体94A,枠体94Bに、Y軸方向両端部のブロック状の部材106A,106Bがそれぞれ挿入された状態で非接触にて保持されている。すなわち、枠体94A,94BのX軸方向両内面には不図示の気体静圧軸受けがそれぞれ設けられており、これらの気体静圧軸受けから部材106A,106BのX軸方向の両側面に向けて噴出される加圧気体の静圧同士のバランスにより、部材106A,106Bが枠体94A,94Bとの間にX軸方向に数μmのクリアランスを介してそれぞれ保持されている。なお、Y軸固定子74は、Z軸方向に関して、気体静圧軸受け76a,76bにより、Y軸固定子支持板60の第2レチクルガイド面60aに対してのみならず、枠体94A,94Bに対しても数μmの間隔をあけて非接触で保持されている。このように、Y軸固定子74は、X軸方向及びZ軸方向の両方向について非接触で拘束されている。
ところで、図2からも明らかなように、第2レチクルガイド面60aが形成されたY軸固定子支持板60を含む第1架台ST1は、レチクルステージベース30に対して振動的に独立して設けられており、第1架台ST1によってY軸固定子74を移動可能に支持する支持台が構成されている。
また、Y軸固定子74のY軸方向−端部(+Y側端部)に設けられた部材106Aの上面及び下面には、上板部材96A及び下板部材96Bがそれぞれ固定されており、また、Y軸固定子74のY軸方向他端部(−Y側端部)に設けられた部材106Bの上面及び下面には、上部ユニット保持部材98A、及び下部ユニット保持部材98Bがそれぞれ固定されている。上部ユニット保持部材98Aは、XZ断面がU字状の薄肉部材から成り、その中央の凹溝部には、電機子ユニット101Bが埋め込まれている。電機子ユニット101Bは、Y軸方向に沿って所定の間隔で配置された電機子コイルをその内部に有している。下部ユニット保持部材98Bも上部ユニット保持部材98Aと同様に構成され、同様の電機子ユニットが埋め込まれている。更に、前記枠体94Bの電機子ユニット101Bに対向する位置には、磁極ユニット101Aが設けられている。これら電機子ユニット101Bと、磁極ユニット101Aとにより、Y軸固定子74をY軸方向に駆動するY軸位置補正機構102Aが構成されている。なお、下部ユニット保持部材98B側にも同様にしてY軸位置補正機構102B(図2では不図示、図7参照)が構成されている。
この場合、Y軸固定子74のY軸方向−端部の部材106Aと上板部材96Aと下板部材96Bとを合わせた質量、他端部の部材106Bと上部ユニット保持部材98Aと電機子ユニット101Bと下部ユニット保持部材98Bと不図示の電機子ユニットとを合わせた質量とが同一に設定されている。従って、Y軸固定子74の重心位置に重力が作用するため、重心から等距離にある同一の作用を有する気体静圧軸受け76a,76bの制御を簡易に行うことができる。
このように、Y軸固定子74はX軸方向及びZ軸方向に非接触にて拘束されているが、Y軸方向には一切拘束されていない構成となっている。このため、レチクルステージRSTが後述するY軸可動子とともにY軸方向へ駆動されると、Y軸固定子74にはレチクルステージRSTの駆動方向とは反対方向の反力が発生するが、その際、Y軸固定子74は、そのY軸方向の反力に応じ、レチクルステージRSTの駆動方向とは逆のY軸方向に移動する。この場合、運動量保存則が成立し、Y軸固定子74に作用する反力がほぼ完全に吸収される。また、重心の移動に起因する偏荷重も生じない。従って、レチクルステージRSTの駆動により生じる反力に起因した振動の発生がほぼ完全に防止されるようになっている。この場合、Y軸固定子74の質量は、レチクルステージRST及びY軸可動子72を合わせた重量よりも数倍程度(例えば4倍〜6倍)重く設定されている。
なお、本実施形態では、レチクルステージRSTの駆動時に作用する反力によるY軸固定子74のY軸方向の移動量が、上述のY軸位置補正機構102A,102Bのストローク範囲から外れないように、図7の主制御装置99により、Y軸位置補正機構102A,102BのY軸方向駆動用の電機子ユニットの電機子コイルに供給される電流が制御され、Y軸固定子74は、適当なタイミングでY軸方向の原位置に復帰されるようになっている。
前記Y軸可動子72は、側面視T字状で、T字の足に相当する部分がY軸固定子74の内部空間に挿入されY軸方向に所定長さで延びる部材72aと、該部材72aのT字の足に相当する部分の内部にY軸方向に沿って所定間隔で配列された複数の電機子コイル(不図示)とを備えている。Y軸可動子72の電機子コイルに電流が供給されると、その電流と、Y軸固定子74の内部空間に発生している交番磁界との間の電磁相互作用により、Y軸可動子72をY軸方向へ駆動するローレンツ力(推力)が生じる。すなわち、Y軸固定子74とY軸可動子72とにより、ムービングコイル型のY軸リニアモータ69が構成され、このY軸リニアモータ69によりレチクルステージRSTがY軸方向に所定ストロークで駆動される。なお、Y軸リニアモータ69のY軸可動子72を構成する電機子コイルに供給される電流値(方向を含む)が図7の主制御装置99によって制御されるようになっている。
また、部材72aの−X側の面のY軸固定子74に対向する部分には、不図示の気体静圧軸受けが設けられ、Y軸可動子72のX軸方向の微小駆動及びZ軸回りの回転方向への微小駆動が可能となっている。更に、部材72aの底面にも気体静圧軸受け97が設けられ、該気体静圧軸受け97から第2レチクルガイド面60aに向けて噴出される加圧気体の静圧により、Y軸可動子72が第2レチクルガイド面60aの上方に数μm程度のクリアランスを介して浮上支持されている。ここで、気体静圧軸受け97としては、真空予圧型の気体静圧軸受けを用いることが望ましい。
前記レチクル粗動ステージ34は、平面視(上から見て)L字状の形状を有しており、Y軸可動子72の+X側の側面に接続機構33を介してレチクルステージベース30の上方に張り出した片持ち支持状態で固定されている。なお、不図示ではあるが、レチクル粗動ステージ34の底面の第1レチクルガイド面92c,92dに対向した位置には、前述した気体静圧軸受け76a,76bと同様の気体静圧軸受けが複数設けられている。
前記レチクル微動ステージ32は、平面視(上から見て)長方形状の部材から成り、そのほぼ中央部分には、照明光ILの通過路となる矩形の開口(不図示)が形成されている。この開口の周辺の上面側には、不図示のバキュームチャックが複数(例えば4つ)設けられており、これらバキュームチャックによってレチクルRが真空吸着により保持されるようになっている。
また、レチクル微動ステージ32の下面(底面)の4隅部には、前述した気体静圧軸受け76a,76bと同様の気体静圧軸受け90がそれぞれ設けられている(但し、図2における奥側の気体静圧軸受けは不図示)。これらの気体静圧軸受け90は、レチクルステージベース30上のエアガイド92A,92Bの上面である第1レチクルガイド面92c,92dに対向した位置に設けられており、該ガイド面92c,92dに向けて加圧気体(例えば加圧空気)を吹き付けることで、その加圧気体の静圧と、真空予圧力とレチクル微動ステージ32の自重との合計力とのバランスにより、ガイド面92c,92dの上方に数μm程度のクリアランスを介してレチクル微動ステージ32が浮上支持されている。
更に、レチクル微動ステージ32上面の+X側端部には、図2に示されるように、平面ミラーから成るレチクルX移動鏡64Xが固定されている。このX移動鏡64Xに対して、前記レチクルX軸干渉計66Xからの測長ビームが垂直に照射されている。また、レチクル微動ステージ32上面の+Y側端部には、一対のコーナーキューブ64Y1,64Y2が固定されており、これらのコーナーキューブ64Y1,64Y2に対して、前記レチクルY軸干渉計66Y1,66Y2からの測長ビームがそれぞれ照射されている。なお、干渉計66X、66Y1,66Y2からの測長ビームは、レチクルステージベース30上面に固定された干渉計レーザ68で発生されるレーザビームが分岐されたものである。
そして、レチクルY軸干渉計66Y1,66Y2によって、レチクル微動ステージ32のY軸方向の位置及びθz回転が、固定鏡を基準として例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出され、レチクルX軸干渉計66Xによって、レチクル微動ステージ32のX軸方向の位置が、固定鏡を基準として例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。
この場合、レチクルY軸干渉計66Y1,66Y2として、コーナーキューブ64Y1,64Y2に対して測長ビームを投射し、それぞれの反射光を受光してコーナーキューブ64Y1,64Y2のY軸方向の位置を検出する一対のダブルパス干渉計を用いているので、レチクル微動ステージ32にθz回転が存在しても、それぞれの測長ビームの投射位置のY軸方向位置を精度良く検出することができる。
前記レチクル微動ステージ32と前記レチクル粗動ステージ34との間には、3つのボイスコイルモータ71A,71B,71Cが設けられている。この内、ボイスコイルモータ71Aは、レチクル微動ステージ32の−X側端面に固定された可動子と、これに対向するレチクル粗動ステージ34の+X側の面に固定された固定子とを有し、レチクル微動ステージ32をX軸方向に微小駆動する。残りのボイスコイルモータ71B,71Cは、レチクル微動ステージ32の−Y側の端面にそれぞれ固定された可動子と、該各可動子に対向するレチクル粗動ステージ34の+Y側の面に固定された固定子とをそれぞれ有し、レチクル微動ステージ32をY軸方向及びθz方向に微小駆動する。
すなわち、上記3つのボイスコイルモータ71A〜71Cにより、レチクル微動ステージ32とレチクル粗動ステージ34との相対位置関係が高応答で調整される。
前記接続機構33は、図2に示されるように、Y軸可動子72の+X側端面にその−端が接着等により接続され、その他端がレチクル粗動ステージ34の−X側端面に固定された弾性部材67と、該弾性部材67を挟んでY軸方向の−側と他側とにそれぞれ配置され、Y軸可動子72とレチクル粗動ステージ34とを磁気的吸引力(磁力)により強固に結合する一対の電磁石ユニット73A,73Bとを備えている。
前記弾性部材67としては、板バネなどを用いることもできるが、本実施形態では、フレキシャが用いられている。以下においては、この弾性部材67を「フレキシャ67」とも呼ぶものとする。この場合、フレキシャ67は、Y軸回りの回転方向の応力(ストレス)の作用によって変形し、その応力が解放された場合に、元の状態に復帰するという特徴を有している。
前記電磁石ユニット73Aは、Y軸可動子72の+X側端面に固定された電磁石51aと、レチクル粗動ステージ34の−X側端面に固定された鉄板53aとを備えている。また、電磁石ユニット73Bも同様に構成され、電磁石51bと、鉄板53bとを備えている。これら電磁石ユニット73A,73Bにおいては、通常、電磁石51a(及び51b)に対して電流が供給されているので、電磁石51a(51b)及び鉄板53a(53b)が強固に結合されるとともに、Y軸可動子72とレチクル粗動ステージ34とが機械的に結合された状態となっている。
次に、第2駆動システム(ステージシステム)としてのウエハステージシステム100について図3〜図7に基づいて説明する。
図3には、図1に示されるウエハステージシステム100がベースプレートBP及び第3架台ST3とともに斜視図にて示されている。この図3に示されるように、ウエハステージ装置100は、全体としてベースプレートBP上方に配置されている。
ウエハステージシステム100は、前述した第3架台ST3を構成するステージベースSB上方にて非接触で支持され、独立してXY2次元方向に移動可能なウエハステージWST1,WST2、該ウエハステージWST1,WST2を駆動するウエハステージ駆動系70(図7参照)、前記ステージベースSBの周囲を取り囲むように設けられ、全体として矩形枠状の形状を有する運動量保存用カウンタウェイト(以下、単に「カウンタウェイト」と呼ぶ)27(図4参照)等を備えている。
前記ベースプレートBPは、図3に示されるように、平面視(上から見て)長方形板状の部材から成り、該ベースプレートBP上面のX軸方向−側と他側の端部近傍には、Y軸方向にそれぞれ延びる2つの凸部BPa,BPbがそれぞれ凸設されている。これら2つの凸部BPa,BPbの上面は平面度良く加工されている。これら凸部BPa、BPbのうちの−X側の凸部BPbの上面は、+X側に位置する凸部BPaの上面よりも所定高さだけ高く設定されている。
これら凸部BPa,BPbに挟まれた位置(ベースプレートBPのほぼ中央部)には、前述したステージベースSBが配置されている(実際には吊り下げ支持されている)。このステージベースSBの表面(上面)は、平面度が非常に高くなるように加工が施され、ウエハステージWST1,WST2の移動の際の基準と成る移動面としてのステージガイド面SBaとされている。
前記カウンタウェイト27は、図4の分解斜視図から明らかなように、概略矩形枠状の形状を有している。
このカウンタウェイト27は、図4に示されるように、X軸方向に所定間隔を隔てて相互に平行に配設され、それぞれY軸方向を長手方向とする断面長方形の2つの板状部材15、17と、これらの板状部材15、17の長手方向の−端部同士を連結する角柱状の連結部材56Aと、板状部材15、17の長手方向の他端部同士を連結する角柱状の連結部材56Bと、−X側の板状部材17の上面に、一体的に固定される断面略L字状のガイド支持部材107と、を備えている。この内、板状部材17とガイド支持部材107とによって、図3の側面視コ字状(U字状)の枠体35が構成される。板状部材17は、図4からもわかるように、板状部材15よりも所定量だけ薄肉に(高さが低く)形成されている。
このようにして構成されるカウンタウェイト27は、組み付け時には、ベースプレートBP上に配置されるが、この組み付けが完了した図3の状態では、板状部材15がベースプレートBPの+X側の凸部BPaの上方に配置され、板状部材17がベースプレートBPの−X側の凸部BPb上に配置される。
カウンタウェイト27の素材としては、例えばタングステンや鉛等の高密度金属が用いられる。但し、全体をこれらの高密度金属により形成する必要は必ずしもないが、少なくともガイド支持部材107部分は、タングステン等で形成することが望ましい。その理由は、カウンタウェイト27全体の重心点のZ位置を高くできるからである。
前記板状部材15、17は、図3の組み付け後の状態では、その上面がほぼ同一高さに設定されている。また、板状部材15,17の下面には、図3のA−A線断面図である図5に示されるように、複数の気体静圧軸受け84が設けられ、これらの気体静圧軸受け84によって板状部材15、17(カウンタウェイト27)がベースプレートBPの凸部BPa,BPb上面の上方に所定のクリアランスを介して浮上支持されている。
前記枠体35は、図3及び図5等から分かるように、板状部材17と、前述したガイド支持部材107とによって構成されている。ガイド支持部材107は、板状部材17上面の−X側端部にその下端面が固定された背面板39と、この背面板39によって板状部材17に平行に支持される上板37との2部分を有する。
また、上板37下面の+X側端部には、断面長方形でY軸方向に延びる棒状部材から成るガイド23Aが固定されている。このガイド23Aの下面及びX軸方向両側の端面は、それぞれ平面度が高く加工され、ガイド面23Aaとされている(図5参照)。
ガイド23Aに対向して、板状部材17上面の+X側端部には、断面長方形でY軸方向に延びる棒状部材から成るガイド23Bが固定されている。このガイド23Bの上面及びX軸方向両側の端面は、それぞれ平面度が高く加工され、ガイド面23Baとされている(図5参照)。
これらのガイド部材23A、23Bに設けられた各ガイド面は、ウエハステージWST1、WST2をそれぞれ駆動する後述するX軸リニアモータ1691の固定子89X1及びX軸リニアモータ1692の固定子89X2のY軸方向駆動の際の移動基準面となる。これらのガイド部材23A、23Bは、固定子89X1、89X2のY軸駆動の際のXガイド、Zガイド及びヨーガイドの役目を果たす。
前記一方のウエハステージWST1は、図3に示されるように、YZ断面が矩形枠状の中空部材から成るテーブル支持体581と、該テーブル支持体581上に載置されたウエハテーブルTB1とを備えている。このウエハテーブルTB1上に、不図示のウエハホルダを介してウエハW1が真空吸着又は静電吸着等により保持されている。
前記テーブル支持体581の内部には、該テーブル支持体581を一部破砕して斜視図にて示す図6から分かるように、その底面にY軸方向に所定間隔を隔てて2つのバキューム機構55C、55Dが配置されている。また、このテーブル支持体581の+Y側の側壁の内面には、X軸方向に所定間隔を隔てて2つのバキューム機構55A、55Bが固定されるとともに、これら2つのバキューム機構55A、55Bの中央に弾性部材59が配置され、該弾性部材59の+Y側の端面がテーブル支持体581の内面に接続されている。
前記弾性部材59としては、板バネなどを用いることもできるが、本実施形態では、フレキシャが用いられている。以下においてはこの弾性部材59を「フレキシャ59」とも呼ぶものとする。この場合、フレキシャ59は、X軸回りの回転方向の応力(ストレス)の作用によって変形し、その応力が解放された場合に、元の状態に復帰する。
前記テーブル支持体581の底面には、図11Aに示されるように、ステージベースSBの上面であるステージガイド面SBaに対して加圧気体、例えば加圧空気などを噴出する気体静圧軸受け811が複数設けられている。この複数の気体静圧軸受け811から噴出される加圧気体の静圧によってテーブル支持体581を含むウエハステージWST1の全体が、ステージガイド面SBaの上方に数μm程度のクリアランスを介して浮上支持されるようになっている。気体静圧軸受け811からの噴出し圧力、噴出し流量は主制御装置99(図7参照)によって制御される。
また、テーブル支持体581の内部には、図3及び図11A等に示されるように、YZ断面が矩形状の中空部材であるX軸可動子47が配置されている。このX軸可動子47の+Y側の側壁の外面に、前述したフレキシャ59の−Y側端面が接続されている。従って、このX軸可動子47は、フレキシャ59を介してテーブル支持体581に低剛性で結合されている。また、このX軸可動子47は、図11Aに示されるように、通常状態では、バキューム機構55A〜55Dを介して、テーブル支持体581と高剛性にて強固に結合される。
また、X軸可動子47には、その内部の上面にX軸方向に所定間隔で交互に配置されたN極永久磁石とS極永久磁石とを含む磁極ユニット(図示省略)が設けられている。
更に、X軸可動子47の内部空間には、図3及び図11A等に示されるように、X軸方向を長手方向とするX軸固定子89X1が挿入されている。このX軸固定子89X1のY軸方向の両端面に対してそれぞれ加圧気体を噴き出す一対の気体静圧軸受け79A,79Bが、X軸可動子47のY軸方向−側と他側の側壁の内面にそれぞれ設けられている。気体静圧軸受け79A,79BのそれぞれからX軸固定子89X1に対して噴き出される加圧気体の噴き出し圧力及び噴き出し流量が、主制御装置99(図7参照)により制御され、X軸固定子89X1と各気体静圧軸受け79A,79Bの軸受け面との隙間の調整が行われる。これにより、X軸固定子89X1に対するX軸可動子47のX軸方向の位置が所望の位置に調整されるようになっている。
前記X軸固定子89X1は、X軸方向に沿って所定間隔で配置された複数の電機子コイルを含む電機子ユニットによって構成されている。このX軸固定子89X1は、前記X軸可動子47の内部の上面に設けられた不図示の磁極ユニットとの間で電磁相互作用を行い、X軸可動子47、ひいてはウエハステージWST1をX軸方向に駆動する推力(ローレンツ力)を発生する。すなわち、X軸固定子89X1とX軸可動子47とにより、ウエハステージWST1をX軸方向に駆動するムービングマグネット型のX軸リニアモータ1691(図7参照)が構成されている。
本実施形態のX軸リニアモータ1691では、図11Aに示されるように、X軸固定子89X1の下側にはX軸固定子89X1の上側と比べ、広い空隙が確保されている。
図3に戻り、前記ウエハテーブルTB1の上面には、X軸方向の−側(−X側)の端部にY軸方向に延びる平面ミラーから成るX移動鏡40X1が設けられ、Y軸方向の−側(−Y側)の端部にX軸方向に延びる平面ミラーから成るY移動鏡40Y1が設けられている。なお、ウエハテーブルTB1の端面を鏡面加工して反射面(上記X移動鏡40X1、Y移動鏡40Y1の反射面に相当)を形成しても良い。
ウエハテーブルTB1は、テーブル支持体581の上面にZ・チルト駆動機構77A(図3では図示せず、図7参照)を介して載置され、Z・チルト駆動機構77Aによって、ウエハテーブルTB1はZ軸方向、θx方向(X軸回りの回転方向)、及びθy方向(Y軸回りの回転方向)の3自由度方向について微少駆動可能な構成となっている。Z・チルト駆動機構77Aは、例えばテーブル支持体581上面の三角形の頂点となる位置に配置され、ウエハテーブルTB1を独立してZ軸方向に駆動する3つのアクチュエータ(ボイスコイルモータなど)を含んで構成することができる。Z・チルト駆動機構77Aは、主制御装置99(図7参照)により制御される。
前記X軸固定子89X1の長手方向(X軸方向)−側と他側の端部には、図3及び図5等に示されるように、XZ断面が矩形の筒状をした一対のスライダ(Y軸可動子)86Y1,87Y1がそれぞれ設けられている。これらのスライダ86Y1,87Y1は、それぞれY軸方向に延びる角柱状の形状を有する一対のリニアガイド(Y軸固定子)88Y1,88Y2に沿って移動可能となっている。すなわち、本実施形態においては、リニアガイド88Y1とスライダ86Y1とによって、例えばムービングコイル型のリニアモータから成るY軸リニアモータ1861(図7参照)が構成され、リニアガイド87Y1とスライダ86Y2とにより、例えばムービングコイル型のリニアモータから成るY軸リニアモータ1862(図7参照)が構成されている。
一方のリニアガイド88Y1は、図3に示されるように、前述したカウンタウェイト27を構成する板状部材15の上方に配置され、その長手方向の−端部(+Y側端部)が、板状部材15の+Y側端部近傍に固定された枠体1081の内部に挿入されている。また、リニアガイド88Y1は、その長手方向の他端部(−Y側端部)が、板状部材15の−Y側端部近傍に固定された枠状構造体13Y1の内部に挿入されている。前記枠体1081及び枠状構造体13Y1それぞれの内部の底面及び両側面には、Y軸固定子88Y1に対して加圧気体を噴き出す不図示の気体静圧軸受けがそれぞれ設けられており、これらの気体静圧軸受けによりリニアガイド88Y1はX軸方向及びZ軸方向について非接触にて拘束されている。
枠状構造体13Y1は、トリムモータ113Y1(図7参照)の固定子を構成するもので、この枠状構造体13Y1とリニアガイド88Y1(電機子ユニット)とによって、リニアガイド88Y1をY軸方向に所定ストローク範囲内で駆動可能なムービングコイル型のリニアモータから成るトリムモータ113Y1が構成されている。
他方のリニアガイド88Y2は、図3に示されるように、板状部材17の上方に配設され、その大部分が前述した枠体35に覆われた状態となっている。このリニアガイド88Y2も上記リニアガイド88Y1と同様の構成を有し、板状部材17上面のY軸方向−端部及び他端部が、前述した枠体1081と同様の枠体1082(但し、図3では不図示、図4参照)、及び枠状構造体13Y2の内部にそれぞれ挿入されている。枠体1082及び枠状構造体13Y2それぞれの内部の底面及び両側面には、リニアガイド88Y2に対して加圧気体を噴き出す不図示の気体静圧軸受けがそれぞれ設けられており、これらの気体静圧軸受けによりリニアガイド88Y2はX軸方向及びZ軸方向について非接触にて拘束されている。
枠状構造体13Y2は、トリムモータ113Y2(図7参照)の固定子を構成するもので、この枠状構造体13Y2とリニアガイド88Y2(電機子ユニット)とによって、リニアガイド88Y2をY軸方向に所定ストローク範囲内で駆動可能なムービングコイル型のリニアモータから成るトリムモータ113Y2が構成されている。
前記X軸固定子89X1の下面の+X側端部近傍には、図5に示されるように、気体静圧軸受け1631が設けられている。これに対応して、板状部材15上面の−X側端部には、XZ断面が矩形の棒状部材から成るZガイド21がY軸方向に沿って延設されている。このZガイド21の上面は、平面度が非常に良好になるように加工され、X軸固定子89X1のY軸方向への移動の際の移動基準面となるガイド面21aとされている。気体静圧軸受け1631からガイド面21aに対して加圧気体が噴き付けられ、この加圧気体の静圧により、X軸固定子89X1の+X側の端部(スライダ86Y1を含む)が、浮上支持されている。
また、X軸固定子89X1の−X側端部近傍には、図3及び図5に示されるように、上下両側の面に凹溝がそれぞれ形成されており、これらの凹溝の各面には、前述したガイド23A、23Bのガイド面23Aa、23Baに対して加圧気体を噴き付ける複数の気体静圧軸受け1651がそれぞれ設けられている。これらの気体静圧軸受け1651により、X軸固定子89X1は、ガイド面23Aa,23Baに対して所定のクリアランスを介して支持され、Z軸方向、及びX軸、θz方向に非接触で拘束されている。
他方のウエハステージWST2及びその駆動系は、上述したウエハステージWST1と左右対称ではあるが、同様にして構成されている。
すなわち、ウエハステージWST2は、YZ断面が矩形枠状の中空部材から成るテーブル支持体582と、該テーブル支持体582上にZ・チルト駆動機構77B(図7参照)を介して支持されたウエハテーブルTB2とを備えている。これら各部は前述したウエハステージWST1と同様にかつ左右対称に構成されている。
テーブル支持体582の下面には、ステージガイド面SBaとの間に所定のクリアランスを介してのウエハステージWST2を浮上支持するための気体静圧軸受け812(図7参照)が設けられている。また、ウエハテーブルTB2の上面には、図3に示されるように、X移動鏡40X2及びY移動鏡40Y2が固定されている。なお、各移動鏡に代えてウエハテーブルTB2の端面を鏡面加工して反射面を形成しても良い。
テーブル支持体582の内部には、前述と同様にして、フレキシャを介してテーブル支持体581に低剛性で結合されるとともに、バキューム機構を介してテーブル支持体581と高剛性にて強固に結合されたX軸可動子49が配置されている。そして、このX軸可動子49とX軸固定子89X2との間の電磁相互作用により発生する電磁力(ローレンツ力)によりX軸可動子49に接続されたテーブル支持体582(すなわちウエハステージWST2)がX軸方向に駆動される。すなわち、X軸可動子49とY軸固定子89X2とにより、ウエハステージWST2をX軸方向に駆動する例えばムービングコイル型のX軸リニアモータ1692(図7参照)が構成されている。
X軸固定子89X2の長手方向(X軸方向)両端部にはスライダ(Y軸可動子)86Y2,87Y2が設けられており、これらスライダ86Y2,87Y2は前述したスライダと同様に、リニアガイド88Y1、88Y2それぞれに沿ってY軸方向に移動可能となっている。すなわち、スライダ86Y2とリニアガイド88Y1とによって、例えばムービングコイル型のリニアモータから成るY軸リニアモータ1863(図7参照)が構成され、スライダ87Y2とリニアガイド88Y2とによってムービングコイル型のリニアモータから成るY軸リニアモータ1864(図7参照)が構成されている。
X軸固定子89X2下面の+X側端部近傍には、前述したZガイド21上面のガイド面21aに対して気体を噴出する気体静圧軸受け1632(図7参照)が設けられている。
また、X軸固定子89X2の−X側端部近傍には、前述したX軸固定子89X1と同様に、上下両側の面に凹溝が形成されており、これらの凹溝の各面には、気体静圧軸受け1652(図7参照)が前述と同様にして設けられている。これら気体静圧軸受け1652から噴出される加圧気体の静圧により、X軸固定子89X2は、ガイド面23Aa,23Baに対して所定のクリアランスを介して支持され、Z軸方向、及びX軸、θz方向に非接触で拘束されている。
前記一方の連結部材56Aには、図3に示されるように、その上面の長手方向中央近傍にトリムモータ113X1の可動子1151が固定されており、この可動子1151はベースプレートBPに固定された固定子13X1に係合している。トリムモータ113X1としては、電磁力駆動方式のリニアモータが用いられている。トリムモータ113X1は、連結部材56A(カウンタウェイト27)をX軸方向に駆動する推力を発生する。
前記他方の連結部材56Bには、その上面の長手方向に沿って所定間隔を隔てた位置に、2つのトリムモータ113X2、113X3の可動子1152,1153がそれぞれ固定されており、これらの可動子1152,1153は、ベースプレートBPに固定された固定子13X2,13X3にそれぞれ係合している。トリムモータ113X2、113X3としても、トリムモータ113X1と同様に、電磁力駆動方式のリニアモータが用いられている。これらのトリムモータ113X2、113X3は、連結部材56B(カウンタウェイト27)をX軸方向に駆動する推力を発生する。
従って、トリムモータ113X1とトリムモータ113X2、113X3の少なくとも一方とを同時に駆動し、かつ両者の発生する推力を同一値に設定することによりカウンタウェイト27をX軸方向に駆動することができるとともに、両者の発生する推力を異ならせることにより、カウンタウェイト27をθz方向に回転させることもできる。トリムモータ113X1〜113X3は、主制御装置99によって制御される(図7参照)。
上述のようにして構成された本実施形態の露光装置10では、ウエハステージWST1が投影光学系PLの直下において露光動作を行っている間に、ウエハステージWST2側ではウエハ交換とアライメント系ALG2直下におけるウエハアライメント動作とが行われる。同様に、ウエハステージWST2が投影光学系PLの直下において露光動作を行っている間に、ウエハステージWST1側ではウエハ交換、アライメント系ALG1直下におけるウエハアライメント動作が行われる。すなわち、本実施形態の露光装置10では、このようにしてウエハステージWST1、WST2上で並行処理動作を行うことによりスループットの向上が図られている。
前記ウエハ交換では、不図示のウエハローダによって、ウエハステージWST1(又はウエハステージWST2)上に載置された露光済みのウエハのアンロード及び新たなウエハのロードが行なわれる。
また、ウエハアライメント動作では、アライメント系ALG1又はALG2を用いて例えば特開昭61−44429号公報及びこれに対応する米国特許第4,780,617号等に詳細に開示されるEGA(エンハンスト・グローバル・アライメント)方式等のウエハアライメントが実行される。本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記公報及びこれに対応する上記米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。このようなアライメントの終了後、ウエハW1(又はウエハW2)上の各ショット領域の露光のための加速開始位置にウエハステージWST1(又はウエハステージWST2)を移動させるショット間ステッピング動作と、前述した走査露光によりその露光対象のショット領域にレチクルRのパターンを転写する露光動作とを繰り返す、ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行なわれる。なお、この露光動作は、通常のスキャニング・ステッパと同様にして行われるので、詳細説明は省略する。
ところで、本実施形態の露光装置10では、前述の如く、レチクルステージRSTの駆動により生じる反力に起因した振動の発生がほぼ完全に防止されるのみならず、一方のウエハステージWST1(又はWST2)の駆動が、いずれのウエハステージに対しても殆ど悪影響を与えないようになっている。以下、この点について図3及び図5等を中心に説明する。
図5において、ウエハステージWST1がX軸リニアモータ1691によって例えば矢印A方向(+X方向)に駆動されると、X軸固定子89X1にはその方向とは反対の方向(−X方向)の反力が作用することになるが、該反力によりカウンタウェイト27全体がウエハステージWST1の移動方向とは反対の方向である矢印B方向に移動する。このカウンタウェイト27の移動は、運動量が保存されるように行われるので、その反力はカウンタウェイト27の移動によって吸収される。また、このとき、カウンタウェイト27及びウエハステージWST1を含む系の重心移動も生じないので、偏荷重も生じない。
また、ウエハステージWST1がY軸リニアモータ1861、1862により、図3中の矢印C方向(+Y方向)に駆動されると、その駆動力の反力がリニアガイド88Y1及び88Y2にそれぞれ作用し、これらのリニアガイド88Y1及び88Y2が図3中の矢印D方向(−Y方向)に移動する。この場合も、リニアガイド88Y1及び88Y2は、運動量保存則に従って移動するので、反力が吸収されるのみならず、偏荷重の発生も防止される。
このように、ウエハステージWST1のX軸方向、Y軸方向の駆動時の反力は全て、カウンタウェイト27、Y軸固定子88Y1,88Y2の移動により、キャンセルされるとともに、偏荷重の発生も防止されるので、ウエハステージWST1のX軸方向、Y軸方向の駆動時の反力が振動を発生させるのがほぼ確実に防止されており、いずれのウエハステージに対しても悪影響を与えることはない。
ここで、ウエハステージWST1又はウエハステージWST2が、+X方向、又は−X方向に断続的に駆動されると、カウンタウェイト27が徐々に位置ずれして移動許容範囲を超えて位置ずれ(θz回転を含む)するおそれがあるが、本実施形態では、かかる事態が生じる前に、主制御装置99(図7参照)によって、トリムモータ113X1〜113X3が制御され、カウンタウェイト27のX軸方向位置、Z軸回りの回転方向の姿勢が適宜補正されるようになっている。すなわち、このような目的で、トリムモータ113X1〜113X3が設けられている。
同様に、主制御装置99により、トリムモータ113Y1,113Y2を介してリニアガイド88Y1,88Y2のY軸方向の位置が適宜補正され、移動許容範囲を超えてリニアガイド88Y1、88Y2がY軸方向に位置ずれするのが防止されるようになっている。
また、本実施形態の露光装置10では、図5に示されるように、ベースプレートBPのカウンタウェイト27を支持する部分(凸部BPa,BPb)をウエハステージWST1,WST2の重心付近まで高くしておき、その上にカウンタウェイト27やリニアガイド88Y1,88Y2を載置することで、各部の重心を近づけ、ウエハステージWST1(又はWST2)をX軸方向に駆動する推力の作用点の少なくともZ軸方向の位置(Z位置)をウエハステージWST1(又はWST2)の重心GsのZ位置に極力一致させることとしている。このようにすることにより、重心Gsを通るY軸回りの回転モーメント(ピッチングモーメント)の発生を抑制することができ、これによりウエハステージWST1(WST2)がステージベースSBの上面のステージガイド面SBaに接触するのを回避することができる。
また、本実施形態の露光装置10では、ウエハステージWST1(又はWST2)をX軸方向に駆動する際に、X軸リニアモータ1691(又は1692)(図7参照)の固定子であるリニアガイド89X1(又は89X2)が受ける反力をキャンセルするためのカウンタウェイト27に与えられる反力の作用点の少なくともZ位置も、図5に示されるように、カウンタウェイト27の重心GcのZ位置と一致させている。かかる構成を実現するために、前述した手法により、カウンタウェイト27全体の重心点のZ位置を高くしているのである。これにより、カウンタウェイト27の重心Gcを通るY軸回りの回転モーメント(ピッチングモーメント)の発生を抑制することができるので、カウンタウェイト27とベースプレートBP(凸部BPa(又はBPb))との接触が回避され、カウンタウェイト27の振動、ひいてはウエハステージWST1、WST2の振動を抑制することができる。
また、ウエハステージWST1(又はWST2)のY軸方向への駆動時に生じる反力がリニアガイド88Y1,88Y2に対して作用する作用点も、Y軸固定子88Y1,88Y2の重心点とZ軸方向、X軸方向に関して極力一致するような構造が採用され、更には、カウンタウェイト27の重心点Gcとトリムモータ113X1〜113X3がカウンタウェイト27に与える推力の作用点とが、Z軸方向で極力一致するような構造が採用されている。また、トリムモータ113Y1,113Y2の発生する推力の作用点についても、Y軸固定子88Y1、88Y2の重心点とZ軸方向、X軸方向の位置がほぼ一致するような構造が採用されている。
以上のように、本実施形態では、ウエハステージの駆動時に発生する力が作用する作用点と各部の重心位置とを極力一致させることにより、各部に対する回転モーメントの発生を可能な限り抑制しようとしている。
但し、このようにする場合には、機械的な微調整を各所において高精度に行わなければならないが、そのような微調整は現実問題として非常に困難である。このため、多少の回転モーメントが発生してしまうことは避けられない。本実施形態では、かかる点も考慮し、カウンタウェイト27、リニアガイド88Y1、88Y2を全てベースプレートBP上に配置し、たとえ回転モーメントが生じたとしても、振動はベースプレートBPに伝達するようにし、ステージベースSBを直接振動させることがないような構成としているのである。
また、上に掲げた各種の回転モーメントの発生原因のうちで、ステージベースSBを振動させるものとして唯一考えられるのは、ステージベースSB上に配置されたウエハステージWST1,WST2の重心とX軸リニアモータ1691,1692の駆動力の作用点との不一致がある。しかし、本実施形態の場合、ステージベースSBは、第1防振ユニット16により支持された第3架台ST3の一部を構成し、ウエハステージWST21及びWST2を駆動するウエハステージ駆動系70は、ベースプレートBP上に設けられている、換言すればステージベースSBとウエハステージWST1(又はWST2)との間には第1防振ユニット16が搭載されている。このため、例えば、回転モーメント量を正確に計測して第1防振ユニット16にオフセットを載せることにより、数μmの単位で重心と作用点の位置とを容易に一致させることができる。
なお、ウエハステージWST1(又はWST2)は、それ自体がケーブルや配管を引きずるような構成とならざるを得ないため、ステージベースSB上のウエハステージWST1,WST2それぞれの位置や、ウエハステージWST1とウエハステージWST2との位置関係に応じて重心と作用点がずれてしまう可能性がある。このため、本実施形態においては、ステージベースSB上のウエハステージWST1,WST2の位置と、ウエハステージWST1,WST2同士の位置関係に応じたマップを作成し、該マップに応じて、第1防振ユニット16に対して補正をかけることが望ましい。この場合、第1防振ユニット16に対して補正をかけるとウエハテーブルTB1,TB2の上面の高さ方向(Z軸方向,及びθx,θy方向)の位置が変化するが、ウエハテーブルTB1,TB2の高さ方向位置を多点フォーカス位置検出系(160a、160b)の計測値に基づいて、図7の主制御装置99により、Z・チルト駆動機構77A,77Bを介して制御することにより、ウエハW1,W2の上面をレチクル投影像面に対して高応答で位置合わせすることが可能である。すなわち、本実施形態では、主制御装置99によって、ウエハステージWST1,WST2の位置とウエハステージWST1,WST2の位置関係とに応じたマップ及びウエハ干渉計142、116、118の計測結果、並びに多点フォーカス位置検出系(160a、160b)の検出結果に基づいて、移動面とウエハステージWST1,WST2それぞれとの投影光学系PLの光軸方向に関する位置関係を調整する調整装置が構成されている。
図7には、本実施形態の露光装置10の制御系の構成が簡単に示されている。この制御系はワークステーション(又はマイクロコンピュータ)から成る主制御装置99を中心として構成されている。主制御装置99は、これまでに説明した各種の制御を行う他、装置全体を統括的に制御する。
次に、本実施形態の露光装置10における防振ユニットの暴走時などの対処の仕組みについて説明する。
まず、第2防振ユニット24のエアダンパなどの機械式ダンパの空気を抜いたり、あるいは第2防振ユニット24が暴走したりした場合の対処の仕組みについて、図8A〜図10Bに基づいて説明する。
図8A〜図8C及び図9A〜図9Cには、レチクルステージベース30が第2防振ユニット24の暴走等により傾いた場合の関係各部の動作の流れが、時間の経過とともに示されている。
この場合、接続機構33に関しては、図8A〜図8Cでは、電磁石ユニット73Bの状態に着目して図示され、図9A〜図9Cでは、フレキシャ67の状態に着目して図示されている。なお、図8Aと図9A、図8Bと図9B、及び図8Cと図9Cとでは、時間的(状態的)に対応した図面となっている。
図8A,図9Aには、通常の状態が示されている。この通常の状態では、レチクルステージRSTの移動面である第1レチクルガイド面92c,92dと、レチクルステージRSTをY軸方向に駆動するY軸リニアモータ69を構成するY軸可動子72のZ軸方向のガイド面である第2レチクルガイド面60aとの関係は理想的な関係にある。レチクルステージベース30とY軸固定子支持板60とが、図8A,図9Aに示されるような理想的な位置関係にある状態(各ガイド面の高さ差Δhの状態)を、以下においては「基準状態」と呼ぶものとする。
図8B,図9Bには、第2防振ユニット24に暴走等が生じた状態の図が示されている。この状態では、Y軸可動子72の角部がY軸固定子74の内面(上面)に接触しているため、更にこのまま力が加わりつづけると、Y軸リニアモータ69の損傷や、Y軸可動子72と第2レチクルガイド面60aとの接触による第2レチクルガイド面60aの損傷、その他レチクルステージシステム25の各部の損傷が引き起こされる恐れがある。なお、このような状態を以下においては「異常状態」と呼ぶものとする。
本実施形態では、このような異常状態が発生した場合、直ちに図8Cに示されるように、電磁石ユニット73Bの電磁石51bと鉄板53bとの接続、及び電磁石ユニット73Aの電磁石51aと鉄板53aとの接続が、図10A及び図10Bに示される解除装置としてのオン・オフ機構150によって解除されるようになっている。
オン・オフ機構150は、図10Aに示されるように、第1回路(電流供給回路)141と、第2回路(切り換え回路)143とを備えている。第1回路141は、電磁石ユニット73A(73B)のコイル部の−端にその−端(+端)が接続され、他端(−端)がノーマリクローズタイプの開閉接点85を介して電磁石ユニット73A(73B)のコイル部の他端に接続された電源93を有している。このため、開閉接点85が閉成している図10Aに示される通常状態では、電源93から電磁石51a(51b)に電流が供給され続け、電磁石51a(51b)の発生する磁気的吸引力により、電磁石51a(51b)及び鉄板53a(53b)が強固に結合されている。
前記第2回路143は、開閉接点85に近接して配置された電磁石83と、該電磁石83にその−端(+端)が接続された電源95と、この電源95の他端(−端)に接続されY軸リニアモータ69を構成するY軸可動子72の角部(Y軸固定子74と最も接触が早いと予測される部分)の近傍に設けられた金属線等から成る電極45と、Y軸固定子74の内部の上下面に設けられ電磁石83に接続された電極38とを備えている。ここで、開閉接点85と電磁石83とによって、電磁スイッチSWが構成されている。
この第2回路143では、前述した基準状態(図8A、図9Aの状態)では、図10Aに示されるように、電極45,38は非接触であり、第2回路143は閉じた回路となっていない。このため、第2回路143中の電磁石83には電流が供給されないので、第1回路141の開閉接点85の閉状態が維持される。すなわち、電磁スイッチSWはオンの状態を維持する。
一方、前述した異常状態(図8B,図9B)では、図10Bに示されるように、電極45と電極38とが接触する。このため、第2回路143が閉回路を構成して、電源95から第2回路143内に電流が流れ、第2回路143中に設けられた電磁石83が磁気的吸引力を発生して、開閉接点85を開成する。これにより、電磁スイッチSWがオフとなって、電源93から電磁石ユニット73A,73Bに電流が供給されなくなり、これにより鉄板53a(53b)と電磁石51a(51b)との間の強固な結合力(磁気的吸引力)がなくなり、鉄板53a(53b)と電磁石51a(51b)との接続、すなわちレチクルステージRSTとY軸可動子72との接続が解除される。
このようにしてレチクルステージRSTとY軸可動子72との接続が解除されると、Y軸可動子72に対して作用する下向きの力よりも気体静圧軸受け97の発生する上向きの力の方が大きくなるため、Y軸可動子72は図8Cに示されるように僅かに上昇する。しかしながら、この上向きの力は微小であるため、リニアモータ69の各部の損傷を引き起こすほどの力ではない。
このように、本実施形態では、第2防振ユニット24の暴走等により、レチクルステージベース30が所定量以上傾いた場合など、駆動装置としての第2防振ユニット24の少なくとも1つにより、レチクルステージベース30の一部が所定量以上Z軸方向に駆動された場合に、オン・オフ機構150により、図8Cに示されるように、Y軸可動子72とレチクルステージRSTとの強固な結合が直ちに解放されるので、リニアモータ69の損傷や、Y軸固定子支持板60上の第2レチクルガイド面60aの損傷などを防ぐことが可能となっている。この場合、オン・オフ機構150そのものが、一種のセンサとして機能する構成が採用されているので、第2防振ユニット24によるレチクルステージベース30の駆動量が所定値を超えたことを検知するセンサを特別に設ける必要もない。
ここで、図9Cに示されるようにY軸可動子72とレチクル粗動ステージ34とがフレキシャ67により接続されていることから、第2防振ユニット24が正常となり、レチクルステージベース30が基準位置に戻った場合には、その弾性力により、基準状態(図9Aに示す状態)に確実に復帰するようになっている。
なお、上では、レチクルステージベース30が傾いた場合の対処方法について説明したが、単にレチクルステージベース30が上下方向(Z軸方向)に所定値以上移動した場合にも同様の対処がなされるようになっている。
次に、駆動装置としての第1防振ユニット16のエアダンパなどの機械式ダンパの空気を抜いたり、あるいは第1防振ユニット16が暴走したりした場合の対処の仕組みについて、一方のウエハステージWST1を採り挙げて、図11A〜図12Bに基づいて説明する。
図11Aには、通常の状態(ステージベースSBが水平状態かつ理想高さにある状態(以下、「基準状態」と呼ぶ))での、テーブル支持体581、X軸固定子89X1の状態が模式的に示されている。この基準状態から、ステージベースSBの位置(傾斜を含む)が第1防振ユニット16の暴走等により変動した場合において、その変動が大きいと図11Bに示されるように、X軸固定子89X1の一部がテーブル支持体581内部のX軸可動子47の内面に接触する(以下、「異常状態」という)。このとき、これ以上力が加わらないように、本実施形態では、図11BのようにX軸固定子89X1の一部がテーブル支持体581に接触した場合には、直ちにテーブル支持体581内部のバキューム機構55A〜55Dがバキューム状態からエア噴出状態に切り換えられるようになっている。これにより、X軸可動子47とテーブル支持体581との強固な接続が図11Cのように解除される。
ここで、バキューム機構55A〜55Dをバキューム状態からエア噴出状態に切り換える解除装置としてのオン・オフ機構150’について図12A,図12Bに基づいて説明する。
このオン・オフ機構150’では、レチクルステージRSTの接続機構33に用いられた電磁石ユニット73A,73B(図2参照)の磁気的吸引力のオン・オフ機構150と同様の原理が用いられている。
すなわち、オン・オフ機構150’は、図12Aに示されるように、第1回路(電流供給回路)141’と、第2回路(切り換え回路)143’とを備えている。第1回路141’は、電磁弁91の−端にその−端(+端)が接続され、他端(−端)がノーマリクローズタイプの開閉接点85を介して電磁弁91の他端に接続された電源93を有している。電磁弁91は、バキューム機構55A〜55Dに対して、不図示の真空ポンプに接続された不図示の真空吸引路と、不図示の気体供給源に接続された給気経路とを択一的に接続する役目を有する。すなわち、電磁弁91は、電源93からの電流が供給されるオン状態のときには、真空吸引路をバキューム機構55A〜55Dに対して接続する一方、電源93からの電流が供給されないオフ状態のときには、給気経路をバキューム機構55A〜55Dに対して接続する。
このため、開閉接点85が閉成している図12Aに示される通常状態では、電源93から電磁弁91に電流が供給され続け、電磁弁がオン状態を維持して、バキューム機構55A〜55Dが発生する真空吸引力により、可動子47がテーブル支持体581に対して強固に接続されている(図11A参照)。
前記第2回路143’は、開閉接点85に近接して配置された電磁石83と、該電磁石83にその−端(+端)が接続された電源95と、この電源95の他端(−端)に接続されX軸リニアモータの固定子89X1の上面の角部(可動子47と最も接触が早いと予測される部分)の近傍に設けられた金属線等から成る電極45’と、可動子47の内部の上面の両端に設けられ電磁石83に接続された電極38’とを備えている。ここで、開閉接点85と電磁石83とによって、電磁スイッチSWが構成されている。
この第2回路143’では、前述した基準状態(図11Aの状態)では、図12Aに示されるように、電極45’,38’は非接触であり、第2回路143’は閉じた回路となっていない。このため、第2回路143’中の電磁石83には電流が供給されないので、第1回路141’の開閉接点85の閉状態が維持される。すなわち、電磁スイッチSWはオンの状態を維持する。このため、電磁弁91に電流が供給され続けるので、バキューム機構55A〜55Dではバキューム動作が維持される。
ここで、異常状態(図11Bの状態)となった場合には、図12Bに示されるように、電極45’と電極38’とが接触するので、電源95から第2回路143’に電流が供給され、第2回路143’中に設けられた電磁石83が磁気的吸引力を発生して、開閉接点85を開成する。これにより、電磁スイッチSWがオフとなって、電源93から電磁弁91に電流が供給されなくなり、電磁弁91では、バキューム機構55A〜55Dを、バキューム状態からエア噴出状態(エアフロー状態)に切り換える。これにより、図11Cに示されるようにX軸可動子47と、テーブル支持体581との間の強固な結合力による接続が解除され、弾性部材(フレキシャ)59のみで低剛性にて結合されることになる。
従って、図11Cの状態では、X軸可動子47に対してX軸固定子89X1からはさほど力が加わらないので、X軸リニアモータ1691の損傷を回避することが可能となっている。
反対に、異常状態から第1防振ユニット16が正常な状態に回復する間に、電極45’と電極38’とが離間すると、バキューム機構55A〜55Dが再びバキューム状態となり、X軸可動子47とテーブル支持体581は、元の状態(図11Aの状態)に復帰する。
また、ステージベースSBに上述したX軸回りの回転方向への傾斜が生じた場合のみならず、Y軸回りの回転方向への傾斜や、Z軸方向に沿ったテーブル支持体581の移動にも同様の対処がなされるようになっている。この場合、オン・オフ機構150’そのものが、一種のセンサとして機能する構成が採用されているので、第1防振ユニット16によるステージベースSBの駆動量が所定値を超えたことを検知するセンサを特別に設ける必要もない。
なお、オン・オフ機構150’では、ステージベースSBが上側に移動した場合には、バキューム機構55A〜55Dのバキュームをオフしても対処できない構成となっているが、前述したように、X軸固定子89X1とX軸可動子47の内部下側の面との間に比較的広い空間を確保しているので、X軸固定子89X1とX軸可動子47の内部下側の面との接触は殆ど生じることはない。
勿論、ウエハステージWST2側においても、上記と同様にして、ガイド面の損傷、及びリニアモータの損傷等を確実に回避することが可能となっている。
以上説明したように、本実施形態に係るレチクルステージシステム25によると、何らかの理由により、第2防振ユニット24によるレチクルステージベース30を含む第2架台ST2のZ軸方向の駆動量が所定値を超えた場合には、前述したオン・オフ機構150により、レチクルステージRSTとY軸可動子72との強固な接続(磁気的な接続)が解除され、フレキシャ67による緩やかな接続のみが維持される。フレキシャ67は、Y軸可動子72とレチクルステージRSTの相対変位を許容する。従って、第2防振ユニット24によるレチクルステージベース30の駆動量が所定値を超えた場合に、レチクルステージRSTに接続されたY軸可動子72とY軸固定子74とが接触し、両者間に大きな負荷がかかる前に、オン・オフ機構150によりレチクルステージRSTと可動子72との強固な接続が解除され、結果的にY軸可動子72及びY軸固定子74が損傷するのを回避できる。
また、Y軸固定子74がレチクルステージベース30に対して振動的に独立して設けられていることから、レチクルステージRSTを駆動する際にY軸固定子74に生じる反力がレチクルステージベース30等を振動させることがなく、レチクルステージベース30のガイド面92c、92dに沿って移動するレチクルステージRSTの位置制御を高精度に行うことができる。
従って、レチクルステージシステム25によると、長期に渡ってレチクルステージRSTを安定して駆動することが可能となる。
また、本実施形態に係るウエハステージシステム100によると、何らかの理由により、第1防振ユニット16によるステージベースSBを含む本体コラムBDのZ軸方向の駆動量が所定値を超えた場合には、前述したオン・オフ機構150’により、ウエハステージWST1のテーブル支持体581とX軸可動子47との強固な接続(真空吸引力による接続)が解除され、フレキシャ59による緩やかな接続のみが維持される。フレキシャ59は、X軸可動子47とテーブル支持体581を含むウエハステージWST1との相対変位を許容するので、X軸可動子47には大きな負荷(ウエハステージWST1の自重による)がかからなくなる。ウエハステージWST2側でも同様に、オン・オフ機構150’により、ウエハステージWST2のテーブル支持体582とX軸可動子49との強固な接続(真空吸引力による接続)が解除され、フレキシャ59による緩やかな接続のみが維持されるようになる。
従って、第1防振ユニット16によるステージベースSBの駆動量が所定値を超えた場合に、ウエハステージWST1に接続されたX軸可動子47とX軸固定子89X1とが接触し、両者間に大きな負荷がかかる前に、オン・オフ機構150’によりウエハステージWST1とX軸可動子47との強固な接続が解除され、結果的にX軸可動子47及びX軸固定子89X1が損傷するのを回避できる。同様に、ウエハステージWST2に接続されたX軸可動子49とX軸固定子89X2とが接触し、両者間に大きな負荷がかかる前に、オン・オフ機構150’によりウエハステージWST2とX軸可動子49との強固な接続が解除され、結果的にX軸可動子49及びX軸固定子89X2が損傷するのを回避できる。
また、Y軸固定子であるリニアガイド88Y1、88Y2は勿論、X軸可動子47、49も、ステージベースSBに対して振動的に独立して設けられていることから、ウエハステージWST1、WST2を駆動する際にリニアガイド88Y1、88Y2やX軸固定子47、49に生じる反力が、ステージベースSB等を振動させることがなく、ステージベースSBのガイド面SBaに沿って移動するウエハステージWST1、WST2の位置制御を高精度に行うことができる。
従って、ウエハステージシステム100によると、長期に渡ってウエハステージWST1、WST2を安定して駆動することが可能となる。
また、本実施形態の露光装置10によると、長期に渡ってレチクルステージRSTを安定して駆動することが可能なレチクルステージシステム25がレチクルRの駆動システムとして採用されるとともに、長期に渡ってウエハステージWST1、WST2を安定して駆動することが可能なウエハステージシステム100がウエハW1、W2の駆動システムとして採用されている。このため、レチクルR及びウエハW1、W2を長期に渡って安定して駆動することができ、レチクルRとウエハW1との重ね合わせ精度、及びレチクルRとウエハW2との重ね合わせ精度を良好に維持することができる。また、本実施形態の露光装置10では、防振ユニット16又は24の暴走などにより、レチクルステージベース30やステージベースSBが所定量以上駆動されても、レチクル側のY軸可動子72及びY軸固定子74が接触により損傷したり、ウエハ側のX軸可動子47及びX軸固定子89X1、並びにX軸可動子49及びX軸固定子89X2が損傷したりする可能性が低く、このためのメンテナンスが不要となる。従って、露光装置10のダウンタイムの低減を図ることができ、結果的に稼働率の向上が可能となる。
また、本実施形態の露光装置10では、主制御装置99を介さずに、オン・オフ機構150、150’により、前述の如く、ステージRST、WST1、WST2と各ステージを駆動するリニアモータの可動子との強固な接続を解除することとしたので、非常に高い応答性で防振ユニット16,24の暴走等の異常に対処することが可能となっている。
また、本実施形態の露光装置10では、前述した種々の構成の採用により、ウエハステージの駆動による反力を完全にキャンセルすることができるので、床剛性が低い場合でも制御精度を良好に維持することが可能となっている。
また、本実施形態の露光装置10では、オン・オフ機構150、150’によりステージRST、WST1、WST2と各ステージを駆動するリニアモータの可動子との強固な接続が解除された場合に、各ステージと可動子との間がフレキシャ等の弾性部材を介して、緩やかな接続状態が維持されるので、異常状態から基準状態(通常状態)への復帰を円滑に、かつ再現性良く行うことができる。しかしながら、本発明のステージシステムでは、弾性部材は必ずしも設ける必要がない。かかる場合であっても、前述した接続の解除による効果は同等だからである。
なお、上記実施形態では、電磁弁によりバキューム機構の吸引動作、及びエアフロー動作が制御されることとしたが、これに限らず、バキュームのみ行うことが可能な機構を有する回路と、エアフローのみを行うことが可能な機構を有する回路とを別々に有し、共通の切り換え回路により、各機構のオン・オフを交互に切り換えることとしても良い。
なお、上記実施形態では、本発明のステージシステムを、レチクルを駆動する第1駆動システム、及びウエハを駆動する第2駆動システムの両方に用いた場合について説明したが、本発明の露光装置がこれに限定されるものではなく、いずれか一方のステージシステムにのみ本発明のステージシステムを採用することとしても良いことは勿論である。
なお、上記実施形態では、レチクルステージシステム25の接続機構33として、電磁石を使用するオン・オフ機構150を採用し、ウエハステージシステム100ではオン・オフ機構としてバキューム機構を使用するオン・オフ機構150’を用いるものとしたが、これに限らず、いずれのステージシステムにいずれの方式のオン・オフ機構を解除装置として用いても良い。また、ステージ本体と可動子との接続は、磁気的接続や真空吸引力による接続以外の接続方法を採用しても勿論良く、かかる場合には、その接続の解除に好適な解除装置を用いれば良い。
なお、上記実施形態において、各所に設けられた気体静圧軸受けに代えて、いわゆるジンバルベアリングと気体静圧軸受けとを組み合わせた構造を有する軸受け装置を採用することも可能である。この場合、気体静圧軸受けの軸受け面は、ガイド面に対して所定のクリアランスを介して非接触を保つとともに、ジンバルベアリングの接続された構成部分は水平を維持することができるので、ガイド面の損傷を回避することができる。また、ジンバルベアリングを用いることにより、各部に設けられたガイドの平面度をそれほど高くしなくてもステージ等を高精度に駆動することができる。この場合、気体静圧軸受けの剛性が下がることになるが、ウエハテーブルTB1,TB2はX,Y,Z、θz,θx,θyの6自由度方向の位置・姿勢の制御が可能であることから、特に支障はない。すなわち、ウエハテーブルTB1,TB2はX,Y,θz,θx,θyの5自由度方向については、全て投影光学系支持部材26に固定されたウエハ干渉計116,118,142の結果に基づきリニアモータやZ・チルト駆動機構を構成するボイスコイルモータ等により高応答で制御され、更にZ軸方向については斜入射方式の多点AF系の出力に基づき、直接的にボイスコイルモータ等で制御される。従って、ガイド(気体静圧軸受け)の剛性が低いことによる制御への影響は最小限に抑えることが可能である。
なお、上記実施形態では、2つのウエハステージを用いて同時並行処理するダブルステージタイプのステージシステム及びこれを備える露光装置に本発明が適用された場合について説明したが、本発明の適用範囲がこれに限られるものではなく、シングルステージタイプのウエハステージシステム及びこれを採用する露光装置にも、本発明は好適に適用できることは勿論である。
また、上記実施形態では、スキャニング・ステッパに本発明が適用された場合について説明したが、これに限らずステッパ等の静止型露光装置にも本発明は適用することができる。また、露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置や、プラズマディスプレイ、有機EL、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシンあるいはDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
また、本発明の露光装置では、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、投影光学系の倍率は縮小系のみならず等倍および拡大系のいずれでも良い。
《デバイス製造方法》
次に上述した露光装置をリソグラフィ工程で使用するデバイスの製造方法の実施形態について説明する。
図13には、デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートが示されている。図13に示されるように、まず、ステップ201(設計ステップ)において、デバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップ202(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ203(ウエハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
次に、ステップ204(ウエハ処理ステップ)において、ステップ201〜ステップ203で用意したマスクとウエハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウエハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップ205(デバイス組立てステップ)において、ステップ204で処理されたウエハを用いてデバイス組立てを行う。このステップ205には、ダイシング工程、ボンディング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。
最後に、ステップ206(検査ステップ)において、ステップ205で作成されたデバイスの動作確認テスト、耐久テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
図14には、半導体デバイスにおける、上記ステップ204の詳細なフロー例が示されている。図14において、ステップ211(酸化ステップ)においてはウエハの表面を酸化させる。ステップ212(CVDステップ)においてはウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ213(電極形成ステップ)においてはウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ214(イオン打ち込みステップ)においてはウエハにイオンを打ち込む。以上のステップ211〜ステップ214それぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
ウエハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップ215(レジスト形成ステップ)において、ウエハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップ216(露光ステップ)において、上で説明した露光装置10などの本発明の露光装置及び露光方法によってマスクの回路パターンをウエハに転写する。次に、ステップ217(現像ステップ)においては露光されたウエハを現像し、ステップ218(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップ219(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
以上説明した本実施形態のデバイス製造方法を用いれば、露光工程(ステップ216)において上記実施形態の露光装置10などの本発明の露光装置が用いられるので、長期間に渡ってレチクルとウエハとの重ね合わせ精度を良好に維持して露光が行われるとともに、露光装置のダウンタイムの低減による稼働率の向上が可能となる。従って、微細パターンが形成された高集積度のマイクロデバイスの生産性(歩留まりを含む)を向上させることが可能である。
産業上の利用可能性
以上説明したように、本発明のステージシステムは、ステージ本体を安定して駆動するのに適している。また、本発明の露光装置は、感光物体上にパターンを形成するのに適している。また、本発明のデバイス製造方法は、マイクロデバイスの生産に適している。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の一実施形態に係る露光装置の構成を概略的に示す図である。
図2は、レチクルステージ装置及びその近傍を示す斜視図である。
図3は、図1のウエハステージ装置をベースプレートとともに示す斜視図である。
図4は、図3のウエハステージ装置を示す分解斜視図である。
図5は、図3のA−A線断面図である。
図6は、テーブル支持体を一部断面して示す斜視図である。
図7は、一実施形態の露光装置の制御系を示すブロック図である。
図8A〜図8Cは、レチクルステージ装置における接続機構の切り離し動作を説明するための図(その1)である。
図9A〜図9Cは、レチクルステージ装置における接続機構の切り離し動作を説明するための図(その2)である。
図10A,図10Bは、レチクルステージ装置のオン・オフ機構の構成及び作用を説明するための図である。
図11A〜図11Cは、第1防振ユニットの空気を抜いたり、第1防振ユニットが暴走したりした場合の対処の仕組みについて説明するための図である。
図12A、図12Bは、ウエハステージ装置のオン・オフ機構の構成及び作用を説明するための図である。
図13は、本発明に係るデバイス製造方法を説明するためのフローチャートである。
図14は、図13のステップ204の具体例を示すフローチャートである。
Claims (22)
- 定盤の移動面に沿って移動可能なステージ本体と;
前記ステージ本体に接続された可動子と;
前記定盤に対して振動的に独立して設けられ、前記可動子と協働して前記ステージ本体を駆動する固定子と;
前記定盤を駆動する駆動装置と;
前記駆動装置による前記定盤の駆動量が所定値を超えた際に、前記ステージ本体と前記可動子との接続を解除する解除装置と;を備えるステージシステム。 - 請求項1に記載のステージシステムにおいて、
前記駆動装置は、前記移動面とほぼ直交する方向に沿って前記定盤を駆動することを特徴とするステージシステム。 - 請求項1に記載のステージシステムにおいて、
前記ステージ本体と前記可動子とは磁気的に接続されており、
前記解除装置は、前記磁気的な接続を解除することを特徴とするステージシステム。 - 請求項1に記載のステージシステムにおいて、
前記ステージ本体と前記可動子とは真空吸引力により接続されており、
前記解除装置は、前記真空吸引力を解除することを特徴とするステージシステム。 - 請求項1に記載のステージシステムにおいて、
前記定盤に対して振動的に独立して設けられた支持台を備え、
前記固定子は前記支持台に接続されていることを特徴とするステージシステム。 - 請求項1に記載のステージシステムにおいて、
前記定盤に対して振動的に独立して設けられた支持台を備え、
前記固定子は前記支持台に移動可能に支持されていることを特徴とするステージシステム。 - 請求項6に記載のステージシステムにおいて、
前記支持台に移動可能に支持された前記固定子は、前記ステージ本体の駆動時に生じる反力の作用により、前記ステージ本体の駆動方向とは反対方向に移動することを特徴とするステージシステム。 - 請求項6に記載のステージシステムにおいて、
前記ステージ本体の移動に伴う前記固定子の位置変化を補正する位置補正機構を更に備えることを特徴とするステージシステム。 - 請求項6に記載のステージシステムにおいて、
前記固定子と可動子との協働による駆動力の作用点は前記ステージ本体の重心及び前記固定子の重心に一致し、
前記解除装置は、前記駆動装置による前記定盤の駆動により、前記定盤上の移動面と前記支持台における前記固定子の移動面との間の相対位置変位が所定値以上となる場合に、それに応答して前記ステージ本体と前記可動子との接続を解除することを特徴とするステージシステム。 - 請求項1に記載のステージシステムにおいて、
前記ステージ本体と前記可動子とは、吸引力により接続されており、
前記解除装置は、前記駆動装置による前記定盤の駆動により前記可動子と固定子とが接触した際に、これを検知して前記吸引力の発生を停止するオン・オフ機構を含むことを特徴とするステージシステム。 - 請求項1に記載のステージシステムにおいて、
前記解除装置により前記接続が解除された状態で機械的な破損を生じない程度の剛性を有するとともに、前記ステージ本体と前記可動子とを接続する弾性部材を更に備えることを特徴とするステージシステム。 - マスクに形成されたパターンを基板上に転写する露光装置であって、
前記マスクを駆動する第1駆動システムと;
前記基板を駆動する第2駆動システムと;を備え、
前記第1駆動システム及び第2駆動システムの少なくとも一方として請求項1〜11のいずれか一項に記載のステージシステムが用いられていることを特徴とする露光装置。 - エネルギビームにより感光物体を露光して所定のパターンを前記感光物体上に形成する露光装置であって、
前記感光物体を保持して第1移動面に沿って移動可能な少なくとも1つの物体ステージと;
前記物体ステージに接続された第1可動子と、該第1可動子との間の物理的な相互作用により発生する駆動力によって前記物体ステージを駆動する第1固定子とを有する第1ステージ駆動装置と;
前記第1移動面の前記第1固定子に対する相対変位により、前記第1可動子と前記第1固定子とが接触した際に、前記物体ステージと前記第1可動子との接続を解除する第1の解除装置と;を備える露光装置。 - 請求項13に記載の露光装置において、
前記物体ステージと前記第1可動子とは、吸引力により接続され、
前記第1の解除装置は、前記吸引力を解除することにより前記物体ステージと前記第1可動子との接続を解除することを特徴とする露光装置。 - 請求項13に記載の露光装置において、
前記第1移動面は前記第1固定子とは振動に関して分離された定盤上に形成されていることを特徴とする露光装置。 - 請求項13に記載の露光装置において、
前記物体ステージは複数設けられ、
前記第1ステージ駆動装置は、前記各物体ステージに吸引力により個別に接続された複数の第1可動子と、該各第1可動子との間の物理的な相互作用により前記各物体ステージを駆動する前記駆動力を発生する少なくとも1つの前記第1固定子とを有し、
前記第1の解除装置は、少なくとも1つの特定の第1可動子と対応する第1固定子とが接触した際に、前記特定の第1可動子と対応する物体ステージとの間の前記吸引力を解除することを特徴とする露光装置。 - 請求項16に記載の露光装置において、
前記パターンの原版であるマスクから射出される前記エネルギビームを前記感光物体上に投射する投影光学系と;
前記各物体ステージにて保持された感光物体の、前記投影光学系の光軸方向位置を検出するフォーカス検出系と;
前記各物体ステージの前記光軸に直交する面内の位置を計測する位置計測装置と;
前記各物体ステージの位置と前記2つの物体ステージの位置関係とに応じたマップ及び前記位置計測装置による計測結果、並びに前記フォーカス検出系の検出結果に基づいて、前記移動面と前記各物体ステージとの前記光軸方向に関する位置関係を調整する調整装置と;を更に備えることを特徴とする露光装置。 - 請求項13に記載の露光装置であって、
前記パターンの原版であるマスクを保持して第2移動面に沿って移動可能なマスクステージと;
前記マスクステージに接続された第2可動子と、該第2可動子との間の物理的な相互作用により発生する駆動力によって前記マスクステージを駆動する第2固定子とを有する第2ステージ駆動装置と;
前記第2移動面の前記第2固定子に対する相対変位により、前記第2可動子と前記第2固定子とが接触した際に、前記マスクステージと前記第2可動子との接続を解除する第2の解除装置と;を更に備える露光装置。 - 請求項18に記載の露光装置であって、
前記マスクステージと前記第2可動子とは、吸引力により接続され、
前記第2の解除装置は、前記吸引力を解除することにより前記マスクステージと前記第2可動子との接続を解除することを特徴とする露光装置。 - 請求項18に記載の露光装置において、
前記第2移動面は前記第2固定子とは振動に関して分離された定盤上に形成されていることを特徴とする露光装置。 - 前記吸引力は、真空吸引力及び磁気的吸引力のいずれかであることを特徴とする請求項14〜17、19、20のいずれか一項に記載の露光装置。
- リソグラフィ工程を含むデバイス製造方法であって、
前記リソグラフィ工程において、請求項21に記載の露光装置を用いて露光を行うことを特徴とするデバイス製造方法。
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