以下、本発明の一実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。
図1には、一実施形態に係る露光装置10の概略的な構成が示されている。この露光装置10は、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型投影露光装置、すなわちいわゆるスキャニング・ステッパである。
この露光装置10は、照明ユニットIOP、マスクとしてのレチクルRをY軸方向に所定のストロークで駆動するとともに、X軸方向、Y軸方向及びθz方向(Z軸回りの回転方向)に微少駆動するレチクルステージ装置12、投影光学系PL、基板としてのウエハWをXY平面内でXY2次元方向に駆動するウエハステージWST、及びこれらの制御系、並びに投影光学系PLなどが搭載されたボディBD等を備えている。
前記照明ユニットIOPは、光源及び照明光学系を含み、その内部に配置された視野絞り(マスクキングブレード又はレチクルブラインドとも呼ばれる)で規定される矩形又は円弧状の照明領域にエネルギビームとしての照明光ILを照射し、回路パターンが形成されたレチクルRを均一な照度で照明する。ここでは、照明光ILとしては、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)あるいはF2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光が用いられるものとする。
前記レチクルステージ装置12は、照明ユニットIOPの下方に配置されている。レチクルステージ装置12は、図1、及びレチクルステージ装置12の斜視図である図2からわかるように、照明ユニットIOPの下方に所定間隔をあけて配置された、後述する第2コラム234の天板部を構成するレチクルステージ定盤16、該レチクルステージ定盤16上方に配置されたレチクルステージRST、及び該レチクルステージRSTを取り囲む状態で、レチクルステージ定盤16上方に配置されたカウンタマス18、及びレチクルステージRSTを駆動するレチクルステージ駆動系等を備えている。
レチクルステージ定盤16は、後述する第2コラム234を構成する例えば4本の脚241(但し、図1における紙面奥側の2本の脚241は図示省略)によって略水平に支持されている。このレチクルステージ定盤16は、図2の分解斜視図である図3に示されるように、概略板状の部材から成り、そのほぼ中央には、凸部16aが形成されている。この凸部16aのほぼ中央には、照明光ILを通過させるためのX軸方向を長手方向とする矩形開口16bがZ軸方向に連通状態で形成されている。凸部16aの上面がレチクルステージRSTの移動面とされている。
前記レチクルステージRSTは、レチクルステージ定盤16の上面(移動面)の上方に例えば数μm程度のクリアランスを介して浮上支持されている。このレチクルステージRST上には、レチクルRが、例えば真空吸着(又は静電吸着)により固定されている。レチクルステージRSTは、後述するレチクルステージ駆動系により、投影光学系PLの光軸AXに垂直なXY平面内で2次元的に(X軸方向、Y軸方向及びXY平面に直交するZ軸回りの回転方向(θz方向)に)微少駆動可能であるとともに、レチクルステージ定盤16上をY軸方向に指定された走査速度で駆動可能となっている。なお、レチクルステージ装置12の詳細な構成等については後に詳述する。
前記投影光学系PLは、レチクルステージRSTの図1における下方でボディBDを構成する第1コラム232に保持されている。ここで、ボディBDの構成について説明する。
ボディBDは、クリーンルームの床面F上に設置された第1コラム232と、この第1コラム232の上面に設置された第2コラム234とを備えている。第1コラム232は、4本の脚部237(但し、図1における紙面奥側の2本の脚部237は図示省略)と、これらの脚部237の上端面がその下端面にそれぞれ接続されるとともに、第1コラム232の天井を構成する鏡筒定盤238とを備えている。
各脚部237のそれぞれは、床面に設置された支柱240と、この支柱240の上部に設けられた防振ユニット239とを備えている。各防振ユニット239によって、床面Fからの微振動がマイクロGレベルで絶縁され、鏡筒定盤238に殆ど伝達されないようになっている。鏡筒定盤238は、そのほぼ中央部に、不図示の円形開口が形成され、この開口内に投影光学系PLがその光軸AX方向をZ軸方向として上方から挿入されている。
投影光学系PLの鏡筒の高さ方向のほぼ中央部には、フランジFLGが設けられ、該フランジFLGを介して投影光学系PLが鏡筒定盤238によって支持されている。鏡筒定盤238の上面には、投影光学系PLを取り囲む位置に、前述の4本の脚241(但し、図1における紙面奥側の2本の脚241は図示省略)の下端が固定されており、これらの脚241の上部に前述のレチクルステージ定盤16が載置され、水平に支持されている。すなわち、レチクルステージ定盤16とこれを支持する4本の脚241とによって第2コラム234が構成されている。
前記投影光学系PLとしては、ここでは両側テレセントリックな縮小系、かつ共通のZ軸方向の光軸を有する複数枚のレンズエレメントから成る屈折光学系が用いられている。この投影光学系PLの投影倍率βは、例えば1/4あるいは1/5である。このため、前述の如く、照明ユニットIOPからの照明光ILによりレチクルRが照明されると、レチクルRに形成された前述の照明領域内の回路パターンが投影光学系PLによりウエハW上の照明領域と共役な照明光ILの照射領域(露光領域)に縮小投影され、回路パターンの縮小像(部分等立像)が転写形成される。
前記ウエハステージWSTは、ウエハホルダ25を介してウエハWを真空吸着等により保持し、例えばリニアモータ等を含む不図示のウエハ駆動系によって、ステージベースBSの上面に沿ってXY2次元方向に自在に駆動されるようになっている。ステージベースBSは、複数の防振ユニット86を介してほぼ水平に支持されており、防振ユニット86によって、床面FからステージベースBSに伝達される微振動(暗振動)が例えばマイクロGレベルで絶縁されるようになっている。なお、この防振ユニット86として、ステージベースBSの一部に取り付けられた半導体加速度計等の振動センサの出力に基づいてステージベースBSを積極的に制振するいわゆるアクティブ防振装置を用いることも可能である。
前記ウエハホルダ25の−Y側の端部には、平面鏡から成るY移動鏡56YがX軸方向に延設されている。このY移動鏡56Yにほぼ垂直にY軸レーザ干渉計57Yからの測長ビームが投射され、その反射光がY軸レーザ干渉計57Y内部のディテクタによって受光され、Y軸レーザ干渉計57Y内部の参照鏡の位置を基準としてY移動鏡56Yの位置、すなわちウエハWのY位置が検出される。
同様に、図示は省略されているが、ウエハホルダ25の+X側の端部には、平面鏡から成るX移動鏡がY軸方向に延設されている。そして、このX移動鏡を介してX軸レーザ干渉計によって上記と同様にしてX移動鏡の位置、すなわちウエハWのX位置が検出される。上記2つのレーザ干渉計の検出値(計測値)は主制御装置70に供給され、主制御装置70では、上記2つのレーザ干渉計の検出値をモニタしつつウエハ駆動系を介してウエハステージWSTの位置制御を行うようになっている。
次にレチクルステージ装置12について詳細に説明する。
前記レチクルステージRSTは、図4(A)に示されるような特殊な形状のレチクルステージ本体22及び該レチクルステージ本体22に固定された各種磁極ユニット(これについては後述する)等を備えている。
レチクルステージ本体22は、平面視(上方から見て)概略矩形の板状部24Aと、該板状部24Aの−X端部に設けられたミラー部24Bと、板状部24AのY軸方向の一側及び他側の端部からそれぞれY軸方向に突設された各一対の延設部24C1,24C2,24D1,24D2とを備えている。
前記板状部24Aには、ほぼ中央部に照明光ILの通路となる開口がその中央(内部底面)に形成された段付き開口22aが形成され、該段付き開口22aの段部(1段掘り下げられた部分)には、レチクルRを下側から複数点(例えば3点)で支持する複数(例えば3つ)のレチクル支持部材34が設けられている。
本実施形態では、レチクルRは、そのパターン面(下面)が、レチクルステージ本体22(レチクルステージRST)の中立面CTに略一致する状態で、複数の支持部材34によって支持されるようになっている。すなわち、レチクルRの載置面は、レチクルステージRSTの中立面CTにほぼ一致している(図4(B)参照)。
また、各レチクル支持部材34にそれぞれ対応して、板状部24Aのレチクル支持部材34近傍部分には、複数(例えば3つ)のレチクル固定機構36が設けられている。各レチクル固定機構36は、XZ断面がL字状の形状を有し、L字の角部に設けられた軸を中心として起伏回動自在に板状部24Aに取り付けられた固定部材をそれぞれ備えている。各固定部材は、レチクルRがレチクル支持部材34上に載置された際に、図1の主制御装置70により駆動される不図示の駆動機構を介して、それぞれ所定方向に回転駆動されることで、レチクル支持部材34との間でレチクルRを狭持することにより、レチクルRを機械的に固定する。この場合、固定部材が、不図示の付勢手段によってレチクルRを支持部材34側に押圧する方向に常時付勢される構成を採用しても良い。
なお、レチクル支持部材34及びレチクル固定機構36に代えて、あるいはこれとともに、バキュームチャックや静電チャックなどの各種チャックを用いることは可能である。
前記ミラー部24Bは、図4(A)から分かるように、Y軸方向を長手方向とする概略角柱状の形状を有し、その中心部分には軽量化を図るための断面円形の空洞部CHが形成されている。このミラー部24Bの−X側の端面は鏡面加工が施された反射面とされている。
レチクルステージ本体22の板状部24Aの−Y側端部には、図4(A)に示されるように、2つの凹部24g1,24g2が形成され、該凹部24g1,24g2のそれぞれには、レトロリフレクタ321,322がそれぞれ設けられている。
前記4つの延設部24C1,24C2,24D1,24D2は、図4(A)に示されるように、概略板状の形状を有し、各延設部には強度向上のための断面三角形状の補強部が設けられている。レチクルステージ本体22の底面には、延設部24C1から延設部24D1に至るY軸方向の全域に渡る第1の気体静圧軸受が形成され、延設部24C2から延設部24D2に至るY軸方向の全域に渡る第2の気体静圧軸受が形成されている。これらの軸受として、例えば、特開2002−15985号に開示される定盤給気タイプの差動排気型気体静圧軸受が用いられる。
本実施形態では、第1、第2の差動排気型の気体静圧軸受けの表面絞り溝からレチクルステージ定盤16の上面を介して噴き付けられる加圧気体の静圧と、レチクルステージRST全体の自重とのバランスにより、レチクルステージ定盤16の上面の上方に数ミクロン程度のクリアランスを介して、レチクルステージRSTが非接触で浮上支持されるようになっている。
前記レチクルステージ駆動系は、図2に示されるように、カウンタマス18の内部に、Y軸方向にそれぞれ架設された一対の固定子ユニット36、38を含んで構成され、レチクルステージRSTをY軸方向に駆動するとともにθz方向(Z軸回りの回転方向)に微小駆動する第1駆動機構と、カウンタマス18の内部の一方の固定子ユニット38の−X側にY軸方向に架設された固定子ユニット40を含んで構成され、レチクルステージRSTをX軸方向に微小駆動する第2駆動機構と、を備えている。
前記一方の固定子ユニット36は、図3の分解斜視図に示されるように、Y軸方向を長手方向とする一対の電機子ユニットから成るY軸固定子1361,1362と、これらのY軸固定子1361,1362をY軸方向(長手方向)の一端部と他端部で保持する一対の固定部材152とを備えている。この場合、一対の固定部材152により、Y軸固定子1361,1362は、Z軸方向(上下方向)に所定間隔をあけて相互に対向してかつXY面にそれぞれ平行に保持されている。一対の固定部材152のそれぞれは、前述のカウンタマス18の内壁面に固定されている。
前記他方の固定子ユニット38も上記一方の固定子36と同様に構成されている。すなわち、固定子ユニット38は、Y軸固定子1381,1382と、一対の固定部材154とを備えており、一対の固定部材152のそれぞれは、前述のカウンタマス18の内壁面に固定されている。
Y軸固定子1361,1381と、Y軸固定子1362,1382との間には、それぞれ所定のクリアランスを介して、レチクルステージRSTが配設されている。Y軸固定子1361,1362にそれぞれ対向して、レチクルステージRSTの上面、下面には、一対の磁極ユニット261,262(図4(B)参照)がそれぞれ埋め込まれ、Y軸固定子1381,1382に対向して、レチクルステージRSTの上面、下面には、一対の磁極ユニット281,282(図4(B)参照)がそれぞれ埋め込まれている。
磁極ユニット261,262のそれぞれは、図4(B)に示されるように、前述のレチクルステージ本体22の板状部24Aの段付き開口22aの−X側に、レチクルステージ本体22の中立面CTを基準として対称に上下面側にそれぞれ形成された凹部24e1,24e2内に配置されている。
同様に、前記一対の磁極ユニット281,282のそれぞれは、図4(B)に示されるように、前述のレチクルステージ本体22の板状部24Aの段付き開口22aの+X側に、レチクルステージ本体22の中立面CTを基準として対称に上下面側にそれぞれ形成された凹部24f1,24f2内に配置されている。また、一対の磁極ユニット281,282は、段付き開口22aのX軸方向の中心位置(レチクルステージRSTの重心のX軸方向位置とほぼ一致)を通るZ軸に関して、磁極ユニット261,262とほぼ左右対称の配置となっている。
また、Y軸固定子1361,1362は、上記中立面CTを基準としてほぼ対称な位置に位置し、Y軸固定子1381,1382も同様に、中立面CTを基準としてほぼ対称な位置に位置している。
このように、磁極ユニット261と262、281と282、及びY軸固定子1361と1362、1381と1382がレチクルステージRSTの中立面CTを基準として対称に配置されていることから、Y軸固定子1361,1362,1381,1382の電機子コイルそれぞれに同一の電流を供給することにより、磁極ユニット261,262,281,282のそれぞれに同一の駆動力が与えられ、レチクルステージRSTの中立面CT(図4(B)参照)上の2箇所にY軸方向の駆動力(磁極ユニット261,262の駆動力の合力、磁極ユニット281,282の駆動力の合力)を作用させることができ、これにより、レチクルステージRSTにはピッチングモーメントが極力作用しないようになっている。
また、本実施形態では、磁極ユニット261と262、磁極ユニット281と282とは、X軸方向に関しても、レチクルステージRSTの重心近傍位置に関してほぼ対称に配置されていることから、レチクルステージRSTの重心から等距離の2箇所に上記のY軸方向の駆動力が作用するので、該2箇所に同一の力を発生させることでレチクルステージRSTの重心位置近傍にY軸方向の駆動力の合力を作用させることが可能となっている。従って、レチクルステージRSTにはヨーイングモーメントが極力作用しないようになっている。
なお、上記と反対に、左右のY軸方向の駆動力を異ならせることにより、レチクルステージRSTのヨーイングを制御することもできる。
これまでの説明から明らかなように、磁極ユニット261,262と、対応する固定子1361,1362とによりレチクルステージRSTをY軸方向に駆動する一対のY軸リニアモータが構成され、磁極ユニット281,282と、対応するY軸固定子1381,1382とによりレチクルステージRSTをY軸方向に駆動する一対のムービングマグネット型のY軸リニアモータが構成されている。なお、以下においては、これらY軸リニアモータを各Y軸リニアモータを構成する固定子と同一の符号を用いて、「Y軸リニアモータ1361,1362、1381,1382」とも記述するものとする。そして、左右各一対のY軸リニアモータ1361,1362、及び1381,1382によって、前述の第1駆動機構が構成されている。
前記固定子ユニット40は、図3に示されるように、Y軸方向を長手方向とする一対の電機子ユニット1401,1402と、これらの電機子ユニット1401,1402をY軸方向(長手方向)の一端部と他端部で保持する一対の固定部材156とを備えている。この場合、一対の固定部材156により、電機子ユニット1401,1402は、Z軸方向(上下方向)に所定間隔をあけて相互に対向してかつXY面にそれぞれ平行に保持されている。一対の固定部材156のそれぞれは、前述のカウンタマス18の内壁面に固定されている。
電機子ユニット1401,1402相互間には、それぞれ所定のクリアランスを介して、レチクルステージRSTのX軸方向の端部に固定された断面矩形(長方形)の板状の永久磁石30(図4(B)参照)が配置されている。永久磁石30に代えて、磁性体部材とその上下面にそれぞれ固定された一対の平板状の永久磁石とから成る磁極ユニットを用いても良い。
従って、永久磁石30によって形成されるZ軸方向の磁界と電機子ユニット1401,1402をそれぞれ構成する電機子コイルをY軸方向に流れる電流との間の電磁相互作用によりX軸方向の電磁力(ローレンツ力)が発生し、このローレンツ力の反力が永久磁石30(レチクルステージRST)をX軸方向に駆動する駆動力となる。
この場合、永久磁石30は、中立面CTを基準としてほぼ対称な形状であり、また、電機子ユニット1401,1402は、中立面CTを基準としてほぼ対称な配置となっていることから(図4(B)参照)、電機子ユニット1401,1402をそれぞれ構成する電機子コイルに同一の電流を供給することにより、レチクルステージRSTの中立面CT(図4(B)参照)上の位置にX軸方向の駆動力を作用させることができ、これにより、レチクルステージRSTにはローリングモーメントが極力作用しないようになっている。
上述のように、電機子ユニット1401,1402と永久磁石30とにより、レチクルステージRSTをX軸方向に微小駆動可能なムービングマグネット型のボイスコイルモータが構成されている。なお、以下においては、このボイスコイルモータを該ボイスコイルモータを構成する可動子、すなわち永久磁石の符号を用いてボイスコイルモータ30とも呼ぶものとする
図5には、前記カウンタマス18が上下反転して斜視図にて示されている。この図5に示されるように、カウンタマス18の底面の四隅それぞれには、自重キャンセラ120が2つずつ設けられている。
ここで、自重キャンセラ120について、更に詳述する。図6(A)は、自重キャンセラ120の一部を断面して示す斜視図であり、図6(B)は、自重キャンセラ120の縦断面図である。
自重キャンセラ120は、図6(A)、図6(B)を総合すると分かるように、カウンタマス18の底面に固定されるシリンダ部122と、該シリンダ部122と係合したピストン部126と、から構成される自重支持機構127と;前記ピストン部126の底面に固定された軸受を含むエアパッド部128と;を備えている。
前記シリンダ部122は、その上端面が閉塞された円筒状部分122aと、該円筒状部分122aの下端部(−Z側端部)の全周に渡って設けられたフランジ部122bとを備えている。シリンダ部122は、円筒状部分122aの上端面にてカウンタマス18の底面に固定されている。
前記ピストン部126は、円柱状のピストン124cと該ピストン124cの底面に固定された円盤状部材124aと、該円盤状部材124aの上面の外縁部に設けられた断面略L字状のリング状部材から成るストッパ部材124bとを備えている。前述したシリンダ部122は、ピストン部126のピストン124cの外周面に沿ってZ軸方向に相対移動可能とされ、シリンダ部122内部のピストン124cより上方には、空間80が形成されている(図6(B)参照)。
前記ピストン124cには、その外周に沿って、環状の溝129が形成されている。この環状の溝129には、Oリング130が設けられており、このOリング130により、空間80の気密が維持されるようになっている。
前記ストッパ部材124bは、シリンダ部122とピストン部126との係合が解除されるのを防止する役割を果たしている。
前記エアパッド部128は、ピストン部126を構成する円盤状部材124aの下面に固定されている。このエアパッド部128の底面には、溝128aが形成されている。なお、実際には、溝128aは図5に示されるように円と十字とを組み合わせた形状を有している。この溝128aには、図6(B)に示されるように、ピストン部126とエアパッド部128との中心軸近傍に上下貫通した状態で形成された貫通孔129aの一端部が形成されている。
前記空間80には、シリンダ部122の一部に形成された開口122cを介して給気管132の一端が接続されており、この給気管132の他端は、不図示の気体供給装置に接続されている。この気体供給装置から、例えば空気等の気体が給気管132を介して空間80内に供給されることにより、該空間80が、シリンダ部122の外部に比べて気圧の高い陽圧空間とされている。したがって、以下においては、空間80を「陽圧空間80」とも呼ぶものとする。
上記のように構成される自重キャンセラ120では、その上端部でカウンタマス18を支持した際に、その自重は、自重支持機構127の陽圧空間80の陽圧により支持される(カウンタマス18が陽圧により低剛性で支持される)。また、空間80が陽圧空間とされることにより貫通孔129a内には下向きのガスの流れが生じる。このガスは、貫通孔129aの下端部から噴出され、溝128a内に外側に向かうガスの流れが生じる。そして、ガスは、溝128aの全域に行き渡り、溝の全体からレチクルステージ定盤16の上面に向けて噴出される。これにより、エアパッド部128の底面とレチクルステージ定盤16の上面との間のガスの静圧(隙間内圧力)により、エアパッド部128の底面とレチクルステージ定盤16の上面との間には、所定のクリアランスが形成されるようになっている。すなわち、エアパッド部128の底面には、実質的に、一種の気体静圧軸受が形成されており、カウンタマス18及び自重キャンセラ120がレチクルステージ定盤16の上方に非接触で浮上支持されている。
本実施形態では、レチクルステージ定盤16には、図6(B)に示されるような、レーザ変位計110が3つ設けられている。このレーザ変位計110は、例えば、発光素子と位置検出素子(PSD)を一組とするものであり、発光素子から、光がカウンタマス18に向けて出力されると、その反射光を位置検出素子(PSD)で受け、位置検出素子からの出力により、カウンタマス18までの距離の変位を測定することができる。従って、3つのレーザ変位計110の測定結果を用いることにより、レチクルステージ定盤16に対するカウンタマス18のZ軸方向の位置及びXY面に対する姿勢を計測することが可能となっている。
本実施形態では、さらに、前述のカウンタマス18の+X側面及び+Y側面には、図3に示されるように、一部に凹部を有し全体的に略U字状の形状を有する磁極ユニットから成る可動子60a1,60a2,60a3が設けられている。また、前記可動子60a1,60a2,60a3それぞれの下側には、可動子60a1〜60a3と同様の形状を有するが、凹部の方向が異なる可動子61a1,61a2,61a3が設けられている。
これらの可動子60a1〜60a3,61a1〜61a3に対応して、レチクルステージ定盤16近傍に設けられた、図2に示される支持台66上には、支持部材621,622,623を介して、電機子ユニットから成る固定子60b1,60b2,60b3、及び固定子61b1,60b2,60b3が設けられている。
これらのうちの可動子60a1と固定子60b1により、ムービングマグネット型のボイスコイルモータから成るX軸方向駆動用のトリムモータTX1が構成され、可動子60a2と固定子60b2により、ムービングマグネット型のボイスコイルモータから成るX軸方向駆動用のトリムモータTX2が構成されている。また、可動子60a3と固定子62b3とによりY軸方向駆動用のトリムモータTYが構成されている。これら3つのトリムモータTX1,TX2、TYにより、カウンタマス18がX軸方向、Y軸方向、及びθz方向の3自由度方向に駆動可能となっている。
また、可動子61a1と固定子61b1、可動子61a2と固定子61b2、可動子61a3と固定子61b3により、ムービングマグネット型のZ軸方向駆動用の3つのボイスコイルモータ(以下「Zボイスコイルモータ」と呼ぶ)VZ1、VZ2、VZ3が構成されている。これら3つのZボイスコイルモータVZ1〜VZ3により、カウンタマス18がZ軸方向及びθx方向、θy方向の3自由度方向に駆動可能となっている。
前記支持台66は、平面視(上方から見て)略L字状の支持定盤69と、該支持定盤69を支持する支持柱68a〜68cとを備えている。支持台66は、図1のボディBDとは振動的に分離された状態とされている。
図3に示されるように、カウンタマス18の−X側の側壁のほぼ中央には、凹状部18aが形成されている。この凹状部18aにはカウンタマス18の内部と外部とを連通する矩形開口18bが形成されている。また、カウンタマス18の−Y側の側壁には、カウンタマス18の内部と外部とを連通する矩形開口18cが形成されている。
前記矩形開口18aの外側(−X側)には、レチクルステージRSTのミラー部24Bの反射面に対向してX軸レーザ干渉計が設けられている。このX軸レーザ干渉計からの測長ビームが矩形開口18bを介してミラー部24Bの反射面に対して投射され、その反射光が矩形開口18bを介してX軸レーザ干渉計内に戻る。これにより、Y軸レーザ干渉計は、レチクルステージRSTのX軸方向の位置を、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出する。この場合、測長ビームの光路のZ軸方向の位置は、中立面CTの位置に一致している。
前記矩形開口18cの外側(−Y側)には、レチクルステージ本体22に設けられた前述のレトロリフレクタ321,322の反射面に対向してY軸レーザ干渉計が設けられている。この場合、Y軸レーザ干渉計は、レトロリフレクタ321,322にそれぞれ対応して一対設けられている。各Y軸レーザ干渉計からの測長ビームは矩形開口18cを介してレトロリフレクタ321、322の反射面に対してそれぞれ投射され、それぞれの反射光が矩形開口18cを介して各Y軸レーザ干渉計内に戻る。これにより、X軸レーザ干渉計は、レチクルステージRSTのY軸方向の位置を、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出する。この場合、一対のY軸レーザ干渉計によって、レチクルステージRSTのZ軸回りの回転量も検出することが可能となっている。なお、測長ビームの照射点のZ軸方向の位置は、中立面CTの位置にほぼ一致している。
本実施形態では、図2に示されるように、ミラー部24Bは、Y軸リニアモータ1361,1362の外側に配置されている。このため、X軸レーザ干渉計の測長軸がY軸リニアモータ1361,1362の固定子の上方を通過することがないことから、Y軸リニアモータ1361,1362の固定子を流れる電流による発熱により、Y軸リニアモータ1361,1362近傍に空気揺らぎが発生しても、この空気揺らぎによるX軸レーザ干渉計の計測値への影響がないので、レチクルステージRST、ひいてはレチクルRのX軸方向位置を高精度で検出することが可能となる。また、この場合、前述の如く、X軸レーザ干渉計の測長ビームの光路のZ軸方向の位置は、中立面CTの位置に一致しており、レチクルRの載置面も中立面CTに一致しているので、いわゆるアッベ誤差なく、レチクルステージRST、ひいてはレチクルRのX軸方向位置を精度良く計測することができる。一対のY軸干渉計においても、同様の理由により、いわゆるアッベ誤差なく、レチクルステージRST、ひいてはレチクルRのY軸方向位置を精度良く計測することができるようになっている。
上述のように、実際には、レーザ干渉計はX軸レーザ干渉計と一対のY軸レーザ干渉計とが設けられているが、図1ではこれらが代表的にレチクル干渉計システム69として図示されている。
以下の説明においては、レチクル干渉計システム69によってレチクルステージRSTのXY面内の位置(θz回転を含む)が計測されているものとする。このレチクル干渉計システム69からのレチクルステージRSTの位置情報(又は速度情報)は図1の主制御装置70に送られ、主制御装置70では、レチクルステージRSTの位置情報(又は速度情報)に基づいてレチクルステージRSTの駆動を制御する。
上述のように構成された本実施形態の露光装置10によると、通常のスキャニング・ステッパと同様に、レチクルアライメント、不図示のアライメント系のベースライン計測、並びにEGA(エンハンスト・グローバル・アライメント)方式のウエハアライメント等の所定の準備作業が行われた後、以下のようにしてステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行なわれる。
まず、ウエハWのXY位置が、ウエハW上の最初のショット領域(ファースト・ショット)の露光のための走査開始位置(加速開始位置)となるように、ウエハステージWSTが移動される。同時に、レチクルRの位置が走査開始位置となるように、レチクルステージRSTが移動される。そして、レチクル干渉計システム69によって計測されたレチクルRの位置情報、及びウエハ側のY軸レーザ干渉計57Y及びX軸レーザ干渉計によって計測されたウエハWの位置情報に基づき、レチクルR(レチクルステージRST)とウエハW(ウエハステージWST)とを同期移動させることにより、走査露光が行なわれる。
このようにして、最初のショット領域に対するレチクルパターンの転写が終了すると、ウエハステージWSTが非走査方向(X軸方向)に1ショット領域分だけステッピングされた後、次のショット領域に対する走査露光が行なわれる。このようにして、ショット間ステッピング動作と走査露光とが順次繰り返され、ウエハW上に複数のショット領域にレチクルRのパターンが転写される。
上記の走査露光に際して、主制御装置70によりウエハステージWSTに対するレチクルステージRSTの追従制御が行われるが、この際にレチクルステージRSTの移動に伴う反力が、上記カウンタマス18の移動によりキャンセルされている。以下、この点について説明する。
すなわち、上記の追従制御にあたって、レチクルステージRSTがX軸方向に駆動される際には、前述のボイスコイルモータ30の可動子がレチクルステージRSTと一体でX軸方向に駆動され、この駆動力の反力がボイスコイルモータ30の固定子(電機子ユニット1401,1402)及び該固定子が固定されたカウンタマス18に作用することとなる。この場合、カウンタマス18は、レチクルステージ定盤16に対して所定のクリアランスを介して非接触とされているので、前記反力の作用により、カウンタマス18は、運動量保存の法則に従った距離だけその反力に応じた方向に移動する。このカウンタマス18の移動により、前記反力が吸収される。このとき、レチクルステージRSTのY軸方向の位置によっては、上記のX軸方向の駆動力の反力に起因するヨーイングモーメントがカウンタマス18に作用することがある。この場合、カウンタマス18は、そのヨーイングモーメント及びX軸方向の反力の作用によって、運動量保存の法則に従って反力を吸収するようにθz回転を伴う自由運動をする。
一方、レチクルステージRSTがウエハステージWSTとの同期をとるために、Y軸方向に駆動される際には、Y軸リニアモータ1361,1362、1381,1382の各可動子がレチクルステージRSTと一体でY軸方向に駆動され、各可動子の駆動力の反力の合力がY軸リニアモータ1361,1362、1381,1382の各固定子及びこれらが固定されたカウンタマス18に作用する。この場合も、上記反力の合力の作用により、カウンタマス18は、運動量保存の法則に従って、前記反力の合力を吸収する距離だけその反力の合力に応じた方向に移動する。
また、Y軸リニアモータ1361,1362と、Y軸リニアモータ1381,1382とが発生する駆動力(推力)を異ならせてレチクルステージRSTをθz回転させ、その際、ヨーイングモーメントがカウンタマス18に作用することがあるが、かかる場合にも、カウンタマス18は、そのヨーイングモーメント及びY軸方向の反力の作用によって、運動量保存の法則に従って反力を吸収するようにθz回転を伴う自由運動をする。
また、いずれの場合にも、カウンタマス18及びレチクルステージRSTを含む系の重心移動は生じないので、レチクルステージ定盤16には偏荷重も作用しない。
従って、本実施形態では、レチクルステージRSTの駆動時に、該レチクルステージRSTの駆動に伴って生じる反力(X軸方向及びY軸方向の反力)及び該反力によって生じるヨーイングモーメントを確実にキャンセルすることが可能となり、レチクルステージRSTの駆動に伴う振動を抑制することが可能となる。また、上述の如く偏荷重の発生をも防止できるので、これに起因するレチクルステージ定盤16の姿勢変化なども防止できる。
また、本実施形態では、上記の反力キャンセルのため、レチクルステージ定盤16上方をカウンタマス18が移動する際に、その基準位置からのずれ量が許容値を超えないように(すなわち、例えば、カウンタマス18の移動により、ボイスコイルモータ30の制御が不能とならないように)、例えば露光に影響を与えない適宜なときに、主制御装置70により前述の3つのトリムモータTX1,TX2,TYを用いてカウンタマス18を所定の基準位置に戻すようになっている。
また、本実施形態では、レチクルステージRSTの移動に伴って、Z軸方向に関する振動がY軸リニアモータ1361,1362、1381,1382及びボイスコイルモータ30に発生し、カウンタマス18に伝達することが考えられるが、本実施形態では、カウンタマス18の底面に、前述した自重キャンセラ120が設けられていることから、該自重キャンセラ120がローパスフィルタの役割を果たし、振動(特に高周波の振動)がレチクルステージ定盤16、ひいては鏡筒定盤238及び投影光学系PLに伝達するのを極力抑制することができる。
また、カウンタマス18が所定のZ位置及び姿勢を維持するため、主制御装置70では、前述したレーザ変位計110(図6(B)参照)の計測値に基づいて、ZボイスコイルモータVZ1〜VZ3を用いて、カウンタマス18のZ軸方向位置及びθx、θy方向の姿勢を制御する。すなわち、本実施形態のレーザ変位計110とZボイスコイルモータVZ1〜VZ3とにより、本発明の位置決め装置の少なくとも一部が構成されている。
この場合、トリムモータTX1,TX2、TY及びZボイスコイルモータVZ1〜VZ3がボディBDとは振動的に分離された支持台66により支持されているので、各モータの固定子に発生する振動は、床面Fに逃がされるようになっており、投影光学系PL等への振動の伝達が防止されている。
以上詳細に説明したように、本実施形態のレチクルステージ装置12によると、レチクルステージRSTのY軸方向への移動による反力により、レチクルステージRSTとは反対方向に移動するカウンタマス18が、エアパッド部128を備えており、該エアパッド部128とカウンタマス18との間に、カウンタマス18の自重を支持する自重支持機構127が設けられていることから、レチクルステージのY軸方向への移動により生じる反力がレチクルステージ定盤16の振動要因や姿勢変化の要因となるのを極力抑制することができるとともに、カウンタマス18に移動面に垂直な方向の振動が生じた場合にも、自重支持機構127によって該振動のレチクルステージ定盤16への伝達を極力抑制することができる。
また、本実施形態のレチクルステージ装置12によると、レチクルステージRSTのY軸方向への移動による反力により、レチクルステージとは反対方向に移動するカウンタマス18を備え、該カウンタマス18は、ZボイスコイルモータVZ1〜VZ3により、Z軸方向に位置決めされるので、ステージのY軸方向への移動により生じる反力がレチクルステージ定盤16の振動要因や姿勢変化の要因となるのを極力抑制することができるとともに、カウンタマス18のZ軸方向に関する位置決め及び水平面に対する傾斜方向の位置決めを行うことが可能となる。
また、本実施形態の露光装置10によると、レチクルステージRSTの移動による反力がレチクルステージ定盤16の振動要因や姿勢変化の要因となるのが極力抑制された本実施形態のレチクルステージ装置12を備えているので、高精度な露光を実現することが可能である。
この場合、本実施形態のように、レチクルステージ定盤16が鏡筒定盤238上に支持されているような場合であっても、鏡筒定盤238を介して投影光学系PLに振動が伝達することが無いので、この点からも高精度な露光を実現することが可能である。なお、カウンタマス18をレチクルステージ定盤16とは分離した支持部材により支持する場合でも、上述した自重支持機構127やZボイスコイルモータVZ1〜VZ3を適宜用いても良い。
更に、上記実施形態では、本発明のステージ装置が、レチクルを保持して移動可能なレチクルステージを備えるレチクルステージ装置に採用された場合について説明したが、本発明がこれに限られるものではなく、ウエハステージ装置に採用することも可能である。また、レチクルステージ装置とウエハステージ装置の両方に採用することも可能である。この場合のウエハステージとして、本願出願人が先に出願した特願2004−168481号明細書に記載されているウエハステージを用いても良い。
なお、上記実施形態では、自重キャンセラとして、図6(A)に示されるような、付勢手段の少なくとも一部を構成するピストン部126とシリンダ部122との組み合わせにより陽圧空間を形成する構成を採用することとしたが、本発明がこれに限られるものではなく、例えば、図7に示されるような、ベローズ112により陽圧空間が形成される構成を採用することとしても良い。このベローズ112内の陽圧空間には、ベローズ112に接続された給気管132を介して、不図示の気体供給装置から気体が供給されるようになっている。
なお、上記実施形態では、エアパッド部として、陽圧空間内の気体が流出する際の力を利用した構成を採用するものとしたが、本発明がこれに限られるものではなく、例えば、通常市販されているようなエアパッドをそのまま採用することとしても良い。この場合、エアパッドには、陽圧空間とは別の配管等を用いて気体が供給されることとなる。
なお、上記実施形態では、カウンタマス18のZ方向位置及び水平面内の傾斜方向に関する位置の計測をレーザ変位計110を用いて行うこととしたが、ステージの位置計測に用いるのと同様のレーザ干渉計やその他の種々の計測装置を採用することが可能である。
なお、上記実施形態では、カウンタマス18に自重キャンセラとZボイスコイルモータの両方が採用された場合について説明したが、これに限らず、いずれか一方が採用されるのみであっても良い。
なお、上記実施形態では、自重キャンセラ120が、カウンタマス18の底面側に8個設けられた場合について説明したが、これに限らず1個以上の自重キャンセラ120を有していれば良い。この場合、1つ以上の自重キャンセラの全支持力が、カウンタマス18の重心に作用するようにすることが望ましい。なお、1つの自重キャンセラを採用する場合にあっては、カウンタマスとして上記実施形態のような枠状部材から成るカウンタマスを採用せずに、レチクルステージRSTのY軸方向への駆動に伴ってレチクルステージRSTとは反対の方向に移動可能な棒状のカウンタマスを採用し、該棒状のカウンタマスの重心位置に1つの自重キャンセラを配置すれば良い。
また、上記実施形態では、定盤給気型の気体静圧軸受を用いることとしたが、本発明がこれに限られるものではなく、レチクルステージRSTに市販のエアパッドを設けることとしても良いし、レチクルステージRSTに上記実施形態と同様のエアパッド部と自重支持機構とを含んで構成される自重キャンセラを設けることとしても良い。
更に、レチクルステージRSTとして、Y軸方向に粗動可能なレチクル粗動ステージと該レチクル粗動ステージ上でX軸方向に微小駆動可能なレチクル微動ステージとを備える粗微動構造のレチクルステージを採用した場合に、レチクル粗動ステージ側に、上記実施形態と同様の自重キャンセラを設けることとしても良い。
なお、上記実施形態では、カウンタマス18の位置調整を行うためのトリムモータをX軸方向の位置調整用として2つ、Y軸方向の位置調整用として1つ備える場合について説明したが、本発明がこれに限られるものではなく、X軸方向の位置調整用として1つ、Y軸方向の位置調整用として2つ備えることとしても良い。また、両方向の位置調整用のトリムモータをそれぞれ2つ以上備えることとしても良い。また、本実施形態では、カウンタマス18に3つのZボイスコイルモータが設けられた場合について説明したが本発明がこれに限られるものではなく、Z軸方向にのみ駆動するのであれば、Zボイスコイルモータを1つ以上設けることとすれば良い。また、Zボイスコイルモータを4つ以上設けることとしても勿論良い。
なお、上記実施形態では、レチクルステージRSTをY軸方向に駆動する駆動機構を左右各一対のY軸リニアモータで構成し、レチクルステージRSTをX軸方向に駆動する駆動機構をボイスコイルモータで構成するものとしたが、本発明がこれに限定されないことは勿論である。
また、上記実施形態では、ミラー部24Bには空洞部CHが形成されている場合に説明したが、ミラー部24Bに中空部を形成しなくても良い。また、ミラー部24Bと板状部24Aとを一体成形とすることとして説明したが、これに限らず、別部材にて構成し、各部の間を弾性ヒンジ部にて連結することとしても良い。
また、上記実施形態においては、レチクルステージRSTを一体成形により構成するものとしたが、本発明がこれに限られるものではなく、各部を別体により構成することとしても良い。
なお、上記実施形態では、第2コラム234が鏡筒定盤238上(第1コラム232上)で支持された場合について説明したが、本発明がこれに限られるものではなく、第2コラム234を床面F上から直接支持するようにして、第1コラム232と第2コラム234とを振動的に分離することとしても良い。この場合であっても、本実施形態のレチクルステージ装置を採用することにより、レチクルステージ定盤16に振動が伝達しないので、高精度なレチクルステージRSTの駆動を実現することが可能である。
《参考例》
図8には、上記実施形態の参考例としての、レチクルステージ装置12'が斜視図にて示されている。図8のレチクルステージ装置12'は、図2のレチクルステージ装置12と異なり、カウンタマス18'の一部にダイナミックダンパ350が設けられている点に特徴を有している。なお、上記実施形態に採用された自重キャンセラ120及びZボイスコイルモータVZ1〜VZ3は設けられておらず、カウンタマス18'は例えば市販のエアパッド等によりレチクルステージ定盤16上で浮上支持されているものとする。
前記ダイナミックダンパ350は、カウンタマス18'の+X側の辺部と−X方向の辺部とに、Y軸方向に沿って複数個配置されている。各ダイナミックダンパ350は、図9に斜視図にて示されるように、基部351と、防振部材(弾性体)352a,352bと、質量体353a、353bと、を備えている。
前記基部351は、XY面を有する平板部と、Z軸方向に伸びる2つの脚部とから成る、+Y側(又は−Y側)から見て略U字状(コ字状)の形状を有し、2つの脚部がカウンタマス18'の上端面に固定されている(図8参照)。
前記防振部材352a,352bは、基部351の平板部の上下面にそれぞれ取り付けられている。防振部材352a,352bは平面視(上方から見て)矩形状でZ軸方向に比較的厚くかつその厚みが均一に形成されている。防振部材352a,352bとしては、粘性係数の比較的大きな素材、例えばゴム等を採用することができる。
前記質量体353a,353bは、防振部材352a,352bをそれぞれ介在させた状態で基部351の平板部の上下に取り付けられている。質量体353a,353bは、平面視(上方から見て)矩形状でZ方向に均一な厚みを有する板状部材で構成されている。両質量体353a,353bには双方を連結する4つのスペーサ354が架設されており、質量体353a,353bとスペーサ354とを含んで一体の質量部355が構成されている。また、基部351にはスペーサ354と干渉しないように切り欠き部351cが形成されている。
以上のように構成されるダイナミックダンパ350では、防振部材352a,352bと質量部355とから成る駆動系のZ軸方向に関する振動の固有振動数がレチクルステージRSTの駆動の際にカウンタマス18'に生じるZ軸方向に関する振動の振動数とほぼ等しくなるように設定されている。
従って、レチクルステージRSTの駆動の際にカウンタマス18'に振動が生じると、防振部材352a,352bと質量部355とから成る振動系がZ軸方向に励振され、この振動系が励振されることによってカウンタマス18'の振動エネルギがダイナミックダンパ350に吸収された状態となり、カウンタマス18'の振動エネルギが減少することにより、振動が抑制される。しかも、本参考例では、レチクルステージRSTのY軸方向の駆動範囲内に複数のダイナミックダンパ350が設けられていることから、レチクルステージRSTがY軸方向のいずれの位置で駆動されても、カウンタマス18'に生じる振動を効果的に抑制することができる。なお、ダイナミックダンパ350と前述の自重キャンセラ120やZボイスコイルモータVZ1〜VZ3とを適宜組み合わせて用いても良い。
なお、上記実施形態及び参考例では,本発明に係るステージ装置が走査型のVUV露光装置のレチクルステージ装置に適用された場合について説明したが、これに限らず、本発明に係るステージ装置は,投影光学系を用いることなくマスクと基板とを密着させてマスクパターンを基板に転写するプロキシミティタイプのアライナーのマスクステージ装置や、液晶用の一括転写方式の走査型露光装置などのマスクステージ装置あるいはプレートステージ装置などに好適に適用できる。この他、EBPS方式の電子線露光装置、波長5〜30nm程度の軟X線領域の光を露光光として用いるいわゆるEUVL等の露光装置にも本発明に係るステージ装置は適用できる。
この他、物体(試料)が載置される移動体を所定の第1軸方向に駆動可能でその第1軸方向に直交する第2軸方向及び回転方向にも微小駆動が必要な装置であれば、露光装置に限らず、その他の精密機械などにも本発明に係るステージ装置は好適に適用できる。
また、上記実施形態及び参考例では、投影光学系PLとして縮小系を用いる場合について説明したが、投影光学系は等倍系および拡大系のいずれでも良い。また、いわゆるカタディオプトリック系(反射屈折系)、あるいは反射光学素子のみから成る反射系を用いても良い。
なお、上記実施形態及び参考例では、本発明が半導体製造用の露光装置に適用された場合について説明したが、これに限らず、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子、有機EL、マイクロマシン、DNAチップなどを製造するための露光装置などにも本発明は広く適用できる。
また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
なお、例えば国際公開WO99/49504号などに開示される、投影光学系PLとウエハとの間に液体が満たされる液浸露光装置に本発明を適用しても良い。