JP2004079630A - 支持装置とその製造方法およびステージ装置並びに露光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】装置の大型化を招くことなく低剛性の空気バネとして機能させる。
【解決手段】所定圧力の気体が充填され、気体により物体PLを支持する第1気体室61と、第1気体室61を支持する支持フレーム8dとを備える。支持フレーム8d内に設けられ、第1気体室61と連通する第2気体室63を有する。
【選択図】 図6
【解決手段】所定圧力の気体が充填され、気体により物体PLを支持する第1気体室61と、第1気体室61を支持する支持フレーム8dとを備える。支持フレーム8d内に設けられ、第1気体室61と連通する第2気体室63を有する。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気体により物体を支持する気体室が支持フレームに支持される支持装置とその製造方法およびステージ装置並びに半導体集積回路や液晶ディスプレイ等の製造に用いられる露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体デバイスの製造工程の1つであるリソグラフィ工程においては、マスク又はレチクル(以下、レチクルと称する)に形成された回路パターンをレジスト(感光剤)が塗布されたウエハ又はガラスプレート等の基板上に転写する種々の露光装置が用いられている。
【0003】
例えば、半導体デバイス用の露光装置としては、近年における集積回路の高集積化に伴うパターンの最小線幅(デバイスルール)の微細化に応じて、レチクルのパターンを投影光学系を用いてウエハ上に縮小転写する縮小投影露光装置が主として用いられている。
【0004】
この縮小投影露光装置としては、レチクルのパターンをウエハ上の複数のショット領域(露光領域)に順次転写するステップ・アンド・リピート方式の静止露光型の縮小投影露光装置(いわゆるステッパ)や、このステッパを改良したもので、特開平8−166043号公報等に開示されるようなレチクルとウエハとを一次元方向に同期移動してレチクルパターンをウエハ上の各ショット領域に転写するステップ・アンド・スキャン方式の走査露光型の露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ)が知られている。
【0005】
これらの縮小投影露光装置においては、ステージ装置として、床面に先ず装置の基準になるベースプレートが設置され、その上に床振動を遮断するための防振台を介してレチクルステージ、ウエハステージおよび投影光学系(投影レンズ)等を支持する本体コラムが載置されたものが多く用いられている。最近のステージ装置では、前記防振台として、内圧が制御可能なエアマウントやボイスコイルモータ等のアクチュエータ(推力付与装置)を備え、本体コラム(メインフレーム)に取り付けられた、例えば6個の加速度計の計測値に基づいて前記ボイスコイルモータ等の推力を制御することにより本体コラムの振動を制御するアクティブ防振台が採用されている。
【0006】
図13に、エアマウントを有する支持装置の一実施例を示す。
この図に示す支持装置は、空気バネとしてのエアマウント81が支持フレーム82上に支持されている。エアマウント81には、内部空間83の圧力を検出する圧力センサ84が設けられ、圧力センサ84の検出結果に基づいてサーボバルブ85から所定圧力のエアが充填、または排気される。エアマウント81には、ダイヤフラム86により移動自在に支持されたピストン87が設けられており、内部空間83のエアによりピストン87が投影レンズやステージ等を支持する物体88を支持している。このように、物体88と支持フレーム82との間にエアマウント81が空気バネとして介装されることで、支持フレーム82から物体88を介して投影レンズやステージ等に伝わる振動を抑制している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来技術には、以下のような問題が存在する。振動抑制に関しては、空気バネの剛性が低いほど有利であるが、空気バネの剛性と容積とは反比例の関係にあるため、低剛性の空気バネを得るには大きな容積が必要となる。そこで、エアマウントの内部空間の容積を大きくしたり、エアマウントにエアタンクを付設することが考えられるが、いずれの場合も装置の大型化に直結することになり装置のフットプリント(設置面積)の制限から大きな容積を確保することは困難である。
【0008】
特に、近年においては、半導体デバイスの微細化や露光処理の高速化の要請が益々高まってきており、この要請に応えるために露光装置が設置されている工場等の床からの振動や、露光装置内のステージの動作に伴う振動を投影レンズに伝達させない方法が種々検討されているが、上述したように、露光装置内のスペースの制限から空気バネの容積を大きくするには限界があり、将来益々厳しくなる露光装置の除振性能を満たすことができなくなる虞がある。
【0009】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、装置の大型化を招くことなく低剛性の空気バネとして機能する支持装置とその製造方法およびステージ装置並びに露光装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、実施の形態を示す図1ないし図11に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明の支持装置は、所定圧力の気体が充填され、気体により物体(PL)を支持する第1気体室(61)と、第1気体室(61)を支持する支持フレーム(8d)とを備えた支持装置(24)であって、支持フレーム(8d)内に設けられ、第1気体室(61)と連通する第2気体室(63)を有することを特徴とするものである。
【0011】
従って、本発明の支持装置では、第1気体室(61)の容積に加えて第2気体室(63)の容積も空気バネの容積となるので、空気バネとしての剛性を低くすることができる。そして、この第2気体室(63)は支持フレーム(8d)内に設けられるので、第1気体室(61)の容積を大きくしたり、エアタンクを付設させる場合のように装置が大型化することを防止できる。
【0012】
また、本発明のステージ装置は、定盤(3、6)上をステージ本体(2、5)が移動するステージ装置であって、定盤(3、6)を請求項1から10のいずれか一項記載の支持装置(24)により支持することを特徴とするものである。
【0013】
従って、本発明のステージ装置では、低剛性の空気バネにより、ステージ本体(2、5)の移動による定盤(3、6)の荷重変動を支持したり、定盤(3、6)に伝わる床振動を遮断することができる。
【0014】
そして、本発明の露光装置は、マスクステージ(2)に保持されたマスク(R)のパターンを基板ステージ(5)に保持された感光基板(W)に投影光学系(PL)により露光する露光装置(1)において、マスクステージ(2)と、投影光学系(PL)と、基板ステージ(5)との少なくとも一つを、請求項1から10のいずれか一項記載の支持装置(24)により支持することを特徴とするものである。
【0015】
従って、本発明の露光装置では、低剛性の空気バネによって、マスクステージ(2)や基板ステージ(5)の移動による定盤(3、6)の荷重変動を支持したり、これら定盤(3、6)や投影光学系(PL)に伝わる床振動を遮断することができる。
【0016】
また、本発明の支持装置の製造方法は、所定圧力の気体が充填され、気体により物体を支持する第1気体室(61)と、第1気体室(61)を支持する支持フレーム(8d)とを備えた支持装置(24)の製造方法であって、空洞部(70)を有する型(71)内に第1中子(72)を設置するとともに、第1中子(72)と型(71)とに当接する第2中子(73)を設置して支持フレーム(8d)の鋳型(71)を形成するステップと、型(71)内に溶解した材料を注湯するステップと、注湯した材料を冷却した後に型(71)及び第1中子(72)及び第2中子(73)を除去して第1気体室(61)と連通可能な第2気体室(63)を形成するステップとを含むことを特徴とするものである。
【0017】
従って、本発明の支持装置の製造方法では、第1気体室(61)の容積に加えて空気バネの容積となる第2気体室(63)を支持フレーム(8d)内に形成することができるため、空気バネとしての剛性を低くすることができる。この第2気体室(63)は支持フレーム(8d)内に設けられるので、第1気体室(61)の容積を大きくしたり、エアタンクを付設させる場合のように装置が大型化することを防止できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の支持装置とその製造方法およびステージ装置並びに露光装置の実施の形態を、図1ないし図12を参照して説明する。
ここでは、例えば露光装置として、レチクルとウエハとを同期移動しつつ、レチクルに形成された半導体デバイスの回路パターンをウエハ上に転写する、スキャニング・ステッパを使用する場合の例を用いて説明する。また、この露光装置においては本発明の支持装置を、鏡筒定盤を介して投影光学系を支持する防振ユニットに適用するものとする。これらの図において、従来例として示した図13と同一の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0019】
図1に示す露光装置1は、光源(不図示)からの露光用照明光によりレチクル(マスク)R上の矩形状(あるいは円弧状)の照明領域を均一な照度で照明する照明光学系IUと、レチクルRを保持して移動するレチクルステージ(マスクステージ)2および該レチクルステージ2を支持するレチクル定盤3を含むステージ装置4と、レチクルRから射出される照明光をウエハ(基板、感光基板)W上に投影する投影光学系PLと、ウエハWを保持して移動するウエハステージ(基板ステージ)5および該ウエハステージ5を保持するウエハ定盤6を含むステージ装置7と、上記ステージ装置4および物体としての投影光学系PLを支持するリアクションフレーム8とから概略構成されている。なお、ここで投影光学系PLの光軸方向をZ方向とし、このZ方向と直交する方向でレチクルRとウエハWの同期移動方向をY方向とし、非同期移動方向をX方向とする。また、それぞれの軸周りの回転方向をθZ、θY、θXとする。
【0020】
照明光学系IUは、リアクションフレーム8の上面に固定された支持コラム9によって支持される。なお、露光用照明光としては、例えば超高圧水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、i線)およびKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)およびF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV)などが用いられる。
【0021】
リアクションフレーム8は、床面に水平に載置されたベースプレート10上に設置されており、その上部側および下部側には、内側に向けて突出する段部8aおよび8bがそれぞれ形成されている。このリアクションフレーム8は、一体物で形成されても構わないが、製造上の簡便さから上部支持フレーム8cと下部支持フレーム(支持フレーム)8dとに分割して形成した後に一体化されている。
【0022】
ステージ装置4の中、レチクル定盤3は、各コーナーにおいてリアクションフレーム8の段部8aに防振ユニット11を介してほぼ水平に支持されており(なお、紙面奥側の防振ユニットについては図示せず)、その中央部にはレチクルRに形成されたパターン像が通過する開口3aが形成されている。なお、レチクル定盤3の材料として金属やセラミックスを用いることができる。防振ユニット11は、内圧が調整可能なエアマウント12とボイスコイルモータ13とが段部8a上に直列に配置された構成になっている。これら防振ユニット11によって、ベースプレート10およびリアクションフレーム8を介してレチクル定盤3に伝わる微振動がマイクロGレベルで絶縁されるようになっている(Gは重力加速度)。
【0023】
レチクル定盤3上には、レチクルステージ2が該レチクル定盤3に沿って2次元的に移動可能に支持されている。レチクルステージ2の底面には、複数のエアベアリング(エアパッド)14が固定されており、これらのエアベアリング14によってレチクルステージ2がレチクル定盤3上に数ミクロン程度のクリアランスを介して浮上支持されている。また、レチクルステージ2の中央部には、レチクル定盤3の開口3aと連通し、レチクルRのパターン像が通過する開口2aが形成されている。
【0024】
レチクルステージ2について詳述すると、図2に示すように、レチクルステージ2は、レチクル定盤3上を一対のYリニアモータ15、15によってY軸方向に所定ストロークで駆動されるレチクル粗動ステージ16と、このレチクル粗動ステージ16上を一対のXボイスコイルモータ17Xと一対のYボイスコイルモータ17YとによってX、Y、θZ方向に微小駆動されるレチクル微動ステージ18とを備えた構成になっている(なお、図1では、これらを1つのステージとして図示している)。
【0025】
各Yリニアモータ15は、レチクル定盤3上に非接触ベアリングである複数のエアベアリング(エアパッド)19によって浮上支持されY軸方向に延びる固定子20と、この固定子20に対応して設けられ、連結部材22を介してレチクル粗動ステージ16に固定された可動子21とから構成されている。このため、運動量保存の法則により、レチクル粗動ステージ16の+Y方向の移動に応じて、固定子20は−Y方向に移動する。この固定子20の移動によりレチクル粗動ステージ16の移動に伴う反力を相殺するとともに、重心位置の変化を防ぐことができる。
【0026】
なお、固定子20は、レチクル定盤3上に代えて、リアクションフレーム8に設けてもよい。固定子20をリアクションフレーム8に設ける場合には、エアベアリング19を省略し、固定子20をリアクションフレーム8に固定して、レチクル粗動ステージ16の移動により固定子20に作用する反力をリアクションフレーム8を介して床に逃がしてもよいし、前述の運動量保存の法則を用いてもよい。
【0027】
レチクル粗動ステージ16は、レチクル定盤3の中央部に形成された上部突出部3bの上面に固定されY軸方向に延びる一対のYガイド51、51によってY軸方向に案内されるようになっている。また、レチクル粗動ステージ16は、これらYガイド51、51に対して不図示のエアベアリングによって非接触で支持されている。
【0028】
レチクル微動ステージ18には、バキュームチャック18aを介してレチクルRが吸着保持されるようになっている。レチクル微動ステージ18の−Y方向の端部には、コーナキューブからなる一対のY移動鏡52a、52bが固定され、また、レチクル微動ステージ18の+X方向の端部には、Y軸方向に延びる平面ミラーからなるX移動鏡53が固定されている。そして、これら移動鏡52a、52b、53に対して測長ビームを照射する3つのレーザ干渉計(いずれも不図示)が各移動鏡との距離を計測することにより、レチクルステージ2のX、Y、θZ(Z軸回りの回転)方向の位置が高精度に計測される。なお、レチクル微動ステージ18の材質として金属やコージェライトまたはSiCからなるセラミックスを用いることができる。
【0029】
図1に戻り、投影光学系PLとして、ここでは物体面(レチクルR)側と像面(ウエハW)側の両方がテレセントリックで円形の投影視野を有し、石英や蛍石を光学硝材とした屈折光学素子(レンズ素子)からなる1/4(または1/5)縮小倍率の屈折光学系が使用されている。このため、レチクルRに照明光が照射されると、レチクルR上の回路パターンのうち、照明光で照明された部分からの結像光束が投影光学系PLに入射し、その回路パターンの部分倒立像が投影光学系PLの像面側の円形視野の中央にスリット状に制限されて結像される。これにより、投影された回路パターンの部分倒立像は、投影光学系PLの結像面に配置されたウエハW上の複数のショット領域のうち、1つのショット領域表面のレジスト層に縮小転写される。
【0030】
投影光学系PLの鏡筒部の外周には、該鏡筒部に一体化されたフランジ23が設けられている。そして、投影光学系PLは、リアクションフレーム8の段部8bに支持装置としての防振ユニット24を介してほぼ水平に支持された鋳物等で構成された鏡筒定盤25に、光軸方向をZ方向として上方から挿入されるとともに、フランジ23が係合している。なお、鏡筒定盤25として、高剛性・低熱膨張のセラミックス材を用いてもよい。
【0031】
フランジ23の素材としては、低熱膨張の材質、例えばインバー(Inver;ニッケル36%、マンガン0.25%、および微量の炭素と他の元素を含む鉄からなる低膨張の合金)が用いられている。このフランジ23は、投影光学系PLを鏡筒定盤25に対して点と面とV溝とを介して3点で支持する、いわゆるキネマティック支持マウントを構成している。このようなキネマティック支持構造を採用すると、投影光学系PLの鏡筒定盤25に対する組み付けが容易で、しかも組み付け後の鏡筒定盤25および投影光学系PLの振動、温度変化等に起因する応力を最も効果的に軽減できるという利点がある。
【0032】
防振ユニット24は、三角形の頂点部分に配置され(なお、紙面奥側の防振ユニットについては図示せず)、内圧が調整可能なエアマウント26とボイスコイルモータ27とが段部8b上に直列に配置された構成になっている。これら防振ユニット24によって、ベースプレート10およびリアクションフレーム8を介して鏡筒定盤25(ひいては投影光学系PL)に伝わる微振動がマイクロG(Gは重力加速度)レベルで絶縁されるようになっている。なお、防振ユニット24の詳細については後述する。
【0033】
ステージ装置7は、図1から明らかなように、ステージ装置4と投影光学系PLとから分離してベースプレート10上に設けられている。ステージ装置7は、ウエハステージ5、このウエハステージ5をXY平面に沿った2次元方向に移動可能に支持するウエハ定盤6、ウエハステージ5と一体的に設けられウエハWを吸着保持する試料台ST、これらウエハステージ5および試料台STを相対移動自在に支持するXガイドバーXGを主体に構成されている。ウエハステージ5の底面には、非接触ベアリングである複数のエアベアリング(エアパッド)28が固定されており、これらのエアベアリング28によってウエハステージ5がウエハ定盤6上に、例えば数ミクロン程度のクリアランスを介して浮上支持されている。
【0034】
ウエハ定盤6は、ベースプレート10の上方に、三角形の頂点に配置された防振ユニット29(なお、紙面奥側の防振ユニットについては図示せず)を介してほぼ水平に支持されている。防振ユニット29は、内圧が調整可能なエアマウント30とウエハ定盤6に対して推力を付与するボイスコイルモータ31とがベースプレート10上に並列に配置された構成になっている。これら防振ユニット29によって、ベースプレート10を介してウエハ定盤6に伝わる微振動がマイクロGレベル(Gは重力加速度)で絶縁されるようになっている。
【0035】
ウエハステージ5の上面には、ウエハホルダ41を介してウエハWが真空吸着等によって固定される(図1参照、図3では図示略)。また、ウエハステージ5のX方向の位置は、投影光学系PLの鏡筒下端に固定された参照鏡42を基準として、ウエハステージ5の一部に固定された移動鏡43の位置変化を計測するレーザ干渉計44によって所定の分解能、例えば0.5〜1nm程度の分解能でリアルタイムに計測される。なお、上記参照鏡42、移動鏡43、レーザ干渉計44とほぼ直交するように配置された不図示の参照鏡、レーザ干渉計および移動鏡48(図3参照)によってウエハステージ5のY方向の位置が計測される。なお、これらレーザ干渉計の中、少なくとも一方は、測長軸を2軸以上有する多軸干渉計であり、これらレーザ干渉計の計測値に基づいてウエハステージ5(ひいてはウエハW)のXY位置のみならず、θ回転量あるいはこれらに加え、レベリング量をも求めることができるようになっている。
【0036】
図3に示すように、XガイドバーXGは、X方向に沿った長尺形状を呈しており、その長さ方向両端には電機子ユニットからなる可動子36、36(図3では1つのみ図示)がそれぞれ設けられている。これらの可動子36,36に対応する磁石ユニットを有する固定子37,37は、ベースプレート10に突設されたサイド定盤32、32上にエアパッド54を介して設けられている。そして、これら可動子36および固定子37によってムービングコイル型のリニアモータ33、33が構成されており、可動子36が固定子37との間の電磁気的相互作用により駆動されることで、XガイドバーXGはY方向に移動するとともに、リニアモータ33、33の駆動を調整することでθZ方向に回転移動する。
【0037】
すなわち、このリニアモータ33によってXガイドバーXGとほぼ一体的にウエハステージ5(および試料台ST、以下単にウエハステージ5と称する)がY方向およびθZ方向に駆動されるようになっている。なお、ウエハステージ5は、Y方向の移動にはガイド部材を有さないガイドレスステージとなっているが、ウエハステージ5のX方向の移動に関しても適宜ガイドレスステージとすることができる。
【0038】
固定子37、37は、ウエハ定盤6のX方向両側にウエハ定盤6とは(振動的に)独立して設けられたサイド定盤32、32上に、Y方向へのガイド機構を有するエアパッド54を介してそれぞれY方向に移動自在にそれぞれ浮揚支持されている。このため、運動量保存の法則により、ウエハステージ5の例えば+Y方向の移動に応じて、固定子37は−Y方向に移動する。換言すると、固定子37は、カウンタマスとして機能しており、その移動によりウエハステージ5の移動に伴う反力を相殺するとともに、重心位置の変化を防ぐことができる。
【0039】
なお、+X側(図3中、左側)に配置される固定子37には、XガイドバーXGや可動子36に接続されるエア用配管、冷媒用配管、電力配線および信号供給用のシステム配線等の各種用力供給ケーブル等に応力集中を発生させずに(緩和して)導くための傾斜面が形成されている(但し、図1では便宜上同形状に図示)。
【0040】
ウエハステージ5は、XガイドバーXGとの間にZ方向に所定量のギャップを維持する磁石およびアクチュエータからなる磁気ガイドを介して、XガイドバーXGにX方向に相対移動自在に非接触で支持・保持されている。また、ウエハステージ5は、XガイドバーXGに埋設された固定子35aを有するXリニアモータ35による電磁気的相互作用によりX方向に駆動される。なお、Xリニアモータの可動子は図示していないが、ウエハステージ5に取り付けられている。
【0041】
また、図4に示すように、XガイドバーXGの−X方向側には、ボイスコイルモータで構成されたXトリムモータ34の可動子34aが取り付けられている。Xトリムモータ34は、Xリニアモータ35の固定子としてのXガイドバーXGとリアクションフレーム8との間に介装されており、その固定子34bはリアクションフレーム8に設けられている。このため、ウエハステージ5をX方向に駆動する際の反力は、Xトリムモータ34によりリアクションフレーム8に伝達され、さらにリアクションフレーム8を介してベースプレート10に伝達されることで、ウエハ定盤6に振動が伝わることを防げる。なお、実際にはXトリムモータ34は、リニアモータ33を挟んだZ方向両側に配置されているが、図4では便宜上+Z側のXトリムモータ34のみ図示している。
【0042】
なお、固定子37には、ウエハステージ5の移動時の運動量に基づいて当該固定子の運動量を補正するトリムモータ(不図示)が備えられている。このトリムモータは、例えば固定子37のY側端部にY方向に沿って延設された円柱状の移動子と、移動子をY方向に駆動する固定子とからなるシャフトモータで構成される。そして、図5に示すように、ウエハステージ5がX方向及びY方向の双方に移動する場合や、XガイドバーXGの中央部から偏心した位置から移動する場合に左右の固定子37が、その推力配分によってそれぞれ異なる変位が生じたり、可動子36と固定子37とのカップリングにより、これらが相対移動した際に元の位置に止まろうとする力が作用した場合は、固定子37が移動すべき位置とは異なる位置に移動する。そのため、ウエハステージ5の移動時の運動量に基づいてトリムモータを駆動することで、固定子37が所定の位置に到達するようにその移動量(運動量)を補正することができる構成になっている。
【0043】
図6に、防振ユニット24の概略構成図を示す。防振ユニット24は、所定圧力のエア(気体)が充填され、このエア(の圧力)により鏡筒定盤25を介して投影光学系PLを支持するエアマウント26と、エアマウント26が投影光学系PLを支持するZ方向に電磁力で投影光学系PLを駆動するボイスコイルモータ(駆動装置)27とを主体に構成されている。
【0044】
エアマウント26は、下部支持フレーム8d上に支持された第1エア室(第1気体室)61と、第1エア室61に配管(接続部)62で接続されて連通する第2エア室(第2気体室)63と、第1エア室61の内部空間83のエア圧を検出する圧力センサ(検出装置)84と、内部空間83を加圧・減圧する不図示のエア圧調整装置に接続され、その加圧・減圧を切り替えるサーボバルブ85と、圧力センサ84の検出結果に基づいてサーボバルブ85を制御する制御装置80とから概略構成される。
【0045】
第1エア室61は、内部空間83のエア圧に応じて、鏡筒定盤25に垂設された架台25aを介して鏡筒定盤25(投影光学系PL)をZ方向に支持するピストン87と、第1エア室61に対してピストン87をZ方向に移動自在に支持するダイヤフラム86を備えている。
【0046】
第2エア室63は、下部支持フレーム8dに設けられた凹部63a、63aと、これら凹部63a、63a間を貫通する貫通部63bとにより形成されている。この第2エア室63は、下部支持フレーム8dに形成された導入口63d及び配管62を介して第1エア室61の内部空間83と連通している。
【0047】
ここで、下部支持フレーム8dについて説明する。
この下部支持フレーム8dは、鋳造による鋳物として、図7に示すように、枠部65a及び脚部65bからなる炬燵状に形成されたものであり、枠部65a及び脚部65bには軽量化を図るための肉抜き部(凹部)65cが強度低下を招かない範囲でそれぞれ複数形成されている。下部支持フレーム8dの材料としては、上述したインバーや、ねずみ鋳鉄(FC)、ダクタイル鋳鉄(FCD)等の鋳鉄、ステンレス等を用いることができる。
【0048】
そして、第2エア室63は、これらの肉抜き部65cの中、エアマウント26の配置に応じたものが凹部63aとして適宜選択されるとともに、第1エア室61の内部空間83の容積との比に応じた数が選択され、且つ選択された凹部63a間に貫通部63bが形成されてなるものである。
【0049】
また、下部支持フレーム8dには、鋳造成形に伴ってブローホール(いわゆる巣)が生じている可能性があるため、本実施の形態では第2エア室63として選択された凹部63a(肉抜き部65c)及び貫通部63bの表面には、ブローホールを埋めてエアの漏出を防ぐ表面処理材63eが焼き付け等の手法で塗装されている。
【0050】
ここで、エアマウント26の空気バネとしてのバネ定数Kは、次式にて表される。
K=(γ×Pa×A2)/(V+Vs) …(1)
γ:ポリトロピック指数、Pa:内圧、A:有効受圧面積
V:第1エア室容積、Vs:第2エア室容積
式(1)から明らかなように、空気バネのバネ定数Kは容積に反比例しており、大きな容積を有することで低剛性のバネとなる。また、第1エア室61の容積を一定とすると、バネ定数Kは第1エア室61の容積に対する第2エア室63の容積の比に反比例することになる。
【0051】
図8に、第1エア室61の容積に対する第2エア室63の容積比とバネ定数との関係を示す。この図から明らかなように、容積比が大きくなるに従ってバネ定数も小さくなり、空気バネとしての剛性が低くなるが、容積比が5を超えると第2エア室63の容積増加分に比べてバネ定数の減少分が微小となり剛性低下に対する効果が少なくなる。逆に、容積比が小さい範囲では、第2エア室63の容積増加分に比べてバネ定数の減少分が大きく、剛性低下に対する効果は大きいものの、容積比が1未満ではバネ定数の絶対値が大きくなり、空気バネとして許容される剛性を超えることになる。そのため、本実施の形態では、第2エア室63の容積を第1エア室61の容積の1〜5倍の範囲に設定してある。
【0052】
一方、配管62には、当該配管62におけるエアの振動を吸収する振動吸収板(振動吸収装置)66が設けられている。振動吸収板66は、図9に示すように、円板に複数の貫通孔66aが形成されてなるものである。ここで、配管62におけるエアの振動周波数fは次式で表される。
【数1】
c:音速、S:配管断面積、L:配管長さ、V:空気バネ容積
そして、振動吸収板66の貫通孔66aは、式(2)に基づいて配管62における振動のピークの周波数帯域を求め、この周波数帯域をダンピング可能な孔径に設定されることでオリフィス部として機能する。
【0053】
図6に戻り、ボイスコイルモータ27は、電磁力により投影光学系PLをZ方向に駆動するものであって、下部支持フレーム8dに突設された架台8eと鏡筒定盤25との間に、エアマウント26とは独立して、且つ並列に配設されている。
【0054】
次に、上記の下部支持フレーム8dを製造する手順を図10に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS1においては、木材や金属等を用いて下部支持フレーム8dと同等形状の模型を製作する。このとき、模型の大きさは、鋳物の収縮を考慮して多少大きめに製作することが好ましい。
【0055】
次に、ステップS2では、製作した模型の周りを砂等で詰めた後に模型を取り去ることによって、図11に示すように、模型(すなわち下部支持フレーム8d)の鋳物となる部分が空洞部70となる鋳型(型)71を造型する。
【0056】
そして、ステップS3では、鋳型71に対して肉抜き部65c(すなわち凹部63a)を形成するための中子(第1中子)72を設置するとともに、鋳造後に中子72を除去する際に用いられる孔部を形成するための中子(第2中子)73を、中子72と鋳型71とに当接させて設置する。なお、以下の説明では、複数の肉抜き部65cの中、第2エア室63として用いられるものについてのみ言及する。
【0057】
これら中子72、73は対で設置するが、鋳物としての強度を確保するために互いに所定幅の隙間をあけて配置される。そして、第2エア室63の容積設定により、第2エア室63として用いる複数の凹部63aには、貫通部63bを形成するための中子(第3中子)74を、隣り合う中子72、72間の隙間に設置する。
【0058】
一方、ステップS4では、鋳型造型と並行して(または鋳型造型後に)、鋳物となる材料(鋳鉄等)を溶解し、ステップS5において鋳型71の湯口(不図示)から溶湯を鋳型71内の空洞部70に注湯する。そして、鋳型71を冷却して(ステップS6)鋳物を固化させた後に、鋳型71及び中子72〜74を除去する(ステップS7)。このとき、中子72は、中子73を除去することで鋳物に形成された孔部を介して除去し、中子74は中子72、73を除去することで鋳物に形成された孔部を介して除去する。これにより、凹部63a及び貫通部63bを有する下部支持フレーム8dが得られる。
【0059】
ただし、この状態の下部支持フレーム8dの鋳物は、中子73で形成された孔部の存在により全ての凹部63aが外部に対して開放されている。そこで、複数の孔部の中、配管62と接続される導入口63dとなる孔部(図11中、左端の中子73で形成される孔部)の一つを除いて他を閉塞する(ステップS8)。この閉塞手段としては、例えば鋳物の外面に蓋体を取り付ける方法等が採用可能である。続いて、ステップS9において、第2エア室63として用いる凹部63a及び貫通部63bの表面に表面処理材63e(図6参照)を塗装する。これにより、第2エア室63を有する下部支持フレーム8dが形成される。
【0060】
そして、この下部支持フレーム8dと上部支持フレーム8cとを結合することで、リアクションフレーム8を形成することができる。また、エアマウント26においては、下部支持フレーム8d上に第1エア室61を設置するとともに、配管62により第1エア室61と第2エア室63とを接続することで、第1エア室61の内部空間83と第2エア室63の凹部63aとが連通し、双方の容積を合計した容積の空気バネを得ることができる。
【0061】
次に、防振ユニット24の動作について説明する。
レチクルステージ2やウエハステージ5が移動した際には、各ステージの移動に伴う重心の変化による影響をキャンセルするカウンターフォースを防振ユニット11、29に対してフィードフォワードで与え、この力を発生するようにエアマウント12、30およびボイスコイルモータ13、31を駆動する。また、各ステージ2、5と定盤3、6との摩擦が零でない等の理由で、定盤3、6の6自由度方向の微少な振動が残留した場合にも、上記残留振動を除去すべく、エアマウント12、30およびボイスコイルモータ13、31をフィードバック制御する。そして、上記ステージ2、5の移動や、防振ユニット11、29の駆動により、下部支持フレーム8dに対しても偏荷重や残留振動が作用した場合は、防振ユニット24を制御・駆動する。
【0062】
具体的には、防振ユニット24の負担すべき重量が増えたときには、エアマウント26において、制御装置80が圧力センサ84の検出結果をモニタしながらサーボバルブ85をエア供給側に切り替える。これにより、エア圧調整装置から所定圧力(例えば10kPa)のエアがサーボバルブ85を介して第1エア室61の内部空間83に充填され、ピストン87及び架台25aを介して鏡筒定盤25(投影光学系PL)を支持する際の支持力を増すことができる。
【0063】
また、エアマウント26の支持力で不足する重量増加についてはボイスコイルモータ27を駆動して鏡筒定盤25に推力を付与することで、不足する支持力を負担することになる。また、鏡筒定盤25の残留振動に関しては、振動センサ群の検出結果に基づいて、重心変化時と同様にエアマウント26及びボイスコイルモータ27を駆動することで残留振動をアクティブに制振し、下部支持フレーム8dを介して鏡筒定盤25(投影光学系PL)に伝わる微振動をマイクロG(Gは重力加速度)レベルで絶縁する。そして、防振ユニット24の負担すべき重量が減り、エアマウント26内の圧力を減圧する際には、サーボバルブ85をエア排出側に切り替えて内部空間83からエアを排出する。
【0064】
上述した残留振動を制振する際には、エアマウント26の空気バネとしての容積が第1エア室61の容積及び第2エア室63の容積から形成されることでバネ定数が小さくなるため、低剛性の空気バネとして機能することになる。また、エアマウントに26における振動吸収板66においては、貫通孔66aがオリフィス部として機能するため、配管62におけるエアの振動ピークをダンピングしてその悪影響を限りなく小さくしている。
【0065】
続いて、露光装置1における露光動作について説明する。
ここでは、予め、ウエハW上のショット領域を適正露光量(目標露光量)で走査露光するための各種の露光条件が設定されているものとする。そして、いずれも不図示のレチクル顕微鏡およびオフアクシス・アライメントセンサ等を用いたレチクルアライメント、ベースライン計測等の準備作業が行われ、その後アライメントセンサを用いたウエハWのファインアライメント(EGA;エンハンスト・グローバル・アライメント等)が終了し、ウエハW上の複数のショット領域の配列座標が求められる。
【0066】
このようにして、ウエハWの露光のための準備動作が完了すると、アライメント結果に基づいてレーザ干渉計44の計測値をモニタしつつ、リニアモータ33、35を制御してウエハWの第1ショットの露光のための走査開始位置にウエハステージ5を移動する。そして、リニアモータ15、33を介してレチクルステージ2とウエハステージ5とのY方向の走査を開始し、両ステージ2、5がそれぞれの目標走査速度に達すると、照明光学系IUからの露光用照明光により、レチクルR上の所定の矩形状の照明領域が均一な照度で照明される。この照明領域に対してレチクルRがY方向に走査されるのに同期して、この照明領域と投影光学系PLに関して共役な露光領域に対してウエハWを走査する。
【0067】
そして、レチクルRのパターン領域を透過した照明光が投影光学系PLにより1/5倍あるいは1/4倍に縮小され、レジストが塗布されたウエハW上に照射される。そして、ウエハW上の露光領域には、レチクルRのパターンが逐次転写され、1回の走査でレチクルR上のパターン領域の全面がウエハW上のショット領域に転写される。この走査露光時には、レチクルステージ2のY方向の移動速度と、ウエハステージ5のY方向の移動速度とが投影光学系PLの投影倍率(1/5倍あるいは1/4倍)に応じた速度比に維持されるように、リニアモータ15、33を介してレチクルステージ2およびウエハステージ5が同期制御される。
【0068】
レチクルステージ2の走査方向の加減速時の反力は、固定子20の移動により吸収され、ステージ装置4における重心の位置がY方向において実質的に固定される。また、レチクルステージ2と固定子20とレチクル定盤3との3者間の摩擦が零でなかったり、レチクルステージ2と固定子20との移動方向が僅かに異なる等の理由で、レチクル定盤3の6自由度方向の微少な振動が残留した場合には、上記残留振動を除去すべく、エアマウント12およびボイスコイルモータ13をフィードバック制御する。また、鏡筒定盤25においては、上述したように、レチクルステージ2、ウエハステージ5の移動による微振動が発生しても、6自由度方向の振動を求め、エアマウント26およびボイスコイルモータ27をフィードバック制御することによりこの微振動をキャンセルして、鏡筒定盤25(投影光学系PL)を定常的に安定した位置に維持することができる。
【0069】
以上のように、本実施の形態では、第1エア室61に接続された第2エア室63が下部支持フレーム8dに設けられているので、装置を大型化することなく容積の大きな低剛性の空気バネを得ることができる。しかも、本実施の形態では、第1エア室61の容積に基づいて第2エア室63の容積を設定することで、空気バネとして許容される剛性で、且つ容積増加に見合う剛性低下が得られる適切な容積設定が可能となっている。さらに、本実施の形態では、オリフィス部を有する振動吸収板66を設けているので、配管62におけるエアの振動を容易にダンピングすることができ、共振等、エアの振動に起因する悪影響を抑制することもできる。
【0070】
また、本実施の形態の形態では、下部支持フレーム8dに形成される肉抜き部を第2エア室63として用いるので、第2エア室63を形成するための工数を減らすことができる。しかも、複数の凹部63a間に貫通部63bを形成することで第2エア室63の容積を調整できるため、空気バネとして最適な容積形成を容易に実施することが可能である。そして、本実施の形態では、第2エア室63の表面に表面処理材63eを塗布しているので、第2エア室63からエアが漏出することを防止でき、空気バネとしての機能低下を防止することが可能である。
【0071】
なお、上記実施の形態においては、第2エア室63としてフレームの凹部とする構成としたが、第2エア室を形成する補助タンクをフレーム内に埋設する構成としてもよい。この場合、鋳造に伴うブローホールを考慮する必要がなくなるため、エア漏出防止用の表面処理が不要になりフレーム製造に係る工数を低減できる。また、上記実施の形態では、第1エア室61のみに圧力センサ84及びサーボバルブ85を設ける構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば第2エア室63のみに設ける構成や、第1、第2エア室の双方に設ける構成としてもよい。
【0072】
そして、上記実施の形態では、本発明の支持装置を鏡筒定盤25を介して投影光学系PLを支持する防振ユニット24に適用するものとして説明したが、これに限られず、レチクルステージ2を支持する防振ユニット11やウエハステージ5を支持する防振ユニット29にも適用可能であり、この場合、低剛性の空気バネを有する小型のステージ装置を得ることができる。また、上記実施の形態では、本発明の支持装置を露光装置1に適用した構成としたが、露光装置以外にも転写マスクの描画装置、マスクパターンの位置座標測定装置等の精密測定機器にも適用可能である。
【0073】
なお、本実施の形態の基板としては、半導体デバイス用の半導体ウエハWのみならず、液晶ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
【0074】
露光装置1としては、レチクルRとウエハWとを同期移動してレチクルRのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニング・ステッパー;USP5,473,410)の他に、レチクルRとウエハWとを静止した状態でレチクルRのパターンを露光し、ウエハWを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパー)にも適用することができる。また、本発明はウエハW上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写するステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用可能である。
【0075】
露光装置1の種類としては、ウエハWに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
【0076】
また、不図示の露光用光源として、超高圧水銀ランプから発生する輝線(g線(436nm)、h線(404.nm)、i線(365nm))、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)、F2レーザ(157nm)、Ar2レーザ(126nm)のみならず、電子線やイオンビームなどの荷電粒子線を用いることができる。例えば、電子線を用いる場合には電子銃として、熱電子放射型のランタンヘキサボライト(LaB6)、タンタル(Ta)を用いることができる。また、YAGレーザや半導体レーザ等の高調波などを用いてもよい。
【0077】
例えば、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域又は可視域の単一波長レーザを、例えばエルビウム(又はエルビウムとイットリビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、かつ非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を露光光として用いてもよい。なお、単一波長レーザの発振波長を1.544〜1.553μmの範囲内とすると、193〜194nmの範囲内の8倍高調波、即ちArFエキシマレーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られ、発振波長を1.57〜1.58μmの範囲内とすると、157〜158nmの範囲内の10倍高調波、即ちF2レーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られる。
【0078】
また、レーザプラズマ光源、又はSORから発生する波長5〜50nm程度の軟X線領域、例えば波長13.4nm、又は11.5nmのEUV(Extreme Ultra Violet)光を露光光として用いてもよく、EUV露光装置では反射型レチクルが用いられ、かつ投影光学系が複数枚(例えば3〜6枚程度)の反射光学素子(ミラー)のみからなる縮小系となっている。
【0079】
投影光学系PLの倍率は、縮小系のみならず等倍系および拡大系のいずれでもよい。また、投影光学系PLとしては、エキシマレーザなどの遠紫外線を用いる場合は硝材として石英や蛍石などの遠紫外線を透過する材料を用い、F2レーザやX線を用いる場合は反射屈折系または屈折系の光学系にし(レチクルRも反射型タイプのものを用いる)、また電子線を用いる場合には光学系として電子レンズおよび偏向器からなる電子光学系を用いればよい。なお、電子線が通過する光路は、真空状態にすることはいうまでもない。
【0080】
ウエハステージ5やレチクルステージ2にリニアモータ(USP5,623,853またはUSP5,528,118参照)を用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもよい。また、各ステージ2、5は、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
【0081】
各ステージ2、5の駆動機構としては、二次元に磁石を配置した磁石ユニット(永久磁石)と、二次元にコイルを配置した電機子ユニットとを対向させ電磁力により各ステージ2、5を駆動する平面モータを用いてもよい。この場合、磁石ユニットと電機子ユニットとのいずれか一方をステージ2、5に接続し、磁石ユニットと電機子ユニットとの他方をステージ2、5の移動面側(ベース)に設ければよい。
【0082】
以上のように、本願実施形態の露光装置1は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0083】
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図12に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、シリコン材料からウエハを製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置によりレチクルのパターンをウエハに露光する露光処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、装置を大型化することなく容積の大きな低剛性の空気バネを得ることができるとともに、許容される剛性で、且つ容積増加に見合う剛性低下が得られる空気バネの適切な容積設定が可能である。また、本発明では、接続部における気体の振動に起因する悪影響を抑制することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す図であって、防振ユニットを有する露光装置の概略構成図である。
【図2】同露光装置を構成するレチクルステージの外観斜視図である。
【図3】同露光装置を構成するウエハステージの外観斜視図である。
【図4】同ウエハステージの概略正面図である。
【図5】同ウエハステージの概略平面図である。
【図6】本発明に係る防振ユニットの概略構成図である。
【図7】同防振ユニットの第1エア室を支持する下部支持フレームの外観斜視図である。
【図8】第1エア室の容積に対する第2エア室の容積比とバネ定数との関係を示す図である。
【図9】第1エア室と第2エア室との接続配管に設けられた振動吸収板の外観斜視図である。
【図10】下部支持フレームを製造する手順を示すフローチャート図である。
【図11】下部支持フレームの製造に用いられる鋳型の部分断面図である。
【図12】半導体デバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
【図13】従来技術によるエアマウントの一例を示す図である。
【符号の説明】
PL 投影光学系(物体)
R レチクル(マスク)
W ウエハ(基板、感光基板)
1 露光装置
2 レチクルステージ(マスクステージ)
5 ウエハステージ(基板ステージ)
8d 下部支持フレーム(支持フレーム)
24 防振ユニット(支持装置)
27 ボイスコイルモータ(駆動装置)
61 第1エア室(第1気体室)
62 配管(接続部)
63 第2エア室(第2気体室)
63a 凹部
63b 貫通部
66 振動吸収板(振動吸収装置)
70 空洞部
71 鋳型(型)
72 中子(第1中子)
73 中子(第2中子)
74 中子(第3中子)
80 制御装置
84 圧力センサ(検出装置)
【発明の属する技術分野】
本発明は、気体により物体を支持する気体室が支持フレームに支持される支持装置とその製造方法およびステージ装置並びに半導体集積回路や液晶ディスプレイ等の製造に用いられる露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体デバイスの製造工程の1つであるリソグラフィ工程においては、マスク又はレチクル(以下、レチクルと称する)に形成された回路パターンをレジスト(感光剤)が塗布されたウエハ又はガラスプレート等の基板上に転写する種々の露光装置が用いられている。
【0003】
例えば、半導体デバイス用の露光装置としては、近年における集積回路の高集積化に伴うパターンの最小線幅(デバイスルール)の微細化に応じて、レチクルのパターンを投影光学系を用いてウエハ上に縮小転写する縮小投影露光装置が主として用いられている。
【0004】
この縮小投影露光装置としては、レチクルのパターンをウエハ上の複数のショット領域(露光領域)に順次転写するステップ・アンド・リピート方式の静止露光型の縮小投影露光装置(いわゆるステッパ)や、このステッパを改良したもので、特開平8−166043号公報等に開示されるようなレチクルとウエハとを一次元方向に同期移動してレチクルパターンをウエハ上の各ショット領域に転写するステップ・アンド・スキャン方式の走査露光型の露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ)が知られている。
【0005】
これらの縮小投影露光装置においては、ステージ装置として、床面に先ず装置の基準になるベースプレートが設置され、その上に床振動を遮断するための防振台を介してレチクルステージ、ウエハステージおよび投影光学系(投影レンズ)等を支持する本体コラムが載置されたものが多く用いられている。最近のステージ装置では、前記防振台として、内圧が制御可能なエアマウントやボイスコイルモータ等のアクチュエータ(推力付与装置)を備え、本体コラム(メインフレーム)に取り付けられた、例えば6個の加速度計の計測値に基づいて前記ボイスコイルモータ等の推力を制御することにより本体コラムの振動を制御するアクティブ防振台が採用されている。
【0006】
図13に、エアマウントを有する支持装置の一実施例を示す。
この図に示す支持装置は、空気バネとしてのエアマウント81が支持フレーム82上に支持されている。エアマウント81には、内部空間83の圧力を検出する圧力センサ84が設けられ、圧力センサ84の検出結果に基づいてサーボバルブ85から所定圧力のエアが充填、または排気される。エアマウント81には、ダイヤフラム86により移動自在に支持されたピストン87が設けられており、内部空間83のエアによりピストン87が投影レンズやステージ等を支持する物体88を支持している。このように、物体88と支持フレーム82との間にエアマウント81が空気バネとして介装されることで、支持フレーム82から物体88を介して投影レンズやステージ等に伝わる振動を抑制している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来技術には、以下のような問題が存在する。振動抑制に関しては、空気バネの剛性が低いほど有利であるが、空気バネの剛性と容積とは反比例の関係にあるため、低剛性の空気バネを得るには大きな容積が必要となる。そこで、エアマウントの内部空間の容積を大きくしたり、エアマウントにエアタンクを付設することが考えられるが、いずれの場合も装置の大型化に直結することになり装置のフットプリント(設置面積)の制限から大きな容積を確保することは困難である。
【0008】
特に、近年においては、半導体デバイスの微細化や露光処理の高速化の要請が益々高まってきており、この要請に応えるために露光装置が設置されている工場等の床からの振動や、露光装置内のステージの動作に伴う振動を投影レンズに伝達させない方法が種々検討されているが、上述したように、露光装置内のスペースの制限から空気バネの容積を大きくするには限界があり、将来益々厳しくなる露光装置の除振性能を満たすことができなくなる虞がある。
【0009】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、装置の大型化を招くことなく低剛性の空気バネとして機能する支持装置とその製造方法およびステージ装置並びに露光装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、実施の形態を示す図1ないし図11に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明の支持装置は、所定圧力の気体が充填され、気体により物体(PL)を支持する第1気体室(61)と、第1気体室(61)を支持する支持フレーム(8d)とを備えた支持装置(24)であって、支持フレーム(8d)内に設けられ、第1気体室(61)と連通する第2気体室(63)を有することを特徴とするものである。
【0011】
従って、本発明の支持装置では、第1気体室(61)の容積に加えて第2気体室(63)の容積も空気バネの容積となるので、空気バネとしての剛性を低くすることができる。そして、この第2気体室(63)は支持フレーム(8d)内に設けられるので、第1気体室(61)の容積を大きくしたり、エアタンクを付設させる場合のように装置が大型化することを防止できる。
【0012】
また、本発明のステージ装置は、定盤(3、6)上をステージ本体(2、5)が移動するステージ装置であって、定盤(3、6)を請求項1から10のいずれか一項記載の支持装置(24)により支持することを特徴とするものである。
【0013】
従って、本発明のステージ装置では、低剛性の空気バネにより、ステージ本体(2、5)の移動による定盤(3、6)の荷重変動を支持したり、定盤(3、6)に伝わる床振動を遮断することができる。
【0014】
そして、本発明の露光装置は、マスクステージ(2)に保持されたマスク(R)のパターンを基板ステージ(5)に保持された感光基板(W)に投影光学系(PL)により露光する露光装置(1)において、マスクステージ(2)と、投影光学系(PL)と、基板ステージ(5)との少なくとも一つを、請求項1から10のいずれか一項記載の支持装置(24)により支持することを特徴とするものである。
【0015】
従って、本発明の露光装置では、低剛性の空気バネによって、マスクステージ(2)や基板ステージ(5)の移動による定盤(3、6)の荷重変動を支持したり、これら定盤(3、6)や投影光学系(PL)に伝わる床振動を遮断することができる。
【0016】
また、本発明の支持装置の製造方法は、所定圧力の気体が充填され、気体により物体を支持する第1気体室(61)と、第1気体室(61)を支持する支持フレーム(8d)とを備えた支持装置(24)の製造方法であって、空洞部(70)を有する型(71)内に第1中子(72)を設置するとともに、第1中子(72)と型(71)とに当接する第2中子(73)を設置して支持フレーム(8d)の鋳型(71)を形成するステップと、型(71)内に溶解した材料を注湯するステップと、注湯した材料を冷却した後に型(71)及び第1中子(72)及び第2中子(73)を除去して第1気体室(61)と連通可能な第2気体室(63)を形成するステップとを含むことを特徴とするものである。
【0017】
従って、本発明の支持装置の製造方法では、第1気体室(61)の容積に加えて空気バネの容積となる第2気体室(63)を支持フレーム(8d)内に形成することができるため、空気バネとしての剛性を低くすることができる。この第2気体室(63)は支持フレーム(8d)内に設けられるので、第1気体室(61)の容積を大きくしたり、エアタンクを付設させる場合のように装置が大型化することを防止できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の支持装置とその製造方法およびステージ装置並びに露光装置の実施の形態を、図1ないし図12を参照して説明する。
ここでは、例えば露光装置として、レチクルとウエハとを同期移動しつつ、レチクルに形成された半導体デバイスの回路パターンをウエハ上に転写する、スキャニング・ステッパを使用する場合の例を用いて説明する。また、この露光装置においては本発明の支持装置を、鏡筒定盤を介して投影光学系を支持する防振ユニットに適用するものとする。これらの図において、従来例として示した図13と同一の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0019】
図1に示す露光装置1は、光源(不図示)からの露光用照明光によりレチクル(マスク)R上の矩形状(あるいは円弧状)の照明領域を均一な照度で照明する照明光学系IUと、レチクルRを保持して移動するレチクルステージ(マスクステージ)2および該レチクルステージ2を支持するレチクル定盤3を含むステージ装置4と、レチクルRから射出される照明光をウエハ(基板、感光基板)W上に投影する投影光学系PLと、ウエハWを保持して移動するウエハステージ(基板ステージ)5および該ウエハステージ5を保持するウエハ定盤6を含むステージ装置7と、上記ステージ装置4および物体としての投影光学系PLを支持するリアクションフレーム8とから概略構成されている。なお、ここで投影光学系PLの光軸方向をZ方向とし、このZ方向と直交する方向でレチクルRとウエハWの同期移動方向をY方向とし、非同期移動方向をX方向とする。また、それぞれの軸周りの回転方向をθZ、θY、θXとする。
【0020】
照明光学系IUは、リアクションフレーム8の上面に固定された支持コラム9によって支持される。なお、露光用照明光としては、例えば超高圧水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、i線)およびKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)およびF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV)などが用いられる。
【0021】
リアクションフレーム8は、床面に水平に載置されたベースプレート10上に設置されており、その上部側および下部側には、内側に向けて突出する段部8aおよび8bがそれぞれ形成されている。このリアクションフレーム8は、一体物で形成されても構わないが、製造上の簡便さから上部支持フレーム8cと下部支持フレーム(支持フレーム)8dとに分割して形成した後に一体化されている。
【0022】
ステージ装置4の中、レチクル定盤3は、各コーナーにおいてリアクションフレーム8の段部8aに防振ユニット11を介してほぼ水平に支持されており(なお、紙面奥側の防振ユニットについては図示せず)、その中央部にはレチクルRに形成されたパターン像が通過する開口3aが形成されている。なお、レチクル定盤3の材料として金属やセラミックスを用いることができる。防振ユニット11は、内圧が調整可能なエアマウント12とボイスコイルモータ13とが段部8a上に直列に配置された構成になっている。これら防振ユニット11によって、ベースプレート10およびリアクションフレーム8を介してレチクル定盤3に伝わる微振動がマイクロGレベルで絶縁されるようになっている(Gは重力加速度)。
【0023】
レチクル定盤3上には、レチクルステージ2が該レチクル定盤3に沿って2次元的に移動可能に支持されている。レチクルステージ2の底面には、複数のエアベアリング(エアパッド)14が固定されており、これらのエアベアリング14によってレチクルステージ2がレチクル定盤3上に数ミクロン程度のクリアランスを介して浮上支持されている。また、レチクルステージ2の中央部には、レチクル定盤3の開口3aと連通し、レチクルRのパターン像が通過する開口2aが形成されている。
【0024】
レチクルステージ2について詳述すると、図2に示すように、レチクルステージ2は、レチクル定盤3上を一対のYリニアモータ15、15によってY軸方向に所定ストロークで駆動されるレチクル粗動ステージ16と、このレチクル粗動ステージ16上を一対のXボイスコイルモータ17Xと一対のYボイスコイルモータ17YとによってX、Y、θZ方向に微小駆動されるレチクル微動ステージ18とを備えた構成になっている(なお、図1では、これらを1つのステージとして図示している)。
【0025】
各Yリニアモータ15は、レチクル定盤3上に非接触ベアリングである複数のエアベアリング(エアパッド)19によって浮上支持されY軸方向に延びる固定子20と、この固定子20に対応して設けられ、連結部材22を介してレチクル粗動ステージ16に固定された可動子21とから構成されている。このため、運動量保存の法則により、レチクル粗動ステージ16の+Y方向の移動に応じて、固定子20は−Y方向に移動する。この固定子20の移動によりレチクル粗動ステージ16の移動に伴う反力を相殺するとともに、重心位置の変化を防ぐことができる。
【0026】
なお、固定子20は、レチクル定盤3上に代えて、リアクションフレーム8に設けてもよい。固定子20をリアクションフレーム8に設ける場合には、エアベアリング19を省略し、固定子20をリアクションフレーム8に固定して、レチクル粗動ステージ16の移動により固定子20に作用する反力をリアクションフレーム8を介して床に逃がしてもよいし、前述の運動量保存の法則を用いてもよい。
【0027】
レチクル粗動ステージ16は、レチクル定盤3の中央部に形成された上部突出部3bの上面に固定されY軸方向に延びる一対のYガイド51、51によってY軸方向に案内されるようになっている。また、レチクル粗動ステージ16は、これらYガイド51、51に対して不図示のエアベアリングによって非接触で支持されている。
【0028】
レチクル微動ステージ18には、バキュームチャック18aを介してレチクルRが吸着保持されるようになっている。レチクル微動ステージ18の−Y方向の端部には、コーナキューブからなる一対のY移動鏡52a、52bが固定され、また、レチクル微動ステージ18の+X方向の端部には、Y軸方向に延びる平面ミラーからなるX移動鏡53が固定されている。そして、これら移動鏡52a、52b、53に対して測長ビームを照射する3つのレーザ干渉計(いずれも不図示)が各移動鏡との距離を計測することにより、レチクルステージ2のX、Y、θZ(Z軸回りの回転)方向の位置が高精度に計測される。なお、レチクル微動ステージ18の材質として金属やコージェライトまたはSiCからなるセラミックスを用いることができる。
【0029】
図1に戻り、投影光学系PLとして、ここでは物体面(レチクルR)側と像面(ウエハW)側の両方がテレセントリックで円形の投影視野を有し、石英や蛍石を光学硝材とした屈折光学素子(レンズ素子)からなる1/4(または1/5)縮小倍率の屈折光学系が使用されている。このため、レチクルRに照明光が照射されると、レチクルR上の回路パターンのうち、照明光で照明された部分からの結像光束が投影光学系PLに入射し、その回路パターンの部分倒立像が投影光学系PLの像面側の円形視野の中央にスリット状に制限されて結像される。これにより、投影された回路パターンの部分倒立像は、投影光学系PLの結像面に配置されたウエハW上の複数のショット領域のうち、1つのショット領域表面のレジスト層に縮小転写される。
【0030】
投影光学系PLの鏡筒部の外周には、該鏡筒部に一体化されたフランジ23が設けられている。そして、投影光学系PLは、リアクションフレーム8の段部8bに支持装置としての防振ユニット24を介してほぼ水平に支持された鋳物等で構成された鏡筒定盤25に、光軸方向をZ方向として上方から挿入されるとともに、フランジ23が係合している。なお、鏡筒定盤25として、高剛性・低熱膨張のセラミックス材を用いてもよい。
【0031】
フランジ23の素材としては、低熱膨張の材質、例えばインバー(Inver;ニッケル36%、マンガン0.25%、および微量の炭素と他の元素を含む鉄からなる低膨張の合金)が用いられている。このフランジ23は、投影光学系PLを鏡筒定盤25に対して点と面とV溝とを介して3点で支持する、いわゆるキネマティック支持マウントを構成している。このようなキネマティック支持構造を採用すると、投影光学系PLの鏡筒定盤25に対する組み付けが容易で、しかも組み付け後の鏡筒定盤25および投影光学系PLの振動、温度変化等に起因する応力を最も効果的に軽減できるという利点がある。
【0032】
防振ユニット24は、三角形の頂点部分に配置され(なお、紙面奥側の防振ユニットについては図示せず)、内圧が調整可能なエアマウント26とボイスコイルモータ27とが段部8b上に直列に配置された構成になっている。これら防振ユニット24によって、ベースプレート10およびリアクションフレーム8を介して鏡筒定盤25(ひいては投影光学系PL)に伝わる微振動がマイクロG(Gは重力加速度)レベルで絶縁されるようになっている。なお、防振ユニット24の詳細については後述する。
【0033】
ステージ装置7は、図1から明らかなように、ステージ装置4と投影光学系PLとから分離してベースプレート10上に設けられている。ステージ装置7は、ウエハステージ5、このウエハステージ5をXY平面に沿った2次元方向に移動可能に支持するウエハ定盤6、ウエハステージ5と一体的に設けられウエハWを吸着保持する試料台ST、これらウエハステージ5および試料台STを相対移動自在に支持するXガイドバーXGを主体に構成されている。ウエハステージ5の底面には、非接触ベアリングである複数のエアベアリング(エアパッド)28が固定されており、これらのエアベアリング28によってウエハステージ5がウエハ定盤6上に、例えば数ミクロン程度のクリアランスを介して浮上支持されている。
【0034】
ウエハ定盤6は、ベースプレート10の上方に、三角形の頂点に配置された防振ユニット29(なお、紙面奥側の防振ユニットについては図示せず)を介してほぼ水平に支持されている。防振ユニット29は、内圧が調整可能なエアマウント30とウエハ定盤6に対して推力を付与するボイスコイルモータ31とがベースプレート10上に並列に配置された構成になっている。これら防振ユニット29によって、ベースプレート10を介してウエハ定盤6に伝わる微振動がマイクロGレベル(Gは重力加速度)で絶縁されるようになっている。
【0035】
ウエハステージ5の上面には、ウエハホルダ41を介してウエハWが真空吸着等によって固定される(図1参照、図3では図示略)。また、ウエハステージ5のX方向の位置は、投影光学系PLの鏡筒下端に固定された参照鏡42を基準として、ウエハステージ5の一部に固定された移動鏡43の位置変化を計測するレーザ干渉計44によって所定の分解能、例えば0.5〜1nm程度の分解能でリアルタイムに計測される。なお、上記参照鏡42、移動鏡43、レーザ干渉計44とほぼ直交するように配置された不図示の参照鏡、レーザ干渉計および移動鏡48(図3参照)によってウエハステージ5のY方向の位置が計測される。なお、これらレーザ干渉計の中、少なくとも一方は、測長軸を2軸以上有する多軸干渉計であり、これらレーザ干渉計の計測値に基づいてウエハステージ5(ひいてはウエハW)のXY位置のみならず、θ回転量あるいはこれらに加え、レベリング量をも求めることができるようになっている。
【0036】
図3に示すように、XガイドバーXGは、X方向に沿った長尺形状を呈しており、その長さ方向両端には電機子ユニットからなる可動子36、36(図3では1つのみ図示)がそれぞれ設けられている。これらの可動子36,36に対応する磁石ユニットを有する固定子37,37は、ベースプレート10に突設されたサイド定盤32、32上にエアパッド54を介して設けられている。そして、これら可動子36および固定子37によってムービングコイル型のリニアモータ33、33が構成されており、可動子36が固定子37との間の電磁気的相互作用により駆動されることで、XガイドバーXGはY方向に移動するとともに、リニアモータ33、33の駆動を調整することでθZ方向に回転移動する。
【0037】
すなわち、このリニアモータ33によってXガイドバーXGとほぼ一体的にウエハステージ5(および試料台ST、以下単にウエハステージ5と称する)がY方向およびθZ方向に駆動されるようになっている。なお、ウエハステージ5は、Y方向の移動にはガイド部材を有さないガイドレスステージとなっているが、ウエハステージ5のX方向の移動に関しても適宜ガイドレスステージとすることができる。
【0038】
固定子37、37は、ウエハ定盤6のX方向両側にウエハ定盤6とは(振動的に)独立して設けられたサイド定盤32、32上に、Y方向へのガイド機構を有するエアパッド54を介してそれぞれY方向に移動自在にそれぞれ浮揚支持されている。このため、運動量保存の法則により、ウエハステージ5の例えば+Y方向の移動に応じて、固定子37は−Y方向に移動する。換言すると、固定子37は、カウンタマスとして機能しており、その移動によりウエハステージ5の移動に伴う反力を相殺するとともに、重心位置の変化を防ぐことができる。
【0039】
なお、+X側(図3中、左側)に配置される固定子37には、XガイドバーXGや可動子36に接続されるエア用配管、冷媒用配管、電力配線および信号供給用のシステム配線等の各種用力供給ケーブル等に応力集中を発生させずに(緩和して)導くための傾斜面が形成されている(但し、図1では便宜上同形状に図示)。
【0040】
ウエハステージ5は、XガイドバーXGとの間にZ方向に所定量のギャップを維持する磁石およびアクチュエータからなる磁気ガイドを介して、XガイドバーXGにX方向に相対移動自在に非接触で支持・保持されている。また、ウエハステージ5は、XガイドバーXGに埋設された固定子35aを有するXリニアモータ35による電磁気的相互作用によりX方向に駆動される。なお、Xリニアモータの可動子は図示していないが、ウエハステージ5に取り付けられている。
【0041】
また、図4に示すように、XガイドバーXGの−X方向側には、ボイスコイルモータで構成されたXトリムモータ34の可動子34aが取り付けられている。Xトリムモータ34は、Xリニアモータ35の固定子としてのXガイドバーXGとリアクションフレーム8との間に介装されており、その固定子34bはリアクションフレーム8に設けられている。このため、ウエハステージ5をX方向に駆動する際の反力は、Xトリムモータ34によりリアクションフレーム8に伝達され、さらにリアクションフレーム8を介してベースプレート10に伝達されることで、ウエハ定盤6に振動が伝わることを防げる。なお、実際にはXトリムモータ34は、リニアモータ33を挟んだZ方向両側に配置されているが、図4では便宜上+Z側のXトリムモータ34のみ図示している。
【0042】
なお、固定子37には、ウエハステージ5の移動時の運動量に基づいて当該固定子の運動量を補正するトリムモータ(不図示)が備えられている。このトリムモータは、例えば固定子37のY側端部にY方向に沿って延設された円柱状の移動子と、移動子をY方向に駆動する固定子とからなるシャフトモータで構成される。そして、図5に示すように、ウエハステージ5がX方向及びY方向の双方に移動する場合や、XガイドバーXGの中央部から偏心した位置から移動する場合に左右の固定子37が、その推力配分によってそれぞれ異なる変位が生じたり、可動子36と固定子37とのカップリングにより、これらが相対移動した際に元の位置に止まろうとする力が作用した場合は、固定子37が移動すべき位置とは異なる位置に移動する。そのため、ウエハステージ5の移動時の運動量に基づいてトリムモータを駆動することで、固定子37が所定の位置に到達するようにその移動量(運動量)を補正することができる構成になっている。
【0043】
図6に、防振ユニット24の概略構成図を示す。防振ユニット24は、所定圧力のエア(気体)が充填され、このエア(の圧力)により鏡筒定盤25を介して投影光学系PLを支持するエアマウント26と、エアマウント26が投影光学系PLを支持するZ方向に電磁力で投影光学系PLを駆動するボイスコイルモータ(駆動装置)27とを主体に構成されている。
【0044】
エアマウント26は、下部支持フレーム8d上に支持された第1エア室(第1気体室)61と、第1エア室61に配管(接続部)62で接続されて連通する第2エア室(第2気体室)63と、第1エア室61の内部空間83のエア圧を検出する圧力センサ(検出装置)84と、内部空間83を加圧・減圧する不図示のエア圧調整装置に接続され、その加圧・減圧を切り替えるサーボバルブ85と、圧力センサ84の検出結果に基づいてサーボバルブ85を制御する制御装置80とから概略構成される。
【0045】
第1エア室61は、内部空間83のエア圧に応じて、鏡筒定盤25に垂設された架台25aを介して鏡筒定盤25(投影光学系PL)をZ方向に支持するピストン87と、第1エア室61に対してピストン87をZ方向に移動自在に支持するダイヤフラム86を備えている。
【0046】
第2エア室63は、下部支持フレーム8dに設けられた凹部63a、63aと、これら凹部63a、63a間を貫通する貫通部63bとにより形成されている。この第2エア室63は、下部支持フレーム8dに形成された導入口63d及び配管62を介して第1エア室61の内部空間83と連通している。
【0047】
ここで、下部支持フレーム8dについて説明する。
この下部支持フレーム8dは、鋳造による鋳物として、図7に示すように、枠部65a及び脚部65bからなる炬燵状に形成されたものであり、枠部65a及び脚部65bには軽量化を図るための肉抜き部(凹部)65cが強度低下を招かない範囲でそれぞれ複数形成されている。下部支持フレーム8dの材料としては、上述したインバーや、ねずみ鋳鉄(FC)、ダクタイル鋳鉄(FCD)等の鋳鉄、ステンレス等を用いることができる。
【0048】
そして、第2エア室63は、これらの肉抜き部65cの中、エアマウント26の配置に応じたものが凹部63aとして適宜選択されるとともに、第1エア室61の内部空間83の容積との比に応じた数が選択され、且つ選択された凹部63a間に貫通部63bが形成されてなるものである。
【0049】
また、下部支持フレーム8dには、鋳造成形に伴ってブローホール(いわゆる巣)が生じている可能性があるため、本実施の形態では第2エア室63として選択された凹部63a(肉抜き部65c)及び貫通部63bの表面には、ブローホールを埋めてエアの漏出を防ぐ表面処理材63eが焼き付け等の手法で塗装されている。
【0050】
ここで、エアマウント26の空気バネとしてのバネ定数Kは、次式にて表される。
K=(γ×Pa×A2)/(V+Vs) …(1)
γ:ポリトロピック指数、Pa:内圧、A:有効受圧面積
V:第1エア室容積、Vs:第2エア室容積
式(1)から明らかなように、空気バネのバネ定数Kは容積に反比例しており、大きな容積を有することで低剛性のバネとなる。また、第1エア室61の容積を一定とすると、バネ定数Kは第1エア室61の容積に対する第2エア室63の容積の比に反比例することになる。
【0051】
図8に、第1エア室61の容積に対する第2エア室63の容積比とバネ定数との関係を示す。この図から明らかなように、容積比が大きくなるに従ってバネ定数も小さくなり、空気バネとしての剛性が低くなるが、容積比が5を超えると第2エア室63の容積増加分に比べてバネ定数の減少分が微小となり剛性低下に対する効果が少なくなる。逆に、容積比が小さい範囲では、第2エア室63の容積増加分に比べてバネ定数の減少分が大きく、剛性低下に対する効果は大きいものの、容積比が1未満ではバネ定数の絶対値が大きくなり、空気バネとして許容される剛性を超えることになる。そのため、本実施の形態では、第2エア室63の容積を第1エア室61の容積の1〜5倍の範囲に設定してある。
【0052】
一方、配管62には、当該配管62におけるエアの振動を吸収する振動吸収板(振動吸収装置)66が設けられている。振動吸収板66は、図9に示すように、円板に複数の貫通孔66aが形成されてなるものである。ここで、配管62におけるエアの振動周波数fは次式で表される。
【数1】
c:音速、S:配管断面積、L:配管長さ、V:空気バネ容積
そして、振動吸収板66の貫通孔66aは、式(2)に基づいて配管62における振動のピークの周波数帯域を求め、この周波数帯域をダンピング可能な孔径に設定されることでオリフィス部として機能する。
【0053】
図6に戻り、ボイスコイルモータ27は、電磁力により投影光学系PLをZ方向に駆動するものであって、下部支持フレーム8dに突設された架台8eと鏡筒定盤25との間に、エアマウント26とは独立して、且つ並列に配設されている。
【0054】
次に、上記の下部支持フレーム8dを製造する手順を図10に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS1においては、木材や金属等を用いて下部支持フレーム8dと同等形状の模型を製作する。このとき、模型の大きさは、鋳物の収縮を考慮して多少大きめに製作することが好ましい。
【0055】
次に、ステップS2では、製作した模型の周りを砂等で詰めた後に模型を取り去ることによって、図11に示すように、模型(すなわち下部支持フレーム8d)の鋳物となる部分が空洞部70となる鋳型(型)71を造型する。
【0056】
そして、ステップS3では、鋳型71に対して肉抜き部65c(すなわち凹部63a)を形成するための中子(第1中子)72を設置するとともに、鋳造後に中子72を除去する際に用いられる孔部を形成するための中子(第2中子)73を、中子72と鋳型71とに当接させて設置する。なお、以下の説明では、複数の肉抜き部65cの中、第2エア室63として用いられるものについてのみ言及する。
【0057】
これら中子72、73は対で設置するが、鋳物としての強度を確保するために互いに所定幅の隙間をあけて配置される。そして、第2エア室63の容積設定により、第2エア室63として用いる複数の凹部63aには、貫通部63bを形成するための中子(第3中子)74を、隣り合う中子72、72間の隙間に設置する。
【0058】
一方、ステップS4では、鋳型造型と並行して(または鋳型造型後に)、鋳物となる材料(鋳鉄等)を溶解し、ステップS5において鋳型71の湯口(不図示)から溶湯を鋳型71内の空洞部70に注湯する。そして、鋳型71を冷却して(ステップS6)鋳物を固化させた後に、鋳型71及び中子72〜74を除去する(ステップS7)。このとき、中子72は、中子73を除去することで鋳物に形成された孔部を介して除去し、中子74は中子72、73を除去することで鋳物に形成された孔部を介して除去する。これにより、凹部63a及び貫通部63bを有する下部支持フレーム8dが得られる。
【0059】
ただし、この状態の下部支持フレーム8dの鋳物は、中子73で形成された孔部の存在により全ての凹部63aが外部に対して開放されている。そこで、複数の孔部の中、配管62と接続される導入口63dとなる孔部(図11中、左端の中子73で形成される孔部)の一つを除いて他を閉塞する(ステップS8)。この閉塞手段としては、例えば鋳物の外面に蓋体を取り付ける方法等が採用可能である。続いて、ステップS9において、第2エア室63として用いる凹部63a及び貫通部63bの表面に表面処理材63e(図6参照)を塗装する。これにより、第2エア室63を有する下部支持フレーム8dが形成される。
【0060】
そして、この下部支持フレーム8dと上部支持フレーム8cとを結合することで、リアクションフレーム8を形成することができる。また、エアマウント26においては、下部支持フレーム8d上に第1エア室61を設置するとともに、配管62により第1エア室61と第2エア室63とを接続することで、第1エア室61の内部空間83と第2エア室63の凹部63aとが連通し、双方の容積を合計した容積の空気バネを得ることができる。
【0061】
次に、防振ユニット24の動作について説明する。
レチクルステージ2やウエハステージ5が移動した際には、各ステージの移動に伴う重心の変化による影響をキャンセルするカウンターフォースを防振ユニット11、29に対してフィードフォワードで与え、この力を発生するようにエアマウント12、30およびボイスコイルモータ13、31を駆動する。また、各ステージ2、5と定盤3、6との摩擦が零でない等の理由で、定盤3、6の6自由度方向の微少な振動が残留した場合にも、上記残留振動を除去すべく、エアマウント12、30およびボイスコイルモータ13、31をフィードバック制御する。そして、上記ステージ2、5の移動や、防振ユニット11、29の駆動により、下部支持フレーム8dに対しても偏荷重や残留振動が作用した場合は、防振ユニット24を制御・駆動する。
【0062】
具体的には、防振ユニット24の負担すべき重量が増えたときには、エアマウント26において、制御装置80が圧力センサ84の検出結果をモニタしながらサーボバルブ85をエア供給側に切り替える。これにより、エア圧調整装置から所定圧力(例えば10kPa)のエアがサーボバルブ85を介して第1エア室61の内部空間83に充填され、ピストン87及び架台25aを介して鏡筒定盤25(投影光学系PL)を支持する際の支持力を増すことができる。
【0063】
また、エアマウント26の支持力で不足する重量増加についてはボイスコイルモータ27を駆動して鏡筒定盤25に推力を付与することで、不足する支持力を負担することになる。また、鏡筒定盤25の残留振動に関しては、振動センサ群の検出結果に基づいて、重心変化時と同様にエアマウント26及びボイスコイルモータ27を駆動することで残留振動をアクティブに制振し、下部支持フレーム8dを介して鏡筒定盤25(投影光学系PL)に伝わる微振動をマイクロG(Gは重力加速度)レベルで絶縁する。そして、防振ユニット24の負担すべき重量が減り、エアマウント26内の圧力を減圧する際には、サーボバルブ85をエア排出側に切り替えて内部空間83からエアを排出する。
【0064】
上述した残留振動を制振する際には、エアマウント26の空気バネとしての容積が第1エア室61の容積及び第2エア室63の容積から形成されることでバネ定数が小さくなるため、低剛性の空気バネとして機能することになる。また、エアマウントに26における振動吸収板66においては、貫通孔66aがオリフィス部として機能するため、配管62におけるエアの振動ピークをダンピングしてその悪影響を限りなく小さくしている。
【0065】
続いて、露光装置1における露光動作について説明する。
ここでは、予め、ウエハW上のショット領域を適正露光量(目標露光量)で走査露光するための各種の露光条件が設定されているものとする。そして、いずれも不図示のレチクル顕微鏡およびオフアクシス・アライメントセンサ等を用いたレチクルアライメント、ベースライン計測等の準備作業が行われ、その後アライメントセンサを用いたウエハWのファインアライメント(EGA;エンハンスト・グローバル・アライメント等)が終了し、ウエハW上の複数のショット領域の配列座標が求められる。
【0066】
このようにして、ウエハWの露光のための準備動作が完了すると、アライメント結果に基づいてレーザ干渉計44の計測値をモニタしつつ、リニアモータ33、35を制御してウエハWの第1ショットの露光のための走査開始位置にウエハステージ5を移動する。そして、リニアモータ15、33を介してレチクルステージ2とウエハステージ5とのY方向の走査を開始し、両ステージ2、5がそれぞれの目標走査速度に達すると、照明光学系IUからの露光用照明光により、レチクルR上の所定の矩形状の照明領域が均一な照度で照明される。この照明領域に対してレチクルRがY方向に走査されるのに同期して、この照明領域と投影光学系PLに関して共役な露光領域に対してウエハWを走査する。
【0067】
そして、レチクルRのパターン領域を透過した照明光が投影光学系PLにより1/5倍あるいは1/4倍に縮小され、レジストが塗布されたウエハW上に照射される。そして、ウエハW上の露光領域には、レチクルRのパターンが逐次転写され、1回の走査でレチクルR上のパターン領域の全面がウエハW上のショット領域に転写される。この走査露光時には、レチクルステージ2のY方向の移動速度と、ウエハステージ5のY方向の移動速度とが投影光学系PLの投影倍率(1/5倍あるいは1/4倍)に応じた速度比に維持されるように、リニアモータ15、33を介してレチクルステージ2およびウエハステージ5が同期制御される。
【0068】
レチクルステージ2の走査方向の加減速時の反力は、固定子20の移動により吸収され、ステージ装置4における重心の位置がY方向において実質的に固定される。また、レチクルステージ2と固定子20とレチクル定盤3との3者間の摩擦が零でなかったり、レチクルステージ2と固定子20との移動方向が僅かに異なる等の理由で、レチクル定盤3の6自由度方向の微少な振動が残留した場合には、上記残留振動を除去すべく、エアマウント12およびボイスコイルモータ13をフィードバック制御する。また、鏡筒定盤25においては、上述したように、レチクルステージ2、ウエハステージ5の移動による微振動が発生しても、6自由度方向の振動を求め、エアマウント26およびボイスコイルモータ27をフィードバック制御することによりこの微振動をキャンセルして、鏡筒定盤25(投影光学系PL)を定常的に安定した位置に維持することができる。
【0069】
以上のように、本実施の形態では、第1エア室61に接続された第2エア室63が下部支持フレーム8dに設けられているので、装置を大型化することなく容積の大きな低剛性の空気バネを得ることができる。しかも、本実施の形態では、第1エア室61の容積に基づいて第2エア室63の容積を設定することで、空気バネとして許容される剛性で、且つ容積増加に見合う剛性低下が得られる適切な容積設定が可能となっている。さらに、本実施の形態では、オリフィス部を有する振動吸収板66を設けているので、配管62におけるエアの振動を容易にダンピングすることができ、共振等、エアの振動に起因する悪影響を抑制することもできる。
【0070】
また、本実施の形態の形態では、下部支持フレーム8dに形成される肉抜き部を第2エア室63として用いるので、第2エア室63を形成するための工数を減らすことができる。しかも、複数の凹部63a間に貫通部63bを形成することで第2エア室63の容積を調整できるため、空気バネとして最適な容積形成を容易に実施することが可能である。そして、本実施の形態では、第2エア室63の表面に表面処理材63eを塗布しているので、第2エア室63からエアが漏出することを防止でき、空気バネとしての機能低下を防止することが可能である。
【0071】
なお、上記実施の形態においては、第2エア室63としてフレームの凹部とする構成としたが、第2エア室を形成する補助タンクをフレーム内に埋設する構成としてもよい。この場合、鋳造に伴うブローホールを考慮する必要がなくなるため、エア漏出防止用の表面処理が不要になりフレーム製造に係る工数を低減できる。また、上記実施の形態では、第1エア室61のみに圧力センサ84及びサーボバルブ85を設ける構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば第2エア室63のみに設ける構成や、第1、第2エア室の双方に設ける構成としてもよい。
【0072】
そして、上記実施の形態では、本発明の支持装置を鏡筒定盤25を介して投影光学系PLを支持する防振ユニット24に適用するものとして説明したが、これに限られず、レチクルステージ2を支持する防振ユニット11やウエハステージ5を支持する防振ユニット29にも適用可能であり、この場合、低剛性の空気バネを有する小型のステージ装置を得ることができる。また、上記実施の形態では、本発明の支持装置を露光装置1に適用した構成としたが、露光装置以外にも転写マスクの描画装置、マスクパターンの位置座標測定装置等の精密測定機器にも適用可能である。
【0073】
なお、本実施の形態の基板としては、半導体デバイス用の半導体ウエハWのみならず、液晶ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
【0074】
露光装置1としては、レチクルRとウエハWとを同期移動してレチクルRのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニング・ステッパー;USP5,473,410)の他に、レチクルRとウエハWとを静止した状態でレチクルRのパターンを露光し、ウエハWを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパー)にも適用することができる。また、本発明はウエハW上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写するステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用可能である。
【0075】
露光装置1の種類としては、ウエハWに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
【0076】
また、不図示の露光用光源として、超高圧水銀ランプから発生する輝線(g線(436nm)、h線(404.nm)、i線(365nm))、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)、F2レーザ(157nm)、Ar2レーザ(126nm)のみならず、電子線やイオンビームなどの荷電粒子線を用いることができる。例えば、電子線を用いる場合には電子銃として、熱電子放射型のランタンヘキサボライト(LaB6)、タンタル(Ta)を用いることができる。また、YAGレーザや半導体レーザ等の高調波などを用いてもよい。
【0077】
例えば、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域又は可視域の単一波長レーザを、例えばエルビウム(又はエルビウムとイットリビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、かつ非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を露光光として用いてもよい。なお、単一波長レーザの発振波長を1.544〜1.553μmの範囲内とすると、193〜194nmの範囲内の8倍高調波、即ちArFエキシマレーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られ、発振波長を1.57〜1.58μmの範囲内とすると、157〜158nmの範囲内の10倍高調波、即ちF2レーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られる。
【0078】
また、レーザプラズマ光源、又はSORから発生する波長5〜50nm程度の軟X線領域、例えば波長13.4nm、又は11.5nmのEUV(Extreme Ultra Violet)光を露光光として用いてもよく、EUV露光装置では反射型レチクルが用いられ、かつ投影光学系が複数枚(例えば3〜6枚程度)の反射光学素子(ミラー)のみからなる縮小系となっている。
【0079】
投影光学系PLの倍率は、縮小系のみならず等倍系および拡大系のいずれでもよい。また、投影光学系PLとしては、エキシマレーザなどの遠紫外線を用いる場合は硝材として石英や蛍石などの遠紫外線を透過する材料を用い、F2レーザやX線を用いる場合は反射屈折系または屈折系の光学系にし(レチクルRも反射型タイプのものを用いる)、また電子線を用いる場合には光学系として電子レンズおよび偏向器からなる電子光学系を用いればよい。なお、電子線が通過する光路は、真空状態にすることはいうまでもない。
【0080】
ウエハステージ5やレチクルステージ2にリニアモータ(USP5,623,853またはUSP5,528,118参照)を用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもよい。また、各ステージ2、5は、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
【0081】
各ステージ2、5の駆動機構としては、二次元に磁石を配置した磁石ユニット(永久磁石)と、二次元にコイルを配置した電機子ユニットとを対向させ電磁力により各ステージ2、5を駆動する平面モータを用いてもよい。この場合、磁石ユニットと電機子ユニットとのいずれか一方をステージ2、5に接続し、磁石ユニットと電機子ユニットとの他方をステージ2、5の移動面側(ベース)に設ければよい。
【0082】
以上のように、本願実施形態の露光装置1は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0083】
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図12に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、シリコン材料からウエハを製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置によりレチクルのパターンをウエハに露光する露光処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、装置を大型化することなく容積の大きな低剛性の空気バネを得ることができるとともに、許容される剛性で、且つ容積増加に見合う剛性低下が得られる空気バネの適切な容積設定が可能である。また、本発明では、接続部における気体の振動に起因する悪影響を抑制することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す図であって、防振ユニットを有する露光装置の概略構成図である。
【図2】同露光装置を構成するレチクルステージの外観斜視図である。
【図3】同露光装置を構成するウエハステージの外観斜視図である。
【図4】同ウエハステージの概略正面図である。
【図5】同ウエハステージの概略平面図である。
【図6】本発明に係る防振ユニットの概略構成図である。
【図7】同防振ユニットの第1エア室を支持する下部支持フレームの外観斜視図である。
【図8】第1エア室の容積に対する第2エア室の容積比とバネ定数との関係を示す図である。
【図9】第1エア室と第2エア室との接続配管に設けられた振動吸収板の外観斜視図である。
【図10】下部支持フレームを製造する手順を示すフローチャート図である。
【図11】下部支持フレームの製造に用いられる鋳型の部分断面図である。
【図12】半導体デバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
【図13】従来技術によるエアマウントの一例を示す図である。
【符号の説明】
PL 投影光学系(物体)
R レチクル(マスク)
W ウエハ(基板、感光基板)
1 露光装置
2 レチクルステージ(マスクステージ)
5 ウエハステージ(基板ステージ)
8d 下部支持フレーム(支持フレーム)
24 防振ユニット(支持装置)
27 ボイスコイルモータ(駆動装置)
61 第1エア室(第1気体室)
62 配管(接続部)
63 第2エア室(第2気体室)
63a 凹部
63b 貫通部
66 振動吸収板(振動吸収装置)
70 空洞部
71 鋳型(型)
72 中子(第1中子)
73 中子(第2中子)
74 中子(第3中子)
80 制御装置
84 圧力センサ(検出装置)
Claims (15)
- 所定圧力の気体が充填され、前記気体により物体を支持する第1気体室と、前記第1気体室を支持する支持フレームとを備えた支持装置であって、
前記支持フレーム内に設けられ、前記第1気体室と連通する第2気体室を有することを特徴とする支持装置。 - 請求項1記載の支持装置において、
前記第2気体室は、前記支持フレームに設けられた複数の凹部と、該複数の凹部間を貫通する貫通部とにより形成されることを特徴とする支持装置。 - 請求項1または2記載の支持装置において、
前記第2気体室の容積は、前記第1気体室の容積に基づいて設定されることを特徴とする支持装置。 - 請求項3記載の支持装置において、
前記第2気体室の容積は、前記第1気体室の容積の1から5倍であることを特徴とする支持装置。 - 請求項1から4のいずれか一項記載の支持装置において、
前記第1気体室と前記第2気体室との少なくとも一方の内圧を検出する検出装置と、該検出装置の検出結果に基づいて前記内圧を制御する制御装置とを有することを特徴とする支持装置。 - 請求項1から5のいずれか一項記載の支持装置において、
前記第1気体室と前記第2気体室との接続部には、振動吸収装置が設けられることを特徴とする支持装置。 - 請求項6記載の支持装置において、
前記振動吸収装置は、所定の周波数帯域の振動を吸収するオリフィス部を有することを特徴とする支持装置。 - 請求項1から7のいずれか一項記載の支持装置において、
前記第2気体室の内面には、前記気体の漏出を防止する表面処理が施されていることを特徴とする支持装置。 - 請求項1から8のいずれか一項記載の支持装置において、
前記支持フレームは、鋳物であることを特徴とする支持装置。 - 請求項1から9のいずれか一項記載の支持装置において、
前記第1気体室が前記物体を支持する方向に、電磁力で前記物体を駆動する駆動装置を有することを特徴とする支持装置。 - 定盤上をステージ本体が移動するステージ装置であって、
前記定盤を請求項1から10のいずれか一項記載の支持装置により支持することを特徴とするステージ装置。 - マスクステージに保持されたマスクのパターンを基板ステージに保持された感光基板に投影光学系により露光する露光装置において、
前記マスクステージと、前記投影光学系と、前記基板ステージとの少なくとも一つを、請求項1から10のいずれか一項記載の支持装置により支持することを特徴とする露光装置。 - 所定圧力の気体が充填され、前記気体により物体を支持する第1気体室と、前記第1気体室を支持する支持フレームとを備えた支持装置の製造方法であって、
空洞部を有する型内に第1中子を設置するとともに、前記第1中子と前記型とに当接する第2中子を設置して前記支持フレームの鋳型を形成するステップと、
前記型内に溶解した材料を注湯するステップと、
前記注湯した材料を冷却した後に前記型及び前記第1中子及び前記第2中子を除去して前記第1気体室と連通可能な第2気体室を形成するステップとを含むことを特徴とする支持装置の製造方法。 - 請求項13記載の支持装置の製造方法において、
前記第1中子及び前記第2中子を対で互いに隙間をあけて複数設置するとともに、隣り合う前記第1中子の間の隙間に第3中子を設置するステップと、
前記支持フレームに前記第2中子で形成された複数の孔部を、一つを除いて閉塞するステップとを含むことを特徴とする支持装置の製造方法。 - 請求項13または14記載の支持装置の製造方法において、
前記第2気体室の内面に、気体の漏出を防止する表面処理を施すステップを含むことを特徴とする支持装置の製造方法。
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-
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