《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態について、図1〜図5(B)を用いて説明する。
図1には、第1の実施形態に係る液晶露光装置10の概略構成が示されている。液晶露光装置10は、例えば液晶表示装置の表示パネルなどに用いられる矩形(角型)のガラス基板P(以下、単に基板Pと称する)を露光対象物とするステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。
液晶露光装置10は、照明系IOP、マスクMを保持するマスクステージMST、投影光学系PL、上記マスクステージMST及び投影光学系PLなどが搭載されたボディBD、基板Pを保持する基板ステージ装置PST、及びこれらの制御系等を含んでいる。以下においては、露光時にマスクMと基板Pとが投影光学系PLに対してそれぞれ相対走査される方向をX軸方向とし、水平面内でこれに直交する方向をY軸方向、X軸及びY軸に直交する方向をZ軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。
照明系IOPは、例えば米国特許第6,552,775号明細書などに開示される照明系と同様に構成されている。すなわち、照明系IOPは、図示しない光源(例えば、水銀ランプ)から射出された光を、それぞれ図示しない反射鏡、ダイクロイックミラー、シャッター、波長選択フィルタ、各種レンズなどを介して、露光用照明光(照明光)ILとしてマスクMに照射する。照明光ILとしては、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)などの光(あるいは、上記i線、g線、h線の合成光)が用いられる。また、照明光ILの波長は、波長選択フィルタにより、例えば要求される解像度に応じて適宜切り替えることが可能になっている。
マスクステージMSTには、回路パターンなどがそのパターン面(図1における下面)に形成されたマスクMが、例えば真空吸着(あるいは静電吸着)により固定されている。マスクステージMSTは、後述するボディBDの一部である鏡筒定盤31の上面に固定された一対のマスクステージガイド35上に、例えば不図示のエアベアリングを介して非接触状態で浮上支持されている。マスクステージMSTは、例えばリニアモータを含むマスクステージ駆動系(不図示)により、一対のマスクステージガイド35上で、走査方向(X軸方向)に所定のストロークで駆動されるとともに、Y軸方向、及びθz方向にそれぞれ適宜微少駆動される。マスクステージMSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、マスクステージMSTが有する不図示の反射面に測長ビームを照射するレーザ干渉計38を含むマスク干渉計システムにより計測される。
投影光学系PLは、マスクステージMSTの図1における下方において、鏡筒定盤31に支持されている。本実施形態の投影光学系PLは、例えば米国特許第6,552,775号明細書に開示された投影光学系と同様の構成を有している。すなわち、投影光学系PLは、レンズモジュールなどを含む光学系(鏡筒)を複数有し、その複数の光学系は、Y軸方向に沿って、いわゆる千鳥状に配列されている(マルチレンズ投影光学系とも称される)。複数の光学系それぞれとしては、例えば両側テレセントリックな等倍系で正立正像を形成するものが用いられている。前述の照明系IOPは、複数の光学系に対応した複数の照明光ILをそれぞれマスクMに照射するように構成されている。このため、マスクM上には、千鳥状に配置された複数の照明光ILの照明領域が形成されるとともに、投影光学系PLの下方に配置された基板P上には、複数の光学系それぞれに対応して、千鳥状に配置された複数の照明光ILの照射領域が形成される。液晶露光装置10では、基板P上に形成される複数の照射領域が合成されることにより、千鳥状に配置された複数の光学系から成る投影光学系PLが、Y軸方向を長手方向とする長方形状の単一のイメージフィールドを持つ投影光学系と同等に機能する。
このため、照明系IOPからの照明光ILによってマスクM上の照明領域が照明されると、マスクMを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその照明領域内のマスクMの回路パターンの投影像(部分正立像)が、投影光学系PLの像面側に配置される、表面にレジスト(感応剤)が塗布された基板P上の照明領域に共役な照明光ILの照射領域(露光領域)に形成される。そして、マスクステージMSTと基板ステージ装置PSTとの同期駆動によって、照明領域(照明光IL)に対してマスクMを走査方向(X軸方向)に相対移動させるとともに、露光領域(照明光IL)に対して基板Pを走査方向(X軸方向)に相対移動させることで、基板P上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にマスクMのパターンが転写される。すなわち、本実施形態では照明系IOP及び投影光学系PLによって基板P上にマスクMのパターンが生成され、照明光ILによる基板P上の感応層(レジスト層)の露光によって基板P上にそのパターンが形成される。
ボディBDは、基板ステージ架台33と、基板ステージ架台33上に配置された一対の支持部材32を介して水平に支持された鏡筒定盤31と、を有している。基板ステージ架台33は、Y軸方向を長手方向とする部材から成り、その長手方向の両端部が、床面F上に設置された防振機構34に支持されており、床面Fに対して振動的に分離されている。これにより、ボディBD、及びボディBDに支持された投影光学系PLなどが床面Fに対して振動的に分離される。
基板ステージ装置PSTは、基板ステージ架台33上に固定された定盤12と、Y軸方向に所定間隔で配置された一対のベースフレーム14と、一対のベースフレーム14上に搭載されたX粗動ステージ23Xと、X粗動ステージ23X上に搭載され、X粗動ステージ23Xと共にXY二次元ステージ装置を構成するY粗動ステージ23Yと、Y粗動ステージ23Yの+Z側(上方)に配置された微動ステージ21と、定盤12上で微動ステージ21を支持する重量キャンセル装置100と、を備えている。
定盤12は、例えば石材により形成された平面視で(+Z側から見て)矩形の板状部材から成り、その上面は、平面度が非常に高く仕上げられている。
一対のベースフレーム14は、一方が定盤12の+Y側、他方が定盤12の−Y側に配置されている。一対のベースフレーム14それぞれは、X軸方向を長手方向とする部材から成り、基板ステージ架台33を跨いだ状態で床面Fに固定されている。また、図1では不図示であるが、一対のベースフレーム14は、X粗動ステージ23XをX軸方向に直進案内するためのXリニアガイド、及びX粗動ステージ23Xを駆動するXリニアモータを構成するX固定子(例えばコイルユニット)などを有している。
X粗動ステージ23Xは、平面視矩形の外形形状を有する枠状の部材から成り、その中央部にY軸方向を長手方向とする長孔状の開口部23Xa(図2参照)を有している。X粗動ステージ23Xの下面には、YZ断面逆U字状に形成された一対のステージガイド15が、一対のベースフレーム14に対応して固定されている。ステージガイド15は、図1では不図示であるが、ベースフレーム14の有するXリニアガイド(不図示)に対してスライド可能に係合するスライド部材、及び上述したX固定子と共にXリニアモータを構成するX可動子(例えば、磁石ユニット)などを有している。X粗動ステージ23Xは、Xリニアモータを含むX粗動ステージ駆動系により、一対のベースフレーム14上でX軸方向に所定ストロークで駆動される。また、X粗動ステージ23Xの上面には、X軸方向に離間して配置された一対のYリニアガイド28が固定されている(−X側のYリニアガイド28は紙面奥側に隠れている)。また、図1では不図示であるが、X粗動ステージ23Xの上面には、Y粗動ステージ23Yを駆動するYリニアモータを構成するY固定子(例えばコイルユニット)が固定されている。
Y粗動ステージ23Yは、X粗動ステージ23XよりもY軸方向の寸法が短い平面視で矩形の外形形状を有する枠状の部材から成り、その中央部に開口部23Ya(図2参照)を有している。Y粗動ステージ23Yの下面の、例えば四隅部には、XZ断面逆U字状に形成されたスライド部材29が固定されている(−X側の2つのスライダ29は紙面奥側に隠れている)。+X側の2つのスライド部材29は、+X側のYリニアガイド28にスライド可能に係合し、不図示の−X側の2つのスライド部材29は、−X側のXリニアガイド28(不図示)にスライド可能に係合している。また、図1では不図示であるが、Y粗動ステージ23Yの下面には、上述したY固定子と共にYリニアモータを構成するY可動子(例えば、磁石ユニット)が固定されている。Y粗動ステージ23Yは、Yリニアモータを含むY粗動ステージ駆動系により、X粗動ステージ23X上でY軸方向に所定ストロークで駆動される。X粗動ステージ23X、及びY粗動ステージ23Yそれぞれの位置情報は、例えば不図示のリニアエンコーダシステムにより計測される。なお、X粗動ステージ23X,Y粗動ステージ23YをそれぞれX軸方向、Y軸方向に駆動する駆動方式は、例えば送りねじによる駆動方式、あるいはベルト駆動方式などの他の方式であっても良い。また、X粗動ステージ23X、及びY粗動ステージ23Yそれぞれの位置情報は、例えば光干渉計システムなどの他の計測方法により求めても良い。
微動ステージ21は、平面視略正方形の高さの低い直方体状の部材から成り、その上面に基板ホルダPHを介して基板Pを保持する。基板ホルダPHは、例えば図示しない真空吸着装置(又は静電吸着装置)を有しており、その上面に基板Pを吸着保持する。微動ステージ21の−Y側の側面には、ミラーベース24Yを介してY軸に直交する反射面を有するY移動鏡(バーミラー)22Yが固定されている。また、微動ステージ21の−X側の側面には、不図示のミラーベースを介してX軸に直交する反射面を有するX移動鏡(図示省略)が固定されている。微動ステージ21のXY平面内の位置情報は、Y移動鏡22Y及びX移動鏡それぞれに測長ビームを照射し、その反射光を受光するレーザ干渉計を含むレーザ干渉計システムによって、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。なお、レーザ干渉計システムは、Y移動鏡22Y、X移動鏡それぞれに対応したXレーザ干渉計、Yレーザ干渉計を有しているが、図1では、代表的にYレーザ干渉計39のみが図示されている。
微動ステージ21は、図2に示されるように、Y粗動ステージ23Yに固定されたY固定子16y(例えば、コイルユニット)と、微動ステージ21に固定されたY可動子17y(例えば、磁石ユニット)と、を含むローレンツ電磁力駆動方式のYボイスコイルモータ18yにより、Y粗動ステージ23Y上でY軸方向に微少駆動される。Yボイスコイルモータ18yは、図2では不図示であるが、X軸方向に所定間隔で複数設けられている。また、図2では不図示であるが、微動ステージ21は、Y粗動ステージ23Yに固定されたX固定子と、微動ステージ21に固定されたX可動子と、を含むローレンツ電磁力駆動方式のXボイスコイルモータにより、Y粗動ステージ23Y上でX軸方向に微少駆動される。Xボイスコイルモータは、Y軸方向に所定間隔で複数設けられている。また、微動ステージ21は、Y粗動ステージ23Yに固定されたZ固定子16zと、微動ステージ21に固定されたZ可動子17zと、を含むローレンツ電磁力駆動方式のZボイスコイルモータ18zにより、Y粗動ステージ23Y上でZ軸方向に微少駆動される。Zボイスコイルモータ18zは、例えば微動ステージ21の四隅部に対応する位置に配置されている。以上の構成により、微動ステージ21は、投影光学系PL(図1参照)に対し、XY2軸方向に長ストロークで移動(粗動)可能、且つ6自由度方向(X軸、Y軸、Z軸、θx、θy、θzの各方向)に微少移動(微動)可能となっている。また、微動ステージ21は、その下面側にレベリング装置120と称される装置を有している。レベリング装置120の構成については、後に詳述する。
重量キャンセル装置100は、図2に示されるように、X粗動ステージ23Xの開口部23Xa内、及びY粗動ステージ23Yの開口部23Ya内に挿入された、Z軸方向に延設された柱状の部材から成り、心柱とも称される。重量キャンセル装置100は、レベリング装置120を介して微動ステージ21の中央部を下方から支持している。重量キャンセル装置100は、図3に示されるように、筐体102、空気ばね104、及びZスライダ106を有している。
筐体102は、平面視で八角形の外形形状を有する板状部材から成るベース102aと、ベース102aの上面に固定された、XY断面が八角形状の外形形状を有する筒状部材から成るハウジング102bと、を含む。筐体102は、ベース102aの下面に取り付けられた複数の気体静圧軸受、例えばエアベアリング108(ベースパッドとも称される)により、定盤12上に非接触支持されている(図2参照)。また、筐体102は、図2に示されるように、板ばね(あるいは、ばね性を有しない薄い鋼板)を含む複数の連結装置110(フレクシャ装置とも称される)によりY粗動ステージ23Yに接続されている。連結装置110は、筐体102の+X側、−X側,+Y側,及び−Y側それぞれに設けられ、筐体102とY粗動ステージ23Yとを、重量キャンセル装置100のZ軸方向に関する重心付近の位置(高さ)で接続している(ただし、+X側及び−X側の連結装置110は不図示)。筐体102は、Y粗動ステージ23Yに連結装置110を介して牽引されることにより、Y粗動ステージ23Yと一体的にX軸方向、及び/又はY軸方向に定盤上12を移動する。
また、筐体102の外壁面には、複数(例えば、4本)のアーム部材112が固定されている(4本のアーム部材のうち、2本は図示省略)。4本のアーム部材112は、X軸及びY軸に、例えば45°の角度を成すように放射状に延びている。4本のアーム部材112それぞれの先端部には、微動ステージ21の下面に固定された4つのレーザ変位センサ92(4つのレーザ変位センサのうち2つは図示省略)と共に、微動ステージ21の重量キャンセル装置100に対するZ軸方向、θx、θy方向それぞれの位置情報(鉛直方向の移動量、及び水平面に対するチルト量)を計測するためZセンサを構成するターゲット93が固定されている。
空気ばね104は、図3に示されるように、筐体102内の最下部に収容され、ベース102a上に載置されている。空気ばね104は、ゴム系の材料(例えば、エラストマなどのゴム性を有する樹脂材料も含む)により形成された中空の部材から成るベローズ104aと、ベローズ104aの上方(+Z側)、及び下方(−Z側)それぞれに配置されたXY平面に平行な一対のプレート104b、104c(例えば、金属板)と、を有する。ベローズ104aの内部は、図示しない気体供給装置(例えば、コンプレッサ)から圧縮気体(例えば、空気)が供給されることにより、外部に比べて圧力の高い陽圧空間となっている。重量キャンセル装置100は、空気ばね104が発生する上向き(+Z方向)の力で、その支持対象物、具体的には、Zスライダ106、図2に示される微動ステージ21(レベリング装置120を含む)、基板ホルダPH、基板Pなどから成る系の重量(重力加速度による下向き(−Z方向)の力)を打ち消すことにより、上述した複数のZボイスコイルモータ18zの負荷を低減する。
ベローズ104aの上方に配置されたプレート104bには、複数(例えば、4つ)のプレート114が接続されている(4つのプレート114のうち、2つは図示省略)。4つのプレート114それぞれは+X、−X,+Y、及び−Y方向に放射状に延びている。4つのプレート114は、ハウジング102bに形成された4つの開口部102c(4つの開口部102cのうち、2つは図示省略)それぞれに挿入され、ハウジング102bの外部に付き出している。また、ハウジング102bの外壁面には、開口部102cの+Z側、及び−Z側それぞれに一対のストッパ116が固定されており、その一対のストッパ116により、プレート104bのZ軸方向に関する移動上限位置、移動下限位置が規定されている。
Zスライダ106は、筐体102の内部に収容されたZ軸方向にほぼ平行に延びる柱状の部材から成り、プレート104b上に搭載されている。Zスライダ106は、円柱状の部材の外周面におけるZ軸周りに均等な間隔(120°間隔)の3箇所が、XY平面に垂直に切り欠かれた様な外形形状を有している(図4(A)参照)。以下、Zスライダ106が有する3つのXY平面に垂直な面を外壁面と称して説明する。プレート104bの上面には、円環状の部材から成るガイドリング117が固定され、Zスライダ106は、ガイドリング117の内径側に挿入されており、XY平面に平行な方向への移動(横ずれ)が抑制されている。Zスライダ106の中央部には、Z軸方向に貫通する開口部が形成され、その開口部内には、ベローズ104aに連通する不図示の補助タンク(リザーブタンク)が挿入されている。また、Zスライダ106の+Z側の面(上面)には、複数、例えば3つの気体静圧軸受、例えばエアベアリング118(エアパッド)が取り付けられている。エアベアリング118の軸受面は、+Z方向(天井方向)を向いているため、シーリングパッド118とも称される。重量キャンセル装置100では、微動ステージ21がZボイスコイルモータ18z(図2参照)によりZ軸方向に駆動されると、Zスライダ106が微動ステージ21に追従してZ軸方向に移動するように、ベローズ104a内の圧力が制御される。
レベリング装置120は、図2に示されるように、Zスライダ106の上方に配置されており、底面が平坦であるカップ状に形成されたレベリングカップ122と、レベリングカップ122の内壁面にヒンジジョイント124(あるいはボールジョイント)を介して揺動(首振り)自在に取り付けられた複数(例えば3つ)の気体静圧軸受、例えばエアベアリング126と、を含む。レベリングカップ122は、Zスライダ106に取り付けられた複数のエアベアリング118(シーリングパッド)により、下方から非接触支持されている。複数のエアベアリング126は、微動ステージ21の下面に固定された、例えば三角錐状の多面体部材128の複数の側面それぞれに対して、図示しない気体供給装置から供給された気体を噴出し、微動ステージ21を非接触支持する。これにより、微動ステージ21は、XY平面に対して揺動自在に(θx及びθy方向の移動(チルト)が許容された状態で)重量キャンセル装置100に支持される。なお、上記連結装置110(フレクシャ装置)、レベリング装置120などの構成は、例えば国際公開第2008/129762号などに開示されている。
次に、重量キャンセル装置100において、Zスライダ106をZ軸方向に直進案内するための、Zスライダ106と筐体102との接続構造について、図3を用いて説明する。なお、図3は、重量キャンセル装置における、Zスライダ106と筐体102との接続構造を説明するための断面図であり、図4(D)におけるA−A線断面の断面図である。
筐体102のハウジング102b内には、円筒形状の部材から成るガイドシリンダ130が挿入されている。ハウジング102bの内壁面とガイドシリンダ130の外壁面との間には、所定のクリアランスが形成されている。また、Zスライダ106は、ガイドシリンダ130内に挿入されている。Zスライダ106の外壁面と、ガイドシリンダ130の内壁面との間にも、所定のクリアランスが形成されているが、そのクリアランスは、ハウジング102bの内壁面とガイドシリンダ130の外壁面との間のクリアランスよりも広く設定されている。また、ガイドシリンダ130のZ軸方向に関する寸法(高さ)は、Zスライダ106のZ軸方向に関する寸法よりも小さく(短く)設定されている。
Zスライダ106は、ガイドシリンダ130に対して、Z軸方向に離間し、且つ互いに平行に配置された一対の板ばね142を含む、複数の平行板ばね装置140により接続されている。本実施形態では、平行板ばね装置140は、Zスライダ106に対し、Z軸周りにほぼ均等な間隔(120°間隔)で3つ設けられている(図4(B)参照)。板ばね142は、厚さが、例えば0.1mm〜0.5mm程度の鋼板から成る。従って、板ばね142にせん断力(Z軸方向への力)が作用した場合、その板ばね142は、Z軸方向に所定量弾性変形する。ここで、Zボイスコイルモータ18z(図2参照)による微動ステージ21のZ軸方向に関する移動ストロークは、例えば10mm程度であり、Zスライダ106は、Z軸方向に、例えば10mm程度移動する。そして、板ばね142としては、弾性域内でZスライダ106に追従して変形(弾性変形)するものが用いられている。
Zスライダ106は、図4(A)に示されるように、3つの外壁面の上端部(+Z側の端部)それぞれが切り欠かれることにより、段付き面部144a(Zスライダ106の上端面よりも−Z側に凹んだ面部)が形成されている。また、Zスライダ106の3つの外壁面の下端部(−Z側の端部)にも、同様に段付き面部144b(Zスライダ106の下端面よりも+Z側に凹んだ面部)が形成されている。そして、図3に示されるように、平行板ばね装置140を構成するZ軸方向に離間した一対の板ばね142のうち、+Z側の板ばね142は、ガイドシリンダ130の上端面部と、Zスライダ106の段付き面部144a(図4(B)参照)との間に架設されている。板ばね142は、複数のワッシャ146を介してボルト148によりガイドシリンダ130、及びZスライダ106それぞれに固定されている。また、平行板ばね装置140を構成する一対の板ばね142のうち、−Z側の板ばね142は、ガイドシリンダ130の下端面部と、Zスライダ106の段付き面部144bとの間に架設され、複数のワッシャ146を介してボルト148により、ガイドシリンダ130、及びZスライダ106それぞれに固定されている。なお、図4(B)〜図4(D)では不図示であるが、ボルト148は、板ばね142の幅方向に沿って、複数用いられている。
Zスライダ106は、3つの平行板ばね装置140それぞれが有する板ばね142の弾性により、ガイドシリンダ130に対してZ軸方向に相対移動可能となっている。一方、Zスライダ106は、3つの平行板ばね装置140それぞれが有する板ばね142の剛性(引っ張り剛性)により、ガイドシリンダ130に対してXY平面に平行な方向への相対移動が制限される。そして、平行板ばね装置140は、Z軸方向に離間した一対の平行な板ばね142により構成されるので、Zスライダ106のXY平面に平行な軸線周り(例えばX軸周り、あるいはY軸周り)の回転が防止される。従って、Zスライダ106は、複数の平行板ばね装置140により、ガイドシリンダ130に対してZ軸方向(鉛直方向)にのみ案内される。
また、図3に示されるように、ハウジング102bには、Z軸周りにほぼ均等な間隔(90°間隔)で、Z軸方向(上下方向)に離間した一対の貫通孔(図示省略)が複数形成され、その貫通孔それぞれには、内径側に段付部を有するスリーブ150が挿入されている(ハウジング102bの+X側、−X側に設けられたスリーブ150は、図示省略)。スリーブ150の外周面には、ねじ山が形成されており、ハウジング102bに対してねじ込まれることにより固定されている。スリーブ150のハウジング102bに対するねじ込み量は、ハウジング102bの外部(外側)から調整できるようになっている。また、スリーブ150の内径側には、調整ねじ152が挿入され、その調整ねじ152の先端部は、ガイドシリンダ130の外壁面に形成された不図示のねじ穴に螺合している。調整ねじ152のねじ頭は、ハウジング102bの外壁面に露出しており、外部から操作可能となっている。従って、調整ねじ152、及びスリーブ150のねじ込み量を適宜調整することにより、ガイドシリンダ130の外壁面と、ハウジング102bの内壁面とのクリアランスを調整することができる。
そして、調整ねじ152、及びスリーブ150は、それぞれZ軸方向(上下方向)に離間して一対設けられているので、調整ねじ152、及びスリーブ150のねじ込み量を異ならせることにより、ガイドシリンダ130のハウジング102bに対する傾き量(鉛直軸(Z軸)に対する傾き)を調整することができる。これにより、Zスライダ106の移動方向の鉛直軸に対する傾き調整(鉛直度調整)を行うことができる。ここで、レベリング装置120(図2参照)では、ヒンジジョイント124の可動範囲により微動ステージ21の揺動可能量(角度)が規定されるため、微動ステージ21を全方向に均等な量で揺動可能にするためには、レベリングカップ122が水平に配置されていることが好ましい。重量キャンセル装置100では、Zスライダ106の鉛直度調整を行うことにより、複数のシーリングパット118の軸受面それぞれを水平に調整することができ、これにより、レベリングカップ122を水平にすることができる。
次に、重量キャンセル装置100の組み立て手順について図4(A)〜図4(D)を用いて簡単に説明する。重量キャンセル装置100を組み立てる際には、まず、図4(B)に示されるように、ガイドシリンダ130内にZスライダ106が挿入された状態で、平行板ばね装置140を構成する複数の板ばね142の一端がガイドシリンダ130に固定されるとともに、他端がZスライダ106にそれぞれ固定される。なお、図4(B)では図示が省略されているが、重量キャンセル装置100の組み立て時には、ガイドシリンダ130とZスライダ106との間に、板ばね142の他に、組み立て時にのみ暫定的に使用される複数の締結部材が架設され、ガイドシリンダ130とZスライダ106との相対移動(Zスライダ106の垂れ下がり)が制限される。
次いで、図4(C)に示されるように、上記不図示の締結部材により一体的に締結されたガイドシリンダ130とZスライダ106とが、ベース102a上に固定された空気ばね104上に搭載される。この後、図4(D)に示されるように、ベース102aにハウジング102bが固定されるとともに、スリーブ150、及び調整ねじ152を(図3参照)を用いてハウジング102bとガイドシリンダ130とが締結される。そして、空気ばね104のベローズ104a内に空気が供給されることにより、Zスライダ106が空気ばね104に支持された状態で、上記ガイドシリンダ130とZスライダ106とを締結する不図示の締結部材が取り外される。
次に、空気ばね104を用いて、微動ステージを含む系(微動ステージ21、基板ホルダPH及び基板P(図2参照)などを含む系)と、Zスライダ106を含む系(Zスライダ106、エアベアリング118(図3参照)などを含む系)と、を併せた系(以下、微動ステージ系と称する)の重量をキャンセルする方法を説明する。
図5(A)及び図5(B)には、重量キャンセル装置100を模式化した(理解を容易にするため空気ばね104,及び複数の平行板ばね装置140それぞれをコイルばねとして示した)モデル図が示されている。図5(A)及び図5(B)に示されるように、空気ばね104(図3参照)のばね定数をK1,3つの平行板ばね装置140が有する計6枚の板ばね142(図3参照)の総合的なばね定数をK2とする。
図5(A)では、空気ばね104に作用する重力方向下向きの力P(微動ステージ系の総重量)と、空気ばね104(ベローズ104a)内の内圧による重力方向上向きの力Pと、が釣り合っている。これに対し、図5(B)には、微動ステージ21が、Zボイスコイルモータ18z(図2参照)により+Z方向に距離sだけ駆動された状態が示されている。図5(B)に示される状態で、仮に空気ばね104のベローズ104a内の内圧を図5(A)の状態から変えない場合、Zボイスコイルモータ18zに必要な力(静止時)をFとすると、その力の釣り合いは、P−s・K1+F=P+s・K2で表され、これより、F=s・(K1+K2)となる。
すなわち、本実施形態の重量キャンセル装置100では、微動ステージ21のZ軸方向に関する変位量sに応じて、F=s・(K1+K2)の力を空気ばね104に発生させることにより、空気ばね104による力と、微動ステージ系の重量とを釣り合わせること(すなわち、微動ステージ系の重量をキャンセルすること)ができ、Zボイスコイルモータ18zの負荷を軽減することができる。ベローズ104a内の圧力は、不図示の気体供給装置と空気ばね104とを接続する気体供給ラインに設けられた不図示の圧力センサを用いて不図示の制御装置にモニタされている。そして、その制御装置は、微動ステージ21のZ位置の変化に応じて、空気ばね104に供給する圧縮空気の圧力調整を自動的に行うようになっている。この際、上記気体供給ラインに応答性の高いサーボバルブを設け、そのサーボバルブの開閉制御により、圧力調整を行う。なお、空気ばね104が発生する力Fは、ベローズ104aのばね性による力を別にすると、ベローズ104aの内圧と外気圧との圧力差に、空気ばね104の有効受圧面積を乗じたものとなる。また、厳密には、空気ばね104のばね定数K1は、空気ばね104(ベローズ104a)の剛性の他に、不図示の補助タンクなどによる効果、空気ばね104の伸縮量に応じて変化する有効受圧面積の効果による剛性などが合成されたものとなる。なお、制御方法に関しては、ベローズの内圧を微動ステージの位置に追従制御させて完全な重量キャンセルを行なわなければならないことはなく、応答性を求められる高周波制御域(たとえば5Hz以上)では、Zボイスコイルモータ18zの駆動により微動ステージ21の位置制御を行ってもよい。
上述のようにして構成された液晶露光装置10(図1参照)では、不図示の主制御装置の管理の下、不図示のマスクローダによって、マスクステージMST上へのマスクMのロード、及び不図示の基板ローダによって、基板ステージ装置PST上への基板Pのロードが行なわれる。その後、主制御装置により、不図示のアライメント検出系を用いてアライメント計測が実行され、アライメント計測の終了後、ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行なわれる。この露光動作は従来から行われているステップ・アンド・スキャン方式と同様であるのでその説明は省略するものとする。
以上説明したように、第1の実施形態の基板ステージ装置PSTによると、空気ばね104が発生する重力方向(鉛直方向)上向きの力により、微動ステージ21を含む系の重量(鉛直方向下向きの力)がキャンセル(相殺)されるので、微動ステージ21をZ軸方向に駆動するZボイスコイルモータ18zの負荷が低減される。そして、微動ステージ21及び空気ばね104相互間で鉛直方向の力の伝達を行うZスライダ106を、ガイドシリンダ130に対して複数の平行板ばね装置140により接続したので、簡単な構成でZスライダ106を精度良くZ軸方向に直進案内できる。また、構成が簡単であるので、重量キャンセル装置100のコスト(製造コスト及びランニングコスト)を低減でき、かつ組み立て、及び調整作業が容易となる。
また、平行板ばね装置140をZスライダ106の周囲にほぼ均等な間隔で3つ設けたので、XY平面に平行な平面内のあらゆる方向に剛性を発揮することができる。
また、スリーブ150、及び調整ねじ152を用いてZスライダ106のハウジング102bに対する傾きを調整することができるので、例えば、仮に筐体102に歪みが生じたとしても、Zスライダ106の移動方向を鉛直軸(Z軸)に平行に調整(鉛直度調整)することができる。また、スリーブ150,調整ねじ152が筐体102の外部から操作可能のであるので、Zスライダ106の鉛直度調整を容易且つ速やかに行うことができる。また、Zスライダ106の鉛直度調整は、ベースパッド108の軸受面とシーリングパッド118の下面との平行度調整を兼ねているので、重量キャンセル装置100の上面側(シーリングパッドの軸受面側)に搭載される微動ステージ21を確実に定盤12に平行にすることができる。なお、揺動(首振り)自在の3個のシーリングパッド108それぞれの軸受面の位置を変えることにより、ベースパッド108の軸受面とシーリングパッド118の下面との平行度調整を行っても良く、この場合、Zスライダ106の鉛直度調整を行わなくても良い。
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態について図6を用いて説明する。第2の実施形態に係る液晶露光装置は、上記第1の実施形態と比べ、重量キャンセル装置の構成が異なるのみなので、以下、重量キャンセル装置の構成について説明する。なお、説明の簡略化及び図示の便宜上から、上記第1の実施形態と同様の構成、及び作用を有するものについては、上記第1の実施形態と同じ符号を付して、その説明を省略する。
図6に示されるように、第2の実施形態に係る重量キャンセル装置200は、上記第1の実施形態と比べ、平行板ばね装置の代わりに平行リンク装置240によりZスライダ206がZ軸方向に直進案内される点が主に異なる。また、Zスライダ206は、平行リンク装置240によりハウジング102bに直接接続されている。なお、平行リンク装置240は、上記第1の実施形態の平行板ばね装置140(図4(B)参照)と同様に、Zスライダ206の周囲に、ほぼ均等な間隔(Z軸周りに120°間隔)で、3つ(3つの平行リンク装置240のうち、ひとつは図示省略)設けられている。
平行リンク装置240は、ハウジング102bの内壁面に複数のボルト242により固定される矩形板状の部分である筐体側固定部240aと、Zスライダ206の外壁面に複数のボルト242により固定される矩形板状の部分であるZスライダ側固定部240bと、筐体側固定部240a及びZスライダ側固定部240bそれぞれの+Z側の端部間に架設される矩形板状の部分である上側架設部240cと、筐体側固定部240a及びZスライダ側固定部240bそれぞれの−Z側の端部間に架設される矩形板状の部分である下側架設部240dと、を有している。筐体側固定部240a、Zスライダ側固定部240b、上側架設部240c、及び下側架設部240dは、ばね性を有する材料、例えば金属材料(あるいは合成樹脂材料)などにより一体的に形成されている。なお、Zスライダ206には、Z軸方向の中央部に凹部206aが形成されており、Zスライダ側固定部240bは、その凹部206aの底面部(水平面に直交する面部)に固定されている。
上側架設部240cと、筐体側固定部240a及びZスライダ側固定部240bそれぞれとの接続部分には、例えばワイヤカット加工などを用いて形成された溝が、上側架設部240cの上面側、及び下面側それぞれに形成されている。すなわち、上側架設部240cと、筐体側固定部240a及びZスライダ側固定部240bそれぞれとの接続部分は、他の部分よりも厚みか薄くなっており、ヒンジとして機能する。また、下側架設部240dと、筐体側固定部240a及びZスライダ側固定部240bそれぞれとの接続部分にも、同様に溝が形成されており、下側架設部240dと、筐体側固定部240a及びZスライダ側固定部240bそれぞれとの接続部分がヒンジとして機能する。従って、平行リンク装置240は、Zスライダ206とハウジング102bとの水平面に平行な方向の相対移動を上側架設部240cと下側架設部240dの水平方向の剛性により制限しつつ、ヒンジ機能によりZスライダ206をZ軸方向に直進案内することができる。
本第2の実施形態の重量キャンセル装置200でも、上記第1の実施形態と同様に、Zスライダ206を簡単な構成でZ軸に平行に直進案内することができる。
なお、上記第1及び第2の実施形態に係る重量キャンセル装置100,200の構成は、一例であって、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、上記第1及び第2の実施形態では、重力方向上向きの力を発生する力発生部として、空気ばね104が用いられているが、これに限らず、例えばエアシリンダなどのアクチュエータ、あるいはコイルばねなどの弾性部材を用いても良い。
また、上記第1の実施形態では、Zスライダ106とハウジング102bとは、ガイドシリンダ130を介して平行板ばね装置140により接続されているが、Zスライダ106を直接ハウジング102bに接続しても良い。また、上記第2の実施形態では、Zスライダ106が直接ハウジング102bに接続されているが、例えばハウジング102b内に上記第1の実施形態と同様なガイドシリンダを挿入し、そのガイドシリンダとZスライダ206とを平行リンク装置240で接続しても良い。
また、上記第1の実施形態の平行板ばね装置140(図3参照)は、上下方向に離間した2枚の板ばね142により構成されているが、これに限らず、例えば3枚以上の平行な板ばねにより構成されても良い。この場合、平行板ばね装置のZ軸方向以外の剛性を向上させることができる。
また、上記第1及び第2の実施形態では、3つの平行板ばね装置140(図3参照)、あるいは平行リンク装置240(図6参照)が、Zスライダの周囲にほぼ均等な間隔で設けられていたが、平行板ばね装置140及び平行リンク装置240それぞれは、ひとつでもXY平面に平行な方向に剛性を有し、ZスライダをZ軸方向に案内できるので、例えばひとつでも良い。また、平行板ばね装置140、あるいは平行リンク装置240を、Zスライダの周囲にほぼ均等な間隔で2つ、あるいは4つ以上設けても良い。
また、上記第2の実施形態の平行リンク装置240(図6参照)は、一体的に形成されたひとつの部材から成ったが、これに限らず、上側架設部240cを含む部分と、下側架設部240dを含む部分とで分割して2つの部材としても良い。
また、上記実施形態では、照明光は、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。また、照明光としては、例えばDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、固体レーザ(波長:355nm、266nm)などを使用しても良い。
また、上記実施形態では、投影光学系PLが、複数本の光学系を備えたマルチレンズ方式の投影光学系である場合について説明したが、投影光学系の本数はこれに限らず、1本以上あれば良い。また、上記実施形態では投影光学系PLとして、投影倍率が等倍系のものを用いる場合について説明したが、これに限らず、投影光学系は拡大系及び縮小系のいずれでも良い。
また、上記各実施形態では、スキャニング・ステッパに本発明が適用された場合について説明したが、これに限らず、ステッパなどの静止型露光装置に本発明を適用しても良い。また、ショット領域とショット領域とを合成するステップ・アンド・スティッチ方式の投影露光装置にも本発明は適用することができる。また、本発明は、投影光学系を用いない、プロキシミティ方式の露光装置にも適用することができる。
また、露光装置の用途としては、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置に限定されることなく、例えば半導体製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるマスク又はレチクルを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。なお、露光対象となる物体はガラスプレートに限られるものでなく、例えばウエハ、セラミック基板、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。
なお、本発明に係る移動体装置は、露光装置に限らず、例えばインクジェット式の機能性液体付与装置を備えた素子製造装置にも適用することができる。
液晶表示素子(あるいは半導体素子)などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたマスク(あるいはレチクル)を製作するステップ、ガラス基板(あるいはウエハ)を製作するステップ、マスク(レチクル)のパターンをガラス基板に転写するリソグラフィステップ、露光されたガラス基板を現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記各実施形態の露光装置を用いて前述の露光方法が実行され、ガラス基板上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。