JPWO2002094527A1 - 穿孔装置及び穿孔工法 - Google Patents

穿孔装置及び穿孔工法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2002094527A1
JPWO2002094527A1 JP2002591225A JP2002591225A JPWO2002094527A1 JP WO2002094527 A1 JPWO2002094527 A1 JP WO2002094527A1 JP 2002591225 A JP2002591225 A JP 2002591225A JP 2002591225 A JP2002591225 A JP 2002591225A JP WO2002094527 A1 JPWO2002094527 A1 JP WO2002094527A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
drilling
bit
tool
speed
peripheral speed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002591225A
Other languages
English (en)
Inventor
真崎 繁
繁 真崎
稔雄 今岡
稔雄 今岡
九州男 佐藤
九州男 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Materials Corp filed Critical Mitsubishi Materials Corp
Publication of JPWO2002094527A1 publication Critical patent/JPWO2002094527A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B28WORKING CEMENT, CLAY, OR STONE
    • B28DWORKING STONE OR STONE-LIKE MATERIALS
    • B28D1/00Working stone or stone-like materials, e.g. brick, concrete or glass, not provided for elsewhere; Machines, devices, tools therefor
    • B28D1/02Working stone or stone-like materials, e.g. brick, concrete or glass, not provided for elsewhere; Machines, devices, tools therefor by sawing
    • B28D1/04Working stone or stone-like materials, e.g. brick, concrete or glass, not provided for elsewhere; Machines, devices, tools therefor by sawing with circular or cylindrical saw-blades or saw-discs
    • B28D1/041Working stone or stone-like materials, e.g. brick, concrete or glass, not provided for elsewhere; Machines, devices, tools therefor by sawing with circular or cylindrical saw-blades or saw-discs with cylinder saws, e.g. trepanning; saw cylinders, e.g. having their cutting rim equipped with abrasive particles
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B28WORKING CEMENT, CLAY, OR STONE
    • B28DWORKING STONE OR STONE-LIKE MATERIALS
    • B28D1/00Working stone or stone-like materials, e.g. brick, concrete or glass, not provided for elsewhere; Machines, devices, tools therefor
    • B28D1/14Working stone or stone-like materials, e.g. brick, concrete or glass, not provided for elsewhere; Machines, devices, tools therefor by boring or drilling
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10TTECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
    • Y10T408/00Cutting by use of rotating axially moving tool
    • Y10T408/03Processes
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10TTECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
    • Y10T408/00Cutting by use of rotating axially moving tool
    • Y10T408/89Tool or Tool with support
    • Y10T408/895Having axial, core-receiving central portion

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mining & Mineral Resources (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Processing Of Stones Or Stones Resemblance Materials (AREA)
  • Earth Drilling (AREA)

Abstract

バインダ材を焼結してなる結合相の中に超砥粒が分散配置されて形成されたビットを円筒状のチューブの先端に設けてコアビットとし、ダイレクトモータによってコアビットを軸線回りに回転駆動し、回転するコアビットの先端で脆性材料からなる被掘削物を穿孔するよう穿孔装置を構成した。このとき、コアビットが穿孔時に0.6N/mm2以上の圧力で被掘削物に押し当てられた状態で、ビットの外周側の周速が300m/min以上となるようにコアビットを回転するように構成した。

Description

技術分野
本発明は、一般に、コンクリート、アスファルト、御影石や大理石等の石材、及び岩盤等の脆性材料からなる被掘削物を穿孔するための穿孔装置及び穿孔工法に係り、特にタイル張りされた壁のタイルや目地等を穿孔する際に用いられたり、トンネルや下水管等の内面に敷設されたコンクリート壁を穿孔する際に用いられて好適な穿孔装置及び穿孔工法に関する。
背景技術
既設されたコンクリート製の壁を補強する方法として、まずこの壁を大きくくり貫き、このくり貫かれた開口部に鉄製のブレス(筋交い)を設け、次いでこのブレスと開口部の内周面に配設させたアンカとをコンクリートで固めることによって壁全体を補強しようとする方法がある。このときアンカは、開口部の内周面に設けた穴に収容させることによって配設される。
このアンカを配設するための穴は、例えば、図11に示すように、バインダ材を焼結してなる結合相中に超硬合金あるいは超砥粒が分散配置されて形成されたチップ状のビット80aが円筒状の工具本体の先端に設けられてなるコアビット80(穿孔工具)と、このコアビット80を軸線まわりに回転させるためのモータ81(回転駆動装置)とを備えた穿孔装置によって形成される。
すなわち、穿孔の際には、被掘削物であるコンクリート82にコアビット80の先端に設けられたビット80aを回転させつつ押し当てることによってコンクリート82を穿孔し、円柱状のコア芯83を形成する。そして、コンクリート82内部に残存するコア芯83の根元83aを折ってからコア芯83を引き抜くことによって、コアビット80の径に応じて、例えば直径15〜50mm程度、深さ50〜500mm程度の穴が形成される。
また、トンネルの内面に敷設されたコンクリート壁の崩落を防ぐために、このコンクリート壁を貫通してコンクリート壁の裏側の岩盤にまで至る穴を穿設し、この穴からコンクリート壁と岩盤との間にグラウト材等を注入してコンクリート壁を補強することが行われている。
コンクリート壁を穿孔する際には、岩盤を削孔する従来の削岩機は、削岩機による振動がかえって崩落を促進するとの理由で採用されず、そのかわりに、コンクリート製の構造物を穿孔するために図11に示すような穿孔装置が同様に使用されている。この場合、コアビット80の径に応じて、例えば直径70〜100mm程度の穴が穿設される。
また、外壁がタイル張りされた建築物の老朽化に伴うタイルの剥落を防止するために、タイルやタイルの間の目地を穿孔して下地のコンクリートの壁まで到達する穴を形成し、この穴から剥がれかかったタイルの裏側に樹脂を注入してタイルを固着させることが行われている。このようなタイルやタイルの目地の穿孔には、例えば、コンクリートを穿孔する小形の振動ドリルが用いられている。
ところが通常の振動ドリルは、穿孔時にドリルを振動させ、ハンマーのように被掘削物を打ち砕きながら穿孔するため、かえってタイルの剥落を促進し、外壁を傷めてしまうという欠点を有している。そこで、棒状あるいは円筒状の工具本体の先端にビットが設けられた穿孔工具と、この穿孔工具を軸線回りに回転駆動する回転駆動装置とを備えた穿孔装置が用いられる。
図に示すような従来の穿孔装置は、モータの所定の出力パワーで得られる発生トルクを上げるため、ギア等により回転数を下げて、コアビットの取り付けられる回転軸を回転駆動している。ここでいう出力パワーとは、モータの内部での損失を含まないモータの外側に取り出すことができる出力パワーのことである。この出力パワーは、ギヤ等の回転伝達機構により回転が伝達される過程で、摩擦等により低減されるが、最終的にはコアビットを回転駆動する穿孔装置の出力パワーに変換される。この穿孔装置の出力パワーが穿孔に供せられるものとなる。
すなわち、掘削時に被掘削物から受ける抵抗によってコアビットの先端に加わる接線方向の力の総和をFとし、コアビットの半径をrと表すとすると、穿孔に際してコアビットを一周させるために必要な仕事は、2πrFと表すことができるから、コアビットが単位時間当たりf回転するとき、穿孔装置の仕事率は2πrFと表すことができる。この関係は、2πfを角速度ωと表し、rωがコアビットの外周側の周速vであることから、2πrF=vFと表せば、より明確となる。ところで、rFはコアビットを回転させるために必要な発生トルクであるから、この発生トルクをTとすると、穿孔装置の出力パワーは、回転数と発生トルクとの積に比例してP出力∝Tfと表すことができる。
このように、穿孔装置の出力パワーP出力がある一定の値となる条件のもとで、発生トルクTを上げるため、ギヤ等による出力パワーの伝達ロスは存在するものの、モータの回転数をギヤ等により下げて穿孔工具の回転数fが低減される。
ところで、上述したような従来の穿孔装置は、穿孔速度が遅いという欠点を有していた。このため、工期が長期化し、穿孔時に発生する騒音や振動によって周囲の環境を悪化させるという問題を招来していた。
例えば、トンネルの補修を行う場合には、500〜1000mmの深さの穴を多数穿設しなければならない。ところが、従来の穿孔装置を用いる場合、一個所の穴を穿設するのに30分程度は必要であり、全ての穴を穿設し終えるまでに人件費だけで膨大な工費が必要になるという問題があった。
また、トンネルのコンクリート壁に限らず、近年では、下水管の内面のコンクリート壁を穿孔し、下水管の裏側に耐食材を注入する工事も行われている。このように、長距離にわたるコンクリート壁に、短い工期で多数の穴を穿設するための適切な技術の開発が求められていた。
また、上述したような従来の穿孔装置は、振動ドリルで用いられるような打撃振動を用いず、しかも、穿孔工具の回転数を下げながら穿孔するため、穿孔速度が通常の振動ドリルに比べて遅いという欠点を有していた。一般に施工の悪い建築物等では、外壁のほとんどのタイルが剥離しかけている場合がある。タイルを全部きれいに剥がしてタイルを張り替える作業は実際にはかなり面倒であり、結局、剥がれかけたタイルの裏側に全て樹脂を注入することが行われる。この場合、穿孔しなければならない穴の数は膨大なものである。このため、穿孔時間の増加から工期の長期化とコストの増加をきたすといった問題があった。こういった理由から、振動ドリルに比べて遜色無く早く穿孔することができ、とりわけ、穿孔時の振動がタイルの剥落を助長しないような、振動の少ない穿孔装置の開発が望まれていた。
本発明は、所定深さ穿孔するために要する仕事の無駄をなくしてその値を低減し、短時間で被掘削物を穿孔することができる穿孔装置および穿孔工法を提供することを目的とする。
発明の開示
本発明者は、超硬合金あるいは結合相の中に超砥粒が分散配置されて形成されたビットが所定の直径を有する円筒状の工具本体の先端に設けられてなる穿孔工具を回転駆動させ、その先端を脆性を有する被掘削物、例えば、コンクリート、アスファルト、御影石や大理石等の石材、岩盤等に0.6N/mm以上の所定の圧力で押し当てて穿孔を行う際、穿孔工具の先端のビットの周速が220m/minより下の領域では、所定深さ穿孔するために必要となる仕事がビットの周速とともに増加して、ビットの周速を増加させるにもかかわらず穿孔速度を効果的に増加できないという事実を見出すと同時に、ビットの周速が少なくとも300m/min以上になると、穿孔するために必要な仕事が減少し、ビットの周速を上げることによって高速に穿孔することができるようになるという知見を得て本発明に至った。
すなわち、本発明は、超硬合金あるいは結合相の中に超砥粒が分散配置されて形成されたビットが、棒状あるいは円筒状の工具本体の先端に設けられた穿孔工具と、前記穿孔工具を軸線回りに回転駆動する回転駆動装置とを有し、回転駆動された前記穿孔工具の先端を脆性材料からなる被掘削物に押し当てて該被掘削物を穿孔するよう構成された穿孔装置であって、前記回転駆動装置は、穿孔時に、前記穿孔工具を0.6N/mm以上の所定の圧力で前記被掘削物に押し当てながら前記ビットの外周側の周速を300m/min以上に保つように構成されていることを特徴とする。
本発明においては、棒状あるいは円筒状の工具本体の先端にビットが設けられてなる穿孔工具を用い、コンクリート、アスファルト、御影石や大理石等の石材、岩盤、タイルやその間の目地等の脆性材料からなる被掘削物の穿孔が行われる。この場合、回転する穿孔工具の先端を0.6N/mm以上の所定の圧力で被掘削物に押し当てながらビットの外周側の周速を300m/min以上に保つと、掘削時にビットが被掘削物から受ける抵抗が低減し、所定深さの穴を穿孔するのに必要な仕事(以後穿孔仕事量ということもある)を低減することができる。こうして、ビットの周速を増加させることによって、穿孔速度を増加させることができる。
ビットの周速が220m/minから300m/minの間の領域は、穿孔仕事量が周速とともに急速に減少する領域であり、穿孔速度は、基本的にはビットの周速が250m/minを超えた辺りからビットの周速とともに増加を始める。このため、穿孔時に、穿孔工具を0.6N/mm以上の所定の圧力で被掘削物に押し当てながらビットの外周側の周速を250m/min以上に保つように穿孔装置が構成されていると、周速の増加とともに穿孔速度を増加させることができる。
また、穿孔時に、穿孔工具を0.6N/mm以上の所定の圧力で被掘削物に押し当てながらビットの周速を400m/min以上に保つように穿孔装置が構成されていると、脆性材料からなる被掘削物の種類によらず、穿孔速度を増加させることができる。
なお、ビットを被掘削物に強く押し付けすぎると、ビットが破損するため、6N/mm以下で穿孔を行うことが望ましい。より好ましくは、ビットを3N/mm程度の圧力で押し付けながら穿孔を行うことにより、効率的な穿孔が可能となる。
また、2000m/min以下の周速で穿孔を行うことが望ましい。というのも、ビットの周速を高速にしすぎると、回転駆動装置内のベアリング等が破損したり、特に筒状の物体を高速回転すると、動バランスが大きくなって物体の破壊につながって危険であるためであり、また、従来のドリルと異なり、穿孔工具の外周には螺旋状の溝等は通常設けられておらず、穴の壁面と穿孔工具の間が閉塞状態となって穿孔されることから、周速が高いと、研削による熱を切り粉、あるいは水、空気等のクーラントによって放出することが困難となるためである。
また、本発明の穿孔装置において、前記穿孔工具は、その直径が3mm以上200mm以下とされていてもよい。この直径の穿孔工具において、確実に穿孔速度の増加を図ることができる。
また、本発明の穿孔装置において、前記穿孔工具は、その直径が3mm以上15mm未満とされていてもよい。この直径の穿孔工具において、特に棒状の工具本体を用いて細径の穴を穿孔する際に確実に穿孔速度の増加を図ることができる。
また、本発明の穿孔装置において、前記穿孔工具は、その直径が15mm以上50mm未満とされていてもよい。この直径の穿孔工具において、特に円筒状の工具本体を用いて確実に穿孔速度の増加を図ることができる。
また、本発明の穿孔装置において、前記穿孔工具は、その直径が50mm以上200mm以下されていてもよい。この直径の穿孔工具において、特に円筒状の工具本体を用いて確実に穿孔速度の増加を図ることができる。
また本発明の穿孔装置において、前記回転駆動装置は、先端部に前記穿孔工具が取り付けられる回転軸が貫通されて一体的に設けられた筒状のロータと、このロータの外周面に設けられた円筒状のステータとを備えていることを特徴とする。
このように、本発明においては、ロータの回転軸に穿孔工具がギヤ等を介さず直接取り付けられるので、回転伝達系での仕事の損失が無く、モータの出力パワーをそのまま穿孔装置の出力パワーとすることができる。そして、穿孔装置の小形軽量化を図ることができる。
なお、穿孔時に、ビットには接線方向に単位面積当たり少なくとも0.2N/mm程度の力が必要となる。このため、直径15mm以上200mm以下の穿孔工具の先端に、刃厚2mm程度のビットが周方向に亘って連続して設けられている場合、穿孔工具の直径に応じて少なくとも0.14Nm〜25Nm程度のトルクが必要になる。直径3mm以上15mm未満の棒状あるいは円筒状の穿孔工具の場合も先端のビットの面積に対応したトルクが必要になる。このトルクが負荷としてかけられた状態で、ビットの周速を300m/min以上に保つために、モータを構成するロータもしくはステータのいずれか一方は、ネオジウム・鉄・ボロン系もしくはサマリウム・コバルト系の希土類のマグネットを有して構成され、このマグネットの最大磁気エネルギー積が100kJm−3以上とされていることが望ましい。これにより、モータのトルク定数を容易に0.1Nm/A以上に高めることができる。そして、直流モータの小形軽量化を図り、高い出力を維持しながら高速回転を可能にすることができる。
また、上記回転軸には、回転軸後端側から先端側の工具本体に貫通する連通孔が軸線に沿って穿設されていてもよい。これにより、回転軸側から、コア芯を取り出すための押出棒等を設けたり、穿孔工具先端に向けて水やエア等の流体を送出することが可能となる。
さらに、モータに直流電圧を供給する電源が制御部を有し、この制御部が発生トルクTや回転数fを検出して、必要な発生トルクTや周速が得られるように直流モータに印加する電圧を調整するように構成されていてもよい。より具体的には、直流モータに印加される電圧をVとすると、発生トルクTと回転数fとの
Figure 2002094527
ことを用いて、制御部がモータの既知の特性曲線に基づいて、検出される電流Iの値から発生トルクTを算出し、さらには、印加された電圧Vの値から回転数fを算出、あるいは、エンコーダ等によって回転数fを直接検出するような構成とされていてもよい。そして、例えば、この制御部は、まず無負荷の状態で穿孔工具の周速が300m/min以上の所定の値となるように電圧Vの値を調整し、被掘削物に向けて穿孔装置を送るよう構成された穿孔装置送り機構を制御して、0.6N/mm以上の所定の圧力で穿孔工具を被掘削物に向けて送り、穿孔工具の先端が被掘削物に食い付き穿孔を開始することで穿孔工具にトルクがかかると同時に、印加する電圧Vの値を調整して穿孔工具の周速を300m/min以上の所定の値に保つように構成されていてもよい。
また、本発明は、円筒状の工具本体の先端に、超硬合金あるいは結合相の中に超砥粒が分散配置されて形成されたビットが設けられてなる穿孔工具を軸線回りに回転駆動し、回転駆動された前記穿孔工具の先端を脆性材料からなる被掘削物に押し当てて該被掘削物を穿孔する穿孔工法であって、前記穿孔工具を0.6N/mm以上の所定の圧力で前記被掘削物に押し当て、前記ビットの外周側の周速を300m/min以上に保ちながら前記被掘削物を穿孔することを特徴とする。
本発明においては、回転する穿孔工具の先端を0.6N/mm以上の所定の圧力で被掘削物に押し当てて被掘削物を掘削する状態で、ビットの外周側の周速を300m/min以上に保つことで掘削時にビットが被掘削物から受ける抵抗が低減し、所定深さの穴を穿孔するのに必要な仕事を低い値で一定に保つことができる。こうして、ビットの周速を増加させることによって、穿孔速度を効果的に増加させることができる。
なお、ビットを被掘削物に強く押し付けすぎると、ビットが破損するため、6N/mm以下で穿孔を行うことが望ましい。より好ましくは、ビットを3N/mm程度の圧力で押し付けながら穿孔を行うことにより、効率的な穿孔が可能となる。
また、2000m/min以下の周速で穿孔を行うことが望ましい。というのも、ビットの周速を高速にしすぎると、回転駆動装置内のベアリング等が破損したり、特に筒状の物体を高速回転すると、動バランスが大きくなって物体の破壊につながって危険であるためであり、また、従来のドリルと異なり、穿孔工具の外周には螺旋状の溝等は通常設けられておらず、穴の壁面と穿孔工具の間が閉塞状態となって穿孔されることから、周速が高いと、研削による熱を切り粉、あるいは水、空気等のクーラントによって放出することが困難となるためである。
例えば、まず無負荷の状態で穿孔工具の周速が300m/min以上の所定の値となるように調整する。そして、所定の送り速度にて穿孔工具を回転させながら穿孔装置を被掘削物に向けて送り、穿孔工具の先端が被掘削物に食い付き穿孔を開始することで穿孔工具にトルクがかかると同時に、穿孔するための出力と送りの速度とを調整して、穿孔工具の周速を300m/min以上の所定の値に保ちながら穿孔を行う。
ところで、ビットの周速が220m/minから300m/minの間の領域は、穿孔仕事量が周速とともに急速に減少する領域であり、穿孔速度は、基本的にはビットの周速が250m/minを超えた辺りからビットの周速とともに増加を始める。このため、穿孔時に、穿孔工具を0.6N/mm以上の所定の圧力で被掘削物に押し当てながらビットの外周側の周速を250m/min以上にして穿孔すると、周速の増加とともに穿孔速度を増加させることができる。
また、穿孔時に、穿孔工具を0.6N/mm以上の所定の圧力で被掘削物に押し当てながらビットの周速を400m/min以上に保つようにして穿孔すると、脆性材料からなる被掘削物の種類によらず、確実に穿孔速度を増加させることができる。
また、本発明の穿孔工法において、前記穿孔工具は、その直径が3mm以上200mm以下とされていてもよい。この場合、確実に穿孔速度の増加を図ることができる。
また、本発明の穿孔工法において、前記穿孔工具は、その直径が3mm以上15mm未満とされていてもよい。この場合、特に棒状の工具本体を用いて細径の穴を穿孔する際に確実に穿孔速度の増加を図ることができる。
また、本発明の穿孔工法において、前記穿孔工具は、その直径が15mm以上50mm未満とされていてもよい。この場合、特に円筒状の工具本体を用いて確実に穿孔速度の増加を図ることができる。
また、本発明の穿孔工法において、前記穿孔工具は、その直径が50mm以上200mm以下とされていてもよい。この場合、特に円筒状の工具本体を用いて確実に穿孔速度の増加を図ることができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明による穿孔装置を図面に基づき説明する。
図1ないし図5に、本発明に係る穿孔装置の第一の実施例を示す。図において、符号1は、穿孔装置、符号1aは、穿孔装置本体、符号1bは、電源であり、符号2は、この電源1bによって駆動される穿孔装置本体1aを構成する本実施例の直流モータ(以後ダイレクトモータと称する)である。
穿孔装置1は、アスファルト、コンクリート、御影石や大理石等の石材、及び岩盤等の被掘削物Cに設置される設置部130と、この設置部130に回動自在に連結され、設置部130に対して傾斜可能とされた支柱部140とを有している。そして、穿孔装置本体1aは、電源1bと別体に設けられ、支柱部140に進退自在に取り付けられるスライド機構141を介して支柱部140に支持されている。
また、穿孔装置1は、穿孔装置1を制御する遠隔制御部200が穿孔装置本体1a及び電源1bと別体に設けられて構成されている。この制御部200には、ダイレクトモータ2(回転駆動装置)の回転数を調整してダイレクトモータ2を始動または停止させたりするための回転数調整つまみ161と、電源のインターロックにより電源1bの出力電圧が零に落ちた場合に再び電圧を出力させるリセットボタン162が設けられている。
ダイレクトモータ2は、直流電圧が印加されて回転する直流モータとされ、図2に示すように、その中心に円筒状の回転軸11を有しており、この回転軸11の先端には、アダプタ12が回転軸11の先端に形成されたネジ部11aに着脱自在に螺設され、このアダプタ12に円筒状のコアビット13(穿孔工具)が回転軸11と互いに連通するように着脱可能に取り付けられている。
ここで、アダプタ12は、中空の略円筒形状を呈し、基端側に回転軸11先端のネジ部11aに螺合する雌ネジ部12aが、また、先端側には、コアビット13の基端が取り付けられる雌ネジ部12bが回転軸11の軸線O方向に沿って設けられている。ここで、雌ネジ部12aは、穿孔時の回転によって回転軸11に締めつけられる向きに形成されている。
また、コアビット13は、直径が15〜50mmの円筒状に形成された中空のチューブ14(工具本体)の先端に、ビット15が円周方向へ略円環状に装着された構造とされている。ここで、ビット15は、メタルボンドあるいはレジンボンドのようなバインダ材を焼結して固めてなる結合相の中に超硬合金、あるいは超砥粒(ダイヤモンド砥粒やCBN砥粒)を分散配置させて形成されている。あるいは、被掘削物が大理石である場合には、電着によって結合相中に超砥粒が分散配置されて形成されている。そして、このようなビット15が先端に装着されたコアビット13が軸線回りに回転駆動させられ、軸線方向先端側へ送られることによって被掘削物Cを掘削し、円柱状のコアを形成するように構成されている。
このコアビット13の基端側には、アダプタ12に取り付けられる着脱部13aが設けられている。この着脱部13aには、アダプタ12の雌ネジ部12bに螺合する雄ネジ部13bがコアビット13の軸線方向に沿って形成されている。ここで、雄ネジ部13bは、穿孔時のコアビット13の回転によって、コアビット13がアダプタ12に締めつけられる向きに形成されている。
ダイレクトモータ2は、回転軸11に直結された工具であるコアビット13をギヤ等の回転伝達機構を用いずに直接回転させるダイレクトタイプのモータで、直径15mm以上50mm未満のコアビット13が、穿孔時に0.6N/mm〜6N/mmの範囲の圧力で被掘削物Cに押し当てられながら、300m/min〜2000m/minの周速で回転可能となるように構成されている。
また、ダイレクトモータ2は、ハウジング16内に、例えばポリイミド等の耐熱樹脂が被覆されたコイルが巻回されてなるロータ17と、このロータ17の外周面に設けられ、永久磁石を有する円筒状のステータ18とを備えた構成とされている。そして、回転軸11は、前記ロータ17の中心に形成された挿通孔17a内へ圧入されるようにして挿通され、ロータ17に一体的に固定されている。
ここで、ステータ18のマグネットとしては、小形軽量で高いトルクが得られるように、一般的に用いられるフェライトマグネットあるいはアルニコマグネットと比較して、遥かに高い最大磁気エネルギー積が100kJm−3以上とされたネオジウム・鉄・ボロン系もしくはサマリウム・コバルト系の希土類の高密度マグネットが用いられている。また、ロータ17は、その直径がその長さ寸法よりも小さい値とされている。これにより、本実施例におけるダイレクトモータ2のトルク定数は、0.12Nm/Aとされており、本実施例においては、発生トルクT(単位はNm)とダイレクトモータ2に流れる電流I(単位はA)の間には、T=0.12×I−0.6の関係が成立している。
ダイレクトモータ2を納めるハウジング16の上壁部16a及び下壁部16bの内側には、ロータ12を回転自在に支持するための軸受19a,19bがそれぞれ設置されている。すなわち、軸受19a,19bは、ロータ17の中心に挿通された回転軸11の上下端部近傍を支持するようになっており、回転軸11及びこの回転軸11が挿通されたロータ17に作用するスラスト方向の力とラジアル方向の力とを受けることが可能な構成となっている。
このダイレクトモータ2の後端部には、回転軸11の後端部と回転可能かつ液密状態に連結されたメカニカルシール部38を回転自在に支持する回転軸支持台20と、回転軸支持台20の上に固定され、回転軸11の後端部を収める上部ハウジング21とが設けられている。
この上部ハウジング21には、回転軸11の中心の貫通孔11aと連通する流路22が形成されており、この流路22は、上部ハウジング21の側方に開口されている。この側方に開口された開口部23には、チューブ24が接続されるようになっており、このチューブ24から湿式掘削のための冷却水が送り込まれるようになっている。
そして、このチューブ24から上部ハウジング21の流路22を通り、回転軸11の貫通孔11aへ導かれ、その後、回転軸11の先端部にアダプタ12を介して連結されたコアビット13内に送り込まれ、ビット15による掘削箇所が冷却されるようになっている。
また、上部ハウジング21には、その後端部に、取り付けねじ部31が形成されており、この取り付けねじ部31には、キャップ32がねじ込み固定されるようになっている。このキャップ32には、その中心に挿通孔34が形成されている。また、上部ハウジング21には、キャップ32の挿通孔34及び回転軸11の貫通孔11aと連通する連通孔35が形成されている。そして、これら互いに連通した挿通孔34、連通孔35及び貫通孔11aには、押出棒36が挿通されている。なお、押出棒36とキャップ32の挿通孔34との間には、Oリング37が設けられてシールされている。
なお、符号25は、ダイレクトモータ2のハウジング16内における上方側にて、回転軸11に接触するように、その周方向へ配設されたブラシ部であり、このブラシ部25に直流の電圧が印加され、駆動電流が供給されるようになっている。
ダイレクトモータ2に直流電流を供給する電源1bは、電源本体5を有し、さらに、作業現場に供給される交流源に電源本体5を接続するためのプラグ51を有した入力ケーブル52を備えている。電源本体5には、メインスイッチ53に加えて、入力側の電源の許容電流量に応じて適宜電流量を選択出来る電流量選択スイッチ54が設けられている。なお、ここでは図示されぬが、電源本体5には、この他にも穿孔作業緊急停止用のスイッチ、電源冷却用の冷却水を導入するための冷却水導入口等が設けられている。
上記穿孔装置本体1aと電源1bとの間には、ケーブル7が設けられている。このケーブル7は、電源1bからダイレクトモータ2に直流電流を供給する図示されぬ2本の電流供給線、アース線等が防水性を有する防水カバー74によって束ねられて一本のケーブルとされており、穿孔装置本体1aの搬送に際しては、電流供給線、アース線等が一体で引き回されるように構成されている。
さらに、ケーブル7の穿孔装置本体1a側の一端には、電流供給線、アース線等が水密、かつ、一体で穿孔装置本体1aに接続されるように多芯の穿孔装置本体接続部7aが設けられ、電源1b側の他端には、電流供給線、アース線等が水密、かつ、一体で電源1bに接続されるように多芯のモータ電源接続部7bが設けられている。そして、防水カバー74は、これら穿孔装置本体接続部7aと、モータ電源接続部7bとに水密性を保って取り付けられており、ケーブル7が水に浸漬されても、内側の電流供給線、電源を制御する導線、及び、アース線等は、防水されるように構成されている。
支柱部140は、図3にも示すように、一対の長尺の支柱板140a,140aからなるもので、これら支柱板140a同士の間には、支柱部140の長手方向にわたって、ボールスクリュー91が設けられている。この、ボールスクリュー91は、支柱部140の上下端部近傍に設けられた軸受101に回転可能に支持されている。
この支柱部140に進退自在に取り付けられるスライド機構141は、図3に示すように、支柱板140a,140aの周囲を囲うように設けられたスライドボックス94と、このスライドボックス94に固定されてスライドボックス94内にてボールスクリュー91がねじ込まれたスライド部材95とを有しており、また、スライドボックス94と支柱板5aとの間には、支柱板5aに対して円滑な摺動状態を確保するスライドプレート96が設けられている。そして、ボールスクリュー91が回動されると、このボールスクリュー91がねじ込まれたスライド部材95とともにスライドボックス94が支柱部140に対してスライドし、スライド機構141全体が支柱部140に沿ってその長手方向に移動するように構成されている。
この移動方向は、ボールスクリュー91の回転方向によって決まり、ボールスクリュー91の時計周りもしくは反時計周りの回転により、スライド機構141に固定された穿孔装置本体1aが支柱部140に支持されて被掘削物Cに対して進退移動されるようになっている。
このボールスクリュー91は、支柱部140の上端部に設けられた移動機構160(穿孔装置送り機構)によって回転されるようになっている。すなわち、移動機構160は、図4に示すように、収納ボックス103内に設けられた移動用モータ104を有しており、この移動用モータ104の回転軸104aには、クラッチ105を介して駆動プーリ106が接続されている。この駆動プーリ106とボールスクリュー91の上端部に固定された従動プーリ102には、伝達ベルト107が巻回されており、この伝達ベルト107によって、移動用モータ104の回転駆動力がボールスクリュー91に伝達され、ボールスクリュー91が回動されるようになっている。ここで、移動機構160の移動用モータ104と伝達ベルト107が巻回された駆動プーリ106との間に設けられたクラッチ105は、磁力による磁粉の結合力によって軸同士を所定力によって連結する電磁クラッチとされている。
こうして、移動機構160がボールスクリュー91を回転駆動することによって、穿孔装置本体1aが支柱部140に沿って移動させられるようになっている。
なお、穿孔装置本体1aは、ボールスクリュー以外にも、ピニオンとラックの組み合わせによって移動させられるように構成されていてもよい。
遠隔制御部200には、この移動機構160を制御するため、移動機構160の移動用モータ104の駆動のON・OFFを行う電源スイッチ108及び移動用モータ104の回転速度を調整する速度調整つまみ109が設けられている。
図5は、穿孔装置1の電気回路的構成を模式的にブロック図で示したものである。図5に示すように、電源1bは、トライアックTのゲートGに与えるトリガ電流の点弧角を調整することによって入力側T1の交流電圧の位相の一部を周期的に出力側T2に出力する位相制御部56と、ダイレクトモータ2に直流電圧を印加するよう位相制御部56の出力側T2の電圧を整流して電圧脈動を平滑化する整流部57とを備えている。
位相制御部56は、トライアックTのゲートGに例えばダイアック等からのトリガ電流を与える電源制御部58(制御部)を有しており、遠隔制御部200に設けられた回転数調整つまみ161からの入力(図中VALで示す)、及びリセットボタン162からの入力(図中RESで示す)に基づき適宜トリガ電流の点弧角を調整して、出力側T2への出力を制御するよう構成されている。
さらに、電源1bは、ダイレクトモータ2を流れる電流Iを検出する電流検出器59を備えており、電流検出器59により検出された電流値がしきい値を超えるとただちに電圧を出力停止するようにモータ駆動電圧停止手段としてのブレーカを有している。
整流部57は、サインカーブの山の一部が切り取られたような位相制御部56の出力電圧を全波整流するためのダイオード部57aと、ダイレクトモータ2に電気的に並列に接続され、電圧を整流して電圧脈動を平滑化するコンデンサー57bとを備えている。さらに、整流部57には、ダイレクトモーター2が停止する際にコンデンサー57bから迅速に蓄えられた電荷を放出させる図示されぬ回路が設けられており、蓄えられた電荷によりダイレクトモーター2が再び回転始動されないようになっている。
また、電源1bは、上述したような手動による穿孔装置の制御から自動制御に切り替えるための不図示の切替スイッチを有している。電源制御部58は、自動制御に切り替えられると、検出されるダイレクトモータ2を流れる電流Iに基づき、内部に設置されたメモリー内に入力されている既知の特性曲線のデータから発生トルクTを算出し、さらに、トリガ電流の点弧角からダイレクトモータ2に印加される電圧Vを算出してダイレクトモータ2の回転数、換言すればコアビット13の回転数fを算出するように構成されている。
加えて、電源制御部58は、移動機構160を制御する移動機構制御部160aに信号を送信することによって移動機構160を制御し、穿孔装置本体1aの送りの速度、すなわち穿孔速度を調整するように構成されている。そして、トリガ電流の点弧角を調整することによってダイレクトモータ2に印加される電圧Vを調整するとともに、コアビット13の周速を300m/min以上の所定の値に設定するように構成されている。
次に、上記構成の穿孔装置1の作用、並びに穿孔装置1を用いた被掘削物Cへの穿孔作業について説明する。
まず、支柱部140の上方側へ位置させた穿孔装置本体1aを、被掘削物Cの所定の穿孔位置に、回転軸11の軸線が一致するように位置決めし、設置部130を被掘削物Cに固定する。
このように穿孔装置本体1aを被掘削物Cに設置したら、穿孔装置本体接続部7aを穿孔装置本体1aに、モータ電源接続部7bを電源1bに接続して穿孔装置本体1aと電源1bとの間をケーブル7によって電気的に接続する。電源1bのメインスイッチ53をON側にし、交流電圧供給側の許容電流に合わせて電流量選択スイッチ54を設定する。リセットボタン162を押し、ダイレクトモータ2のブラシ25に直流電圧を印加してロータ17(あるいはステータ18)のコイルに通電し、ロータ17を高速回転させるとともに、湿式で穿孔するために、図示しない冷却水供給装置からチューブ24を介して冷却水を送り込む。トルクが0の状態のこの時の回転数は、手動の場合には、コアビット13の周速が300m/min以上の所定の値となるように、遠隔制御部200に設けられた回転数調整つまみ161を回すことによって設定する。自動制御の場合には、電源制御部58によってコアビット13の周速が300m/min以上の所定の値となるようにダイレクトモータ2に印加される電圧Vの値が自動調整される。
そして、コアビット13を高速で回転させた状態で、移動機構160によって穿孔装置本体1aを下降させることにより、回転軸11の先端部に連結したコアビット13のビット15を0.6N/mm以上の圧力で被掘削物Cの表面に押し当てる。これにより、高速にて回転されているビット15によって被掘削物Cに環状の穴Hが形成される。このとき、自動制御の場合には、コアビット13の先端が被掘削物Cに食い付き穿孔を開始することでコアビット13にトルクがかかると同時に、ダイレクトモータ2に印加する電圧Vの値が制御され、コアビット13の周速が300m/min以上の所定の値に設定される。そして、印加する電圧Vの値、及び、移動機構160を制御して、穿孔工具の周速を300m/min以上の所定の値に保ちながら、0.6N/mm以上の所定の圧力で穿孔工具を送る。
このような穿孔作業中にビット15が被掘削物Cを補強するための鉄筋等の硬い補強体に当接し、突然ダイレクトモータ2の回転が抑制された場合には、誘導電圧が突如減少して巻線抵抗のみとなり過大な電流が流れる。このため、しきい値を適宜設定して、電流検出器59によって検出された電流値がしきい値を超えたら、ただちにブレーカによって位相制御部56からの出力が停止される。こうして、ビット15が鉄筋等の補強体に当接した場合には、ダイレクトモータ2の回転が直ちに停止し、穿孔作業が中断される。
このように、インターロックが作動して穿孔作業が中断された場合には、穿孔する位置を変え、鉄筋に当たらないようにして作業を再開する。この時、ダイレクトモータ2を再度回転させるためにリセットボタン162を押す。
なお、穿孔作業中、仮に冷却水がケーブル7にかかることがあっても、ケーブル7の防水性が保たれているため、漏電や短絡等は起きない。
このようにして、所定深さまで環状の穴Hを形成したら、穿孔装置本体1aを上昇させて穴Hからビット15を引き抜き、中心のコアを取り除くことにより、アンカー穴が形成される。ここで、穴Hからビット15を引き抜いた際に、コアビット13内にコアが残留した場合は、押出棒36を先端側へ押出す。
上述のように、本実施例によれば、コアビット13は、回転軸11からコアビット13に直接回転力を付与させるダイレクトモータ2によって極めて高速にて回転され、ビット15の周速が300m/minとなるようにすることができる。
回転するコアビット13の先端を0.6N/mm以上の所定の圧力で被掘削物Cに押し当て被掘削物Cを掘削する状態で、ビット15の外周側の周速を300m/min以上に保つことで掘削時にビット15が被掘削物から受ける抵抗が低減し、所定深さの穴Hを穿孔するのに必要な仕事を減少させることができる。こうして、ビット15の周速を増加させることによって、穿孔速度を増加させることができる。
また、コアビット13は、その直径が15mm以上50mm未満とされているので、確実に穿孔速度の増加を図ることができる。
また、ロータ17の中心に形成された挿通孔17aへ回転軸11を圧入して直接固定して一体化したものであるので、穿孔装置本体1aの全体の剛性を大幅に向上させることができ、これにより、コアビット13を高速回転させて穴を形成することが可能となり、従来の場合と比較して、その穿孔速度を大幅に高めることができる。こうして、穿孔作業を迅速に行うことができ、穿孔作業を有する各種施工作業の工期の短縮化を図ることができる。
上述のように本実施例によれば、所定深さ穿孔するために要する仕事の無駄をなくしてその値を低減し、短時間で被掘削物を穿孔することができる。
なお、上記の実施例においては、穿孔工具としてのコアビットをギヤ等の回転伝達機構を介さず、回転駆動装置としての直流モータに直接取り付ける構成としたが、超硬合金あるいは結合相の中に超砥粒が分散配置されて形成されたビットが先端に装着されたコアビットを用いて脆性材料からなる被掘削物を穿孔する場合、0.6N/mm以上の圧力でコアビットを被掘削物に押し当てながら、ビットの外周側の周速を300m/min以上で回転させながら穿孔する穿孔装置であれば、回転駆動装置は、油圧モータを用いたものであっても、ギヤを備えたものであっても構わないことは言うまでもない。ここで言う回転駆動装置とは、当業者であれば想到し得る全ての回転駆動手段を含むものである。
次に、本発明による第二の実施例を図8及び図9を用いて説明する。図において、図1〜図5にそれぞれ対応する部分は、その構成が全く同じであるため同一の符号を付し、ここではその説明を省略するが、同一の符号に関しては、上記の第一の実施例と全く同じように動作し機能するものである。特に、図8および図9には、図3および図5に示される構成は示されていないが、以下に述べる第二の実施例も図3および図5に示される構成と同じ構成を有している。
本実施例において、コアビット213は、直径が50〜200mmの円筒状に形成された中空のチューブ214(工具本体)の先端に、ビット215が円周方向へ略円環状に装着された構造とされている。ここで、ビット215は、メタルボンドあるいはレジンボンドのようなバインダ材を焼結して固めてなる結合相の中に超硬合金、あるいは超砥粒(ダイヤモンド砥粒やCBN砥粒)を分散配置させて形成されている。あるいは、被掘削物が大理石である場合には、電着によって結合相中に超砥粒が分散配置されて形成されている。そして、このようなビット215が先端に装着されたコアビット213が軸線回りに回転駆動させられ、軸線方向先端側へ送られることによって被掘削物Cを掘削し、円柱状のコアを形成するように構成されている。
コアビット213の基端側には、アダプタ212に取り付けられる着脱部213aが設けられている。この着脱部213aには、アダプタ212の雌ネジ部212bに螺合する雄ネジ部213bがコアビット213の軸線方向に沿って形成されている。なお、雄ネジ部213bは、穿孔時のコアビット213の回転によって、コアビット213がアダプタ212に締めつけられる向きに形成されている。
アダプタ212は、中空の略円筒形状を呈し、基端側に回転軸11先端のネジ部11aに螺合する雌ネジ部212aが、また、先端側には、コアビット213の基端が取り付けられる雌ネジ部212bが回転軸11の軸線O方向に沿って設けられている。なお、雌ネジ部212aは、穿孔時の回転によって回転軸11に締めつけられる向きに形成されている。
ダイレクトモータ2は、その中心に円筒状の回転軸11を有しており、この回転軸11の先端に、アダプタ212が回転軸11の先端に形成されたネジ部11aに着脱自在に螺設され、このアダプタ212に円筒状のコアビット213(穿孔工具)が回転軸11と互いに連通するように着脱可能に取り付けられている。このダイレクトモータ2は、回転軸11に直結された工具であるコアビット13をギヤ等の回転伝達機構を用いずに直接回転させるダイレクトタイプのモータで、直径50mm以上200mm未満のコアビット13が、穿孔時に0.6N/mm〜6N/mmの範囲の圧力で被掘削物Cに押し当てられながら、300m/min〜2000m/minの周速で回転可能となるように構成されている。
上述のように、本実施例によれば、コアビット213は、回転軸11からコアビット213に直接回転力を付与させるダイレクトモータ2によって極めて高速にて回転され、ビット215の周速が300m/minとなるようにすることができる。
回転するコアビット213の先端を0.6N/mm以上の所定の圧力で被掘削物Cに押し当て被掘削物Cを掘削する状態で、ビット215の外周側の周速を300m/min以上に保つことで掘削時にビット15が被掘削物から受ける抵抗が低減し、所定深さの穴Hを穿孔するのに必要な仕事を減少させることができる。こうして、ビット215の周速を増加させることによって、穿孔速度を増加させることができる。
また、コアビット213は、その直径が50mm以上200mm未満とされているので、確実に穿孔速度の増加を図ることができる。
また、ロータ17の中心に形成された挿通孔17aへ回転軸11を圧入して直接固定して一体化したものであるので、穿孔装置本体1aの全体の剛性を大幅に向上させることができ、これにより、コアビット213を高速回転させて穴を形成することが可能となり、従来の場合と比較して、その穿孔速度を大幅に高めることができる。こうして、穿孔作業を迅速に行うことができ、穿孔作業を有する各種施工作業の工期の短縮化を図ることができる。
なお、上記第二の実施例においては、穿孔工具としてのコアビットをギヤ等の回転伝達機構を介さず、回転駆動装置としての直流モータに直接取り付ける構成としたが、超硬合金あるいは結合相の中に超砥粒が分散配置されて形成されたビットが先端に装着されたコアビットを用いて脆性材料からなる被掘削物を穿孔する場合、0.6N/mm以上の圧力でコアビットを被掘削物に押し当てながら、ビットの外周側の周速を300m/min以上で回転させながら穿孔する穿孔装置であれば、回転駆動装置は、油圧モータを用いたものであっても、ギヤを備えたものであっても構わないことは言うまでもない。ここで言う回転駆動装置とは、当業者であれば想到し得る全ての回転駆動手段を含むものである。
次に、本発明による第三の実施例を図10を用いて説明する。
図10において、符号301は穿孔装置であり、符号302は、この穿孔装置301を構成する直流モータとしてのダイレクトモータ(回転駆動装置)である。
ダイレクトモータ302は、直流電圧が印加されて回転する直流モータであり、図に示すように、その中心に円筒状の回転軸311を有しており、この回転軸311の先端には、アダプタ312が回転軸311の先端に形成されたネジ部311aに着脱自在に螺設され、このアダプタ312に棒状の穿孔工具313が着脱可能に螺設されている。
ここで、アダプタ312は、中空の略円筒形状を呈し、基端側に回転軸311先端のネジ部311aに螺合する雌ネジ部312aが、また、先端側には、穿孔工具313の基端が取り付けられる雌ネジ部312bが回転軸311の軸線O方向に沿って設けられている。ここで、雌ネジ部312aは、穿孔時の回転によって回転軸311に締めつけられる向きに形成されている。
また、穿孔工具313は、直径が3〜15mmの棒状の工具本体314の先端に、ビット315が装着された構造とされている。ここで、ビット315は、メタルボンドあるいはレジンボンドのようなバインダ材を焼結して固めてなる結合相中に超硬合金、あるいは超砥粒(ダイヤモンド砥粒やCBN砥粒)を分散配置させて形成されている。あるいは、電着によって結合相中に超砥粒が分散配置されて形成されている。そして、このようなビット315が先端に装着された穿孔工具313が軸線回りに回転駆動させられ、軸線方向先端側へ送られることによって、タイルやタイルの目地といった脆性材料からなる被掘削物を穿孔するように構成されている。
この穿孔工具313の基端側には、アダプタ312の雌ネジ部312bに螺合する雄ネジ部13aが穿孔工具313の軸線方向に沿って形成されている。ここで、雄ネジ部313aは、穿孔時の穿孔工具313の回転によって、穿孔工具313がアダプタ312に締めつけられる向きに形成されている。
ダイレクトモータ302は、回転軸311に直結された工具である穿孔工具313をギヤ等の回転伝達機構を用いずに直接回転させるダイレクトタイプのモータで、直径3mm以上15mm未満の穿孔工具313が、穿孔時に0.6N/mm〜6N/mmの範囲の圧力で被掘削物に押し当てられながら、300m/min〜2000m/minの周速で回転可能となるように構成されている。
また、ダイレクトモータ302は、ハウジング316内に、例えばポリイミド等の耐熱樹脂が被覆されたコイルが巻回されてなるロータ317と、このロータ317の外周面に設けられ、永久磁石を有する円筒状のステータ318とを備えた構成とされている。そして、回転軸311は、前記ロータ317の中心に形成された挿通孔317a内へ圧入されるようにして挿通され、ロータ317に一体的に固定されている。
ここで、ステータ318のマグネットとしては、小形軽量で高いトルクが得られるように、一般的に用いられるフェライトマグネットあるいはアルニコマグネットと比較して、遥かに高い最大磁気エネルギー積が100kJm−3以上とされたネオジウム・鉄・ボロン系もしくはサマリウム・コバルト系の希土類の高密度マグネットが用いられている。また、ロータ317は、その直径がその長さ寸法よりも小さい値とされている。これにより、本実施例におけるダイレクトモータ302のトルク定数は、0.12Nm/Aとされており、本実施例においては、発生トルクT(単位はNm)とダイレクトモータ302に流れる電流I(単位はA)の間には、T=0.12×I−0.6の関係が成立している。
ダイレクトモータ302を納めるハウジング316の上壁部316a及び下壁部316bの内側には、ロータ312を回転自在に支持するための軸受319a,319bがそれぞれ設置されている。すなわち、軸受319a,319bは、ロータ317の中心に挿通された回転軸311の上下端部近傍を支持するようになっており、回転軸311及びこの回転軸311が挿通されたロータ317に作用するスラスト方向の力とラジアル方向の力とを受けることが可能な構成となっている。
また、このダイレクトモータ302の後端部には、回転軸311の後端部を収める上部ハウジング321が設けられている。
なお、符号325は、ダイレクトモータ302のハウジング316内における上方側にて、回転軸311に接触するように、その周方向へ配設されたブラシ部であり、このブラシ部325に直流の電圧が印加され、駆動電流が供給されるようになっている。
ダイレクトモータ302に直流電流を供給する電源は、穿孔装置301を手に持つための把持部303の中に組み込まれており、バッテリー(図示せず)と、このバッテリーとブラシ部325とを電気的に接続する配線部(図示せず)と、把持部先端側に指にかけられるように設けられたトリガー331に連動して回路のオン・オフを行うスイッチ部(図示せず)とから概略構成されている。
次に、上記構成の穿孔装置301の作用、並びに穿孔装置301を用いたタイルやタイルの目地といった脆性材料からなる被掘削物への穿孔作業について説明する。
まず、穿孔装置301を、把持部303にて把持し、被掘削物の所定の穿孔位置に、回転軸311の軸線が一致するように位置決めする。このように穿孔装置301を被掘削物に対して位置決めしたら、トリガー331を指で引いて、ダイレクトモータ302のブラシ325に直流電圧を印加してロータ317(あるいはステータ318)のコイルに通電し、ロータ317を高速回転させる。無負荷の状態のこの時の回転数は、手動の場合には、穿孔工具313の周速が300m/min以上の所定の値となるように、ここでは図示されぬ回転数調整つまみを回すことによって設定する。自動制御の場合には、穿孔工具313の周速が300m/min以上の所定の値となるようにダイレクトモータ302に印加される電圧Vの値が自動調整される。
そして、穿孔工具313を高速で回転させた状態で、回転軸311の先端部に連結した穿孔工具313のビット315を被掘削物の表面に押し当てる。これにより、高速にて回転されているビット315によって被掘削物に穴が形成される。このとき、自動制御の場合には、穿孔工具313の先端が被掘削物に食い付き穿孔を開始することで穿孔工具313にトルクがかかると同時に、ダイレクトモータ302に印加する電圧Vの値が制御され、穿孔工具313の周速が300m/min以上の所定の値に設定される。そして、印加する電圧Vの値を制御して、穿孔工具の周速を300m/min以上の所定の値に保ちながら、0.6N/mm以上の所定の圧力で穿孔工具を送る。ここで、穿孔時のリード角が大きくなって負荷が増大しないように、穿孔工具313の周速は、穿孔工具313の送りの速度が速くなるほど増加させられる
上述のように、本実施例によれば、穿孔工具313は、回転軸311から穿孔工具313に直接回転力を付与させるダイレクトモータ302によって極めて高速にて回転され、ビット315の周速が300m/minとなるようにすることができる。
回転するコアビット313の先端を0.6N/mm以上の所定の圧力で被掘削物に押し当て被掘削物を掘削する状態で、ビット315の外周側の周速を300m/min以上に保つことで掘削時にビット315が被掘削物から受ける抵抗が低減し、所定深さの穴を穿孔するのに必要な仕事を減少させることができる。こうして、ビット315の周速を増加させることによって、穿孔速度を増加させることができる。
また、コアビット213は、その直径が3mm以上15mm未満とされているので、確実に穿孔速度の増加を図ることができる。
また、ロータ317の中心に形成された挿通孔317aへ回転軸311を圧入して直接固定して一体化したものであるので、穿孔装置301の全体の剛性を大幅に向上させることができ、これにより、穿孔工具313を高速回転させて穴を形成することが可能となり、従来の場合と比較して、その穿孔速度を大幅に高めることができる。こうして、穿孔作業を迅速に行うことができ、穿孔作業を有する各種施工作業の工期の短縮化を図ることができる。
なお、上記の実施例においては、穿孔工具をギヤ等の回転伝達機構を介さず、回転駆動装置としての直流モータに直接取り付ける構成としたが、超硬合金あるいは結合相の中に超砥粒が分散配置されて形成されたビットが先端に装着されたコアビットを用いて脆性材料からなる被掘削物を穿孔する場合、0.6N/mm以上の圧力でコアビットを被掘削物に押し当てながら、ビットの外周側の周速を300m/min以上で回転させながら穿孔する穿孔装置であれば、回転駆動装置は、油圧モータを用いたものであっても、ギヤを備えたものであっても構わないことは言うまでもない。ここで言う回転駆動装置とは、当業者であれば想到し得る全ての回転駆動手段を含むものである。
実験例
次に、上記第一の実施例における穿孔装置1を用いた穿孔工法の実験例を説明する。
<実験例1>
上述の構成を備えた穿孔装置1において、ビット15の周速を300m/min以上とすると、実際に所定深さの穴を穿孔するのに必要な穿孔仕事量が低減し、周速の増加とともに穿孔速度の増加を図ることができることを検証実験のデータに基づき以下に詳述する。
被掘削物Cに対する穿孔速度を測定するため、発生トルクを略一定の値に保ちながら、一分間当たりのコアビット13の回転数を変えてビット15の周速を変え、それぞれの周速毎に、圧縮強度がJIS規格210kgf/cmのコンクリートからなる被掘削材Cに対して100mmないし220mmの所定の深さを穿孔するのに要した穿孔時間を測定した。ここで、コアビット13として、チューブ14の先端に略全周に亘ってビット15が装着されたものを用い、ビット15として、その外径が25mm、刃厚が2mm、軸方向の長さが6mm、メッシュサイズが#40/50の高グレードのダイヤモンド砥粒を1.76ct/ccの密度でメタルボンド材としてW−Cu−Sn中に分散配置させて形成されたものを用いた。また、穿孔に際しては、略室温に近い冷却水を3l/min流しながら下向きに穿孔を行った。
表1〜表5は、無負荷時のコアビット13の回転数がそれぞれ1000rpm、1500rpm、2000rpm、3000rpm、5000rpmの場合に、被掘削物Cに向けて所定の圧力をかけながらコアビット13を送り、ダイレクトモータ2に流れる電流を略一定の値に保ち、穿孔時になるべく同じようなトルクの負荷がコアビット13にかかるようにして、その時の回転数と穿孔時間とを測定した結果である。これらの測定に際しては、コアビット13の状態が測定中に変らなかったことを確認するため、測定に際しては、それぞれの測定の前後に、7000rpm程度の回転数で確認穿孔を行った。
Figure 2002094527
Figure 2002094527
Figure 2002094527
Figure 2002094527
Figure 2002094527
これらの表において、穿孔時にダイレクトモータ2に流れた電流値は略28A前後で一定していた。本実施例においては、発生トルクT(単位Nm)と電流I(単位A)との間に、T=0.12×I−0.6の関係が成立しているので、以上の表においては発生トルクも一定に保たれ、ビット15が被掘削物Cから受ける負荷が略一定であったことがわかる。つまり、ビット15の外径は25mmで同じあるから、トルクが等しいということは、ビット15の接線方向に加わる力が略一定であったことを意味している。ところで、ビット15による被掘削物Cへの切り込みの深さが変ると、それに応じて、被掘削物Cから受ける抵抗も変るから、ビット15の接線方向に加わる力が略一定であったということは、ビット15の被掘削物Cへの切り込みの深さも略同じ程度であったか、あるいはそうでなかったとしても、仮に回転数が高い程コアビット13ないしビット15と、切粉ないし被掘削物Cとの間の摩擦が大きくなって負荷が大きくなるとすれば、少なくとも、ビット15の被掘削物Cへの切り込みの深さは、回転数が高い場合には、回転数が低い場合に比べて大きくはなかったということを意味している。
また、表6は、穿孔時にコアビット13にかかるトルクの負荷の値を二つの異なる値にして、異なる負荷条件での比較を行なうために、穿孔時にダイレクトモータ2に流れる電流値を15Aと30Aの二つの異なる値でそれぞれ略一定に保ち、無負荷時のコアビット13の回転数がそれぞれ1000rpm、1500rpm、2000rpm、3000rpm、4000、5000rpmの場合に対して、被掘削物Cに向けて所定の圧力をかけながらコアビット13を送り、その時の回転数と穿孔時間とを測定した結果である。
Figure 2002094527
さて、穿孔装置の穿孔を行う仕事率としての出力パワーP出力は、既に述べたように、回転数fとトルクTとの積に比例して、P出力∝Tfと表されるから、発生トルクTが略一定で回転数fを上げ、ビット15の周速を上げれば、それに応じて出力パワーP出力も上がる。今、電流値を略一定に保ちながらビット15に加わる接線方向の力を略一定に保ち、軸線方向に略一定の力Fを加えながら穿孔を行っているから、所定の深さLの穴を穿孔するための穿孔仕事量Eは、穿孔時間をΔtとして、E=2πTf×Δt+FLとなる。先ず、摩擦等による仕事の消耗がないような理想的な場合、一定の深さを穿孔するために必要な穿孔仕事量Eは、回転数fに依らず一定であると考える。すると、穿孔に要する穿孔時間Δtは、出力パワーP出力が増加するに伴って減少し、穿孔速度V=L/Δtは、出力パワーP出力に比例して増加すると考えられる。
そこで、表1〜表6の値からビット15の外周側の周速と穿孔速度とを割り出し、周速(単位m/min)を横軸、穿孔速度を縦軸にとってグラフ化したものが図6である。
ここで、表1〜表6中、略一定とは言うものの、若干(2割程度)変動する発生トルク値が穿孔速度に及ぼす影響を取り除いて穿孔速度を比較するため、図6では、穿孔速度を穿孔時の発生トルク値で割って規格化した量(L/Δt)/T(単位は10−3−1・sec−1)を穿孔速度として用いている。したがって、図6は、発生トルクの値は一定で、ビット15の周速だけが変化した場合の穿孔速度の変化の様子を示すものである。図において、ひし形の点A1、及び+型の点A2は、ダイレクトモータ2に流れる電流が30A程度のときのものであり、また、四角形の点A3は、ダイレクトモータ2に流れる電流が15A程度のときのものである。
図から分かるように、周速が220m/min以下では、予想に反してコアビット13の周速を増加させても穿孔速度がそれに比例して増加しない。むしろその値は、一定に留まっていることがわかる。しかも、ダイレクトモータ2に流れる電流、すなわち、発生トルクが異なっても、この傾向は変らない。既に述べたように、ビットによる切り込みの深さと発生トルクとは互いに関係していて、本実験例において発生トルクは一定であるから、この結果は、周速300m/min以上で穿孔速度が増加するのは、周速とともに切り込みの深さが変るためではないことを示唆している。
図7は、穿孔装置を送るために必要な仕事は一定として無視し、表1〜表6の値から、穿孔装置によってなされる穿孔仕事量Eのみ着目してE=2πTf×Δtの関係を用いて穿孔装置による穿孔仕事量Eを割り出し、ビット15の外周側の周速(単位m/min)を横軸に、単位深さ当たりの穿孔装置による穿孔仕事量(単位はJ/mm)を縦軸にとってグラフ化したものである。図において、ひし形の点A1、及び+型の点A2は、ダイレクトモータ2に流れる電流が30A程度のときのものであり、また、四角形の点A3は、ダイレクトモータ2に流れる電流が15A程度のときのものである。図から、穿孔装置による穿孔仕事量Eが周速220m/min以下の領域で略周速に比例するように増加していることがわかる。しかも、ダイレクトモータ2に流れる電流が異なる場合も、それぞれの周速で穿孔仕事量Eの値は同じである。これは、ビット15による切り込みの深さが大きいときには、負荷もその深さに比例して大きくなり、その一方で穿孔するために必要なコアビット13の全回転数が少なくなるために、全体として穿孔仕事量Eが変わらなくなるためであると考えられる。いずれにせよ、コアビット13を被掘削物Cに押し当てる際の圧力が異なり、コアビット13に加わる負荷の値が変る場合でも、周速220m/min以下では、コアビット13の周速の増加に伴って穿孔仕事量が増加するため、穿孔速度が増加しないことがわかる。
ところが、図7においてビットの周速の高い領域を見ると、周速が250m/minから300m/minにかけて穿孔装置による穿孔仕事量Eが周速の増加とともに急激に減少し、少なくとも周速300m/min以上の領域では、周速220m/minでの穿孔仕事量の値の半分以下にまで低下することが分かる。この結果、図6にも示されているように、周速300m/min以上で、穿孔速度は周速とともに単調に増加する。
上記に示した測定結果は、コアビットの直径が25mmのものを用いたものであるが、直径が15mm以上50mm未満のコアビットを用い、コアビットを0.6N/mm以上の所定の圧力で送った場合にも似通った測定結果が得られ、コアビットの径によらず、ビットの外周側の周速が少なくとも300m/min以上の場合に、穿孔装置による穿孔仕事量が減少して周速と共に穿孔速度が増加することが分かった。
以上述べてきたように、切り込み深さを一定に保つ目的で、発生トルクを一定に保つようにしながら穿孔を行なったところ、従来であれば、ビットの周速とともに穿孔速度が単調に増加することが予想されるにもかかわらず、本発明者らは、穿孔速度が周速の増加とともに単調に増加するのではなく、ビットの周速が220m/minより遅いと、穿孔に必要な仕事量が増加するため有効に穿孔速度を増加させることができないことを発見し、さらに、穿孔に必要な仕事量がビットの周速250m/minから300m/minにかけて減少して、ビットの周速が300m/min以上になると、ビットの周速を増加させることによって効果的に穿孔速度を増加させることができることを発見した。したがって、本発明の穿孔装置と穿孔工法によれば、所定深さ穿孔するために要する仕事の無駄をなくしてその値を低減し、短時間で被掘削物を穿孔することができる。
<実験例2>
従来の穿孔装置は、無負荷時に周速が300m/min以上有していたとしても、穿孔時に負荷をかけた状態では、ビットの外周側の周速が220m/min以下となるものが用いられている。そこで、本発明に係る穿孔装置1と、従来用いられている穿孔装置との穿孔速度の比較を行った。すなわち、従来用いられている穿孔装置として、市販されている2種類の穿孔装置A及び穿孔装置Bを用意し、圧縮強度がJIS規格210kgf/cmのコンクリートからなる被掘削材Cに対して深さ200mmの穿孔を行い、それぞれ穿孔時間を測定して比較した。ここで、穿孔装置A、穿孔装置B、及び穿孔装置1に使用するコアビットは、実験例1で使用されたものと同じものを用いた。
表7は、このような条件のもとで穿孔装置A、穿孔装置B、穿孔装置1を用いて穿孔を行った場合の穿孔時間を比較したものである。
Figure 2002094527
穿孔装置Aの場合、17Aの電流を供給して、回転数fが2500rpm、ビットの周速200m/min、発生トルクTが3.2Nmのときにコンクリートの被掘削物に深さ200mmの穴を穿孔するのに約55秒を要した。
また、穿孔装置Bの場合、9Aの電流を供給して、回転数fが750rpm、ビットの周速60m/min、発生トルクTが7.5Nmの値のときにコンクリートの被掘削物に深さ200mmの穴を穿孔するのに約60秒を要した。穿孔装置の出力パワーに比例する回転数fと発生トルクTの積が、先に述べた穿孔装置の例の場合の7割程度しかないため、単純な比較はできないものの、仮に回転数と発生トルクの積が同等になるような回転数での穿孔時間を評価すると、40秒程度となる。
一方、本発明に係る穿孔装置1の場合、回転数fが5700rpm、ビットの周速450m/min、発生トルクTが1.4Nmのときに同じコンクリートの被掘削物に深さ200mmの穴を穿孔するのに要した時間は約16秒程度であった。
これらの値から、穿孔装置による穿孔仕事量を算出すると、穿孔装置Aを用いた場合が46.2kJ、穿孔装置Bを用いた場合が35.3kJ、穿孔装置1を用いた場合が13.4kJとなり、穿孔装置による穿孔仕事量だけを比較してみても、穿孔装置1を用いた場合が最も少なかった。穿孔装置を送るために必要な送りの方向の力はビットの接線方向に必要な力に比例しているから、穿孔仕事量全体を比較してもこの順序は変わらない。
このように、ビットの周速を300m/min以上として穿孔を行う方が、穿孔仕事量が小さくなり、周速を増加させることで効果的に穿孔速度を増加させることができることが分かった。
以上の実験例から、ビットの周速を300m/min以上に増加させて穿孔を行うことにより、穿孔仕事量を低減でき、穿孔時間を短縮することができることが判明した。
また、ビットの周速が220m/minから300m/minの間の領域は、穿孔仕事量が周速とともに急速に減少する領域であり、穿孔速度は、基本的にはビットの周速が250m/minを超えた辺りからビットの周速とともに増加を始める。このため、穿孔時に、穿孔工具を0.6N/mm以上の所定の圧力で被掘削物に押し当てながらビットの外周側の周速を250m/min以上にして穿孔すると、有意な差はないまでも、少なくとも、周速の増加とともに穿孔速度を増加させることができる。
また、穿孔時に、穿孔工具を0.6N/mm以上の所定の圧力で被掘削物に押し当てながらビットの周速を400m/min以上に保つようにして穿孔すると、脆性材料からなる被掘削物の種類によらず、確実に穿孔速度を増加させることができる。
さらに、第二の実施例の構成を備えた穿孔装置1においても、ビット215の周速を300m/min以上とすると、実際に所定深さの穴を穿孔するのに必要な穿孔仕事量が低減し、周速の増加とともに穿孔速度の増加を図ることができることが検証実験によって示された。
被掘削物Cに対する穿孔速度を測定するため、発生トルクを略一定の値に保ちながら、一分間当たりのコアビット213の回転数を変えてビット215の周速を変え、それぞれの周速毎に、圧縮強度がJIS規格210kgf/cmのコンクリートからなる被掘削材Cに対して100mmないし220mmの所定の深さを穿孔するのに要した穿孔時間を測定した。ここで、コアビット213として、チューブ214の先端に略全周に亘ってビット215が装着されたものを用い、ビット215として、その外径が75mm、刃厚が2mm、軸方向の長さが6mm、メッシュサイズが#40/50の高グレードのダイヤモンド砥粒を1.76ct/ccの密度でメタルボンド材としてW−Cu−Sn中に分散配置させて形成されたものを用いた。また、穿孔に際しては、上述の実験例1と同じようにして被掘削物Cに向けて所定の圧力をかけながらコアビット213を送り、その時の回転数と穿孔時間とを測定した。
結果として表1〜表6ならびに図6および図7に示すような値が得られた。周速220m/min以下では、予想に反してコアビット213の周速を増加させても穿孔速度がそれに比例して増加しなかった。むしろその値は、一定に留まっていることが分かった。しかも、ダイレクトモータ2に流れる電流が異なっていても、すなわち、発生トルクが異なっても、この傾向は変らなかった。上述したように、ビットによる切り込みの深さと発生トルクとは互いに関係しているから、この結果は、周速300m/min以上で穿孔速度が増加するのは、周速とともに切り込みの深さが変るためではないことを示唆している。一方、穿孔装置による穿孔仕事量Eが周速220m/min以下の領域で略周速に比例するように増加していることがわかった。しかも、ダイレクトモータ2に流れる電流が異なる場合も、それぞれの周速で穿孔仕事量Eの値は同じであった。これは、ビット215による切り込みの深さが大きいときには、負荷もその深さに比例して大きくなり、その一方で穿孔するために必要なコアビット213の全回転数が少なくなるために、全体として穿孔仕事量Eが変わらなくなるためであると考えられる。いずれにせよ、コアビット213を被掘削物に押し当てる際の圧力が異なり、コアビット213に加わる負荷の値が変る場合でも、周速220m/min以下では、コアビット213の周速の増加に伴って穿孔仕事量が増加するため、穿孔速度が増加しないことが分かった。ところが、周速が250m/minから300m/minにかけて穿孔装置による穿孔仕事量Eが周速の増加とともに急激に減少し、少なくとも周速300m/min以上の領域では、周速220m/minでの穿孔仕事量の値の半分以下にまで低下することが分かった。このため、周速300m/min以上で、穿孔速度は周速とともに単調に増加した。
この測定結果は、コアビットの直径が75mmのものを用いたものであるが、直径が50mm以上200mm未満のコアビットを用い、コアビットを0.6N/mm以上の所定の圧力で送った場合にも似通った測定結果が得られ、コアビットの径によらず、ビットの外周側の周速が少なくとも300m/min以上の場合に、穿孔装置による穿孔仕事量が減少して周速と共に穿孔速度が増加することが分かった。
以上の実験例から、第二の実施例においても、ビットの周速を300m/min以上に増加させて穿孔を行うことにより、穿孔仕事量を低減でき、穿孔時間を短縮することができることが判明した。
また、ビットの周速が220m/minから300m/minの間の領域は、穿孔仕事量が周速とともに急速に減少する領域であり、穿孔速度は、基本的にはビットの周速が250m/minを超えた辺りからビットの周速とともに増加を始める。このため、穿孔時に、穿孔工具を0.6N/mm以上の所定の圧力で被掘削物に押し当てながらビットの外周側の周速を250m/min以上にして穿孔すると、有意な差はないまでも、少なくとも、周速の増加とともに穿孔速度を増加させることができる。
また、穿孔時に、穿孔工具を0.6N/mm以上の所定の圧力で被掘削物に押し当てながらビットの周速を400m/min以上に保つようにして穿孔すると、脆性材料からなる被掘削物の種類によらず、確実に穿孔速度を増加させることができる。
加えて、上述の第三の実施例における構成の場合にも、ビット315の周速を300m/min以上にすると、実際に所定深さの穴を穿孔するのに必要な穿孔仕事量が低減し、周速の増加とともに穿孔速度の増加を図ることができことが検証実験によって示された。
被掘削物に対する穿孔速度を測定するため、発生トルクを略一定の値に保ちながら、一分間当たりの穿孔工具313の回転数を変えてビット315の周速を変え、それぞれの周速毎に、圧縮強度がJIS規格210kgf/cmのコンクリートからなる被掘削材に対して100mmないし220mmの所定の深さを穿孔するのに要した穿孔時間を測定した。ここで、穿孔工具313として、工具本体314の先端にビット315が装着されたものを用い、ビット315として、その外径が6.5mm、軸方向の長さが6mm、メッシュサイズが#40/50の高グレードのダイヤモンド砥粒を1.76ct/ccの密度でメタルボンド材としてW−Cu−Sn中に分散配置させて形成されたものを用いた。また、穿孔に際しては、上述の実験例1と同じようにして被掘削物に向けて所定の圧力をかけながら穿孔工具313を送り、ダイレクトモータ302に流れる電流を略一定の値に保ち、穿孔時になるべく同じようなトルクの負荷が穿孔工具313にかかるようにして、その時の回転数と穿孔時間とを測定した。
結果として表1〜表6ならびに図6および図7に示すような値が得られた。周速220m/min以下では、予想に反して穿孔工具313の周速を増加させても穿孔速度がそれに比例して増加しなかった。むしろその値は、一定に留まっていることが分かった。しかも、ダイレクトモータ302に流れる電流が異なっていても、すなわち、発生トルクが異なっても、この傾向は変らなかった。上述したように、ビットによる切り込みの深さと発生トルクとは互いに関係しているから、この結果は、周速300m/min以上で穿孔速度が増加するのは、周速とともに切り込みの深さが変るためではないことを示唆している。一方、穿孔装置による穿孔仕事量Eが周速220m/min以下の領域で略周速に比例するように増加していることがわかった。しかも、ダイレクトモータ302に流れる電流が異なる場合も、それぞれの周速で穿孔仕事量Eの値は同じであった。これは、ビット315による切り込みの深さが大きいときには、負荷もその深さに比例して大きくなり、その一方で穿孔するために必要なコアビット313の全回転数が少なくなるために、全体として穿孔仕事量Eが変わらなくなるためであると考えられる。いずれにせよ、穿孔工具313を被掘削物に押し当てる際の圧力が異なり、穿孔工具313に加わる負荷の値が変る場合でも、周速220m/min以下では、穿孔工具313の周速の増加に伴って穿孔仕事量が増加するため、穿孔速度が増加しないことが分かった。ところが、周速が250m/minから300m/minにかけて穿孔装置による穿孔仕事量Eが周速の増加とともに急激に減少し、少なくとも周速300m/min以上の領域では、周速220m/minでの穿孔仕事量の値の半分以下にまで低下することが分かった。このため、周速300m/min以上で、穿孔速度は周速とともに単調に増加した。
この測定結果は、穿孔工具の直径が6.5mmのものを用いたものであるが、直径が3mm以上15mm未満の穿孔工具を用い、穿孔工具を0.6N/mm以上の所定の圧力で送った場合にも似通った測定結果が得られ、穿孔工具の径によらず、ビットの外周側の周速が少なくとも300m/min以上の場合に、穿孔装置による穿孔仕事量が減少して周速と共に穿孔速度が増加することが分かった。
以上の実験例から、第三の実施例の場合にもビットの周速を300m/min以上に増加させて穿孔を行うことにより、穿孔仕事量を低減でき、穿孔時間を短縮することができることが判明した。
産業上の利用の可能性
本発明の穿孔装置によれば、所定深さ穿孔するために要する仕事の値が低減され、その結果、ビットの周速を増加させることで、短時間で被掘削物を穿孔することができる。
また、本発明の穿孔装置によれば、回転駆動装置が、先端部に穿孔工具が取り付けられる回転軸が貫通されて一体的に設けられた筒状のロータと、このロータの外周面に設けられた円筒状のステータとを備えているので、ギヤ等を用いた回転伝達系での仕事の損失が無く、モータの出力パワーをそのまま穿孔装置の出力パワーとすることができ、穿孔装置の小形軽量化を図って高速で穿孔工具を回転することができる。
また、本発明の穿孔工法によれば、所定深さ穿孔するために要する仕事の値が低減され、ビットの周速を増加させることで、短時間で被掘削物を穿孔することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に係る第一の実施例を示す図であって、穿孔装置の一例を示す側面図である。
図2は、本発明に係る第一の実施例を示す図であって、穿孔装置の穿孔装置本体を一部破断して示す側面図である。
図3は、本実施例の穿孔装置の支柱部の構造を説明する支柱部の断面図である。
図4は、本実施例の穿孔装置の移動機構の構成及び構造を説明する移動機構の断面図である。
図5は、本実施例の穿孔装置の電気回路の接続を模式的に示すブロック図である。
図6は、ビットの周速とトルクの値で規格化された穿孔速度との関係を示す図である。
図7は、ビットの周速と穿孔装置による穿孔仕事量の関係を示す図である。
図8は、本発明に係る第二の実施例を示す図であって、穿孔装置の一例を示す側面図である。
図9は、本発明に係る第二の実施例を示す図であって、穿孔装置の穿孔装置本体を一部破断して示す側面図である。
図10は、本発明に係る第三の実施例を示す図であって、穿孔装置の穿孔装置本体を一部破断して示す側面図である。
図11は、従来の穿孔装置の構造を説明する穿孔装置の断面図である。

Claims (11)

  1. 超硬合金あるいは結合相の中に超砥粒が分散配置されて形成されたビットが棒状あるいは円筒状の工具本体の先端に設けられた穿孔工具と、前記穿孔工具を軸線回りに回転駆動する回転駆動装置とを有し、回転駆動された前記穿孔工具の先端を脆性材料からなる被掘削物に押し当てて該被掘削物を穿孔するよう構成された穿孔装置であって、
    前記回転駆動装置は、穿孔時に、前記穿孔工具を0.6N/mm以上の所定の圧力で前記被掘削物に押し当てながら前記ビットの外周側の周速を300m/min以上に保つように構成されている穿孔装置。
  2. 請求項1に記載の穿孔装置であって、
    前記穿孔工具は、その直径が3mm以上200mm以下とされている穿孔装置。
  3. 請求項1に記載の穿孔装置であって、
    前記穿孔工具は、その直径が3mm以上15mm未満とされている穿孔装置。
  4. 請求項1に記載の穿孔装置であって、
    前記穿孔工具は、その直径が15mm以上50mm未満とされている穿孔装置。
  5. 請求項1に記載の穿孔装置であって、
    前記穿孔工具は、その直径が50mm以上200mm以下とされている穿孔装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の穿孔装置であって、
    前記回転駆動装置は、先端部に前記穿孔工具が取り付けられる回転軸が貫通されて一体的に設けられた筒状のロータと、このロータの外周面に設けられた円筒状のステータとを備えている穿孔装置。
  7. 円筒状の工具本体の先端に、超硬合金あるいは結合相の中に超砥粒が分散配置されて形成されたビットが設けられてなる穿孔工具を軸線回りに回転駆動し、回転駆動された前記穿孔工具の先端を脆性材料からなる被掘削物に押し当てて該被掘削物を穿孔する穿孔工法であって、
    前記穿孔工具を0.6N/mm以上の所定の圧力で前記被掘削物に押し当て、前記ビットの外周側の周速を300m/min以上に保ちながら前記被掘削物を穿孔する穿孔工法。
  8. 請求項7に記載の穿孔工法であって、
    前記工具本体の直径が3mm以上200mm以下とされた前記穿孔工具を用いる穿孔工法。
  9. 請求項7に記載の穿孔工法であって、
    前記工具本体の直径が3mm以上15mm未満とされた前記穿孔工具を用いる穿孔工法。
  10. 請求項7に記載の穿孔工法であって、
    前記工具本体の直径が15mm以上50mm未満とされた前記穿孔工具を用いる穿孔工法。
  11. 請求項7に記載の穿孔工法であって、
    前記工具本体の直径が50mm以上200mm以下とされた前記穿孔工具を用いる穿孔工法。
JP2002591225A 2001-05-21 2002-05-17 穿孔装置及び穿孔工法 Pending JPWO2002094527A1 (ja)

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001151661 2001-05-21
JP2001151661 2001-05-21
JP2001159558 2001-05-28
JP2001159559 2001-05-28
JP2001159558 2001-05-28
JP2001159559 2001-05-28
PCT/JP2002/004788 WO2002094527A1 (fr) 2001-05-21 2002-05-17 Dispositif d'alesage et procede d'alesage

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2002094527A1 true JPWO2002094527A1 (ja) 2004-09-02

Family

ID=27346761

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002591225A Pending JPWO2002094527A1 (ja) 2001-05-21 2002-05-17 穿孔装置及び穿孔工法

Country Status (7)

Country Link
US (1) US7350595B2 (ja)
EP (1) EP1389513A4 (ja)
JP (1) JPWO2002094527A1 (ja)
KR (1) KR100779439B1 (ja)
CN (1) CN1254353C (ja)
TW (1) TW590862B (ja)
WO (1) WO2002094527A1 (ja)

Families Citing this family (24)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100573380C (zh) * 2003-12-18 2009-12-23 松下电器产业株式会社 机器人装置
JP2005231156A (ja) 2004-02-19 2005-09-02 Hitachi Koki Co Ltd 穿孔装置及びコンプレッサ
EP2939794B1 (en) * 2009-09-04 2017-03-08 Black & Decker Inc. Power tool with an overspeed detection module
CN102211361A (zh) * 2010-04-01 2011-10-12 大银微系统股份有限公司 结构件的结合构造
JP5614640B2 (ja) * 2010-09-30 2014-10-29 西松建設株式会社 コンクリートコア抜き取り方法
CN102069209B (zh) * 2010-12-22 2012-11-14 北京控制工程研究所 一种铝合金、铜合金零件的微孔钻削加工方法
US9908182B2 (en) 2012-01-30 2018-03-06 Black & Decker Inc. Remote programming of a power tool
US9193055B2 (en) 2012-04-13 2015-11-24 Black & Decker Inc. Electronic clutch for power tool
US8919456B2 (en) 2012-06-08 2014-12-30 Black & Decker Inc. Fastener setting algorithm for drill driver
TWI458974B (zh) * 2012-12-28 2014-11-01 Univ Chienkuo Technology Micro - drilling test device for measuring the strength of concrete
JP5886786B2 (ja) * 2013-05-08 2016-03-16 日東工器株式会社 バッテリ式穿孔機
JP5952777B2 (ja) * 2013-05-29 2016-07-13 日東工器株式会社 バッテリ式穿孔機
RU2533797C1 (ru) * 2013-09-10 2014-11-20 Георгий Леонидович Сафонов Навесное оборудование для изготовления мраморных колонн бурением
CN104074463B (zh) * 2014-06-20 2016-04-06 西安科技大学 一种矿井上使用的打眼装置
EP3219422A1 (de) * 2016-03-14 2017-09-20 Hilti Aktiengesellschaft Verfahren zum betreiben einer werkzeugmaschine und werkzeugmaschine betreibbar mit dem vefahren
CN106607996B (zh) * 2016-12-23 2018-06-26 徐文轩 一种水泥电力杆施工用打孔机
EP3379019B1 (en) * 2017-03-24 2019-09-04 Techtronic Outdoor Products Technology Limited Digging apparatus
JP2019005901A (ja) * 2017-06-20 2019-01-17 株式会社ミスミ特殊 鉄筋コンクリート構造物用コアドリル
FR3082766B1 (fr) * 2018-06-25 2020-06-05 Structure Et Rehabilitation Carotteuse pour milieu humide
CN108798576B (zh) * 2018-07-20 2023-11-10 广东鸿翔工程检测咨询有限公司 一种公路路面检测用钻孔取芯机
US11623285B2 (en) * 2021-03-01 2023-04-11 Andrew T. K. Dewberry Coring device for cutting holes through a structure
CN114953216A (zh) * 2022-06-30 2022-08-30 枣庄市城市建设事业发展中心 一种建筑施工孔洞处理装置
CN115639019B (zh) * 2022-12-23 2023-03-17 四川路桥华东建设有限责任公司 路面钻进取芯设备
CN117754745B (zh) * 2024-01-30 2024-05-31 山东国信工业科技股份有限公司 一种电极锅炉电极棒加工装置

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61146412A (ja) * 1984-12-20 1986-07-04 Hiromitsu Okinaga コンクリ−ト構造物用穿孔ドリル
JPH033378Y2 (ja) * 1986-08-29 1991-01-29
JPH033378A (ja) 1989-05-31 1991-01-09 Matsushita Electric Ind Co Ltd 固体レーザ装置
US5174691A (en) * 1989-09-05 1992-12-29 Ford Motor Company High feed rate deep penetration drill
US5009705A (en) * 1989-12-28 1991-04-23 Mitsubishi Metal Corporation Microdrill bit
JPH0426706A (ja) 1990-05-17 1992-01-29 Kobe Steel Ltd 焼結部材の製造方法
JP2504802Y2 (ja) * 1990-06-26 1996-07-24 ノリタケダイヤ株式会社 ダイヤモンドコアドリル
US5065647A (en) * 1990-08-27 1991-11-19 Ford Motor Company Bit for drilling cast iron
JPH05318212A (ja) 1992-05-18 1993-12-03 Nissan Motor Co Ltd ハイシリコンアルミボアの仕上げボーリング加工方法
US6102135A (en) * 1997-12-11 2000-08-15 Shaw; Neil B. Portable core sampler
JP2001057757A (ja) 1999-06-11 2001-02-27 Mitsubishi Materials Corp 中空型モータ
TW434363B (en) * 1999-10-22 2001-05-16 Mitsubishi Materials Corp High speed drilling apparatus and method
JP4053297B2 (ja) * 2001-04-11 2008-02-27 三菱マテリアル株式会社 研削材及びそれを用いた穿孔工法

Also Published As

Publication number Publication date
KR20030097884A (ko) 2003-12-31
KR100779439B1 (ko) 2007-11-26
EP1389513A4 (en) 2008-05-28
US20050039951A1 (en) 2005-02-24
TW590862B (en) 2004-06-11
US7350595B2 (en) 2008-04-01
CN1582220A (zh) 2005-02-16
EP1389513A1 (en) 2004-02-18
CN1254353C (zh) 2006-05-03
WO2002094527A1 (fr) 2002-11-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPWO2002094527A1 (ja) 穿孔装置及び穿孔工法
CN101491848B (zh) 切割机及切割方法
WO2007084623A2 (en) Hole coring system
US20050103528A1 (en) Horizontal directional drilling in wells
HK1054071A1 (en) Boring device and boring method
JP2008126532A (ja) 穿孔方法、制御方法、穿孔装置及び砥石ビット
JP6170088B2 (ja) Pcグラウトの充填調査及び再注入用孔削孔時のシース管検知方法、並びにpcグラウトの充填調査及び再注入用孔の削孔方法
EP0678149A4 (en) MASONRY CORE SYSTEM.
CN201353666Y (zh) 切割机
KR101762879B1 (ko) 지반 굴착장치
US20040191010A1 (en) Tool device, and method for drilling
CN112324323B (zh) 一种注浆支护型钻锚一体机及锚固方法
JP2002273722A (ja) 穿孔装置
CN207155710U (zh) 一种电锤
JP2003089110A (ja) 掘削機および掘削工法
JP2019072960A (ja) コアビット、インバータ制御コアドリル、及びコンクリートの乾式削孔方法
JPH09217580A (ja) さく孔用工具類及びそれを使用するさく孔方法
JP2013060013A (ja) 穿孔方法、制御方法、穿孔装置
JP2002233186A (ja) 穿孔装置
CN213683945U (zh) 一种注浆支护型钻锚一体机
JP2002051586A (ja) 穿孔装置および穿孔工法
JP2002301614A (ja) 穿孔工具及び穿孔装置
CN2305480Y (zh) 干湿式钻孔机的安培显示和手自动操控装置
CN106891299A (zh) 一种电锤
JP2003025322A (ja) 穿孔機及び穿孔工法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050324

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050324

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050422

A072 Dismissal of procedure [no reply to invitation to correct request for examination]

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A073

Effective date: 20050816

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080520

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080930