JPWO2002072720A1 - インクジェット記録用インク、該インクに用いられる溶媒並びに該インクを備えたカートリッジ及び記録装置 - Google Patents

インクジェット記録用インク、該インクに用いられる溶媒並びに該インクを備えたカートリッジ及び記録装置 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2002072720A1
JPWO2002072720A1 JP2002571779A JP2002571779A JPWO2002072720A1 JP WO2002072720 A1 JPWO2002072720 A1 JP WO2002072720A1 JP 2002571779 A JP2002571779 A JP 2002571779A JP 2002571779 A JP2002571779 A JP 2002571779A JP WO2002072720 A1 JPWO2002072720 A1 JP WO2002072720A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
water
soluble substance
recording
undergoes
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002571779A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4009200B2 (ja
Inventor
曽我 眞守
眞守 曽我
荒瀬 秀和
秀和 荒瀬
松尾 浩之
浩之 松尾
立川 雅一郎
雅一郎 立川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Publication of JPWO2002072720A1 publication Critical patent/JPWO2002072720A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4009200B2 publication Critical patent/JP4009200B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D11/00Inks
    • C09D11/30Inkjet printing inks
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D11/00Inks
    • C09D11/30Inkjet printing inks
    • C09D11/40Ink-sets specially adapted for multi-colour inkjet printing

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Ink Jet (AREA)

Abstract

色材と、保湿剤と、浸透剤と、水と、この水がない状態で縮重合反応する水溶性物質(例えば加水分解性シラン化合物)とを含有するインクにおいて、上記水溶性物質が縮重合反応する前の状態での25℃におけるインク表面張力を20〜50mN/mに設定するか、又は、インクに、沸点が100℃よりも低いフルオロアルキル系モノアルコールを含有させる。

Description

技術分野
本発明は、インクジェット記録に好適なインクジェット記録用インク、該インクに用いられる溶媒並びに該インクを備えたカートリッジ及び記録装置に関する技術分野に属する。
背景技術
従来より、インクジェット記録に用いられるインクとしては、染料や顔料等の色材と、保湿剤と、浸透剤と、水とを含有したものがよく知られている。ところが、上記色材を含有したインクにより記録紙等の記録媒体上に画像を形成すると、その画像の耐水性が問題となる。特に染料を含有したインクにより普通紙(広範な市販の紙で、とりわけ電子写真方式の複写機に用いられる紙であって、インクジェット記録用として最適な構造、組成、特性等を有するように意図して製造されてはいない紙)に記録した場合には、耐水性が非常に悪くなる。
そこで、従来、例えば特開平10−212439号公報、特開平11−293167号公報及び特開平11−315231号公報に示されているように、加水分解性シラン化合物(有機ケイ素化合物)を含有させることにより、記録媒体上の画像の耐水性を向上させるようにすることが提案されている。すなわち、インク滴が記録媒体上に付着してそのインク滴中の水等の溶媒が蒸発したり記録媒体内に浸透したりしたときに、上記シラン化合物が縮重合反応し、この縮重合反応したシラン化合物が色材を取り囲むため、記録媒体上の画像が水に濡れても、色材がその水中に染み出すことはなく、その画像の耐水性が向上する。
しかしながら、上記のような加水分解性シラン化合物を含有するインクをそのまま用いたのでは、インク滴が記録媒体上に付着したときにおいてそのインク滴中の水等の溶媒が蒸発したり記録媒体内へ浸透したりする速度が比較的遅くて、シラン化合物の縮重合反応が速やかには行われず、これにより、シラン化合物による色材の取り囲みが不十分となってしまう。特に、記録媒体上に画像を形成した直後にこの画像が水に濡れると、シラン化合物に取り囲まれていない色材がその水中に染み出してしまうことになり、耐水性の向上効果が十分に得られないという問題がある。
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上記加水分解性シラン化合物のような、水がない状態で縮重合反応する水溶性物質を含有するインクによって画像を形成する場合に、その画像の耐水性を確実に向上させることにあり、特に画像形成直後における耐水性を向上させようとすることにある。
発明の開示
上記の目的を達成するために、本発明では、インク若しくは溶媒(保湿剤、浸透剤及び水を含有するもの)の表面張力を比較的低く設定するか、又は、インクに、沸点が100℃よりも低いフルオロアルキル系モノアルコールを含有させるようにした。
具体的には、第1の発明では、保湿剤と浸透剤と水とを含有する溶媒と、色材と、上記水がない状態で縮重合反応する水溶性物質とを含有するインクジェット記録用インクを対象として、上記水溶性物質が縮重合反応する前の状態での25℃におけるインク表面張力が20〜50mN/m(20〜50dyn/cm)に設定されているものとする。
このように、インクの表面張力を50mN/m以下と比較的低く設定すれば、インク滴が記録媒体(例えば紙)上に付着した後において、そのインク滴中の水等の溶媒が記録媒体内に浸透し易くなる。これにより、水溶性物質の縮重合反応が速やかに行われて水溶性物質が色材(染料や顔料等)を素早くかつ確実に取り囲む。したがって、このインクにより記録媒体上に画像を形成した直後にこの画像が水に濡れても、そのインクの色材は、縮重合反応した水溶性物質に取り囲まれているため、水中に染み出すことは殆どない。よって、画像の耐水性を確実に向上させることができる。尚、このインクの表面張力の設定は、浸透剤の含有量を調整することにより容易に行うことができる。
ここで、インクの表面張力は、溶媒の記録媒体内への浸透を速やかにする観点からは低ければ低い程好ましいが、20mN/mよりも小さいと、上記インクを液滴状に形成して吐出させることが困難になって、インクジェット記録用としては好ましくないので、20mN/m以上に設定している。
第2の発明では、上記第1の発明において、水溶性物質が縮重合反応する前の状態での25℃におけるインク表面張力が30〜40mN/m(30〜40dyn/cm)に設定されているものとする。
こうすれば、記録装置のインクジェットヘッドに設けられた、インク滴を吐出するための圧電アクチュエータの圧電素子として、比較的薄膜(例えば8μm以下)のものを用いる場合に好適となる。つまり、上記インクジェットヘッドを、インクが収容された圧力室と、この圧力室に連通するノズルと、上記インク室の圧力が増減するように撓み変形する圧電アクチュエータとで構成する場合、上記ノズルからインク滴(特に吐出量が3pl以下の小インク滴)を吐出させるには、先ず、上記圧電アクチュエータを圧力室内の圧力が高まるように撓み変形させることで、上記ノズルからインクを押し出し、その後に、この圧電アクチュエータを上記圧力室内の圧力が低下するように(インクの押出方向とは逆方向である引き戻し方向に)急速に変形させることで、上記ノズルから押し出されているインクを圧力室内のインクから引きちぎってインク滴を吐出させる。このとき、上記圧電アクチュエータの圧電素子が、例えば10μm以上の厚みを有する厚膜の圧電素子である場合には、この圧電アクチュエータの引き戻し変形の際に発生する力が比較的大きいため、インクの表面張力が比較的低くてもインクを引きちぎることができ、これにより、インク滴が形成されてノズルから吐出する。これに対し、上記圧電素子の厚みが薄い場合には、圧電アクチュエータの引き戻し変形の際に発生する力が小さいため、インクの表面張力が低いとインクを引きちぎることができず、この結果、インク滴を形成することができなくなってしまう。しかし、この発明のように、インクの表面張力を30mN/m以上とすれば、圧電素子が薄膜であっても、インクを引きちぎることができ、よって、インク滴を確実に形成してノズルから吐出させることができる。
一方、インクの表面張力を40mN/m以下とすることで、上記圧電素子が薄膜の場合に、上記圧電アクチュエータの駆動周波数を高くすることが可能になる。つまり、圧電アクチュエータが引き戻し変形をする際に、圧力室に連通するインクカートリッジからインクが吸い込まれて、上記圧力室内にインクが充填されるが、上記圧電素子が薄膜である場合には、上述したように圧電アクチュエータの変形の際に発生する力が小さいことから、インクの表面張力が高すぎると圧力室内へのインクの吸い込みがスムーズに行われなくなってしまう。これにより、インク滴を吐出してから次のインク滴を吐出するまでの時間が長くなり、このことにより、圧電アクチュエータの駆動周波数が低下してしまう。しかし、この発明のように、インクの表面張力を40mN/m以下とすれば、圧電素子が薄膜であっても圧力室内へのインクの吸い込みがスムーズに行われ、これにより、20kHz以上の高い周波数で圧電アクチュエータを駆動してインク滴を吐出させることが可能になる。しかも、上述したように、このインク滴が記録媒体上に付着すれば、その溶媒が速やかに記録媒体内に浸透することで、水溶性物質の縮重合反応により色材が速やかにかつ確実に取り囲まれ、高い耐水性が得られる。
第3の発明では、上記第1の発明において、水溶性物質が縮重合反応する前の状態での25℃におけるインク粘度が2〜10cPに設定されているものとする。
このように、インクの粘度を10cP以下と比較的低くすれば、溶媒を記録媒体内により一層速やかに浸透させることができる。その結果、画像の形成直後における耐水性がより一層向上する。尚、上記粘度は、溶媒を記録媒体内に速やかに浸透させる観点からは低ければ低い程好ましいが、水の粘度が1cP程度であるため、この水の他に色材、保湿剤、浸透剤及び水溶性物質を含有するインクの粘度としては2cPが下限である。
第4の発明では、上記第1の発明において、浸透剤の含有量が、インク全体に対して質量百分率で1〜50%に設定されているものとする。
すなわち、浸透剤の含有量は、1%よりも少ないと、インクの表面張力を50mN/m以下に設定することが困難である一方、50%よりも多いと、色材及びシラン化合物の溶媒に対する溶解性が悪化するので、1〜50%に設定することが好ましい。
第5の発明では、上記第1の発明において、水溶性物質は、加水分解性シラン化合物であるものとする。
すなわち、シラン化合物は耐水性を向上させる点で非常に好ましく、第1の発明の作用効果を有効に発揮させることができる。
第6の発明では、色材と、保湿剤と、浸透剤と、水と、この水がない状態で縮重合反応する水溶性物質とを含有するインクジェット記録用インクを対象として、沸点が100℃(標準状態での値:以下、沸点については同じ)よりも低いフルオロアルキル系モノアルコールを含有するものとする。
この発明により、フルオロアルキル系モノアルコールが含有されている分だけ水の分子が拡散されるので、インク滴が記録媒体上に付着したときにおいてそのインク滴中の水の蒸発や記録媒体内への浸透が速やかに行われる。また、フルオロアルキル系モノアルコールの含有によりインクの表面張力が小さくなるため、水やフルオロアルキル系モノアルコール等が記録媒体内へより一層浸透し易くなる。一方、フルオロアルキル系モノアルコールは水よりも低沸点であるので、水よりも速やかに蒸発すると共に、記録媒体内へ浸透してからも蒸発するため、水溶性物質の縮重合反応を阻害することはない。この結果、インク滴が記録媒体上に付着した後に、水溶性物質が素早く縮重合反応をして色材を確実に取り囲む。よって、第1の発明と同様に、画像の耐水性を確実に向上させることができる。
第7の発明では、上記第6の発明において、水溶性物質は、加水分解性シラン化合物であるものとする。このことで、第6の発明の作用効果を有効に発揮させることができる。
第8の発明では、上記第6の発明において、フルオロアルキル系モノアルコールの含有量が、インク全体に対して質量百分率で5〜50%に設定されているものとする。
すなわち、フルオロアルキル系モノアルコールの含有量は、5%よりも少ないと、記録媒体上に付着したインク滴中の水の蒸発や記録媒体内への浸透を速やかに行わせる効果が十分に得られない一方、50%よりも多いと、保湿剤を含有していてもインクが乾燥し易くなって、記録装置のインクジェットヘッドのノズル等で目詰まりが生じるので、5〜50%に設定することが好ましい。
第9の発明は、保湿剤と浸透剤と水とを含有し、少なくとも色材と上記水がない状態で縮重合反応する水溶性物質とを溶解させてインクジェット記録用インクを作製するための溶媒の発明であり、この溶媒の25℃における表面張力が20〜50mN/mに設定されているものとする。
このことで、この溶媒を用いてインクを作製すれば、そのインクの表面張力の値をおおよそ20〜50mN/mの範囲に設定することができ、第1の発明のインクジェット記録用インクを容易に作製することができる。
第10の発明は、保湿剤と浸透剤と水とを含有する溶媒と、色材と、上記水がない状態で縮重合反応する水溶性物質とを含有するインクジェット記録用インクを備えたカートリッジの発明であり、この発明では、上記インクは、上記水溶性物質が縮重合反応する前の状態での25℃におけるインク表面張力が20〜50mN/mに設定されたものであるとする。
この発明により、第1の発明と同様の作用効果が得られる。
第11の発明では、色材と、保湿剤と、浸透剤と、水と、この水がない状態で縮重合反応する水溶性物質とを含有するインクジェット記録用インクを備えたカートリッジを対象として、上記インクは、沸点が100℃よりも低いフルオロアルキル系モノアルコールを含有するものとする。
このことにより、第6の発明と同様の作用効果が得られる。
第12の発明は、保湿剤と浸透剤と水とを含有する溶媒と、色材と、上記水がない状態で縮重合反応する水溶性物質とを含有するインクジェット記録用インクを備え、該インクを記録媒体に吐出して記録を行う記録装置の発明であり、この発明では、上記インクは、上記水溶性物質が縮重合反応する前の状態での25℃におけるインク表面張力が20〜50mN/mに設定されたものであるとする。
この発明により、第1の発明と同様の作用効果が得られる。
第13の発明では、色材と、保湿剤と、浸透剤と、水と、この水がない状態で縮重合反応する水溶性物質とを含有するインクジェット記録用インクを備え、該インクを記録媒体に吐出して記録を行う記録装置を対象として、上記インクは、沸点が100℃よりも低いフルオロアルキル系モノアルコールを含有するものとする。
こうすることで、第6の発明と同様の作用効果が得られる。
発明を実施するための最良の形態
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクを備えたインクジェット式記録装置Aを概略的に示し、この記録装置Aは、上面に上記インクを有するインクカートリッジ35が装着されかつ該インクを後述の如く記録媒体としての記録紙41に吐出するインクジェットヘッド1を備えている。このインクジェットヘッド1はキャリッジ31に支持固定され、このキャリッジ31には、図示を省略するキャリッジモータが設けられ、このキャリッジモータにより上記インクジェットヘッド1及びキャリッジ31が主走査方向(図1及び図2に示すX方向)に延びるキャリッジ軸32にガイドされてその方向に往復動するようになっている。このキャリッジ31、キャリッジ軸32及びキャリッジモータにより、インクジェットヘッド1と記録紙41とを主走査方向に相対移動させる相対移動手段が構成されている。
上記インクカートリッジ35は、容器内に上記インクが収容されたものであって、インクジェットヘッド1に対して着脱可能に構成されており、容器内のインクがなくなったときに、新しいものと交換することが可能になっている。
上記記録紙41は、図示を省略する搬送モータによって回転駆動される2つの搬送ローラ42に挟まれていて、この搬送モータ及び各搬送ローラ42により、上記インクジェットヘッド1の下側において上記主走査方向と垂直な副走査方向(図1及び図2に示すY方向)に搬送されるようになっている。この搬送モータ及び各搬送ローラ42により、インクジェットヘッド1と記録紙41とを副走査方向に相対移動させる相対移動手段が構成されている。
上記インクジェットヘッド1は、図2〜図4に示すように、インクを供給するための供給口3a及びインクを吐出するための吐出口3bを有する複数の圧力室用凹部3が形成されたヘッド本体2を備えている。このヘッド本体2の各凹部3は、該ヘッド本体2の上面に上記主走査方向に延びるように開口されていて、互いに上記副走査方向に略等間隔をあけた状態で並設されている。上記各凹部3開口の全長は約1250μmに、幅は約130μmにそれぞれ設定されている。尚、上記各凹部3の開口の両端部は、略半円形状をなしている。
上記ヘッド本体2の各凹部3の側壁部は、約200μm厚の感光性ガラス製の圧力室部品6で構成され、各凹部3の底壁部は、この圧力室部品6の下面に接着固定されかつ6枚のステンレス鋼薄板を積層してなるインク流路部品7で構成されている。このインク流路部品7内には、上記各凹部3の供給口3aとそれぞれ接続された複数のオリフィス8と、この各オリフィス8と接続されかつ上記副走査方向に延びる1つの供給用インク流路11と、上記吐出口3bとそれぞれ接続された複数の吐出用インク流路12とが形成されている。
上記各オリフィス8は、インク流路部品7において板厚が他よりも小さい上から2番目のステンレス鋼薄板に形成されており、その径は約38μmに設定されている。また、上記供給用インク流路11は上記インクカートリッジ35と接続されており、このインクカートリッジ35より供給用インク流路11内にインクが供給されるようになっている。
上記インク流路部品7の下面には、インク滴を上記記録紙41に向けて吐出するための複数のノズル14が形成されたステンレス鋼製のノズル板9が接着固定されている。このノズル板9の下面は、撥水膜9aで被覆されている。上記各ノズル14は、上記吐出用インク流路12とそれぞれ接続されていて、この吐出用インク流路12を介して上記各凹部3の吐出口3bにそれぞれ連通されており、インクジェットヘッド1の下面において、上記副走査方向に列状に並ぶように設けられている。尚、上記各ノズル14は、ノズル径がノズル先端側に向かって小さくなるテーパ部と、該テーパ部のノズル先端側に設けられたストレート部とからなり、このストレート部のノズル径は約20μmに設定されている。
上記ヘッド本体2の各凹部3の上側には、圧電アクチュエータ21がそれぞれ設けられている。この各圧電アクチュエータ21は、上記ヘッド本体2の上面に接着固定された状態で該ヘッド本体2の各凹部3を塞いで該凹部3と共に圧力室4を構成するCr製振動板22を有している。この振動板22は、全ての圧電アクチュエータ21に共通の1つのものからなっていて、後述の全圧電素子23に共通の共通電極としての役割をも果たしている。
また、上記各圧電アクチュエータ21は、上記振動板22の上記圧力室4と反対側面(上面)において圧力室4に対応する部分(凹部3開口に対向する部分)にCu製の中間層25を介してそれぞれ設けられかつチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる圧電素子23と、この各圧電素子23の上記振動板22と反対側面(上面)にそれぞれ設けられ、該振動板22と共に各圧電素子23に電圧(駆動電圧)をそれぞれ印加するためのPt製個別電極24とを有している。
上記振動板22、各圧電素子23、各個別電極24及び各中間層25は、全て薄膜で形成されたものであり、振動板22の厚みは約6μmに、各圧電素子23の厚みは8μm以下(例えば約3μm)に、各個別電極24の厚みは約0.2μmに、各中間層25の厚みは約3μmにそれぞれ設定されている。
上記各圧電アクチュエータ21は、その振動板22ないし各中間層25と各個別電極24とを介して各圧電素子23に駆動電圧を印加することにより該振動板22の圧力室4に対応する部分を変形させることで、該圧力室4内のインクを吐出口3bないしノズル14から吐出させるようになっている。すなわち、振動板22と個別電極24との間にパルス状の電圧を印加すると、そのパルス電圧の立ち上がりにより圧電素子23が圧電効果によりその厚み方向と垂直な幅方向に収縮するのに対し、振動板22、個別電極24及び中間層25は収縮しないので、いわゆるバイメタル効果により振動板22の圧力室4に対応する部分が圧力室4側へ凸状に撓んで変形する。この撓み変形により圧力室4内に圧力が生じ、この圧力で圧力室4内のインクが吐出口3b及び吐出用インク流路12を経由してノズル14から押し出される。そして、上記パルス電圧の立ち下がりにより圧電素子23が伸長して振動板22の圧力室4に対応する部分が元の状態に復帰し、このとき、上記ノズル14から押し出されていたインクがインク流路12内のインクから引きちぎられて、吐出量が例えば3plのインク滴として記録紙41へ吐出され、該記録紙41面にドット状に付着することとなる。また、上記振動板22が凸状に撓んで変形した状態から元の状態に復帰する際に、圧力室4内には上記インクカートリッジ35より供給用インク流路11及び供給口3aを介してインクが充填される。尚、各圧電素子23に印加するパルス電圧としては、上記のように押し引きタイプのものでなくても、第1の電圧から該第1の電圧よりも低い第2の電圧まで立ち下がった後に上記第1の電圧まで立ち上がる引き押しタイプのものであってもよい。
上記各圧電素子23への駆動電圧の印加は、インクジェットヘッド1及びキャリッジ31を主走査方向において記録紙41の一端から他端まで略一定速度で移動させているときに所定時間(例えば50μs程度:駆動周波数20kHz)毎に行われ(但し、インクジェットヘッド1が記録紙41においてインク滴を着弾させない箇所に達したときには電圧が印加されない)、このことで、記録紙41の所定位置にインク滴を着弾させる。そして、1走査分の記録が終了すると、搬送モータ及び各搬送ローラ42により記録紙41を副走査方向に所定量搬送し、再度、インクジェットヘッド1及びキャリッジ31を主走査方向に移動させながらインク滴を吐出させて、新たな1走査分の記録を行う。この動作を繰り返すことによって、記録紙41全体に所望の画像が形成される。
次に、上記記録装置Aに用いるインクについて、以下の実施形態1と実施形態2とにおいて詳細に説明する。
実施形態1
本実施形態1に係るインクは、保湿剤と浸透剤と水とを含有する溶媒と、色材と、上記水がない状態で縮重合反応する水溶性物質としての加水分解性シラン化合物とを含有している。上記保湿剤は、上記インクジェットヘッド1のノズル14等での乾きを抑制するものであり、上記浸透剤は、上記インク(溶媒)の記録紙41内への浸透性を高めるものである。
上記シラン化合物は、上記インクジェットヘッド1のノズル14から吐出されたインク滴が記録紙41上に付着して、そのインク滴中の水(溶媒)が蒸発したり記録紙41内に浸透したりしたときに上記記録紙上41で縮重合反応をし、このときに色材を取り囲むことにより、記録紙41上の画像が水に濡れても、色材がその水中に染み出すのを防止して、その画像の耐水性を向上させる働きをするものである。このものは、アミノ基を有する有機基を含有するアルコキシシランとアミノ基を含有しないアルコキシシランとの加水分解反応物、又は、アミノ基を含有する加水分解性シランに有機モノエポキシ化合物を反応させた加水分解性シランと窒素原子を含有しない加水分解性シランとを加水分解することにより得られる有機ケイ素化合物であることが望ましい。
上記色材は、染料又は顔料であることが望ましく、染料は、どのようなものであってもよいが、水溶性の酸性染料又は直接染料であることが好ましい。
一方、顔料は、次のものが好ましい。すなわち、黒顔料としては、カーボンブラック表面をジアゾニウム塩で表面処理したものや、ポリマーをグラフト重合して表面処理したものが挙げられ、カラー顔料としては、顔料を、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、リグニスルホン酸、ジオクチルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルアミン、脂肪酸エステル等の界面活性剤で処理したものが挙げられる。カラー顔料の具体例としては、シアン顔料では、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、アルミニウムフタロシアニン等が挙げられる。また、マゼンタ顔料では、ピグメントレッド122、ピグメントバイオレット19等が挙げられる。さらに、イエロー顔料では、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー109、ピグメントイエロー110、ピグメントイエロー128等が挙げられる。
上記保湿剤は、グリセリン等の多価アルコール又は2−ピロリドンやN−メチル−2−ピロリドンのような水溶性の窒素複素環化合物であることが望ましい。
上記浸透剤は、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のような、多価アルコールのモノアルキルエーテルであることが好ましい。
そして、本実施形態1では、上記インクは、上記シラン化合物が縮重合反応する前の状態(記録紙41に付着する前の状態)での25℃におけるインク表面張力が20〜50mN/mに設定されたものである。このインクの表面張力の設定は、上記浸透剤のインク全体に対する含有量を調整することによって行えばよく、その浸透剤の含有量は、インク全体に対して質量百分率で1〜50%であることが好ましい。これは、浸透剤の含有量が1%よりも少ないと、インクの表面張力が50mN/m以下にならない一方、50%よりも多いと、色材及びシラン化合物の溶媒に対する溶解性が悪化するからである。
尚、色材とシラン化合物とを溶解させる前の溶媒の表面張力を、20〜50mN/mに設定するようにしてもよい。こうすれば、この溶媒に色材とシラン化合物とを溶解させてインクを作製すれば、そのインクの表面張力がおおよそ20〜50mN/mとなる。
上記インクの表面張力を20mN/m程度と低い値に設定するには、浸透剤を含有させることだけでは実現できない場合が考えられるが、この場合は、浸透剤の補助剤としてフッ素系界面活性剤を添加してもよい。このフッ素系界面活性剤は、例えばパーフルオロアルキルスルホン酸のアンモニウム塩、パーフルオロアルキルスルホン酸のカリウム塩、又はパーフルオロアルキルカルボン酸のカリウム塩等とするのが好ましい。
したがって、本実施形態1では、インクジェット記録用インクが、保湿剤と浸透剤と水とを含有する溶媒と、色材と、上記水がない状態で縮重合反応する水溶性物質としての加水分解性シラン化合物とを含有しているとともに、そのインクの表面張力が20〜50mN/mと比較的低く設定されているので、このインクを用いて記録装置Aにより記録紙41に画像を形成した場合において、インク滴が記録紙41上に付着した後に、そのインク滴の溶媒がこの記録紙41内に速やかに浸透するようになる。これにより、シラン化合物が速やかに縮重合反応をして、この縮重合反応したシラン化合物が色材を素早くかつ確実に取り囲む。これにより、画像の形成直後においても高レベルな画像の耐水性が得られるようになる。
ここで、上記インクの表面張力は、溶媒を記録紙41内へ速やかに浸透させる観点からは低ければ低い程好ましいが、インクの表面張力が20mN/mよりも小さいと、上記インクをノズル14から吐出させる際に、このインクを液滴状に形成することが困難になって、インクジェット記録用としては好ましくないので、20mN/m以上としている。
上記インクは、上記シラン化合物が縮重合反応する前の状態での25℃におけるインク粘度が2〜10cPに設定されたものであることが好ましい。これは、インクの粘度を10cP以下と比較的低くすれば、溶媒を記録紙41内により一層速やかに浸透させることができるからであり、溶媒を記録紙41内に速やかに浸透させる観点からは低ければ低い程好ましいが、水の粘度が1cP程度であるため、この水の他に色材、保湿剤、浸透剤及びシラン化合物を含有するインクの粘度としては2cPが下限となるからである。
また、上記した記録装置Aのように、圧電アクチュエータ21における圧電素子23が8μm以下(例えば約3μm)の厚みである場合には、シラン化合物が縮重合反応する前の状態での25℃におけるインク表面張力を30〜40mN/mに設定することが好ましい。すなわち、上記圧電素子23の代わりに、例えば10μm以上の厚みを有する厚膜の圧電素子を用いた場合には、この厚膜の圧電素子によって生じる圧電アクチュエータ21の引き戻し力(圧電アクチュエータ21が元の状態に復帰する際の力)が比較的大きいため、インクの表面張力が比較的低い20mN/m程度であってもノズル14から押し出されたインクを引きちぎってインク滴を形成することができる。これに対し、8μm以下の厚みである薄膜の圧電素子23である場合には、この薄膜の圧電素子23によって発生する圧電アクチュエータ21の引き戻し力が小さいため、インクの表面張力が30mN/mよりも低いと、ノズル14から押し出されたインクを引きちぎることができずに、インク滴(特に吐出量が3pl以下の小インク滴)を形成することができなくなってしまう。しかし、インクの表面張力を30mN/m以上とすれば、圧電素子が薄膜であっても、インク滴を確実に形成して吐出させることができる。
一方、上記圧電アクチュエータ21が元の状態に復帰する際に、インクカートリッジ35より供給用インク流路11及び供給口3aを介して圧力室4内にインクが充填されるが、上記と同様に上記圧電素子23の厚みが薄い場合には、圧電アクチュエータ21の引き戻し力が小さいことから、インクの表面張力が高すぎると、圧力室4内へインクをスムーズに充填することが困難になってしまう。しかし、インクの表面張力を40mN/m以下とすれば、圧力室4内へのインクの充填がスムーズに行われ、これにより、インク滴を吐出してから次のインク滴を吐出するまでの時間間隔を短くすることができて、圧電アクチュエータ21の駆動周波数を20kHz以上にすることができる。
尚、上記実施形態1では、水がない状態で縮重合反応する水溶性物質として、加水分解性シラン化合物を含有させたが、インクジェットヘッド1のノズル14から吐出されたインク滴が記録紙41上に付着して水(溶媒)が蒸発したり記録紙41内に浸透したりしたときに縮重合反応して色材を取り囲むものであれば、どのようなものであってもよい。
ここで、上記実施形態1に係るインクとして具体的に実施した実施例について説明する。
先ず、以下の組成(各組成物の含有量は質量百分率である)からなる16種類のインクジェット記録用インクを作製した(実施例1〜実施例16)。
尚、上記実施例1〜実施例16の全てにおいて、保湿剤としてグリセリンを、浸透剤としてジエチレングリコールモノブチルエーテルを含有させた。また、水がない状態で縮重合反応する水溶性物質として有機ケイ素化合物をそれぞれ含有させた。この有機ケイ素化合物は、実施例1〜実施例3及び実施例9〜実施例16に用いたもの(以下、有機ケイ素化合物(A)と称す)と、実施例4〜実施例8に用いたもの(以下、有機ケイ素化合物(B)と称す)とは互いに異なり、有機ケイ素化合物(A)及び(B)は以下の方法によりそれぞれ作製したものである。
すなわち、有機ケイ素化合物(A)は、反応容器に入れた180g(1モル)の水に、100g(0.56モル)のHNCHCHCHSi(OCHと、166g(1.1モル)のSi(OCHとの混合物を室温で一滴一滴加えて、その全量滴下後に60℃で1時間攪拌することにより得たものである。
一方、有機ケイ素化合物(B)は、先ず、反応容器に入れた100g(0.56モル)のHNCHCHCHSi(OCHに、49g(0.66モル)の2,3−エポキシ−1−プロパノールを一滴一滴加えて、その全量滴下後に80℃で5時間攪拌することにより、アミノ基とエポキシ基とを反応させた加水分解性シランを得て、次いで、新たな反応容器に、120g(6.67モル)の水と、50.6g(0.2モル)の上記加水分解性シランと、30.4g(0.2モル)のSi(OCHとの混合物を一滴一滴加えて、その全量滴下後に60℃で1時間反応させることにより得たものである。
また、色材としては、実施例1〜11においては染料を含有させる一方、実施例12〜16においては顔料を含有させた。この染料としては、基本的にC.I.アシッドブラック2を含有させ、実施例9〜11においては異なる色の染料を含有させた。
(実施例1)
C.I.アシッドブラック2 …5%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …75%
(実施例2)
C.I.アシッドブラック2 …5%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …70%
(実施例3)
C.I.アシッドブラック2 …5%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …20%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …60%
(実施例4)
C.I.アシッドブラック2 …5%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(B) …5%
純水 …75%
(実施例5)
C.I.アシッドブラック2 …5%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(B) …5%
純水 …70%
(実施例6)
C.I.アシッドブラック2 …5%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …20%
有機ケイ素化合物(B) …5%
純水 …60%
(実施例7)
C.I.アシッドブラック2 …5%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …2%
有機ケイ素化合物(B) …5%
純水 …78%
(実施例8)
C.I.アシッドブラック2 …5%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
フッ素系界面活性剤
(商品名 FC−93、3M社製) …1%
有機ケイ素化合物(B) …5%
純水 …69%
(実施例9)
C.I.アシッドイエロー23 …5%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …75%
(実施例10)
C.I.アシッドレッド52 …5%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …75%
(実施例11)
C.I.ダイレクトブルー86 …5%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …75%
(実施例12)
カーボンブラック
(商品名 CAB−O−JETTM−200、キャボット社製) …5%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …70%
(実施例13)
カーボンブラック
(商品名 CAB−O−JETTM−300、キャボット社製) …5%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …70%
(実施例14)
イエロー顔料
(商品名FUJI SP YELLOW4223、富士色素社製) …5%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …70%
(実施例15)
マゼンタ顔料
(商品名FUJI SP MAGENTA9338、富士色素社製)…5%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …70%
(実施例16)
シアン顔料
(商品名FUJI SP BLUE6403、富士色素社製) …5%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …70%
続いて、比較のために、以下の組成(各組成物の含有量は質量百分率である)からなる2種類のインクを作製した(比較例1及び比較例2)。尚、これら比較例1及び比較例2においては、どちらも浸透剤を含有させていない。また、比較例1の有機ケイ素化合物は、上記有機ケイ素化合物(A)であるのに対し、比較例2の有機ケイ素化合物は、上記有機ケイ素化合物(B)である。
(比較例1)
C.I.アシッドブラック2 …5%
グリセリン …10%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …80%
(比較例2)
C.I.アシッドブラック2 …5%
グリセリン …35%
有機ケイ素化合物(B) …5%
純水 …55%
上記実施例1〜16及び比較例1,2の各インクについて、色材と有機ケイ素化合物とを溶解させる前の溶媒の25℃における表面張力を測定しておき、色材と有機ケイ素化合物とを溶解させてインクを作製した後において、再度、表面張力(有機ケイ素化合物が縮重合反応する前の状態での25℃におけるインク表面張力)を測定した。この測定結果を表1に示す。
Figure 2002072720
表1によると、各実施例1〜16のインクにおいては、全て表面張力が20〜50mN/mの範囲内に設定されており、特に、実施例7,8を除く各実施例のインクにおいては、表面張力が30〜40mN/mの範囲内に設定されている。また、各実施例1〜16のインクにおける溶媒においても、表面張力が20〜50mN/mの範囲内に設定されている(インクの表面張力と殆ど同じである)。さらに、上記各実施例1〜16のインクにおいては、全て粘度が2〜10cPの範囲内に設定されている。
これに対し、各比較例1,2のインクにおいては、表面張力が50mN/mよりも大きく、溶媒の表面張力も50mN/mよりも大きい。また、比較例1のインクにおいては、粘度が2〜10cPの範囲内に設定されているものの、比較例2のインクにおいては、粘度が10cPよりも大きく設定されている。尚、上記したインクジェットヘッド1(圧電素子23の厚みが8μm以下である)において良好なインク吐出性が得られるのは、表面張力及び粘度が共に、適度に低い実施例2のインクである。
次に、上記実施例1〜16及び比較例1,2の各インクを用いて、市販のプリンター(上記した記録装置Aと同様の圧電アクチュエータ(但し、圧電素子の厚みは上記実施形態のものよりもかなり大きい)によりインクを吐出させるもの)で普通紙(商品名Xerox4024、ゼロックス社製)に画像を形成し、この画像を形成した直後の用紙を純水に浸漬した後、室温で放置して乾燥させ、画像のにじみが生じるが否かを調べた。
この結果、比較例1,2の各インクで形成した画像では、この画像のエッジ部分でにじみが見られたのに対し、実施例の各インクで形成した画像では、にじみは全く見られなかった。したがって、インク又は溶媒の表面張力を20〜50mN/mに設定することによって、画像形成直後においても高レベルの耐水性が得られることが判る。また、インク(溶媒)の表面張力を20〜50mN/mに設定することに加え、インクの粘度を2〜10cPに設定することで、画像形成直後における高耐水性をより確実に得られるものと考えられるが、比較例1の如く、インクの粘度が2〜10cPであっても、インク又は溶媒の表面張力が50mN/mよりも大きい場合は、画像形成直後における耐水性は低下してしまう。これにより、画像の耐水性を向上させる、言い換えると溶媒を記録紙41内に速やかに浸透させるには、インク又は溶媒の表面張力が極めて重要であることが判る。
実施形態2
本実施形態2に係るインクは、上記実施形態1と同様に、色材と、インクジェットヘッド1のノズル14等での乾きを抑制する保湿剤と、該インク(溶媒)の記録紙41への浸透性を高める浸透剤と、水と、この水がない状態で縮重合反応する水溶性物質としての加水分解性シラン化合物とを含有しているとともに、これらに加えて、沸点が100℃よりも低いフルオロアルキル系モノアルコールを含有していることが特徴である。
上記色材、保湿剤、浸透剤及びシラン化合物の具体的なものは、上記実施形態1で挙げたものと同じである。尚、この実施形態2においては、必ずしもインクの表面張力を上記実施形態1のように20〜50mN/mの範囲内に設定する必要はないが、その範囲内に設定した方がよいことは勿論であり、浸透剤の含有量も、インク全体に対して質量百分率で1〜50%に設定することが好ましい。
上記フルオロアルキル系モノアルコールは、該フルオロアルキル系モノアルコールの含有分だけインク中の水の分子を拡散させて、インク滴が記録紙41上に付着したときにおいてそのインク滴中の水の蒸発や記録紙41内への浸透をより速やかに行わせるものであり、このフルオロアルキル系モノアルコールの具体例としては、以下の(1)〜(26)(化学式1〜26)のものが挙げられる。
(1)2,2,2−トリフルオロエタノール(沸点:47℃)
Figure 2002072720
(2)3,3,3−トリフルオロプロパン−1−オール(沸点:72.6℃)
Figure 2002072720
(3)2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−オール(沸点:52.1℃)
Figure 2002072720
(4)4,4,4−トリフルオロブタン−1−オール(沸点:97.1℃)
Figure 2002072720
(5)3,3,4,4,4−ペンタフルオロブタン−1−オール(沸点:77.5℃)
Figure 2002072720
(6)2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブタン−1−オール(沸点:57.2℃)
Figure 2002072720
(7)3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロペンタン−1−オール(沸点:82.3℃)
Figure 2002072720
(8)2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンタン−1−オール(沸点:62.2℃)
Figure 2002072720
(9)3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキサン−1−オール(沸点:87.2℃)
Figure 2002072720
(10)2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキサン−1−オール(沸点:67.2℃)
Figure 2002072720
(11)1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−トリデカフルオロヘキサン−1−オール(沸点:25.8℃)
Figure 2002072720
(12)3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−ウンデカフルオロヘプタン−1−オール(沸点:91.2℃)
Figure 2002072720
(13)2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプタン−1−オール(沸点:72.1℃)
Figure 2002072720
(14)1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−ペンタデカフルオロヘプタン−1−オール(沸点:30.9℃)
Figure 2002072720
(15)3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクタン−1−オール(沸点:96.7℃)
Figure 2002072720
(16)2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクタン−1−オール(沸点:77℃)
Figure 2002072720
(17)1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ヘプタデカフルオロオクタン−1−オール(沸点:36.2℃)
Figure 2002072720
(18)2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ヘプタデカフルオロノナン−1−オール(沸点:81.9℃)
Figure 2002072720
(19)1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ノナデカフルオロノナン−1−オール(沸点:41.4℃)
Figure 2002072720
(20)2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ノナデカフルオロデカン−1−オール(沸点:86.7℃)
Figure 2002072720
(21)1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘネイコサフルオロデカン−1−オール(沸点:46.5℃)
Figure 2002072720
(22)2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ヘネイコサフルオロウンデカン−1−オール(沸点:91.5℃)
Figure 2002072720
(23)1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−トリコサフルオロウンデカン−1−オール(沸点:51.6℃)
Figure 2002072720
(24)2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−トリコサフルオロドデカン−1−オール(沸点:96.3℃)
Figure 2002072720
(25)1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ペンタコサフルオロドデカン−1−オール(沸点:56.6℃)
Figure 2002072720
(26)1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,13−ヘプタコサフルオロトリデカン−1−オール(沸点:61.6℃)
Figure 2002072720
上記フルオロアルキル系モノアルコールの沸点は、基本的には水の沸点(10
0℃)よりも低ければよいが、インク滴が記録紙41上に付着したときに水よりもより速やかに蒸発させる観点からは80℃以下であることが望ましく、室温での保存時に蒸発しないようにする観点からは、25℃以上であることが望ましく(上記化学式1〜化学式26のものは全て25〜80℃の範囲内にある)、このフルオロアルキル系モノアルコールの沸点の下限値としてより望ましいのは40℃である。
また、上記フルオロアルキル系モノアルコールの含有量は、インク全体に対して質量百分率で5〜50%に設定することが望ましい。これは、その含有量が5%よりも少ないと、記録紙41上に付着したインク滴中の水の蒸発や記録紙41内への浸透を速やかに行わせる効果が十分に得られない一方、50%よりも多いと、保湿剤を含有していてもインクが乾燥し易くなって、記録装置Aのインクジェットヘッド1におけるノズル14等で目詰まりが生じるからである。尚、フルオロアルキル系モノアルコールの含有量のより望ましい範囲は、インク全体に対して質量百分率で10〜30%である。
したがって、本実施形態2では、インクジェット記録用インクが、色材と、保湿剤と、浸透剤と、水と、この水がない状態で縮重合反応する水溶性物質としての加水分解性シラン化合物と、沸点が100℃よりも低いフルオロアルキル系モノアルコールとを含有するので、このフルオロアルキル系モノアルコールの含有分だけ水の分子が拡散されるため、インク滴が記録紙41上に付着したときにおいてそのインク滴中の水の蒸発や記録紙41内への浸透がより速やかに行われる。また、フルオロアルキル系モノアルコールの含有によりインクの表面張力が小さくなるため、水やフルオロアルキル系モノアルコールが記録紙41内へより一層浸透し易くなる。一方、フルオロアルキル系モノアルコールは水よりも低沸点であるので、水よりも速やかに蒸発すると共に、記録紙41内へ浸透してからも蒸発するため、シラン化合物の縮重合反応を阻害することはない。この結果、インク滴が記録紙41上に付着したときにはシラン化合物の縮重合反応が良好にかつスムーズに行われ、シラン化合物は色材を確実に取り囲む。よって、上記実施形態1と同様に、記録紙41上の画像の耐水性を向上させることができる。
尚、上記実施形態2においても、水がない状態で縮重合反応する水溶性物質としては、加水分解性シラン化合物に限らず、インクジェットヘッド1のノズル14から吐出されたインク滴が記録紙41上に付着してそのインク滴中の水(溶媒)が蒸発したり記録紙41内に浸透したりしたときに縮重合反応して色材を取り囲むものであれば、どのようなものであってもよい。
ここで、上記実施形態2に係るインクとして具体的に実施した実施例について説明する。
先ず、以下の組成(各組成物の含有量は質量百分率である)からなる26種類のインクジェット記録用インクを作製した(実施例1〜実施例26)。
尚、上記実施例1〜実施例26の全てにおいて、保湿剤としてグリセリンを、浸透剤としてジエチレングリコールモノブチルエーテルを、加水分解性シラン化合物として有機ケイ素化合物をそれぞれ含有させた。この有機ケイ素化合物は、実施例1〜実施例15及び実施例22〜実施例26では、有機ケイ素化合物(A)であり、実施例16〜実施例21では、有機ケイ素化合物(B)である。これら有機ケイ素化合物(A)及び(B)は、上記実施形態1における実施例で説明したものとのと同じである。
また、沸点が100℃よりも低いフルオロアルキル系モノアルコールとしては、上記化学式1〜8及び化学式10〜17の16種類を含有させ、実施例10〜実施例12においては、化学式1のものを含有させてその含有量を異ならせた。
さらに、色材としては、実施例1〜実施例21では染料を含有させ、実施例22〜実施例26では顔料を含有させた。この実施例22〜実施例26においては、上記フルオロアルキル系モノアルコールとして化学式2のものを含有させた。
(実施例1)
C.I.アシッドブラック2 …5%
3,3,3−トリフルオロプロパン−1−オール …25%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …45%
(実施例2)
C.I.アシッドブラック2 …5%
2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−オール …25%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …45%
(実施例3)
C.I.アシッドブラック2 …5%
4,4,4−トリフルオロブタン−1−オール …25%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …45%
(実施例4)
C.I.アシッドブラック2 …5%
3,3,4,4,4−ペンタフルオロブタン−1−オール …25%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …45%
(実施例5)
C.I.アシッドブラック2 …5%
2,2,3,3,4,4,4
−ヘプタフルオロブタン−1−オール …25%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …45%
(実施例6)
C.I.アシッドブラック2 …5%
3,3,4,4,5,5,5
−ヘプタフルオロペンタン−1−オール …25%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …45%
(実施例7)
C.I.アシッドブラック2 …5%
2,2,3,3,4,4,5,5,5
−ノナフルオロペンタン−1−オール …25%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …45%
(実施例8)
C.I.アシッドブラック2 …5%
2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6
−ウンデカフルオロヘキサン−1−オール …25%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …45%
(実施例9)
C.I.アシッドブラック2 …5%
1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6
−トリデカフルオロヘキサン−1−オール …25%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …45%
(実施例10)
C.I.アシッドブラック2 …5%
2,2,2−トリフルオロエタノール …5%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …65%
(実施例11)
C.I.アシッドブラック2 …5%
2,2,2−トリフルオロエタノール …25%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …45%
(実施例12)
C.I.アシッドブラック2 …5%
2,2,2−トリフルオロエタノール …50%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …20%
(実施例13)
C.I.アシッドイエロー23 …5%
2,2,2−トリフルオロエタノール …25%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …45%
(実施例14)
C.I.アシッドレッド52 …5%
2,2,2−トリフルオロエタノール …25%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …45%
(実施例15)
C.I.ダイレクトブルー86 …5%
2,2,2−トリフルオロエタノール …25%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …45%
(実施例16)
C.I.アシッドブラック2 …5%
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7
−ウンデカフルオロヘプタン−1−オール …25%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(B) …5%
純水 …45%
(実施例17)
C.I.アシッドブラック2 …5%
2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7
−トリデカフルオロヘプタン−1−オール …25%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(B) …5%
純水 …45%
(実施例18)
C.I.アシッドブラック2 …5%
1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7
−ペンタデカフルオロヘプタン−1−オール …25%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(B) …5%
純水 …45%
(実施例19)
C.I.アシッドブラック2 …5%
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8
−トリデカフルオロオクタン−1−オール …25%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(B) …5%
純水 …45%
(実施例20)
C.I.アシッドブラック2 …5%
2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8
−ペンタデカフルオロオクタン−1−オール …25%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(B) …5%
純水 …45%
(実施例21)
C.I.アシッドブラック2 …5%
1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8
−ヘプタデカフルオロオクタン−1−オール …25%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(B) …5%
純水 …45%
(実施例22)
カーボンブラック
(商品名CAB−O−JETTM−200、キャボット社製) …5%
3,3,3−トリフルオロプロパン−1−オール …25%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …45%
(実施例23)
カーボンブラック
(商品名CAB−O−JETTM−300、キャボット社製) …5%
3,3,3−トリフルオロプロパン−1−オール …25%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …45%
(実施例24)
イエロー顔料
(商品名FUJI SP YELLOW4223、富士色素社製) …5%
3,3,3−トリフルオロプロパン−1−オール …25%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …45%
(実施例25)
マゼンタ顔料
(商品名FUJI SP MAGENTA9338、富士色素社製)…5%
3,3,3−トリフルオロプロパン−1−オール …25%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …45%
(実施例26)
シアン顔料
(商品名FUJI SP BLUE6403、富士色素社製) …5%
3,3,3−トリフルオロプロパン−1−オール …25%
グリセリン …10%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …10%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …45%
続いて、比較のために、以下の組成(各組成物の含有量は質量百分率である)からなる2種類のインク(フルオロアルキル系モノアルコールを含有させていないもの)を作製した(比較例1及び比較例2)。
尚、これら比較例1及び比較例2においては、どちらも浸透剤を含有させてはいない。また、比較例1では、上記実施例1〜実施例15及び実施例22〜実施例26と同じ有機ケイ素化合物(A)を用い、比較例2では、上記実施例16〜実施例21と同じ有機ケイ素化合物(B)を用いた。
(比較例1)
C.I.アシッドブラック2 …5%
グリセリン …10%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …80%
(比較例2)
C.I.アシッドブラック2 …5%
グリセリン …10%
有機ケイ素化合物(B) …5%
純水 …80%
次に、上記実施例1〜26及び比較例1,2の各インクを用いて、市販のプリンター(上記した記録装置Aと同様の圧電アクチュエータ(但し、圧電素子の厚みは上記実施形態のものよりもかなり大きい)によりインクを吐出させるもの)で普通紙(商品名Xerox4024、ゼロックス社製)に画像を形成し、この画像を形成した用紙を純水に浸漬した後、室温で放置して乾燥させ、画像のにじみが生じるか否かを調べた。
この結果、比較例1,2の各インクで記録したものでは、文字のエッジ部分やピクトリアルな人物画像の一部ににじみが見られたのに対し、実施例の各インクで記録したものでは、にじみは全く見られなかった。したがって、フルオロアルキル系モノアルコールの含有により高耐水性が得られることが判る。
産業上の利用可能性
本発明は、インクジェット式記録装置により記録するためのインクジェット記録用インクに有用であり、そのインクによって記録紙等に形成された画像の耐水性、特に画像形成直後における耐水性を向上させることができる点で産業上の利用可能性は高い。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクを備えたインクジェット式記録装置を示す概略斜視図である。
図2は、上記インクジェット式記録装置のインクジェットヘッドの部分底面図である。
図3は、図2のIII−III線断面図である。
図4は、図2のIV−IV線断面図である。

Claims (13)

  1. 保湿剤と浸透剤と水とを含有する溶媒と、色材と、上記水がない状態で縮重合反応する水溶性物質とを含有するインクジェット記録用インクであって、
    上記水溶性物質が縮重合反応する前の状態での25℃におけるインク表面張力が20〜50mN/mに設定されていることを特徴とするインクジェット記録用インク。
  2. 水溶性物質が縮重合反応する前の状態での25℃におけるインク表面張力が30〜40mN/mに設定されていることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用インク。
  3. 水溶性物質が縮重合反応する前の状態での25℃におけるインク粘度が2〜10cPに設定されていることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用インク。
  4. 浸透剤の含有量が、インク全体に対して質量百分率で1〜50%に設定されていることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用インク。
  5. 水溶性物質は、加水分解性シラン化合物であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用インク。
  6. 色材と、保湿剤と、浸透剤と、水と、この水がない状態で縮重合反応する水溶性物質とを含有するインクジェット記録用インクであって、
    沸点が100℃よりも低いフルオロアルキル系モノアルコールを含有することを特徴とするインクジェット記録用インク。
  7. 水溶性物質は、加水分解性シラン化合物であることを特徴とする請求項6記載のインクジェット記録用インク。
  8. フルオロアルキル系モノアルコールの含有量が、インク全体に対して質量百分率で5〜50%に設定されていることを特徴とする請求項6記載のインクジェット記録用インク。
  9. 保湿剤と浸透剤と水とを含有し、少なくとも色材と上記水がない状態で縮重合反応する水溶性物質とを溶解させてインクジェット記録用インクを作製するための溶媒であって、
    25℃における表面張力が20〜50mN/mに設定されていることを特徴とする溶媒。
  10. 保湿剤と浸透剤と水とを含有する溶媒と、色材と、上記水がない状態で縮重合反応する水溶性物質とを含有するインクジェット記録用インクを備えたカートリッジであって、
    上記インクは、上記水溶性物質が縮重合反応する前の状態での25℃におけるインク表面張力が20〜50mN/mに設定されたものであることを特徴とするカートリッジ。
  11. 色材と、保湿剤と、浸透剤と、水と、この水がない状態で縮重合反応する水溶性物質とを含有するインクジェット記録用インクを備えたカートリッジであって、
    上記インクは、沸点が100℃よりも低いフルオロアルキル系モノアルコールを含有することを特徴とするカートリッジ。
  12. 保湿剤と浸透剤と水とを含有する溶媒と、色材と、上記水がない状態で縮重合反応する水溶性物質とを含有するインクジェット記録用インクを備え、該インクを記録媒体に吐出して記録を行う記録装置であって、
    上記インクは、上記水溶性物質が縮重合反応する前の状態での25℃におけるインク表面張力が20〜50mN/mに設定されたものであることを特徴とする記録装置。
  13. 色材と、保湿剤と、浸透剤と、水と、この水がない状態で縮重合反応する水溶性物質とを含有するインクジェット記録用インクを備え、該インクを記録媒体に吐出して記録を行う記録装置であって、
    上記インクは、沸点が100℃よりも低いフルオロアルキル系モノアルコールを含有することを特徴とする記録装置。
JP2002571779A 2001-03-08 2002-03-08 インクジェット記録用インク、該インクに用いられる溶媒並びに該インクを備えたカートリッジ及び記録装置 Expired - Fee Related JP4009200B2 (ja)

Applications Claiming Priority (9)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001064470 2001-03-08
JP2001064470 2001-03-08
JP2001064375 2001-03-08
JP2001064375 2001-03-08
JP2001290923 2001-09-25
JP2001290993 2001-09-25
JP2001290993 2001-09-25
JP2001290923 2001-09-25
PCT/JP2002/002221 WO2002072720A1 (fr) 2001-03-08 2002-03-08 Enregistrement a jet d'encre, solvant utilise avec cette encre, cartouche et dispositif d'enregistrement comportant cette encre

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2002072720A1 true JPWO2002072720A1 (ja) 2004-07-02
JP4009200B2 JP4009200B2 (ja) 2007-11-14

Family

ID=27482096

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002571779A Expired - Fee Related JP4009200B2 (ja) 2001-03-08 2002-03-08 インクジェット記録用インク、該インクに用いられる溶媒並びに該インクを備えたカートリッジ及び記録装置

Country Status (7)

Country Link
US (1) US7196121B2 (ja)
EP (1) EP1380622B1 (ja)
JP (1) JP4009200B2 (ja)
CN (1) CN1230475C (ja)
AT (1) ATE337373T1 (ja)
DE (1) DE60214151T2 (ja)
WO (1) WO2002072720A1 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7368007B2 (en) 2003-05-29 2008-05-06 Ricoh Company, Ltd. Ink-jet recording ink, image forming method, ink-jet recording apparatus and imaged article
CN101040014B (zh) * 2004-09-17 2010-12-29 株式会社理光 记录墨水、墨盒、墨水记录物、喷墨记录装置和喷墨记录方法
WO2007046542A1 (en) * 2005-10-20 2007-04-26 Ricoh Company, Ltd. Recording ink, recording medium, ink media set, ink recorded matter, ink jet recording method, and ink jet recording apparatus
JP5038763B2 (ja) 2006-04-04 2012-10-03 株式会社リコー インクジェット記録装置と画像処理方法、画像処理制御プログラムと記録媒体および高浸透性顔料インク
CN101801321B (zh) * 2007-07-10 2014-07-02 敏捷治疗公司 原位密封的经皮输送装置
US20100292660A1 (en) * 2007-07-10 2010-11-18 Agis Kydonieus Dermal delivery device with ultrasonic weld
US10583603B2 (en) 2014-12-22 2020-03-10 3M Innovative Properties Company Apparatus and method for stretching and taking-away polymer films

Family Cites Families (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4045397A (en) * 1975-04-24 1977-08-30 Dean Burton Parkinson Printing ink compositions for jet printing on glazed ceramic surfaces
US5258066A (en) * 1990-11-29 1993-11-02 Canon Kabushiki Kaisha Ink containing halogenated alkanol with 2 to 4 carbon atoms, recording method and apparatus using the same
US5648405A (en) * 1992-12-30 1997-07-15 E. I. Du Pont De Nemours And Company Aqueous ink jet inks
DE69802121T2 (de) * 1997-01-30 2002-05-16 Shinetsu Chemical Co Wässrige Tintenzusammensetzungen, deren Herstellung und Verwendung für Schreibgeräte und Drucker
JP3870982B2 (ja) 1997-01-30 2007-01-24 信越化学工業株式会社 耐水性インク組成物
JP3871009B2 (ja) 1998-03-03 2007-01-24 信越化学工業株式会社 耐水性インク組成物
EP0940456B1 (en) * 1998-03-03 2003-11-26 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Water resistant ink compositions
JP4123312B2 (ja) 1998-04-06 2008-07-23 信越化学工業株式会社 耐水性インク組成物
US6809128B2 (en) 1998-11-27 2004-10-26 Seiko Epson Corporation Ink composition comprising cationic water-soluble resin, and ink set
JP3470624B2 (ja) * 1998-12-16 2003-11-25 信越化学工業株式会社 耐水性インク組成物
JP4092520B2 (ja) * 1999-08-13 2008-05-28 信越化学工業株式会社 顔料インク組成物
US6730155B2 (en) * 2000-06-30 2004-05-04 Ricoh Company, Ltd. Aqueous ink composition
JP2002212477A (ja) * 2001-01-19 2002-07-31 Fuji Photo Film Co Ltd インクジェット用インク
JP4009198B2 (ja) * 2001-03-08 2007-11-14 松下電器産業株式会社 インクジェット記録用インク、該インクの製造方法、並びに該インクを備えたインクカートリッジ及び記録装置
US6585362B2 (en) * 2001-10-05 2003-07-01 Eastman Kodak Company Ink composition, ink cartridge having ink composition, and method of filling ink cartridge

Also Published As

Publication number Publication date
CN1230475C (zh) 2005-12-07
DE60214151D1 (de) 2006-10-05
CN1496392A (zh) 2004-05-12
DE60214151T2 (de) 2006-12-14
JP4009200B2 (ja) 2007-11-14
US20040082685A1 (en) 2004-04-29
EP1380622B1 (en) 2006-08-23
US7196121B2 (en) 2007-03-27
WO2002072720A1 (fr) 2002-09-19
EP1380622A1 (en) 2004-01-14
EP1380622A4 (en) 2005-01-26
ATE337373T1 (de) 2006-09-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR20050034750A (ko) 잉크젯 기록용 잉크, 기록 방법 및 기록 장치
US7014695B2 (en) Water base ink for ink-jet recording
JP4009200B2 (ja) インクジェット記録用インク、該インクに用いられる溶媒並びに該インクを備えたカートリッジ及び記録装置
JP4220725B2 (ja) インクジェット記録用インク、並びに該インクを備えたインクカートリッジ及び記録装置
US7344235B2 (en) Ink composition for ink jet recording, ink cartridge, nozzle plate for ink jet recording, ink jet head, and recording apparatus
JP4177603B2 (ja) インクジェット記録用インク
JP4205890B2 (ja) インクジェット記録用インク、並びに該インクを備えたインクカートリッジ及び記録装置
JP3974452B2 (ja) インクジェット記録用インク、並びに該インクを備えたインクカートリッジ及び記録装置
JP4054224B2 (ja) インクジェットヘッド用充填液、インクジェットヘッド、及び記録装置
JP4295476B2 (ja) インクジェット記録用インクを用いた記録画像における耐水性を維持する方法
JP2004010815A (ja) 画像形成方法
US6988794B2 (en) Inkjet recording ink, method for producing said ink, and ink cartridge and recording device having said ink
JP4227401B2 (ja) インクジェット記録用ノズル板、インクジェットヘッド、及び記録装置
JP4009199B2 (ja) インクジェット記録用インク並びに該インクを備えたカートリッジ及び記録装置
US20040050293A1 (en) Ink composition for inkjet recording, ink cartridge, and recording apparatus
JP4263903B2 (ja) インクジェット記録用インク並びに該インクを備えたカートリッジ及び記録装置
JP2001162920A (ja) 液体組成物、インクセット、記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、多色画像の形成方法、インクジェット装置、インクの記録媒体への定着促進方法、及び多色画像の品質向上方法
JP4713850B2 (ja) インクジェット記録用インク
JP2004352884A (ja) インクジェット記録用インク
JP4177599B2 (ja) インクジェット記録用インク、並びに該インクを備えたインクカートリッジ及び記録装置
JP2004352886A (ja) インクジェット記録用インク
JP2004175910A (ja) インクジェット記録用インク並びに該インクを備えたカートリッジ及び記録装置
JP2004124084A (ja) インクジェット記録用インク、並びに該インクを備えたインクカートリッジ及び記録装置
JP2004107452A (ja) インクと反応液とのセット、インクジェット記録方法及び記録物
JP2003119413A (ja) インクジェット記録用シアンインク及び記録装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041214

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070508

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070629

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070807

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070831

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100907

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110907

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120907

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees