JP2004352884A - インクジェット記録用インク - Google Patents

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JP2004352884A JP2003153122A JP2003153122A JP2004352884A JP 2004352884 A JP2004352884 A JP 2004352884A JP 2003153122 A JP2003153122 A JP 2003153122A JP 2003153122 A JP2003153122 A JP 2003153122A JP 2004352884 A JP2004352884 A JP 2004352884A
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Shigeru Higeta
茂 日下田
Tsutomu Matsuda
勉 松田
Masashi Ito
正思 伊藤
Sanemori Soga
眞守 曽我
Hidekazu Arase
秀和 荒瀬
Masaichiro Tachikawa
雅一郎 立川
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Abstract

【課題】長期間放置した後に印字しても目詰まりを起こすことなく、また、インクが記録媒体上に付着した後、水が蒸発するに伴い縮重合反応を開始する水溶性物質がインク作製直後と同様に記録媒体上で速やかに縮重合反応を完結して、色材を速やかにかつ確実に取り囲むことができ、画像の耐水性を確保することができるインクジェット記録用インクの提供。
【解決手段】少なくとも、色材と、保湿剤と、水と、水が蒸発するに伴い縮重合反応を開始する水溶性物質と、pH緩衝剤とを含有することを特徴とするインクジェット記録用インク。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録に好適なインクジェット記録用インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、インクジェット記録に用いられるインクとしては、色材としての染料と、保湿剤と、水とを含有したものはよく知られている。ところが、上記染料を含有したインクにより記録紙等の記録媒体上に画像を形成すると、その画像の耐水性が問題となる。特に普通紙(広範な市販の紙で、とりわけ電子写真方式の複写機に用いられる紙であって、インクジェット記録用として最適な構造、組成、特性等を有するように意図して製造されてはいない紙)に記録した場合には、耐水性が非常に悪くなる。
これら普通紙印字における耐水性を向上させるために、例えば、特許文献1及び特許文献2には、水性インク組成物にポリアミンを含有させることが記載されている。しかしながら、この様なインクにおいては、染料の親水基部を造塩させる為、染料の溶解性が低下し、ノズルの目詰りの様な信頼性の低下や、印字物上でブロンズ(染料の会合)を起こす為に印字ムラが出来たり、濃度が出ない場合がある。
【0003】
特許文献3には、染料がカルボキシル基を有し、更にアンモニウム塩の基或は揮発性の置換アンモニウム塩の基を有することによって、被記録材上においてアンモニア或はアミンが揮発し、カルボキシル基が遊離酸となることで耐水性を向上させることが提案されている。しかしながら、この場合においても、染料の初期の溶解性は良好であっても、インク中から徐々にアンモニア或はアミンが揮発することにより染料の溶解性が低下し、ノズルの目詰り防止性やインク安定性の低下の原因となる場合が多い。
そこで、例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6及び特許文献7に示されているように、窒素原子含有有機基を含有する加水分解性シラン化合物またはその部分加水分解物と加水分解性シラン化合物またはその部分加水分解物とを加水分解することによって精製される有機ケイ素化合物を含有させることにより、記録媒体上の画像の耐水性を向上させるようにすることが記載されている。この記載によると、インク滴が記録媒体上に付着してそのインク滴中の水が蒸発したり記録媒体内に浸透したりしたときに、前記有機ケイ素化合物が縮重合反応を起こし、この縮重合反応した有機ケイ素化合物が染料を取り囲むため、記録媒体上の画像が水に濡れても、染料がその水中に染み出すことはなく、その画像の耐水性が向上することが示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平2−296878号公報
【特許文献2】
特開平2−255876号公報
【特許文献3】
特開平3−91577号公報
【特許文献4】
特開平10−212439号公報
【特許文献5】
特開平11−293167号公報
【特許文献6】
特開平11−315231号公報
【特許文献7】
特開2002−265829号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来例で提案されている水が蒸発するに伴い縮重合反応を開始する物質として有機ケイ素化合物を用いたインクは、インク液のpH変化の影響を受けやすいという不具合があった。インク作製時アルカリ性に調整しても、長期間保管しておくと容器材料等からの溶出、インク材料自身の変質或いは外部からの影響でインクのpHが変化すると、そのショックで沈殿物が発生して、この沈殿物の影響でインクジェットプリンタのノズルヘッドで目詰まりが発生する。これは、インクジェットインクで使用される染料はアニオン性であり、また顔料系インクの場合はその分散形態が顔料に吸着した或いは化学結合したアニオン基の反発で分散安定化されているため、有機ケイ素化合物とでpH変化によるショックで凝集が生じるためである。水が蒸発するに伴い縮重合反応を開始する物質を使用することにより、普通紙に印字された画像の耐水性を向上し、また長期保管時のpH変化によりその縮重合反応を開始する物質と染料とが凝集してプリントヘッド先端での目詰まりを防止するため、本発明は、インクのpHが長期間にわたって安定に制御される(pH変化の少ない)インクを提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、少なくとも、色材と、保湿剤と、水と、水が蒸発するに伴い縮重合反応を開始する水溶性物質と、pH緩衝剤とを含有することを特徴とするインクジェット記録用インクに関する。
本発明の第2は、請求項1記載のインクジェット記録用インクのpHが8.0〜11.0の範囲にあることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用インクに関する。
本発明の第3は、請求項1記載のpH緩衝剤として、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸、N−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸、N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸およびN−〔トリス(ヒドロキシメチル)メチル〕グリシンからなる群から選択された化合物を少なくとも1種類以上用いることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用インクに関する。
本発明の第4は、請求項1記載の水が蒸発するに伴い縮重合反応を開始する水溶性物質が有機ケイ素化合物であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用インクに関する。
本発明の第5は、請求項1記載のインクジェット記録用インクに、更に縮重合反応を開始する水溶性物質の縮重合反応を促進する縮重合促進剤を含有することを特徴とするインクジェット記録用インクに関する。
本発明の第6は、請求項5記載の縮重合反応促進剤が、無機もしくは有機のアンモニウム塩であることを特徴とする請求項5記載のインクジェット記録用インクに関する。
本発明の第7は、請求項6記載のアンモニウム塩が、弱酸の塩であることを特徴とする請求項5または6記載のインクジェット記録用インクに関する。
本発明の第8は、請求項6記載のアンモニウム塩が、強酸の塩であることを特徴とする請求項5または6記載のインクジェット記録用インクに関する。
【0007】
本発明は、インクジェット記録用インクにpH緩衝剤を含有させることにより、長期間にわたりインクのpHを適正領域に調整し、長期の保管や使用条件に関わらず、初期設定のpH値からの変化が小さくかつ高い溶解安定性を保持することができ、目詰まりを生じない耐水性が優れたインクジェット記録用インクが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、色材と、保湿剤と、水と、この水が蒸発するに伴い縮重合反応を開始する水溶性物質とを含有するインクジェット記録用インクにpH緩衝剤を含有させたインクジェット記録用インクを提供するもので、このpH緩衝剤の具体例としては、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(7.7−9.1)、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸(9.7−11.1)、N−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸(9.3−10.7)、N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸(8.6−10.0)、3−〔4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル〕プロパンスルホン酸(7.5−8.5)、2−〔4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル〕エタンスルホン酸(6.8−8.2)、2−ヒドロキシ−3−〔4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル〕プロパンスルホン酸(7.4−8.6)、ピペラジン−1,4−ビス(2−ヒドロキシ−3−プロパンスルホン酸)(7.2−8.5)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸(7.7−9.1)、2−ヒドロキシ−N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸(7.0−8.2)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(6.8−8.2)、N−〔トリス(ヒドロキシメチル)メチル〕グリシン(7.8−8.8)等がある〔( )内は適用pH領域を示す〕。
これらpH緩衝剤の含有量はインクジェット記録用インク全体に対して、重量百分率で0.01〜10%、好ましくは0.1〜5.0%である。0.01%以下では、pHを安定に制御することができず、逆に10%以上では、それ自身が染料の溶解性或いは顔料分散安定性に悪影響を与える。
【0008】
本発明では、耐水性を向上するために縮重合反応物質として有機ケイ素化合物を使用するが、組合わせる染料によって安定な(凝集を起こさない)pH領域は異なるが、インクジェット記録用インクのpHを8.0〜11.0の範囲に調整することが好ましい。インクジェット記録用インクのpHが8.0以下では、有機ケイ素化合物と染料の組み合わせによっては凝集が生じる恐れがあり、pH11以上では、インクを取扱う上で安全性に問題が生じる。インクのpHを8.0〜11.0の範囲に調整するために、本発明で用いられるpH緩衝材は、上記具体例の中でも、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(7.7−9.1)、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸(9.7−11.1)、N−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸(9.3−10.7)、N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸(8.6−10.0)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸(7.7−9.1)、N−〔トリス(ヒドロキシメチル)メチル〕グリシン(7.8−8.8)等が好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクを用いたインクジェット式記録装置を示す概略斜視図である。
図2は、インクジェット色記録装置のインクジェットヘッドの部分底面図である。
図3は、図2のI−I線断面図である。
図4は、図2のII−II線断面図である。
【0010】
記録装置Aは、上面に上記インクを有するインクカートリッジ1が装着されかつ該インクを後述の如く記録媒体としての記録紙2に吐出するインクジェットヘッド3を備えている。このインクジェットヘッド3はキャリッジ4に支持固定され、このキャリッジ4には、図示を省略するキャリッジモータが設けられ、このキャリッジモータにより上記インクジェットヘッド3及びキャリッジ4が主走査方向(図1及び図2に示すX方向)に延びるキャリッジ軸5にガイドされてその方向に往復動するようになっている。このキャリッジ4、キャリッジ軸5及びキャリッジモータにより、インクジェットヘッド3と記録紙2とを主走査方向に相対移動させる相対移動手段が構成されている。
【0011】
記録紙2は、図示を省略する搬送モータによって回転駆動される2つの搬送ローラ6に挟まれていて、この搬送モータ及び各搬送ローラ6により、インクジェットヘッド3の下側において主走査方向と垂直な副走査方向(図1及び図2に示すY方向)に搬送されるようになっている。この搬送モータ及び各搬送ローラ6により、インクジェットヘッド3と記録紙2とを副走査方向に相対移動させる相対移動手段が構成されている。
【0012】
インクジェットヘッド3は、図2〜図4に示すように、インクを供給するための供給口7a及びインクを吐出するための吐出口7bを有する複数の圧力室用凹部7が形成されたヘッド本体8を備えている。このヘッド本体8の各凹部7は、該ヘッド本体8の上面に主走査方向に延びるように開口されていて、互いに副走査方向に略等間隔をあけた状態で並設されている。各凹部7開口の全長は約1250μmに、幅は約130μmにそれぞれ設定されている。尚、各凹部7の開口の両端部は、略半円形状をなしている。
【0013】
ヘッド本体8の各凹部7の側壁部は、約200μm厚の感光性ガラス製の圧力室部品9で構成され、各凹部7の底壁部は、この圧力室部品9の下面に接着固定され、かつ6枚のステンレス鋼薄板を積層してなるインク流路部品10で構成されている。このインク流路部品10内には、各凹部7の供給口7aとそれぞれ接続された複数のオリフィス11と、この各オリフィス11と接続され、かつ副走査方向に延びる1つの供給用インク流路12と、吐出口7bとそれぞれ接続された複数の吐出用インク流路13とが形成されている。
各オリフィス11は、インク流路部品10において板厚が他よりも小さい上から2番目のステンレス鋼薄板に形成されており、その径は約38μmに設定されている。また、供給用インク流路12は上記インクカートリッジ1と接続されており、このインクカートリッジ1より供給用インク流路12内にインクが供給されるようになっている。
【0014】
インク流路部品10の下面には、インク滴を記録紙2に向けて吐出するための複数のノズル14が形成されたステンレス鋼製のノズル板15が接着固定されている。このノズル板15の下面は、撥水膜15aで被覆されている。各ノズル14は、吐出用インク流路13とそれぞれ接続されていて、この吐出用インク流路13を介して各凹部7の吐出口7bにそれぞれ連通されており、インクジェットヘッド3の下面において、副走査方向に列状に並ぶように設けられている。尚、各ノズル14は、ノズル径がノズル先端側に向かって小さくなるテーパ部と、該テーパ部のノズル先端側に設けられたストレート部とからなり、このストレート部のノズル径は約20μmに設定されている。
【0015】
ヘッド本体8の各凹部7の上側には、圧電アクチュエータ16がそれぞれ設けられている。この各圧電アクチュエータ16は、上記ヘッド本体8の上面に接着固定された状態で該ヘッド本体8の各凹部7を塞いで該凹部7と共に圧力室17を構成するCr製振動板18を有している。この振動板18は、全ての圧電アクチュエータ16に共通の1つのものからなっていて、後述の全圧電素子19に共通の共通電極としての役割をも果たしている。
また、各圧電アクチュエータ16は、振動板18の圧力室17と反対側面(上面)において圧力室17に対応する部分(凹部7開口に対向する部分)にCu製の中間層20を介してそれぞれ設けられ、かつチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる圧電素子19と、この各圧電素子19の振動板18と反対側面(上面)にそれぞれ接合され、該振動板18と共に各圧電素子19に電圧(駆動電圧)をそれぞれ印加するためのPt製個別電極21とを有している。
振動板18、各圧電素子19、各個別電極21及び各中間層20は、全て薄膜で形成されてなっており、振動板18の厚みは約6μmに、各圧電素子19の厚みは8μm以下(例えば約3μm)に、各個別電極21の厚みは約0.2μmに、各中間層20の厚みは約3μmにそれぞれ設定されている。
【0016】
各圧電アクチュエータ16は、その振動板18ないし各中間層20と各個別電極21とを介して各圧電素子19に駆動電圧を印加することにより該振動板18の圧力室17に対応する部分を変形させることで、該圧力室17内のインクを吐出口7bないしノズル14から吐出させるようになっている。すなわち、振動板18と個別電極21との間にパルス状の電圧を印加すると、そのパルス電圧の立ち上がりにより圧電素子19が圧電効果によりその厚み方向と垂直な幅方向に収縮するのに対し、振動板18、個別電極21及び中間層20は収縮しないので、いわゆるバイメタル効果により振動板18の圧力室17に対応する部分が圧力室17側へ凸状に撓んで変形する。この撓み変形により圧力室17内に圧力が生じ、この圧力で圧力室17内のインクが吐出口7b及び吐出用インク流路13を経由してノズル14から押し出される。そして、パルス電圧の立ち下がりにより圧電素子19が伸長して振動板18の圧力室17に対応する部分が元の状態に復帰し、このとき、ノズル14から押し出されていたインクがインク流路13内のインクから引きちぎられて、インク滴(例えば3pl)として記録紙2へ吐出され、該記録紙2面にドット状に付着することとなる。また、振動板18が凸状に撓んで変形した状態から元の状態に復帰する際に、圧力室17内には上記インクカートリッジ1より供給用インク流路12及び供給口7aを介してインクが充填される。
尚、各圧電素子19に印加するパルス電圧としては、上記のように押し引きタイプのものでなくても、第1の電圧から該第1の電圧よりも低い第2の電圧まで立ち下がった後に上記第1の電圧まで立ち上がる引き押しタイプのものであってもよい。
【0017】
各圧電素子19への駆動電圧の印加は、インクジェットヘッド3及びキャリッジ4を主走査方向において記録紙2の一端から他端まで略一定速度で移動させているときに所定時間(例えば50μs程度:駆動周波数20kHz)毎に行われ(但し、インクジェットヘッド3が記録紙2においてインク滴を着弾させない箇所に達したときには電圧が印加されない)、このことで、記録紙2の所定位置にインク滴を着弾させる。そして、1走査分の記録が終了すると、搬送モータ及び各搬送ローラ6により記録紙2を副走査方向に所定量搬送し、再度、インクジェットヘッド3及びキャリッジ4を主走査方向に移動させながらインク滴を吐出させて、新たな1走査分の記録を行う。この動作を繰り返すことによって、記録紙2全体に所望の画像が形成される。
記録装置Aに用いるインクは、色材と、インクジェットヘッド3のノズル14等での乾きを抑制する保湿剤と、水と、この水が蒸発するに伴い縮重合反応する水溶性物質(水がない状態で縮重合反応する水溶性物質)としての有機ケイ素化合物と、pH緩衝剤とを含有している。
【0018】
有機ケイ素化合物は、インクジェットヘッド3のノズル14から吐出されたインク滴が記録紙2上に付着してそのインク滴中の水(溶媒)が蒸発したり記録紙2内に浸透したりしたときに縮重合反応し、このときに色材を取り囲むことにより、記録紙2上の画像が水に濡れても、色材がその水中に染み出すのを防止して、その画像の耐水性を向上させる働きをするものであって、アミノ基を有する有機基を含有するアルコキシシランとアミノ基を含有しないアルコキシシランとの加水分解反応物、又は、アミノ基を含有する加水分解性シランに有機モノエポキシ化合物を反応させた加水分解性シランと窒素原子を含有しない加水分解性シランとを加水分解することにより得られる有機ケイ素化合物であることが望ましい。
この有機ケイ素化合物の含有量はインクジェット記録インク全体に対して、重量百分率で0.1〜15%、好ましくは1.0〜10%である。0.1%未満では耐水性の効果が見られず、逆に15%を超えて添加すると、インク粘度が上昇する。
【0019】
また、有機ケイ素化合物の縮重合反応を促進するための縮重合反応促進剤を含有することが好ましい。
縮重合反応促進剤を含有することで、インクが記録媒体(例えば紙)上に付着した後には、縮重合反応促進剤の作用により、有機ケイ素化合物の縮重合反応が速やかに行われて色材(染料又は顔料)を確実に取り囲む。こうして、記録媒体上に画像を形成した直後にこの画像が水に濡れても、上記色材は縮重合反応した水溶性物質に取り囲まれているため、色材がその水中に染み出すことはなく、よって画像の耐水性が飛躍的に向上する。
この縮重合反応促進剤の含有量はインクジェット記録インク全体に対して、重量百分率で0.1〜15%、好ましくは1.0〜10%である。0.1%未満では、縮重合反応の促進効果が見られず、逆に15%を超えて添加すると、染料の溶解安定性或いは顔料の分散安定性に悪影響を与える。
縮重合反応促進剤は、無機もしくは有機のアンモニウム塩であることが好ましい。ここでいうアンモニウム塩は、アンモニウムイオンNH およびその水素を各種の置換基Rで置換したものを含む(R:アルキル、アリールなど)。こうすることで、アンモニウム塩が記録媒体上で解離してアンモニアもしくはアミンを放出し、残った無機もしくは有機酸の作用で水溶性物質の縮重合反応が促進されるからである。
また、アンモニウム塩は、弱酸のアンモニウム塩であることが好ましい。各種酸のアンモニウム塩を検討した結果、弱酸のアンモニウム塩は、耐水性を向上させる効果が大きいことがわかったからである。
また、アンモニウム塩は、強酸のアンモニウム塩であることが好ましい。各種酸のアンモニウム塩を検討した結果、強酸のアンモニウム塩はインクのpHを安定して低下させる効果が大きいことが明らかとなった。
【0020】
無機の弱酸アンモニウム塩の例として、例えばリン酸二水素一アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ジ亜リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、硫化アンモニウム、ホウ酸アンモニウム、ホウフッ化アンモニウム等が挙げられる。
有機の弱酸アンモニウム塩の例として、例えば酢酸アンモニウム、シュウ酸二アンモニウム、シュウ酸水素アンモニウム、安息香酸アンモニウム、クエン酸一アンモニウム、クエン酸二アンモニウム、クエン酸三アンモニウム、乳酸アンモニウム、フタル酸アンモニウム、コハク酸アンモニウム、酒石酸一アンモニウム、酒石酸二アンモニウム等が挙げられる。
無機の強酸アンモニウム塩の例として、例えば塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、チオ硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、臭化アンモニウム、フッ化アンモニウム、ヨウ化アンモニウムなどが挙げられる。
有機の強酸アンモニウム塩の例として、例えばギ酸アンモニウム、モノフルオロ酢酸アンモニウム、トリフルオロ酢酸アンモニウム、トリクロロ酢酸アンモニウム等が挙げられる。
【0021】
色材としての染料の具体例を挙げれば、
酸性染料として
C.I.アシッド・イエロー 17,23,42,44,76,142
C.I.アシッド・レッド 1,8,13,14,18,26,27,35,37,42,52,82,87,89,92,97,106,111,114,115,134,249,254,289
C.I.アシッド・ブルー 9,29,45,92
C.I.アシッド・ブラック 1,2,7,24,26,94
直接性染料として
C.I.ダイレクト・イエロー 1,12,24,26,33,44,50,86,132,142
C.I.ダイレクト・レッド 1,4,13,17,20,28,31,39,80,81,83,84,225,227
C.I.ダイレクト・ブルー 1,2,6,15,22,25,71,76,78,86,163,165,199
C.I.ダイレクト・ブラック 19,22,32,38,51,56,74,75,77,154,168
等が使用できる。
染料として、これら酸性染料及び直接性染料を用いた本発明記録液は、溶解安定性の向上や、色調、耐水性、耐光性で優れた効果が得られる。
記録液組成物中の色材としての染料の含有量は、インク全体に対して、重量百分率で0.5〜25%であることが好ましく、より好ましくは1〜10%である。
【0022】
一方、色材としての顔料は、次のものが好ましい。
黒顔料としては、カーボンブラック表面をジアゾニウム塩で処理したものや、ポリマーをグラフト重合して表面処理したものが好適である。
カラー顔料としては、顔料を、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、リグニスルホン酸、ジオクチルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルアミン、又は脂肪酸エステル等の界面活性剤で処理したものが好ましい。
具体的には、シアン顔料では、例えばピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、又はアルミニウムフタロシアニン等が挙げられる。また、マゼンタ顔料では、例えばピグメントレッド122、又はピグメントバイオレット19等が挙げられる。さらに、イエロー顔料としては、例えばピグメントイエロー74、ピグメントイエロー109、ピグメントイエロー110、又はピグメントイエロー128等が挙げられる。記録液組成物中の色材としての顔料の含有量は、インク全体に対して、重量百分率で0.5〜25%であることが好ましく、より好ましくは1〜10%である。
【0023】
保湿剤は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ぺンタンジオール、1,6−へキナンジオール、1,2,6−へキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ぺトリオールやグリセリン等の多価アルコール、又は2−ピロリドンやN−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノンのような水溶性の窒素複素環化合物であることが望ましい。記録液組成物中の保湿剤の含有量は、インク全体に対して、重量百分率で5〜50%であることが好ましく、より好ましくは10〜40%である。
【0024】
インクには、浸透剤をさらに含有させることが好ましい。こうすることで、保湿剤と浸透剤と水とからなるインクの溶媒は、インクが記録媒体(例えば紙)上に付着した後、速やかに該記録媒体内に浸透するようになる。これにより、水溶性物質の縮重合反応が速やかに行われて色材(染料又は顔料)を確実に取り囲む。その結果、画像の耐水性がより一層向上する。
この浸透剤の具体例は、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のような、多価アルコールのモノアルキルエーテルであることが好ましく、その含有量は、インク全体に対して、重量百分率で0.1〜30%で、好ましくは、1.0〜10%である。含有量が0.1%よりも少ないと、後述の如くインクの25℃における表面張力が50mN/m以下にならずにインクを記録紙2へ浸透させる効果が十分に得られない一方、30%よりも多いと、色材及び有機ケイ素化合物の水に対する溶解性が悪化するからである。
このように浸透剤を含有させる場合には、浸透剤の含有量の調整によって、インクの25℃における表面張力を20〜50mN/mに設定することが望ましい。これは、表面張力が20mN/mよりも小さいと、インクをノズル14から吐出する際に液滴状に形成し難くなる一方、50mN/mよりも大きいと、インクが記録紙2へ浸透し難くなるからである。尚、表面張力を20mN/m程度にするには、浸透剤を含有させることだけでは実現できない場合が考えられるが、この場合は、浸透剤の補助剤としてフッ素系界面活性剤を添加してもよい。このフッ素系界面活性剤は、例えばパーフルオロアルキルスルホン酸のアンモニウム塩、パーフルオロアルキルスルホン酸のカリウム塩、又はパーフルオロアルキルカルボン酸のカリウム塩等とするのが好ましい。
【0025】
本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクは、色材と、保湿剤と、水と、この水が蒸発するに伴い縮重合反応する水溶性物質としての有機ケイ素化合物と、pH緩衝剤とを含有し、さらに縮重合反応促進剤を含有させている。
このインクを用いてインクジェット記録装置Aにより記録紙2に画像を形成した場合には、インク滴が記録紙2上に付着したときに、保湿剤と水とからなる溶媒がこの記録紙2内に浸透する。これにより、記録紙2上には、色材と有機ケイ素化合物と縮重合反応促進剤が残る。こうして有機ケイ素化合物が縮重合反応し色材を取り囲むが、このとき、記録紙2上では、縮重合反応促進剤が解離、もしくは分解し、生成した酸の作用で有機ケイ素化合物の縮重合反応が速やかに完結する。その結果、有機ケイ素化合物によって色材が速やかにかつ確実に取り囲まれる。こうして、画像の耐水性は、染料の種類に依存せず、飛躍的に向上する。
上記の縮重合反応促進剤の解離、或いは有機ケイ素化合物の縮重合反応は、経時または環境要因によるインクのpH変動により、インク中でも生じるため、本発明ではインク中にpH変動を抑えるpH緩衝剤を入れることにより、それらの解離あるいは反応を抑えることができ、インクを長期間保管しておいても本来の目的であるインクの耐水性能を維持することができる。
尚、この実施形態では、水が蒸発するに伴い縮重合反応する水溶性物質として、有機ケイ素化合物を含有させたが、インクジェットヘッドのノズルから吐出されたインク滴が記録紙上に付着して水分(溶媒)が蒸発したり記録紙内に浸透したりしたときに縮重合反応して色材を取り囲むものであれば、どのようなものであってもよい。
【0026】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明はそれにより何ら限定されるものではない。
以下の組成(各組成物の含有量は重量百分率である)からなる11種類のインクジェット記録用インクを作製した。
尚、実施例において、水が蒸発するに伴い縮重合反応する水溶性物質として2種類の有機ケイ素化合物を使用した。それぞれの有機ケイ素化合物は、下記に示す方法により作製した。
有機ケイ素化合物(A)
水120g(6.67mol)を撹拌機、温度計及び冷却器を備えた200mlの反応器に入れ、撹拌混合した。ここにHNCHCHNHCHCHCHSi(OCH44.4g(0.2mol)及びSi(OCH15.2g(0.1mol)を混合したものを室温で10分間かけて滴下したところ、25℃から56℃に内温が上昇した。更にオイルバスにて60〜70℃に加熱し、そのまま1時間撹拌を行った。次にエステルアダプターを取り付け、内温98℃まで上げ、副生したメタノールを除去することにより、有機ケイ素化合物水溶液137gを得た。このものの不揮発分(105℃/3時間)は27.3%であった。
有機ケイ素化合物(B)
撹拌機、温度計及び冷却器を備えた200mlの反応器に(CHO)SiCHCHCHNH100g(0.56モル)を入れ、撹拌混合しながら80℃に加熱した。そこに2,3−エポキシ−1−プロパノール62.2g(0.84モル)を1時間かけて滴下した。更に80℃で5時間撹拌してアミノ基とエポキシ基の反応を行わせ、その後10mmHgの減圧下に80℃で低留分を留去して加水分解性シランを得た。水120g(6.67モル)を撹拌機、温度計及び冷却器を備えた200mlの反応器に入れ、撹拌混合した。ここに前記加水分解性シラン50.6g(0.2モル)及びCHSi(OCH13.6g(0.1モル)を混合したものを室温で10分間かけて滴下したところ、25℃から36℃に内温が上昇した。更にオイルバスにて60〜70℃に加熱し、そのまま1時間撹拌を行った。次にエステルアダプターを取り付け、内温98℃まで上げ、副生したメタノールを除去することにより、有機ケイ素化合物水溶液152gを得た。このものの不揮発分(105℃/3時間)は25.3%であった。
【0027】
[実施例1]
C.I.ダイレクトブルー199 5%
グリセリン 7%
ジエチレングリコール 5%
有機ケイ素化合物(A)(不揮発分 27.3%) 18.3%
N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸 1%
純水 65.2%
前もって、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸と純水を混合し、1mol/リットルのNaOH水溶液でpHが10.0〜10.5になるように調整し、溶解した。
【0028】
[実施例2]
C.I. ダイレクトブルー199 5%
グリセリン 7%
ジエチレングリコール 5%
有機ケイ素化合物(A)(不揮発分 27.3%) 18.3%
硝酸アンモニウム 5%
N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン 1%
純水 60.2%
前もって、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシンと純水を混合し、1mol/リットルのNaOH水溶液でpHが8.5〜9.0になるように調整し、溶解した。
【0029】
[実施例3]
C.I. ダイレクトブルー199 5%
グリセリン 7%
ジエチレングリコール 5%
有機ケイ素化合物(A)(不揮発分 27.3%) 18.3%
リン酸水素二アンモニウム 5%
N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸 1%
純水 60.2%
前もって、N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸と純水を混合し、1mol/リットルのNaOH水溶液でpHが8.5〜9.0になるように調整し、溶解した。
【0030】
[実施例4]
C.I. ダイレクトブルー199 5%
グリセリン 7%
ジエチレングリコール 5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5%
有機ケイ素化合物(A)(不揮発分 27.3%) 18.3%
塩化アンモニウム 5%
N−〔トリス(ヒドロキシメチル)メチル〕グリシン 1%
純水 55.2%
前もって、N−〔トリス(ヒドロキシメチル)メチル〕グリシンと純水を混合し、1mol/リットルのNaOH水溶液でpHが8.5〜9.0になるように調整し、溶解した。
【0031】
[実施例5]
C.I.アシッドレッド289 3.5%
グリセリン 7%
ジエチレングリコール 5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5%
有機ケイ素化合物(B)(不揮発分 25.3%) 19.8%
炭酸アンモニウム 5%
N−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸 1%
純水 52.2%
前もって、N−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸と純水を混合し、1mol/リットルのNaOH水溶液でpHが9.0〜9.5になるように調整し、溶解した。
【0032】
[実施例6]
C.I.ダイレクトイエロー132 4%
グリセリン 7%
ジエチレングリコール 5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5%
有機ケイ素化合物(B)(不揮発分 25.3%) 19.8%
硫酸アンモニウム 5%
N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸 1%
純水 53.2%
前もって、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸と純水を混合し、1mol/リットルのNaOH水溶液でpHが8.5〜9.0になるように調整し、溶解した。
【0033】
[実施例7]
C.I.ダイレクトブラック168 5%
グリセリン 7%
ジエチレングリコール 5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5%
有機ケイ素化合物(B)(不揮発分 25.3%) 19.8%
リン酸水素二アンモニウム 5%
N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸 1%
純水 60.2%
前もって、N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸と純水を混合し、1mol/リットルのNaOH水溶液でpHが8.5〜9.0になるように調整し、溶解した。
【0034】
[実施例8]
カーボンブラック分散液(顔料濃度 15%)
(キャボット社製 CAB−O−JET TM300) 33.3%
グリセリン 7%
ジエチレングリコール 5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5%
有機ケイ素化合物(A)(不揮発分 27.3%) 18.3%
ホウ酸アンモニウム 5%
N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸 1%
純水 25.4%
前もって、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸と純水を混合し、1mol/リットルのNaOH水溶液でpHが9.0〜9.5になるように調整し、溶解した。
【0035】
[実施例9]
シアン顔料分散液(顔料濃度 18%)
(富士色素社製 FUJI SP BLUE 6403) 27.8%
グリセリン 5%
ジエチレングリコール 5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5%
有機ケイ素化合物(B)(不揮発分 25.3%) 19.8%
リン酸水素二アンモニウム 5%
N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸 1%
純水 31.4%
前もって、N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸と純水を混合し、1mol/リットルのNaOH水溶液でpHが8.5〜9.0になるように調整し、溶解した。
【0036】
[実施例10]
マゼンタ顔料顔料分散液(顔料濃度 15%)
(富士色素社製 FUJI SP MAGENTA 9352) 33.3%
グリセリン 5%
ジエチレングリコール 5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5%
有機ケイ素化合物(A)(不揮発分 27.3%) 18.3%
炭酸アンモニウム 5%
N−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸 1%
純水 27.4%
前もって、N−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸と純水を混合し、1mol/リットルのNaOH水溶液でpHが9.0〜9.5になるように調整し、溶解した。
【0037】
[実施例11]
イエロー顔料分散液(顔料濃度 12%)
(富士色素社製 FUJI SP YELLOW 4254) 41.6%
グリセリン 4%
ジエチレングリコール 5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5%
有機ケイ素化合物(A)(不揮発分 27.3%) 18.3%
炭酸アンモニウム 5%
N−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸 1%
純水 20.1%
前もって、N−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸と純水を混合し、1mol/リットルのNaOH水溶液でpHが9.0〜9.5になるように調整し、溶解した。
【0038】
[比較例1]
C.I.ダイレクトブルー199 5%
グリセリン 7%
ジエチレングリコール 5%
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 5%
純水 78%
【0039】
[比較例2]
C.I.ダイレクトブルー199 5%
グリセリン 7%
ジエチレングリコール 5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5%
有機ケイ素化合物(A)(不揮発分 27.3%) 18.3%
純水 59.7%
【0040】
[比較例3]
C.I. ダイレクトブルー199 5%
グリセリン 7%
ジエチレングリコール 5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5%
有機ケイ素化合物(A)(不揮発分 27.3%) 18.3%
塩化アンモニウム 5%
純水 59.7%
【0041】
次に、上記各実施例1〜11および各比較例1〜3のインクの耐水性およびpHを表1に示す。ここで、耐水性は印字サンプルの耐水試験前のOD値(光学濃度:分光測色計 Xrite938で測定した濃度値)に対する耐水試験後のOD値の比(%)から求めた。
印字サンプルはインクを記録装置Aに搭載し、普通紙(商品名「Xerox4024」:ゼロックス社製)に15mm角のベ夕印字して作製した。耐水試験は、印字物の印字面を下にして、蒸留水に5分間浸漬して行った。浸漬後、30分間自然乾燥させた後、OD値を測定した。
また、実施例1〜11のインクサンプルおよび比較例1〜3のインクサンプルについて保存安定性試験を行った。
この保存安定性試験では、各インクをスクリュー管瓶に満たして密閉系とし、50℃で1ヶ月間放置した後、先ず目視によりインク中における凝集発生の有無を確認した。さらに、詳細な判断を必要とする場合には、上記インクを0.45ミクロンの孔径を有するフィルターに通すことにより、凝集の発生の有無を確認した。保存安定性試験の結果を表1に示す。
表中、「○」は凝集なしを、「×」は凝集有りを示している。
【0042】
【表1】
Figure 2004352884
この結果から、実施例1〜11の各インクでは、目視による確認及びフィルターでの確認によっても、凝集物の発生が認められなかった。それに対して、比較例1では、有機ケイ素化合物を含有していないので放置試験結果、凝集は見とめられなかったが、耐水性において非常に低い値を示した。比較例2及び3のpH緩衝剤を入れずに前記有機ケイ素化合物を含有させたインクは、凝集が生じていた。
【0043】
【発明の効果】
本発明におけるインクジェット記録用インクによれば、色材と、保湿剤と、水と、この水が蒸発するに伴い縮重合反応を開始する水溶性物質とを含有するインクに、pH緩衝剤を含有させることにより、長期間放置した後に印字しても目詰まりを起こすことなく、また、インクが記録媒体上に付着した後、水が蒸発するに伴い縮重合反応を開始する水溶性物質がインク作製直後と同様に記録媒体上で速やかに縮重合反応を完結して、色材を速やかにかつ確実に取り囲むことができ、画像の耐水性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクを用いたインクジェット式記録装置を示す概略斜視図である。
【図2】インクジェット式記録装置のインクジェットヘッドの部分底面図である。
【図3】図2のI−I線断面図である。
【図4】図2のII−II線断面図である。
【符号の説明】
A インクジェット式記録装置
1 インクカートリッジ
2 記録紙
3 インクジェットヘッド
4 キャリッジ
5 キャリッジ軸
6 搬送ローラ
7 凹部
7a 供給口
7b 吐出口
8 ヘッド本体
9 圧力室部品
10 インク流路部品
11 オリフィス
12 供給用インク流路
13 吐出用インク流路
14 ノズル
15 ノズル板
15a 撥水膜
16 圧電アクチュエータ
17 圧力室
18 振動板
19 圧電素子
20 中間層
21 個別電極

Claims (8)

  1. 少なくとも、色材と、保湿剤と、水と、水が蒸発するに伴い縮重合反応を開始する水溶性物質と、pH緩衝剤とを含有することを特徴とするインクジェット記録用インク。
  2. 請求項1記載のインクジェット記録用インクのpHが8.0〜11.0の範囲にあることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用インク。
  3. 請求項1記載のpH緩衝剤として、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸、N−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸、N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸およびN−〔トリス(ヒドロキシメチル)メチル〕グリシンからなる群から選択された化合物を少なくとも1種類以上用いることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用インク。
  4. 請求項1記載の水が蒸発するに伴い縮重合反応を開始する水溶性物質が有機ケイ素化合物であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用インク。
  5. 請求項1記載のインクジェット記録用インクに、更に縮重合反応を開始する水溶性物質の縮重合反応を促進する縮重合促進剤を含有することを特徴とするインクジェット記録用インク。
  6. 請求項5記載の縮重合反応促進剤が、無機もしくは有機のアンモニウム塩であることを特徴とする請求項5記載のインクジェット記録用インク。
  7. 請求項6記載のアンモニウム塩が、弱酸の塩であることを特徴とする請求項5または6記載のインクジェット記録用インク。
  8. 請求項6記載のアンモニウム塩が、強酸の塩であることを特徴とする請求項5または6記載のインクジェット記録用インク。
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