JPS641087B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、歩行型又は乗用型の田植機において
圃場面に対する左右方向の姿勢を制御する装置に
関するものである。

一般に田植機における苗植装置は、車輪が接地
する耕盤に支持するので、耕盤の凹凸により苗植
装置が左右方向に傾くことがあり、苗植装置が傾
くと、左側の植付条と右側の植付条とで苗の植付
深さが不均等になる。

そこで最近の多条植田植機においては、車輪を
有する車体に対して苗植装置をローリング自在に
取付けるか、又は苗植装置を左右一対の車輪の上
下逆作動によつて左右方向に傾斜可能に構成し、
前者の場合には車体と苗植装置との間に、後者の
場合には両車輪と車体との間に、苗植装置を左右
方向に傾斜するようにした姿勢制御用の油圧シリ
ンダを設けて、圃場面に対する苗植装置の左右方
向の傾きが略水平になるように姿勢制御すること
が行なわれている。

本発明は、このような姿勢制御に際して、前記
姿勢制御用油圧シリンダに、等速の復動油圧シリ
ンダを用いることにより、その制御特性を向上す
ると共に、該等速復動油圧シリンダを、苗植装置
に対する衝撃のシヨツクアブソバーとして同時に
兼用できるようにして、苗植装置の破損を防止す
るものである。

以下本発明を、乗用型の田植機に適用した場合
の実施例について説明すると、図において１は走
行車体を示し、該走行車体１は、車体フレーム２
とその前部に取付く前２輪（図示せず）と後部に
車軸ケース３，３を介して取付く後２輪４とから
なり、車体フレーム２の上面には操縦座席５を備
え、車体フレーム上の図示しないエンジンにより
前進走行する。

６は前記走行車体１の後部に位置する苗植装置
を示し、該苗植装置６は、伝動ケース７、この伝
動ケース７から横方向に適宜間隔で後方向に向つ
て一体的に延長した３この植付ケース８，８′，
８″、各植付ケースの下面部に前端が自在に上下
動するように装着したフロート９，９′，９″及び
上端が走行車体１に近づくように傾斜した苗載台
１０とからなり、各植付ケース８，８′，８″の左
右両側面には、苗載台１０上の苗マツトから苗を
１株づつ分割して各フロート９，９′，９″の両側
方部で圃場面１１に植えるようにした上下揺動式
の苗植機構１２が各々設けられ、苗載台１０は、
その下端が伝動ケース７の上面に取付く苗取出用
ガイドレール１３に嵌まる一方、その裏面中途部
に設けたレール１４に伝動ケース７から立設の支
持アーム体１５に設けた転子１６が嵌まつて、左
右横方向に往復動するように構成されている。

前記走行車体１の後端に取付くヒツチ１７に
は、上下一対で且つ左右一対の等長リンク１８，
１９を、その基端においてピン２０，２１枢着し
て苗植装置昇降用の平行リンク機構２２を構成
し、該平行リンク機構２２における各等長リンク
１８，１９の先端を苗植装置６に対する連結体２
３に基端枢着ピン２０，２１の上下間隔と同じ間
隔でピン２４，２５枢着し、該連結体２３には中
空軸２６を略水平で後方向に一体的に突設して、
この中空軸２６に対して前記苗植装置６の伝動ケ
ース７を詳しくは後述するヒツチ装置２７を介し
てローリング自在に且つ着脱自在に連結する一
方、平行リンク機構２２におけるいずれか一方の
リンク１８と車体フレーム２との間には油圧シリ
ンダ２８を装架して、該油圧シリンダ２８により
苗植装置６を走行車体１側から昇降するように構
成する。

２９は予備苗台の支持ブラケツトで、該支持ブ
ラケツト２９は、その下端のボス部２９′を前記
中空軸２６に対して連結体２３とヒツチ機構２７
との間において回転自在に被嵌することにより、
走行車体１に対する苗植装置６のローリング中心
軸線と同じ軸線上において苗植装置とは別個にロ
ーリングするように構成されている。

この支持ブラケツト２９の上端部には、上下一
対で且つ左右一対の等長リンク３０，３１を走行
車体１の方向に延びるようにピン３２，３３枢着
する一方、上下両リンク３０，３１の先端部間
を、支持ブラケツト２９への枢着ピン３２，３３
の上下間隔と同じ間隔で各々にピン３４，３５枢
着した連結リンク３６にて連結して予備苗台昇降
用の平行リンク機構２７を構成し、この平行リン
ク機構３７にはピン３４とピン３３との間に昇降
用の油圧シリンダ３８を装架し、左右一対の両下
部リンク３１，３１の先端間に装架した軸３９を
走行車体１の車体フレーム２から立設したスタン
ド４０の上に載置させる一方、左右一対の両上部
リンク３０，３０の先端間に装架した軸４１に
は、走行車体１の上部に略水平に配設した予備苗
台用昇降傾斜台４２を回動自在に取付けし、該昇
降傾斜台４２の上面には、前記苗載台１０に補給
する予備の苗マツトを載せておくための予備苗台
４３を、転子４４，４５を介して苗載台１０と平
行に横方向に自在に往復動できるように載置し、
且つこの昇降傾斜台４２の先端部と前記下部リン
ク３１の軸３９との間に、昇降傾斜台４２の傾斜
用の油圧シリンダ４６を装架する。

この場合、前記苗植装置の昇降用平行リンク機
構２２と、予備苗台の昇降用平行リンク機構３７
とは四辺形が合同で且つリンクが互に平行であつ
て、苗植装置６の昇降に際して、予備苗台の昇降
用平行リンク機構３７における上下両リンク３
０，３１先端の軸３９，４１が、上下動及び前後
動しないように構成され、また、苗植装置６にお
いてその伝動ケース７から苗載台の裏面に沿つて
立設した支持アーム体１５の上端には、予備苗台
４３を油圧シリンダ３８によつて上昇したとき、
その平行リンク機構３７における両上部リンク３
０，３０が接当するストツパー体４７が左右一対
設けられている。

そして、前記ヒツチ装置２７は、走行車体１側
に取付く連結体２３における中空軸２６に回動自
在に被嵌する椀型の連結部材４８と、作業機の実
施例である苗植装置６における伝動ケース７の走
行車体側の側面に取付くブラケツト４９からな
り、椀型の連結部材４８とブラケツト４９との間
に係脱機構５０，５０を設ける、すなわち、連結
部材４８の上下両外側面には、各々づつの突起５
１，５１、５２，５２を一体的に突設し、該各突
起５１，５１、５２，５２には断面半円形の溝５
３、５４を中空軸２６の軸線方向と直角に刻設す
る一方、前記ブラケツト４９は平断面コ字状でそ
の上下両端部には、前記連結部材４８の各突起５
１，５１、５２，５２における溝５３，５４に嵌
まるようにした上下一対のヒツチ軸５５，５６
を、互に平行で且つ中空軸２６の軸線と直角方向
に回動自在に軸支し、該両ヒツチ軸５５，５６の
一端には、各々ハンドル５７，５８を固着し、両
ヒツチ軸５５，５６を該ハンドル５７，５８の操
作により各々別々に又は互に連動して180゜回動で
きるように構成し、この両ヒツチ軸５５，５６に
は、前記各突起５１，５１、５２，５２の溝５
３，５４に嵌まる部分を半円形断面部５９，６０
に形成する。

なお、両ヒツチ軸５５，５６のハンドル５７，
５８には両ヒツチ軸５５，５６を、その半円形断
面部分５９，６０が溝５３，５４に嵌まる回動位
置において保持する機構（図示せず）を備えてい
る。

また、前記中空軸２６内に伝動クラツチ軸６１
を玉軸受６２を介して軸支し、該クラツチ軸６１
を前記走行車体１の後端のPTO軸６３に伸縮及
び折曲自在軸６４を介して連結する一方、苗植装
置６における伝動ケース７には、苗植装置６にお
ける各種駆動部への駆動軸６５を前記クラツチ軸
６１と同じ軸線上に軸支して、その先端に従動ク
ラツチ６６を固着し、中空軸２６内にはクラツチ
軸６１にスプライン係合にて嵌合する主動クラツ
チ６７を摺動自在に嵌挿し、該主動クラツチ軸６
７をクラツチ軸６１に被嵌したばね６８にてクラ
ツチ軸先端のスナツプリング６９に接当するよう
に押圧付勢して、前記従動クラツチ６６に噛合す
るように構成する。

更に７は前記苗植装置６に対する姿勢制御油圧
シリンダ機構で、該油圧シリンダ機構７０は、前
記連結体２３の後面において、前記ヒツチ軸５
５，５６におけるハンドル５７，５８とは反対側
の部位に位置し、且つ該姿勢制御油圧シリンダ機
構７０は、連結体２３に取付く油圧切換弁７１、
該切換弁７１から上下方向に一体的に突出するピ
ストン７２，７３、及び両ピストン７２，７３に
摺動自在に被嵌するシリンダ７４，７５とからな
り、上下両シリンダ７４，７５をその内径が全く
等しい等速シリンダに形成すると共に、上下両シ
リンダ７４，７５をこれが互に逆方向に連動して
動くように連結板７６にて連結して、いてゆる等
速の復動油圧シリンダに構成し、この連結板７６
に、前記苗植装置６に対して両ヒツチ軸５５，５
６にて結合の連結部材４８から一体的に突出した
アーム７７の先端ピン７８を係合して、姿勢制御
油圧シリンダ機構７０にて苗植装置６の姿勢を制
御するように構成する。

この姿勢制御油圧シリンダ機構７０における切
換弁７１は４ポート３ポジシヨン式で、そのスプ
ール７１′に、前記苗植装置６における３つのフ
ロート９，９′，９″のうち左右両側に位置するフ
ロート９′，９″に対して設けた高さ検出センサー
７９，８０を関連し、両センサー７９，８０箇所
におけるフロート９′，９″とその植付ケース８′，
８″との高さが同じであるとき、前記切換弁７１
は、油圧ポンプ８１に連なるポープポートＰ及び
リターンポートＲと上部シリンダ７４へのポート
Ａ及び下部シリンダ７５へのポートＢとをカツト
する中立位置であるが、左側のフロート９′とそ
の植付ケース８′との高さが低くなると同時に右
側のフロート９″とその植付ケース８″との高さが
高くなるように換言すれば苗植装置６が圃場面１
１に対して左方向に傾いた場合には、切換弁７１
はポンプポートＰを上部シリンダ７４へのポート
Ａに、下部シリンダ７５のポートＢをリターンポ
ートＲに各々接続するように切換わり、また、右
側フロート９″とその植付ケース８″との高さが低
くなると同時に左側フロート９′とその植付ケー
ス８′との高さが高くなるように換言すれば苗植
装置６が圃場面１１に対して右方向に傾いた場合
には、切換弁７１はポンプポートＰを下部シリン
ダ７５へのポートＢに、上部シリンダ７４のポー
トＡをリターンポートＲに各々接続するように切
換わるように構成されている。

そして、前記姿勢制御油圧シリンダ機構７０に
おける上下両シリンダ７４，７５の間には、上部
シリンダ７４内の油圧を下部シリンダ７５に逃が
すようにした流量規制手段の一つであるパイロツ
ト式リリーフ弁８４と、下部シリンダ７５内の油
圧を上部シリンダ７４に逃がすようにした流量規
制手段の一つであるパイロツト式リリーフ弁８５
とを設けて、上下両シリンダ７４，７５間を一方
のシリンダ７４から他方のシリンダ７５の方向及
び他方のシリンダ７５一方のシリンダ７４への方
向に対して各々パイロツト式リリーフ弁８４，８
５を設けて成るものである。

なお、前記姿勢制御油圧シリンダ機構７０にお
ける切換弁７１のスプール７１′には、該切換弁
７１が中立位置になつたときポンプポートＰとリ
ターンポートＲとを連通する通路Ｃを設け、その
リターンポートＲを、他の油圧機構、例えば苗植
装置昇降用油圧シリンダ２８に対する３ポート３
ポジシヨン式切換弁８２のポンプポートＰに接続
する。また前記苗植装置昇降用油圧シリンダ２８
における切換弁８２におけるスプール８２′は、
各フロート９，９′，９″のうち走行車体１の中心
位置のセンターフロート９に対して設けた高さ検
出センサー８３に関連し、センターフロート９と
その植付ケース８との高さが所定高さのとき、切
換弁８２はポンプポートＰ及びリターンポートＲ
と油圧シリンダ２８へのポートＡとをカツトする
中立位置にあるが、前記高さが低くなると切換弁
８２はポンプポートＰをポートＡに接続するよう
に切換わつて苗植装置６を上昇し、前記高さが高
くなると切換弁８２はポートＡをリターンポート
Ｒに接続するように切換わつて苗植装置６を下降
し、これにより圃場面に対する苗植装置６の中心
位置の高さが常に所定高さになるように自動的に
制御される。

この構成において、苗植装置６の苗載台１０上
に苗マツトを載置し、苗植装置６を駆動させなが
ら走行車体１を前進走行させることにより、苗植
装置６における各フロート９，９′，９″で整地さ
れた圃場面１１に対して苗植機構１２にて苗が６
条に沿つて植付けでき、苗載台１０上の苗マツト
が残り少なくなれば、予備苗台昇降用油圧シリン
ダ３８及び傾斜用油圧シリンダ４６を操作するこ
とにより、予備苗台４３は第１図に２点鎖線で示
すように上昇したのち苗載台１０と略平行に傾斜
して、苗載台１０と係合して、苗載台１０と共に
左右に動くから、予備苗台４３上の苗マツトを田
植作業中において苗載台１０に補給できる。

この田植作業中において、走行車体の各車輪が
接地する耕盤１１′の凹凸等で走行車体１がロー
リングすることにより、苗植装置６が圃場面１１
に対して左側が低く右側が高くなるように傾け
ば、姿勢制御油圧シリンダ機構７０における切換
弁７１が、ポンプポートＰを上部シリンダ７４へ
のポートＡに、下部シリンダ７５のポートＢをリ
ターンポートＲに各々接続するように切換わる、
すると上下両シリンダ７４，７５は共に上昇する
から、これに連結片７６及びアーム７７を介して
連動する苗植装置６は、中空軸２６を中心に左側
が上昇するように回動して、左方向への傾きが修
正され、また、苗植装置６が逆に右側で低く左側
で高くなるように傾けば、切換弁７１がポンプポ
ートＰを、下部シリンダ７５へのポートＢに、上
部シリンダ７４のポートＡをリターンポートＲに
各々接続するように切換わり、上下両シリンダ７
４，７５は共に下降するから、苗植装置６は中空
軸２６を中心に右側が上昇するように回動して、
右方向への傾きが修正でき、走行車体１がローリ
ングしても苗植装置６は圃場面に対して左右方向
に傾かないように自動制御でき、苗植装置による
各苗植条における苗植深さが走行車体のローリン
グに対して略一定に維持できるのである。

そして、前記の田植作業中又は畔際での方向旋
回中等において、苗植装置の左端又は右端が畔等
に衝突するなどして上向き又は下向きに衝撃力を
受けると、これは姿勢制御油圧シリンダ機構７０
における上下両シリンダ７４，７５に伝達し、一
方のシリンダ内の圧量が高く、他方のシリンダ内
の圧力が低くなり、一方のシリンダにおける圧力
が高くなると、リリーフ弁８４，８５の一方が開
いて当該一方のシリンダ内の油圧が、一方のシリ
ンダと同内径の他方のシリンダに入るように流れ
て両シリンダ７４，７５が、苗植装置６に対する
衝撃力の方向と同方向に動くから、これにより苗
植装置６の左端又は右端に対する衝撃が緩和・吸
収できるのである。

この場合、実施例は上部シリンダ７４から下部
シリンダ７５への油圧の流れ及び下部シリンダ７
５から上部シリンダ７４への油圧の流れの両方に
対して各々リリーフ弁８４，８５を設けて流量を
規制する場合であつたが、流量規制手段としては
これに限らず、オリフイス又は流量調節弁等一つ
で往復流の流量を規制できるものでも良い。

また、第８図及び第９図は苗植装置９０を有す
る車体９１の左右両側に車輪９２，９２を各々ス
イングケース９３，９３を介して各々独立して上
下動するように装着し、両車輪９２，９２の上下
逆作動によつて車体９１に取付く苗植装置９０の
左右方向の姿勢を略水平に制御するようにした歩
行型の田植機に適用した場合を示し、その車体９
１に、２つの同径のシリンダ７４，７５を有する
姿勢制御油圧シリンダ７０を取付け、両シリンダ
７４，７５に両車輪９２，９２をベルクランクレ
バー９４，９４を介して連結することにより、同
様に適用できるのである。

以上の通り本発明は、田植機における苗植装置
が油圧シリンダによつて圃場面に対して左右方向
に略水平になるように姿勢制御するに際し、油圧
シリンダとして２つの等しいシリンダ室を有する
等速復動油圧シリンダを用い、該等速復動油圧シ
リンダにおける両シリンダ室間を流量規制手段を
有する通路で接続することにより、当該等速復動
油圧シリンダを、苗植装置のシヨツクアブソバー
にそのまま利用できるから、苗植装置の破損を防
止できて安全であると共に、苗植装置に対するシ
ヨツクアブソバーを省略できるので構造が簡単に
なつて重量を軽減できるのであり、しかも、苗植
装置の姿勢制御に等速復動油圧シリンダを用いた
ことにより、苗植装置の左右方向の傾き動が左右
いずれの方向についても等しい速度で行なわれる
から、その制御が安定して制御特性を向上できる
効果を有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示し、第１図は乗用田
植機の要部側面図、第２図は第１図の平面図、第
３図は走行車体に対する苗植装置の連結部の縦断
正面図、第４図は第３図の―視断面図、第５
図は第３図の―視断面図、第６図は第５図の
―視断面図、第７図は油圧回路図、第８図は
歩行型田植機の側面図、第９図は第８図の―
視断面図である。 １…走行車体、２…車体フレーム、６…苗植装
置、７…伝動ケース、８…植付ケース、９…フロ
ート、１０…苗載台、２３…連結体、２６…中空
軸、２２…平行リンク機構、２７…ヒツチ装置、
４８…連結部材、７０…姿勢制御油圧シリンダ機
構、７１…切換弁、７４…上部シリンダ、７５…
下部シリンダ、８１…油圧ポンプ、Ｐ…ポンプポ
ート、Ｒ…リターンポート、７９，８０…センサ
ー、８４，８５…パイロツト式リリーフ弁。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 左右一対の車輪が接地する耕盤に対して苗植
   装置を左右方向に傾斜自在に構成して成る田植機
   において、苗植装置を圃場面に対して左右方向に
   略水平にするように制御する姿勢制御用油圧シリ
   ンダに、内径が等しい２つのシリンダ室を有する
   等速復動油圧シリンダを用いる一方、該等速復動
   油圧シリンダにおける両シリンダ室間を、流量規
   制手段を有する通路にて接続したことを特徴とす
   る田植機の姿勢制御装置。