JPS6363176B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、所定形状の絶縁性筒体内に塩分処
理が施された生の水産動物の摺り身材料或は畜肉
の練物材料又はこれらの混合材料を充填した場合
にあつても、一対の電極板を充填材料と接するよ
うに押圧させることなく簡単に材料へ通電を施し
て熟熱殺菌し、短時間内に食味良好な通電加工食
品を製造することができると共に、その量産化を
容易に達成することができる通電加工食品の製造
方法に関する。

従来技術 従来、安価に得られる生の水産動物の摺り身材
料或は畜肉の練物材料を通電加工して各種包装食
品例えばハム、ソーセージ、蒲鉾等を製造する時
には、一般に所定形状の絶縁性保形筒の両端開放
部に、平面部分に多数の通電孔を開孔した通電用
保形枠を摺動自在に対向して嵌合せしめると共
に、上記それぞれの通電用保形枠の内外両面に平
面状の含塩水接電体を貼着して構成した包装容器
内に摺り身材料或は練物材料を充填収容した後、
両側より一対の電極板を含塩水接電体に密接する
よう押圧して一対の電極板間に亘り通電を施すこ
とで包装食品を製造していたものであることは本
出願前例えば特開昭56−5042号公報に記載されて
いて公知である。

発明が解決しようとする問題点 ところで、上述公知の製造方法によれば、絶縁
性の包装容器内に充填収容された材料を通電加工
により熟熱殺菌しようとする際には、その都度一
対の電極板を必ず包装容器の両側に圧接して、充
填材料と電極板とを接触させる作業が必要となる
ため、一度に多数の包装容器へ通電加工させるこ
とができず、その結果、量産化を達成させること
ができない許りか、一対の電極板と接触する側の
材料が電触作用で変色して商品価値が低下する問
題が生じた。

そこで、本発明は、例え材料を所定形状の絶縁
性筒体内に充填収容せしめた場合にあつても、一
対の電極板を材料と密接するように作動させなく
ても電流が的確に充填材料中を均一に通電できる
ようにして食味良好な通電加工食品の量産化を容
易に達成させると共に電極板の押圧作動の皆無に
より電触で発生しがちな変色現象をなくし、もつ
て常に良品質の通電加工食品を得ることができる
通電加工食品の製造方法を提供したことで上記問
題を解決したものである。

問題を解決するための手段 それ故、本発明方法の技術的課題は、例え材料
を絶縁性筒体内に充填収容した場合にあつても、
該充填材料をその都度一対の電極板の押圧作動で
熟熱殺菌することを無くして量産化を容易に達成
させると共に電極板の圧接によつて発生する製品
の変色を未然に防止し、もつて良品質の通電加工
食品を得ることにある。

この技術的課題を解決するため、本発明方法
は、塩分を均等に混入した生の水産動物の摺り身
材料或は畜肉の練物材料又はこれらを混合した混
合材料を、両側に非金属性材料からなる通電蓋を
嵌脱自在に嵌合した絶縁性筒体内に充填収容せし
めると共に前記絶縁性筒体は、絶縁性容器内に収
容され、しかも上記材料の含塩濃度よりも薄い塩
分濃度の稀塩液中に冠水状態のもとに収納せしめ
て、通電作用により材料を熟熱殺菌処理したこと
を特徴とする通電加工食品の製造方法としたもの
である。

作 用 上記技術的手段は次のように作用する（第１図
および第２図参照）。すなわち、通電が良好に営
まれるように塩分を均等に混入した生の水産動物
の摺り身材料、或は畜肉の練物材料又はこれらを
混合した混合材料からなる材料Ａを多量に用意す
る。次いで上記材料Ａを両側を開放状とした絶縁
性筒体１内に適正量充填収容せしめた後、絶縁性
筒体１の両側開放側を非金属性材料からなる通電
蓋２，２を嵌入して被蓋せしめる。この様にして
材料Ａが充填された多数の絶縁性筒体１が得られ
たら、これ等絶縁性筒体１を、絶縁性容器３内に
収容され、しかも上記材料Ａの含塩濃度よりも薄
い塩分濃度の稀塩液Ｂ中に冠水状態となるよう投
入する。さすれば、充填材料Ａと稀塩液Ｂとは通
電蓋２，２を通して接触されると共に稀塩液Ｂも
絶縁性容器３内に配設された一対の電極板５，５
と接触されるため、一対の電極板５，５間に亘り
通電作用を施せば、電流は稀塩液Ｂを通電媒体と
して塩分濃度の濃い塩分を含んだ材料Ａ中を均一
に流通して発生したジユール熱で短時間内に熟熱
殺菌処理せしめると共に、一対の電極板５，５が
充填材料Ａに密接されていないので材料Ａの端面
側に何等の変色現象も発生させず、高品質の、し
かも食味良好な通電加工食品を一度に製造するこ
とができる。

実施例 次に本発明方法を実施させるための装置を添附
図面に示された実施例に基づき説明する。

図面において、Ａは安価に得られる生の水産動
物例えばイワシ、アジ、サバ、サンマ等の摺り身
材料、或は生の畜肉例えば牛、豚、鶏等の練物材
料又はこれらの混合材料からなる材料であつて、
該材料Ａには塩分濃度が例えば２％〜３％となる
ように均一に塩分を混合せしめてある。

そして上記材料Ａには必要に応じて適当に調味
材料或は香辛料を添加してもよい。

上記のように材料Ａに２％〜３％の塩分を含ま
せたその理由は、以後行われる通電加工時に電流
が材料Ａ中を均一に流通できるようならしめると
同時に材料Ａの食味向上と品質保持を促進させる
ことにある。

１は塩分処理が施された材料Ａを充填収容させ
るための絶縁性筒体であつて、該絶縁性筒体１
は、ビニール、セロフアン、その他の同効物質か
らなる絶縁耐熱性に富んだ材料で両端を共に開放
した筒状に塑成されている。そして上記絶縁性筒
体１の両側開放部には多数の通電孔３……を穿孔
した非金属性の材料で形成された通電蓋２，２を
抜き差し自在に嵌装して閉塞せしめてある。なお
上記の通電蓋２は、通水性および絶縁性に富んだ
繊維材料で代用せしめてもよい。

Ｂは、材料Ａ中に含有された塩分濃度よりも薄
い塩分濃度例えば0.25％以下の稀塩液であつて、
該稀塩液Ｂは適当形状からなる絶縁性容器４内に
適当量収容されている。上記の絶縁性容器４は上
面を開放した有底筐状に形成され、しかも絶縁性
容器３内の対向壁５，５側には抜き差し自在とな
るように挿入位置せしめた一対の電極板６，６と
通液性絶縁材料からなる一対の隔離板７，７を順
次配設して、塩分濃度の濃い塩分を含有せしめた
材料Ａを充填収容しその開放側を通電蓋２，２で
閉塞した絶縁性筒体１を単数本若しくは複数本、
稀塩液Ｂ中へ冠水状態のもとに収容した後、一対
の電極板６，６間に亘り電流を施せば、電流は稀
塩液Ｂを通電媒体として通電蓋２，２を通し、材
料Ａ中を円滑に、かつ均一に流れ発生したジユー
ル熱例えば95℃で速かに材料Ａを熟熱殺菌処理
し、簡単な製造工程で食味良好かつ変色現象の発
生が見られない高品質の通電加工食品を一度に製
造することができる。そして、上記通電加工時に
おいては、単数本或は複数本の絶縁性筒体１を、
単に絶縁性容器４内に収容された稀塩液Ｂ中に冠
水状態のもとに投入するだけで、材料Ａ中を稀塩
液Ｂが通電媒体となつて電流を均等に流通させて
正確に熟熱殺菌することができるため、従来方法
の如く、一対の電極板を通電加工時毎に材料と密
接するよう押圧させる通電作業を廃して、通電加
工食品の量産化を達成させることができると共に
電極板との接触により発生する電触変色現象の発
生を無くし、常に高品質の、しかも食味良好で安
価な通電加工食品を得ることができる。

８は、絶縁性筒体１内に充填収容された材料の
熟熱温度を自動的に検出するための温度検知器で
あつて、該温度検知器８の先端側は材料Ａの中程
迄挿通して、材料Ａが所定の熟熱温度に達した
ら、これを速かに検知して電極板６，６への通電
を断つように作動せしめるものである。

なお材料Ａには塩分濃度の濃い塩分を含有さ
せ、又稀塩液Ｂには材料Ａの塩分濃度よりも薄い
塩分濃度としたことで熟熱殺菌作用時には、材料
温度が稀塩液Ｂの温度より略20℃高温となつて、
材料Ａが平均に熟熱殺菌されている状態および電
流が材料Ａ中を均等に流通して消費電力の節約を
図つていることが分かる。

その上、材料Ａが水産動物である場合には、稀
塩液Ｂ中に少量の酢を混入せしめれば、材料Ａの
通電促進と材料Ａの締り度合をさらに良好ならし
める許りか、水産動物独特の臭をより減臭させる
ことができる。

発明の効果 要するに本発明は、前述のような方法としたの
で、従来方法の如き、通電加工時にいちいち一対
の電極板を絶縁性保形筒の両側端面へ圧接する工
程を廃し、単に塩分処理された材料Ａを絶縁性筒
体１内に充填収容せしめると共にその両端開放側
を通電蓋２，２で閉塞した後、該単数本或は複数
本の絶縁性筒体１を、絶縁性容器４内に収納さ
れ、しかも材料Ａの塩分濃度よりも薄い塩分濃度
の稀塩液Ｂ中に冠水状態のもとに収納し、通電作
用を施す操作のみで、充填材料Ａを稀塩液Ｂが通
電媒体となつて流通する電流により均等に熟熱殺
菌処理を短時間内に行わしめ、もつて安価な通電
加工食品を一度に量産することができる許りか、
電極板との接触により発生する電触変色現象を皆
無ならしめ、常に高品質の製品を製造できる外、
消費電力の著しい節約を図ることができる効果を
奏する。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明方法を実施させるための装置を示
すものであつて、第１図は一本の絶縁性筒体を稀
塩液中に冠水状態のもとに収納した場合における
絶縁性容器の縦断正面図、第２図は２本の絶縁性
筒体を稀塩液中に冠水状態のもとに収納した場合
における絶縁性容器の縦断正面図である。 Ａ……材料、Ｂ……稀塩液、１……絶縁性筒
体、２……通電蓋、４……絶縁性容器。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 塩分を均等に混入した生の水産動物の摺り身
   材料或は畜肉の練物材料又はこれらを混合した混
   合材料を、両側に非金属性材料からなる通電蓋を
   嵌脱自在に嵌合した絶縁性筒体内に充填収容せし
   めると共に前記絶縁性筒体は、絶縁性容器内に収
   容され、しかも上記材料の含塩濃度よりも薄い塩
   分濃度の稀塩液中に冠水状態のもとに収納せしめ
   て、通電作用により材料を熟熱殺菌処理したこと
   を特徴とする通電加工食品の製造方法。