JPS6323528B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明はハロゲン化銀写真感光材料の処理方法
に関し、更に詳しくは水洗水中にハロゲン化銀写
真感光材料によつて持ち込まれる処理液成分およ
び可溶性銀塩を大幅に減少させ、かつ安定な処理
性能を有するハロゲン化銀写真感光材料の処理方
法に関するものである。 一般に、ハロゲン化銀写真感光材料の処理にお
いて、近年、環境保全の問題と銀資源の節減の問
題が重視され、水洗水廃液による公害の減少およ
び水洗水からの銀の回収が強く望まれている。 このため処理液の廃液からの銀回収だけでなく
水洗水廃液からの銀回収方法も種々提案されてい
る。例えば西独特許公開第2532018号等の電解法、
特開昭50−18318号等の金属置換法、特開昭53−
76027号等の化学的沈澱法等が知られている。し
かしながら、これらの方法を用いても水洗水廃液
中では水溶性銀塩の濃度が希薄であり、かつ大量
であるため銀の回収効率が低い欠点があつた。 又、水洗水は大量に使用されるため、水洗水廃
水の公害負荷、即ち生物化学的酸素要求量（以後
BODと略称する）および化学的酸素要求量（以
後CODと略称する）を減少させるために、従来
活性汚泥法、活性炭又はその他の吸着物質による
処理方法、散水濾床法、電解法などの方法が知ら
れている。しかし、これらの方法は経済的負担が
大きく、それに要する場所もある程度の面積が必
要であるという欠点を有する。 これらの欠点を除くため、定着能を有する浴と
水洗工程との間に予備的な水洗浴（以下、予備水
洗浴という）を設けることはすでに知られてい
る。しかし、この方法では該予備水洗浴のオーバ
ーフロー廃液の処理に費用がかかり経済的に好ま
しくない欠点を有している。 さらに、前記予備水洗浴は極めて不安定で保存
により沈澱を生じやすく、この沈澱はフイルムや
ベーパー等感光材料に付着し、故障を生じる欠点
をも有している。 そこで、本発明の目的は第１に、水洗水廃液の
公害負荷を減少させ、かつ経済的に優れたハロゲ
ン化銀写真感光材料の処理方法を提供することに
ある。 第２に、ハロゲン化銀写真感光材料の写真処
理、特に連続処理において水洗水廃液中への銀の
流失を減少させ全体としての銀回収効率を改善す
る方法を提供することにある。 第３に、予備水洗浴において硫化銀等の沈澱の
発生がなく安定な連続が可能なハロゲン化銀写真
感光材料の処理方法を提供することにある。 本発明者は種々検討の結果、定着能を有する浴
と該浴に続く水洗工程との間に予備水洗を設けて
処理するハロゲン化銀写真感光材料の処理方法に
おいて、該予備水洗のオーバーフローの一部又は
全部を前記定着能を有する浴に流し込み、かつ該
予備水洗のPH値を５ないし９にすることによつ
て、上記の目的が達せられることを見い出したも
のである。 本発明の定着能を有する浴とは、感材の処理に
おいて脱銀を目的とした浴のことであり、例えば
定着浴、漂白定着浴、一浴現像定着浴、硬膜定着
浴、一浴現像漂白定着浴等が含まれる。 本発明の予備水洗浴の槽の数は１槽でもよいが
２〜６槽程度までは槽を増やすことによる本発明
の目的の効果が大きく、この範囲内の槽数が好ま
しい。又、予備水洗へ補充する予備水洗補充液は
何ケ所かに分けて補充してもよいが、好ましくは
なるべく処理の流れから見て後の槽へ補充して、
そのオーバーフロー（槽間を液面下に位置する管
で連通させた場合、該管を浴液が通る場合を含
む。）を該槽の前の浴へ流入させる型式にするの
が好ましい。又、更に好ましくは２槽以上の予備
水洗浴で、水洗浴の直前の槽へ予備水洗補充液を
補充して、オーバーフローを順次前の槽へ移入
し、定着能を有する浴の次の予備水洗槽からのオ
ーバーフロー液の一部又は全てを該定着能を有す
る浴に流し込む際に本発明の効果が大きい。又、
場合によつては２槽以上の予備水洗浴で、水洗浴
の直前の槽と定着能を有する浴の直後の槽との間
の予備水洗槽からのオーバーフロー液の一部又は
全てを該定着能を有する浴に流し込んでもよい。 本発明に係る予備水洗は連続処理により該予備
水洗中に可溶性銀塩が畜積するためPH値が５未満
では硫化銀が発生しやすく、またPH値が９より上
では水酸化物が発生しやすいため、本発明におい
ては予備水洗のPH値が５ないし９の範囲で使わ
れ、とりわけPH値が６ないし８の範囲の際好まし
い結果を得る。 予備水洗のPHを５ないし９に保つために予備水
洗補充液に炭酸塩、リン酸塩、硼酸塩、アンモニ
ア等のアルカリ剤、又は塩酸、硫酸、酢酸、リン
酸等の酸が適宜添加されるが、場合によつては該
予備水洗補充液は水洗浴中の水または、そのオー
バーフローの一部の水でもあるいは通常の水でも
よい。さらに該予備水洗中には、１−ヒドロキシ
エチリデン−１，１−ジホスホン酸，２−ホスホ
ノブタン−１，２，４−トリカルボン酸，エチレ
ンジアミン四酢酸等のキレート剤や、亜硫酸塩、
ヒドロキシルアミン等の保恒剤が添加されてもよ
い。 予備水洗浴へ補充する補充液量は、水洗浴への
水の補充量の1/200〜1/10程度が好ましく、また
は感光材料によつて予備水洗浴へ持ち込まれる液
量の１〜20倍が好ましい。更に好ましくは感光材
料によつて持ち込まれる液量の２〜10倍の量が望
ましい。 本発明の方法は連続処理（処理による液疲労を
補充液を加えることにより現像性を一定に維持さ
せて連続的に処理する方法。）に適用するのが効
果が大きい。連続処理には通常自動現像機が使用
され、自動現像機としてはハンガータイプ、ロー
ルタイプ、シートタイプ、シネタイプ等が含ま
れ、本発明は特に自動現像機を用いる連続処理に
好ましく適用することができる。又、自動現像機
の場合、定着能を有する浴、予備水洗および水洗
の各槽間に感材に付着して持ち出す液の量を絞る
ためスクイズ等を設けるのが望ましい。 また、本発明の方法は、カラーペーパー、黒白
ペーパー、反転カラーペーパー、カラーポジフイ
ルム、カラーネガフイルム、黒白ネガフイルム、
カラー反転フイルム、黒白反転フイルム、Ｘ−レ
イフイルム、マイクロフイルム、複写用フイル
ム、直接ポジフイルム、印刷用フイルム、グラビ
アフイルム、１浴現像漂白定着用感材などのいず
れのハロゲン化銀写真感光材料を使用することが
できる。 次に、本発明の効果を列記する。 (1) 水洗水廃液の公害負荷を著しく減少させるこ
とができる。 (2) 水洗水廃液中に流失する可溶性銀塩の量を減
少させ全体としての銀回収効率を高めることが
できる。 (3) 予備水洗浴中で硫化銀や水酸化物の沈澱やス
ラツチの発生がなく故障のない安定した連続処
理ができる。 (4) 予備水洗浴のオーバーフロー液が効率的に使
用することができ、回収廃液量が減少するため
経済的に優れた処理ができる。 以下実施例によつて本発明の詳細を説明する
が、これにより本発明の実施の態様が限定される
ものではない。 実施例 １ サクラカラーフイルム〔小西六写真工業(株)
製〕をコニカFS−１カメラ〔小西六写真工業(株)
製〕を用いて撮影した後、吊下式自動現像機H4
−220W−２〔ノーリツ鋼機(株)製〕を改造し次の工
程に従つて連続処理を行なつた。 Ａ 比較処理 処理工程（38℃） 処理時間 発 色 現 像 ３分15秒 漂 白 ６分30秒 定 着 ６分30秒 水 洗 ３分15秒 安 定 ２分10秒 水洗槽は２槽に区分され（感光材料の処理の流
れの順に第１、第２水洗槽という。）、第２水洗槽
に水洗水を流入させ、該槽からのオーバーフロー
を第１水洗槽に入れ第１水洗槽から自動現像機系
外にオーバーフローさせる形式のものである。
（以下の処理Ｂ，Ｃ，Ｄの水洗についても同じで
ある。） 上記処理液はONK−４処理液〔小西六写真工
業(株)製〕を使用した。発色現像、漂白、安定の各
補充量は、サクラカラー処理マニユアル・プロセ
スCNK−４に記載されているのと同じ量とした。
ただし定着補充液はCN−3R4〔小西六写真工業(株)
製定着処理液〕40用を水にて17.8に仕上げ、
これを定着補充液Ａとし16ml／（135−20サイズ
１本あたり）を定着槽に補充し、さらに定着補充
液Ｂとして水を別系統で同様に定着処理槽に20
ml／（135−20サイズ１本あたり）補充した。 Ｂ 本発明処理 前記Ａの比較処理の処理工程中の定着と水洗の
間に予備水洗工程を設けた。該予備水洗は２槽
（１槽あたり１分５秒の処理時間）として後の方
の槽（第２予備水洗槽）に予備水洗補充液を20
ml／（135−20サイズ１本あたり）補充してその
オーバーフローを前の槽（第１予備水洗槽）に流
入させ、さらにそのオーバーフローの全てを定着
槽に流入させた。また定着槽に補充されている定
着補充液Ｂの補充を中止した。 Ｃ 本発明処理 前記Ａの比較処理の処理工程中の定着と水洗の
間に予備水洗工程を設けた。該予備水洗は５槽
（１槽あたり１分５秒の処理時間）として最終予
備水洗槽（第５予備水洗槽）に予備水洗補充液を
20ml／（135−20サイズ１本あたり）補充してそ
のオーバーフローをその直前の予備水洗槽（第４
予備水洗槽）に流入させ、さらに第４予備水洗槽
のオーバーフローをその直前の第３予備水洗槽に
流入させ、以下同様に隣接する後の槽から前の槽
へ、後の槽のオーバーフローを流入させ最初の予
備水洗槽（第１予備水洗槽）のオーバーフローを
全て定着槽へ流入させた。また定着槽に補充され
ている定着補充液Ｂの補充を中止した。 Ｄ 比較処理 Ｂの本発明処理の第１予備水洗槽のオーバーフ
ローを定着槽に流入させず回収した。さらに定着
補充液Ｂの補充はＡの比較処理と同様に行なつ
た。 Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄ各処理に於ける予備水洗補充液
は、リン酸２水素カリウム５ｇを水１に溶解し
水酸化ナトリウムにてPH7.0に調整したものを用
いた。 （実験） Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄの各処理工程について連続処理
を行ない収斂に達した所で水洗水のオーバーフロ
ーを採取し、それぞれについて銀濃度および
CODを測定した。また連続処理時の定着槽およ
び予備水洗槽のオーバーフロー液を回収しその総
量を測定した。 以上の結果を表１に示す。

【表】

【表】 表１から明らかなように、比較例Ａは水洗水中
に流失する銀量が多く、また予備水洗浴を設けた
Ｄの処理工程の場合にしても予備水洗浴のオーバ
ーフローを定着槽に流し込まないためにオーバー
フロー量が多く経済的に好ましくなく、いずれも
実用に供し得ない。しかるに本発明例のＢおよび
Ｃの処理の場合には水洗水中に流失する銀量も少
なく、水洗水の公害負荷も低く、さらにオーバー
フロー量も少なく、かつ経済的にも優れている。
とりわけ、Ｃ（予備水洗槽が５槽）の場合、全て
に時に良好な結果を得ることができることがわか
る。 実施例 ２ 実施例−１のＢの処理で予備水洗槽のPHを４な
いし10になるようにし連続処理を行ない収斂に達
した後に、３日間放置し、予備水洗液の状態を観
察した。この結果を表２に示す。

【表】 表２から明らかなように予備水洗のPH値が５よ
り下では硫化銀が発生し、また９より上では水酸
化物が発生するため実用には供し得ないがPH値が
５ないし９の範囲では実用的には問題なく、とり
わけ６ないし８の範囲では特に好ましい結果を得
ることが判る。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 定着能を有する浴と該浴に続く水洗工程との
   間に予備水洗を設けて処理するハロゲン化銀写真
   感光材料の処理方法において、該予備水洗のオー
   バーフローの一部又は全部を前記定着能を有する
   浴に流し込み、かつ該予備水洗のPH値を５ないし
   ９にすることを特徴とするハロゲン化銀写真感光
   材料の処理方法。