JPS6243915Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は二輪車等の車体前部と前輪車軸間を懸
架するフロントフオークのコイルスプリングのば
ね特性のみを調整するようにした調整機構に関す
る。

フロントフオークに張架したコイルスプリング
のばね特性を調整する機構としては、内筒内に嵌
装したコイルスプリングの上端を受けるばね受の
位置を深さの異なるカム面を備えた調整部材に対
して変化させ、これによりスプリングのセツト荷
重を調整するものが知られている。

しかしながら、斯る機構にあつては、調整範囲
に制約が生じ、又調整作業に大きな労力を要し、
多大な困難を伴つていた。

本考案者等は斯る不都合を解消すべく本考案を
成したもので、その目的とする処は、特に内部に
油と気体を封入した式のフロントフオークにおい
て、外部からの調整作業でコイルスプリングのセ
ツト長のみを変化せしめ、以つて気体ばね特性に
影響を及ぼすことなく、コイルスプリングのばね
特性のみを単独で任意に調整し得るようにしたフ
ロントフオークのコイルスプリング特性調整機構
を提供するにある。

斯る目的を達成すべく本考案は、内筒上端に螺
着されたフオークボルトに上端を固着し、下方に
延びるシリンダと、前記フオークボルトに回動自
在に挿通し、シリンダ内に臨む軸部外周にねじを
刻設して成る調整ロツドと、該調整ロツドに螺合
し、その外周が前記シリンダ内に嵌合するピスト
ンと、該ピストンより下方へ一体的に延設される
筒状プランジヤと、該プランジヤ外周に嵌合する
とともに、前記シリンダ下端に固着された底板
と、プランジヤ下端に固着され、下面にコイルス
プリングの上端を受けるばね受とで本調整機構を
構成した。

以下に本考案の好適一実施例を添付図面に基づ
いて詳述する。

第１図は本考案に係る調整機構を設けて成るフ
ロントフオークの縦断側面図、第２図は同フロン
トフオーク上部の拡大縦断側面図である。

第１図に示すフロントフオーク１において、２
は外筒であり、この外筒２の内部には上方より内
筒３が摺動自在に挿入嵌合されている。外筒２の
上端内周には内筒３の外周に摺接するガイドブツ
シユ４及びオイルシール５が嵌装され、又外筒２
の上端開放部は同じく内筒３の外周に摺接するダ
ストシール６にて閉塞されている。

一方、外筒２内底部には図示の如くシートパイ
プ７が植設されており、該シートパイプ７の拡径
先部７ａは内筒３の内周部に摺接している。

前記内筒３の下方内周部にはシートパイプ７の
外周に摺接し、減衰力を発生するバルブ機構８が
嵌装され、又内筒３の上端はこれに螺着するフオ
ークボルト９にて閉塞されている。尚図中１０は
リバウンドスプリングである。

而して内筒３の内部上方には第２図に詳細に示
すコイルスプリング調整機構２０が設けられてい
る。

即ち、第２図に示す如くフオークボルト９の下
端部外周にはシリンダ２１の上端が固着されてお
り、該シリンダ２１は内筒３に対して同芯的に下
方へ延設され、これの下端には底板２２が固着さ
れている。尚シリンダ２１の側壁には複数の通気
孔２１ａ……が穿設されている。

又フオークボルト９の中央には調整ロツド２３
が回動自在に挿通され、該ロツド２３はストツパ
リング２４にて位置決めされるとともに、これ２
３のシリンダ２１内に臨む下半部の軸部外周には
ねじ２３ａが刻設されている。そして、該調整ロ
ツド２３のねじ２３ａには図示の如く前記シリン
ダ２１の内周に上下摺動自在に嵌合するピストン
２５が螺合している。更にこのピストン２５の下
面には筒状のプランジヤ２６の上端が固着されて
おり、該プランジヤ２６は前記底板２２の中央を
貫通して下方へ延設され、これの下端には円板状
のばね受２７が固着されている。該ばね受２７に
は通油孔２７ａが穿設されており、ばね受２７と
前記シートパイプ７間にはコイルスプリング２８
が張架されている。

上記プランジヤ２６の底板２２への挿通嵌合に
は任意の手段にて廻り止めが図られており、従つ
てプランジヤ２６とピストン２５の回動は阻止さ
れ、これら２５，２６は上下動のみを許容される
こととなる。

而してフロントフオーク１の内部には図示位置
まで作動油３０が封入され、これより上方の室Ｓ
は気体室を構成し、該気体室Ｓ内には空気等の安
定な不活性気体が封入されている。

以上説明したフロントフオーク１において、内
筒３の上端は例えば自動二輪車の車体前部に、外
筒２の下端は前輪車軸に夫々連結され、両者２，
３は相対伸縮動する。

而して内、外筒３，２の相対伸縮動により、内
部に封入した作動油３０が流動し、これがバルブ
機構８を通過する際の流動抵抗で以つてフロント
フオーク１には所要の減衰力が発生する。これと
同時にフロントフオーク１内部の容積は増減する
が、この増減は気体室Ｓ内の気体の圧縮、膨張で
以つて補償され、気体室Ｓはコイルスプリング２
８とともにクツシヨンばねとして機能し、外部衝
撃を有効に緩和する。

ところで、調整ロツド２３を外部より回わせ
ば、これに螺合するピストン２５はシリンダ２１
内を上下動し、このピストン２５の上下動によ
り、これに固着したプランジヤ２６及びばね受２
７も一体に上下動する。このばね受２７の上下動
により、コイルスプリング２８は伸縮し、ここに
外部操作によるコイルスプリング２８のばね特性
の調整を任意に行うことができる。

そして、プランジヤ２６の油面下への僅かの侵
入体積、或は油面からの退出体積を無視すれば、
プランジヤ２６及びばね受２７の上下動によつて
油面レベルは変化せず、従つてコイルスプリング
２８の調整を気体室Ｓの気体ばね特性に何ら影響
を及ぼすことなく単独に成すことができ、又調整
作業には労力を要することなく、容易に調整を行
うことができる。

以上の説明で明らかな如く本考案によれば、調
整ロツドの外部からの回動操作でこれに螺合する
ピストン及びこれに固着されたプランジヤ、ばね
受を気体室容積に変化を与えることなく一体的に
上下動せしめ、コイルスプリングのセツト長さの
みを変化させるようにしたため、気体ばね特性に
影響を及ぼすことなく、コイルスプリングのばね
特性のみを容易に、且つ任意に調整することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は本考案に係る調整機構を設けて成るフロントフ
オークの縦断側面図、第２図は同フロントフオー
ク上部の拡大縦断側面図である。 尚図面中２は外筒、３は内筒、７はシートパイ
プ、９はフオークボルト、２０はコイルスプリン
グ調整機構、２１はシリンダ、２２は底板、２３
は調整ロツド、２５はピストン、２６はプランジ
ヤ、２７はばね受、２８はコイルスプリング、Ｓ
は気体室である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内筒と外筒を摺動自在に嵌合し、外筒底部に植
   設したシートパイプの上端と内筒間にコイルスプ
   リングを張架し、内部に油と気体を封入して成る
   フロントフオークに付設される機構であつて、内
   筒上端に螺着されたフオークボルトに上端を固着
   し、下方に延びるシリンダと、前記フオークボル
   トに回動自在に挿通し、シリンダ内に臨む軸部外
   周にねじを刻設して成る調整ロツドと、該調整ロ
   ツドに螺合し、その外周が前記シリンダ内に嵌合
   するピストンと、該ピストンより下方へ一体的に
   延設される筒状プランジヤと、該プランジヤ外周
   に嵌合するとともに、前記シリンダ下端に固着さ
   れた底板と、プランジヤ下端に固着され、下面に
   コイルスプリングの上端を受けるばね受とから構
   成したことを特徴とするフロントフオークのコイ
   ルスプリング特性調整機構。