JPS627011Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は二輪車のフロントフオーク等に使用す
る油圧緩衝器の減衰力発生機構に関し、詳細には
シリンダー底部のボトムボルトに油の流路を形成
し、シリンダー内の油圧に応答して該流路を開閉
するチエツクバルブを設けることにより圧縮行程
時におけるピストン低速域の減衰力を高速域に対
して相対的に小さくするとともに、バルブスプリ
ングのプリセツト荷重を外部から調整してチエツ
クバルブの切換領域を可変できるようにした減衰
力発生機構に関する。

作動油を充填したシリンダーにピストンを摺動
自在に嵌合してなる油圧緩衝器において、シリン
ダー底部のボトムボルトに固設したボトムピース
にオリフイスを形成し、緩衝器の圧縮行程時にシ
リンダー内に進入するピストンロツドの体積分の
油がこのオリフイスを通過してボトムピース下方
の油溜りに流入する過程で圧縮側の減衰力を発生
させるようにした機構が知られている。

この種の減衰力発生機構は圧縮行程のピストン
速度にかかわりなく減衰力が共通の前記オリフイ
スによつて生ずるため、モトクロスレース等では
圧縮側の初期減衰力、即ち、ピストン低速域の減
衰力が大きすぎ、あたりが硬くなる傾向がある。
また、これを防止するために低速域の減衰力を小
さくして軟らかな緩衝効果を得ようとすると高速
域の減衰力も総体的に小さくなり、ピストンの底
づきを生ずるという問題があつた。

本考案の目的は圧縮行程のピストンを低速域で
はあたりの軟らかな小さな減衰力を発生させ、高
速域では大きな減衰力を発生させることにより上
記問題を解決するとともに、更にピストン低速域
の減衰力特性を外部から可変調整できるようにし
た減衰力発生装置を提供することにある。

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。

第１図はボトムチユーブ１内のシリンダー２に
ピストンロツド３の先端に固着したピストン４を
摺動自在に嵌合してなる油圧緩衝器５の底部縦断
面図であつて、緩衝器５のフロントフオーク６内
側に設けたシリンダー２の底部にボトムボルト７
を配設し、ボトムキヤツプ８の外側から嵌装した
センターボルト９にこのボトムボルト７を螺着等
により固定してある。

ボトムボルト７の上部には軸方向に一対の油路
１０ａ，１０ｂを貫設したボトムピース１１を固
設しボトムボルト７の基部との間に油溜り１２を
区画するとともに、該油溜り１２の一側の壁を構
成しているシリンダー２に油孔１３を形成してあ
る。ボトムピース１１の一方の油路１０ａには圧
縮行程で開くフリーバルブ１４が、また、他方の
油路１０ｂには伸長行程で開くフリーバルブ１５
が設けられており、圧縮行程時にはシリンダー２
内の油が油路１０ａを通つてボトムピース下方の
油溜り１２に流入し、伸長行程では油路１０ｂを
通つてシリンダー２内に逆流するようになつてい
る。

かかる構成を有する油圧緩衝器において、本考
案の第一の特徴は前記ボトムボルト７にシリンダ
ー２のピストン下方油室Ａに連通する油路１６を
軸方向に沿つて貫設し、更に該油路１６の下部か
らボトムピース下方の油溜り１２に連通するオリ
フイス１７を穿設するとともに、前記油路１６内
にシリンダー２内の油圧に応じて該オリフイス１
７を開閉するチエツクバルブ１８を摺動自在に嵌
合し、チエツクバルブ１８とその下方のセンター
ボルト９の間に介装したバルブスプリング１９で
該チエツクバルブ１８をオリフイス１７の上方に
弾力的に支持させたことにある。

ボトムボルト７の油路１６は前記オリフイス１
７の開口部を含む下方部分を拡径に形成し、チエ
ツクバルブ１８をこの拡径部内の側壁に沿つて摺
動するように嵌装してある。

チエツクバルブ１８は中央部に油路１６及びオ
リフイス１７よりも小さな断面積を有するセンタ
ー孔２０を有し、これにより油の流通を許容し、
且つ油路１６の油圧抵抗を受け得るように構成さ
れているとともに、上下に摺動するバルブ１８の
側壁で、オリフイス１７を開閉するようになつて
いる。また、チエツクバルブ１８を支持するバル
ブスプリング１９はピストン４の圧縮側所定低速
域の油圧に対しては前記バルブ１８をオリフイス
１７上方の開放位置に保持し、一定以上の高速域
の油圧に対しては圧縮されてバルブ１８をオリフ
イス１７の閉鎖位置に変化させるようにばね定数
を設定してある。

尚、従来のようにピストンの低速域、高速域と
もボトムピース１１の圧縮側油路１０ａで減衰力
を発生させる構造では低速域の減衰力を発生させ
るため該油路に二乗孔を設けているが本考案では
チエツクバルブ１８のセンター孔２０ないしはボ
トムボルト７のオリフイス１７で低速域の減衰力
を得るようにしてあるのでボトムピース１１の圧
縮側油路１０ａに二乗孔を設ける必要はない。

更に本考案の第二の特徴はセンターボルト９の
軸方向に中空孔２１を貫設するとともに、この中
空孔２１に外部からアジヤストロツド２２を上下
動自在に装着し、アジヤストロツド２２の先端で
バルブスプリング１９のばね受２３を上下作動さ
せることによりバルブスプリング１９のプリセツ
ト荷重を可変できるようにしたことにある。図の
実施例はセンターボルト９の中空孔２１内にアジ
ヤストロツド２２を螺合し、該アジヤストロツド
２２の後端を外部から回転することによりスプリ
ング１９のプリセツト荷重を調整するようにして
ある。

尚、第１図中、２４はフリーバルブ１４のスプ
リング、２５はオイルロツクピース、２６はオイ
ルロツクピースの外側に嵌合したカラーである。

次に、本考案の作用を説明すると、まず、圧縮
行程の初期、即ちピストンの低速域では油路１６
の油圧が比較的低いためチエツクバルブ１８はバ
ルブスプリング１９によりオリフイス１７の上方
に維持され、該オリフイス１７を開いている。従
つて、シリンダー２内に進入したピストンロツド
体積分の油はボトムボルト７の油路１６→チエツ
クバルブ１８のセンター孔２０→オリフイス１７
を径油する流路を介してボトムピース下方の油溜
り１２に流入し、シリンダー２の油孔１３から外
側油室Ｂに流出するため小さな減衰力が発生す
る。

他方、ピストン高速域では油路１６の油圧上昇
により、チエツクバルブ１８が図の下方に押し下
げられてオリフイス１７を閉鎖する。その結果、
シリンダー２内の油はボトムピース１１の油路１
０ａのみを通るため大きな減衰力が発生すること
となる。

従つて、第２図に示すように、本考案の圧縮側
減衰力特性ａは従来例ｂに比較して、ピストン低
速域の減衰力だけを小さくすることができる。ま
た、アジヤストロツド２２を外部で回転してスプ
リング１９のプリセツト荷重を変えることにより
同一のスプリングで低速域の減衰力を第２図の
a′，a″のように調整することができる。尚、バル
ブスプリング１９のばね定数、チエツクバルブ１
８の重量及びセンター孔２０の径等を種々変えて
チエツクバルブ１９の切換領域を可変し、低速域
減衰力を調節することももちろん可能である。

以上のように本考案の減衰力発生機構は圧縮行
程におけるピストン低速域の減衰力のみを小さく
できるので、ピストン高速域での底づきを生ずる
ことなくあたりの軟らかな初期減衰力を発生させ
ることができるとともに、チエツクバルブ、スプ
リング等を取り替えずにアジヤストロツドを外部
から操作するだけで該初期減衰力を種々調整する
ことができる。従つて、特にモトクロスレースに
おける乗り心地、操安性及び操作性を著しく向上
させる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の構成を示す油圧緩衝器の部分
断面図、第２図は本考案と従来例の圧縮側減衰力
特性を示すグラフである。 ２……シリンダー、７……ボトムボルト、９…
…センターボルト、１０ａ，１０ｂ……油路、１
１……ボトムピース、１６……油路、１７……オ
リフイス、１８……チエツクバルブ、１９……バ
ルブスプリング、２０……センター孔、２１……
中空孔、２２……アジヤストロツド。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 作動油を充填したシリンダー内にピストンロツ
   ド先端のピストンを摺動自在に嵌挿し、シリンダ
   ー底部のボトムボルトに固設したボトムピースの
   油孔で圧縮行程時の減衰力を発生させるようにし
   た油圧緩衝器の減衰力発生機構において、ボトム
   ボルト７の軸にシリンダー２内に連通する油路１
   ６と該油路１６からボトムピース１１下方の油溜
   り１２に連通するオリフイス１７を形成し、油を
   通過させるセンター孔２０を穿設したチエツクバ
   ルブ１８を該油路１６内に摺動自在に嵌装し、チ
   エツクバルブ１８の下方に介装したバルブスプリ
   ング１９でチエツクバルブ１８をオリフイス１７
   の上方に支持することにより油路１６の油圧に応
   じて上下摺動するチエツクバルブ１８で前記オリ
   フイス１７を開閉させるとともに、更にボトムボ
   ルト７下方のセンターボルト９に外部へ突出する
   アジヤストロツド２２を上下動自在に嵌装し、バ
   ルブ１８下方のばね受け２３に当接させた該アジ
   ヤストロツド２２の上下変位でバルブスプリング
   １９のプリセツト荷重を調整するようにしたこと
   を特徴とする油圧緩衝器の圧縮側減衰力発生機
   構。